説明

バイアス電圧発生装置および画像形成装置

【課題】負荷側に発生したリークを検出して出力を休止できるバイアス電圧発生装置等を提供する。
【解決手段】二次転写バイアス電源31aは、鋸歯状波発生部310、電圧設定部320、出力制御部330、スイッチ部340、トランス部350、整流部360、負荷370、電圧検出部380、電流検出部390、リーク検出部400、計数部410を備えている。リーク検出部400は、電圧検出部380の出力する信号S4から負荷370におけるリークの発生を検知するとともに、回数計数部410がリークの発生により生じた信号S6のパルスの数を計数し、パルスの数が予め定められた期間(計数期間Tr)において設定回数Nに到達すると、出力制御部330が出力電圧Voの負荷370への印加を休止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアス電圧発生装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機等の画像形成装置では、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像保持体の表面にトナー像が形成された後、そのトナー像が記録用紙等に転写される。このような転写においては、バイアス電圧発生装置などの電源によって発生される高い電圧のバイアス電圧が用いられる。
【0003】
特許文献1には、電源入力をスイッチング手段でスイッチングして電源出力を得る第1の電源装置と、第1の電源回路及び第2の電源回路の出力側をバイパス抵抗で直列に接続し、第1の電源装置からの電源出力に基づいて、第1の電源回路及び第2の電源回路から選択的に出力させる第2の電源装置と、を備えた電源供給システムにおいて、前記第1の電源装置は、前記スイッチング手段の駆動と、基準値と電源出力との誤差増幅と、を含む制御手段を複数設け、前記第2の電源装置は、各電源回路の出力がオフのときに、前記バイパス抵抗より低い抵抗値でバイパスするバイパス手段を第1の電源回路及び第2の電源回路の少なくとも一方の出力側に設けた電源供給システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−232729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、負荷側に発生したリークを検出して出力を休止できるバイアス電圧発生装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、接続される負荷に印加するバイアス電圧を発生する電圧発生手段と、前記電圧発生手段により前記負荷に印加された前記バイアス電圧または当該負荷に流された電流を検出する検出手段と、前記検出手段が出力する信号に現れる電位の変化の回数を計数する計数手段と、前記計数手段の計数する前記電位の変化の回数が予め定められた数を超えた場合に、前記電圧発生手段からの前記負荷への前記バイアス電圧の印加を休止する出力制御手段とを備えるバイアス電圧発生装置である。
請求項2に記載の発明は、前記計数手段は、計数した前記回数が予め定められた周期で消去されることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電圧発生装置である。
請求項3に記載の発明は、前記出力制御手段は、前記電圧発生手段からの前記負荷への前記バイアス電圧の印加を休止した後、予め定められた期間の経過後に、当該電圧発生手段からの当該負荷への当該バイアス電圧の印加を再開させることを特徴とする請求項1または2に記載のバイアス電圧発生装置である。
請求項4に記載の発明は、前記計数手段は、前記検出手段が出力する信号の電位が予め定められた電位を超える場合に前記回数を計数することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバイアス電圧発生装置である。
請求項5に記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を露光し、当該像保持体に静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、バイアス電圧を発生する電圧発生手段と、当該電圧発生手段により印加される当該バイアス電圧または流される電流を検出する検出手段と、当該検出手段が出力する信号に現れる電位が変化する回数を計数する計数手段と、当該計数手段の計数する当該電位が変化する回数が予め定められた数を超えた場合に、当該電圧発生手段からの当該バイアス電圧の印加を休止する出力制御手段とを備え、当該バイアス電圧により前記現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、計数部を備えない場合に比較して、負荷側に発生したリークを検出して出力を休止することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、負荷側のリークをより正確に判別できる。
請求項3の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、負荷側においてリークが回復した場合における装置の停止を不要にできる。
請求項4の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、ノイズによる誤休止をより抑制できる。
請求項5の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、転写手段における過熱をより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】第1の実施の形態における二次転写バイアス電源のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における二次転写バイアス電源の回路構成の一例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態において、リークが発生しない場合における二次転写バイアス電源の信号波形を示す図である。
【図5】第1の実施の形態において、リークが発生した場合における二次転写バイアス電源の信号波形を示す図である。
【図6】第2の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図7】第2の実施の形態における二次転写バイアス電源の回路構成の一例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態において、リークが発生した場合における二次転写バイアス電源の信号波形を示す図である。
【図9】第3の実施の形態が適用される二次転写バイアス電源のブロック構成の一例を示す図である。
【図10】第3の実施の形態における二次転写バイアス電源の回路構成の一例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態において、リークが発生した場合における二次転写バイアス電源の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
<画像形成装置1>
図1は、第1の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。
図1に示す画像形成装置1は、一般にマルチプル型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、矢印A方向に回転可能に配設される像保持体の一例としての感光体ドラム11、矢印B方向に回転可能に配設される中間転写ベルト21に感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)させる一次転写部20、中間転写ベルト21上に転写された重ねトナー像を被転写体の一例としての用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部30、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着部50、画像形成装置1の各機構部を制御する制御部60を備えている。
【0010】
感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電させる帯電ロール12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込む露光手段の一例としてのレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像手段の一例としての現像器14Y、14M、14C、14Kを回転可能に取り付けた回転式現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト21に転写する一次転写ロール15、感光体ドラム11上の残留トナーのうち通常の極性と逆極性に帯電したトナーを一時的に回収するリフレッシャ16などの電子写真用デバイスが順次配設されている。
【0011】
ここで、帯電ロール12は、例えば金属製シャフト表面にエピクロルヒドリンゴム層を形成し、さらにこのエピクロルヒドリンゴム層の表面に酸化錫の導電粉を含有させたポリアミドを厚さ3μmほどコートしたものである。また、リフレッシャ16は、例えば導電化したナイロン繊維を束ねて形成されたブラシである。
