説明

バイオコークス製造方法及び製造装置

【課題】装置の小型化を図るとともに、バイオコークスを短時間で且つ効率的に製造するバイオコークス製造方法及び装置を提案する。
【解決手段】反応容器2にバイオマス細粒体11を充填する充填工程と、バイオマス細粒体を略密状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形する反応工程とを備えたバイオコークス製造方法において、前記充填工程にて、定量計量装置12で定量計量したバイオマス細粒体11を反応容器上部のホッパ3まで充填させ、ホッパ上部から加圧体6を下降させて前記圧力範囲より低圧で加圧した後、加圧体6をホッパ上方まで引き上げ再度下降させてバイオマス細粒体を充填時加圧し、加圧体6を引き上げた時にホッパ3内のバイオマス細粒体11の残量を検出し、ホッパ内にバイオマス細粒体11が残存しない状態となったら充填工程を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを原料としたバイオコークスの製造技術に関し、特に石炭コークスの代替燃料として効果的に利用可能であるバイオコークスを製造するためのバイオコークス製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の観点からCO排出の削減が推進されている。特に、製鉄業界に於いて鋳造炉(キュウポラ炉)や高炉などでは、主たる燃料や還元剤に化石燃料である石炭コークスが用いられている。また、ボイラ発電等の燃焼設備においては、燃料として石炭や重油等の化石燃料が用いられることが多い。この化石燃料は、CO排出の問題から地球温暖化の原因となり、地球環境保全の見地からその使用が規制されつつある。また化石燃料の枯渇化の観点からもこれに代替するエネルギー資源の開発、実用化が求められている。
【0003】
そこで、化石燃料の代替として、大気中のCO量に影響を与えないバイオマスを用いた燃料の利用促進が図られている。バイオマスとは、光合成に起因する有機物であって、木質類、草木類、農作物類、農作物に基づく厨芥類等のバイオマスがある。このバイオマスを燃料化処理することにより、バイオマスをエネルギー源又は工業原料として有効に利用し地球環境保全に貢献することができる。
バイオマスを燃料化する方法としては、バイオマスを乾燥させて燃料化する方法、加圧して燃料ペレット化する方法、炭化、乾留させて固体及び液体の燃料化する方法等が知られている。しかし、バイオマスを乾燥させるのみでは、空隙率が大きくみかけ比重が低くなるため、輸送や貯留が困難であり、長距離輸送や貯留して使用する燃料としては有効とはいえない。
【0004】
一方、バイオマスを燃料ペレット化する方法は、特許文献1(特公昭61−27435号公報)に開示されている。この方法は、細断された有機繊維材料の含水量を16〜28%に調節し、これをダイス内で圧縮して乾燥し燃料ペレットを製造するようにしている。
また、バイオマスを乾留して燃料化する方法は、特許文献2(特開2003−206490号公報)等に開示されている。この方法は、酸素欠乏雰囲気中において、バイオマスを200〜500℃、好適には250〜400℃で加熱して、バイオマス半炭化圧密燃料前駆体を製造する方法となっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される方法では、圧縮成形を行うことによりバイオマスを燃料化しているが、生成した燃料ペレットは水分量が多いため発熱量が低く、燃料としては適していない。
また、特許文献2等に記載されるように乾留によりバイオマスを燃料化する方法では、加工処理を施さないバイオマスに比べると燃料として価値が高いものとなっているが、やはり石炭コークスに比べてみかけ比重が低く、発熱量が低い。さらに、石炭コークスに比べて硬度が低いため、石炭コークスの代替として利用するには不十分である。
【0006】
そこで、近年石炭コークスの代替として、特許文献3(特許第4088933号公報)に基づくバイオコークスが研究されている。
バイオコークスは、バイオマス原料を加圧、加熱した状態で一定時間保持した後に、加圧を維持した状態で冷却することにより製造される。加圧、加熱条件は、バイオマス細粒体中の主成分であるリグニン、セルロース及びヘミセルロースのうち、ヘミセルロースを熱分解させると共にセルロース及びリグニンの骨格を保持しつつ低温反応させて半炭化或いは半炭化前固形物を得る圧力範囲及び温度範囲に設定する。これにより以下の反応機構が成立し、高硬度で高圧密されたバイオコークスが製造できる。
【0007】
その反応機構は、上記した条件で反応を行うことにより、バイオマス細粒体の繊維成分であるヘミセルロースが熱分解し接着効果を発現させ、バイオマス細粒体に含まれる自由水がこの加圧、加熱条件下での作用によりリグニンがその骨格を維持したまま低温で反応し、圧密効果と相乗的に作用することによって、高硬度で高圧密されたバイオコークスが製造できるものである。熱硬化反応は、リグニン等に含まれるフェノール性の高分子間で反応活性点が誘発することにより進行する。
