説明

ハーネス支持用部品の組付構造

【課題】ハーネス支持用部品のチューブ係止用の突部をコルゲートチューブの谷部に作業性良くスムーズ且つ確実に係合させて、コルゲートチューブへのハーネス支持用部品の組付性を高める。
【解決手段】コルゲートチューブ12の複数の谷部15の何れかに係合する突部9をコルゲートチューブ挿通空間4の内部に有する分割式のハーネス支持用部品1で、分割式のハーネス支持用部品のコルゲートチューブ挿通空間の端部開口5に、突部に対するとは異なる谷部15に係合するガイド用リブ7を、谷部のピッチの1〜n倍の間隔で突部から離して形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスのコルゲートチューブの谷部に分割式のハーネス支持用部品の突部を係合させて組み付けるハーネス支持用部品の組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の給電装置のハーネス支持用部品の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
この給電装置41は、合成樹脂製のプロテクタ42と、プロテクタ内でワイヤハーネス43を上向きに付勢して弛み吸収する板ばね44と、プロテクタ42の横長の下部開口45から導出されたワイヤハーネス部分に装着されたハーネス支持具46とを備えたものである。
【0004】
ハーネス支持具46は、ワイヤハーネス43の外周側に組み付けられた略球状の分割式のインナクランプ(ハーネス支持用部品)46と、インナクランプ46を周方向回動自在に保持した外側のアウタクランプ(ケース)48とで構成されている。
【0005】
ハーネス支持具46は不図示の車両ボディの乗降口のステップ部の下側等に横置き(水平)に固定され、プロテクタ42は不図示のスライドドアに縦置き(垂直)に固定される。図4で右側が車両前側である。板ばね44の位置やプロテクタ内のワイヤハーネス43の取り回し方向は適宜設定される。
【0006】
スライドドアが前後に開閉するのに伴って、ワイヤハーネス43がプロテクタ42の下部開口45に沿って揺動し、同時にワイヤハーネス43がハーネス支持具46のアウタクランプ48内をインナクランプ47と共に周方向に回動して、ワイヤハーネス43の捩れが防止される。
【0007】
図5は、従来の給電装置のハーネス支持用部品の他の形態を示すものである(特許文献2参照)。
【0008】
この給電装置51は、合成樹脂製のプロテクタ52と、プロテクタ内に設けられた傾斜状ないし山型状(図示せず)のガイドレール53と、ワイヤハーネス54の外周側に組付固定され、ガイドレール53に沿って摺接自在な略球状の分割式の摺動部材(ハーネス支持用部品)55とを備えたものである。
【0009】
プロテクタ52はスライドドアに縦置きに固定され、プロテクタ52の横長の下部開口56から導出されたワイヤハーネス54の先端側にハーネス支持具57が設けられ、ハーネス支持具57は車両ボディ側に横置きに固定される。
【0010】
スライドドアの開閉に伴って、球状の摺動部材55が傾斜状ないし山型状(図示せず)のガイドレール53に沿って前後方向に移動しつつ昇降し、摺動部材55がガイドレール53の最上部に位置した際に、ワイヤハーネス54の弛みが防止される。プロテクタ52を車両ボディに横置きに配置したり、スライドドアではなく、スライドシール側のフロアに配置したりすることも可能である。
【0011】
図6〜図7は、ハーネス支持用部品の組付構造の一形態を参考的に示すものである。図6〜図7では分割式のハーネス支持用部品の半分(一つの分割ハーネス支持用部品)を示している。
【0012】
ハーネス支持用部品は、合成樹脂製の上下ないし左右一対の分割ハーネス支持用部品61で成り、各分割ハーネス支持用部品61は、略半球状の外周面を有する外壁3と、外壁3の内面から径方向に突設されて周方向に延びた複数条(本例で三本)のリブ8と、各リブ8の内周面に突設された複数(本例で三つ)の突起9とを備えている。
【0013】
