説明

ハードコート用樹脂組成物、その製造方法及びその利用

【課題】耐擦傷、透明性及び耐久性に優れた膜を形成することができるハードコート用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)分岐型アルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルと、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステルと、金属アルコキシドと反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを単位構造として有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と、(B)金属アルコキシド、とをゾル−ゲル反応させて得られることを特徴とする樹脂組成物により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート用樹脂組成物、その製造法及びその利用に関するものである。より詳しくは、金属酸化物と、分岐型アルキル鎖を有する(メタ)アクリル樹脂を含有し、耐擦傷、透明性及び耐久性に優れた膜を形成することができるハードコート用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル、プラズマディスプレイ、電子ペーパー等の各種フラットパネルディスプレーにおいて、ハードコート性、透明性及び耐久性に優れたハードコート用材料が求められている。
【0003】
特に、タッチパネルの増加に伴って、これらフラットパネルディスプレーにおいては、ハードコート性が特に強く求められている。
【0004】
このようなハードコート用材料として好適な組成物として、例えば、(メタ)アクリル樹脂等の透明樹脂中に無機微粒子を分散させた有機無機複合材料が知られている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載の材料は、無機微粒子の屈折率の値が透明樹脂の屈折率の値に近いため、無機微粒子と透明樹脂の界面での光の散乱が防止されるため透明性に優れている。
【0006】
しかしながら、このような材料は、透明樹脂と無機微粒子が化学結合を有していない。そのために透明樹脂と無機微粒子との界面において剥離現象が生じやすく、強靭性が損なわれ、割れやすくなることが課題であった。
【0007】
この課題を解決する材料として、アルコキシシリル基を有するアクリル系ポリマーと金属アルコキシドとをゾルーゲル反応させて得られる材料が提案されている(特許文献2)。
【0008】
この材料は、アルコキシシリル基が金属アルコキシドの生成物である金属酸化物と化学結合を形成できるため、アクリルポリマー鎖と金属酸化物との間が強固に結合させることができる。
【0009】
しかしながら、この様な材料では、金属酸化物の微小化には限界が有り、金属酸化物を多量に含有させると透明性が損なわれやすいことが課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平08−311238
【特許文献2】特開2004−277512
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとしている課題は、耐擦傷、透明性及び耐久性に優れた膜を形成することができるハードコート用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、分岐型アルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルと、金属アルコキシドと反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを単位構造として有するポリマーと、金属アルコキシドとをゾル−ゲル反応させることにより、ハードコート性、透明性及び耐久性に優れる樹脂組成物を得る事ができ、ハードコート用樹脂組成物として好適に用いることができることを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下に関する。
1)(A)下記一般式(1)と、一般式(2)と、一般式(3)とを構成単位として含有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と、
(B)金属アルコキシド、
とをゾル−ゲル反応させて得られることを特徴とする樹脂組成物。
【0014】
【化1】