【0008】
図6に、バイオコークスの物性値を他の燃料と比較した表を示す。尚、この表は実験的に得られた数値を記載しているのみであり、本発明はこの数値に限定されるものではない。
この表に示されるように、バイオコークスは、みかけ比重1.2〜1.52に高圧密され、最高圧縮強度20〜200MPa、発熱量18〜23MJ/kgの物性値を示す硬度、燃焼性ともに優れた性能を有しており、未加工の木質バイオマスが、みかけ比重約0.4〜0.6、発熱量約17MJ/kg、最高圧縮強度約30MPaであるのと比べると、発熱量及び硬度の点において格段に優れていることが判る。また、石炭コークスの物性値である、みかけ比重約1.85、最高圧縮強度約15MPa、発熱量約29MJ/kgに比しても、バイオコークスは燃焼性、硬度とも遜色ない性能を有する。従って、バイオコークスは石炭コークスの代替として有効な燃料であるとともに、マテリアル素材としての利用価値も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭61−27435号公報
【特許文献2】特開2003−206490号公報
【特許文献3】特許第4088933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、バイオコークスは未だ研究段階であり、特許文献3には加圧手段や加熱、冷却手段等の具体的な装置構成やその制御については開示されておらず、バイオコークスを短時間で且つ効率的に製造する技術については言及されていなかった。
また、特許文献3では、均一なバイオコークスを製造するためにバイオマス原料を粉砕して反応容器に投入しているが、細粒体状とすることで嵩密度が低くなり反応容器の容積を大きくしなければならず、装置の大型化を招いていた。
そこで本発明は、装置の小型化を図るとともに、バイオコークスを短時間で且つ効率的に製造することを可能としたバイオコークス製造方法及び装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、有底筒状の反応容器にバイオマス細粒体を充填する充填工程と、該バイオマス細粒体を略密状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形した後に冷却する反応工程と、を備えたバイオコークス製造方法において、
前記充填工程にて、定量計量したバイオマス細粒体を前記反応容器の上部に設けられたホッパまで充填させ、前記反応容器の内周面を上下摺動する加圧体を前記ホッパの上部から挿入し、前記加圧体を下降させて前記圧力範囲より低圧でバイオマス細粒体を加圧した後、前記加圧体を前記ホッパの上方まで引き上げて該加圧体を再度下降させ加圧を行い、この加圧体の引き上げと加圧を繰り返し行ってバイオマス細粒体を充填時加圧し、
前記加圧体を引き上げた時に前記ホッパ内のバイオマス細粒体の残量を検出し、該ホッパ内にバイオマス細粒体が残存しない状態となったら充填工程を終了することを特徴とする。
【0012】
バイオマスは細粒体状で反応容器に投入されるため嵩密度が低く、そのままの状態だと反応容器の容積を大きくしなければならないが、本発明のように充填工程にて加圧体により低圧で充填時加圧を行うことで、より多くのバイオマス細粒体を投入することが可能となり、反応容器の小型化が可能となる。また本発明では、反応容器の上部にホッパを設け、該ホッパまでバイオマス細粒体を充填することにより、バイオマス細粒体の投入操作回数を低減できる。ホッパは反応容器より内径が大であるため、加圧体を下降させた時にホッパ内のバイオマス細粒体が加圧体上面に堆積するが、一度加圧した後に加圧体を引き上げて再度加圧するようにし、この操作を繰り返すことにより計量投入したバイオマス細粒体の全量を充填時加圧することができる。さらに、ホッパ内のバイオマス細粒体の残量を検出することによって充填時加圧の終点を容易に認識可能となる。
このように本発明によれば、投入時間の短縮化及び投入操作の効率化が可能となり、工程の短時間化による設備の小型化、コスト低減が図れる。
【0013】
また、前記反応工程では、前記加圧体の圧力を上昇させ前記圧力範囲にてバイオマス細粒体を加圧するとともに、加熱手段により前記バイオマス細粒体を前記温度範囲に加熱し、バイオマス細粒体が反応して半炭化或いは半炭化前固形物が生成した後、前記加熱手段から冷却手段に切り替えて前記反応容器内に生成された成形体を冷却し、
前記反応工程の後に、前記加圧体の圧力を低下させて前記反応容器の底部を開放し、前記冷却された成形体を排出する排出工程を行うことを特徴とする。
【0014】
これは、充填工程にて先ず加圧体を低圧で作動させバイオマス細粒体の充填時加圧を行い、次いで反応工程で加圧体の圧力を上昇させるとともにこれに連動させて加熱手段を作動させ、略密閉状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧してバイオマス細粒体を反応させ、所定時間保持した後に加圧手段は保持したまま加熱手段から冷却手段に切り替えて冷却を行い、バイオコークス成形体を製造するようにしている。このように、加圧体と加熱手段及び冷却手段を連動させて制御することにより、短時間で且つ効率的にバイオコークスを製造することが可能となる。