各リブ8及び突起9の間の前後方向のピッチは、ワイヤハーネス14の外周側の合成樹脂製のコルゲートチューブ12の各谷部(凹溝)15の前後方向(ハーネス長手方向)のピッチの1〜n倍に設定されている。外壁3は、前端にコルゲートチューブ挿通用の略半円状の大径な開口5を有し、後端に略半円状の垂直な径方向の壁部10と、その中央の電線挿通用の小径な開口11とを有している。ワイヤハーネス14は電線部分13の要部をコルゲートチューブ12で覆って構成されている。
【0014】
外壁3の一方(左側)の側部には係止用の爪部19、他方(右側)の側部には係止用の凹部21がそれぞれ設けられている。一対の分割ハーネス支持用部品61は同一形状のものを共通使用可能である。一対の分割ハーネス支持用部品61を相互の爪部19と凹部21とで係止固定させる。
【0015】
図6,図7の状態から矢印Cの如く一方(下側)の分割ハーネス支持用部品61をワイヤハーネス14のコルゲートチューブ12に組み付ける。この際、分割ハーネス支持用部品61の内側の各リブ8の突起9がコルゲートチューブ12の各谷部15に進入係合する。
【0016】
次いで他方(上側)の不図示の分割ハーネス支持用部品をコルゲートチューブ12に同様に組み付けつつ、一方(下側)の分割ハーネス支持用部品61に爪部19と凹部21で係止固定させる。この状態でハーネス支持用部品(61)がコルゲートチューブ12に前後(長手)方向不動に保持される。なお、前後上下左右の方向性は説明の便宜上のものである。
【0017】
上記ハーネス支持用部品(61)以外の構成として、特許文献3(図示せず)には、ワイヤハーネスのコルゲートチューブを挿通させる矩形筒状のプロテクタを樋状の本体と板状の蓋体とで構成し、プロテクタ本体の内面に略U字状の本固定リブを前後一対設け、プロテクタ本体の上部開口の近傍に、一対の本固定リブの間において仮固定リブを本固定リブよりも突出させて設け、プロテクタ蓋体に円弧状の前後一対の本固定リブを設け、プロテクタ本体内にコルゲートチューブを挿通させた状態で、仮固定リブでコルゲートチューブの上向きの移動(抜け出し)を防止したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−62868号公報(図7)
【特許文献2】特開2004−187375号公報(図10)
【特許文献3】特開2009−50107号公報(図1,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記図6,図7に示すハーネス支持用部品の組付構造にあっては、図7の矢印Dの如く、一方の分割ハーネス支持用部品61をコルゲートチューブ12に組み付ける際に、矢印Dの如く分割ハーネス支持用部品61のリブ8の突起(突部)9がコルゲートチューブ12の山部(凸条)16に突き当たって、山部16を凹み変形させてしまうという懸念や、突起9が山部16に突き当たった後、正規位置より前後方向に1ピッチずれた谷部15に突起9が係合して、コルゲートチューブ12に対してハーネス支持用部品(61)が前後方向に位置ずれしてしまうという懸念や、各突起9を各谷部15に位置合わせする手間がかかって、コルゲートチューブ12に対するハーネス支持用部品(61)の組付作業性が悪いという問題があった。
【0020】
本発明は、上記した点に鑑み、ハーネス支持用部品のチューブ係止用の突部でコルゲートチューブの山部を凹み変形させることなく、また、コルゲートチューブに対するハーネス支持用部品の組付位置のずれを生じることなく、コルゲートチューブにハーネス支持用部品を作業性良くスムーズ且つ確実に組み付けることのできるハーネス支持用部品の組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るハーネス支持用部品の組付構造は、コルゲートチューブの複数の谷部の何れかに係合する突部をコルゲートチューブ挿通空間の内部に有する分割式のハーネス支持用部品において、該分割式のハーネス支持用部品の該コルゲートチューブ挿通空間の端部開口に、該突部に対するとは異なる谷部に係合するガイド用リブが、該谷部のピッチの1〜n倍の間隔で前記突部から離れて形成されたことを特徴とする。