【0015】
(Rは、水素、又はメチル基、Rは、分岐構造を有する炭素数3以上20以下のアルキル基を表す。)
【0016】
【化2】

【0017】
(Rは、水素又はメチル基、Rは、金属アルコキシドと反応性を有する官能基を含む基を表す。)
【0018】
【化3】

【0019】
(Rは、水素又はメチル基、Rは、分岐構造を有さない炭素数1以上20以下のアルキル基、またはフッ素を含有する炭素数1以上20以下の置換アルキル基を表す。)
2)前記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルの共重合モル比率 (1)/[(1)+(2)+(3)]が、0.05以上0.5以下、(2)/[(1)+(2)+(3)]が0.01以上0.2以下、(3)/[(1)+(2)+(3)]が0.3以上0.95以下の範囲内であることを特徴とする1)に記載の樹脂組成物。
3)前記一般式(2)における金属アルコキシドと反応性を有する官能基が水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする1)または2)に記載の樹脂組成物。
4)前記一般式(3)におけるRがフッ素を含有する炭素数1以上20以下の置換アルキル基であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
5)前記(A)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応により生成する金属酸化物の重量混合比 (金属酸化物)/[(A)+(金属酸化物)]は、0.05以上0.6以下の範囲内であることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
6)前記(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応生成物が、粒径200nm以下、10nm以上の金属酸化物であることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
7)ゾルーゲル反応時に、(C)有機溶媒を含むことを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
8)前記(C)有機溶媒が、20℃〜25℃の温度範囲における水に対する溶解度が20g/100gHO以上であることを特徴とする7)に記載の樹脂組成物9)前記ゾルーゲル反応が、水添加、加熱処理、又は超音波処理のいずれかひとつの工程を含むことを特徴とする1)〜8)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
10)1)〜8)のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするハードコート材。
11)透明基材の少なくとも片面に1)〜8)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層が形成されていることを特徴とする積層体。
12)前記樹脂組成物を含む層の表面に10nm以上、200nm以下の空孔を含むことを特徴とする11)に記載の積層体。
13)前記空孔が存在する厚みが1000nm以下20nm以上であることを特徴とする請求項12に記載の積層体。
14)前記空孔が(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応生成物である金属酸化物を除去し形成されたものでことを特徴とする12)または13)に記載の積層体。
15)前記樹脂組成物を含む溶液を50℃以下の温度で調整し、透明基材に塗布した後、100℃以上、200℃以下の温度で加熱する工程を含むことを特徴とする11)〜14)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
16)11)〜14)のいずれかに記載の積層体からなることを特徴とする低反射材。
【0020】
本発明によれば、(メタ)アクリル樹脂成分と微細な金属酸化物成分が化学的に結合している樹脂組成物を得ることができ、ハードコート性、透明性に優れているため、ハードコート材に好適に使用することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、ハードコート性、透明性及び耐久性を兼ね備える事ができるハードコート用樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
本発明は、分岐型アルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルと、金属アルコキシドと反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルを単位構造として有するポリマーと、金属アルコキシドとをゾル−ゲル反応させて得られる樹脂組成物(以下、樹脂組成物と記す)であることを特徴とする。
(A)(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、下記一般式(1)
【0024】
【化4】

【0025】
(Rは、水素、又はメチル基、Rは、分岐構造を有する炭素数3以上20以下の分岐型アルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルと下記一般式(2)
【0026】
【化5】

【0027】
(Rは、水素又はメチル基、Rは、金属酸化物成分と化学結合を形成できる官能基を含む基を表す。)で表される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルと下記一般式(3)
【0028】
【化6】

【0029】
(Rは、水素又はメチル基、Rは、分岐構造を有さない炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを構成単位として含有する(メタ)アクリル樹脂成分である。
【0030】
一般式(1)における分岐型アルキル基は、十分な分子量を有する共重合体が得られ、かつ、ハードコート性を発現できる分岐型アルキル基であれば特に限定されないが、具体的な例としては、
【0031】
【化7】

【0032】
(n、pは、0以上17以下、mは、1以上2以下、oは、1以上10以下の整数を表し、かつ全ての炭素数が20以下)で表される化合物群より選択される分岐型アルキル基を挙げる事ができる。
【0033】
より微細な金属酸化物の分散や小さな粒径の金属酸化物が得られる点や、得られる(メタ)アクリル樹脂成分のガラス転移温度が比較的高くなる等の観点で
【0034】
【化8】

【0035】
(n,pは、0以上5以下、mは1以上2以下、oは、1以上5以下の整数を表しかつ全ての炭素数が20以下)で表される化合物群より選択される分岐型アルキル基が好ましい。
【0036】
また、上記分岐型アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル群より、1種または2種以上混合し使用する事ができる。
【0037】
一般式(2)における金属アルコキシドと反応性を有する官能基としては、付加反応または縮合反応等により化学結合が形成できれば特に限定されないが、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0038】
具体的な例としては、
【0039】
【化9】

【0040】
(rは、1以上5以下、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル基を表す。)で表される化合物群より選択される官能基を挙げる事ができる。
【0041】
金属アルコキシドとの反応性、官能基の自己縮合や分解を抑制できる点から
【0042】
【化10】

【0043】
(rは、1以上5以下、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル基を表す。)で表される化合物群より選択される官能基が好ましく、
【0044】
【化11】

