説明

バイオディーゼル燃料を製造するための吸着剤粒子を用いる物理的精製方法

吸着剤粒子を用いる物理的精製方法を開示する。本物理的精製方法は、バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料の製造において用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更に処理してバイオディーゼル燃料を製造することのできるバイオディーゼル燃料前駆体を製造するための物理的精製方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
脱ガムしたトリグリセリドから、コスト効率の良い方法で、リン脂質、付随する微量の成分、及び遊離脂肪酸を、効率よく且つ有効に除去する方法に関する当該技術における必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料を製造する方法の発見に関する。本発明の開示される方法によれば、脱ガムしたトリグリセリドから、コスト効率の良い方法で、リン脂質、付随する微量の成分、例えばCa、Mg、及びFe、並びに脂肪酸が除去され、更に処理してバイオディーゼル燃料を形成することのできるバイオディーゼル燃料前駆体が得られる。開示される方法は、流出水を生成することなく、且つ比較的複雑な装置、及び脱臭工程のような比較的高コストで時間のかかるプロセス工程を必要としないで、バイオディーゼル燃料前駆体を形成するのに好適である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法に関する。一つの代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法は、脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を減少させて、約2ppmより多く約10ppm以下のリンを有するリン脂質欠損トリグリセリドを形成し;そして、リン脂質欠損トリグリセリドをバイオディーゼル燃料前駆体に転化させる;工程を含む。リン脂質欠損トリグリセリドのバイオディーゼル燃料への転化は、エステル交換工程などの1以上のプロセス工程を含んでいてよい。
【0005】
他の代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法は、リン脂質欠損トリグリセリドをストリッピング媒体と接触させて、リン脂質欠損トリグリセリド内の遊離脂肪酸の量を、リン脂質欠損トリグリセリドの全重量を基準として0.04重量%より多く約0.20重量%以下の範囲の量に減少させる工程を含み、この接触工程によりバイオディーゼル燃料前駆体が生成する。
【0006】
更なる代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法は、脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を減少させて、約1ppmより多く約10ppm以下のリンを有するリン脂質欠損トリグリセリドを形成し;リン脂質欠損トリグリセリドを多数の吸着剤粒子から分離して、吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を形成し;吸着剤を含まないトリグリセリド生成物をストリッピング媒体と接触させて、吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を減少させて、バイオディーゼル燃料前駆体の全重量を基準として約0.20重量%未満の遊離脂肪酸を有するバイオディーゼル燃料前駆体を形成する;工程を含む。バイオディーゼル燃料前駆体を製造する上記記載の方法のいずれにおいても、方法は、エステル交換工程を用いてバイオディーゼル燃料前駆体をバイオディーゼル燃料に転化させる工程を更に含んでいてよい。
【0007】
本発明は、また、バイオディーゼル燃料を製造する方法に関する。一つの代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料を製造する方法は、脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を減少させて、リン脂質欠損トリグリセリドを形成し;リン脂質欠損トリグリセリドを多数の吸着剤粒子から分離して、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を形成し;吸着剤で処理したトリグリセリド生成物をストリッピング媒体と接触させて、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を減少させて、バイオディーゼル燃料前駆体を形成し;バイオディーゼル燃料前駆体を1種類以上のアルコールと反応させて、アルキルエステルをグリセリンと一緒に形成し;アルキルエステルからグリセリンを除去してバイオディーゼル燃料を形成する;工程を含む。
【0008】
本発明は、更に、バイオディーゼル燃料前駆体及び/又はバイオディーゼル燃料を製造するのに用いることのできる装置に関する。一つの代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料を製造するのに好適な装置は、脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、脱ガムしたトリグリセリド内のリン脂質の量を減少させて、リン脂質欠損トリグリセリドを形成するのに好適な混合容器;リン脂質欠損トリグリセリドを多数の吸着剤粒子から分離して吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を形成するのに好適な、混合容器と直列に配置されている濾過装置;吸着剤で処理したトリグリセリド生成物をストリッピング媒体と接触させて、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を減少させて、バイオディーゼル燃料前駆体を形成するのに好適な、濾過装置と直列に配置されている充填カラム;を有する。この装置は、バイオディーゼル燃料前駆体を1種類以上のアルコールと反応させて、アルキルエステルをグリセリンと一緒に形成するのに好適な、充填カラムと直列に配置されている反応容器;及び、アルキルエステルからグリセリンを除去してバイオディーゼル燃料を形成するのに好適な、反応容器と直列に配置されている分離ユニット;を更に有していてよい。
【0009】
本発明は、本発明方法によって製造されるバイオディーゼル燃料前駆体に関する。バイオディーゼル燃料前駆体は、更に処理して、バイオディーゼル燃料前駆体及び/又はバイオディーゼル燃料の色又は臭気などの心配のないバイオディーゼル燃料を製造することができる。得られるバイオディーゼル燃料は、ディーゼル燃料などの他の通常の燃料に代わるものとして燃焼エンジンにおいて用いることができる。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴並びに利点は、以下の開示する態様の詳細な説明及び特許請求の範囲を考察すれば明らかとなろう。
本発明の原理の理解を助けるために、本発明の特定の態様の説明を以下に与え、特定の用語を用いて、特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いることによって本発明の範囲を制限することは意図していないことが理解されよう。議論する本発明の原理の変更、更なる修正、及びかかる更なる適用は、本発明の技術分野における当業者が通常的に想到するであろうと考えられる。
【0011】
本発明は、バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法に関する。本発明は、更に、バイオディーゼル燃料を製造する方法、並びに製造されるバイオディーゼル燃料に関する。更に、本発明は、バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料を製造することのできる装置に関する。バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料を製造する代表的な方法の説明を以下に与える。
