説明

バイオバーコードに基づく標的分析物の検出

本発明は、試料中の1つまたは複数の生体分子などの標的分析物の有無を検出するためのスクリーニング法、組成物およびキットに関する。より詳細には、本発明は、溶液中の複数のタンパク質構造または他の標的分析物を検出するための生化学バーコードとしてリポーター・オリゴヌクレオチドを利用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の1つまたは複数の標的分析物、例えばタンパク質、核酸または他の化合物の有無を検出するためのスクリーニング法に関するものである。より詳細には、本発明は溶液中の1つまたは複数の分析物を検出するための生化学バーコードとしてリポーター・オリゴヌクレオチドを利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分析物の検出は、分子生物学研究および医療応用にとって重要である。蛍光、質量分析、ゲル電気泳動法、レーザー走査および電気化学に基づく診断法は現在、様々なタンパク質構造を特定するために使用され得る1〜4。抗体に基づく反応は、血球の遺伝的タンパク質変異体を特定するため、疾患を診断するため、組織内の分子プローブの位置を特定するため、および分子を精製するかまたは分離工程を実行するために広く使用されている。医学上の診断応用(例えばマラリアおよびHIV)については、酵素免疫測定法、ウエスタンブロッティングおよび間接蛍光抗体法などの抗体検査が、単一の標的タンパク質構造を特定するために極めて有用である6,7。複数の抗体の存在を検査するための迅速な、且つ同時の試料スクリーニング法は、研究および臨床応用で有益となろう。しかし、前記の関連したプロトコルを使用したアッセイ条件下で、いくつかのタンパク質構造を同時に検出することは困難であり、費用および時間を要する。
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および他の形態の標的増幅法は、研究、法医学および臨床応用のために関心のあるDNA標的を検出して定量化するための強力な手段の開発において、急速な進歩を可能にした26〜32。タンパク質のための比較標的増幅方法の開発は、医学診断学および発展中のプロテオミクスの分野を劇的に改善することができた33〜36。タンパク質標的を化学的に複製することは未だに可能ではないが、PCRでその後に増幅することが可能であるオリゴヌクレオチドマーカーでそのような標的を標識して、その後DNA検出を用いて関心のある標的を特定することは可能である37〜45。しばしばイムノ−PCRと称されるこの方法は、様々な異なるフォーマットのDNA標識でタンパク質を検出することを可能にする(図5)。現在まで、すべてのイムノ−PCR方法は異質のアッセイを含み、これには表面への標的分析物の初期固定化と、それ以降のDNA標識を有する抗体を使用した検出とが含まれる(例えば、米国特許第5,635,602号および第5,665,539号を参照)。DNA標識は一般的に、抗体に(共有結合性相互作用またはストレプトアビジン−ビオチン結合を通して)強く結合している。これらの方法はタンパク質検出における顕著な進歩であるが、いくつかの欠点を有する:1)検出抗体に対するDNA同定配列の低い比率のために限定された感度;2)アッセイ時間を増加させてアッセイ感度を低下させる、標的捕捉法の異質の性質による遅い標的結合動態(図5の工程3);3)抗体およびDNAマーカーを化学的に結び付けるのに要求される複合コンジュゲーション化学(図5の工程4);および4)PCR増幅工程を必要とする45。したがって、試料中の標的分析物を検出するため、多重化に適合し、かつ実施することが簡単な感度が高い迅速な方法が必要である。
【0004】
DNA検出法については、放射性標識、分子蛍光団、化学発光スキーム、電気化学的標識、および最近ではナノ構造ベースの標識を使用して多くのアッセイが開発された61〜70。一部のナノ構造ベースの方法は感度においてPCRに近づいてきているが、これまでPCRによって提供される1〜10コピーの感度レベルを達成したものはない。PCRに伴う複雑性、費用ならびに時間および労力集約的な態様を伴わないPCR様シグナル増幅を可能にする方法は、そのようなPCRに基づく方法よりもかなり優位な点を提供するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、溶液中の複数の分析物を検出するための生化学バーコードとしてオリゴヌクレオチドを利用する方法、プローブ、組成物およびキットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この方法は、ナノ粒子で直接または間接的に官能基化された特異的結合対の認識要素を利用するとともに、金ナノ粒子の集合をもたらすハイブリダイゼーション事象はそれらの物理的性質(例えば光学、電気的、機械的性質)を大幅に変える可能性があるという以前の観察を利用している8〜12。一般の考えでは、特異的結合対の各認識要素は、別々であるとともに調整可能なハイブリダイゼーションおよび融解特性を有する異なるオリゴヌクレオチド配列と、ナノ粒子と関連する物理的サインとに関連付けられることができる。別々のハイブリダイゼーションおよび融解特性は、ナノ粒子と関連する物理的サインに変化を引き起こすことによって、あるいはハイブリダイゼーション/デハイブリダイゼーションまたは融解/アニーリング事象を通してオリゴヌクレオチド配列を検出することによって、一連の分析物を多分析物アッセイで解読するために使用され得る。
【0007】
本発明の一実施形態では、試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供され、該方法は、
基質を準備する工程と;特異的標的分析物に対する1つまたは複数の特異的結合相補体を有する粒子および該粒子に結合した1つまたは複数のDNAバーコードを備える1種類または数種類の粒子プローブを準備する工程であって、該粒子プローブの特異的結合相補体は特定の標的分析物に特異的であり、該粒子プローブのためのDNAバーコードは該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす工程と;
該基質上へ該標的分析物を固定する工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該分析物に対する特異的結合相補体の間の結合を可能にして複合体を形成するのに有効な条件下で、該固定された標的分析物を1種類または数種類の粒子プローブと接触させる工程と;
未結合の粒子プローブを除去するために該基質を洗浄する工程と;
該DNAバーコードを任意で増幅させる工程と;
該マーカーの有無は試料中の特異的標的分析物の有無を示している該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備えている。
【0008】
本発明のこの実施形態の一態様では、前記標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、その特異的結合相補体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む抗体である。
【0009】
本発明の他の態様では、DNAバーコードはPCRによって増幅される。
本発明の他の態様では、粒子は少なくとも2つのDNAバーコードで標識される。
本発明の他の態様では、基質は、標的分析物のための1種類または数種類の捕獲プローブで配列される。
【0010】
本発明の他の実施形態では、試料中の1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法であって、各標的分析物が少なくとも2つの結合部位を有する方法が提供され、該方法は、
基質と結合しており、特異的標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を含む1種類または数種類の捕獲プローブを準備する工程と;
検出プローブが、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子、該特異的標的分析物の第2の結合部位に対する1つまたは複数の特異的結合相補体、および該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす1つまたは複数のDNAバーコードを備える1種類または数種類の検出プローブを準備する工程であって、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部が、該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料、捕獲プローブおよび検出プローブを接触させる工程と;
未結合のいかなる検出プローブをも除去するために該基質を洗浄する工程と;
該DNAバーコードの有無の検出は試料中の標的分析物の有無を示している該基質上の集合複合体内の該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える。
【0011】
本発明のこの実施形態の一態様では、検出プローブは、(i)特異的標的分析物の第2の結合部位に対する1つまたは複数の特異的結合相補体、(ii)ナノ粒子と結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド、および少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定配列を有するDNAバーコードを備え、検出プローブと結合したDNAバーコードは、特異的標的分析物のマーカーとしての機能を果たしている。
【0012】
この実施形態の他の態様では、前記方法は前記検出工程の前にさらに、
前記集合複合体を脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該複合体を置く工程と;
該検出の前に該DNAバーコードを増幅させる工程とを備える。
【0013】
この実施形態の他の態様では、前記DNAバーコードがPCRによって増幅される。
この実施形態の他の態様では、前記捕獲プローブは磁性粒子のような磁性基質に結合している。
【0014】
この実施形態の他の態様では、標的分析物は少なくとも2つの部分の配列を有する標的核酸であり、検出プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を備え、該複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部はDNAバーコードに相補的である配列を有し、該検出プローブの特異的結合相補体は、該標的核酸の第1の部分に相補的である配列を有する第1の標的認識オリゴヌクレオチドを備え、且つ捕獲プローブの特異的結合相補体は、該標的核酸の少なくとも第2の部分に相補的である配列を有する第2の標的認識オリゴヌクレオチドを備える。
【0015】
この実施形態の他の態様では、標的分析物は少なくとも2つの部分の配列を有する標的核酸であり、検出プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を備え、DNAバーコードは、該検出プローブと結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である配列を有し、該特異的結合相補体は、少なくとも第1および第2の部分の配列を有する標的認識オリゴヌクレオチドを備え、第1の部分は該標的核酸の第1の部分に相補的であり、第2の部分は該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的であり、基質の特異的結合相補体は、該標的核酸の第2の部分に相補的である少なくとも一部を有する標的認識オリゴヌクレオチドを備える。
【0016】
この実施形態の他の態様では、検出プローブはデンドリマーを含む。
本発明の他の実施形態では、試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供され、該方法は、
(i)磁性粒子;および(ii)該磁性粒子に結合した第1の特異的結合対の第1のメンバーを備える1種類または数種類の捕獲プローブを準備する工程であって、該第1の特異的結合対の第1のメンバーは、特異的標的分析物の第1の結合部位と結合する工程と;
各標的分析物のために1種類または数種類の検出プローブを準備する工程であって、検出プローブは、(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバーであって、該標的分析物の第2の結合部位と結合する第2の特異的結合対の第1のメンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部と相補的である既定の配列を有し、且つ特異的標的分析物のマーカーとしての機能を果たす少なくとも1種類のDNAバーコードを備えている工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして該磁性粒子と結合した集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料を捕獲プローブおよび検出プローブと接触させる工程と;
未結合のいかなる検出プローブをも該磁性粒子から洗い流す工程と;
該DNAバーコードの検出は標的分析物の存在を示している該複合体内の該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える。
【0017】
この実施形態の他の態様では、前記方法は前記検出工程の前にさらに、
磁場を加えることによって前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体から脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
放出されたDNAバーコードを単離する工程とを備える。
【0018】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、放出されたDNAバーコードを増幅させる工程を備える。
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
前記DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有する複数のオリゴヌクレオチドが結合した基質を準備する工程と;
複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子であって、該複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部がDNAバーコードの少なくとも一部と相補的な配列を有するナノ粒子を準備する工程と;
該DNAバーコードの少なくとも第1の部分と、該基質に結合した相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および該DNAバーコードの第2の部分と該ナノ粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドのいくつかとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、該DNAバーコード、該基質と結合したオリゴヌクレオチドおよび該ナノ粒子を接触させる工程とを備える。
【0019】
この実施形態の他の態様では、前記DNAバーコードは、検出前にPCRによって増幅される。
この実施形態の他の態様では、前記方法は、前記集合複合体を分析する前に該集合複合体を単離する工程をさらに備える。
【0020】
この実施形態の他の態様では、前記集合複合体は、磁場を該集合複合体に加えることによって単離される。
この実施形態の他の態様では、前記ナノ粒子は、金ナノ粒子または半導体ナノ粒子などの金属ナノ粒子である。
【0021】
この実施形態の他の態様では、前記特異的結合対は、抗体および抗原;受容体およびリガンド;酵素および基質;薬剤および標的分子;アプタマーおよびアプタマー標的;少なくとも部分的に相補的な2つのオリゴヌクレオチド鎖である。
【0022】
この実施形態の他の態様では、前記DNAバーコードは、ビオチン化、放射性標識、または蛍光標識されてもよい。
本発明の他の実施形態では、試料中の1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供され、該方法は、
プローブに結合した複数のオリゴヌクレオチド、特異的標的分析物の1つまたは複数の特異的結合相補体、および該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす1つまたは複数のDNAバーコードを備える少なくとも1種類または数種類の粒子複合プローブを準備する工程であって、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部は、該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている工程と;
標的分析物の存在下で該標的分析物および該粒子複合体プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料を該粒子複合プローブと接触させる工程と;
集合複合体形成が起こったかどうかを観察する工程とを備える。
【0023】
本発明の他の実施形態は、1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法であって、各標的分析物が少なくとも2つの結合部位を有する方法を提供する。前記方法は、使用される各標的分析物のための少なくとも1種類の捕獲プローブおよび少なくとも1種類の検出プローブを備える。これらのプローブは、実際のアッセイを行う前に、またはアッセイを行っている間にin situで生成されてもよい。前記捕獲プローブは第1の特異的結合対の第1の部分を備え、該第1の特異的結合対の第1の部分は標的分析物の第1の結合部位と結合し、且つ該第1の特異的結合対の第1の部分は任意で基質と結合する。好ましい一実施形態では、基質は磁性粒子を備える。前記検出プローブは、(1)ナノ粒子;(2)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバーであって、標的分析物の第2の結合部位と結合する第2の特異的結合対の第1のメンバー;(3)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および(4)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部と相補的である既定の配列を有する少なくとも1種類のDNAバーコードを備える。標的分析物を含む試料に使用される場合、捕獲プローブ上の第1の特異的結合対の第1のメンバーは該標的分析物の第1の結合部位と結合し、検出プローブ上の第2の特異的結合対の第1のメンバーは該標的分析物の第2の結合部位と結合する。集合は、標的分析物によって捕獲プローブおよび検出プローブが一緒にされるときに起こる。上述したように、複数の標的が存在する特定の標的分析物を特定するために、集合体は、単離されるとともに、更に融解分析され得る。あるいは、前記集合体は、脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出することが可能である。
【0024】
この実施形態の一態様では、粒子複合体プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する。
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を分析して異なる配列を有する1つまたは複数のDNAバーコードの存在を決定する工程とを備える。
【0025】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
集合複合体を単離する工程と;
前記集合複合体を脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
該DNAバーコードを単離する工程と;
各DNAバーコードは試料中の特異的標的分析物の存在の指標となる異なる配列を有する1つまたは複数のDNAバーコードの存在を検出する工程とを備える。
【0026】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
該DNAバーコードを単離する工程と;
該単離されたDNAバーコードを増幅させる工程と;
各DNAバーコードは試料中の特異的標的分析物の存在の指標となる異なる配列を有する1つまたは複数の増幅されたDNAバーコードの存在を検出する工程とを備える。
【0027】
この実施形態の他の態様において、前記標的は3つ以上の結合部位を有し、少なくとも2種類の粒子複合体プローブが準備され、第1の種類のプローブは標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブはプローブ上の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する。プローブが標的分析物上の異なる結合部位に対する特異的結合相補体を有する複数の粒子複合体プローブが準備されてもよい。
【0028】
この実施形態の他の態様では、前記1つまたは複数のDNAバーコードの存在を検出する工程は、
該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有する複数のオリゴヌクレオチドが結合した基質を準備する工程と;
複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を準備する工程であって、ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部がDNAバーコードの少なくとも一部と相補的な配列を有することと;
該DNAバーコードの少なくとも第1の部分と、該基質に結合した相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および該DNAバーコードの第2の部分と、該ナノ粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドのいくつかとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、該DNAバーコード、該基質と結合したオリゴヌクレオチドおよび該ナノ粒子を接触させる工程と;
検出可能な変化を観察する工程とを備える。
【0029】
この実施形態の他の態様では、前記基質は、1つまたは複数の異なる種類のDNAバーコードの検出を可能にする配列で前記基質に結合した数種類のオリゴヌクレオチドを含む。
【0030】
この実施形態の他の態様では、前記検出可能な変化は基質上の暗領域の形成である。
この実施形態の他の態様では、前記検出可能な変化は光学スキャナで観察される。
この実施形態の他の態様では、検出可能な変化をもたらすために、前記基質が銀染色と接触される。
【0031】
この実施形態の他の態様では、該DNAバーコードが、前記基質と結合した相補性オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、前記DNAバーコードが該基質と接触し、その後、該基質と結合した該DNAバーコードが、前記ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかが該基質上のDNAバーコードの配列の一部とハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、該オリゴヌクレオチドが結合した該ナノ粒子と接触する。
【0032】
この実施形態の他の態様では、該DNAバーコードが、前記ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、前記DNAバーコードが、該オリゴヌクレオチドが結合した該ナノ粒子と接触し、その後、該ナノ粒子と結合した該DNAバーコードが、該ナノ粒子と結合した該DNAバーコードの配列の少なくとも一部が基質と結合した相補性オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、該基質と接触する。
【0033】
この実施形態の他の態様では、前記DNAバーコードは、接触工程前に増幅される。
この実施形態の他の態様において、少なくとも2種類の粒子複合体プローブが準備され、第1の種類のプローブは標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該標的分析物の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する。
【0034】
本発明の他の実施形態では、粒子複合プローブが提供される。したがって、この実施形態の一態様では、前記粒子複合プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備え、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し;(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し;(iii)特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し;(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する。
【0035】
この実施形態の他の態様では、前記粒子複合プローブは、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備え、該プローブに結合した第1の種類のオリゴヌクレオチドは、該DNAバーコードの少なくとも一部と相補的である配列を有し、該プローブに結合した第2の種類のオリゴヌクレオチドは、特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的である配列を有する。
【0036】
この実施形態の他の態様では、前記粒子複合プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体を備え、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的である配列を有し、該DNAバーコードは特異的標的分析物の識別子としての機能を果たす。
【0037】
本発明の他の実施形態では、粒子複合プローブが提供される。したがって、本発明の一実施形態では、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブが提供され、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し;(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し;(iii)特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し;(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する。
【0038】
本発明の他の実施形態では、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブが提供され、該プローブに結合した第1の種類のオリゴヌクレオチドは、該DNAバーコードの少なくとも一部と相補的である配列を有し、該プローブに結合した第2の種類のオリゴヌクレオチドは、特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的である配列を有する。
【0039】
本発明の他の実施形態では、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体を備える粒子複合プローブが提供され、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的である配列を有し、該DNAバーコードは特異的標的分析物の識別子としての機能を果たす。
【0040】
本発明の他の実施形態では、ナノ粒子;該ナノ粒子に結合した特異的結合対のメンバー;該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および既定の配列を有し、該少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている少なくとも1種類のDNAバーコードを備える検出プローブが提供される。
【0041】
本発明の他の実施形態では、上述の粒子複合プローブを備えるキットが提供される。
本発明のこれらおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明に照らして明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本願で使用されるように、複数のオリゴヌクレオチドが結合したある「種類の」ナノ粒子、複合体、粒子、ラテックスマイクロスフェア等は、同じ種類のオリゴヌクレオチドが結合した複数の物質を指す。「複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子」はまた、「ナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体」、または本発明の検出法の場合、「ナノ粒子−オリゴヌクレオチドプローブ」、「ナノ粒子プローブ」もしくは単に「プローブ」とも呼ばれる。