【0015】
さらに、前記加圧体はロッドを介して加圧シリンダに連結しており、前記ロッドの外周面に摺接するロッド清掃手段により該ロッドに付着したバイオマス細粒体を除去することを特徴とする。
このように、ロッドを清掃するロッド清掃手段を備えることにより、充填時加圧時に加圧体上面に堆積したバイオマス細粒体がロッドに付着して加圧シリンダに不具合が発生することを防止できる。
【0016】
また、バイオマス細粒体が充填される有底筒状の反応容器と、前記反応容器内のバイオマス細粒体を加圧する加圧体とを備え、前記バイオマス細粒体を略密状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら前記加圧体により加圧成形するバイオコークス製造装置において、
前記反応容器の上部にホッパが設けられ、前記加圧体は該ホッパの上方から前記反応容器内に挿入され該反応容器内を上下摺動するように設置されており、
前記バイオマス細粒体を定量計量して前記反応容器に投入する計量投入手段と、前記加圧体の圧力制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記加圧体がバイオマス細粒体に付与する加圧力を、前記圧力範囲より低圧で前記バイオマス細粒体を充填時加圧する第1の圧力段階と前記充填時加圧したバイオマス細粒体を前記圧力範囲で加圧する第2の圧力段階とに圧力制御するとともに、
前記第1の圧力段階で、前記加圧体を下降させて前記計量投入手段により前記ホッパまで充填されたバイオマス細粒体を押圧した後該加圧体を前記ホッパの上方まで引き上げ再度下降させる上下動制御を行うことを特徴とする。
【0017】
また、前記制御装置は、前記加圧体の上下動制御を繰り返し行い、
前記加圧体を引き上げた時に前記ホッパ内のバイオマス細粒体の残量を検出し、該ホッパ内にバイオマス細粒体が残存しない状態となったらこれを充填時加圧の終点と認識する終点認識手段を備えることを特徴とする。
さらに、前記反応容器内のバイオマス細粒体を前記温度範囲に加熱する加熱手段と、該加熱したバイオマス細粒体を冷却する冷却手段とを備え、
前記制御装置は、前記加圧体の第2の圧力段階で前記加熱手段を作動させ、バイオマス細粒体が反応して半炭化或いは半炭化前固形物が生成した後に前記加熱手段から前記冷却手段に切り替える制御を行なうことを特徴とする。
さらにまた、前記加圧体はロッドを介して加圧シリンダに連結しており、前記ロッドの外周面に摺接するロッド清掃手段を設け、前記ロッドに付着したバイオマス細粒体を前記ロッド清掃手段により除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、充填工程にて加圧体により低圧で充填時加圧を行うことで、より多くのバイオマス細粒体を投入することが可能となり、反応容器の小型化が可能となる。また本発明では、反応容器の上部にホッパを設け、該ホッパまでバイオマス細粒体を充填することにより、バイオマス細粒体の投入操作回数を低減できる。ホッパは反応容器より内径が大であるため、加圧体を下降させた時にホッパ内のバイオマス細粒体が加圧体上面に堆積するが、一度加圧した後に加圧体を引き上げて再度加圧するようにし、この操作を繰り返すことにより計量投入したバイオマス細粒体の全量を充填時加圧することができる。さらに、ホッパ内のバイオマス細粒体の残量を検出することによって充填時加圧の終点を容易に認識可能となる。このように本発明によれば、投入時間の短縮化及び投入操作の効率化が可能となり、工程の短時間化による設備の小型化、コスト低減が図れる。
【0019】
また、充填工程にて先ず加圧体を低圧で作動させバイオマス細粒体の充填時加圧を行い、次いで反応工程で加圧体の圧力を上昇させるとともにこれに連動させて加熱手段を作動させ、略密閉状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧してバイオマス細粒体を反応させ、所定時間保持した後に加圧手段は保持したまま加熱手段から冷却手段に切り替えて冷却を行い、バイオコークス成形体を製造するようにし、加圧体と加熱手段及び冷却手段を連動させて制御することにより、短時間で且つ効率的にバイオコークスを製造することが可能となる。
さらに、ロッドを清掃するロッド清掃手段を備えることにより、充填時加圧時に加圧体上面に堆積したバイオマス細粒体がロッドに付着して加圧シリンダに不具合が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るバイオコークス製造装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るバイオコークス製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るバイオコークス製造装置の動作を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る加圧用油圧機構の油圧回路図である。