【0012】
I.バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法:
本発明は、バイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法に関する。複数のプロセス工程を含むバイオディーゼル燃料前駆体を製造する方法の一部を、以下に説明する。
【0013】
A.バイオディーゼル燃料前駆体を製造するための工程:
以下の工程を用いて、本発明のバイオディーゼル燃料前駆体を製造することができる。
1.脱ガム工程:
本発明方法を用いて処理する前に、粗トリグリセリドを脱ガム工程にかけて、トリグリセリドから「ガム」(本明細書においては、例えばリン脂質及びホスファチドを指す)を除去する。典型的な脱ガム工程においては、トリグリセリドを、トリグリセリドからガム(例えば、リン脂質及び/又はホスファチド)を除去するのに好適な制御された反応にかけて、約70ppm未満のリン、典型的には50ppm未満のリンを有する脱ガムしたトリグリセリドを得る。任意の通常の脱ガム工程を用いて、本発明方法において用いるための脱ガムしたトリグリセリドを調製することができる。
【0014】
好適な通常の脱ガム工程としては、酸脱ガム工程(例えば、リン酸、クエン酸、又は他の酸などの酸、及び水を、粗トリグリセリド又は水で脱ガムしたトリグリセリドに加え、次に遠心分離して、トリグリセリド中のホスファチドの量を減少させる);部分中和脱ガム工程(例えば、リン酸、クエン酸、又は他の酸などの酸を、粗トリグリセリド又は水で脱ガムしたトリグリセリドに加え、混合物を部分的に中和し、次に遠心分離して、トリグリセリド中のホスファチドの量を減少させる);酵素脱ガム工程(例えば、酸及び水を、粗トリグリセリド又は水で脱ガムしたトリグリセリドに加え、続いて冷却/NaOH/酵素添加/混合工程を行い、次に、引き続く加熱/遠心分離を行って、トリグリセリド中のホスファチドの量を減少させる);及び、乾燥酵素脱ガム工程(例えば、酸及び少量の水を、粗トリグリセリド又は水で脱ガムしたトリグリセリドに加え、続いて冷却/NaOH/酵素添加/混合工程を行う);が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
脱ガム方法は、米国特許4,029,686;4,588,745;4,609,500;4,629,588;4,698,185;4,927,544;5,008,047;5,069,829;5,079,208;5,239,096;5,298,638;5,626,756;5,696,278;6,111,120;6,346,286;及び6,797,172;(その全ての内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0016】
上記記載の任意の脱ガム工程から製造された脱ガムしたトリグリセリドは、以下に記載するように、本発明の方法工程を用いて更に処理することができる。典型的には、上記記載の任意の脱ガム工程から製造された脱ガムしたトリグリセリドは、70ppmより少ないリン、より典型的には50ppm未満のリンを含み、これは以下に記載するプロセス工程を用いて更に低下させることができる。
【0017】
2.吸着剤処理工程:
本発明方法においては、リン脂質及び他の微量成分を所望のレベルまで除去するために、脱ガムしたトリグリセリドを吸着剤粒子と吸着させる。典型的には、吸着剤処理工程によって、脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量を、約10ppm未満、典型的には約1ppmよりも多く約10ppm以下、より典型的には約2ppm(又は約3、又は約4、又は約5、又は約6ppm)より多く約10ppm以下の範囲に減少させる。
【0018】
本発明のこの工程においては、脱ガムしたトリグリセリドと吸着させるために、有機材料(例えば、天然及び合成ポリマー等)及び/又は無機材料(例えば、クレー、シリカ、アルミナ等のような無機酸化物)を含む天然又は合成吸着剤をはじめとする任意の商業的に入手しうる吸着剤粒子を用いることができる。例としては、天然ミネラル、処理/活性化ミネラル、モンモリロナイト、アタパルジャイト、ベントナイト、パリゴルスカイト、フラー土、珪藻岩、スメクタイト、ホルマイト、ケイ砂、石灰石、カオリン、ボールクレー、タルク、葉蝋石、パーライト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカヒドロゲル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、透析シリカ、繊維質材料、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、微結晶セルロース;アルミナゼオライト、スターチ、モレキュラーシーブ、珪藻土、イオン交換樹脂、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂、キレート樹脂、籾殻灰、逆相シリカ、漂白クレー、及び全てのタイプの活性炭、並びにこれらの混合物が挙げられる。商業的に入手しうるシリカ粒子としては、W.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子が挙げられるが、これらに限定されない。TriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子の説明は、米国特許5,336,794、5,231,201、4,939,115、4,734,226、及び4,629,588(これらのそれぞれの内容は、全て、参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0019】
この工程においては、制御された量の吸着剤粒子を、脱ガムしたトリグリセリドと混合する。脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量を所望のレベル(例えば、典型的には1ppmよりも多く約10ppm以下)に減少させるために、有効量の吸着剤粒子を用いる。脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量を所望のレベルに減少させるのに必要な吸着剤粒子の有効量は、用いる吸着剤粒子のタイプ、及びはじめの脱ガムしたトリグリセリドによって異なる。本発明の一つの望ましい態様においては、W.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できる有効量のTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子を用いる。例えば、ヨーロッパ特許出願EP−0185182−A1、及びEP−05707424−A1を参照されたい。ここでは、食用油の製造において脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量を減少させるために有効量のTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子を用いることが開示されている(そのそれぞれの内容は、全て、参照として本明細書中に包含する)。TriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子の優れた吸着特性のために、脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量を所望のレベルまで減少させるのに、より小さな濃度(例えば、脱ガムしたトリグリセリドの質量又は容積に対するシリカ粒子の質量の比)のTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子しか必要でないことが見出された。
【0020】
典型的には、脱ガムしたトリグリセリドからリン脂質及び微量金属を有効に除去するために、脱ガムしたトリグリセリドを、大気圧下において、約15分〜約45分の範囲の時間、吸着剤粒子と混合する。幾つかの態様においては、吸着剤粒子を用いる脱ガムしたトリグリセリドからのリンの有効な除去は、約15分〜約20分の範囲の時間(例えば、乾燥工程を開始するまでの最初の吸着からの全混合時間)内で行われる。
