説明

バイオセンサ用の充填量不足検出システム

バイオセンサは、生体液サンプルが1またはそれ以上の分析対象物の解析のために十分な大きさであるかどうかを決定する、充填量不足検出システムを有する。充填量不足検出システムは、励起シグナルをサンプルに対して印加し、それにより励起シグナルに応答して、出力シグナルを生成する。充填量不足検出システムは、励起シグナルの振幅を切り替える。励起シグナルの異なる振幅への遷移は、サンプルが精密なおよび/または正確な解析のために十分な大きさではない場合に、出力シグナルを変化させる。充填量不足検出システムは、出力シグナルを測定し、そしてそれを1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較して、充填量不足条件が存在するかどうかを決定する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願への参照
[001] 本出願は、2006年5月3日に出願された“バイオセンサ用の充填量不足検出システム”とのタイトルのU.S.仮出願No. 60/797,128の利益を主張し、その全体を参照により援用する。
【0002】
背景
[002] バイオセンサは通常、生体液(例えば、全血、尿、または唾液)の解析をもたらす。典型的には、バイオセンサは、生体液サンプルを解析し、生体液中の1またはそれ以上の分析対象物(グルコース、尿酸、ラクテート、コレステロール、またはビリルビンなど)の濃度を測定する。解析は、生理学的異常の診断および治療に有用である。例えば、糖尿病個体は、食事および/または投薬に調整を加えるために、バイオセンサを使用して、血中グルコースレベルを測定することができる。使用される場合、バイオセンサは、サンプルサイズが十分に大きくない場合、充填量不足である可能性がある。充填量不足のバイオセンサは、生体液の正確な解析をもたらすことができない。
【0003】
[003] バイオセンサは、卓上型、携帯型などの装置を使用して実行することができる。携帯型装置は、手持ち型であってもよい。バイオセンサは、1またはそれ以上の分析対象物を解析するように設計することができ、そして様々な容量の生体液を使用することができる。いくつかのバイオセンサは、一滴の全血、例えば0.25〜15マイクロリットル(μL)の容量を解析することができる。携帯型測定装置の例には、Bayer CorporationのAscensia Breeze(登録商標)およびElite(登録商標)測定装置;Abbott(Abbott Park, Illinois)から入手可能なPrecision(登録商標)バイオセンサ;Roche(Indianapolis, Indiana)から入手可能なAccucheck(登録商標)バイオセンサ;そしてLifescan(Milpitas, California)から入手可能なOneTouch Ultra(登録商標)バイオセンサ;が含まれる。卓上型測定装置の例には、BAS Instruments(West Lafayette, Indiana)から入手可能なBAS 100B Analyzer;CH Instruments(Austin, Texas)から入手可能なCH Instruments’ Electrochemical Workstation;Cypress Systems(Lawrence, Kansas)から入手可能なCypress Electrochemical Workstation;そしてPrinceton Research Instruments(Princeton, New Jersey)から入手可能なEG&G Electrochemical Instrument;が含まれる。
【0004】
[004] バイオセンサは通常、電気的シグナルを測定して、生体液サンプル中の分析対象物濃度を決定する。分析対象物は典型的には、励起シグナルがサンプルに対して印加される場合に、酸化/還元またはレドックス反応を受ける。酵素または同様の種をサンプルに対して添加して、レドックス反応を亢進することができる。励起シグナルは通常、電気的シグナル(電流または電位など)である。レドックス反応は、励起シグナルに応答して、出力シグナルを生成する。出力シグナルは通常、電気的シグナル(電流または電位など)であり、それを測定することができ、そして生体液中の分析対象物濃度と相関させることができる。
【0005】
[005] 多数のバイオセンサは、測定装置およびセンサストリップを有する。生体液サンプルは、センサストリップ中のサンプルチャンバ中に導入される。センサストリップは、解析のための測定装置中に設置される。測定装置は通常、センサストリップ中の導電体に接続する電気接点を有する。導電体は典型的に、作用電極、カウンタ電極、および/またはその他の電極に接続し、それがサンプルチャンバ中にまで伸展する。測定装置は、電気接点を介してセンサストリップ中の導電体に励起シグナルを印加する。導電体は、電極を介して、サンプルチャンバ中に正確におかれたサンプル中に励起シグナルを運搬する。分析対象物のレドックス反応は、励起シグナルに応答して、出力シグナルを生成する。測定装置は、出力シグナルに応答して、分析対象物濃度を決定する。
【0006】
[006] センサストリップには、生体液サンプル中の分析対象物と反応する試薬が含まれていてもよい。試薬には、分析対象物の酸化還元を促進するためのイオン化剤、および分析対象物と伝導体とのあいだでの電子の輸送を補助するメディエータまたはその他の物質が含まれていてもよい。イオン化剤は、分析対象物特異的酵素(例えば、全血サンプル中のグルコースの酸化を触媒する、グルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼ)であってもよい。試薬には、酵素とメディエータとを一緒に保持する結合剤が含まれていてもよい。
【0007】
[007] バイオセンサには、不十分な容量のサンプルサイズと関連した解析を防止しまたは除外するための充填量不足検出システムが含まれてもよい。充填量不足のセンサストリップから得られる濃度値は不正確である可能性があるため、これらの不正確な解析を防止しまたは除外する能力により、得られる濃度値の正確性を上昇させることができる。いくつかの充填量不足検出システムは、センサストリップ内のサンプルチャンバの部分的な充填および/または完全な充填を検出する、1またはそれ以上の指示電極を有する。(1または複数の)指示電極は、サンプル中の分析対象物濃度を決定するために使用される作用電極、カウンタ電極、またはその他の電極とは別のものであってもよく、またはそれらの一部であってもよい。サンプルがサンプルチャンバ中に存在する場合、電気的シグナルは、通常は指示電極(1または複数のもの)を通過する。電気的シグナルを使用して、サンプルが存在するかどうか、そしてサンプルが部分的にまたは完全にサンプルチャンバを充填しているかどうか、を指示することができる。
【0008】
[008] いくつかのバイオセンサは、第三の電極または指示電極を有する。第三の電極は、サンプルが電極間に液体の接合部を形成するかどうかを検出するように、配置することができる。作動中、第三の電極とカウンタ電極とのあいだに印加する。サンプルが電極を接続する場合、電流が第三の電極とカウンタ電極とのあいだに流れる。バイオセンサは、電流を検出して、センサストリップが充填されているかどうかを決定する。第三の電極を伴う充填量不足検出システムを使用するバイオセンサは、US特許No. 5,582,697中に記載される。
【0009】
[009] その他のバイオセンサは、カウンタ電極の補助的構成要素(sub-element)を使用して、センサストリップが充填量不足であるかどうかを決定する。補助的構成要素は、センサストリップが充填量不足である場合に、補助的構成要素のみが作用電極と電気的に連通している作用電極から上流側に位置していてもよい。作動中、センサストリップが充填量不足である場合、補助的構成要素と作用電極とのあいだの電流の流れの不足が生じる。バイオセンサは、電流の流れの不足を検出し、センサストリップが充填量不足であることを示すエラーシグナルを提示する。カウンタ電極の補助的構成要素を伴う充填量不足検出システムを使用したバイオセンサは、US特許No. 6,531,040中に記載される。
【0010】
[0010] これらの充填量不足検出システムは様々な利点と欠点とを併せ持っているのに対して、理想的なものは存在しない。これらのシステムには通常、指示電極などの追加的な構成要素が含まれる。追加的な構成要素は、センサストリップの製造コストを押し上げる可能性がある。追加的な構成要素はまた、製造プロセスのばらつきによる追加的な非精密性および不正核性を取り込む可能性もある。
【0011】
[0011] さらに、これらのシステムは、指示電極を受け入れるためのより大きなサイズのチャンバーを必要とする可能性がある。より大型のサンプルチャンバーは、分析対象物の精密でかつ正確な解析のために必要とされるサンプルサイズを、増大させる可能性がある。
【0012】
[0012] さらに、これらのシステムは、サンプルチャンバの一様ではなくまたはゆっくりとした充填により、影響を受ける可能性がある。不均等またはゆっくりとした充填により、これらのシステムが、サンプルサイズが十分に大きな場合にセンサストリップが充填量不足であることを示すようにすることができる。不均等またはゆっくりとした充填によっても、これらのシステムが、サンプルサイズが十分に大きくない場合にセンサストリップが充填されていることを示すようにすることもできる。
【0013】
[0013] これらのシステムはまた、センサストリップが充填量不足であり、より多くの生体液を追加するためにはまだ早いことを検出することもできない。遅延は、センサストリップを新規のセンサストリップおよび新規の生体液サンプルと交換することを必要とする場合もある。
【0014】
[0014] 従って、改良型バイオセンサ、特に充填量不足であるセンサストリップのますます精密なおよび/または正確な検出をもたらすことができる改良型バイオセンサを求める、継続的な需要が存在する。本発明のシステム、装置、およびは、従来型のバイオセンサに関連する少なくとも一つの欠点を克服する。
【0015】
発明の概要
[0015] 充填量不足検出システムを伴うバイオセンサは、生体液サンプルが1またはそれ以上の分析対象物の解析のために十分に大きいものであるかどうかを決定する。充填量不足検出システムは、試験励起シグナルに応答した、サンプル由来の試験出力シグナルを測定する。充填量不足検出システムは、試験励起シグナルを1またはそれ以上の異なる振幅へと切り替える。1またはそれ以上の異なる振幅への遷移は、充填量不足条件に応答した、サンプル由来の試験出力シグナルを変化させる。
【0016】
[0016] バイオセンサ中の充填量不足条件を検出するための方法において、試験励起シグナルを生体液サンプルに印加する。試験励起シグナルは、1またはそれ以上の異なる振幅へと切り替えられる。サンプル由来の試験出力シグナルを測定する。試験出力シグナルを、1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較する。
【0017】
[0017] バイオセンサ中の充填量不足条件を検出するための別の方法において、ポーリング励起シグナルを生体液サンプルに対して印加する。サンプル由来のポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同じかまたはそれ以上である場合、試験励起シグナルをサンプルに対して印加する。試験励起シグナルは、1またはそれ以上の異なる振幅へと切り替えられる。サンプル由来の試験出力シグナルを測定する。試験出力シグナルを、1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較する。エラーシグナルを生成する。
【0018】
[0018] 生体液中の分析対象物濃度を決定するためのバイオセンサは、センサストリップおよび測定装置を有していてもよい。センサストリップは、基板上にサンプルインターフェースを有していてもよい。サンプルインターフェースは、基板により形成されるリザーバに隣接する。測定装置は、センサインターフェースに接続されたプロセッサを有していてもよい。センサインターフェースは、サンプルインターフェースと電気的に連通されていてもよい。プロセッサは、試験励起シグナルをサンプルインターフェースに対して印加する。プロセッサは、試験励起シグナルを1またはそれ以上の異なる振幅へと切り替える。プロセッサは、サンプルインターフェース由来の試験出力シグナルを測定する。プロセッサは、試験出力シグナルを1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較する。
【0019】
[0019] バイオセンサ中の充填量不足条件を検出するための方法には、試験励起シグナルを生体液サンプルに対して印加すること、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えること、サンプル由来の試験出力シグナルを測定すること、そして試験出力シグナルを少なくとも一つの充填量不足閾値と比較すること、が含まれる。試験励起シグナルは、電気化学的センサシステム中のアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。試験励起シグナルは、約0.1秒〜約3秒の範囲の試験パルス幅を有してもよく、そして約0.2秒〜約6秒の範囲の試験パルス間隔を有してもよい。この方法は、約180秒未満の試験期間のあいだ、試験励起シグナルを印加してもよい。試験期間は、約1秒〜約100秒の範囲であってもよい。この方法には、約2〜約50の範囲の試験パルス間隔を有する試験期間のあいだ、試験励起シグナルを印加することが含まれていてもよい。
【0020】
[0020] 検出方法には、試験励起シグナルを、原則的に試験励起シグナルの開始時に少なくとも一つの異なる振幅へ、試験パルスのあいだには少なくとも一つの異なる振幅へ、および/またはある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだには少なくとも一つの異なる振幅へ、と切り替えることが含まれてもよい。この方法には、試験パルスのあいだに試験励起シグナルを第1の異なる振幅へと切り替えること、そしてある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルを第2の異なる振幅へと切り替えることが含まれていてもよい。この方法には、原則的に試験励起シグナルの開始時に振幅を減少させること、ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルの振幅を減少させること、および/または振幅試験励起シグナルを複数回減少させること、が含まれていてもよい。
【0021】
[0021] 検出方法には、充填量不足条件に応答して試験出力シグナルの減少を生成すること、および/または充填量不足条件に応答してエラーシグナルを生成することが含まれてもよい。この方法は、エラーシグナルに応答して生体液をサンプルへ追加すること、および/または解析を停止することを要求してもよい。
【0022】
