バイオセンサのための低全塩試薬組成物およびシステム
被分析物のレドックス反応を選択的に実施するための反応手段と、被分析物のレドックス反応の速度を測定するための測定手段とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのバイオセンサシステムが開示される。反応手段は、バインダと、緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含するメディエータと、酵素系とを包含する。測定手段は、少なくとも二つの導体を包含する。測定手段により、反応手段に試料を導入してから最長7秒以内の最大動的性能において、試料中の被分析物の濃度に対応する、反応手段からの出力信号値を測定し、測定手段が少なくとも一つの誤差パラメータに対応する、少なくとも一つのΔS値を判定する。測定手段がさらに、少なくとも一つの参照相関と少なくとも一つのΔS値と最低でも0.5のR2値とを包含する補正式から、試料中の被分析物濃度を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体を引用して取り込む、2008年12月8日に提出され、「Low-Salt Reagent Composition」と題する、米国仮出願第61/201,242号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサは、生物学的流体、例えば、全血、血清、血漿、尿、唾液、間質または細胞内流体の分析を提供する。通常、バイオセンサは、テストセンサ内にある試料を分析する、測定装置を有する。試料は、通例、液体形態であり、生物学的流体または生物学的流体の派生物、例えば、抽出物、希釈物、ろ過物もしくは再構成された沈殿物とすることができる。バイオセンサによって実施される分析では、生物学的流体中の一つ以上の被分析物の存在および/または濃度を判定する。被分析物の例は、アルコール、グルコース、尿酸、乳酸塩、コレステロール、ビリルビン、遊離脂肪酸、トリグリセリド、タンパク質、ケトン、フェニルアラニンまたは酵素を包含する。分析は、生理学的異常の診断および処置に有効であるとすることができる。例として、糖尿病の罹患者は、バイオセンサを使用し、全血中のグルコースレベルを判定することができ、この情報を罹患者の食餌および/または投薬の調整に使用することができる。
【0003】
バイオセンサは、一つ以上の被分析物を分析するように設計することができ、異なる試料体積を使用することができる。いくつかのバイオセンサは、単一滴、例えば、体積として0.25〜15マイクロリットル(μL)の全血を分析することができる。バイオセンサは、卓上型、携帯型等の測定装置を使用して具現化することができる。携帯型測定装置は、手持ち式であり、試料中の一つ以上の被分析物の同定および/または定量化を許可することができる。携帯型測定装置の例は、ニューヨーク州タリータウンのBayer HealthCareのAscensia Breeze(登録商標)およびElite(登録商標)メーターを包含する一方、卓上型測定装置の例は、テキサス州オースティンのCH Instrumentsから入手可能なElectrochemical Workstationを包含する。より短い分析時間を提供する一方、所望の正確性および/または精度を供するバイオセンサは、使用者に実質的な利益を提供する。
【0004】
電気化学バイオセンサでは、入力信号が試料に適用されたときに、被分析物または被分析物に対応した種の酸化/還元またはレドックス反応により、生成された電気信号から、被分析物濃度を判定する。入力信号は、単一の電気パルスとしてか、複数のパルス、シーケンスまたはサイクルで適用することができる。オキシドレダクターゼ、例えば、酵素または同様の種を試料に加えることで、レドックス反応中における第一の種から第二の種への電子移動を促進することができる。酵素または同様の種は、単一の被分析物と反応し、したがって、生成された出力信号の部分に特異性を提供することができる。
【0005】
電気化学バイオセンサは、通例、テストセンサ内の電気導体に接続している電気接触を有する、測定装置を包含する。テストセンサは、生体の外部、内部または部分的に内部で使用するために適応させることができる。生体の外部で使用するときには、生物学的流体の試料をテストセンサ内の試料容器に導入する。分析のための試料の導入前、後または中に、テストセンサを測定装置内に置くことができる。生体の内部または部分的に内部のときには、テストセンサを継続的に試料に浸漬させることができるか、試料を断続的にテストセンサに導入することができる。テストセンサは、試料の体積を部分的に隔離する容器を包含することができ、または試料に対して開放されるものでもよい。同様に、試料は、テストセンサを通じて連続的に流動するか、分析のために遮断されてもよい。
【0006】
電気化学バイオセンサのため、導体を導電性材料、例えば、固体金属、金属ペースト、導電性炭素、導電性炭素ペースト、導電性ポリマー等から作製してもよい。電気導体は、通常、試料容器内に延伸する作用電極、対電極、参照電極および/または他の電極に接続する。一つ以上の電気導体が試料容器内に延伸し、電極によっては提供されない機能性を提供することもできる。
【0007】
複数の技術、例えば、米国特許第6,531,040号;第5,798,031号;および第5,120,420号に記載された技術を使用し、絶縁基板上に電極を配置またはプリントすることにより、テストセンサを形成することができる。一つ以上の導体上に一つ以上の試薬組成物を配置することにより、電極を形成することができる。例えば、作用電極および対電極を同一の組成物でコーティングするときには、一つよりも多い導体を同一の試薬組成物でコーティングすることができる。当業者に既知の複数の技術を使用して、テストセンサ上に試薬組成物を配置することができる。試薬組成物は、試薬流体として導体上に配置し、その後、乾燥させることができる。試料がテストセンサに導入されると、試薬組成物が再水和し始める。
【0008】
異なる試薬組成物を導体上に配置することができる。これにより、作用電極の試薬組成物を、酵素、メディエータおよびバインダを含有するものとすることができる一方、対電極の試薬組成物を、作用電極のメディエータと同一または異なるメディエータおよびバインダを含有するものとすることができる。試薬組成物は、被分析物の酸化または還元を助長するためのイオン化剤、例えば、オキシドレダクターゼと共に、被分析物と作用電極との間の電子の移動を補助する、任意のメディエータまたは他の物質を包含することができる。試薬同士を結合させることに加え、バインダは、赤血球をろ過し、導体表面がコーティングされることを防止し、例として、オキシドレダクターゼを安定化させることを補助することができる。
【0009】
被分析物の濃度が正確に判定することができる、テストセンサからの出力信号がより早く得られるほど、より早く分析を完了することができる。したがって、試薬組成物を包含するバイオセンサは、より短い分析時間を提供する一方、所望の正確性および/または精度を供することで、使用者に実質的な利益を提供することができる。
【0010】
バイオセンサシステムの測定性能は、正確性および/または精度に換算して定められる。正確性および/または精度の増大は、システムの測定性能の改善を提供する。正確性は、被分析物の参照指示値と比較したセンサシステムの被分析物指示値のバイアスに換算して表現することができ、より大きいバイアス値がより少ない正確性を表す。精度は、平均値に対する複数の被分析物指示値におけるバイアスの拡散または分散に換算して表現することができる。バイアスは、バイオセンサシステムから判定された一つ以上の値と、生物学的流体中の被分析物濃度の一つ以上の容認参照値との間の差である。したがって、測定された分析における一つ以上の誤差は、結果として、バイオセンサシステムの判定された被分析物濃度のバイアスをもたらす。バイアスは、「絶対バイアス」または「パーセントバイアス」に換算して表現することができる。絶対バイアスは、測定の単位、例えば、mg/dLで表現することができる一方、パーセントバイアスは、参照値に対する絶対バイアス値の百分率として表現することができる。容認参照値は、参照機器、例えば、オハイオ州イエロースプリングスのYSI Inc.から入手可能なYSI 2300 STAT PLUS(商標)で得られる。
【0011】
バイオセンサシステムは、生物学的流体の分析中に、一つまたは複数の誤差を包含する出力信号を提供するであろう。例えば、一つ以上の部分または出力信号全体が試料の被分析物濃度に非対応であるか、不適切に対応しているときには、これらの誤差が異常な出力信号として反映されるだろう。これらの誤差は、一つ以上の寄与因子、例えば、試料の物理的特性、試料の環境的側面、システムの稼動状況、妨害物質等によるものということができる。試料の物理的特性は、ヘマトクリット(赤血球)濃度等を包含する。試料の環境的側面は、温度等を包含する。システムの稼動状況は、試料サイズが十分に大きくないときのアンダーフィル状況、試料の低速充填、試料とテストセンサ内の一つ以上の電極との間の断続的な電気接触、被分析物と相互作用する試薬の劣化等を包含する。妨害物質は、アスコルビン酸、尿酸、アセトアミノフェン等を包含する。誤差を生じさせる他の寄与因子または寄与因子の組み合わせが存在するであろう。
【0012】
多くのバイオセンサシステムは、分析に伴う誤差を修正するための一つ以上の方法を包含する。誤差を有する分析から得られた濃度値は不正確であろう。よって、これらの不正確な分析を修正する能力が、得られた濃度値の正確性を増大させることができる。誤差修正システムは、一つ以上の誤差、例えば、参照温度または参照ヘマトクリット値と異なる試料温度または試料のヘマトクリット含有量を補正することができる。例として、従来のバイオセンサシステムは、試料の実際のヘマトクリット含有量にかかわらず、全血試料で40%(v/v)のヘマトクリット含有量を想定し、グルコース濃度を報告するように設定することができる。これらのシステムにおいて、40%未満または超のヘマトクリットを含有する血液試料で実施されたグルコース測定は、誤差を包含し、したがって、ヘマトクリット効果に起因するバイアスを有する。
【0013】
それゆえに、改善されたバイオセンサシステム、とりわけ、試料中の被分析物の濃度のより一層正確なおよび/または精密な判定を提供することができるバイオセンサシステムが今なお要望されている。また、より一層短い分析時間を提供する一方、所望の正確性および/または精度を供することができる、改善されたバイオセンサシステムが要望されている。本発明のシステム、装置および方法は、従来のバイオセンサシステムに伴う不都合の少なくとも一つを克服する。
【発明の概要】
【0014】
被分析物のレドックス反応を選択的に実施するための反応手段と、被分析物のレドックス反応の速度を測定するための測定手段とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのバイオセンサシステムが開示される。反応手段は、バインダと、緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含むメディエータと、酵素系とを包含する。測定手段は、少なくとも二つの導体を包含する。測定手段により、反応手段に試料を導入してから最長7秒以内の最大動的性能において、試料中の被分析物の濃度に対応する、反応手段からの出力信号値を測定し、測定手段が少なくとも一つの誤差パラメータに対応する少なくとも一つのΔS値を判定する。測定手段がさらに、最低でも0.5のR2値を有する、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値を包含する補正式から、試料中の被分析物濃度を判定する。
【0015】
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、作用電極上または近傍に配置された試薬組成物とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサが開示される。試薬組成物は、平均試薬組成物表面面積を有し、バインダと、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度の緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度のメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する。
【0016】
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、容器体積を有する容器と、作用電極上または近傍に配置された試薬組成物とを包含し、試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサが開示される。試薬組成物は、バインダと、容器体積のμL当たり最高67nmolの濃度の緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、容器体積のμL当たり最高40nmolの濃度のメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する。
【0017】
導体の一つが作用電極面積を有する作用電極である、少なくとも二つの導体と、作用電極上または近傍に配置された試薬組成物とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサが開示される。試薬組成物は、バインダと、作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの濃度の緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、作用電極面積のmm2当たり最高80nmolの濃度のメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する。
【0018】
少なくとも一つの被分析物を包含する水性試料を試薬組成物に導入する工程と、試薬組成物を水性試料で再水和する工程と、導体間に入力信号を適用し、被分析物、試薬組成物および導体との間で試料が電気的な連通を提供する工程と、試薬組成物に水性試料を導入してから最長7秒以内に導体から測定された一つ以上の出力信号値から、試料中の一つ以上の被分析物の濃度を判定する工程とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定する方法が開示される。試薬組成物は、平均試薬組成物表面面積を有し、バインダと、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度で存在する緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度で存在するメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含することができる。
【0019】
試料中の被分析物の濃度に対応する、少なくとも一つの出力信号値を生成する工程と、少なくとも一つの誤差パラメータから少なくとも一つのΔS値を判定する工程と、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値で少なくとも一つの出力信号値を補正する工程と、少なくとも一つの出力信号値から試料中の被分析物濃度を判定する工程とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定する方法が開示される。
【0020】
水と、バインダと、最高115mMの濃度で存在する緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、最高90mMの濃度で存在するメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する、試薬組成物を形成するための試薬流体が開示される。この流体は、4.5〜7.5のpHとすることができる。
【0021】
本発明は、以下の図面および説明を参照してより良好に理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、本発明の原理を例証することに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】組み立てられたテストセンサの斜視図である。
【図1B】蓋が取り除かれた図1Aのテストセンサの上部面図である。
【図2】図1Bのテストセンサの端面図である。
【図3】低全塩試薬組成物に接触している、試料中の被分析物の存在および/または濃度を判定するための電気化学分析的方法を表す。
【図4】400mg/dLのグルコース濃度を有し、70%のヘマトクリット含有量を有する全血試料について、テストセンサからの出力信号を図示する。
【図5A】50mg/dLのグルコースを含有し、ヘマトクリットの異なるレベルを有する血液試料に接触している、表1に列記した試薬組成物を有するテストセンサについて、ピーク時間のグラフを図示する。
【図5B】100mg/dLのグルコースを含有し、ヘマトクリットの異なるレベルを有する血液試料に接触している、表1に列記した試薬組成物を有するテストセンサについて、ピーク時間のグラフを図示する。
【図6A】試薬組成物Aを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6B】試薬組成物Bを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6C】試薬組成物Cを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6D】試薬組成物Dを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6E】試薬組成物Eを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図7】表1に列記した試薬組成物を有するテストセンサのアッセイ時間の関数として、21.8℃におけるR2値のグラフを図示する。
【図8】低全塩試薬組成物FおよびGのヘマトクリットレベルの関数として、16℃におけるR5/4指数のグラフを図示する。
【図9】ゲートアンペロメトリック入力信号を使用し、生物学的流体の試料中の被分析物濃度を判定するバイオセンサの概略図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
テストセンサのための従来の試薬組成物よりも低い全塩濃度を包含する、テストセンサのための試薬組成物が開示される。緩衝塩および無機非遷移金属塩を包含する、低全塩試薬組成物における塩の全濃度は、従来のセンサにおける塩の全濃度の半分以下とすることができる。低全塩試薬組成物は、非イオン性界面活性剤を包含することができ、さらに、イオン性界面活性剤を包含することができる。
【0024】
低全塩試薬組成物を包含するテストセンサからの出力信号は、ヘマトクリット含有量の広い範囲にわたる全血試料の被分析物濃度に対して正確に相関付けられる。これは、ヘマトクリット含有量のより狭い範囲で正確な測定を提供するであろう、高濃度の試薬組成物を有する従来のテストセンサに比較して実質的な改善である。
【0025】
低全塩試薬組成物を包含するテストセンサからの出力信号は、約7秒以内に試料の被分析物濃度に対して正確に相関付けられる。これは、試料の被分析物濃度に対し正確に相関付けられる出力信号を提供するのに7秒以上必要とする、高濃度の試薬組成物を有する従来のテストセンサに比較して実質的な改善である。
【0026】
図1Aおよび1Bは、テストセンサ100を図示する。図1Aは、蓋120により、少なくとも部分的に被覆されたセンサベース110を包含し、脱気口130、試料被覆面積140および入力端開口150を包含する、組み立てられたテストセンサ100の斜視図である。部分的に閉鎖された容器160は、ベース110と蓋120との間に形成されている。他のテストセンサ設計を使用することもできる。
【0027】
分析するための液体試料は、液体を開口150に導入することにより、容器160内に移動させることができる。液体は、容器160に充填される一方、脱気口130を通じ、事前に含有されていた空気を追い出す。容器160は、液体試料を容器内に保持することを補助する、保持組成物(図示せず)を含有することができる。保持組成物の例は、水膨潤性ポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロースおよびポリエチレングリコールならびに多孔性ポリマーマトリクス、例えば、デキストランおよびポリアクリルアミドを包含する。
【0028】
図1Bは、蓋120が取り外されたテストセンサ100の上部面を表す。導体170および180は、絶縁体層190の下方において、それぞれ、測定装置インタフェース155から作用電極175および対電極185まで延在させることができる。作用電極および対電極175、185は、図示するように、実質的に同一の平面にあるか、異なる平面にある(図示せず)ことができる。作用電極および対電極175、185は、蓋120の上側部分から少なくとも100μm分離してもよい。絶縁体層190は、電極175、185を部分的に被覆することができ、任意の好適な絶縁体材料、例えば、絶縁ポリマーから作製することができる。
【0029】
対電極185は、テストセンサ100の作用電極175における電気化学活性を支援することができる。不活性材料、例えば、炭素から対電極185を形成し、可溶性のレドックス種、例えば、フェリシアニドメディエータを容器160内に包含することにより、作用電極175における電気化学活性を支援するための電位をセンサシステムに提供することができる。例えばAg/AgClであるレドックスペアで対電極185を形成し、結合された参照-対電極とすることにより、対電極185における電位を参照電位とすることができる。あるいは、テストセンサ100に第三の導体および電極(図示せず)を提供し、センサシステムに参照電位を提供することができる。
【0030】
作用電極175の面積は対電極185の面積と同一でもよく、またはそれらの電極の一方が他方の電極よりも大きい面積を有するものでもよい。現時点では、作用電極面積が対電極面積よりも小さいことが好ましい。好ましくは、作用電極面積に対する対電極面積の比率が少なくとも1であり、より好ましくは、少なくとも1.1であり、より好ましくは、少なくとも1.2であり、より好ましくは、少なくとも1.3であり、より好ましくは、少なくとも1.4であり、より好ましくは、少なくとも1.5である。
【0031】
図2は、作用電極175および対電極185の層構造を示す、図1Bのテストセンサの端面図を表す。導体170および180は、ベース110上に直接配置することができる。表面導体層270および280は、場合により、それぞれ導体170および180上に配置することができる。表面導体層270、280は、導体170、180と同一または異なる材料から作製することができる。
【0032】
導体170、180および表面導体層270、280を形成するために使用される材料は、任意の電気導体を包含することができる。試料の分析中に材料が正味の酸化または正味の還元を受けないようにするため、好ましい電気導体は、非イオン化性である。導体170、180は、好ましくは、金属ペーストまたは金属、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅またはタングステンの薄い層を包含する。表面導体層270、280は、好ましくは、炭素、金、白金、パラジウムまたはその組み合わせを包含する。表面導体層が導体上に存在しない場合、導体は、好ましくは、非イオン化性材料から作製される。
【0033】
箔堆積、化学的気相堆積およびスラリー堆積等を含む、テストセンサの動作に適合する従来の任意の手段によって、表面導体材料を導体170、180上に配置することができる。スラリー堆積の場合、例えば米国特許第5,798,031号に記載されているように、混合物をインクとして導体170、180に適用することができる。
【0034】
