説明

バイオチップ、バイオセンサ、及び検査システム

【課題】軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現可能なバイオチップ等を提供する。
【解決手段】本発明のバイオチップは、インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップであって、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極と、薄膜トランジスタと、を備える。また、本発明のバイオチップは、円形状をなし、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極が円周に沿って複数配置されたものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオチップ、バイオセンサ、及び検出システムに関し、特に、軽薄短小、高性能、かつ低コストのマイクロデバイスを実現可能な、バイオチップ、バイオセンサ、及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
疾患の診断や、薬物代謝に関する個人差の検出、食品や環境モニタ等の目的で、DNA、たんぱく質等の生体関連物質の検査をするための種々の方法が開発されている。
【0003】
例えば、ピン電極を有する遺伝子の検出用チップ(特許文献1を参照)や、電気信号検出可能なたんぱく質解析チップ(特許文献2を参照)が提案されている。
また、所定のセンサ部の表面にノズルから噴出させた所定の酵素を含む高分子溶液を付着させることにより酵素膜を形成・固定化して、酵素固定化膜を設けるバイオセンサの製造方法が提案されている(特許文献3を参照)。
また、インクジェットノズルより薄膜材料溶液をマイクロドットで微小電極表面上に印刷して高密度微小電極を形成するセンサーデバイスの製造方法が提案されている(特許文献4を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−242135号公報
【特許文献2】特開2004−20238号公報
【特許文献3】特開昭61−245051号公報
【特許文献4】特開2000−33712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように解析チップやバイオセンサは各種提案されているが、高性能な検出・検査を実現することができ、軽薄短小、かつ低コストのマイクロデバイスは提供されていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現可能な、バイオチップ、バイオセンサ、及び検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、所定のバイオチップ及び/又は所定のバイオセンサを採用することにより、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスが実現可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップであって、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極と、薄膜トランジスタと、を備えた、バイオチップ;(2)試料溶液を収容する凹部を形成するウェルと、該凹部内に備えられた前記検出電極と、をさらに備えた、前記(1)記載のバイオチップ;(3)インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップであって、該バイオチップは円形状をなし、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極が円周に沿って複数配置された、バイオチップ;(4)バイオチップを着脱可能に収容する収容部と、インクジェット方式により試料溶液を吐出するインクジェットヘッド部と、該ノズルからの液滴の吐出を制御するコントローラと、バイオチップの解析データを蓄積するメモリと、駆動用バッテリと、を少なくとも備えたバイオセンサであって、前記インクジェットヘッド部は、試料溶液が供給されるキャビティと、該キャビティへ試料溶液を供給する供給部と、該キャビティに連通しかつバイオチップの各検出電極に対応して配置された複数のノズルと、からなり、かつ、前記インクジェットヘッド部はバイオセンサ本体から着脱可能である、バイオセンサ;(5)RFタグ用回路基板をさらに備えた、前記(4)記載のバイオセンサ;(6)前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のバイオチップと、前記(4)又は(5)記載のバイオセンサとからなる、検査システム;を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオチップ、バイオセンサ、及び検査システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0011】