【0043】
本発明を通して使用されるように、「バーコード」、「生化学バーコード」、「バイオバーコード」、「バーコードDNA」、「DNAバーコード」、「リポーターバーコード」、「リポーターバーコードDNA」等は、すべて互いに交換可能であって同じ意味を有する。DNAバーコードは、デオキシ核酸またはリボ核酸などの核酸でもよい。好ましくは、DNAバーコードは、予め定義された配列のオリゴヌクレオチドである。必要に応じて、DNAバーコードは、例えばビオチン、放射性標識または蛍光標識で標識されてもよい。
【0044】
用語「ナノ粒子複合体」または「ナノ粒子複合プローブ」は、ナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体、リポーター・オリゴヌクレオチド、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える複合体を指す。
【0045】
用語「分析物」または「標的分析物」は、検出される化合物または組成物を指し、薬剤、代謝産物、農薬、汚染物質などを含む。分析物は特異的結合対(sbp)のメンバーを備え、一価(モノエピトープ性)または多価(ポリエピトープ性)であり、好ましくは抗原性またはハプテンであるリガンドであってもよく、単一化合物または少なくとも1つの共通のエピトープ部位または決定部位を共有する複数の化合物である。分析物は、細菌、またはA、B、D等のような血液型抗原を有する細胞のような細胞の一部、あるいはHLA抗原または微生物、例えば細菌、真菌、原生動物もしくはウイルスでもよい。分析物がモノエピトープである場合、分析物はさらに例えば化学的に修飾され、1つまたは複数のさらなる結合部位を提供することが可能である。本発明の実践では、分析物は少なくとも2つの結合部位を有する。
【0046】
多価のリガンド分析物は通常、ポリペプチドおよびタンパク質、多糖類、核酸ならびにその組合せのようなポリマー性のより大きな有機化合物である。そのような組合せは、細菌、ウイルス、染色体、遺伝子、ミトコンドリア、核、細胞膜などの構成要素を含む。
【0047】
ほとんどの場合、対象発明が適用される可能性があるポリエピトープのリガンド分析物は、少なくとも約5,000、より好ましくは少なくとも約10,000の分子量を有する。ポリマー分子カテゴリーにおいて、関心のあるポリマーは通常、約5,000から5,000,000の分子量、より好ましくは約20,000から1,000,000の分子量であり;関心のあるホルモンでは、分子量は通常、約5,000から60,000の範囲である。
【0048】
多種多様なタンパク質が、類似した構造上の特徴を有するタンパク質、特定の生物学的機能を有するタンパク質、特定の微生物、特に疾患を引き起こす微生物に関連したタンパク質などのファミリーに属していると考えられる。そのようなタンパク質としては、例えば免疫グロブリン、サイトカイン、酵素、ホルモン、癌抗原、栄養マーカー、組織特異抗原などが挙げられる。
【0049】
本発明の関心のあるタンパク質、血液凝血因子、タンパク質ホルモン、抗原性多糖類、微生物および他の病原体の種類は、本願明細書にそのすべてが援用されている米国特許第4,650,770号で具体的に開示されている。
【0050】
モノエピトープ性リガンド分析物は通常、約100から2,000の分子量、より好ましくは125から1,000の分子量である。
分析物は、宿主からの体液のような試料で直接見られる分子であってもよい。試料は直接調べられてもよいし、分析物の検出をより容易にするために前処理されてもよい。さらに、関心のある分析物は、関心のある分析物が試料内に存在するときだけ存在が検出される関心のある分析物の証拠となる剤、例えば関心のある分析物に相補的な特異的結合対のメンバーを検出することによって決定されてもよい。したがって、分析物の証拠となる剤は、アッセイで検出される分析物になる。体液としては、例えば尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、大便、痰、脳脊髄液、涙、粘液などが挙げられる。
【0051】
用語「特異的結合対(sbp)のメンバー」は、2つの異なる分子のうち、他の分子の特定の空間組織および/または極性組織と結合し、それと相補的であると定義され得る1つの分子を指す。この特異的結合対のメンバーは、リガンドおよび受容体(アンチリガンド(antiligand))と称され得る。これらは通常、抗原抗体などの免疫学的な対のメンバーとなるが、ビオチン−アビジン、酵素−基質、酵素−アンタゴニスト、酵素−アゴニスト、薬剤−標的分子、ホルモン−ホルモン受容体、核酸デュプレックス、IgG−プロテインA/プロテインG、ポリヌクレオチド対、例えばDNA−DNA、DNA−RNA、タンパク質−DNA、脂質−DNA、脂質−タンパク質、多糖類−脂質、タンパク質−多糖類、核酸アプタマーおよび関連標的リガンド(例えば小さな有機化合物、核酸、タンパク質、ペプチド、ウイルス、細胞、その他)などのような他の特異的結合対は免疫学的な対ではなくても本発明およびsbpのメンバーの定義に含まれる。特異的結合対のメンバーは、分子全体、または該メンバーが標的分析物上の結合部位と特異的に結合して特異的結合対を形成する限り、分子の一部だけであることが可能である。
【0052】
用語「リガンド」は、受容体が自然に存在するか、または調製されることが可能である任意の有機化合物を指す。用語リガンドはリガンド類似体も含み、該リガンド類似体は修飾されたリガンドのことであり、通常有機ラジカルまたは分析物類似体であり、通常分子量が100を超え、類似リガンドと受容体をめぐって競合することが可能であり、該修飾はリガンド類似体を他の分子に結合する手段を提供する。リガンド類似体は通常、その必要はないがリガンド類似体をハブまたは標識に結合する結合による水素の置換を上回るリガンドとは異なる。リガンド類似体は、リガンドと類似の方法で受容体と結合することが可能である。この類似体は、例えばリガンドに対する抗体のイディオタイプに向けられた抗体でもよい。
【0053】
用語「受容体」または「アンチリガンド」は、分子の特定の空間組織および極性組織、例えばエピトープ部位または決定部位を認識することができる任意の化合物または組成物を指す。実例となる受容体としては、天然の受容体、例えばサイロキシン結合グロブリン、抗体、酵素、Fabフラグメント、レクチン、核酸、核酸アプタマー、アビジン、プロテインA、バースター(barstar)、相補体成分C1qなどが挙げられる。アビジンは、卵白アビジンおよびストレプトアビジンなどの他の供与源からのビオチン結合タンパク質を含む。
【0054】
用語「特異的結合」は、2つの異なる分子のうちの1つの分子が、他の分子の大幅に低い認識と比較して特異的に認識することを指す。通常、これらの分子は、それらの表面上または空孔内に2つの分子間で特異的な認識を引き起こす領域を有する。特異的な結合の例は、抗体抗原相互作用、酵素−基質相互作用、ポリヌクレオチド相互作用等である。
【0055】
用語「非特異的結合」は、特異的な表面構造とは比較的無関係にある分子の間の結合を指す。非特異的結合は、分子間の疎水性相互作用を含むいくつかの因子から生じることが可能である。
【0056】
用語「抗体」は、他の分子の特定の空間組織および極性組織と特異的に結合し、よってそれと相補性があると定義される免疫グロブリンを指す。抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよく、またその調製は当技術分野で公知の手法、例えば宿主の免疫化および血清回収(ポリクローナル)により、または連続したハイブリッド細胞系を調製して分泌されたタンパク質(モノクローナル)を回収することにより、または少なくとも自然抗体の特異的な結合のために必要なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列もしくはその突然変異バージョンをクローニングおよび発現することによって行われ得る。抗体には完全な免疫グロブリンまたはその断片が含まれてもよく、その免疫グロブリンとしては様々な分類群およびアイソ種類、例えばIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3、IgM等が挙げられる。前記断片としては、Fab、FvおよびF(ab’).sub.2、Fab’等が挙げられる。さらに、特定の分子に対する結合親和性が維持されている限り、免疫グロブリンまたはそれらの断片の集合体、ポリマーおよび複合体も必要に応じて使用され得る。
【0057】
本発明は、試料中の複数の分析物を検出するための生化学バーコードとしてオリゴヌクレオチドを利用する方法に関する。この方法は、ナノ粒子で直接または間接的に官能基化された認識要素(例えばタンパク質または核酸)を利用し、金ナノ粒子の集合をもたらすハイブリダイゼーション事象は、それらの物理的性質(例えば光学、電気的、機械的性質)を大幅に変える可能性があるという以前の観察結果を利用している8〜12。一般の考えでは、各認識要素は、別々の調整可能なハイブリダイゼーションおよび融解特性を有する異なるオリゴヌクレオチド配列(DNAバーコード)、ならびに融解すると変化するナノ粒子と関連する物理的サインと関連付けられ、多分析物アッセイにおいて一連の分析物を解読することが可能である。したがって、DNAに結合した集合体の融点および融解により変化するナノ粒子と関連する物理的性質を使用して、多分析物アッセイで一連の分析物を解読することが可能である。バーコードは、本願ではナノロッド(nanorod)23、蛍光団標識ビード24、および量子ドット25のような物理的診断マーカーに基づくものとは、解読情報が予め設計されたオリゴヌクレオチド配列で保存されている化学情報の形態であるという点で異なる。
【0058】
本発明は、試料中の様々な生体分子、例えば単一または複数の多価タンパク質を検出するために、オリゴヌクレオチドで大きく官能基化されたナノ粒子プローブ(好ましくは金のナノ粒子プローブ)を使用するための適用範囲の広いいくつかの方策を提供する。特に、試料中の複数のタンパク質を検出する公知の方法は複雑であり、しばしば時間を要する高価なアッセイプロトコルを必要とする。この点に関しては、最近、溶液中の複数のタンパク質標的を認識するために、蛍光団標識ペプチド核酸およびDNAマイクロアレイが使用された15〜17。しかし、この方法は、オリゴヌクレオチドで標識されたタンパク質のマイクロアレイ表面への結合に依存する。本願で記載されている方法の最終的な工程は、通常のDNAの界面化学だけに基づく。したがって、それは最新技術のナノ粒子DNA検出法の高感度態様の多くを取り入れることが可能であるが9,11、検出事象の間にタンパク質を存在させることなく、DNAよりむしろタンパク質などの様々な生体分子の検出を可能にする。表面アッセイについては、タンパク質は固体支持体に対してより大きな非特異性の結合を示す傾向があり、しばしば高いバックグラウンドシグナルを生じることから、一般的に短いオリゴヌクレオチドより扱いが困難である。最後に、均一アッセイについては、これらのナノ粒子構造と関連する非常に鋭い融解プロフィールは、通常の広いDNA融解挙動を示すプローブで可能なものより多くのバイオバーコードの設計を可能にする。
【0059】
本発明は、検出アッセイでの使用に適する複数のオリゴヌクレオチドが結合した任意の適切な粒子の使用を意図する。しかし、本発明の実施ではナノ粒子が好まれる。粒子の大きさ、形および化学組成は、得られたDNAバーコードを含むプローブの特性に寄与する。これらの特性としては、光学的性質、光電子特性、電気化学的性質、電子的性質、様々な溶液中の安定性、孔およびチャンネルの大きさの変異、フィルタの役目をする際の生体活性分子を分離する能力等がある。異なる大きさ、形および/または化学組成を有する粒子の混合物の使用、ならびに一様な大きさ、形および化学組成を有するナノ粒子の使用が意図される。適当な粒子の例としては、これに限定されるものではないが、ナノサイズおよびマイクロサイズのコア粒子、集合粒子、等方性粒子(例えば球状粒子)および異方性粒子(非球形ロッド、四面体、プリズム)ならびにコア−シェル粒子、例えば本願明細書でその全体を援用した2002年12月28日に出願された米国特許出願10/034,451および2002年12月28日に出願された国際出願PCT/US01/50825で記載されているものが挙げられる。本発明の実施では、これらの検出プローブは好ましくは実際のアッセイを行う前に生成される。あるいは、これらの検出プローブは、アッセイを行っている間にin situで生成されてもよい。
【0060】
したがって、本発明の一実施形態では、ナノ粒子複合体プローブが提供される。本発明の実施において有用なナノ粒子としては、金属(例えば金、銀、銅およびプラチナ)、半導体(例えば、CdSe、CdS、およびZnSでコーティングされたCdSまたはCdSe)および磁性(例えば強磁性)コロイド状の物質が挙げられる。本発明の実施において有用な他のナノ粒子としては、ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、InSe、Cd、CdAs、InAsおよびGaAsが挙げられる。ナノ粒子の大きさは、好ましくは約5nmから約150nm(平均粒径)、より好ましくは約30から約100nm、最も好ましくは約40から約80nmである。ナノ粒子の大きさは、それらの特定の使用または用途により必要に応じて変更され得る。大きさの変更は、ナノ粒子の特定の物理的特性、例えば光学的性質または誘導体化が可能である表面積の量を最適化するために、有利に使用され得る。ナノ粒子は、ロッド、プリズムまたは四面体でもよい。
【0061】
金属、半導体および磁性のナノ粒子の製造方法は、当技術分野で公知である。例えば、シュミット、ジー(Schmid,G.)(編)Clusters and Colloids(VCH、Weinheim、1994);アヤ、エム エー(Hayat,M.A.)(編)Colloidal Gold:Principles,Methods and Applications(アカデミックプレス(Academic Press)、サンディエゴ、1991);マサート、アール(Massart,R.)、IEEE Taransactions On Magnetics、17、1247頁(1981);アーマジ、ティー エスら(Ahmadi,T.S.et al.)、Science、272、1924頁(1996);ヘングライン、エーら(Henglein,A.et al.)、J.Phys.Chem.、99、14129頁(1995);カーティス、エー シーら(Curtis,A.C.et al.)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、27、1530頁(1988)を参照。
【0062】
ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、InSe、Cd、CdAs、InAsおよびGaAsのナノ粒子の製造方法も当技術分野で公知である。例えば、ウェラー(Weller)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、32、41頁(1993);ヘングライン(Henglein)、Top.Curr.Chem.、143、113頁(1988);ヘングライン(Henglein)、Chem.Rev.、89、1861頁(1989);ブラス(Brus)、Appl.Phys.A.、53、465頁(1991);バンクマン(Bahncmann)、Photochemical Conversion and Storage of Solar Energy(ペリツエッチ(Pelizetti)およびシアベロ(Schiavello)編、1991)、251頁;ワング(Wang)およびヘロン(Herron)、J.Phys.Chem.、95、525頁(1991);オルシャブスキーら(Olshavsky et al.)、J.Am.Chem.Soc.、112、9438頁(1990);ウシダら(Ushida et al.)、J.Phys.Chem.、95、5382頁(1992)を参照。
【0063】
適当なナノ粒子は、例えばテッドペラインコーポレイティッド社(Ted Pella,Inc.)(金)、アマシャムコーポレーション社(Amersham Corporation)(金)およびナノプローブインコーポレイティッド社(Nanoprobes,Inc.)(金)からも市販されている。
【0064】
現在核酸を検出するために好まれているのは、金のナノ粒子である。金のコロイド粒子は、それらの美しい色をもたらすバンドのために、高い吸光係数を有する。これらの強烈な色は、粒度、濃度、粒子間距離および集合体の集合程度および形(幾何学)で変わり、これらの物質を比色アッセイのために特に魅力的にしている。例えば、金のナノ粒子に結合したオリゴヌクレオチドと、オリゴヌクレオチドおよび核酸とのハイブリダイゼーションは、裸眼で見える変色を直ちにもたらす(例えば実施例を参照)。
【0065】
ナノ粒子、オリゴヌクレオチドまたはその両方とも、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に結合するために官能基化される。このような方法は当技術分野において公知である。例えば、アルカンチオールによって3’末端または5’末端で官能基化されたオリゴヌクレオチドは、金のナノ粒子に容易に結合する。ホワイトサイズ(Whitesides)、Proceedings of the Robert A.Welch Foundation 39th Conference On Chemical Research Nanophase Chemistry、テキサス州ヒューストン、109〜121頁(1995)を参照。また、ムシクら(Mucic et al.)Chem.Commun.555〜557頁(1996)(3’チオールDNAを扁平な金表面へ結合する方法を記載している;この方法は、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に結合するために使用され得る)も参照。アルカンチオール方法は、オリゴヌクレオチドを、他の金属、半導体および磁性コロイドに、ならびに上述で列挙された他のナノ粒子に結合するためにも使用され得る。オリゴヌクレオチドを固体表面に結合するための他の官能基としては、ホスホロチオエート基(オリゴヌクレオチド−ホスホロチオエートの金の表面への結合については、米国特許第5,472,881号を参照)、置換されたアルキルシロキサン(シリカおよびガラス表面へのオリゴヌクレオチドの結合については、例えばバーウェル(Burwell)、Chemical Technology、4、370〜377頁(1974)、およびマッテウッチ(Matteucci)およびカルーテル(Caruthers)、J.Am.Chem.Soc.、103、3185〜3191頁(1981)、ならびにアミノアルキルシロキサンの結合およびメルカプトアルキルシロキサンの類似した結合については、グラバーら(Grabar et al.)、Anal.Chem.、67、735〜743頁を参照)が挙げられる。末端が5’チオヌクレオシドまたは3’チオヌクレオシドのオリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドを固体表面に結合するために使用されてもよい。以下の参照は、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に結合するために使用され得る他の方法を記載する:ナッツオら(Nuzzo et al.)、J.Am.Chem.Soc.、109、2358頁(1987)(金へのジスルフィド);アラーラ(Allara)およびナッツオ(Nuzzo)、Langmuir、1、45頁(1985)(アルミニウムへのカルボン酸);アラーラ(Allara)およびトムキンズ(Tompkins)、J.Colloid Interface Sci.、49、410〜421頁(1974)(銅へのカルボン酸);イレール(Iler)、The Chemistry Of Silica、第6章、(ワイリー(Wiley)1979)(シリカへのカルボン酸);ティモンズ(Timmons)およびジスマン(Zisman)、J.Phys.Chem.、69、984〜990頁(1965)(プラチナへのカルボン酸);ソリアガ(Soriaga)およびハバード(Hubbard)、J.Am.Chem.Soc.、104、3937頁(1982)(プラチナへの環状芳香族化合物);ハバード(Hubbard)、Acc.Chem.Res.、13、177頁(1980)(プラチナへのスルホラン、スルホキシドおよび他の官能基化溶媒);ヒックマンら(Hickman et al.)、J.Am.Chem.Soc.、111、7271頁(1989)(プラチナへのイソニトリル);マオズ(Maoz)およびサギブ(Sagiv)、Langmuir、3、1045頁(1987)(シリカへのシラン);マオズ(Maoz)およびサギブ(Sagiv)、Langmuir、3、1034頁(1987)(シリカへのシラン);ワッサーマンら(Wasserman et al.)、Langmuir、5、1074頁(1989)(シリカへのシラン);エルテコバ(Eltekova)およびエルテコブ(Eltekov)、Langmuir、3、951頁(1987)(二酸化チタンおよびシリカへの芳香族カルボン酸、アルデヒド、アルコール類およびメトキシ基);レックら(Lec et al.)、J.Phys.Chem.、92、2597頁(1988)(金属への硬質リン酸塩)。
【0066】
本発明のこの実施形態の一態様では、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドで標識されたデンドリマーでコンジュゲートされたナノ粒子が提供される。樹枝状の分子は複数の分岐単位モノマーからなる構造であり、様々な用途で使用される。例えば、バースら(Barth et al.)、Bioconjugate Chemistry 5:58〜66頁(1994);ギトブ(Gitsov)およびフレシェ(Frechet)、Macromolecules 26:6536〜6546頁(1993);ホーカー(Hawker)およびフレシェ(Frechet)、J.Amer.Chem.Soc.112:7638〜7647頁(1990a);ホーカー(Hawker)およびフレシェ(Frechet)、Macromolecules 23:4726〜4729頁(1990b);ホーカーら(Hawker et al.)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1:1287〜1297頁(1993);ロックマンら(Lochmann et al.)J.Am.Chem.Soc.115:7043〜7044頁(1993);ミラーら(Miller et al.)J.Amer.Chem.Soc.114:1018〜1025頁(1992);マウジら(Mousy et al.)、Macromolecules 25:2401〜2406頁(1992);ネイラーら(Naylor et al.)、J.Amer.Chem.Soc.111:2339〜2341頁(1989);スピンドラー&フレシェ(Spindler & Frechet)、Macromolecules Macromolecules 26:4809〜4813頁(1993);ターナーら(Turner et al.)、Macromolecules 26:4617〜4623頁(1993);ウィーナーら(Wiener et al.)、Magnetic Resonance Med.31(1):1〜8頁(1994);サービス(Service)、267:458〜459頁(1995);トマリア(Tomalia)、Sci.Amer.62〜66頁(1995);ならびに本願でそのすべてが援用されているトマリア(Tomalia)への米国特許第4,558,120号;第4,507,466号;第4,568,737号;第4,587,329号;第4,857,599号;第5,527,524号;第5,338,532号、およびニルセン(Nilsen)への米国特許第6,274,723号を参照。樹枝状の分子は他の種類の超分子構造よりも重要な利点を提供し、例えば最小構造単位の最大量を接触させること、大きさ、重量および成長特性をより容易に制御する能力などがあり、また、複数の末端を標識間の空間が明瞭な高度標識分子を生成するために誘導体化すること、またはそれらは他の分子もしくはその混合物のために結合部位を提供することが可能である。一般には、合成方法については米国特許第6,274,723号および上記の引用文献を参照。
【0067】
本発明の方法で有用である核酸デンドリマーは、核酸で官能基化され得るか、または核酸/オリゴヌクレオチドから生成され得る当技術分野で公知のもののいずれかである。そのようなデンドリマーは、例えばハドソンら(Hudson et al.)、「Nucleic Acid Dendrimers:Novel Biopolymer Structures」、Am.Chem.Soc.115:2119〜2124頁(1993);カントール(Cantor)への米国特許第6,274,723号;および米国特許第5,561,043号などの開示に従って合成され得る。
【0068】
本発明のこの実施形態の他の態様では、汎用性のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体が提供される。この汎用性プローブは、少なくとも2つの部分を備える任意の標的核酸のためのアッセイで使用されてもよい。この「汎用性プローブ」は、(i)リポーター・オリゴヌクレオチド(例えばバーコードDNA)の少なくとも一部および標的認識オリゴヌクレオチドの一部と相補的である単一の「捕獲」配列が結合した複数のオリゴヌクレオチドを含む(汎用性プローブの一実施形態は、図16Aおよび16Bで記載されている)。この標的認識オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの部分を有する配列を含む。第1の部分はナノ粒子に結合した捕獲配列に対する相補配列を備え、第2の部分は特定の標的核酸配列の第1の部分に対する相補配列を備える。各種の標的認識オリゴヌクレオチドを汎用性プローブと有利に使用することが可能であり、したがって、特定の試液中の特定の標的核酸配列を選択するために、標的認識オリゴヌクレオチドのライブラリーを変更または交換することが可能である。標的核酸の第2の部分と相補的な配列を含む第2の種類のオリゴヌクレオチドは、支持体表面、例えば磁性粒子またはガラスのスライドに結合する。
【0069】
ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、汎用性プローブを、リポーター・オリゴヌクレオチド(バーコードDNA)および標的認識オリゴヌクレオチドを含む溶液と接触させると、標的核酸を含んでいるかもしれない溶液との接触のために「活性化された」汎用性プローブが形成される(図16A、上部反応スキーム)。試液は、「活性化」汎用性プローブまたは支持体に結合している第2の種類のオリゴヌクレオチドのいずれかまたは両方との、逐次または組合せによるハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触され得る。一旦複合体形成のために十分な時間が与えられると、複合体を形成していない試液構成要素は複合体から除去され、リポーター・オリゴヌクレオチドが検出される。このアッセイの一実施形態を図16Bで示す。
【0070】
これらの汎用性プローブは、さらに有利にするために操作されることが可能である、これは実施する特定のアッセイに依存する。これらのプローブは、第2の部分が関心のある標的核酸に相補的な配列を含むように標的認識オリゴヌクレオチドを単に置換または交換することによって、様々な単一の標的核酸配列に合わせて「調整」され得る。同様に、複数の標的核酸配列を単一の試液で分析する場合は、リポーター・オリゴヌクレオチドは各標的核酸に特異的である配列を含むことが可能である。したがって、既知の特異的な配列のリポーター・オリゴヌクレオチドの検出は、試液中の特定の標的核酸の存在を示すであろう。
【0071】
本発明のこの実施形態の他の態様では、オリゴヌクレオチドは、硫黄ベースの官能基を使用してナノ粒子と結合される。米国特許出願09/760,500および09/820,279ならびに国際出願PCT/US01/01190およびPCT/US01/10071は、本発明を実施する際に有用である環状ジスルフィドで官能基化されたオリゴヌクレオチドを記載している。環状ジスルフィドは、2つの硫黄原子を含みむとともに好ましくは5つまたは6つの原子を有する。適当な環状ジスルフィドは市販されているが、公知の方法で合成されてもよい。環状ジスルフィドの還元形も使用され得る。
【0072】
