説明

バイオセンサ管理ケース及びバイオセンサ管理システム

【課題】保存状態が悪いバイオセンサを使用出来なくするケースを提供する。
【解決手段】複数のバイオセンサを保持したカートリッジ1を格納するカートリッジ格納部2を有し、カートリッジ格納部2内に設けたセンサ排出機構3が前記バイオセンサをセンサ排出口4から排出する構成とした本体ケース5内に、本体ケース5の周囲環境情報を取得する環境情報取得部6と、環境情報取得部6が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部7と、本体ケース5に設けられたセンサ排出指示ボタン8が出力する信号と保存状態判定部7が出力する前記排出許可信号とを受けて、センサ排出機構3の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部9を備え、駆動制御部9は、前記排出許可信号が無効である時にはセンサ排出指示ボタン8が出力する信号を無効とし、センサ排出機構3を非駆動とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサを保存管理するケース及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサには、生体情報を測定するために試薬が塗布されており、保存時の温度と湿度の許容範囲が制限されている。このような、保存状態に注意が必要な対象物を保存するケースとして、保存中のケース周辺の温度や湿度等の経時変化を記憶しておき、他の機器へ伝達する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−005937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術を用いれば、バイオセンサの保存状態の経過が分かり、保存状態が異常であった場合には、使用者がそのバイオセンサを使用しないと決定することも出来る。ところが従来の技術では、保存状態が異常であったバイオセンサであっても、ケースから取り出して使用することが可能な構成になっているため、使用者が誤って使用してしまう可能性があるという課題を有していた。
【0004】
そこで、本発明は、異常な保存状態にあったバイオセンサを取り出して、誤って使用してしまうということを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、この目的を達成するために、本発明のバイオセンサ管理ケースは、複数のバイオセンサを保持したカートリッジを格納するカートリッジ格納部を有し、このカートリッジ格納部内に設けたセンサ排出機構が前記バイオセンサをセンサ排出口から排出する構成とした本体ケース内に、この本体ケースの周囲環境情報を取得する環境情報取得部と、この環境情報取得部が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部と、前記本体ケースに設けられたセンサ排出指示ボタンが出力する信号と前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号とを受けて、前記センサ排出機構の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部を備え、この駆動制御部は、前記排出許可信号が無効である時には前記センサ排出指示ボタンが出力する信号を無効とし、前記センサ排出機構を非駆動とした事を特徴とするものである。
【0006】
さらに本発明のバイオセンサ管理ケースは、複数のバイオセンサを保持したカートリッジを格納するカートリッジ格納部を有し、このカートリッジ格納部内に設けたセンサ排出機構が前記バイオセンサをセンサ排出口から排出する構成とした本体ケース内に、この本体ケースの周囲環境情報を取得する環境情報取得部と、この環境情報取得部が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部と、前記本体ケースに設けられたセンサ排出指示ボタンが出力する信号を受けて前記センサ排出機構の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部を備え、前記センサ排出機構は、前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号を受けて、前記駆動制御部から前記バイオセンサを排出する駆動信号が入力された時にこの排出許可信号が無効であると前記バイオセンサを使用不能状態にするセンサ加工部を設ける構成とした事を特徴とするものである。
【0007】
さらに、本発明のバイオセンサ管理システムは、複数のバイオセンサを保持したカートリッジと、このカートリッジを格納するカートリッジ格納部に設けたセンサ排出機構が前記バイオセンサをセンサ排出口から排出する構成とした本体ケースからなり、この本体ケース内に、周囲環境情報を取得する環境情報取得部と、この環境情報取得部が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部と、前記本体ケースに設けられたセンサ排出指示ボタンが出力する信号を受けて前記センサ排出機構の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部と、前記センサ排出機構の駆動電力を前記カートリッジに設けた電力中継部を経由して供給する駆動電力供給部を備え、この駆動電力供給部は、前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号を入力し、この排出許可信号が無効である時に前記電力中継部が断線する電圧を印加する構成とした事を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明のバイオセンサ管理ケース及びバイオセンサ管理システムによれば、周囲環境温度からバイオセンサの保存状態を判定し、保存状態がバイオセンサの品質を保証する範囲外であったときには、バイオセンサを使用できないようにしたので、使用者が誤って保存状態の悪いバイオセンサを用いて測定を行うことを防ぐことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明のバイオセンサ管理ケース及びバイオセンサ管理システムの実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、バイオセンサを格納するカートリッジと、本実施の形態のバイオセンサ管理ケースの外観図を、図2は第一の実施の形態のバイオセンサ管理ケースの内部ブロック図を示す。