説明

バイオチップ

【課題】 ナイロン素材がかかえる問題点、すなわち、感度が十分でないこと、ナイロンに付着させる物質の付着量と表面積とが比例しないこと、蛍光発光による検出において自家蛍光がバックグラウンドとなって測定を阻害すること、これらの要因による定量的な測定ができないことを克服するバイオチップを提供することこと。
【解決手段】 金属表面を有するストランド形状の担体に無機又は有機物質が固定化されている複数種類の無機又は有機物質のアレイであって、異なる種類の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている前記アレイ。前記アレイの製造方法、利用方法、前記アレイを作製するための担体、分注チップ、分析装置も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオチップに関し、より詳細には、金属表面を有するストランド形状の担体に無機又は有機物質が固定化されているチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DNAチップといわれる、浸透性のない平面素材に高密度にDNAプローブを固定したものを用いて、多数の遺伝子発現が網羅的に測定されている。DNAチップの狭い表面積上に多数のオリゴヌクレオチドアレイを形成するためには、ピペット装置を用いて、1点1点微小量のオリゴヌクレオチド懸濁液を一定の間隔を開けて人間が分注する必要があり、その際、オリゴヌクレオチド懸濁液間の混入が起こらないように神経を使わなければならず、DNAチップの製造には手間と時間がかかっていた。
【0003】
本発明者らは、浸透性のある素材(ナイロンを処理したもの)にDNAプローブを固定し、さらに集積化をさせるために、糸状とした素材をコアピン素材に巻きつけることでらせん状に集積する技術を開発した(特許文献1〜3)。さらに吸引吐出できる容器(分注チップ)内に収納することで、自動化装置に搭載し液体の吸引吐出を行うことが可能となり、サンプルの抽出、ローディングから試薬の反応、検出まで一貫して自動化する概念を発明している(特許文献4)。
【0004】
しかし、ナイロン素材に測定するDNAプローブを固定する方法では以下の問題点があった。
【0005】
1.ナイロンに付着させることができるオリゴの量が十分でなく、その結果検出感度が不足してしまう。
2.浸透性がある素材であるため、オリゴなどの付着量と表面積とが比例しない。
3.上述のように付着量が少ないこと、さらに蛍光発光による検出を用いると、励起光により糸自体の自家蛍光がバックグラウンドとなって測定を阻害する。
4.これら要因から定量性まで含めた精密な測定ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-214759号公報
【特許文献2】WO01/53831国際公開パンフレット
【特許文献3】WO2003/7901国際公開パンフレット
【特許文献4】WO2002/63300国際公開パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ナイロン素材がかかえる上記の問題点を克服するバイオチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、糸状のナイロン素材の代わりに、金属表面を有する糸状素材(金線)を用いることで、上記の問題点を解決した。さらに、金属表面を有する糸状素材を用いることで、従来の化学発光又は蛍光による測定の他、電気化学発光による測定も可能となった。
【0009】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)金属表面を有するストランド形状の担体に無機又は有機物質が固定化されている複数種類の無機又は有機物質のアレイであって、異なる種類の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている前記アレイ。
(2)自己組織化単分子膜が形成された金属表面に無機又は有機物質が固定化されている(1)記載のアレイ。
(3)チオール、ジスルフィド又はスルフィドで自己組織化単分子膜が形成されている(2)記載のアレイ。
(4)金属表面に無機又は有機物質が直接固定化されている(1)記載のアレイ。
(5)金属表面の金属が、貴金属又は金属化合物である(1)〜(4)のいずれかに記載のアレイ。
(6)金属表面に固定化されている無機又は有機物質が生体物質、化学物質又は重金属である(1)〜(5)のいずれかに記載のアレイ。
(7)ストランド形状の担体の直径が10〜1000 μmである(1)〜(6)のいずれかに記載のアレイ。
(8)50種類以上の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている(7)記載のアレイ。
(9)ストランド形状の担体1 cm当たり1〜10種類の無機又は有機物質が固定化されている(7)又は(8)記載のアレイ。
(10)1スポットに1 nM以上の無機又は有機物質が固定化されている(7)〜(9)のいずれかに記載のアレイ。
(11)異なる種類の無機又は有機物質を1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化することを含む、(1)〜(10)のいずれかに記載のアレイの製造方法。
(12)担体とスポッターの間に電圧をかけた状態で、金属表面を有する担体に無機又は有機物質がスポットされる(11)記載の方法。
(13)(1)〜(10)のいずれかに記載のアレイを用いて、アナライトを分析する方法であって、前記アナライトを標識する随意の工程、前記アナライトと(1)〜(10)のいずれかに記載のアレイを接触させる工程、及び前記アナライトと前記アレイ中の無機又は有機物質との結合を測定する工程を含む前記方法。
(14)化学発光、蛍光又は電気化学発光によりアナライトと無機又は有機物質との結合を測定する(13)記載の方法。
(15)無機又は有機物質が固定化されている金属表面を有するストランド形状の担体を直線状に配置した状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定する(14)記載の方法。
(16)無機又は有機物質が固定化されている金属表面を有するストランド形状の担体をコアピンに巻きつけた状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定する(14)記載の方法。
(17)(1)〜(10)のいずれかに記載のアレイを作製するためのストランド形状の担体であって、無機又は有機物質を固定化することができる金属表面を持つ前記担体。
(18)(1)〜(10)のいずれかに記載のアレイとそれを収容する容器とを備えたチップ。
(19)ストランドに対して一定の間隔で配置された電極をさらに備えた(18)記載のチップ。
(20)ストランドと電極を直線状に配置した(19)記載のチップ。
(21)ストランドと電極を二重螺旋構造でコアに巻きつけた(19)記載のチップ。
(22)(18)〜(21)のいずれかに記載のチップを装着するための部材と、検体を収容するための部材と、試薬を収容するための部材と、チップに電圧をかけるための手段と、発光を検出するための手段とを備えた、電気化学発光測定装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、感度及び定量性の高いアナライトの分析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】担体処理装置(本発明の電気化学発光測定装置)の斜視図。
【図2】担体処理装置(本発明の電気化学発光測定装置)の側面図。
【図3】本発明のチップの一例(アレイのストランドと電極が平行となるように直線状に配置した形態)。
