バイオセンサシステムの試薬用カートリッジおよびカートリッジの運転方法
バイオセンサシステムのために試薬を準備するカートリッジ(10)であって、少なくとも2つの容器(11〜17)を備え、該容器の少なくとも部分的に開放した上側がフィルム(22)によって気密かつ水密に閉鎖されており、少なくとも2つの容器は斜めに延在する底部(21)を有し、該底部の傾斜はそれぞれ同じように整列されており、カートリッジはバイオセンサシステムに、センサシステムに固定された中空針(5)が、結合された状態では少なくとも2つの容器の少なくとも1つを貫通し、中空針の端部がそれぞれの容器の底部の近傍に位置決めされるように結合される。さらに乾燥剤が、水分のない貯蔵または試薬の換気のために備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体とりわけ試薬を備え、とりわけ水質管理用の酵素抑制剤を測定するためのバイオセンサシステムを駆動するために使用されるカートリッジに関する。さらにバイオセンサにおいてカートリッジを駆動する方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、通例は有機物質を検出することのできるバイオセンサの使用は公知である。中央のバイオセンサは、通例、所定の酵素を含む。一般的に触媒活性が測定され、試薬による測定と試薬なしでの測定との触媒活性の測定が評価される。バイオセンサでは酵素、すなわちタンパク質が使用されるから、このようなバイオセンサシステムの使用は、所定の運転手段の耐久性が有限であることと結び付いている。したがってバイオセンサシステムの供給は、一連の試薬を必要とする。これらの試薬は、バイオセンサシステムの運転時に消費され、時折充填しなければならない。
【0003】
いわゆる「メンテナンスフリー」の機器が望まれる場合、この種の再充填は、たとえば週に1回以上の頻度で必要とすべきでない。このことは、カートリッジに含まれる試薬が、少なくとも1週間は安定していることが要求される。
【0004】
バイオセンサのためにバイオセンサシステムで必要な試薬は、通例、液体で存在し、したがってバイオセンサシステムとの結合は液相を介して行われる。これまで試薬は個別に混合され、対応する容器に充填される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎とする課題は、バイオセンサシステムを運転するための液体全体を密閉して貯蔵することができるカートリッジを提供することであり、カートリッジのそれぞれの容器に含まれる試薬の量が容器サイズの適合によって最適化され、これにより試薬を無駄なく使用することができるようにすることである。さらにこの種のカートリッジを使用するための運転方法を提供することであり、その際に、水分のない試薬を保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決手段は、それぞれの独立請求項の特徴によって解決される。有利な実施形態は従属請求項から明らかである。
【0007】
本発明は、試薬の量および対応する容器の容積が、特異的な使用量に応じて最適化されていることに基づく。同時に、複数の容器を備えるカートリッジは、バイオセンサシステムを運転するための液体または試薬の全部をすべて密閉して貯蔵していることの利点は、カートリッジの保存の際に液体または試薬が水分の少ない状態または水分のない状態で存在し得ることである。カートリッジ内の容器の容積が異なることにより、バイオセンサの運転時に、使用量が異なる特別の試薬を、個々の容器が所定時間で、たとえば1週間で完全に空になるよう準備することができる。対応してカートリッジの個々の容器の容積は、試薬の特別の使用量に適合される。
【0008】
容器は水平に対して傾斜した底部を有し、バイオセンサシステムへの結合は中空針を介して行われる。中空針は結合された状態で、フィルムを穿孔し、その端部は傾斜した底部の最深領域に位置決めされる。
【0009】
各容器の斜めに降下する底部の最深領域にある付加的な凹部、たとえば半球型の凹部に入り込むことにより、有利には個々の試薬をバイオセンサの運転時に最小の残余量まで使い果たすことができる。
【0010】
有利には圧力均衡のために個々の容器の換気ためには、試薬を取り出すための中空針に対する開口部の他に、同じ容器に取り付けられるフィルムへの開口部が当該容器の換気のために用いられる。
【0011】
換気はとりわけ水分のないガスによって行われ、したがって加水分解に脆弱な試薬に乾燥吸気を供給することができる。しかし水分を含まないガスを使用することもできる。
【0012】
カートリッジの容器により実現される閉鎖された容積は、上側の制限と、フィルムによる容器の密閉により構造化される。これにより生化学的試薬および一般的に加水分解に脆弱な物質が、容器内に水分なしで保存される。
【0013】