【0022】
上記構成により、ハーネス支持用部品を分割した状態でコルゲートチューブに組み付けるに際し、先ず作業者の目視のもとで分割ハーネス支持用部品の端部のガイド用リブがコルゲートチューブの谷部(凹溝)に係合され、次いでガイド用リブを案内として、分割ハーネス支持用部品の内部の突部がコルゲートチューブの他の谷部にスムーズに自動的に係合される。これにより、突部とコルゲートチューブの山部との干渉や、コルゲートチューブ長手方向へのハーネス支持用部品の組付位置ずれが防止される。ハーネス支持用部品は突部とガイド用リブとの両方でコルゲートチューブに長手方向不動に強固に固定される。
【0023】
請求項2に係るハーネス支持用部品の組付構造は、請求項1記載のハーネス支持用部品の組付構造において、前記ガイド用リブに隣接して前記端部開口に、前記コルゲートチューブの山部の外周面を当接可能な内周面が形成されたことを特徴とする。
【0024】
上記構成により、ガイド用リブがコルゲートチューブの谷部に係合した状態で、ガイドリブに隣接する端部開口の内周面が、コルゲートチューブの谷部に隣接する山部の外周面を受けて(当接させて)、コルゲートチューブをガタ付きなく安定に支持させる。
【0025】
請求項3に係るハーネス支持用部品の組付構造は、請求項1又は2記載のハーネス支持用部品の組付構造において、前記ガイド用リブが前記突部と同じ高さで突出したことを特徴とする。
【0026】
上記構成により、分割ハーネス支持用部品の端部のガイド用リブがコルゲートチューブの谷部に係合すると同時に、分割ハーネス支持用部品の内部の突部がコルゲートチューブの他の谷部に係合する。
【0027】
請求項4に係るハーネス支持用部品の組付構造は、請求項1又は2記載のハーネス支持用部品の組付構造において、前記ガイド用リブが前記突部よりも低い高さで突出したことを特徴とする。
【0028】
上記構成により、コルゲートチューブの軸線方向に対して分割ハーネス支持用部品を少し斜めにした状態で、端部のガイドリブがコルゲートチューブの谷部に係合され、次いで分割ハーネス支持用部品を軸線方向に戻す(分割ハーネス支持用部品の軸線をコルゲートチューブの軸線と一致させる)ことで、内部の突部が自動的にコルゲートチューブの他の谷部に係合する。ガイド用リブは突部よりも低いので、コルゲートチューブに強く接合(押接)することがなく、ハーネス支持用部品の端部におけるコルゲートチューブの自由度(スムーズに屈曲できる、屈曲性)や屈曲耐久性が高まる。
【0029】
請求項5に係るハーネス支持用部品の組付構造は、請求項1〜4の何れかに記載のハーネス支持用部品の組付構造において、前記ガイド用リブが前記突部の厚みよりも薄く形成されたことを特徴とする。
【0030】
上記構成により、ガイド用リブが隙間を存してコルゲートチューブの谷部に係合し、隙間の範囲で突部との間隔の誤差や、コルゲートチューブの谷部のピッチ誤差を吸収可能となる。ガイド用リブが薄いので谷部に斜め方向からでもスムーズに係合可能である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1記載の発明によれば、ハーネス支持用部品の端部のガイド用リブを作業者が目視しながらコルゲートチューブの谷部に係合させ、ガイド用リブを案内として、ハーネス支持用部品の内部の突部を自動的にコルゲートチューブの他の谷部に係合させることができるから、ハーネス支持用部品の突部でコルゲートチューブの山部を凹み変形させることなく、また、谷部に対する突部の位置ずれ、すなわちコルゲートチューブに対するハーネス支持用部品の組付位置のずれを生じることなく、しかも、突部とガイドリブとの両方でコルゲートチューブに対する保持力を高めて、コルゲートチューブにハーネス支持用部品を作業性良くスムーズ且つ確実に組み付けることができる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、ガイド用リブがコルゲートチューブの谷部に係合させると共に、ガイドリブに隣接する端部開口の内周面で、コルゲートチューブの谷部に隣接する山部の外周面を受けて、コルゲートチューブをガタ付きなく安定に支持させることができる。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、分割ハーネス支持用部品の端部のガイド用リブをコルゲートチューブの谷部に係合させると同時に、内部の突部をコルゲートチューブの他の谷部に自動的に係合させて、コルゲートチューブへのハーネス支持用部品の組付作業効率を高めることができる。