好ましくは、リンカーは、環状ジスルフィドに結合した炭化水素部分をさらに含む。適当な炭化水素は市販されており、環状ジスルフィドに結合される。好ましくは、炭化水素部分はステロイド残基である。環状ジスルフィドに結合しているステロイド残基を含んでいるリンカーを使用して調製されたオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体は、予想外にもチオール(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)溶液で使用されるジチオスレイトール)に対して、リンカーとしてアルカンチオールまたは非環式ジスルフィドを使用して調製された複合体と比較して著しく安定していた。実際に、本発明のオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体は300倍より安定していた。この予想外の安定性は、各オリゴヌクレオチドが単一の硫黄原子よりむしろ2つの硫黄原子を通してナノ粒子に固定されるという事実のためであろう。特に、環状ジスルフィドの2つの隣接した硫黄原子はオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体を安定させる際に有利となるキレート化効果を有するであろうと思われる。リンカーの大きな疎水性のステロイド残基も、ナノ粒子表面への水溶性分子の接近からナノ粒子を遮蔽することによって、複合体の安定性に寄与するようである。
【0073】
前記を考慮して、環状ジスルフィドの2つの硫黄原子は、それら硫黄原子の両方ともナノ粒子に同時に結合することが可能になるように互いに十分に近いことが好ましい。最も好ましくは、この2つの硫黄原子は互いに隣接している。また、炭化水素部分は、ナノ粒子の表面を遮蔽する大きな疎水性表面を示すように大きくなければならない。
【0074】
環状ジスルフィドリンカーを使用するオリゴヌクレオチド−環状ナノ粒子複合体は、米国特許出願09/760,500および09/820,279ならびに国際出願PCT/US01/01190およびPCT/US01/10071で記載されているように、試料中の標的分析物を検出するための診断検査でプローブとして使用されてもよい。これらの複合体は、それらが使用される診断検査の感度を向上させることがわかった。特に、環状ジスルフィドに結合しているステロイド残基を含んでいるリンカーを使用して調製されたオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体を用いるアッセイは、リンカーとしてアルカンチオールまたは非環式ジスルフィドを使用して調製された複合体を用いるアッセイよりも約10倍感度が高いことがわかった。
【0075】
各ナノ粒子は、それに結合している複数のオリゴヌクレオチドを有する。その結果、各ナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体は、相補配列を有する複数のオリゴヌクレオチドまたは核酸と結合することが可能である。
【0076】
既定の配列のオリゴヌクレオチドは、本発明の実行において様々な目的のために使用される。既定配列のオリゴヌクレオチドの製造方法は公知である。例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)、Molecular Cloning:A Laboratory Mmanual(第2版、1989)、およびエフ エクスタイン(F.Eckstein)(編)Oligonucleotides and Analogues、第1版(オックスフォード大学出版部(Oxford University Press)、ニューヨーク、1991)を参照。オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドのためには固相合成方法が好まれる(公知のDNAを合成する方法もRNAを合成するために有用である)。オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドは、酵素的に調製され得る。標的分析物に対する特異的結合相補体が結合しているオリゴヌクレオチドについては、タンパク質のような特異的結合相補体をオリゴヌクレオチドに結合するための任意の適切な方法が使用されてもよい。
【0077】
オリゴヌクレオチドを粒子、ナノ粒子またはナノスフェアの表面へ結合する任意の適切な方法が使用されてもよい。オリゴヌクレオチドを表面へ結合するための特に好ましい方法は、本願明細書でそのすべてを援用している1999年6月25日に出願の米国特許出願09/344,667;2000年6月26日に出願の09/603,830;2001年1月12日出願の09/760,500;2001年3月28日出願の09/820,279;2001年8月10日出願の09/927,777;および1997年7月21日出願の国際出願PCT/US97/12783;2000年6月26日出願のPCT/US00/17507;2001年1月12日出願のPCT/US01/01190;2001年3月28日出願のPCT/US01/10071で記載されているエージング工程をベースにしている。エージング工程は、予想外に強化された安定性および選択性を有するナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体を提供する。
【0078】
この方法は、好ましくはナノ粒子と結合することが可能な官能基を含む部分が共有結合しているオリゴヌクレオチドの準備を含む。これらの部分および官能基は、(すなわち、化学吸着または共有結合による)ナノ粒子へのオリゴヌクレオチドの結合を可能にするものである。例えば、アルカンチオール、アルカンジスルフィド、またはそれらの5’末端もしくは3’末端に共有結合した環状ジスルフィドを有するオリゴヌクレオチドは、金のナノ粒子を含む様々なナノ粒子にオリゴヌクレオチドを結合するために使用され得る。
【0079】
オリゴヌクレオチドは、その少なくとも一部が官能基によってナノ粒子と結合することを可能にするのに十分な時間、水の中でナノ粒子と接触する。そのような時間は経験的に決定され得る。例えば、約12〜24時間の時間が良い結果を与えることが明らかになっている。オリゴヌクレオチドの結合のための他の適当な条件も経験的に決定され得る。例えば、約10〜20nMの濃度のナノ粒子および室温でのインキュベーションは良い結果を与える。
【0080】
次に、少なくとも1つの塩を水に加えて塩溶液を形成する。この塩は任意の適切な水溶性塩でもよい。例えば、この塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、これらの塩のうちの2つ以上の組合せ、またはこれらの塩の1つのリン酸緩衝液であってもよい。好ましくは、この塩は濃縮溶液として加えられるが、固体として加えることが可能であった。塩のすべてが一時に水に加えられることが可能であり、または塩は徐々に逐次加えられる。「徐々に逐次」は、塩は少なくとも2つの部分に分けて時間の間隔をあけて加えられることを意味する。適当な時間の間隔は、経験的に決定され得る。
【0081】
塩溶液のイオン強度は、互いのオリゴヌクレオチドの静電反発力、および正に荷電したナノ粒子に対する負に荷電したオリゴヌクレオチドの静電引力、または負に荷電したナノ粒子からの負に荷電したオリゴヌクレオチドの静電反発力に少なくとも部分的に耐えるのに十分でなければならない。塩を徐々に逐次加えることによって静電引力および反発を徐々に減らすことは、ナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの面密度を最大にすることがわかった。各塩または塩の組合せのための適当なイオン強度は、経験的に決定され得る。塩化ナトリウムのリン酸緩衝液の約0.1Mから約1.0Mの最終濃度で、好ましくは塩化ナトリウムの濃度を徐々に逐次高くすることが良い結果を生むことがわかった。
【0082】
塩を加えた後に、オリゴヌクレオチドおよびナノ粒子が、十分なさらなるオリゴヌクレオチドがナノ粒子と結合して安定したナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体を形成することを可能にするのに十分な時間、塩溶液中でインキュベートされる。以下に詳細に記載されているように、ナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの増加した面密度は複合体を安定させることがわかった。このインキュベーション時間は経験的に決定され得る。約24〜48時間、好ましくは40時間の総インキュベーション時間がよい結果をもたらすことがわかった(これはインキュベーションの合計時間である;上で指摘したように、塩濃度はこの合計時間内で徐々に高められ得る)。塩溶液内のインキュベーションのこの第2の期間は、本願で「エージング」工程と称される。この「エージング」工程のための他の適当な条件も、経験的に決定され得る。例えば、室温およびpH7.0でのインキュベーションはよい結果をもたらす。
【0083】
「エージング」工程の使用によって生じた複合体は、「エージング」工程なしで生産されたものよりかなり安定していることがわかった。上述のように、この増加した安定性は、ナノ粒子の表面の「エージング」工程によって達成されたオリゴヌクレオチド密度の上昇によるものである。「エージング」工程によって達成される面密度は、ナノ粒子の大きさおよび種類、ならびにオリゴヌクレオチドの長さ、配列および濃度に依存する。ナノ粒子を安定させるのに十分な面密度ならびにナノ粒子およびオリゴヌクレオチドの所望の組合せを得るのに必要な条件は、経験的に決定され得る。通常、安定したナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体を提供するのに、少なくとも10ピコモル/cmの面密度で十分である。好ましくは、面密度は少なくとも15ピコモル/cmである。複合体のオリゴヌクレオチドの核酸およびオリゴヌクレオチド標的とハイブリダイズする能力は、面密度が大き過ぎると減少する可能性があることから、面密度は好ましくは約35〜40ピコモル/cm以下である。
【0084】
本願で使用されるように、「安定している」は、複合体が作製されてから少なくとも6カ月間は、ほとんどのオリゴヌクレオチドがナノ粒子に結合した状態を維持し、オリゴヌクレオチドは核酸の検出方法およびナノファブリケーションの方法で遭遇する標準条件下で、核酸およびオリゴヌクレオチド標的とハイブリダイズすることができることを意味する。
【0085】
ナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体のハイブリダイゼーション効率は、認識部およびスペーサー部からなる認識オリゴヌクレオチドの使用により劇的に高められることが可能であることがわかっている。「認識オリゴヌクレオチド」は、核酸またはオリゴヌクレオチド標的の配列の少なくとも一部と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドである。この実施形態では、認識オリゴヌクレオチドは認識部およびスペーサー部を含み、核酸またはオリゴヌクレオチド標的とハイブリダイズするのは認識部である。認識オリゴヌクレオチドのスペーサー部分は、ナノ粒子と結合するように設計される。例えば、スペーサー部はそれと共有結合した部分を有することができ、その部分はナノ粒子と結合することが可能な官能基を含む。これらは、先に述べたものと同じ部分および官能基である。ナノ粒子への認識オリゴヌクレオチドのスペーサー部分の結合の結果、認識部はナノ粒子の表面から距離があり、その標的とのハイブリダイゼーションのためにより都合よくなる。ナノ粒子と認識部との距離を十分にするスペーサー部の長さおよび配列は、経験的に決定され得る。少なくとも約10のヌクレオチド、好ましくは10〜30のヌクレオチドを含むスペーサー部がよい結果を与えることがわかっている。スペーサー部は、ナノ粒子または核酸もしくはオリゴヌクレオチド標的に結合する認識オリゴヌクレオチドの能力を妨げない任意の配列をも有することが可能である。例えば、スペーサー部は、互いに相補的な配列、および認識オリゴヌクレオチドの配列または認識オリゴヌクレオチドの核酸もしくはオリゴヌクレオチド標的の配列と相補的な配列を有すべきではない。望ましくは、それが上記で指摘された問題の1つを引き起こさない限り、スペーサー部のヌクレオチドの塩基はすべてアデニン、すべてチミン、すべてシチジン、またはすべてグアニンである。より好ましくは、塩基はすべてアデニンまたはすべてチミンである。最も好ましくは、塩基はすべてチミンである。
【0086】
認識オリゴヌクレオチドに加えて希釈オリゴヌクレオチドを使用することは、複合体を調整して所望のハイブリダイゼーションレベルをもたらす手段を提供することがさらにわかった。希釈オリゴヌクレオチドおよび認識オリゴヌクレオチドは、複合体を調製するためにナノ粒子と接触させた溶液中の比率とほぼ同じ比率でナノ粒子に結合することがわかった。したがって、ナノ粒子と結合した希釈オリゴヌクレオチドと認識オリゴヌクレオチドとの比率は、その複合体が所望の数のハイブリダイゼーション事象に加わるように調整され得る。希釈オリゴヌクレオチドは、ナノ粒子または核酸もしくはオリゴヌクレオチド標的に結合する認識オリゴヌクレオチドの能力を妨げない任意の配列をも有することが可能である。例えば、希釈オリゴヌクレオチドは、認識オリゴヌクレオチドの配列または認識オリゴヌクレオチドの核酸もしくはオリゴヌクレオチド標的の配列と相補的な配列を有すべきではない。また、好ましくは、希釈オリゴヌクレオチドは、認識オリゴヌクレオチドがそれらの核酸またはオリゴヌクレオチド標的と結合することが可能なように、認識オリゴヌクレオチドより短い長さである。認識オリゴヌクレオチドがスペーサー部を含む場合、最も好ましくは、希釈オリゴヌクレオチドはスペーサー部とほぼ同じ長さである。このように、希釈オリゴヌクレオチドは、核酸またはオリゴヌクレオチド標的とハイブリダイズする認識オリゴヌクレオチドの認識部の能力を妨げない。より好ましくは、希釈オリゴヌクレオチドは、認識オリゴヌクレオチドのスペーサー部の配列と同じ配列を有する。
【0087】
本発明の他の実施形態では、粒子複合プローブが提供される。粒子複合プローブは、特定の標的分析物のための既定のリポーター・オリゴヌクレオチドまたはバーコードを含む。標的分析物の存在下で、粒子複合体および標的分析物の間の結合相互作用の結果として集合体が生成される。これらの集合体は、1つまたは複数の異なる種類のリポーター・オリゴヌクレオチドの存在を検出するために、熱変性などの任意の適切な手段によっても単離されて分析され得る。本発明の実施では、ナノ粒子複合プローブが好ましい。
【0088】
したがって、本発明の一態様では、粒子複合プローブは、オリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備え、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し;(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し;(iii)特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し;(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する。
【0089】
この実施形態の他の態様では、粒子複合プローブは、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備え、該プローブに結合した第1の種類のオリゴヌクレオチドは、該DNAバーコードの少なくとも一部と相補的である配列を有し、該プローブに結合した第2の種類のオリゴヌクレオチドは、特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的である配列を有する。
【0090】
この実施形態の他の態様では、粒子複合プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体を備え、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的である配列を有し、該DNAバーコードは特異的標的分析物の識別子としての機能を果たす。
【0091】
本発明の他の実施形態では、粒子複合プローブが提供される。したがって、本発明の一実施形態では、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブが提供され、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し;(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し;(iii)特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し;(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する。
【0092】
本発明の他の実施形態では、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブが提供され、該プローブに結合した第1の種類のオリゴヌクレオチドは、該DNAバーコードの少なくとも一部と相補的である配列を有し、該プローブに結合した第2の種類のオリゴヌクレオチドは、特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的である配列を有する。
【0093】
本発明の他の実施形態では、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体を備える粒子複合プローブが提供され、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的である配列を有し、該DNAバーコードは特異的標的分析物の識別子としての機能を果たす。
【0094】
本発明の他の実施形態では、ナノ粒子;該ナノ粒子に結合した特異的結合対のメンバー;該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および既定の配列を有し、該少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている少なくとも1種類のDNAバーコードを備える検出プローブが提供される。
【0095】
好ましくは、前記粒子は、上述したように、金属、半導体、絶縁体または磁性ナノ粒子のようなナノ粒子を含む。好ましくは、前記粒子は金のナノ粒子である。特異的結合相補体または結合対のメンバー、および標的分析物は、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗体、抗原、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬剤、ウイルス、多糖類、脂質、リポ多糖体、糖タンパク質、リポ蛋白質、核蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、免疫グロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドおよびタンパク質のホルモン、非ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、腫瘍特異性エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、微生物の断片、一部、構成要素または生成物、小有機分子、核酸およびオリゴヌクレオチド、上記物質のいずれかの代謝産物または抗体を含む特異的結合対のメンバーである。
【0096】
本発明の他の実施形態では、試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供される。本発明のこの実施形態の一態様では、
基質を準備する工程と;
特異的標的分析物に対する1つまたは複数の特異的結合相補体を有する粒子および該粒子に結合した1つまたは複数のDNAバーコードを備える1種類または数種類の粒子プローブを準備する工程であって、該粒子プローブの特異的結合相補体は特定の標的分析物に特異的であり、該粒子プローブのためのDNAバーコードは該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす工程と;
該基質上へ該標的分析物を固定する工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該分析物に対する特異的結合相補体の間の結合を可能にして複合体を形成するのに有効な条件下で、該固定標的分析物を1種類または数種類の粒子プローブと接触させる工程と;
未結合の粒子プローブを除去するために該基質を洗浄する工程と;
該DNAバーコードを任意で増幅させる工程と;
該マーカーの有無は試料中の特異的標的分析物の有無を示している該増殖されたDNAバーコードの有無を検出する工程とを備えている。
【0097】
本発明のこの実施形態の一態様では、前記標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、特異的結合相補体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む抗体である。
本発明の他の態様では、任意の適切な基質が使用されてもよい。基質は、標的分析物のための1種類または数種類の捕獲プローブで配列されてもよい。
【0098】
本発明のこの態様では、バーコードが単離され得る。分析物は、リポーター・オリゴヌクレオチドまたはバイオバーコードの存在をDNAチップのような任意の適切な手段で確認することによって、間接的に検出される。
【0099】
DNAバーコードは、PCR増幅を含む任意の適切な手段で任意に増幅されることができ、次に、任意の適切な検出プローブを使用して任意の適切なDNA検出システムで検出され得る。粒子は、好ましくは、十分なシグナル増幅を提供してDNAバーコード増幅を不要にするのに十分な量のDNAバーコードで標識される。本発明を実行する際には、PCR方法による増幅が好ましい。DNAバーコードのPCR増幅(本願ではBPCRとも称される)は、アトモルレベルでのタンパク質標的の検出を可能にする。図6で図示したアッセイは、標的分析物の前立腺特異性抗原(PSA)を認識するために、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド(バイオバーコード)36およびポリクローナル検出抗体で高度に官能基化した新型のナノ粒子を利用している(実施例5)。さらに、磁性酸化鉄コアを有するポリアミン微小粒子(1μmの直径)は、PSAモノクローナル抗体で官能基化される(図6および実施例5)。金のナノ粒子およびポリアミン微小粒子はPSA標的をはさみ、バーコードDNAとタンパク質標的との比率が大きい複合体を生成する(13nmの粒子では、各粒子は最高200鎖のDNAを支持することが可能;これはこの大きさの粒子の上限を表す)。磁場を使用すると数秒足らずで反応器の壁に磁性粒子が引っ張られ、反応した微小粒子と未反応の微小粒子との両方、ならびに反応したナノ粒子だけを反応混合物から分離することを可能にする。集合構造をナノピュア(Nanopure)水(18Mオーム)で洗うと、バーコードDNAはナノ粒子固定化相補体から脱ハイブリダイズされる。磁選機を使用すると、集合体は簡単にアッセイ溶液から取り除かれてバーコードDNAが残り、これはPCRを使用して増幅され、続く標準のDNA検出法(scanometric11、ゲル電気泳動法または蛍光団標識法)で迅速に特定され得る。PSAは、米国の男性で最も一般的な癌の1つであり、かつ2番目に重要な癌死の原因である前立腺癌の早期発見の重要性のために、これらの研究の最初の標的として選択された47,48。重要なことに、低レベル(数十のコピー数)で存在するPSAをマーカーとして使用して前立腺癌の外科的治療後の疾患再発を確認することは非常に有益であり、治癒的な補助療法の提供を可能にする46,49
【0100】
実施例5〜6は、BPCRが、バックグラウンドタンパク質の存在下でゲル電気泳動法またはスキャノメトリー(scanometric)マイクロアレイ検出を使用して低いアトモルの濃度のタンパク質分析物、すなわちPSAを検出するための、極めて強力な方法であることを示す。この研究は、現行のタンパク質検出法に勝るいくつかの利点を示す。第1に、アッセイの標的結合タンパク質は均一である。したがって、検出抗体および標的分析物の間の結合動態を促進するために、大量の磁性粒子を反応器に加えることが可能である。これから、不均一系より高速なアッセイがもたらされ、さらに捕獲工程がより効率的であるので感度を増やすことが可能になる。第2に、ナノ粒子バイオバーコードの使用は、PCR増幅可能なDNAと標識抗体との高い比率を提供し、実質的にアッセイ感度を高めるのに役立つ。例えば、本願で報告されているBPCRアッセイは3aM濃度のPSAを検出することが可能であったが、PCRに基づくイムノアッセイは同じ標的分析物に対して検出限界が3fMであると報告されている43。第3に、このアッセイは、DNAを標識抗体に結合するための複雑なコンジュゲーション化学を不要にする。バーコードDNAは、標識反応の最初にハイブリダイゼーションを通してナノ粒子プローブに結合され、簡単な洗浄工程を使用してPCR増幅のために遊離させられる。同じ粒子上に標識化抗体およびDNAが存在すると、バーコードDNAのPCR増幅の前にさらなる抗体またはDNA−タンパク複合体を付加する必要がない。さらに、バーコードDNAは検出アッセイから取り出され、PSAを含まないバーコードDNA、大部分の生体試料、微小粒子およびナノ粒子の試料についてPCRが実行される。これにより、バックグラウンドシグナルが相当減らされる。最後に、このタンパク質検出スキームは、一溶液中での多くの分析物の大量多重化および同時検出の可能性を有する。PSA系はプルーフオブコンセプト(proof−of−concept)のために使用されるが、この方法は結合パートナーが既知のほとんどいかなる標的のために一般化できるはずであり、ナノ粒子ベースのバイオバーコードの方法36を使用することにより、実質的にあらゆる関心のある標的のために特有の特定可能なバーコードを調製することが可能である。
【0101】
実施例9は、本発明のプローブが試料中の標的分析物の量を検出し、かつ直接測定するために使用され得ることを証明する。したがって、優れた感度および検出限界を達成するためには、バーコードDNAを増幅するためのBPCRを含む工程は不必要である(図6B(工程4)、9(インセット)および12)。
【0102】
複合体形成の後に基質表面から未結合のプローブを除去するための、任意の適切な洗浄溶液が使用されてもよい。代表例としてはPBS(リン酸緩衝液)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0103】
標的分析物の存在下で、ナノ粒子複合プローブおよび標的分析物の間の結合相互作用の結果として、ナノ粒子集合複合体が生成される。これらの集合体が単離され、それらを脱ハイブリダイズしてリポーター・オリゴヌクレオチドを放出するのに有効な条件下に置かれてもよい。その後、リポーター・オリゴヌクレオチドは単離される。必要に応じて、リポーター・オリゴヌクレオチドは、PCR増幅を含む任意の適切な手段で増幅されてもよい。分析物は、リポーター・オリゴヌクレオチドまたはバイオバーコードの存在をDNAチップなどの任意の適切な手段で確認することによって、間接的に検出される。
【0104】
次に、DNAバーコードまたはリポーター・オリゴヌクレオチドは、任意の適切な手段で検出され得る。通常、DNAバーコードは検出の前に脱ハイブリダイゼーションを通して複合体から放出される。複合体からDNAバーコードを脱ハイブリダイズして放出する任意の適切な溶液または媒体が用いられ得る。代表的な媒体は水である。
【0105】
集合体の脱ハイブリダイゼーションによって放出されるDNAバーコードは、捕獲オリゴヌクレオチドが結合した基質を使用して直接検出され得る。オリゴヌクレオチドは、リポーター・オリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的な配列を有する。このDNAバーコードを検出する方法のいくつかの実施形態は、リポーター・オリゴヌクレオチドを捕獲するために、相補的なオリゴヌクレオチドが結合した基質を利用する。これらの捕獲されたリポーター・オリゴヌクレオチドは、次に任意の適切な手段によっても検出される。基質を使用することによって、検出可能な変化(シグナル)を増幅し、アッセイの感度を高くすることが可能である。
【0106】
オリゴヌクレオチドを基質へ結合する任意の適切な方法が使用されてもよい。例えば、クリジーら(Chrisey et al.)、Nucleic Acids Res.、24、3031〜3039頁(1996);クリジーら(Chrisey et al.)、Nucleic Acids Res.、24、3040〜3047頁(1996);ムチックら(Mucic et al.)、Chem.Commun.、555頁(1996);シメルマン(Zimmermann)およびコックス(Cox)、Nucleic Acids Res.、22、492頁(1994);ボトムリーら(Bottomley et al.)、J.Vac.Sci.Technol.A、10、591頁(1992);およびヘグナーら(Hegner et al.)、FEBS Lett.、336、452頁(1993)などで記載されているように、オリゴヌクレオチドを基質に結合することが可能である。