水分のないガスを作り出すために、乾燥剤をカートリッジに直接置くことは非常に有利である。
【0014】
以下、概略的に示され、本発明を限定するものではない図面に基づいて実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】個々の容器11〜17の輪郭を備えるカートリッジの平面図、側面図である。
【図2】乾燥ガスにより換気する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図3】乾燥ガスにより換気する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図4】乾燥ガスにより換気する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図5】試薬を長期間保存する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図6】試薬を長期間保存する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
複数の容器11〜17を備えるカートリッジ10は、バイオセンサシステムでバイオセンサを運転するためのすべての液体、とりわけ試薬を含む。本発明の解決手段の利点は、個々の容器の容積比がバイオセンサの運転時の使用量に適合されていることであり、すべての容器を所定の時間で同時に完全に空にすることができる。
【0017】
中空針5はバイオセンサシステムに強固に接続されている。これにより、ホースが中空針の背後で運動し、たとえばホースの折れ曲がれにより障害が発生するのが回避される。ホースの折れ曲がりによりホースの材料が疲労し、その内部容積が変化する。そのためカートリッジの接続後に空気がホース内で浮上し得る。
【0018】
個々の容器を水分なしで換気することにより、加水分解に脆弱な試薬を、水分のない有機溶液中に保存することができる。
【0019】
これにより、いくつかの試薬をカートリッジ内に本発明に対応して保存することが、冷却なしで可能になる。
【0020】
水分のない空気により換気するために、たとえば吸湿剤が前置接続され、これにより容器を前処理で乾燥された環境空気により充填することができる。
【0021】
全体でできるだけ残余量を少なくして、すべての容器を同時に空にするため、中空針5の端部は容器の片側でそれぞれ、容器の底部にある凹部18の近傍に配置されている。個々の容器の底部はそれぞれ傾斜されている。
【0022】
貯蔵されていて、バイオセンサの運転に使用される試薬がカートリッジに充填される。容器の数は通例、試薬の数に対応する。容器の大きさは、所定の測定時間後、たとえば1週間後に、カートリッジ内のどの容器でも残余量ができるだけ少なくなるように選択される。ここで容積比は個々の容器の、大きさの異なる輪郭により表される。個々の容器からの試薬の固有の使用量が考慮される。
【0023】
バイオセンサシステムの装着が可能である。ここではフィルムを通して個々のチャンバへ穿孔することができ、これによりバイオセンサシステムへの液体の結合が形成される。
【0024】
バイオセンサシステムの運転または容器からの試薬の取り出しにより、容器内に負圧が形成されないようにし、液体取り出しの閉塞の原因とならないようにするため、容器の換気のためカートリッジの結合時に、開口部または穴がフィルムに打ち抜かれる。
【0025】
水分なしで貯蔵すべき試薬を含んだ個々の容器を特別に換気するために、たとえば乾燥空気のような乾燥ガスを供給するためのエレメントと組み合わせて換気が行われる。択一的に水分のないガスを、対応する容器の洗浄に使用することもできる。
【0026】
試薬が好ましくは液体として存在する場合、たとえば塩酸、種々の酵素からなる混合物、および酵素基の2つの異なる水溶性溶液といった3つの異なる組成物の化学的バッファとして試薬を調製することができる。酵素基の水分のない溶液は、バイオセンサシステムの使用の比較的直前に緩衝液と使用のために混合される。なぜならこれは加水分解に脆弱だからである。したがって水分のない基本溶液は湿気と接触してはならない。対応する容器は、対応する試薬を受け入れるために、乾燥空気または他の乾燥ガスにより換気しなければならない。
【0027】
本発明により化学的バッファおよび酵素をカートリッジ内に乾燥して貯蔵することができる。これにより、これらを長期に保存することができ、貯蔵時の冷却を省略することができる。カートリッジをバイオセンサシステムに接続した後、個々の容器には乾燥して貯蔵された試薬が純水とともに充填される。これによりこの試薬は使用状態となり、カートリッジはすべての試薬とともに使用可能である。
【0028】
