説明

ハードディスクドライブの電源制御装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】装置の設計寿命内で、ハードディスクドライブが故障することを防止することができるハードディスクドライブの電源制御装置を提供する。
【解決手段】電源制御プログラム100において、HDDタイマ106は、時間Thddを計測する。システムタイマ104は、時間Tsysを計測する。要求受付部102は、外部の端末装置等から要求を受け付けて、後述するタイマ制御部108及び判定部110に対して出力する。タイマ制御部108は、所定の要求を受け付けた場合、Thdd及びTsysの少なくともいずれかをクリアする。判定部110は、HDDタイマ106により計測された時間Thddに基づいてHDD36への通電を制御し、システムタイマ104により計測された時間Tsysに基づいて該HDD36とは異なる機器への通電を制御する。レジスタ制御部112は、判定部110から受け付けた決定に基づいて、電源制御回路46を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブに供給される電源を制御する電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、所定の節電モードに基づいて、電源がオフにされる構成部分を切り替える。例えば、画像形成装置は、スキャナ等の画像入力装置、印刷エンジン等を含む画像出力装置、及びデータを保存するハードディスクドライブ(以下、HDDともいう)への電源供給を制御する。
【0003】
HDDの寿命へ影響する指標として、ヘッドのロード/アンロード回数とHDDへの通電時間(POH;Power On Hour)がある。ここで、ヘッドのロードとは、回転しているディスク上にヘッドがあり、データを読み出しや書き込みを行っている状態、もしくは読み出しや書き込み等の動作をすぐに行える状態のことである。電源がHDDに供給されると、ヘッドはロードされ、制御部からの指令を待つ。一方、ヘッドのアンロードとは、ディスクの回転を止め、ヘッドをディスク上から所定の場所に退避させた状態のことである。
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、HDDに寿命が来た場合の制御方法が開示されている。しかしながら、HDDが組み込まれている機器の製品寿命内にHDDの寿命が来ないようにすることは考慮されていない。
特許文献3では、HDDの寿命にかかわるヘッドのロード/アンロードを考慮してHDDの長寿命化を図る手法が開示されている。しかしながら、ユーザが機器の節電移行タイマーを長時間に延長した場合、HDDの通電時間規定を満足できない可能性がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−157961号公報
【特許文献2】特開2000−268478号公報
【特許文献3】特開2005−186426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、装置の設計寿命内で、ハードディスクドライブが故障することを防止することができるハードディスクドライブの電源制御装置を提供することを目的とする。さらに、上記電源制御装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るハードディスクドライブの電源制御装置は、時間を計測する第1の計測手段及び第2の計測手段と、前記第1の計測手段により計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、前記第2の計測手段により計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する制御手段とを有する。本発明によれば、装置の設計寿命内で、ハードディスクドライブが故障することを防止することができる。
【0008】
好適には、前記制御手段は、前記第1の計測手段により計測された時間が予め決められた値を超えた場合、ハードディスクドライブへの通電を遮断する。本発明によれば、装置に設けられたシステムタイマに依存せずにハードディスクドライブへの通電を制御することができる。
【0009】
好適には、前記制御手段は、前記第1の計測手段により計測された時間が予め決められた値より小さい間に前記第2の計測手段により計測された時間が予め決められた値を超えた場合、ハードディスクドライブへの通電を継続し、該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を遮断する。本発明によれば、装置に設けられたシステムタイマに依存せずにハードディスクドライブへの通電を制御することができる。
【0010】