【図4】図3のチップに、試料溶液を吸引させる際の状態であって、ノズルとチップとを接続する工程の前の状態。
【図5】図3のチップに、試料溶液を吸引させた際の状態であって、ノズルとチップとを接続する工程の後の状態。
【図6】本発明のチップの別の一例(アレイのストランドと電極が二重螺旋構造をとるにように配置した形態)。
【図7】ストランドの形状の担体へ無機又は有機物質を固定化するための装置の一例。
【図8】無機又は有機物質を固定化したストランドの形状の担体をコアピンへ巻き取るための装置の一例。
【図9】LAS4000で測定した画像から数値化した発光強度。
【図10】ARGUSで測定した画像から数値化した発光強度。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、金属表面を有するストランド形状の担体に無機又は有機物質が固定化されている複数種類の無機又は有機物質のアレイであって、異なる種類の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている前記アレイを提供する。
【0014】
金属表面を有する担体は浸透性がないため、無機又は有機物質の付着量と表面積とが比例するようにできる。また、金属はナイロンと違って自家蛍光がないので、蛍光発光による検出の際に自家蛍光がバックグラウンドとなって測定を阻害するということがない。これらの結果として、定量性のある分析が可能となる。
【0015】
さらに、ストランド形状の担体を用いることにより、無機又は有機物質を固定化した後、コアピン素材に巻きつけることでらせん状に集積化することが可能となる。このように集積化したチップを吸引吐出できる容器(分注チップ)内に収納することで、自動化装置に搭載し液体の吸引吐出を行うことが可能となり、サンプルの抽出、ローディングから試薬の反応、検出まで一貫して自動化することが可能となる。
【0016】
金属表面の金属としては、金、銀、白金、銅などの貴金属、GaAs、CdS、ITO(Indium Tin Oxide)など種々の半導体や金属酸化物などの金属化合物を例示することができる。金、銀、白金、銅などの貴金属、種々の半導体や金属酸化物などの導電性の高い金属表面を有する担体を用いると、この金属表面を電極として利用することができるので、電気化学発光による測定に有利である。
【0017】
担体は、金線、銀線、白金線、銅線、アルミ線、ステンレス線、チタン線、ニッケル線、真鍮線などの金属線であってもよいし、ガラス繊維、セラミックス、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ウレタン、綿、カーボン、ゴムなどの糸状線に金、銀、白金、銅などの貴金属、GaAs、CdS、ITO(Indium Tin Oxide)など種々の半導体や金属酸化物などの金属化合物をコーティングしたものであってもよい。
【0018】
金属表面を有する担体に無機又は有機物質を固定化するには、自己組織化法により、自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers:SAMs)を金属表面に構築するとよい。SAMsは、基本的にはチオール基を有した分子を金表面に単層で並べて、その逆側(金表面と逆)に分子を固定するような官能基を導入し、そこに生体分子を固定することができる方法である。SAMsの性質は、配向した分子の長さや末端の官能基、主鎖の親水性などにより変化させることができる。チオール、ジスルフィド、スルフィド等の化合物は、金属表面にSAMsを形成することができる(以下、SAMを形成することができる化合物を「SAM試薬」ということもある)。SAM試薬としては、10-Carboxydecyl disulfide、10-Carboxy-1-decanethiol、11-Amino-1-undecanethiol, hydrochloride、11-Ferrocenyl-1-undecanethiol、11-Hydroxy-1-undecanethiol、4,4'-Dithiodibutyric acid、4,4'-Dithiodibutyric acid、 5-Carboxypentyl disulfide、 5-Carboxy-1-pentanethiol、6-Amino-1-hexanethiol, hydrochloride、6-Ferrocenyl-1-hexanethiol、 6-Hydroxy-1-hexanethiol、 7-Carboxyheptyl disulfide、 7-Carboxy-1-heptanethiol、 8-Amino-1-octanethiol, hydrochloride、8-Ferrocenyl-1-octanethiol、 8-Hydroxy-1-octanethiol、 Carboxy-EG6-undecanethiol、Dithiobis(C2-NTA)、Dithiobis(succinimidyl hexanoate) (以下、「DSH」ということもある)、Dithiobis(succinimidyl octanoate) (以下、「DSO」ということもある)、 Dithiobis(succinimidyl undecanoate)(以下、「DSU」ということもある)、 Hydroxy-EG3-undecanethiol、Hydroxy-EG6-undecanethiol、N-Fmoc-Aminohexanethiol、N-Fmoc-Aminooctanethiol、N-Fmoc-Aminoundecanethiol、3,3’-Dithiodipropionic acidなどを例示することができるが、これらに限定されることはない。SAM試薬は、末端に、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、活性エステル基、水酸基、メチル基、チオール基、リン酸基、フェロセン基などを有しているので、金属表面にSAMが形成された後、これらの基を介して、種々の無機又は有機物質と結合させることができる。例えば、カルボキシル基末端を有するDTDP(3,3’-Dithiodipropionic acid)により金基板(後述の実施例では金線)上にSAMを形成させ、表面にカルボキシル基を出す。このカルボキシル基を1-[3-(Dimethylamino)propyl]-3-ethylcarbodiimide hydrochloride(EDC)で活性エステル化し、DNAのアミノ基と結合させることができる。この他にも、
A. Okumura et al, Analytical Biochemistry 339(2005)328-337
E. A. Smith et al, Langmuir 17(2001) 2502-2507
Y. Katayama et al, Chem. Lett., 26(1997), 883-884
G. B. Sigal et al, Anal. Chem., 68,(1996) 490-497
などの文献に記載の方法で、SAMが形成された金属表面に無機又は有機物質を固定化することができる。
【0019】
SAMを形成させる基板(本発明では担体)としては、金、銀、白金、銅などの貴金属、種々の半導体、金属酸化物などが知られている。
【0020】
