説明

ハードディスクを備えた記録再生装置

【課題】ハードディスクが損傷した場合に簡単に交換することが出来る記録再生装置の提供。
【解決手段】ハードディスクを備えた記録再生装置のシャーシ4のフロント側には基台に載せたディスク装置2を配置し、ディスク装置2の後方にはハードディスク1を基台に載せて配置し、そしてハードディスク1の後方にはシャーシ4のバックパネル6に取付けたファン7を設け、一方、シャーシ4に起立した仕切り板にてバックパネル6からフロント間を仕切ったレイアウト構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハードディスクを備えた記録再生装置を対象とし、このハードディスクが損傷した際に簡単に交換することが出来る構造とした記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクを備えたディスク装置、又はハードディスクを備えたビデオデッキが知られている。ディスク装置やビデオデッキによっても再生だけでなく記録することは可能であるが、ハードディスクを備えることで記録される情報量は膨大なものとなる。例えば、テレビの番組を何時間にわたって記録するには、ディスク装置やビデオデッキでは不可能であり、ハードディスクを備えることが必要となる。
【0003】
特開2006−99909号に係る「記録再生複合装置」は、VCRユニットとDVDユニットとHDDユニットの3つの記録再生機能を備えた記録再生複合装置において、従来あるVCRユニットとDVDユニットの2つの記録再生機能を備えた記録再生複合装置の外観寸法とほぼ同じ寸法に抑えた構造としている。そこで、筐体の内部に、VCRユニットを左側上部前方に配置し、DVDユニットを右側上部前方に配置し、HDDユニットを正面に側面部を向けた横向きにして右側下部後方に筐体底面と間を空けて配置し、HDDユニットの前端がDVDユニットの後端よりも前方に位置し間を開けて部分的に上下に対向させた構造としている。
【0004】
ところで、上記記録再生複合装置の場合、ハードディスク(HDD)が電源基板の下側に配置された構造であり、ハードディスクが損傷して交換しなくてはならない場合に面倒である。すなわち、該ハードディスクだけを取外すことが出来ない。ハードディスクは衝撃に弱くて、記録再生複合装置がテーブルから落下した際に、又転倒した際には内蔵しているハードディスクが損傷するケースが多く、このような事態を考えてハードディスクを簡単に交換できる配置構造が必要となる。
【0005】
特開2006−66035号に係る「複合映像記憶再生機器」は、光ディスクドライブユニットとハードディスクドライブユニットとを筐体内の横方向に並設した構成であっても、装置全体がコンパクトでかつ、薄型化が可能なレイアウト構造としている。そこで、筐体内にハードディスクドライブユニットと光ディスクドライブユニットを並設する。ハードディスクドライブユニット上に光ディスクドライブユニットを制御するMPEG基板を固定する。一方、ハードディスクドライブユニットの下部に形成される空間部にマイコンなどの比較的高さが低い電子部品を実装する。これにより、筐体の薄型化及び小型化が可能であり、複合映像記録再生機器のコンパクト化が図られる。
【0006】
この複合映像記憶再生機器に場合も、ハードディスクドライブユニットの上に光ディスクドライブユニットを制御するMPEG基板を設けた配置構造である。ハードディスクドライブユニットが損傷して交換が必要となった時には上記のMPEG基板を取外さなくてはならない。そして該MPEG基板を取外す際に基板に装着されている電子部品を損傷させる虞もある。
【特許文献1】特開2006−99909号に係る「記録再生複合装置」
【特許文献2】特開2006−66035号に係る「複合映像記憶再生機器」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ハードディスクを備えた記録再生装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、ハードディスクの交換を簡単に行うことが出来る記録再生装置を提供する。併せて、装置内部の発熱を抑制するように配置した記録再生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るハードディスクを備えた記録再生装置は、他の部材や装置類を取外すことなくハードディスクのみ取外して交換することが出来るレイアウト構造としている。そこで、シャーシのフロント側には基台に載ったディスク装置が取付けられ、該ディスク装置の後方側(背後)には所定の隙間を残してハードディスクが基台に載って取付けられている。