好適には、前記制御手段は、ハードディスクドライブへの通電を遮断している間に該ハードディスクドライブに記憶されているデータにアクセスする要求を受け付けた場合、該ハードディスクドライブへの通電を行う。本発明によれば、ハードディスクドライブだけに通電しハードディスクドライブとは異なる機器への通電は行なわないように制御することができる。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、ハードディスクドライブと、このハードディスクドライブへの電源を制御する電源制御装置とを有し、前記電源制御装置は、時間を計測する第1の計測手段及び第2の計測手段と、前記第1の計測手段により計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、前記第2の計測手段により計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する制御手段とを有する。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータ(CPU)を含む、ハードディスクドライブの電源制御装置において、第1の時間を計測する第1の計測ステップと、第2の時間を計測する第2の計測ステップと、前記計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、前記計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する制御ステップとを前記電源制御装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハードディスクドライブの電源制御装置によれば、装置の設計寿命内で、ハードディスクドライブが故障することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成を制御部12を中心にして示す図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置10内に含まれる構成要素を制御する制御部12と、後述するホストインタフェース(IF)回路44及びスキャナ16を介して入力された画像を記録用紙上に印刷する印刷エンジン14と、画像を読み取って読取画像データを制御部12に対して出力するスキャナ16と、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含み、ユーザからの入力を制御部12に対して出力し、制御部12からのデータを表示するコントロールパネル18と、これらの構成要素に対して電圧(例えば5V)を供給する電源20とを有する。
【0015】
制御部12は、CPU22と、データを読み書き可能に記憶する例えばSDRAM等の揮発性のメモリであるRAM24と、プログラム等を記憶する不揮発性のメモリであるROM26と、画像データ等を記憶するハードディスクドライブ(HDD)36と、印刷エンジン14及びスキャナ16などと画像データの入出力を行う入出力IF38と、外部のコンピュータとしての端末装置2−1〜2−3やHDD36との間でデータの入出力(送受信)を行うホストIF回路44と、電源20から供給される電圧を例えば3.3Vに変換するDC−DC回路56と、このDC−DC回路56により変換された電圧の各構成要素に対する供給及び遮断を行う第1のFETスイッチ58と、電源20から供給される電圧のHDD36に対する供給及び遮断を行う第2のFETスイッチ60とを有する。なお、端末装置2−1〜2−3など、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示すときには、単に端末装置2などと略記することがある。
【0016】
RAM24及びROM26はメモリバス30に接続され、入出力回路38は第1のPCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス32に接続され、ホストIF回路44は第2のPCIバス34に接続されている。メモリバス30、第1のPCIバス32及び第2のPCIバス34は、バスブリッジ28を介してCPU22と接続されている。したがって、CPU22、RAM24、ROM26、入出力回路38、ホストIF回路44は、それぞれの構成要素の間で互いにデータの入出力を行う。なお、本例では、第1のPCIバス32及び第2のPCIバス34は、PCI規格に基づくデータ伝送路であるが、他の規格に基づくデータ伝送路であってもよい。
【0017】
HDD36には、図示しないヘッド及びディスクが設けられている。電圧がHDD36に供給される(HDD36の電源がオンになる)と、ヘッドがディスク上にロードされ、HDD36はデータの読み出し及び書き込みを行うことができる状態になる。また、HDD36への通電が遮断される(HDD36の電源がオフになる)と、ヘッドはディスク上から退避される。
【0018】
入出力回路38には、ユーザインタフェース(UI)回路40と、ビデオIF回路42とが含まれる。UI回路40は、コントロールパネル18との間でデータの入出力を行う。ビデオIF回路42は、印刷エンジン14及びスキャナ16との間で画像データの入出力を行う。
【0019】
ホストIF回路44には、電源制御回路46と、IDE(Integrated Drive Electronics)IF48と、パラレルポート50と、USB(Universal Serial Bus)IF52と、NW−IF54とが含まれる。電源制御回路46は、後述する電源制御プログラム100の制御により、第1のFETスイッチ58及び第2のFETスイッチ60による通電を制御する。
【0020】
IDEIF48は、HDD36との間でデータの入出力を行う。なお、本例では、HDD36に対するデータ通信方式としてIDEが用いられているが、例えばSCSI(Small Computer System Interface)などの他の方式であってもよい。パラレルポート50は、例えばIEEE1284準拠のインタフェースであって、外部の端末装置2−1との間でパラレルでデータ伝送を行う。USBIF52は、外部の端末装置2−2との間でUSB規格に基づいてデータ伝送を行う。NW−IF54は、LAN又はWANなどのネットワークを介して外部の端末装置2−3との間でデータの送受信を行う。なお、データの送受信の方式は本例に限定されず、他の方式が用いられてもよい。
【0021】