【0021】
吸着剤粒子と吸着させる前に、脱ガムしたトリグリセリドを所望の温度に予備加熱することができる。また、トリグリセリドは、吸着剤と吸着させた後に加熱することができる。任意の通常の熱交換器又はジャケット付き容器を用いて、脱ガムしたトリグリセリドを予備加熱することができる。一つの代表的な態様においては、脱ガムしたトリグリセリドを、約60℃〜約90℃、望ましくは約70℃〜約80℃の範囲の所望の温度に予備加熱する。
【0022】
混合工程に続いて、トリグリセリド/吸着剤粒子混合物は、典型的には、乾燥して、混合物中の湿分の量を、トリグリセリド/吸着剤粒子混合物の全重量を基準として最大レベルで約0.20重量%、典型的には最大で約0.10重量%まで減少させる。
【0023】
トリグリセリド/吸着剤粒子混合物を乾燥し、脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量が上記に記載したような所望のレベルに減少したら、トリグリセリド/吸着剤粒子混合物を、濾過工程によって更に処理する。
【0024】
3.濾過工程:
本発明方法においては、トリグリセリドと吸着剤粒子を分離するために、乾燥したトリグリセリド/吸着剤粒子混合物を、次に濾過装置に送る。加圧リーフフィルター、プレートフレームフィルター、キャンドルフィルター、及び/又はメンブレンフィルターのような任意のタイプの標準的/既存のフィルターを、この工程において用いることができる。
【0025】
分離されたら、通常の処理技術を用いて吸着剤粒子を処理することができる。得られる吸着剤で処理したトリグリセリド生成物は、以下に記載のようにして更に処理する。
4.ストリッピング工程:
本発明方法においては、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物をストリッピング工程にかけて、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を所望のレベルに減少させる。典型的には、ストリッピング工程によって、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の全重量を基準として約0.30重量%未満に減少させる。望ましくは、ストリッピング工程によって、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の全重量を基準として、0.05重量%より多く約0.20重量%以下、より望ましくは約0.06重量%(又は約0.07重量%、又は約0.08重量%、又は約0.09重量%)より多く約0.20重量%(又は約0.19重量%、又は約0.18重量%、又は約0.17重量%、又は約0.16重量%、又は約0.15重量%、又は約0.14重量%、又は約0.13重量%、又は約0.12重量%、又は約0.11重量%、又は約0.10重量%)以下の範囲の量に減少させる。
【0026】
ストリッピング工程の一つの利点は、脱臭プロセスと比較してコスト及び製造時間が減少することにある。ここで定義し、産業界において許容されているように、脱臭プロセス又は工程は、典型的には、油が液体のままで保持されながら不純物が気化して除去されるような条件下での蒸気撹拌を用いて、油を高真空及び高温にかけることによって、遊離脂肪酸、臭気、フレーバー、及び不安定化不純物、並びに着色物質を除去することを含む。脱臭プロセスは、米国特許4,613,410;4,588,745;4,599,143;4,601,790;4,609,500;4,804,555;4,971,660;4,996,072;5,948,209;6,172,248;及び6,953,499;(その内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。ここで定義し、産業界において許容されているように、ストリッピングプロセスは、本明細書において示す条件下で油から遊離脂肪酸を除去することを含む。
【0027】
一つの代表的な態様においては、ストリッピング媒体を用いて吸着剤で処理したトリグリセリド生成物から遊離脂肪酸をストリッピングするために、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を充填カラム中に導入する。典型的には、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物及びストリッピング媒体を、向流技術を用いて充填カラム中に導入する。例えば、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、充填カラムの上部(例えば頂部)中に導入し、充填カラムの下部(例えば底部)から取り出し、一方、ストリッピング媒体を、充填カラムの下部(例えば底部)中に導入し、(吸着剤で処理したトリグリセリド生成物からストリッピングされた遊離脂肪酸と一緒に)充填カラムの上部(例えば頂部)から取り出すことができる。
【0028】
充填カラムは、当該技術において公知の任意の通常の充填カラムであってよい。充填カラムは、充填カラムを通る吸着剤で処理したトリグリセリド生成物及びストリッピング媒体の所望の流速を可能にする寸法を有する。充填カラムが吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量を所望の時間内で所望のレベルに減少させることができる限りにおいて、任意の長さ、横断面積、及び/又は断面形状を有する充填カラムを本発明において用いることができることを理解すべきである。
【0029】
典型的には、充填カラムの反応区域内の反応表面積を増大させるように、充填カラムに充填材料を充填する。当該技術において公知の任意の充填材料を、本発明のこの代表的な態様において用いることができる。
【0030】
ストリッピング媒体は、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物から遊離脂肪酸を除去することのできる任意の媒体であってよい。好適なストリッピング媒体としては、溶媒、ガス、蒸気等が挙げられるが、これらに限定されない。一つの代表的な態様においては、ストリッピング媒体は蒸気を含む。
【0031】
一つの所望の態様においては、大気圧より低いシステム圧力でストリッピング工程を行うことができる真空システムを充填カラムに取り付ける。例えば、充填カラムのシステム圧力は、約1mbar〜約30mbar、典型的には約1mbar〜約20mbar、より典型的には約1mbar〜約10mbar、更により典型的には約1〜約5mbarの範囲であってよい。一つの代表的な態様においては、充填カラムは、ストリッピング媒体として約260℃の温度を有する蒸気を用い、約3mbarのシステム圧力を有する。
【0032】
ストリッピング媒体と接触させる前に、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物は、任意の通常の熱交換器又はジャケット付き容器を用いて、所望の温度に予備加熱することができる。一つの代表的な態様においては、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、約240℃〜約280℃、望ましくは約240℃〜約260℃の範囲の所望の温度に予備加熱する。
【0033】
この工程においては、制御された量のストリッピング媒体を、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物と混合する。吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量を所望のレベル(例えば、典型的には約0.01重量%〜約0.04重量%)に有効に減少させるように、ストリッピング媒体及び吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の両方の流速を調節することができる。
【0034】