【0107】
基質と結合したオリゴヌクレオチドは、検出されるリポーター・オリゴヌクレオチドの配列の第1の部分と相補的な配列を有する。リポーター・オリゴヌクレオチドは、基質上のオリゴヌクレオチドとリポーター・オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、基質と接触する。このように、リポーター・オリゴヌクレオチドは基質と結合する。好ましくは、未結合のいかなるリポーター・オリゴヌクレオチドをも、ナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体などの検出プローブを加える前に基質から洗い流される。
【0108】
本発明の一態様では、基質上のオリゴヌクレオチドと結合したリポーター・オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが結合した第1の種類のナノ粒子と接触する。オリゴヌクレオチドは、リポーター・オリゴヌクレオチドの配列の第2の部分と相補的な配列を有し、ナノ粒子上のオリゴヌクレオチドとリポーター・オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、接触が起こる。このように、第1の種類のナノ粒子は基質と結合する。ナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体が基質に結合した後に、未結合のいかなるナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体をも除去するために基質が洗浄される。
【0109】
第1の種類のナノ粒子上のオリゴヌクレオチドはすべて同じ配列を有してもよく、または、検出されるリポーター・オリゴヌクレオチドの異なる部分とハイブリダイズする異なる配列を有してもよい。異なる配列を有するオリゴヌクレオチドが使用されるときは、各ナノ粒子は、該ナノ粒子に結合した異なるオリゴヌクレオチドのすべてを有してもよく、または、好ましくは異なるオリゴヌクレオチドは異なるナノ粒子に結合する。あるいは、各第1の種類のナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの少なくともその1つは、検出されるリポーター・オリゴヌクレオチドのいくつかとハイブリダイズする複数の異なる配列を有してもよい。
【0110】
任意で、基質と結合した第1の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体は、オリゴヌクレオチドが結合した第2の種類のナノ粒子と接触する。これらのオリゴヌクレオチドは、第1の種類のナノ粒子に結合したオリゴヌクレオチドの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有し、第1の種類のナノ粒子上のオリゴヌクレオチドと第2の種類のナノ粒子上のオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、接触が起こる。ナノ粒子が結合した後に、好ましくは未結合のいかなるナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体を除去するために、基質が洗浄される。
【0111】
ハイブリダイゼーションの組合せにより、検出可能な変化がもたらされる。複数のハイブリダイゼーションが検出可能な変化の増幅をもたらす点を除いて、この検出可能な変化は上述したものと同じである。特に、各第1の種類のナノ粒子は、該ナノ粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチド(同じか異なる配列を有する)を有するので、各第1の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体は複数の第2の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体とハイブリダイズすることが可能である。また、第1の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体は、検出されるリポーター・オリゴヌクレオチドの複数の部分とハイブリダイズすることもできる。複数のハイブリダイゼーションによってもたらされる増幅は、初めて変化を検出可能にすることができ、または、検出可能な変化の程度を大きくすることもできる。この増幅はアッセイの感度を高くし、少量のリポーター・オリゴヌクレオチドの検出を可能にする。
【0112】
必要に応じて、第1および第2の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体の連続添加によって、さらなるナノ粒子層を確立することが可能である。このように、標的核酸分子当たりの固定ナノ粒子の数は、対応するシグナル強度の増加に従って、さらに増加され得る。
【0113】
また、互いに直接ハイブリダイズするようになっている第1および第2の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体を使用する代わりに、結合オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの結果としてナノ粒子の結合に役立つオリゴヌクレオチドを有するナノ粒子が使用され得る。
【0114】
基質が使用されるときは、複数の初期の種類のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体またはオリゴヌクレオチドは、標的リポーター・オリゴヌクレオチドの複数の部分を検出するための配列で、または複数の異なるリポーター・オリゴヌクレオチドもしくは両方を検出するための配列で、基質に結合することが可能である。例えば、標的リポーター・オリゴヌクレオチドのいくつかと結合するようになっている異なる種類のオリゴヌクレオチドを各点が含む点の列を、基質は備えてもよい。1つまたは複数のリポーター・オリゴヌクレオチドを含む試料が各点に加えられ、アッセイの残りは適当なオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体を使用して上述の方法の一つで実施される。
【0115】
他の態様では、直接検出法と同様にBPCRによる分析物検出方法は、ガラス、金、シリコン、ニッケル、プラスチックなどの基質上での分析物検出を含む方法での使用に応用され得る。これらの方法は、他の生物学的および化学的認識事象、例えばDNA−タンパク質結合事象、生理学的タンパク質−タンパク質結合または二量体化、および上記他の生体分子相互作用を検出するためにも応用され得る。
【0116】
この態様の一実施形態では、前記方法は各標的分析物のための1種類または数種類の捕獲プローブを基質に結合し、この基質を試験液と接触させ、任意で基質から試験液を洗い流し、その後この基質を各標的分析物のための1種類または数種類の検出プローブと接触させ、未結合のいかなる検出プローブを除去し、観察可能なシグナルを検出することを備え、観察可能なシグナルの検出は試験液中の標的分析物の存在を示す。
【0117】
本発明のこの態様では、観察可能なシグナルは、本願で記載のいかなる方法でも検出され得る。例えば、バーコードDNAの直接検出、BPCR増幅バーコードDNAの検出、(例えば、目視検査、蛍光法、比色法、電気化学、電子、デンシトメトリー、放射能などによる)1種類または数種類の検出プローブの集合の検出、または、バーコードDNAの少なくとも一部と相補的な配列および検出可能なシグナル部分(例えば蛍光標識)を備えるリポーターヌクレオチドを用いることによる。
【0118】
基質が使用されるときは、銀染色または金染色などの染色法によって検出可能な変化をもたらすか、またはさらに強化することが可能である。銀染色は、銀の還元を触媒するいかなる種類のナノ粒子で使用され得る。好ましいのは、貴金属(例えば金および銀)からなるナノ粒子である。バッセルら(Bassell et al.)、J.Cell Biol.、126、863〜876頁(1994);ブラウン−ハウランドら(Braun−Howland et al.)、Biotechniques、13、928〜931頁(1992)を参照。核酸の検出のために使用されているナノ粒子が銀の還元を触媒しない場合は、還元を触媒するために銀イオンを核酸と化合させることが可能である。ブラウンら(Braun et al.)、Nature、391、775頁(1998)を参照。また、核酸上のリン酸基と化学反応することが可能な銀染色も公知である。
【0119】
銀染色は、上述のものを含む基質上で実施されるいかなるアッセイにおいても、検出可能な変化をもたらすために、または強化するために使用され得る。特に、銀染色は、単一の種類のナノ粒子を使用しているアッセイの感度を大きく高め、ナノ粒子層の使用がしばしば不要になることがわかった。
【0120】
基質上で実施されるリポーター・オリゴヌクレオチドを検出するためのアッセイにおいて、検出可能な変化は、光学式スキャナで観察され得る。適当なスキャナとしては、文書をコンピュータにスキャンするために使用され、反射モードで作動できるもの(例えばフラットベッド・スキャナ)、この機能を実施することができる他の装置、または同じ種類の光学を利用するもの、いかなる種類のグレースケール感受性測定器具、および本発明に従い基質をスキャンするように変更された標準のスキャナ(例えば、基質のためのホルダーを含むように変更されたフラットベッド・スキャナ)(現在まで、透過モードで作動するスキャナを使用することが可能であるとはわかっていない)などが挙げられる。スキャナの分解能は、基質上の反応域がスキャナの単一の画素より大きくなるように十分でなければならない。スキャナはいかなる基質でも使用され得るが、アッセイによってもたらされる検出可能な変化は基質に対して観察されるものとする(例えば、銀染色によって生じるグレースポットは白地に対して観察され得るが、灰色のバックグラウンドに対して観察され得ない)。スキャナは、白黒のスキャナ、または好ましくはカラースキャナでもよい。最も好ましくは、スキャナは文書をコンピュータにスキャンするために使用される種類の標準のカラースキャナである。そのようなスキャナは安価であり、市販品が容易に入手される。例えば、Epson Expression 636(600×600dpi)、UMAX Astra 1200(300×300dpi)またはMicrotec 1600(1600×1600dpi)が使用され得る。スキャナは、基質をスキャンして得た画像を処理するためのソフトウェアをロードしたコンピュータと接続される。ソフトウェアは、Adobe Photoshop 5.2およびCorel Photopaint 8.0などの市販品を容易に入手できる標準のソフトウェアでもよい。グレースケール測定値を計算するためにソフトウェアを使用することは、アッセイの結果を定量化するための手段を提供する。ソフトウェアは、着色点の色数を提供し、また、調査して核酸の存在の定性的測定、核酸の量または双方を提供することが可能なスキャン画像(例えばプリントアウト)を生成することも可能である。コンピュータは、市販品を容易に入手できる標準のパーソナルコンピュータでもよい。このように、標準のソフトウェアをロードした標準のコンピュータと接続しれた標準のスキャナの使用は、アッセイが基質上で実施されたときに核酸を検出して定量するのに便利で、簡単かつ安価な手段を提供することが可能である。スキャンは、さらなる参照または使用のために結果の記録を維持するために、コンピュータで保存され得る。当然ながら、より洗練された機器およびソフトウェアが必要に応じて使用され得る。
【0121】
本発明の他の実施形態では、試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供され、該方法は、
基質と結合しており、特異的標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を含む1種類または数種類の捕獲プローブを準備する工程と;
プローブが、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子、該特異的標的分析物の第2の結合部位に対する1つまたは複数の特異的結合相補体、および該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす1つまたは複数のDNAバーコードを備える1種類または数種類の検出プローブを準備する工程であって、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部が、該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料、捕獲プローブおよび検出プローブを接触させる工程と;
未結合のいかなる検出プローブをも除去するために該基質を洗浄する工程と;
該DNAバーコードの有無の検出は試料中の標的分析物の有無を示している該基質上の任意の集合複合体内の該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える。
【0122】
本発明のこの実施形態の一態様では、検出プローブは、(i)特異的標的分析物の第2の結合部位に対する1つまたは複数の特異的結合相補体、(ii)ナノ粒子と結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド、および少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部と相補的である既定配列を有するDNAバーコードを備え、検出プローブと結合したDNAバーコードは、特異的標的分析物のマーカーとしての機能を果たしている。
【0123】
この実施形態の他の態様では、前記方法は前記検出工程の前にさらに、
前記集合複合体を脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該複合体を置く工程と;
該検出の前に該DNAバーコードを任意で増幅させる工程とを備える。
【0124】
本発明の他の態様では、捕獲プローブは、磁性粒子、例えば磁性酸化鉄を有するポリスチレンMMPのような磁性基質に結合している。これは、溶液からの複合体の容易な除去を可能にする。その後、上述の基質ベースの検出技術を使用して直接、または増幅の後に検出技術を実行することによって間接的に、DNAバーコードが検出され得る。下記の実施例において、オリゴヌクレオチドで修飾されたナノ粒子(NP)、磁性微小粒子(MMP)、および続く1つまたは複数の標的核酸配列の増幅体としての機能を果たすバーコードDNAの検出に基づく方法が記載されている。好ましくは、オリゴヌクレオチドで修飾されたナノ粒子は、金のナノ粒子からなる。標的DNAシグナルの有無の(バーコードDNAの検出を通した)検出は、好ましくは上記で示したように基質に基づく検出法を使用して実施される。
【0125】
一態様では、本発明は、PCR方法に頼らず、オリゴヌクレオチドで修飾されたナノ粒子(NP)、磁性微小粒子(MMP)およびバーコードDNAの形での増幅された標的核酸の検出に基づく標的核酸の増幅方法を提供する。この態様の一実施形態では、オリゴヌクレオチドで修飾されたナノ粒子(NP)は、金のナノ粒子からなる。この態様の他の実施形態において、増幅させたDNAシグナル(標的配列に特異的なバーコードDNA)の検出は、チップに基づく検出法を使用して実施される。この態様の他の実施形態において、バーコードDNAは関心のある各標的核酸分子に特異的な配列を備え、試験溶液中の複数の標的核酸配列の特異的な検出を可能にする。
【0126】
本発明の他の態様において、バーコードDNAは試験試料中の関心のある各特定の標的分析物に特異的な配列を備え、単一のアッセイ/試験溶液中の複数の特異的標的の検出を可能にする。実施例で示すように、約500ゼプトモル(zM)のように低い検出限界が達成される(「ゼプト」の桁は10−21である;例えば20μLの試料全体で10コピー)。そのような検出限界は、標的核酸分子のPCRによらない検出の感度のかなりの増加を表す。
【0127】
この態様において、2種類のプローブが標的DNAの検出に対して提供される(DNA−BCA)。ある実施形態において、プローブの第1の種類は磁性酸化鉄コアを有するポリスチレンMMPであり、標的配列の少なくとも一部に相補的であるオリゴヌクレオチドで官能基化されている。MMPのオリゴヌクレオチドの相補性部分は、特定のアッセイ条件(例えば緩衝系、標的核酸配列、温度、その他)によって様々な長さを有することが可能である。
【0128】
他の実施形態では、第2のプローブは2種類のオリゴヌクレオチドで変更されたナノ粒子を備え、このオリゴヌクレオチドの1種類はMMPによって認識される標的上の領域と異なる標的配列の少なくとも一部と相補的である配列を備え;他のオリゴヌクレオチドは、特定の標的配列の特有の認識票となるバーコードDNAの配列の少なくとも一部と相補的な配列を備える。特定の実施形態において、ナノ粒子は金のナノ粒子である。他の実施形態において、金のナノ粒子は、13、20または30nmの金のナノ粒子からなる。
【0129】
バーコードDNAとナノ粒子表面の標的結合配列との比率は、個々のアッセイに合わせて変更され得る。バーコードDNAのPCRによらない検出を可能にするために、バーコードDNAと標的結合DNAとの比率は1:1より大きくなければならず、好ましくは少なくとも約25:1、より好ましくは少なくとも約50:1、最も好ましくは少なくとも約100:1である。DNA−BCA方法では標的配列ではなくバーコードDNAが特定および検出されるので、より高い比率はPCRによらない標的増幅を可能にする。例えば、金の13nmのナノ粒子は、粒子当たり少なくとも100のチオ化されたDNA鎖を収納することが可能である73。20および30nmのナノ粒子については、各粒子につき相当するオリゴヌクレオチドのローディングおよび球面形を想定すると、粒子はそれぞれ約240および530の固定化オリゴヌクレオチドを収納することが可能である。
【0130】
本実施形態の他の態様では、ナノ粒子に結合した特異的結合相補体は、モノクローナルまたはポリクローナルの抗体である。
本実施形態の他の態様では、捕獲プローブに結合した特異的結合相補体はモノクローナル抗体である。
【0131】
本実施形態の他の態様では、抗体は抗PSA抗体である。
本実施形態の他の態様では、前記方法は前記洗浄工程の前にさらに、
前記磁性粒子に結合した集合複合体を磁場に置くことによって洗浄の前に該集合複合体を単離する工程を含む。
【0132】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、前記単離された集合複合体を脱ハイブリダイズして前記DNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程を含む。
【0133】
この実施形態の他の態様では、前記放出されたDNAバーコードはPCRなどの任意の適切な手法で増幅される。
本実施形態の他の態様では、前記標的分析物は少なくとも2つの部分を有する核酸である。
【0134】
本実施形態の他の態様では、前記標的分析物は少なくとも2つの部分の配列を有する標的核酸であり、前記検出プローブは前記DNAバーコードに相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドを有するナノ粒子を備え、該検出プローブの特異的結合相補体は、該標的核酸の第1の部分に相補的である配列を有する第1の標的認識オリゴヌクレオチドを備え、前記捕獲プローブの特異的結合相補体は、該標的核酸の少なくとも第2の部分に相補的である配列を有する第2の標的認識オリゴヌクレオチドを備える。
【0135】
本実施形態の他の態様では、前記標的分析物は少なくとも2つの部分の配列を有する標的核酸であり、前記検出プローブは、オリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を備え、前記DNAバーコードは該検出プローブと結合した該オリゴヌクレオチドの少なくともいくつかに相補的である配列を有し、前記特異的結合相補体は、少なくとも第1および第2の部分の配列を有する標的認識オリゴヌクレオチドを備え、該第1の部分は該標的核酸の第1の部分に相補的であり、該第2の部分は、該ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかに相補的であり、前記基質の特異的結合相補体は、該標的核酸の第2の部分に相補的である少なくとも一部を有する標的認識オリゴヌクレオチドを備える。
【0136】
この実施形態の他の態様では、上述のように、検出プローブはデンドリマーナノ粒子を備える。
本発明の他の実施形態では、試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供され、該方法は、
(i)磁性粒子;および(ii)該磁性粒子に結合した第1の特異的結合対の第1のメンバーを備える1種類または数種類の捕獲プローブを準備する工程であって、該第1の特異的結合対の第1のメンバーは特異的標的分析物の第1の結合部位と結合する工程と;
各標的分析物のために1種類または数種類の検出プローブを準備する工程であって、検出プローブは、(i)ナノ粒子;(ii)該標的分析物の第2の結合部位と結合する、該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および、(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部と相補的である既定の配列を有し、且つ特異的標的分析物のマーカーとしての機能を果たす少なくとも1種類のDNAバーコードを備えている工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして該磁性粒子と結合した集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料を捕獲プローブおよび検出プローブと接触させる工程と;
未結合のいかなる検出プローブをも該磁性粒子から洗い流す工程と;
該DNAバーコードの検出は標的分析物の存在を示している該複合体内の該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える。
【0137】
この実施形態の一態様では、前記方法は前記検出工程の前にさらに、
磁場を加えることによって前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体から脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
放出されたDNAバーコードを単離する工程とを備える。
【0138】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、放出されたDNAバーコードを増幅させる工程を備える。
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
前記DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有し、且つオリゴヌクレオチドが結合した基質を準備する工程と;
少なくとも一部がDNAバーコードの少なくとも一部と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を準備する工程と;
該DNAバーコードの少なくとも第1の部分と該基質に結合した相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および該DNAバーコードの第2の部分と該ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドのいくつかとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、該DNAバーコード、該基質と結合したオリゴヌクレオチドおよび該ナノ粒子を接触させる工程とを備える。
【0139】
この実施形態の他の態様では、前記DNAバーコードは、検出前にPCRによって増幅される。
この実施形態の他の態様では、前記方法は、前記集合複合体を分析する前に該集合複合体を単離する工程をさらに備える。
【0140】
この実施形態の他の態様では、前記集合複合体は、磁場を該集合複合体に加えることによって単離される。
この実施形態の他の態様では、前記ナノ粒子は、金ナノ粒子または半導体ナノ粒子などの金属ナノ粒子である。
【0141】
この実施形態の他の態様では、前記特異的結合対は、抗体と抗原;受容体とリガンド;酵素と基質;薬剤と標的分子;アプタマーとアプタマー標的;少なくとも部分的に相補的な2つのオリゴヌクレオチド鎖である。
【0142】
この実施形態の他の態様では、前記DNAバーコードは、ビオチン化、放射性標識、または蛍光標識されてもよい。
いずれの実施形態においても、少なくとも2種類の粒子複合プローブが準備され、第1の種類のプローブは標的分析物上の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該プローブ上の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する。標的分析物上の異なる結合部位に対する特異的結合相補体を有する複数の粒子複合プローブが準備される。
【0143】
特異的結合相補体および標的分析物は、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗体、抗原、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬剤、ウイルス、多糖類、脂質、リポ多糖体、糖タンパク質、リポ蛋白質、核蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、免疫グロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドおよびタンパク質のホルモン、非ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、腫瘍特異性エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、微生物の断片、一部、構成要素または生成物、小有機分子、核酸およびオリゴヌクレオチド、上記物質のいずれかの代謝産物または抗体を含む特異的結合対のメンバーである。
【0144】
核酸およびオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、糸状菌のDNA、哺乳動物のDNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、1本鎖および2本鎖の核酸、ならびに天然および合成の核酸、ならびにアプタマーを含む。
【0145】
標的分析物は核酸であり、特異的結合相補体はオリゴヌクレオチドである。あるいは、標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、特異的結合相補体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む抗体である。あるいは、標的分析物はゲノムDNA試料からの配列であり、特異的結合相補体は該ゲノム配列の少なくとも一部と相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドである。ゲノムDNAは、真核、細菌、真菌またはウイルスのDNAでもよい。
【0146】
特異的結合相補体および標的分析物は、抗体−リガンド対のメンバーである。
第1の結合部位に加えて、標的分析物は第2の結合部位を含むように変更されている。
これらの方法は、集合複合体を除去する濾過工程をさらに備えてもよく、濾過は、集合複合体を分析する前に行われる。この濾過工程は、DNAバーコードを含まない試料構成要素を除去する膜を含む。
【0147】
本発明の他の実施形態では、試料中の1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法が提供され、該方法は、
プローブに結合したオリゴヌクレオチド、特異的標的分析物の1つまたは複数の特異的結合相補体、および該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす1つまたは複数のDNAバーコードを備える少なくとも1種類または数種類の粒子複合プローブを準備する工程であって、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部は、該ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている工程と;
標的分析物の存在下で該標的分析物および該粒子複合体プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料を該粒子複合プローブと接触させる工程と;
集合複合体形成が起こったかどうかを観察する工程とを備える。
