説明

バイオアベイラビリティを高めた美容食品用組成物

【課題】 バイオアベイラビリティを高めた新規な美容食品用組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の美容食品用組成物は、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有するので、摂取すると、優れた美容効果を発揮することができる。また、本発明の美容食品用組成物には黒胡椒抽出物とみかん抽出物(特に、β−クリプトキサンチン)が含まれているので、バイオアベイラビリティが高められており、食品中の栄養成分を効果的に体内に吸収する。本発明の美容食品用組成物はそのまま、又は種々の成分を加えて、健康食品などの飲食品類や医薬品類等として提供することができる。さらには、本発明の美容食品用組成物は、天然物由来のため、安全かつ手軽に摂取することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美容効果に優れ、かつバイオアベイラビリティを高めた新規な美容食品用組成物に関する。具体的には、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有する美容食品用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「美容」といえば、化粧品を肌に塗ることで美しく見せることや、エステサロンなどに行き専門家の指導のもと美を追求するという、手間をかけるものが多かった。しかし近年では、美容に対する意識の高まりから、摂取するだけで、手軽に肌の症状(例えば肌荒れ、シワ、タルミ、シミなど)を改善することができる美容食品の提供が望まれていた。
【0003】
例えば、特許文献1や特許文献2には「プロアントシアニジンを含有する健康食品(美容食品)」に関する発明が記載されている。また、特許文献3には「乳酸菌及びセラミドを有効成分として含有することを特徴とする美容食品」に関する発明が記載されている。特許文献4には「コエンザイムQ10、α−リポ酸及びセラミドを含有する美容食品」に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−325135号公報
【特許文献2】特開2003−339353号公報
【特許文献3】特開2004−254632号公報
【特許文献4】特開2007−236308号公報
【特許文献5】特開2008−214223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの美容食品はその効果が必ずしも十分ではなく、より効果の高い美容食品の提供が依然として求められている。美容効果を効率よく高める手段として、食品中の栄養成分を効果的に体内に吸収させることが知られている。よって、これを実現できる食品、すなわち、バイオアベイラビリティを高めた食品の提供が求められている。さらに、安全で手軽に摂取できる美容食品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、美容効果の優れた食品用組成物の開発について鋭意検討したところ、手軽に摂取でき、バイオアベイラビリティを高め、優れた美容効果をもたらす新規な美容食品用組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
具体的には、本発明の美容食品用組成物は、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有するものである。また、本発明の美容食品用組成物における前記みかん抽出物は、β−クリプトキサンチンを含有するものである。また、本発明の美容食品用組成物は、さらに大豆タンパク質を含有するものである。また、本発明の美容食品用組成物は、前記松樹皮抽出物がOPC含量40質量%以上で構成されているものである。また、本発明の美容食品用組成物は、バイオアベイラビリティを高めたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の美容食品用組成物は、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有するので、摂取すると、優れた美容効果を発揮することができる。また、本発明の美容食品用組成物には黒胡椒抽出物とみかん抽出物(特に、β−クリプトキサンチン)が含有されているので、バイオアベイラビリティが高められており、食品組成物(特に、松樹皮抽出物)中の栄養成分を効果的に体内に吸収する。本発明の美容食品用組成物はそのまま、又は種々の成分を加えて、健康食品などの飲食品類や医薬品類等として提供することができる。さらには、本発明の美容食品用組成物は、天然物由来のため、安全かつ手軽に摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述の実施形態の記載により限定されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
本発明は、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有する美容食品用組成物
