説明

ハードディスク容量の拡張装置及びこれを備えたハードディスク容量の拡張モジュール

【課題】システム配線の接続が簡潔であるハードディスク容量の拡張装置及びこれを備えたハードディスク容量の拡張モジュールを提供すること。
【解決手段】本発明に係るハードディスク容量の拡張装置は、メインボードとハードディスクとに接続され、且つ基板、ゴールドフィンガー、信号拡張モジュール及び複数の背板コネクターを備える。前記ゴールドフィンガーは、前記メインボードに挿入接続されて前記メインボードが転送するハードディスク通信信号を獲得し、前記信号拡張モジュールは、前記ゴールドフィンガーと前記背板コネクターとに電気的に接続され、且つ1つのグループの前記ハードディスク通信信号を複数のグループのハードディスク通信信号に拡張して、複数の前記背板コネクターにそれぞれ伝送し、前記背板コネクターは、前記ハードディスクに電気的に接続されて、前記ハードディスクに前記ハードディスク通信信号を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューターのハードウェアの拡張装置に関し、特にハードディスク(hard disk)容量の拡張装置及びハードディスク容量の拡張モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
Intelが開発した最新のPatsburgプラットフォームにおいて、そのプラットフォーム制御ユニット(Platform Controller Hub,PCH)には、シリアルATA(Serial Advanced Technology Attachment,SATA)及びシリアル接続SCSI(Serial Attached SCSI,SAS)という2種の標準のコントローラが集成されて、8路SAS2.0及び6路SATA3.0をそれぞれ支持する。SATA及びSASの速度は、いずれも6Gb/sに達するので、サーバー及びメモリーのメインボードに好適に応用されることができる。
【0003】
実際の使用中において、前記Patsburgプラットフォームは、より大きい容量の格納空間を必要とする場合、十分足りる容量の格納空間を得るために、前記メインボードにSAS/SATA拡張ボードを別に接続しなければならない。従来のSAS/SATA拡張ボードは、殆んど接続ケーブル及び独立ディスク冗長アレイカード(Redundant Array of Independent Disks,RAID)を介してメインボードに接続されるので、システム配線の接続状況を複雑にさせる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、システム配線の接続が簡潔であるハードディスク容量の拡張装置及びこれを備えたハードディスク容量の拡張モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係るハードディスク容量の拡張装置は、メインボードとハードディスクとに接続され、且つ基板、ゴールドフィンガー、信号拡張モジュール及び複数の背板コネクターを備える。前記ゴールドフィンガーは、前記基板の一方側の側辺に設けられ、且つ前記メインボードに挿入接続されて前記メインボードが転送するハードディスク通信信号を獲得し、前記信号拡張モジュールは、前記ゴールドフィンガーと複数の前記背板コネクターとに同時に電気的に接続され、且つ1つのグループの前記ハードディスク通信信号を複数のグループのハードディスク通信信号に拡張して、複数の前記背板コネクターにそれぞれ伝送し、前記背板コネクターは、前記ハードディスクに電気的に接続されて、前記ハードディスクに前記ハードディスク通信信号を供給する。
【0006】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るハードディスク容量の拡張モジュールは、ハードディスク容量の拡張装置及びメインボードを備え、前記ハードディスク容量の拡張装置は、メインボードとハードディスクとに接続され、且つ基板、ゴールドフィンガー、信号拡張モジュール及び複数の背板コネクターを備え、前記ゴールドフィンガーは、前記基板の一方側の側辺に設けられ、且つ前記メインボードに挿入接続されて前記メインボードが転送するハードディスク通信信号を獲得し、前記信号拡張モジュールは、前記ゴールドフィンガーと複数の前記背板コネクターとに同時に電気的に接続され、且つ1つのグループの前記ハードディスク通信信号を複数のグループのハードディスク通信信号に拡張して、複数の前記背板コネクターにそれぞれ伝送し、前記背板コネクターは、前記ハードディスクに電気的に接続されて、前記ハードディスクに前記ハードディスク通信信号を供給する。