バイオセンサシステムおよびカートリッジを特に温暖な使用地域で使用するために、カートリッジを冷却することもできる。ここでは金属プレートをカートリッジの下方で、金属プレートを冷却するペルティエ素子と組み合わせる使用することができる。金属プレートは特別に成形することができ、これにより温度に脆弱な試薬を良好に冷却することができる。
【0029】
図1,1A,1Bについては、部分的に断面で示した種々の平面図で、カートリッジが異なる観察方向で詳細に図示されている。図1は、カートリッジ10を平面図に示し、種々異なる大きさのカートリッジ11〜17の輪郭が示されている。さらに円により、容器を上方から覆うフィルムを中空針5が貫通している個所が示されている。図1に示された円には、カートリッジの底部の凹部18が存在しており、容器11〜17に上方から導入される中空針5の端部は、カートリッジがバイオセンサシステムに結合された状態で、凹部18の近傍に位置される。
【0030】
図1Aは図1の断面A−Aを示す。ここで斜めに延在する容器11の底部は凹部18を有する。これは、ほぼ半円形の構成を示している。同じ対象物の詳細が図1Bに再度示されている。
【0031】
図2と2Aは、容器17内のカートリッジ上の乾燥剤1の変形形態を示す。乾燥剤は乾燥した、水分のないガスを形成することができ、試薬の取り出しの際に容器を換気するため、ガスが乾燥剤から導入される。
【0032】
所属の図3Aと4Aを有する図3と4は平面図と断面図に、同様の換気手段を示す。ここで乾燥空気3は複数の変形形態で形成され、特定の容器に供給される。図3Aでは、空気7が乾燥剤1に導かれ、それを通過し、乾燥した空気3が発生する。
【0033】
図4Aでは、ダイヤフラム4が使用され、このダイヤフラムは試薬と乾燥剤との混合を阻止するが、ガスの乾燥は許容する。
【0034】
図5,5A,および6,6Aは、乾燥剤1の貯蔵変形例を示す。図5Aには貯蔵所が示されており、貯蔵所ではたとえば半透過性ダイヤフラムを介して試薬8の直接的乾燥を行うことができる。図6Aでは試薬8と乾燥剤1が混合され、試薬の取り出しの際に初めて分離される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体とりわけ試薬を備え、とりわけ水質管理用の酵素抑制剤を測定するためのバイオセンサシステムを駆動するために使用されるカートリッジに関する。さらにバイオセンサにおいてカートリッジを駆動する方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、通例は有機物質を検出することのできるバイオセンサの使用は公知である。中央のバイオセンサは、通例、所定の酵素を含む。一般的に触媒活性が測定され、試薬による測定と試薬なしでの測定との触媒活性の測定が評価される。バイオセンサでは酵素、すなわちタンパク質が使用されるから、このようなバイオセンサシステムの使用は、所定の運転手段の耐久性が有限であることと結び付いている。したがってバイオセンサシステムの供給は、一連の試薬を必要とする。これらの試薬は、バイオセンサシステムの運転時に消費され、時折充填しなければならない。
【0003】
いわゆる「メンテナンスフリー」の機器が望まれる場合、この種の再充填は、たとえば週に1回以上の頻度で必要とすべきでない。このことは、カートリッジに含まれる試薬が、少なくとも1週間は安定していることが要求される。
【0004】
バイオセンサのためにバイオセンサシステムで必要な試薬は、通例、液体で存在し、したがってバイオセンサシステムとの結合は液相を介して行われる。これまで試薬は個別に混合され、対応する容器に充填される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎とする課題は、バイオセンサシステムを運転するための液体全体を密閉して貯蔵することができるカートリッジを提供することであり、カートリッジのそれぞれの容器に含まれる試薬の量が容器サイズの適合によって最適化され、これにより試薬を無駄なく使用することができるようにすることである。さらにこの種のカートリッジを使用するための運転方法を提供することであり、その際に、水分のない試薬を保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決手段は、それぞれの独立請求項の特徴によって解決される。有利な実施形態は従属請求項から明らかである。
【0007】
本発明は、試薬の量および対応する容器の容積が、特異的な使用量に応じて最適化されていることに基づく。同時に、複数の容器を備えるカートリッジは、バイオセンサシステムを運転するための液体または試薬の全部をすべて密閉して貯蔵していることの利点は、カートリッジの保存の際に液体または試薬が水分の少ない状態または水分のない状態で存在し得ることである。カートリッジ内の容器の容積が異なることにより、バイオセンサの運転時に、使用量が異なる特別の試薬を、個々の容器が所定時間で、たとえば1週間で完全に空になるよう準備することができる。対応してカートリッジの個々の容器の容積は、試薬の特別の使用量に適合される。