【0009】
そして、ハードディスクの後方側(背後)であって、該ハードディスクとの間に隙間を残してファンがバックパネルに取付けられている。一方、シャーシに仕切り板が起立してバックパネルからフロントまで延び、ディスク装置とハードディスクは該仕切り板の一方側に配置されている。仕切り板を境として他方側にはシャーシに基板が取付けられ、該基板には放熱板を一体化して装着した電源部品が設けられ、その上方にアナログチューナー基板を配置したレイアウト構造としている。
【0010】
上記ファンはバックパネルから装置内部のエヤーを排気するように機能し、電源部品の放熱板からの熱、及びハードディスクから発生する熱を外へ排出するようにエヤーの流れを形成している。そこで、ハードディスクとは反対側の上カバーの側板には通気穴を設け、上記仕切り板には空気穴を貫通しており、通気穴から外気を吸い込んで放熱板と仕切り板の空気穴を通って、上記ファンによって外へ排気される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の記録再生装置はハードディスクを備えているが、該ハードディスクはディスク装置の後方側に配置されて上方には電源基板などの部品類はなく、上カバーを外すならばオープン状態となる。従って、ハードディスクが壊れた時には他の部品や装置類が障害になることなく簡単に交換をすることが出来る。
【0012】
そして、シャーシのバックパネルとハードディスクの間にはファンが設けられている為に、該ファンが作動することで外気を吸い込んで外へ排気するエヤーの流れが形成され、その為にハードディスクは冷却され、又ハードディスクの隣に仕切り板を介して配置している電源部品の放熱板からの発熱をエヤーの流れで外へ排出することが出来る。
【0013】
そして、シャーシから起立してバックパネルからフロント側へ延びる仕切り板は、記録再生装置の内部空間を区分することが出来、シャーシの剛性を向上させる効果を備えるのみならず、熱の拡散が防止され、更にはハードディスクとディスク装置側のデジタル回路から飛び出すノイズがアナログ回路に影響しないように遮断することが出来る。一方、本発明では上記ファンがバックパネルの内側(装置内部)に取付けられることで、記録再生装置の奥行き寸法は縮小される。
【実施例】
【0014】
図1は本発明に係るハードディスクを備えた記録再生装置を示す実施例であり、同図の1はハードディスク、2はディスク装置、3はビデオデッキを夫々表している。従って、同図に示す記録再生装置はディスクに記録さている情報をディスク装置2で再生することが出来、ビデオテープに記録されている情報をビデオデッキ3で再生することが可能である。
【0015】
そして、この装置は上記ハードディスク1を備えている為に、ディスク装置2でディスクに記録されている情報を再生すると共にハードディスク1に記録することが出来、又ビデオデッキ3でビデオテープに記録されている情報を再生すると共にハードディスク1に記録することが出来る。一方、テレビの番組をハードディスク1に記録することが可能となる。このように、本発明の記録再生装置はハードディスク1を備えている為に、大量の情報を記録し、これを何時でも再生して観ることが出来る。
【0016】
このように、ディスク装置2とビデオデッキ3の他にハードディスクを備えた記録再生装置は従来存在している公知の事実であるが、本発明はこれらの各装置の配置構造に特徴を有している。上記ハードディスク1は他のディスク装置2やビデオデッキ3に比較して衝撃に弱くて壊れやすく、壊れた場合には交換しなくてはならない。本発明の記録再生装置はハードディスク1の交換が簡単に出来るレイアウト構造と成っている。
【0017】
ハードディスク1、ディスク装置2、ビデオデッキ3はシャーシ4に取付けられているが、ディスク装置2はフロント左側に配置され、ディスク装置2の背後には所定の隙間を残してハードディスク1がフロント左側に配置されている。しかも、ディスク装置2及びハードディスク1は基台に載ってシャーシ4に取付けられている。
