説明

ハーネス保持具

【課題】 係止部と被係止部とが互いに係合する係止状態(カバー部材の架橋状態)を極力簡単に解除し,カバー部材を開放状態にすることが可能なハーネス保持具を提供すること。
【解決手段】 被保持部11を保持する保持部10aの,ねじり方向T側の縁部の大部分を切り欠いておく。係止部19と被係止部15とが互いに係合して架橋状態にあるカバー部材β2を,前記ねじり方向Tに向けて回動することにより,前記係止部19と前記被係止部15との係合が解除され,前記カバー部材β2を開放状態とすることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ケーブル等のワイヤーハーネスを嵌装しつつ所定の基材上で保持するハーネス保持具に関するものであり,前記ワイヤーハーネスを保持する架橋状態からそうでない開放状態への切り替えが容易であるハーネス保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の製造の際には,所定の基材上に,ケーブル等の配線部材であるワイヤーハーネス(以下,ハーネスという)を配線する必要がある。前記基材上において,前記ハーネスの配線経路は予め定められており,複数の前記ハーネスを結束させた状態で自身が前記基材上に固定されることにより,前記ハーネスを前記配線経路上で保持するハーネス保持具が用いられている(特許文献1等)。
図1は,特許文献1に開示されている,従来例に係るハーネス保持具Bが取り付けられた基材Xの斜視図である。
図1に示される,例えばシールドケースなどの部材である基材X上において,ハーネス(不図示)の配線経路が予め定められている。また,該配線経路上の複数箇所には長孔7(図5参照)が設けられている。その長孔7には,前記ハーネスを前記配線経路上で固定するためのハーネス保持具Bが嵌め込まれて固定されている。前記ハーネス保持具Bの前記基材Xに対する固定方法については後述する。
【0003】
図5は,従来例に係るハーネス保持具B及び基材Xの長孔付近の斜視図である。以下,図5を参照しつつ,従来例に係るハーネス保持具Bの構造について説明を行う。
図5に示される如く,従来例に係るハーネス保持具Bは,ベース部材β1とカバー部材β2とを有し,例えば金型により一体成型されたプラスチックからなる部材である。
前記ベース部材β1の下方には,前記基材X上における前記ハーネスの配線経路に前記ハーネス保持具Bを固定するための固定部1が設けられている。
前記固定部1には,その上方に傘部材2が形成されており,該傘部材2の中心から略垂直下方向に伸びて支柱3が形成されている。前記傘部材2の両端には,前記支柱3の方向へと略水平方向に伸びる鍔部4が形成されている。また,該鍔部4各々の先端には下方への突出部5が形成されている。更に,前記支柱3の下方には水平方向に伸びた長方形状の板状部材6が形成されている。
【0004】
図5に示されるように,前記基材Xの複数箇所には,前記板状部材6を挿通することが可能な長孔7が形成されている。
前記ハーネス保持具Bの前記基材Xへの固定は,以下のように行う。
図5に示されるように,前記長孔7の長手方向とを前記板状部材6の長手方向とが揃うように,前記ハーネス保持具Bの水平方向の向きを定めた状態で,前記板状部材6を前記長孔7に対して挿通させる。その挿通に伴って,前記突出部5各々が前記基材Xの表面に当接し,前記鍔部4は上方へと反るように弾性変形する。また,前記鍔部4が弾性変形した状態で,前記板状部材6が前記基材Xの裏面側に突出する。
そのような状態で,前記ハーネス保持具Bを基材Xの表面に沿って回転させる。その回転角度が略90°付近になると,前記鍔部4の伸びる方向と前記長孔7の長手方向が一致し,前記突出部5が前記長孔7に達する。前記突出部5相互の距離と前記長孔7の長手方向の長さとは略一致するように定められている。これにより,前記突出部5各々が前記長孔7の長手方向の両端付近に落ち込むと共に,前記鍔部4の弾性変形が解除される。また,前記板状部材6と前記鍔部4とで前記基材Xを表裏から挟み込んだ状態になる。以上により,前記ハーネス保持具Bが前記基材X上で固定される。
【0005】
前記ベース部材β1において,前記固定部1の上方には,前記ハーネスが嵌挿可能な部材であり,略コの字状の断面形状を有する溝部材8が形成されている。