【0045】
(rは、1以上5以下、Rは炭素数が1以上3以下のアルキル基を表す。)で表される化合物群より選択される官能基が入手性の点で特に好ましい。
【0046】
また、上記官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル群より、1種または2種以上混合し使用する事ができる。
【0047】
一般式(3)におけるRは分岐鎖を有さない一般的なアルキル基であり、共重合体の重合反応を阻害しない範囲において特に限定されない。
【0048】
本発明の(A)(メタ)アクリル酸エステル共重合体における、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)であらわされる(メタ)アクリル酸エステルの共重合モル比率 (1)/[(1)+(2)+(3)]が、0.05以上0.5以下、(2)/[(1)+(2)+(3)]が0.01以上0.2以下、(3)/[(1)+(2)+(3)]が0.3以上0.95以下の範囲内であることが好ましい。
【0049】
一般式(1)の分岐型アルキル鎖を含有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合させる事により、金属酸化物の分散性を向上でき及び/又は金属酸化物の粒径を小さくすることが出来る。そのため樹脂組成物の透明性や耐久性を損なうことなく金属酸化物を多量に含有させる事ができる。一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルの共重合モル比率が0.05未満であると上記のような効果が発現し難くなる傾向がある。
【0050】
共重合モル比率が0.5を超えるとその長いアルキル鎖によりガラス転移温度が低下し、熱変形しやすい、即ち耐熱性が損なわれる傾向がある。
【0051】
一般式(2)の金属アルコキシドと反応性を有する官能基を含む(メタ)アクリル酸エステルを共重合させる事により、側鎖の官能基と金属アルコキシドが化学的に強固に結合し、金属酸化物と(メタ)アクリル樹脂成分との界面がなくなるため、金属酸化物が多量含有させても強度(強靭性)の低下が抑制されたり、金属酸化物の粒子間の凝集も抑制され分散性が向上し、透明な樹脂組成物を得る事ができる。
【0052】
一般式(2)であらわされる(メタ)アクリル酸エステルの共重合モル(混合モル)比率が0.01未満であると金属酸化物との結合部位が少なく、上記のような効果が得られにくい傾向がある。また、共重合モル(混合)比率が0.2を超えると、官能基同士の自己縮合や分解が促進されるため、(メタ)アクリル樹脂成分の溶解性が低下する、金属酸化物との反応部位が減少し、透明性やハードコート性、強靭性等を特性を発現しにくくなる傾向がある。
【0053】
一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルは、一般的な(メタ)アクリル酸エステルであり、本発明における共重合体の耐熱性を向上させる、耐溶剤性を向上させるために使用する事が出来る。特に一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構造を有する共重合体は、耐熱性や耐溶剤性が低下する傾向があるため、一般式(1)を共重合することにより得られる共重合体の特性バランスを調整する事ができる。
【0054】
一般式(3)であらわされる(メタ)アクリル酸エステルの共重合モル(混合モル)比率が0.3未満であると共重合体の耐熱性が損なわれる傾向がある。また、共重合モル(混合)比率が0.95を超えると、分岐型アルキル基や金属酸化物との化学結合の形成が可能な官能基の濃度が低下し、透明性やハードコート性、耐久性に優れた樹脂組成物を得られにくくなる傾向がある。
【0055】
本発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、ゾル−ゲル反応できる加工性を有していれば特に限定されないが、1万以上10万以下が好ましく、2万以上8万以下がより好ましい。
【0056】
本発明の樹脂組成物を膜状に加工する場合、重量平均分子量が1万未満であると膜の機械的強度が低下し脆くなる傾向が有り、10万を越えるとゾル−ゲル反応時にゲル化し易くなり膜状に加工できなくなる傾向がある。
【0057】
また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を製造する場合は、接着性や耐候性などの諸特性を改善するため一般式(1)や一般式(2)、一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステル以外の(メタ)アクリル酸エステルを混合し用いる事ができる。混合量は、(メタ)アクリル樹脂成分の本来の特性を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
【0058】
特に、耐溶剤性や耐油性、防汚性を向上させるために、一般式(1)におけるR及び/又は一般式(3)におけるRがフッ素原子を含む置換アルキル基である(メタ)アクリル酸エステルを共重合させる事が好ましい。
【0059】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法としては、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法など一般的な(メタ)アクリル樹脂を製造する方法で、(メタ)アクリル樹脂成分を製造することが出来る。分子量を制御しやすい、精製しやすい等の点でラジカル重合法で製造する事が好ましい。
【0060】
(B)金属アルコキシド
本発明に用いられる金属アルコキシドは、ゾルーゲル反応後に金属酸化物となる。金属酸化物の粒径が200nm以下、10nm以上で主に連鎖していない微細な球状の形状を有する金属酸化物であれば、特に限定されない。
【0061】
金属酸化物の粒径が200nmを越えると、ディスプレー用途として十分な透明性とハードコート性の両方を得にくくなる傾向がある、また本発明の樹脂組成物を膜状とした際に充分な膜の強度が得られず割れ易くなる等の傾向がある。
【0062】
10nm未満であると、金属アルコキシドの縮合反応が不十分なため、3次元の網目構造を有しない金属酸化物であり、耐擦傷性や耐熱性が十分に得られない傾向がある。
【0063】
金属酸化物の種類としては、二酸化ケイ素(以下、シリカ)、二酸化チタン(以下、チタニア)、二酸化ジルコニウム(以下、ジルコニア)、酸化アルミニウム(以下、アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属元素と酸素を含む化合物である。
【0064】
特に、ハードコート性が得られ易く特性が安定している点、入手性の点等でシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナが好ましく用いられ、特に屈折率の点でシリカ、チタニアが特に好ましく、シリカがより好ましい。
【0065】
また、金属酸化物の前駆体とは、金属の酸化反応や金属アルコキシドの加水・縮合反応(ゾルーゲル反応)等の化学反応により金属酸化物を生成する化合物であれば特に限定されない。金属酸化物の前駆体としては、微細な球状の金属酸化物が得られ易い、反応を制御し易い性、入手性の点で金属アルコキシドやその生成反応物がより好ましく用いる事ができる。金属アルコキシドとは、下記一般式(4)
【0066】
【化12】