【0018】
一方のビデオデッキ3はフロント右側に配置され、該ビデオデッキ3の後方には放熱板を備えた電源部品が配置され、該放熱板の上側にはアナログチューナー基板5が配置されている。そして、ハードディスク1の後方であって、シャーシ4のバックパネル6にはファン7が取付けられている。図2は図1の記録再生装置の正面側にフロントパネル8を取付けた場合であり、そして、コ形をした上カバー9が取付けられ、装置の上側と両側を被覆することが出来る。
【0019】
図3はハードディスク1とその取付け基台10を示しているが、該基台10は金属製の板材を曲げ成形したものであり、ベース12の正面側と左側には下方へ複数の脚11,11・・を延ばし、又背側と右側にはガイド13,13を上方へ起立している。そして背後に設けたガイド13から連結片14,14を後方へ延ばしている。
【0020】
ハードディスク1はベース12に載ってネジ止めされ、ハードディスク1を固定した基台10は図1に示すようにシャーシ4に配置されて脚11,11・・がネジ止めされる。そして、背後へ延びる連結片14,14はシャーシ4のバックパネル6にネジ止めされて取付けられる。従って、脚11,11・・、及び連結片14,14を固定しているネジを弛めるならは、ハードディスク1は基台10と共にシャーシ4から取外すことが出来る。
【0021】
図4はディスク装置2とその取付け基台15を示しているが、該基台15は金属製の板材を曲げ成形したものであり、ベース16の右側には脚17を下方へ延ばし、左側には止着片18を水平に延ばしている。又、ベース16の両側にはガイド19,19,20,20が上方へ起立して延びている。ディスク装置2はベース16に載って、両ガイド19,19,20,20にネジ止めされ、ディスク装置2が固定された基台15は、図1に示すようにシャーシ4に取付けられる。
【0022】
従って、フロント側にディスク装置2が配置され、その後方に所定の隙間を設けてハードディスク1が配置され、更にハードディスク1とシャーシのバックパネル6との間にはファン7が取付けられている。図5はハードディスク1、ディスク装置2をシャーシ4に取付ける場合を表しているが、該シャーシ4の底には基板21、22が取付けられている。
【0023】
基板21はディスク装置2を支持する基台15のベース16の下側に配置される。又、基板22はビデオデッキ3の下側に配置され、該基板22には電源部品から発生する熱を放熱する為の放熱板26,26・・が起立している。そして、シャーシ4のほぼ中央には仕切り板23が垂直に起立し、バックパネル6からフロント側まで延びていて装置の内部空間を仕切っている。仕切り板23には空気穴24が貫通し、一部に切欠き凹部25を形成している。
【0024】
ここで、上記基板21には、ハードディスク1とディスク装置2のデジタル映像音声信号処理回路とデジタルテレビ放送を受信するデジタルチューナーが取付けられている。そして、上記基板22には、電源回路とビデオデッキ3のアナログ映像音声処理回路が設けられ、電源回路には上記放熱板26と一体化して取付けた電源部品を有すために、ビデオデッキ3にて覆われないようにビデオデッキ3の後方に配置されている。
【0025】
図6は基板21,22を取付ける前のシャーシ4の平面図であり、ディスク装置2を取着した基台15は基板21を配置した上側に取付けられる。同図の27,27・・は基台15をネジ止めするためのネジ穴であり、これら各ネジ穴27,27・・を利用して図4に示す基台15の止着片18、及び脚17,17がネジ止めされる。
【0026】
図7はハードディスク1を載せた基台10がネジ止めされるネジ穴28,28・・、29,29を表している。ここで、基台10の正面側に設けている脚11,11はディスク装置2が載る基台15のベース16後方に載って、ネジ穴29,29にネジ止めされる。そして、その他の脚11,11、及び連結片14,14はネジ穴28,28・・にネジ止めされる。従って、ハードディスク1を載置した基台10はディスク装置2の基台15より高い位置に取付けられて、ベース12の下側には大きな空間を形成することが出来る。
【0027】