SAM試薬溶液中に基板(本発明では担体)を浸漬することにより、SAMを形成することができる。基板の種類、浸漬条件(例えば、溶媒、濃度、温度、時間など)により、SAMの構造や配向を制御することができる。例えば、基板が金線であり、SAM試薬がDTDPである場合、溶媒は、エタノール、dioxan dehydrated、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが適当であり、エタノールがより好ましい。DTDP濃度は、1μM〜1Mが適当であり、10μM〜100mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。浸漬温度は、0〜50 ℃が適当であり、10〜40 ℃が好ましく、20〜30 ℃がより好ましい。浸漬時間は、5分〜24時間が適当であり、10分〜6時間が好ましく、30分〜2時間がより好ましい。基板が金線であり、SAM試薬がDSUである場合、溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメルチホルムアミドなどが適当であり、ジメチルスルホキシド、ジメルチホルムアミドが好ましく、ジメチルスルホキシドがより好ましい。DSU濃度は、0.1μM〜1Mが適当であり、10μM〜100mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。浸漬温度は、0〜50 ℃が適当であり、10〜40 ℃が好ましく、20〜30 ℃がより好ましい。浸漬時間は、5分〜120時間が適当であり、15分〜48時間が好ましく、30分〜18時間がより好ましい。基板が金線であり、SAM試薬がDSOである場合、溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメルチホルムアミドなどが適当であり、ジメチルスルホキシド、ジメルチホルムアミドが好ましく、ジメチルスルホキシドがより好ましい。DSO濃度は、0.1μM〜1Mが適当であり、10μM〜100mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。浸漬温度は、0〜50 ℃が適当であり、10〜40 ℃が好ましく、20〜30 ℃がより好ましい。浸漬時間は、5分〜120時間が適当であり、15分〜48時間が好ましく、30分〜18時間がより好ましい。基板が金線であり、SAM試薬がDSHである場合、溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメルチホルムアミドなどが適当であり、ジメチルスルホキシド、ジメルチホルムアミドが好ましく、ジメチルスルホキシドがより好ましい。DSH濃度は、0.1μM〜1Mが適当であり、10μM〜100mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。浸漬温度は、0〜50 ℃が適当であり、10〜40 ℃が好ましく、20〜30 ℃がより好ましい。浸漬時間は、5分〜120時間が適当であり、15分〜48時間が好ましく、30分〜18時間がより好ましい。
【0021】
金表面にチオール(SH)基を介して無機又は有機物質を直接固定することもできる。例えば、DNAなどの末端にSH基を導入しておき、Sと金との間の配位結合で分子を直接固定する方法が知られており(Biophysical Journal Vol. 79, August 2000, 975-981)、このような方法を利用することができる。
【0022】
無機及び有機物質としては、核酸、ペプチドを含むタンパク質、糖を中心とした炭水化物、および脂質などの生体物質、ビスフェノール類、ダイオキシン、トリクロロエチレンなどの有機ハロゲン化合物、フェロセニルアルカンチオール誘導体、コバルトポルフィリン誘導体、3,3’−チオジプロピオン酸などの化学物質、セレン、カドミウム、六価クロム、鉛、亜鉛、銅、ニッケル、ヒ素、アンチモンなどの重金属を例示することができるが、これらに限定されるわけではない。本発明のアレイを用いた分析の対象となるアナライトに結合可能であれば、いかなる物質であってもよい。
【0023】
本発明のアレイにおいて、ストランド形状の担体の直径は、10〜1000 μmが適当であり、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
【0024】
50種類以上、好ましくは、50〜96種類、より好ましくは、50〜384種類の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されているとよい。複数種類の無機又は有機物質は、ストランド形状の担体の長手方向に並ぶように固定化されているとよい。無機又は有機物質のスポット間の距離は、担体がどのように配置された状態で分析に用いられるかによって異なるであろう。例えば、担体が直線状に配置された状態で分析に用いられる場合には、無機又は有機物質のスポット間の距離は、500μm〜2mmが適当であり、500μm〜1mmが好ましく、100μm〜1mmがより好ましい。また、担体がコアピンに巻きつけられた状態で分析に用いられる場合には、コアピンの直径にもよるであろうが、例えば、コアピンの直径が6mmの場合、無機又は有機物質のスポット間の距離は、1〜4mmが適当であり、1〜2mmが好ましく、0.5〜5mmがより好ましい。
【0025】
ストランド形状の担体1 cm当たり1〜10種類、好ましくは、1〜20種類、より好ましくは、1〜80種類の無機又は有機物質が固定化されているとよい。
【0026】
1スポットには、1 nM以上、好ましくは、1〜50nM、より好ましくは、1〜100nMの無機又は有機物質が固定化されているとよい。
【0027】
また、本発明は、異なる種類の無機又は有機物質を1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化することを含む、無機又は有機物質のアレイの製造方法を提供する。
【0028】
金属表面を有する担体に無機又は有機物質を固定化するには、自己組織化法により、自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers:SAMs)を構築しておくとよく、その詳細は上記の通りである。
【0029】
複数種類の無機又は有機物質は、ストランド形状の担体の長手方向に並ぶように固定化するとよい。この固定化は、プレシジョンシステムサイエンス社製のデバイスであるKenzan(製品コード D4011)101、Strand Kit(製品コード D4010)102、Stamper(製品コード
D4001)103、Spinner(製品コード D4002)104及びRotator(製品コード D4011、図示せず)を用いて、簡単な操作で短時間に行うことができる。
【0030】
図7及び図8に基づいて、ストランドへの検出用物質(無機又は有機物質)の固定化方法の一例を説明する。まず、図7に示しているように、ストランドの形状の担体はStrand KitのCassette102に巻きつけられている。次に、無機又は有機物質(通常、溶液又は懸濁液)を市販の多穴プレート(例えば、96、192、384穴プレートなど)に分注し、Kenzan101に移し取る。当該Kenzan101とCassette102をStamper103に装着し、スタンプを押すような要領で無機又は有機物質をストランド形状の担体にスポットする。Cassette102の裏面にも同様の操作を行うことにより、さらに多くの無機又は有機物質をスポットすることができる。このとき、ストランドを金線とし、図示していない電源を接続して電圧をかけた状態でスポットすることにより、より高密度に無機又は有機物質をスポットできる形態となる。
【0031】
次に、図8に示すようにCassette102をSpinner104に装着し、ノブ106を指で回して、スポットしたストランドをコアピン108に巻き取っていく。コアピンに溝を切っておけば、等間隔にストランドを巻き取ることが容易になる。コアピンをSpinnerからはずして、Rotatorに装着し(図示せず)、Rotator中で無機又は有機物質の固定化を行う(例えば、UV照射によりプローブDNAのストランドへの固定)。Rotatorに装着したコアピンを回転させることで、均一な固定化反応を行うことができる。