【0012】
さらに、感光体ドラム11は、例えば金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層を形成したもので、有機感光層が負極性に帯電するように構成されている。そして、回転式現像装置14は、6個の現像器を備えることができるようになっている。なお、図1では、4個の現像器14Y、14M、14C、14Kを示している。現像器14Y,14M,14C,14Kによる現像は反転現像方式にて行われる。従って、現像器14Y,14M,14C,14Kで使用される粉体の一例としてのトナーは負極性帯電タイプのものである。帯電ロール12には帯電バイアスを印加するための帯電バイアス電源12aが、回転式現像装置14には各現像器14Y,14M,14C,14Kに現像バイアスを印加するための現像バイアス電源14aが、一次転写ロール15には一次転写バイアスを印加するための一次転写バイアス電源15aが、それぞれ接続されている。また、回転式現像装置14には、回転により予め定められた現像器を感光体ドラム11に対向させるための現像装置駆動モータ14bが取り付けられている。なお、感光体ドラム11は接地されている。
【0013】
中間転写ベルト21は、複数(図1では6つ)のロール22〜27に掛け渡されるように構成されている。これらのうち、ロール22、26は従動ロール、ロール23は中間転写ベルト21の位置決めや平坦な一次転写面の形成に用いられる金属製のアイドルロール、ロール24は中間転写ベルト21の張力を一定とするために用いられるテンションロール、ロール25は中間転写ベルト21の駆動ロール、ロール27は後述する二次転写用のバックアップロール(以下ではバックアップロール27と表記する。)である。また、中間転写ベルト21は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等の樹脂または各種ゴム等に導電剤としてカーボンブラックを適量含有させたものからなり、例えば、その表面抵抗率を1011Ω/□、体積抵抗率を1011Ω・cm、厚さを150μmとしたものである。
【0014】
二次転写部30は、中間転写ベルト21のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール31とバックアップロール27等とによって構成される。バックアップロール27は、表面にカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムからなり、その表面抵抗率が7〜10logΩ/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカC)に設定される。このバックアップロール27には二次転写バイアス電圧を印加するためのバイアス電圧発生装置の一例としての二次転写バイアス電源31aが接続されている。一方、二次転写ロール31は接地されている。また、二次転写部30の上流側には、搬送されてくる用紙Pを二次転写部30に案内する用紙搬送ガイド32が取り付けられている。
【0015】
一方、二次転写部30の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト21上に付着する残留トナーを除去するベルトクリーナ40が設けられており、中間転写ベルト21を挟んでベルトクリーナ40に対向する位置には、中間転写ベルト21の内面に沿って板金部材28が配置されている。ベルトクリーナ40は、ステンレスプレート等で構成され中間転写ベルト21のトナー像保持面側に配設されるスクレーパ41と、このスクレーパ41が収容されるクリーナハウジング42とを有している。また、スクレーパ41の一端側はブロック43に挟み込まれることで固定されている。このブロック43は軸44aを中心に揺動するホルダ44に取り付けられている。さらに、ホルダ44の下端側に設けられた凹部44bとクリーナハウジング42下部に設けられた突出部42aとの間には、スクレーパ41を中間転写ベルト21に向けて押し当てるバネ45が取り付けられている。スクレーパ41からみて中間転写ベルト21の移動方向上流側には、除去した異物の外部への飛び散りを抑制するためのフィルムシール46が取り付けられている。
【0016】
また、ホルダ44は、クリーナ駆動モータ44cに接続された図示しないカムによりバネ45の押し当て方向とは逆方向に引っ張るあるいは押し当てを解除できるようになっており、これによりスクレーパ41が中間転写ベルト21に対して接触または離間するようになっている。そして、本実施の形態では、複数色からなるカラー画像が形成される場合には、最終色の一つ前のトナー像が二次転写ロール31およびベルトクリーナ40を通過するまで、これら二次転写ロール31およびベルトクリーナ40が中間転写ベルト21から離間するようになっている。
【0017】
さらに、定着部50は、ハロゲンランプ等の加熱源を内蔵する加熱ロール51と、この加熱ロール51に押し当てられる加圧ロール52とを備えており、これら加熱ロール51と加圧ロール52との間に形成される定着ニップ域にトナー像が転写された用紙Pを通過させることで、定着を行うようになっている。
【0018】
次に、図1に示す画像形成装置1の作像プロセスについて説明する。図示外のスタートスイッチがオンされると、作像プロセスが実行される。まず、帯電ロール12により感光体ドラム11の表面が予め定められた電位に帯電され、次いでレーザ露光器13により画像に対応した静電潜像が書き込まれ、対応する現像器14Y,14M,14C,14Kのいずれかによってこの静電潜像が現像される。例えば、この感光体ドラム11上に書き込まれた静電潜像がイエロー(Y)に対応したものであれば、この静電潜像はイエロー(Y)のトナーを内包する現像器14Yで現像され、感光体ドラム11上にはイエロー(Y)のトナー像が形成される。そして、感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、感光体ドラム11と中間転写ベルト21とが接する一次転写部20において一次転写ロール15に印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム11から中間転写ベルト21に一次転写される。一方、一次転写後に感光体ドラム11上に残留したトナーはリフレッシャ16によって逆極性(本実施の形態では正極性)に帯電したトナーが除去されると共に機械的に均される。なお、球形トナーを用いると転写効率が高く、トナーの残留がほとんど発生しない。よって、ベルトクリーナ40と同様な構成のクリーナを配設しなくても、良好な画像を形成することが可能となっている。
【0019】
このとき、単色画像を形成する場合には、中間転写ベルト21に一次転写されたトナー像を直ちに用紙Pに二次転写する。一方、複数色のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム11上でのトナー像の形成並びに感光体ドラム11上に形成されたトナー像の一次転写が色数分だけ繰り返される。例えば、四色のトナー像を重ね合わせたフルカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム11上に順次イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒(K)のトナー像が形成され、これら各色のトナー像が順次中間転写ベルト21に一次転写される。一方、中間転写ベルト21は、一次転写されたトナー像を保持したまま感光体ドラム11と同一周期で回転し、中間転写ベルト21上にはその一回転毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒(K)のトナー像が転写され、重ねられる。
【0020】
このようにして中間転写ベルト21に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト21の回転に伴って二次転写部30へと搬送される。一方、用紙Pは、図示しないレジストロールにて予め定められたタイミングで用紙搬送ガイド32を介して二次転写部30に供給され、中間転写ベルト21(バックアップロール27)に対して二次転写ロール31が用紙Pをニップする。すると、二次転写部30では、二次転写ロール31とバックアップロール27との間に働く二次転写電界の作用で、中間転写ベルト21に保持されたトナー像が用紙Pに静電転写(二次転写)される。その後、トナー像が転写された用紙Pは定着部50へと搬送されて用紙P上のトナー像が加熱加圧定着され、一方、二次転写部30を通過した中間転写ベルト21上に残留した残留トナーは、ベルトクリーナ40によって除去される。
【0021】
前述したように、二次転写部30では、バックアップロール27に二次転写バイアス(電位)を印加するための二次転写バイアス電源31aが接続されている。そして、二次転写バイアス電源31aは、中間転写ベルト21に保持されたトナー像を用紙Pに転写するとき、接地された二次転写ロール31に対して、バックアップロール27に負(−)の二次転写バイアス(電位)を印加する。
【0022】
<二次転写バイアス電源31aの構成>