試薬組成物275および285は、それぞれ、導体170および180上または近傍に配置することができる。「上」という用語は、「上方」として定義され、記載された向きに対しては相対的である。例として、第一の要素が第二の要素の少なくともある部分にわたって堆積された場合、第一の要素が第二の要素の「上」にあると言う。もう一つの例では、第一の要素が第二の要素の少なくともある部分の上方に存在する場合、第一の要素が第二の要素の「上」にあると言う。「上」という用語の使用は、記載された上側および下側の要素間における物質の存在を排除しない。例として、第一の要素は、その上部表面にわたるコーティングを有することができ、それでもなお、第一の要素およびその上部コーティングの少なくともある部分にわたる第二の要素は、第一の要素「上」として記載することができる。したがって、「上」という用語の使用は、二つの関連する要素が物理的に接触していることを意味する場合と意味しない場合とがある。
【0035】
試薬組成物は、試薬およびバインダを包含する。バインダは、実質的に水溶性である、少なくとも一つのポリマー性材料を包含し、場合により、実質的に水不溶性の多孔性粒子を包含することができる。多孔性粒子は、ポリマー性材料に追加的な物理的構造を提供することができる。バインダは、試料によって水和されたときに、ゲルまたはゲル様材料を形成することができる。任意の層290を導体170および/または表面導体270上に配置することができる。任意の層290は、試薬組成物275の一つ以上の構成成分を欠くことができる。
【0036】
試薬組成物275および285は、同一または異なる試薬を包含することができる。同一の試薬を包含するとき、試薬組成物275および285は、同一の組成物とすることができる。異なる試薬を包含するとき、第一の組成物275に存在する試薬は、作用電極175に使用するために選択されることができ、その一方で第二の組成物285に存在する試薬は、対電極185に使用するために選択されることができる。例として、組成物285中の試薬がメディエータを包含し、試料と導体180との間の電子の自由な流動を助長することができる。同様に、組成物275中の試薬が酵素系と、場合により、メディエータとを包含し、被分析物の反応を助長することができる。
【0037】
試薬組成物275に包含される酵素系は、被分析物に対して特定のものとすることができ、被分析物の反応を助長する一方、とりわけ、錯体の生物学的試料において、被分析物に対するセンサシステムの特異性を促進することができる。酵素系は、被分析物とのレドックス反応に関与する、一つ以上の酵素、補因子および/または他のモイエティを包含することができる。例として、アルコールオキシダーゼを使用し、試料中のアルコールの存在に感受性があるテストセンサを提供することができる。そのようなシステムは、血液アルコール濃度の測定に有効であることができる。もう一つの例では、グルコースデヒドロゲナーゼまたはグルコースオキシダーゼを使用し、試料中のグルコースの存在に感受性があるテストセンサを提供することができる。このシステムは、例として、糖尿病が既知か、または疑われる患者の血液グルコース濃度の測定に有効であろう。
【0038】
任意の好都合な手段、例えば、プリンティング、液体堆積またはインクジェット堆積により、試薬組成物275、285を配置することができる。例として、一つ以上の試薬流体をテストセンサ上に堆積させることができ、試薬流体を乾燥させ、試薬組成物275、285を形成することができる。テストセンサの電極上に試薬流体を堆積させるための装置および方法の例は、例として、Boru Zhuらを出願人とする米国特許公報第US 2009/0145756 A1号に開示されている。
【0039】
各種の要因が試薬組成物275、285の最終的な寸法に影響を与える。そのような要因の例としては、適用された試薬流体の粘度、スクリーンサイズと乳剤との組み合わせおよび試薬流体を堆積させたセンサのフィーチャの寸法を包含する。より薄い試薬組成物が好ましいときには、プリンティング以外の方法、例えば、マイクロピペッティング、インクジェットまたはピン堆積を使用することができる。これらの方法は、通常、乾燥した試薬組成物にマイクロメートルまたはサブマイクロメートル、例えば、1〜10μmの厚さを与える。例として、ピン堆積方法は、1μmの平均試薬組成物厚さを提供することができる。例として、ピン堆積からの最終的な試薬組成物の厚さは、試薬組成物に包含されたバインダの量によって制御することができ、バインダ含有量が高いほど、より厚い試薬組成物を提供する。
【0040】
試薬組成物、例えば、275、285の成分を組成物の寸法に対して相対的に定量化することができるか、組成物が配置されたセンサのもう一つの寸法、例えば、容器体積または作用電極面積に対して相対的に成分を定量化することができる。一つの例では、試薬組成物表面面積が試薬組成物の2次元面積である、試薬組成物表面面積の平方ミリメートル(mm2)当たりのマイクログラム(μg)、ナノグラム(ng)、ナノモル(nmol)または酵素単位(U)に換算して、試薬組成物の成分を定量化することができる。もう一つの例では、容器体積のマイクロリットル(μL)当たりのマイクログラム(μg)、ナノモル(nmol)または酵素単位(U)に換算して、試薬組成物の成分を定量化することができる。もう一つの例では、作用電極面積の平方ミリメートル(mm2)当たりのマイクログラム(μg)、ナノモル(nmol)または酵素単位(U)に換算して、試薬組成物の成分を定量化することができる。
【0041】
試薬組成物は、好ましくは、バインダを包含する。バインダとして使用するための好適な実質的に水溶性のポリマー性材料は、ポリ(エチレン酸化物)(PEO)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシエチレンセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアミノ酸、例えば、ポリリシン、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチン、アクリル酸、メタクリル酸、その無水マレイン酸塩、その誘導体およびその組み合わせを包含することができる。ポリマー性材料は、モノマー、プレポリマーおよび反復単位を形成または有する、他の材料を包含する。他のポリマー性材料を使用することができる。
【0042】
これらのポリマー性材料のなかで、PEO、PVA、CMCおよびHECが好ましく、現在のところ、HECがより好ましい。HECでは、約8,000〜約1,000,000の重量平均分子重量(Mw)が好ましく、約15,000〜約500,000のMwがより好ましく、約90,000〜約300,000のMwがより好ましい。現在のところ、とりわけ、約90,000のMwを有するHECと約300,000のMwを有するHECとの混合物が好ましい。
【0043】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.14〜約0.43μgのバインダを包含し、より好ましくは、約0.17〜約0.38μg/mm2のバインダを包含し、より好ましくは、約0.22〜約0.35μg/mm2のバインダを包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約1〜約3μgのバインダを包含し、より好ましくは、約1.2〜約2.6μg/μLのバインダを包含し、より好ましくは、約1.5〜約2.3μg/μLのバインダを包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約1〜約7.5μgのバインダを包含し、より好ましくは、約1.2〜約6.5μg/mm2のバインダを包含し、より好ましくは、約1.5〜約5.7μg/mm2のバインダを包含する。
【0044】
試薬組成物は、場合により、実質的に水不溶性の多孔性粒子を包含する。好ましくは、試薬組成物中に多孔性粒子が存在する場合、多孔性粒子とバインダとの間で約1:10(w/w)の比率が維持される。他の比率を使用し、試薬組成物に異なる性質を提供することができる。試薬組成物のための多孔性粒子の例は、例えばBoru Zhuを出願人とする米国特許公報第2009/0178936 A1号に開示されている。
【0045】
試薬組成物は、好ましくは、緩衝塩を包含する。試薬組成物を水性試料に接触させたとき、緩衝塩は、好ましくは、約4.5〜約7.5、より好ましくは、約6〜約7に混合物のpHを維持する。試薬組成物のための好ましいpHおよび緩衝塩は、酵素の活性を維持するように選定することができる。現時点では、リン酸塩に基づく緩衝剤が好ましいが、他を使用することができる。好ましくは、緩衝塩は、Na2HPO4を包含する。
【0046】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約2.30〜約9.54nmolの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約2.80〜約6.43nmol/mm2の緩衝塩を包含し、より好ましくは、約3.40〜約4.77nmol/mm2の緩衝塩を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約16〜約67nmolの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約20〜約45nmol/μLの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約24〜約34nmol/μLの緩衝塩を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約16〜約167nmolの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約20〜約113nmol/mm2の緩衝塩を包含し、より好ましくは、約24〜約84nmol/mm2の緩衝塩を包含する。
【0047】
試薬組成物は、一または二電子の実質的に水溶性のメディエータを包含することができる。メディエータは、その電気化学活性に基づき、二つのグループに分けることができる。一電子移動メディエータは、電気化学反応の状況で一つの追加的な電子を乗せることができる、化学的モイエティであり、一方、二電子移動メディエータは、反応の状況で二つの追加的な電子を乗せることができる、化学的モイエティである。一電子移動メディエータの例は、化合物、例えば、1,1’−ジメチルフェロセン、フェロシアン化物およびフェリシアン化物ならびにルテニウム(III)およびルテニウム(II)ヘキサアミンを包含する。
【0048】
他のメディエータを使用することができる一方、一電子移動メディエータに対し、同一モル量のメディエータでおよそ二倍の多くの電子を酵素系から作用電極に移動させる能力のため、二電子移動メディエータが好ましいことができる。したがって、一電子移動メディエータと比較して、より小さい量の二電子移動メディエータを試薬組成物に使用することができる。例として、二電子移動メディエータの量は、一電子移動メディエータの量の半分にすることができる。
【0049】
二電子移動メディエータの例は、有機キノンおよびヒドロキノン、例えば、フェナントロリンキノン、フェノチアジンおよびフェノキサジン誘導体、3−(フェニルアミノ)−3H−フェノキサジン、フェノチアジン、ならびに7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−9H−アクリジン−2−オンおよびその誘導体を包含する。好ましい二電子移動メディエータは、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジン(PIPT)および3−フェニルイミノ−3H−フェノキサジン(PIPO)を包含する。より好ましい二電子移動メディエータは、フェノチアジン誘導体のカルボン酸または塩、例えば、アンモニウム塩を包含する。現在のところ、とりわけ好ましい二電子移動メディエータは、(E)−2−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)ベンゼン−1,4−ジスルホン酸、(E)−5−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)イソフタル酸、アンモニウム(E)−3−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)−5−カルボキシベンゾエートおよびその組み合わせを包含する。追加的な二電子移動メディエータの例は、米国特許第5,393,615号、第5,498,542号および第5,520,786号に記載されている、電気的活性な有機分子を包含する。
【0050】
先に列記した二電子移動メディエータは、不純物として無機非遷移金属塩を包含することができる。無機非遷移金属塩は、通常、硫酸イオン[SO4]2−のアルカリ金属またはアルカリ性土類金属塩である。例として、(E)−2−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)ベンゼン−1,4−ジスルホン酸は、不純物として、メディエータに対する相対的な質量百分率が1%(w/w)〜50%(w/w)、例えば、3%(w/w)〜30%(w/w)、4%(w/w)〜25%(w/w)および5%(w/w)〜21%(w/w)である、無機非遷移金属塩を包含することができる。
【0051】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約1.70〜約4.76nmolのメディエータを包含し、より好ましくは、約2.30〜約5.14nmol/mm2のメディエータを包含し、より好ましくは、約2.80〜約4.00nmol/mm2のメディエータを包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約12〜約40nmolのメディエータを包含し、より好ましくは、約16〜約36nmol/μLのメディエータを包含し、より好ましくは、約20〜約28nmol/μLのメディエータを包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約12〜約100nmolのメディエータを包含し、より好ましくは、約16〜約90nmol/mm2のメディエータを包含し、より好ましくは、約20〜約70nmol/mm2のメディエータを包含する。試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolのメディエータか、容器体積のμL当たり最高40nmolのメディエータか、作用電極面積のmm2当たり最高100nmolのメディエータを包含する。
【0052】
試薬組成物は、実質的に水溶性の酵素系も包含する。試薬組成物の酵素系で使用するための好ましい酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、β−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを包含する。好ましい酵素系は、酸素非依存性であり、したがって、酸素によって実質的に酸化されない。
【0053】
そのような一つの酸素非依存性酵素族は、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)である。異なる補酵素または補因子を使用し、異なるメディエータにより、異なる方式でGDHを媒介することができる。例えば、FAD−GDHの場合、GDHとの会合に依存して、補因子、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を宿主酵素によって強固に支持することができ、または例えば、PQQ−GDHでは、補因子、例えば、ピロロキノリンキノン(PQQ)を宿主酵素に共有結合させることができる。これらの各酵素系の補因子を宿主酵素によって恒久的に支持するか、酵素系を試薬流体に加える前に、補酵素およびアポ酵素を再構成するかのいずれかであることができる。例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD/NADH+またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADP/NADPH+の場合、補酵素を試薬流体中の宿主酵素モイエティに個別に加え、宿主酵素の触媒機能を補助することもできる。
【0054】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.07〜約0.3活性単位(U、製造者によって指定されたとおり)の酵素系を包含し、より好ましくは、約0.09〜約0.25U/mm2の酵素系を包含し、より好ましくは、約0.1〜0.2U/mm2の酵素系を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約0.5〜約1.8Uの酵素系を包含し、より好ましくは、約0.6〜約1.6U/μLの酵素系を包含し、より好ましくは、約0.8〜約1.4U/μLの酵素系を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約0.5〜約5Uの酵素系を包含し、より好ましくは、約0.6〜約4U/mm2の酵素系を包含し、より好ましくは、約0.8〜約3.5U/mm2の酵素系を包含する。
【0055】
試薬組成物は、好ましくは、非イオン性界面活性剤を包含する。界面活性剤は、所望の粘度および安定性のコロイド懸濁液の形成を補助し、堆積方法および分析に適合する、任意の非イオン性界面活性剤であることができる。非イオン性界面活性剤の例は、サッカリドに基づく界面活性剤、例えば、N−ヘプタノイル−N−メチルグルカミン、N−オクタノイル−N−メチル−グルカミン、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、オクチルβ−D−グルコピラノシド、ヘキシルβ−D−グルコピラノシドおよびn−ヘプチルβ−D−グルコピラノシドを包含する。現在のところ、サッカリドに基づく界面活性剤、例えば、N−オクタノイル−N−メチル−D−グルカミン(MEGA 8として販売され、メリーランド州ゲイサーズバーグのDOJINDOから入手可能)が好ましい。この界面活性剤は、例として、分子当たりおよそ八個のオキシエチレン単位を包含する。他の好ましい界面活性剤は、エトキシレートに基づく中性界面活性剤、例えば、PEG−30テトラメチルデシンジオール界面活性剤(例として、ペンシルバニア州アレンタウンのAir Productsから入手可能なSURFYNOL 485)である。センサの試料充填速度を増大させ、および/または酵素系の安定化を補助する界面活性剤が好ましい。
【0056】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.04〜約0.24μgの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.07〜約0.21μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.09〜約0.18μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約0.3〜約1.7μgの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.5〜約1.5μg/μLの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.6〜約1.3μg/μLの非イオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約0.3〜約4.3μgの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.5〜約3.8μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.6〜約3.2μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含する。
【0057】
試薬組成物は、場合により、アニオン性界面活性剤を包含する。界面活性剤は、試薬組成物の明確に画定された外周の形成を補助し、堆積方法および分析に適合する、任意のアニオン性界面活性剤であることができる。アニオン性界面活性剤の例は、リン酸エステル、例えば、リン酸化アルキルフェノールエトキシレート、硫酸塩、例えば、硫酸化アルキルフェノールエトキシレート、ならびにスルホン酸塩、例えば、アルキルおよびへテロアルキルスルホン酸塩を包含する。アニオン性界面活性剤の具体的な例は、ノニルフェノールエトキシレートリン酸Phospholan CS131およびPhospholan CS141、ノニルフェノールエトキシレート硫酸ナトリウム(Witcolate D-51-53)、メチルココイルタウリンナトリウム(Geropon TC-42)ならびにジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを包含する。
【0058】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約3〜16ナノグラム(ng)のアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、4〜12ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、5.5〜9ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約20〜140ngのアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、30〜80ng/μLのアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、35〜60ng/μLのアニオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約10〜350ngのアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、30〜220ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、40〜150ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含する。
【0059】
試薬組成物は、好ましくは、従来の試薬組成物よりも低い濃度の緩衝塩および/または低い濃度の他の塩を有する、低全塩試薬組成物である。好ましくは、低全塩試薬組成物は、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高6.43nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高10%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.77nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高5%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。
【0060】
好ましくは、低全塩試薬組成物は、容器体積のμL当たり最高67nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、容器体積のμL当たり最高45nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高10%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、容器体積のμL当たり最高34nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高5%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。
【0061】