【発明の効果】
【0007】
従来の技術と比較して、本発明は、ハードディスク容量の拡張装置の基板にゴールドフィンガーを設けることによって、前記ハードディスク容量の拡張装置をメインボードに直接に挿入接続するので、従来の接続ケーブルによる複雑な接続を避けて、ハードウェアの構造を効果的に簡素化するだけではなく、設計コストも低減した。これと同時に、本発明のハードディスク容量の拡張装置の信号拡張モジュールは、複数のグループのハードディスク通信信号を拡張して、格納容量をさらに拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るハードディスク容量の拡張装置の機能モジュールを示すブロック図である。
【図2】図1に示したハードディスク容量の拡張装置のメインボードのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2に示したように、本発明の実施形態に係るハードディスク容量の拡張装置100は、Patsburgプラットフォームに応用される。前記ハードディスク容量の拡張装置100は、コンピューター等の端末装置(図示せず)のメインボード200に挿入接続されて、前記メインボード200が発送する作動信号を少なくとも1つのハードディスク(図示せず)に転送する。前記ハードディスク容量の拡張装置100及び前記メインボード200は、1つのハードディスク容量の拡張モジュール(図示せず)を構成する。また、前記ハードディスク容量の拡張装置100は、SAS或いはSATAタイプのハードディスクの容量を拡張することができる。以下の実施形態において、SASハードディスクを拡張することを例として詳細に説明する。
【0010】
前記メインボード200には、プラットフォーム制御ユニット(PCH)220、拡張コネクター240及び電源モジュール260が設けられている。前記プラットフォーム制御ユニット220は、1つのグループのハードディスク通信信号(例えばSAS通信信号)を出力するために用いられる。本実施形態において、1つのグループは、n条配線を含み、且つn=4である。前記拡張コネクター240は、標準的な高速外部コンポーネントインターコネクトエクスプレス×4(Peripheral Component Interconnect−Express,PCIE×4)のコネクターであり、且つ前記プラットフォーム制御ユニット220及び前記電源モジュール260と同時に電気的に接続されて、前記プラットフォーム制御ユニット220が転送してくるハードディスク通信信号及び前記電源モジュール260が転送してくる電圧信号をそれぞれ受信する。
【0011】
前記ハードディスク容量の拡張装置100は、回路基板10、ゴールドフィンガー(gold finger)20、電圧調節モジュール30、信号拡張モジュール40、複数の背板コネクター50及び外部コネクター60を備える。前記ゴールドフィンガー20、前記電圧調節モジュール30、前記信号拡張モジュール40、前記背板コネクター50及び前記外部コネクター60は、皆前記回路基板10に設けられる。本実施形態において、前記背板コネクター50の数は、三つである。
【0012】
前記ゴールドフィンガー20は、前記回路基板10の長手方向の一方側の側辺に設けられ、且つ標準的なPCIE×4のゴールドフィンガーを採用する。前記ゴールドフィンガー20は、前記メインボード200の拡張コネクター240に着脱可能に差し込まれ且つ前記拡張コネクター240と電気的に接続されて、前記拡張コネクター240から上記したハードディスク通信信号及び電圧信号を獲得する。前記ゴールドフィンガー20は、複数の信号伝送端子22及び前記信号伝送端子22と間隔をあけて設けられる複数の給電端子24を備える。前記信号伝送端子22は、4条信号線を介して前記信号拡張モジュール40と電気的に接続されて、前記ハードディスク通信信号を前記信号拡張モジュール40に転送する。前記給電端子24は、前記電圧調節モジュール30と電気的に接続されて、前記電圧信号を前記電圧調節モジュール30に転送する。
【0013】