図2は、第1の実施の形態における二次転写バイアス電源31aのブロック構成の一例を示す図である。なお、信号の流れを矢印で示している。ここで示す二次転写バイアス電源31aは、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)された信号S2(出力制御部330を経由して信号S3となる。)によりスイッチ部340が備えるスイッチ素子をスイッチングさせることにより、出力電圧Voとして負のバイアス電圧(Vn)(後述する図4参照)を発生するスイッチング電源である。なお、出力電圧Voとは負荷370に印加されている電圧の波形をいい、負であるときはVn、正であるときはVpと表記する。
二次転写バイアス電源31aは、鋸歯状波発生部310、電圧設定部320、出力制御部330、スイッチ部340、トランス部350、整流部360、負荷370、電圧検出部380、電流検出部390、リーク検出部400、回数計数部410、論理回路ORを備えている。
ここで、鋸歯状波発生部310、電圧設定部320、スイッチ部340、トランス部350、整流部360は、電圧発生手段の一例である。また、電圧検出部380、電流検出部390は、検出手段の一例である。回数計数部410は計数手段の一例である。そして、出力制御部330、論理回路ORは出力制御手段の一例である。なお、リーク検出部400は後述するように、電圧検出部380、電流検出部390からの信号を整形する。よって、リーク検出部400は検出手段に含めてもよく、計数手段に含めてもよい。また、リーク検出部400を設けなくともよい。
【0023】
次に、二次転写バイアス電源31aにおける上記各ブロック(各部)の機能と信号の送受信の関係(接続関係)を説明する。
画像形成装置1(図1参照)の制御部60は、二次転写バイアス電源31aの出力電圧Vo(この場合はVn)を設定する基準となる設定電圧Vsetを、電圧設定部320に送信する。また、制御部60は、二次転写動作の開始および停止を指示する信号S0を出力制御部330に送信する。
ここで、制御部60は、設定電圧Vsetとともに信号S0を含んだ信号を送信してもよい。この場合、制御部60は、二次転写バイアス電源31aに設定電圧Vsetとともに信号S0を含んだ信号を送信する。そして、二次転写バイアス電源31aは、例えばトランジスタなどにより、信号S0を分離する。信号S0は、二次転写動作の開始および停止を指示する信号であるので、例えば設定電圧Vsetとともに信号S0を含んだ信号として、設定電圧Vsetに立ち上がりおよび立ち下がりを設け、立ち上がりおよび立ち下りを検出することで、信号S0を分離できる。このようにすると、制御部60から二次転写バイアス電源31aに送信する信号の数を減らすことができる。
【0024】
鋸歯状波発生部310は、パルス幅変調された信号S2を生成する基となる鋸歯状波の信号S1を電圧設定部320に送信する。
電圧設定部320は、信号S1と設定電圧Vset(厳密には後述する信号S11)とから、パルス幅変調(PWM)された信号S2を生成し、出力制御部330に送信する。
出力制御部330は、電圧設定部320から受信した信号S2のスイッチ部340への送信を許可または阻止する。信号S2をスイッチ部340へ送信することの許可または阻止は、制御部60から送信される信号S0と回数計数部410から送信される信号S7とが論理回路ORにより論理和(OR)された信号S8により決められる。なお、信号S2は、出力制御部330から信号S3となって出力される。
【0025】
スイッチ部340は、信号S3により、スイッチング素子(ここでは、一例として電界効果トランジスタFET)をON/OFF(スイッチング)させることにより、スイッチング素子に接続されたトランス部350の一次(入力)側巻線に電流を流す。
トランス部350において、一次(入力)側巻線に流れた電流により、二次(出力)側巻線に電圧が誘起する。
整流部360は、トランス部350の二次(出力)側巻線に誘起された電圧を整流する。これにより、直流の負の電圧(Vn)である出力電圧Voとなる。負荷370は、整流部360に接続され、出力電圧Voが印加(供給)される。
ここでの負荷370は、二次転写部30におけるインピーダンスであって、出力電圧Voが印加される二次転写ロール31、バックアップロール27、中間転写ベルト21、用紙Pなどによって構成される。
【0026】
また、負荷370に印加される出力電圧Voの変動を抑制するため、出力電圧Voを検出する電圧検出部380が整流部360と負荷370との間に接続されている。電圧検出部380は、電位が出力電圧Voに比例した信号S4を出力し、電圧設定部320に送信する。そして、電圧設定部320は、信号S4と設定電圧Vsetとを比較して、出力電圧Voが予め定められた値に近づくように、パルス幅変調された信号S2のデューティ比を制御する。
同様に、負荷370に流れる出力電流Ioの変動を抑制するため、負荷370に流れる出力電流Ioを検出する電流検出部390が整流部360と負荷370との間に接続されている。電流検出部390は、出力電流Ioに比例した信号S5を出力し、電圧設定部320に送信する。そして、電圧設定部320は、出力電流Ioが予め定められた値より大きいときは、出力電流Ioを小さくするように、パルス幅変調された信号S2のデューティ比を制御する。
【0027】
このように、図2に示すブロック構成では、二次転写バイアス電源31aの出力電圧Voを予め定められた値に近づくように制御(電圧制御)すること、または出力電流Ioが予め定められた値を超えて流れない(過電流が流れない)ように制御(過電流制御)することができる。
なお、電流検出部390は、出力電流Ioが予め定められた値に近づくように制御(電流制御)することもできるが、ここでは、過電流が流れないように制御している。
【0028】
一方、電圧検出部380から出力される信号S4は、リーク検出部400にも送信される。リーク検出部400は、信号S4の電位を予め定められた基準電位(後述する基準電位Vref2)と比較した結果を信号S6として、回数計数部410に送信する。後述するように、負荷370においてリークが発生したとき、信号S6の電位がパルス状に変化する。すなわち、信号S6にパルスが発生する。
回数計数部410は、予め定められた期間(計数期間Tr)において信号S6におけるパルスの数を計数する。そして、予め定められた回数(設定回数N)のパルスを計数したとき、信号S7の論理レベルを反転させる。
信号S7は、制御部60からの信号S0と論理和(OR)されて信号S8となって、出力制御部330に送信される。信号S7の論理レベルが反転することにより、出力制御部330は、信号S3のスイッチ部340への送信を阻止する。これにより、出力電圧Vo(このときはVn)の負荷370への印加が停止(休止)する。
【0029】
すなわち、本実施の形態における二次転写バイアス電源31aでは、リーク検出部400は、電圧検出部380の出力する信号S4から負荷370におけるリークの発生を検知するとともに、回数計数部410がリークの発生により生じた信号S6のパルスの数を計数し、パルスの数が予め定められた期間(計数期間Tr)において設定回数Nに到達すると、出力電圧Vo(このときはVn)の負荷370への印加を休止するように構成されている。
【0030】
ここで、負荷370に生じるリークについて説明する。
負荷370に生じるリークは、二次転写部30において、用紙Pが正常に搬送されず、二次転写ロール31とバックアップロール27との間に詰まったり(紙詰まり)、異物が混入したりした場合に生じる。
前述したように、負荷370は、二次転写部30におけるインピーダンスであって、出力電圧Voと接地電位との間に挟まれた、二次転写ロール31、バックアップロール27、中間転写ベルト21、用紙Sなどによって構成される。このインピーダンスは、後述する図3に示すように、並列接続された負荷抵抗RLと負荷容量CLとで表される。
負荷370におけるリークは、紙詰まりや異物によって、これらの負荷抵抗RLおよび/または負荷容量CLが変動することで生じる。負荷抵抗RLおよび/または負荷容量CLが変動すると、出力電圧Vo(絶対値)が低下するとともに出力電流Io(絶対値)が増加する。しかし、二次転写ロール31、バックアップロール27、中間転写ベルト21、用紙Pなどによって構成される負荷抵抗RLは大きいために短絡状態になることは少なく、出力電圧Voは一旦低下した後に回復し、出力電流Ioはいったん増加した後に低下する。
しかし、リークを生じた原因が取り除かれない限り、再度出力電圧Voが低下するとともに出力電流Ioが増加する。すなわち、出力電圧Voの低下と回復(出力電流Ioの増加と低下)が繰り返し生じる。
【0031】
しかし、出力電圧Voの低下および出力電流Ioの増加と、出力電圧Voの回復および出力電流Ioの低下との繰り返しにより、二次転写部30が過熱され、二次転写部30に詰まった用紙Sが発火(紙燃え)する恐れがある。よって、二次転写バイアス電源31aが負荷370におけるリークを検出し、出力電圧Vo(出力電流Io)の印加を一時的に休止できれば、二次転写部30が過熱されることが抑制される。