したがって、端末装置2−1〜2−3が、画像を印刷する印刷ジョブ(要求)を生成して画像形成装置10に対して送信すると、画像形成装置10では、制御部12がこの印刷ジョブを受け付け、画像が印刷エンジン14により記録用紙上に形成される。また、画像がスキャナ16により読み取られると、この読取画像が、同様にして記録用紙上に形成される。
【0022】
また、制御部12は、端末装置2から送信された印刷ジョブおよび印刷ジョブから生成した画像データ、スキャナ16により読み取られた画像データ及び印刷処理や読取処理等のジョブ履歴をHDD36に格納する。制御部12は、端末装置2からのジョブ履歴あるいは画像データの要求に応答し、HDD36に記憶されているジョブ履歴等を読み出して、要求元である端末装置2に対して送信する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る電源制御回路46、第1のFETスイッチ58及び第2のFETスイッチ60の詳細を示す図である。
図2に示すように、電源制御回路46は、第1のレジスタ62と第2のレジスタ64とを有する。第1のレジスタ62は、アドレス/CS信号、データ信号、ライト/リード信号及びリセット信号を受け付けて、ロー信号又はハイ信号を第1のFETスイッチ58に対して出力する。本例では、第1のレジスタ62は、初期値としてロー信号を出力し、CPU22が第1のレジスタ62に「1」を書き込むと、第1のレジスタ62はハイ信号を出力する。第2のレジスタ64もまた、第1のレジスタ62と同様の構成であり、初期値としてロー信号を第2のFETスイッチ60に対して出力し、「1」が書き込まれるとハイ信号を出力する。第1のFETスイッチ58及び第2のFETスイッチ60は、例えばPch−FETであり、ロー信号がゲート(G)に対して入力されている場合にはオンであり、ハイ信号がゲート(G)に対して入力されている場合にはオフである。
【0024】
したがって、第1のレジスタ62に「1」が書き込まれると、第1のレジスタ62の出力はハイになり、第1のFETスイッチ58がオフになって、第1のFETスイッチ58はDC−DC回路56からの電圧の供給を遮断し、UI回路40、ビデオIF回路42等への通電が遮断される。また、第2のレジスタ64に「1」が書き込まれると、第2のレジスタ64の出力はハイになり、第2のFETスイッチ60がオフになって、第2のFETスイッチ60は電源20からの電圧の供給を遮断し、HDD36への通電が遮断される。
【0025】
次に、図3乃至図6に基づいて、本発明の実施形態に係る画像形成装置10における電力モードについて詳述する。
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10における電力モードと、それぞれの電力モードにおける各構成要素の状態を示す図である。
図3に示すように、画像形成装置10には、スタンバイモード、HDDオフモード、セミスリープモード及びスリープモードが設けられている。これらの電力モードは、後述する電源制御プログラム100により制御され、切り替えられる。なお、本例では電力モード数は4であるが、モード数、及び各モードにおける内容は本例に限定されない。
【0026】
スタンバイモードでは、HDD36は電力オンであり、ビデオIF回路42及びUI回路40(入出力回路38)は電力オンであり、CPU22及びバスブリッジ28はノーマル状態(即ち、ラン状態)であり、RAM24などのシステムメモリはノーマル状態である。
【0027】
HDDオフモードでは、HDD36は電力オフであり、ビデオIF回路42及びUI回路40は電力オンであり、CPU22及びバスブリッジ28はノーマル状態であり、システムメモリはノーマル状態である。つまり、HDDオフモードは、スタンバイモードからHDD36への通電が遮断された状態である。
【0028】
セミスリープモードでは、HDD36は電力オンであり、ビデオIF回路42及びUI回路40は電力オフであり、CPU22及びバスブリッジ28はスリープ状態であり、システムメモリはセルフリフレッシュ状態である。セミスリープモードでは、HDD36の電源はオンであるので、HDD36へのデータアクセスは可能である。
【0029】
スリープモードでは、HDD36は電力オフであり、ビデオIF回路42及びUI回路40は電力オフであり、CPU22及びバスブリッジ28はスリープ状態であり、システムメモリはセルフリフレッシュ状態である。つまり、スリープモードは、セミスリープモードからHDD36への通電が遮断された状態である。
【0030】
図4は、HDDオフモード時の電源供給状態を示す図である。
図4に示すように、HDDオフモードでは、HDD36への通電は第2のFETスイッチ60により遮断されるので、HDD36は電源オフ状態である。一方、UI回路40、ビデオIF回路42、印刷エンジン14、スキャナ16及びコントロールパネル18は電源オン状態である。なお、図中の破線Aで囲まれた領域は、電源オフである領域を示す。
【0031】
図5は、セミスリープモード時の電源供給状態を示す図である。
図5に示すように、セミスリープモードでは、UI回路40、ビデオIF回路42、印刷エンジン14、スキャナ16及びコントロールパネル18への通電は第1のFETスイッチ58により遮断されるので、これらの各構成要素は電源オフ状態である。一方、HDD36は電源オン状態である。なお、図中の破線Bで囲まれた領域は、電源オフである領域を示す。
【0032】
図6は、スリープモード時の電源供給状態を示す図である。
図6に示すように、スリープモードでは、UI回路40、ビデオIF回路42、印刷エンジン14、スキャナ16及びコントロールパネル18への通電は第1のFETスイッチ58により遮断され、HDD36への通電は第2のFETスイッチ60により遮断されるので、これらの各構成要素は電源オフ状態である。