図8は基台10に載ったハードディスク1が取付けられる場合であり、ディスク装置2の後方に設けている空間に配置される。このように、ディスク装置2及びハードディスク1はシャーシ4に起立した仕切り板23によって仕切られ、右側に取付けた電源部品の放熱板26,26・・と区分され、放熱板26,26・・の上側に配置したアナログチューナー基板5、及び基板22から導かれるリード線は仕切り板23の上部に形成した切欠き凹部25を通ってディスク装置2及びハードディスク1側へ導かれ、基板21と接続している。
【0028】
又、上記ファン7の作動にて流れるエヤーは仕切り板23に貫通した空気穴24を流れて放熱板26,26・・を冷却し、このエヤーは上カバー9の側板30に設けた通気穴31,31・・から吸い込まれてファン7にて外へ排気される。又、通気穴31,31・・から吸い込まれるエヤーは放熱板26,26・・の上方に配置したアナログチューナー基板5に装着されている電子部品の温度上昇を抑えることが出来る。その為に、側板30の後方(電源回路の位置に対応した箇所)に通気穴31,31・・を形成している。上記アナログチューナー基板5にはテレビ放送を受信する為のチューナ、それに本装置と外部装置とを接続する為の映像信号と音声信号の入力端子及び出力端子が取付けられている。
【0029】
すなわち、上カバー9の側板30に形成した通気穴31,31・・、仕切り板23の空気穴24と切欠き部25は電源回路の位置に対応して設けられ、ハードディスク1を基台10に載せて浮かせることでエヤーの流れが形成される。
一方、基板22に取付けている放熱板26,26・・とビデオデッキ3(特にドラム)との間にも別な仕切り板32を起立し、ビデオデッキ側への熱の流れを抑制している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るハードディスクを備えた記録再生装置の実施例で、フロントパネルと上カバーを外した状態。
【図2】本発明に係るハードディスクを備えた記録再生装置の実施例で、上カバーを分離した状態。
【図3】ハードディスクとそれを載せる基台。
【図4】ディスク装置とそれを載せる基台。
【図5】基台に載置したディスク装置とハードディスクをシャーシに取付ける場合。
【図6】ディスク装置を載置した基台が固定されるネジ穴位置を表したシャーシの平面図。
【図7】ハードディスクを載置した基台が固定されるネジ穴位置を表したシャーシの平面図。
【図8】基台に載ったハードディスクを取付ける状態。
【符号の説明】
【0031】
1 ハードディスク
2 ディスク装置
3 ビデオデッキ
4 シャーシ
5 電源基板
6 バックパネル
7 ファン
8 フロントパネル
9 上カバー
10 基台
11 脚
12 ベース
13 ガイド
14 連結片
15 基台
16 ベース
17 脚
18 止着片
19 ガイド
20 ガイド
21 基板
22 基板
23 仕切り板
24 空気穴
25 切欠き凹部
26 放熱板
27 ネジ穴
28 ネジ穴
29 ネジ穴
30 側板
31 通気穴
32 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクを備えた記録再生装置において、シャーシのフロント側には基台に載せたディスク装置を配置し、ディスク装置の後方にはハードディスクを基台に載せて配置し、そしてハードディスクの後方にはシャーシのバックパネルに取付けたファンを設け、一方、シャーシに起立した仕切り板にてバックパネルからフロント間を仕切り、上記仕切り板を境としてハードディスク側とハードディスクの反対側に夫々基板を配置し、ハードディスクの反対側に配置した基板には電源部品の放熱板を取付け、そして上記仕切り板には空気穴を貫通すると共にハードディスクの反対側基板とハードディスク側基板を接続するリード線が通る切欠き凹部を仕切り板の上部に形成し、更に上カバーのハードディスクの反対側の側板には通気穴を形成し、ファンによって上記通気穴から吸い込まれる外気が上記放熱板と上記空気穴を通ってファンから排気するようにエヤーの流れを形成したことを特徴とするハードディスクを備えた記録再生装置。
【請求項2】
上記仕切り板を境としてディスク装置の反対側にはビデオデッキを配置し、該ビデオデッキと放熱板の間には、別な仕切り板を起立して設けた請求項1記載のハードディスクを備えた記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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