典型的には、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量を、(吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の全重量を基準として)約0.30重量%未満(例えば、典型的には約0.04重量%〜約0.25重量%、より典型的には約0.5重量%〜約0.20重量%)に、約60分未満(例えば、平均量、例えば1mLの吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、約60分未満の時間、ストリッピング媒体と接触させる)(又は約50分未満、又は約40分未満、又は約30分未満、又は約20分未満、又は約10分未満、又は約5分未満、又は約4分未満、又は約3分未満、又は約2分未満、又は約1分未満)で有効に減少させるように、ストリッピング媒体及び吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の両方の流速を調節することができる。他の代表的な態様においては、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量を、(吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の全重量を基準として)約0.30重量%未満(例えば、典型的に約0.04重量%〜約0.25重量%、より典型的には約0.04重量%〜約0.20重量%)に、約1分未満(例えば、平均量、例えば1mLの吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、約1分未満の時間、ストリッピング媒体と接触させる)で有効に減少させるように、ストリッピング媒体及び吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の両方の流速を調節することができる。
【0035】
充填カラムを用いる態様においては、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物とストリッピング媒体との間の接触時間は、カラム内における吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の滞留時間によって定めることができる。第1の端部及び第1の端部の反対側の第2の端部を有し、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を第1の端部中に導入して第2の端部から排出し、ストリッピング媒体を第2の端部中に導入して第1の端部から排出する充填カラムに関しては、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量を、(吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の全重量を基準として)約0.30重量%未満(例えば、典型的に約0.04重量%〜約0.25重量%、より典型的には約0.04重量%〜約0.20重量%)の量に、約60分未満(例えば、平均量の吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、約60分未満、カラム中に導入するか又はカラムに通す)(又は約50分未満、又は約40分未満、又は約30分未満、又は約20分未満、又は約10分未満、又は約5分未満、又は約4分未満、又は約3分未満、又は約2分未満、又は約1分未満)で減少させることができる。
【0036】
吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量が所望のレベルに達したら、得られたバイオディーゼル燃料前駆体は、将来の使用のために貯蔵するか、或いは以下に記載のようにして更に処理してバイオディーゼル燃料前駆体をバイオディーゼル燃料に転化させることができる。
【0037】
II.バイオディーゼル燃料の製造方法:
本発明は、また、バイオディーゼル燃料の製造方法にも関する。かかる方法は、米国特許5,525,126;5,532,392;5,578,090;5,713,965;5,308,365;6,015,440;及び6,447,557;(その全内容は参照として本明細書中に包含する)に記載のようにして行うことができる。
【0038】
A.バイオディーゼル燃料を製造する工程:
以下の工程を用いて本発明のバイオディーゼル燃料を製造することができる。
1.エステル交換工程:
上記記載のプロセス工程を用いて製造されたバイオディーゼル燃料前駆体を、更に処理してバイオディーゼル燃料を製造することができる。この態様においては、バイオディーゼル燃料前駆体をエステル交換工程にかけて、バイオディーゼル燃料前駆体をより小さなエステル分子及びグリセリンに転化させる。代表的なエステル交換工程は、以下に示す反応を含む。
【0039】
【化1】

【0040】
上式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、約3〜約22個の炭素原子(より典型的には、約12〜約18個の炭素原子)を有するアルキル基であり;Rは、約1〜約4個の炭素原子(より典型的には、約1〜約2個の炭素原子)を有するアルキル基である。
【0041】
上記のエステル交換反応において示されるように、1モルのバイオディーゼル燃料前駆体から3モルの低級アルキルエステル(即ちバイオディーゼル燃料)を製造することができる。上記の反応においては、触媒を用いて反応を開始する。典型的には、エステル交換反応において用いる触媒は、酸及び塩基から選択される。好適な触媒としては、NaOH、KOH、及びNaOCHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
上記の反応では、3モルの低級アルキルアルコールが1モルのトリグリセリドと反応することが示唆される。しかしながら、通常、反応のグリセリン/アルキルエステル側に向けて反応を促進させるように、トリグリセリド1モルあたり、3モルより多い低級アルキルアルコールを用いることが通常であり、約6モルの低級アルキルアルコールを用いることがより典型的である。
【0043】
エステル交換反応に続いて、通常の分離技術を用いて低級アルキルエステルからグリセリンを分離する。
2.分離工程:
上記に記載のプロセス工程を用いて製造されたアルキルエステルを、通常の分離技術を用いて、グリセリン並びに全ての他の反応副生成物及び/又は反応物質から分離する。典型的には、アルキルエステルを、静置、遠心分離、膜分離、分子蒸留、及び超分別など(しかしながらこれらに限定されない)の通常の分離技術によって、グリセリンから分離する。
【0044】
洗浄/清浄化:
続いて、アルキルエステルを清浄化又は精製して、副生成物又は不純物(例えば石けん)を除去して、バイオディーゼル燃料(例えば、ASTM−D−6751及びDIN−EN−14214に適合するもの)を製造するのに好適なバイオディーゼル燃料前駆体を製造する。
【0045】
B.バイオディーゼル燃料を製造する代表的な方法:
本発明にしたがってバイオディーゼル燃料を製造する一つの代表的な方法を、図1A〜1Cに示す。図1Aに示されるように、代表的な方法10は、ブロック100で開始し、工程101に進み、ここで粗トリグリセリドを、上記記載の任意の脱ガムプロセスのような通常の脱ガムプロセスにかける。上記で議論したように、上記に記載のような通常の脱ガムプロセスにおいて、粗トリグリセリドのリン含量を、約50ppmより低いレベルに減少させる。代表的な方法10は、工程101から工程102に進み、ここで、充填カラム又は通常の熱交換器を用いて、脱ガムしたトリグリセリドを約70〜約90℃の温度に予備加熱する。例えば、蒸気又は幾つかの他の加熱流体(例えば、加熱水、図2に示す熱交換器31から排出される蒸気、又は図2に示す充填カラム33から排出される蒸気を含まない脂肪酸混合物)を用い、熱交換器を用いて脱ガムしたトリグリセリドを加熱することができる。代表的な方法10は、工程102から工程103に進み、ここで脱ガムし予備加熱したトリグリセリドを混合容器に加える。代表的な方法10は、工程103から工程104に進み、ここで、脱ガムし予備加熱したトリグリセリドを含む混合容器に吸着剤を加える。代表的な方法10は、工程104から工程105に進み、ここで、通常のプロセス制御装置を用いて、脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量を監視する。
【0046】