また,前記カバー部材β2は,その一方の端部が薄肉部9を介して,前記溝部材8の一方の端部により弾性的に支持されており,前記薄肉部9を中心として揺動自在である。前記カバー部材β2は,前記薄肉部9を中心として,前記溝部材8へ向かう矢印C方向に押し倒されることにより,前記溝部材8に対して架橋状態となることが可能である。この状態では,前記溝部材8に嵌挿された前記ハーネスが保持される。
ところで,前記溝部材8の,前記カバー部材β2を弾性的に支持する側の端部とは逆側の端部には,前記カバー部材β2の揺動される側の端部を保持する保持部10bが設けられている。また,前記カバー部材β2の前記揺動側の端部には,前記保持部10bにより保持される被保持部11が設けられている。前記保持部10bと前記被保持部11とで前記カバー部材β2を架橋状態で保持する保持機構が形成される。
前記被保持部11は略Vの字型の形状を有しており,その谷部12を中心として,先端部分13が根元部14に近接する状態とそうでない状態との間で弾性変形が可能である。また,前記先端部分13には被係止部15及び鍔部16が形成されている。更に,該被係止部15と鍔部16とで,その間に凹部17が形成されている。
一方,前記保持部10bは,前記被保持部11の略全体を嵌合可能な嵌合孔部18を有する。また,前記保持部10bの縁の一部には,前記嵌合孔部18に向けて突出する係止部19が設けられている。前記係止部19と前記被係止部15とが互いに係合されて係止状態になることにより,前記カバー部材β2は架橋状態で保持される。
【0006】
前記カバー部材β2が矢印C方向に押し倒されると,まず前記被保持部11の谷部12が前記嵌合孔部18に嵌挿される。また,前記被係止部15が前記係止部19に対して摺動し,かつ前記先端部分13が前記根元部14に近接するように前記被保持部11が弾性変形する。更に前記カバー部材β2が押し倒されて前記凹部17が前記係止部19に達すると,前記被係止部15と前記係止部19との当接による前記被保持部11の弾性変形が解除され,略元の形状に復元される。これにより,図6に示されるように,前記係止部19が前記凹部17に落ち込みつつ,前記係止部19と前記被係止部15とが互いに係合する係止状態となる。尚,前記被保持部11のみが弾性変形するとは限らず,前記保持部10bにも弾性変形は生じ得る。
前記カバー部材β2には,前記薄肉部9を中心として前記矢印C方向とは逆方向への復元力が作用するが,前記係止部19と前記被係止部15とが係合することにより,前記被保持部11の上方への変位を防止するので,前記カバー部材β2が開放状態となるのが防止される。
【0007】
一方,係止状態の解除は,以下のような操作により行われる。
前記被保持部11の前記鍔部16付近を前記根元部14方向に押圧すると,前記被保持部11は前記谷部12を中心として,先端部分13が根元部14に近接するように弾性変形する。これに伴って,前記係止部19と前記被係止部15とが互いに係合する係止状態が解除され,前記カバー部材β2の前記矢印Cとは逆方向への回動が可能となる。
また,前記カバー部材β2には,前記薄肉部9を中心として前記矢印C方向とは逆方向への復元力が作用しており,前記カバー部材β2は,その復元力により前記矢印C方向とは逆方向に回動され,開放状態にされる。
【特許文献1】特開2003−329024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,従来例に係るハーネス保持具Bは,以下のような問題点を有する。
通常,図1に示される基材Xは,前記ハーネス保持具Bが固定された状態で搬送,保管される。また,その搬送,保管は,それらに要するスペースを削減するために,通常基材Xが複数重ねられた状態で行われる。しかし,そのように前記基材Xが複数重ねられることにより,前記基材X上の配線作業を行う前段階で,前記ハーネス保持具Bが架橋状態(係止部19と被係止部15とが互いに係合する係止状態)にされる。従って,前記基材Xに対して配線作業を行うためには,前記基材X上においてハーネス保持具Bが固定された状態で,カバー部材β2を開放状態にしなければならない。