(バイオチップ)
本発明のバイオチップは、インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップであって、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極と、薄膜トランジスタと、を備えたものである。
【0012】
(第1の実施形態に係るバイオチップ)
図1は、第1の実施形態に係るバイオチップとバイオセンサとの関係を示す図である。
図1に示すように、バイオチップ10はバイオセンサ20に着脱可能であり、プラスチック基板15と、この上に形成された複数の検出電極12と、薄膜トランジスタ(TFT)75と、を備えている。
【0013】
図2に、バイオチップ10の一部断面図を示す。図2に示すように、バイオチップ10は、プラスチック基板15と、その上に積層されたアンダーコート層16と、その上に設けられたソース領域/ドレイン領域17、絶縁膜18、ゲート電極19、ゲート絶縁膜52、配線層53、及び絶縁層54からなる薄膜トランジスタ75と、を備える。さらに、バイオチップ10は、試料溶液を収容する凹部を形成する複数のウェル62と、各凹部内に備えられた複数の検出電極12とを備えている。
検出電極12は、作用電極(例えば、金)と参照電極(例えば、Ag/AgCl)と対抗電極(例えば、カーボン)の3本の配線(図示せず)と、この配線を取り出す電極パッド61と、を備える。3本の配線は、配線層53内に設けられ、バイオチップ10上に実装された薄膜トランジスタ75に連通している。
【0014】
電極パッド61の表面には、生体に特異的な反応が効率良く起こるように、生化学反応場が構築されている。各電極パッド61の表面には、それぞれ異なる種類の生化学反応性分子が固定され、異なる生化学反応をパラレルにモニターできるように構成してもよい。
【0015】
上記構成により、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現することができる。
また、本発明のバイオチップは、バイオセンサに着脱可能であり低コストであるので、使い捨てや再利用に供することができる。
【0016】
(バイオセンサ)
本発明のバイオセンサは、バイオチップを着脱可能に収容する収容部と、インクジェット方式により試料溶液を吐出するインクジェットヘッド部と、該ノズルからの液滴の吐出を制御するコントローラと、バイオチップの解析データを蓄積するメモリと、駆動用バッテリと、を少なくとも備えたバイオセンサであって、前記インクジェットヘッド部は、試料溶液が供給されるキャビティと、該キャビティへ試料溶液を供給する供給部と、該キャビティに連通しかつバイオチップの各検出電極に対応して配置された複数のノズルと、からなり、かつ、前記インクジェットヘッド部はバイオセンサ本体から着脱可能である、ものである。
【0017】
(第1の実施形態に係るバイオセンサ)
図1に示すように、バイオセンサ20は、バイオチップ10を着脱可能に収容する収容部81を有するバイオセンサ本体83と、本体83から着脱可能であるインクジェットヘッド部82と、本体83内に設けられインクジェットヘッド部82からの液滴の吐出を制御するコントローラ(図示せず)と、バイオチップの解析データを蓄積するメモリ(図示せず)と、駆動用バッテリ22と、RFタグ用回路基板21と、試料溶液の供給部86と、を備える。
駆動用バッテリ22は、太陽電池や水素駆動電池であってもよい。メモリは、例えばフラッシュメモリである。
【0018】
図3は、インクジェットヘッド部82の概略断面図である。インクジェットヘッド部82は、SEAJet(登録商標)と呼ばれるヘッド構造であり、電極間に電圧を印加することにより静電駆動方式により試料溶液をオンデマンドで吐出することができるものである。
図3に示すように、インクジェットヘッド部82は、試料溶液が供給されるキャビティ85と、キャビティ85へ試料溶液を供給する供給部86と、128個のノズル87と、ガラス基板91と、キャビティ85及び振動板97を備えたシリコンキャビティ基板92と、ノズル87を備えたシリコンノズル基板93と、から構成される。各基板91、92、93は、異方性ディープエッチング、集中パターニングエッチングといったMEMSプロセスを応用して接合して作製される。
【0019】
シリコンキャビティ基板92の下部には振動板97が設けられており、ガラス基板91の表面には振動板97に対向している部分に一定深さの凹部が形成され、該凹部底面に個別電極94(インジウムスズ酸化物)が形成されている。個別電極94と対応する振動板97とは一定の間隔で対向している。
128固のノズル87は、バイオチップ10の各検出電極12に対応して配置され、かつキャビティ85に連通している。キャビティ85は振動板97を備えた圧力室であり、ヘッド幅方向(図3の紙面に直交する方向)に向けて相互に隔壁(図示せず)を介して複数配列されている。