工程105において脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量を決定したら、代表的な方法10は判断ブロック106に進む。判断ブロック106においては、脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量が、約10ppmより低く、典型的には約5ppmより低いかどうかの決定を、プロセス制御装置によって行う。脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量が、約10ppmより低くなく、より典型的には約5ppmより低くないという決定が判断ブロック106においてなされた場合には、代表的な方法10は、工程104に戻り、上記に記載のように進行する。脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量が約10ppmより低いという決定が判断ブロック106においてなされた場合には、代表的な方法10は判断ブロック107に進む。
【0047】
判断ブロック107においては、脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量が約5ppm〜約10ppmの所望の範囲内であるかどうかの決定を、プロセス制御装置によって行う。脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量が約5ppm〜約10ppmの所望の範囲内でないとの決定が判断ブロック107においてなされた場合には、代表的な方法10は、工程104に戻り、上記に記載のように進行する。脱ガムし予備加熱したトリグリセリド中のリンの量が約5ppm〜約10ppmの所望の範囲内であるとの決定が判断ブロック107においてなされた場合には、代表的な方法10は工程108に進む。
【0048】
代表的な方法10の工程108においては、混合容器への吸着剤の添加を停止する。代表的な方法10は、工程108から工程109に進み、ここで、上記に記載の濾過工程を用いて吸着剤粒子からリン脂質欠損トリグリセリドを分離して、吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を得る。代表的な方法10は、工程109から工程110に進み、ここで、吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を約240℃〜約260℃の範囲の所望の温度に予備加熱する。代表的な方法10は、工程110から工程111に進み、ここで、予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を充填カラム中に導入する。上記で議論したように、予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を、充填カラムの上部又は頂部中に導入し、充填カラムの下部又は底部から排出することが望ましい。一つの望ましい態様においては、予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を、充填カラムの上部中に導入し、充填カラム内の充填材料上に下向きに噴霧する(例えば、図2の充填カラム33内に噴霧アセンブリ34を有する代表的な装置20を参照)。
【0049】
代表的な方法10は、工程111から図1Bに示す工程112に進み、ここでストリッピング媒体を充填カラム中に導入する。上記で議論したように、ストリッピング媒体を、充填カラムの下部又は底部中に導入し、(予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物からストリッピングされた遊離脂肪酸と一緒に)充填カラムの上部又は頂部から排出することが望ましい。一つの望ましい態様においては、ストリッピング媒体を、充填カラムの下部中に導入し、充填カラムの横断面形状を横切って均一に分配して、充填カラム内の充填材料に向かって上向きに移動させる(例えば、図2の充填カラム33内にストリッピング媒体分配アセンブリ36を有する代表的な装置20を参照)。
【0050】
代表的な方法10は、工程112から工程113に進み、ここで、充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を、通常のプロセス制御装置を用いて監視する。充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を工程113において決定したら、代表的な方法10は、判断ブロック114に進み、ここで、充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が、充填カラムから排出される生成物の全重量を基準として約0.20重量%より少ないかどうかの決定を、プロセス制御装置によって行う。充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が約0.20重量%より少なくないとの決定が判断ブロック114においてなされた場合には、代表的な方法10は工程115に進み、ここで、充填カラムに導入する予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物の流速を低下させるか、及び/又は、充填カラムに導入するストリッピング媒体の流速を上昇させる。代表的な方法10は、工程115から判断ブロック114に戻り、上記に記載のように進行する。
【0051】
充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が、充填カラムから排出される生成物の全重量を基準として約0.20重量%より低いとの決定が判断ブロック114においてなされた場合には、代表的な方法10は判断ブロック116に進み、ここで、充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が、充填カラムから排出される生成物の全重量を基準として約0.08重量%より低いかどうかの決定を、プロセス制御装置によって行う。充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が約0.08重量%より低いという決定が判断ブロック116においてなされた場合には、代表的な方法10は工程117に進み、ここで、充填カラムに導入する予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物の流速を上昇させるか、及び/又は、充填カラムに導入するストリッピング媒体の流速を低下させる。代表的な方法10は、工程117から判断ブロック118に進む。判断ブロック116において、充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が約0.08重量%より低くないという決定がなされた場合には、代表的な方法10は、判断ブロック118に直接進む。
【0052】
判断ブロック118においては、充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が、充填カラムから排出される生成物の全重量を基準として約0.08〜約0.20重量%の所望の範囲内であるかどうかの決定を、プロセス制御装置によって行う。充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が約0.08〜約0.20重量%の所望の範囲内でないという決定が判断ブロック118においてなされた場合には、代表的な方法10は、判断ブロック114に戻り、上記に記載のように進行する。充填カラムから排出される予備加熱した吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量が約0.08〜約0.20重量%の所望の範囲内であるという決定が判断ブロック118においてなされた場合には、バイオディーゼル燃料前駆体が製造され、代表的な方法10は判断ブロック119に進む。
【0053】