【0067】
(Mは金属元素、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基から選択される基、nは、金属元素の酸化数を表す。)で表される化合物であり、一般的に、以下の反応により金属酸化物を生成できる。
(加水分解反応)M(OR)n+nHO→M(OH)n+n ROH
(縮合反応) M(OH)n→MO+n/2 H
本発明に好ましく用いることができる金属アルコキシドとしては、上記一般式(4)で表される化合物あるいは、加水分解反応から縮合反応における反応の中途段階の化合物や加水分解生成物が数個縮合したオリゴマーを挙げることができる。金属酸化物の前駆体は、加熱等により反応し金属酸化物を生成することができる。
【0068】
反応により生成する金属酸化物の粒径は、200nm以下、10nm以上となるように反応条件を選択する必要がある。最適な反応条件は、金属の種類、反応の環境(pH、水量、濃度)等により一概には言えないが、200nm以下、10nmとなるように反応温度、反応時間、pH等の諸条件を選択すればよい。また、本発明の樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体の存在下でゾルーゲル反応させるため、小さな粒径の金属酸化物を形成しやすい。理由は明確でないが、共重合体によりゾルーゲル反応の反応空間が抑制されているためと推測している。
【0069】
金属アルコキシドと金属酸化物を混合して用いることもできる。
【0070】
金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の粒子の表面の一部は、ポリマー中に良好に分散させる目的で有機化されていても良い。有機化剤は、金属酸化物表面の水酸基と反応しうる有機物であれば特に限定されないが、アルコキシシラン化合物を好ましく使用することが出来る。有機化の方法は、金属酸化物表面の水酸基と有機化剤が反応または、付着する方法であれば特に限定されないが、金属酸化物に直接有機化剤を噴霧する方法や、金属酸化物を有機溶媒または水等に分散させた分散液に有機化剤を混合する方法等を好適に用いることができる。
【0071】
(ハードコート用樹脂組成物の製造方法)
ここで、本発明の樹脂組成物の製造方法の一実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
樹脂組成物は、一般的なポリマーと金属酸化物を混合する方法やポリマーと金属酸化物の前駆体とを混合した後ポリマー中で前駆体のゾルーゲル反応により金属酸化物を形成させる方法等により製造する事ができる。小さな粒径の金属酸化物が得られ易い点で、ポリマー中におけるゾルーゲル反応により製造する事が好ましい。
【0073】
一製造方法として、ポリマー溶液中におけるゾルーゲル法による金属酸化物を形成させる方法による製造方法について具体的を説明する。
【0074】
本願のゾルーゲル反応時に、(C)有機溶媒を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を有機溶媒に溶解した樹脂溶液に、金属酸化物の前駆体として金属アルコキシドを混合し、更に反応触媒と水を加え攪拌してゾルーゲル反応を進行させることにより得る事ができる。
【0075】
使用する有機溶媒としては、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を溶解できれば特に限定されないが、小さな粒径の金属酸化物が得られ易い点で、20℃〜25℃の温度範囲における水に対する溶解度が20g/100gHO以上の有機溶媒を使用することが好ましく、無限に溶解する有機溶媒が特に好ましい。理由は明確ではないが、ゾルーゲル反応では水が必須成分であり、水の溶解度が高い有機溶媒の方が(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、金属アルコキシド、水、触媒が均一混合した溶液を形成できるためと考えられる。
【0076】
具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の鎖状エーテル、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、γ―ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、N―メチルー2−ピロリドン等のアミド類を挙げる事ができ、固形や膜状の樹脂組成物を得る際に、有機溶媒を除去し易い点から、ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N―ジメチルホルムアミドを好適に用いる事ができる。
【0077】