複数の各キャビティ85は、それぞれ通路95を介して、共通インク室96に連通している。共通インク室96には、試料溶液の供給部86が連通している。
【0020】
試料溶液としては、酵素、抗体、機能たんぱく質等の生体関連物質が、緩衝液やエチレングリコール等で溶液化されたもの、血液等の体液、あるいは、バイオチップ10の電極パッド61上に固定された生体分子と相互作用する誘導体物質等、が好適に挙げられる。
【0021】
マイクロシリンジ等により試料溶液を供給部86へ供給し、シリコンキャビティ基板92の後端部分に形成した共通電極98と、各個別電極94との間に、駆動制御回路84により駆動電圧を印加すると、これらの間に発生する静電気力によって振動板97が個別電極94の側に変位し、駆動電圧を遮断すると振動板97が弾性により変位前の位置に戻ることから各キャビティ85に圧力変動が発生し、これにより、試料溶液を供給部86から共通インク室96、通路95、キャビティ85、ノズル87へと移動させ、ノズル87から吐出させる。ノズル87から吐出されたマイクロ滴は、バイオチップ10の各電極パッド61上に吐出される。
【0022】
上記構成により、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現することができる。
また、本発明のバイオセンサにおいては、インクジェットヘッド部82がバイオセンサ本体83に着脱可能であるので、使い捨てや再利用に供することができる。
また、バイオセンサ本体83がメモリを備えているので、バイオチップ10上で検出された電流信号をトランジスタ増幅回路を通して、アナログ−デジタル変換され、解析データとして蓄積することができる。さらに、RFタグ用回路基板21を備えているので、メモリに蓄積された解析データを逐次、ホストコンピュータにワイヤレス送信することができる。
【0023】
(バイオチップの製造)
図4に、バイオチップ10の製造工程の一例を示す。本製造例では、転写プロセスを用いて、プラスチック基板上に低温多結晶Si TFTを形成するSUFTLA技術(登録商標)(Surface Free Technology by Laser Ablation / Annealing)を用いる。
【0024】
まず、図4(a)に示すように、ガラス基板71上に、薄膜トランジスタ層72を形成する。具体的には、石英板上に、アモルファスSiの犠牲層、SiO2アンダーコート層16、薄膜トランジスタ層72を順次形成した後、薄膜トランジスタ層72の上に、水溶性粘着剤を塗布し、ガラス基板71を形成する。その後、石英板の下面からXeClエキシマ・レーザを照射して、石英板及び犠牲層をアンダーコート層16から剥離させる。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、薄膜トランジスタ層72上に、アンダーコート層(図示せず)を介してプラスチック基板73を形成する。具体的には、PES(poly ether sulfone)からなるプラスチック基板73上に非水溶性の粘着剤を塗布し、これに上記アンダーコート層16を接着する。
【0026】
次に、図4(c)に示すように、洗浄して上記水溶性粘着剤を溶かして、薄膜トランジスタ層72からガラス基板71を剥離する。
【0027】
一方、図4(d)及び(e)に示すように、スクリーン印刷によってプラスチック基板15上に電極パッド及び配線からなる検出電極12を形成する。スクリーン印刷においては、3電極の異なる材料パターンをもとに3種の印刷マスクを作成し、印刷する。
【0028】
次に、図4(f)に示すように、ACP(anisotropic conductive paste)からなる接着用ペーストを介して、薄膜トランジスタ層72の剥離面をプラスチック基板15上に仮接合によりアライメントする。さらに、図4(g)に示すように、仮接合体を圧着して、検出電極及び薄膜トランジスタを備えるバイオチップ10を得る。
【0029】
(第2の実施形態に係るバイオチップ)
図5は、第2の実施形態に係るバイオチップとバイオセンサとの関係を示す図である。
図5に示すように、本実施形態においては、バイオチップ110が円形状をなし、薄膜トランジスタ114が中央部に配置され、かつ検出電極112が円周に沿って複数配置された点のみが、第1の実施形態に係るバイオチップとは異なっている。
図5に示すように、検出電極112は、バイオチップ110の円周に沿って複数配置された電極パッド161と、作用電極、参照電極、及び対抗電極の3本の配線62とからなる。
【0030】
本実施形態においては、バイオチップ110を円形状とし、中央部に薄膜トランジスタ114を配置し、検出電極112を円周に沿って複数配置するため、各電極パッド161から3本の配線162が出るような引き出し配線が多い場合であっても、検出電極112を基板上に効率的・高集積に実装することができる。
【0031】
(第2の実施形態に係るバイオセンサ)