判断ブロック119においては、得られたバイオディーゼル燃料前駆体を将来の使用のために貯蔵するかどうかの決定を、装置のオペレーターによって行う。バイオディーゼル燃料前駆体を将来の使用のために貯蔵するという決定が判断ブロック119においてなされた場合には、代表的な方法10は工程120に進み、ここでバイオディーゼル燃料前駆体を将来の使用のために貯蔵する。バイオディーゼル燃料前駆体は、バイオディーゼル燃料前駆体を貯蔵するのに好適な任意の容器(例えばステンレススチール又はプラスチック容器)内で貯蔵することができる。代表的な方法10は、工程120から末端ブロック121に進み、ここで代表的な方法10は終了する。
【0054】
判断ブロック119に戻り、バイオディーゼル燃料前駆体を将来の使用のために貯蔵しないという決定がなされた場合には、代表的な方法10は工程122(図1Cに示す)に進み、ここでバイオディーゼル燃料前駆体を反応容器中に導入する。代表的な方法10は、工程122から工程123に進み、ここで、1種類以上の低級アルキルアルコール(例えば、メタノール、エタノール、又はこれらの組み合わせ)及び触媒を、反応容器中に導入する。代表的な方法10は、工程123から工程124に進み、ここで、通常のプロセス制御装置を用いて、バイオディーゼル燃料前駆体と1種類以上の低級アルキルアルコールとの間の反応の進行を監視する。例えば、プロセス制御装置を用いて、1種類以上の反応物質及び/又は1種類以上の反応の生成物の濃度を監視することができる。
【0055】
反応の進行が工程124において測定されたら、代表的な方法10は判断ブロック125に進み、ここで、反応が所望の程度まで(例えば、バイオディーゼル燃料前駆体の1種類以上の低級アルキルエステルへの転化が完了するまで)完了したかどうかの決定を、プロセス制御装置によって行う。反応が所望の程度まで進行していないとの決定が判断ブロック125においてなされた場合には、代表的な方法10は工程123に戻り、上記に記載のように進行する。反応が所望の程度まで進行したとの決定が判断ブロック125においてなされた場合には、代表的な方法10は工程126に進み、ここで、1種類以上の低級アルキルエステル及びグリセリン(及び全ての未反応の反応物質)を含む反応混合物を分離ユニットに導入する。代表的な方法10は、工程126から工程127に進み、ここで、1種類以上の低級アルキルエステルをグリセリン(及び全ての未反応の反応物質)から分離して、バイオディーゼル燃料を形成する。
【0056】
得られたバイオディーゼル燃料は、バイオディーゼル燃料を貯蔵するのに好適な任意の容器(例えば、ステンレススチール又はプラスチック容器)内で貯蔵することができ、ASTM−D−7651及び/又はDIN−EN−14214に適合していなければならない。代表的な方法10は、工程127から末端ブロック128に進み、ここで代表的な方法10は終了する。
【0057】
代表的な方法10において示されるように、本発明のバイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料は、上記に記載のような連続プロセスで製造することができる。しかしながら、連続プロセスが望ましいが、代表的な方法10における上記記載の方法工程の1以上をバッチプロセス工程で行うことができることを理解すべきである。方法がバッチプロセスであるか又は連続プロセスであるかにかかわらず、バイオディーゼル燃料前駆体又はバイオディーゼル燃料を製造する開示されている方法は、いかなる洗浄工程又は脱臭工程も、含まないか又は必要でないことに留意すべきである。したがって、バイオディーゼル燃料前駆体又はバイオディーゼル燃料を製造する開示されている方法は、最小量の流出水を生成し、脱臭工程のために必要な高価な装置を必要とせず、食用油の製造において用いられるプロセスのような他のプロセスにおいて必要な滞留時間(例えば、食用油を脱臭するために必要な滞留時間)を必要としない。
【0058】
図1には真空システムは示していないが、代表的な装置20は、更に、上記記載のような真空システムを有していてもよい。典型的には、バイオディーゼル燃料前駆体及び/又はバイオディーゼル燃料を製造する開示されている方法の1以上のプロセス工程は、真空下で行う。例えば、真空システムを用い、上記記載の濾過工程の前に約50mbarのシステム圧力を用いて吸着剤粒子/トリグリセリド混合物を乾燥することができ、一方、吸着剤を含まないトリグリセリド生成物から遊離脂肪酸を除去しながら典型的には約3mbarの極めて高い負圧を生成するために、真空システムを充填カラムと共に用いることができる。
【0059】
III.バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料を製造するための装置:
本発明は、更に、バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料を製造するために用いることができる装置に関する。一つの代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料前駆体を製造するための装置は、脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させるのに好適な混合容器;混合容器と直列に配置された乾燥容器;多数の吸着剤粒子からリン脂質欠損トリグリセリドを分離するのに好適な、乾燥容器と直列に配置された濾過装置;及び、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物とストリッピング媒体との間の向流物質移動を行うのに好適な、濾過装置と直列に配置された充填カラム;を有する。バイオディーゼル燃料前駆体をバイオディーゼル燃料に転化させるために、装置は、また、バイオディーゼル燃料前駆体を1種類以上の低級アルキルアルコールと反応させるのに好適な、バイオディーゼル燃料前駆体の貯蔵タンクと直列に配置された反応容器;及び、脂肪酸アルキルエステルからグリセリン(及び全ての未反応の反応物質又は副生成物)を除去してバイオディーゼル燃料を形成するのに好適な、反応容器と直列に配置された分離ユニット;を有していてもよい。
【0060】
図2に示すように、代表的な装置20は、以下の構成要素を有する:脱ガムしたトリグリセリドの貯蔵容器21;第1の熱交換器22;吸着剤粒子の貯蔵容器23;混合容器27中への、脱ガムしたトリグリセリド及び吸着剤粒子のそれぞれの流速を制御する一方向弁24及び25;混合容器27内の脱ガムしたトリグリセリド中のリンの量を監視し、一方向弁25へのフィードバックを与える第1のプロセス制御ユニット28;濾過ユニット29;使用済吸着剤貯蔵ユニット30;第2の熱交換器31;吸着剤で処理し予備加熱したトリグリセリド生成物の充填カラム33中への流速を制御する一方向弁32;ストリッピング媒体(例えば蒸気)の充填カラム33中への流速を制御する一方向弁37;充填カラム33から排出される吸着剤で処理したトリグリセリド生成物中の遊離脂肪酸の量を監視し、一方向弁32及び37へのフィードバックを与える第2のプロセス制御ユニット38;反応容器41か又はバイオディーゼル燃料前駆体貯蔵容器40のいずれかの中へのバイオディーゼル燃料前駆体の流速を制御する一方向T型弁39;アルコール貯蔵容器42;触媒貯蔵容器43;反応容器41中へのアルコール及び触媒のそれぞれの流速を制御する一方向弁44及び45;反応容器41内の反応の進行を監視し、一方向弁39及び44(及び場合によっては一方向弁45)へのフィードバックを与える第3のプロセス制御ユニット46;グリセリン及び全ての未反応の反応物質からバイオディーゼル燃料を分離する分離ユニット47;グリセリン再生及び/又は使用済物質の容器48;及びバイオディーゼル燃料貯蔵容器49。
【0061】
蒸気生成ユニット26を用いて、第1の熱交換器22,第2の熱交換器31、及び充填カラム33に蒸気を供給することができる。幾つかの態様においては、蒸気生成ユニット26を用いて、第2の熱交換器31及び充填カラム33に蒸気に供給し、一方、第1の熱交換器22においては、他の加熱流体(例えば、第2の熱交換器31から排出される蒸気、又は充填カラム33から排出されるバイオディーゼル燃料前駆体)を用いて脱ガムしたトリグリセリドを予備加熱する。更に、図2には示していないが、蒸気をその中の遊離脂肪酸から分離するように、充填カラム33から排出される蒸気を更に処理することができる。
【0062】
