説明

ハードコート層形成用塗工液、これを用いたハードコートフィルムの製造方法及びディスプレイ用光学フィルタの製造方法

【課題】厚膜ハードコート層を形成するための塗工液であって、スジ状の欠点の発生を抑制するとともに、気泡状欠点の発生や塗工ムラを抑制できる塗工液、これを用いたハードコートフィルム及びディスプレイ用光学フィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】厚さ3μm以上のハードコート層を形成するための塗工液であって、樹脂組成物、及び溶剤としてイソブチルアルコールと、イソブチルアルコールより沸点が高い溶剤Aとを含み、イソブチルアルコールの含有量が、前記溶剤Aの含有量以上であり、且つ粘度が7〜16mPa・sであることを特徴とする塗工液、これを透明基板、又は導電層が形成された透明基板に塗工するハードコートフィルム又はディスプレイ用光学フィルタの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート層形成用塗工液に関し、特に、厚膜ハードコート層形成用塗工液、具体的にはプラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイの画像表示部に用いられる電磁波シールド性を有するディスプレイ用光学フィルタの製造等に有用なハードコート層形成用塗工液に関する。また、この塗工液を用いるハードコートフィルムの製造方法、及びディスプレイ用光学フィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ等のディスプレイに用いられるディスプレイ用光学フィルタやタッチパネル等のプラスチックフィルム製品等には、その表面保護、耐久性向上、汚れ防止及び光学的性質の改善等のため、表面にハードコート層が形成されている。このようなハードコート層には高い透明性及び視認性も要求され、微細な異物の付着等による欠点の発生や、塗工ムラによる光学的歪みの発生は大きな問題となる。
【0003】
ところで、ハードコート層の膜厚は、平滑な表面に塗工して形成する場合、一般的に1〜2μm程度である。一方、例えば、特許文献1のように、メッシュ状の電磁波シールド層(導電層)上にハードコート層等を設けたディスプレイ用光学フィルタのように凹凸形状を有する表面に塗工してハードコート層を形成する場合、凹凸形状をカバーして表面の平面性が高いハードコート層とするため、より厚い膜厚とする必要がある。また、平滑な表面に塗工する場合であっても、粒子径の大きなフィラーや紫外線吸収剤等の添加剤を含有させたハードコート層では、表面の平面性を確保するため、又は種々の機能を発揮させるためにより厚い膜厚が必要な場合もある(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−37237号公報
【特許文献2】特開2010−99835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような厚い膜厚のハードコート層(本発明において、厚膜ハードコート層ともいい、厚さ3μm以上のハードコート層をいう)を形成するためには、一般に、塗工液を通常より厚塗りをする必要があり、塗工層が乾燥するまでの時間が長くなる場合がある。この際、塗工する基板表面に、塗工液の溶剤に溶解するような微細な異物が存在した場合、異物自体は微細なため、そのままでは欠点にはならないにもかかわらず、製造ライン中に基板が大きく傾斜する箇所(例えば、搬送ロール間等)で異物から溶出した成分が傾斜方向に流れてスジ状の光学的欠点(スジ状欠点)が発生する場合がある。また、本発明者らの検討によると、スジ状欠点を防止するため、塗工液の粘度を上げた場合、塗工時にエアーを巻き込んで、気泡状欠点が発生したり、塗工ムラが生じたりする場合があることが分かった。
【0006】
従って、本発明の目的は、厚膜ハードコート層を形成するための塗工液であって、スジ状の欠点の発生を抑制するとともに、気泡状欠点の発生や塗工ムラを抑制できる塗工液を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、透明基板上にハードコート層を備えた構造を含むハードコートフィルムであって、スジ状の欠点、気泡状欠点及び塗工ムラが低減されたハードコートフィルムの製造方法、及びその方法により得られるハードコートフィルムを提供することにある。
【0008】
更に、本発明の目的は、メッシュ状の導電層と、導電層上にハードコート層を備えた構造を含むディスプレイ用光学フィルタであって、スジ状の欠点、気泡状欠点及び塗工ムラが低減されたディスプレイ用光学フィルタの製造方法、及びその方法により得られるディスプレイ用光学フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、厚さ3μm以上のハードコート層を形成するための塗工液であって、樹脂組成物、及び溶剤としてイソブチルアルコールと、イソブチルアルコールより沸点が高い溶剤Aとを含み、イソブチルアルコールの含有量が、前記溶剤Aの含有量以上であり、且つ粘度が7〜16mPa・sであることを特徴とする塗工液によって達成される。
【0010】
厚さ3μm以上のハードコート層、即ち厚膜ハードコート層を形成する際、塗工液の粘度が上記範囲にあることにより、塗工液を厚塗りしても上述のスジ状欠点の発生を抑制できるとともに、塗工ムラを生じ難くすることができる。また、樹脂組成物を溶解する溶剤としてイソブチルアルコール(IBAともいう)を用いることにより、上述の気泡状欠点の発生を抑制できることが見出された。この要因は明らかではないが、IBAに何らかの消泡作用があるものと考えられた。但し、溶剤としてIBAのみを用いると、塗工液の乾燥速度が速過ぎて、塗工ムラの原因となるため、IBAより沸点が高い溶剤Aを含有させることが必要である。IBAの沸点は107.9℃であり、溶剤Aの沸点はこの温度より高ければ良い。溶剤Aの沸点は110〜160℃が好ましく、更に120〜150℃が好ましく、特に130〜150℃が好ましい。
【0011】
本発明に係るハードコート層形成用塗工液の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記イソブチルアルコールの含有量が、塗工液の質量を基準として23〜33質量%である。これにより、イソブチルアルコールの気泡状欠点の発生を抑制する効果を十分に発揮させるとともに、塗工ムラが生じることを更に抑制することができる。
(2)前記溶剤Aが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAともいう)である。PMAの沸点は146℃であり、本発明における溶剤Aとして有用である。
(3)前記イソブチルアルコール(IBA)の、前記溶剤Aに対する質量比(IBA/溶剤A)が、1/1〜10/1である。これにより、塗工液の乾燥速度が適切になり、塗工ムラが生じることを更に抑制することができる。