【0034】
請求項4記載の発明によれば、コルゲートチューブに対してハーネス支持用部品を少し斜めにした状態で、端部のガイド用リブを目視しながらコルゲートチューブの谷部に係合させることで、ガイド用リブの位置決め作業性を高めることができる。ガイド用リブは突部よりも低いので、コルゲートチューブに強く押接することがなく、ハーネス支持用部品の端部におけるコルゲートチューブの屈曲性や寿命を高めることができる。
【0035】
請求項5記載の発明によれば、ガイド用リブとコルゲートチューブの谷部との間の隙間の範囲で、ガイド用リブと突部との間隔の誤差や、コルゲートチューブの谷部のピッチ誤差を吸収して、突部を谷部にスムーズに係合させて、コルゲートチューブへのハーネス支持用部品の組付作業性を高めることができる。また、ガイド用リブをコルゲートチューブの谷部に斜め方向からでもスムーズに係合させることができ、これによってもコルゲートチューブへのハーネス支持用部品の組付作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るハーネス支持用部品の組付構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じくハーネス支持用部品の組付構造を示す、図1の分割ハーネス支持用部品のA−A断面図とコルゲートチューブの平面図である。
【図3】ハーネス支持用部品の一適用例を示す分解斜視図である。
【図4】従来のハーネス支持用部品を含む給電装置の一形態を示す正面図である。
【図5】従来のハーネス支持用部品を含む給電装置の他の形態を示す斜視図である。
【図6】既存のハーネス支持用部品の組付構造を参考的に示す分解斜視図である。
【図7】同じく既存のハーネス支持用部品の組付構造を参考的に示す、分割ハーネス支持用部品の断面図とコルゲートチューブの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1,図2は、本発明に係るハーネス支持用部品の組付構造の一実施形態を示すものである。
【0038】
図1の如く、このハーネス支持用部品1(図3)は、合成樹脂製の上下ないし左右一対の分割ハーネス支持用部品2で成り(図1,図2では一方の分割ハーネス支持用部品2のみを示す)、各分割ハーネス支持用部品2は、略半球状の外周壁3の内側に軸方向のハーネス挿通空間4を有し、外周壁3の前端のコルゲートチューブ挿通用の半円状の大径な前部開口(端部開口)5の内周面6に、径方向に短く突出したガイド用リブ7を有している。
【0039】
さらに、ガイド用リブ7の後方において、ハーネス挿通空間4の内部において略半球状の外周壁3の内周面3aに複数条(本例で三本)のリブ8を並列に有し、各リブ8の内周面8aに複数(本例で三つ)の突起9を有し、外周壁2の後端の垂直な壁部10に電線挿通用の半円状の小径な後部開口11を有している。
【0040】
ガイド用リブ7は、コルゲートチューブ12の谷部(凹溝)15のピッチPの1〜n倍の間隔で周方向のリブ8の突起部9から離れて形成され、分割ハーネス支持用部品2の端部に配置されたことで作業者による目視が容易である。ガイド用リブ7以外の構成は、参考的に示した図6のハーネス支持用部品の構成と同じである。
【0041】