【0008】
容器は水平に対して傾斜した底部を有し、バイオセンサシステムへの結合は中空針を介して行われる。中空針は結合された状態で、フィルムを穿孔し、その端部は傾斜した底部の最深領域に位置決めされる。
【0009】
各容器の斜めに降下する底部の最深領域にある付加的な凹部、たとえば半球型の凹部に入り込むことにより、有利には個々の試薬をバイオセンサの運転時に最小の残余量まで使い果たすことができる。
【0010】
有利には圧力均衡のために個々の容器の換気ためには、試薬を取り出すための中空針に対する開口部の他に、同じ容器に取り付けられるフィルムへの開口部が当該容器の換気のために用いられる。
【0011】
換気はとりわけ水分のないガスによって行われ、したがって加水分解に脆弱な試薬に乾燥吸気を供給することができる。しかし水分を含まないガスを使用することもできる。
【0012】
カートリッジの容器により実現される閉鎖された容積は、上側の制限と、フィルムによる容器の密閉により構造化される。これにより生化学的試薬および一般的に加水分解に脆弱な物質が、容器内に水分なしで保存される。
【0013】
水分のないガスを作り出すために、乾燥剤をカートリッジに直接置くことは非常に有利である。
【0014】
以下、概略的に示され、本発明を限定するものではない図面に基づいて実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】個々の容器11〜17の輪郭を備えるカートリッジの平面図、側面図である。
【図2】乾燥ガスにより換気する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図3】乾燥ガスにより換気する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図4】乾燥ガスにより換気する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図5】試薬を長期間保存する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【図6】試薬を長期間保存する際のそれぞれカートリッジの平面図と、断面A−Aに対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
複数の容器11〜17を備えるカートリッジ10は、バイオセンサシステムでバイオセンサを運転するためのすべての液体、とりわけ試薬を含む。本発明の解決手段の利点は、個々の容器の容積比がバイオセンサの運転時の使用量に適合されていることであり、すべての容器を所定の時間で同時に完全に空にすることができる。
【0017】
中空針5はバイオセンサシステムに強固に接続されている。これにより、ホースが中空針の背後で運動し、たとえばホースの折れ曲がれにより障害が発生するのが回避される。ホースの折れ曲がりによりホースの材料が疲労し、その内部容積が変化する。そのためカートリッジの接続後に空気がホース内で浮上し得る。
【0018】
個々の容器を水分なしで換気することにより、加水分解に脆弱な試薬を、水分のない有機溶液中に保存することができる。
【0019】
これにより、いくつかの試薬をカートリッジ内に本発明に対応して保存することが、冷却なしで可能になる。
【0020】
水分のない空気により換気するために、たとえば吸湿剤が前置接続され、これにより容器を前処理で乾燥された環境空気により充填することができる。
【0021】
全体でできるだけ残余量を少なくして、すべての容器を同時に空にするため、中空針5の端部は容器の片側でそれぞれ、容器の底部にある凹部18の近傍に配置されている。個々の容器の底部はそれぞれ傾斜されている。
【0022】
貯蔵されていて、バイオセンサの運転に使用される試薬がカートリッジに充填される。容器の数は通例、試薬の数に対応する。容器の大きさは、所定の測定時間後、たとえば1週間後に、カートリッジ内のどの容器でも残余量ができるだけ少なくなるように選択される。ここで容積比は個々の容器の、大きさの異なる輪郭により表される。個々の容器からの試薬の固有の使用量が考慮される。
【0023】
バイオセンサシステムの装着が可能である。ここではフィルムを通して個々のチャンバへ穿孔することができ、これによりバイオセンサシステムへの液体の結合が形成される。
【0024】
バイオセンサシステムの運転または容器からの試薬の取り出しにより、容器内に負圧が形成されないようにし、液体取り出しの閉塞の原因とならないようにするため、容器の換気のためカートリッジの結合時に、開口部または穴がフィルムに打ち抜かれる。
【0025】
水分なしで貯蔵すべき試薬を含んだ個々の容器を特別に換気するために、たとえば乾燥空気のような乾燥ガスを供給するためのエレメントと組み合わせて換気が行われる。択一的に水分のないガスを、対応する容器の洗浄に使用することもできる。