なお、本実施の形態においては、バイオセンサを血糖値センサとして、血糖値センサを保存管理する血糖値センサ管理ケースに適用した例を示すが、血糖値センサに限らず、ヘモグロビンA1Cセンサやクロマトグラフィーセンサ等の使い捨て式のバイオセンサにも適用可能である。
【0011】
図1および図2に示したバイオセンサ管理ケースは、複数のバイオセンサを保持したカートリッジ1を格納するカートリッジ格納部2を有し、このカートリッジ格納部2内に設けたセンサ排出機構3が、バイオセンサをセンサ排出口4から排出する構成とした本体ケース5内に、この本体ケース5の周囲環境情報を取得する環境情報取得部6と、この環境情報取得部6が出力する周囲環境情報を用いてバイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部7と、本体ケース5に設けられたセンサ排出指示ボタン8が出力する信号と保存状態判定部7が出力する排出許可信号とを受けて、センサ排出機構3の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部9を備え、この駆動制御部9は、排出許可信号がバイオセンサの保存状態が異常であることを示した場合にはセンサ排出指示ボタン8が出力する信号を無効にし、センサ排出機構3を非駆動としている。
【0012】
さらに、カートリッジ格納部2には格納検知部10が備えられ、カートリッジ1の格納状態を格納状態信号として保存状態判定部7に出力する。また、本体ケース5上に表示部11を備え、保存状態判定部7がバイオセンサーの保存状態が異常であることを示した場合に、前記カートリッジ1の交換を促す表示を行う。
【0013】
まず、カートリッジ格納部2について説明する。カートリッジ格納部2は、図1に示す如く、本体ケース5の側面に設けられ、その中にカートリッジ1を丸ごと格納出来る大きさの空間を有している。カートリッジ1は、このカートリッジ格納部2の空間の端面に設けられたカートリッジ挿入口12から出し入れされる。ここで、カートリッジ挿入口12には、その開口部を覆うカートリッジ挿入蓋12aが備えられており、カートリッジ1を出し入れしないときにはカートリッジ挿入口12の開口部を塞ぐようになっている。
【0014】
さらに、カートリッジ格納部2の側面から本体ケース5の外側に向かって、カートリッジ1に保持されたバイオセンサを本体ケース5から取り出すための貫通孔4aが設けられ、その出口がセンサ排出口4となっている。センサ排出口4へと続く貫通孔4aの、カートリッジ格納部2側の開口部には、この開口部を覆う蓋(図示せず)が備えられており、センサ排出機構3の動作に合わせて、開閉可能な構成となっている。
【0015】
このように、カートリッジ格納部2は、2つの開口部を蓋で閉じることが可能な構成となっており、これは、カートリッジ格納部2に格納されたバイオセンサが外気に触れることを極力少なくする作用を有し、バイオセンサの劣化を防ぎ、大気に放置した状態に比べてバイオセンサの寿命を長持ちさせる効果を有する。
【0016】
カートリッジ格納部2内には、さらに格納検知部10を備えてある。格納検知部10は、カートリッジ格納部2にカートリッジ1が装着されているかどうかを検知して、格納状態信号を出力する。この格納状態信号は、カートリッジ格納部2にカートリッジ1が格納されている時は格納信号となり、カートリッジ格納部2にカートリッジ1が格納されていない時は非格納信号となる。
【0017】
この格納検知部10は、機械式の検知を行う。即ち、カートリッジ格納部2内に付勢力により可動可能な突起物を設け、この突起物がカートリッジ格納部2に格納されたカートリッジ1によって押し込まれると、その可動を検出して、カートリッジ1の格納を検知する。また、この突起物には、カートリッジ1から受ける付勢力に対向する方向に付勢力が加えられた構成とし、カートリッジ1がカートリッジ格納部2から取り出されて、カートリッジ1からの付勢力が無くなると、突起物が元の位置に戻るようになっている。そして、格納検知部10は、この突起物が元の位置に戻ったことを検出すると、カートリッジ1の取り出しを検知する。なお、ここでは機械式の検知を用いた例を説明したが、他にも電気式や光学式など、物体の存在有無を検出できるものであれば置き換え可能である。
【0018】
次に、環境情報取得部6と保存状態判定部7について、図3を用いて詳細に説明する。図3は保存状態判定部7の動作を表すフローチャートである。本実施の形態において、環境情報取得部6は温度計であり、保存状態判定部7から温度取得の指示を受けると温度を測定し、周囲環境情報として、保存状態判定部7へと出力するものである。なお、この環境情報取得部6を、本体ケース5内の、カートリッジ格納部2の付近に配置し、カートリッジ1内のバイオセンサの雰囲気温度とほぼ同じ温度を検出するようにする。
【0019】
また、保存状態判定部7は、メモリ(図示せず)を有しており、周囲環境情報として取得した温度を履歴として保存しておき、必要に応じて表示部11にこの温度履歴を表示させる機能を有しても良い。