【0032】
金属表面を有する担体に無機又は有機物質をスポットする工程において、担体(すなわち、電極)とスポッター(例えば、Kenzan)の間に電圧をかけることによって、目的物質が配向性をもって高密度に固定化されるようにすることも可能である。例えば、DNAは−(マイナス)に荷電しているので、担体に+(プラス)の電位を、スポッターに−(マイナス)の電位をかければ、DNAは担体に配向性をもって高密度に固定化されうる。
【0033】
本発明のアレイは、血液、血清、尿、リンパ液、口腔内粘膜、爪、喀痰などの生体試料、河川水、湖水、海水、土壌などの試料に含まれるアナライトの分析に利用することができる。
【0034】
アナライトとしては、核酸、タンパク質、抗原、抗体、酵素、糖などの生体物質、サルモネラ菌、大腸菌などの細菌類、コバルト、鉄、モリブデン、銅、亜鉛、ヒ素、カドミウム、バナジウムなどの金属などを例示することができる。
【0035】
アナライトの分析は、アナライトを無機又は有機物質のアレイと接触させ、アナライトと無機又は有機物質との結合を測定することにより行うことができる。
【0036】
アナライトと無機又は有機物質との結合は、蛍光計、分光光度計、シンチレーションカウンター、質量分析計、表面プラスモン共鳴センサー、水晶振動子などの公知の技術を用いて、化学発光、蛍光又は電気化学発光により測定することができる。
【0037】
アナライトは、測定可能な標識がなされてもよく、測定可能な標識としては、蛍光標識、化学発光標識、電気化学発光標識、酵素標識、放射性標識、磁気標識などを例示することができる。標識物質としては、Marine Blue、 Cascade Blue、 Cascade Yellow、Fluorescein、Rhodamine、Phycoerythrin、CyChrome、PerCP、Texas Red、Allophycocyanin、PharRed、Oregon Green-488、Cy系色素(例えば、Cy2, Cy3, Cy3.5, Cy5, Cy7など)、Alexa系色素(例えば、Alexa-488、Alexa-532、Alexa-546、Alexa-633、Alexa-680、Alexa-700、Alexa-750など)、BODIPY系色素(例えば、BODIPY FL, BODIPY TR-など)などの蛍光物質、ルミノール、アクリジン、アダマンチルジオキタセン、シュウ酸エステル、ロフィン、ルシゲニン、イゾルミノール誘導体などの化学発光物質、トリス−ビピリジン−(4-メチルスルホン)NHSエステルルテニウム(II)錯体、ジフェニルアントラセン、テトラフェニルアントラセンなどの電気化学発光物質、POD(Hydrogen peroxidase)、AP(alkaline phosphatase)、βガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース-6-燐酸脱水素酵素などの酵素などを例示することができる。この他にも、放射性同位元素(例えば、3H, 14C, 32P, 33P, 35S, 125Iなど)などの放射性物質などの標識物質を用いてもよい。
【0038】
アナライトは、直接的に標識されてもよいし、間接的に標識されてもよい。例えば、後述の実施例においては、アナライト(オリゴヌクレオチド)をビオチニル化し、担体に固定化された無機又は有機物質のアレイ(アナライトのDNA配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド)とハイブリダイズさせた後、酵素(POD)標識ストレプトアビジンと結合させ、PODの化学発光基質を添加して発色させることにより、アナライトの検出を行った。また、電気化学発光の一例においては、アナライトに対する抗体を担体に固定化しておき、試料中のアナライト(抗原)と結合させた後、ルテニウム錯体(トリス−ビピリジン−(4-メチルスルホン)NHSエステルルテニウム(II)錯体)で標識された抗体を反応させ、電極となる担体に+(プラス)電位を与えると、ルテニウム錯体が発光する。この電気化学発光の機構を以下に説明する。電極にプラス電位を与えると、電極面に接したルテニウム錯体は2価から3価へ酸化され、同時に、共存させておいたトリプロピルアミン(TPA)も酸化される。酸化されたTPAは、脱水素後、TPAラジカルへ変化し、3価のルテニウム錯体を還元し、2価の励起状態に変化させる。不安定な励起状態のルテニウム錯体は安定な2価の状態へ遷移するとき、620
nm付近のフォトンを放出する。
【0039】
無機又は有機物質が固定化されている金属表面を有するストランド形状の担体を直線状に配置した状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定してもよいし、無機又は有機物質が固定化されている金属表面を有するストランド形状の担体をコアピンに巻きつけた状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定してもよい。
【0040】
コアピンに巻きつけた状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定する場合には、各スポットの発光が互いにクロストークして、各スポットの定量性が阻害されることを防ぐために、各スポットの発光が互いにクロストークしない位置にスポッティングを行うとよい。例えば、コアピンの直径が6mm(周囲の長さ:18.8mm)の場合には、スポット間の距離を0.5〜5mmとするとよい。あるいは、ストランドの巻き取り溝をストランド径よりも深くしてもよい。
【0041】
コアピンとしては、円柱、四角柱、三角柱などの形状で、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリルなどの材料で製造された部材を用いることができる。
【0042】
コアピンには、ストランド形状の担体を巻きつける部分に溝を形成しておいてもよい。この溝によって、ストランド形状の担体の位置を確定することができる。アナライト、標識物質などとの反応中や非特異物質の洗浄中などに生じる担体の位置ずれを予防し、測定すべきスポット位置を容易に決定することができる。
【0043】
本発明は、複数種類の無機又は有機物質のアレイを作製するためのストランド形状の担体であって、無機又は有機物質を固定化することができる金属表面を持つ前記担体も提供する。この担体は前記の通りである。
【0044】
また、本発明は、上記のアレイとそれを収容する容器とを備えたチップを提供する。アレイは、金属表面を有するストランド形状の担体に無機又は有機物質が固定化されている複数種類の無機又は有機物質のアレイであって、異なる種類の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている。
【0045】
本発明のチップは、化学発光、蛍光又は電気化学発光によりアナライトと無機又は有機物質との結合を測定するために利用することができる。電気化学発光によりアナライトと無機又は有機物質との結合を測定するためには、ストランドに対して一定の間隔で電極を配置させるとよい。ストランドの形状が直線状である場合には、ストランドに対して平行に電極を直線状に配置するとよく、ストランドがコアに巻きつけられた形状である場合には、ストランドと電極を二重螺旋構造でコアに巻きつけるとよい。
【0046】
アレイを収容する容器は、透光性であるとよく、細管、ピペット状などの形状であるとよい。
【0047】
さらに、本発明は、上記のチップを装着するための部材と、検体を収容するための部材と、試薬を収容するための部材と、チップに電圧をかけるための手段と、発光を検出するための手段とを備えた、電気化学発光測定装置を提供する。