好ましくは、低全塩試薬組成物は、作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、作用電極面積のmm2当たり最高113nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高10%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、作用電極面積のmm2当たり最高84nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高5%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。
【0062】
試薬組成物の例を下記の表1に列記する。作用電極が約0.2mm2〜約0.5mm2の平均直径を有し、作用電極直径に対する対電極直径の比率が少なくとも1.2である、テストセンサの作用および対電極上にこれらの組成物を配置した。テストセンサの容器体積は、約0.5μLであった。各試薬組成物の平均直径は、約2.1mmであり、約3.5mm2の平均試薬組成物表面面積を提供した。
【表1】
【0063】
表1に列記した試薬組成物AおよびBは、低全塩試薬組成物であった。組成物AおよびBは、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.64nmolの緩衝塩を包含し、これらの組成物におけるメディエータは、20%(w/w)未満の無機非遷移金属塩を包含した。対照的に、表1に列記した試薬組成物C、DおよびEは、低全塩試薬組成物ではなかった。組成物C、DおよびEは、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.64nmolの緩衝塩を包含したが、これらの組成物におけるメディエータは、20%(w/w)超の無機非遷移金属塩を包含した。
【0064】
低全塩試薬組成物の例を下記の表2に列記する。作用電極が約0.2mm2〜約0.5mm2の平均直径を有し、作用電極直径に対する対電極直径の比率が少なくとも1.2である、テストセンサの作用および対電極上にこれらの組成物を配置した。テストセンサの容器体積は、約0.5μLであった。各試薬組成物FおよびGの平均直径は、約2.3mmであり、約4.2mm2の平均試薬組成物表面面積を提供した。各試薬組成物H〜Kの平均直径は、約2.1mmであり、約3.5mm2の平均試薬組成物表面面積を提供した。
【表2】
【0065】
先の表1に列記した試薬組成物は、0.35μLの堆積体積を有する試薬流体の堆積および乾燥によって形成した。表1に列記した試薬組成物を形成するため、使用した試薬流体A’〜E’を下記の表3に列記する。
【表3】
【0066】
先の表2に列記した試薬組成物FおよびGは、0.34μLの堆積体積を有する試薬流体の堆積および乾燥によって形成した。先の表2に列記した試薬組成物H〜Kは、0.2μLの堆積体積を有する試薬流体の堆積および乾燥によって形成した。表1に列記した試薬組成物を形成するため、使用した試薬流体を下記の表4に列記する。
【表4】
【0067】
バインダ、緩衝塩、メディエータ、界面活性剤および酵素系を組み合わせることにより、好ましい試薬流体を提供することができる。メディエータおよび酵素系の一つまたは両方を排除した、好ましい試薬流体を提供することもできる。その後、水を加え、所望の安定性を有する混合物を形成することができる。試薬流体は、より小数または追加的な成分を包含することができる。
【0068】
試薬流体は、好ましくは、約0.1〜約1%(w/w)、より好ましくは、約0.2〜約0.8%(w/w)のバインダを包含する。現在のところ、とりわけ好ましい試薬流体は、約0.3〜約0.6%(w/w)のバインダを包含する。試薬流体中に任意の多孔性粒子が存在する場合、多孔性粒子懸濁液とポリマー性材料との間で約1:10(w/w)の比率が維持される。他の比率を使用し、試薬流体に異なる粘度を提供することができる。試薬流体のための多孔性粒子の例は、例として、米国特許公報第2009/0178936号に開示されている。
【0069】
試薬流体は、好ましくは、混合物のpHを約4.5〜約7.5、より好ましくは、約6〜約7に維持するための緩衝塩を包含する。試薬流体のための好ましいpHおよび緩衝剤は、酵素の活性を維持するように選定することができる。試薬流体に導入された緩衝塩の濃度は、約30〜約115ミリモル(mM)の範囲とすることができる。好ましくは、試薬流体に導入された緩衝塩の濃度は、約40〜約100mM、より好ましくは、約25〜約75mM、より好ましくは、約30〜約60mM、より好ましくは、最高50mMである。他の濃度を有する緩衝溶液を使用することができる。
【0070】
試薬流体は、一または二電子移動の実質的に水溶性のメディエータを包含することができる。試薬流体中のメディエータの濃度は、約25〜約90mMの範囲とすることができる。好ましくは、試薬流体に導入された緩衝塩の濃度は、約30〜約60mM、より好ましくは、約35〜約40mMである。好ましくは、無機非遷移金属塩の量は、メディエータにおいて最高20%(w/w)である。より好ましくは、無機非遷移金属塩の量は、メディエータにおいて最高15%(w/w)、最高10%(w/w)、最高5%(w/w)であり、メディエータにおいて最高4%(w/w)である。
【0071】
試薬流体は、試薬流体のマイクロリットル(μL)当たり約1活性単位〜試薬流体のμL当たり約4活性単位、より好ましくは、試薬流体のμL当たり約1.5活性単位〜試薬流体のμL当たり約2活性単位である、製造者によって指定されたとおりの単位活性範囲を有する、実質的に水溶性の酵素系を包含することもできる。特定の単位活性を提供するために要する酵素の固体重量は、製剤バッチおよび製造者によって実質的に変動することができるにつれ、好ましくは、特定の重量の乾燥酵素流体について製造者が提供した単位活性を使用し、添加量を判定する。
【0072】
試薬流体は、好ましくは、約0.05〜約0.7%(w/w)、より好ましくは、約0.07〜約0.5%(w/w)の非イオン性界面活性剤を包含する。現在のところ、約0.1〜約0.3%(w/w)の界面活性剤がとりわけ好ましい。界面活性剤は、所望の粘度および安定性のコロイド懸濁液の形成を補助し、堆積方法および分析に適合する、任意の界面活性剤とすることができる。試薬流体は、場合により、約0.005〜約0.03%(w/w)、より好ましくは、約0.01〜約0.02%(w/w)のアニオン性界面活性剤を包含する。
【0073】
図3は、低全塩試薬組成物に接触している試料中の被分析物の存在および/または濃度を判定するための電気化学分析的方法300を表す。310では、低全塩試薬組成物を包含するバイオセンサに試料を導入する。320では、生物学的流体の試料中の被分析物の光同定可能種または酸化/還元(レドックス)反応のいずれかに応じ、バイオセンサシステムが出力信号を生成する。330では、バイオセンサシステムが出力信号を測定する。340では、少なくとも一つの誤差パラメータに対応する、少なくとも一つのΔS値を判定する。350では、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値を包含する補正式から、被分析物濃度を判定する。360では、濃度を表示、記憶等することができる。
【0074】
310では、バイオセンサのセンサ部分、例えば、テストセンサに試料を導入する。テストセンサは、少なくとも一つの作用および少なくとも一つの対電極を包含する。電極は、少なくとも一つの試薬組成物が低全塩試薬流体である、一つ以上の試薬組成物を包含することができる。作用電極および対電極上で同一の試薬組成物を使用することができ、または異なる試薬組成物を使用して電極の動作を助長することができる。例として、作用電極における試薬組成物は被分析物の反応を助長することができ、一例として酵素系およびメディエータであり、一方、対電極における試薬組成物は試料と電極表面との間の電子の自由な流動を助長することができ、一例として還元可能種である。
【0075】
試料中に存在する被分析物の部分は、例えば、オキシドレダクターゼにより、化学的または生化学的に酸化または還元される。これは、試料が低全塩試薬組成物中の試薬を水和するにつれて起こる。酸化または還元時には、場合により、被分析物とメディエータとの間で電子を移動させることができる。したがって、例えば、被分析物またはメディエータから、イオン化された測定可能種が形成される。
【0076】
320では、生物学的流体の試料中の被分析物の酸化/還元(レドックス)反応に応じ、バイオセンサシステムが出力信号を生成する。出力信号は、電気化学センサシステムを使用して生成される。帯電した被分析物または帯電したメディエータとすることができる測定可能種は、入力信号で電気化学的に励起(酸化または還元)される。入力信号は、セットされたシーケンスでパルスまたはオンオフする電気信号、例えば、電流または電位とすることができる。入力信号は、緩和によって分離された励起パルスのシーケンスである。パルス電流を測定しながら励起中に適用される電位は、好ましくは、その期間を通して実質的に一定の電圧および極性で適用される。これは、データ記録中に複数の電圧電位および/または極性で電圧が変更または「掃引」される、いくつかの従来の励起とは直接的に対照的である。
【0077】
入力信号は、一つ以上のパルス間隔を有することができる。パルス間隔は、パルスおよび緩和の和でありデューティサイクルを構成する。各パルスは、振幅および幅を有する。振幅は、電気信号の電位、電流等の強度を示す。振幅は、パルス内で例えば電流測定中に変動するか、または実質的に一定である。パルス幅はパルスの時間期間である。入力信号のパルス幅は、変動するか、または実質的に同一である。各緩和は、緩和の時間期間である緩和幅を有する。入力信号の緩和幅は、変動するか、または実質的に同一である。
【0078】
デューティサイクルの励起および緩和の幅を調整することにより、ゲート入力信号は、分析の正確性および/または精度を増大させることができる。好ましい入力信号は、2、3または5秒未満で適用される、少なくとも2、3、4または8デューティサイクルを包含する。より好ましくは、少なくとも2デューティサイクルを3秒以内に適用する。好ましくは、各励起パルスの幅は、0.1〜2秒、より好ましくは、0.2〜1秒から個別に選択される。現在のところ、とりわけ好ましい入力信号パルス幅は、0.3〜0.8秒から個別に選択される。好ましいパルス間隔は、3、2.5または1.5秒未満の範囲である。現在のところ、0.3〜0.5秒のパルス幅および0.7〜2秒のパルス間隔を有する入力信号がとりわけ好ましい。入力信号は、他のパルス幅および間隔を有することができる。
【0079】
バイオセンサは、測定可能種および入力信号に応じ、出力信号を生成することができる。出力信号、例えば、一つ以上の電流値を連続的または断続的に測定することができ、時間の関数として記録することができる。好適な出力信号は、定常状態に達した信号および過渡的である信号を包含することができる。時間に関する電流変化が実質的に一定であり、例えば、±10または±5%以内であるときに、定常状態の電流値を観察する。過渡的な電流値は、時間に関して減衰する。
【0080】
好ましくは、試料が緩和を受ける。測定装置は、テストセンサを通じて回路を開放し、それにより緩和を許可することができる。緩和中、励起中に存在した電流を少なくとも二分の一まで、好ましくは、一桁分、より好ましくは、ゼロまで実質的に低減する。好ましくは、実質的にゼロの電流流動を提供する当業者に既知の開放回路または他の方法によりゼロ電流状態が提供される。出力信号は、緩和中において好ましくは記録されない。
【0081】
好ましくは、バイオセンサは、所望の時間周期において、入力信号からのパルスを作用電極および対電極に適用し続ける。励起および緩和を包含するデューティサイクルを反復することができるか、異なるパルス幅および/または間隔を有するデューティサイクルを適用することができる。
【0082】
330では、バイオセンサシステムは、例えば、被分析物のレドックス反応から、試料に適用された入力信号に応じ、被分析物によって生成された出力信号を測定する。このシステムは、出力信号を連続的または断続的に測定することができる。例として、バイオセンサシステムは、各パルス中に断続的に出力信号を測定し、結果として、各パルス中に複数の電流値を測定することができる。このシステムは、出力信号をディスプレイ上に示すことができ、および/または出力信号もしくは出力信号の部分をメモリ装置に記憶することができる。
【0083】
図3の340では、一つ以上の誤差パラメータに対応する、一つ以上のΔS値が判定される。ΔS値は、温度、ヘマトクリットおよび他の寄与因子のために判定される。
【0084】
350では、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値を包含する補正式から、試料の被分析物濃度を判定する。バイオセンサは、好ましくは、一つ以上の電流値を試料の被分析物濃度に相関付けることにより、出力信号電流値を分析する。好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、初期電流値が以降の減衰における電流値を上回る励起から、かつ、310でテストセンサに試料を導入してから約7秒未満以内に記録される。より好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、310でテストセンサに試料を導入してから約7秒未満以内に得られ、かつ、第一の電流値以降の電流値が減少する励起から記録された、第一の電流値である。なおより好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、310でテストセンサに試料を導入してから約7秒未満以内に得られ、第一の電流値以降の電流値が減少する励起から記録された、第一の電流値であり、かつ、テストセンサの最大動的性能中に得られる。追加的な電流、時間および/または他の値を分析することもできる。360では、被分析物濃度値を表示、将来の参照のために記憶および/または追加的な計算のために使用することができる。
【0085】
図4は、400mg/dLのグルコース濃度を有し、70%のヘマトクリット含有量を有する全血試料について、テストセンサからの出力信号を示す。測定装置によってテストセンサに入力された信号は、例えば、米国特許公報第2008/0173552号に記載されているように、七個の緩和によって分離された八個の励起を包含する、ゲートアンペロメトリックパルスシーケンスであった。第二から第八を通じた励起は、期間が約0.4秒であり、第二から第七を通じた緩和は、期間が約1秒であった。第二から第八を通じた励起中に、三つの出力電流値を記録した。
【0086】
被分析物を含有する一連の原溶液における被分析物の既知の濃度に照らし、分析における特定の時間の出力電流をプロットすることにより、一つ以上の出力電流値と試料の被分析物濃度との相関を作成することができる。入力信号からの出力電流値を試料の被分析物濃度に相関付けるため、励起からの初期電流値は、好ましくは、以降の減衰における電流値を上回る。好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、テストセンサの最大動的性能を反映した電流データを包含する、減衰から取られる。出力電流の基礎となるレドックス反応の動力学は、複数の要因によって影響される。これらの要因は、試薬組成物が再水和する速度、酵素系が被分析物と反応する速度、酵素系がメディエータに電子を移動させる速度およびメディエータが電極に電子を移動させる速度を包含することができる。
【0087】
ゲートアンペロメトリックパルスシーケンスの励起中、減衰する電流値を有する励起の初期電流値が複数の励起において極大であるときに、テストセンサの最大動的性能に達することができる。好ましくは、減衰する電流値を有する励起で得られた、時間的に最後の電流値が複数の励起で得られた、時間的に最後の極大の電流値であるときに、テストセンサの最大動的性能に達する。より好ましくは、減衰する電流値を有する励起の初期電流値が複数の励起において極大であり、同一の励起で得られた、時間的に最後の電流値が複数の励起で得られた、時間的に最後の極大の電流値であるときに、テストセンサの最大動的性能に達する。
【0088】
被分析物を含有する試料がテストセンサに接触した後、電気化学テストセンサがその最大出力電流値を得る時間である、「ピーク時間」というパラメータに換算して、最大動的性能を記載することができる。試料の被分析物濃度との相関のため、好ましくは、最大出力電流値を使用する。好ましくは、テストセンサのピーク時間は、テストセンサに試料を導入してから約7秒未満、より好ましくは、約5秒未満である。好ましくは、ピーク時間は、テストセンサに試料を導入してから約0.4〜約7秒以内、より好ましくは、約0.6〜約6.4秒以内、より好ましくは、約1〜約5秒以内、より好ましくは、約1.1〜約3.5秒以内である。図4では、すべての記録された励起における極大の電流値を同定する、「ピーク時間」標記によって示唆されているように、3.5秒の分析時間で最大動的性能に達している。
【0089】
図5Aおよび5Bは、低全塩試薬組成物(AおよびB)を有するテストセンサと、低全塩組成物ではない試薬組成物(C、DおよびE)を有するテストセンサとについて、ピーク時間のグラフを図示する。図5Aでは、試料中のグルコースの濃度が50mg/dLであった。図5Bでは、試料中のグルコースの濃度が100mg/dLであった。試料は、20%〜70%の範囲のヘマトクリット含有量を有した。各グラフは、先の表1に列記した試薬組成物A〜Eについて、ヘマトクリット含有量の関数としてピーク時間をプロットしている。各組成物について、20%、30%、40%、50%、60%および70%のヘマトクリット含有量のピーク時間を左から右に示す。
【0090】
図5Aおよび5Bに図示する結果から、メディエータにおける無機非遷移金属塩のより低い含有量およびより低い緩衝塩濃度は、より短いピーク時間に相関付けられた。この効果は、とりわけ、より高いヘマトクリット含有量を有する試料で明白であった。したがって、低全塩試薬組成物は、試料が比較的高いヘマトクリット含有量を有するときでもなお、バイオセンサ分析で望ましいピーク時間を提供することができる。
【0091】
一つ以上の出力電流値と試料の被分析物濃度との相関を調整し、測定の誤差を考慮することができる。バイオセンサ分析に伴う誤差を修正するための一つの手法として、出力電流値の中間電流値から抽出された指数関数により、出力電流値から試料中の被分析物濃度を判定するための相関を調整する。指数関数は、結果として、判定された被分析物濃度のバイアスをもたらすことができる、分析における一つ以上の誤差について、出力電流値から被分析物濃度を判定するための相関を補正することができる。指数関数は、分析における一つ以上の誤差を原因とする、被分析物濃度と出力電流値との間の相関の%バイアスに照応する。
【0092】
一つ以上の誤差パラメータから得られた一つ以上のΔS値により、相関の%バイアスを表すことができる。ΔS値は、一つ以上の誤差パラメータから判定された、被分析物濃度と出力電流値との間の相関の勾配偏差を表す。勾配または勾配の変化に照応する指数関数を正規化し、出力電流値の変化の統計的効果を低減するか、出力電流値の変動の識別を改善するか、出力電流値の測定を標準化するか、その組み合わせ等を行うことができる。調整された相関は、生物学的試料中の被分析物濃度を出力電流値から判定するために使用されることができ、従来のバイオセンサと比較して改善された正確性および/または精度を有することができる。指数関数およびΔS値を使用した誤差修正は、例として、2008年12月6日に提出され、「Slope-Based Compensation」と題する、Huan-Ping Wuを発明者とする国際特許出願第PCT/US08/85768号に記載されている。
【0093】
したがって、ΔS/Sを表す指数関数を使用し、試料のグルコース濃度に対応する出力電流値を試料の修正されたグルコース濃度に変換することができる。あるいは、指数関数および式、例えば、Gcorrが試料の修正されたグルコース濃度であり、Grawが補正なしの試料の判定された被分析物濃度であり、f(Index)が指数関数である、Gcorr=Graw/(1+f(Index))を使用し、未修正のグルコース濃度値から、修正されたグルコース濃度値を判定することができる。
【0094】
指数関数は、出力信号、例えば、図4に図示した出力信号から抽出された比率を包含することができる。例として、個々のパルス−信号減衰サイクル、例えば、i3,3が第三の信号減衰について記録された第三の電流値を指し、i3,1が第三の信号減衰について記録された第一の電流値を指す、比率R3=i3,3/i3,1内で出力信号値を比較することができる。もう一つの例では、別個のパルス−信号減衰サイクル、例えば、i3,3が第四の信号減衰について記録された第三の電流値を指す、比率R4/3=i4,3/i3,3間で出力信号値を比較することができる。指数関数は、出力信号から抽出された比率の組み合わせを包含することができる。一つの例では、指数関数は、比率の単純な比率、例えば、Ratio3/2=R3/R2を包含することができる。もう一つの例では、指数関数は、より単純な指数関数のより複雑な組み合わせを包含することができる。例として、指数関数Index−1をIndex−1=R4/3−Ratio3/2として表すことができる。もう一つの例では、指数関数Index−2を、pおよびqが個別に正の数である、Index−2=(R4/3)p−(Ratio3/2)qで表すことができる。
【0095】
好ましくは、指数関数は、ヘマトクリット含有量の変動に伴う誤差を修正する。ヘマトクリット含有量によって変動する出力信号を発生させる、テストセンサを使用することにより、そのような指数関数の計算を助長することができる。驚くべきことに、低全塩試薬組成物を有するテストセンサは、そのような出力信号を提供することができる。
【0096】
図6A〜6Eは、単純な比率指数R4/3の関数として、ΔStotalの相関のグラフを図示する。これらの相関のデータは、21.8℃における毛細管血試料からのグルコース出力電流信号から取られた。図6A〜図6Eのテストセンサの試薬組成物は、それぞれ、表1の組成物A〜Eであった。低全塩試薬組成物Bを有するテストセンサは、異なるヘマトクリットレベルで最良の分離値を有した。
【0097】
表5は、図6A〜6Eのグラフを生成するために使用したデータおよび17.8℃で収集した同様のデータについて、様々な比率指数関数のR2値を列記する。R2値は、ヘマトクリット含有量により、ΔStotalと指数との間の総合的な相関を示唆する。
【表5】
【0098】
21.8℃で5秒以下の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物B)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。21.8℃で6.4秒以上の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物A)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。
【0099】
17.8℃で6.4秒以下の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物B)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。17.8℃で7.8秒以上の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物A)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。したがって、より低い分析温度では、低全塩試薬組成物を有するテストセンサは、低全塩組成物ではない試薬組成物を有するテストセンサよりも早期のアッセイ時間において、より良好な相関を提供することができた。
【0100】