【0020】
保存状態判定部7は、カートリッジ1がカートリッジ格納部2に格納され、格納検知部10が出力する格納状態信号が非格納信号から格納信号へと切り替わると、カートリッジ1がカートリッジ格納部2に格納されたと判定して動作を開始する。
【0021】
保存状態判定部7は、動作を開始すると、まず初期化ステップS1を実行する。この初期化ステップS1では、保存状態判定部7は、駆動制御部9に出力する排出許可信号を有効にして、駆動制御部9においてセンサ排出指示ボタン8から入力される信号が有効に作用するようにする。加えて、後述するエラーカウンタの値をリセットしてゼロにする。
【0022】
初期化ステップS1が完了すると、次に、環境モニタステップS2に移行する。環境モニタステップS2は、例えば30分に1回実行される。そのために環境情報取得部6は、30分でリセットされるサイクルカウンタを備え、このサイクルカウンタが30分ごとにリセットされるたびに環境モニタステップS2を実行する。
【0023】
この環境モニタステップS2は、以下に示す工程で構成されている。まず、環境情報取得ステップS2aでは、保存状態判定部7は、上述したように、環境情報取得部6に対して温度取得の指示を行い、環境情報取得部6が測定した温度を周囲環境情報として受け取る。
【0024】
保存状態判定部7は、環境情報取得ステップS2aに続いて、温度比較ステップS2bを実行する。この温度比較ステップS2bにおいては、周囲環境情報として受け取った温度が所定の温度範囲内にあるか否かを比較判定する。周囲環境情報として受け取った温度が所定の温度範囲内である場合は、環境情報取得ステップS2aへと戻る。一方、周囲環境情報として受け取った温度が所定の温度範囲外である場合、即ち、所定の温度範囲の上限より高い温度か、所定の温度範囲の下限よりも低い温度の場合には、カウントアップステップS2cへと移行する。
【0025】
ここで、温度比較ステップS2bで用いる所定の温度範囲について説明する。この温度範囲は、バイオセンサの種類によって異なる。本実施の形態のように、バイオセンサが血糖値センサである場合には、バイオセンサに塗布され、バイオセンサに点着された血液と反応を起こす反応用酵素の成分によって温度範囲は定められる。この反応用酵素は、一般に雰囲気温度が高いと死活してしまい、血液と正常な反応を起こさなくなる。あるいは、雰囲気温度が低くて結露してしまうと、結露した水分と反応を生じてしまい、反応用酵素が使えなくなってしまう。従って、前記所定の温度範囲は、結露する温度よりも大きく、反応用酵素が死活してしまう温度よりも小さい範囲に設定される。
【0026】
カウントアップステップS2cは、保存状態判定部7が有するエラーカウンタを1インクリメントするステップである。カウントステップS2cに続いてカウンタ比較ステップS2dへと移行する。カウンタ比較ステップS2dでは、予め定めたカウンタ閾値とエラーカウンタの値とを比較して、エラーカウンタの値がカウンタ閾値以上であった場合、環境モニタステップS2を終了して、無効処理ステップS3へと移行する。あるいは、エラーカウンタの値がカウンタ閾値よりも小さければ、環境情報取得ステップS2aへと戻り、環境情報モニタステップS2を継続する。
【0027】
ここで、カウントアップステップS2cで用いるカウンタ閾値について説明する。カウンタ閾値は、バイオセンサに依存する。即ち、所定の温度範囲外の状態がどれだけ続くとバイオセンサが不良になってしまうかに依存する。例えば、所定の温度範囲外の状態が6時間続くとバイオセンサが不良になってしまう場合には、エラーカウンタが12になると、30分毎に実行される環境モニタステップS2が12回繰り返された、即ち6時間経過したことになり、その間バイオセンサが所定の温度範囲外にさらされたことになるので、不良と判定すべきである。このような場合にはカウンタ閾値を11に設定する。
【0028】
また、この環境モニタステップS2を実行する間隔は、バイオセンサの構成に応じて設定するものとする。例えば、所定の温度範囲外の状態が5分でも続くとバイオセンサが不良となってしまうようなものであれば、短間隔で温度をモニタする必要があるので、例えば1分でリセットされるサイクルカウンタを用い、1分ごとに環境モニタステップS2を実行するようにする。
【0029】
次に、無効処理ステップS3について、説明する。無効処理ステップS3は、環境モニタステップS2において、バイオセンサが不良になったと判定された時に実行されるステップであり、このバイオセンサを使用者が使わないように処理を行うものである。
【0030】
無効処理ステップS3において、保存状態判定部7は、駆動制御部9と表示部11へと出力している排出許可信号を無効にする。これにより、駆動制御部9は、センサ排出指示ボタン8から、バイオセンサの排出を指示する排出許可信号が入力されたとしても、これを無効にし、センサ排出機構3に対して、これを駆動する駆動信号を出力しない。また、表示部11は、カートリッジ格納部2に格納したカートリッジ1内のセンサは、保存環境が悪かったために性能補償が出来ないことと、カートリッジ1の交換を促すことの表示を行う。
【0031】
保存状態判定部7は、一度排出許可信号を無効にすると、次に初期化ステップS1が行われるまでは排出許可信号を無効のままにする。即ち、カートリッジ格納部2に格納されたカートリッジ1を取り出し、別のカートリッジ1を格納するまでは、排出許可信号を無効のままになる。それにより、使用者はカートリッジ1を交換するまでは、バイオセンサを取り出して使うことが出来ず、不良となったバイオセンサを使わないようになる。
【0032】
また、表示部11は、排出許可信号が無効になった後、格納検知部10から受け取る格納状態信号が非格納信号になった時、即ち、カートリッジ格納部2からカートリッジ1が取り出された時点で、カートリッジ1の交換を促す表示を終了する。
【0033】