図1は、試薬および試薬キットを収容したカートリッジ容器14を装填して試薬を処理に利用するための担体処理装置10(本発明の電気化学発光測定装置)を示す斜視図であり、図2は該装置10の側面図である。
【0048】
該担体処理装置10は、例えば、長さ250mmから400mm(X軸方向)、幅70mmから100mm(Y軸方向)、高さ300mmから500mm(Z軸方向)程度のブック状の筐体12に囲まれている。図1では、装置内部の説明の必要上、手前の側板が取り外されている。該筐体12には、懸濁液が少なくとも1の液収容部に収容され、その他、担体の処理に必要な試薬溶液等が収容されまたは収容可能な複数(この例では10個)のウェル22等が一列状に配列されて該筐体12内に着脱可能に設けられた試薬カートリッジ容器14と、該カートリッジ容器14に収容された試薬を用いて所定の処理を行うための自動処理部(15,19)と、前記試薬カートリッジ容器14が装填され該試薬カートリッジ容器14とともに手動によって、前記筐体12から該筐体12外に引き出し可能に設けられ前記筐体12の1側面に穿設された長方形状の孔に嵌挿される嵌挿板16と連結し前記試薬カートリッジ容器14を着脱可能に装填する装填箱18とを有する。
【0049】
前記自動処理部(15,19)は、分注機のノズル17と、前記筐体12内に収納された前記試薬カートリッジ容器14に対して前記ノズルヘッド15を移動可能とする移動機構19とを有する。
【0050】
前記分注機の前記ノズルヘッド15は、前記移動機構19により、筐体12内に収納された前記試薬カートリッジ容器14に対してその長手方向に相当するX軸方向にのみ移動可能なX軸移動体11と、該X軸移動体11に対して上下方向にガイド柱34に案内されて移動可能に設けられた円筒状のZ軸移動体35とを有する。前記X軸移動体11には、前記Z軸移動体35に連結したナット部が螺合し、該Z軸移動体35を上下方向に移動させるZ軸移動用ボール螺子(図示せず)が回転可能に取り付けられるとともに、前記ガイド柱34および該ガイド柱34を介して取り付けられた支持プレート39が取り付けられている。
【0051】
該ノズルヘッド15は、前記X軸移動体11に取り付けられ気体の吸引吐出を行なうシリンダと連通するステンレス管33と、該ステンレス管33の先端が差し込まれるように接続されたゴム管32と、前記Z軸移動体35に取り付けられ該ゴム管32と接続するエアパイプ27が側面から突出するように設けられ前記ゴム管32等を介して前記シリンダと連通するノズル17と、該ノズル17に着脱可能に装着された分注チップ26と、前記シリンダ内のピストンを駆動するために前記X軸移動体11に取り付けられたモータ50とを有する。したがって、前記Z軸移動体35に連動して前記分注チップ26の先端が上下すると、前記ゴム管32は曲げられたり伸ばされたりすることになる。
【0052】
また、前記X軸移動体11に取り付けられた前記支持プレート39は、前記ガイド柱34を支持し、かつ前記ボール螺子を回転可能に支持するとともに、その下側で、前記分注チップ26等のチップを前記ノズル17から脱着させるために該ノズル17の径よりも大きく前記チップ26の最も太い部分の外径よりも細いU字状の切欠き部が形成されたチップ脱着板を前後方向に移動可能に支持し、その支持プレート39の上側では、該チップ脱着板を前後方向に駆動するモータ48が該支持プレート39、したがって前記X軸移動体11に取り付けられている。前記チップ脱着板は、前記支持プレート39に取り付けられたチップ脱着板支持部材47に前後方向に移動可能に支持され、該チップ脱着板支持部材47の外側面には、前記筐体12の内壁面にX軸方向に沿って設けられたガイドレールに接して案内されるガイドローラ43が回転可能に設けられている。
さらに、前記チップ脱着支持部材47の下側には、該チップ脱着板47と連動して前後方向に動く磁石46が、磁石支持板36に支持され、該磁石46が前記ノズル17に装着された前記分注チップ26の細径管24または太径管に対し接近しまたは離間することによって該細径管または太径管内に磁場を及ぼしかつ除去することが可能である。
【0053】
該分注機のノズルヘッド15を前記筐体12内に収納された前記磁性試薬カートリッジ容器14に対して移動させる移動機構19は、前記ノズルヘッド15の前記X軸移動体11と係わり合って前記磁性試薬カートリッジ容器14の長手方向、すなわちX軸方向に沿って案内するレール31と、該ノズルヘッド15のX軸移動体11をX軸方向に沿って移動させるX軸移動用モータ30と、該X軸移動用モータ30の回転を前記X軸移動体に伝える歯車およびベルト30−1と、前記Z軸移動体35を上下方向すなわちZ軸方向に沿って案内する前記ガイド柱34と、前記Z軸移動用ボール螺子と、Z軸移動用モータ50とを有する。なお、前記シリンダ、前記モータ50は吸引吐出機構に相当する。また、前記ガイド柱34、前記Z軸移動用ボール螺子、およびZ軸移動用モータは移動機構19の内のZ軸移動機構に相当する。
【0054】
前記試薬カートリッジ容器14が装填される前記装填箱18は、その装填箱18の長手方向、すなわちX軸方向に沿って延びるガイド部材が前記筐体12内にX軸方向に沿って敷設されたガイドレール(図示せず)に案内されて手動でX軸方向に移動可能に設けられ、これによって前記磁性試薬カートリッジ容器14を前記筐体12内に完全に収納することができる。
【0055】
前記試薬カートリッジ容器14を筐体12内に装填した際には、該カートリッジ容器14が装填された装填箱18を上方向に付勢するように弾性力を加え、該装填箱18が浮き上がらないように前記カートリッジ容器14の各収容部22、23等の開口部が露出するような孔が設けられた枠体13内に収納して該カートリッジ容器14が動かないように固定する。
【0056】
該装填箱18の前記嵌挿板16が設けられた側の端部と逆側の端部には、該カートリッジ容器14が所定の位置に装填されたことを示す位置決め用の位置決め板44が設けられ、前記筐体12側に設けられたセンサ45が該位置決め板44を検知すると該カートリッジ容器14が所定位置に装填されたことを示す装填信号を出力し、該装填信号の出力があると、担体の処理が開始可能状態にあると判断されることになる。
【0057】
前記試薬カートリッジ容器14は、検体等のサンプルを収容する検体収容部38を着脱可能に保持するために基板114aに形成された保持用孔13と、該基板14aよりも上側に突出するように開口部が形成され、前記ノズル17の下降によって該ノズル17に装着可能となるように前記分注チップ26を収容するチップ収容部21と、該基板14aよりも上側に突出するように開口部が形成され、該カートリッジ容器14のウェル22の開口部を覆うように前記基板114aに貼られたフィルム等の薄膜を穿孔するために前記ノズル17の下降によって該ノズル17に装着可能となるように先端が鋭利な先細り状に形成された穿孔用チップ17aを収容する穿孔用チップ収容部20と、前記基板14aに開口部が形成され前記試薬1を含む種々の試薬が収容されまたは収容可能な液収容部22と、処理によって生成された溶液を収容する生成物収容部40を着脱可能に保持するために前記基板14aに形成された検出用スキャナー49と、前記基板14aに開口部が形成され反応を促進するために温度制御を必要とする溶液を収容する反応容器23とが一列状に配列された容器である。なお、各液収容部22、前記検体収容部38、生成物収容部40の容量は、例えば、1000μlであり、数100μlの液を収容して用いる。
【0058】
前記装填箱18には、温度制御を行うヒータを有する温度制御室41が設けられ、前記試薬カートリッジ容器14を装填した際に、前記生成物収容部40および前記反応容器23が前記温度制御室41内に収容される。
【0059】