【0033】
次に、電力モードを制御するための電源制御プログラム100について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10上で動作する電源制御プログラム100の機能構成を示す図である。
図7に示すように、電源制御プログラム100は、要求受付部102、システムタイマ104、HDDタイマ106、タイマ制御部108、判定部110及びレジスタ制御部112を有する。電源制御プログラム100は、このような構成により、計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する。電源制御プログラム100は、画像形成装置10のRAM24にロードされ、CPU22により実行され、ハードディスクドライブの電源制御装置を構成する。なお、電源制御プログラム100の全部又は一部の機能は、画像形成装置10に設けられた例えばASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
電源制御プログラム100において、HDDタイマ106は、時間Thddを計測する。システムタイマ104は、時間Tsysを計測する。HDDタイマ106及びシステムタイマ104は、例えば1秒毎に計時し、計時した値を判定部110に対して出力する。したがって、HDDタイマ106は第1の計測手段を構成し、システムタイマ104は第2の計測手段を構成する。
【0035】
要求受付部102は、外部の端末装置2、コントロールパネル18、スキャナ16等から要求を受け付けて、後述するタイマ制御部108及び判定部110に対して出力する。このような要求には、コピー、印刷、スキャン、HDDリモートアクセス等が含まれる。ここで、HDDリモートアクセス要求は、印刷エンジン14又はスキャナ16による処理を必要とせずHDD36に記憶されているデータへのアクセスを必要とする要求であり、例えば、ジョブ履歴の参照要求である。
【0036】
タイマ制御部108は、要求受付部102から要求を受け付け、該要求及び該要求を受け付けた時の電力モードに基づいてシステムタイマ104及びHDDタイマ106を制御する。より具体的には、タイマ制御部108は、セミスリープモードにおいて、例えばコピー、印刷、スキャン等、印刷エンジン14又はスキャナ16による処理を必要とする要求を受け付けた場合、HDDタイマ106により計時されるThdd及びシステムタイマ104により計時されるTsysをクリア(例えば、0に初期化する)し、HDDリモートアクセス要求を受け付けた場合、HDDタイマ106により計時されるThddをクリアする。
【0037】
また、タイマ制御部108は、HDDオフモードにおいて、いずれかの要求を受け付けた場合、Thdd及びTsysをクリアする。タイマ制御部108は、スリープモードにおいて、HDDリモートアクセス要求を受け付けた場合、Thddをクリアし、それ以外の要求を受け付けた場合、Thdd及びTsysをクリアする。
【0038】
判定部110は、HDDタイマ106により計測された時間Thddに基づいてHDD36への通電を制御し、システムタイマ104により計測された時間Tsysに基づいて該HDD36とは異なる機器への通電を制御する。より具体的には、判定部110は、HDD36により計測された時間Thddが予め決められた閾値Uを超えた場合、HDD36への通電を遮断することを決定し、その旨をレジスタ制御部112に対して出力する。この場合、画像形成装置10は、HDDオフモードに移行する。ここで、閾値Uは、固定値であるか又は変更権限を有するユーザにより変更される値である。
【0039】
判定部110は、HDDタイマ106により計測された時間Thddが予め決められた閾値Uより小さい間にシステムタイマ104により計測された時間Tsysが予め決められた閾値Vを超えた場合、HDD36への通電を継続し、該HDD36とは異なる機器への通電を遮断することを決定し、その旨をレジスタ制御部112に対して出力する。この場合、画像形成装置10は、セミスリープモードに移行する。ここで、閾値Vは、一般ユーザにより自由に変更されてよい。
【0040】
判定部110は、HDD36への通電を遮断している間に該HDD36に記憶されているデータにアクセスする要求を受け付けた場合、該HDD36への通電を行うことを決定し、その旨をレジスタ制御部112に対して出力する。より具体的には、判定部110は、HDDオフモードにおいて、コピー、印刷、スキャン等、印刷エンジン14又はスキャナ16による処理を必要とする要求を受け付けた場合、スタンバイモードに移行することを決定する。また、判定部110は、スリープモードにおいて、HDDリモートアクセス要求を受け付けた場合、セミスリープモードに移行することを決定し、該要求以外の要求を受け付けた場合、スタンバイモードに移行することを決定する。
【0041】
レジスタ制御部112は、判定部110から受け付けた決定に基づいて、電源制御回路46を制御する。より具体的には、レジスタ制御部112は、電源制御回路46の第1のレジスタ62及び第2のレジスタ64の少なくともいずれかに対して信号を出力し、第1のレジスタ62及び第2のレジスタ64に例えば「0」又は「1」を書き込む。本例では、レジスタ制御部112は、スタンバイモードにおいて、判定部110からHDDオフモードに移行する旨を受け付けた場合、第2のレジスタ64に「1」を書き込み、セミスリープモードに移行する旨を受け付けた場合、第1のレジスタ62に「1」を書き込み、スリープモードに移行する旨を受け付けた場合、第1のレジスタ62及び第2のレジスタ64に「1」を書き込む。このようにして、判定部110及びレジスタ制御部112は、制御手段を構成する。