外周壁3の内面3aには、周方向(左右方向)に延びた三本のリブ8に直交して、前後方向に延びた左右一対のリブ17が周方向のリブ8と同じ高さで設けられ、左右一対のリブ17の間における周方向のリブ8の中央に一つの突起9が設けられ、左右の各リブ17の外側に隣接して周方向のリブ8に各一つの突起9が設けられ、中央の突起9は左右の各突起9よりも低く(周方向のリブ8の最下部に)位置している。各突起9は略四角錐状に形成されている。前後左右に交差する各リブ8,17の上端面(突出先端面)8a,17aはコルゲートチューブ12の山部(凸条)16の外周面(符号16で代用)に接触可能である。
【0042】
左右一対のリブ17の前端は前部開口5の内周面6の後端に直交して前部開口5の内周面6と同じ高さに位置し、前端のガイド用リブ7は前部開口5の内周面6の前半において上向きに突出し、図2の如くガイド用リブ7はコルゲートチューブ12の谷部(凹溝)15に対向して位置して、谷部15内に進入係合可能であり、前部開口5の内周面6の後半は半円状の円弧面(符号6で代用)で、図2の如くコルゲートチューブ12の山部(凸条)16の外周面に対向して位置して、山部16の外周面に接触可能である。
【0043】
左右一対のリブ17の後端は分割ハーネス支持用部品2の後端の壁部10に直交して、後端の壁部10の中央の開口11の内周面(符号11で代用)の少し下方に位置する。周方向の各リブ8の左右端8bは外周壁3の左右の側壁18の垂直な内面(符号18で代用)に直交し、一方(左側)の側壁18の水平な上面18aには、係止用の爪部19と、爪部19の前後両側において湾曲状の外面を有する小さな突出壁20とが立設され、他方(左側)の側壁18には、水平な上面から下向きに係止用の凹部21と、凹部21の前後両側において切欠部22とが設けられている。
【0044】
凹部21内に、上側の不図示の分割ハーネス支持用部品(2)の爪部(19)が進入係合する。上側の分割ハーネス支持用部品(2)は下側の分割ハーネス支持用部品2と同じ形状のものである。凹部21は爪部(19)の係止面(19a)を係合当接させる段部21aを有する。各切欠部22内には上側の不図示の分割ハーネス支持用部品(2)の前後の突出壁(20)が進入係合して、突出壁(20)の湾曲状の外面が外周壁3の外周面3bを補完する。
【0045】
分割ハーネス支持用部品2の両側壁18の断面円弧状の外周面3bは外周壁3の断面円弧状の外周面3bと同一の外径で外周壁2の外周面3bの一部を成している。両側壁18の垂直な内面(符号18で代用)は後端の垂直な壁部10の内面に直交して続き、両側壁18の内面の下端18bと後端の壁部10の内面の下端10aとは外周壁3の断面円弧状の内周面3aに交差して続き、両側壁18の上端18aと後壁10の上端10bとは同一水平面上に位置している。
【0046】
周方向の各リブ8は円弧状の上端8aと円弧状の下端8cとを有し、円弧状の上端8aの左右端8a’は左右の側壁18の上端18aまで延長され、円弧状の下端8cは外周壁3の内面3aに交差して続き、前端の半円状の開口5の内周面6の左右端6aは両側壁18の上端18aまで延長され、内周面6の前半の半円状のガイド用リブ7の左右端7aは両側壁18の上端18aよりも少し低い位置で終端している。
【0047】
コルゲートチューブ12は、周方向の山部(凸条)16と谷部(凹溝)15とを複数交互に等ピッチPでチューブ長手方向に並列に配列して成る既存のハーネス保護チューブである。図2の如く、コルゲートチューブ12の谷部15は前後の対向するテーパ状の傾斜面15aと幅狭の底面15bとを有し、前後の対向する傾斜面15aの間の幅はチューブ中心に向かうにつれて漸次縮小され、山部16の外周面に向かうにつれて漸次拡大されている。
【0048】
コルゲートチューブ12は長手方向前方に長く延長され、コルゲートチューブ12の後端12aは分割ハーネス支持用部品2の後壁10の手前で終端し、その状態でコルゲートチューブ12に分割ハーネス支持用部品2が組み付けられる。
【0049】
