説明

ハードパック針パッケージレーザー熱密閉

【課題】ハードパックデバイスを提供すること。
【解決手段】カートリッジおよびキャップを含むハードパックデバイスは、無菌医療用器具を保護することに対して有用である。カートリッジは、開いた端および閉じた端を有する本体を含み、内部空洞を規定する。キャップは、カートリッジの内部空洞を囲むために本体の開いた端に対して設置されるように適合されている。レーザー熱密閉マークは、カートリッジとキャップとの間の界面につけられ、デバイスを密閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、無菌医療用器具をタンパーエビデントな容器に提供するためのパッケージに関する。特に、本開示は、レーザー熱密閉マークを含む針ハードパックおよびそれを形成、用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
医療用器具、特に、針や注射器のような鋭い表面を含む医療用器具は、剛性パックまたはハードパックとして公知の固いプラスチック収容器にパッケージされ得る。ハードパックは、容器(カートリッジと呼ばれることもある)と、ハードパックを閉じるために容器に取り外し可能に取り付けられるキャップまたはカバーを含み得る。ハードパックは、密閉され得、それにより医療用器具の周りに無菌バリアを提供する。
【0003】
いくつかのケースにおいて、密閉は、ハードパックのキャップとカートリッジの間の接触インダクションにより発生させられ得る。密閉は、キャップおよびカートリッジを一緒に支え、一度キャップが取り外されると、接触インダクションプロセスによりキャップおよびカートリッジ上に発生させられたマークの不整列による示しを提供する。密閉は、半田または抵抗ヒーターの先をハードパックに対して接触させ、キャップおよびカートリッジのプラスチックを融解させることにより形成され得る。プラスチック変形は、ヒーターの先がハードパックに接触する場所で生じ、それによりマークを発生させる。ヒーターの先をハードパックから取り外すことによってもプラスチックをあふれ出させ得、それによって接触場所の増加した外径を作る。この方法は、また、ヒーターの先がハードパックの表面から引き離されたとき、プラスチックスレッドの形成にもなり得る。
【0004】
接触インダクション密閉を有するハードパックを開封するためには、密閉の反対の側面上に力を適用することにより密閉を割り、次いで、キャップをひねるという2段階プロセスが要求される。最初に割る力を適用しない場合、ひねり外す力は、20インチオンス以上になり得、これは、手による適用が極めて困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トルク特性が制御され得ることにより、ハードパックを開封するために要求されるトルクを減らし、したがって、開封プロセスを単純化する密閉を提供することが有利である。プラスチックの取り替えおよび増強なしに、「清潔な」マークを残す密閉を提供することも、また、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本開示は、医療用デバイスまたは薬剤を保管するのに適切な固いプラスチック収容器(本明細書の実施形態では、剛性パックまたはハードパックと呼ばれる)を提供する。実施形態において、本開示のハードパックは、開いた端および閉じた端を有する本体(本体は、内部空洞を規定する)を含むカートリッジと、本体の開いた端に設置されるように構成されているキャップと、カートリッジとキャップとの間の界面の周りにつけられた少なくとも1つのレーザー熱密閉マークとを含む。
【0007】
本開示のハードパックを発生させる方法も提供される。実施形態において、レーザー密閉されたハードパックを形成する本開示の方法は、カートリッジおよびキャップを組み立てることと、レーザー熱密閉マークを形成するためにレーザーエネルギーをカートリッジおよびキャップ界面で適用することとを含み得る。
【0008】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1) ハードパックであって、該ハードパックは、
開いた端と閉じた端とを有する本体を含むカートリッジであって、該本体は、内部空洞を規定する、カートリッジと、
該本体の該開いた端に設置されるように構成されているキャップと、
該カートリッジと該キャップとの間の界面の周りにつけられた少なくとも1つのレーザー熱密閉マークと
を含む、ハードパック。
(項目2) 細長いシース本体の上記開いた端および上記キャップは、上記カートリッジおよび該キャップをつなぐための嵌合構造を含む、上記項目のいずれかに記載のハードパック。
(項目3) 上記カートリッジおよび上記キャップは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニリデン、それらのコポリマーおよび組み合わせからなる群から選択された貫入耐性材料から製造される、上記項目のいずれかに記載のハードパック。