前記ゴールドフィンガー20が存在するため、前記ハードディスク容量の拡張装置100は、前記メインボード200に着脱可能で且つ直接に挿入接続されて、従来の接続ケーブルを要せず、ハードウェアの構造を効果的に簡素化し且つ設計コストを低減した。
【0014】
前記電圧調節モジュール30は、前記信号拡張モジュール40と電気的に接続され、且つ前記給電端子24が転送する電圧信号を調整して、それを前記信号拡張モジュール40が所要する作動電圧に転換して、前記信号拡張モジュール40に給電する。
【0015】
前記信号拡張モジュール40は、複数の信号線を介して三つの前記背板コネクター50及び1つの前記外部コネクター60と同時に電気的に接続される。前記信号拡張モジュール40は、前記信号伝送端子22が転送する1つのグループのハードディスク通信信号を複数のグループのハードディスク通信信号に拡張し、且つ複数のグループのハードディスク通信信号を三つの前記背板コネクター50及び1つの前記外部コネクター60にそれぞれ伝送する。上述したように、1つのグループのハードディスク通信信号が4条配線のハードディスク通信信号を含むと、前記信号拡張モジュール40によって、前記1つのグループのハードディスク通信信号は、4×4条配線のハードディスク通信信号に拡張される。
【0016】
各背板コネクター50は、前記回路基板10の短手方向の一方側に設けられ、且つ1つの背板(図示せず)に接続されて、前記背板を介して前記SASハードディスクに電気的に接続されて、前記SASハードディスクに1つのグループ(4条配線)のハードディスク通信信号を伝送する。これにより、複数のSASハードディスクは、前記メインボード200のプラットフォーム制御ユニット220と通信関係を同時に確立することができる。
【0017】
前記外部コネクター60は、前記回路基板10の短手方向の他方側に設けられ、且つ前記ハードディスク容量の拡張装置100の外部に設けられた独立ディスク冗長アレイカード(以下、RAIDカードと略称する)に接続されて、前記RAIDカードを介してバックアップとする外部ハードディスクに接続される。
【0018】
また、ハードディスクの容量に対する需要に基づいて前記背板コネクター50の数を増減することができる。
【0019】
より大きい容量の格納空間を必要する場合、前記ハードディスク容量の拡張装置100を前記ゴールドフィンガー20を介して前記メインボード200の拡張コネクター240に挿入接続し、且つ前記背板コネクター50を前記SASハードディスクに接続する。これによって、前記信号伝送端子22は、前記プラットフォーム制御ユニット220から1つのグループのハードディスク通信信号を獲得すると共に、前記給電端子24は、前記電源モジュール260から電圧信号を獲得する。前記電圧信号は、前記電圧調節モジュール30により調整された後、前記信号拡張モジュール40に作動電圧を供給する。前記信号拡張モジュール40は、前記信号伝送端子22が転送する1つのグループのハードディスク通信信号を受信し、且つそれを四つのグループ(4×4条配線)のハードディスク通信信号に拡張して、前記背板コネクター50及び前記外部コネクター60にそれぞれ伝送する。このように、複数のSASハードディスクと前記メインボード200との通信関係が確立され、格納容量を拡大する目的を達する。
【0020】
また、格納容量をさらに拡大する必要があれば、前記外部コネクター60をRAIDカードに接続して、前記RAIDカードを介して外部のハードディスクに接続する。
【0021】
上記の実施形態によると、本発明のハードディスク容量の拡張モジュールは、前記ハードディスク容量の拡張装置100にゴールドフィンガー20を設け、且つこのゴールドフィンガー20を前記メインボード200に直接に挿入接続することによって、従来の接続ケーブルによる複雑な接続を避けて、ハードウェアの構造を効果的に簡素化するだけではなく、設計コストも低減した。これと同時に、前記ハードディスク容量の拡張装置100の信号拡張モジュール40は、複数のグループのSAS或いはSATAハードディスク通信信号を拡張して、前記背板コネクター50及び前記外部コネクター60を介して格納容量をさらに拡大することができる。
【0022】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0023】
10 回路基板
20 ゴールドフィンガー
22 信号伝送端子
24 給電端子
30 電圧調節モジュール
40 信号拡張モジュール
50 背板コネクター
60 外部コネクター
