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バイオチップ
説明

バイオチップ

【課題】基材上のウェル内に生理活性物質を固定化するバイオチップに関するものであって、溶液の使用量を抑えても、乾燥させることなく、効率の良いウェル内への生理活性物質の固定化を提供する。
【解決手段】生理活性物質を測定するための、仕切りによって区切られた1つ以上のウェルを持つマイクロチップにおいて、該ウェル内に、ウェル底面上部に取り外し可能な被覆体を有することを特徴として、被覆体により、溶液の使用量と乾燥を抑え、効率的なバイオチップを提供することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上にウェルを有するバイオチップであって、ウェル内に生理活性物質を固定化するバイオチップに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロチップは、固相基板表面に生理活性物質を固定化したデバイスである。例えば核酸マイクロチップの場合、核酸がプラスチックやガラスなどの固相基板上に固定されている。核酸マイクロチップの使用形態は、細胞などの検体から抽出、増幅した核酸を含む溶液をマイクロチップ上に展開し、所定時間反応させる。マイクロチップ上に固定された核酸と試料溶液中の核酸が、塩基配列の相同性に対応してハイブリダイゼーション反応を生じ、この反応率を蛍光色素や放射性同位体などの標識物によって定量化することにより、試料溶液に含まれる核酸の配列に関する情報を得ることができる。
【0003】
一般的には、多種類の核酸が固相基板上に固定されたマイクロチップは、試料を溶液状態でマイクロチップ表面に接触させる方法が用いられるが、通常はチップ全面に同じ試料溶液を接触させる方法である。
一般的な一枚物のマイクロチップの場合は、試料量を減らすために、プレパラート作製用のカバーガラスを被覆体として用い、反応面全体に試料を行き渡らせるようにして使用する。そのため、1試料に対して1枚のチップを使用という使用方法になり、同時に複数検体の処理ができないという問題があった。
近年、一つのマイクロチップ上で複数の試料を反応させるために、マイクロチップ上にウェル状の窪みを形成させたチップが開発されている(例えば特許文献1)。
【0004】
このウェル状の窪みを有するマイクロチップは、1枚のチップで複数種類の試料の検出を行う事ができるという点では大変優れているが、チップ自身の形状が特殊なため、反応の検出に使用するスキャナーが限られる、あるいは補正が必要となる可能性が高い。
そこで、通例、基板の上面上に仕切り部を配置する事で基板上にウェルを作製する手法が取られる(特許文献2)。この手法の場合、反応終了後仕切り部を取り外すと元の1枚の基板に戻るため、既存のスキャナーで容易にシグナルを読み取ることが可能である。
一般的に生理活性物質の反応は液相反応であるため、マイクロチップ上に固定された生理活性物質と試料を反応させるためには、試料を溶液状態でマイクロチップ表面に接触させ、一定時間保持する必要がある。この操作では、試料溶液とマイクロチップ表面が全面にわたって均一に接触することが重要となる。均一な接触とは、液層の厚みが一定であり、気泡などが含まれていないことである。また、反応中の試料溶液の蒸発を防ぐことも重要となる。試料溶液とマイクロチップの接触が不均一であったり、試料溶液の一部が蒸発したりすると、マイクロチップ上の位置によって反応効率に差異が生じてしまい、得られたデータの信頼性が低くなる。そのため、仕切り部を装着してウェルを作製する手法の場合、反応面が試料溶液で満たされるためには各ウェルで少なくとも100μL程度の液量が必要となり、少量の試料で検出ができるというマイクロチップのメリットが半減してしまうという問題点があった。
【0005】
また、特許文献3においては、ウェル底面部に生理活性物質を担持した重合ハイドロゲルを用いて乾燥を防ぐ方法が採られているが、構造が複雑で、またハイドロゲルを用いていることから取扱等に必要以上の注意を払う必要があり汎用がとぼしい欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−43241号公報
【特許文献2】特開2009−542222号公報
【特許文献3】特表2005−506530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基材上にウェルを有するバイオチップであって、ウェル内に生理活性物質を固定化するバイオチップに関する。