(4)前記樹脂組成物が、重量平均分子量が6000〜200000のポリマーを含む。上記ポリマーを樹脂組成物に用いることにより塗工液の粘度及び固形分の関係を適正化することができ、更に本発明の塗工液の効果を発揮することができる。
(5)(4)において、前記樹脂組成物が、更に重合性基を備えた分子量3000以下のモノマーを含む。上記ポリマーを含む場合に、得られるハードコート層の耐擦傷性が低下する場合がある。上記モノマーを樹脂組成物に含むことによりハードコート層の耐擦傷性を向上させることができる。重合性基を備えたモノマーは、分子量700以下のものが更に好ましい。
(6)(5)において、前記樹脂組成物に含まれる、前記ポリマーの前記モノマーに対する質量比(ポリマー/モノマー)が、1/1〜1/10である。これにより、更に、塗工液の粘度及び固形分を適正化し、本発明の塗工液の効果を十分発揮するともに、得られるハードコート層の耐擦傷性の向上させることができる。
(7)前記モノマーが、1分子中に3個以上の重合性基を備えたモノマーである。
(8)前記重合性基が、光重合性基である。ハードコート層の形成には光硬化型が、短時間に硬化でき、生産性に優れるので好ましい。
(9)前記重合性基が、エチレン性不飽和二重結合を有する基である。
(10)前記エチレン性不飽和二重結合を有する基が、(メタ)アクリロイル基である。
【0012】
また、上記目的は、透明基板の表面に、本発明の塗工液を塗工し、塗工層(乾燥前)を形成する工程、及び、前記塗工層(乾燥前)を乾燥するか、又は乾燥後、硬化させることでハードコート層を形成する工程、を含むことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法によって達成される。
【0013】
本発明の塗工液を用いてハードコート層を形成することで、厚膜ハードコート層であっても上述のようにスジ状欠点、気泡状欠点及び塗工ムラの発生を抑制してハードコートフィルムを製造することができる。
【0014】
本発明のハードコートフィルムの製造方法において、前記塗工層(乾燥前)の透明基板表面からの膜厚(Dw)が、25μm以下であることが好ましい。これにより、更に、スジ状欠点の発生が抑制されたハードコートフィルムを製造することができる。塗工層(乾燥前)の膜厚(Dw)は、塗工液における樹脂組成物中の樹脂材料含有量、形成するハードコート層の膜厚により設定される。前記塗工層(乾燥前)の膜厚(Dw)は、更に10〜25μmが好ましく、特に12〜20μmが好ましい。
【0015】
また、前記ハードコート層の前記透明基材表面からの膜厚(Dd)が、3〜20μmであることが好ましい。この範囲の膜厚のハードコート層であれば、更にスジ状欠点、気泡状欠点、塗工ムラの発生が抑制されたハードコートフィルムを製造することができる。
ハードコート層の膜厚(Dd)は、更に5〜15μmが好ましく、特に6〜12μmが好ましい。
【0016】
また、上記目的は、一方の表面にメッシュ状の導電層を有する透明基板の、当該導電層上に本発明の塗工液を塗工し、塗工層(乾燥前)を形成する工程、及び前記塗工層(乾燥前)を乾燥するか、又は乾燥後、硬化させることでハードコート層を形成する工程、を含むことを特徴とするディスプレイ用光学フィルタの製造方法によって達成される。
【0017】
透明基板の表面に形成されたメッシュ状の導電層の凹凸形状をカバーし、表面の平面性が高いハードコート層とするためには塗工液を厚塗りして厚膜ハードコート層を形成することが必要である。本発明の塗工液を用いてハードコート層を形成することで、上述のようにスジ状欠点、気泡状欠点及び塗工ムラの発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを製造することができる。
【0018】
本発明のディスプレイ用光学フィルタの製造方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記塗工層(乾燥前)の前記透明基板表面からの膜厚(Dw)の、前記導電層のメッシュの前記透明基板表面からの平均高さ(H)に対する比(Dw/H)が、6.5以下である。塗工層(乾燥前)の膜厚(Dw)は、塗工液における樹脂組成物中の樹脂材料の含有量、形成するハードコート層の膜厚により設定される。膜厚(Dw)のメッシュ状の導電層の平均高さ(H)に対する比(Dw/H)が上記の数値以下であれば、更にスジ状欠点の発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを製造することができる。(Dw/H)は、4.5〜6.5が好ましく、5.0〜6.0が更に好ましい。
(2)前記ハードコート層の前記透明基材表面からの膜厚(Dd)と、前記導電層のメッシュの前記透明基材表面からの平均高さ(H)との差(Dd−H)が、1〜5μmである。この範囲でハードコート層が導電層のメッシュの上に形成されていれば、更にスジ状欠点、気泡状欠点、塗工ムラの発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のハードコート層形成用塗工液は、樹脂組成物を溶解する溶剤としてイソブチルアルコールを含んでおり、粘度が上記の範囲で適正化されているので、基板に厚塗りをして厚膜ハードコート層を形成しても微細な異物に起因するスジ状欠点の発生が抑制され、且つ気泡状欠点及び塗工ムラの発生も抑制されている。従って、本発明の塗工液を用いたハードコートフィルムの製造方法又はディスプレイ用光学フィルタの製造方法は、上記欠点等の発生が抑制され、高い歩留りで製品を製造できる方法であるといえる。そして、本発明の製造方法により得られたハードコートフィルム又はディスプレイ用光学フィルタは、高品質で高い歩留りで得られるため、低コストで製造できる製品であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のハードコート層形成用塗工液を用いたハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のハードコート層形成用塗工液を用いたディスプレイ用光学フィルタの製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のディスプレイ用光学フィルタの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のハードコート層形成用塗工液は、厚さ3μm以上の厚膜ハードコート層を形成するための塗工液で、樹脂組成物、及びこれを溶解する溶剤としてイソブチルアルコール(IBA)と、IBAより沸点が高い溶剤Aとを含み、イソブチルアルコールの含有量が、前記溶剤Aの含有量以上である。樹脂組成物は、少なくとも樹脂材料を含み、必要に応じて重合開始剤等の添加剤を含む。そして、塗工液の粘度は7〜16mPa・sに調整されている。粘度は、樹脂材料の種類及び含有量、溶剤の種類等により調整することができる。なお、本発明において、ハードコート層とは、JIS K5600(1999)で規定される鉛筆硬度試験でH以上の硬度を有するものをいう。