100 ハードディスク容量の拡張装置
200 メインボード
220 プラットフォーム制御ユニット
240 拡張コネクター
260 電源モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインボードとハードディスクとに接続されるハードディスク容量の拡張装置であって、
前記ハードディスク容量の拡張装置は、基板、ゴールドフィンガー、信号拡張モジュール及び複数の背板コネクターを備え、
前記ゴールドフィンガーは、前記基板の一方側の側辺に設けられ、且つ前記メインボードに挿入接続されて前記メインボードが転送するハードディスク通信信号を獲得し、前記信号拡張モジュールは、前記ゴールドフィンガーと複数の前記背板コネクターとに同時に電気的に接続され、且つ1つのグループの前記ハードディスク通信信号を複数のグループのハードディスク通信信号に拡張して、複数の前記背板コネクターにそれぞれ伝送し、前記背板コネクターは、前記ハードディスクに電気的に接続されて、前記ハードディスクに前記ハードディスク通信信号を供給することを特徴とするハードディスク容量の拡張装置。
【請求項2】
前記ゴールドフィンガーは、複数の信号伝送端子及び複数の給電端子を備え、前記信号伝送端子は、信号線を介して前記信号拡張モジュールに電気的に接続され、前記給電端子は、前記信号伝送端子と間隔をあけて設けられ、且つ前記メインボードが出力する電圧信号を獲得することを特徴とする請求項1に記載のハードディスク容量の拡張装置。
【請求項3】
前記給電端子と前記信号拡張モジュールとの間に電気的に接続されて、前記給電端子が転送する電圧信号を前記信号拡張モジュールに所要する作動電圧に転換する電圧調節モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のハードディスク容量の拡張装置。
【請求項4】
前記信号拡張モジュールに電気的に接続されて、前記信号拡張モジュールが転送するハードディスク通信信号を受信し、且つ前記ハードディスク容量の拡張装置の外部の独立ディスク冗長アレイカード(RAIDカード)と接続するために用いられる外部コネクターをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハードディスク容量の拡張装置。
【請求項5】
ハードディスク容量の拡張装置及びメインボードを備えるハードディスク容量の拡張モジュールであって、
前記ハードディスク容量の拡張装置は、メインボードとハードディスクとに接続され、且つ基板、ゴールドフィンガー、信号拡張モジュール及び複数の背板コネクターを備え、
前記ゴールドフィンガーは、前記基板の一方側の側辺に設けられ、且つ前記メインボードに挿入接続されて前記メインボードが転送するハードディスク通信信号を獲得し、前記信号拡張モジュールは、前記ゴールドフィンガーと複数の前記背板コネクターとに同時に電気的に接続され、且つ1つのグループの前記ハードディスク通信信号を複数のグループのハードディスク通信信号に拡張して、複数の前記背板コネクターにそれぞれ伝送し、前記背板コネクターは、前記ハードディスクに電気的に接続されて、前記ハードディスクに前記ハードディスク通信信号を供給することを特徴とするハードディスク容量の拡張モジュール。
【請求項6】
前記メインボードには、拡張コネクターが設けられ、前記ゴールドフィンガーは、前記メインボードの拡張コネクターに着脱可能に挿入接続されることを特徴とする請求項5に記載のハードディスク容量の拡張モジュール。
【請求項7】
前記メインボードには、前記拡張コネクターに電気的に接続され、且つ前記ハードディスク通信信号を出力するためのプラットフォーム制御ユニットがさらに設けられることを特徴とする請求項6に記載のハードディスク容量の拡張モジュール。
【請求項8】
前記メインボードには、前記ゴールドフィンガーを介して前記ハードディスク容量の拡張装置に給電する電源モジュールがさらに設けられることを特徴とする請求項7に記載のハードディスク容量の拡張モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−8367(P2013−8367A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140682(P2012−140682)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)