さらに、制御部60が二次転写部30に異常が生じたことを検知して、二次転写バイアス電源31aの動作を停止する場合において、制御部60の制御基板に設けられた回路などの異常により、制御部60が二次転写バイアス電源31aの動作を停止できない場合であっても、二次転写バイアス電源31aが出力電圧Voの印加を一時的に休止すれば、二次転写部30の過熱が抑制される。これにより、二次転写バイアス電源31aなど二次転写部30を取り巻いて配置された、プラスティックなどによる可燃性の部材の発煙・発火が抑制できる。
【0032】
図3は、第1の実施の形態における二次転写バイアス電源31aの回路構成の一例を示す図である。以下では、鋸歯状波発生部310、電圧設定部320、論理回路OR、出力制御部330、スイッチ部340、トランス部350、整流部360、負荷370、電圧検出部380、電流検出部390、リーク検出部400、回数計数部410を順に説明する。
【0033】
鋸歯状波発生部310は、例えば2個のオペアンプ、抵抗、コンデンサなどを使用することで実現できる。よって、ここでは鋸歯状波発生部310の詳細な回路構成についての説明を省略する。
【0034】
電圧設定部320は、誤差増幅器Amp1、Amp2、比較器Cmp1、ダイオードD1、D2、基準電源Vref1(なお、基準電源Vref1の発生する電位を基準電位Vref1と表記する。他の基準電源についても同様である。)を備えている。
誤差増幅器Amp1の非反転入力端子(以下では、+入力端子と表記する。)は、制御部60に接続され、出力電圧Voである負の電圧(Vn)を設定する設定電圧Vsetが入力される。また、反転入力端子(以下では、−入力端子と表記する。)は、後述する電圧検出部380の出力端子と接続され、出力電圧Voに比例する信号S4が入力される。
誤差増幅器Amp2の+入力端子は、基準電源Vref1に接続され、基準電位Vref1が入力される。また、−入力端子は、後述する電流検出部390の出力端子に接続され、出力電流Ioに比例する信号S5が入力される。
【0035】
誤差増幅器Amp1の出力端子は、信号S9を出力するとともに、ダイオードD1のアノード端子に接続されている。誤差増幅器Amp2の出力端子は、信号S10を出力するとともに、ダイオードD2のアノード端子に接続されている。ダイオードD1のカソード端子およびダイオードD2のカソード端子は、比較器Cmp1の−入力端子に共通に接続されている。そして、信号S9と信号S10とのうち、電位の大きい方が信号S11となって、比較器Cmp1の−入力端子に入力される。
【0036】
比較器Cmp1は2つの入力端子を備えている。比較器Cmp1の−入力端子は、前述したように信号S11が入力される。+入力端子は、鋸歯状波発生部310に接続され、鋸歯状波の信号S1が入力される。なお、+入力端子は負論理入力である。
そして、比較器Cmp1の出力端子は、パルス幅変調された信号S2を出力する。
【0037】
次に、論理回路ORを説明する。論理回路ORは2入力であって、2つのダイオードD3、D4を備えている。論理回路ORの一方の入力端子(ダイオードD3のアノード端子)は、制御部60と接続され、信号S0が入力される。論理回路ORの他方の入力端子(ダイオードD4のアノード端子)は、回数計数部410の出力端子に接続され、回数計数部410が出力する信号S7が入力される。そして、論理回路ORの出力端子(共通に接続されたダイオードD3のカソード端子およびダイオードD4のカソード端子)は、信号S8を出力する。
【0038】
出力制御部330は、2入力の論理回路NORを備えている。論理回路NORの一方の入力端子は、比較器Cmp1の出力端子に接続され、パルス幅変調された信号S2が入力される。他方の入力端子は、論理回路ORの出力端子に接続され、信号S8が入力される。そして、論理回路NORの出力端子は、信号S3を出力する。
【0039】
スイッチ部340は、電界効果トランジスタFET、抵抗R1、R2を備えている。
電界効果トランジスタFETは、nチャネル型であって、ソース端子が接地され、ドレイン端子がトランス部350の一次(入力)側巻線の一方の端子に接続されている。ゲート端子は、抵抗R1を介して、論理回路NORの出力端子に接続され、信号S3が入力される。また、ゲート端子は、抵抗R2を介して接地されている。
なお、抵抗R1は、電界効果トランジスタFETのゲート端子に流れる電流を制限し、抵抗R2は、電界効果トランジスタFETがオンからオフに移行するとき、ゲート端子の電荷を放電する。
【0040】
トランス部350は、一次(入力)側巻線と二次(出力)側巻線とを備えている。一次(入力)側巻線の一方の端子は、電界効果トランジスタFETのドレイン端子に接続され、他方の端子は、直流電源Vdcに接続され、直流電圧Vdcが供給されている。
一方、トランス部350の二次(出力)側巻線は、整流部360に接続されている。
【0041】
整流部360は、整流ダイオードD5および平滑コンデンサCを備えている。そして、整流ダイオードD5は、出力電圧Voが接地電位に対して負になるように、カソード端子が二次(出力)側巻線の一方の端子に、アノード端子が整流部360の出力端子となるように接続されている。そして、平滑コンデンサCの一方の端子は、整流ダイオードD5のアノード端子に、他方の端子は、トランス部350の二次(出力)側巻線の他方の端子に接続されている。
【0042】
負荷370は、整流部360の出力端子と接地電位との間に設けられている。ここでは、負荷370は、並列に接続された負荷抵抗RLと負荷容量CLとで等価的に表記している。
【0043】
次に、電圧検出部380を説明する。
電圧検出部380は、抵抗R3、R4、基準電源Vref3(基準電位Vref3)、誤差増幅器Amp3を備えている。抵抗R3、R4および基準電源Vref3は直列に接続されるとともに、全体として負荷370に並列に接続されている。すなわち、整流部360の出力端子に、抵抗R3の一方の端子が接続され、抵抗R3の他方の端子に抵抗R4の一方の端子が接続され、抵抗R4の他方の端子に基準電源Vref3の+端子が接続され、基準電源Vref3の−端子が接地されている。
さらに、抵抗R3と抵抗R4との接続点が、誤差増幅器Amp3の+入力端子に接続されている。なお、誤差増幅器Amp3の−入力端子は、誤差増幅器Amp3の出力端子に直接接続されている。すなわち、誤差増幅器Amp3の増幅率は1に設定されている。
誤差増幅器Amp3の出力端子は、電圧設定部320の誤差増幅器Amp1の−入力端子に接続され、信号S4を出力する。
出力電圧Voは、抵抗R3と抵抗R4とで分圧され、抵抗R4に表れた電圧が誤差増幅器Amp3に入力される。よって、信号S4に現れる電位は、出力電圧Voに比例する。なお、基準電源Vref3は、誤差増幅器Amp3の+入力端子および−入力端子の電圧を正(+)に維持して、誤差増幅器Amp3を動作可能にするために設けられている。
【0044】
次に、電流検出部390について説明する。
電流検出部390は、誤差増幅器Amp4、抵抗R3、R4、R5、R6を備えている。なお、抵抗R3、R4は、電圧検出部380と共通である。
抵抗R5は、整流部360の平滑コンデンサCに並列に設けられている。すなわち、抵抗R5の一方の端子は、整流部360の出力端子に接続され、負荷370に接続されている。そして、抵抗R5の他方の端子は、トランス部350の二次(出力)側巻線の他方の端子に接続されている。そして、抵抗R5の他方の端子は、誤差増幅器Amp4の−入力端子に接続されている。−入力端子は、抵抗R6を介して誤差増幅器Amp4の出力端子に接続されている。
一方、誤差増幅器Amp4の+入力端子は、基準電源Vref3と抵抗R4との接続点に接続されている。そして、誤差増幅器Amp4の出力端子は、電圧設定部320の誤差増幅器Amp2の−入力端子に接続されている。
すなわち、抵抗R6には、負荷370に流れる出力電流Ioが流れるため、誤差増幅器Amp4を介して、出力電流Ioの大きさが検出できる。
なお、基準電源Vref3は、誤差増幅器Amp4の+入力端子および−入力端子の電位を正(+)に維持して、誤差増幅器Amp4を動作可能にするために設けている。
【0045】
次に、リーク検出部400について説明する。
リーク検出部400は、比較器Cmp2、基準電源Vref2(基準電位Vref2)を備えている。
比較器Cmp2の−入力端子は、電圧検出部380の出力端子に接続され、信号S4が入力される。+入力端子は、基準電源Vref2の+端子に接続されている。基準電源Vref2の−端子は接地されている。
そして、比較器Cmp2の出力端子は、回数計数部410の入力端子に接続されている。
【0046】
回数計数部410は、トグルフリップフロップ(T−FF)などを用いて構成できる。よって、回数計数部410の回路構成の詳細な説明を省略する。
回数計数部410の入力端子は、比較器Cmp2の出力端子に接続され、信号S6が入力される。回数計数部410の出力端子は、信号S7を出力するとともに、論理回路ORの他方の入力端子(ダイオードD4のアノード端子)に接続されている。
【0047】
なお、図3では、二次転写バイアス電源31aの回路構成を、比較器Cmp1、2、誤差増幅器Amp1、2、3、4などで示したが、例えば電圧設定部320などが集積化された回路(IC)で構成されていてもよい。
また、二次転写バイアス電源31aは、図3で示した以外の他の制御信号や他の回路(比較器、誤差増幅器、論理回路(OR、AND、NOR、NANDなど))を含んでいてもよい。
【0048】
<二次転写バイアス電源31aの動作>
次に、二次転写バイアス電源31aの動作を説明する。