【0148】
本発明のこの態様では、観察可能なシグナルは、本願で記載のいかなる方法でも検出され得る。例えば、バーコードDNAの直接検出、BPCR増幅バーコードDNAの検出、(例えば、目視検査、蛍光法、比色法、電気化学、電子、デンシトメトリー、放射能などによる)1種類または数種類の検出プローブの集合の検出、または、バーコードDNAの少なくとも一部と相補的な配列および検出可能なシグナル部分(例えば蛍光標識)を備えるリポーターヌクレオチドを用いることによる。
【0149】
十分な複合体が存在する場合、複合体は、バックグラウンド基質の有無にかかわらず視覚的に観察され得る。検出可能な変化の観察を可能にする任意の基質が使用され得る。適当な基質としては、透明な固体表面(例えばガラス、石英、プラスチックおよび他のポリマー)、不透明な固体表面(例えば、TLCシリカプレート、濾紙、ガラス繊維フィルタ、ニトロセルロース膜、ナイロン膜などの白い固体表面)、ならびに伝導性固体表面(例えばインジウムスズ酸化物(ITO))などがある。基質は任意の形状または厚みでよいが、通常は扁平で薄い。好ましいのは、ガラス(例えばガラススライド)またはプラスチック(例えばマイクロタイタープレートウェル)などの透明基質である。
【0150】
本発明の一態様では、試料中の抗体などの標的分析物の存在を検出するための方法が提供される。下記の実施例で示される免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG1(IgG1)などの抗体は、前もって適当なハプテン(IgG1の場合はビオチンおよびIgEの場合はジニトロフェニル(DNP);図1A)で修飾されたオリゴヌクレオチド鎖でハイブリダイズされたオリゴヌクレオチド修飾プローブで検出され得る13、14。下記の実施例で示される概念実証アッセイにおけるDNA配列は、IgG1およびIgEによるプローブ反応から形成された2つの異なる集合体が異なる温度で溶けるような方法で設計された(図1B)。IgG1のためのプローブは、IgEに対するものより長い配列および大きなG,C塩基含量を有する。したがって、前者の配列は後者のものより高い温度で融解する。これらの配列の変化は、どの標的がそれらと化学反応してナノ粒子集合体を形成したかを特定するコードとして使用することが可能な、異なった融解サインを有するプローブを調製することを可能にする。3つの異なる系が研究されている:(1)1つの標的抗体が存在する2つのプローブ(IgG1またはIgE);(2)2つの異なる標的抗体が存在する2つのプローブ、および(3)標的抗体が存在しない対照。
【0151】
本発明のこの態様では、試料中の抗体などの標的分析物の存在を検出するための、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子プローブと、標的分析物を含んでいるかもしれない試料とを接触させることを含む方法が提供される。前記ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、ハイブリダイゼーションの結果、リポーター・オリゴヌクレオチドの第1の部分と結合する。リポーター・オリゴヌクレオチドの第2の部分は、ハイブリダイゼーションの結果、分析物に対する特異的結合相補体(例えば抗原)が結合したオリゴヌクレオチドに結合している。分析物およびナノ粒子プローブの間の特異的結合相互作用を可能にするのに有効な条件下で、接触が起こる。標的分析物の存在下で、ナノ粒子集合体は生成される。これらの集合体は、任意の適切な手段で検出され得る。
【0152】
本発明の他の態様では、粒子複合プローブ、好ましくはナノ粒子複合プローブが使用される。これらの粒子複合体は実際のアッセイを行う前に、またはアッセイを行っている間にin situで生成されてもよい。これらの複合体は、オリゴヌクレオチドが結合した粒子、好ましくはナノ粒子、このナノ粒子に結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと結合したリポーター・オリゴヌクレオチド、および標的分析物の特異的結合相補体を備える。特異的結合相補体は、ナノ粒子に直接または間接的に結合してもよい。例えば、特異的結合相補体はリンカーまたはオリゴヌクレオチドに結合することができ、標識化リンカーまたはオリゴヌクレオチドは、次にナノ粒子に結合される。一実施形態では、DNAバーコードまたはリポーター・オリゴヌクレオチドは少なくとも2つの部分を有する配列を有し、オリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子と、特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドとを、ハイブリダイゼーションを通して結合する。ナノ粒子に結合したオリゴヌクレオチドはリポーター・オリゴヌクレオチドの1つの部分に相補的である配列を有し、特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドは、リポーター・オリゴヌクレオチドの第2の部分と相補的な配列を有する。リポーター・オリゴヌクレオチドは少なくとも2つの部分を有し、オリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子と、特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドとを、ハイブリダイゼーションを通して結合する。標的分析物を含む試料で使用された場合、ナノ粒子複合体が標的分析物と結合して集合が起こる。上述のように、複数の標的が存在する特定の標的分析物を特定するために、集合体は、単離されるとともに、更に融解分析され得る。あるいは、集合体は、脱ハイブリダイズしてリポーター・オリゴヌクレオチドを放出することが可能である。これらのリポーター・オリゴヌクレオチドまたはDNAバーコードは、任意で増幅され、次に、任意の適切な検出プローブを使用して任意の適切なDNA検出システムで検出され得る。
【0153】
本発明の実行の際に、ナノ粒子複合プローブは、オリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子と、標的分析物に対する特異的結合相補体で修飾されたオリゴヌクレオチドおよびリポーター・オリゴヌクレオチドとをハイブリダイズすることによって調製される。ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、リポーター・オリゴヌクレオチドの第1の部分と相補的な配列を有する。特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドは、リポーター・オリゴヌクレオチドの第2の部分と相補的な配列を有する。リポーター・オリゴヌクレオチドは、構成要素間のハイブリダイゼーションを十分可能にする条件下で、ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつか、および特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、ナノ粒子複合体プローブを形成する。ナノ粒子複合体溶液の調製の際には、構成要素の十分なハイブリダイゼーションを可能にする任意の適切な溶媒媒体およびハイブリダイゼーション条件が使用されてもよい。好ましくは、構成要素は0.3MのNaClおよび10mMのリン酸緩衝液(pH7)からなるリン酸緩衝溶液(PBS)中において、室温で約2〜3時間でハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーション混合液中のナノ粒子−オリゴヌクレオチド複合体の濃度は、約2nMから約50nMの範囲、好ましくは約13nMである。ハプテンで修飾されたオリゴヌクレオチドの濃度は通常、約50から約900の範囲、好ましくは約300nMである。リポーター・オリゴヌクレオチドの濃度は、通常、約50から約900の範囲、好ましくは約300nMである。未反応のハプテン修飾オリゴヌクレオチドおよびリポーター・オリゴヌクレオチドは、任意で、しかし好ましくは、任意の適切な手段、好ましくはハイブリダイゼーション混合液の遠心分離(12,000rpm、20分間)と、その後の上清のデカンティングによって除去されてもよい。調製された複合体は、0.3MのNaClおよび10mMのリン酸緩衝液(pH7〜7.4)の0.01%のアジ化合物溶液中で、4〜6℃で保存される。
【0154】
試料中の抗体などの標的分析物の存在を検出するための一般的なアッセイは、以下のとおりである。オリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子、リポーター・オリゴヌクレオチドおよび標的分析物に対する特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチドを備えるナノ粒子複合体プローブを含んでいる溶液を、標的タンパク質を含んでいると思われる試料水溶液と混合する。一般的に、試料水溶液中の総タンパク量は約5から約100の範囲、通常は約43μg/mlである。一般的に、反応混合液中のナノ粒子の濃度は約2nMから約20nMの範囲、通常は約13nM以下である。得られた混合物の総容積は通常、約100μLから約1000μLの範囲、好ましくは約400μLである。標的分析物を含んでいると思われる試料水溶液を調製する際には、任意の適切な溶媒が使用されてもよいが、好ましくは0.3MのNaClおよび10mMのリン酸緩衝液(pH7〜7.4)からなるPBSが使用される。
【0155】
得られたアッセイ混合物は、次に約35から約40℃の範囲の温度、好ましくは37℃で約30分から約60分、好ましくは約50分間、特異的結合対、例えばタンパク質−ハプテンの複合化を促進するのに十分な時間インキュベートされる。標的タンパク質が存在する場合は粒子凝集が起こり、沈殿とともに金ナノ粒子プラズモンバンドのシフトおよび赤から紫への変色がもたらされる。ハイブリダイゼーション生成物は遠心分離(例えば3000rpmで2分間)され、未反応要素を含んでいる上清は分析の前に別の容器に静かに移される。
【0156】
必要に応じて、ナノ粒子複合体プローブは、オリゴヌクレオチドが結合したすべてのナノ粒子、リポーター・オリゴヌクレオチドおよびハプテン修飾オリゴヌクレオチドを、標的分析物を含むと思われる試料と混合することによって、アッセイ混合液内においてin situで調製されてもよい。すべての構成要素、特に相補DNA鎖間の完全なハイブリダイゼーションを確実にすべくハイブリダイゼーションを促進するために、アッセイ混合液は、−15℃で20分間インキュベートされて(Boekel Tropicooler Hot/Cold Block Incubator)、4℃で24時間保存されてもよい。しかし、本発明の実行の際に、ナノ粒子複合体プローブ内のDNAバーコードの量を増加するために、アッセイ反応を行う前にナノ粒子複合体プローブを調製することが好ましい。
【0157】
どのタンパク質が存在するかを決定するために、260nmでの消滅を温度関数として監視する集合体の融解分析が溶液中で実施されてもよい。例えば、1つまたは2つの既知の標的分析物:IgG1およびIgEを含む試料の分析を記載している実施例3の図2を参照。実施例3で議論されているように、IgG1が前記のプロトコルを通してプローブで処理される場合、溶液はピンクから青色に変色してナノ粒子集合体の形成を示している。標的は存在しないがバックグラウンドタンパク質が存在する対照実験において、識別できる沈殿は見られない。溶液の融解分析は、55℃の融点(Tm)での急激な転移を示す。これは、IgG1標的で予想される転移である(図2A(破線))。IgEを新しいプローブ溶液に加えた場合も同じ変色が観察されるが、融解分析はTmが36℃の曲線、即ち、この標的で予想される転移を示す(図2A(実線))。注目に値するのは、両方のタンパク質標的がプローブ溶液に加えられた場合、溶液は暗紫色に変色し、融解分析は2つの異なった相互作用を示す。この曲線の一次導関数は、36および55℃を中心に2つのピークを示す(図2B)。このことは、2つのタンパク質標的を識別するために、オリゴヌクレオチドバーコードに由来する2つの異なった集合形態および融解特性を使用することが可能であることを示す。
【0158】
本発明の他の態様では、前記系の感度を高めるとともに、1つの溶液で調べられ得る標的の数を増加するために、上記の集合方法の戦略の変型が使用され得る。例えば、実施例4の図3を参照。この方策で、タンパク質標的は、特異的な標的分析物に割り当てられたDNAバイオバーコードまたは特有のリポーター・オリゴヌクレオチドを通して、間接的に検出され得る。通常、標的分析物のためのリポーター・オリゴヌクレオチドの適当な長さ、GC含量、配列および選択は、アッセイの前に決定される。例えば、図1Aで示すように、12量体オリゴヌクレオチドは、412の異なる配列を有し、その多くは関心のある多価タンパク質のためのバーコードを調製するために使用され得る。アッセイのこの変型では、形成される集合体の融解特性は溶液中では測定されないが、集合体内のリポーター・オリゴヌクレオチドまたはDNAバイオバーコードが、遠心分離(例えば3000rpmで2分間)を通して反応していないプローブおよび標的分子から分離される。次に、集合体は、リポーター・オリゴヌクレオチドまたはバイオバーコードを遊離させるために、任意の適切な手段、例えば溶液に水を加えることにより変性される。リポーター・オリゴヌクレオチドが少量存在する場合、当技術分野で公知の方法によって増幅されてもい。例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)、Molecular Cloning:A Laboratory Mmanual(第2版、1989)、およびビー デー ヘイムズ(B.D.Hames)およびエス ジェー ヒギンズ(S.J.Higgins)編、Gene Probes 1、(アイアールエルプレス社(IRL Press)、ニューヨーク、1995)を参照。好ましいのはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅である。粒子およびタンパク質は、任意の適切な手段、例えば遠心濾過装置(Millipore Microcon YM−100、3500rpmで25分間)によってリポーター・オリゴヌクレオチドから切り離され得る。一旦リポーター・オリゴヌクレオチドが単離されると、それはオリゴヌクレオチドアレイ上で捕獲されることができるとともに、多くの適当なDNA検出アッセイの1つを使用して特定され得る(図3)。本願で記載されているIgG1およびIgEを含む実施例については、リポーター・オリゴヌクレオチドは、関心のあるバーコードの半分に相補的であるオリゴヌクレオチドで官能基化された顕微鏡スライド上で捕獲される(250μm直径のスポット)(図1のA3およびB3)。バーコードがオリゴヌクレオチドアレイによって捕獲される場合、そのバーコードの残りの部分に相補的であるDNA修飾粒子は、このアレイとハイブリダイズすることが可能である(実施例を参照)。標準のスキャノメトリー法[11](写真現像液による処理を含む)で現像される場合、フラットベッド・スキャナは、結果の定量化に使用され得る(図4)11。IgG1が存在する場合、IgG1のために設計されたスポットだけが測定可能なシグナルを示す。同様に、IgEが唯一存在するタンパク質である場合、IgEのために設計されたスポットだけがシグナルを示す。最後に、両方のタンパク質が存在する場合、両方のスポットは強いシグナルを示す。
【0159】
この実施形態の一態様では、各種の粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する。
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を分析して異なる配列を有する1つまたは複数のDNAバーコードの存在を決定する工程とを備える。
【0160】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
該DNAバーコードを単離する工程と;
各DNAバーコードは試料中の特異的標的分析物の存在の指標となる異なる配列を有する1つまたは複数のDNAバーコードの存在を検出する工程とを備える。
【0161】
この実施形態の他の態様では、前記方法はさらに、
前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
該DNAバーコードを単離する工程と;
該単離されたDNAバーコードを増幅させる工程と;
各DNAバーコードは試料中の特異的標的分析物の存在の指標となる異なる配列を有する1つまたは複数の増幅されたDNAバーコードの存在を検出する工程とを備える。
【0162】
この実施形態の他の態様において、標的は3つ以上の結合部位を有し、少なくとも2種類の粒子複合体プローブが準備され、第1の種類のプローブは標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該プローブ上の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する。プローブが標的分析物上の異なる結合部位に対する特異的結合相補体を有する複数の粒子複合プローブが準備されてもよい。
【0163】
この実施形態の他の態様では、特異的結合相補体および標的分析物は、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗体、抗原、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬剤、ウイルス、多糖類、脂質、リポ多糖体、糖タンパク質、リポ蛋白質、核蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、免疫グロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドおよびタンパク質のホルモン、非ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、腫瘍特異性エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、微生物の断片、一部、構成要素または生成物、小有機分子、核酸およびオリゴヌクレオチド、上記物質のいずれかの代謝産物または抗体を含む特異的結合対のメンバーである。
【0164】
核酸およびオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、糸状菌のDNA、哺乳動物のDNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、1本鎖および2本鎖の核酸、天然および合成の核酸、ならびにアプタマーを含む。
【0165】
一態様では、標的分析物は核酸であり、特異的結合相補体はオリゴヌクレオチドでもよい。あるいは、標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、特異的結合相補体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む抗体でもよい。
【0166】
この実施形態の他の態様では、標的分析物はゲノムDNA試料からの配列でもよく、特異的結合相補体はゲノム配列の少なくとも一部と相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドである。
【0167】
この実施形態の他の態様では、ゲノムDNAは、真核生物、細菌、真菌またはウイルスのDNAでもよい。
他の態様では、特異的結合相補体および標的分析物は、抗体−リガンド対のメンバーである。
【0168】
この実施形態の他の態様では、1つまたは複数のDNAバーコードの存在を検出する工程は、
DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが結合した基質を準備する工程と;
オリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を準備する工程であって、ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくとも一部がDNAバーコードの少なくとも一部と相補的な配列を有することと;
該DNAバーコードの少なくとも第1の部分と基質に結合した相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および該DNAバーコードの第2の部分と該ナノ粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドのいくつかとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、該DNAバーコード、該基質と結合したオリゴヌクレオチドおよび該ナノ粒子を接触させる工程と;
検出可能な変化を観察する工程とを備える。
【0169】
この実施形態の他の態様では、基質は、1つまたは複数の異なる種類のDNAバーコードの検出を可能にする配列で基質に結合した複数種のオリゴヌクレオチドを含む。
この実施形態の他の態様では、検出可能な変化は基質上の暗領域の形成である。
【0170】
この実施形態の他の態様では、検出可能な変化は光学スキャナで観察される。
この実施形態の他の態様では、検出可能な変化をもたらすために、基質が銀染色と接触される。
【0171】
この実施形態の他の態様では、DNAバーコードが、基質と結合した相補性オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、DNAバーコードが該基質と接触し、その後、該基質と結合したDNAバーコードが、ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかが該基質上のDNAバーコードの配列の一部とハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、該オリゴヌクレオチドが結合した該ナノ粒子と接触する。
【0172】
この実施形態の他の態様では、DNAバーコードが、ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、DNAバーコードが、該オリゴヌクレオチドが結合した該ナノ粒子と接触し、その後、該ナノ粒子と結合した該DNAバーコードが、該ナノ粒子と結合した該DNAバーコードの配列の少なくとも一部が基質と結合した相補性オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、該基質と接触する。
【0173】
この実施形態の他の態様では、DNAバーコードは、接触工程前に増幅される。
この実施形態の他の態様において、少なくとも2種類の粒子複合体プローブが準備され、第1の種類のプローブは標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該標的分析物の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する。
【0174】
上述のように、核酸およびオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、糸状菌のDNA、哺乳動物のDNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、1本鎖および2本鎖の核酸、天然および合成の核酸、ならびにアプタマーを含む。
【0175】
本発明の他の実施形態では、上述の粒子複合プローブを含むキットが提供される。
本実施形態の他の態様では、試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するためのキットが提供される。このキットは:
各標的分析物のための少なくとも1種類の検出プローブであって、(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した特異的結合対のメンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチド;および、(iv)該複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定の配列を有するDNAバーコードを備え、各標的分析物のための少なくとも1種類の検出プローブを含む。
【0176】
この実施形態の他の態様では、前記キットは、
(i)基質;(ii)該基質に結合した第1の特異的結合対の第1のメンバーを備える少なくとも1種類の捕獲プローブであって、該第1の特異的結合対の第1のメンバーが標的分析物の第1の結合部位と結合する捕獲プローブと;
(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバーであって、標的分析物の第2の結合部位と結合する該第2の特異的結合対の第1メンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および、(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定の配列を有する少なくとも1種類のDNAバーコードを備える少なくとも1種類の検出プローブとを備える。
【0177】
キットでは任意の適切な基質が使用され得る。好ましくは、前記基質は、磁性微小粒子のような磁性体である。
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
(i)磁性粒子;(ii)該磁性粒子に結合した第1の特異的結合対の第1の構成メンバーを備える少なくとも1種類の捕獲プローブであって、該第1の特異的結合対の第1の構成メンバーが標的分析物の第1の結合部位と結合する捕獲プローブと;
(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバーであって、標的分析物の第2の結合部位と結合する第2の特異的結合対の第1の構成メンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および、(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定の配列を有する少なくとも1種類のDNAバーコードを備える少なくとも1種類の検出プローブとを備える。
【0178】
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
オリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合した複数のオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブであって、該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し、該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し、特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドは、DNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し、該DNAバーコードは、該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつか、および該特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする粒子複合プローブと、検出可能な変化を観察するための任意の基質を含む少なくとも1つの容器を備える。
【0179】
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備えるある種の粒子複合プローブを含む少なくとも1つまたは複数の容器を備え、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し、(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し、(iii)特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し、及び(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有し、該キットは検出可能な変化を観察するための基質を任意で含む。
【0180】
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
少なくとも1組の容器および検出可能な変化を観察するための任意の基質を含み、
該1組の内の第1の容器は、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子および少なくとも2つの部分の配列を有するDNAバーコードを備える粒子プローブを含み、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分に相補的な配列を有し;
該1組の内の第2の容器は、該DNAバーコードの第2の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドは、標的分析物の特異的結合対相補体と共有結合するために使用され得る部分を有する。