図6A〜6Eのグラフの指数関数を使用し、異なるヘマトクリット含有量を有する試料について、バイオセンサ分析バイアスを修正するための相関式を定式化した。ΔSに関連する一つ以上の指数関数を使用し、バイアス/%バイアス母集団の標準偏差として画定される、バイアス拡散を低減することができる。ΔStotalと一つ以上の指数関数との間の相関は、バイアス母集団の標準偏差(SD)の低減に直接影響する。そのため、R2値が高いほど、SD値の低減が大きくなり、したがって、バイアス拡散が小さくなる。この実験関係は、表1に列記した試薬組成物について、補正前後の±10/±10%バイアス限界内のデータセットの%母集団を列記する、表6に観察される。%±10%は、補正式を結果に適用する前後の両方において、低全塩試薬組成物を有するテストセンサで有意に上回った。
【表6】
【0101】
より少ない分析が±10/±10%正確性境界の外部にあるであろうにつれ、低塩試薬組成物によって提供された改善が有意である。境界の外部の分析数を低減することにより、得られた指示値のより多くを患者による正確な治療のために使用することができる。患者による分析の破棄および反復の要望を低減することもできる。
【0102】
図7は、表1に列記した試薬組成物A〜Eを有するテストセンサについて、アッセイ時間の関数として、21.8℃でのR2値のグラフを図示する。3.5秒、5秒、6.5秒、7.8秒および9.2秒のアッセイ時間は、それぞれ、比率指数関数R3/2、R4/3、R5/4、R6/7およびR7/6に照応する。したがって、図7は、表5の第一の半分に列記した結果のグラフ状の図示である。二つの最も早期のアッセイ時間(3.5および5秒)では、低全塩試薬組成物Bが少なくとも0.5のR2値を提供したのに対し、他の試薬組成物は、わずかに0.12以下のR2値を提供した。6.5秒のアッセイ時間では、低全塩試薬組成物AおよびBの両方が少なくとも0.5のR2値を提供したのに対し、他の試薬組成物は、わずかに0.2〜0.4のR2値を提供した。7秒よりも長いアッセイ時間では、低全塩試薬組成物Aは、少なくとも0.5のR2値を提供した;しかし、低全塩試薬組成物Bは、0.5を下回るR2値を提供した。7.8および9.2秒のアッセイ時間では、試薬組成物C〜Eによって提供されたR2値は、緩衝塩濃度と逆に相関付けられた。
【0103】
図7のグラフによって例証されるように、低全塩試薬組成物は、最長6.5秒のアッセイ時間に照応する指数関数について、少なくとも0.5のR2値を提供することができる。したがって、低全塩試薬組成物は、従来の試薬組成物によって提供されるアッセイ時間よりも短いアッセイ時間において、試料中の被分析物の正確な分析を提供することができる。
【0104】
図8は、表2に列記した低全塩試薬組成物FおよびGについて、ヘマトクリットレベルの関数として、16℃におけるR5/4指数のグラフを図示する。組成物Gが非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の両方を包含するのに対し、組成物Fが非イオン性界面活性剤のみを包含することを除き、これらの組成物は同様であった。組成物Gによって提供された結果のR2値が0.82であったのに対し、組成物Fによって提供された結果のR2値は、わずかに0.32であった。したがって、このシステムでは、小さい量のアニオン性界面活性剤の存在がR5/4指数関数の有意な改善を提供した。
【0105】
試薬組成物Bを様々な厚さでテストセンサの作用電極上に配置した。表7は、四つの異なるタイプの各作用電極上におけるメディエータの濃度を列記する。各電極に同一の低塩試薬組成物を使用したため、より低い濃度は、電極上の試薬組成物のより小さい厚さに相関付けられている。各試薬組成物は、平方ミリメートル当たり1.21〜1.50単位(U/mm2)の酵素濃度を有した。表7は、異なる温度で実施された分析について、±10/±10%バイアス限界内のデータセットの%母集団も列記する。低塩試薬組成物の最も薄い層を持つ作用電極は、±10/±10%バイアス限界内の測定の最も高い百分率を有した。この改善は、より低い温度、例えば、11℃で特に明白であった。
【表7】
【0106】
図9は、ゲートアンペロメトリック入力信号を使用し、生物学的流体の試料中の被分析物濃度を判定する、バイオセンサ900の概略描写を図示する。バイオセンサ900は、卓上型装置、携帯型または手持ち式装置等を包含する、任意の分析的機器で具現化することができる、測定装置902およびテストセンサ904を包含する。バイオセンサ900を利用し、グルコース、尿酸、乳酸、コレステロール、ビリルビン等の濃度を包含する、被分析物濃度を判定することができる。特定の機器構成が示される一方、バイオセンサ900は、追加的な構成要素を持つ機器構成を包含する、他の機器構成を有することができる。
【0107】
テストセンサ904は、容器908と、開口912を持つ流路910とを形成している、ベース906を有する。容器908および流路910は、脱気口を持つ蓋で被覆することができる。容器908は、部分的に閉鎖された体積を画定する。容器908は、液体試料を保持することを補助する組成物、例えば、水膨潤性ポリマーまたは多孔性ポリマーマトリクスを含有することができる。容器908および/または流路910に試薬を堆積させることができる。作用電極904における試薬組成物は、低全塩試薬組成物を包含し、一つ以上の酵素系、メディエータ等の種を包含することができる。同一または異なる試薬組成物、好ましくは、酵素系を欠いた試薬組成物を使用し、対電極905を形成することができる。テストセンサ904は、容器908に近接して配置された試料インタフェース914を有することもできる。試料インタフェース914は、部分的または完全に容器908を包囲することができる。テストセンサ904は、他の機器構成を有することができる。
【0108】
試料インタフェース914は、作用電極904および対電極905に接続された導体909を有する。電極は、実質的に同一の平面または一つよりも多い平面にあることができる。容器908を形成しているベース906の表面上に電極904、905を配置することができる。電極904、905は、容器908内に延伸または突出することができる。絶縁体層は、導体909および/または電極904、905を部分的に被覆することができる。試料インタフェース914は、他の電極および導体を有することができる。
【0109】
測定装置902は、センサインタフェース918およびディスプレイ920に接続された電気回路機構916を包含する。電気回路機構916は、信号生成器924、任意の温度センサ926および記憶媒体928に接続されたプロセッサ922を包含する。
【0110】
信号生成器924は、プロセッサ922に応じ、センサインタフェース918に電気入力信号を提供する。センサインタフェース918により、電気入力信号を試料インタフェース914に送信し、生物学的流体の試料に電気入力信号を適用することができる。電気入力信号は、電位または電流であることができ、複数のパルス、シーケンスまたはサイクルで適用することができる。信号生成器924は、生成器−記録器として、センサインタフェースからの出力信号を記録することもできる。
【0111】
任意の温度センサ926は、テストセンサ904の容器内における試料の温度を判定する。試料の温度は、測定されるか、出力信号から計算されるか、または周囲温度もしくはバイオセンサシステムを具現化する装置の温度の測定と同一もしくは同様と仮定されることができる。温度は、サーミスタ、温度計または他の温度感知装置を使用して測定することができる。他の技術を使用し、試料温度を判定することができる。
【0112】
記憶媒体928は、磁気、光学または半導体メモリ、もう一つの記憶装置等とすることができる。記憶媒体928は、固定されたメモリ装置、着脱可能なメモリ装置、例えば、メモリカードであるか、または遠隔からアクセス等されることができる。
【0113】
プロセッサ922は、記憶媒体928に記憶されたコンピュータ読取可能なソフトウェアコードおよびデータを使用し、被分析物の分析およびデータ処置を具現化する。プロセッサ922は、センサインタフェース918におけるテストセンサ904の存在、テストセンサ904への試料の適用、使用者入力等に応じ、被分析物の分析を開始することができる。プロセッサ922は、センサインタフェース918に電気入力信号を提供するように、信号生成器924に指令する。プロセッサ922は、任意の温度センサ926から試料温度を受信することができる。プロセッサ922は、センサインタフェース918から出力信号を受信する。容器908内の被分析物のレドックス反応に応じ、出力信号が生成される。
【0114】
プロセッサ922は、好ましくは、出力信号を測定し、初期電流値が以降の減衰における電流値を上回る励起から、かつ、テストセンサ904に試料を導入してから約3秒未満以内に電流値を得る。より好ましくは、プロセッサ922は、出力信号を測定し、904でテストセンサに試料を導入してから約3秒未満以内に電流値を得て、かつ、第一の電流値以降の電流値が連続的に減少する、励起から記録された第一の電流値を得る。なおより好ましくは、プロセッサ922は、出力信号を測定し、904でテストセンサに試料を導入してから約3秒未満以内に電流値を得て、第一の電流値以降の電流値が連続的に減少する、励起から記録された第一の電流値を得て、かつ、テストセンサの最大動的性能中に電流値を得る。
【0115】
得られた一つ以上の電流値は、プロセッサ922で一つ以上の相関式を使用し、試料の被分析物濃度に相関付けられる。被分析物の分析の結果をディスプレイ920に出力することができ、記憶媒体928に記憶することができる。好ましくは、被分析物の分析の結果は、テストセンサに試料を導入してから5秒以下以内にディスプレイ920に出力され、より好ましくは、結果は、テストセンサに試料を導入してから3秒以下以内にディスプレイ920に出力される。
【0116】
被分析物濃度および出力電流値を関連付ける相関式は、グラフ的、数学的、その組み合わせ等で表すことができる。相関式は、記憶媒体928に記憶されたプログラム番号(PNA)表、もう一つの探索表等によって表すことができる。被分析物の分析の具現化に関わる命令は、記憶媒体928に記憶されたコンピュータ読取可能なソフトウェアコードによって提供することができる。コードは、本明細書に記載の機能性を記載または制御する、オブジェクトコードまたは任意の他のコードであるとすることができる。被分析物の分析からのデータは、プロセッサ922における減衰速度、K定数、比率等の判定を包含する、一つ以上のデータ処置の対象とすることができる。
【0117】
センサインタフェース918は、テストセンサ904の試料インタフェース914内の導体909に接続しているか、電気的に連通している接触を有する。センサインタフェース918は、この接触を通じて電気入力信号を信号生成器924から試料インタフェース914内の導体909に送信する。センサインタフェース918は、この接触を通じて試料からの出力信号をプロセッサ922および/または信号生成器924にも送信する。
【0118】
ディスプレイ920は、アナログまたはデジタルとすることができる。ディスプレイは、数値の指示値を表示するように適応されたLCDとすることができる。
【0119】
使用において、試料を開口912に導入することにより、分析のための試料を容器908内に移動させる。試料は、流路910を通じて流動し、容器908に充填される一方、事前に含有されていた空気を追い出す。試料は、流路910および/または容器908に堆積された試薬と化学的に反応する。好ましくは、試料は、流体であり、より好ましくは、液体である。
【0120】
テストセンサ902は、測定装置902に近接して配置されている。近接は、試料インタフェース914がセンサインタフェース918と電気的に連通する位置を包含する。電気的な連通は、センサインタフェース918内の接触と試料インタフェース914内の導体909との間における、入力および/または出力信号の有線または無線移動を包含する。
【0121】
本発明の様々な態様を記載したが、その一方で当業者には、本発明の範囲内で他の態様および具現化が可能であることが明らかである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体を引用して取り込む、2008年12月8日に提出され、「Low-Salt Reagent Composition」と題する、米国仮出願第61/201,242号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサは、生物学的流体、例えば、全血、血清、血漿、尿、唾液、間質または細胞内流体の分析を提供する。通常、バイオセンサは、テストセンサ内にある試料を分析する、測定装置を有する。試料は、通例、液体形態であり、生物学的流体または生物学的流体の派生物、例えば、抽出物、希釈物、ろ過物もしくは再構成された沈殿物とすることができる。バイオセンサによって実施される分析では、生物学的流体中の一つ以上の被分析物の存在および/または濃度を判定する。被分析物の例は、アルコール、グルコース、尿酸、乳酸塩、コレステロール、ビリルビン、遊離脂肪酸、トリグリセリド、タンパク質、ケトン、フェニルアラニンまたは酵素を包含する。分析は、生理学的異常の診断および処置に有効であるとすることができる。例として、糖尿病の罹患者は、バイオセンサを使用し、全血中のグルコースレベルを判定することができ、この情報を罹患者の食餌および/または投薬の調整に使用することができる。
【0003】
バイオセンサは、一つ以上の被分析物を分析するように設計することができ、異なる試料体積を使用することができる。いくつかのバイオセンサは、単一滴、例えば、体積として0.25〜15マイクロリットル(μL)の全血を分析することができる。バイオセンサは、卓上型、携帯型等の測定装置を使用して具現化することができる。携帯型測定装置は、手持ち式であり、試料中の一つ以上の被分析物の同定および/または定量化を許可することができる。携帯型測定装置の例は、ニューヨーク州タリータウンのBayer HealthCareのAscensia Breeze(登録商標)およびElite(登録商標)メーターを包含する一方、卓上型測定装置の例は、テキサス州オースティンのCH Instrumentsから入手可能なElectrochemical Workstationを包含する。より短い分析時間を提供する一方、所望の正確性および/または精度を供するバイオセンサは、使用者に実質的な利益を提供する。
【0004】
電気化学バイオセンサでは、入力信号が試料に適用されたときに、被分析物または被分析物に対応した種の酸化/還元またはレドックス反応により、生成された電気信号から、被分析物濃度を判定する。入力信号は、単一の電気パルスとしてか、複数のパルス、シーケンスまたはサイクルで適用することができる。オキシドレダクターゼ、例えば、酵素または同様の種を試料に加えることで、レドックス反応中における第一の種から第二の種への電子移動を促進することができる。酵素または同様の種は、単一の被分析物と反応し、したがって、生成された出力信号の部分に特異性を提供することができる。
【0005】
電気化学バイオセンサは、通例、テストセンサ内の電気導体に接続している電気接触を有する、測定装置を包含する。テストセンサは、生体の外部、内部または部分的に内部で使用するために適応させることができる。生体の外部で使用するときには、生物学的流体の試料をテストセンサ内の試料容器に導入する。分析のための試料の導入前、後または中に、テストセンサを測定装置内に置くことができる。生体の内部または部分的に内部のときには、テストセンサを継続的に試料に浸漬させることができるか、試料を断続的にテストセンサに導入することができる。テストセンサは、試料の体積を部分的に隔離する容器を包含することができ、または試料に対して開放されるものでもよい。同様に、試料は、テストセンサを通じて連続的に流動するか、分析のために遮断されてもよい。
【0006】
電気化学バイオセンサのため、導体を導電性材料、例えば、固体金属、金属ペースト、導電性炭素、導電性炭素ペースト、導電性ポリマー等から作製してもよい。電気導体は、通常、試料容器内に延伸する作用電極、対電極、参照電極および/または他の電極に接続する。一つ以上の電気導体が試料容器内に延伸し、電極によっては提供されない機能性を提供することもできる。
【0007】
複数の技術、例えば、米国特許第6,531,040号;第5,798,031号;および第5,120,420号に記載された技術を使用し、絶縁基板上に電極を配置またはプリントすることにより、テストセンサを形成することができる。一つ以上の導体上に一つ以上の試薬組成物を配置することにより、電極を形成することができる。例えば、作用電極および対電極を同一の組成物でコーティングするときには、一つよりも多い導体を同一の試薬組成物でコーティングすることができる。当業者に既知の複数の技術を使用して、テストセンサ上に試薬組成物を配置することができる。試薬組成物は、試薬流体として導体上に配置し、その後、乾燥させることができる。試料がテストセンサに導入されると、試薬組成物が再水和し始める。
【0008】
異なる試薬組成物を導体上に配置することができる。これにより、作用電極の試薬組成物を、酵素、メディエータおよびバインダを含有するものとすることができる一方、対電極の試薬組成物を、作用電極のメディエータと同一または異なるメディエータおよびバインダを含有するものとすることができる。試薬組成物は、被分析物の酸化または還元を助長するためのイオン化剤、例えば、オキシドレダクターゼと共に、被分析物と作用電極との間の電子の移動を補助する、任意のメディエータまたは他の物質を包含することができる。試薬同士を結合させることに加え、バインダは、赤血球をろ過し、導体表面がコーティングされることを防止し、例として、オキシドレダクターゼを安定化させることを補助することができる。
【0009】
被分析物の濃度が正確に判定することができる、テストセンサからの出力信号がより早く得られるほど、より早く分析を完了することができる。したがって、試薬組成物を包含するバイオセンサは、より短い分析時間を提供する一方、所望の正確性および/または精度を供することで、使用者に実質的な利益を提供することができる。
【0010】
バイオセンサシステムの測定性能は、正確性および/または精度に換算して定められる。正確性および/または精度の増大は、システムの測定性能の改善を提供する。正確性は、被分析物の参照指示値と比較したセンサシステムの被分析物指示値のバイアスに換算して表現することができ、より大きいバイアス値がより少ない正確性を表す。精度は、平均値に対する複数の被分析物指示値におけるバイアスの拡散または分散に換算して表現することができる。バイアスは、バイオセンサシステムから判定された一つ以上の値と、生物学的流体中の被分析物濃度の一つ以上の容認参照値との間の差である。したがって、測定された分析における一つ以上の誤差は、結果として、バイオセンサシステムの判定された被分析物濃度のバイアスをもたらす。バイアスは、「絶対バイアス」または「パーセントバイアス」に換算して表現することができる。絶対バイアスは、測定の単位、例えば、mg/dLで表現することができる一方、パーセントバイアスは、参照値に対する絶対バイアス値の百分率として表現することができる。容認参照値は、参照機器、例えば、オハイオ州イエロースプリングスのYSI Inc.から入手可能なYSI 2300 STAT PLUS(商標)で得られる。
【0011】
バイオセンサシステムは、生物学的流体の分析中に、一つまたは複数の誤差を包含する出力信号を提供するであろう。例えば、一つ以上の部分または出力信号全体が試料の被分析物濃度に非対応であるか、不適切に対応しているときには、これらの誤差が異常な出力信号として反映されるだろう。これらの誤差は、一つ以上の寄与因子、例えば、試料の物理的特性、試料の環境的側面、システムの稼動状況、妨害物質等によるものということができる。試料の物理的特性は、ヘマトクリット(赤血球)濃度等を包含する。試料の環境的側面は、温度等を包含する。システムの稼動状況は、試料サイズが十分に大きくないときのアンダーフィル状況、試料の低速充填、試料とテストセンサ内の一つ以上の電極との間の断続的な電気接触、被分析物と相互作用する試薬の劣化等を包含する。妨害物質は、アスコルビン酸、尿酸、アセトアミノフェン等を包含する。誤差を生じさせる他の寄与因子または寄与因子の組み合わせが存在するであろう。
【0012】
多くのバイオセンサシステムは、分析に伴う誤差を修正するための一つ以上の方法を包含する。誤差を有する分析から得られた濃度値は不正確であろう。よって、これらの不正確な分析を修正する能力が、得られた濃度値の正確性を増大させることができる。誤差修正システムは、一つ以上の誤差、例えば、参照温度または参照ヘマトクリット値と異なる試料温度または試料のヘマトクリット含有量を補正することができる。例として、従来のバイオセンサシステムは、試料の実際のヘマトクリット含有量にかかわらず、全血試料で40%(v/v)のヘマトクリット含有量を想定し、グルコース濃度を報告するように設定することができる。これらのシステムにおいて、40%未満または超のヘマトクリットを含有する血液試料で実施されたグルコース測定は、誤差を包含し、したがって、ヘマトクリット効果に起因するバイアスを有する。
【0013】
それゆえに、改善されたバイオセンサシステム、とりわけ、試料中の被分析物の濃度のより一層正確なおよび/または精密な判定を提供することができるバイオセンサシステムが今なお要望されている。また、より一層短い分析時間を提供する一方、所望の正確性および/または精度を供することができる、改善されたバイオセンサシステムが要望されている。本発明のシステム、装置および方法は、従来のバイオセンサシステムに伴う不都合の少なくとも一つを克服する。
【発明の概要】
【0014】
被分析物のレドックス反応を選択的に実施するための反応手段と、被分析物のレドックス反応の速度を測定するための測定手段とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのバイオセンサシステムが開示される。反応手段は、バインダと、緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含むメディエータと、酵素系とを包含する。測定手段は、少なくとも二つの導体を包含する。測定手段により、反応手段に試料を導入してから最長7秒以内の最大動的性能において、試料中の被分析物の濃度に対応する、反応手段からの出力信号値を測定し、測定手段が少なくとも一つの誤差パラメータに対応する少なくとも一つのΔS値を判定する。測定手段がさらに、最低でも0.5のR2値を有する、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値を包含する補正式から、試料中の被分析物濃度を判定する。
【0015】
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、作用電極上または近傍に配置された試薬組成物とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサが開示される。試薬組成物は、平均試薬組成物表面面積を有し、バインダと、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度の緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度のメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する。
【0016】
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、容器体積を有する容器と、作用電極上または近傍に配置された試薬組成物とを包含し、試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサが開示される。試薬組成物は、バインダと、容器体積のμL当たり最高67nmolの濃度の緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、容器体積のμL当たり最高40nmolの濃度のメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する。
【0017】