図2の如く、分割ハーネス支持用部品2の周方向の各リブ8と、各リブ8の内周端8a上の各突起9と、前端のガイド用リブ7とは、コルゲートチューブ12の各谷部15に向けて突出して位置する。本例において、周方向の前側の第一のリブ8の突起9とその後側(中間)の第二のリブ8の突起9とはコルゲートチューブ12の谷部15の1ピッチ分の距離Pで前後方向に離間し、第二のリブ8の突起9と後側の第三のリブ8の突起9とは谷部15の2ピッチ分の距離2Pで前後方向に離間し、第一のリブ8の突起9から谷部15の2ピッチ分の距離2Pでガイド用リブ7が前方に離間して位置している。周方向のリブ8と突起9の数や間隔は適宜設定可能である。
【0050】
本例において、前端のガイド用リブ7は周方向の各リブ8の突起(突部)9と略同じ高さで上向きに突出しており、ガイド用リブ7の上端7bは周方向の各リブ8の突起9の上端9aと略同一水平面上に位置している。ガイド用リブ7の突出高さ(上端7bの位置)を周方向の各リブ8の突起9の突出高さ(上端9aの位置)よりも少し低く設定することも有効である。ガイド用リブ7の高さを周方向の各リブ8の突起9よりも若干高く(谷部15の底面15bに干渉しない程度の高さに)設定することも可能である。
【0051】
本例において、前端のガイド用リブ7の厚みTは周方向の各リブ8の厚みよりも少し薄く、ガイド用リブ7の突出先端部7bは周方向の各リブ8の突起9の突出先端部9aと同様にテーパ状に先細りに尖っており、且つコルゲートチューブ12に傷を付けないように各リブ7,8や突起9の突出先端7b,8a,9aはアール状に丸められている。
【0052】
ガイド用リブ7の厚みTを周方向のリブ8の厚みよりも薄くしたことで、ガイド用リブ7の後側に前部開口5の内周面6が残存し、前部開口5の内周面6でコルゲートチューブ12の山部16の外周面を受けて、コルゲートチューブ12の姿勢を安定させることができる。
【0053】
図2の分割ハーネス支持用部品2は図1の分割ハーネス支持用部品2の中心の縦断面を示したものであるので、中央の突起9の右側に前後(軸)方向の右側のリブ17の上端面17aとその右側(奥側)に位置する突起9とが示されている。外周壁3の外面3bの中央下端の凸部23は、図3の使用形態(ハーネス支持具27のインナクランプ1)におけるケース(アウタクランプ)26に対する周方向回動停止用のストッパであり、従来例の図5の使用形態(給電装置)においては不要である。
【0054】
図2の状態から、コルゲートチューブ12に分割ハーネス支持用部品2を組み付けるには、コルゲートチューブ12の終端(後端)12aが分割ハーネス支持用部品2の後壁10の内側(内面)に近接して収容されるように、コルゲートチューブ12に対して分割ハーネス支持用部品2を位置させる(ここまでは既存の図7の分割ハーネス支持用部品におけると同様である)。
【0055】
この状態で、先ず、前端のガイド用リブ7を作業者が目視でコルゲートチューブ12の前側の谷部15に位置合わせしつつ進入係合させる。その状態を維持しつつ、あるいはそれとほぼ同時に、分割ハーネス支持用部品2をコルゲートチューブ12に径方向に接合させることで、ガイド用リブ7を案内として、内部の作業者の目視不能な周方向の各リブ8の突起9がコルゲートチューブ12の各谷部15に自動的にスムーズに(山部16との干渉等なく)進入係合する。
【0056】
ガイド用リブ7をコルゲートチューブ12の谷部15に入れる際には、コルゲートチューブ12の軸心方向に対して分割ハーネス支持用部品2を少し斜めに傾けて(後壁10をコルゲートチューブ12から径方向に少し離間させ、前部開口5をコルゲートチューブ12の外周面に近づけた状態で)、前端のガイド用リブ7を谷部15に少し斜めに(谷部15の後側の傾斜面15aを狙うように)進入させることも可能である。この方法は、ガイド用リブ7の突出高さ(突出先端7bの位置)を周方向のリブ8の突起9の突出高さ(突出先端9aの位置)よりも低く設定した場合に特に有効である。
【0057】
ガイド用リブ7の厚みTは周方向のリブ8の厚みすなわち突起9の付根側の厚みよりも薄く、且つガイド用リブ7の左右の終端(上端)7aが周方向のリブ8の上端8a’よりも少し低く位置しているので、分割ハーネス支持用部品2を斜めにしても、ガイド用リブ7を谷部15内にスムーズに係合可能である。ガイド用リブ7を谷部15内に係合させた状態で、分割ハーネス支持用部品2をコルゲートチューブ12に径方向に接合させることで、ガイド用リブ7を案内として、周方向の前側のリブ8の突起9から後側のリブ8の突起9にかけての順で各突起9がコルゲートチューブ12の各谷部15に自動的にスムーズに係合する。