図2に示すように、充填カラム33は、望ましくは、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を充填カラム33の中央の領域内の充填材料35の上に噴霧する充填カラム33の上部の噴霧アセンブリ34、並びに充填カラム33の横断面形状を横切ってストリッピング媒体(例えば蒸気)を均一に分配して充填カラム33内で充填材料35に向かって上向きに移動させる充填カラム33の下部領域のストリッピング媒体分配アセンブリ36を有する。
【0063】
IV.バイオディーゼル燃料前駆体及びバイオディーゼル燃料:
本発明は、更に、本発明方法によって形成されるバイオディーゼル燃料前駆体に関する。バイオディーゼル燃料前駆体は、生成物の色、生成物脱臭工程(即ち、生成物から全ての望ましくない臭気を除去する工程)、及び全てのプロセス流出水などの心配なしに、効率よく製造することができる。本発明方法によって製造されるバイオディーゼル燃料は、ディーゼル燃料などの通常の燃料に代わるものとして、燃焼エンジンにおいて利用することができる。
【0064】
本発明を限定された数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は、他に説明し、特許請求の範囲で規定する発明の範囲を限定するものではない。更なる修正及び変更が可能であることは、本明細書における代表的な態様を考察することにより、当業者には明らかである。実施例、並びに明細書の残りにおける全ての部及びパーセントは、他に示さない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数の範囲、例えば特定の特性の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている全ての範囲内の数の全ての部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限R及び上限Rを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次式の数R:R=R+k(R−R)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び図面から当業者に明らかとなろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。
【実施例】
【0065】
特許請求された発明の具体例として、以下の実施例を与える。しかしながら、本発明は実施例において示される具体的な詳細に限定されないことを理解すべきである。
実施例1:
脱ガムしたトリグリセリドのシリカゲルによる処理:
100gの油を二口丸底フラスコ中に秤り入れ、次に90℃〜100℃に保持したシリコーン油浴中にその高さの約1/3まで浸漬し、内容物を全て電磁スターラーを用いて混合した。接触温度計を用いて油浴の温度を制御した。フラスコ内の油が70℃に達した(バリオ温度計によって測定)後、シリカゲル(W.R. Grace & Co.-Conn.から入手したTriSyl(登録商標)シリカ)を加え、温度を70℃に保持しながら15分間混合した。次に、丸底フラスコをシリコーン油浴中に完全に浸漬し、水ポンプを用いた真空下で内容物を95℃に加熱した。温度が90℃〜95℃に達した後、温度を維持しながら内容物を最大混合速度で更に10分間撹拌した。次に、フラスコを油浴から取り出し、内容物を80℃に冷却した。真空を停止し、ブフナーフィルターを用いてシリカゲルを油から濾別した。得られた試料を、リンに関して測定し、微量成分(例えば、Ca、Mg、及びFe)を、ICP分光光度計を用いて測定した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
実施例2:
ストリッピングプロセスを用いたトリグリセリドからの遊離脂肪酸の除去:
ストリッピングプロセスの主目的は、油の遊離脂肪酸含量を可能な限り(例えば0.20重量%未満に)減少させることである。色の除去は不要である。
【0071】
ストリッピングプロセスは、本発明によるバイオディーゼル燃料前駆体の製造中のトリグリセリドの物理的精製における最終段階である。ストリッピング(蒸発又は蒸留による脱酸)工程中に、広範囲の望ましくない脂肪酸が除去される。これらの物質は、トリグリセリドよりも高い蒸気圧を有し、したがって、一般にキャリアとして蒸気を用い、比較的短い時間(5分間未満)で、高温(例えば240〜260℃)及び低圧(例えば3〜6mmHg)における蒸留によって分離することができる。
【0072】
円筒形のトラップに液体窒素を充填し、蓋をした(液体窒素のレベルは時々チェックしなければならない)。250mLの丸底フラスコに、実施例1のようにして処理した約100gのトリグリセリドを充填した。蒸気移送管及び温度計管は、油で十分に覆われていなければならない。水(油の2〜4重量%)を、250mLの蒸気貯留フラスコに加えた。窒素をブリード管に通して、油の良好な撹拌を行った。一定の窒素雰囲気下で、油を220℃に加熱した。油の温度が250℃に達したら、窒素流を停止し、約3mmHgの圧力下において5分間、試料をストリッピングした。油試料を約120℃に冷却した。窒素流を再開し、真空ポンプを停止した。油試料の下に水浴を配置し、室温に冷却した。油試料を、窒素下でねじ蓋のビンに移し、冷蔵庫内で暗所保持した。
【0073】
次に、実施例1のようにして、試料をその遊離脂肪酸含量に関して試験した。
【0074】
【表5】

【0075】
実施例によって、本発明の方法及び装置が、バイオディーゼルの製造に好適な経済的に実現性のあるバイオディーゼル前駆体を与えることが示される。
明細書において特定の態様に関して詳細に説明したが、当業者であれば、上記の記載を理解することにより、これらの態様に対する代替、その変更、及びその均等物を容易に想到することができると認められるであろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその全ての均等物として判断すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1A】図1Aは、本発明のバイオディーゼル燃料前駆体又はバイオディーゼル燃料を製造する代表的な方法のフロー図を示す。
【図1B】図1Bは、本発明のバイオディーゼル燃料前駆体又はバイオディーゼル燃料を製造する代表的な方法のフロー図を示す。
【図1C】図1Cは、本発明のバイオディーゼル燃料前駆体又はバイオディーゼル燃料を製造する代表的な方法のフロー図を示す。
【図2】図2は、本発明のバイオディーゼル燃料前駆体又はバイオディーゼル燃料を製造するのに好適な代表的な装置の概念図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、該脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を減少させることにより、リン脂質欠損トリグリセリドを形成し;
多数の吸着剤粒子から該リン脂質欠損トリグリセリドを分離して、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を形成し;そして
該吸着剤で処理したトリグリセリド生成物をストリッピング媒体と接触させて、該吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を減少させることにより、バイオディーゼル燃料前駆体を形成する;
工程を含み、脱臭工程を含まない、バイオディーゼル燃料前駆体を形成する方法。
【請求項2】
該バイオディーゼル燃料前駆体を1種類以上のアルコールと反応させてアルキルエステルをグリセリンと一緒に形成し;そして
アルキルエステルから該グリセリンを除去して該バイオディーゼル燃料を形成する;