導体の一つが作用電極面積を有する作用電極である、少なくとも二つの導体と、作用電極上または近傍に配置された試薬組成物とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサが開示される。試薬組成物は、バインダと、作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの濃度の緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、作用電極面積のmm2当たり最高80nmolの濃度のメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する。
【0018】
少なくとも一つの被分析物を包含する水性試料を試薬組成物に導入する工程と、試薬組成物を水性試料で再水和する工程と、導体間に入力信号を適用し、被分析物、試薬組成物および導体との間で試料が電気的な連通を提供する工程と、試薬組成物に水性試料を導入してから最長7秒以内に導体から測定された一つ以上の出力信号値から、試料中の一つ以上の被分析物の濃度を判定する工程とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定する方法が開示される。試薬組成物は、平均試薬組成物表面面積を有し、バインダと、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度で存在する緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度で存在するメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含することができる。
【0019】
試料中の被分析物の濃度に対応する、少なくとも一つの出力信号値を生成する工程と、少なくとも一つの誤差パラメータから少なくとも一つのΔS値を判定する工程と、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値で少なくとも一つの出力信号値を補正する工程と、少なくとも一つの出力信号値から試料中の被分析物濃度を判定する工程とを包含する、試料中の被分析物の濃度を判定する方法が開示される。
【0020】
水と、バインダと、最高115mMの濃度で存在する緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を包含し、最高90mMの濃度で存在するメディエータと、酵素系と、非イオン性界面活性剤とを包含する、試薬組成物を形成するための試薬流体が開示される。この流体は、4.5〜7.5のpHとすることができる。
【0021】
本発明は、以下の図面および説明を参照してより良好に理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、本発明の原理を例証することに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】組み立てられたテストセンサの斜視図である。
【図1B】蓋が取り除かれた図1Aのテストセンサの上部面図である。
【図2】図1Bのテストセンサの端面図である。
【図3】低全塩試薬組成物に接触している、試料中の被分析物の存在および/または濃度を判定するための電気化学分析的方法を表す。
【図4】400mg/dLのグルコース濃度を有し、70%のヘマトクリット含有量を有する全血試料について、テストセンサからの出力信号を図示する。
【図5A】50mg/dLのグルコースを含有し、ヘマトクリットの異なるレベルを有する血液試料に接触している、表1に列記した試薬組成物を有するテストセンサについて、ピーク時間のグラフを図示する。
【図5B】100mg/dLのグルコースを含有し、ヘマトクリットの異なるレベルを有する血液試料に接触している、表1に列記した試薬組成物を有するテストセンサについて、ピーク時間のグラフを図示する。
【図6A】試薬組成物Aを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6B】試薬組成物Bを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6C】試薬組成物Cを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6D】試薬組成物Dを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図6E】試薬組成物Eを有するテストセンサを試料に接触させてから5秒後に測定された、単純な比率指数の関数として、試料のΔStotalの相関のグラフを図示する。
【図7】表1に列記した試薬組成物を有するテストセンサのアッセイ時間の関数として、21.8℃におけるR2値のグラフを図示する。
【図8】低全塩試薬組成物FおよびGのヘマトクリットレベルの関数として、16℃におけるR5/4指数のグラフを図示する。
【図9】ゲートアンペロメトリック入力信号を使用し、生物学的流体の試料中の被分析物濃度を判定するバイオセンサの概略図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
テストセンサのための従来の試薬組成物よりも低い全塩濃度を包含する、テストセンサのための試薬組成物が開示される。緩衝塩および無機非遷移金属塩を包含する、低全塩試薬組成物における塩の全濃度は、従来のセンサにおける塩の全濃度の半分以下とすることができる。低全塩試薬組成物は、非イオン性界面活性剤を包含することができ、さらに、イオン性界面活性剤を包含することができる。
【0024】
低全塩試薬組成物を包含するテストセンサからの出力信号は、ヘマトクリット含有量の広い範囲にわたる全血試料の被分析物濃度に対して正確に相関付けられる。これは、ヘマトクリット含有量のより狭い範囲で正確な測定を提供するであろう、高濃度の試薬組成物を有する従来のテストセンサに比較して実質的な改善である。
【0025】
低全塩試薬組成物を包含するテストセンサからの出力信号は、約7秒以内に試料の被分析物濃度に対して正確に相関付けられる。これは、試料の被分析物濃度に対し正確に相関付けられる出力信号を提供するのに7秒以上必要とする、高濃度の試薬組成物を有する従来のテストセンサに比較して実質的な改善である。
【0026】
図1Aおよび1Bは、テストセンサ100を図示する。図1Aは、蓋120により、少なくとも部分的に被覆されたセンサベース110を包含し、脱気口130、試料被覆面積140および入力端開口150を包含する、組み立てられたテストセンサ100の斜視図である。部分的に閉鎖された容器160は、ベース110と蓋120との間に形成されている。他のテストセンサ設計を使用することもできる。
【0027】
分析するための液体試料は、液体を開口150に導入することにより、容器160内に移動させることができる。液体は、容器160に充填される一方、脱気口130を通じ、事前に含有されていた空気を追い出す。容器160は、液体試料を容器内に保持することを補助する、保持組成物(図示せず)を含有することができる。保持組成物の例は、水膨潤性ポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロースおよびポリエチレングリコールならびに多孔性ポリマーマトリクス、例えば、デキストランおよびポリアクリルアミドを包含する。
【0028】
図1Bは、蓋120が取り外されたテストセンサ100の上部面を表す。導体170および180は、絶縁体層190の下方において、それぞれ、測定装置インタフェース155から作用電極175および対電極185まで延在させることができる。作用電極および対電極175、185は、図示するように、実質的に同一の平面にあるか、異なる平面にある(図示せず)ことができる。作用電極および対電極175、185は、蓋120の上側部分から少なくとも100μm分離してもよい。絶縁体層190は、電極175、185を部分的に被覆することができ、任意の好適な絶縁体材料、例えば、絶縁ポリマーから作製することができる。
【0029】
対電極185は、テストセンサ100の作用電極175における電気化学活性を支援することができる。不活性材料、例えば、炭素から対電極185を形成し、可溶性のレドックス種、例えば、フェリシアニドメディエータを容器160内に包含することにより、作用電極175における電気化学活性を支援するための電位をセンサシステムに提供することができる。例えばAg/AgClであるレドックスペアで対電極185を形成し、結合された参照-対電極とすることにより、対電極185における電位を参照電位とすることができる。あるいは、テストセンサ100に第三の導体および電極(図示せず)を提供し、センサシステムに参照電位を提供することができる。
【0030】
作用電極175の面積は対電極185の面積と同一でもよく、またはそれらの電極の一方が他方の電極よりも大きい面積を有するものでもよい。現時点では、作用電極面積が対電極面積よりも小さいことが好ましい。好ましくは、作用電極面積に対する対電極面積の比率が少なくとも1であり、より好ましくは、少なくとも1.1であり、より好ましくは、少なくとも1.2であり、より好ましくは、少なくとも1.3であり、より好ましくは、少なくとも1.4であり、より好ましくは、少なくとも1.5である。
【0031】
図2は、作用電極175および対電極185の層構造を示す、図1Bのテストセンサの端面図を表す。導体170および180は、ベース110上に直接配置することができる。表面導体層270および280は、場合により、それぞれ導体170および180上に配置することができる。表面導体層270、280は、導体170、180と同一または異なる材料から作製することができる。
【0032】
導体170、180および表面導体層270、280を形成するために使用される材料は、任意の電気導体を包含することができる。試料の分析中に材料が正味の酸化または正味の還元を受けないようにするため、好ましい電気導体は、非イオン化性である。導体170、180は、好ましくは、金属ペーストまたは金属、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅またはタングステンの薄い層を包含する。表面導体層270、280は、好ましくは、炭素、金、白金、パラジウムまたはその組み合わせを包含する。表面導体層が導体上に存在しない場合、導体は、好ましくは、非イオン化性材料から作製される。
【0033】
箔堆積、化学的気相堆積およびスラリー堆積等を含む、テストセンサの動作に適合する従来の任意の手段によって、表面導体材料を導体170、180上に配置することができる。スラリー堆積の場合、例えば米国特許第5,798,031号に記載されているように、混合物をインクとして導体170、180に適用することができる。
【0034】
試薬組成物275および285は、それぞれ、導体170および180上または近傍に配置することができる。「上」という用語は、「上方」として定義され、記載された向きに対しては相対的である。例として、第一の要素が第二の要素の少なくともある部分にわたって堆積された場合、第一の要素が第二の要素の「上」にあると言う。もう一つの例では、第一の要素が第二の要素の少なくともある部分の上方に存在する場合、第一の要素が第二の要素の「上」にあると言う。「上」という用語の使用は、記載された上側および下側の要素間における物質の存在を排除しない。例として、第一の要素は、その上部表面にわたるコーティングを有することができ、それでもなお、第一の要素およびその上部コーティングの少なくともある部分にわたる第二の要素は、第一の要素「上」として記載することができる。したがって、「上」という用語の使用は、二つの関連する要素が物理的に接触していることを意味する場合と意味しない場合とがある。
【0035】
試薬組成物は、試薬およびバインダを包含する。バインダは、実質的に水溶性である、少なくとも一つのポリマー性材料を包含し、場合により、実質的に水不溶性の多孔性粒子を包含することができる。多孔性粒子は、ポリマー性材料に追加的な物理的構造を提供することができる。バインダは、試料によって水和されたときに、ゲルまたはゲル様材料を形成することができる。任意の層290を導体170および/または表面導体270上に配置することができる。任意の層290は、試薬組成物275の一つ以上の構成成分を欠くことができる。
【0036】
試薬組成物275および285は、同一または異なる試薬を包含することができる。同一の試薬を包含するとき、試薬組成物275および285は、同一の組成物とすることができる。異なる試薬を包含するとき、第一の組成物275に存在する試薬は、作用電極175に使用するために選択されることができ、その一方で第二の組成物285に存在する試薬は、対電極185に使用するために選択されることができる。例として、組成物285中の試薬がメディエータを包含し、試料と導体180との間の電子の自由な流動を助長することができる。同様に、組成物275中の試薬が酵素系と、場合により、メディエータとを包含し、被分析物の反応を助長することができる。
【0037】
試薬組成物275に包含される酵素系は、被分析物に対して特定のものとすることができ、被分析物の反応を助長する一方、とりわけ、錯体の生物学的試料において、被分析物に対するセンサシステムの特異性を促進することができる。酵素系は、被分析物とのレドックス反応に関与する、一つ以上の酵素、補因子および/または他のモイエティを包含することができる。例として、アルコールオキシダーゼを使用し、試料中のアルコールの存在に感受性があるテストセンサを提供することができる。そのようなシステムは、血液アルコール濃度の測定に有効であることができる。もう一つの例では、グルコースデヒドロゲナーゼまたはグルコースオキシダーゼを使用し、試料中のグルコースの存在に感受性があるテストセンサを提供することができる。このシステムは、例として、糖尿病が既知か、または疑われる患者の血液グルコース濃度の測定に有効であろう。
【0038】
任意の好都合な手段、例えば、プリンティング、液体堆積またはインクジェット堆積により、試薬組成物275、285を配置することができる。例として、一つ以上の試薬流体をテストセンサ上に堆積させることができ、試薬流体を乾燥させ、試薬組成物275、285を形成することができる。テストセンサの電極上に試薬流体を堆積させるための装置および方法の例は、例として、Boru Zhuらを出願人とする米国特許公報第US 2009/0145756 A1号に開示されている。
【0039】
各種の要因が試薬組成物275、285の最終的な寸法に影響を与える。そのような要因の例としては、適用された試薬流体の粘度、スクリーンサイズと乳剤との組み合わせおよび試薬流体を堆積させたセンサのフィーチャの寸法を包含する。より薄い試薬組成物が好ましいときには、プリンティング以外の方法、例えば、マイクロピペッティング、インクジェットまたはピン堆積を使用することができる。これらの方法は、通常、乾燥した試薬組成物にマイクロメートルまたはサブマイクロメートル、例えば、1〜10μmの厚さを与える。例として、ピン堆積方法は、1μmの平均試薬組成物厚さを提供することができる。例として、ピン堆積からの最終的な試薬組成物の厚さは、試薬組成物に包含されたバインダの量によって制御することができ、バインダ含有量が高いほど、より厚い試薬組成物を提供する。
【0040】
試薬組成物、例えば、275、285の成分を組成物の寸法に対して相対的に定量化することができるか、組成物が配置されたセンサのもう一つの寸法、例えば、容器体積または作用電極面積に対して相対的に成分を定量化することができる。一つの例では、試薬組成物表面面積が試薬組成物の2次元面積である、試薬組成物表面面積の平方ミリメートル(mm2)当たりのマイクログラム(μg)、ナノグラム(ng)、ナノモル(nmol)または酵素単位(U)に換算して、試薬組成物の成分を定量化することができる。もう一つの例では、容器体積のマイクロリットル(μL)当たりのマイクログラム(μg)、ナノモル(nmol)または酵素単位(U)に換算して、試薬組成物の成分を定量化することができる。もう一つの例では、作用電極面積の平方ミリメートル(mm2)当たりのマイクログラム(μg)、ナノモル(nmol)または酵素単位(U)に換算して、試薬組成物の成分を定量化することができる。
【0041】
試薬組成物は、好ましくは、バインダを包含する。バインダとして使用するための好適な実質的に水溶性のポリマー性材料は、ポリ(エチレン酸化物)(PEO)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシエチレンセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアミノ酸、例えば、ポリリシン、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチン、アクリル酸、メタクリル酸、その無水マレイン酸塩、その誘導体およびその組み合わせを包含することができる。ポリマー性材料は、モノマー、プレポリマーおよび反復単位を形成または有する、他の材料を包含する。他のポリマー性材料を使用することができる。
【0042】
これらのポリマー性材料のなかで、PEO、PVA、CMCおよびHECが好ましく、現在のところ、HECがより好ましい。HECでは、約8,000〜約1,000,000の重量平均分子重量(Mw)が好ましく、約15,000〜約500,000のMwがより好ましく、約90,000〜約300,000のMwがより好ましい。現在のところ、とりわけ、約90,000のMwを有するHECと約300,000のMwを有するHECとの混合物が好ましい。
【0043】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.14〜約0.43μgのバインダを包含し、より好ましくは、約0.17〜約0.38μg/mm2のバインダを包含し、より好ましくは、約0.22〜約0.35μg/mm2のバインダを包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約1〜約3μgのバインダを包含し、より好ましくは、約1.2〜約2.6μg/μLのバインダを包含し、より好ましくは、約1.5〜約2.3μg/μLのバインダを包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約1〜約7.5μgのバインダを包含し、より好ましくは、約1.2〜約6.5μg/mm2のバインダを包含し、より好ましくは、約1.5〜約5.7μg/mm2のバインダを包含する。
【0044】
試薬組成物は、場合により、実質的に水不溶性の多孔性粒子を包含する。好ましくは、試薬組成物中に多孔性粒子が存在する場合、多孔性粒子とバインダとの間で約1:10(w/w)の比率が維持される。他の比率を使用し、試薬組成物に異なる性質を提供することができる。試薬組成物のための多孔性粒子の例は、例えばBoru Zhuを出願人とする米国特許公報第2009/0178936 A1号に開示されている。
【0045】
試薬組成物は、好ましくは、緩衝塩を包含する。試薬組成物を水性試料に接触させたとき、緩衝塩は、好ましくは、約4.5〜約7.5、より好ましくは、約6〜約7に混合物のpHを維持する。試薬組成物のための好ましいpHおよび緩衝塩は、酵素の活性を維持するように選定することができる。現時点では、リン酸塩に基づく緩衝剤が好ましいが、他を使用することができる。好ましくは、緩衝塩は、Na2HPO4を包含する。
【0046】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約2.30〜約9.54nmolの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約2.80〜約6.43nmol/mm2の緩衝塩を包含し、より好ましくは、約3.40〜約4.77nmol/mm2の緩衝塩を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約16〜約67nmolの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約20〜約45nmol/μLの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約24〜約34nmol/μLの緩衝塩を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約16〜約167nmolの緩衝塩を包含し、より好ましくは、約20〜約113nmol/mm2の緩衝塩を包含し、より好ましくは、約24〜約84nmol/mm2の緩衝塩を包含する。
【0047】
試薬組成物は、一または二電子の実質的に水溶性のメディエータを包含することができる。メディエータは、その電気化学活性に基づき、二つのグループに分けることができる。一電子移動メディエータは、電気化学反応の状況で一つの追加的な電子を乗せることができる、化学的モイエティであり、一方、二電子移動メディエータは、反応の状況で二つの追加的な電子を乗せることができる、化学的モイエティである。一電子移動メディエータの例は、化合物、例えば、1,1’−ジメチルフェロセン、フェロシアン化物およびフェリシアン化物ならびにルテニウム(III)およびルテニウム(II)ヘキサアミンを包含する。
【0048】
他のメディエータを使用することができる一方、一電子移動メディエータに対し、同一モル量のメディエータでおよそ二倍の多くの電子を酵素系から作用電極に移動させる能力のため、二電子移動メディエータが好ましいことができる。したがって、一電子移動メディエータと比較して、より小さい量の二電子移動メディエータを試薬組成物に使用することができる。例として、二電子移動メディエータの量は、一電子移動メディエータの量の半分にすることができる。
【0049】
二電子移動メディエータの例は、有機キノンおよびヒドロキノン、例えば、フェナントロリンキノン、フェノチアジンおよびフェノキサジン誘導体、3−(フェニルアミノ)−3H−フェノキサジン、フェノチアジン、ならびに7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−9H−アクリジン−2−オンおよびその誘導体を包含する。好ましい二電子移動メディエータは、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジン(PIPT)および3−フェニルイミノ−3H−フェノキサジン(PIPO)を包含する。より好ましい二電子移動メディエータは、フェノチアジン誘導体のカルボン酸または塩、例えば、アンモニウム塩を包含する。現在のところ、とりわけ好ましい二電子移動メディエータは、(E)−2−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)ベンゼン−1,4−ジスルホン酸、(E)−5−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)イソフタル酸、アンモニウム(E)−3−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)−5−カルボキシベンゾエートおよびその組み合わせを包含する。追加的な二電子移動メディエータの例は、米国特許第5,393,615号、第5,498,542号および第5,520,786号に記載されている、電気的活性な有機分子を包含する。
【0050】
先に列記した二電子移動メディエータは、不純物として無機非遷移金属塩を包含することができる。無機非遷移金属塩は、通常、硫酸イオン[SO4]2−のアルカリ金属またはアルカリ性土類金属塩である。例として、(E)−2−(3H−フェノチアジン−3−イリデンアミノ)ベンゼン−1,4−ジスルホン酸は、不純物として、メディエータに対する相対的な質量百分率が1%(w/w)〜50%(w/w)、例えば、3%(w/w)〜30%(w/w)、4%(w/w)〜25%(w/w)および5%(w/w)〜21%(w/w)である、無機非遷移金属塩を包含することができる。