に関するものである。
【0011】
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、主な有効成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オールおよび/又はフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。プロアントシアニジンは、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果実の皮および種に含まれていることが知られている。
【0012】
本発明に用いられる松樹皮抽出物の原料としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツなど、特に制限されるわけではないが、フランス海岸松が好ましい。得られた抽出物は、必要に応じて濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末としてもよい。また、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物が特に好ましく用いられ得る。
【0013】
また、本発明に用いられる松樹皮抽出物は、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有される。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)でよく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)が好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。本明細書では、重合度が2〜4の重合体を、OPC(oligomeric proanthocyanidin)という。本発明に用いられる松樹皮抽出物としては、OPCを20質量%以上の割合で含有し、好ましくは30質量%以上の割合で含有し、さらに好ましくは40質量%以上の割合で含有する抽出物である。
【0014】
さらに、本発明に用いられる松樹皮抽出物は、さらにカテキン類が含有され得る。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、およびアフゼレキン等が知られている。松樹皮抽出物からは、(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキン又はガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。
【0015】
松樹皮抽出物は、松の樹皮を水又は有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水・熱水が好ましく用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組合わせて用いてもよい。特に、水、エタノール、含水エタノール等が好ましく用いられる。
【0016】
松樹皮から松樹皮抽出物を抽出する方法は特に制限はないが、例えば、加温抽出法や超臨界流体抽出法等の抽出法が用いることができる。
【0017】
松樹皮抽出物の抽出方法においては、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0018】
上述の抽出により得られた松樹皮抽出物は、吸着剤などにより溶出処理することができる。溶出方法は特に制限が無いが、複数の溶出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0019】
本発明に用いられる松樹皮抽出物の摂取量としては、特に制限されないが、1日当たり5mg以上が好ましく、20mg以上がさらに好ましい。なお、前述の摂取量を1日数回に分けて摂取してもよい。
【0020】
本発明に用いられる、みかん抽出物の原料となるみかんについては、原産地や抽出する部位、あるいは抽出方法は特に制限されないが、β−クリプトキサンチンを含有する酵素処理温州みかんが好ましい。みかん抽出物は、必要に応じて濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末としてもよい。みかん抽出物の摂取量としては、特に制限されないが、1日当たり0.1mg以上が好ましく、1mg以上がさらに好ましい。なお、前述の摂取量を1日数回に分けて摂取してもよい。ここで本発明に用いられるみかん抽出物は、摂取することで血流が上昇する働きがあることが知られている(特許文献5)。
【0021】
本発明に用いられる、黒胡椒抽出物の原料となる黒胡椒については、原産地や抽出する部位、あるいは抽出方法は特に制限されないが、ピペリンを含有する黒胡椒抽出物が好ましい。黒胡椒抽出物は、必要に応じて濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末としてもよい。黒胡椒抽出物の摂取量としては、特に制限されないが、1日当たり0.1mg以上が好ましく、1mg以上がさらに好ましい。なお、前述の摂取量を1日数回に分けて摂取してもよい。
【0022】