[0022] 検出方法には、生体液サンプルが解析のために利用可能である場合を検出することを含んでもよく、そしてポーリング励起シグナルをサンプルに対して印加してもよい。試験励起シグナルは、ポーリング励起シグナルとは異なる振幅へと切り替えてもよい。ポーリング出力シグナルは、ポーリング励起シグナルに応答して生成されてもよく、そして試験励起シグナルは、ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同じかまたはそれ以上である場合に、サンプルに対して印加されてもよい。
【0023】
[0023] この方法の少なくとも一つの異なる振幅は、元の振幅よりも低くてもよい。元の振幅および異なる振幅は、電気化学的センサシステムにおける出力シグナルプラトーから選択することができる。出力シグナルプラトーには、平均出力シグナルの±5%以内の出力シグナルを生成する励起振幅が含まれていてもよい。
【0024】
[0024] バイオセンサ中の充填量不足条件を検出するための方法には、ポーリング励起シグナルを生体液サンプルに対して印加し、サンプル由来のポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同じかまたはそれ以上である場合に試験励起シグナルをサンプルに対して印加し、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替え、サンプル由来の試験出力シグナルを測定し、試験出力シグナルを少なくとも一つの充填量不足閾値と比較し、そしてエラーシグナルを生成することが含まれる。ポーリング励起シグナルは、約300 ms未満のポーリングパルス幅、そして約1秒未満のポーリングパルス間隔を有していてもよい。ポーリング励起シグナルは、約0.5 ms〜約75 msの範囲のポーリングパルス幅を有していてもよく、そして約5 ms〜約300 msの範囲のポーリングパルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約5秒未満の試験パルス幅および約15秒未満の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約0.1秒〜約3秒の範囲の試験パルス幅を有していてもよく、そして約0.2秒〜約6秒の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。ポーリング励起シグナルは、約400 mVの振幅を有する少なくとも一つのポーリングパルスを有していてもよく、そして試験励起シグナルは、約200 mVの振幅を有する少なくとも一つの試験パルスを有していてもよい。
【0025】
[0025] 少なくとも一つの異なる振幅は、元の振幅よりも低くてもよく、そして元の振幅は、ポーリング励起シグナルの振幅であってもよい。元の振幅および異なる振幅は、電気化学的センサシステムにおける出力シグナルプラトーから選択されてもよい。出力シグナルプラトーには、平均出力シグナルの±5%以内の出力シグナルを生成する励起振幅が含まれていてもよい。
【0026】
[0026] この方法にはまた、約180秒未満のポーリング期間のあいだにポーリング励起シグナルを印加すること、そして約180秒未満の試験期間のあいだに試験励起シグナルを印加することが含まれていてもよい。この方法には、ポーリング期間のあいだに、約0.1秒〜約10秒の範囲のポーリング励起シグナルを印加し、そして試験期間のあいだに約1秒〜約100秒の範囲の試験励起シグナルを印加することが含まれていてもよい。
【0027】
[0027] この方法にはまた、原則的に試験励起シグナルの開始時に試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えること、試験パルスのあいだに試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えること、および/またはある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えること、が含まれていてもよい。この方法にはまた、試験パルスのあいだに試験励起シグナルを第1の異なる振幅へと切り替えること、そしてある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルを第2の異なる振幅へと切り替えること、が含まれていてもよい。
【0028】
[0028] この方法にはまた、原則的に試験励起シグナルの開始時に振幅を減少させること、ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルの振幅を減少させること、および/または振幅試験励起シグナルを複数回減少させること、が含まれていてもよい。この方法にはまた、充填量不足条件に応答して試験出力シグナルの減少を生成すること、充填量不足条件に応答して試験出力シグナルを減少させること、および/または充填量不足条件に応答して陰性試験出力シグナルを生成すること、が含まれていてもよい。
【0029】
[0029] 試験出力シグナルは、試験出力シグナルが第1の充填量不足閾値と同じであるかまたはそれ未満である場合に、充填量不足条件を示してもよく、そして試験出力シグナルが、試験出力シグナルの変化が第2の充填量不足閾値と同じであるかまたはそれ以上である場合に、充填量不足条件を示してもよい。この方法にはまた、エラーシグナルに応答してサンプルへの生体液の追加を要求すること、および/またはエラーシグナルに応答してサンプル中の分析対象物の解析を停止すること、が含まれていてもよい。試験励起シグナルは、電気化学的センサシステムにおけるアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。
【0030】
[0030] 生体液中の分析対象物濃度を決定するためのバイオセンサには、基板上にサンプルインターフェースを有するセンサストリップ(この場合、サンプルインターフェースが基板により形成されるリザーバに隣接する)、センサインターフェースに連通しているプロセッサを有する測定装置(この場合、センサインターフェースはサンプルインターフェースと電気的に連通しており、そしてプロセッサは試験励起シグナルをサンプルインターフェースへと印加し、プロセッサは試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替え、プロセッサはサンプルインターフェース由来の試験出力シグナルを測定し、そしてプロセッサは試験出力シグナルを少なくとも一つの充填量不足閾値と比較する)が含まれる。プロセッサは、ポーリング励起シグナルをサンプルに対して印加することができる。プロセッサは、ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同じかまたはそれ以上である場合に、ポーリング励起シグナルから試験励起シグナルへと切り替えることができる。プロセッサは、180秒未満のポーリング期間のあいだに、ポーリング励起シグナルを印加することができ、そして180秒未満の試験期間のあいだ試験励起シグナルを印加することができる。
【0031】
[0031] ポーリング励起シグナルは、約0.5 ms〜約75 msの範囲のポーリングパルス幅を有していてもよく、そしてポーリング励起シグナルは、約5 ms〜約300 msの範囲のポーリングパルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約5秒未満の試験パルス幅および約15秒未満の試験パルス間隔を有していてもよい。少なくとも一つの異なる振幅は、元の振幅よりも低くてもよい。元の振幅は、ポーリング励起シグナルの振幅であってもよい。元の振幅および異なる振幅は、電気化学的センサシステム中の出力シグナルプラトーから選択することができ、そして出力シグナルプラトーには、平均出力シグナルの±5%以内の出力シグナルを生成する励起振幅が含まれていてもよい。
【0032】
[0032] バイオセンサのプロセッサは、原則的に試験励起シグナルの開始時に、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えることができる。プロセッサは、試験パルスのあいだに試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えることができ、および/またはある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えることができる。プロセッサは、試験パルスのあいだに試験励起シグナルを第1の異なる振幅へと切り替えることができ、そしてある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに試験励起シグナルを第2の異なる振幅へと切り替えることができる。プロセッサは、試験励起シグナルにおける少なくとも一つの試験パルスの振幅を、ポーリング励起シグナルにおけるポーリングパルスの振幅以下に低減することができる。試験励起シグナルは、電気化学的センサシステムにおけるアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。
【0033】
[0033] このバイオセンサには、プロセッサに接続されたディスプレイが含まれていてもよく、プロセッサは充填量不足条件に応答してディスプレイ上にエラーシグナルを示す。エラーシグナルは、エラーシグナルに応答して、ユーザーに対して生体液をサンプルに追加するように要求することができおよび/またはプロセッサは、エラーシグナルに応答して、サンプル中の分析対象物の解析を停止させることができる。サンプルインターフェースは、カウンタ電極と作用電極とを有していてもよく、カウンタ電極は補助的構成要素を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
[0034] 本発明を、以下の図面および記載を参照して、よりよく理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも等縮尺という訳ではなく、代わりに本発明の原理を説明する際に強調されている場合がある。さらに、図面中において、異なる図面を通じて対応する部分を示す番号は同様な意味を有している。
【図1】[0035] 図1は、バイオセンサにおける充填量不足条件を検出するための方法を示す。
【図2】[0036] 図2は、フェリシアン化物/フェロシアン化物酸化還元対についてのサイクリックボルタモグラムの半-積分を示すグラフである。
【図3】[0037] 図3は、試験励起シグナルの開始時における振幅減衰を示すグラフである。
【図4】[0038] 図4は、第一の試験パルスの開始時の第一の振幅減衰および試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の第二の振幅減衰を示すグラフである。
【図5】[0039] 図5は、試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の振幅減衰を示すグラフである。
【図6】[0040] 図6は、試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の別の振幅減衰を示すグラフである。
【図7】[0041] 図7は、第一の試験パルス中の第一の振幅減衰、および試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の第二の振幅減衰を示すグラフである。
【図8】[0042] 図8は、ポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルに関連した試験出力シグナルを示すグラフである。
【図9】[0043] 図9は、振幅が試験励起シグナルの開始時に減衰される場合の、ある条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。
【図10】[0044] 図10は、第一の振幅減衰が第一の試験パルスの開始時に生じ、そして第二の振幅減衰が試験励起シグナル第一の試験パルスと第二の試験パルスとの間に生じる場合の、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。
【図11】[0045] 図11は、試験パルスの振幅が第一のパルスと第二のパルスとの間に減衰する場合の、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。
【図12】[0046] 図12は、試験パルスの振幅が、第一のパルスおよび第二のパルスの間に減衰する場合の、充填量不足である条件および充填された条件の他の試験出力シグナルを示すグラフである。
【図13】[0047] 図13は、サンプル容量に関連した分析対象物解析の%バイアスを示すグラフである。
【図14】[0048] 図14は、図11の分析対象物解析についてのサンプル容量に関連した異なる種類の試験出力シグナルの%集団を示すグラフである。
【図15】[0049] 図15は、充填量不足検出システムを伴うバイオセンサの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
[0050] 本発明は、バイオセンサ用の充填量不足検出システムを提供する。充填量不足検出システムは、1またはそれ以上の分析対象物の解析のために生体液サンプルが十分な量であるかどうかを決定する際に、バイオセンサの精密性および正確性を改善する。充填量不足検出システムは、バイオセンサ中に蓄積されるサンプルに対して試験励起シグナルを印加する。試験励起シグナルは、1またはそれ以上の異なる振幅に切り替えられる。サンプルは、試験励起シグナルに応答して、試験出力シグナルを生成する。試験励起シグナルの異なる振幅への遷移は、サンプルが精密なおよび/または正確な解析のために十分な量でない場合に、試験出力シグナルを変化させる。充填量不足検出システムは、試験出力シグナルを測定し、そして1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較して、充填量不足条件が存在するかどうかを決定する。バイオセンサを使用して、生体液(全血液、尿、唾液、など)における1またはそれ以上の分析対象物(グルコース、尿酸、ラクテート、コレステロール、ビリルビン、など)の濃度を決定することができる。
【0036】
[0051] 図1は、バイオセンサにおける充填量不足条件を検出するための方法を示す。102において、バイオセンサは、生体液サンプルが解析のために利用可能である場合を検出する。104において、バイオセンサは、試験励起シグナルをサンプルに対して印加する。106において、バイオセンサは、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅に切り替える。108において、バイオセンサは、試験励起シグナルに応答して、サンプルにより生成される試験出力シグナルを測定する。110において、バイオセンサは、試験出力シグナルを、1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較する。112において、試験出力シグナルがサンプルサイズが十分な量ではない場合を示す場合に、バイオセンサは、充填量不足条件に応答して、エラーシグナルまたはその他の指標を生成する。
【0037】