【0051】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約1.70〜約4.76nmolのメディエータを包含し、より好ましくは、約2.30〜約5.14nmol/mm2のメディエータを包含し、より好ましくは、約2.80〜約4.00nmol/mm2のメディエータを包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約12〜約40nmolのメディエータを包含し、より好ましくは、約16〜約36nmol/μLのメディエータを包含し、より好ましくは、約20〜約28nmol/μLのメディエータを包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約12〜約100nmolのメディエータを包含し、より好ましくは、約16〜約90nmol/mm2のメディエータを包含し、より好ましくは、約20〜約70nmol/mm2のメディエータを包含する。試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolのメディエータか、容器体積のμL当たり最高40nmolのメディエータか、作用電極面積のmm2当たり最高100nmolのメディエータを包含する。
【0052】
試薬組成物は、実質的に水溶性の酵素系も包含する。試薬組成物の酵素系で使用するための好ましい酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、β−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを包含する。好ましい酵素系は、酸素非依存性であり、したがって、酸素によって実質的に酸化されない。
【0053】
そのような一つの酸素非依存性酵素族は、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)である。異なる補酵素または補因子を使用し、異なるメディエータにより、異なる方式でGDHを媒介することができる。例えば、FAD−GDHの場合、GDHとの会合に依存して、補因子、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を宿主酵素によって強固に支持することができ、または例えば、PQQ−GDHでは、補因子、例えば、ピロロキノリンキノン(PQQ)を宿主酵素に共有結合させることができる。これらの各酵素系の補因子を宿主酵素によって恒久的に支持するか、酵素系を試薬流体に加える前に、補酵素およびアポ酵素を再構成するかのいずれかであることができる。例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD/NADH+またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADP/NADPH+の場合、補酵素を試薬流体中の宿主酵素モイエティに個別に加え、宿主酵素の触媒機能を補助することもできる。
【0054】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.07〜約0.3活性単位(U、製造者によって指定されたとおり)の酵素系を包含し、より好ましくは、約0.09〜約0.25U/mm2の酵素系を包含し、より好ましくは、約0.1〜0.2U/mm2の酵素系を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約0.5〜約1.8Uの酵素系を包含し、より好ましくは、約0.6〜約1.6U/μLの酵素系を包含し、より好ましくは、約0.8〜約1.4U/μLの酵素系を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約0.5〜約5Uの酵素系を包含し、より好ましくは、約0.6〜約4U/mm2の酵素系を包含し、より好ましくは、約0.8〜約3.5U/mm2の酵素系を包含する。
【0055】
試薬組成物は、好ましくは、非イオン性界面活性剤を包含する。界面活性剤は、所望の粘度および安定性のコロイド懸濁液の形成を補助し、堆積方法および分析に適合する、任意の非イオン性界面活性剤であることができる。非イオン性界面活性剤の例は、サッカリドに基づく界面活性剤、例えば、N−ヘプタノイル−N−メチルグルカミン、N−オクタノイル−N−メチル−グルカミン、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、オクチルβ−D−グルコピラノシド、ヘキシルβ−D−グルコピラノシドおよびn−ヘプチルβ−D−グルコピラノシドを包含する。現在のところ、サッカリドに基づく界面活性剤、例えば、N−オクタノイル−N−メチル−D−グルカミン(MEGA 8として販売され、メリーランド州ゲイサーズバーグのDOJINDOから入手可能)が好ましい。この界面活性剤は、例として、分子当たりおよそ八個のオキシエチレン単位を包含する。他の好ましい界面活性剤は、エトキシレートに基づく中性界面活性剤、例えば、PEG−30テトラメチルデシンジオール界面活性剤(例として、ペンシルバニア州アレンタウンのAir Productsから入手可能なSURFYNOL 485)である。センサの試料充填速度を増大させ、および/または酵素系の安定化を補助する界面活性剤が好ましい。
【0056】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.04〜約0.24μgの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.07〜約0.21μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.09〜約0.18μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約0.3〜約1.7μgの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.5〜約1.5μg/μLの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.6〜約1.3μg/μLの非イオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約0.3〜約4.3μgの非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.5〜約3.8μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、約0.6〜約3.2μg/mm2の非イオン性界面活性剤を包含する。
【0057】
試薬組成物は、場合により、アニオン性界面活性剤を包含する。界面活性剤は、試薬組成物の明確に画定された外周の形成を補助し、堆積方法および分析に適合する、任意のアニオン性界面活性剤であることができる。アニオン性界面活性剤の例は、リン酸エステル、例えば、リン酸化アルキルフェノールエトキシレート、硫酸塩、例えば、硫酸化アルキルフェノールエトキシレート、ならびにスルホン酸塩、例えば、アルキルおよびへテロアルキルスルホン酸塩を包含する。アニオン性界面活性剤の具体的な例は、ノニルフェノールエトキシレートリン酸Phospholan CS131およびPhospholan CS141、ノニルフェノールエトキシレート硫酸ナトリウム(Witcolate D-51-53)、メチルココイルタウリンナトリウム(Geropon TC-42)ならびにジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを包含する。
【0058】
試薬組成物は、好ましくは、試薬組成物表面面積のmm2当たり約3〜16ナノグラム(ng)のアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、4〜12ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、5.5〜9ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、容器体積のμL当たり約20〜140ngのアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、30〜80ng/μLのアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、35〜60ng/μLのアニオン性界面活性剤を包含する。試薬組成物は、好ましくは、作用電極面積のmm2当たり約10〜350ngのアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、30〜220ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含し、より好ましくは、40〜150ng/mm2のアニオン性界面活性剤を包含する。
【0059】
試薬組成物は、好ましくは、従来の試薬組成物よりも低い濃度の緩衝塩および/または低い濃度の他の塩を有する、低全塩試薬組成物である。好ましくは、低全塩試薬組成物は、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高6.43nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高10%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.77nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高5%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。
【0060】
好ましくは、低全塩試薬組成物は、容器体積のμL当たり最高67nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、容器体積のμL当たり最高45nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高10%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、容器体積のμL当たり最高34nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高5%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。
【0061】
好ましくは、低全塩試薬組成物は、作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、作用電極面積のmm2当たり最高113nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高10%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。より好ましくは、低全塩試薬組成物は、作用電極面積のmm2当たり最高84nmolの緩衝塩と、メディエータにおける最高5%(w/w)の無機非遷移金属塩とを包含する。
【0062】
試薬組成物の例を下記の表1に列記する。作用電極が約0.2mm2〜約0.5mm2の平均直径を有し、作用電極直径に対する対電極直径の比率が少なくとも1.2である、テストセンサの作用および対電極上にこれらの組成物を配置した。テストセンサの容器体積は、約0.5μLであった。各試薬組成物の平均直径は、約2.1mmであり、約3.5mm2の平均試薬組成物表面面積を提供した。
【表1】
【0063】
表1に列記した試薬組成物AおよびBは、低全塩試薬組成物であった。組成物AおよびBは、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.64nmolの緩衝塩を包含し、これらの組成物におけるメディエータは、20%(w/w)未満の無機非遷移金属塩を包含した。対照的に、表1に列記した試薬組成物C、DおよびEは、低全塩試薬組成物ではなかった。組成物C、DおよびEは、試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.64nmolの緩衝塩を包含したが、これらの組成物におけるメディエータは、20%(w/w)超の無機非遷移金属塩を包含した。
【0064】
低全塩試薬組成物の例を下記の表2に列記する。作用電極が約0.2mm2〜約0.5mm2の平均直径を有し、作用電極直径に対する対電極直径の比率が少なくとも1.2である、テストセンサの作用および対電極上にこれらの組成物を配置した。テストセンサの容器体積は、約0.5μLであった。各試薬組成物FおよびGの平均直径は、約2.3mmであり、約4.2mm2の平均試薬組成物表面面積を提供した。各試薬組成物H〜Kの平均直径は、約2.1mmであり、約3.5mm2の平均試薬組成物表面面積を提供した。
【表2】
【0065】
先の表1に列記した試薬組成物は、0.35μLの堆積体積を有する試薬流体の堆積および乾燥によって形成した。表1に列記した試薬組成物を形成するため、使用した試薬流体A’〜E’を下記の表3に列記する。
【表3】
【0066】
先の表2に列記した試薬組成物FおよびGは、0.34μLの堆積体積を有する試薬流体の堆積および乾燥によって形成した。先の表2に列記した試薬組成物H〜Kは、0.2μLの堆積体積を有する試薬流体の堆積および乾燥によって形成した。表1に列記した試薬組成物を形成するため、使用した試薬流体を下記の表4に列記する。
【表4】
【0067】
バインダ、緩衝塩、メディエータ、界面活性剤および酵素系を組み合わせることにより、好ましい試薬流体を提供することができる。メディエータおよび酵素系の一つまたは両方を排除した、好ましい試薬流体を提供することもできる。その後、水を加え、所望の安定性を有する混合物を形成することができる。試薬流体は、より小数または追加的な成分を包含することができる。
【0068】
試薬流体は、好ましくは、約0.1〜約1%(w/w)、より好ましくは、約0.2〜約0.8%(w/w)のバインダを包含する。現在のところ、とりわけ好ましい試薬流体は、約0.3〜約0.6%(w/w)のバインダを包含する。試薬流体中に任意の多孔性粒子が存在する場合、多孔性粒子懸濁液とポリマー性材料との間で約1:10(w/w)の比率が維持される。他の比率を使用し、試薬流体に異なる粘度を提供することができる。試薬流体のための多孔性粒子の例は、例として、米国特許公報第2009/0178936号に開示されている。
【0069】
試薬流体は、好ましくは、混合物のpHを約4.5〜約7.5、より好ましくは、約6〜約7に維持するための緩衝塩を包含する。試薬流体のための好ましいpHおよび緩衝剤は、酵素の活性を維持するように選定することができる。試薬流体に導入された緩衝塩の濃度は、約30〜約115ミリモル(mM)の範囲とすることができる。好ましくは、試薬流体に導入された緩衝塩の濃度は、約40〜約100mM、より好ましくは、約25〜約75mM、より好ましくは、約30〜約60mM、より好ましくは、最高50mMである。他の濃度を有する緩衝溶液を使用することができる。
【0070】
試薬流体は、一または二電子移動の実質的に水溶性のメディエータを包含することができる。試薬流体中のメディエータの濃度は、約25〜約90mMの範囲とすることができる。好ましくは、試薬流体に導入された緩衝塩の濃度は、約30〜約60mM、より好ましくは、約35〜約40mMである。好ましくは、無機非遷移金属塩の量は、メディエータにおいて最高20%(w/w)である。より好ましくは、無機非遷移金属塩の量は、メディエータにおいて最高15%(w/w)、最高10%(w/w)、最高5%(w/w)であり、メディエータにおいて最高4%(w/w)である。
【0071】
試薬流体は、試薬流体のマイクロリットル(μL)当たり約1活性単位〜試薬流体のμL当たり約4活性単位、より好ましくは、試薬流体のμL当たり約1.5活性単位〜試薬流体のμL当たり約2活性単位である、製造者によって指定されたとおりの単位活性範囲を有する、実質的に水溶性の酵素系を包含することもできる。特定の単位活性を提供するために要する酵素の固体重量は、製剤バッチおよび製造者によって実質的に変動することができるにつれ、好ましくは、特定の重量の乾燥酵素流体について製造者が提供した単位活性を使用し、添加量を判定する。
【0072】
試薬流体は、好ましくは、約0.05〜約0.7%(w/w)、より好ましくは、約0.07〜約0.5%(w/w)の非イオン性界面活性剤を包含する。現在のところ、約0.1〜約0.3%(w/w)の界面活性剤がとりわけ好ましい。界面活性剤は、所望の粘度および安定性のコロイド懸濁液の形成を補助し、堆積方法および分析に適合する、任意の界面活性剤とすることができる。試薬流体は、場合により、約0.005〜約0.03%(w/w)、より好ましくは、約0.01〜約0.02%(w/w)のアニオン性界面活性剤を包含する。
【0073】
図3は、低全塩試薬組成物に接触している試料中の被分析物の存在および/または濃度を判定するための電気化学分析的方法300を表す。310では、低全塩試薬組成物を包含するバイオセンサに試料を導入する。320では、生物学的流体の試料中の被分析物の光同定可能種または酸化/還元(レドックス)反応のいずれかに応じ、バイオセンサシステムが出力信号を生成する。330では、バイオセンサシステムが出力信号を測定する。340では、少なくとも一つの誤差パラメータに対応する、少なくとも一つのΔS値を判定する。350では、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値を包含する補正式から、被分析物濃度を判定する。360では、濃度を表示、記憶等することができる。
【0074】
310では、バイオセンサのセンサ部分、例えば、テストセンサに試料を導入する。テストセンサは、少なくとも一つの作用および少なくとも一つの対電極を包含する。電極は、少なくとも一つの試薬組成物が低全塩試薬流体である、一つ以上の試薬組成物を包含することができる。作用電極および対電極上で同一の試薬組成物を使用することができ、または異なる試薬組成物を使用して電極の動作を助長することができる。例として、作用電極における試薬組成物は被分析物の反応を助長することができ、一例として酵素系およびメディエータであり、一方、対電極における試薬組成物は試料と電極表面との間の電子の自由な流動を助長することができ、一例として還元可能種である。
【0075】
試料中に存在する被分析物の部分は、例えば、オキシドレダクターゼにより、化学的または生化学的に酸化または還元される。これは、試料が低全塩試薬組成物中の試薬を水和するにつれて起こる。酸化または還元時には、場合により、被分析物とメディエータとの間で電子を移動させることができる。したがって、例えば、被分析物またはメディエータから、イオン化された測定可能種が形成される。
【0076】
320では、生物学的流体の試料中の被分析物の酸化/還元(レドックス)反応に応じ、バイオセンサシステムが出力信号を生成する。出力信号は、電気化学センサシステムを使用して生成される。帯電した被分析物または帯電したメディエータとすることができる測定可能種は、入力信号で電気化学的に励起(酸化または還元)される。入力信号は、セットされたシーケンスでパルスまたはオンオフする電気信号、例えば、電流または電位とすることができる。入力信号は、緩和によって分離された励起パルスのシーケンスである。パルス電流を測定しながら励起中に適用される電位は、好ましくは、その期間を通して実質的に一定の電圧および極性で適用される。これは、データ記録中に複数の電圧電位および/または極性で電圧が変更または「掃引」される、いくつかの従来の励起とは直接的に対照的である。
【0077】
入力信号は、一つ以上のパルス間隔を有することができる。パルス間隔は、パルスおよび緩和の和でありデューティサイクルを構成する。各パルスは、振幅および幅を有する。振幅は、電気信号の電位、電流等の強度を示す。振幅は、パルス内で例えば電流測定中に変動するか、または実質的に一定である。パルス幅はパルスの時間期間である。入力信号のパルス幅は、変動するか、または実質的に同一である。各緩和は、緩和の時間期間である緩和幅を有する。入力信号の緩和幅は、変動するか、または実質的に同一である。
【0078】
デューティサイクルの励起および緩和の幅を調整することにより、ゲート入力信号は、分析の正確性および/または精度を増大させることができる。好ましい入力信号は、2、3または5秒未満で適用される、少なくとも2、3、4または8デューティサイクルを包含する。より好ましくは、少なくとも2デューティサイクルを3秒以内に適用する。好ましくは、各励起パルスの幅は、0.1〜2秒、より好ましくは、0.2〜1秒から個別に選択される。現在のところ、とりわけ好ましい入力信号パルス幅は、0.3〜0.8秒から個別に選択される。好ましいパルス間隔は、3、2.5または1.5秒未満の範囲である。現在のところ、0.3〜0.5秒のパルス幅および0.7〜2秒のパルス間隔を有する入力信号がとりわけ好ましい。入力信号は、他のパルス幅および間隔を有することができる。
【0079】
バイオセンサは、測定可能種および入力信号に応じ、出力信号を生成することができる。出力信号、例えば、一つ以上の電流値を連続的または断続的に測定することができ、時間の関数として記録することができる。好適な出力信号は、定常状態に達した信号および過渡的である信号を包含することができる。時間に関する電流変化が実質的に一定であり、例えば、±10または±5%以内であるときに、定常状態の電流値を観察する。過渡的な電流値は、時間に関して減衰する。
【0080】
好ましくは、試料が緩和を受ける。測定装置は、テストセンサを通じて回路を開放し、それにより緩和を許可することができる。緩和中、励起中に存在した電流を少なくとも二分の一まで、好ましくは、一桁分、より好ましくは、ゼロまで実質的に低減する。好ましくは、実質的にゼロの電流流動を提供する当業者に既知の開放回路または他の方法によりゼロ電流状態が提供される。出力信号は、緩和中において好ましくは記録されない。
【0081】
好ましくは、バイオセンサは、所望の時間周期において、入力信号からのパルスを作用電極および対電極に適用し続ける。励起および緩和を包含するデューティサイクルを反復することができるか、異なるパルス幅および/または間隔を有するデューティサイクルを適用することができる。
【0082】
330では、バイオセンサシステムは、例えば、被分析物のレドックス反応から、試料に適用された入力信号に応じ、被分析物によって生成された出力信号を測定する。このシステムは、出力信号を連続的または断続的に測定することができる。例として、バイオセンサシステムは、各パルス中に断続的に出力信号を測定し、結果として、各パルス中に複数の電流値を測定することができる。このシステムは、出力信号をディスプレイ上に示すことができ、および/または出力信号もしくは出力信号の部分をメモリ装置に記憶することができる。
【0083】
図3の340では、一つ以上の誤差パラメータに対応する、一つ以上のΔS値が判定される。ΔS値は、温度、ヘマトクリットおよび他の寄与因子のために判定される。
【0084】
350では、少なくとも一つの参照相関および少なくとも一つのΔS値を包含する補正式から、試料の被分析物濃度を判定する。バイオセンサは、好ましくは、一つ以上の電流値を試料の被分析物濃度に相関付けることにより、出力信号電流値を分析する。好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、初期電流値が以降の減衰における電流値を上回る励起から、かつ、310でテストセンサに試料を導入してから約7秒未満以内に記録される。より好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、310でテストセンサに試料を導入してから約7秒未満以内に得られ、かつ、第一の電流値以降の電流値が減少する励起から記録された、第一の電流値である。なおより好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、310でテストセンサに試料を導入してから約7秒未満以内に得られ、第一の電流値以降の電流値が減少する励起から記録された、第一の電流値であり、かつ、テストセンサの最大動的性能中に得られる。追加的な電流、時間および/または他の値を分析することもできる。360では、被分析物濃度値を表示、将来の参照のために記憶および/または追加的な計算のために使用することができる。