ところが,上述したように係止部19と被係止部15との係合の解除には,鍔部16付近の根元部14方向への押圧という非常に微細な作業が必要になるという問題点がある。また,前記基材X上には多数の前記ハーネス保持具Bが設けられており,そのような微細な作業を全てのハーネス保持具Bに対して行うと非常に手間がかかる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,係止部と被係止部とが互いに係合する係止状態(カバー部材の架橋状態)を極力簡単に解除し,カバー部材を開放状態にすることが可能なハーネス保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は,ワイヤーハーネス(以下,ハーネス)の配線経路に固定され該ハーネスが嵌装される溝部が形成されたベース部材と,そのベース部材に一端が揺動自在に弾設され前記溝部へ向かう閉方向に押し倒されて前記溝部に対して架橋状態となり前記ハーネスを保持するカバー部材と,前記ベース部材の一部に設けられた保持部と前記カバー部材の揺動側端部に設けられた被保持部とからなる保持機構とを有し,前記カバー部材が押し倒されるのに伴って前記被保持部の一部が前記保持部に対して摺動しつつ,それらの一方又は両方が弾性変形した後に元の形状に復帰したときに,前記保持部に形成された係止部が前記被保持部に形成された被係止部とが係合して前記カバー部材の架橋状態を保持し,そのように保持されたカバー部材を前記閉方向とは直交するねじり方向に回動することにより前記係止部と前記被係止部との係合を解除することが可能なハーネス保持具である。
このように,前記ねじり方向に前記カバー部材を回動するという簡単な操作により,前記係止部と前記被係止部との係合を解除し,前記カバー部材を開放状態とすることが可能である。尚,前記基材X上には多数のハーネス保持具が設けられるので,簡単にカバー部材を開放可能にすることは,作業時間を大きく短縮させることに繋がる。
【0010】
ところで,前記カバー部材の前記ねじり方向への回動を無制限に許容すると,例えば当該ハーネス保持具に保持されたハーネスの前記ねじり方向への摺動に伴う摩擦等により,前記カバー部材が前記ねじり方向に回動されてしまい,当該ハーネス保持具による前記ハーネスの保持が解除されてしまう。そこで,前記被保持部に第1の当接部とこれに対応して前記保持部に第1の被当接部とからなる,以下のような機構を設けておくことが考えられる。
つまり,前記係止部と前記被係止部とが互いに係合して前記カバー部材を保持する係止状態において,前記ねじり方向への前記カバー部材の回動を前記第1の当接部と前記第1の被当接部との当接によって規制する。また,前記カバー部材が前記閉方向へ押圧された場合,前記第1の当接部と前記第1の被当接部との位置がずれて前記カバー方向の前記ねじり方向への回動を可能とする機構である。
このような機構により,例えばハーネスとの摩擦等による,意図しない前記カバー部材の前記ねじり方向への回動が防止される。一方,前記カバー部材を前記閉方向に押圧するという簡単な操作で,前記カバー部材が前記ねじり方向に回動可能な状態になるため,意図的には前記カバー部材を簡単に開放状態とすることが可能である。
尚,前記カバー部材の前記ねじり方向とは逆側の方向(以下,反ねじり方向)への回動を防止するために,前記被保持部に第2の当接部とこれに対応して前記保持部に第2の被当接部とを形成しておくことが考えられる。その場合,前記第2の当接部と前記第2の被当接部とが当接することにより,前記カバー部材の前反ねじり方向の回動が防止される。
【0011】
ここで,前記被保持部において前記第1の被当接部,前記第2の被当接部各々に当接する第1の当接部,前記第2の当接部は,具体的には前記被保持部における側面の一部とするのが簡単である。同様に,前記第1の被当接部及び前記第2の被当接部は,前記保持部における前記ねじり方向及び前記反ねじり方向の縁部の一部とすればよい。また,前記第1の被当接部及び前記第2の被当接部が,前記ねじり方向から見て相互に干渉しない位置に形成されている場合には,当該ハーネス保持具全体を,例えばプラスチックなどの材料から一体成型することが可能となる。