【0181】
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
少なくとも2組以上の容器を含み、
各組の内の第1の容器は、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、および少なくとも2つの部分の配列を有するDNAバーコードを有する粒子複合プローブを含み、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、少なくとも2つの部分を有するDNAバーコードの第1の部分に相補的な配列を有し;
各組の内の第2の容器は、該DNAバーコードの第2の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドは、標的分析物の特異的結合対相補体と共有結合するために使用され得る部分を有し、
該粒子複合プローブのDNAバーコードは、標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有し、該キットは検出可能な変化を観察するための基質を任意で含む。
【0182】
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
第1の容器および少なくとも2組以上の容器を含み、
該第1の容器は、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子を有する粒子複合プローブを含み;
各組の内の第1の容器は、少なくとも2つの部分の配列を有するDNAバーコードを含み、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、該DNAバーコードの第1の部分に相補的な配列を有し;
各組の内の第2の容器は、該DNAバーコードの第2の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドは、標的分析物の特異的結合対相補体と共有結合するために使用され得る部分を有し、
各組の容器の内の第1の容器に存在するDNAバーコードは、標的分析物の識別子としての機能を果たし、かつ他の組の容器のDNAバーコードと異なる配列を有し、該キットは検出可能な変化を観察するための基質を任意で含む。
【0183】
この実施形態の他の態様では、前記キットは:
特異的標的分析物の存在の識別子としての機能を果たすオリゴヌクレオチド配列を備える。
【0184】
上記のキットは、アッセイを組み立てるための、またアッセイを行うための説明書を含むことが可能である。
用語「備える」、「含む」および「有する」は互換性があることに注意されたい。以下の実施例は例示目的のためだけのものであり、いかなる方法であれ本発明の精神および範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0185】
実施例1:オリゴヌクレオチドが修飾された金ナノ粒子の調製
A.金ナノ粒子の調製
オリゴヌクレオチドで修飾された13nmのAu粒子を文献の方法(〜110オリゴヌクレオチド/粒子)l8〜20により調製した。金コロイド(直径13nm)を、フレンズ(Frens)、Nature Phys.Sci.、第241巻、20ページ(1973年)およびグラバー(Grabar)、Anal.Chem.、第67巻、735ページ(1995年)に記載のようにクエン酸塩でHAuClを還元することにより調製した。概説すると、全ガラス容器を王水(HCl 3部、HNO 1部)中で洗浄し、ナノピュアHOですすぎ、次いでオーブンで乾燥して使用する。HAuClおよびクエン酸ナトリウムは、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)から購入した。HAuClの水溶液(1mM、500mL)を攪拌しながら還流させ、次いで、50mLの38.8mMクエン酸三ナトリウム溶液を素早く加えたところ、淡黄色から濃赤色に溶液の色が変化した。変色後、溶液をさらに15分間還流させて室温に冷却し、続けてマイクロンセパレーションズインコーポレイティッド社製(Micron Separations Inc.)の0.45ミクロンナイロンフィルタで濾過した。Auコロイドを、ヒューレットパッカード社製(Hewlett Packard)8452Aダイオードアレイ分光光度計を用いたUV−可視分光法、およびヒタチ社製(Hitachi)8100透過型電子顕微鏡を用いた透過型電子顕微鏡法(TEM)により特徴付けした。典型的な直径13nmの金粒子の溶液は、518〜520nmに中心がある特徴的な表面プラズモンバンドを示した。直径13nmの金粒子は、標的および10〜72ヌクレオチドの範囲のプローブオリゴヌクレオチド配列を用いて凝集させた場合、目に見える色の変化を生じる。
【0186】
B.オリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、フォスフォアミダイト化学を利用して、シングルカラムモードでミリジェン社製(Milligene)ExpediteDNA合成機を用い、1マイクロモルスケールで合成した。エクシュタイン,エフ(Eckstein,F.)(編)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach[IRLプレス社(IRL Press)、オックスフォード(Oxford)、1991年]。すべての溶液は、ミリジェン社(Milligene)(DNA合成グレード)から購入した。平均カップリング効率は98から99.8%まで様々であり、最終的なジメトキシトリチル(DMT)保護基をオリゴヌクレオチドから切断せず、精製に役立てた。
【0187】
3’−チオール−オリゴヌクレオチドでは、チオール修飾因子C3 S−S CPG担体をグレンリサーチ社(Glen Research)から購入し、自動合成機で用いた。最終的なジメトキシトリチル(DMT)保護基を除去せず、精製に役立てた。合成後、担持したオリゴヌクレオチドを16時間、55℃で1mLの濃水酸化アンモニウムに入れ、オリゴヌクレオチドを固体担体から切断させ、塩基から保護基を除いた。
【0188】
アンモニウムの蒸発後、オリゴヌクレオチドを、254nmでDNAのUVシグナルを観察しながら、HP ODS Hypersilカラム(5μm、250×4mm)を用い、0.03M酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)、pH7および1%/分の勾配の95%CHCN/5% 0.03M TEAAを用いた流速1mL/分の分取用逆相HPLCにより精製した。DMTで保護・修飾された12塩基オリゴマーの保持時間は30分であった。続けて、精製したオリゴヌクレオチドを80%酢酸溶液中に30分間浸漬させることによりDMTを切断し、次いで蒸発させた。オリゴヌクレオチドを500μlの水に再分散させ、溶液を酢酸エチル(3×300μL)で抽出した。溶媒の蒸発後、オリゴヌクレオチド(10ODのもの)を、50℃で一晩100μLの0.04M DTT、0.17Mリン酸緩衝液(pH8)に再分散させ、3’ジスルフィドを切断した。この溶液のアリコート(<10ODのもの)を、脱塩するNAP−5カラムを通して精製した。オリゴヌクレオチドの量を、260nmでの吸収により精製した。254nmでのDNAのUVシグナルを観察しながら、Dionex Nucleopac PA−100カラム(250×4mm)を用い、10mM NaOH(pH12)および2%/分の勾配の10mM NaOH、1M NaClを用いた流速1mL/分のイオン交換HPLCにより純度を評価した。18.5、18.9および22分の保持時間(T)の3つのピークが観察された。ジスルフィドに起因したT=22.0分の1本の主ピークは、面積で79%であった。18.5および18.9分の短い保持時間の2つのピークは、それぞれ面積で〜9%および12%であったが、これらは酸化された不純物および残余のチオールオリゴヌクレオチドに起因していた。
【0189】
5’−アルキルチオール修飾オリゴヌクレオチドを、以下のプロトコルを用いて調製した。1)CPGが結合した脱トリチル化オリゴヌクレオチドを、標準的な手順を用いて自動DNA合成機(Expedite)により合成した。2)CPG−カートリッジを除去し、使い捨てのシリンジを端に取り付けた。3)乾燥アセトニトリル中に20μモルの5−チオール−修飾因子C6−フォスフォアミダイト[グレンリサーチ社(Glen Research)]を含む溶液200μLを200μLの標準「テトラゾールアクチベータ溶液」と混合し、シリンジの1本を介してオリゴヌクレオチド−CPGを含むカートリッジに導入した。4)溶液を、カートリッジを通して10分間ゆっくりポンプで前後させ、次いで排出した後、乾燥アセトニトリル(2×1mL)で洗浄した。5)中間体の亜リン酸エステルを700μLの0.02Mヨウ素を含むTHF/ピリジン/水で酸化させ(30秒)、次いでアセトニトリル/ピリジン(1:1、2×1mL)および乾燥アセトニトリル(acetonitirile)で洗浄した。次いで、トリチルオリゴヌクレオチド誘導体を、3’−アルキルチオールオリゴヌクレオチドで記載したように単離および精製した。次いで、トリチル保護基を、15μL(10ODのものに対し)の50mM AgNO溶液を乾燥オリゴヌクレオチド試料に20分間加えて切断し、乳白色懸濁液を生じた。過剰の硝酸銀を、20μLの10mg/mL DTT溶液(保持時間5分)を加えて除去したところ、すぐに黄色沈殿物を形成し、これを遠心分離により除去した。次いで数アリコートのオリゴヌクレオチド溶液(<10ODのもの)を脱塩NAP−5カラムに移して精製した。得られた5’アルキルチオールオリゴヌクレオチドの最終的な量および純度を、3’アルキルチオールオリゴヌクレオチドで上述した技術を用いて評価した。2つの主ピークを、19.8分(チオールのピーク、面積で16%)および23.5分(ジスルフィドのピーク、面積で82%)の保持時間のイオン交換HPLCで観察した。
【0190】
C.オリゴヌクレオチドの金ナノ粒子への結合
金コロイド(17nM)の水溶液1mLを、過剰(3.68μM)のチオール−オリゴヌクレオチド(22塩基長)の水溶液と混合し、この混合物を室温で12〜24時間放置した。その後、溶液を0.1M NaCl、10mMリン酸緩衝液(pH7)に移し、40時間放置した。この「熟成(aging)」ステップは、チオールオリゴヌクレオチドによる表面被覆率を増加させ、また、金表面からオリゴヌクレオチド塩基を外すように設計した。次に、この溶液を14,000rpmで、Eppendorf Centrifuge 5414により約25分間遠心分離して、7〜10%の金コロイド(520nmでの吸収により示される)に加えて大半のオリゴヌクレオチド(260nmの吸収により示される)を含む非常に薄いピンク色の上澄み液、および凝集した暗色ゲル状の残渣が管の底に得られた。上澄み液を除き、残渣を約200μLの緩衝液(10mMリン酸塩、0.1M NaCl)に再懸濁させ、遠心分離した。上澄み液を除去後、残渣を1.0mLの緩衝液(10mMリン酸塩、0.3M NaCl、0.01% NaN)に溶かした。得られた赤色の主要な溶液は、室温で数カ月間放置した際、シリカ薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートにスポットした際(実施例4参照)、および1M NaCl、10mM MgCl、または高濃度のサケ精子DNAを含む溶液に加えた際に安定であった(すなわち、赤色のままで、凝集しなかった)。
【0191】
実施例2:ハプテン修飾オリゴヌクレオチドの調製
ハプテンで修飾されたオリゴヌクレオチドを、標準的固相DNA合成手順を用いて、A1としてビオチン−トリエチレングリコールフォスフォアミダイトを用い、B1として2,4−ジニトロフェニル−トリエチレングリコールフォスフォアミダイト[グレンリサーチ社(Glen Research)]を用いて調製した21
【0192】
ビオチン修飾オリゴヌクレオチドを、以下のプロトコルを用いて調製した。CPGが結合した脱トリチル化オリゴヌクレオチドを、標準的な手順21を用いて、自動DNA合成機(Expedite)で合成した。次いで、CPG−カートリッジを除去し、使い捨てのシリンジを端に取り付けた。次いで、乾燥アセトニトリル中に20μモルのビオチン−トリエチレングリコールフォスフォアミダイトを含む溶液200μLを、200μLの標準「テトラゾールアクチベータ溶液」と混合し、シリンジの1本を介してオリゴヌクレオチド−CPGを含むカートリッジに導入した。次いで、溶液を、カートリッジを通して10分間ゆっくりポンプで前後させ、次いで排出した後、乾燥アセトニトリル(2×1mL)で洗浄した。その後、中間体の亜リン酸エステルを700μLの0.02Mヨウ素を含むTHF/ピリジン/水で酸化させ(30秒)、次いでアセトニトリル/ピリジン(1:1、2×1mL)および乾燥アセトニトリル(acetonitirile)で洗浄し、続けて窒素流でカラムを乾燥した。トリチル保護基を除去せず、これを精製に役立てた。担持されたオリゴヌクレオチドを1mLの濃水酸化アンモニウムに55℃で16時間入れて、固体担体からオリゴヌクレオチドを切断し、塩基から保護基を除去した。アンモニアの蒸発後、オリゴヌクレオチドを、254nmでDNAのUVシグナルを観察しながら、HP ODS Hypersilカラム(5μm、250×4mm)を用い、0.03M酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)、pH7および1%/分の勾配の95%CHCN/5% 0.03M TEAAを用いた流速1mL/分の分取用逆相HPLCにより精製した。DMTで保護されたオリゴヌクレオチドの保持時間は約32分であった。続けて、精製したオリゴヌクレオチドを80%酢酸溶液中に30分間浸漬させることによりDMTを切断し、次いで蒸発させた。オリゴヌクレオチドを500μlの水に再分散させ、溶液を酢酸エチル(3×300μL)で抽出して乾燥した。同じプロトコルを用い、2,4−ジニトロフェニル−トリエチレングリコールフォスフォアミダイトを用いて、DNPで修飾されたオリゴヌクレオチドを合成した。
【0193】
実施例3:ナノ粒子複合プローブを用いたアッセイ
オリゴヌクレオチドで修飾された13nmの金粒子を、実施例1に記載のように調製した。ハプテン修飾オリゴヌクレオチドを、標準的固相DNA合成手順21を用い、A1としてビオチン−トリエチレングリコールフォスフォアミダイトを用い、B1として2,4−ジニトロフェニル−トリエチレングリコールフォスフォアミダイト[グレンリサーチ社(Glen Research)]を用いて、実施例2に記載したように調製した。この研究で用いられるPBS緩衝液は、0.3M NaClおよび10mMリン酸緩衝液(pH7)からなる。IgEおよびIgG1は、シグマアルドリッチ社(Sigma Aldrich)[米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)所在]から購入し、0.05%Tween20(最終濃度:4.3×10−8b/μl)およびバックグラウンドのタンパク質(10μg/mlのリゾチーム、1%ウシ血清アルブミン、および5.3μg/mlの抗ジゴキシン;各10μL)を含む0.3M PBS緩衝液に、使用前に溶解した。
【0194】
プローブを調製するために、オリゴヌクレオチド修飾粒子(13nM、300μl)をハプテン修飾相補オリゴヌクレオチド(10μLの10μM)およびバイオバーコードDNA(10μMの10μL)と室温で2〜3時間ハイブリッド形成させた。配列を図1に示した。ナノ粒子プローブを遠心分離(12,000rpm、20分)し、その後の上澄み液をデカントすることにより、未反応のハプテン修飾オリゴヌクレオチドおよびバイオバーコードを除去した。
【0195】
IgEおよび/またはIgG1の典型的アッセイでは、プローブ(約13nM)を含む溶液に標的タンパク質(各々43μg/mlの40μl)を加え、混合物を37℃で50分間インキュベートし、タンパク質−ハプテン複合体形成を可能にした。全成分、特に相補DNA鎖の間で確実に反応を完了させるために、溶液を−15℃で20分間インキュベートしてハイブリッド形成を促進させ(Boekel Tropicooler Hot/Cold Block Incubator)、4℃で24時間保存した。標的タンパク質が存在すれば、粒子の集合が起きて、金ナノ粒子プラズモンバンドのシフトに影響を与えて、沈殿の他、赤から紫への色の変化が生じる。ハイブリッド形成した生成物を遠心分離し(2分間、3000rpm)、未反応成分を含む上澄み液をデカントして分析した。どのタンパク質が存在するかを決定するために、温度の関数として、260nmでの吸収を観察する融解分析を溶液中で実行する(図2)。IgG1を前述のプロトコルによりプローブで処理する場合、溶液はピンクがかった青色に変わり、ナノ粒子集合体の形成を示す。標的は存在しないが、バックグラウンドのタンパク質が存在する対照実験では、識別可能な沈殿はない。溶液の融解分析は、55℃の融点(Tm)で鋭い遷移を示す。これは、IgG1標的物の予想された遷移である[図2A(破線)]。もしIgEを新鮮なプローブ溶液に加えれば、同じ色の変化が観察されるが、融解分析では、36℃の融点のこの標的で予想される遷移を有する曲線を与える[図2A(実線)]。重要なことに、両方の標的タンパク質がプローブ溶液に加えられる場合、この溶液は暗紫色に変わり、融解分析は2つの明らかな交流を示す。この曲線の一次導関数は、それぞれ36℃および55℃に中心がある2つのピークを示す(図2B)。これは、オリゴヌクレオチドバーコードから誘導される2つの識別可能な集合体および融解特性を利用して、2つの標的タンパク質を区別し得ることを明らかにしている。
【0196】
実施例4:ナノ粒子複合プローブを用いたアッセイ
この戦略の変形を用いて前述の系の感受性を増大させ、1つの溶液中で調べることが可能な標的の数を増やすことが可能である(図3)。この戦略では、標的タンパク質を、DNAバイオバーコードを介して間接的に検出することが可能である。12量体のオリゴヌクレオチドは412個の異なる配列を有しており、これらの多くは、図1Aにより関心のある多価タンパク質のバーコードを調製するのに用いられ得る。このアッセイの変形では、形成する集合体の融解特性は溶液で測定せず、むしろ集合体内のDNAバイオバーコードを未反応のプローブおよび標的分子から遠心分離(3000rpmで2分間)により分離する。その後、この溶液に水を加えることにより、集合体を変性させ、DNA複合体を遊離させる。粒子およびタンパク質は、遠心濾過装置[ミリポア社(Millipore)Microcon YM−100、3500rpm、25分間]によりDNAバーコードから分離され得る。DNAバーコードを一旦単離すれば、それをオリゴヌクレオチドアレイで捕獲することが可能であり、また、多くのDNA検出アッセイのうちの1つを用いて同定することが可能である(図3)。IgG1およびIgEに関連する本願に記載の実施例では、バーコードは、関心のあるバーコードの半分と相補的であるオリゴヌクレオチド(直径250μmのスポット)で機能化された顕微鏡用スライド上で捕獲される(図1のA3およびB3)。もしバーコードをオリゴヌクレオチドアレイで捕獲するなら、バーコードの残りの部位に相補的であるDNAで修飾された粒子はアレイとハイブリッド形成することが可能である(実施例の項参照)。標準的なスキャン法を用いたアプローチ[11]を介して開発される場合(写真現像液を用いた処理を伴う)、平台スキャナを用いて結果を定量することが可能である(図4)11。IgG1が存在する場合、IgG1用に設計されたスポットのみが測定可能なシグナルを示す。同様に、もしIgEが唯一存在するタンパク質ならば、それ用に設計したスポットしかシグナルを示さない。最終的に、もし両方のタンパク質が存在すれば、両方のスポットが強いシグナルを示す。
【0197】
スキャン法を用いたDNAバイオバーコード検出では、DNA/Auナノ粒子集合体を1.5mLのポリスチレン製のバイアル中で遠心分離(3000rpm、2分間)し、上澄み液を除去した。PBS緩衝液(700μl)を集合体に加え、この手順を繰り返して未反応のタンパク質およびアッセイ成分から集合体を確実に単離させた。次いで、500μlの水を、集合体を含むバイアルに加えてそれを変性させた。マイクロアレイを準備し、文献の方法11,12に従ってDNAハイブリッド形成法を用いた。単離したDNAバイオバーコードをA2で修飾されたナノ粒子またはB2で修飾されたナノ粒子(2nM)と予め混合し、DNAマイクロアレイに曝し、ハイブリダイゼーション用チャンバー[グレイスバイオラボ社(GRACE BIO−LABS)]中、且つ室温で3時間インキュベートした。次いで、アレイを0.3M NaNOおよび10nM NaHPO/NaHPO緩衝液(pH7)で洗浄し、銀増感溶液[シグマ社(Sigma)]に室温で3分間浸した。スライドを水で洗浄し、次いで平台スキャナで分析した。
【0198】
実施例5:ナノ粒子複合プローブを用いたアッセイ
バイオバーコードPCR(BPCR)プロトコルを行い、標的タンパク質である、遊離前立腺特異抗原(PSA)を感度3aMで検出したが(図6)、これはPSAを検出する現在の通常の臨床アッセイよりも6桁大きい(46)。ポリクローナル抗PSA抗体(7μg)を、13nmのAuナノ粒子の水溶液[10mlの13nMコロイド懸濁溶液、クエン酸塩(〜38mM)安定化]にpH9.0で加えて、ナノ粒子検出プローブを調製した。20分後、抗PSA修飾ナノ粒子を、アルキルチオールで保護したバーコードDNA捕獲鎖(0.2OD;5’CAA CTT CAT CCA CGT TCA ACG CTA GTG AAC ACA GTT GTG T−A10−SH 3’配列番号9)と12時間反応させ、その後pH7の0.1M NaCl/0.01Mリン酸緩衝液に入れて塩で安定化させた。次に、溶液を1mlの10%BSA溶液で20分間処理して金ナノ粒子を不動態化し、安定化させた。最終的溶液を4℃(20,000g)で1時間遠心分離し、上澄み液を除去した。この遠心分離手順を繰り返してさらに精製した。次いで、PSA特異的バーコードDNA鎖(1OD;5’ACA CAA CTG TGT TCA CTA GCG TTG AAC GTG GAT GAA GTT G 3’配列番号10)を、ナノ粒子に配位されたバーコードDNA捕獲鎖とハイブリッド形成させ、同様の遠心手順を用いて精製した。
【0199】
アミノ官能化された直径1μmの磁性粒子は、ポリサイエンスインコーポレイティッド社(Polysciences,Inc.)から入手した。次いで、これらを市販のグルタルアルデヒド−アミンカップリング化学を用いてタンパク質に結合させた。カップリング効率を測定したところ、UV−可視分光法でタンパク質が粒子にカップリングする前後での270nmの吸収を比較して90%であった。粒子、すなわち磁性捕獲プローブは、使用前に、40mlの0.1M PBS緩衝液(pH7.4)に懸濁させた。
【0200】
典型的なPSA実験(図6B)では、モノクローナル抗PSA抗体(50μlの3mg/ml磁性プローブ溶液)で機能化された磁性捕獲プローブの水性分散液を、遊離のPSA(10μlのPSA)の水溶液(0.1M PBS)と混合し、37℃で30分間攪拌した(図6Bのステップ1)。PSA結合磁性検出プローブは、磁界を適用することにより非結合PSAから容易に分離可能である。磁性分離を達成するために、アッセイ溶液を含む1.5mlのチューブを、室温でBioMag(登録商標)微小遠心管分離器[ポリサイエンスインコーポレイティッド社(Polysciences,Inc.)]に入れた。15秒後に、磁性捕獲プローブ−PSAハイブリッドがチューブの壁に濃縮される。上澄み液(非結合PSA分子の溶液)を除き、磁性捕獲プローブ(チューブの側面にペレットの形態となっている)を50μlの0.1M PBSに再懸濁させる(2回繰り返す)。次いで、ポリクローナル抗PSA抗体およびハイブリッドバーコードDNA鎖で機能化されたナノ粒子検出プローブ(50μl、1nM)を加える。検出プローブは捕獲プローブに固定化されたPSAと反応し、シグナル増幅およびタンパク質同定(図6Bのステップ2)用のDNA鎖を与える。溶液を37℃で30分間激しく攪拌する。次いで、磁性粒子を、磁気選別器を用いて0.3M PBSで洗浄し、磁性粒子を単離した。このステップを4回繰り返し、各回は1分間必要とし、磁性捕獲プローブ以外すべてを取り除く(PSA結合ナノ粒子検出プローブと共に)。最終的な洗浄ステップ後、磁性捕獲プローブをNanopure(18Mオーム)水(50μl)に再懸濁させ、ナノ粒子検出プローブ表面からバーコードDNA鎖を2分間脱ハイブリダイズさせた。その後、脱ハイブリダイズしたバーコードDNAは容易に分離され、磁気選別器を用いてプローブから回収される(図6Bのステップ3)。
【0201】
バーコードDNA増幅(ステップ4、図6B)では、単離したバーコードDNAを適当なプライマーを含むPCR反応混合物に加え(20μl、最終体積)、次いでこの溶液を以下の手順に従って熱サイクルにかける。1アリコートの遊離バーコードDNA(8.9μl)を、適当なプライマー(各25μM、プライマー1:5’CAA CTT CAT CCA CGT TCA AC 3’配列番号11、プライマー2:5’ACA CAA CTG TGT TCA CTA GC 3’配列番号12)0.3μl、DMSO(最終濃度2%)0.4μl、およびTaq DNAポリメラーゼ0.1μLとともに、EasyStart(商標)Micro 20 PCR Mix−in−a−Tube[モレキュラーバイオプロダクト社(Molecular Bio−Products)[米国カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)所在]]の最上のワックス層に加え、ポリメラーゼは、最終体積20μlではEasyStart(商標)システム[5U/μl、フィッシャーサイエンティフィック社(Fisher Scientific)]に適合することが示されている。PCR反応混合物の最終濃度は以下のとおりである。プライマー1および2、0.37μM;dNTP混合物、0.2mM;PCR緩衝液、1X;およびMgCl、2mM。次いで、PCRチューブをサーマルサイクラー[GeneAmp9700、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)]に搭載し、94℃で7分の「加熱スタート」し、94℃で30秒間、58℃で30秒間、72℃で1分間の25回のサイクルにかけ、72℃で7分の最終伸長、その後の4℃の浸漬にかけた。
【0202】
対照実験を最初に行い、PCR増幅後のプライマー二量体の形成を評価した。ジメチルスルホキシド(DMSO)を加えて偽ハイブリダイズしたプライマーの融点を下げ、プライマー二量体形成および増幅の可能性を最小にした(図7、レーン1〜5、およびレーン6〜10で0.5%の増加量で左から右に0から2%)。さらに、温度サイクルの数を25に設定した。図7に見られるように、バーコードDNA単位複製配列を有する場合には透明なバンドがあるが(レーン1〜5)、Taqポリメラーゼの存在下でプライマーのみを熱サイクルにかける場合には、観察可能なバンドはない(レーン6〜10)。したがって、その濃度では観察可能なバンドの痕跡がないので(図7、レーン10)2%DMSOを全BPCR反応物に加えたが、バーコードDNAでは増幅を持続した。
【0203】
バーコードDNA単位複製配列を臭化エチジウムで染色し、色素を含むゲルと混合した。次いで、ゲル電気泳動法を行って増幅が起きたか否かを測定した(図8、パネルAおよびC)。すべての電気泳動実験において、1アリコート(15μl)のPCR混合物を臭化エチジウム(1mg)で染色し、ゲル電気泳動装填用色素[3μl、6X、プロメガ社(Promega)[米国ウィスコンシン州マジソン(Madison)所在]]と混合し、ゲル電気泳動(2%アガロースゲル、110V、35分)を1X TAE泳動緩衝液中で行った。標準バイオバーコード(1μl、6μMバイオバーコード2本鎖)を参照用にゲルに加えた。標準バイオバーコード(40量体)は、バイオバーコードDNAにその相補鎖を含む0.3M PBSを加えて調製した。すべてのゲル画像およびバンド強度の測定は、コダック社製(Kodak)DC−120デジタルカメラおよびコダック社製(Kodak)ID2.0.2イメージングソフトウェアを用いて行った。ゲルバンドは、臭化エチジウムにゲルを35分間浸すことにより電気泳動後に臭化エチジウムでも染色し(0.5μg/mlの1X TAE泳動緩衝液)、臭化エチジウムを電気泳動前にPCR反応物に加えたものと同様の定性的結果が得られた。
【0204】
臭化エチジウムで染色されたバンドの相対強度を、PSAの相対濃度の推定に充てた(図8、パネルBおよびD)。染色したPCR単位複製配列の強度は、それぞれ300aM、3fM、30fM、300fM、3pM、および30pMのレーン3〜8でのPSA濃度を表す。PSAが存在しなかったときにはBPCRはわずかのシグナルしか発生しなかったので、ナノ粒子プローブの磁性プローブへの非特異的結合は無視できた(図8、パネルA、レーン1および2、ならびにパネルC、レーン1)。パネルBによれば、対照バンドの強度はPSAが存在しているバンドよりも少なくとも8倍少ない。低濃度(図8、パネルB、3aMから300fM、それぞれレーン2〜7)PSA検出を表すグラフでは、3aM(レーン2)に対応するゲルバンドは相対的強度が陰性対照よりも2.5倍高い(レーン1)。