【0085】
図4は、400mg/dLのグルコース濃度を有し、70%のヘマトクリット含有量を有する全血試料について、テストセンサからの出力信号を示す。測定装置によってテストセンサに入力された信号は、例えば、米国特許公報第2008/0173552号に記載されているように、七個の緩和によって分離された八個の励起を包含する、ゲートアンペロメトリックパルスシーケンスであった。第二から第八を通じた励起は、期間が約0.4秒であり、第二から第七を通じた緩和は、期間が約1秒であった。第二から第八を通じた励起中に、三つの出力電流値を記録した。
【0086】
被分析物を含有する一連の原溶液における被分析物の既知の濃度に照らし、分析における特定の時間の出力電流をプロットすることにより、一つ以上の出力電流値と試料の被分析物濃度との相関を作成することができる。入力信号からの出力電流値を試料の被分析物濃度に相関付けるため、励起からの初期電流値は、好ましくは、以降の減衰における電流値を上回る。好ましくは、試料の被分析物濃度に相関付けられた出力電流値は、テストセンサの最大動的性能を反映した電流データを包含する、減衰から取られる。出力電流の基礎となるレドックス反応の動力学は、複数の要因によって影響される。これらの要因は、試薬組成物が再水和する速度、酵素系が被分析物と反応する速度、酵素系がメディエータに電子を移動させる速度およびメディエータが電極に電子を移動させる速度を包含することができる。
【0087】
ゲートアンペロメトリックパルスシーケンスの励起中、減衰する電流値を有する励起の初期電流値が複数の励起において極大であるときに、テストセンサの最大動的性能に達することができる。好ましくは、減衰する電流値を有する励起で得られた、時間的に最後の電流値が複数の励起で得られた、時間的に最後の極大の電流値であるときに、テストセンサの最大動的性能に達する。より好ましくは、減衰する電流値を有する励起の初期電流値が複数の励起において極大であり、同一の励起で得られた、時間的に最後の電流値が複数の励起で得られた、時間的に最後の極大の電流値であるときに、テストセンサの最大動的性能に達する。
【0088】
被分析物を含有する試料がテストセンサに接触した後、電気化学テストセンサがその最大出力電流値を得る時間である、「ピーク時間」というパラメータに換算して、最大動的性能を記載することができる。試料の被分析物濃度との相関のため、好ましくは、最大出力電流値を使用する。好ましくは、テストセンサのピーク時間は、テストセンサに試料を導入してから約7秒未満、より好ましくは、約5秒未満である。好ましくは、ピーク時間は、テストセンサに試料を導入してから約0.4〜約7秒以内、より好ましくは、約0.6〜約6.4秒以内、より好ましくは、約1〜約5秒以内、より好ましくは、約1.1〜約3.5秒以内である。図4では、すべての記録された励起における極大の電流値を同定する、「ピーク時間」標記によって示唆されているように、3.5秒の分析時間で最大動的性能に達している。
【0089】
図5Aおよび5Bは、低全塩試薬組成物(AおよびB)を有するテストセンサと、低全塩組成物ではない試薬組成物(C、DおよびE)を有するテストセンサとについて、ピーク時間のグラフを図示する。図5Aでは、試料中のグルコースの濃度が50mg/dLであった。図5Bでは、試料中のグルコースの濃度が100mg/dLであった。試料は、20%〜70%の範囲のヘマトクリット含有量を有した。各グラフは、先の表1に列記した試薬組成物A〜Eについて、ヘマトクリット含有量の関数としてピーク時間をプロットしている。各組成物について、20%、30%、40%、50%、60%および70%のヘマトクリット含有量のピーク時間を左から右に示す。
【0090】
図5Aおよび5Bに図示する結果から、メディエータにおける無機非遷移金属塩のより低い含有量およびより低い緩衝塩濃度は、より短いピーク時間に相関付けられた。この効果は、とりわけ、より高いヘマトクリット含有量を有する試料で明白であった。したがって、低全塩試薬組成物は、試料が比較的高いヘマトクリット含有量を有するときでもなお、バイオセンサ分析で望ましいピーク時間を提供することができる。
【0091】
一つ以上の出力電流値と試料の被分析物濃度との相関を調整し、測定の誤差を考慮することができる。バイオセンサ分析に伴う誤差を修正するための一つの手法として、出力電流値の中間電流値から抽出された指数関数により、出力電流値から試料中の被分析物濃度を判定するための相関を調整する。指数関数は、結果として、判定された被分析物濃度のバイアスをもたらすことができる、分析における一つ以上の誤差について、出力電流値から被分析物濃度を判定するための相関を補正することができる。指数関数は、分析における一つ以上の誤差を原因とする、被分析物濃度と出力電流値との間の相関の%バイアスに照応する。
【0092】
一つ以上の誤差パラメータから得られた一つ以上のΔS値により、相関の%バイアスを表すことができる。ΔS値は、一つ以上の誤差パラメータから判定された、被分析物濃度と出力電流値との間の相関の勾配偏差を表す。勾配または勾配の変化に照応する指数関数を正規化し、出力電流値の変化の統計的効果を低減するか、出力電流値の変動の識別を改善するか、出力電流値の測定を標準化するか、その組み合わせ等を行うことができる。調整された相関は、生物学的試料中の被分析物濃度を出力電流値から判定するために使用されることができ、従来のバイオセンサと比較して改善された正確性および/または精度を有することができる。指数関数およびΔS値を使用した誤差修正は、例として、2008年12月6日に提出され、「Slope-Based Compensation」と題する、Huan-Ping Wuを発明者とする国際特許出願第PCT/US08/85768号に記載されている。
【0093】
したがって、ΔS/Sを表す指数関数を使用し、試料のグルコース濃度に対応する出力電流値を試料の修正されたグルコース濃度に変換することができる。あるいは、指数関数および式、例えば、Gcorrが試料の修正されたグルコース濃度であり、Grawが補正なしの試料の判定された被分析物濃度であり、f(Index)が指数関数である、Gcorr=Graw/(1+f(Index))を使用し、未修正のグルコース濃度値から、修正されたグルコース濃度値を判定することができる。
【0094】
指数関数は、出力信号、例えば、図4に図示した出力信号から抽出された比率を包含することができる。例として、個々のパルス−信号減衰サイクル、例えば、i3,3が第三の信号減衰について記録された第三の電流値を指し、i3,1が第三の信号減衰について記録された第一の電流値を指す、比率R3=i3,3/i3,1内で出力信号値を比較することができる。もう一つの例では、別個のパルス−信号減衰サイクル、例えば、i3,3が第四の信号減衰について記録された第三の電流値を指す、比率R4/3=i4,3/i3,3間で出力信号値を比較することができる。指数関数は、出力信号から抽出された比率の組み合わせを包含することができる。一つの例では、指数関数は、比率の単純な比率、例えば、Ratio3/2=R3/R2を包含することができる。もう一つの例では、指数関数は、より単純な指数関数のより複雑な組み合わせを包含することができる。例として、指数関数Index−1をIndex−1=R4/3−Ratio3/2として表すことができる。もう一つの例では、指数関数Index−2を、pおよびqが個別に正の数である、Index−2=(R4/3)p−(Ratio3/2)qで表すことができる。
【0095】
好ましくは、指数関数は、ヘマトクリット含有量の変動に伴う誤差を修正する。ヘマトクリット含有量によって変動する出力信号を発生させる、テストセンサを使用することにより、そのような指数関数の計算を助長することができる。驚くべきことに、低全塩試薬組成物を有するテストセンサは、そのような出力信号を提供することができる。
【0096】
図6A〜6Eは、単純な比率指数R4/3の関数として、ΔStotalの相関のグラフを図示する。これらの相関のデータは、21.8℃における毛細管血試料からのグルコース出力電流信号から取られた。図6A〜図6Eのテストセンサの試薬組成物は、それぞれ、表1の組成物A〜Eであった。低全塩試薬組成物Bを有するテストセンサは、異なるヘマトクリットレベルで最良の分離値を有した。
【0097】
表5は、図6A〜6Eのグラフを生成するために使用したデータおよび17.8℃で収集した同様のデータについて、様々な比率指数関数のR2値を列記する。R2値は、ヘマトクリット含有量により、ΔStotalと指数との間の総合的な相関を示唆する。
【表5】
【0098】
21.8℃で5秒以下の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物B)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。21.8℃で6.4秒以上の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物A)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。
【0099】
17.8℃で6.4秒以下の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物B)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。17.8℃で7.8秒以上の出力時間では、低全塩試薬組成物(組成物A)を有するテストセンサは、他のテストセンサによって提供されたR2値よりも有意に良好なR2値を有する、相関を提供した。したがって、より低い分析温度では、低全塩試薬組成物を有するテストセンサは、低全塩組成物ではない試薬組成物を有するテストセンサよりも早期のアッセイ時間において、より良好な相関を提供することができた。
【0100】
図6A〜6Eのグラフの指数関数を使用し、異なるヘマトクリット含有量を有する試料について、バイオセンサ分析バイアスを修正するための相関式を定式化した。ΔSに関連する一つ以上の指数関数を使用し、バイアス/%バイアス母集団の標準偏差として画定される、バイアス拡散を低減することができる。ΔStotalと一つ以上の指数関数との間の相関は、バイアス母集団の標準偏差(SD)の低減に直接影響する。そのため、R2値が高いほど、SD値の低減が大きくなり、したがって、バイアス拡散が小さくなる。この実験関係は、表1に列記した試薬組成物について、補正前後の±10/±10%バイアス限界内のデータセットの%母集団を列記する、表6に観察される。%±10%は、補正式を結果に適用する前後の両方において、低全塩試薬組成物を有するテストセンサで有意に上回った。
【表6】
【0101】
より少ない分析が±10/±10%正確性境界の外部にあるであろうにつれ、低塩試薬組成物によって提供された改善が有意である。境界の外部の分析数を低減することにより、得られた指示値のより多くを患者による正確な治療のために使用することができる。患者による分析の破棄および反復の要望を低減することもできる。
【0102】
図7は、表1に列記した試薬組成物A〜Eを有するテストセンサについて、アッセイ時間の関数として、21.8℃でのR2値のグラフを図示する。3.5秒、5秒、6.5秒、7.8秒および9.2秒のアッセイ時間は、それぞれ、比率指数関数R3/2、R4/3、R5/4、R6/7およびR7/6に照応する。したがって、図7は、表5の第一の半分に列記した結果のグラフ状の図示である。二つの最も早期のアッセイ時間(3.5および5秒)では、低全塩試薬組成物Bが少なくとも0.5のR2値を提供したのに対し、他の試薬組成物は、わずかに0.12以下のR2値を提供した。6.5秒のアッセイ時間では、低全塩試薬組成物AおよびBの両方が少なくとも0.5のR2値を提供したのに対し、他の試薬組成物は、わずかに0.2〜0.4のR2値を提供した。7秒よりも長いアッセイ時間では、低全塩試薬組成物Aは、少なくとも0.5のR2値を提供した;しかし、低全塩試薬組成物Bは、0.5を下回るR2値を提供した。7.8および9.2秒のアッセイ時間では、試薬組成物C〜Eによって提供されたR2値は、緩衝塩濃度と逆に相関付けられた。
【0103】
図7のグラフによって例証されるように、低全塩試薬組成物は、最長6.5秒のアッセイ時間に照応する指数関数について、少なくとも0.5のR2値を提供することができる。したがって、低全塩試薬組成物は、従来の試薬組成物によって提供されるアッセイ時間よりも短いアッセイ時間において、試料中の被分析物の正確な分析を提供することができる。
【0104】
図8は、表2に列記した低全塩試薬組成物FおよびGについて、ヘマトクリットレベルの関数として、16℃におけるR5/4指数のグラフを図示する。組成物Gが非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の両方を包含するのに対し、組成物Fが非イオン性界面活性剤のみを包含することを除き、これらの組成物は同様であった。組成物Gによって提供された結果のR2値が0.82であったのに対し、組成物Fによって提供された結果のR2値は、わずかに0.32であった。したがって、このシステムでは、小さい量のアニオン性界面活性剤の存在がR5/4指数関数の有意な改善を提供した。
【0105】
試薬組成物Bを様々な厚さでテストセンサの作用電極上に配置した。表7は、四つの異なるタイプの各作用電極上におけるメディエータの濃度を列記する。各電極に同一の低塩試薬組成物を使用したため、より低い濃度は、電極上の試薬組成物のより小さい厚さに相関付けられている。各試薬組成物は、平方ミリメートル当たり1.21〜1.50単位(U/mm2)の酵素濃度を有した。表7は、異なる温度で実施された分析について、±10/±10%バイアス限界内のデータセットの%母集団も列記する。低塩試薬組成物の最も薄い層を持つ作用電極は、±10/±10%バイアス限界内の測定の最も高い百分率を有した。この改善は、より低い温度、例えば、11℃で特に明白であった。
【表7】
【0106】
図9は、ゲートアンペロメトリック入力信号を使用し、生物学的流体の試料中の被分析物濃度を判定する、バイオセンサ900の概略描写を図示する。バイオセンサ900は、卓上型装置、携帯型または手持ち式装置等を包含する、任意の分析的機器で具現化することができる、測定装置902およびテストセンサ904を包含する。バイオセンサ900を利用し、グルコース、尿酸、乳酸、コレステロール、ビリルビン等の濃度を包含する、被分析物濃度を判定することができる。特定の機器構成が示される一方、バイオセンサ900は、追加的な構成要素を持つ機器構成を包含する、他の機器構成を有することができる。
【0107】
テストセンサ904は、容器908と、開口912を持つ流路910とを形成している、ベース906を有する。容器908および流路910は、脱気口を持つ蓋で被覆することができる。容器908は、部分的に閉鎖された体積を画定する。容器908は、液体試料を保持することを補助する組成物、例えば、水膨潤性ポリマーまたは多孔性ポリマーマトリクスを含有することができる。容器908および/または流路910に試薬を堆積させることができる。作用電極904における試薬組成物は、低全塩試薬組成物を包含し、一つ以上の酵素系、メディエータ等の種を包含することができる。同一または異なる試薬組成物、好ましくは、酵素系を欠いた試薬組成物を使用し、対電極905を形成することができる。テストセンサ904は、容器908に近接して配置された試料インタフェース914を有することもできる。試料インタフェース914は、部分的または完全に容器908を包囲することができる。テストセンサ904は、他の機器構成を有することができる。
【0108】
試料インタフェース914は、作用電極904および対電極905に接続された導体909を有する。電極は、実質的に同一の平面または一つよりも多い平面にあることができる。容器908を形成しているベース906の表面上に電極904、905を配置することができる。電極904、905は、容器908内に延伸または突出することができる。絶縁体層は、導体909および/または電極904、905を部分的に被覆することができる。試料インタフェース914は、他の電極および導体を有することができる。
【0109】
測定装置902は、センサインタフェース918およびディスプレイ920に接続された電気回路機構916を包含する。電気回路機構916は、信号生成器924、任意の温度センサ926および記憶媒体928に接続されたプロセッサ922を包含する。
【0110】
信号生成器924は、プロセッサ922に応じ、センサインタフェース918に電気入力信号を提供する。センサインタフェース918により、電気入力信号を試料インタフェース914に送信し、生物学的流体の試料に電気入力信号を適用することができる。電気入力信号は、電位または電流であることができ、複数のパルス、シーケンスまたはサイクルで適用することができる。信号生成器924は、生成器−記録器として、センサインタフェースからの出力信号を記録することもできる。
【0111】
任意の温度センサ926は、テストセンサ904の容器内における試料の温度を判定する。試料の温度は、測定されるか、出力信号から計算されるか、または周囲温度もしくはバイオセンサシステムを具現化する装置の温度の測定と同一もしくは同様と仮定されることができる。温度は、サーミスタ、温度計または他の温度感知装置を使用して測定することができる。他の技術を使用し、試料温度を判定することができる。
【0112】
記憶媒体928は、磁気、光学または半導体メモリ、もう一つの記憶装置等とすることができる。記憶媒体928は、固定されたメモリ装置、着脱可能なメモリ装置、例えば、メモリカードであるか、または遠隔からアクセス等されることができる。
【0113】
プロセッサ922は、記憶媒体928に記憶されたコンピュータ読取可能なソフトウェアコードおよびデータを使用し、被分析物の分析およびデータ処置を具現化する。プロセッサ922は、センサインタフェース918におけるテストセンサ904の存在、テストセンサ904への試料の適用、使用者入力等に応じ、被分析物の分析を開始することができる。プロセッサ922は、センサインタフェース918に電気入力信号を提供するように、信号生成器924に指令する。プロセッサ922は、任意の温度センサ926から試料温度を受信することができる。プロセッサ922は、センサインタフェース918から出力信号を受信する。容器908内の被分析物のレドックス反応に応じ、出力信号が生成される。
【0114】
プロセッサ922は、好ましくは、出力信号を測定し、初期電流値が以降の減衰における電流値を上回る励起から、かつ、テストセンサ904に試料を導入してから約3秒未満以内に電流値を得る。より好ましくは、プロセッサ922は、出力信号を測定し、904でテストセンサに試料を導入してから約3秒未満以内に電流値を得て、かつ、第一の電流値以降の電流値が連続的に減少する、励起から記録された第一の電流値を得る。なおより好ましくは、プロセッサ922は、出力信号を測定し、904でテストセンサに試料を導入してから約3秒未満以内に電流値を得て、第一の電流値以降の電流値が連続的に減少する、励起から記録された第一の電流値を得て、かつ、テストセンサの最大動的性能中に電流値を得る。
【0115】
得られた一つ以上の電流値は、プロセッサ922で一つ以上の相関式を使用し、試料の被分析物濃度に相関付けられる。被分析物の分析の結果をディスプレイ920に出力することができ、記憶媒体928に記憶することができる。好ましくは、被分析物の分析の結果は、テストセンサに試料を導入してから5秒以下以内にディスプレイ920に出力され、より好ましくは、結果は、テストセンサに試料を導入してから3秒以下以内にディスプレイ920に出力される。
【0116】
被分析物濃度および出力電流値を関連付ける相関式は、グラフ的、数学的、その組み合わせ等で表すことができる。相関式は、記憶媒体928に記憶されたプログラム番号(PNA)表、もう一つの探索表等によって表すことができる。被分析物の分析の具現化に関わる命令は、記憶媒体928に記憶されたコンピュータ読取可能なソフトウェアコードによって提供することができる。コードは、本明細書に記載の機能性を記載または制御する、オブジェクトコードまたは任意の他のコードであるとすることができる。被分析物の分析からのデータは、プロセッサ922における減衰速度、K定数、比率等の判定を包含する、一つ以上のデータ処置の対象とすることができる。
【0117】
センサインタフェース918は、テストセンサ904の試料インタフェース914内の導体909に接続しているか、電気的に連通している接触を有する。センサインタフェース918は、この接触を通じて電気入力信号を信号生成器924から試料インタフェース914内の導体909に送信する。センサインタフェース918は、この接触を通じて試料からの出力信号をプロセッサ922および/または信号生成器924にも送信する。
【0118】
ディスプレイ920は、アナログまたはデジタルとすることができる。ディスプレイは、数値の指示値を表示するように適応されたLCDとすることができる。
【0119】
使用において、試料を開口912に導入することにより、分析のための試料を容器908内に移動させる。試料は、流路910を通じて流動し、容器908に充填される一方、事前に含有されていた空気を追い出す。試料は、流路910および/または容器908に堆積された試薬と化学的に反応する。好ましくは、試料は、流体であり、より好ましくは、液体である。
【0120】
テストセンサ902は、測定装置902に近接して配置されている。近接は、試料インタフェース914がセンサインタフェース918と電気的に連通する位置を包含する。電気的な連通は、センサインタフェース918内の接触と試料インタフェース914内の導体909との間における、入力および/または出力信号の有線または無線移動を包含する。
【0121】
本発明の様々な態様を記載したが、その一方で当業者には、本発明の範囲内で他の態様および具現化が可能であることが明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのバイオセンサシステムであって、
バインダと、緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含むメディエータと、酵素系とを包含し被分析物のレドックス反応を選択的に実施するための反応手段と、
少なくとも二つの導体を包含し被分析物のレドックス反応の速度を測定するための測定手段と、を含み、
前記反応手段に試料を導入してから最長7秒以内の最大動的性能において、前記測定手段が試料中の被分析物の濃度に対応する、前記反応手段からの出力信号値を測定し、
前記測定手段が少なくとも一つの誤差パラメータに対応する少なくとも一つのΔS値を判定し、
前記測定手段がさらに、少なくとも一つの参照相関と、少なくとも一つのΔS値と、最低でも0.5のR2値とを包含する補正式から試料中の被分析物濃度を判定する、
システム。
【請求項2】
前記反応手段が、平均試薬組成物表面面積を有する試薬組成物を含み、そして、
バインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、緩衝塩と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、メディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む反応手段である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記試薬組成物が、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.14〜約0.43μgのバインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約2.30〜約9.54nmolの緩衝塩と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約1.70〜約4.76nmolのメディエータと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.07〜約0.3単位の酵素系と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.04〜約0.24μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記試薬組成物が、