【図5】本発明の実施形態に係る冷熱媒回路を備えたバイオコークス製造装置のシステム構成図である。
【図6】バイオコークスの物性値を比較する表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の種類、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
本実施形態において、バイオコークスの原料となるバイオマスは、光合成に起因する有機物であって、木質類、草木類、農作物類、厨芥類等のバイオマスであり、例えば、廃木材、間伐材、剪定枝、植物、農業廃棄物、コーヒー滓や茶滓等の厨芥廃棄物等が挙げられる。
【0022】
本実施形態では、必要に応じて所定の含水率になるように水分調整されたバイオマス細粒体を原料としている。バイオマス細粒体は、茶滓やコーヒー滓等のように小粒径のバイオマスをそのまま用いてもよいし、廃木材等の大粒径のバイオマスを予め所定粒径以下まで粉砕したものであってもよい。
本実施形態のバイオコークス装置は、バイオマス細粒体を略密状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形して一定時間保持した後に、加圧を維持した状態で冷却することによりバイオコークスを製造する。上記した温度範囲、圧力範囲は、バイオマス細粒体中の主成分であるリグニン、セルロース及びヘミセルロースのうち、ヘミセルロースを熱分解させると共にセルロース及びリグニンの骨格を保持しつつ低温反応させて半炭化或いは半炭化前固形物を得る圧力範囲及び温度範囲とする。即ち、前記バイオマス細粒体中のヘミセルロースが熱分解されるとともにリグニンが熱硬化反応を誘起する温度範囲及び圧力範囲である。
【0023】
まず、図1を参照して、本実施形態のバイオコークス製造装置の基本構成を説明する。
図1に示すように、バイオコークス製造装置1はバイオマス細粒体11が投入される円筒形の反応容器2を有している。該反応容器2の上部にはバイオマス細粒体11を受け入れる漏斗状のホッパ3が設けられ、下端には成形されたバイオコークスを排出する排出部5が設けられている。
また、反応容器2の前段には、バイオマス細粒体11を計量して所定量のバイオマス細粒体11をホッパ3に供給する定量計量装置12が設けられている。該定量計量手段12は、製造されるバイオコークスを目的とする大きさ或いは重量に成形するために、必要なバイオマス細粒体11の重量又は体積が設定されている。尚、バイオマス細粒体11は嵩密度が異なるため重量で設定されていることが好ましい。
【0024】
前記反応容器2は、内容物を所定温度まで加熱する加熱手段と、加熱後に冷却する冷却手段とを備える。この加熱手段及び冷却手段は、同一の温度調整手段としてもよい。本実施形態では、温度調整手段として、反応容器2にジャケットを設けた二重管構造とし、内筒と外筒の間に冷熱媒通路4を設けた構成としている。冷熱媒通路4には、熱媒若しくは冷媒(以後、冷熱媒と称する)が通流し、該冷熱媒による伝熱によりシリンダ内筒に充填されたバイオマス細粒体11に熱エネルギの授受を行うようになっている。冷熱媒通路4の下方側には冷熱媒入口4aが設けられ、上方側には冷熱媒出口4bが設けられている。これらの冷熱媒入口4a及び冷熱媒出口4bは、後述する冷熱媒回路に接続されている(図5参照)。冷熱媒通路4、冷熱媒入口4a、冷熱媒出口4b、冷熱媒回路を含み、冷熱媒の切り替えにより反応容器2の温度制御を行う機構を冷熱媒循環機構と称する。
【0025】
排出部5は反応容器2の径と同一径の開口からなり、その下方には該排出部5を開閉する排出装置が設けられている。該排出装置は、排出部5を封止する底面蓋部9と、該底面蓋部9を水平方向にスライドさせて排出部5の封止、開放を制御する排出用油圧機構10とから構成される。この排出装置は、反応容器2内にて反応工程が終了した後に、油圧機構10を駆動させ底面蓋部9をスライドさせて排出部5を開放し、シリンダ2内のバイオコークスを落下させて排出するようになっている。
さらに、反応容器2の上方には、該シリンダ2内のバイオマス細粒体11を所定圧力まで加圧する加圧手段を備える。この加圧手段は、加圧シリンダ7により駆動されて反応容器2内を往復動する加圧ピストン(加圧体)6と、該加圧シリンダ7内の油圧を制御する加圧用油圧機構8とからなる(図4参照)。加圧ピストン6及び加圧シリンダ7は、反応容器2と同軸上に配置される。加圧ピストン6は、反応容器2の底面付近まで下降する。該加圧ピストン6は、所定時間だけこの加圧状態を保持できる構成となっている。
【0026】
加圧用油圧機構8、排出用油圧機構10及び冷熱媒循環機構は、制御装置100により制御される。該制御装置100は、中央処理装置