この保存状態判定部7の動作について、図4を用いてさらに詳細に説明する。図4は、周囲環境情報として取得した温度の時間変化を示したもので、横軸は時間、縦軸は温度を示している。また、温度閾値Aと温度閾値Bの間が所定の温度範囲となり、温度閾値Aは所定の温度範囲の上限温度、温度閾値Bは所定の温度範囲の下限温度である。さらに、図4(a)は、所定の温度範囲外の状態が連続したためにバイオセンサを不良と判定した例を、図4(b)は、所定の温度範囲外の状態が断続的に発生してバイオセンサを不良と判定した例を示している。
【0034】
図4(a)において、時刻aは、カートリッジ格納部2にカートリッジ1が格納されたことを格納検知部10が検知して、格納状態信号を非格納信号から格納信号に切り替えた時刻である。この時、保存状態判定部7が動作を開始し、初期化ステップS1が実行され、引き続いて環境モニタステップS2が実行される。時刻bは、時刻aから30分が経過して、2回目の環境モニタステップS2を実行した時刻である。このように、ここでは環境モニタステップS2を30分ごとに実行する例を示している。
【0035】
時刻cは、保存状態判定部7が時刻aで動作を開始した後、周囲環境情報として取得した温度が、初めて所定の温度範囲外となった時刻である。この時刻cにおいて、温度が温度閾値Aよりも高くなっているため、カウントアップステップS2cへ移行して、エラーカウンタが1インクリメントされエラーカウンタの値は1になる。
【0036】
時刻dは、エラーカウンタが11になった時刻である。図4(a)に示す例では、時刻cから後は、周囲環境情報として取得した温度が常に温度閾値Aよりも高い状態であるため、環境モニタステップS2を実行するたびに、エラーカウンタが1インクリメントされている。その結果として時刻dはエラーカウンタが11となった。
【0037】
この時刻dにおいて、カウント閾値を11と設定しており、エラーカウンタがカウント閾値以上となったため、カウンタ比較ステップS2dにおいて、無効処理ステップS3へと移行する判断が行われる。そして、カートリッジ1内のバイオセンサが不良になったとして、保存状態判定部7は、無効処理ステップS3を実行して排出許可信号を無効にする。この時刻d以降は、使用者は本体ケース5からバイオセンサを取り出すことは出来なくなる。
【0038】
図4(b)において、時刻eは、図4(a)の時刻aと同じく、保存状態判定部7が動作を開始した時刻である。また、図4(a)と同じく、30分ごとに環境モニタステップS2を実行している。なお、ここではカウント閾値を9とした例を示している。
【0039】
時刻fは、保存状態判定部7が時刻eで動作を開始した後、周囲環境情報として取得した温度が、初めて所定の温度範囲外となった時刻である。この時刻fにおいて、温度が温度閾値Aよりも高くなっているため、カウントアップステップS2cへ移行して、エラーカウンタが1インクリメントされエラーカウンタの値は1になる。
【0040】
時刻gは、周囲環境情報とした取得した温度が再び所定の温度範囲内に戻った時刻である。時刻fからこの時刻gまでの間に3回環境モニタステップS2が実行され、エラーカウンタは3になっている。
【0041】
時刻hは、周囲環境情報として取得した温度が再び所定の温度範囲外となった時刻である。今度は、温度が温度閾値Bよりも低くなっている。この時刻hでは、再びエラーカウンタがインクリメントされ、エラーカウンタの値は4になる。その後も、温度が温度閾値Bよりも低い状態が続き、そして時刻iにおいて、エラーカウンタが9となった。この時刻で環境モニタステップS2から無効処理ステップS3へと移行し、この後は使用者は本体ケース5からバイオセンサを取り出すことが出来なくなる。
【0042】
次に、センサ排出ボタン8と駆動制御部9について説明する。センサ排出ボタン8は、本体ケース5上に設けられた機械式の押しボタンで、使用者がこのセンサ排出ボタン8を押下すると、駆動制御部9に向けて信号を出力する。駆動制御部9はセンサ排出ボタン8からの信号を受け取ると、保存状態判定部7から出力されている排出許可信号を参照する。この排出許可信号が有効の場合には、センサ排出ボタン8からの信号を有効にして、カートリッジ格納部2内のセンサ排出機構3を駆動するための駆動信号を出力する。一方、排出許可信号が無効の場合には、センサ排出ボタン8からの信号を無効にして、センサ排出機構3へは駆動信号を出力しない。
【0043】
次に、カートリッジ1の内部構造と、センサ排出機構3について説明する。図5は、カートリッジ1の内部構造を示す断面図である。図5に示すように、カートリッジ1には、カートリッジ1の上部内壁1aからバネ13と天板14が備えられ、上部壁面と対向する壁面側に備えられたトレイ15に向けて付勢力を発生している。またトレイ15の水平方向の壁面には開口部16、17を有する。トレイ15は、このトレイ15の両脇の壁に設けられたガイド(図示せず)に案内され、開口部16、17の方向へスライド移動可能となっている。このカートリッジ1は、開口部17が、カートリッジ格納部2に設けたセンサ排出口4へと続く貫通孔4aと接続するようにカートリッジ格納部2に格納される。
【0044】
バイオセンサ18は、天板14とトレイ15の間に保持される。そして、図5(b)に示す如く、開口部17へとスライドするトレイ15に案内されて、1つずつ開口部17からカートリッジ1外へと排出される。ここでバイオセンサ18は、図6に示すように、電極21と反応部22が形成されたベース材23に上カバー24aとスペーサ24bを貼り合せて構成されている。そのため、電極部21の上側に端面19が存在する。トレイ15にはこの端面19に勘合する突起部20が設けてあり、トレイ15が開口部17へ向かってスライドすると、この突起部20が端面19を引っ掛けるようになり、それによって、バイオセンサ18はトレイ15に案内されて開口部17へと移動する。