また、金属酸化物の配合量は、ディスプレー用途としての十分な透明性、ハードコート性、強靭性が得られる範囲であれば特に限定されないが、(A)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応により生成する金属酸化物の重量混合比 (金属酸化物)/[(A)+(金属酸化物)]は、0.05以上0.6以下の範囲内であることが好ましい。0.05未満であるとハードコート性が得られ難くなる傾向がある。また0.6を超えると、透明性や強靭性が得られにくくなる傾向がある。
【0078】
有機溶媒に溶解した本発明の樹脂組成物を製造する方法として、金属酸化物の凝集を防ぐ点で、前記ゾルーゲル反応が、水添加、加熱処理、又は超音波処理のいずれかひとつの工程を含むことが好ましい。
【0079】
本発明に用いる事のできる触媒としては、金属アルコキシドの加水分解や縮合反応を促進することができる化合物であれば特に限定されないが、塩酸や酢酸などの酸性の化合物、アンモニアや水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の化合物を使用する事が出来る。
【0080】
(積層体の製造方法)
本発明の樹脂組成物を含有する層を透明基材の表面に形成する事により、ハードコート性を有する積層体を得る事ができ、液晶パネル等のフラットパネルディスプレーの最表面の部材として使用する事が出来る。
【0081】
積層体の製造方法としては、樹脂組成物を熱で溶融して透明基材の上にコーティングする方法や、溶液上の樹脂組成物を透明基材に上に塗布及び乾燥させる方法などが挙げられる。
【0082】
樹脂組成物を含む溶液を透明基材に塗布し積層体を製造する場合は、樹脂組成物を含む溶液を50℃以下の温度で調整すると共に、塗布後に100℃以上200℃以下の温度で加熱することが好ましい。
【0083】
溶液を50℃以上の温度で調整すると、(A)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と(B)金属アルコキシドとの反応が進みすぎてしまい、溶液が固化してしまい塗布出来なくなくなる傾向がある。
【0084】
また塗布後に100℃未満の温度のみで加熱すると、(A)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と(B)金属アルコキシドとの反応が十分に進まず、膜のハードコート性や強度が得られにくい傾向がある
加熱温度が200℃を超えると、樹脂組成物の一部が熱分解し、着色したり強度が低下する傾向がある。
【0085】
また、本発明の積層体は、低反射性を付与する目的で樹脂組成物を含む層の表面に更に空孔を含む層を有する事も好ましい。
【0086】
表面に樹脂よりも屈折率の低い空孔を含有させる事により、表面のみを更に屈折率を低くすることができ、低反射性を付与する事ができる。
【0087】
空孔を含む層の厚みは、低反射性を向上できる範囲であれば特に限定されないが、1000nm以下20nm以上である事が好ましい。1000nmを超えると低反射性の向上効果や耐擦傷性を得られ難くなる傾向がある。
【0088】
また、20nm未満であると低反射性を得られ難くなる傾向がある。
【0089】
また、前記の空孔は(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応生成物である金属酸化物成分を除去し形成することが好ましい。金属酸化物成分を除去することにより直径が10nm以上、200nm以下の微細な空孔を得る事ができる。
【0090】
200nm超えると透明性に劣り、10nm未満では、十分な低反射性を得られにくくなる傾向がある。空孔の形成方法としては、金属酸化物を溶解、分解等の方法により形成できる方法であれば、特に限定されないが、フッ化水素などの強酸水溶液や水酸化ナトリウムなどの強アルカリ水溶液などを使用する事が出来る。
【0091】
また、本発明のハードコート用樹脂組成物は、必要に応じて、アクリルビーズ(光拡散材)や滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、安定剤やフィラー等の公知の添加剤やその他の樹脂を含有しても良い。
【実施例】
【0092】
〔(メタ)アクリル樹脂の製造例A−1〕
セパラブルフラスコに、40.0gのメチルエチルケトン(以下、MEK、和光純薬工業社製)と重合開始剤として0.1gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN、和光純薬工業社製)を投入し窒素気流下で30分攪拌してAIBN溶液を得た。
【0093】
AIBN溶液に分岐型(メタ)アクリル酸エステルとして2.8gのt−ブチルメタクリレート(以下、TBA、大阪有機化学工業社製)と金属アルコキシドと反応性を有する官能基を含有する(メタ)アクリル酸エステルとして1.6gの3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MPS、東レ・ダウコーニング社製)とフッ素を含有する(メタ)アクリル酸エステルの2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(以下、3FM、東ソー・エフテック社製、商品名:フルオレスター)を30g投入後、窒素気流下で温度を65℃〜75℃の範囲で制御しつつ6時間攪拌した。