図3に基づいて、第1の実施の形態に係るチップ51を説明する。
図3に示す該チップ51の断面図は、前記チップ処理装置10のノズル17に装着する前の状態を示す。
【0060】
該チップ51は、前記ノズル17または該ノズル17に装着される部材を介してノズル17に装着される装着用開口部52が上端に設けられ、流体の流入および流出が可能な口部53が下端に設けられたチップ状容器51aを有する。該チップ状容器51aは、前記装着用開口部52が設けられ、内部に電導性部材53a、53bが封入された太径管54と、該太径管54よりも、細く形成され、前記口部53が先端に設けられた略円筒状の細径管55と、該太径管54と細径管55との間に形成された円錐状の移行部56とを有する。前記太径管54には、その下側には、前記電導性部材53a、53bが封入される収容部54aと、その下側には、細径管55から吸引された液体を貯溜可能な貯溜部54bとを有する。ここでチップ状容器51aは樹脂性やガラス製などであって、光を透過する材質であることが望ましい。
【0061】
また装着用開口部52には前記収容部54aに貫通する穴57が設けられており、前記収容部54aには通気性のある充填部材58(例えば、発泡材フィルター)によって充填され、電導性部材53a、53bを固定するとともに、前記ノズル17からの吸引吐出される気体が充填部材58を通過できる構造にすることにより貯溜部54b内部の気体を吸引することができる。同時に、このフィルタの材質をメンブレンなどの液体を透過しない材質にすることによって誤吸引の際に液体がノズル17まで到達することを防ぐ構造とすることができる。
電導性部材53a、53bの一端は、前記装着用開口部52内部に突出部53c、53dとして突出しており、前記ノズル17にはこの電導性部材53a、53bの突出している端面に勘合する形状の穴部17aと17bが形成されている。前記形状の穴部17aと17bの上部にはそれぞれ電導性の金属線が配置されており、これらと当該電導性部材53a、53bが接触することにより、図示されていない電源部と当該電導性部材53a、53bが接続され電圧がかかる構成となる。
【0062】
該チップ51の電導性部材53a、53bは、電源接続時に互いの部材が接触して短絡することを防ぐために固定されている必要がある。そのため、略円筒状の細径管55にあっては非電導性の固定部材によって電導性部材53a、53bの間隔が固定されつつ、液体が細径管55を通過できる構成となっていることが望ましい。
【0063】
図4は、前記チップ51に、目的アナライト(例えば、生体物質)を含有する対象液76をサンプルチューブ60から吸引させる際の状態であって、ノズル17と前記チップ51とを接続する工程の前の状態を示すものである。
【0064】
サンプルチューブ60は、目的アナライト(例えば、生体物質)を含有する対象液76を内部に収納した状態で装置ステージに設置されている。装置10のノズルヘッド15はモーター駆動制御により移動体がX方向又はZ方向に移動することによりノズル17とチップ51の相対的な位置関係を設定することができるので、自動制御によりノズルと前記チップ51とを接続させることができる。
【0065】
図5は、前記チップ51に、目的アナライト(例えば、生体物質)を含有する対象液76を前記サンプルチューブ60から吸引させた際の状態であってノズル17と前記チップ51とを接続する工程の後の状態を示すものである。サンプルチューブ60から吸引され細径管55内部に導入された目的アナライト(例えば、生体物質)を含有する対象液76は、表面に検出用物質(無機又は有機物質)がスポットされている電導性部材53a、53bが格納されている細径管55内部に吸引されることにより、検出用物質(無機又は有機物質)と、対象液76中のアナライト(例えば、生体物質)との遭遇することになる。
【0066】
この場合、細径管55の体積は、チップ51全体の容積の約15%程度を占めているに過ぎない。よって、吸引吐出の対象である前記対象液76の液量は微量であっても、細径管55の容量を超えない程度に吸引と吐出を繰り返すことで、空気を導入することなく、電導性部材53a、53b上に固定された検出用物質(無機又は有機物質)と、対象液76との懸濁状態を実現して、検出用物質(無機又は有機物質)と、対象液76中のアナライト(例えば、生体物質)との遭遇性を高めることができる。
【0067】
図6に基づいて、第2の実施の形態に係るチップ61を説明する。図6に示す該チップ61は、電導性部材63、64を2重螺旋構造配置した形態であり、チップ51より容量の大きい収容部66は、その下側に連結されている細径管65の先端の開口部65aから吸引された液体を貯溜可能な貯溜部66aを備えている。電導性部材63、64は、前述されている製造方法によりコアピン67に2重螺旋状に巻きつけられており、この端部は前記チップ51と同様に開口部62に突出して配置されている電極部63a、63bに接続されている。ここで収容部66の材質も樹脂性やガラス製などであって、光を透過する材質であることが望ましい。
この場合には、前述のチップ51の形態より全長の長い電導性部材63、64を収納できることから、チップ51のスポット間隔と同様であっても、より検出用物質(無機又は有機物質)のスポット数が多くすることが可能であり、且つコアピン67の側面には溝が形成され、該溝に電導性部材63、64が収納されることから、電導性部材63、64の部材長が長くとも63、64の部材間の間隔を安定して保持できる形態となる。
【0068】
本発明のチップを用いた電気化学発光の検出方法について以下に説明する。
電導性部材上に固定された検出用物質(無機又は有機物質)と、対象液76中のアナライト(例えば、生体物質)が遭遇することにより、検出用物質(無機又は有機物質)とアナライト(例えば、生体物質)が特異的に結合する。続いてこのアナライト(例えば、生体物質)に特異的に結合するように設計された電気化学発光のための錯体を混合することにより、電導性部材上にアナライト(例えば、生体物質)が検出法物質を介して固定され、さらに該アナライト(例えば、生体物質)に錯体が特異的に結合することになる。
【0069】
よって、電導性部材上にアナライト(例えば、生体物質)が固定されている場合には、電導性部材に電圧をかけることにより、電気化学発光反応によって電圧を負荷している限り発光し、光透過性の材質の容器外壁を通過した光をチップ外部から検出できる構成となる。この状態で、装置10のノズルヘッド15はモータ駆動制御により移動体がX方向又はZ方向に移動することによりノズル17にチップ51又は61を保持し、且つ電圧をかけた状態で、自動制御により前記基板14aに形成された検出用スキャナー49内部にチップ51又は61が収納され、内部のスキャナー49により発光の有無を検出する形態とすることができる。
ここで、チップ61の形態においては、ノズル17とノズルヘッドを回転持続コネクタで接続し、ノズル自体がZ軸を中心に回転する機構とすることで、伝導性部材63a、63bに電圧をかけた状態でチップ61がスキャナー49内部で回転するので、チップ61の側面で電気化学発光により発光しているスポット点を連続的に測定できる形態となる。この場合にノズル17上部に回転駆動機構を有する機構であってもよいが、駆動機構がスキャナー49底部に備え、ノズル17自体は追従して回転する機構のみであってもよい。
【0070】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに何ら影響されることはない。
【実施例】
【0071】
〔実施例1〕自己組織化単分子膜へのDNAの固定とそのDNAへのHybridization
<材料>
濃硫酸(和光純薬 Cat.192-04696)
30%過酸化水素水(和光純薬 Cat.081-04215)