図4は、第1の実施の形態において、リークが発生しない場合における二次転写バイアス電源31aの信号波形を示す図である。図4では、図3に示した、鋸歯状波発生部310の出力する鋸歯状波の信号S1、信号S1が入力された比較器Cmp1が出力するパルス変調された信号S2、制御部60から送信される信号S0、リークの回数を計数する回数計数部410が出力する信号S7、信号S0と信号S7の論理和(OR)であって論理回路NORの一方の端子に入力される信号S8、論理回路NORが出力する信号S3、出力電圧Vo、電圧検出部380が出力する信号S4、信号S4が入力されたリーク検出部400の出力する信号S6を示している。そして、信号S1には、比較器Cmp1の−入力端子に入力される信号S11を合わせて示している。
なお、負荷370に印加される出力電圧Voは、負(−)であるので、図4において絶対値で示している。
【0049】
ここで、信号S1、S4、S11、出力電圧Voは、電位レベルが連続的なアナログ信号である。一方、信号S0、S2、S3、S6、S7、S8は、電位レベルがハイレベル(以下では「H」と表記する。)とローレベル(以下では「L」と表記する。)とである信号である。
ここでは、「H」を5V、「L」を接地電位である0Vとして説明する。なお、これ以外の値であってもよい。さらに、信号S0、S2、S3、S6、S7、S8の電位レベルは、同じでなくともよい。
なお、制御部60が設定電圧Vsetとともに信号S0を含んだ信号を送信する場合であって、信号S0が設定電圧Vsetとともに信号S0を含んだ信号から分離されたものであるときには、信号S0はアナログ信号であってもよい。
【0050】
図4では、時刻a、時刻b、時刻c、…のようにアルファベット順に時間が経過するとする。なお、後述する図5と同じ符号を使用しているため、図4では、一部の時刻については説明をしない。
【0051】
図3を参照しつつ、図4にしたがって、二次転写バイアス電源31aの動作を説明する。
まず、比較器Cmp1の動作から説明する。
鋸歯状波発生部310が電圧設定部320に送信する信号S1は、時刻aにおいて0V、時刻cにおいてVt(Vt>0であって、例えば10Vの電位)であって、時刻aから時刻cに向かって、電位が時間に比例して増加する。そして、時刻cにおいてVtから0Vに移行する。そして、時刻aから時刻cの間の波形(鋸歯状波)が、時刻c以降において繰り返されている。信号S1は、比較器Cmp1の+入力端子に入力される。
ここでは、鋸歯状波発生部310は、画像形成装置1が動作状態にあるとき、信号S1を連続的に送信しているとする。しかし、鋸歯状波発生部310は、二次転写動作のときに、信号S1を出力するようにしてもよい。
【0052】
比較器Cmp1の−入力端子には、誤差増幅器Amp1の出力端子がダイオードD1を介して接続されているとともに、誤差増幅器Amp2の出力端子がダイオードD2を介して接続されている。よって、比較器Cmp1の−入力端子には、制御部60から送信される設定電圧Vsetと電圧検出部380が出力する信号S4との差が誤差増幅器Amp1で増幅された信号S9と、電流検出部390が出力する信号S5と基準電位Vref1との差が誤差増幅器Amp2で増幅された信号S10とのうち電位の高い方がS11となって、入力される。ここでは、信号S5および信号S10については後述することとし、信号S10は信号S11に影響しないとして説明する。
すなわち、信号S11の電位(スライス電位)は、時刻aから時刻hまでの期間ではVs(1)、時刻hから時刻nまでの期間ではVs(2)、時刻nから時刻sまでの期間はVs(3)であるとする。なお、それぞれの電位の大きさは0<Vs(2)<Vs(1)<Vs(3)<Vtであるとする。
【0053】
比較器Cmp1の鋸歯状波の信号S1が入力される+入力端子は負論理入力端子である。よって、比較器Cmp1の出力する信号S2は、信号S1の電位が信号S11の電位より高い場合に「L」となり、信号S1の電位が信号S11の電位より低い場合に「H」となる。すなわち、信号S2は、鋸歯状波の信号S1の電位と信号S11の電位との差によってパルス幅が設定されたパルス幅変調(PWM)信号となる。
ここでは、信号S11の電位が期間によって異なる(Vs(1)、Vs(2)、Vs(3))ことから、パルス幅変調された信号S2の時刻aから時刻hまでの期間におけるデューティ比に比べ、時刻hから時刻nまでの期間でのデューティ比は小さくなり、時刻nから時刻sまでの期間におけるデューティ比は大きくなる。
なお、画像形成装置1が動作状態にあるとき、比較器Cmp1には鋸歯状波の信号S1が連続的に入力されるので、信号S2も連続的に出力される。
【0054】
次に、制御部60から送信される信号S0を説明する。信号S0は、時刻aで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻rで「L」から「H」に移行する。そして、時刻sで「H」を維持する。
信号S0は、制御部60が二次転写の開始または停止を指示する信号である。すなわち、時刻eにおいて信号S0が「H」から「L」に移行することで、二次転写を開始することを指示し、時刻rにおいて信号S0が「L」から「H」に移行することにより、二次転写を停止することを指示する。
【0055】
図4は、リークが発生しない場合の二次転写バイアス電源31aの動作を示している。よって、リークの回数を計数する回数計数部410が出力する信号S7は、時刻aから時刻sまでの全期間において「L」である。
よって、信号S0と信号S7との論理和である(論理回路ORが出力する)信号S8は、時刻aから時刻eまでの期間では、信号S0が「H」で信号S7が「L」であるので「H」である。そして、時刻eから時刻rまでの期間では、信号S0および信号S7がともに「L」であるので「L」である。さらに、時刻rから時刻sまでの期間では、信号S0が「H」で信号S7が「L」であるので「H」である。
【0056】
以下では、出力制御部330の論理回路NORが出力する信号S3、出力電圧Vo、電圧検出部380が出力する信号S4および回数計数部410が出力する信号S7について説明する。
【0057】
出力制御部330の論理回路NORが出力する信号S3は、信号S2と信号S8との排他的論理和(NOR)である。すなわち、信号S3は、信号S2および信号S8がともに「L」であると「H」になり、信号S2または信号S8のいずれか一方が「H」であると「L」になる。
よって、信号S3は、信号S8が「L」である期間(時刻eから時刻r)において、信号S2が「L」である期間が「H」に、「H」である期間が「L」になる。つまり、信号S3は、時刻eから時刻rまでの期間において、信号S2の「H」と「L」とを入れ替えた波形となる。よって、信号S3は、時刻eから時刻hまでの期間におけるデューティ比に比べ、時刻hから時刻nまでの期間におけるデューティ比が大きく、時刻nから時刻rまでの期間におけるデューティ比が小さい。
【0058】
スイッチ部340の電界効果トランジスタFETは、出力信号S3が「H」である期間においてオン状態になり、「L」である期間においてオフ状態になる。よって、出力信号S3が「H」である期間に、トランス部350の一次(入力)側巻線に電流が流れる。そして、電磁誘導により、一次(入力)側巻線と二次(出力)側巻線との巻線比で昇圧された電圧が、トランス部350の二次(出力)側巻線に誘起される。パルス幅変調された信号S3によって一次(入力)側巻線に電流が流れるので、二次(出力)側巻線に現れる電圧もパルス状となる。整流部360の整流ダイオードD5により、パルス状の電圧から、接地電位に対して負の電圧が取り出され、平滑コンデンサCにより、直流で負(−)の電圧(Vn)が出力電圧Voとなる。
例えば、トランス部350および整流部360は、直流電源Vdcが供給する直流電圧Vdcが24Vである場合において、−数kV(−2kV〜−8kV)の出力電圧Voを得ることができるように構成されている。
【0059】
出力電圧Voは、信号S11がVs(1)である時刻eから時刻hまでの期間では|Vn(1)|、信号S11がVs(2)である時刻hから時刻nまでの期間では|Vn(2)|、信号S11の電位がVs(3)である時刻nから時刻rまでの期間では|Vn(3)|である。そして、それらの絶対値は、信号S3のデューティ比に比例して、|Vn(3)|<|Vn(1)|<|Vn(2)|となる。これは、信号S11の電位の関係(Vs(2)<Vs(1)<Vs(3))とは逆の関係になっている。このように、信号S11の電位を変更することで、出力電圧Voを制御できる。
【0060】
これにより、二次転写ロール31に対してバックアップロール27に負(−)の出力電圧Voが印加される。すると、負極性帯電タイプであるトナーが用紙P側に押し付けられ、中間転写ベルト21上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0061】
電圧検出部380は出力電圧Voを検出する。図3で示したように、電圧検出部380には基準電源Vref3が接続され、誤差増幅器Amp3が正(+)の電位で動作するようになっている。すなわち、誤差増幅器Amp3の出力する信号S4は、出力電圧Voが0Vであるときに、最も高い正の電位Vaとなり、出力電圧Voが負の電圧(Vn)(Vn(1)、Vn(2)、Vn(3))となると出力電圧Voの絶対値に反比例して低い電位Vbになる。つまり、信号S4の電位は、時刻eから時刻hまでの期間ではVb(1)、時刻hから時刻nまでの期間ではVb(2)、時刻nから時刻rまでの期間ではVb(3)となる(0<Vb(2)<Vb(1)<Vb(3))。