【0094】
得られた溶液を、室温まで冷却後1kgのイソプロパノール(以下、IPA、和光純薬工業社製)中に滴下し樹脂を析出させた。樹脂をろ別し、真空ポンプで減圧下、60℃で6時間乾燥させて、TBAとMPSと3FMのモル比率TBA/MPS/3FM=10/3/87の (メタ)アクリル樹脂〔A−1〕を20g得た。
【0095】
〔(メタ)アクリル樹脂の製造例A−2〕
MPSを使用しなかった以外は、(メタ)アクリル樹脂A−1の製造方法と同様の操作で、TBAと3FMのモル比が10/90の金属酸化物と化学結合を形成できる官能基を含有しない(メタ)アクリル樹脂A−2を得た。
【0096】
〔(メタ)アクリル樹脂の製造例A−3〕
メタクリル酸メチル(以下、MMA、和光純薬工業社製)とMPSを使用し、(メタ)アクリル樹脂A−1の製造方法と同様の操作で、MMAとMPSのモル混合比MPS/MMA=3/97の(メタ)アクリル樹脂A−3を得た。
【0097】
〔(メタ)アクリル樹脂の製造例A−4〕
(メタ)アクリル樹脂A−1の製造方法と同様の操作で、TBAとMPSと3FMのモル混合比TBA/MPS/3FM=30/3/67の(メタ)アクリル樹脂A−4を得た。
【0098】
〔(メタ)アクリル樹脂の製造例A−5〕
(メタ)アクリル樹脂A−1の製造方法と同様の操作で、TBAとMPSと3FMのモル混合比TBA/MPS/3FM=10/10/80の(メタ)アクリル樹脂A−5を得た。
【0099】
〔ハードコート用樹脂組成物の製造例B−1〕
10gの(メタ)アクリル樹脂A−1をジオキソラン(水に対する溶解度=∞)に溶解し、20wt%の樹脂溶液を調整した。樹脂溶液に金属酸化物の前駆体である金属アルコキシドとして8.6gのテトラエトキシシラン(以下、TEOS、多摩化学社製、ゾルーゲル反応後に2.5gのシリカに変換)と、触媒及び加水分解用の水として塩酸でpH=2に調整した蒸留水を1.2g添加したのち、40℃に加熱し超音波で2時間混合処理し、ハードコート用樹脂組成物B−1を得た。
【0100】
〔ハードコート用樹脂組成物の製造例B−2〕
(メタ)アクリル樹脂A−1にかえて、(メタ)アクリル樹脂A−2を使用した以外は、ハードコート用樹脂組成物B−1の製造方法と同様の操作でハードコート用樹脂組成物B−2を製造した。
【0101】
〔ハードコート用樹脂組成物の製造例B−3〕
(メタ)アクリル樹脂A−1にかえて、(メタ)アクリル樹脂A−3を使用し、金属アルコキシドとして13.4gのTEOS(ゾルーゲル反応後は3.9gのシリカに変換)を使用した以外は、ハードコート用樹脂組成物B−1の製造方法と同様の操作でハードコート用樹脂組成物B−3を製造した。
【0102】
〔ハードコート用樹脂組成物の製造例B−4〕
(メタ)アクリル樹脂A−1にかえて、(メタ)アクリル樹脂A−4を使用した以外は、ハードコート用樹脂組成物B−1の製造方法と同様の操作でハードコート用樹脂組成物B−4を製造した。
【0103】
〔ハードコート用樹脂組成物の製造例B−5〕
(メタ)アクリル樹脂A−1にかえて、(メタ)アクリル樹脂A−5を使用した以外は、ハードコート用樹脂組成物B−1の製造方法と同様の操作でハードコート用樹脂組成物B−5を製造した。
【0104】
〔ハードコート用樹脂組成物B−6〕
ジオキソラン代えてMEK(水に対する溶解度=26.8)を使用した以外は、ハードコート用樹脂組成物B−1の製造方法と同様の操作でハードコート用樹脂組成物B−6を製造した。
【0105】
〔ハードコート用樹脂組成物B−7〕
10gの(メタ)アクリル樹脂A−1をジオキソラン(水に対する溶解度=∞)に溶解し、20wt%の樹脂溶液を調整した。樹脂溶液に金属酸化物の前駆体である金属アルコキシドとして13.4gのテトラエトキシシラン(以下、TEOS、多摩化学社製、ゾルーゲル反応後は3.9gのシリカに変換)と、触媒及び加水分解用の水として塩酸でpH=2に調整した蒸留水を1.2g添加したのち、40℃に加熱し超音波で2時間混合処理し、ハードコート用樹脂組成物B−7を得た。
【0106】
(実施例1)
ハードコート用樹脂組成物B−1を125umPETフィルム(T−60、東レ社製)にバーコーターを用い乾燥後の膜厚みが5umとなる様に塗布し、60℃、80℃で各1分間乾燥させて、更に100℃、120℃で各5分間加熱させてPETフィルム上に、金属酸化物のシリカが含有したハードコート層を形成した積層体C−1を得た。C−1の透明性は目視で良好であった。
【0107】
更に、積層体C−1をフッ化水素水に室温で1分間浸漬後、蒸留水で洗浄後、100℃5分乾燥させて、ハードコート層の表面にシリカの溶解により形成された空孔を含有する積層体D−1を得た。得られた積層体D−1の断面を透過型電子顕微鏡(TEM、日立製作所製 H−7650)にて観察した結果、表面から厚み方向で100nmまでの層には40nm〜90nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、40nm〜90nmのシリカが含有していた。