(項目4) 上記レーザー熱密閉マークは、直線のマークを含む、上記項目のいずれかに記載のハードパック。
(項目5) 上記レーザー熱密閉マークは、形状、記号、数字、テキストおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、上記項目のいずれかに記載のハードパック。
(項目6) 上記レーザー熱密閉マークに沿って視覚化因子をさらに含む、上記項目のいずれかに記載のハードパック。
(項目7) レーザー密閉されたハードパックを形成する方法であって、該方法は、
カートリッジおよびキャップを組み立てることと、
レーザー熱密閉マークを形成するためにレーザーエネルギーを該カートリッジおよびキャップ界面に適用することと
を含む、方法。
(項目8) レーザーエネルギーを上記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、上記ハードパックの表面の約1ミリメートル以下の深さに該レーザーの焦点を当てることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9) レーザーエネルギーを上記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、上記ハードパックの表面の約0.5ミリメートル以下の深さに該レーザーの焦点を当てることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10) レーザーエネルギーを上記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、上記ハードパックの厚さの約25%未満の部分を熱することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11) レーザーエネルギーを上記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、上記ハードパックの厚さの約15%未満の部分を熱することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12) レーザーエネルギーを上記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、上記ハードパックの厚さの約5%未満の部分を熱することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13) レーザーエネルギーを適用することは、赤外線範囲のエネルギーを出力するレーザーを適用することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14) 赤外線範囲のエネルギーを出力する上記レーザーは、COレーザーを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15) 赤外線範囲のエネルギーを出力する上記レーザーは、ネオジム:YAGレーザーを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16) 上記レーザーエネルギーは、約5ワットから約100ワットまでの電力で適用される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17) 上記レーザーエネルギーは、約20ワットから約50ワットまでの電力で適用される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18) 上記レーザーエネルギーは、約0.05ミリメートルから約5ミリメートルまでのビーム幅で適用される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19) 上記レーザーエネルギーは、約0.1ミリメートルから約1ミリメートルまでのビーム幅で適用される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0009】
(摘要)
カートリッジおよびキャップを含むハードパックデバイスは、無菌医療用器具を保護することに対して有用である。カートリッジは、開いた端および閉じた端を有する本体を含み、内部空洞を規定する。キャップは、カートリッジの内部空洞を囲むために本体の開いた端に対して設置されるように適合されている。レーザー熱密閉マークは、カートリッジとキャップとの間の界面につけられ、デバイスを密閉する。
【0010】
本開示のハードパックデバイスのさまざまな実施形態が本明細書で図面に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、本開示の実施形態に従ったハードパックの概略的例示である。
【図1B】図1Bは、パーツを分離した図1Aのハードパックの概略的例示である。
【図2】図2は、本開示の実施形態に従った複数のレーザー熱密閉マークを含むハードパックの概略的例示である。