【発明を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(19)に記載の本発明により達成される。
(1)生理活性物質を測定するための、仕切りによって区切られた1つ以上のウェルを持つマイクロチップであって、該ウェル内に、ウェル底面上部に取り外し可能な被覆体を有することを特徴とするマイクロチップ
(2)前記被覆体の底面部の面積が、ウェル底面部の面積の75〜95%である(1)記載のマイクロチップ
(3)前記被覆体がウェル底面から0.1〜2.0mmの範囲で一定の高さに懸架されている(1)または(2)に記載のバイオチップ。
(4)前記被覆体が、ウェル底面側に少なくとも1つ以上の脚部を有している、または、被覆体がウェル上面側に少なくとも1つ以上のつまみ部を有し、懸架されている(1)ないし(3)いずれか1項に記載のバイオチップ。
(5)前記被覆体とウェル底面の間に溶液を展開させる(1)ないし(4)いずれか1項に記載のマイクロチップ
(6)前記被覆体の少なくとも底面側に親水化処理がなされている(1)ないし(5)いずれか1項に記載のバイオチップ。
(7)前記被覆体が2つ以上連結されているバイオチップ(1)ないし(6)いずれか1項に記載の被覆体。
(8)前記被覆体の素材がプラスチック樹脂である(1)ないし(7)いずれか1項に記載の被覆体。
(9)前記プラスチック樹脂がポリスチレン、環状ポリオレフィン、である(8)記載の被覆体。
(10)(1)記載のマイクロチップが、平面チップ上に取り外し可能な円筒又は多角筒の仕切り部材を持つバイオチップ。
(11)前記取り外し可能な仕切り部材が、プラスチック樹脂からなる(10)記載のバイオチップ。
(12)(1)記載のウェル底面に生理活性物質を固定化したバイオチップ
(13)(12)記載の生理活性物質をスポット状に固定化したバイオチップ。
(14)(12)または(13)に記載の生理活性物質が、ウェル底面に導入した一級アミノ基を介して固定化されたバイオチップ
(15)前記一級アミノ基が、一級アミノ基を側鎖に有するポリマーをウェル底面に導入された(13)記載のバイオチップ
(16)前記ポリマーが、一級アミノ基を側鎖に有するモノマーと、側鎖に親水基を有するモノマーを共重合させてなる(14)または(15)記載のバイオチップ。
(17)前記親水基が、ポリアルキレングリコール残基または2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基である(16)記載バイオチップ。
(18)前記一級アミノ基が、ヒドラジド基またはアミノオキシル基である(13)ないし(16)のいずれか1項に記載バイオチップ。
(19)前記生理活性物質が、糖鎖、レクチン、核酸、ペプチド核酸、アプタマー、オリゴペプチド、タンパク質、抗体、酵素、およびそれらの誘導体の中から選ばれる少なくとも1つであるか、又はこれらの中から少なくとも1つを含む複合体である(12)ないし
(14)いずれか1項に記載のバイオチップ。

【発明の効果】
【0009】
基材上にウェルを有するバイオチップにおいて、溶液の使用量を抑えても、乾燥させることなく、効率の良いウェル内への生理活性物質の固定化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるバイオチップ、(a)円筒状ウェル、(b)多角筒状ウェル。
【図2】本発明によるウェル被覆体、(a)脚部付きのウェル被覆体、(b)つまみ部が懸架部になっているウェル被覆体。
【図3】本発明による糖鎖チップの検出結果を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1に本発明に記載するところのウェル状の窪みを有するマイクロチップの1例を示す。マクロチップの形状は、窪みを持っていれば特に限定するものではないが、基板を彫りこんだものや、側面を立ち上げた形状のものが好適に用いることができる。
ウェルの形状は、特に限定するものではないが、平面的には円形、三角以上の多角形でよく、基板面積の効率的な使用を考慮すると正方形が好適であり、光学的測定に用いることから、平面状の底面を持つことが好ましい。
また、ウェルの数は、1つ以上であればよい。
また、既存のスキャナーで容易に検出できるように、図1の仕切り部は反応終了後取り外せる形になっているのが望ましい。
【0013】