【0026】
試薬が好ましくは液体として存在する場合、たとえば塩酸、種々の酵素からなる混合物、および酵素基の2つの異なる水溶性溶液といった3つの異なる組成物の化学的バッファとして試薬を調製することができる。酵素基の水分のない溶液は、バイオセンサシステムの使用の比較的直前に緩衝液と使用のために混合される。なぜならこれは加水分解に脆弱だからである。したがって水分のない基本溶液は湿気と接触してはならない。対応する容器は、対応する試薬を受け入れるために、乾燥空気または他の乾燥ガスにより換気しなければならない。
【0027】
本発明により化学的バッファおよび酵素をカートリッジ内に乾燥して貯蔵することができる。これにより、これらを長期に保存することができ、貯蔵時の冷却を省略することができる。カートリッジをバイオセンサシステムに接続した後、個々の容器には乾燥して貯蔵された試薬が純水とともに充填される。これによりこの試薬は使用状態となり、カートリッジはすべての試薬とともに使用可能である。
【0028】
バイオセンサシステムおよびカートリッジを特に温暖な使用地域で使用するために、カートリッジを冷却することもできる。ここでは金属プレートをカートリッジの下方で、金属プレートを冷却するペルティエ素子と組み合わせる使用することができる。金属プレートは特別に成形することができ、これにより温度に脆弱な試薬を良好に冷却することができる。
【0029】
図1,1A,1Bについては、部分的に断面で示した種々の平面図で、カートリッジが異なる観察方向で詳細に図示されている。図1は、カートリッジ10を平面図に示し、種々異なる大きさのカートリッジ11〜17の輪郭が示されている。さらに円により、容器を上方から覆うフィルムを中空針5が貫通している個所が示されている。図1に示された円には、カートリッジの底部の凹部18が存在しており、容器11〜17に上方から導入される中空針5の端部は、カートリッジがバイオセンサシステムに結合された状態で、凹部18の近傍に位置される。
【0030】
図1Aは図1の断面A−Aを示す。ここで斜めに延在する容器11の底部は凹部18を有する。これは、ほぼ半円形の構成を示している。同じ対象物の詳細が図1Bに再度示されている。
【0031】
図2と2Aは、容器17内のカートリッジ上の乾燥剤1の変形形態を示す。乾燥剤は乾燥した、水分のないガスを形成することができ、試薬の取り出しの際に容器を換気するため、ガスが乾燥剤から導入される。
【0032】
所属の図3Aと4Aを有する図3と4は平面図と断面図に、同様の換気手段を示す。ここで乾燥空気3は複数の変形形態で形成され、特定の容器に供給される。図3Aでは、空気7が乾燥剤1に導かれ、それを通過し、乾燥した空気3が発生する。
【0033】
図4Aでは、ダイヤフラム4が使用され、このダイヤフラムは試薬と乾燥剤との混合を阻止するが、ガスの乾燥は許容する。
【0034】
図5,5A,および6,6Aは、乾燥剤1の貯蔵変形例を示す。図5Aには貯蔵所が示されており、貯蔵所ではたとえば半透過性ダイヤフラムを介して試薬8の直接的乾燥を行うことができる。図6Aでは試薬8と乾燥剤1が混合され、試薬の取り出しの際に初めて分離される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサシステムのために試薬を準備する、少なくとも2つの容器(11〜17)を含むカートリッジ(10)の運転方法であって、
・試薬は、水溶液中と、水分のない溶剤中に液体として存在し、
・試薬が少なくとも2つの容器内に、それぞれ水密かつ気密に少なくとも一部の領域ではフィルム(22)によって閉鎖され、
・バイオセンサシステムに所属するそれぞれ少なくとも1つの中空針(5)によって試薬を取り出すためフィルム(22)が穿孔されるように、バイオセンサシステムに結合され、
・水分のない溶剤中に準備された試薬のための少なくとも2つの容器からの取り出しの際に、水分のないガスによる圧力均衡が実行される、運転方法。
【請求項2】
カートリッジ(10)に貯蔵された乾燥剤(1)によって乾燥された空気が形成され、該乾燥された空気が少なくとも2つの容器(11〜17)の少なくとも1つに圧力均衡のために供給される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乾燥剤は、少なくとも1つの試薬と水分のない貯蔵のために混合される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥剤は、半透過性のダイヤフラムによって試薬から分離される、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの容器の少なくとも1つで試薬が冷却される、ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも
・緩衝液、酸、アルカリ液のような冷却されない水溶液、
・酵素溶液のような冷却される水溶液、
・エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、N−メチルピロリドンのような水分のない溶剤中の試薬、
がカートリッジのそれぞれの容器に含まれている、ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの容器のそれぞれの容積は、少なくとも2つの容器中に存在する試薬のそれぞれの量が、バイオセンサシステムでのカートリッジの運転で同時に消費尽くされるように設計される、ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
緩衝液、酸またはアルカリ液のような冷却されない溶液と、酵素溶液のような冷却される溶液と、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、N−メチルピロリドンのような水分のない溶剤中の試薬の量の比または対応する容器の容積の比は、おおよそ900:1:20である、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
バイオセンサシステムのために試薬を準備するカートリッジ(10)であって、
少なくとも2つの容器(11〜17)を備え、該容器の少なくとも部分的に開放した上側がフィルム(22)によって気密かつ水密に閉鎖されており、
・少なくとも2つの容器(11〜17)は斜めに延在する底部(21)を有し、該底部の傾斜はそれぞれ同じように整列されており、
・カートリッジはバイオセンサシステムに、センサシステムに固定された中空針(5)が、結合された状態では少なくとも2つの容器の少なくとも1つを貫通し、中空針の端部がそれぞれの容器の底部の近傍に位置決めされるように結合される、カートリッジ。
【請求項10】
少なくとも2つの容器の底部(21)には凹部(18)が嵌め込まれており、該凹部は少なくとも2つの容器の底部にあるもっとも深い個所である、ことを特徴とする請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
カートリッジには、水分のないガスのために乾燥剤(1)が貯蔵されている、ことを特徴とする請求項9または10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
少なくとも水分のない溶剤中の試薬を備える容器は、水分のないガスにより換気される、ことを特徴とする請求項9から11までのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
乾燥剤は、試薬とも混合を阻止するためダイヤフラム(4)によって制限されている、ことを特徴とする請求項9から12までのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
試薬と乾燥剤を混合する場合、試薬の別個の取り出しのために格子(19)が設けられている、 ことを特徴とする請求項9から13までのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
バイオセンサシステムに試薬を供給するための請求項9から14までのいずれか一項に記載のカートリッジの使用、または水質を管理するための請求項1から8までのいずれか一項に記載のカートリッジの運転方法の使用。
【請求項1】
バイオセンサシステムのために試薬を準備する、少なくとも2つの容器(11〜17)を含むカートリッジ(10)の運転方法であって、
・試薬は、水溶液中と、水分のない溶剤中に液体として存在し、
・試薬が少なくとも2つの容器内に、それぞれ水密かつ気密に少なくとも一部の領域ではフィルム(22)によって閉鎖され、
・バイオセンサシステムに所属するそれぞれ少なくとも1つの中空針(5)によって試薬を取り出すためフィルム(22)が穿孔されるように、バイオセンサシステムに結合され、
・水分のない溶剤中に準備された試薬のための少なくとも2つの容器からの取り出しの際に、水分のないガスによる圧力均衡が実行される、運転方法。
【請求項2】
カートリッジ(10)に貯蔵された乾燥剤(1)によって乾燥された空気が形成され、該乾燥された空気が少なくとも2つの容器(11〜17)の少なくとも1つに圧力均衡のために供給される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乾燥剤は、少なくとも1つの試薬と水分のない貯蔵のために混合される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥剤は、半透過性のダイヤフラムによって試薬から分離される、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの容器の少なくとも1つで試薬が冷却される、ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも
・緩衝液、酸、アルカリ液のような冷却されない水溶液、
・酵素溶液のような冷却される水溶液、
・エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、N−メチルピロリドンのような水分のない溶剤中の試薬、
がカートリッジのそれぞれの容器に含まれている、ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの容器のそれぞれの容積は、少なくとも2つの容器中に存在する試薬のそれぞれの量が、バイオセンサシステムでのカートリッジの運転で同時に消費尽くされるように設計される、ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
緩衝液、酸またはアルカリ液のような冷却されない溶液と、酵素溶液のような冷却される溶液と、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、N−メチルピロリドンのような水分のない溶剤中の試薬の量の比または対応する容器の容積の比は、おおよそ900:1:20である、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
バイオセンサシステムのために試薬を準備するカートリッジ(10)であって、
少なくとも2つの容器(11〜17)を備え、該容器の少なくとも部分的に開放した上側がフィルム(22)によって気密かつ水密に閉鎖されており、
・少なくとも2つの容器(11〜17)は斜めに延在する底部(21)を有し、該底部の傾斜はそれぞれ同じように整列されており、
・カートリッジはバイオセンサシステムに、センサシステムに固定された中空針(5)が、結合された状態では少なくとも2つの容器の少なくとも1つを貫通し、中空針の端部がそれぞれの容器の底部の近傍に位置決めされるように結合される、カートリッジ。
【請求項10】
少なくとも2つの容器の底部(21)には凹部(18)が嵌め込まれており、該凹部は少なくとも2つの容器の底部にあるもっとも深い個所である、ことを特徴とする請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
カートリッジには、水分のないガスのために乾燥剤(1)が貯蔵されている、ことを特徴とする請求項9または10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
少なくとも水分のない溶剤中の試薬を備える容器は、水分のないガスにより換気される、ことを特徴とする請求項9から11までのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
乾燥剤は、試薬とも混合を阻止するためダイヤフラム(4)によって制限されている、ことを特徴とする請求項9から12までのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
試薬と乾燥剤を混合する場合、試薬の別個の取り出しのために格子(19)が設けられている、 ことを特徴とする請求項9から13までのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
バイオセンサシステムに試薬を供給するための請求項9から14までのいずれか一項に記載のカートリッジの使用、または水質を管理するための請求項1から8までのいずれか一項に記載のカートリッジの運転方法の使用。
【図1】
【図1A−1B】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図1A−1B】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【公表番号】特表2012−525567(P2012−525567A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507652(P2012−507652)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052969
【国際公開番号】WO2010/124895
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052969
【国際公開番号】WO2010/124895
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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