本発明に用いられる、大豆タンパク質の原料となる大豆については、原産地は特に制限されない。この大豆タンパク質は、大豆由来のタンパク質であればその種類は特に限定されず、一般的な大豆タンパク質である脱脂大豆、濃縮大豆タンパク、分離大豆タンパク、及びこれらの混合物等を用いることができる。大豆タンパクの摂取量としては、特に制限されないが、1日当たり0.1mg以上が好ましく、1mg以上がさらに好ましい。なお、前述の摂取量を1日数回に分けて摂取してもよい。
【0023】
本発明の美容食品用組成物は、これらの成分のほか、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、ゼラチン、コラーゲンペプチド、植物由来タンパク質等のタンパク質、ビートオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖等のオリゴ糖、カルシウム、マグネシウム、鉄等のミネラル類、N−アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、乳、発酵乳、脱脂粉乳等の乳製品、豆乳、豆乳粉末等の豆乳製品、レモン、リンゴ等の果汁を配合することができる。さらに必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、乳糖、ショ糖、麦芽糖、果糖、乳糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、キシリトール、でんぷん等の糖類、ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、ソーマチン、還元麦芽糖等の甘味料、クエン酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ等の酸味料、酸化チタン等の着色料、アラビアガム、キサンタンガム等の増粘剤、シェラック等の光沢剤、タルク、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸カルシウム等の製造用剤等を配合することができる。
【0024】
本発明の美容食品用組成物は、食用に適した形態、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状等に成形して食品として提供することができる。また、水、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、青汁、ヨーグルト等に添加して使用してもよい。また、美容用途を表示した健康食品、特定保健用食品として用いても良いことは言うまでもない。
【0025】
本発明の美容食品用組成物は、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を少なくとも含有し、その形態によって含有量の割合は適宜調整され得る。例えば、美容食品用組成物中に、それぞれ以下の量で含有され得る。
松樹皮抽出物:0.01〜30質量%;
みかん抽出物:0.01〜20質量%;
黒胡椒抽出物:0.001〜10質量%;および
大豆タンパク質:0〜40質量%;
【0026】
本発明の美容食品用組成物は、摂取することによって、肌の症状(例えばシミなど)を改善し、優れた美容効果を発揮する。また、本発明の美容食品用組成物には黒胡椒抽出物とみかん抽出物(特に、β−クリプトキサンチン)が含まれているので、バイオアベイラビリティが高められており、食品組成物中の栄養成分を効果的に体内に吸収することができ、優れた美容効果が発揮できる。具体的には、松樹皮抽出物中の成分(例えばプロアントシアニジン)を、黒胡椒抽出物とみかん抽出物(特に、β−クリプトキサンチン)を同時に摂取することで効果的に体内に吸収することができる。
【0027】
本発明の美容食品用組成物のバイオアベイラビリティが高められているメカニズムに関しては、例えば次のように考えることができる。すなわち、
(1)
黒胡椒抽出物の働きにより、摂取した食品組成物(特に、松樹皮抽出物)中の成分の腸管内での吸収を高め、
(2)
みかん抽出物(特に、β−クリプトキサンチン)の働きにより、毛細血管の血流が上昇し、吸収した成分を体内の隅々まで迅速に浸透させる
からであると考えることができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、後述の実施例に限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0029】
(実施例1:美容効果に関する臨床試験)
健常な成人女性23名(平均年齢47歳)を被験者とし、以下のような臨床試験を行い、本発明の美容食品用組成物の美容効果を測定した。なお、臨床試験中は、試験食品以外の美容効果を謳った健康食品、サプリメント、医薬部外品の使用は禁止とした。
【0030】
OPCを40質量%以上含有する松樹皮抽出物40mg、β−クリプトキサンチンを含有する酵素処理温州みかん抽出物10mg、ピペリンを含有する黒胡椒抽出物2.5mg、および大豆タンパク質50mgを配合した試験食品を1日1回、12週間継続して被験者に摂取させた。そして試験開始時と、試験開始4週間後、8週間後、12週間後のシミの明度の変動を測定した。
【0031】