本発明の被覆体は前記ウェル底面の上面を被覆するためのものであり、その役割は、背景技術に記載した一枚物のマイクロチップの場合の、プレパラート作製用のカバーガラスに相当するものである。しかしながら、単純にウェルサイズに応じた平面状のカバーガラスであれば、ウェル内に装着した場合、反応終了後、カバーガラスを取り除く際に、特にウェルサイズが5mm直径より小さい場合は、ピンセットの先端を入れてカバーガラスをつまんで取り外すことが困難である。
【0014】
本発明における底面被覆体は、図2に示すように、マイクロチップのウェル底面部に貼りつかないように、脚部を有する形状、またはウェルの上部から宙吊り状に懸架する形状にすることが望ましいが、脚部を持たない被覆体であっても良い。また、被覆体上部に取り外し時にピンセット等でつまみやすいように、つまみ部を設けた被覆体でも良い。
【0015】
前記のように、ウェル底面から一定の高さを有することにより、底面と被覆体の間に構成される空間部に溶液を保持することが可能となる。
被覆体の形状は、特に限定しないが、マイクロチップのウェル底面の形状と同じであることが望ましい。また。被覆体のサイズはウェル底面の面積より小さくないと、ウェル内に落とし込むことができないことから、ウェル底面の面積の、75〜95%が好ましく、さらに好ましくは80〜95%、最も好ましくは85〜95%である。
【0016】
被覆体のウェル底面からの高さは、一定の高さで0.1〜2.0mmが好ましく、よりこのましくは0.1〜1.0mmである。この高さにより、ウェル内に分注する溶液量を決める事ができる。
【0017】
被覆体の一つ目の形状として、図2に脚部を有する形状を示した。脚部の形状は特に限定
するものではないが、ウェル底面との接点が点状になる円錐形、多角錘形、または、爪状のものが、ウェル底面の有効面積を狭めないことから有用である。また、ウェル底面との接点が線状になるような、例えば台形の脚部であっても良い。
【0018】
脚部の数は、一定の高さを保持することが目的であるので3個以上が好ましく、ウェル底面の有効面積を確保するために、ウェル底面野との接点が点状になる場合は、3個であることが最も有効である。また、ウェル底面との接点が線上になる場合は、脚部は1個以上であればよい。
また、被覆体上面には、取り外しを容易にするためのつまみ部が存在してもよい。つまみ部がウェル上面の端面部より上に延びていることで被覆体の取り外しが容易になる。
また、複数の被覆体をつまみ部で連結することで、一度の複数の被覆体の取り外しが可能となり作業性を向上させる効果がある。
【0019】
次に、ウェルの上部から宙吊り状に懸架する形状の被覆体の形状について述べる。
被覆体の形状は、脚部を有する被覆体に同じであるので、つまみ部に関して記載する。
つまみ部は被覆体の上面に設けられており、取り外しを容易にするだけでなく、ウェル上面の端面部に懸架する目的にも使用でき、被覆体をウェル底面より上方に懸架することが可能となる。
この場合、つまみ部の形状は特に限定しないが、爪状のものが好適である。
つまみ部の本数は、1本以上が好ましく、水平を保つ必要から2本あれば十分であるが、3本以上でも問題は無い。
複数の被覆体のつまみ部を連結することで、一度に複数の被覆体の取り外しが可能となり作業性を向上させる効果がある。
【0020】
前記被覆体を構成する材料は、突起部やつまみ部を有する必要があることから、プラスチック樹脂を用いた成形品が最も好ましい。
プラスチック樹脂としては、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1などを用いることができるが、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、またはシリコーン樹脂組成物を使用することができる。被覆体と、ウェル底面部の間に溶液を展開させるので、展開溶液中に気泡の発生や、展開不足がないか判断するためには透明樹脂であることが好ましく、ポリスチレン、環状ポリオレフィン樹脂が好適に用いることができる。
【0021】
前記被覆体は、溶液を展開するためのものであるので、被覆体底面部、すなわち被覆体の溶液展開側は、親水化処理しておくことが好ましい。
親水化の方法は、表面酸化処理による親水化、または、親水性高分子化合物の塗布により達成できる。
親水化処理は、量産化を考慮すると、表面参加処理により親水化処理が簡便である。
具体的には、酸素、空気、アルゴンプラズマ処理に、コロナ放電処理があげられる。