【図3】図3は、本開示の別の実施形態に従ったレーザー熱密閉マークを含むハードパックの概略的例示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
本開示のハードパックデバイスは、医療用器具のために無菌環境を提供し、タンパーエビデントな密閉およびデバイスを開封するために要求されるトルク値に対する制御を提供する。ハードパックは、その中に医療用器具を配置するための内側空洞を規定する本体を含むカートリッジと、カートリッジの内側空洞を囲むためのキャップとを含む。ハードパックは、例えば、針、注射器、針およびハブアセンブリ、針および注射器アセンブリ、などのような注入および穴あけデバイスのようなさまざまな医療用デバイスを含み得る。ハードパックは、所望の医療用デバイスを収納するようにサイズおよび形状が合わせられ得る。ハードパックは、円形、楕円形、正方形、長方形または台形を含む任意の等辺等角または不等辺不等角な断面形状を有し得る。ハードパックを通して、1つの断面形状または断面エリアがある場合があるが、ある必要はない。
【0013】
ここで図面を参照すると(類似の参照番号は、いくつかの図を通して同一または実質的に類似のパーツを識別する)、本開示に従ったハードパックデバイスの実施形態が提供される。下記の説明および図面は、細長いシース構成を有するハードパックを描写するが、本開示の方法は、任意の形状または構成のハードパックを密閉するために使用され得る。
【0014】
図1Aおよび図1Bは、通例、参照番号100で参照されるハードパックの実施形態を例示する。ハードパック100は、カートリッジ110およびキャップ120を含む。カートリッジ110は、開いた端114および閉じた端116を有する細長いシース本体112を含み、内部空洞118を規定する。細長いシース本体112の開いた端114は、一般的には、医療用器具140を通し、導入するための所定の直径を有する円筒形の開口部であり得る。内部空洞118は、医療用器具140を格納するための容器または器として機能する。キャップ120は、カートリッジ110の内部空洞118を囲むために、細長いシース本体112の開いた端114に取り外し可能に接続可能である。キャップ120の内径は、細長いシース本体112の開いた端114の外径を収納するようにサイズおよび寸法が合わせられ得る。実施形態において、細長いシース本体112の開いた端114とキャップ120とは、例えば、スナップフィットまたは摩擦フィットによるようなキャップ120をカートリッジ110に固定する嵌合構造を含むように構成され得る。あるいは、本体112およびキャップ120は、ねじぶたを形成するスレッドのような嵌合構造を含み得る。
【0015】
カートリッジ110およびキャップ120は、本明細書で説明される場合、レーザーエネルギーを吸収することが可能な耐突刺ポリマー素材から製造され得る。ポリマー素材は、結晶または半結晶素材であり得る。あるいは、ポリマー素材は、アモルファス素材であり得る。レーザー処理は、素材の結晶性を変化させる場合があるが、変化させる必要はない。一実施形態において、カートリッジ110およびキャップ120は、同じ素材から形成され得る。別の実施形態において、カートリッジ110およびキャップ120は、実質的に類似した融解特性を有する異なる素材から形成される。
【0016】
カートリッジおよび/またはキャップが製造され得る適切な素材は、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンを含む)およびアタクチック、イソタクチック、シンジオタクチックおよびそのブレンドを含むポリプロピレンのようなポリオレフィン;ポリエチレングリコール(PEG);酸化ポリエチレン;ポリエチレンのコポリマーおよびポリプロピレン;ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー;フッ化エチレン、フッ化プロピレン、フッ化PEGおよびポリテトラフルオロエチレンのようなフッ化ポリオレフィン;ポリアミド;ポリアミン;ポリイミン;ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸ポリトリメチレンおよびテレフタル酸ポリブチレンのようなポリエステル;ポリエステル;ポリブトエステル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル;塩化ポリビニルのようなビニルハロゲン化ポリマーおよびコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル;ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニルのようなポリハロゲン化ビニリデン;ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリスチレンのような芳香族ポリビニル;ポリ酢酸ビニルのようなポリビニルエステル;エチレンメチルメタクリル酸塩コポリマーのような互いおよびオレフィンとのビニルモノマーのコポリマー;アクリロニトリルスチレンコポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂;エチレンビニルアセテートコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;シリコン;およびコポリマーおよびその組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0017】