約3.40〜約4.77nmol/mm2の緩衝塩と、
約2.80〜約4.00nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記反応手段が、
ベースであって、少なくとも二つの導体が前記ベース上にあり、その導体の一つが作用電極であるベースと、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
少なくとも二つの導体および前記試薬組成物上に容器体積を有する容器と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
容器体積のμL当たり最高67nmolの濃度で試薬組成物中に存在する、緩衝塩と、
容器体積のμL当たり最高40nmolの濃度で試薬組成物中に存在する、メディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記試薬組成物が、
容器体積のμL当たり約1〜約3μgのポリマー性バインダと、
容器体積のμL当たり約16〜約67nmolの緩衝塩と、
容器体積のμL当たり約12〜約40nmolのメディエータと、
容器体積のμL当たり約0.5〜約1.8単位の酵素系と、
容器体積のμL当たり約0.3〜約1.7μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記試薬組成物が、
約24〜約34nmol/μLの緩衝塩と、
約20〜約28nmol/μLのメディエータと、
を含む、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記反応手段が、
ベースであって、少なくとも二つの導体が前記ベース上にあり、その導体の一つが作用電極面積を有する作用電極であるベースと、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、緩衝塩と、
作用電極面積のmm2当たり最高100nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、メディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記試薬組成物が、
作用電極面積のmm2当たり約1〜約7.5μgのバインダと、
作用電極面積のmm2当たり約16〜約167nmolの緩衝塩と、
作用電極面積のmm2当たり約12〜約100nmolのメディエータと、
作用電極面積のmm2当たり約0.5〜約5活性単位の酵素系と、
作用電極面積のmm2当たり約0.3〜約4.3μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記試薬組成物が、
約24〜約84nmol/mm2の緩衝塩と、
約20〜約70nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記試薬組成物がさらにイオン性界面活性剤を含む、請求項2〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記試薬組成物がさらに、試薬組成物表面面積のmm2当たり約3〜約16ng/mm2のアニオン性界面活性剤、容器体積のμL当たり約20〜約40ngのイオン性界面活性剤、または作用電極面積のmm2当たり約10〜約350ngのイオン性界面活性剤を含む、請求項2〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記緩衝塩がNa2HPO4を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記メディエータが最高15%(w/w)、最高10%(w/w)、最高5%(w/w)または最高4%(w/w)の無機非遷移金属塩を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記非イオン性界面活性剤が糖に基づく界面活性剤を含む、請求項2〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記反応手段に試料を導入してから最長5秒以内または前記反応手段に試料を導入してから最長3.5秒以内の最大動的性能において、前記測定手段が前記反応手段からの出力信号値を測定する、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサであって、
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
平均試薬組成物表面面積を有する試薬組成物が、
バインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度の緩衝塩と、
最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含み試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度のメディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、センサ。
【請求項19】
前記試薬組成物が、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.14〜約0.43μgのバインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約2.30〜約9.54nmolの緩衝塩と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約1.70〜約4.76nmolのメディエータと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.07〜約0.3単位の酵素系と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.04〜約0.24μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記試薬組成物が、
約3.40〜約4.77nmol/mm2の緩衝塩と、
約2.80〜約4.00nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項18に記載のセンサ。
【請求項21】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサであって、
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、
容器体積を有する容器と、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
容器体積のμL当たり最高67nmolの濃度の緩衝塩と、
最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含み容器体積のμL当たり最高40nmolの濃度のメディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、センサ。
【請求項22】
前記試薬組成物が、
容器体積のμL当たり約1〜約3μgのポリマー性バインダと、
容器体積のμL当たり約16〜約67nmolの緩衝塩と、
容器体積のμL当たり約12〜約40nmolのメディエータと、
容器体積のμL当たり約0.5〜約1.8単位の酵素系と、
容器体積のμL当たり約0.3〜約1.7μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項21に記載のセンサ。
【請求項23】
前記試薬組成物が、
約24〜約34nmol/μLの緩衝塩と、
約20〜約28nmol/μLのメディエータと、
を含む、請求項22に記載のセンサ。
【請求項24】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサであって、
導体の一つが作用電極面積を有する作用電極である、少なくとも二つの導体と、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの濃度の緩衝塩と、
最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含み作用電極面積のmm2当たり最高80nmolの濃度のメディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、センサ。
【請求項25】
作用電極面積のmm2当たり約1〜約7.5μgのバインダと、
作用電極面積のmm2当たり約16〜約167nmolの緩衝塩と、
作用電極面積のmm2当たり約12〜約100nmolのメディエータと、
作用電極面積のmm2当たり約0.5〜約5活性単位の酵素系と、
作用電極面積のmm2当たり約0.3〜約4.3μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項24に記載のセンサ。
【請求項26】
約24〜約84nmol/mm2の緩衝塩と、
約20〜約70nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項25に記載のセンサ。
【請求項27】
さらに、イオン性界面活性剤を含む、請求項18〜26のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項28】
前記イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤を含む、請求項27に記載のセンサ。
【請求項29】
試薬組成物表面面積のmm2当たり約3〜約16ng/mm2のアニオン性界面活性剤、容器体積のμL当たり約20〜約40ngのイオン性界面活性剤、または作用電極面積のmm2当たり約10〜約350ngのイオン性界面活性剤を含む、請求項28に記載のセンサ。
【請求項30】
前記緩衝塩がNa2HPO4を含む、請求項18〜29のいずれか一項記載のセンサ。
【請求項31】
前記メディエータが最高15%(w/w)、最高10%(w/w)、最高5%(w/w)または最高4%(w/w)の無機非遷移金属塩を含む、請求項18〜30のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項32】
前記非イオン性界面活性剤が糖に基づく界面活性剤を含む、請求項18〜31のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項1】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのバイオセンサシステムであって、
バインダと、緩衝塩と、最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含むメディエータと、酵素系とを包含し被分析物のレドックス反応を選択的に実施するための反応手段と、
少なくとも二つの導体を包含し被分析物のレドックス反応の速度を測定するための測定手段と、を含み、
前記反応手段に試料を導入してから最長7秒以内の最大動的性能において、前記測定手段が試料中の被分析物の濃度に対応する、前記反応手段からの出力信号値を測定し、
前記測定手段が少なくとも一つの誤差パラメータに対応する少なくとも一つのΔS値を判定し、
前記測定手段がさらに、少なくとも一つの参照相関と、少なくとも一つのΔS値と、最低でも0.5のR2値とを包含する補正式から試料中の被分析物濃度を判定する、
システム。
【請求項2】
前記反応手段が、平均試薬組成物表面面積を有する試薬組成物を含み、そして、
バインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、緩衝塩と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、メディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む反応手段である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記試薬組成物が、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.14〜約0.43μgのバインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約2.30〜約9.54nmolの緩衝塩と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約1.70〜約4.76nmolのメディエータと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.07〜約0.3単位の酵素系と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.04〜約0.24μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記試薬組成物が、
約3.40〜約4.77nmol/mm2の緩衝塩と、
約2.80〜約4.00nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記反応手段が、
ベースであって、少なくとも二つの導体が前記ベース上にあり、その導体の一つが作用電極であるベースと、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
少なくとも二つの導体および前記試薬組成物上に容器体積を有する容器と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
容器体積のμL当たり最高67nmolの濃度で試薬組成物中に存在する、緩衝塩と、
容器体積のμL当たり最高40nmolの濃度で試薬組成物中に存在する、メディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記試薬組成物が、
容器体積のμL当たり約1〜約3μgのポリマー性バインダと、
容器体積のμL当たり約16〜約67nmolの緩衝塩と、
容器体積のμL当たり約12〜約40nmolのメディエータと、
容器体積のμL当たり約0.5〜約1.8単位の酵素系と、
容器体積のμL当たり約0.3〜約1.7μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記試薬組成物が、
約24〜約34nmol/μLの緩衝塩と、
約20〜約28nmol/μLのメディエータと、
を含む、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記反応手段が、
ベースであって、少なくとも二つの導体が前記ベース上にあり、その導体の一つが作用電極面積を有する作用電極であるベースと、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、緩衝塩と、
作用電極面積のmm2当たり最高100nmolの濃度で前記試薬組成物中に存在する、メディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記試薬組成物が、
作用電極面積のmm2当たり約1〜約7.5μgのバインダと、
作用電極面積のmm2当たり約16〜約167nmolの緩衝塩と、
作用電極面積のmm2当たり約12〜約100nmolのメディエータと、
作用電極面積のmm2当たり約0.5〜約5活性単位の酵素系と、
作用電極面積のmm2当たり約0.3〜約4.3μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記試薬組成物が、
約24〜約84nmol/mm2の緩衝塩と、
約20〜約70nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記試薬組成物がさらにイオン性界面活性剤を含む、請求項2〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記試薬組成物がさらに、試薬組成物表面面積のmm2当たり約3〜約16ng/mm2のアニオン性界面活性剤、容器体積のμL当たり約20〜約40ngのイオン性界面活性剤、または作用電極面積のmm2当たり約10〜約350ngのイオン性界面活性剤を含む、請求項2〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記緩衝塩がNa2HPO4を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記メディエータが最高15%(w/w)、最高10%(w/w)、最高5%(w/w)または最高4%(w/w)の無機非遷移金属塩を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記非イオン性界面活性剤が糖に基づく界面活性剤を含む、請求項2〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記反応手段に試料を導入してから最長5秒以内または前記反応手段に試料を導入してから最長3.5秒以内の最大動的性能において、前記測定手段が前記反応手段からの出力信号値を測定する、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサであって、
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
平均試薬組成物表面面積を有する試薬組成物が、
バインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり最高9.54nmolの濃度の緩衝塩と、
最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含み試薬組成物表面面積のmm2当たり最高4.76nmolの濃度のメディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、センサ。
【請求項19】
前記試薬組成物が、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.14〜約0.43μgのバインダと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約2.30〜約9.54nmolの緩衝塩と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約1.70〜約4.76nmolのメディエータと、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.07〜約0.3単位の酵素系と、
試薬組成物表面面積のmm2当たり約0.04〜約0.24μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記試薬組成物が、
約3.40〜約4.77nmol/mm2の緩衝塩と、
約2.80〜約4.00nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項18に記載のセンサ。
【請求項21】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサであって、
導体の一つが作用電極である、少なくとも二つの導体と、
容器体積を有する容器と、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
容器体積のμL当たり最高67nmolの濃度の緩衝塩と、
最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含み容器体積のμL当たり最高40nmolの濃度のメディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、センサ。
【請求項22】
前記試薬組成物が、
容器体積のμL当たり約1〜約3μgのポリマー性バインダと、
容器体積のμL当たり約16〜約67nmolの緩衝塩と、
容器体積のμL当たり約12〜約40nmolのメディエータと、
容器体積のμL当たり約0.5〜約1.8単位の酵素系と、
容器体積のμL当たり約0.3〜約1.7μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項21に記載のセンサ。
【請求項23】
前記試薬組成物が、
約24〜約34nmol/μLの緩衝塩と、
約20〜約28nmol/μLのメディエータと、
を含む、請求項22に記載のセンサ。
【請求項24】
試料中の被分析物の濃度を判定するためのテストセンサであって、
導体の一つが作用電極面積を有する作用電極である、少なくとも二つの導体と、
前記作用電極上または近傍に配置された試薬組成物と、
を含み、
前記試薬組成物が、
バインダと、
作用電極面積のmm2当たり最高167nmolの濃度の緩衝塩と、
最高20%(w/w)の無機非遷移金属塩を含み作用電極面積のmm2当たり最高80nmolの濃度のメディエータと、
酵素系と、
非イオン性界面活性剤と、
を含む、センサ。
【請求項25】
作用電極面積のmm2当たり約1〜約7.5μgのバインダと、
作用電極面積のmm2当たり約16〜約167nmolの緩衝塩と、
作用電極面積のmm2当たり約12〜約100nmolのメディエータと、
作用電極面積のmm2当たり約0.5〜約5活性単位の酵素系と、
作用電極面積のmm2当たり約0.3〜約4.3μgの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項24に記載のセンサ。
【請求項26】
約24〜約84nmol/mm2の緩衝塩と、
約20〜約70nmol/mm2のメディエータと、
を含む、請求項25に記載のセンサ。
【請求項27】
さらに、イオン性界面活性剤を含む、請求項18〜26のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項28】
前記イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤を含む、請求項27に記載のセンサ。
【請求項29】
試薬組成物表面面積のmm2当たり約3〜約16ng/mm2のアニオン性界面活性剤、容器体積のμL当たり約20〜約40ngのイオン性界面活性剤、または作用電極面積のmm2当たり約10〜約350ngのイオン性界面活性剤を含む、請求項28に記載のセンサ。
【請求項30】
前記緩衝塩がNa2HPO4を含む、請求項18〜29のいずれか一項記載のセンサ。
【請求項31】
前記メディエータが最高15%(w/w)、最高10%(w/w)、最高5%(w/w)または最高4%(w/w)の無機非遷移金属塩を含む、請求項18〜30のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項32】
前記非イオン性界面活性剤が糖に基づく界面活性剤を含む、請求項18〜31のいずれか一項に記載のセンサ。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−511159(P2012−511159A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540801(P2011−540801)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/066963
【国際公開番号】WO2010/077598
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/066963
【国際公開番号】WO2010/077598
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】
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