【0042】
次に、図8乃至図12に基づいて、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の電力モードの制御処理について詳述する。
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の電力モードの状態遷移図(S10)を示す。
図8のS100及びS106の処理を図9を参照して説明する。
図9は、スタンバイモードにおける電源制御処理(S20)を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップ200(S200)において、電源制御プログラム100のHDDタイマ106及びシステムタイマ104は、計時処理を行う。具体的には、HDDタイマ106はThddを1増加し、システムタイマ104はTsysを1増加する。なお、計時処理が実行されている間に、コピー、印刷、スキャン等、印刷エンジン14又はスキャナ16による処理を必要とする要求が受け付けられた場合、タイマ制御部108は、HDDタイマ106により計時されるThdd及びシステムタイマ104により計時されるTsysをクリアし、当該処理の終了後、HDDタイマ106及びシステムタイマ104は、再度、計時処理を行う。
【0043】
ステップ202(S202)において、判定部110は、システムタイマ104により計測された時間Tsysが閾値Vを超えたか否かを判定する。判定部110は、TsysがVを超えた場合にはS204の処理に進み、そうでない場合にはS208の処理に進む。
【0044】
ステップ204(S204)において、判定部110は、セミスリープモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第1のレジスタ62に「1」を書き込む。
ステップ206(S206)において、画像形成装置10は、セミスリープモードに移行する。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、スタンバイモードからセミスリープモードに移行する(図8のS100)。
【0045】
一方、Tsysが閾値Vを超えていない場合、ステップ208(S208)において、判定部110は、HDDタイマ106により計測された時間Thddが閾値Uを超えたか否かを判定する。判定部110は、ThddがUを超えた場合にはS210の処理に進み、そうでない場合にはS200の処理に戻る。
【0046】
ステップ210(S210)において、判定部110は、HDDオフモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第2のレジスタ64に「1」を書き込む。
ステップ212(S212)において、画像形成装置10は、HDDオフモードに移行する。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、スタンバイモードからHDDオフモードに移行する(図8のS106)。
【0047】
図8のS102、S104及びS110の処理を図10を参照して説明する。
図10は、セミスリープモードにおける電源制御処理(S30)を示すフローチャートである。
図10に示すように、ステップ300(S300)において、電源制御プログラム100のHDDタイマ106及びシステムタイマ104は、計時処理を行う。
【0048】
ステップ302(S302)において、判定部110は、HDDタイマ106により計測された時間Thddが閾値Uを超えたか否かを判定する。判定部110は、ThddがUを超えた場合にはS304の処理に進み、そうでない場合にはS308の処理に進む。
【0049】
ステップ304(S204)において、判定部110は、スリープモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第2のレジスタ64に「1」を書き込む。
ステップ306(S306)において、画像形成装置10は、スリープモードに移行する。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、セミスリープモードからスリープモードに移行する(図8のS110)。
【0050】
一方、S302の処理でThddが閾値Uを超えていない場合、ステップ308(S308)において、判定部110は、例えばコピー、印刷、スキャン等、印刷エンジン14又はスキャナ16による処理を必要とする要求を受け付けたか否かを判定する。判定部110は、このようなHDDリモートアクセス要求以外の要求を受け付けた場合にはS310の処理に進み、そうでない場合にはS316の処理に進む。
【0051】
ステップ310(S310)において、判定部110は、スタンバイモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第1のレジスタ62に「0」を書き込む。
ステップ312(S312)において、画像形成装置10は、スタンバイモードに移行する。
【0052】
ステップ314(S314)において、タイマ制御部108は、HDDタイマ106により計時されるThdd及びシステムタイマ104により計時されるTsysをクリアする。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、セミスリープモードからスタンバイモードに移行する(図8のS102)。
【0053】