[0052] 図1の102において、バイオセンサは、生体液サンプルが解析のために利用可能である場合を検出する。センサストリップを測定装置中に設置する場合に、バイオセンサは意味を持つことができる。測定装置中の電気接点がセンサストリップ中の導電体と接触する場合に、バイオセンサは意味を持つことができる(機構的に、電気的に、など)。バイオセンサは、ポーリング励起シグナルまたはその他のセンシングシグナルを作用電極、カウンタ電極、および/またはその他の電極に対して印加して、サンプルが電極と接続される場合を検出することができる。バイオセンサは、他の方法および装置を使用して、サンプルが解析のために利用可能である場合を検出することができる。
【0038】
[0053] ポーリング励起シグナルは、パルスを発生し、またはセット頻度またはセット間隔でのオンとオフを行う、電気的シグナル(例えば、電流または電圧)である。サンプルは、ポーリング励起シグナルに応答して、ポーリング出力シグナルを生成する。ポーリング出力シグナルは、電気的シグナル(例えば、電流または電圧)である。バイオセンサは、ディスプレイ上にポーリング出力シグナルを示すことができおよび/または記憶装置において試験出力シグナルを保存することができる。
【0039】
[0054] ポーリング励起シグナルは、ポーリング弛緩により分離された一連のポーリングパルスである。ポーリングパルスのあいだ、電気的シグナルはオンである。ポーリング弛緩のあいだ、電気的シグナルはオフである。オンには、電気的シグナルが存在する期間が含まれてもよい。オフには、電気的シグナルが存在しない期間が含まれてもよい。オフには、電気的シグナルは存在するがしかしながら振幅が本質的に存在しない場合は含まれなくてもよい。電気的シグナルは、オンとオフの間を電気回路をそれぞれ閉鎖しそして開放することにより、切り替えることができる。電気回路は、機構的に、電気的に、などにより開放しそして閉鎖することができる。
【0040】
[0055] ポーリング励起シグナルは、1またはそれ以上のポーリングパルス間隔を有していてもよい。ポーリングパルス間隔は、ポーリングパルスとポーリング弛緩との合計である。それぞれのポーリングパルスは、振幅およびポーリングパルス幅を有する。振幅は、電気的シグナルの電圧、電流などの強度を示す。振幅は、ポーリングパルスのあいだに、変化してもよく、または一定であってもよい。ポーリングパルス幅は、ポーリングパルスの期間である。ポーリング励起シグナルにおけるポーリングパルス幅は、変化してもよく、または本質的に同一であってもよい。それぞれのポーリング弛緩は、ポーリング弛緩幅を有し、それはポーリング弛緩の期間である。ポーリング励起シグナルにおけるポーリング弛緩幅は、変化してもよく、または同一であってもよい。
【0041】
[0056] ポーリング励起シグナルは、約300ミリ秒(ms)未満のポーリングパルス幅および約1秒未満のポーリングパルス間隔を有することができる。ポーリング励起シグナルは、約100 ms未満のポーリングパルス幅および約500 ms未満のポーリングパルス間隔を有することができる。ポーリング励起シグナルは、約0.5 ms〜約75 msの範囲のポーリングパルス幅および約5 ms〜約300 msの範囲のポーリングパルス間隔を有することができる。ポーリング励起シグナルは、約1 ms〜約50 msの範囲のポーリングパルス幅および約10 ms〜約250 msの範囲のポーリングパルス間隔を有することができる。ポーリング励起シグナルは、約5 msのポーリングパルス幅および約125 msのポーリングパルス間隔を有することができる。ポーリング励起シグナルは、その他のパルス幅およびパルス間隔を有することができる。
【0042】
[0057] バイオセンサは、ポーリング期間のあいだに、ポーリング励起シグナルをサンプルに対して印加することができる。ポーリング期間は、約15分未満、5分未満、2分未満、または1分未満であってもよい。ポーリング期間は、ユーザーがどのようにしてバイオセンサを使用するかに依存して、より長くてもよい。ポーリング期間は、約0.5秒(sec)〜約15分の範囲のものであってもよい。ポーリング期間は、約5秒〜約5分の範囲のものであってもよい。ポーリング期間は、約10秒〜約2分の範囲のものであってもよい。ポーリング期間は、約20秒〜約60秒の範囲のものであってもよい。ポーリング期間は、約30〜約40秒の範囲のものであってもよい。ポーリング期間は、約200、100、50、または25パルス間隔未満を有していてもよい。ポーリング期間は、約2〜約150パルス間隔を有していてもよい。ポーリング期間は、約5〜約50パルス間隔を有していてもよい。ポーリング期間は、約5〜約15パルス間隔を有していてもよい。ポーリング期間は、約10パルス間隔を有していてもよい。その他のポーリング期間を使用してもよい。
【0043】
[0058] 図1の104において、バイオセンサは、試験励起シグナルをサンプルに対して印加する。バイオセンサは、ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同等かまたはそれ以上である場合に、試験励起シグナルを印加する。ポーリング閾値は、第一のパルスの開始時に、予測試験励起シグナルの約5パーセント(%)よりも大きくてもよい。ポーリング閾値は、第一のパルスの開始時に、予測試験励起シグナルの約15%より大きくてもよい。ポーリング閾値は、第一のパルスの開始時に、予測試験励起シグナルの約5パーセント(%)〜約50%の範囲であってもよい。その他のポーリング閾値を使用することができる。バイオセンサは、ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同等であるかまたはそれよりも大きいことをディスプレイ上に示すことができる。
【0044】
[0059] 試験励起シグナルは、パルスを与えるか、またはセット頻度または間隔でオンおよびオフを行う、電気的シグナル(電流または電位など)である。サンプルは、試験励起シグナルに応答して、試験出力シグナルを生成する。試験出力シグナルは、電気的シグナル(電流または電位など)である。
【0045】
[0060] 試験励起シグナルは、試験弛緩(test relaxations)によって分離される一連の試験パルスである。試験パルスのあいだ、電気的シグナルはオンである。試験弛緩(test relaxation)のあいだ、電気的シグナルはオフである。オンには、電気的シグナルが存在する場合の時間期間が含まれる。オフには、電気的シグナルが存在しない時間期間が含まれ、そして電気的シグナルが存在するが本質的に振幅を有さない時間期間は含まれない。電気的シグナルは、電気回路をそれぞれ閉鎖しそして開放することにより、オンとオフの間を切り替える。電気回路は、機械的、電気的などにより開放されそして閉鎖されてもよい。
【0046】
[0061] 試験励起シグナルは、1またはそれ以上の試験パルス間隔を有していてもよい。試験パルス間隔は、試験パルスと試験弛緩(test relaxation)の合計である。各試験パルスは、振幅および試験パルス幅を有する。振幅は、電気的シグナルの電位、電流などの強度を示す。振幅は、試験パルスのあいだに、変化してもよく、または一定であってもよい。試験パルス幅は、試験パルスの時間期間である。試験励起シグナルにおける試験パルス幅は、変化してもよく、または本質的に同一であってもよい。各試験弛緩(test relaxation)は、試験弛緩(test relaxation)幅を有しており、それは試験弛緩(test relaxation)の時間期間である。試験励起シグナルにおける試験弛緩(test relaxation)幅は、変化してもよく、または本質的に同一であってもよい。
【0047】
[0062] 試験励起シグナルは、約5秒未満の試験パルス幅および約15秒未満の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約3秒未満、2秒未満、1.5秒未満、または1秒未満の試験パルス幅および約13秒未満、7秒未満、4秒未満、3秒未満、2.5秒未満、または1.5秒未満の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約0.1秒〜約3秒の範囲の試験パルス幅および約0.2秒〜約6秒の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約0.1秒〜約2秒の範囲の試験パルス幅および約0.2秒〜約4秒の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約0.1秒〜約1.5秒の範囲の試験パルス幅および約0.2秒〜約3.5秒の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約0.4秒〜約1.2秒の範囲の試験パルス幅および約0.6秒〜約3.7秒の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約0.5秒〜約1.5秒の範囲の試験パルス幅および約0.75秒〜約2.0秒の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、約1秒の試験パルス幅および約1.5秒の試験パルス間隔を有していてもよい。試験励起シグナルは、その他のパルス幅およびパルス間隔を有していてもよい。
【0048】
[0063] バイオセンサは、試験期間のあいだに、試験励起シグナルをサンプルに対して印加する。試験期間は、ポーリング期間と同一の期間またはポーリング期間とは異なる期間を有していてもよい。試験励起シグナルは、電気化学的センサシステムにおいて使用されるアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。試験励起シグナルおよびアッセイ励起シグナルは、本質的に同一のシグナルであってもよい。試験励起シグナルの試験期間は、アッセイ励起シグナルと同一の期間またはアッセイ励起シグナルとは異なる期間を有していてもよい。
【0049】
[0064] 試験励起シグナルの試験期間は、約180、120、90、60、30、15、10、または5秒未満であってもよい。試験期間は、約1秒〜約100秒の範囲であってもよい。試験期間は、約1秒〜約25秒の範囲であってもよい。試験期間は、約1秒〜約10秒の範囲であってもよい。試験期間は、約2秒〜約3秒の範囲であってもよい。試験期間は約2.5秒であってもよい。試験期間は、約50、25、20、15、10、8、6、または4未満の試験パルス間隔を有していてもよい。試験期間は、約2〜約50の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験期間は、約2〜約25の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験期間は、約2〜約15の範囲の試験パルス間隔を有していてもよい。試験期間は、約10の試験パルス間隔を有していてもよい。その他の試験期間を使用することができる。
【0050】
[0065] 図1の106において、バイオセンサは、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替える。異なる振幅へと切り替える場合、バイオセンサは、ポーリング励起シグナルの振幅とは異なる振幅を有する試験励起シグナルを印加することができる。異なる振幅へと切り替える場合、バイオセンサは、異なる振幅を有する1またはそれ以上の試験パルスを有する試験励起シグナルを印加することができる。異なる振幅へと切り替える場合、バイオセンサは、振幅が異なる振幅のあいだで変化するかまたは移動する1またはそれ以上の試験パルスを有する試験励起シグナルを印加することができる。バイオセンサは、本質的にバイオセンサがポーリング励起シグナルから試験励起シグナルへと切り替える場合に、試験励起シグナルの振幅を切り替えることができる。バイオセンサは、原則的に試験励起シグナルの開始時に、試験励起シグナルの振幅を切り替えることができる。バイオセンサは、試験パルスのあいだに、またはある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、試験励起シグナルを異なる振幅へと切り替えることができる。試験パルスのあいだに、試験パルスの開始、試験パルスの終了、および試験パルスの開始から終了までのあいだのいずれかの部分が含まれる。試験パルスのあいだに、試験パルスの開始から試験パルスの終了までのいずれかの位置または時間が含まれる。ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、ある試験パルスの終了から別の試験パルスの開始までのいずれかの位置または時間が含まれる。ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、試験弛緩(test relaxation)の一部であるかまたはそれに含まれるいずれかの位置または時間が含まれる。バイオセンサは、試験励起シグナルの振幅を複数回切り替えることができる。バイオセンサは、試験出力シグナルを第1の異なる振幅へと切り替えることができ、そしてその後、第2の異なる振幅へと切り替えることができる。試験励起シグナルの振幅におけるその他の切り替えが生じてもよい。
【0051】
[0066] 異なる振幅は、元の振幅と本質的に同一ではない、どのような振幅であってもよい。異なる振幅は、元の振幅よりも高くてもよく、または低くてもよい。異なる振幅は、切り替えを行った後の試験励起シグナルの振幅である。元の振幅は、切り替えを行う前の振幅である。元の振幅は、ポーリング励起シグナルの振幅、試験励起シグナルにおける第一の試験パルスまたは別の試験パルスなどであってもよい。その他の元の振幅および異なる振幅を使用することができる。
【0052】
[0067] より高い振幅は、元の振幅よりも約400%まで高いものであってもよい。より高い振幅は、元の振幅よりも約2%〜約200%高い範囲であってもよい。より高い振幅は、元の振幅よりも約5%〜約100%高い範囲であってもよい。より高い振幅は、元の振幅よりも約25%〜約75%高い範囲であってもよい。より高い振幅は、元の振幅よりも約50%高いものであってもよい。その他のより高い振幅を使用することができる。
【0053】
[0068] より低い振幅は、元の振幅よりも約2%〜約98%低いものであってもよい。より低い振幅は、元の振幅よりも約5%〜約95%低い範囲であってもよい。より低い振幅は、元の振幅よりも約10%〜約90%低い範囲であってもよい。より低い振幅は、元の振幅よりも約20%〜約80%低い範囲であってもよい。より低い振幅は、元の振幅よりも約25%〜約65%低い範囲であってもよい。より低い振幅は、元の振幅よりも約50%低いものであってもよい。その他のより低い振幅を使用することができる。
【0054】
[0069] 異なる振幅へのそれぞれの切り替えは、充填量不足条件に応答して、試験出力シグナルの変化を精製することができる。試験出力シグナルの変化には、充填量不足条件が存在しない場合、試験出力シグナルよりも強いかまたは弱い試験出力シグナル、または試験出力シグナルよりも強くなるかまたは弱くなる試験出力シグナルが含まれていてもよい。試験出力シグナルの変化は、本質的に同時におよび/または異なる振幅への切り替えが生じた後に、生じてもよい。試験出力シグナルの変化は測定可能なものであってもよく、そして約1秒よりも長く持続することができる。試験励起シグナルの振幅が複数回変化する場合、異なる振幅からの各遷移または異なる振幅への各遷移が、試験出力シグナルのさらなる変化を生じる可能性がある。
【0055】