【0108】
またD−1についてJIS−K5600−5−4に従い鉛筆硬度を測定した結果、4Hを示し、200nm〜800nmの視感反射率(5°正反射、日本分光(株)社製、V650DS)を測定した結果、2.9%の反射率を示した。
【0109】
(実施例2)
ハードコート用樹脂組成物B−1に代えて、ハードコート用樹脂組成物B−4を使用した以外は、実施例1と同様の操作で積層体C−2及びD−2を作製し、断面を観察した。表面から厚み方向で100nmまでの層には35nm〜75nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、40nm〜80nmのシリカが含有していた。積層体C−2は目視で透明性良好で有り、また実施例1と同様に鉛筆硬度を測定した結果、4Hを示し、視感反射率を測定した結果、3.1%の反射率を示した。
【0110】
(実施例3)
ハードコート用樹脂組成物B−1に代えて、ハードコート用樹脂組成物B−5を使用した以外は、実施例1と同様の操作で積層体C−3及びD−3を作製し、断面を観察した。表面から厚み方向で100nmまでの層には40nm〜90nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、80nm〜180nmのシリカが含有していた。積層体C−3は目視で透明性良好で有り、また実施例1と同様に鉛筆硬度を測定した結果、4Hを示し、視感反射率を測定した結果、3.3%と良好な反射率を示した。
【0111】
(実施例4)
ハードコート用樹脂組成物B−1に代えて、ハードコート用樹脂組成物B−6を使用した以外は、実施例1と同様の操作で積層体C−4及びD−4を作製し、断面を観察した。表面から厚み方向で100nmまでの層には80nm〜150nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、80nm〜150nmのシリカが含有していた。積層体C−4は目視で透明性良好で有り、また実施例1と同様に鉛筆硬度を測定した結果、4Hを示し、視感反射率を測定した結果、2.8%の反射率を示した。
【0112】
(実施例5)
ハードコート用樹脂組成物B−1に代えて、ハードコート用樹脂組成物B−7を使用した以外は、実施例1と同様の操作で積層体C−4及びD−4を作製し、断面を観察した。表面から厚み方向で100nmまでの層には60nm〜120nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、60nm〜130nmのシリカが含有していた。積層体C−4は目視で透明性良好で有り、また実施例1と同様に鉛筆硬度を測定した結果、5Hを示し、視感反射率を測定した結果、2.3%の反射率を示した。
【0113】
(比較例1)
ハードコート用樹脂組成物B−2を125umPETフィルム(T−60、東レ社製)にバーコーターを用い乾燥後の膜厚みが5umとなる様に塗布し、60℃、80℃で各1分間乾燥させて、更に100℃、120℃で各5分間加熱させてPETフィルム上に、金属酸化物のシリカが含有したハードコート層を形成した積層体C−6を得た。積層体C1〜4に比較して目視での透明性が劣っていた。更に、積層体C−1をフッ化水素水に室温で1分間浸漬後、蒸留水で洗浄後、100℃5分乾燥させて、ハードコート層の表面にシリカの溶解により形成された空孔を含有する積層体D−6を得た。得られた積層体D−6の断面を透過型電子顕微鏡にて観察した結果、表面から厚み方向で100nmまでの層には250nm以上nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、250nm以上のシリカが含有していた。またJIS−K5600−5−4に従い鉛筆硬度を測定した結果、HBを示し、視感反射率を測定した結果、3.2%の反射率を示した。
【0114】
(比較例2)
ハードコート用樹脂組成物B−2をハードコート用樹脂組成物B−3を使用した以外は、比較例1と同様の操作で積層体C−7およびD−7を作製し、断面を観察した。表面から厚み方向で100nmまでの層には190nm〜250nmの空孔が含有しており、それ以外のハードコート層には、190nm〜250nmのシリカが含有していた。積層体D−7の透明性は、D−1〜5と比較して目視で透明性に劣っていた。また実施例1と同様に鉛筆硬度を測定した結果、5Hを示し、視感反射率は、4.3%とD−1〜5に比較して高い数値を示し、低反射性に劣っていた。
【0115】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)と、一般式(2)と、一般式(3)とを構成単位として含有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と、
(B)金属アルコキシド、
とをゾル−ゲル反応させて得られることを特徴とする樹脂組成物。
【化1】