尚,当該ハーネス保持具として,前記被保持部が前記保持部を嵌合して保持するものであっても,逆に嵌合されることにより保持されるものであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,カバー部材から溝部に向かう閉方向とは直交するねじり方向に前記カバー部材を回動するという簡単な操作により,前記溝部を形成する溝部材に設けられた係止部と,前記カバー部材に設けられた前記被係止部との係合を解除し,前記カバー部材を開放状態とすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の一実施形態に係るハーネス保持具が固定された基材の斜視図,図2は本発明の一実施形態に係るハーネス保持具の斜視図,図3は本発明の一実施形態に係るハーネス保持具の保持状態を示す斜視図,図4は本発明の一実施例に係るハーネス保持具の斜視図,図5は従来例に係るハーネス保持具の斜視図,図6は従来例に係るハーネス保持具の保持状態を示す斜視図である。尚,従来例と同様の構成については,従来例においての説明で用いたものと同じ符号を付すことにする。
【0014】
(1)本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aの概略について。
図1に示されるように,例えばシールドケースなどの部材である基材X上では,ワイヤーハーネス(不図示。以下,単にハーネスという)の配線経路が予め定められており,本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aは,その配線経路上において前記基材Xに固定されている。
以下,図2を参照しつつ,本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aの構造について説明する。
図2に示される,本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aは,複数の前記ハーネスが嵌装され結束される溝部材8を有するベース部材α1を有する。前記ベース部材α1の下方には固定部1が形成されており,従来例に係るハーネス保持具B(図5参照)と同様に,前記固定部1を介してハーネスの配線経路に固定される。
また,当該ハーネス保持具Aは,薄肉部9を介して前記溝部材8の一方の端部により弾性的に支持された部材であり,前記薄肉部9を中心として揺動自在に設けられたカバー部材β2を有する。前記カバー部材β2は,前記弾性的に支持された端部を中心として,前記溝部材8へ向かう矢印C方向に押し倒されることにより,前記溝部材8に対して架橋状態となり,前記溝部材8に嵌挿された状態のハーネスを保持する。
本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aの特徴点は,前記溝部材8の一方の端部に設けられ,前記カバー部材β2の揺動側端部にある被保持部11を保持する保持部10aの構造にある。その保持部10a以外の各部,例えば前記被保持部11の構造,下方の固定部1の構造等は,従来例に係るハーネス保持具Bの構造と同様であるため,説明を省略する。
【0015】
(2)保持部10aの構造について。
以下,図2及び図3を参照しつつ,本発明の一実施形態に係るハーネス結束具Aの特徴となる保持部10aの構造について説明する。尚,以下の説明では,前記カバー部材β2を押し倒して前記溝部材8に対する架橋状態にするときの,前記カバー部材β2の回動方向である矢印C方向(閉方向)に直交する方向をねじり方向Tという。また,そのねじり方向Tの逆向きの方向を反ねじり方向RTという。
前記保持部10aは,断面略V字状の前記被保持部11を嵌合して保持することが可能なように,嵌合孔部18が設けられた部材である。前記保持部10aの前記ねじり方向側Tの縁部は略全部が切り欠かれており,その上部において第1被当接部20のみが残されている。また,前記反ねじり方向RTも略上半分が切り欠かれており,下方の部分が第2被当接部21として残されている。
前記第1被当接部20と前記第2被当接部21とは,前記ねじり方向Tから見て相互に干渉しない位置に形成されている。両者の被当接部をそのような位置関係に定めておくことにより,当該ハーネス保持具Aを例えばプラスチックなどの部材で金型により一体成型することが可能である。
尚,この実施形態では,前記保持部10aの前記ねじり方向側Tの縁部における切り欠きが解除機構の一例であると考えられる。
このような構造により,詳しくは後述の操作で,前記係止部19と被係止部15とが互いに係合して架橋状態にある前記カバー部材β2を,前記ねじり方向Tに向けて回動させることが可能であり,その回動により,前記係止部19と被係止部15との係合が解除され,前記カバー部材β2を開放状態とすることが可能である。