具体的な測定方法は以下の手順である。まず、測定前に被験者は化粧を落とし、その後に洗顔し、馴化を行った。次に、ロボスキン・アナライザーにより顔面の写真を撮影し、色差計でシミの部位に対する明度の測定を行った。また、被験者には美容効果に関して自覚症状のアンケート(効果を感じたか否かのアンケート)を行った。
【0032】
測定の結果、被験者のシミの部位に対する明度(L*値)の平均値は、試験開始時が「60.7±3.5」だったのに対して、4週間後には「61.8±3.2」、8週間後には「62.1±3.1」、12週間後には「62.5±3.1」と有意に改善した(試験開始前に対して試験開始4、8、12週間後はTukey-Kramer検定(両側)で危険率5%での有意差あり)。
【0033】
被験者による自覚症状のアンケート結果は次のようになった。試験食品の摂取に関して、試験開始12週間後に、7名の被験者が「美容効果をとても感じた」、8名の被験者が「美容効果を感じた」、8名の被験者が「美容効果をやや感じた」と回答し、「効果を感じなかった」、「症状が悪化した」と回答した被験者は0名であった。
【0034】
このように、本発明の美容食品用組成物は、摂取することによって肌の症状を改善し、優れた美容効果を発揮する。この優れた効果は、前記メカニズム(1)および(2)によるものと考える。
【0035】
なお、臨床試験期間中に試験食品に起因すると考えられる有害な事象は確認されなかった。よって、本発明に関する食品用組成物の長期摂取は安全であることが示された。
【0036】
(実施例2:血流改善に関する臨床試験)
健常な成人男女7名(平均年齢28歳)を被験者とし、血流改善効果を測定する以下のような臨床試験を行った。
【0037】
まず、松樹皮抽出物および黒胡椒抽出物を用いた下記の4種類の飲料を調製した。
・水150mlのみのコントロール飲料
・松樹皮抽出物40mgを水150mlに溶かした試験飲料A
・松樹皮抽出物20mgと黒胡椒抽出物2.5mgを水150mlに溶かした試験飲料B
・松樹皮抽出物40mgと黒胡椒抽出物2.5mgを水150mlに溶かした試験飲料C
【0038】
被験者は10分間の馴化を行い、馴化後にレーザードップラーで血流量を測定した。その後、上記4種類の飲料のいずれかを摂取し、飲料摂取1時間後、再度血流量の測定を行った。なお、臨床試験においては、被験者は、上記飲料を1日1種類のみ摂取するものとした。従って、被験者は、上記4種類の飲料を計4日間をかけて摂取した。
【0039】
各飲料の摂取前後の血流量の変化率についての結果は表1の示すとおりである。
(表1)

【0040】
表1のように、松樹皮抽出物と黒胡椒抽出物の併用により、血流量が相乗的に改善することが分かった。
【0041】
(実施例3:栄養成分の体内吸収効率の測定試験)
ラットを用いて、松樹皮抽出物と黒胡椒抽出物を同時に摂取することにより、食品中の栄養成分の吸収性が上昇することを示す試験を行った。測定方法を以下に示す。
【0042】
16時間以上絶食させた7週齢のWistar系ラットの雄を2群に分けた。松樹皮抽出物600mg/kgを摂取させる群(A群)と、松樹皮抽出物600mg/kgと黒胡椒抽出物20mg/kg群を摂取させる群(B群)に対し、それぞれ強制的に経口摂取し、摂取1時間後および摂取2時間後に全採血を施した。その後、血漿を分離し、プロアントシアニジンB1濃度を下記のLC−MS/MSを用いて測定した。なお、プロアントシアニジンB1とは、松樹皮抽出物に含まれるプロアントシアニジンの一種である。
HPLCシステム :Shimadzu 10A(株式会社島津製作所)
質量分析装置 :API
4000(Applied
Biosystems/MDS Sciex)
データ処理ソフト :Analyst(Applied Biosystems/MDS Sciex)
天秤 :AX205(メトラー・トレド株式会社)
冷却遠心機 :LX-120(トミー工業株式会社)
窒素乾固装置 :MG-1100(東京理化器械株式会社)
超純水製造装置 :Milli-Qシステム(日本ミリポア株式会社)
ディスペンサー :Eppendorf(Eppendorf AG)
Finnpipette(Thermo Labsystems Oy)
【0043】
各群の血漿プロアントシアニジンB1濃度の時間変化の結果を表2に示す。
(表2)

【0044】
表2より、黒胡椒抽出物を摂取したラットは、摂取していないラットと比較して、摂取1時間後および摂取2時間後の血漿中のプロアントシアニジンB1の濃度が上昇する傾向が認められた。以上により、黒胡椒抽出物を同時に摂取することにより、松樹皮抽出物に含まれるプロアントシアニジンB1の吸収性が上昇することが示された。よって、黒胡椒抽出物の摂取により、食品中の栄養成分の吸収性が上昇することが示された。
【0045】
(実施例4:血流改善に関する臨床試験)
健常な成人男女3名(平均年齢28.3歳)を被験者とし、後述する臨床試験を行い、本発明の美容食品用組成物における血流改善効果を測定した。なお、臨床試験中は、後述する試験食品以外の血流改善効果を謳った健康食品、サプリメント、医薬部外品の使用は禁止とした。また、臨床試験の前日は、暴飲暴食を避け、十分な睡眠をとり、体調を整えるものとし、朝食後から臨床試験終了までは飲食をせず、水のみ摂取可能とした。更に、臨床試験中は、可能な限り、同一の朝食を摂取するものとした。