[0070] 試験出力シグナルの変化は、より強い試験出力シグナルまたはより弱い試験出力シグナルへの移動であってもよい。移動は、本質的には、瞬間的なもの、逐次的なもの、それらの組合せなどであってもよい。より強い試験出力シグナルは、より弱い試験出力シグナルよりも大きなまたはより高い強度を有する。例えば、2000ナノアンペア(nA)の試験出力シグナルは、1200 nAの試験出力シグナルよりも強いまたは大きい。例えば、-1100 nAの試験出力シグナルは、1000 nAの試験出力シグナルよりも弱いまたは低い。その他の試験出力シグナルを使用することができる。
【0056】
[0071] より低い振幅への切り替えは、充填量不足条件に応答して、試験出力シグナルの減少を生じる可能性がある。試験出力シグナルの減少は、本質的に、試験出力シグナルの開始時(例えば、試験励起シグナルが開始する時、またはポーリング励起シグナルが試験励起シグナルへと切り替える時)に生じる可能性がある。試験出力シグナルの減少は、試験励起シグナルの異なる振幅への切り替えの後に、試験出力シグナルがより弱くまたはより小さくなる時に、生じる可能性がある。より低い振幅への切り替えは、陰性試験出力シグナルまたは陰性になる試験出力シグナルを生成する可能性がある。
【0057】
[0072] より高い振幅への切り替えは、充填量不足条件に応答して、試験出力シグナルの増加を生じる可能性がある。試験出力シグナルの増加は、本質的に、試験出力シグナルの開始時(例えば、試験励起シグナルが開始する時、またはポーリング励起シグナルが試験励起シグナルへと切り替える時)に生じる可能性がある。試験出力シグナルの増加は、試験励起シグナルの異なる振幅への切り替えの後に、試験出力シグナルがより強くまたはより大きくなる時に、生じる可能性がある。
【0058】
[0073] 元の振幅および異なる振幅は、充填量不足条件が存在する場合に、試験出力シグナルのより測定可能なまたはより混じりけのない変化を提供するように選択することができる。元の振幅および異なる振幅を、サンプルの解析のあいだの他の条件とはより独立した試験出力シグナルの変化を提供するように選択することができる。元の振幅および異なる振幅を選択してもよく、それにより振幅遷移が生じる場合に、サンプル中の分析対象物のレドックス反応の変化がほとんどないかまたは何もない。さらに、充填量不足条件が存在する場合に、試験出力シグナルの減少を増加させるかまたは減少させるように、元の振幅と異なる振幅との相違を選択することができる。
【0059】
[0074] 元の振幅および異なる振幅を、電気化学的センサシステム中のメディエータの出力シグナルプラトー内部の励起振幅から選択することができる。出力シグナルプラトー中での1つの励起振幅から別の励起振幅への切り替えは、サンプル中の分析対象物のレドックス反応の変化をほとんどまたは何も生成することができない。出力シグナルプラトーには、電気化学的センサシステムが本質的に同一または一定の出力シグナルを生成する励起振幅が含まれてもよい。出力シグナルプラトーには、電気化学的センサシステムが平均出力シグナルの1%以内の出力シグナル、またはその出力シグナルプラトーのための選択された出力シグナルを生成する励起振幅が含まれてもよい。出力シグナルプラトーには、電気化学的センサシステムが平均出力シグナルの±5%以内の出力シグナル、またはその出力シグナルプラトーのための選択された出力シグナルを生成する励起振幅が含まれてもよい。出力シグナルプラトーには、電気化学的センサシステムが平均出力シグナルの±10%以内の出力シグナル、またはその出力シグナルプラトーのための選択された出力シグナルを生成する励起振幅が含まれてもよい。その他の出力シグナルプラトーを使用することができる。
【0060】
[0075] 図2は、カウンタ電極での、同一のフェリシアン化物/フェロシアン化物レドックス対と比較した、フェリシアン化物/フェロシアン化物レドックス対についてのサイクリックボルタモグラムの半-積分を示すグラフである。半-積分は、ボルタンメトリーまたはゲート化ボルタンメトリー電気化学的センサシステムを使用する電気化学的センサシステム中での印加された電位の関数として、電流を示す。フェリシアン化物/フェロシアン化物レドックス対は、サンプル中の分析対象物の酸化および還元を支援するメディエータである。その他のレドックス対を使用することができる。
【0061】
[0076] 半-積分は、約0.18ボルト(V)〜約0.6 Vの範囲の電流プラトーを規定し、その場合、電流は、約27マイクロクーロン/秒の平方根(μCoul/秒1/2)で本質的に一定である。電流プラトーの内部において、ファラデー反応の変化--分析対象物とバイオセンサ中のメディエータおよび電極とのあいだの電子の輸送--はほとんどないかまたは何もない。充電電流は、電位の変化によって生成される。元の振幅および異なる振幅は、電流プラトー内部における電位から選択することができる。元の振幅についての約0.4 Vの振幅または電位(図2のA)を選択することができる。元の振幅は、ポーリング励起シグナルにおけるポーリングパルスの振幅または試験励起シグナルにおける試験パルスの振幅であってもよい。異なる振幅についての約0.2 Vの振幅または電位(図2のB)を選択することができる。異なる振幅は、試験パルスの振幅または試験励起シグナルにおける試験パルスの一部であってもよい。その他のもとの振幅および異なる振幅を、電流プラトーから選択することができる。
【0062】
[0077] 図1の104および106において、ポーリングシグナルおよび試験シグナルは、生体液サンプル中の1またはそれ以上の分析対象物濃度を決定するために使用される電気化学的センサシステムまたは光学的センサシステムの一部であってもよく、またはそのシステムに追加されるものであってもよい。電気化学的センサシステムまたは光学的センサシステムにおいて、サンプル中の分析対象物の酸化/還元反応またはレドックス反応は、アッセイ出力シグナルを生成する。酵素または同様の種をサンプルに対して添加して、レドックス反応を亢進することができる。アッセイ出力シグナルを測定し、そしてサンプル中の分析対象物濃度と相関させる。
【0063】
[0078] 光学的センサシステムは、分析対象物レドックス反応による化学指示薬の反応によって吸収される光量または生成される光量を一般的には測定する。酵素を、化学指示薬とともに含ませて、反応速度を高めることができる。光学的システム由来のアッセイ出力シグナルまたは光を、電流または電位などの電気的シグナルに変換することができる。
【0064】
[0079] 光吸収性光学システムにおいて、化学指示薬は、光を吸収する反応生成物を生成する。光源からの入射励起ビームは、サンプルに対して向かう。入射ビームは、サンプルから反射して戻って、またはサンプルを透過して、検出器へと向かうことができる。検出器は、減弱された入射ビーム(アッセイ出力シグナル)を回収しそして測定する。反応生成物により減弱された光量は、サンプル中の分析対象物濃度の指標である。
【0065】
[0080] 光生成性光学システムにおいて、化学的検出器が、分析対象物レドックス反応に応答して、蛍光を発するかまたは光を放射する。検出器は、生成される光(アッセイ出力シグナル)を回収しそして測定する。化学指示薬により生成される光量は、サンプル中の分析対象物濃度の指標である。
【0066】
[0081] 電気化学的センサシステムは、アッセイ励起シグナルを生体液サンプルに対して印加する。アッセイ励起シグナルは電位であってもまたは電流であってもよく、そして一定であっても、可変であっても、またはそれらの組合せ(例えばACシグナルがDCシグナルオフセットと共に印加される場合など)であってもよい。アッセイ励起シグナルを、単一パルスとして印加することができ、または複数パルス、連続的、またはサイクル状で印加することができる。分析対象物は、アッセイ励起シグナルをサンプルに対して印加する場合に、レドックス反応を受ける。酵素または同様の種を使用して、分析対象物のレドックス反応を亢進することができる。メディエータを使用して、酵素の酸化状態を維持することができる。レドックス反応は、一過性の出力のあいだにおよび/または定常状態の出力のあいだに、定常的にまたは定期的に測定することができるアッセイ出力シグナルを生成する。電流測定(アンペロメトリー)、電量分析(クーロメトリー)、ボルタンメトリー、ゲート化電流測定、ゲート化ボルタンメトリーなどの、様々な電気化学的プロセスを使用することができる。
【0067】
[0082] 電流測定(アンペロメトリー)において、電位または電圧を生体液サンプルに対して印加する。分析対象物のレドックス反応は、電位に応答して、電流を生成する。電流は、定電位で一定の時間に測定され、サンプル中の分析対象物を定量する。電流測定は、一般的には、分析対象物が酸化されまたは還元される速度を測定して、サンプル中の分析対象物濃度を決定する。電流測定を使用するバイオセンサシステムは、U.S. Pat. Nos. 5,620,579;5,653,863;6,153,069;そして6,413,411中に記載される。
【0068】
[0083] 電量分析(クーロメトリー)において、電位を生体液サンプルに対して印加して、サンプル中の分析対象物を完全に酸化させまたは還元する。電位は、酸化/還元の時間に対して積分される電流を生成して、分析対象物濃度を示す電荷を生成する。電量分析(クーロメトリー)は、サンプル中の分析対象物の全量を一般的に捕捉する。全血グルコース測定のための電量分析を使用するバイオセンサシステムは、U.S. Pat. No. 6,120,676中に記載される。
【0069】
[0084] ボルタンメトリーにおいて、様々な電位を生体液サンプルに対して印加する。分析対象物のレドックス反応は、印加された電位に応答して、電流を生成する。電流は印加された電位の関数として測定され、サンプル中の分析対象物を定量する。ボルタンメトリーは一般的に、分析対象物が酸化されまたは還元される速度を測定して、サンプル中の分析対象物濃度を決定する。ボルタンメトリーについての追加的な情報は、A.J. BardとL.R. Faulknerによる1980年の文献“Electrochemical Methods: Fundamentals and Applications”中に見いだすことができる。
【0070】
[0085] ゲート化電流測定およびゲート化ボルタンメトリーにおいて、2005年7月20日に出願されたUS仮特許出願No. 60/700,787、および2005年9月30日に出願されたUS仮特許出願No. 60/722,584(これらの文献を参照により援用する)中にそれぞれ記載されるように、パルス状励起を使用することができる。
【0071】
[0086] 試験励起シグナルおよび出力シグナルは、電気化学的センサシステムのパルス状励起シグナルおよび出力シグナルにより取り込むことができる。試験励起シグナルは、ゲート化電流測定システムまたはゲート化ボルタンメトリーシステムにおいて、サンプルに対して印加されるアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。試験励起シグナルは、試験期間のあいだにサンプルに対して印加される、アッセイ励起シグナルの部分であってもよい。試験出力シグナルは、試験期間のあいだにサンプルにより生成される、アッセイ出力シグナルの一部であってもよい。試験励起シグナルおよび出力シグナルは、他の電気化学的センサシステムとともに組み込むことができる。
【0072】
[0087] 図3〜7は、充填量不足検出システム用のポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルを示すグラフである。ポーリング励起シグナルが示される間、充填量不足検出システムは、ポーリング励起シグナルなしで操作することができる。図3〜5において、ポーリング励起シグナルの最後のポーリングパルスと試験励起シグナルの第一の試験パルスとの間にポーリング弛緩幅はほとんどないかまたは全くない。図6〜7において、最後のポーリングパルスと第一の試験パルスとの間のポーリング弛緩幅は、ポーリング励起シグナルにおける別のポーリング弛緩幅と同一であっても異なるものであってもよい。
【0073】
[0088] 図3〜7において、ポーリング励起シグナルは、約400 mVの振幅を有する。試験励起シグナルは、約200 mVにまで低下される振幅を有する。ポーリング励起シグナルは、約5 msのポーリングパルス幅および約250 msのポーリングパルス間隔を有する。試験励起シグナルは、約1秒の試験パルス幅および約1.5秒の試験パルス間隔を有する。試験励起シグナルは、ゲート化電流測定(アンペロメトリー)、ゲート化ボルタンメトリーなどの電気化学的センサシステム用のアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。その他のポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルを使用することができる。
【0074】
[0089] 図3は、試験励起シグナルの開始時における振幅減衰を示すグラフである。ポーリング励起シグナルの最後のポーリングパルスと試験励起シグナルの第一の試験パルスとの間には、ポーリング弛緩幅がほとんどないかまたは全くない。バイオセンサがポーリング励起シグナルから試験励起シグナルへ切り替える場合、約400 mVから約200 mVへの遷移は約0秒で生じる。
【0075】
[0090] 図4は、第一の試験パルスの開始時における第一の振幅減衰と、試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の第二の振幅減衰とを示すグラフである。ポーリング励起シグナルの最後のポーリングパルスと試験励起シグナルの第一の試験パルスとの間には、ポーリング弛緩幅がほとんどないかまたは全くない。バイオセンサがポーリング励起シグナルから試験励起シグナルへ切り替える場合、約400 mVから約300 mVへの第一の遷移は約0秒で生じる。約300 mVから約200 mVへの第二の遷移は、第一のパルスと第二のパルスとの間に約1〜1.5秒で生じる。
【0076】
[0091] 図5は、試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の試験パルスの振幅減衰を示すグラフである。ポーリング励起シグナルの最後のポーリングパルスと試験励起シグナルの第一の試験パルスとの間には、ポーリング弛緩幅はほとんどないかまたは全くない。約400 mVから約200 mVへの遷移は、第一のパルスと第二のパルスとの間に約1〜1.5秒で生じる。
【0077】
[0092] 図6は、試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の試験パルスの別の振幅減衰を示すグラフである。最後のポーリングパルスと第一の試験パルスとの間のポーリング弛緩幅は、ポーリング励起シグナルにおける別のポーリング弛緩幅と同一であっても異なるものであってもよい。約400 mVから約200 mVへの遷移は、第一のパルスと第二のパルスとの間に約1〜1.5秒で生じる。
【0078】
[0093] 図7は、第一の試験パルス中の第一の振幅減衰および試験励起シグナルの第一のパルスと第二のパルスとの間の第二の振幅減衰を示すグラフである。最後のポーリングパルスと第一の試験パルスとの間のポーリング弛緩幅は、ポーリング励起シグナルにおける別のポーリング弛緩幅と同一であっても異なるものであってもよい。バイオセンサが第一のパルスにおいて約400 mVから約300 mVへと振幅を切り替える場合、第一の振幅減衰は約0.5秒で生じる。バイオセンサが第一のパルスと第二のパルスとの間で約300 mVから約200 mVへと振幅を切り替える場合、第二の振幅減衰は約1〜1.5秒で生じる。