【0205】
実施例6:ナノ粒子複合プローブを用いたアッセイ
アッセイの結果を分析するのに通常ゲル電気泳動法を用いたが、一般に、スキャン法を用いた方法はより高い感度をもたらし、ゲル系の方法よりも容易に実行され得る。したがって、スキャン法を用いたアッセイの結果を本願では報告する。標的バーコード配列(40量体)の半分と相補的であるチップに固定されたDNA20量体を用いて増幅したバーコードDNA配列を捕獲し、金ナノ粒子を用いたサンドイッチアッセイ型式で配列の他の半分を標識した。増幅した2本鎖バーコードDNAは、バーコードDNA、チップ表面、および金ナノ粒子プローブの間でハイブッリド形成させるために、最初に変性される必要がある。したがって、バーコードDNA単位複製配列を最初のPCRチューブから除き、金ナノ粒子プローブの溶液(5μl、0.3M PBS中10nM)に加えた(5μl)。汚れのない0.2mlのPCRチューブ中で、溶液を0.3M PBS(90μl)で最終体積100μlに希釈した。1本鎖バーコードDNA(40量体)およびナノ粒子結合相補鎖(20量体)をハイブリッド形成させるために、PCRチューブをサーマルサイクラーに加え、95℃に3分間加熱し、2本鎖バーコードDNAを変性し、その後ハイブリッド温度45℃に2分間冷却して、ナノ粒子プローブをそれらの相補バーコードDNA配列に結合させた。この混合物をPCRチューブから除いて、固定した捕獲鎖(20量体)を有するマイクロアレイ[GMC417Arrayer、ジェネティックマイクロシステムズ社(Genetic MicroSystems)]のチップに加えた。湿度室で45分間、各実験の試験溶液を100個のハイブリッド形成ウェルを有するアレイの活性領域[グレイスバイオラボ社(Grace BioLabs)、米国オレゴン州ベンド(Bend)所在]で制限した。ハイブリッド形成後、チップを0.1M NaNO/0.01Mリン酸緩衝液、pH7.0で45℃ですすぎ、過剰の金粒子を除去した(2回繰り返した)。その後、ハイブリッド形成したナノ粒子プローブを有するチップを、銀増感溶液を用いて銀増幅させ[反応時間6分、テッドペラインコーポレイティッド社(Ted Pella Inc.)[米国カリフォルニア州レディング(Redding)所在]]、Nanopure(18Mオーム)水ですすぎ、ベンチトップ型遠心器を用いて乾燥した。金ナノ粒子の結合後、銀増幅により灰色のスポットが生じるが、これは発生したスポット11、51からの光散乱を測定するVerigene IDシステム[ナノスフィアインコーポレイティッド社(Nanosphere,Inc.)]により解読可能である。300fMから3aMの標的PSA濃度は、この方法により容易に検出され得るであろう(図9)。3aMの試料は、全サンプル中18個のタンパク質分子に関連する。非相補捕獲DNA(5’SH−C6−A10−GGCAGCTCGTGGTGA−3’、配列番号13)(図9、スポット鋳型)を有する対照スポットからのシグナルの欠如、およびPSAが存在しないときには識別可能なシグナルがほとんどないという知見(図9、対照)により明らかなように、バーコードDNA配列の選択性は優れている。
【0206】
実施例7:BPCRを用いたタンパク質検出の理論的限界
BPCRを用いたタンパク質検出の理論的な下限を検討するために、PCR/ゲル電気泳動を、PCR増幅(図10)の一連の希釈度のバーコードDNA濃度により行った。バーコードDNA単位複製配列が存在したときのシグナルは、30コピーのバーコードDNAしかPCR反応に加えなかった場合でさえ(レーン9)、対照バンド(レーン10)と完全に識別可能である。各ナノ粒子プローブが約50のバーコードDNA鎖を有すると仮定すると、BPCRは理論的にシグナル結合ナノ粒子プローブによる検出シグナルを生じ得る。
【0207】
実施例8:複合体培地でのPSAの検出
臨床設定により類似の試料溶液でのBPCR増幅方法の適用性を実証するために、実施例5および6に記載のアッセイを、標的PSAをヤギ血清に溶解することにより行い、バーコードをBPCR増幅ステップ後に検出した。続けて、PSAを0.1M PBSに希釈し、次いで、未希釈のヤギ血清[ICNバイオメディカルズインコーポレイティッド社(ICN Biomedicals,Inc.)[米国オハイオ州オーロラ(Aurora)所在]]に加えた。ヤギ血清は効果的に1×正常な緩衝生理食塩水をまねる(例:イオン強度およびpHに関する限りの任意の生体系)。
【0208】
データは、本発明の方法により、複合培地中、30aMの同程度に低い濃度で、標的分析物(ここではPSA)を検出可能であることを示している。この濃度で発生したシグナルは、明らかに対照実験と識別可能である(図11)。背景雑音は、バーコードDNA試料を主要な混入成分を除くことが可能なメンブランにより濾過する任意のステップを導入することにより低減することが可能である。この任意の濾過ステップは、例えば、大きさ(分子量)、形、電荷、または疎水性/親水性などの任意の既知の方法によりバーコードDNAを不純物から分離することが可能である。
【0209】
実施例9:バーコードDNA(非BPCR増幅した)の直接検出および測定
金ナノ粒子(NP)プローブを、実施例5に上述したように本質的に調製した。簡潔には、PSA(3.5μg)に対するポリクローナル抗体(Ab)を30nmの金NP(1mlの40pM NP溶液)の水溶液にpH9.0で加えた。
【0210】
20分後、Ab修飾NPをアルキルチオール・キャップ・バーコードDNA捕獲鎖(30nmの金粒子に対して1OD;5’−CAA CTT CAT CCA CGT TCA ACG CTA GTG AAC ACA GTT GTGT−A10−(CH−SH 3’)と16時間反応させ、次いで、0.1M NaClに加えて塩で安定化させた。この溶液を30分間、0.3mlの10%BSA溶液で処理して不動態化させ、金NPを安定化させる。最終溶液を4℃(20,000g)で1時間遠心分離にかけ、上澄み液を除いた。この遠心分離手順を繰り返してさらに精製した。最終的なNPプローブを0.1M NaCl/pH7.4の0.01Mリン酸緩衝液に再分散させた。次いで、PSA特異的バーコードDNA鎖(1OD;5’−ACA CAA CTG TGT TCA CTA GCG TTG AAC GTG GAT GAA GTT G−3’)をNPに配位したバイオバーコードDNA捕獲鎖とハイブリッド形成させ、同様の遠心分離手順を用いて精製した。オリゴヌクレオチドの含有をDemersらの方法により測定した[L.M.Demersら、Anal.Chem.72、5535(2000)参照]。アミノ官能化された直径1μmのMMPをポリサイエンスインコーポレイティッド社(Polysciences,Inc.)から入手した。MMPを、市販のグルタルアルデヒドアミンカップリング化学を用いてPSAに対するmAbに結合させた。カップリング効率を測定したところ、UV−可視分光法でタンパク質がMMPにカップリングする前後での270nmの吸収を比較して90%であった。MMPを使用前に40mlの0.1M PBS緩衝液(pH7.4)に懸濁させた。
【0211】
BCPRによる増幅ステップを用いなかった以外は、一般に実施例6に記載のように、チップ型アッセイを用いて溶液中のバーコードDNAの量を直接測定した。PCRを用いないので、この方法はPCR増幅の間に形成される2本鎖DNAを変性する必要がない。したがって、タンパク質検出およびバーコードDNAの単離後に、アリコートの単離バーコード試料(10μl)を0.6M PBS(85μl)および13nmの金検出プローブ(5μl、最終濃度500pM、上記と同じ配列)と混合した。この混合物をVerigeneオン・チップハイブリダイゼーションチャンバーのウェルに加え、この下で適当な捕獲鎖を上述したように配列した。試料を42℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、反応混合物を除き、チップを0.5M NaNO/0.01Mリン酸緩衝液で洗浄して、過剰の金ナノ粒子を除いた。すべて上述したように、表面に固定化された金粒子を銀増感溶液で6分間染色し[テッドペラ社(Ted Pella)]、Nanopure水で洗浄し、Verigene IDシステムで画像化した。
【0212】
この例では30nmの金NPを用いたが、この手順では13nmの金NPをバーコードDNAの直接検出のために使用することを企図している。それにもかかわらず、タンパク質検出ステップのNPプローブの大きさを増大させることにより、各NPごとのDNA鎖の数を有意に増加させることができ、これにより直接検出を補助することができる(理論上、100本のDNA鎖が13nmの金NPに付着されていると仮定すれば、各30nmの金NP上の532本のDNA鎖と同じ多さにすることが可能であろう)。特定のナノ粒子プローブのサイズを調整して特定のアスペクトに最適化することが可能である。
【0213】
結果(図12)は、BPCR増幅することなく30nmの金NP(20pMで)を用いて、標的PSAを30アトモルまでに低い濃度で直接検出可能であったことを示している。このことはBPCR増幅法に比較して大規模な感度の欠損を示しているが、この方法は、PCRステップを排除することにより、依然として優れた感度を有し、コスト、労力および時間を著しく低減させる。
【0214】
実施例10:ゼプトモル濃度の標的核酸配列の直接検出
この配列はバイオテロ行為や生物戦争用途に重要であり、文献でもよく研究されているので、この実施例では、炭疽菌致死因子(5’−GGA TTA TTG TTA AAT ATT GAT AAG GAT−3’;配列番号14)に関連するDNA配列を最初の標的として選択した63、67〜69。各20μLの試験試料に、2つの対照DNA配列を加えた[1μLの10pM(5’−CTA TTA TAA TAA AAT ATT TAT ATA GCA−3’;配列番号15)および1μLの対照用の10pM 2(5’−GAA TTA TAG TTA ACT ATA GCT AAG GAT−3’;配列番号16)]。使用前に、ハイブリッド形成によりナノ粒子プローブにバーコードDNAを取り込んだ(400pMで20nmのプローブ;200pMで30nmのプローブ)。バーコードDNAを濃度10μMで導入し、適当なハイブリダイゼーション用緩衝液でハイブリッド形成させた。続けて粒子を遠心分離にかけ、PBS緩衝液で洗浄した。次いで、プローブを適当な貯蔵用緩衝液に懸濁させ、使用するまで保存した。
【0215】
MMPでは、MMP上の第一級アミンおよび標的配列の特異的認識結合部位を形成するオリゴヌクレオチド上のチオール基と反応する、スルホスクシンイミジル4−[p−マレイミドフェニル]ブチレート(スルホSMPB)二官能リンカーとこれらを反応させることにより、ポリアミン官能化ポリスチレン粒子をアルキルチオール保護DNAと結合させた。使用前に10%BSAを、ウシ血清アルブミンを含む溶液に加えることによりMMPを不動態化させた。次いで、プローブを遠心分離にかけ、PBS緩衝液で洗浄し、2mg/mLで再懸濁させて活性なプローブを生じた(図13A)。
【0216】
50μLのMMPプローブ(2mg/mLで)を1本鎖型の標的DNAを含む溶液に加えることによりアッセイを行った。この系を室温で10分間放置した。10分の放置期間後、50μlのNPプローブ[400pMで50μL(20nmのNPプローブ溶液)または200pMで50μl(30nmのNPプローブ溶液)]をこの溶液に加えて、50分間ハイブリッド形成させた。ハイブリッド形成後、磁界を反応溶液に適用し[BioMagマルチ6マイクロ遠心チューブ用セパレーター、ポリサイエンスインコーポレイティッド社(Polysciences,Incorporated)[米国ペンシルベニア州ワーリントン(Warrington)所在]]、MMPおよびNPでサンドイッチされた標的DNA鎖の他に未反応のMMPも反応容器の壁に引き寄せた。残ったすべての未反応の反応溶液成分、特に、MMPに特異的にハイブリダイズしないNPを数回のPBS緩衝液による洗浄により洗浄した。次いで、磁界を除き、50μlのNANOpure水[ブランステッドインターナショナル社(Barnstead International)[米国アイオワ州デュバク(Dubuque)所在]]を反応容器に加え、系を55℃に3分間加熱して、バーコードDNAを離した。磁界を再導入してすべてのMMPを溶液から除き、検出用のバーコードDNAを残した。
【0217】
最終反応溶液中でバーコードDNAの量および本質を分析するために、スキャン法を用いた67。スキャン法は、オリゴヌクレオチドで修飾した金NPプローブ(5’−TCT CAA CTC GTA GCT−A10−SH−3’−Au;配列番号17)およびNPで促進されたシグナル増幅用の銀(I)の低下に基づくチップ型DNA検出法を利用する。この特定のアッセイでは、マレイミドで修飾したガラスチップを、DNAマイクロアレイヤーを用いて5’捕獲DNA鎖(5’−SH−A10−CGT CGC ATT CAG GAT−3’;配列番号18)でスポットした[スポット径は175μmであり、2つのスポット間距離は375μmである。GMS 417アレイヤー、ジェネティックマイクロシステム社(Genetic MicroSystems)[米国マサチューセッツ州ウォーバン(Woburn)所在]]。表面の非スポット領域をA10配列で一晩不動態化させた(10μMの5’−SH−AAA AAA AAA A−3’;配列番号19)。チップ表面をバーコードDNA溶液と接触させてすぐに、標的配列溶液と混合したNPプローブをバーコード/捕獲DNAで修飾したチップに加えた。チップ上のスポットをNPプローブおよび標的DNA鎖でラベルした。次いで、スポットしたチップを、銀増感溶液[テッドペラ社(Ted Pella)[米国カリフォルニア州レディング(Redding)所在]]に曝して、さらに銀増感させた。次いで、発生したスポットをVerigene ID(同定)システム[ナノスフィアインコーポレイティッド社(Nanosphere,Inc.)[米国イリノイ州ノースブルック(Northbrook)所在]]により解読した。Verigene IDシステムは、発生したスポットから散乱された光を測定し、アッセイの永久記録を提供する。図14Aは、「増幅した」バーコードDNAの検出に用いられる20nmのNPプローブを説明する。5fMから50aMの標的DNA濃度のスポット強度は、対照スポットよりも明らかに強い。各濃度のスポット強度を測定するために、3つのスポットをチップ上でパターン化し、Verigene IDシステムで画像化した。灰色レベルのスポットをグラフィックソフトウェア[アドビフォトショップ(Adobe Photoshop)]で計算し、スポット強度のグラフを図15に示す。このグラフは、20nmのNPプローブが、約50aMの標的DNAを明らかに検出し得るが、5aMの濃度のバックグラウンドのシグナルと区別することはできないことを示している。
【0218】
30nmのNPプローブをDNA−BCA検出に用いた場合、500zMと同程度に低い標的DNA濃度が検出された(図14B)。20および30nmのNPプローブでの検出限界のこの差は、異なる表面領域のNPプローブ上のバーコードDNA鎖の絶対数の差のためであろう。強度のグラフは、全試料濃度で30nmのNPプローブシステムが20nmのNPプローブシステムよりも強いスポットシグナルをもたらすことを示唆している(図15)。500zMの試料体積20μLは、全試料数の約10本の標的DNA鎖を表し、分子蛍光プローブと合わせたPCR型の方法を採用するアッセイに匹敵する感度をもたらす。
【0219】
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【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】DNA/Auナノ粒子型のタンパク質検出スキームを示す図。(A)ハプテン修飾ナノ粒子プローブの調製。(B)タンパク質結合プローブを用いたタンパク質検出。配列Aには9個のG、C対があり、配列BにはG、C対が2つしかないことに留意する。
【図2】DNAおよびタンパク質により連結されたAuナノ粒子集合体の熱変性プロファイルを示すグラフ。260nmでの吸収を上昇温度の関数として観察した(1℃/分、保持時間1分)。絶えず攪拌して集合体を懸濁させながら、各UV−可視スペクトルを測定した。全集合体を1mlの0.3M PBSに懸濁させ、融解分析を行った。A)1つの標的抗体を有する2つのプローブが存在する(IgE(実線)、IgG1(破線))。全データを正規化した。(B)両方の標的抗体を有する2つのプローブが存在する。差込図は、最初の誘導体の熱変性曲線である。
【図3】タンパク質のバイオバーコードとしてDNAを用いたアレイ型タンパク質検出スキームを示す図。
【図4】DNAバイオバーコードのスキャン法を用いた(scanometric)DNAアレイ検出を示す図。左欄はIgG1に関連するバイオバーコードの検出用のためのものであり、右欄はIgEに関連するバイオバーコードのためのものである。捕獲オリゴヌクレオチドは、IgG1系では5’−チオール修飾ataactagaacttga(配列番号1)であり、IgE系では5’−チオール修飾ttatctattatt(配列番号2)である。各スポットは、直径が約250μmであり、Epson Expression 1640XLフラットベッド・スキャナ[エプソンアメリカ社(Epson America)[米国カリフォルニア州ロングビーチ(Longbeach)所在]]を用いてグレースケールで解読する。これらのアッセイは、20nMから700nMの標的濃度範囲で研究されており、よく比較できるほど役立つ。
【図5】共通の種類の免疫−PCR型の分析物検出スキームを示す図。
【図6A】標的分析物である前立腺特異抗原(PSA)を検出するためのバーコードPCR(BPCR)プロトコルの使用を示す図。プローブの設計および調製を図示する。
【図6B】標的分析物である前立腺特異抗原(PSA)を検出するためのバーコードPCR(BPCR)プロトコルの使用を示す図。PSA検出とバーコードDNA増幅および同定とについて図示する。
【図7】プライマー−ダイマー形成、DNAバーコード増幅、および25回の熱サイクルを用いたDMSO濃度の上昇の影響を評価する対照実験を示す図。レーン1から5は、PCR反応混合物中にDNAバーコードが存在するものであるが、レーン6から10にはDNAバーコードはない。レーン1から5および6から10ではDMSOが増えていることに留意する(0.5%の増加量で0から2%)。
【図8】PSA検出後のPCRで増幅されたバーコードDNAのゲル電気泳動の画像および相対バンド強度を示すグラフ。パネルAのレーン1および2は対照実験である(レーン1:PSAを含まないとともに、バックグラウンドタンパク質である抗ジニトロフェニルおよびβ−ガラクトシダーゼを含む、レーン2:タンパク質なし)。レーン3から8において、試料(10μl)中のPSA濃度は、それぞれ300aM、3fM、30fM、300fM、3pM、および30pMである。PSAの標準バイオバーコードDNA40量体が、PCR後の他のゲルバンドと比較するためにレーン9に流される。パネルBは、BPCR後の相対的ゲル電気泳動バンド強度グラフである。パネルCは、PSAの低濃度検出である。濃度は、レーン2(3aM)からレーン7(300fM)の10×希釈で、3aMから300fMである。バックグラウンドタンパク質のみを有する陰性対照をレーン1に示し、標準バイオバーコード40量体(6μM2本鎖バイオバーコード)を最初のレーンに示す(レーンC)。パネルDは、BPCR後の相対的ゲル電気泳動バンド強度である。
【図9】スキャン法を用いたPSA特異的バーコードDNAの検出を示す図。PSA濃度(試料体積10ml)を300fMから3aMに変化させ、PSAを加えない(対照)陰性対照試料を示す。全7つの試料において、2mlの抗ジニトロフェニル(10pM)および2mlの□−ガラクトシダーゼ(10pM)をバックグラウンドタンパク質として加えた。30nmのNPプローブを用いたPSA(30aMおよび対照)のPCRなしでの検出も示す(差込図)。チップをVerigene IDシステムで画像化した。
【図10】BPCRの理論的検出限界を示す図。左のパネルのゲル画像は、出発バーコードDNA濃度を減少させたPCR後のバンドを示す。レーン1:3×10コピー、レーン2:3×10コピー、レーン3:3×10コピー、レーン4:3×10コピー、レーン5:3×10コピー、レーン6:3×10コピー、レーン7:3×10コピー、レーン8:3×10コピー、レーン9:3×10コピー、およびレーン10:バーコードDNAなし。右のパネルは、相対的ゲル電気で移動バンド強度のグラフである。
【図11】PSAを複合ヤギ血清培地に溶解した場合のPSA特異的バーコードDNAの検出を示す図。各パネルは、様々な分析物の濃度(3pMから3aM)でBPCRによって増幅されたバーコードDNAにより生じたシグナルを示す。
【図12】30nmのNPプローブを用いたPCRなしのPSA検出を示す図。各パネルおよび棒グラフの関連する相対強度値は、様々な濃度(30aMから3pM、および対照)でバーコードDNA(すなわち、非BPCR増幅させたもの)の直接検出により生じたシグナルを示す。チップをVerigene IDシステム[ナノスフィアインコーポレイティッド社(Nanosphere,Inc.)、米国イリノイ州ノースブルック(Northbrook)所在]で画像化した。
【図13A】DNA−BCAアッセイを示す図。ナノ粒子および磁性微粒子の調製。
【図13B】DNA−BCAアッセイを示す図。ナノ粒子型PCRなしのDNA増幅スキーム。
【図14A】Verigene IDシステムを用いた増幅した炭疽菌のバーコードDNA検出を示す図。20nmのNPプローブを用いた炭疽菌のバーコードDNA検出。
【図14B】Verigene IDシステムを用いた増幅した炭疽菌のバーコードDNA検出を示す図。30nmのNPプローブを用いた炭疽菌のバーコードDNA検出。
【図15】20nmおよび30nmのNPプローブで銀増感後のバーコードDNAおよびNPプローブでサンドイッチしたスポットを示す強度グラフ。
【図16A】「ユニバーサル」ナノ粒子プローブ検出スキームの一実施態様を示す図。1以上の標的核酸配列のユニバーサルプローブを合成する。標的認識DNAを用いて標的に対するプローブの特異性を制御することが可能である。与えられた試験溶液中に1つまたは複数の標的核酸配列が存在する場合に、プローブをアッセイ系で用いることができる。
【図16B】「ユニバーサル」ナノ粒子プローブ検出スキームの一実施態様を示す図。ユニバーサルプローブは、磁性粒子またはガラススライドなどの基質に結合した第2の種類の認識オリゴヌクレオチドを用いた結合に用いられる。第2の種類の認識オリゴヌクレオチド、ユニバーサルプローブ、および標的核酸を含むと思われる試験溶液を混合し、ハイブリッド形成および複合体形成が可能な条件下で反応させる。複合体は、未反応のユニバーサルプローブおよび試験溶液成分と区別され、レポーターオリゴヌクレオチドが検出される。
【図17】デンドリマープローブ、増幅デンドリマープローブ、およびデンドリマー−ナノ粒子ハイブリッドプローブを有するユニバーサルナノ粒子プローブの他の実施形態を示す図。第1の種類のデンドリマープローブは、バーコードDNAなどの、認識オリゴヌクレオチド配列およびレポーターオリゴヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む。第1の種類のデンドリマープローブ上の認識オリゴヌクレオチド配列は、第2の種類のデンドリマープローブにハイブリダイズすることが可能である。ハイブリッド形成条件下で、これは所望により伸長され得るデンドリマープローブ複合体(またはマトリックス)を生じる。第2の種類のデンドリマープローブは、複数のデンドリマープローブに結合することができ、全マトリックス内に含まれるレポーターオリゴヌクレオチドの量を増幅するように機能する。同様に、第2の種類のデンドリマーとのより多くの複合部位を提供し、またはより多くのレポーターオリゴヌクレオチドを提供するために、第1の種類のデンドリマーでの認識オリゴヌクレオチドの存在量が増加または減少され得る。特定のアッセイで必要とされるようなハイブリッドプローブ複合(またはマトリックス)系を生じるために、第1または第2の種類のデンドリマープローブが、金ナノ粒子プローブまたは磁性粒子プローブなどの他の粒子プローブとともに用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法であって、
基質を準備する工程と;
特異的標的分析物に対する1つまたは複数の特異的結合相補体を有する粒子および該粒子に結合した1つまたは複数のDNAバーコードを備える1種類または数種類の粒子プローブを準備する工程であって、該粒子プローブの特異的結合相補体は特定の標的分析物に特異的であり、該粒子プローブのためのDNAバーコードは該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす工程と;
該基質上へ該標的分析物を固定する工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該分析物に対する特異的結合相補体の間の結合を可能にして複合体を形成するのに有効な条件下で、該固定された標的分析物を1種類または数種類の粒子プローブと接触させる工程と;
未結合の粒子プローブを除去するために該基質を洗浄する工程と;
該DNAバーコードを任意で増幅させる工程と;
該マーカーの有無は試料中の特異的標的分析物の有無を示している該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える方法。
【請求項2】
前記標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、その特異的結合相補体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む抗体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DNAバーコードがPCRで増幅される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子が少なくとも2つのDNAバーコードで標識される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基質が、前記標的分析物のための1種類または数種類の捕獲プローブで配列される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
試料中の1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法であって、各標的分析物が少なくとも2つの結合部位を有し、
基質と結合しており、特異的標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を含む1種類または数種類の捕獲プローブを準備する工程と;
検出プローブが、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子、該特異的標的分析物の第2の結合部位に対する1つまたは複数の特異的結合相補体、および該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす1つまたは複数のDNAバーコードを備える1種類または数種類の検出プローブを準備する工程であって、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部が、該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料、捕獲プローブおよび検出プローブを接触させる工程と;
未結合のいかなる検出プローブをも除去するために該基質を洗浄する工程と;
該DNAバーコードの有無の検出は試料中の標的分析物の有無を示している該基質上の任意の集合複合体内の該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える方法。
【請求項7】
前記検出プローブは、(i)特異的標的分析物の第2の結合部位に対する1つまたは複数の特異的結合相補体、(ii)ナノ粒子と結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド、および少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定配列を有するDNAバーコードを備え、検出プローブと結合したDNAバーコードは、特異的標的分析物のマーカーとしての機能を果たしている請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記検出工程の前にさらに、
前記集合複合体を脱ハイブリダイズして前記DNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該複合体を置く工程と;