【0022】
一般的な厚さ1〜2μmのハードコート層を形成するための塗工液の粘度は、通常2〜3mPa・s程度である。しかしながら、厚い層のハードコート層を形成するために、塗工液を厚塗りすると、塗工層が乾燥するまでの時間が長くなる場合がある。この際、製造ライン中の搬送ライン間等、基板が大きく傾斜する箇所で、上述のように、塗工液の溶剤に溶解するような微細な異物(そのままでは、微細なため欠点にはならない)の溶出成分が傾斜方向に流れてスジ状欠点が発生してしまう場合がある。一方、塗工液の流動性を抑えるために粘度を高くし過ぎると、塗工時にエアーを巻き込んで気泡状欠点が発生したり、塗工ムラが生じたりしてしまう場合がある。本発明においては、塗工液の粘度を上記範囲に設定することで、塗工液の流動性を抑え、スジ状欠点を防止するとともに、塗工ムラが生じ難くしている。塗工液の粘度は11〜16mPa・sが好ましい。更に、溶剤としてIBAを使用することで、気泡状欠点の発生を抑制している。本発明者らは、後述する実施例に示すように、種々の溶剤を用いて、気泡状欠点の発生頻度を調べることで、IBAに気泡状欠点の抑制効果を見出した。この要因は明らかではないが、表面張力等の性質により、IBAに何らかの消泡効果があるものと考えられた。IBAの含有量は、塗工液の質量を基準として23〜33質量%が好ましい。この範囲であれば、気泡状欠点の発生を抑制する効果を十分に発揮させるとともに、より塗工ムラを生じ難くすることができる。後述する実施例に示すように、IBAの含有量が低いと気泡状欠点の発生抑制効果が低く、IBAの含有量が高いと塗工ムラが生じ易くなる。IBAの含有量は、塗工液の質量を基準として、26〜30質量%が更に好ましい。
【0023】
また、本発明において、溶剤としてIBAのみを使用すると、塗工液の乾燥速度が速過ぎて塗工ムラの原因となるため、IBAより沸点が高い溶剤Aを含有させている。通常、沸点の高い溶剤を用いることで塗工液の乾燥速度を抑えることができる。IBAの沸点は107.9℃であるので、溶剤Aの沸点はこの温度より高ければ良い。溶剤Aの沸点は110〜160℃が好ましく、更に120〜155℃が好ましく、特に130〜150℃が好ましい。溶剤Aとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)(沸点;146℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点;135.6℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点;120℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点;132.2℃)、シクロヘキサノン(沸点;155.6℃)、1−ヘキサノール(沸点;157.1℃)、2−メチル−1−ペンタノール(沸点;148.0℃)、トルエン(沸点;110.6℃)、o−キシレン(沸点;144.4℃)、m−キシレン(沸点;139.1℃)等が挙げられる。溶剤Aとしては、特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)が好ましい。そして、IBAの、溶剤Aに対する質量比(IBA/溶剤A)は、1/1〜10/1であることが好ましい。これにより、塗工液の乾燥速度が適切になり、塗工ムラが生じることを更に抑制することができる。IBAの、溶剤Aに対する質量比(IBA/溶剤A)は、更に1.5/1〜7.5/1が好ましく、特に3.5/1〜6/1が好ましい。
【0024】
なお、本発明の塗工液には、IBA及び溶剤Aの他に、樹脂材料の種類に応じて溶解性を高める等の目的で他の溶剤を含んでいても良い。他の溶剤としては、ヘキサン、オクタン、シクロペンタン,シクロヘキサンなどの炭化水素類、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類等の有機溶剤が挙げられる。
【0025】
また、本発明において、ハードコート層形成用塗工液に使用する樹脂組成物中の樹脂材料は、重量平均分子量が6000〜200000のポリマーを含むことが好ましい。上記ポリマーを樹脂材料に用いることにより塗工液の粘度及び固形分の関係を適正化することができ、更に本発明の塗工液の効果(スジ状欠点及び気泡状欠点の発生の抑制、塗工ムラの発生の抑制)を十分に発揮させることができる。なお、本発明において、アクリル系化合物の「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いてポリスチレン換算で測定した値をいう。
【0026】
樹脂材料に含まれるポリマーは上記範囲の平均分子量を有していれば、どのようなものでも良く、重合性基を備えていても、いなくても良い。重量平均分子量が大き過ぎるとハードコート層としての硬さが低下する場合があるので、重量平均分子量は7000〜80000が更に好ましい。これらのポリマーは1種でも2種以上のポリマーで構成されていても良い。
【0027】
上記ポリマーとしては、例えば、骨格成分がポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(アクリロニトリル/スチレン)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸メチル)、ポリ((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル/(メタ)アクリル酸ブチル)、及び、これらの樹脂とシリコーン樹脂との共重合体、
ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と、有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’−4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。これら化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。市販品としては、ビームセット371(荒川化学工業社製)、マクロモノマーAA−6、AA−10、AS−6、AB−6、AA−10、AN−6S(以上、東亜合成社製)、HCX−201−54(アデカ社製)、フォレットM−80(綜研化学社製)等が挙げられる。
【0028】