【0045】
次に、センサ排出機構3とトレイ15について説明する。センサ排出機構3は、図7に示すように、シャフト25とこのシャフト25を駆動する駆動部26で構成される。シャフト25の、トレイ15側の端には、L字型の鉤部27が形成されている。この鉤部27は、トレイ15の突起部20付近に設けられた凹部28と勘合する形状である。
【0046】
図7(a)〜(c)は、センサ排出機構3とトレイ15の位置関係を上部視点から表した模式図である。図7(a)は、駆動制御部9から駆動信号9aが出力されず、カートリッジ1からバイオセンサ18を排出しない時の状態を示した図である。図7(a)に示すように、シャフト25はセンサ排出機構3の中に収納された状態となる。一方、図7(b)は、駆動制御部9から出力された駆動信号9aを受けて、駆動部26が、シャフト25をトレイ15側に送り、トレイ15の凹部28の下方に鉤部27を位置させた状態を示している。そして図7(c)は、図7(b)の状態を経た後、駆動部26がシャフト25を90度回転させ、鉤部27を凹部28に組み合わせた状態を示している。これを横断面の模式図で表したものが図7(d)である。この状態で、駆動部26がシャフト25を移動させると、鉤部27が凹部28の壁面に力を加え、シャフト25の動きに合わせてトレイ15が開口部16、17の間を往復移動する。
【0047】
カートリッジ1をカートリッジ格納部2から取り出す時には、シャフト25がセンサ排出機構3へ格納されていなければならない。そのために、駆動部26は、駆動制御部9から駆動信号を受けて、トレイ15を往復運動させて元の位置に戻った後に、図7(c)の状態からシャフト25を90度回転させて、図7(b)の状態にし、その後シャフト25をカートリッジ1の反対側へ移動させて、図7(a)の状態にしてセンサ排出機構3の中に格納する。
【0048】
以上のように、本実施の形態のバイオセンサ管理ケースによれば、周囲環境温度からバイオセンサの保存状態を判定し、保存状態がバイオセンサの品質を保証する範囲外であったときには、バイオセンサを取り出すためのセンサ排出機構を非駆動として、バイオセンサを取り出せないようにしたので、使用者が誤って保存状態が異常なバイオセンサを用いて測定を行うことを防ぐことが出来る。
【0049】
(実施の形態2)
図8は、本発明のバイオセンサ管理ケースの第二の実施の形態における内部ブロック図を示す。バイオセンサ管理ケースの外観図は図1と同じである。なお、本実施の形態においても、バイオセンサを血糖値センサとして、血糖値センサを保存管理する血糖値センサ管理ケースに適用した例を示すが、血糖値センサに限らず、ヘモグロビンA1Cセンサやクロマトグラフィーセンサ等の使い捨て方式のバイオセンサにも適用可能である。
【0050】
図1及び図8に示したバイオセンサ管理ケースは、複数のバイオセンサを保持したカートリッジ1を格納するカートリッジ格納部2を有し、このカートリッジ格納部2内に設けたセンサ排出機構3が前記バイオセンサをセンサ排出口4から排出する構成とした本体ケース5内に、この本体ケース5の周囲環境情報を取得する環境情報取得部6と、この環境情報取得部6が出力する周囲環境情報を用いてバイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部7と、本体ケース5に設けられたセンサ排出指示ボタン8が出力する信号を受けてセンサ排出機構3の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部9を備え、センサ排出機構3は、保存状態判定部7が出力する排出許可信号を受けて、駆動制御部9からバイオセンサを排出する駆動信号が入力された時に、この排出許可信号が無効であった場合、バイオセンサを使用不能状態にするためのセンサ加工部29を設ける構成としている。
【0051】
さらに、カートリッジ格納部2には格納検知部10が備えられ、カートリッジ1の格納状態を格納状態信号として出力する。また、本体ケース5上に表示部11を備え、前記カートリッジ1の交換を促す表示を行う。
【0052】
本実施の形態において、第一の実施の形態と異なるところは、保存状態判定部7が出力する排出許可信号をセンサ排出機構3に入力し、センサ排出機構3内に、排出許可信号を受けて動作するセンサ加工部29を設けた点である。従って、センサ排出機構3の内部構造及び動作以外は第一の実施の形態と同じであるので、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図9は、本実施の形態におけるセンサ排出機構3とカートリッジ1内のトレイ15の構成を示す図である。センサ排出機構3に設けたセンサ加工部29は、塗布部30と、この塗布部30を端部に備えるシャフト31と、このシャフト31を駆動する駆動部32で構成される。駆動部32には、保存状態判定部7が出力する排出許可信号7aと、駆動制御部9が出力する駆動信号9aとが入力される。ここで、このシャフト31は、伸縮自在な構成となっており、駆動部32によりその伸縮が制御される。
【0054】
塗布部30には、図6に示したバイオセンサ18の反応部22に塗布された試薬を無効化する液体が貯留され、塗布部30が反応部22に接触するとその液体が反応部22に塗布されて試薬と反応し、試薬を無効化する。この液体は、例えば水である。バイオセンサ18が血糖値センサであるときには、反応部22に塗布された試薬は水と反応すると血糖値の測定が出来なくなる。そのため、多くの血糖計には、血糖値センサが水等に濡れて試薬が反応してしまった時には、血糖値センサを血糖計にセットした時にエラーと判定して測定を行わない機能が備えてある。従って、このセンサ加工部29において水を反応部22に塗布することで、このバイオセンサ18を使用不能状態とすることが出来る。
【0055】