(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。さらに、制御装置100は、加圧用油圧機構8の加圧ピストン6の充填回数等をカウントするカウンタ101、所定の制御における継続時間を計測するタイマ102を備えている。
【0027】
図4に、加圧用油圧機構の油圧回路図の一例を示す。加圧シリンダ7に供給される作動油は、ポンプ77によりタンク76から汲み上げられ、電磁弁78により供給量を制御されて加圧シリンダ7に供給される。電磁弁78と加圧シリンダ7の間の油圧通路には逆止弁71、72が設けられており、この部分の作動油圧力が圧力検知センサ75によって背圧として検知され、この値が加圧ピストン6の圧力値として制御装置100に入力される。そして、制御装置100により、圧力検知センサ75にて検知された圧力値に基づいて電磁弁78を制御することにより加圧ピストン6の圧力が調整される。
加圧ピストン6の圧力段階は、バイオマス細粒体11を反応させて半炭化或いは半炭化前固形物を得る圧力範囲より低圧で、バイオマス細粒体11を充填時加圧する第1の圧力段階と、充填時加圧したバイオマス細粒体11を前記圧力範囲で加圧する第2の圧力段階と、の少なくとも2段階を有する。
【0028】
図5を参照して、冷熱媒循環機構が備える冷熱媒回路30の一例につき説明する。この冷熱媒回路30を用いることにより、熱効率が高く且つ安全性の高い温度調整手段とすることが可能であるが、もちろん他の構成の冷熱媒回路を用いてもよい。この冷熱媒回路30では、冷媒及び熱媒にシリコンオイルを用いることが好ましい。
反応容器2の冷熱媒入口4aと出口4bは、同図に示される冷熱媒回路30に夫々接続されている。該冷熱媒回路30は、冷媒回路と熱媒回路とが組み合わされた構成となっている。冷熱媒出口4bは、冷熱媒排出ライン41に接続され、該排出ライン41上の三方バルブ45を介して熱媒戻りライン42と、冷媒戻りライン43に分岐している。
熱媒戻りライン42は熱媒タンク31に接続されている。該熱媒タンク31は、加熱器31aと、撹拌機31bを具備しており、冷却された熱媒を昇温するようになっている。必要に応じてNボンベからNガスが供給されるようにし、タンク内を不活性雰囲気に保持して安全性を確保することが好ましい。熱媒タンク31の出口側は、三方バルブ46を介して冷熱媒供給ライン40に接続されている。
このような構成を用いて、反応容器2の加熱時には、三方バルブ45、46を制御することにより熱媒タンク31側に熱媒が循環するようにし、熱媒タンク31、冷熱媒供給ライン40、冷熱媒通路4(反応容器2)、冷熱媒排出ライン41、熱媒戻りライン42からなる熱媒回路を形成する。
【0029】
冷媒戻りライン43は、冷媒熱交換器36に接続されている。該冷媒熱交換器36は、上水等の冷却水と冷媒とを熱交換し、冷媒を冷却する構成となっている。
さらに、好適には冷媒戻りライン43の冷媒熱交換器36より上流側に、冷媒タンク35を設ける。この冷媒タンク35は、少なくとも冷媒温度を水の沸点以下、好適には80℃以下まで冷却する能力を有するものとする。さらに、冷媒タンク35は、撹拌機35aを具備することが好ましく、これにより冷媒タンク35出口の冷媒温度変化を軽減し冷却能力を向上させる。
このような構成を用いて、反応容器2の冷却時には、三方バルブ45、46を制御することにより冷媒タンク35側に切り替えて、該冷媒タンク35側に冷媒が循環するようにし、冷媒タンク35、冷媒熱交換器36、冷熱媒供給ライン40、冷熱媒通路4(反応容器2)、冷熱媒排出ライン41、冷媒戻りライン43からなる冷媒回路を形成する。
このように、反応容器2内のバイオマス細粒体11の加熱手段、冷却手段として、冷熱媒回路30を備えた冷熱媒循環機構を用いることにより、バイオマス細粒体11の加熱又は冷却が迅速に行え、また加熱から冷却への切替を円滑に行うことが可能となる。
【0030】
さらに、反応容器2には、充填時加圧の終点を認識するための終点認識手段が設けられている。該終点認識手段は、加圧ピストン6を引き上げた時にホッパ3内のバイオマス細粒体11の残量を検出し、該ホッパ3内にバイオマス細粒体11が残存しない場合にこれを充填時加圧の終点と認識する。具体的には、終点認識手段は、ホッパ3上方に設けられた撮像装置20と、制御装置100内に組み込まれた画像処理装置(不図示)とからなる。撮像装置20は、ホッパ3の内面を撮像する装置である。画像処理装置は、予め空の状態のホッパ3内面の地色が記憶されており、撮像装置20で撮像された画像が入力されて、撮像画像におけるホッパ3内面の色と、空の状態のホッパ3内面の地色とを比較し、これらの色が一致する場合はホッパ3が空であると判断して充填時加圧の終点と認識する。一方、これらの色が一致しない場合はホッパ3にバイオマス細粒体11が残存していると判断し、終点ではないと認識する。
【0031】