【0046】
臨床試験を実施するにあたり、試験食品、具体的には、OPCを40質量%以上含有する松樹皮抽出物の粉末、ピペリンを含有する黒胡椒抽出物の粉末、およびβ−クリプトキサンチンを含有する酵素処理温州みかん抽出物の粉末を必要に応じて用い、下記の5種類の飲料を調整した。
・水150mlのみのコントロール飲料
・松樹皮抽出物40mgを、水150mlに溶かした試験飲料ア
・松樹皮抽出物40mgと酵素処理温州みかん抽出物10.4mgとを、水150mlに溶かした試験飲料イ
・松樹皮抽出物40mgと黒胡椒抽出物2.5mgとを、水150mlに溶かした試験飲料ウ
・松樹皮抽出物40mgと酵素処理温州みかん抽出物10.4mgと黒胡椒抽出物2.5mgとを、水150mlに溶かした試験飲料エ
【0047】
臨床試験では、被験者は、空調設備によって温度が20℃に保たれた室内で、10分間の馴化を行った。馴化後、被験者の右中指の先端から第一関節までの血流量をレーザードップラーで測定した。その後、上記5種類の飲料のいずれかを摂取し、飲料摂取1時間後、再度、被験者の血流量を測定した。なお、臨床試験においては、被験者は、上記飲料を1日1種類のみ摂取するものとした。従って、被験者は、上記5種類の飲料を計5日間をかけて摂取した。また、血流量の測定時刻については、各被験者毎に、可能な限り前回の測定と同じ時刻とした。
【0048】
コントロールに対する各飲料の摂取前後における血流量の変化率の結果は表3に示す通りである。
(表3)

【0049】
表3から明らかな通り、松樹皮抽出物、みかん抽出物および黒胡椒抽出物を併用することにより、血流量が相乗的に上昇することが示された。
【0050】
このように、松樹皮抽出物、みかん抽出物および黒胡椒抽出物を含有する本発明の美容食品用組成物は、血流量を相乗的に上昇させることができるので、毛細血管の血流量を上昇させることができる。また、本発明の美容食品用組成物は、実施例3から明らかな通り、摂取した食品組成物(特に、松樹皮抽出物)中の成分の腸管内での吸収を高めることができる。よって、本発明の美容食品用組成物は、食品組成物中の成分の腸管内での吸収を高めると共に、腸管で吸収した成分(特に、松樹皮抽出物)を体内の隅々にまで、言い換えれば、組織末端にまで迅速に浸透させることができる。従って、優れた美容効果を発揮することができる。
【0051】
(実施例5:食品用組成物の製造例)
下記の配合割合で飲料(500mL)を製造した。
大豆タンパク質 0.1 質量%
松樹皮抽出物 0.08 質量%
みかん抽出物 0.05 質量%
黒胡椒抽出物 0.002 質量%
ビタミンC 0.001 質量%
ビタミンE 0.001 質量%
果糖 0.3 質量%
水 残量
下記の配合割合でタブレット状の食品(500mg)を製造した。
還元麦芽糖 35 質量%
コラーゲンペプチド 15 質量%
大豆タンパク質 15 質量%
でんぷん 15 質量%
松樹皮抽出物 8 質量%
みかん抽出物 4 質量%
黒胡椒抽出物 1 質量%
ビタミンC 1 質量%
ビタミンE 1 質量%
セルロース 2 質量%
二酸化ケイ素 2 質量%
ステアリン酸カルシウム 1 質量%
【0052】
以上により、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有する新規な美容食品用組成物の製造が可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の美容食品用組成物は、松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有するので、摂取すると、優れた美容効果を発揮することができる。また、本発明の美容食品用組成物には黒胡椒抽出物とみかん抽出物(特に、β−クリプトキサンチン)が含まれているので、バイオアベイラビリティが高められており、食品中の栄養成分を効果的に体内に吸収する。本発明の美容食品用組成物はそのまま、又は種々の成分を加えて、健康食品などの飲食品類や医薬品類等として提供することができる。さらには、本発明の美容食品用組成物は、天然物由来のため、安全かつ手軽に摂取することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物、みかん抽出物、および黒胡椒抽出物を含有する美容食品用組成物。
【請求項2】
前記みかん抽出物は、β−クリプトキサンチンを含有するものであることを特徴とする請求項1記載の美容食品用組成物。
【請求項3】
さらに大豆タンパク質を含有する請求項1または2に記載の美容食品用組成物。
【請求項4】
前記松樹皮抽出物が、OPC含量40質量%以上で構成されていることを特徴とする請求項1から3に記載の美容食品用組成物。
【請求項5】
バイオアベイラビリティを高めたことを特徴とする請求項1から4に記載の食品用組成物。




【公開番号】特開2012−70726(P2012−70726A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79299(P2011−79299)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】