【0079】
[0094] 図1の108において、バイオセンサはサンプルにより生成される試験出力シグナルを測定する。サンプルは、試験励起シグナルに応答して、試験出力シグナルを生成する。バイオセンサは、ディスプレイ上に試験出力シグナルを示すことができおよび/または記憶装置中に試験出力シグナルを保存することができる。
【0080】
[0095] 図8は、ポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルと関連した、試験出力シグナルを示すグラフである。生体液サンプルは、サンプルチャンバを本質的に充填する;言い換えると、充填量不足条件は存在しない。サンプルチャンバがサンプルにより本質的に充填される場合、酵素反応および電気化学的反応が生じ、そして予想されるように試験励起シグナルまたは電位に応答して、試験出力シグナルまたは電流が生成される。その他のポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルを使用することができる。最初は減衰する可能性のあるもの、そしてすべてのパルスにおいて減衰する可能性のあるもの、を含む、その他の試験出力シグナルを結果として生じさせることができる。
【0081】
[0096] ポーリング励起シグナルは、約50 msのポーリングパルス幅および約250 msのポーリングパルス間隔を有する約400 mVの振幅を有する。試験励起シグナルは、約200 mVの最終振幅にまで低下される400 mVの初期振幅を有する。試験励起シグナルは、約1秒の試験パルス幅および約1.5秒の試験パルス間隔を有する。試験励起シグナルの初期振幅は、第一のパルスと第二のパルスとの間の最終振幅にまで低下される。約400 mVから約200 mVへの遷移は、約1〜1.5秒に生じる。試験励起シグナルは、電気化学的センサシステム(ゲート化電流測定(アンペロメトリー)、ゲート化ボルタンメトリー、など)用のアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。
【0082】
[0097] サンプルは、印加された電位または試験励起シグナルに応答して、電流または試験出力シグナルを生成する。第一の試験パルスの印加された電位は約400 mVであり、そのことはポーリングパルスの印加された電位と本質的に同一である。第一の試験パルスの電流は、パルスの開始から終了まで増加する。より高い電位からより低い電位への遷移は、第一の試験パルスと第二の試験パルスとのあいだに生じる。第二の試験パルスおよびその後の試験パルスの印加された電位は、約200 mVである。第二の試験パルスおよびその後の試験パルスの電流は、試験パルスの開始時ににおいて、それ以前の試験パルスの最後の電流よりも高い。第二の試験パルスおよびその後の試験パルスの電流は、パルスの開始から終了まで、減少する。
【0083】
[0098] 図8において、試験出力シグナルおよびポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルは、作用電極、カウンタ電極、および誘導電極(カウンタ電極のサブユニットまたは補助的構成要素であってもよい)を有するバイオセンサ用のものであってもよい。バイオセンサは、全血中のグルコース濃度を測定することができる。追加の電極や異なる構造を有するものを含め、その他のバイオセンサを使用することができる。その他の生体液中のものを含め、その他の分析対象物濃度を測定することができる。
【0084】
[0099] 使用する際、センサストリップがバイオセンサのセンサポート中に挿入され、そして電源が入れられる。バイオセンサは、ポーリング励起シグナルまたはポーリング電位をセンサストリップの作用電極およびカウンタ電極に対して印加し、この場合パルスが約5〜10 msのパルス幅を有し、そして約125 msのパルス間隔を有するものである。バイオセンサは、サンプル(全血)のセンサストリップへの適用を待つ。バイオセンサは、ポーリング出力シグナルを測定する。バイオセンサは、ポーリング出力シグナルをアナログコンパレーターの入力へ提供するポテンシオスタットを有していてもよい。
【0085】
[00100] 誘導電極および作用電極を覆うために十分なサンプル(全血)が存在する場合、約400 mVのポーリング励起シグナルの下、電流の短時間バーストが存在していてもよい。出力シグナルがポーリング閾値と同等であるかまたはそれよりも高い場合、バイオセンサは試験励起シグナルまたは電位を作用電極およびカウンタ電極へと印加する。ポーリング閾値は約250 nAであってもよい。試験励起シグナルは、電気化学的センサシステム中のアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。試験励起シグナルおよびアッセイ励起シグナルは、本質的に同一のシグナルであってもよい。コンパレーターは、ポーリング出力シグナルをポーリング閾値と比較することができる。ポーリング出力シグナルがポーリング閾値を超える場合、コンパレーターの出力シグナルは、試験励起シグナルの開始を誘導することができる。
【0086】
[00101] 試験励起シグナルのあいだ、バイオセンサは、約400 mVの電位を有する第一の試験パルスを約1秒のあいだ作用電極およびカウンタ電極に対して印加することができる。第一の試験パルスに続いて、0.5秒の試験弛緩(test relaxation)を行い、これは本質的に開回路などであってもよい。第一のパルス中の試験出力シグナルまたは電流が測定され、そして記憶装置中に保存される。バイオセンサは、第二のパルスを、約200 mVにて約1秒のあいだ、作用電極およびカウンタ電極に対して印加する。約400 mVから約200 mVへのこの電位切り替えは、センサストリップ中のサンプルが不十分である場合、特にサンプルが作用電極および誘導電極のみを覆う場合、負電流を誘導することができる。第二のパルス中の試験出力シグナルまたは電流が測定され、そして記憶装置中に保存される。バイオセンサは、試験期間の終了まで、またはバイオセンサにより所望される限りずっと、試験励起シグナルからの試験パルスを作用電極およびカウンタ電極に対して印加し続ける。試験期間は、約1〜約10秒であってもよい。各試験パルス中の試験出力シグナルまたは試験電流を測定し、そして保存することができる。
【0087】
[00102] 試験出力シグナルまたは試験電流を、1またはそれ以上のフィルターと比較して、充填量不足条件が存在するかどうかを検出することができる。フィルターは、充填量不足閾値であってもよく、その場合、試験出力シグナルがセンサストリップ中に十分なサンプルが存在しないことを示す。第一のフィルターとして、試験パルス中の試験電流のいずれか一つを、第一の充填量不足閾値と比較して、充填量不足条件が存在するかどうかを検出することができる。例えば、第二の試験パルスの終了時における電流i2,8を、約150 nAの第一の充填量不足閾値と比較することができる。第二のフィルターについて、2種の試験電流のあいだの差異を第二の閾値と比較して、充填量不足条件が存在するかどうかを検出することができる。例えば、第一のパルスの最終電流i1,8と第二のパルスにおける第一の電流i2,1とのあいだの差異を、約700 nAの第二の閾値と比較することができる。第二のフィルターが第一のフィルターが検出しなかった充填量不足である条件を検出する場合など、フィルターは別々に使用しても一緒に使用してもよい。フィルタリング条件の一つが合致する場合、バイオセンサはエラーシグナルまたはその他の指標をユーザーに対して提供することができる。バイオセンサは、試験励起シグナルを印加することを停止し、そしてユーザーに対してセンサストリップに対してより多くの血液を添加するように促すことができる。ユーザは、充填量不足条件から正常な状態へと回復することができ、そしてセンサストリップを無駄にすることを回避することができる。
【0088】
[00103] 図9〜12は、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。充填量不足である条件は、約1.2マイクロリットル(μL)のサンプルについてのものである。充填された条件は、約2.0μLのサンプルについてのものである。充填された条件の電流プロファイルは、図6に示される電流プロファイルと同様である。充填量不足である条件は、約2.5秒以内に約-1100 nA以下に低下した負電流を伴う試験出力シグナルまたは電流プロファイルを生成した。
【0089】
[00104] 充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルまたは電流プロファイルは、ポーリングシグナルおよび励起シグナルまたは印加電圧に対して反応性である。ポーリング励起シグナルは、振幅または約400 mVの電位であってポーリングパルス幅が約5 msであり、そしてポーリングパルス間隔が約62.5 msであるものを有する。試験励起シグナルは、約200 mVにまで低下する振幅を有する。試験励起シグナルは、約1秒の試験パルス幅を有し、そして約1.5秒の試験パルス間隔を有する。ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合、ポーリング励起シグナルは、試験励起シグナルへと切り替えられる。ポーリング閾値は、約250 nAであってもよい。その他のポーリング閾値を使用することができる。試験励起シグナルは、ゲート化電流測定(アンペロメトリー)、ゲート化ボルタンメトリー、など、電気化学的センサシステム用のアッセイ励起シグナルの一部であってもよい。
【0090】
[00105] 図9は、振幅が試験励起シグナルの開始時に減少される場合の、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルのグラフを示す。サンプルは、約50ミリグラム/デシリットル(mg/dL)のグルコース濃度および約40%ヘマトクリットを有する全血である。振幅減衰は、振幅が第一の試験パルスの開始時に約400 mVから約200 mVへと切り替えられる場合、約0秒で生じる。充填量不足である条件は、試験励起シグナルの第一のパルスのあいだに、負電流を伴った試験出力シグナルを生成した。
【0091】
[00106] 図10は、第一の試験パルスの開始時に第一の振幅減衰が生じ、そして試験励起シグナルの第一の試験パルスと第二の試験パルスのあいだに第二の振幅減衰が生じる場合の、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。サンプルは、約50 mg/dLのグルコース濃度および約40%のヘマトクリットを有する全血である。第一の振幅減衰は、振幅が第一の試験パルスの開始時に約400 mVから約300 mVへと切り替えられる場合に、約0秒で生じる。第二の振幅減衰は、振幅が第一のパルスと第二のパルスとのあいだに約300 mVから約200 mVへと切り替えられる場合、約1〜1.5秒において生じる。充填量不足である条件は、試験励起シグナルの第一のパルスのあいだに、ゼロに近い電流を有する試験出力シグナルを生成した;この場合、試験パルスを、約400 mVから約300 mVへと低下させた。充填量不足である条件は、試験励起シグナルの第二のパルスのあいだに負電流を伴う試験出力シグナルを生成した;その後、試験パルスを、約300 mVから約200 mVへと低下させた。
【0092】
[00107] 図11は、試験励起シグナルの第一の試験パルスと第二の試験パルスのあいだに振幅を低下させる場合の、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。サンプルは、約50 mg/dLのグルコース濃度および約40%のヘマトクリットを有する全血である。振幅減衰は、約1〜1.5秒に生じる;その際、第一の試験パルスと第二の試験パルスのあいだで、振幅は約400 mVから約200 mVへと切り替えられる。充填量不足である条件は、試験励起シグナルの第一のパルスのあいだに、正の電流を伴う試験出力シグナルを生成した;その際、試験パルスの印加された電位は、本質的にポーリングパルスの印加された電位と同一のままであった。充填量不足である条件は、試験励起シグナルの第二のパルスのあいだに、負電流を伴う試験出力シグナルを生成した;その後、試験パルスを、約400 mVから約200 mVへと低下させた。
【0093】
[00108] 図12は、試験パルスの振幅が第一のパルスと第二のパルスとのあいだに低下する場合の、充填量不足である条件および充填された条件の試験出力シグナルを示すグラフである。サンプルは、約400 mg/dLのグルコース濃度および約40%のヘマトクリットを有する全血である。振幅減衰は、振幅が約400 mVから約200 mVへと切り替えられる場合、約1〜1.5秒に生じる。試験励起シグナルの第一のパルスのあいだ、試験パルスの印加される電位は、ポーリングパルスの印加される電位と本質的に同一のままであった。充填量不足である条件は、第一のパルスのあいだに、正の電流を伴う試験出力シグナルを生成した。充填量不足である条件は、試験励起シグナルの第二のパルスのあいだに、負電流を伴う試験出力シグナルを生成した;その後、試験パルスを、約400 mVから約200 mVに低下させた。
【0094】
[00109] 図1の110において、バイオセンサは、試験期間のあいだ、試験出力シグナルを、1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較する。充填量不足閾値は、ルックアップ表などから得た、記憶装置中に保存された予め決められた閾値であってもよい。予め決められた閾値を、研究室作業の統計的解析から発生させることができる。その他の予め決められた閾値を使用することができる。充填量不足閾値は、試験出力シグナルに応答して、測定された閾値または計算された閾値であってもよい。その他の測定された閾値または計算された閾値を使用することができる。
【0095】
[00110] 充填量不足閾値を選択して、充填量不足条件に応答して、試験出力シグナルがより強いかまたはより弱い場合を特定することができる。充填量不足閾値を選択して、試験励起シグナルにおけるより高い振幅からより低い振幅への切り替えに応答して生成されたより弱い試験出力シグナルを特定することができる。充填量不足閾値を選択して、試験励起シグナルにおけるより高い振幅からより低い振幅への切り替えに応答して生成された陰性の試験出力シグナルを特定することができる。充填量不足閾値を選択して、試験励起シグナルにおけるより低い振幅からより高い振幅への切り替えに応答して生成されたより強い試験出力シグナルを特定することができる。充填量不足閾値を選択して、試験出力シグナルの変化が充填量不足条件に反応性である場合を特定することができる。その他の充填量不足閾値を使用することができる。
【0096】