【0022】
一方のマイクロチップ本体について述べる。
本発明のマイクロチップは、前記のように、ウェル部を有する形状のため、樹脂成型品であることが好ましい。
用いる樹脂は、前記被覆体に準ずるが、マイクロチップは、測定に用いるに特に光学的特性の要求が強い。例えば、蛍光標識を用いた測定時には、自家蛍光発光の少ない材質が必要となり、ポリスチレン、環状ポリオレフィン樹脂が好適に用いることができる。
また成形方法については特に限定しないが、量産性と構造の安定性を考えると射出成型であることが好ましい。
【0023】
本発明のマイクロチップは、仕切りによって区切られた1つ以上のウェルを持つことを特長としているが、一体成型であっても良いし、1枚の平板状基板のマイクロチップ上に取り外し可能な仕切り部を設けても良い。マイクロチップの測定装置が、平板状のマイクロチップの測定専用のものが市販されていることから、後者の取り外し可能な仕切り部を設けたものが好適である。
【0024】
取り外し可能な仕切り部の素材は、特に限定するものではないが、プラスチック樹脂製、金属製が好ましい。仕切り部の形状は、特に限定するものではないが、筒状のものが好ましく、円筒、多角筒状のものが特に好ましい。これらの仕切り部は、1個筒でも良いし、いくつかの円筒、多角筒状のものが一体になったものでもどちらでも良い。
【0025】
仕切り部は、平板状基板の上に取り外し可能に設けられる必要があり、その方法は特に限定するものではないが、ウェル間で液漏れが発生しない程度に平面基板に密着させる必要がある。そのために、接着剤を用いて接着させる方法が好適である。また、仕切り部をシリコーン樹脂成型品で構成させると、シリコーンの粘着性により、平板状基板に安定して固定することが可能となる。
【0026】
マイクロチップのウェル部は、生理活性物質を固定化することが必要である。そのためには表面を生理活性物質固定化のための処理を施してもよい。
表面処理方法は特に限定するものではないが、一例として、ウェル部に一級アミノ基を導入する方法がある。
ウェル部にアミノ基を導入する方法には、アンモニアガス存在下でプラズマ処理をする方法、一級アミノ基を有する高分子化合物を被覆する方法がある。
【0027】
一級アミノ基を有する高分子化合物で被覆されたものについて、当該高分子化合物は、さらに、親水性を保持するためのユニットを含むことが好ましい。この形態の基材においては、親水性を保持するためのユニットが検出対象物質の基材への物理的吸着(非特異的吸着)を抑制する役割を、それぞれ果たす。
【0028】
また、前記高分子化合物中に、疎水性基を有するユニットを有してもよい、これは疎水性基が高分子化合物を基材に結合させる役割を果たす。
【0029】
前記高分子化合物の構造は、当該ユニットを有するものであれば特に限定しないが、以下の式1の高分子化合物を好適に用いることができる。
【化1】


(式中R1、R2、R3は水素原子またはメチル基を、R4は疎水性基を示す。Xは炭素数1〜10のアルキレンオキシ基を示し、pは1〜20の整数を示す。pが2以上20以下の整数である場合、繰り返されるXは、同一であっても、または異なっていてもよい。Yはアルキレングリコール残基を含むスペーサーであり、Zは酸素原子またはNHである
。l、m、nは自然数である。)
【0030】
前記高分子化合物のウェルへの塗布は、溶液状態にしてウェルに分注し、一定時間静置して固定させた後、洗浄することにより達成できる。
【0031】
前記のように作製したマイクロチップ上に固定化する生理活性物質は、例として、前記生理活性物質が、糖鎖、レクチン、核酸、ペプチド核酸、アプタマー、オリゴペプチド、タンパク質、抗体、酵素、およびそれらの誘導体の中から選ばれる少なくとも1つであるか、又はこれらの中から少なくとも1つを含む複合体を用いることができる。
特に、還元末端を持つ糖鎖試料を固定化するのに好適である。
【0032】
次に本発明の被覆体の使用方法について述べる。
被覆体を用いる工程は、チップ上に生理活性物質を固定化する工程でも、固定化した生理活性物質に別な生理活性物質を反応させる工程でも使用することができる。
まず、ウェル内に、適当量の生理活性物質を含有する溶液を滴下し、その上から、液滴を抑えるように被覆体を懸架する。
【0033】
また、別な方法として、先にウェル内に被覆体を挿入した後、ウェル側面と被覆体の隙間から溶液を分注する方法も取ることができる。ハイスループット処理を考えると前記の溶液滴下の後から被覆体を懸架する方法が好適である。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0035】