【0016】
(3)係止状態の解除操作について。
本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aにおいても,従来例に係るハーネス保持具Bと同様に,前記カバー部材β2を前記閉方向Cに押し倒すことにより,前記係止部19と被係止部15とが互いに係合して係止状態となり,これにより前記カバー部材β2が前記溝部材8に対する架橋状態が保持される。
一方,前記係止状態(前記カバー部材β2の架橋状態)から開放状態への切り替えは,以下のようにして行うことが可能である。
図3は,当該ハーネス保持具Aの係止状態を示す斜視図である。以下,図3を参照しつつ,当該ハーネス保持具Aにおける係止状態の解除方法について説明する。
図3(a)に示される如く,前記係止状態においては,前記被係止部15の前記ねじり方向T側の側面(第1当接部の一例)と,略全部が切り欠かれた前記被保持部10aにおける前記ねじり方向側Tの縁部の残り部分である第1被当接部20とが互いに当接する。これにより,前記カバー部材β2の前記ねじり方向Tへの回動が規制されている。
一方,図3(a)に示される前記係止状態において,前記カバー部材β2が前記閉方向Cへと押圧されることにより,図3(b)に示されるように,前記ねじり方向Tから見て前記被係止部15が前記第1被当接部20に干渉しない位置にまで変位すると同時に,前記被係止部15と前記第1被当接部20とが非当接状態になる。これにより,前記カバー部材β2が前記ねじり方向Tへと回動可能になる。
また,前記カバー部材β2を前記ねじり方向Tへと回動させると,前記係止部19と被係止部15との係合が解除され,前記カバー部材β2に作用する前記閉方向Cとは逆方向への復元力により,前記カバー部材が開放状態となる。
第1当接部の一例である前記被係止部15の前記ねじり方向T側の側面,及び前記第1被当接部20がねじり方向規制機構の一例である。
【0017】
また,図2に示される如く,上述のように,前記保持部10aの前記反ねじり方向RTの縁部も略上半分が切り欠かれており,下方の部分が第2被当接部21として残されている。
図3(a)に示される前記係止状態においては,前記保持部10aの有する前記第2被当接部21と,前記被保持部11における前記反ねじり方向RT側の側面(被保持部に形成された第2の当接部の一例)とが当接する。これにより,前記反ねじり方向RTへの前記カバー部材β2への回動が規制される。
第2の当接部の一例である前記被保持部11の前記反ねじり方向RT側の側面,及び前記第2被当接部21が反ねじり方向規制機構の一例である。
以上,本発明の一実施形態に係るハーネス保持具Aによれば,前記カバー部材β2を前記閉方向Cに向けて押圧しつつ前記ねじり方向Tに回動するという簡単な操作により,前記係止部19と前記被係止部15との係合を解除し,前記カバー部材β2を開放状態とすることが可能である。
【実施例】
【0018】
上述の実施形態においては,保持部10aが前記被保持部11を嵌合して保持するものであったが,これに限られるものではない。即ち,ベース部材側に設けられた保持部がカバー部材側に設けられた被保持部11に勘合されて保持されるものであっても良い。
つまり,図4に示されるように,上述の前記保持部10aの構造(図2参照)を,カバー部材β2’側に設けられた被保持部11’の構造として採用し,前記上述の被保持部11(やはり図2参照)を,ベース部材α1’側に設けられた保持部10a’の構造としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るハーネス保持具が固定された基材の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るハーネス保持具の斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係るハーネス保持具の保持状態を示す斜視図。
【図4】本発明の一実施例に係るハーネス保持具の斜視図。
【図5】従来例に係るハーネス保持具の斜視図。
【図6】従来例に係るハーネス保持具の保持状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0020】
A…本発明の一実施形態に係るハーネス保持具
B…従来例に係るハーネス保持具
X…ハーネス保持具が固定される基材