塗布部30に貯留する水は、シャフト31の中を空洞にしてその中に溜めるようにしてもよい。さらに、本体ケース5に水注入口を設け、シャフト31と接続して水を補充するような構成にしても良い。
【0056】
ここで、本実施の形態の特徴の一つである、センサ排出機構3と駆動制御部9の動作について説明する。前記第一の実施の形態とは異なり、駆動制御部9には、保存状態判定部7から排出許可信号7aが入力されていない。そのため、駆動制御部9は、センサ排出ボタン8から信号が入力されると、駆動信号9aをセンサ排出機構3に出力する。
【0057】
駆動制御部9からの駆動信号9aを受けた駆動部26は、駆動信号9aを受けてから所定の時間が経過した後、シャフト25を駆動してバイオセンサ18の排出動作を行う。この排出動作は第一の実施の形態と同じ動作である。ここで、所定の時間とは、下記に示すバイオセンサ18を使用不能状態にするために要する時間である。
【0058】
駆動部32は、駆動制御部9から駆動信号9aを受けると、保存状態判定部7から受ける排出許可信号7aを参照する。排出許可信号7aが有効の時は、バイオセンサ18を無効化する必要はないので、何も動作せず、図9(a)に示した状態のままである。一方、排出許可信号7aが無効の時は、シャフト31をトレイ15の方へ移動させ、図9(b)に示す状態とする。そして、塗布部30がバイオセンサ18の反応部22と接触するようにシャフト31を回転させて塗布部30を上部へ持ち上げる。塗布部30が反応部22と接触する高さで所定の時間経過後、シャフト31を反対側に回転して塗布部30をもとの高さに戻し、トレイ15と反対側に移動させてセンサ排出機構3内に格納する。
【0059】
駆動制御部9から駆動信号9aが出力されて所定の時間が経過すると、本体ケース5側面のセンサ排出口4からバイオセンサ18が排出されるが、保存状態が不良の場合には、上述したようにバイオセンサ18は使用不能状態になっているため、この排出されたバイオセンサ18を用いて測定を行うことは出来ない。
【0060】
以上のように、本実施の形態のバイオセンサ管理ケースによれば、周囲環境温度からバイオセンサの保存状態を判定し、保存状態がバイオセンサの品質を保証する範囲外であったときには、バイオセンサを取り出すためのセンサ排出機構内に設けたセンサ加工部がバイオセンサを使用不能状態にするため、使用者が誤って保存状態の悪いバイオセンサを用いて測定を行うことを防ぐことが出来る。
【0061】
なお、バイオセンサ18が電気的に測定を行うものであれば、センサ加工部29の構成要素として、塗布部30の代わりに、反応部22の電極を切断する切削刃を用いても良い。この時には、駆動部32は、切削刃を反応部22に押し当てた状態で前後運動するようにする。このようにして、反応部22の電極を切断し、電気的測定が出来ないようにしてバイオセンサ18を使用不能状態とすることも出来る。
【0062】
(実施の形態3)
図10は、本発明のバイオセンサ管理システムの実施の形態を示したブロック図である。バイオセンサ管理システムの外観は図1と同じである。本実施の形態では、バイオセンサ管理システムは、図1に示すカートリッジ1と本体ケース5の両方で構成される。なお、本実施の形態においても、第一、第二の実施形態と同様に、バイオセンサを血糖値センサとして、血糖値センサを保存管理する血糖値センサ管理システムに適用した例を示すが、血糖値センサに限らず、ヘモグロビンA1Cセンサやクロマトグラフィーセンサ等の使い捨て方式のバイオセンサにも適用可能である。
【0063】
図1及び図10に示したバイオセンサ管理システムは、複数のバイオセンサを保持したカートリッジ1と、このカートリッジ1を格納するカートリッジ格納部2に設けたセンサ排出機構3がバイオセンサをセンサ排出口4から排出する構成とした本体ケース5からなり、この本体ケース5内に、周囲環境情報を取得する環境情報取得部6と、この環境情報取得部6が出力する周囲環境情報を用いてバイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部7と、本体ケース5に設けられたセンサ排出指示ボタン8が出力する信号を受けてセンサ排出機構3の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部9と、センサ排出機構3の駆動電力をカートリッジ1に設けた電力中継部33を経由して供給する駆動電力供給部34を備え、この駆動電力供給部34は、保存状態判定部7が出力する排出許可信号を入力し、この排出許可信号が無効である時に電力中継部33が断線する電圧を印加する構成としている。
【0064】
さらにカートリッジ格納部2には格納検知部10が備えられ、カートリッジ1の格納状態を格納状態信号として出力する。また、本体ケース5上に表示部11を備え、前記カートリッジ1の交換を促す表示を行う。
【0065】
前述した第一の実施の形態と異なるところは、センサ排出機構3に駆動電力を供給する駆動電力供給部34を備え、この駆動電力供給部34からセンサ排出機構3へ電力を供給するために、カートリッジ1内に電力中継部33および電極35を備えた点である。従って、前述した第一の実施の形態と同じ構成及び動作のものには同じ符号を付し、説明を省略する。
【0066】
図11は、本実施の形態におけるカートリッジ1の断面図を示したものである。図11に示すように、カートリッジ1には電力中継部33が備えられている。カートリッジ1の外壁とカートリッジ格納部2の内壁には、お互いに接触して電力を通過させるための電極35が備えられており、その電極35を介してカートリッジ1内の電力中継部33に電流が流れるようになっている。電力中継部33は、例えば、ヒューズで実現され、規定の倍の電圧がかかると、瞬時的に断線するものである。
【0067】