1% SDS、3,3’-Dithiodipropionic acid (DTDP)
EDC(PEACE)
100mM MES(pH5.6):0.45μmフィルターでろ過滅菌(4℃保存)
固定用オリゴ cmpT52-T12: 5’- aagttccgtatcttcgatggcgt-TTTTTTTTTTTT-3’(配列番号1)
ハイブリ用オリゴ (1) PT3T-AS-Bt: 5’-gccgataccaaagcacgttcgtggccatcgcct ggact-Biotin -3’ (配列番号2)
ハイブリ用オリゴ (2) PT52T-AS-Bt: 5’- acgccatcgaagatacggaacttatgtaga acacattaacaaatgcactcgat -Biotin -3’ (配列番号3)
PBS-T buffer:0.05% Tween20 入り1XPBS
1% BlockAce 入りPBS buffer
Blocking Buffer:1XTris Buffer、5%BSA
Avidin-POD:Streptavidin-POD(Roche)
発光試薬 Super Signal West Femto Maximum (PEACE)
<実験1:DTDP>
1. Piranha溶液(硫酸100μl+30%過酸化水素水300μl)に金線を浸し、5分間浸漬後、純水で洗浄する操作を3回繰り返した。1%SDSに浸し、洗浄した。蒸留水で洗浄した後、風乾した。
2. DTDP stock solution(100mM:100%EtOHで溶解)使用時にdH2Oで100倍希釈し、1mMにした。
3. SAMsの形成:DTDP溶液100μlに金線を入れ、室温で1時間放置した。dH2Oで2回洗浄した。
4. 固定用オリゴ 40pmol/MES buffer 50μlにEDC溶液(100mg/ml:MESで溶解調製)50μlを加えた溶液に金線を入れ、室温で15分振とうした。
5. Blocking: 金線をPBS-T 100μlで2回洗浄した後、1XTris buffer 100μlに移し、室温で15分振とうした。Blocking
Buffer 100μlに移し、室温で15分振とうした。1%BlockAce入りPBS Buffer 100μlに移し、室温で15分振とうした。PBS-T
100μlで2回洗浄した。
6. ビオチン標識ハイブリ用オリゴ((1)または(2))溶液(4pmol/25%ホルムアミド含有1XBW buffer100μl)中に金線を浸し、室温で振とうしながら15分間反応した。
7. 1%BlockAceを含む1×BW 100μlで金線を2回洗浄した。1%BlockAceを含む1×BW 80μlにPOD標識アビジン(1/2000倍希釈)20μlを加えたものに移し、室温で振とうしながら15分間反応した。1%BlockAceを含む1×BW 100μlで2回洗浄した。
8. マイクロプレートにSuper Signal 1液と2液を等量混合したもの100μlを入れ、そこに金線を入れて、LAS4000(FUJI FILM社製)で化学発光を測定した。
【0072】
<実験2:DSU、DSO、DSH>
1. Piranha溶液(硫酸100μl+30%過酸化水素水300μl)に金線を浸し、5分間浸漬後、純水で洗浄する操作を3回繰り返した。1%SDSに浸し、洗浄。蒸留水で洗浄した後、風乾した。
2. DSH、DSO、DSUそれぞれ20mMになるように脱水処理したDMSOに溶解し、Dithiobis stock solutionとした。
3. SAMsの形成:1mM Ditiobis溶液 100μlに金線を入れ、室温で1晩放置した。DMSOで2回洗浄後、真空乾燥した。
4. 固定用オリゴ 40pmol/MES buffer 50μlに金線を入れ、室温で振とうしながら1時間反応した。
5. Blocking: PBS-T 100μlで2回洗浄した金線を1XTris buffer 100μlに移し、室温で15分振とうした。Blocking
Buffer 100μlに移し、室温で15分振とうした。1%BlockAce入りPBS Buffer 100μlに移し、室温で15分振とうした。PBS-T
100μlで2回洗浄した。
6. ビオチン標識ハイブリ用オリゴ((1)または(2))溶液(4pmol/25%ホルムアミド含有1XBW buffer100μl)中に金線を浸し、室温で振とうしながら15分間ハイブリダイゼーション反応を行った。
7. 1%BlockAceを含む1×BW 100μlで2回洗浄した金線を1%BlockAceを含む1×BW 80μlにPOD標識アビジン(1/2000倍希釈)20μlを加えたもの(計100μl)に移し、室温で振とうしながら15分間反応した。1%BlockAceを含む1×BW 100μlで2回洗浄した。
8. マイクロプレートにSuper Signal 1液と2液を等量混合したもの100μlを入れ、そこに金線を入れて、LAS4000(FUJI FILM社製)で化学発光を測定した。
【0073】
<結果>
LAS4000で測定した画像から発光強度を数値化し、グラフに示した(図9)。
【0074】
〔実施例2〕自己組織化単分子膜へのAFP抗体の固定とそれを用いたAFPの解析
<材料>
濃硫酸(和光純薬 Cat.192-04696)
30%過酸化水素水(和光純薬 Cat.081-04215)
1% SDS
DMSO
DSU:Ditiobis(succinimidyl undecanoate) 同仁化学
DSO:Ditiobis(succinimidyl octanoate) 同仁化学
DSH:Ditiobis(succinimidyl hexanoate) 同仁化学
MES buffer(pH5.5)
固定用抗体 anti-AFP抗体(日本バイオテスト)
抗原 AFP(コスモバイオ)
検出用抗体 POD標識anti-AFP抗体(日本バイオテスト)
PBS-T buffer:0.05% Tween20 入り1XPBS
1% BlockAce添加IPLS buffer(50mM Tris, 150mM NaCl, 0.1% Tween20, pH8.0)
発光試薬 Super Signal West Femto Maximum (PEACE)
<操作>
1. Piranha溶液(硫酸100μl+30%過酸化水素水300μl)に金線を浸し、5分間浸漬後、純水で洗浄する操作を3回繰り返した。1%SDSに浸し、洗浄。蒸留水で洗浄した後、風乾した。
2. SAMsの形成:DSH、DSO、DSU (各1mM:dioxin dehydratedで溶解)それぞれに金線を入れ、室温で一晩放置した。DMSOで洗浄し、真空乾燥した。
3. 金線をice-cold dH2Oで洗浄した。
4. anti-AFP抗体を固定した金線は、anti-AFP抗体 1μgを50mM MES buffer (pH5.5)に入れて25μlとした溶液に入れ、室温で振とうしながら30分反応させて作製した。一方、金線を抗体でなくBlockAceでコーティングしてネガティブコントロールとした。これは1mg/ml濃度BlockAceを入れた0.1M MES Bufferに金線を入れ、室温で振とうしながら30分反応させて作製した。
5. 抗体固定した金線、BlockAceコーティング金線いずれもPBS bufferで2回洗浄後、1% BlockAce入りIPLS buffer(50mM Tris, 150mM NaCl, 0.1% Tween20, pH8.0) に移し、室温で振とうしながら30分反応させてBlocking処理を行った。PBS-T bufferで2回洗浄した。
6. 1% BlockAce入りIPLS bufferで1μg/mlに調製したAFP溶液25μlに金線を入れ、室温で振とうしながら1時間反応させた。