図1Aおよび図1Bに戻ると、ハードパック100は、カートリッジ110とキャップ120の間の界面の周りにつけられた少なくとも1つのレーザー熱密閉マーク130を含み、レーザー熱密閉マークは、カートリッジ110およびキャップ120を横断して延在する。レーザー熱密閉マーク130は、カートリッジ110およびキャップ120を密閉するために使用され、カートリッジ110およびキャップ120が開けられていないということの印を提供し、それによって、器具汚染に対して保護し、医療用器具に対して無粒子および無菌環境を提供する。
【0018】
レーザー熱密閉マーク130は、キャップ120の内側表面およびカートリッジ110の内側表面を貫通することなしにカートリッジおよびキャップ界面の周りのエリアを熱し、融解させるのに十分なエネルギーをハードパック100に伝播することが可能な任意のレーザーにより提供され得る。したがって、レーザーは、ハードパックの選択表面エリアのみを熱し、ハードパックおよび/または医療用デバイスの残りの部分は実質的に熱しない。実施形態において、ハードパックの表面は、ハードパック100のキャップ120およびカートリッジ110を形成するために使用されるポリマー素材の約融解オンセット温度または融解ピーク温度まで熱せられる。
【0019】
レーザーは、カートリッジおよびキャップ界面のハードパックの表面またはその近くに焦点が当てられ得る。実施形態において、レーザーは、ハードパックの表面の多くとも約1ミリメートル下の深さまで焦点が当てられる。いくつかの実施形態においては、ハードパックの表面の多くとも約0.5ミリメートル下まで焦点が当てられる。さらに別の実施形態においては、ハードパックの表面の多くとも約0.1ミリメートル下まで焦点が当てられる。あるいは、ハードパックの厚さのより大きな部分が熱せられ得る。実施形態において、ハードパックの厚さの約25%より少ない部分が熱せられる。別の実施形態おいては、ハードパックの厚さの約15%より少ない部分が熱せられる。さらに別の実施形態においては、ハードパックの厚さの約5%より少ない部分が熱せられる。
【0020】
実施形態において、本開示での使用に適切なレーザーは、可視赤色光または赤外線光を発生させるレーザーを含む。実施形態において、ガスレーザーは、中間−遠赤外線範囲(例えば、約1μmから約30μmまでであり、実施形態において、約5μmから約15μmまでであり、別の実施形態において、約10μmのエネルギーを提供し得る。赤外線発光が可能なレーザーは、例えば、ヘリウムレーザー、ヘリウム−ネオンレーザーおよび二酸化炭素(CO)レーザーを含む。赤外線発光が可能なさらなるレーザーは、ダイオードレーザー、赤外線ネオジムレーザーおよびネオジム:YAGレーザーのようなソリッドステートレーザーを含む。適切なレーザーは、当業者の理解の範囲内であり、市販で入手可能なものを含む。
【0021】
実施形態において、レーザーは、約10ワットから約100ワットまでの通常の電力出力を有し得る。実施形態においては、約20ワットから約50ワットまでである。より大きいまたはより厚いハードパックは、より小さいまたはより薄いハードパックでの使用のためのレーザーよりも、より高い電力出力を有するレーザーを要求し得る。しかし、実際にハードパックに適用される電力は、より小さくあり得る。例えば、ハードパックに適用されるレーザーエネルギーの電力は、約5ワットから約30ワットであり得、実施形態において、約10ワットから約15ワットである。
【0022】
レーザーのビーム幅は変わり得る。実施形態において、ビーム幅は、約0.05ミリメートルから約5ミリメートルであり得、実施形態において、約0.1ミリメートルから約1ミリメートルであり、別の実施形態においては、約0.5ミリメートルである。いくつかの実施形態において、焦点がぼかされたレーザービームがハードパックのより大きなエリアに対してエネルギーを提供するために採用され得る。
【0023】
レーザーは、連続的であり得るか、またはパルスされ得る。パルスされたレーザービームを使用する実施形態において、レーザービームのパルス継続時間は、1パルスあたり約0.05秒より短くあり得、実施形態において、1パルスあたり約0.01秒より短く、別の実施形態において、1パルスあたり約0.005秒である。
【0024】
本開示に従った使用のためのレーザーの選択は、カートリッジおよびキャップを形成するために使用されるポリマー素材の吸収スペクトル、ポリマー素材の融解オンセットおよび融解ピーク温度またはガラス転移温度、レーザーの発光波長、レーザーの焦点深度、レーザーの電力出力、レーザービーム幅、レーザーが適用される時間(およびレーザービームがパルスされるか、連続的か)、それらの組み合わせなどのようなファクターにより、少なくとも部分的には決定される。