ここで、本実施の形態の特徴の一つである駆動電力供給部34の動作について説明する。駆動電力供給部34は、図7に示すセンサ排出機構3内の駆動部26に電力を供給するものである。この駆動電力供給部34は、例えば、本体ケース5内に備えられた図示しないバッテリに接続されたレギュレータであり、出力する電圧を調整可能な構成である。
【0068】
駆動電力供給部34には、保存状態判定部7から排出許可信号が入力され、排出許可信号が有効な時には、電力中継部33を断線させない電圧で駆動部26を駆動させる電力を出力している。駆動電力供給部34から出力された電力は、図10に示すようにカートリッジ1内の電力中継部33を介して駆動部26に届くようになっている。
【0069】
ここで、保存状態判定部7から出力される排出許可信号が無効になると、駆動電力供給部34は、電力中継部33を構成するヒューズを断線させる電圧を瞬時的に発生する。すると、電力中継部33は断線し、それ以降は、カートリッジ1を別のものに交換するまでは、駆動電力供給部34から駆動部26へ電力が届かなくなる。駆動電力が供給されなくなった駆動部26は、シャフト25を駆動出来なくなり、バイオセンサ18は排出されなくなる。ただし、駆動電力供給部34は、駆動部26がシャフト25を駆動中にはこの電圧を発生させないようにする。
【0070】
以上のように、本実施の形態のバイオセンサ管理システムによれば、周囲環境温度からバイオセンサの保存状態を判定し、保存状態がバイオセンサの品質を保証する範囲外であったときには、バイオセンサを取り出すための駆動電力を遮断してバイオセンサを取り出せないようにしたので、使用者が誤って保存状態の悪いバイオセンサを用いて測定を行うことを防ぐことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明にかかるバイオセンサ管理ケース及びバイオセンサ管理システムは、周囲環境温度からバイオセンサの保存状態を判定し、保存状態がバイオセンサの品質を保証する範囲外であったときには、バイオセンサを誤って使用しないようにしており、使用者個人がバイオセンサを管理する場合のケース等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一の実施の形態におけるバイオセンサ管理ケースを示す図
【図2】本発明の第一の実施の形態におけるバイオセンサ管理ケースの内部ブロック図
【図3】保存状態判定部の動作を表すフローチャート
【図4】周囲環境温度の時間変化と保存状態判定部の動作を説明する図
【図5】本発明の第一の実施の形態におけるカートリッジの断面図
【図6】バイオセンサの構造を示す図
【図7】本発明の第一の実施の形態におけるセンサ排出機構とトレイを示す図
【図8】本発明の第二の実施の形態におけるバイオセンサ管理ケースを示す図
【図9】センサ排出機構とトレイを示す図
【図10】本発明の第三の実施の形態におけるバイオセンサ管理システムを示す図
【図11】本発明の第三の実施の形態におけるカートリッジの断面図
【符号の説明】
【0073】
1 カートリッジ
1a カートリッジ1の上部内壁
2 カートリッジ格納部
3 センサ排出機構
4 センサ排出口
4a 貫通孔
5 本体ケース
6 環境情報取得部
7 保存状態判定部
8 センサ排出指示ボタン
9 駆動制御部
10 格納検知部
11 表示部
12 カートリッジ挿入口
12a カートリッジ挿入蓋
13 バネ
14 天板
15 トレイ
16、17 開口部
18 バイオセンサ
19 端面
20 突起部
21 電極
22 反応部
23 ベース材
24a 上カバー
24b スペーサ
25 シャフト
26 駆動部
27 鉤部
28 凹部
29 センサ加工部
30 塗布部
31 シャフト
32 駆動部
33 電力中継部
34 駆動電力供給部
35 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバイオセンサを保持したカートリッジを格納するカートリッジ格納部を有し、
このカートリッジ格納部内に設けたセンサ排出機構が前記バイオセンサをセンサ排出口から排出する構成とした本体ケース内に、
この本体ケースの周囲環境情報を取得する環境情報取得部と、
この環境情報取得部が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部と、
前記本体ケースに設けられたセンサ排出指示ボタンが出力する信号と前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号とを受けて、前記センサ排出機構の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部を備え、
この駆動制御部は、前記排出許可信号が無効である時には前記センサ排出指示ボタンが出力する信号を無効とし、前記センサ排出機構を非駆動とするバイオセンサ管理ケース。
【請求項2】
前記環境情報取得部は、前記本体ケースの周囲温度を測定し、前記周囲環境情報として出力する請求項1に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項3】
前記保存状態判定部は、前記周囲温度が所定の温度範囲外の状態が所定の時間以上続いた時に前記バイオセンサの保存状態が不良であると判定して前記排出許可信号を無効にする請求項2に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項4】
前記所定の温度範囲は、前記バイオセンサが結露する温度より大きく前記バイオセンサに塗布された反応用酵素が死活する温度よりも小さい範囲に規定される請求項3に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項5】
前記カートリッジ格納部は前記カートリッジの格納状態を検知して格納状態信号を出力する格納検知部を備え、