さらにまた、図3(iii)、(iv)に示すように加圧ピストン6のロッドにロッド清掃手段13を設けることが好ましい(他の図面では省略)。ロッド清掃手段13は、加圧ピストン6のロッドに付着したバイオマス細粒体11を除去する手段である。該ロッド清掃手段13は、リング状部材13aが固定アーム13bによりその絶対位置が変化しないように固定された構成を備える。該リング状部材13aは、加圧ピストン6が上下動することにより該加圧ピストン6のロッド外周面と摺接し、ロッドに付着したバイオマス細粒体11をこそげ落とすようになっている。リング状部材13aは樹脂材料等の可撓性材料で形成されることが好ましく、必要に応じて摺接面に潤滑剤を塗布するとよい。
【0032】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るバイオコークス製造方法のフローを説明する。
先ず、充填工程において制御装置100により充填操作を起動させる(S1)。これは、加圧用油圧機構8や排出用油圧機構10を含む各油圧機構、及び冷熱媒循環機構を起動させ(S2)、カウンタ101の充填回数をリセットする(S3)。即ち、充填回数をX(回)とすると、X=0に設定する。このとき、図3(i)に示すように、加圧ピストン6は反応容器2より上方の初期位置に設定しておく。
原料であるバイオマス細粒体11をホッパ3に所定量計量投入する(S4)。これは、定量計量装置12によりバイオマス細粒体11を計量し、所定重量又は体積のバイオマス細粒体11をホッパ3に投入する。このとき、図3(ii)に示すようにホッパ3までバイオマス細粒体11が充填されるように投入する。好適には、ホッパ3にバイオマス細粒体11が盛り上げられた状態となるように投入する。反応容器2の容積にもよるが、可能であれば、定量された所定量のバイオマス細粒体11を1回又は数回で投入する。
【0033】
バイオマス細粒体11の投入後、図3(iii)に示すように加圧シリンダ7を低圧で下降側に駆動して加圧ピストン6を下降させ、バイオマス細粒体11を低圧で充填時加圧する(S5)。加圧ピストン6が下降することにより、ホッパ3に盛られていたバイオマス細粒体11が反応容器2内に落下して加圧ピストン6の上面に堆積される。低圧下降時の圧力は、後述する反応工程の圧力より低い第1の圧力段階Pとする。この時、カウンタ101の充填回数を+1増加させて、X=X+1とする(S6)。低圧下降時に制御装置100では、加圧シリンダ7の油圧Pが予め設定された所定圧力Pより大きいか否かを監視する(S7)。加圧シリンダ7の油圧Pが所定圧力P以下の状態にて、タイマ102にて計測される加圧時間が予め設定された所定時間以上経過した場合は、S5に戻り再度加圧シリンダ7を下降側に駆動してカウンタ101により下降回数をカウントする。好適には、充填時加圧を行う第1段階の圧力Pは14MPaとし、所定時間は10秒とする。
【0034】
そして、加圧シリンダ7の油圧Pが予め設定された所定圧力Pより大きい場合には、カウンタ101にてカウントされる充填回数Xが所定の充填回数Xa未満であるか否かを判断し(S8)、充填回数Xが所定の充填回数Xa未満である場合には、加圧ピストン6が反応容器2の入口付近に引っかかるなどの異常が発生した事により加圧ピストン6が適切に下降しなかったものと推測し、装置を停止する(S9)。このように、カウンタ101にて充填回数Xをカウントすることにより、充填時加圧における異常を簡単に且つリアルタイムで検出することが可能となる。
【0035】
異常が検出されなかったら、終点認識手段により充填時加圧の終点が認識されたか否かを判断する(S10)。これは、撮像装置20でホッパ3内面の画像を撮像し、制御装置100の画像処理装置にて撮像画像におけるホッパ3内面の色と、予め記憶された空の状態のホッパ3内面の地色とを比較し、これらの色が一致する場合はホッパ3が空であると判断して充填時加圧の終点と認識する。一方、これらの色が一致しない場合はホッパ3にバイオマス細粒体11が残存していると判断し、終点ではないと認識する。
終点認識手段により充填時加圧の終点ではないと判断された場合、加圧シリンダ7を低圧で上昇側に駆動し、図3(iv)に示すように加圧ピストン6をホッパ3上方の初期位置まで上昇させる(S11)。これにより、ホッパ3に残存しているバイオマス細粒体11が反応容器2内に落下する。そして、図3(iii)に示すように、落下したバイオマス細粒体11の上方から加圧ピストン6を低圧下降してS5以降の工程を繰り返し行う。この操作は、終点認識手段により充填時加圧の終点を認識したら終了する。
【0036】
バイオマスは細粒体状で反応容器2に投入されるため嵩密度が低く、そのままの状態だと反応容器2の容積を大きくしなければならないが、充填工程にて加圧ピストン6により低圧で充填時加圧を行うことで、より多くのバイオマス細粒体11を投入することが可能となり、反応容器2の小型化が可能となる。