このようにして、電圧検出部380は、出力電圧Voに比例した信号S4を出力する。
【0062】
信号S4は、電圧設定部320の誤差増幅器Amp1の−入力端子に入力されるとともに、リーク検出部400の比較器Cmp2の−入力端子に入力される。
比較器Cmp2は、信号S4と基準電位Vref2とを比較する。そして、信号S4の電位が基準電位Vref2より大きい場合に「H」に、信号S4の電位が基準電位Vref2より小さい場合に「L」になる信号S6を出力する。
ここでは、基準電位Vref2は、Vaより小さく、Vb(1)、Vb(2)、Vb(3)のいずれより大きいとする(Vb(2)<Vb(1)<Vb(3)<Vref2<Va)。
すると、図4に示すように、出力電圧Voが0Vである時刻aから時刻eまでの期間では、信号S4の電位(Va)が基準電位Vref2より大きいので、信号S6は「H」になる。そして、時刻eにおいて出力電圧VoがVn(1)になって信号S4の電位がVb(1)になると、Vb(1)は基準電位Vref2より小さいので、信号S6は「L」になる。時刻hにおいて信号S4の電位がVb(2)になっても、Vb(2)は基準電位Vref2より小さいので、信号S6は「L」を維持する。同様に、時刻nにおいて信号S4の電位がVb(3)になっても、Vb(2)は基準電位Vref2より小さいので、信号S6は「L」を維持する。そして、時刻rにおいて、出力電圧Voが0Vになって信号S4の電位がVaになると、Vaは基準電位Vref2より大きいので、信号S6は「H」になる。
すなわち、時刻eから時刻rまでの出力電圧Voが0Vである期間は、信号S4の電位は基準電位Vref2より小さい。よって、時刻eから時刻rまで、信号S6は「L」である。そして、出力電圧Voが0Vである時刻aから時刻eまでの期間および時刻rから時刻sまでの期間では、「H」である。
【0063】
ここでは、回数計数部410は、例えば直列に接続された複数のT−FFで構成されているとして説明する。T−FFは、入力される信号(信号S6)が「H」から「L」に移行する立ち下がりエッジにおいて、出力される信号(信号S7)の「H」と「L」とが入れ替わる。よって、直列に接続されるT−FFの数は、設定回数Nに対応して設定されている。
そして、回数計数部410の出力する信号S7は、設定回数Nを計数する前は「L」であって、設定回数Nを計数すると「H」になる。なお、「H」である期間は、予め定められた期間(休止期間Ts)に設定されている。そして、休止期間Tsが経過すると、信号S7は、「H」から「L」に戻る。
なお、休止期間Tsは、詳細な説明を省略するが、抵抗と容量とから構成される回路などによって設定することができる。
【0064】
さらに、回数計数部410には、予め定められた計数期間Tr(例えば500ms)毎に、周期的に消去(リセット)信号が入力されるようになっている。よって、設定回数N(例えば100回)に達する前であっても、リセット信号が入力されると、計数した回数が消去(リセット)され、再び“0”から計数が開始される。
ここでは、計数期間Trは、画像形成装置1が動作状態であると、繰り返して設定されるとしている。図4では、時刻dから時刻gの計数期間Trを計数期間Tr(1)とし、その後において、計数期間Tr(2)、Tr(3)、…が繰り返すように設定されている。なお、計数期間Tr(1)の前にも、計数期間Trが設けられている。
そして、計数期間Trは、二次転写動作の期間(図4における時刻eから時刻rまでの期間)に比べ短く設定されている。
なお、計数期間Trは画像形成装置1が動作状態にあるとき、連続して設けられるとしたが、例えば信号S0の「H」から「L」への移行とともに開始するなど、予め定められたタイミング(時刻)から開始するように設定されてもよい。
【0065】
ここでは、信号S6は、時刻eにおいて「H」から「L」に移行する。よって、時刻eにおいて、回数計数部410は、計数期間Tr(1)において“1”を計数する。しかし、信号S6は、時刻rにおいて「L」から「H」に移行するまで、「L」を維持するため、回数計数部410は、計数期間Tr(1)において、さらなる計数をしない。よって、時刻gにおいて、回数計数部410は、リセット信号が入力されて、計数が“0”になる。そして、時刻rにおいても、回数計数部410の計数は“0”になっている。すなわち、時刻eから時刻rまでの期間において、信号S7は「L」のままである。
【0066】
以上説明したように、負荷370にリークが発生しない場合には、回数計数部410が出力する信号S7は「L」であって、二次転写は信号S0にしたがって制御される。
【0067】
次に、二次転写バイアス電源31aにリークが発生した場合について説明する。
図5は、第1の実施の形態において、リークが発生した場合における二次転写バイアス電源31aの信号波形を示す図である。図5においては、図4に示した信号S1、S2、S3、S11を省略している。よって、図5においては、上から信号S0、S7、S8、出力電圧Vo、信号S4、S6を示している。なお、時刻a、時刻b、時刻c、…のようにアルファベット順に、時刻が経過するとする。なお、時刻a、時刻b、時刻c、…は、図4と同じとした。
【0068】
図4で説明したと同様に、時刻eにおいて、信号S0を「H」から「L」に移行して、二次転写を開始し、時刻rにおいて、信号S0を「L」から「H」に移行して、二次転写を停止する。
時刻aから時刻eまでの期間においては、図4と同様に、信号S0は「H」、信号S7は「L」、信号S8は「H」、Voは0V、信号S4はVa、信号S6は「H」である。
さて、時刻eにおいて、信号S0を「H」から「L」に移行すると、信号S8が「H」から「L」に移行し、出力電圧Vo(Vn)が負荷370に印加される。そして、信号S4の電位が、Vaから出力電圧Vo(Vn)に対応したVbになる。すると、Vbは基準電位Vref2より小さいので、信号S6が「H」から「L」に移行する。
【0069】
その後、時刻fにおいて、負荷370にリークが発生したとする。すると、出力電圧Voの絶対値が小さくなる。図5では、例として0Vになるとしている。
ここでは、前述したように、一旦リークが発生しても、回復し再びリークする。すなわち、リークと回復とを繰り返す。すると、時刻fから時刻iまでの期間に示すように、出力電圧Voが0Vと|Vn|との間で複数回変化(振動)する。
これにより、信号S4の電位も、VaとVbとの間で振動する。基準電位Vref2は、VaとVbとの間にある。よって、時刻fから時刻iとの間において、信号S6は、信号S4の電位が基準電位Vref2より小さくなるタイミングにおいて「L」から「H」に、信号S4の電位が基準電位Vref2より大きくなるタイミングにおいて「H」から「L」に移行する。これにより、信号S4のVaとVbとの間の振動に対応して、信号S6に複数のパルスが形成される。
そして、時刻gから始まる計数期間Tr(2)の、回数計数部410が設定回数Nのパルスを計数した時刻iにおいて、回数計数部410が出力する信号S7を「L」から「H」に移行する。
なお、時刻gから時刻iまでの期間は、計数期間Trより短い。
【0070】
時刻iにおいて、回数計数部410の出力する信号S7が「L」から「H」に移行すると、信号S0と信号S7との論理和(OR)である信号S8が「L」から「H」に移行する。これにより、出力制御部330(論理回路NOR)が出力する信号S3が「L」となり、出力電圧Vo(Vn)が出力されなくなる(0Vになる)。
【0071】
その後、時刻kにおいて、設定された休止期間Ts(時刻iから時刻kまでの期間)が経過すると、信号S7が「H」から「L」に戻る。これは、前述したように、回数計数部410が、予め定められた休止期間Ts後に、信号S7を「H」から「L」にするように設定されているためである。これにより、信号S8も「H」から「L」に戻って、出力電圧Vo(Vn)が再び出力される。
【0072】
その後、時刻lにおいて、再び負荷370にリークが生じると、時刻fから時刻iまでの期間と同様に、出力電圧Voが変動し、それに伴い信号S4の電位も変動する。そして、信号S6に複数のパルスが現れる。回数計数部410が、時刻mから始まる計数期間Tr(4)において、設定回数Nを計数する(時刻o)と、回数計数部410の出力する信号S7が、再び「L」から「H」に移行する。これにより、信号S8が「L」から「H」になって、出力電圧Vo(Vn)が出力されなくなる(0Vになる)。
【0073】
そして、時刻oから休止期間Tsが経過した時刻qにおいて、再び信号S7が「H」から「L」に戻る。これにより、信号S8も「H」から「L」に戻る。そして、出力電圧Vo(Vn)が再び出力される。この後は、再びリークを生じることなく、時刻rにおいて、信号S0が「L」から「H」に移行することにより、出力電圧Vo(Vn)が停止され、二次転写が終了する。
時刻qから時刻rまでの期間において、リークが再発しないのは、リークを生じた原因、例えば二次転写部30に詰まった用紙Pや混入した異物などが、二次転写の動作によって取り除かれたためである。
【0074】