7. 金線を0.2% nonidet P-40を加えたTBS bufferで洗浄した後、1%BlockAce入りIPLS bufferで1/200倍希釈したPOD標識anti-AFP溶液に入れ、室温で振とうしながら1時間反応した。
8. 金線を0.2% nonidet P-40を加えたTBS bufferで洗浄した後、マイクロプレートにSuper Signal 1液と2液を等量混合したもの100μlを入れ、そこに金線を入れて、ARGUS(浜松ホトニクス社製)で化学発光を測定した。
【0075】
<結果>
ARGUSで測定した画像から発光強度を数値化し、グラフに示した(図10)。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のバイオチップは、生体分子や生体分子と結合する低分子の定量的な解析に利用することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0077】
<配列番号1>
配列番号1は、実施例1で用いた固定用オリゴヌクレオチドのDNA配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、実施例1で用いたハイブリダイゼーション用オリゴヌクレオチドのDNA配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、実施例1で用いたハイブリダイゼーション用オリゴヌクレオチドのDNA配列を示す。
【符号の説明】
【0078】
1:試薬
10:担体処理装置
11:X軸移動体
12:筐体
13:枠体
14:試薬カートリッジ容器
14a:試薬カートリッジ容器基板
15:自動処理部
16:嵌挿板
17:ノズル
18:装填箱
19:自動処理部
20:穿孔用チップ収容部
21:チップ収容部
22:液収容部
23:液収容部
24:分注チップ26の細径管
26:分注チップ
27:エアパイプ
28:反応槽
30:X軸移動用モータ
30−1:ベルト
31:レール
32:ゴム管
33:ステンレス管
34:ガイド柱
35:Z軸移動体
36:磁石支持板
37:磁石
38:検体収容部
39:支持プレート
40:生成物収容部
41:温度制御室
43:ガイドローラ
44:位置決め板
45:センサ
46:磁石
47:チップ脱着板支持部材
48:モータ
49:検出用スキャナー
50:モータ
17a:穴部
17b:穴部
51:チップ
51a:チップ状容器
52:装着用開口部
53:口部
53a:電導性部材
53b:電導性部材
53c:電導性部材53bの突出部
53d:電導性部材53aの突出部
54a:収容部
54b:貯溜部
54:太径管
55:細径管
56:移行部
57:穴
58:充填部材
60:サンプルチューブ
76:対象液
61:チップ
62:開口部
63a:電極部
63b:電極部
63:電導性部材
64:電導性部材
65:細径管
65a:先端の開口部
66:収容部
66a:貯溜部
67:コアピン
101:Kenzan
102:Cassette
103:Stamper
104:Spinner
106:ノブ
108:コアピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面を有するストランド形状の担体に無機又は有機物質が固定化されている複数種類の無機又は有機物質のアレイであって、異なる種類の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている前記アレイ。
【請求項2】
自己組織化単分子膜が形成された金属表面に無機又は有機物質が固定化されている請求項1記載のアレイ。
【請求項3】
チオール、ジスルフィド又はスルフィドで自己組織化単分子膜が形成されている請求項2記載のアレイ。
【請求項4】
金属表面に無機又は有機物質が直接固定化されている請求項1記載のアレイ。
【請求項5】
金属表面の金属が、貴金属又は金属化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のアレイ。
【請求項6】
金属表面に固定化されている無機又は有機物質が生体物質、化学物質又は重金属である請求項1〜5のいずれかに記載のアレイ。
【請求項7】
ストランド形状の担体の直径が10〜1000 μmである請求項1〜6のいずれかに記載のアレイ。
【請求項8】
50種類以上の無機又は有機物質が1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化されている請求項7記載のアレイ。
【請求項9】
ストランド形状の担体1 cm当たり1〜10種類の無機又は有機物質が固定化されている請求項7又は8記載のアレイ。
【請求項10】
1スポットに1 nM以上の無機又は有機物質が固定化されている請求項7〜9のいずれかに記載のアレイ。
【請求項11】
異なる種類の無機又は有機物質を1本のストランド形状の担体の金属表面の異なる位置に固定化することを含む、請求項1〜10のいずれかに記載のアレイの製造方法。
【請求項12】
担体とスポッターの間に電圧をかけた状態で、金属表面を有する担体に無機又は有機物質がスポットされる請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれかに記載のアレイを用いて、アナライトを分析する方法であって、前記アナライトを標識する随意の工程、前記アナライトと請求項1〜10のいずれかに記載のアレイを接触させる工程、及び前記アナライトと前記アレイ中の無機又は有機物質との結合を測定する工程を含む前記方法。
【請求項14】
化学発光、蛍光又は電気化学発光によりアナライトと無機又は有機物質との結合を測定する請求項13記載の方法。
【請求項15】
無機又は有機物質が固定化されている金属表面を有するストランド形状の担体を直線状に配置した状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定する請求項14記載の方法。
【請求項16】
無機又は有機物質が固定化されている金属表面を有するストランド形状の担体をコアピンに巻きつけた状態で、アナライトと無機又は有機物質の結合を測定する請求項14記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれかに記載のアレイを作製するためのストランド形状の担体であって、無機又は有機物質を固定化することができる金属表面を持つ前記担体。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれかに記載のアレイとそれを収容する容器とを備えたチップ。
【請求項19】
ストランドに対して一定の間隔で配置された電極をさらに備えた請求項18記載のチップ。
【請求項20】
ストランドと電極を直線状に配置した請求項19記載のチップ。
【請求項21】
ストランドと電極を二重螺旋構造でコアに巻きつけた請求項19記載のチップ。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれかに記載のチップを装着するための部材と、検体を収容するための部材と、試薬を収容するための部材と、チップに電圧をかけるための手段と、発光を検出するための手段とを備えた、電気化学発光測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−247859(P2011−247859A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124420(P2010−124420)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(502338292)ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】