また、S316(S316)において、判定部110は、HDDリモートアクセス要求を受け付けたか否かを判定する。判定部110は、HDDリモートアクセス要求を受け付けた場合にはS318の処理に進み、そうでない場合にはS300の処理に戻る。
ステップ318(S318)において、タイマ制御部108は、HDDタイマ106により計時されるThddをクリアし、電源制御プログラム100はS300の処理に戻る。
このように、セミスリープモードにおいて、HDDリモートアクセス要求が受け付けられた場合には、電力モードの移行は行われない(図8のS104)。
【0054】
図8のS108及びS116の処理を図11を参照して説明する。
図11は、HDDオフモードにおける電源制御処理(S40)を示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップ400(S400)において、電源制御プログラム100のHDDタイマ106及びシステムタイマ104は、計時処理を行う。
【0055】
ステップ402(S402)において、判定部110は、システムタイマ104により計測された時間Tsysが閾値Vを超えたか否かを判定する。判定部110は、TsysがVを超えた場合にはS404の処理に進み、そうでない場合にはS408の処理に進む。
【0056】
ステップ404(S404)において、判定部110は、スリープモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第1のレジスタ62に「1」を書き込む。
ステップ406(S406)において、画像形成装置10は、スリープモードに移行する。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、HDDオフモードからスリープモードに移行する(図8のS116)。
【0057】
一方、Tsysが閾値Vを超えていない場合、ステップ408(S408)において、判定部110は、判定部110は、いずれかの要求を受け付けたか否かを判定する。判定部110は、要求を受け付けた場合にはS410の処理に進み、そうでない場合にはS400の処理に戻る。
【0058】
ステップ410(S410)において、判定部110は、スタンバイモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第2のレジスタ64に「0」を書き込む。
ステップ412(S412)において、画像形成装置10は、スタンバイモードに移行する。
【0059】
ステップ414(S414)において、タイマ制御部108は、HDDタイマ106により計時されるThdd及びシステムタイマ104により計時されるTsysをクリアする。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、HDDオフモードからスタンバイモードに移行する(図8のS108)。
【0060】
図8のS112及びS114の処理を図12を参照して説明する。
図12は、スリープモードにおける電源制御処理(S50)を示すフローチャートである。
図12に示すように、ステップ500(S500)において、判定部110は、例えばコピー、印刷、スキャン等の要求を受け付けたか否かを判定する。判定部110は、このような要求を受け付けた場合にはS502の処理に進み、そうでない場合にはS508の処理に進む。
【0061】
ステップ502(S502)において、判定部110は、スタンバイモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第1のレジスタ62及び第2のレジスタ64に「0」を書き込む。
ステップ504(S504)において、画像形成装置10は、スタンバイモードに移行する。
【0062】
ステップ506(S506)において、タイマ制御部108は、HDDタイマ106により計時されるThdd及びシステムタイマ104により計時されるTsysをクリアする。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、スリープモードからスタンバイモードに移行する(図8のS114)。
【0063】
また、S508(S508)において、判定部110は、HDDリモートアクセス要求を受け付けたか否かを判定する。判定部110は、HDDリモートアクセス要求を受け付けた場合にはS510の処理に進み、そうでない場合にはS500の処理に戻る。
【0064】
ステップ510(S510)において、判定部110は、セミスリープモードに移行する旨をレジスタ制御部112に対して出力する。レジスタ制御部112は、第2のレジスタ64に「0」を書き込む。
ステップ512(S512)において、画像形成装置10は、セミスリープモードに移行する。
【0065】
ステップ514(S514)において、タイマ制御部108は、HDDタイマ106により計時されるThddをクリアする。
このようにして、画像形成装置10の電力モードは、スリープモードからセミスリープモードに移行する(図8のS112)。
【0066】
なお、図8のS112の処理は、S114の処理と同様のものであってもよい。この場合、画像形成装置10は、スリープモードにおいていずれの要求を受け付けた場合においてもスタンバイモードに移行する。
【0067】
一般的に、2.5インチHDDと3.5インチHDDを比較すると、2.5インチHDDにおいては、許容されるロード/アンロード回数が多い一方、通電時間(POH)は短い。本発明の実施形態に係る画像形成装置10によれば、ユーザが閾値Vを大きな値に変更した場合においても、HDDの電源は、Thdd及び閾値Uに基づいて比較的短時間にオフにされるので、HDDの通電時間が増加することが防止される。