(Rは、水素、又はメチル基、Rは、分岐構造を有する炭素数3以上20以下のアルキル基を表す。)
【化2】

(Rは、水素又はメチル基、Rは、金属アルコキシドと反応性を有する官能基を含む基を表す。)
【化3】

(Rは、水素又はメチル基、Rは、分岐構造を有さない炭素数1以上20以下のアルキル基、またはフッ素を含有する炭素数1以上20以下の置換アルキル基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルの共重合モル比率 (1)/[(1)+(2)+(3)]が、0.05以上0.5以下、(2)/[(1)+(2)+(3)]が0.01以上0.2以下、(3)/[(1)+(2)+(3)]が0.3以上0.9以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(2)における金属アルコキシドと反応性を有する官能基が水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記一般式(3)におけるRがフッ素を含有する炭素数1以上20以下の置換アルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体と(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応により生成する金属酸化物の重量混合比 (金属酸化物)/[(A)+(金属酸化物)]は、0.05以上0.6以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応生成物が、粒径200nm以下、10nm以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
ゾルーゲル反応時に、(C)有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記(C)有機溶媒が、20℃〜25℃の温度範囲における水に対する溶解度が20g/100gHO以上であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記ゾルーゲル反応が、水添加、加熱処理、又は超音波処理のいずれかひとつの工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするハードコート材。
【請求項11】
透明基材の少なくとも片面に請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層が形成されていることを特徴とする積層体。
【請求項12】
前記樹脂組成物を含む層の表面に10nm以上、200nm以下の空孔を含むことを特徴とする請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
前記空孔が存在する厚みが1000nm以下20nm以上であることを特徴とする請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
前記空孔が(B)金属アルコキシドのゾルーゲル反応生成物である金属酸化物を除去し形成されたものでことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の積層体。
【請求項15】
前記樹脂組成物を含む溶液を50℃以下の温度で調整し、透明基材に塗布した後、100℃以上、200℃以下の温度で加熱する工程を含むことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【請求項16】
請求項11〜14のいずれかに記載の積層体からなることを特徴とする低反射材。


【公開番号】特開2012−41417(P2012−41417A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182733(P2010−182733)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】