【0058】
一方の分割ハーネス支持用部品2をコルゲートチューブ12に組み付けた(接合させた)後、他方の分割ハーネス支持用部品(2)を一方の分割ハーネス支持用部品2とは反対側(例えば上側)からコルゲートチューブ12に同様の手法で、あるいは単に他方の分割ハーネス支持用部品(2)の係止部(爪部19と凹部21)を一方の分割ハーネス支持用部品2の係止部(凹部21と爪部19)に進入係合させることで、他方の分割ハーネス支持用部品(2)のガイド用リブ(7)と周方向の各リブ(8)の突起(9)とがコルゲートチューブ12の谷部15に係合しつつ、両分割ハーネス支持用部品2が合体係止されて、コルゲートチューブ12と一体のハーネス支持用部品1(図3)が構成される。
【0059】
図3は、上記ハーネス支持用部品1の一適用例を示すものである。この適用例は従来の図4の給電装置ないしそれに類する給電装置のハーネス支持具27を構成するものである。
【0060】
一対の分割ハーネス支持用部品2をワイヤハーネス14のコルゲートチューブ12の外周側に組み付けた状態で、ハーネス支持用部品1の大径な前部開口28から前方にコルゲートチューブ12が導出され、ハーネス支持用部品1の小径な後部開口29から後方にワイヤハーネス14の電線部分13が導出される。
【0061】
そのハーネス支持用部品1付きのワイヤハーネス14をハーネス支持具27の下側の分割ケース(アウタクランプベース)25の中間の収容部30内に組み付ける。次いで上側の分割ケース(アウタクランプカバー)24を下側の分割ケース25に組み付けて、両分割ケース24,25の中間の収容部30内にハーネス支持用部品(インナクランプ)1をワイヤハーネス14と一体に周方向回動自在に収容する。
【0062】
両分割ケース24,25は係止手段(上側の爪部32と下側の枠部33)で相互に固定され、ケース(アウタクランプ)26の幅広な前部開口28からコルゲートチューブ12が左右方向揺動自在に導出され、ケース26の幅狭な後部開口29に電線部分13が挟持固定される。上下の分割ケース24,25は前半のハーネスガイド部34と中間の部品収容部30と後半のハーネスガイド部35を有する。
【0063】
ハーネス支持具27は不図示の車両ボディに水平に組み付けられ、ワイヤハーネス14のコルゲートチューブ12が不図示のスライドドア側のプロテクタ内に前後方向揺動自在に導入され、且つコルゲートチューブ12内の電線13がプロテクタの口部から導出されてスライドドア側のワイヤハーネスや補機等にコネクタ接続され、ハーネス支持具27の後部開口29から導出された電線部分13が車両ボディ側のワイヤハーネスにコネクタ接続される。
【0064】
ハーネス支持具27やプロテクタの形状や内部構造は必要に応じて適宜設定可能である。図3のハーネス支持具27のハーネス支持用部品1に代えて、従来例の図5の給電装置のプロテクタ内の摺動用の球状部材として、ハーネス支持用部品1を適用することも可能である。摺動用の球状部材(ハーネス支持用部品1)は車両のスライドシート等の給電装置にも適用可能である。
【0065】
図1,図2の実施形態のハーネス支持用部品の組付構造によって、分割ハーネス支持用部品2の周方向のリブ8の突起9がコルゲートチューブ12の山部16に干渉して山部16を凹み変形させたりする心配が解消される。また、分割ハーネス支持用部品2の周方向のリブ8の突起9がコルゲートチューブ12の山部16に干渉して、所要(狙い目)の谷部15とは1ピッチずれた谷部15に係合して、コルゲートチューブ12に対してハーネス支持用部品1(図3)が長手方向に位置ずれして組み付けられる心配が解消される。
【0066】