<実施例>
(糖鎖固定化用基板の作製)
マイクロアレイの作製には住友ベークライト製、環状ポリオレフィン樹脂製のスライドガラス形状のプラスチックス基板を使用した。
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−シクロヘキシルメタクリレート−N-[2-[2-[2-(t-ブトキシカルボニルアミノオキシアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ]エ
チル]-メタクリルアミド共重合体の1.0重量%エタノール溶液にスライドを浸漬して高分子化合物を塗布した。
塗布後、2M HClで37℃、2時間処理し、Boc基を脱保護した。
【0036】
(糖鎖の固定)
続いて、二糖のラクトース(和光純薬、124−00092)を100mM酢酸ナトリウム、0.01% トライトンX−100、0.01% PVA(重合度=1500)溶液(
pH5.0)を用いて1mg/mLに調製した。 作製したラクトース溶液を、作製した基板上にスポットした後、80度で1時間反応させて基板に糖鎖を固定化した。反応終了後、超純水による洗浄を実施し未反応のラクトースを除去した。
【0037】
(ウェルの作製)
8mm四方の穴のあいたゴム板を作製した糖鎖固定基板に装着し、基板上にウェルを設けた。1ウェル内に16個の糖鎖がスポットされている。
【0038】
(固定糖鎖の検出)
Biotin標識RCA120レクチン(Vector社、B−1085)を50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.05%Tween20で5μg/mLに調製し、ウェルに3μL分注
した。続いて、7.5mm四方にカットしたカバーガラスをウェルに落としRCA120溶液をウェル内に展開した。溶液が乾燥しないように、水を含ませたキムワイプと一緒に密閉容器に保管し、室温で2時間反応させた。反応後、ウェルを形成していたゴム板をはずし、50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.5%TritonX−100用いて、室温にて2分間洗浄を行った。
【0039】
次に、Cy3−Streptavidin(GEヘルスケア、PA43001)を50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.05%Tween20で2ug/mLに調製した溶液を基板全面に展開し、室温で1時間反応させた。反応後、50mM Tris・HCl(pH7.
5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.5%
TritonX−100用いて、室温にて2分間洗浄を行った。
【0040】
糖鎖固定部分および糖鎖固定部以外の部分(バックグラウンド)について蛍光量測定を行い、その差し引いた値を計算した。測定はX−100マイクロアレイリーダー、ScanArrayLite(PerkinElmer製)を用いてCy3の蛍光強度を測定した(Laser=90、PMT=60)。結果を図3に示す。基板上にスポットした糖鎖をきちんと検出する事ができた。
【0041】
<比較例> 被覆体を用いない場合
糖鎖固定化用基板の作製、糖鎖の固定およびウェルの作製は、実施例1と同様の方法にて行った。
【0042】
(固定糖鎖の検出)
Biotin標識RCA120レクチン(Vector社、B−1085)を50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.05%Tween20で5μg/mLに調製し、ウェルに分注した。ウェル底部全面が溶液で満たされるためには、80μL以上の溶液が必要であった。室温で2時間反応させた後、ウェルを形成していたゴム板をはずし、0.05wt%Triton X−100入りトリスバッファーを用いて、室温にて2分間洗浄を行った。
次に、Cy3−Streptavidin(GEヘルスケア、PA43001)を50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.05%Tween20で2ug/mLに調製した溶液を基板全面に展開し、室温で1時間反応させた。反応後、50mM Tris・HCl(pH7.