[00111] 試験出力シグナルは、試験出力シグナルが第一の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも低い場合に、充填量不足条件を示すことができる。第一の充填量不足閾値は、ルックアップ表などから得られた、記憶装置に保存された予め決められた閾値であってもよい。第一の充填量不足閾値は、試験出力シグナルに応答して、測定された閾値または計算された閾値であってもよい。第一の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予想された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約50%または75%未満であってもよい。第一の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約10%未満であってもよい。第一の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約2%〜約8%の範囲であってもよい。第一の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約5%の範囲であってもよい。第一の充填量不足閾値は約0であってもよい。例えば、図9〜12試験出力シグナルについての第一の充填量不足閾値は、約100 nA〜約200 nAの範囲であってもよい。その他の第一の充填量不足閾値を使用することができる。
【0097】
[00112] 試験出力シグナルは、試験出力シグナルの変化が第二の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合に、充填量不足条件を示すことができる。変化は、試験励起シグナルににおけるより高い振幅からより低い振幅への切り替えに応答して生成される試験出力シグナルの減少であってもよい。変化は、試験励起シグナルにおけるより低い振幅からより高い振幅への切り替えに応答して生成される試験出力シグナルの上昇であってもよい。第二の充填量不足閾値は、ルックアップ表などから得られた、記憶装置に保存された予め決められた閾値であってもよい。第二の充填量不足閾値は、試験出力シグナルに応答して測定された閾値または計算された閾値であってもよい。第二の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約5%よりも高いかまたは10%よりも高いものであってもよい。第二の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約5%〜約90%の範囲であってもよい。第二の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約25%〜約75%の範囲であってもよい。第二の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約50%であってもよい。例えば、図9〜12の試験出力シグナルについての第二の充填量不足閾値は、約500 nA〜約2000 nAの範囲であってもよい。その他の第二の充填量不足閾値を使用することができる。
【0098】
[00113] 試験出力シグナルは、試験出力シグナルが第三の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも高い場合、充填量不足条件を示すことができる。第三の充填量不足閾値は、ルックアップ表などから得られた、記憶装置に保存された予め決められた閾値であってもよい。第三の充填量不足閾値は、試験出力シグナルに応答して測定された閾値または計算された閾値であってもよい。第三の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約150%よりも高いかまたは200%よりも高いものであってもよい。第三の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約110%よりも高いものであってもよい。第三の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約102%〜約108%の範囲であってもよい。第三の充填量不足閾値は、第一の試験パルスの開始時に、予測された試験出力シグナルまたは測定された試験出力シグナルの約105%であってもよい。その他の第三の充填量不足閾値を使用することができる。
【0099】
[00114] 図13は、サンプルの容量に関する分析対象物解析の%バイアスを示すグラフである。分析対象物解析は、全血サンプル中のグルコース濃度を測定した。バイアスの%(%-バイアス)は、各解析により測定されたグルコース濃度と十分に充填された場合のサンプルのグルコース濃度とのあいだの相対差の誤差測定値である。サンプル容量は、約1.2μL〜約2.0μLの範囲であった。十分に充填されたサンプル容量は、約2.0μLであった。
【0100】
[00115] 分析対象物解析に由来する試験出力シグナルは、2種類のフィルター(フィルター1およびフィルター2)によってスクリーニングされ、充填量不足条件を伴うサンプルを特定した。試験出力シグナルが第一の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも低い場合に、フィルター1(F1)誤差は、サンプルが充填量不足条件を有すると示す。より高い試験パルスからより低い試験パルスへの遷移の際の、または遷移の後の試験出力シグナルの減少が第二の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも高い場合、フィルター2(F2)誤差は、サンプルが充填量不足条件を有すると示す。その他のフィルターを使用することができる。
【0101】
[00116] 図13における解析に由来して、三種類の試験出力シグナルが存在した:(1)F1誤差を何も示さない試験出力シグナル;(2)F1誤差を示す試験出力シグナル;そして(3)F1誤差を何も示さないが、F2誤差を示す試験出力シグナル。F1誤差を何も示さない試験出力シグナルのうち、僅か4回の解析のみが約±15%より大きい%-バイアスを有した。約±15%より大きな%-バイアスを有するがF1誤差として検出されなかった解析のうちの3回は、F2誤差として検出された。
【0102】
[00117] 図14は、図13の分析対象物解析についてのサンプル容量に関して、異なる型の試験出力シグナルのパーセント集団を示すグラフである。パーセント集団(%-集団)は、サンプル容量における特定の型の試験出力シグナルを有する分析対象物解析の比率である。F1誤差またはF2誤差を有する試験出力シグナルを伴う分析対象物解析は、±15%未満の%-バイアスを伴う分析対象物解析から本質的に排除された。本質的に、F1誤差またはF2誤差によりスクリーニング排除されない試験出力シグナルを伴う分析対象物解析は、±15%未満の%-バイアスを有した。検出率は、約±15%よりも大きな%-バイアスを伴う解析の充填量不足条件について、約98%よりも大きかった。検出率は、約±10%よりも大きな%-バイアスを伴う解析の充填量不足条件について、約90%よりも大きかった。検出率は、異なる閾値によってさらに改善することができる。充填量不足以外の因子が、±15%よりも大きな%-バイアスに寄与していてもよい。
【0103】
[00118] 図1の112において、バイオセンサは、試験出力シグナルがサンプルサイズが十分に大きくないことを示す場合、充填量不足条件に応答して、エラーシグナルまたはその他の指標を生成する。エラーシグナルは、ディスプレイ装置上に示されてもよくおよび/または記憶装置中に保存されてもよい。バイオセンサは、サンプル中の1またはそれ以上の分析対象物の解析のあいだに、または解析の後に、エラーシグナルを提供することができる。バイオセンサは、分析対象物の検出の後すぐにおよび/または分析対象物の解析の前に、エラーシグナルを提供することができる。エラーシグナルは、分析対象物の解析を行う前に、生体液のサンプルへの追加を要求することができる。エラーシグナルは、分析対象物の解析を停止することができる。停止には、解析を開始しないことまたは解析を中断することが含まれる。
【0104】
[00119] 図15は、充填量不足検出システムを伴うバイオセンサ1500の概略図を示す。バイオセンサ1500は、生体液サンプル中の分析対象物濃度を測定する。充填量不足検出システムは、生体液サンプルが、上述した様な1またはそれ以上の分析対象物の精密な解析および/または正確な解析を提供するためには十分ではない場合を示す。バイオセンサ1500には、測定装置1502およびセンサストリップ1504が含まれ、それらは卓上型装置、携帯型装置または手持ち型装置、等として実施することができる。測定装置1502およびセンサストリップ1504は、電気化学的センサシステム、光学的センサシステム、これらの組合せを実施するように、適合させることができる。充填量不足検出システムは、充填量不足条件が生じる場合を測定する際のバイオセンサ1500の精密性および/または正確性を改善することができる。バイオセンサ1500を使用して、生体液(全血、尿、唾液など)における1またはそれ以上の分析対象物濃度(例えばグルコース、尿酸、ラクテート、コレステロール、ビリルビン、など)を測定することができる。特定の構造が示される一方、バイオセンサ1500は、追加の構成要素を有するものを含む、その他の構造を有してもよい。
【0105】
[00120] センサストリップ1504は、リザーバ1508および開口部1512を伴うチャネル1510を形成する基板1506を有する。リザーバ1508およびチャネル1510は、穴を有する蓋によって覆うことができる。リザーバ1508は、部分的に封入された容量(キャップ-ギャップ)を規定する。リザーバ1508は、水膨潤性ポリマーマトリクスまたは多孔性ポリマーマトリクスなどの液体サンプルを保持するための補助をする組成物を含有してもよい。試薬を、リザーバ1508および/またはチャネル1510中に溶着させることができる。試薬には、1またはそれ以上の酵素、メディエータ、結合剤、およびその他の活性種または非反応性種が含まれていてもよい。試薬には、光学的システム用の化学指示薬が含まれていてもよい。センサストリップ1504もまた、リザーバ1508に隣接して溶着されるサンプルインターフェース1514を有していてもよい。サンプルインターフェース1514は、部分的にまたは完全に、リザーバ1508を取り囲んでもよい。センサストリップ1504は、その他の構造を有してもよい。
【0106】
[00121] サンプルインターフェース1514は、作用電極およびカウンタ電極に接続された伝導体を有する。電極は、実質的に同一平面中に存在してもよい。電極は、200μmまたは250μmよりも大きく離れていてもよく、そして蓋から少なくとも100μm離れていてもよい。電極は、リザーバ1508を形成する基板1506の表面上に配列させることができる。電極は、リザーバ1508により形成されるキャップ-ギャップ中に伸展されるかまたは突出させることができる。誘電層が、伝導体および/または電極を部分的に覆っていてもよい。カウンタ電極は、補助的構成要素または誘導電極を有していてもよい。補助的構成要素は、作用電極から上流に位置していてもよい。誘導電極は、第三の電極であってもよい。サンプルインターフェース1514は、その他の電極および伝導体を有していてもよい。サンプルインターフェース1514は、サンプルを見るための1またはそれ以上の光学的入り口または開口部を有していてもよい。サンプルインターフェース1514は、その他の構成要素およびその他の構造を有していてもよい。
【0107】
[00122] 測定装置1502には、センサインターフェース1518およびディスプレイ1520に接続された電気回路1516が含まれる。電気回路1516には、シグナル生成器1524に接続されたプロセッサ1522、および保存媒体1528が含まれる。測定装置は、その他の構成要素およびその他の構造を有していてもよい。
【0108】
[00123] シグナル生成器1524は、プロセッサ1522に応答して、電気的入力シグナルをセンサインターフェース1518へと提供する。電気的入力シグナルには、充填量不足検出システムにおいて使用されるポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルが含まれていてもよい。電気的入力シグナルには、光学的センサシステム用のセンサインターフェース1518における検出器および光源を操作しまたは調節するために使用される電気的シグナルが含まれていてもよい。電気的入力シグナルには、電気化学的センサシステムにおいて使用されるアッセイ励起シグナルが含まれていてもよい。充填量不足検出システム用のポーリング励起シグナルおよび試験励起シグナルは、電気化学的センサシステム用のアッセイ励起シグナルの一部であるかまたはそれを取り込んだものであってもよい。電気的入力シグナルを、センサインターフェース1518によってサンプルインターフェース1514へと伝達することができる。電気的入力シグナルは、電位または電流であってもよく、そしてACシグナルがDCシグナルオフセットと共に印加される場合など、一定のもの、可変のもの、またはそれらの組合せであってもよい。電気的入力シグナルは、単一パルスまたは複数パルスとして、連続的に、またはサイクル状に、印加することができる。シグナル生成器1524はまた、生成器-レコーダーとして、センサインターフェース1518から受信したシグナルを記録することができる。
【0109】
[00124] 保存媒体1528は、磁気的メモリ、光学的メモリ、または半導体メモリ、その他のコンピュータ読みとり保存装置、等であってもよい。保存媒体1528は、固定メモリ装置またはメモリカードなどのリムーバブルメモリ装置であってもよい。
【0110】
[00125] プロセッサ1522は、充填量不足検出、分析対象物解析、および保存媒体1528中に保存されたコンピュータ読み取り可能ソフトウェアコードおよびデータを使用したデータ処理を実施する。プロセッサ1522は、センサインターフェース1518におけるセンサストリップ1504の存在、サンプルのセンサストリップ1504への適用、ユーザー入力、などに応答して、充填量不足検出および分析対象物解析を開始させることができる。プロセッサ1522は、シグナル生成器1524に対して、電気的入力シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供するように命令する。
【0111】
[00126] プロセッサ1522は、センサインターフェース1518由来の出力シグナルを受信しそして測定する。出力シグナルは、電流または電位などの電気的シグナル、または光であってもよい。出力シグナルには、充填量不足検出システムにおいて使用されるポーリング出力シグナルおよび試験出力シグナルが含まれていてもよい。出力シグナルには、サンプル中の分析対象物のレドックス反応に応答して生成されるアッセイ出力シグナルが含まれていてもよい。出力シグナルを、光学的システム、電気化学的システム、等を使用して生成することができる。充填量不足検出システム用の試験出力シグナルは、電気化学的センサシステム用のアッセイ出力シグナルの一部であってもよく、またはそれを取り込んだものであってもよい。プロセッサ1522は、ポーリング出力シグナルを、上述した1またはそれ以上のポーリング閾値と比較することができる。プロセッサ1522は、試験出力シグナルを、上述した1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較することができる。
【0112】