図5に示すように、本実施形態においては、バイオセンサ120は、円形状のバイオチップ110を着脱可能に収容する収容部81を有し、さらに、バイオチップ110をディスク回転させる回転機構(図示せず)と、ディスク回転と試料溶液のノズルからの吐出とを時間同期制御するコントローラ(図示せず)とを備えた点のみが、第1の実施形態に係るバイオセンサとは異なっている。
バイオチップ110を収容部81に装着させた後、試料溶液を供給部86へ供給し、駆動電圧を印加すると、共通電極と各個別電極との間に発生する静電気力によってキャビティに圧力変動が発生し、ノズルから試料溶液が短時間に円周に沿って配置された電極パッド161へ供給される。試料溶液の供給時においては、円形ディスク状のバイオチップ110を回転させて各電極パッド161に正確に液滴が吐出されるよう、ディスク回転と液滴吐出とが時間同期制御される。
本実施形態に係るバイオセンサにおいては、円形ディスク状のバイオチップ110がバイオセンサ本体83内で回転するので、ノズルは1個であってもよく、あるいは、複数であってもよい。
各電極パッド161の直径は、10μm〜3mmであることが好ましい。
【0032】
上記構成により、軽薄短小、高性能、かつ低コストのマイクロデバイスを実現することができる。
また、本発明のバイオセンサにおいては、インクジェットヘッド部182がバイオセンサ本体83に着脱可能であるので、使い捨てや再利用に供することができる。
また、試料溶液の供給時においてバイオチップ110のディスク回転と吐出とが時間同期制御されるので、効率良く試料溶液を供給・検出することができる。
【0033】
(第3の実施形態に係るバイオチップ)
図6は、第3の実施形態に係るバイオチップを示す図である。
図6に示すように、本実施形態においては、バイオチップ210が薄膜トランジスタを実装しておらず、作用電極、参照電極、及び対抗電極の3本の配線262が電極パッド261から円周外側方向へ向けて取り出された検出電極212とした点のみが、上記第2の実施形態に係るバイオチップとは異なっている。
バイオセンサとして、バイオチップ210の外形にフィットする形状で設計されたコネクタ部を有し、かつトランジスタ回路を有するものを用いれば、バイオチップ210をコネクタ部にはめ込むことにより、コネクタ部からバイオチップ本体のトランジスタ回路に直結して、解析が可能となる。
【0034】
本実施形態においては、バイオチップ210を円形状とし、検出電極212を円周に沿って複数配置するため、各電極パッド261から3本の配線262が出るような引き出し配線が多い場合であっても、検出電極212を基板上に効率的・高集積に実装することができる。
また、実施形態2の場合と同様、バイオチップ210への試料溶液の供給時においてバイオチップ210のディスク回転と吐出とが時間同期制御されるので、効率良く試料溶液を供給・検出することができる。
【0035】
(検査システム)
本発明の検査システムは、上記記載のバイオチップと上記記載のバイオセンサとからなるものである。
上記構成により、本発明の検査システムによれば、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現することができる。
【0036】
なお、上記第1〜3の実施形態においては、上記特定構造のバイオチップと上記特定構造のバイオセンサを組み合わせて用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、上記特定構造のバイオチップのみ、上記特定構造のバイオセンサのみ、又はこれと他の構成のバイオセンサやバイオチップとを組み合わせた検査システムも本発明に含まれる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本特許請求の範囲に包含される。
【0038】
まず、第1の実施形態のバイオチップ10の複数の電極パッド61を金電極で構成し、その金電極の表面を、PEG鎖をもつチオールSAM(自己組織化単分子膜)によって被覆した。
次に、グルコースデヒドロゲナーゼ酵素分子(GDH)10ユニット、メディエータとしてフェロセンカルボン酸2mM、KCl0.1M、PBSバッファ10mMを含む50μlのサンプル溶液を、SAMで被覆された4つの金電極上にそれぞれ載せて、さらにグルコース溶液を一定量(1mM、5mM、10mM、15mM、20mM)それぞれ添加した。
【0039】
次に、GDH10ユニットに代えてグルコースオキシダーゼ(GOx)10ユニットを含めた以外は上記同組成のサンプル溶液を、SAMで被覆された異なる4つの金電極上にそれぞれ載せて、さらにグルコース溶液を5mMそれぞれ添加した。
【0040】
次に、酸化反応によって発生する電子による反応電流を検出した。測定は各電極独立で同時に処理され、短時間に複数酵素反応の結果がデータとして得られた。各電極にて印加電圧を例えば−0.3Vから0.5Vまで50mV/秒の速度にて掃引させてCV曲線を作成し、そのピーク電流値により各電極の反応を評価した。評価は4つの電極から検出される測定値の平均をとった。