また、本発明のハードコート層形成用塗工液における樹脂組成物中の樹脂材料として、上述の様な重量平均分子量が大きいポリマーを用いた場合、ハードコート層の機能として、耐擦傷性が低下する場合があるため、樹脂組成物は、更に、重合性基を備えた分子量3000以下のモノマーを含むことが好ましい。上記重合性基を備えたモノマーの分子量は、700以下が好ましく、200〜600が更に好ましい。モノマーの分子量は、重量平均分子量であっても、化学式から得られる式量であっても良い。なお、この場合のモノマーは、オリゴマーであっても良い。上記ポリマーと上記モノマーを併用することにより、ハードコート層の粘度及び固形分を適正化して本発明の効果を十分に発揮させるとともに、ハードコート層の耐擦傷性を向上させることができる。
【0029】
また、樹脂組成物における上記ポリマーと上記モノマーの配合比には特に制限は無いが、更に、塗工液の粘度及び固形分を適正化し、本発明の塗工液の効果を十分発揮するともに、得られるハードコート層の耐擦傷性の向上させるためには、上記ポリマーの上記モノマーに対する質量比(ポリマー/モノマー)は、1/1〜1/10が好ましく、1/3〜1/7が更に好ましい。
【0030】
上記モノマーは、反応性の点で、1分子中に3個以上の重合性基を備えたモノマーが好ましく、上記モノマーの重合性基は、熱重合性基、光重合性基のいずれでも良い。紫外線照射により短時間に硬化させることができ、生産性に優れる点で、上記重合性基は光重合性基が好ましい。
【0031】
重合性基は、エチレン性不飽和二重結合を有する基や、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基等どのようなものでも良いが、反応性の点で、エチレン性不飽和二重結合を有する基が好ましく、特に、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0032】
重合性基(好ましくは1分子中に3個以上)を備えたモノマー(又はオリゴマー)としてはどのようなものでも良い。例えば、(メタ)アクリロイル基を備えたモノマー(又はオリゴマー)として、上記のポリマーの例示と同様な成分からなるモノマーやオリゴマーでも良く、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の硬質の多官能モノマーを主に使用することが好ましい。
【0033】
樹脂材料として光重合性基を備えたモノマーを用いる場合は、樹脂組成物に、更に光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤は、使用する樹脂材料の性質に適した任意の化合物を使用することができる。
【0034】
例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のような安息香酸系叉は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。特に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア184)が好ましい。
【0035】
光重合開始剤の量は、樹脂材料に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0036】
さらに、ハードコート層形成用塗工液における樹脂組成物には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、老化防止剤、塗料加工助剤、着色剤等を少量含んでいても良い。特に、紫外線吸収剤(例、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤)を含むことが好ましく、これによりフィルタの黄変等の防止が効率的に行うことができる。その量は、樹脂材料に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0037】
本発明のハードコート層形成用塗工液は、例えば、従来公知のミキサー等を用いて上述のIBA及び溶剤Aを含む溶剤に、上述の樹脂組成物を上記の粘度範囲になるような濃度で、溶解又は分散させることで調製できる。
【0038】
次に本発明のハードコートフィルム(本発明において、透明基板上にハードコート層を備えた構造を含むものをいう)及びディスプレイ用光学フィルタの製造方法について図面を用いて説明する。
【0039】
[ハードコートフィルムの製造方法]
図1は、本発明のハードコート層形成用塗工液を用いたハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略断面図である。本発明の製造方法においては、まず、透明基板12の表面に、本発明のハードコート層形成用塗工液を塗工し、塗工層(乾燥前)14wを形成する(図1(a))。塗工は従来公知のどのような方法を用いても良い。例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、スロットダイコーター、ロールコーター、メイヤバーコーター、ブレードコーター等の適当なコーティング装置を用いて行うことができる。この際、本発明の塗工液を用いているので、厚さ3μm以上の膜厚ハードコート層になるように塗工する。次いで、塗工層(乾燥前)14wを乾燥して溶剤を蒸発させ、必要に応じて、更に硬化させることでハードコート層14dを形成する(図1(b))。乾燥は常温でも良く、必要に応じて加熱して行っても良い。硬化は、重合性基及び開始剤の種類によって、適した方法を用いることができる。光硬化の場合は、光源として紫外線〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等を挙げることができる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数秒〜数分程度である。また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加熱し、これに紫外線等を照射してもよい。
【0040】
本発明の製造方法は本発明の塗工液を用いているので、厚膜ハードコート層であっても上述のようにスジ状欠点、気泡状欠点及び塗工ムラの発生が抑制されたハードコートフィルムを製造することができる。
【0041】
また、本発明のハードコートフィルムの製造方法において、図1(a)に示した塗工層(乾燥前)14wの透明基板表面からの膜厚(Dw)は特に制限は無いが、25μm以下であることが好ましい。膜厚(Dw)が大き過ぎると、塗工層(乾燥前)14wが流動し、得られるハードコート層にスジ状欠点が生じるおそれがあるからである。上記の膜厚(Dw)であれば、更に、スジ状欠点の発生が抑制されたハードコートフィルムを製造することができる。塗工層(乾燥前)14wの膜厚(Dw)は、塗工液中の樹脂材料の含有量、形成するハードコート層14dの膜厚により設定される。塗工層(乾燥前)14wの膜厚(Dw)は、更に10〜25μmが好ましく、特に12〜20μmが好ましい。
【0042】
そして、図1(b)に示したハードコート層14dの透明基材12表面からの膜厚(Dd)は、3〜20μmであることが好ましい。この範囲の膜厚のハードコート層であれば、更にスジ状欠点、気泡状欠点、塗工ムラの発生が抑制されたハードコートフィルムを製造することができる。ハードコート層の膜厚(Dd)は、更に5〜15μmが好ましく、特に6〜10μmが好ましい。