[00127] プロセッサ1522は、試験出力シグナルがサンプルサイズが十分ではないことを示す場合、エラーシグナルまたは充填量不足条件のその他の指標を提供する。プロセッサ1522は、ディスプレイ1520上にエラーシグナルを表示することができ、そしてエラーシグナルおよび関連するデータを保存媒体1528中に保存することができる。プロセッサ1522は、分析対象物解析のあいだのいつでも、またはその後のいつでも、エラーシグナルを提供することができる。プロセッサ1522は、充填量不足条件が検出される場合にエラーシグナルを提供することができ、そしてユーザーに対してセンサストリップ1204に対してより多くの生体液を添加するように促すことができる。プロセッサ1522は、充填量不足条件が検出される場合、分析対象物解析を進行させることができない。
【0113】
[00128] プロセッサ1522は、アッセイ出力シグナルから分析対象物濃度を決定する。分析対象物解析の結果は、ディスプレイ1520上に出力され、そして保存媒体1528中に保存することができる。分析対象物解析の実施に関する指示を、保存媒体1528中に保存にされたコンピュータ読み取り可能ソフトウェアコードにより提供することができる。コードは、オブジェクトコードであっても、または記述される機能を記述しまたは調節するその他のコードのいずれであってもよい。減衰率、K定数、傾き、切片、および/またはプロセッサ1522中のサンプル温度の測定を含む分析対象物解析からのデータは、1またはそれ以上のデータ処理にかけてもよい。
【0114】
[00129] センサインターフェース1518は、センサストリップ1504のサンプルインターフェース1514中の伝導体と接続しまたは電気的に連通する接点を有する。センサインターフェース1518は、電気的入力シグナルを、シグナル生成器1524から、接点を介して、サンプルインターフェース1514中のコネクタへと伝達する。センサインターフェース1518 はまた、出力シグナルを、サンプルインターフェース1514からプロセッサ1522および/またはシグナル生成器1524へと伝達する。センサインターフェース1508にはまた、検出器、光源、および光学的センサシステム中で使用されるその他の構成要素が含まれていてもよい。
【0115】
[00130] ディスプレイ1520は、アナログであってもデジタルであってもよい。ディスプレイは、数値読み取り値を表示するように適合させたLCDディスプレイであってもよい。その他のディスプレイを使用することができる。
【0116】
[00131] 使用する際、生体液の液体サンプルを、リザーバ1508により形成されるキャップ-ギャップ中に、液体を開口部1512へと導入することにより輸送する。液体サンプルが、チャネル1510を介して、リザーバ1508中に流れ、それまで含有されていた空気を追い出しながらキャップ-ギャップを充填する。液体サンプルは、チャネル1510および/またはリザーバ1508中に溶着される試薬と化学的に反応する。
【0117】
[00132] プロセッサ1522は、生体液のサンプルが解析のために利用可能である場合を検出する。センサストリップ1502は、測定装置1502に隣接して溶着される。隣接するという場合、サンプルインターフェース1514がセンサインターフェース1508と電気的に連通しおよび/または光学的に連通する場合の位置が含まれる。電気的連通には、センサインターフェース1518中の接点とサンプルインターフェース1514中の伝導体とのあいだの、入力シグナルおよび/または出力シグナルの輸送が含まれる。光学的連通には、サンプルインターフェース1502中の光学的入り口とセンサインターフェース1508中の検出器とのあいだの光の転送が含まれる。光学的連通にはまた、サンプルインターフェース1502中の光学的入り口とセンサインターフェース1508中の光源とのあいだの光の転送も含まれる。
【0118】
[00133] プロセッサ1522は、シグナル生成器1524に対して、ポーリング励起シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供するように命令することができ、それがサンプルインターフェース1514中の電極を介してポーリング励起シグナルをサンプルに対して印加する。サンプルは、ポーリング励起シグナルに応答してポーリング出力シグナルを生成する。サンプルインターフェース1514は、ポーリング出力シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供する。プロセッサ1522は、ポーリング出力シグナルをセンサインターフェース1518から受信する。プロセッサ1522は、ポーリング出力シグナルをディスプレイ1520上に表示することができおよび/または保存媒体1528中にポーリング出力シグナルを保存することができる。
【0119】
[00134] プロセッサ1522は、ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合に、シグナル生成器1524に対して、試験励起シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供するように命令することができる。プロセッサ1522は、ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合に、試験励起シグナルをセンサインターフェース1518に提供するためのコンパレータ回路を有することができる。コンパレータ回路において、ポーリング出力シグナルは、電気的(アナログ)コンパレータ等の入力に対して向けられる。コンパレーターは、ポーリング出力シグナルをポーリング閾値と比較する。ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合、コンパレータの出力は、試験励起シグナルの開始を誘導する。ポーリング励起シグナルから試験励起シグナルへと切り替える場合、プロセッサ1522は、試験パルスの振幅を、上述したポーリングパルスの振幅とは異なる振幅へと変化させることができる。試験パルスの振幅は、ポーリングパルスの振幅よりも大きいものであってもおよび/または小さいものであってもよい。ある試験パルスの振幅は、別の試験パルスの振幅よりも大きくてもまたは小さくてもよい。プロセッサ1522は、試験励起シグナルの開始時またはその前後近くおよび/またはあるパルスから別のパルスへの遷移のあいだに、試験パルスの振幅を変化させることができる。プロセッサ1522は、試験パルスの振幅を複数回変化させることができる。
【0120】
[00135] センサインターフェース1518は、試験期間のあいだにサンプルインターフェース1514を介して、試験励起シグナルをサンプルへと印加する。サンプルは、試験励起シグナルに応答して、試験出力シグナルを生成する。サンプルインターフェース1514は、試験出力シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供する。
【0121】
[00136] プロセッサ1522は、センサインターフェース1518から試験出力シグナルを受信する。プロセッサ1522は、サンプルにより生成される試験出力シグナルを測定する。プロセッサ1522は、ディスプレイ1520上に試験出力シグナルを表示することができおよび/または保存媒体1528中に試験出力シグナルを保存することができる。
【0122】
[00137] プロセッサ1522は、上述したように試験期間のあいだに、試験出力シグナルを1またはそれ以上の充填量不足閾値と比較する。試験出力シグナルは、試験出力シグナルが第一の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも小さい場合、充填量不足条件を示すことができる。試験出力シグナルは、試験出力シグナルの変化が第二の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合、充填量不足条件を示すことができる。試験出力シグナルは、試験出力シグナルが第三の充填量不足閾値と同等であるかまたはそれよりも大きい場合、充填量不足条件を示すことができる。
【0123】
[00138] プロセッサ1522は、試験出力シグナルがサンプルサイズが十分ではないと示す場合、充填量不足条件のエラーシグナルを提供する。エラーシグナルは、ディスプレイ1520上に表示することができおよび/または保存媒体1528中に保存することができる。プロセッサ1522は、即時にまたは別の時(分析対象物解析の後など)に、エラーシグナルを提供することができる。プロセッサ1522は、ユーザーに対して、分析対象物の解析を行う前に、より多くの生体液をサンプルに対して添加するように促すことができる。
【0124】
[00139] プロセッサ1522は、シグナル生成器1524に対して、その他の電気的入力シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供するように命令する。光学的システムにおいては、センサインターフェース1518は、電気的入力シグナルを提供して、検出器および光源を操作する。センサインターフェース1518は、アッセイ出力シグナルを検出器から受信する。電気化学的システムにおいて、センサインターフェース1518は、アッセイ励起シグナルを、サンプルインターフェース1514を介して、サンプルに対して印加する。充填量不足検出システム用の試験励起シグナルは、アッセイ励起シグナルの一部であってもよく、またはこれを取り込んだものであってもよい。サンプルは、アッセイ励起シグナルに応答して、アッセイ出力シグナルを分析対象物のレドックス反応から生成する。サンプルインターフェース1514は、アッセイ出力シグナルをセンサインターフェース1518に対して提供する。
【0125】
[00140] プロセッサ1522は、アッセイ出力シグナルをセンサインターフェース1518から受信する。プロセッサ1522は、アッセイ出力シグナルに応答して、サンプルの分析対象物濃度を測定する。プロセッサ1522は、アッセイ出力シグナルをディスプレイ1520上に表示することができおよび/またはアッセイ出力シグナルを保存媒体1528中に保存することができる。
【0126】
[00141] 発明の範囲、用途、または実施を制限することなく、上述した方法およびシステムを、以下の様なものなどのアルゴリズムを使用して実施することができる:
[00142] ステップ1: バイオセンサの電源を入れる
[00143] ステップ2: バイオセンサの自己試験を行う
[00144] ステップ3: サンプルをセンサに適用するためにポーリングするように設定する
[00145] ステップ4: センサ電流を試験するために設定する
[00146] ステップ5: センサ電流がポーリング閾値を超えるかどうかを試験する
[00147] ステップ6: 遅延させ、そしてセンサ電流を再び試験する
[00148] ステップ7: サンプル適用の検出に際して、時間の計測を開始し、パルスシークエンスを発生させる
[00149] ステップ8: パルス1 - センサ電流i1,1およびi1,8を測定する
[00150] ステップ9: パルス2 - センサ電流i2,1およびi2,8を測定する
[00151] ステップ10: 遅延2 -
[00152] ステップ11: パルス3 - センサ電流:i3,1およびi3,8を測定する
[00153] ステップ12: 遅延3 -
[00154] ステップ13: パルス4 - センサ電流:i4,1、i4.4、およびi4,8を測定する
[00155] ステップ14: 遅延4 -
[00156] ステップ15: パルス5 - センサ電流:i5,1、i5,4、およびi5,8を測定する
[00157] ステップ16: ロット較正数についての傾きおよび切片をルックアップする
S=電流ロット較正数についての傾き値
Int=電流ロット較正数についての切片値
[00158] ステップ17: 温度効果について傾きと切片を調整する
[00159] ステップ18: 25℃でのグルコース濃度を計算する
[00160] ステップ19: 参照を標的とするために変換する(血漿vs. WB参照)
[00161] ステップ20: 充填量不足をチェックする
If(i2,8 < UnderfillMin)or((i1,8 - i2,1)> UnderfillDelta )then
BEGIN
If(ErrorCode is not set)then
set ErrorCode to “Underfill”
END
〔(i2,8<充填量不足Min)または((i1,8 - i2,1)>充填量不足Delta)の場合、
開始
(エラーコードがセットされていない)場合、
エラーコードを“充填量不足”に設定する
終了〕
[00162] ステップ21: 測定設定の単位を補正するために変換する
[00163] ステップ22: 結果を表示する。
【0127】
[00164] アルゴリズムにおいて使用することができる定数の一例は、以下の表1に示される。その他の定数を使用することができる。
【0128】
【表1】

【0129】
[00166] 本出願の明細書および請求の範囲の明確かつより一貫した理解をもたらすため、以下の定義を提供する。
【0130】
[00167] “分析対象物”は、サンプル中に存在する1またはそれ以上の物質と定義される。解析は、サンプル中に存在する分析対象物の存在および/または濃度を測定する。
【0131】
[00168] “サンプル”は、未知量の分析対象物を含有していてもよい組成物と定義される。典型的には、電気化学的解析についてのサンプルは、液体形状のものであり、そして好ましくはサンプルは水性混合物である。サンプルは、血液、尿、または唾液などの生物学的サンプルであってもよい。サンプルはまた、生物学的サンプルの誘導体、例えば抽出物、希釈物、濾過物、または再構成沈殿物などであってもよい。
【0132】
[00169] “伝導体”は、電気化学的解析のあいだ変化しないままである、電気的に伝導性な物質として定義される。
【0133】
[00170] “精密さ”は、センサシステムにより測定された分析対象物の量が、サンプル中の分析対象物の真の量にどのくらい近く対応しているか、として定義される。精密さは、参照分析対象物読み取り値と比較した、センサシステムの分析対象物読み取り値のバイアスとして表現することができる。より大きなバイアス値は、より精密さが低いことを反映する。
【0134】
[00171] “正確さ”は、複数回の分析対象物測定値が同一サンプルについてどれだけ近いものであるか、として定義される。正確さは、複数の測定値間の広がりまたは分散として表現することができる。
【0135】
[00172] “レドックス反応”は、少なくとも一つの電子を第一の種から第二の種へと輸送することに関する、2つの種のあいだでの化学的反応として定義される。従って、レドックス反応には、酸化と還元が含まれる。反応の酸化半電池には、第一の種による少なくとも一つの電子の喪失が関連し、一方還元半電池には、少なくとも一つの電子の第二の種への付加が関与する。酸化される種のイオン電荷は、除去された電子数と同等の量だけより正となる。同様に、還元される種のイオン電荷は、獲得される電子数と同等の量だけ負になる。
【0136】
[00173] “メディエータ”は、酸化または還元することができ、そして1またはそれ以上の電子を輸送することができる物質と定義される。メディエータは、電気化学的解析における試薬であり、そして目的とする分析対象物ではなく、しかし分析対象物の間接的な測定値をもたらす。単純な系において、メディエータは、分析対象物の酸化または還元に応答して、レドックス反応を受ける。酸化されたメディエータまたは還元されたメディエータは、次いで、センサストリップの作用電極で反対の反応を受け、そしてそのもとの酸化数へと再生される。
【0137】