また、ガイド用リブ7を案内として、あるいは支点として、周方向の各リブ8の突起9をコルゲートチューブ12の各谷部15にスムーズに係合させることができるから、コルゲートチューブ12に対するハーネス支持用部品1の組付作業性が向上する。また、周方向の各リブ8の突起9に加えてガイド用リブ7がコルゲートチューブ12の谷部15に係合することで、ハーネス支持用部品1によるコルゲートチューブ12の保持力が高まり、大きな外力等でハーネス支持用部品1がコルゲートチューブ12から不意に外れたり位置ずれしたりする心配が解消される。
【0067】
なお、上記実施形態においては、周方向のリブ8の突起(突部)9をコルゲートチューブ12の谷部15に係合させる例で説明したが、例えば突起9に代えて周方向のリブ8を高く突出させて、リブ8の突出先端部(突部)をコルゲートチューブ12の谷部15に係合させることも可能である。
【0068】
何れの場合においても、本発明における分割ハーネス支持用部品2の端部(前端でも後端でも目視できればよい)のガイド用リブ7によって、周方向の各リブ8の突起(突部)9ないし周方向のリブ8の先端部(突部)を位置ずれなくスムーズ且つ確実にコルゲートチューブ12の各谷部15に係合させて、ハーネス支持用部品1をコルゲートチューブ12に長手方向不動に固定することができる。
【0069】
コルゲートチューブ12は断面円形に限らず、断面長円形や断面平型(矩形状に近い形状)のものであってもよく、それらの場合、分割ハーネス支持用部品2の前端のガイド用リブ7や内部の周方向のリブ8は前方から見て半円状ではなく半長円形状ないし半平型状(半矩形状)に形成される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係るハーネス支持用部品の組付構造は、ハーネス支持用部品のチューブ係止用の突部でコルゲートチューブの山部を凹み変形させることなく、また、コルゲートチューブに対するハーネス支持用部品の組付位置のずれを生じることなく、コルゲートチューブにハーネス支持用部品を作業性良くスムーズ且つ確実に強固に組み付けて、例えば自動車のスライドドアやスライドシート等の給電装置の一部品を構成するために利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ハーネス支持用部品
4 コルゲートチューブ挿通空間
5 端部開口
6 内周面
7 ガイド用リブ
9 突部
12 コルゲートチューブ
15 谷部
16 山部
P ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルゲートチューブの複数の谷部の何れかに係合する突部をコルゲートチューブ挿通空間の内部に有する分割式のハーネス支持用部品において、該分割式のハーネス支持用部品の該コルゲートチューブ挿通空間の端部開口に、該突部に対するとは異なる谷部に係合するガイド用リブが、該谷部のピッチの1〜n倍の間隔で前記突部から離れて形成されたことを特徴とするハーネス支持用部品の組付構造。
【請求項2】
前記ガイド用リブに隣接して前記端部開口に、前記コルゲートチューブの山部の外周面を当接可能な内周面が形成されたことを特徴とする請求項1記載のハーネス支持用部品の組付構造。
【請求項3】
前記ガイド用リブが前記突部と同じ高さで突出したことを特徴とする請求項1又は2記載のハーネス支持用部品の組付構造。
【請求項4】
前記ガイド用リブが前記突部よりも低い高さで突出したことを特徴とする請求項1又は2記載のハーネス支持用部品の組付構造。
【請求項5】
前記ガイド用リブが前記突部の厚みよりも薄く形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のハーネス支持用部品の組付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115945(P2013−115945A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260882(P2011−260882)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】