β1,α1…ベース部材
β2…カバー部材
1…固定部
2…傘部材
3…支柱
4…鍔部
5…突出部
6…板状部材
7…長孔
8…溝部材
9…薄肉部
10…保持部
11…被保持部
12…谷部
13…先端部分
14…根元部
15…被係止部
16…鍔部
17…凹部
18…嵌合孔部
19…係止部
20…第1被当接部
21…第2被当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスの配線経路に固定され該ワイヤーハーネスが嵌挿される溝部が形成されたベース部材と,
前記ベース部材に一端が弾性的に支持されて揺動自在であり前記溝部へ向かう閉方向に押し倒されることにより前記溝部に対し架橋状態となって前記ワイヤーハーネスを保持するカバー部材と,
前記ベース部材の一部に設けられた保持部と前記カバー部材の揺動側端部に設けられた被保持部とからなる保持機構とを具備し,
前記保持機構が,
前記保持部に形成された係止部と前記被保持部に形成された被係止部からなる機構であって,前記カバー部材が前記閉方向に押し倒され,前記被保持部が前記保持部に摺動しつつ前記保持部及び/若しくは前記被保持部が弾性変形した後に略元の形状に復帰することにより前記係止部と前記被係止部とが互いに係合して前記カバー部材を前記架橋状態に保持する係止機構と,
前記係止機構により前記架橋状態に保持されている前記カバー部材を前記閉方向に略直角なねじり方向に回動可能とする機構であって,その回動により前記係止機構による係合を解除して前記カバー部材を開放状態とする解除機構と,
を具備してなることを特徴とするハーネス保持具。
【請求項2】
前記保持機構が,
前記被保持部に形成された第1の当接部とこれに対応して前記保持部に形成された第1の被当接部とからなり,前記係止部と前記被係止部とが互いに係合する前記係止機構の係止状態において前記ねじり方向への前記カバー部材の回動を前記第1の当接部と前記第1の被当接部との当接によって規制するとともに,前記係止状態から前記カバー部材が前記閉方向に押されることにより前記第1の被当接部に対する前記第1の当接部の位置がずれて前記ねじり方向への前記カバー部材の回動規制を開放するねじり方向規制機構を更に具備してなる請求項1に記載のハーネス保持具。
【請求項3】
前記保持機構が,
前記被保持部に形成された第2の当接部とこれに対応して前記保持部に形成された第2の被当接部とからなり,前記ねじり方向に対して反対の反ねじり方向への前記カバー部材の回動を前記第2の当接部と前記第2の被当接部との当接によって規制する反ねじり方向規制機構を更に具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載のハーネス保持具。
【請求項4】
前記保持部が前記被保持部を嵌合して保持するものであり,該保持部に嵌合された前記被保持部における前記被係止部の前記ねじり方向側の側面及び該被保持部の前記反ねじり方向側の側面各々が前記第1の当接部及び前記第2の当接部を構成し,前記保持部における前記ねじり方向側の縁部及び前記反ねじり方向側の縁部各々における,前記ねじり方向側から見て相互に干渉しない位置に前記第1の被当接部及び前記第2の被当接部が形成されてなる請求項3に記載のハーネス保持具。
【請求項5】
前記保持部が前記被保持部に嵌合されてこれを保持するものであり,該被保持部に嵌合した前記保持部における前記係止部の前記ねじり方向側の側面及び該保持部の前記反ねじり方向側の側面各々が前記第1の被当接部及び前記第2の被当接部を構成し,前記被保持部における前記ねじり方向側の縁部及び前記反ねじり方向側の縁部各々における,前記ねじり方向側から見て相互に干渉しない位置に前記第1の当接部及び前記第2の当接部が形成されてなる請求項3に記載のハーネス保持具。
【請求項6】
当該ハーネス保持具全体が,一体成型されたプラスチック部材からなる請求項1〜5のいずれかに記載のハーネス保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−45370(P2007−45370A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234178(P2005−234178)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】