【0043】
上述のように本発明の製造方法により得られた本発明のハードコートフィルムは、高品質で高い歩留りで得られるため、低コストで製造できる製品であるといえる。
【0044】
なお、本発明のハードコートフィルムの製造方法においては、上述の透明基板12の表面にハードコート層14dを形成すれば良く、例えば、後述するディスプレイ用光学フィルタの製造方法のように、透明基板12とハードコート層14dとの間、透明基板12のハードコート層14dを形成した面の反対側の面側、又はハードコート層14dの表面に、更に別の層を形成しても良い。
【0045】
[ディスプレイ用光学フィルタの製造方法]
図2は、本発明のハードコート層形成用塗工液を用いたディスプレイ用光学フィルタの製造方法の一例を示す概略断面図である。本発明の製造方法においては、まず、一方の表面にメッシュ状の導電層23を有する透明基板22の、導電層23上に本発明のハードコート層形成用塗工液を塗工し、塗工層(乾燥前)24wを形成する(図2(a))。メッシュ状の導電層23は、どのような方法で形成されていても良く、例えば後述する方法で行うことができる。塗工は従来公知のどのような方法を用いても良い。例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、スロットダイコーター、ロールコーター、メイヤバーコーター、ブレードコーター等の適当なコーティング装置を用いて行うことができる。この際、透明基板22の表面に形成されたメッシュ状の導電層23の凹凸形状をカバーし、表面の平面性が高いハードコート層とするために、本発明の塗工液を用いて、厚さ3μm以上(透明基板22表面からの厚さとして)の厚膜ハードコート層となるように塗工する。次いで、塗工層(乾燥前)24wを乾燥して溶剤を蒸発させ、必要に応じて、更に硬化させることでハードコート層24dを形成する(図2(b))。乾燥は常温でも良く、必要に応じて加熱して行っても良い。硬化は、重合性基及び開始剤の種類によって、適した方法を用いることができる。光硬化の場合は、光源として紫外線〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等を挙げることができる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数秒〜数分程度である。また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加熱し、これに紫外線等を照射してもよい。
【0046】
本発明の製造方法は本発明の塗工液を用いているので、導電層23の凹凸形状をカバーする厚膜ハードコート層であっても上述のようにスジ状欠点、気泡状欠点及び塗工ムラの発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを製造することができる。
【0047】
また、本発明のディスプレイ用光学フィルタの製造方法において、図2(a)に示した塗工層(乾燥前)24wの透明基板22表面からの膜厚(Dw)には特に制限は無いが、導電層23のメッシュの透明基板22表面からの平均高さ(H)、に対する比(Dw/H)が、6.5以下であることが好ましい。メッシュの高さ(H)より膜厚(Dw)が厚過ぎると、塗工層(乾燥前)24wが流動し、得られるハードコート層にスジ状欠点が生じるおそれがあるからである。膜厚(Dw)が上記の(Dw/H)を満たす厚さであれば、更にスジ状欠点の発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを製造することができる。塗工層(乾燥前)24wの膜厚(Dw)は、塗工液中の樹脂材料の含有量、形成するハードコート層の膜厚により設定される。(Dw/H)は、4.5〜6.5が好ましく、5.0〜6.0が更に好ましい。
【0048】
そして、図2(b)に示した、ハードコート層24dの透明基材22表面からの膜厚(Dd)と、導電層23のメッシュの透明基材22表面からの高さ(H)との差(Dd−H)が、1〜5μmであることが好ましい。この範囲でハードコート層が導電層のメッシュの上に形成されていれば、更にスジ状欠点、気泡状欠点、塗工ムラの発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを製造することができる。
【0049】
上述のように本発明の製造方法により得られたディスプレイ用光学フィルタは、高品質で高い歩留りで得られるため、低コストで製造できる製品であるといえる。
【0050】
なお、本発明のディスプレイ用光学フィルタの製造方法においては、上述の透明基板22の表面に形成された導電層23上にハードコート層24dを形成すれば良く、例えば、後述するディスプレイ用光学フィルタの例のように、透明基板22の、導電層23及びハードコート層24dを形成した面の反対側の面側、透明基板22と導電層23との間、又はハードコート層24dの表面に、更に別の層を形成しても良い。
【0051】
[ディスプレイ用光学フィルタ]
本発明のディスプレイ用光学フィルタは、本発明の製造方法を用いていれば特に制限は無い。図3は本発明のディスプレイ用光学フィルタの一例を示す概略断面図である。
【0052】
図3に示す通り、ディスプレイ用光学フィルタ30においては、矩形状の透明基材32の表面全域にメッシュ状の導電層33が形成されている。なお、透明基材32と導電層33との間に中間層が形成されていても良い(図示していない)。その上にハードコート層34dが形成され、さらにその上に、反射防止層として、高屈折率層35及び低屈折率層36が形成されている。透明基材32の導電層33が形成された面の他面上には、近赤外線層37及び粘着剤層38が形成されており、光学フィルタ30は粘着剤層38を介して、ガラス基板31に張り付けられて使用される。反射防止層として、高屈折率層35及び低屈折率層36は無くても良いが、光学フィルタとして、外部の光の反射を抑えるために反射防止層が形成されていることが好ましい。反射防止層は、図3に示すように高屈折率層35と低屈折率層36と組み合わせた層でも良く、低屈折率層36のみでも良い。
【0053】
なお、導電層33から外部への導通を図るため、光学フィルタ30には、光学フィルタの周囲のハードコート層等の機能層をレーザー照射等により除去して導電層を露出させたり、導電性粘着テープを導電層に挟みこんだりして外部に接地させる等の構造が含まれる(図示していない)。
【0054】
本発明においては、ハードコート層34dが、本発明のハードコート層形成用塗工液を用いた製造方法によって形成されているので、ハードコート層において上述のようにスジ状欠点、気泡状欠点及び塗工ムラの発生が抑制され、ディスプレイ用光学フィルタが高品質で高い歩留りで得られ、低コストで製造できる製品であるといえる。