また、上記したように、反応容器2の上部にホッパ3を設け、該ホッパ3までバイオマス細粒体11を充填することにより、バイオマス細粒体11の投入操作回数を低減できる。ホッパ3は反応容器2より内径が大であるため、加圧ピストン6を下降させた時にホッパ3内のバイオマス細粒体11が加圧体上面に堆積するが、一度加圧した後に加圧ピストン6を引き上げて再度加圧するようにし、この操作を繰り返すことにより計量投入したバイオマス細粒体11の全量を充填時加圧することができる。従って本構成によれば、投入時間の短縮化及び投入操作の効率化が可能となり、工程の短時間化による設備の小型化、コスト低減が図れる。
【0037】
さらに、充填工程において、図3(iii)、(iv)に示すように、加圧ピストン6が上下動する際にロッド清掃手段13によりロッドに付着したバイオマス細粒体11が除去されるようになっている。これにより、充填時加圧時にホッパ3から加圧ピストン6の上面に落下したバイオマス細粒体11がロッドに付着して加圧シリンダ7に不具合が発生することを防止できる。
【0038】
反応工程では、図3(v)に示すように、加圧シリンダ7を高圧にて下降側に駆動して加圧ピストン6を下降させ(S12)、バイオマス細粒体11を反応させるために必要とされる所定の圧力範囲P(第2の圧力段階)で該バイオマス細粒体11を加圧する。また、熱媒を反応容器2の冷熱媒通路4に循環させ所定の温度範囲でバイオマス細粒体11を加熱する(S13)。所定の圧力範囲Pは、上記したようにバイオマス細粒体中のヘミセルロース、リグニンの熱分解又は熱硬化反応を誘起する圧力範囲及び温度範囲とする。好適には、圧力範囲Pを8〜25MPa、温度範囲を115〜230℃とする。反応容器2内のバイオマス細粒体11は、上記した加圧、加熱状態を一定時間保持する。例えば、シリンダ径が50mmの場合、保持時間は10〜20分間で、150mmの場合は30〜60分間とする。タイマ102にて熱媒循環時間が終了したか否かを判断し(S14)、終了したら冷熱媒循環機構を熱媒から冷媒に切り替えて、冷熱媒通路4への冷媒循環を開始する(S15)。同様にタイマ102にて冷媒循環時間が終了したか否かを判断し(S16)、終了したら冷媒循環を停止し、排出工程に移行する。
【0039】
排出工程では、加圧シリンダ7の高圧を抜き(S17)、排出用油圧機構10を駆動して底面蓋部9をスライドして排出部5を開放する(S18)。次いで、図3(vi)に示すように加圧シリンダ7を低圧で下降側に駆動させ、反応容器2内に製造されたバイオコークス19を加圧ピストン6により押出し排出する(S19)。これにより、反応容器2内に圧密して形成されたバイオコークス19を容易に排出可能となる。
このとき、位置センサ等により加圧ピストン6の位置が下降端位置まで到達したか否かを判断し(S20)、下降端位置まで到達した場合には加圧シリンダ7を低圧で上昇側に駆動させ加圧ピストン6を上昇させる(S21)とともに底面蓋部9を閉鎖し(S22)、加圧ピストン6を上昇端まで移動させる(S23)。そして、制御装置100に通常運転停止命令が入力された場合には(S24)、運転を終了する(S25)。停止命令が入力されていない場合には(S24)、S3まで戻り、充填回数をリセットした後、原料投入(S4)移行のステップを繰り返し行う。
【0040】
上記したように本実施形態では、充填工程にて、先ず加圧ピストン6を低圧の第1の圧力段階で作動させてバイオマス細粒体11の充填時加圧を行い、次いで反応工程で加圧ピストン6の圧力を上昇させるとともにこれに連動させて冷熱媒通路4に熱媒を通流させ、反応容器2内でバイオマス細粒体11を略密閉状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲(第2の圧力段階)で加圧しながら加熱し、所定時間保持した後に、加圧状態は保持したまま冷熱媒通路4を熱媒から冷媒に切り替えて冷却を行い、バイオコークス成形体19を製造するようにしている。このように、制御装置100により加圧用油圧機構8、排出用油圧機構10及び冷熱媒循環機構を連動させて制御することにより、短時間で且つ効率的にバイオコークスを製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本実施形態に係るバイオコークス製造装置を用いることにより、石炭コークスの代替として利用可能な高硬度で高密度のバイオコークスを効率的に製造することが可能となる。また、本実施形態にて製造されたバイオコークスは、鋳物製造或いは製鉄において、キュポラ炉、高炉等における熱源・還元剤等として利用可能であり、また発電用ボイラー燃料、消石灰等の焼成燃料等の燃料需要にも利用可能であり、更に高い圧縮強度等の特性を活かして、マテリアル素材としての使用も可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 バイオコークス製造装置
2 反応容器
3 ホッパ
4 冷熱媒通路
6 加圧ピストン(加圧体)
8、10 油圧機構
9 底面蓋部
11 バイオマス細粒体
12 定量計量装置
13 ロッド清掃手段
20 撮像装置
30 冷熱媒回路
100 制御装置
101 カウンタ