【0068】
逆に、3.5インチHDDにおいては、通電時間が長い一方、ロード/アンロード回数は少ない。本発明の実施形態に係る画像形成装置10によれば、ユーザが閾値Vを小さな値に変更し、電力モードが節電モード(セミスリープモード)に移行した場合においても、HDDの電源は、Thddが閾値Uを超えるまではオンの状態であるので、ロード/アンロード回数が増加することが防止される。
したがって、ユーザによるシステムタイマの閾値Vの設定にかかわらず、装置の設計寿命内で、HDDが故障することを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成を制御部12を中心にして示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電源制御回路46、第1のFETスイッチ58及び第2のFETスイッチ60の詳細を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置10における電力モードと、それぞれの電力モードにおける各構成要素の状態を示す図である。
【図4】HDDオフモード時の電源供給状態を示す図である。
【図5】セミスリープモード時の電源供給状態を示す図である。
【図6】スリープモード時の電源供給状態を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置10上で動作する電源制御プログラム100の機能構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置10の電力モードの状態遷移図(S10)を示す。
【図9】スタンバイモードにおける電源制御処理(S20)を示すフローチャートである。
【図10】セミスリープモードにおける電源制御処理(S30)を示すフローチャートである。
【図11】HDDオフモードにおける電源制御処理(S40)を示すフローチャートである。
【図12】スリープモードにおける電源制御処理(S50)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置
12 制御部
20 電源
46 電源制御回路
58 第1のFETスイッチ
60 第2のFETスイッチ
62 第1のレジスタ
64 第2のレジスタ
100 電源制御プログラム
102 要求受付部
104 システムタイマ
106 HDDタイマ
108 タイマ制御部
110 判定部
112 レジスタ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間を計測する第1の計測手段及び第2の計測手段と、
前記第1の計測手段により計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、前記第2の計測手段により計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する制御手段と
を有するハードディスクドライブの電源制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の計測手段により計測された時間が予め決められた値を超えた場合、ハードディスクドライブへの通電を遮断する
請求項1に記載のハードディスクドライブの電源制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の計測手段により計測された時間が予め決められた値より小さい間に前記第2の計測手段により計測された時間が予め決められた値を超えた場合、ハードディスクドライブへの通電を継続し、該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を遮断する
請求項1又は2に記載のハードディスクドライブの電源制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、ハードディスクドライブへの通電を遮断している間に該ハードディスクドライブに記憶されているデータにアクセスする要求を受け付けた場合、該ハードディスクドライブへの通電を行う
請求項1乃至3のいずれかに記載のハードディスクドライブの電源制御装置。
【請求項5】
ハードディスクドライブと、
このハードディスクドライブへの電源を制御する電源制御装置と
を有し、
前記電源制御装置は、
時間を計測する第1の計測手段及び第2の計測手段と、
前記第1の計測手段により計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、前記第2の計測手段により計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータを含む、ハードディスクドライブの電源制御装置において、
第1の時間を計測する第1の計測ステップと、
第2の時間を計測する第2の計測ステップと、
前記計測された時間に基づいてハードディスクドライブへの通電を制御し、前記計測された時間に基づいて該ハードディスクドライブとは異なる機器への通電を制御する制御ステップとを前記電源制御装置のコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−141558(P2008−141558A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326649(P2006−326649)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】