【0055】
本発明のハードコートフィルム及びディスプレイ用光学フィルタの製造方法、並びにこれらの方法により得られる本発明のハードコートフィルム及びディスプレイ用光学フィルタにおいては、本発明の目的を達成することができれば、どのような材料や工程を用いても良い。以下に好ましい態様を説明する。
【0056】
[透明基材]
透明基材は、一般に、透明なプラスチックフィルムである。その材料としては、透明(「可視光に対して透明」を意味する。)であれば特に制限はない。プラスチックフィルムの例としては、ポリエステル[例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート]、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる。これらの中でも、加工時の負荷(熱、溶剤、折り曲げ等)に対する耐性が高く、透明性が特に高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が好ましい。特に、PETが、加工性に優れているので好ましい。また、近赤外吸収層等に含まれる有機色素類は紫外線を受けて耐久性が低下しやすいが、PET等のポリエステルはこのような紫外線を吸収する傾向があり好ましい。透明基材の表面には各機能層の密着性を良くするための易接着層を設けても良い。易接着層は、例えば、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂のみ、又はそれらの樹脂に、SiO2、ZrO2、TiO2、Al23等の金属酸化微粒子、好ましくは平均粒径1〜100nmの金属酸化微粒子を配合して、屈折率を調整したものが用いられる。
【0057】
透明基材の厚さとしては、光学フィルタの用途等によっても異なるが、一般に1μm〜10mm、1μm〜5mm、特に25〜250μmが好ましい。
【0058】
[導電層]
メッシュ状の導電層は、一般に10Ω/□以下、好ましくは0.001〜5Ω/□の範囲、特に0.005〜5Ω/□のとなるように設定される。メッシュ状の導電層としては金属繊維及び金属被覆有機繊維の金属を網状にしたもの、透明フィルム上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、透明フィルム上に導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等を挙げることができる。
【0059】
メッシュ状の導電層の場合、メッシュとしては、金属繊維及び/又は金属被覆有機繊維よりなる線径1μm〜1mm、開口率40〜95%のものが好ましい。より好ましい線径は10〜500μm、開口率は50〜95%である。メッシュ状の導電層において、線径が1mmを超えると電磁波シールド性が向上するが、開口率が低下し両立させることができない。1μm未満では、メッシュとしての強度が下がり取扱いが困難となる。また開口率が95%を超えるとメッシュとしての形状を維持することが困難であり、40%未満では光透過性が低下し、ディスプレイからの光量も低下する。なお、メッシュの開口率とは、当該メッシュの投影面積における開口部分が占める面積割合を言う。導電層のメッシュの透明基材表面からの高さは1〜15μmが好ましく、更に3〜10μmが好ましい。
【0060】
メッシュ状の導電層を構成する金属繊維及び金属被覆有機繊維の金属としては、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステン、錫、鉛、鉄、銀、炭素又はこれらの合金、好ましくは銅、ステンレス、ニッケルが用いられる。
【0061】
金属被覆有機繊維の有機材料としては、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニリデン、アラミド、ビニロン、セルロース等が用いられる。
【0062】
金属箔等の導電性の箔をパターンエッチングしたもの場合、金属箔の金属としては、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、真鍮、或いはこれらの合金、好ましくは銅、ステンレス、アルミニウムが用いられる。
【0063】
金属箔の厚さは、薄過ぎると取扱い性やパターンエッチングの作業性等の面で好ましくなく、厚過ぎると得られるフィルムの厚さに影響を及ぼし、エッチング工程の所要時間が長くなることから、1〜200μm程度とするのが好ましい。
【0064】
エッチングパターンの形状には特に制限はなく、例えば四角形の孔が形成された格子状の金属箔や、円形、六角形、三角形又は楕円形の孔が形成されたパンチングメタル状の金属箔等が挙げられる。また、孔は規則的に並んだものに限らず、ランダムパターンとしても良い。この金属箔の投影面における開口部分の面積割合は、20〜95%が好ましく、更に好ましくは40〜95%、特に60〜95%が好ましい。
【0065】
上記の他に、メッシュ状の導電層として、フィルム面に、溶剤に対して可溶な材料によってドットを形成し、フィルム面に溶剤に対して不溶な導電材料からなる導電材料層を形成し、フィルム面を溶剤と接触させてドット及びドット上の導電材料層を除去することによって得られるメッシュ状の導電層を用いても良い。
【0066】
導電層の上層に、さらに金属めっき層を、導電性を向上させるために設けても良い。金属めっき層は、公知の電解めっき法、無電解めっき法により形成することができる。めっきに使用される金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。
【0067】
また、防眩性能を付与させても良い。この防眩化処理を行う場合、(メッシュ)導電層の表面に黒化処理を行っても良い。例えば、金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキ、黒又は暗色系のインクの塗布等を行うことができる。
【0068】
[反射防止層]
反射防止層の内、高屈折率層は、樹脂成分(好ましくは紫外線硬化性樹脂)中に、ITO,ATO,Sb23,SbO2,In23,SnO2,ZnO、AlをドープしたZnO、TiO2等の導電性金属酸化物微粒子(無機化合物)が分散した層(硬化層)とすることが好ましい。金属酸化物微粒子としては、平均粒径10〜10000nm、好ましくは10〜50nmのものが好ましい。特にITO(特に平均粒径10〜50nmのもの)が好ましい。膜厚は一般に10〜500nmの範囲、好ましくは20〜200nmである。
【0069】
反射防止層の内、低屈折率層は、シリカ、フッ素樹脂等の微粒子、好ましくは中空シリカを10〜40重量%(好ましくは10〜30質量%)が樹脂成分(好ましくは紫外線硬化性樹脂)中に分散した層(硬化層)であることが好ましい。膜厚は一般に10〜500nmの範囲、好ましくは20〜200nmである。中空シリカとしては、平均粒径10〜100nm、好ましくは10〜50nm、比重0.5〜1.0、好ましくは0.8〜0.9のものが好ましい。