前記保存状態判定部は、一度前記バイオセンサの保存状態が不良であると判定すると、前記格納検知部が前記カートリッジの取り出しを検出するまでの間は前記排出許可信号を無効とする請求項3に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項6】
前記本体ケースは前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号と前記格納検知部が出力する前記格納状態信号とを受ける表示部を備え、この表示部は前記格納状態信号が前記カートリッジの装着を示している時に前記排出許可信号が無効になると、前記カートリッジの交換を促す表示を行う請求項5に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項7】
複数のバイオセンサを保持したカートリッジを格納するカートリッジ格納部を有し、
このカートリッジ格納部内に設けたセンサ排出機構が前記バイオセンサをセンサ排出口から排出する構成とした本体ケース内に、
この本体ケースの周囲環境情報を取得する環境情報取得部と、
この環境情報取得部が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部と、
前記本体ケースに設けられたセンサ排出指示ボタンが出力する信号を受けて前記センサ排出機構の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部を備え、
前記センサ排出機構は、前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号を受けて、前記駆動制御部から前記バイオセンサを排出する駆動信号が入力された時にこの排出許可信号が無効であると前記バイオセンサを使用不能状態にするセンサ加工部を設ける構成としたバイオセンサ管理ケース。
【請求項8】
前記センサ加工部は、前記バイオセンサの電極を切断する構成とした請求項7に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項9】
前記センサ加工部は、前記バイオセンサの反応部に液体を塗布する構成とした請求項7に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項10】
前記環境情報取得部は、前記本体ケースの周囲温度を測定し、前記周囲環境情報として出力する請求項7から9のいずれか一項に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項11】
前記保存状態判定部は、前記周囲温度が所定の温度範囲外の状態が所定の時間以上続いた時に前記バイオセンサの保存状態が不良であると判定して前記排出許可信号を無効にする請求項10に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項12】
前記所定の温度範囲は、前記バイオセンサが結露する温度より大きく前記バイオセンサに塗布された反応用酵素が死活する温度よりも小さい範囲に規定される請求項11に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項13】
前記カートリッジ格納部は前記カートリッジの格納状態を検知する格納検知部を備え、
前記保存状態判定部は、一度前記バイオセンサの保存状態が不良であると判定すると、前記格納検知部が前記カートリッジの取り出しを検出するまでの間は前記排出許可信号を無効とする請求項11に記載のバイオセンサ管理ケース。
【請求項14】
複数のバイオセンサを保持したカートリッジと、
このカートリッジを格納するカートリッジ格納部に設けたセンサ排出機構が前記バイオセンサをセンサ排出口から排出する構成とした本体ケースからなり、
この本体ケース内に、
周囲環境情報を取得する環境情報取得部と、
この環境情報取得部が出力する前記周囲環境情報を用いて前記バイオセンサの保存状態を判定して排出許可信号を出力する保存状態判定部と、
前記本体ケースに設けられたセンサ排出指示ボタンが出力する信号を受けて前記センサ排出機構の駆動を制御する駆動信号を出力する駆動制御部と、
前記センサ排出機構の駆動電力を前記カートリッジに設けた電力中継部を経由して供給する駆動電力供給部を備え、
この駆動電力供給部は、前記保存状態判定部が出力する前記排出許可信号を入力し、この排出許可信号が無効である時に前記電力中継部が断線する電圧を印加する構成としたバイオセンサ管理システム。
【請求項15】
前記環境情報取得部は、前記本体ケースの周囲温度を測定し、前記周囲環境情報として出力する請求項14に記載のバイオセンサ管理システム。
【請求項16】
前記保存状態判定部は、前記周囲温度が所定の温度範囲外の状態が所定の時間以上続いた時に前記バイオセンサの保存状態が不良であると判定して前記排出許可信号を無効にする請求項15に記載のバイオセンサ管理システム。
【請求項17】
前記所定の温度範囲は、前記バイオセンサが結露する温度より大きく前記バイオセンサに塗布された反応用酵素が死活する温度よりも小さい範囲に規定される請求項15に記載のバイオセンサ管理システム。
【請求項18】
請求項1から13に記載のバイオセンサ管理ケースと、
このバイオセンサ管理ケースのカートリッジ格納部に格納されるカートリッジからなるバイオセンサ管理システムであって、
前記カートリッジは、2つの対向する開口部を有するカートリッジケース内に、
これら2つの対向する開口部の方向に移動可能なトレイと、
このトレイにバイオセンサを付勢させるためのバネ及び天板とを備え、
前記トレイは、前記バイオセンサの有する端面に勘合する突起部を有している構成としたバイオセンサ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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