工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸着工程の後でかつ、前記分離工程の前に、乾燥工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記吸着工程によって、該脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を、約2ppm〜約10ppmの範囲の量に減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接触工程によって、該吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物の全量を基準として約0.04重量%〜約0.20重量%の範囲の量に減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接触工程において、平均量の吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、該ストリッピング媒体と、約60分未満の時間接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接触工程において、平均量の吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を、該ストリッピング媒体と、約30分未満の時間接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接触工程において、平均量の吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を、該ストリッピング媒体と、約20分未満の時間接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記接触工程において、平均量の吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を、該ストリッピング媒体と、約10分未満の時間接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記接触工程を、第1の端部及び第1の端部の反対側の第2の端部を有するカラム内で行い、該吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を該第1の端部中に導入して該第2の端部から排出し、ストリッピング媒体を該第2の端部中に導入して該第1の端部から排出し、平均量の吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を約60分未満の時間カラム内に配置する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該バイオディーゼル燃料前駆体が、色及びトリグリセリドの臭気を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法によって形成されるバイオディーゼル燃料前駆体。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法によって形成されるバイオディーゼル燃料。
【請求項14】
該バイオディーゼル燃料を燃焼エンジンにおいて用いることを更に含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、該脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を減少させることにより、約1ppmより多く約10ppm以下のリンを有するリン脂質欠損トリグリセリドを形成し;
該多数の吸着剤粒子から該リン脂質欠損トリグリセリドを分離して、吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を形成し;そして
該吸着剤を含まないトリグリセリド生成物をストリッピング媒体と接触させて、該吸着剤を含まないトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を減少させることにより、バイオディーゼル燃料前駆体を形成し、ここで、平均量の吸着剤で処理したトリグリセリド生成物を、該ストリッピング媒体と約5分未満の時間接触させる;
工程を含む、バイオディーゼル燃料前駆体を形成する方法。
【請求項16】
該バイオディーゼル燃料前駆体が、該バイオディーゼル燃料前駆体の全重量を基準として約0.04〜約0.20重量%の遊離脂肪酸を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15〜16のいずれかに記載の方法によって形成されるバイオディーゼル燃料前駆体。
【請求項18】
バイオディーゼル燃料前駆体を1種類以上のアルコールと反応させて、アルキルエステルをグリセリンと一緒に形成し;そして
該アルキルエステルから該グリセリンを除去してバイオディーゼル燃料を形成する;
工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜11、15、16、及び18のいずれかに記載の方法を行うための装置。
【請求項20】
脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、脱ガムしたトリグリセリド内のリン脂質の量を減少させて、リン脂質欠損トリグリセリドを形成するのに好適な混合容器;
リン脂質欠損トリグリセリドを多数の吸着剤粒子から分離して吸着剤を含まないトリグリセリド生成物を形成するのに好適な、混合容器、乾燥容器と直列に配置されている濾過装置;
吸着剤で処理したトリグリセリド生成物をストリッピング媒体と接触させて、吸着剤で処理したトリグリセリド生成物内の遊離脂肪酸の量を減少させることにより、バイオディーゼル燃料前駆体を形成するのに好適な、該濾過装置と直列に配置されている充填カラム;
を有し、脱臭器を有しない、バイオディーゼル燃料を形成することのできる装置。
【請求項21】
バイオディーゼル燃料前駆体を1種類以上のアルコールと反応させて、アルキルエステルをグリセリンと一緒に形成するのに好適な、該充填カラムと直列に配置されている反応容器;及び
アルキルエステルからグリセリンを除去してバイオディーゼル燃料を形成するのに好適な、該反応容器と直列に配置されている分離ユニット;
を更に有する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
該混合容器と直列に配置されている真空乾燥機又は真空漂白機を更に有し、該濾過装置がリン脂質欠損トリグリセリド及び吸着剤粒子を乾燥するのに好適である、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
バイオディーゼル燃料前駆体、バイオディーゼル燃料、又は両方を貯蔵するのに好適な、該充填カラムと直列に配置されている少なくとも1つの貯蔵容器;
を更に有する、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
該充填カラム内のシステム圧力を大気圧より低くするのに好適な、該充填カラムと直列に配置されている真空システム;
を更に有する、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
システム圧力が約1mbar〜約10mbarである、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
脱ガムしたトリグリセリドを多数の吸着剤粒子と吸着させて、該脱ガムしたトリグリセリド内のリンの量を減少させることにより、約2ppmより多く約10ppm以下のリンを有するリン脂質欠損トリグリセリドを形成し;そして
該リン脂質欠損トリグリセリドをバイオディーゼル燃料前駆体に転化する;
工程を含む、バイオディーゼル燃料前駆体を形成する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−536970(P2009−536970A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556707(P2008−556707)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001688
【国際公開番号】WO2007/098928
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(500445446)グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー (12)
【Fターム(参考)】