【0070】
これらの反射防止層に使用する樹脂成分としては、通常のハードコート層と同様なものが使用できる。一般にフェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂であり、上述の通り、短時間で硬化させることができ、生産性に優れる点から紫外線硬化性樹脂が好ましい。紫外線硬化性樹脂を用いる場合は、紫外線硬化性樹脂組成物(紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤等からなる)として使用する。紫外線硬化性樹脂としては、上述のポリマー、モノマー等を使用できる。
【0071】
上述のハードコート層と合わせて全体として可視光線透過率が85%以上であることが好ましい。高屈折率層及び低屈折率層の可視光線透過率も、いずれも85%以上であることが好ましい。
【0072】
ハードコート層と上記2層より構成される場合、例えば、ハードコート層の厚さは全体で5〜20μm、高屈折率層の厚さは50〜150nm、低屈折率層の厚さは50〜150nmであることが好ましい。
【0073】
反射防止層を形成するには、上述のハードコート層の場合と同様に形成することができる。この場合、ハードコート層、反射防止層の各層を1層ずつ塗工し硬化させてもよく、全層を塗工した後、まとめて硬化させてもよい。連続加工の場合、各層の塗工後に硬化をしないと、塗工面に傷が付く場合があるので、各層を1層ずつ塗工し硬化するのが好ましい。
【0074】
[近赤外線吸収層]
透明基材の導電層が形成された面の他面上に形成される近赤外線吸収層は、一般に、基板フィルムの表面に色素等を含む層が形成されることにより得られる。近赤外線吸収層は、例えば上記色素及びバインダ樹脂等を含む塗工液を塗工、必要により乾燥、そして硬化させることにより得られる。或いは上記色素及びバインダ樹脂等を含む塗工液を塗工、そして単に乾燥させることによっても得られる。フィルムとして使用する場合は、一般に近赤外線カットフィルムであり、例えば色素等を含有するフィルムである。色素としては、一般に800〜1200nmの波長に吸収極大を有するもので、例としては、フタロシアニン系色素、金属錯体系色素、ニッケルジチオレン錯体系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、アゾメチン系色素、アゾ系色素、ポリアゾ系色素、ジイモニウム系色素、アミニウム系色素、アントラキノン系色素、を挙げることができ、特にシアニン系色素又、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素が好ましい。これらの色素は、単独又は組み合わせて使用することができる。バインダ樹脂の例としては、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0075】
近赤外線吸収層に、ネオン発光の吸収機能(ネオンカット機能)を付与することにより色調の調節機能を持たせても良い。このために、ネオン発光の吸収層(ネオンカット層)を設けても良いが、近赤外線吸収層にネオン発光の選択吸収色素を含有させても良い。
【0076】
ネオン発光の選択吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ポリアゾ系色素、アズレニウム系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素を挙げることができる。このような選択吸収色素は、585nm付近のネオン発光の選択吸収性とそれ以外の可視光波長において吸収が小さいことが必要であるため、吸収極大波長が575〜595nmであり、吸収スペクトル半値幅が40nm以下であるものが好ましい。
【0077】
また、近赤外線やネオン発光の吸収色素を複数種組み合わせる場合、色素の溶解性に問題がある場合、混合による色素間の反応ある場合、耐熱性、耐湿性等の低下が認められる場合には、すべての近赤外線吸収色素を同一の層に含有させる必要はなく、別の層に含有させても良い。
【0078】
また、光学特性に大きな影響を与えない限り、さらに着色用の色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を加えても良い。
【0079】
近赤外線吸収特性としては、850〜1000nmの透過率を、20%以下、さらに15%するのが好ましい。また選択吸収性としては、585nmの透過率が50%以下であることが好ましい。特に前者の場合には、周辺機器のリモコン等の誤作動が指摘されている波長領域の透過度を減少させる効果があり、後者の場合は、575〜595nmにピークを持つオレンジ色が色再現性を悪化させる原因であることから、このオレンジ色の波長を吸収させる効果があり、これにより真赤性を高めて色の再現性を向上させたものである。近赤外線吸収層の膜厚は、0.5〜50μmが一般的である。
【0080】
[粘着剤層]
透明な粘着剤層は、ガラス基板に接着する接着機能を有するものであればどのような樹脂でも使用することができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ブチルアクリレート等から形成されたアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)及びSBS(スチレン/ブタジエン/スチレン)等の熱可塑性エラストマー(TPE)を主成分とするTPE系粘着剤及び接着剤等も用いることができる。
【0081】
その膜厚は、一般に5〜500μm、特に10〜100μmの範囲が好ましい。光学フィルタは、一般に上記粘着剤層をディスプレイのガラス板等に圧着することにより装備することができる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例により説明する。
1.ハードコート層形成試験
[実施例1〜8、比較例1〜7]
(1)ハードコート層形成用塗工液の調製
下記、樹脂材料及び光重合開始剤に、表1のように各溶剤(イソブチルアルコール(IBA)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)、シクロヘキサノン)を様々な添加量で加え、撹拌溶解して塗工液を調製した。
・樹脂材料:
フォレットM−80(綜研化学社製、重量平均分子量約80000(GPC法(ポリスチレン換算)):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートADPH(新中村化学社製)=1:5(固形分質量比)
・光重合開始剤:
イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製));2.0質量%(対樹脂材料固形分)
【0083】
(2)ハードコート層の形成