以上説明したように、第1の実施の形態では、負荷370に生じたリークによって生じる出力電圧Voの変動の回数を計数して、計数期間Tr内に、設定回数Nの変動を計数した場合に、出力電圧Voの出力を休止する。これにより、負荷370に過剰な電流が流れて、負荷370および二次転写部30の周囲の部材が過熱されることが抑制される。
また、休止期間Ts経過後に出力電圧Voの出力を再開するのは、二次転写の動作により、リークを生じた原因が取り除かれ、リークが生じない状態(正常な状態)に復帰することがあるためである。
すなわち、図5に示す二次転写(時刻eから時刻rまでの期間)では、負荷370におけるリークにより出力電圧Voが変動したため、正常な二次転写が行われない。しかし、図5の時刻qから時刻rまでの期間に示すように、リークを生じた原因が二次転写中に取り除かれれば、二次転写部30は正常な状態に戻る。このような場合には、負荷370にリークが生じても、二次転写部30または画像形成装置1の動作を停止することを要しない。すなわち、第1の実施の形態の構成を用いることにより、画像形成を効率よく行うことができる。
【0075】
なお、電流検出部390が検出した出力電流Ioに比例する信号S5は、電圧設定部320の誤差増幅器Amp2の−入力端子に入力される。そして、信号S5の電位と誤差増幅器Amp2の+入力端子に入力された基準電位Vref1との差が、誤差増幅器Amp2で増幅されて信号S10となる。
誤差増幅器Amp2の出力端子はダイオードD2を介して、比較器Cmp1の−入力端子に接続されている。一方、誤差増幅器Amp1の出力端子はダイオードD1を介して、比較器Cmp1の−入力端子に接続されている。よって、誤差増幅器Amp2の出力する信号S10と誤差増幅器Amp1の出力する信号S9とのうち、電位の大きい方が信号S11となって、比較器Cmp1の−入力端子に入力される。
もし、誤差増幅器Amp2の出力する信号S10の電位が誤差増幅器Amp1の出力する信号S9の電位より大きい場合は、誤差増幅器Amp2の出力する信号S10が信号S11になる。
【0076】
前述したように、信号S11の電位が大きいほど、出力電圧Voが小さくなる(図4参照)。よって、出力電流Ioが予め定められた電流より大きくなったときは、出力電圧Voの絶対値を小さくして、出力電流Ioを小さくすることができる。
すなわち、電圧検出部380と電流検出部390とを並行して動作させることで、出力電圧Voの制御と、出力電流Ioが予め定められた値より大きくなったときの過電流制御とをともに行うことができる。
【0077】
ここでは、出力電圧Voの変動が設定回数Nに達したとき、出力電圧Voを休止させた。これは、出力電圧Voが変動したときに出力電圧Voを休止すると、二次転写を開始する時刻eでの出力電圧Voの変動に対しても、出力電圧Voの印加が休止する恐れがあるためである。特に、画像形成装置1の高速化のために処理速度を向上させると、時刻eでの出力電圧Voの変動が大きくなって、リークの発生と区別できなくなる。この時刻eでの出力電圧Voの変動は不可避であるため、この変動により出力電圧Voの印加が休止すると、二次転写部30および/または画像形成装置1の立ち上がりに時間がかかるようになってしまう。
そこで、第1の実施の形態では、回数計数部410を設け、複数回の変動(設定回数N)が連続して(計数期間Tr内に)生じた場合に、負荷370にリークが発生したとして、出力電圧Voの供給を休止するとした。
すなわち、電圧検出部380が出力する信号S4から出力電圧Voの変動を検出するリーク検出部400とリーク検出部の出力する信号S6に現れるパルスを計数する回数計数部410とを付加することで、正常な状態における出力電圧Voの変動をリークの発生と誤認識することを抑制するとともに、負荷370に生じたリークにより出力電圧Voを休止する。
【0078】
なお、図5では、負荷370にリークを生じた原因が二次転写の動作中に取り除かれたとした。しかし、リークを生じさせた原因が二次転写中に取り除かれず、リークが継続して発生する場合には、別に設けられている紙詰まり検出機構などにより検出し、制御部60により二次転写部30または/および画像形成装置1の動作を停止させればよい。
【0079】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、二次転写部30において、二次転写ロール31を接地し、バックアップロール27に二次転写バイアス電源31aの出力電圧Voとして負の電圧(Vn)を印加した。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に負極性帯電タイプのトナーを使用するが、バックアップロール27を接地し、二次転写ロール31に二次転写バイアス電源31aの出力電圧Voとして正の電圧(Vp)を印加する。
図6は、第2の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図6に示す画像形成装置1の基本構成は、第1の実施の形態で説明したものとほぼ同じであることから、第1の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付している。以下では、第1の実施の形態と同様な部分についての説明を省略し、異なる部分を説明する。
第2の実施の形態では、バックアップロール27を接地し、二次転写バイアス電源31aを二次転写ロール31に接続している。
【0080】
図7は、第2の実施の形態における二次転写バイアス電源31aの回路構成の一例を示す図である。図7に示す二次転写バイアス電源31aの基本構成は、第1の実施の形態で説明したもの(図3参照)とほぼ同じであるので、第1の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付している。以下では、第1の実施の形態と同様な部分についての説明を省略し、異なる部分を説明する。
図7では、整流部360の整流ダイオードD5の向き(カソード端子およびアノード端子)が逆になっている。そして、図3において設けられていた基準電源Vref3が省略されている。
これは、出力電圧Voが正の電圧(Vp)であるため、基準電源Vref3を設けなくとも、誤差増幅器Amp3、Amp4の入力端子を0V(接地)または正の電位とすることができるためである。
なお、第2の実施の形態における二次転写バイアス電源31aのブロック図は、第1の実施の形態と同じであるので省略した(図2参照)。
【0081】
図8は、第2の実施の形態において、リークが発生した場合における二次転写バイアス電源31aの信号波形を示す図である。ここでも、第1の実施の形態と同様な部分についての説明を省略し、異なる部分を説明する。なお、時刻a、時刻b、時刻c、…のようにアルファベット順に、時刻が経過するとする。なお、時刻a、時刻b、時刻c、…は、図5と同じとした。
【0082】
負荷370にリークが発生しない場合(図示せず)には、出力電圧Voは、時刻aから時刻eまでの期間で0V、時刻eから時刻rまでの期間で正の電圧(Vp)、時刻rから時刻sまでの期間で0Vである。そして、信号S4は、出力電圧Voに対応して、時刻aから時刻eまでの期間でVb、時刻eから時刻rまでの期間でVa、時刻rから時刻sまでの期間でVbである。なお、Vb<Vref2<Vaであるとする。
すると、信号S6は、時刻aから時刻eまでの期間で「L」、時刻eから時刻rまでの期間で「H」、時刻rから時刻sまでの期間で「L」である。
【0083】
しかし、図8に示すように、時刻fにおいて、負荷370にリークが発生することにより出力電圧VoがVpと0Vとの間で変動(振動)すると、信号S4もVaとVbとの間で変動(振動)する。よって、信号S6は、信号S4の電位が基準電位Vref2より小さいときに「L」、大きいときに「H」となって、パルス状の信号となる。
そして、回数計数部410が、時刻gから始まる計数期間Tr(2)において、設定回数Nのパルスを計数した場合に、信号S7を「L」から「H」に移行させる。そして、第1の実施の形態と同様に、休止期間Tsの間、出力電圧Vo(Vp)の印加を休止させる。これ以降は、第1の実施の形態と同様とである。
【0084】
すなわち、第2の実施の形態においても、負荷370に生じたリークによって生じる出力電圧Voの変動の回数を計数して、計数期間Tr内に、設定回数Nの変動を計数することで、出力電圧Vo(Vp)が印加されることを休止する。これにより、負荷370に過剰な電流が流れて、負荷370および二次転写部30の周囲の部材が過熱されることが抑制される。
【0085】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態では、負荷370に生じるリークを、電圧検出部380から出力される信号S4によって検出した。第3の実施の形態では、負荷370に生じるリークを、電流検出部390から出力される信号S5によって検出する。
第3の実施の形態における画像形成装置1は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
図9は、第3の実施の形態が適用される二次転写バイアス電源31aのブロック構成の一例を示す図である。図10は、第3の実施の形態における二次転写バイアス電源31aの回路構成の一例を示す図である。図9、図10に示す二次転写バイアス電源31aの基本構成は、第1の実施の形態で説明したものとほぼ同じ(図2、図3参照)であることから、第1の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付している。以下では、第1の実施の形態と同様な部分についての説明を省略し、異なる部分を説明する。