【0025】
実施形態において、ハードパックは、レーザーでの処理のためにジグまたは他のホルダーにハードパックを固定することにより、レーザーエネルギーを受けるように位置づけられ得る。実施形態において、ハードパックは、レーザービームの選択されたデバイスの部分上への正確なねらいを可能にするために、輪郭のはっきりした位置に支えられる。十分なレーザーエネルギーがハードパックの選択部分を熱するのに十分な電力レベルで時間期間供給され、キャップのポリマーをカートリッジの細長いされたシース本体のポリマーに融解させる。
【0026】
レーザーエネルギーは、従来の制御手段を用いて、任意の所望の配置またはパターンでハードパックに提供され得る。例えば、検流計および他の制御手段がレーザービームの配置を制御するために、鏡と組み合わせて用いられ得る。可動な鏡と組み合わせた検流計は、スキャナと呼ばれ得、そのようなスキャナは、当業者の理解の範囲内である。直交搭載のスキャナのペアは、レーザービームを2次元(x軸およびy軸)で制御するために用いられ得、さまざまなパターンのレーザーエネルギーをハードパックに提供するために用いられ得る。したがって、スキャナおよび類似のシステム、当業者の理解の範囲内のビームスプリッタおよび他の装置が本開示で使用される単数または複数のレーザービームを制御するために用いられ得る。実施形態において、コンピューター使用の制御がレーザーシステムの自動化制御を提供するために用いられ得る。そのような制御システムは、しばしば、プラスチックのような素材を切断またはエッチングするために用いられるレーザーシステムで採用され、そのような従来の制御は、本開示での使用に容易に取り入れられ得る。
【0027】
レーザーエネルギーは、任意の所望のパターンまたは形状で、ハードパックの表面に対してスキャンされ得る。したがって、レーザー熱密閉マーク130は、臨床医が触覚または視覚的に知覚可能な、カートリッジ110およびキャップ120界面にまたがって延在する任意の構造を含み得る。図1Aおよび図1Bに例示されるように、レーザー熱密閉マーク130は、キャップ120と、カートリッジ110の細長いシース本体112との表面の部分にまたがって直線に延在するようにつけられ得る。マーク130の数、幅およびサイズ、マーク130間のスペースは、レーザーのパラメータおよびハードパックを開封するために要求されるトルクに依存して変わり得ることは、認められるべきである。
【0028】
図2は、図1に見られるハードパック100に類似するが、細長いされたシース本体210とキャップ220との間の界面に、複数のレーザー熱密閉マーク230を含むハードパック200の実施形態を例示する。図2に例示されるように、3つの非直線マーク230が示される。マークは、形状、記号、数字および/またはテキストのようなさまざまな他の印を含み得る。例示的な例として、図3は、テキスト「SEAL」(密閉)を含むレーザー熱密閉マーク330を含むハードパック300を示す。あるいは、マークは、カートリッジおよびキャップ界面の周囲の連続的マークであり得る。
【0029】
したがって、本開示に従ってレーザーで密閉されているハードパックを開封するために要求されるトルクは、ハードパック内に格納される医療用器具とその意図された使用に依存して調節され得、それは、ハードパックを開封するために必要な力の量に対応し得る。全般的に、本開示に従って密閉されたハードパックを開封するために要求されるトルクの量は、約3インチオンスから約30インチオンスまでであり得、実施形態において、約6インチオンスから約20インチオンスまでである。
【0030】
実施形態において、ハードパックを形成するポリマーは、密閉の可視性を改善するための視覚化因子を含み得る。実施形態において、視覚化因子は、レーザー熱密閉マークに沿り得るか、またはレーザー熱密閉マークに隣接し得る。視覚化因子は、染料のようなさまざまな非毒性着色物質から選択され得る。適切な染料は、当業者の理解の範囲内であり、例えば、FD&C Blue #1、FD&C Blue #2、FD&C Blue #3、FD&C Blue #6、D&C Green #6、メチレンブルー、インドシアニングリーン、他の着色染料およびそれらの組み合わせを含み得る。蛍光性化合物(例えば、フルオレセインまたはエオシン)のようなさらなる視覚化因子が用いられ得ることが予想される。実施形態において、レーザー熱密閉マークは、デバイスの表面上のマークをより明確に視覚化するために着色され得る。2つ以上のマークを使用する実施形態において、各マークは、密閉の整列と完全性の視覚化のために、異なる色であり得る。視覚化因子は、例えば、加圧器で処理するなど、熱せられることにより無菌化された際に、見えるようになり得、したがって、視覚化因子は、ハードパック内に配置される医療用器具が無菌である示しも提供し得ることが予想される。
【0031】
レーザー熱密閉マークを作成する方法は、当業者の理解の範囲内であり、本開示での例として与えられる技術を含むが、それに限定されない。