電磁波シールド性導電層メッシュ(線幅25μm、ピッチ200μm、導電性メッシュの高さ3.5μm)の導電性メッシュ表面に、上記で作成した各塗工液を、ヒラノテクシード社製の塗工機を用いてマイクログラビア方式で、塗工層(乾燥前)の膜厚(Dw)のメッシュ高さ(H)に対する比(Dw/H)が表1に示した値になるように塗工した(図2(a)参照)。塗工層(乾燥前)の膜厚(Dw)は、グラビアロールの彫刻仕様と塗工時のロール回転速度で調整した。なお、各塗工液で100m塗工した。その後、塗工層(乾燥前)を70℃、30秒乾燥後、高圧水銀ランプにて、UV照射量300mJ/cm2で硬化し、表1に示した膜厚(Dd)のハードコート層を形成した。
【0084】
(3)評価
各塗工液を用いて形成したハードコート層について目視により外観検査を行い、100m間の気泡状欠点、スジ状欠点の数を計測した。いずれの欠点も5個以下の場合を○、いずれかの欠点が6〜11個の場合を△、いずれかの欠点が12個以上の場合を×とした。また、塗工ムラについては、ムラがまったく見えない場合を○、ムラが僅かに認められる場合を△、明らかにムラが認められる場合を×とした。
【0085】
【表1】

【0086】
表1に示す通り、実施例1〜8のIBAと溶剤AとしてPMAを含み(IBA含有量≧PMA含有量)、粘度が7〜16mPa・sの塗工液を用いたハードコート層は欠点評価及び塗工ムラ評価において△以上であった。一方、IBAとPMAを含んでいても、粘度が5mPa・sの比較例1は、スジ状欠点が多く、欠点評価が×であり、粘度が18mPa・sの比較例2及び3は気泡状欠点が多く欠点評価が×で、塗工ムラ評価も×であった。
【0087】
更に、粘度が14mPa・sであっても、IBA含有量が溶剤Aの含有量より少ない比較例4〜7は、気泡状欠点が極めて多く、欠点評価が×であった。
【0088】
また、IBAの含有量が23質量%である実施例8は気泡状欠点がやや多く、欠点評価が△であった。一方、IBAの含有量が36質量%である実施例1は、塗工ムラ評価が△であったが、これは、IBA含有量が高いため、塗工液の乾燥速度が速く、平滑化し難かったものと考えられた。従って、IBAの含有量は23〜33質量%が好ましいことが認められた。
【0089】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明により、高品質なハードコートフィルム又はディスプレイ用光学フィルタを低コストで提供することができる。
【符号の説明】
【0091】
12、22、32 透明基材
23、33 導電層
14w、24w 塗工層(乾燥前)
14d、24d、34d ハードコート層
30 光学フィルタ
31 ガラス基板
35 高屈折率層
36 低屈折率層
37 近赤外線吸収層
38 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ3μm以上のハードコート層を形成するための塗工液であって、
樹脂組成物、及び溶剤としてイソブチルアルコールと、イソブチルアルコールより沸点が高い溶剤Aとを含み、イソブチルアルコールの含有量が、前記溶剤Aの含有量以上であり、且つ
粘度が7〜16mPa・sであることを特徴とする塗工液。
【請求項2】
前記イソブチルアルコールの含有量が、塗工液の質量を基準として23〜33質量%である請求項1に記載の塗工液。
【請求項3】
前記溶剤Aが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである請求項1又は2に記載の塗工液。
【請求項4】
前記イソブチルアルコール(IBA)の、前記溶剤Aに対する質量比(IBA/溶剤A)が、1/1〜10/1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工液。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、重量平均分子量が6000〜200000のポリマーを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工液。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、更に重合性基を備えた分子量3000以下のモノマーを含む請求項5に記載の塗工液。
【請求項7】
前記樹脂組成物に含まれる、前記ポリマーの前記モノマーに対する質量比(ポリマー/モノマー)が、1/1〜1/10である請求項6に記載の塗工液。
【請求項8】
透明基板の表面に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗工液を塗工し、塗工層(乾燥前)を形成する工程、及び、
前記塗工層(乾燥前)を乾燥するか、又は乾燥後、硬化させることでハードコート層を形成する工程、を含むことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記塗工層(乾燥前)の透明基板表面からの膜厚(Dw)が、25μm以下である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ハードコート層の前記透明基材表面からの膜厚(Dd)が、3〜20μmである請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたハードコートフィルム。
【請求項12】
一方の表面にメッシュ状の導電層を有する透明基板の、当該導電層上に請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗工液を塗工し、塗工層(乾燥前)を形成する工程、及び
前記塗工層(乾燥前)を乾燥するか、又は乾燥後、硬化させることでハードコート層を形成する工程、を含むことを特徴とするディスプレイ用光学フィルタの製造方法。
【請求項13】
前記塗工層(乾燥前)の前記透明基板表面からの膜厚(Dw)の、前記導電層のメッシュの前記透明基板表面からの平均高さ(H)に対する比(Dw/H)が、6.5以下である請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ハードコート層の前記透明基材表面からの膜厚(Dd)と、前記導電層のメッシュの前記透明基材表面からの平均高さ(H)との差(Dd−H)が、1〜5μmである請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたディスプレイ用光学フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−88635(P2013−88635A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229382(P2011−229382)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】