図9および図10に示すように、第3の実施の形態における二次転写バイアス電源31aでは、リーク検出部400が電流検出部390に接続されている。そして、図10に示すように、リーク検出部400の比較器Cmp2の−入力端子は、電流検出部390の出力端子に接続され、信号S5が入力される。また、+入力端子には、図3における基準電位Vref2の代わりに、基準電位Vref4が接続されている。
【0087】
図11は、第3の実施の形態において、リークが発生した場合における二次転写バイアス電源31aの信号波形を示す図である。ここでも、第1の実施の形態で説明したもの(図5参照)とほぼ同じであることから、第1の実施の形態と同様の部分の説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0088】
第3の実施の形態では、負荷370に流れる出力電流Ioを電流検出部390により検出して、リークを判定する。そこで、図11には、図5における信号S4の代わりに信号S5を示している。
以下では、信号S5および信号S6について説明する。
リークが発生して出力電圧Voが振動すると、それに伴い、出力電流Ioも変動する。すなわち、図11に示すように、リークが生じている期間(時刻fから時刻iまでの期間)において、出力電流Ioがパルス状に変化する(電流スパイクを生じる)。そして、出力電流Ioによって、誤差増幅器Amp4の+入力端子と−入力端子との間に生じる電位差が増幅されて信号S5となるので、信号S5にパルスが現れる。
なお、二次転写が開始する時刻eにおいても、出力電圧Voが0VからVnになるときに出力電流Ioがパルス状に流れる(ラッシュ電流)ため、時刻eにおいても信号S5にパルスが現れる。
【0089】
そして、比較器Cmp2によって、信号S5の電位と基準電位Vref4とが比較され、信号S5の電位が基準電位Vref4より大きいと、比較器Cmp2の出力端子が「L」から「H」に移行し、信号S5の電位が基準電位Vref4より小さいと、比較器Cmp2の出力端子が「H」から「L」に移行する。
したがって、比較器Cmp2から出力される信号S6には、負荷370のリークなどによって出力電流Ioが変動するとパルスが発生する。
【0090】
よって、回数計数部410が、時刻gから始まる計数期間Tr(2)において、信号S6において設定回数Nのパルスを計数した場合に、信号S7を「L」から「H」に移行させる。そして、第1の実施の形態と同様に、休止期間Tsの間、出力電圧Vo(Vn)の出力を休止させる。これ以降は、第1の実施の形態と同様とである。
なお、負荷370にリークが発生しない場合であっても、出力電圧Vo(Vn)が負荷に印加される時刻eにおいて、出力電流Ioにラッシュ電流が流れ、信号S6に1つのパルスが現れる。回数計数部410を備えない場合に、信号S6に現れた1つのパルスによりリークが発生したと判断して出力電圧Vo(Vn)の出力を休止するようにすると、正常な動作であるにも関わらず出力電圧Vo(Vn)の出力が休止される恐れがある。特に、画像形成装置1の高速化のために処理速度を向上させると、ラッシュ電流が大きくなって、リークの発生と区別できなくなる。これにより、二次転写部30および/または画像形成装置1の立ち上がりに時間がかかるようになってしまう。
しかし、第3の実施の形態では、計数期間Trが周期的に設定され、信号S6において設定回数Nのパルスを計数した場合にリークが発生したと判断する。このため、時刻dから始まる計数期間Tr(1)において、回数計数部410が時刻eにおける1つのパルスにより“1”と計数しても、計数は累積せず、計数期間Tr(1)が経過すると計数が“0”にリセットされるので、リークの発生と判断されることがない。
すなわち、第3の実施の形態における二次転写バイアス電源31aは、リーク検出部400および回数計数部410を備え、電流検出部390の検出する信号S5に基づくリーク検出部400からの信号S6において、予め定められた期間(計数期間Tr)に予め定められた回数(設定回数N)のパルスを検出した場合に、出力電圧Vo(Vn)を休止させている。よって、二次転写の開始時刻eにおいて、負荷370に流れるラッシュ電流によって出力電圧Vo(Vn)の供給が休止されることを抑制できる。
【0091】
第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、二次転写バイアス電源31aからバックアップロール27に出力電圧Voとして負の電圧(Vn)を供給することとした。第2の実施の形態で説明したようにすることで、二次転写バイアス電源31aから二次転写ロール31に出力電圧Voとして正の電圧(Vp)を供給してもよい。
また、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態のいずれにおいても、負極性帯電タイプのトナーを用いるとしたが、正極性帯電タイプのトナーを用いてもよい。このときには、第2の実施の形態の二次転写バイアス電源31aにおいて説明したようにして、出力電圧Voの極性を逆にすればよい。
【0092】
さらに、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態のいずれにおいても、画像形成装置1はマルチプル型であるとして説明した。画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のそれぞれに対応した複数の感光体ドラムを有するタンデム型であってもよい。この場合、それぞれの感光体ドラム上に形成されたそれぞれのトナー像を用紙Pに転写するために、それぞれに対応して設けられた転写部の転写バイアス電源に、前述の二次転写バイアス電源31aを適用すればよい。
【符号の説明】
【0093】
1…画像形成装置、11…感光体ドラム、12…帯電ロール、14…回転式現像装置、14Y、14M、14C、14K…現像器、15…一次転写ロール、20…一次転写部、21…中間転写ベルト、27…バックアップロール、30…二次転写部、31…二次転写ロール、31a…二次転写バイアス電源、40…ベルトクリーナ、50…定着部、60…制御部、310…鋸歯状波発生部、320…電圧設定部、330…出力制御部、340…スイッチ部、350…トランス部、360…整流部、370…負荷、380…電圧検出部、390…電流検出部、400…リーク検出部、410…回数計数部、Amp1、Amp2、Amp3、Amp4…誤差増幅器、Cmp1、Cmp2…比較器、FET…電界効果トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される負荷に印加するバイアス電圧を発生する電圧発生手段と、
前記電圧発生手段により前記負荷に印加された前記バイアス電圧または当該負荷に流された電流を検出する検出手段と、
前記検出手段が出力する信号に現れる電位の変化の回数を計数する計数手段と、
前記計数手段の計数する前記電位の変化の回数が予め定められた数を超えた場合に、前記電圧発生手段からの前記負荷への前記バイアス電圧の印加を休止する出力制御手段と
を備えるバイアス電圧発生装置。
【請求項2】
前記計数手段は、計数した前記回数が予め定められた周期で消去されることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電圧発生装置。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記電圧発生手段からの前記負荷への前記バイアス電圧の印加を休止した後、予め定められた期間の経過後に、当該電圧発生手段からの当該負荷への当該バイアス電圧の印加を再開させることを特徴とする請求項1または2に記載のバイアス電圧発生装置。
【請求項4】
前記計数手段は、前記検出手段が出力する信号の電位が予め定められた電位を超える場合に前記回数を計数することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバイアス電圧発生装置。
【請求項5】
像保持体と、
前記像保持体を露光し、当該像保持体に静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
バイアス電圧を発生する電圧発生手段と、当該電圧発生手段により印加される当該バイアス電圧または流される電流を検出する検出手段と、当該検出手段が出力する信号に現れる電位が変化する回数を計数する計数手段と、当該計数手段の計数する当該電位が変化する回数が予め定められた数を超えた場合に、当該電圧発生手段からの当該バイアス電圧の印加を休止する出力制御手段とを備え、当該バイアス電圧により前記現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115881(P2013−115881A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258260(P2011−258260)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】