[00174] “結合剤”は、試薬との化学的適合性を有しつつ、試薬への物理的支持および束縛をもたらす物質と定義される。
【0138】
[00175] “充填量不足条件”は、バイオセンサが生体液中の1またはそれ以上の分析対象物の濃度を精密におよび/または正確に解析するためには、十分ではないサイズまたは容量を有する、バイオセンサ中の生体液サンプルと定義される。
【0139】
[00176] “手持ち型装置”は、ヒトの手で保持できそして携帯型である装置と定義される。手持ち型装置の例は、Ascensia(登録商標)Elite Blood Glucose Monitoring System(Bayer HealthCare, LLC, Elkhart, IN.から入手可能)を伴う測定装置である。
【0140】
[00177] 本発明の様々な態様を記載したが、当業者には、その他の態様および実施が本発明の範囲内で可能であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験励起シグナルを生体液サンプルに対して印加し;
試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替え;
サンプルからの試験出力シグナルを測定し;そして
試験出力シグナルを、少なくとも一つの充填量不足閾値と比較する;
ことを含む、バイオセンサ中の充填量不足条件を検出するための方法。
【請求項2】
試験励起シグナルが約5秒未満の試験パルスを有し、そして試験励起シグナルば約15秒未満の試験パルス間隔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試験励起シグナルが約0.1秒〜約3秒の範囲の試験パルス幅を有し、そして試験励起シグナルが約0.2秒〜約6秒の範囲の試験パルス間隔を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
約180秒未満の試験期間のあいだ、試験励起シグナルを印加することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
試験期間が、約1秒〜約100秒の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
約50回未満の試験パルス間隔を有する試験期間のあいだ、試験励起シグナルを印加することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
約2回〜約50回の範囲の試験パルス間隔を有する試験期間のあいだ、試験励起シグナルを印加することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一つの異なる振幅が、元の振幅寄りも低い、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
元の振幅および異なる振幅が、電気化学的センサシステム中の出力シグナルプラトーから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
出力シグナルプラトーに、平均出力シグナルの±5%以内の出力シグナルを生成する励起振幅が含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
原則的に試験励起シグナルの開始時に、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えることをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
試験パルスのあいだに、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えることをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替えることをさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
試験パルスのあいだに、試験励起シグナルを第1の異なる振幅へと切り替え;そして
ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、試験励起シグナルを第2の異なる振幅へと切り替えること;
をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
原則的に試験励起シグナルの開始時に、振幅を減少させることをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、試験励起シグナルの振幅を減少させることをさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
振幅試験励起シグナルを複数回減少させることをさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
充填量不足条件に応答して、試験出力シグナルの減少を引き起こすことをさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
充填量不足条件に応答して、エラーシグナルを生成することをさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
エラーシグナルに応答して、生体液のサンプルへの追加を要求することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エラーシグナルに応答して、サンプル中での分析対象物の解析を停止することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
生体液サンプルが解析のために利用可能である場合に、検出することをさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ポーリング励起シグナルをサンプルに対して印加することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
試験励起シグナルをポーリング励起シグナルとは異なる振幅へと切り替えることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポーリング励起シグナルに応答して、ポーリング出力シグナルを生成し;そして
ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同じかまたはそれ以上である場合に、試験励起シグナルをサンプルに対して印加すること;
をさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
ポーリング励起シグナルが、約300 ms未満のポーリングパルス幅を有し、そして約1秒未満のポーリングパルス間隔を有する、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ポーリング励起シグナルが約0.5 ms〜約75 msの範囲のポーリングパルス幅を有し、そしてポーリング励起シグナルが約5 ms〜約300 msの範囲のポーリングパルス間隔を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
約180秒未満のポーリング期間のあいだに、ポーリング励起シグナルを印加し;そして
約180秒未満の試験期間のあいだに、試験励起シグナルを印加すること;
をさらに含む、請求項23〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
約0.1秒〜約10秒の範囲のポーリング期間のあいだに、ポーリング励起シグナルを印加し;そして
約1秒〜約100秒の範囲の試験期間のあいだに、試験励起シグナルを印加すること;
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ポーリング励起シグナルが約400 mVの振幅を有する少なくとも一つのポーリングパルスを有し、そして試験励起シグナルが約200 mVの振幅を有する少なくとも一つの試験パルスを有する、請求項23〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
元の振幅がポーリング励起シグナルの振幅である、請求項23〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
充填量不足条件に応答して、陰性試験出力シグナルを生成することをさらに含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
試験出力シグナルが第1の充填量不足閾値と同じであるかまたはそれ未満である場合に、試験出力シグナルは充填量不足条件を示し、そして試験出力シグナルの変化が第2の充填量不足閾値と同じであるかまたはそれ以上である場合に、試験出力シグナルが充填量不足条件を示す、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
試験励起シグナルが、電気化学的センサシステム中のアッセイ励起シグナルの一部である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
基板により形成されるリザーバと隣接するサンプルインターフェースを基板上に有するセンサストリップ;そして
サンプルインターフェースと電気的に連通しているセンサインターフェースに対して連結されたプロセッサを有する測定装置;
を含む、生体液中の分析対象物濃度を測定するためのバイオセンサであって、
プロセッサは試験励起シグナルをサンプルインターフェースへと印加し、
プロセッサは試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替え、
プロセッサはサンプルインターフェース由来の試験出力シグナルを測定し、そして
プロセッサは試験出力シグナルを、少なくとも一つの充填量不足閾値と比較する、
前記測定装置。
【請求項36】
プロセッサが、ポーリング励起シグナルをサンプルに対して印加する、請求項35に記載のバイオセンサ。
【請求項37】
ポーリング出力シグナルがポーリング閾値と同じであるかまたはそれ以上である場合に、プロセッサがポーリング励起シグナルを試験励起シグナルへと切り替える、請求項36に記載のバイオセンサ。
【請求項38】
プロセッサが、180秒未満のポーリング期間のあいだにポーリング励起シグナルを印加し、そしてプロセッサが、180秒未満の試験期間のあいだに、試験励起シグナルを印加する、請求項35または36に記載のバイオセンサ。
【請求項39】
ポーリング励起シグナルが約0.5 ms〜約75 msの範囲のポーリングパルス幅を有し、そしてポーリング励起シグナルが約5 ms〜約300 msの範囲のポーリングパルス間隔を有する、請求項36〜38のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項40】
試験励起シグナルが、約5秒未満の試験パルス幅を有し、そして約15秒未満の試験パルス間隔を有する、請求項36〜39のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項41】
少なくとも一つの異なる振幅が、元の振幅よりも少ない、請求項35〜40のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項42】
元の振幅が、ポーリング励起シグナルの振幅である、請求項36〜41のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項43】
元の振幅および異なる振幅が、電気化学的センサシステム中での出力シグナルプラトーから選択される、請求項41に記載のバイオセンサ。
【請求項44】
出力シグナルプラトーに、平均出力シグナル±5%以内の出力シグナルを生成する励起振幅が含まれる、請求項43に記載のバイオセンサ。
【請求項45】
原則的に試験励起シグナルの開始時に、プロセッサが試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替える、請求項35〜44のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項46】
試験パルスのあいだに、プロセッサが試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替える、請求項35〜45のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項47】
ある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、プロセッサが試験励起シグナルを少なくとも一つの異なる振幅へと切り替える、請求項35〜46のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項48】
試験パルスのあいだに、プロセッサが試験励起シグナルを第1の異なる振幅へと切り替え、そしてある試験パルスから別の試験パルスへの遷移のあいだに、プロセッサが試験励起シグナルを第2の異なる振幅へと切り替える、請求項35〜44のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項49】
プロセッサが、試験励起シグナル中の少なくとも一つの試験パルスの振幅を、ポーリング励起シグナル中のポーリングパルスの振幅以下に減少させる、請求項36〜44のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項50】
充填量不足条件に応答して、ディスプレイ上にエラーシグナルを示すプロセッサに接続されたディスプレイをさらに含む、請求項35〜49のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項51】
エラーシグナルに応答して、エラーシグナルが、生体液のサンプルへの追加を要求する、請求項50に記載のバイオセンサ。
【請求項52】
エラーシグナルに応答して、プロセッサがサンプル中での分析対象物の解析を停止する、請求項50に記載のバイオセンサ。
【請求項53】
サンプルインターフェースが、カウンタ電極と作用電極とを有する、請求項35〜52のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
【請求項54】
カウンタ電極が、補助的構成要素(sub-element)を有する、請求項53に記載のバイオセンサ。
【請求項55】
試験励起シグナルが、電気化学的センサシステムにおけるアッセイ励起シグナルの一部である、請求項35〜52のいずれか1項に記載のバイオセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−535651(P2009−535651A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510051(P2009−510051)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/068034
【国際公開番号】WO2007/131036
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)