例えば、GDHサンプル溶液にグルコース溶液を1mM添加した場合、電極面積に対する電流密度の4つの電極における平均値は2.1×102μA/cm2であった。
【0041】
これらの測定結果を図7に示す。図7に示すように、電圧値の上昇に伴って電流値が増加することが判った。
【0042】
なお、測定方法は上記に限定されず、パルスボルタノメトリー法によって時間による反応電流(印加電圧は一定、例えば0.5Vとした場合)の変化を計測し、その速度論解析を行ってもよい。
また、各電極に例えば上記組成に0.5重量%の変性BSA及びグルタルアルデヒド2重量%を酵素分子と混合させ電極表面に固定化させてもよい。その際、電極表面には末端がアミノ基で修飾されたSAMで被覆される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態に係るバイオチップとバイオセンサとの関係を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るバイオチップの一部断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るバイオセンサのインクジェットヘッド部の概略断面図である。
【図4】バイオチップの製造工程の一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係るバイオチップとバイオセンサとの関係を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係るバイオチップを示す図である。
【図7】実施例に係り、電圧と電流値の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0044】
10,110,210 バイオチップ、20,120 バイオセンサ、12,112,212 検出電極、75,114 薄膜トランジスタ、72 薄膜トランジスタ層、15,73 プラスチック基板、16 アンダーコート層、17 ソース領域/ドレイン領域、18 絶縁膜、19 ゲート電極、52 ゲート絶縁膜、53 配線層、54 絶縁層、62 ウェル、62,162,262 配線、61,161,261 電極パッド、81 収容部、83 バイオセンサ本体、82 インクジェットヘッド部、91,71 ガラス基板、85 キャビティ、97 振動板、92 シリコンキャビティ基板、87 ノズル、93 シリコンノズル基板、94 個別電極、95 通路、96 共通インク室、86 供給部、98 共通電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップであって、
作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極と、
薄膜トランジスタと、
を備えた、バイオチップ。
【請求項2】
試料溶液を収容する凹部を形成するウェルと、該凹部内に備えられた前記検出電極と、をさらに備えた、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項3】
インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップであって、
該バイオチップは円形状をなし、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極が円周に沿って複数配置された、バイオチップ。
【請求項4】
バイオチップを着脱可能に収容する収容部と、
インクジェット方式により試料溶液を吐出するインクジェットヘッド部と、
該ノズルからの液滴の吐出を制御するコントローラと、
バイオチップの解析データを蓄積するメモリと、
駆動用バッテリと、
を少なくとも備えたバイオセンサであって、
前記インクジェットヘッド部は、試料溶液が供給されるキャビティと、該キャビティへ試料溶液を供給する供給部と、該キャビティに連通しかつバイオチップの各検出電極に対応して配置された複数のノズルと、からなり、かつ、前記インクジェットヘッド部はバイオセンサ本体から着脱可能である、バイオセンサ。
【請求項5】
RFタグ用回路基板をさらに備えた、請求項4記載のバイオセンサ。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載のバイオチップと、請求項4又は5記載のバイオセンサとからなる、検査システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−187582(P2007−187582A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6680(P2006−6680)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】