【0032】
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために提出されている。これらの実施例は、例示的意図のみであり、本開示の範囲を限定する意図ではない。
【実施例】
【0033】
(実施例)
以下の非限定的例は、密閉されたハードパックを開封するために要求される所望のトルクを変更するために、レーザーパラメータがどのように変えられ得るかを示している。
【0034】
Keyence Corporation, Woodcliff Lake, N.J.から市販で入手可能なCOレーザー(モデルML−G9310)が、熱密閉マークをCovidienの部局であるKendall Corp.により商標MONOJECTTM 250Eのもと販売されるハードパック上につけるために使用される。約2インチオンスから約7インチオンスまでの範囲のトルクを提供することが望ましい。
【0035】
下記の表1に示されるように、さまざまなレーザーセッティングで23試行行われた。各試行は、表1に示されるセッティングで、ハードパックのカートリッジおよびキャップ界面に1つの直線のマークを作成することを含む。
【0036】
【表1】

各試行は、5つのサンプルで行われ、各サンプルを開封するために要求されるトルクは、下記の表2に提供される。AccuForceトルクチェック(Ametek Inc.から)(0〜200インチオンスで動作)を用いて計測される。密閉ハードパックアセンブリは、カートリッジまたはシース側面をトルクセンサーを含む固定チャンクデバイス内にして、設置される。次に、スプリング積載ロッキングデバイスが下げられ、ハードパックアセンブリのキャップ部分の上面に固定される。次いで、器具がゼロ合わせさせられ、押しボタンが押される。これは、キャップに適用されるトルクを作る電気モーターを回転させ始める。モーターは、キャップを1回転回し続け、次いで、スイッチが切れる。ピークトルク値は、テスト器具により記録される。
【0037】
【表2】

上記の表1および表2に例示されるように、レーザーセッティングパラメータにおける変化は、ハードパックを開封するために要求されるトルクを変更する。
【0038】
次いで、さらなる30サンプルが下記の表3に示されるように、試行23のレーザーセッティングで評価される。
【0039】
【表3】

上記の表3で例示されるように、試行23のレーザーセッティングは、熱密閉を開封するために平均6.8インチオンスの約3インチオンスから約11インチオンスまでのトルクを生ずる。
【0040】
(比較実施例)
Covidienにより250Eバイアルとして販売される、従来のハードパック密閉を有する市販で入手可能なバイアルが上記の実施例で説明されるのと同じ方法でテストされる。72サンプルがテストされ、結果が下記の表4に記載される。
【0041】
データは、250Eキャップまたはカートリッジ寸法(型穴により規定される)がトルクオフ力に影響を有するのかどうかを確かめるために収集される。3ファクター直交テストマトリックスが2×3×3レベルで準備され、最初の2レベルファクターは、無菌化であり、2つの3レベルファクターは、カートリッジ型番およびキャップ型番である。トルク単位は、インチオンスである。比較データから分かり得るように、比較実施例は、熱密閉を開封するために、より高いトルクを要求する。これは、無菌化または型番のファクターは有意でないという結論をサポートする。
【0042】
【表4−1】

【0043】
【表4−2】

本開示に従って、単数または複数のレーザー熱密閉マークをさまざまな異なるハードパック上に作成し、所望のトルクを得るために、さまざまなレーザーが用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、上記例で説明されるレーザーは、異なる素材および壁厚さのハードパックに使用され得、所望のトルク特性を有するあつらえの熱密閉マークを提供する。
【0044】
開示のいくつかの実施形態が本明細書で説明されたが、開示はそれに限定する意図ではなく、開示は範囲内で当分野が許容する限り広く、明細書も同様に読まれることが意図される。そのため、上記説明は、限定的と解釈されるべきではなく、本開示の実施形態の例示に過ぎない。単数または複数のレーザー熱密閉マークのサイズ、数およびタイプ、ハードパックデバイスのさまざまな改変および変形、単数または複数のレーザー熱密閉マークを形成する方法のさまざまな改変および変形は、先述の詳細な説明から当業者には明らかである。そのような改変および変形は、これに添付の特許請求の範囲の範囲および精神内であることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
100 ハードパック
110 カートリッジ
112 細長いシース本体
114 開いた端
116 閉じた端
118 内部空洞
120 キャップ
140 医療用器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードパックであって、該ハードパックは、