5)、100mM NaCl、1mM CaCl、MnCl、MgCl、0.5%
TritonX−100用いて、室温にて2分間洗浄を行った。
糖鎖固定部分および糖鎖固定部以外の部分(バックグラウンド)について蛍光量測定を行い、その差し引いた値を計算した。測定はX−100マイクロアレイリーダー、ScanArrayLite(PerkinElmer製)を用いてCy3の蛍光強度を測定した(Laser=90、PMT=60)。結果を図3に示す。
【産業上の利用可能性】
【0043】
ウェルによって区切られた構造を持つマイクロチップにおいて、ウェル底面上部に取り外し可能な被覆体を有することを特長として、被覆体により、溶液の使用量と乾燥を抑え、効果な生体由来物質の使用量を抑えることができ。かつ、1つのバイオチップ上で種々の検体の反応を行うことができ、仕切り部を取り除くことで汎用の装置を使用することを可能とすることができたマイクロチップを提供する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性物質を測定するための、仕切りによって区切られた1つ以上のウェルを持つマイクロチップであって、
該ウェル内に、ウェル底面上部に取り外し可能な被覆体を有すること
を特徴とするマイクロチップ
【請求項2】
前記被覆体の底面部の面積が、ウェル底面部の面積の75〜95%である請求項1記載のマイクロチップ
【請求項3】
前記被覆体がウェル底面から0.1〜2.0mmの範囲で一定の高さに懸架されている請求項1または2に記載のバイオチップ。
【請求項4】
前記被覆体が、ウェル底面側に少なくとも1つ以上の脚部を有している、または、被覆体がウェル上面側に少なくとも1つ以上のつまみ部を有し、懸架されている請求項1ないし3いずれか1項に記載のバイオチップ。
【請求項5】
前記被覆体とウェル底面の間に溶液を展開させる請求項1ないし4いずれか1項に記載のマイクロチップ
【請求項6】
前記被覆体の少なくとも底面側に親水化処理がなされている請求項1ないし5いずれか1項に記載のバイオチップ。
【請求項7】
前記被覆体が2つ以上連結されているバイオチップ請求項1ないし6いずれか1項に記載の被覆体。
【請求項8】
前記被覆体の素材がプラスチック樹脂である請求項1ないし7いずれか1項に記載の被覆体。
【請求項9】
前記プラスチック樹脂がポリスチレン、環状ポリオレフィン、である請求項8記載の被覆体。
【請求項10】
請求項1記載のマイクロチップが、平面チップ上に取り外し可能な円筒又は多角筒の仕切り部材を持つバイオチップ。
【請求項11】
前記取り外し可能な仕切り部材が、プラスチック樹脂からなる請求項10記載のバイオチップ。
【請求項12】
請求項1記載のウェル底面に生理活性物質を固定化したバイオチップ
【請求項13】
請求項12記載の生理活性物質をスポット状に固定化したバイオチップ。
【請求項14】
請求項12または13に記載の生理活性物質が、ウェル底面に導入した一級アミノ基を介して固定化されたバイオチップ
【請求項15】
前記一級アミノ基が、一級アミノ基を側鎖に有するポリマーをウェル底面に導入された請求項13記載のバイオチップ
【請求項16】
前記ポリマーが、一級アミノ基を側鎖に有するモノマーと、側鎖に親水基を有するモノマーを共重合させてなる請求項14または15記載のバイオチップ。
【請求項17】
前記親水基が、ポリアルキレングリコール残基または2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基である請求項16記載バイオチップ。
【請求項18】
前記一級アミノ基が、ヒドラジド基またはアミノオキシル基である請求項13ないし16のいずれか1項に記載バイオチップ。
【請求項19】
前記生理活性物質が、糖鎖、レクチン、核酸、ペプチド核酸、アプタマー、オリゴペプチド、タンパク質、抗体、酵素、およびそれらの誘導体の中から選ばれる少なくとも1つであるか、又はこれらの中から少なくとも1つを含む複合体である請求項12ないし14いずれか1項に記載のバイオチップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−19707(P2013−19707A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151392(P2011−151392)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】