102 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の反応容器にバイオマス細粒体を充填する充填工程と、該バイオマス細粒体を略密状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形した後に冷却する反応工程と、を備えたバイオコークス製造方法において、
前記充填工程にて、定量計量したバイオマス細粒体を前記反応容器の上部に設けられたホッパまで充填させ、前記反応容器の内周面を上下摺動する加圧体を前記ホッパの上部から挿入し、前記加圧体を下降させて前記圧力範囲より低圧でバイオマス細粒体を加圧した後、前記加圧体を前記ホッパの上方まで引き上げて該加圧体を再度下降させ加圧を行い、この加圧体の引き上げと加圧を繰り返し行ってバイオマス細粒体を充填時加圧し、
前記加圧体を引き上げた時に前記ホッパ内のバイオマス細粒体の残量を検出し、該ホッパ内にバイオマス細粒体が残存しない状態となったら充填工程を終了することを特徴とするバイオコークス製造方法。
【請求項2】
前記反応工程では、前記加圧体の圧力を上昇させ前記圧力範囲にてバイオマス細粒体を加圧するとともに、加熱手段により前記バイオマス細粒体を前記温度範囲に加熱し、バイオマス細粒体が反応して半炭化或いは半炭化前固形物が生成した後、前記加熱手段から冷却手段に切り替えて前記反応容器内に生成された成形体を冷却し、
前記反応工程の後に、前記加圧体の圧力を低下させて前記反応容器の底部を開放し、前記冷却された成形体を排出する排出工程を行うことを特徴とする請求項1記載のバイオコークス製造方法。
【請求項3】
前記加圧体はロッドを介して加圧シリンダに連結しており、前記ロッドの外周面に摺接するロッド清掃手段により該ロッドに付着したバイオマス細粒体を除去することを特徴とする請求項1記載のバイオコークス製造方法。
【請求項4】
バイオマス細粒体が充填される有底筒状の反応容器と、前記反応容器内のバイオマス細粒体を加圧する加圧体とを備え、前記バイオマス細粒体を略密状態にて半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら前記加圧体により加圧成形するバイオコークス製造装置において、
前記反応容器の上部にホッパが設けられ、前記加圧体は該ホッパの上方から前記反応容器内に挿入され該反応容器内を上下摺動するように設置されており、
前記バイオマス細粒体を定量計量して前記反応容器に投入する計量投入手段と、前記加圧体の圧力制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記加圧体がバイオマス細粒体に付与する加圧力を、前記圧力範囲より低圧で前記バイオマス細粒体を充填時加圧する第1の圧力段階と前記充填時加圧したバイオマス細粒体を前記圧力範囲で加圧する第2の圧力段階とに圧力制御するとともに、
前記第1の圧力段階で、前記加圧体を下降させて前記計量投入手段により前記ホッパまで充填されたバイオマス細粒体を押圧した後該加圧体を前記ホッパの上方まで引き上げ再度下降させる上下動制御を行うことを特徴とするバイオコークス製造装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記加圧体の上下動制御を繰り返し行い、
前記加圧体を引き上げた時に前記ホッパ内のバイオマス細粒体の残量を検出し、該ホッパ内にバイオマス細粒体が残存しない状態となったらこれを充填時加圧の終点と認識する終点認識手段を備えることを特徴とする請求項4記載のバイオコークス製造装置。
【請求項6】
前記反応容器内のバイオマス細粒体を前記温度範囲に加熱する加熱手段と、該加熱したバイオマス細粒体を冷却する冷却手段とを備え、
前記制御装置は、前記加圧体の第2の圧力段階で前記加熱手段を作動させ、バイオマス細粒体が反応して半炭化或いは半炭化前固形物が生成した後に前記加熱手段から前記冷却手段に切り替える制御を行なうことを特徴とする請求項4記載のバイオコークス製造装置。
【請求項7】
前記加圧体はロッドを介して加圧シリンダに連結しており、前記ロッドの外周面に摺接するロッド清掃手段を設け、前記ロッドに付着したバイオマス細粒体を前記ロッド清掃手段により除去することを特徴とする請求項4記載のバイオコークス製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−100811(P2010−100811A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83891(P2009−83891)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度〜平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構・イノベーション実用化開発費(大学発事業創出実用化研究開発事業)「鋳造コークス代替となる高硬度固形バイオ燃料の量産機開発と実証」交付規程第7条第1項第二号の規定・助成研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】