開いた端と閉じた端とを有する本体を含むカートリッジであって、該本体は、内部空洞を規定する、カートリッジと、
該本体の該開いた端に設置されるように構成されているキャップと、
該カートリッジと該キャップとの間の界面の周りにつけられた少なくとも1つのレーザー熱密閉マークと
を含む、ハードパック。
【請求項2】
細長いシース本体の前記開いた端および前記キャップは、前記カートリッジおよび該キャップをつなぐための嵌合構造を含む、請求項1に記載のハードパック。
【請求項3】
前記カートリッジおよび前記キャップは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニリデン、それらのコポリマーおよび組み合わせからなる群から選択された貫入耐性材料から製造される、請求項1に記載のハードパック。
【請求項4】
前記レーザー熱密閉マークは、直線のマークを含む、請求項1に記載のハードパック。
【請求項5】
前記レーザー熱密閉マークは、形状、記号、数字、テキストおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のハードパック。
【請求項6】
前記レーザー熱密閉マークに沿って視覚化因子をさらに含む、請求項1に記載のハードパック。
【請求項7】
レーザー密閉されたハードパックを形成する方法であって、該方法は、
カートリッジおよびキャップを組み立てることと、
レーザー熱密閉マークを形成するためにレーザーエネルギーを該カートリッジおよびキャップ界面に適用することと
を含む、方法。
【請求項8】
レーザーエネルギーを前記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、前記ハードパックの表面の約1ミリメートル以下の深さに該レーザーの焦点を当てることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
レーザーエネルギーを前記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、前記ハードパックの表面の約0.5ミリメートル以下の深さに該レーザーの焦点を当てることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
レーザーエネルギーを前記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、前記ハードパックの厚さの約25%未満の部分を熱することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
レーザーエネルギーを前記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、前記ハードパックの厚さの約15%未満の部分を熱することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
レーザーエネルギーを前記カートリッジおよびキャップ界面に適用することは、前記ハードパックの厚さの約5%未満の部分を熱することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
レーザーエネルギーを適用することは、赤外線範囲のエネルギーを出力するレーザーを適用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
赤外線範囲のエネルギーを出力する前記レーザーは、COレーザーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
赤外線範囲のエネルギーを出力する前記レーザーは、ネオジム:YAGレーザーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザーエネルギーは、約5ワットから約100ワットまでの電力で適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザーエネルギーは、約20ワットから約50ワットまでの電力で適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザーエネルギーは、約0.05ミリメートルから約5ミリメートルまでのビーム幅で適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザーエネルギーは、約0.1ミリメートルから約1ミリメートルまでのビーム幅で適用される、請求項7に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−62118(P2012−62118A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194162(P2011−194162)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】