前記検出の前に該DNAバーコードを増幅させる工程とを備える請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記DNAバーコードがPCRで増幅される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記捕獲プローブは磁性基質に結合している請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記基質は磁性粒子である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ粒子に結合した特異的結合相補体は、モノクローナルまたはポリクローナルの抗体である請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体は抗PSA抗体である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄工程の前にさらに、
前記磁性粒子に結合した集合複合体を磁場に置くことによって洗浄の前に該集合複合体を単離する工程を備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記単離された集合複合体を脱ハイブリダイズして前記DNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記放出されたDNAバーコードが増幅される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記放出されたDNAバーコードがPCRで増幅される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的分析物は、少なくとも2つの部分を有する核酸である請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記標的分析物は少なくとも2つの部分の配列を有する標的核酸であり、前記検出プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を備え、該ナノ粒子に結合した該複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は前記DNAバーコードに相補的である配列を有し、該検出プローブの特異的結合相補体は、該標的核酸の第1の部分に相補的である配列を有する第1の標的認識オリゴヌクレオチドを備え、且つ前記捕獲プローブの特異的結合相補体は、該標的核酸の少なくとも第2の部分に相補的である配列を有する第2の標的認識オリゴヌクレオチドを備える請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記標的分析物は少なくとも2つの部分の配列を有する標的核酸であり、前記検出プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を備え、前記DNAバーコードは、該検出プローブと結合した該複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である配列を有し、前記特異的結合相補体は、少なくとも第1および第2の部分の配列を有する標的認識オリゴヌクレオチドを備え、該第1の部分は該標的核酸の第1の部分に相補的であり、該第2の部分は該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的であり、前記基質の特異的結合相補体は、該標的核酸の第2の部分に相補的である少なくとも一部を有する標的認識オリゴヌクレオチドを備える請求項6に記載の方法。
【請求項21】
前記検出プローブはデンドリマーを備える請求項6に記載の方法。
【請求項22】
試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法であって、
(i)磁性粒子;および(ii)該磁性粒子に結合した第1の特異的結合対の第1のメンバーを備える1種類または数種類の捕獲プローブを準備する工程であって、該第1の特異的結合対の第1のメンバーは、特異的標的分析物の第1の結合部位と結合する工程と;
各標的分析物のための1種類または数種類の検出プローブを準備する工程であって、検出プローブは、(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバーであって、該標的分析物の第2の結合部位と結合する第2の特異的結合対の第1のメンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部と相補的である既定の配列を有し、且つ特異的標的分析物のマーカーとしての機能を果たす少なくとも1種類のDNAバーコードを備えている工程と;
該標的分析物の存在下で該標的分析物および該プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして該磁性粒子と結合した集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料を該捕獲プローブおよび該検出プローブと接触させる工程と;
未結合のいかなる検出プローブをも該磁性粒子から洗い流す工程と;
該DNAバーコードの検出は該標的分析物の存在を示している該複合体内の該DNAバーコードの有無を検出する工程とを備える方法。
【請求項23】
前記検出工程の前にさらに、
磁場を加えることによって前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体から脱ハイブリダイズしてDNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
放出されたDNAバーコードを単離する工程とを備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】
放出されたDNAバーコードを増幅させる工程をさらに備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有する複数のオリゴヌクレオチドが結合した基質を準備する工程と;
複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子であって、該ナノ粒子と結合した該複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部がDNAバーコードの少なくとも一部と相補的な配列を有するナノ粒子を準備する工程と;
該DNAバーコードの少なくとも第1の部分と、該基質に結合した相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および該DNAバーコードの第2の部分と該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドのいくつかとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、該DNAバーコード、該基質と結合したオリゴヌクレオチドおよび該ナノ粒子を接触させる工程とをさらに備える請求項22または23に記載の方法。
【請求項26】
前記DNAバーコードが検出前にPCRで増幅される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記集合複合体を分析する前に該集合複合体を単離する工程をさらに備える請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記集合複合体は、磁場を該集合複合体に加えることによって単離される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ナノ粒子は、金属ナノ粒子または半導体ナノ粒子である請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記ナノ粒子は金ナノ粒子である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記特異的結合対は、抗体および抗原である請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記特異的結合対は、受容体およびリガンドである請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記特異的結合対は、酵素および基質である請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記特異的結合対は、薬剤および標的分子である請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記特異的結合対は、少なくとも部分的に相補的な2つのオリゴヌクレオチド鎖である請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記DNAバーコードがビオチン化されている請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記DNAバーコードが放射標識されている請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記DNAバーコードが蛍光標識されている請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記標的は3つ以上の結合部位を有する請求項1、6および22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも2種類の粒子複合プローブが準備され、第1の種類のプローブは前記標的分析物上の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該プローブ上の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記標的分析物上の異なる結合部位に対する特異的結合相補体を有する複数の粒子複合プローブが準備される請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記特異的結合相補体および標的分析物が特異的結合対のメンバーである請求項1、6または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
特異的結合対のメンバーは、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗体、抗原、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬剤、ウイルス、多糖類、脂質、リポ多糖体、糖タンパク質、リポ蛋白質、核蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、免疫グロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドおよびタンパク質のホルモン、非ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、腫瘍特異性エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、微生物の断片、一部、構成要素または生成物、小有機分子、核酸およびオリゴヌクレオチド、上記物質のいずれかの代謝産物または抗体を含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
核酸およびオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、糸状菌のDNA、哺乳動物のDNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、1本鎖および2本鎖の核酸、ならびに天然および合成の核酸を含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記標的分析物は核酸であり、前記特異的結合相補体はオリゴヌクレオチドである請求項1、6または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、前記特異的結合相補体は、モノクローナルまたはポリクローナルの抗体を含む抗体である請求項1、6または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記標的分析物はゲノムDNA試料からの配列であり、前記特異的結合相補体は、該ゲノム配列の少なくとも一部と相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドである請求項1、6または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記ゲノムDNAは、真核、細菌、真菌またはウイルスのDNAである請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記特異的結合相補体および標的分析物は抗体−リガンド対のメンバーである請求項1、6または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
第1の結合部位に加えて、前記標的分析物は第2の結合部位を含むように変更されている請求項1、6または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記集合複合体を分析する前に濾過が行われる濾過工程をさらに備える請求項22に記載の方法。
【請求項52】
前記濾過工程はDNAバーコードを含まない試料構成要素を除去する膜を備える請求項51に記載の方法。
【請求項53】
試料中の1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するための方法であって、
プローブに結合した複数のオリゴヌクレオチド、特異的標的分析物の1つまたは複数の特異的結合相補体、および該特定の標的分析物のマーカーとしての機能を果たす1つまたは複数のDNAバーコードを備える少なくとも1種類または数種類の粒子複合プローブを準備する工程であって、該DNAバーコードの配列の少なくとも一部は、該ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズしている工程と;
標的分析物の存在下で該標的分析物および該粒子複合プローブの間の特異的結合相互作用を可能にして集合複合体を形成するのに有効な条件下で、該試料を該粒子複合プローブと接触させる工程と;
集合複合体形成が起こったかどうかを観察する工程とを備える方法。
【請求項54】
前記粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する請求項53に記載の方法。
【請求項55】
集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を分析して異なる配列を有する1つまたは複数のDNAバーコードの存在を決定する工程とをさらに備える請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を脱ハイブリダイズして前記DNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
該DNAバーコードを単離する工程と;
各DNAバーコードは試料中の特異的標的分析物の存在の指標となる異なる配列を有する1つまたは複数のDNAバーコードの存在を検出する工程とをさらに備える請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記集合複合体を単離する工程と;
該集合複合体を脱ハイブリダイズして前記DNAバーコードを放出するのに有効な条件下に該集合複合体を置く工程と;
該DNAバーコードを単離する工程と;
該単離されたDNAバーコードを増幅させる工程と;
各DNAバーコードは試料中の特異的標的分析物の存在の指標となる異なる配列を有する1つまたは複数の増幅されたDNAバーコードの存在を検出する工程とをさらに備える請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記標的は少なくとも2つの結合部位を有する請求項53に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも2種類の粒子複合プローブが準備され、第1の種類のプローブは前記標的分析物上の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該プローブ上の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記標的分析物上の異なる結合部位に対する特異的結合相補体を有する複数の粒子複合プローブが準備される請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記特異的結合相補体および標的分析物は特異的結合対のメンバーである請求項53に記載の方法。
【請求項62】
特異的結合対のメンバーは、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗体、抗原、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬剤、ウイルス、多糖類、脂質、リポ多糖体、糖タンパク質、リポ蛋白質、核蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、免疫グロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドおよびタンパク質のホルモン、非ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、腫瘍特異性エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、微生物の断片、一部、構成要素または生成物、小有機分子、核酸およびオリゴヌクレオチド、上記物質のいずれかの代謝産物または抗体を含む請求項61に記載の方法。
【請求項63】
核酸およびオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、糸状菌のDNA、哺乳動物のDNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、1本鎖および2本鎖の核酸、ならびに天然および合成の核酸を含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記標的分析物は核酸であり、前記特異的結合相補体はオリゴヌクレオチドである請求項53に記載の方法。
【請求項65】
前記標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、前記特異的結合相補体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を含む抗体である請求項53に記載の方法。
【請求項66】
前記標的分析物はゲノムDNA試料からの配列であり、前記特異的結合相補体は、該ゲノム配列の少なくとも一部と相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドである請求項53に記載の方法。
【請求項67】
前記ゲノムDNAは、真核、細菌、真菌またはウイルスのDNAである請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記特異的結合相補体および前記標的分析物は抗体−リガンド対のメンバーである請求項53に記載の方法。
【請求項69】
第1の結合部位に加えて、前記標的分析物は第2の結合部位を含むように変更されている請求項53に記載の方法。
【請求項70】
前記粒子はナノ粒子を含む請求項51に記載の方法。
【請求項71】
前記粒子は、金属、半導体、絶縁体または磁性のナノ粒子を含む請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記粒子は金ナノ粒子を含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記1つまたは複数のDNAバーコードの存在を検出する工程は、
該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的な配列を有する複数のオリゴヌクレオチドが結合した基質を準備する工程と;
複数のオリゴヌクレオチドが結合したナノ粒子を準備する工程であって、該ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は、DNAバーコードの少なくとも一部と相補的な配列を有する工程と;
該DNAバーコードの少なくとも第1の部分と、該基質に結合した相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、および該DNAバーコードの第2の部分と該ナノ粒子と結合したオリゴヌクレオチドのいくつかとのハイブリダイゼーションを可能にするのに有効な条件下で、該DNAバーコード、該基質と結合したオリゴヌクレオチド、および該ナノ粒子を接触させる工程と;
検出可能な変化を観察する工程とを備える請求項58または59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記基質は、1つまたは複数の異なる種類のDNAバーコードの検出を可能にする配列で前記基質に結合した数種類のオリゴヌクレオチドを備える請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記検出可能な変化は前記基質上の暗領域の形成である請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記検出可能な変化が光学スキャナで観察される請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記検出可能な変化をもたらすために前記基質を銀染色と接触させる、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記DNAバーコードが、前記基質と結合した相補性オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、前記DNAバーコードが該基質と接触し、その後、該基質と結合した該DNAバーコードが、前記ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかが該基質上のDNAバーコードの配列の一部とハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、該オリゴヌクレオチドが結合した該ナノ粒子と接触する請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記DNAバーコードが、前記ナノ粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、前記DNAバーコードが、該オリゴヌクレオチドが結合した該ナノ粒子と接触し、その後、該ナノ粒子と結合した該DNAバーコードが、該ナノ粒子と結合した該DNAバーコードの配列の少なくとも一部が該基質と結合した相補性オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを可能にするのに有効な条件下で、該基質と接触する請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記DNAバーコードが接触工程前に増幅される請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記標的分析物は少なくとも2つの結合部位を有する請求項53に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも2種類の粒子複合プローブが準備され、第1の種類のプローブは前記標的分析物の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該標的分析物の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記粒子複合プローブは、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備え、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し;(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し;(iii)特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し;(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する請求項53に記載の方法。
【請求項84】
前記粒子複合プローブは、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備え、該プローブに結合した第1の種類のオリゴヌクレオチドは、該DNAバーコードの少なくとも一部と相補的である配列を有し、該プローブに結合した第2の種類のオリゴヌクレオチドは、特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的である配列を有する請求項53に記載の方法。
【請求項85】
前記粒子複合プローブは、それに結合したオリゴヌクレオチドを有する粒子、1つまたは複数のDNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体からなり、該粒子に結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的である配列を有し、該DNAバーコードは特異的標的分析物の識別子の役目を果たす、請求項53に記載の方法。
【請求項86】
複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブであって、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し;(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し;(iii)特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し;(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有する粒子複合プローブ。
【請求項87】
少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブであって、該プローブに結合した第1の種類のオリゴヌクレオチドは、該DNAバーコードの少なくとも一部と相補的である配列を有し、該プローブに結合した第2の種類のオリゴヌクレオチドは、特異的結合相補体を有するオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的である配列を有する粒子複合プローブ。
【請求項88】
複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体を備える粒子複合プローブであって、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは該DNAバーコードの配列の少なくとも一部と相補的である配列を有し、該DNAバーコードは特異的標的分析物の識別子としての機能を果たす粒子複合プローブ。
【請求項89】
(a)ナノ粒子;
(b)該ナノ粒子に結合した特異的結合対のメンバー;
(c)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;
(d)既定の配列を有する少なくとも1種類のDNAバーコードを備え、
各DNAバーコードは、該少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部とハイブリダイズしている検出プローブ。
【請求項90】
前記粒子はナノ粒子を含む請求項86から88のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項91】
前記ナノ粒子は、金属、半導体、絶縁体または磁性のナノ粒子である請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項92】
前記粒子は金ナノ粒子である請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項93】
前記標的は少なくとも2つの結合部位を有する請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項94】
少なくとも2種類の粒子複合プローブが提供され、第1の種類のプローブは前記標的分析物上の第1の結合部位に対する特異的結合相補体を有し、第2の種類のプローブは該プローブ上の第2の結合部位に対する特異的結合相補体を有する請求項93に記載のプローブ。
【請求項95】
前記標的分析物上の異なる結合部位に対する特異的結合相補体を有する複数の粒子複合プローブが提供される請求項93に記載のプローブ。
【請求項96】
前記特異的結合相補体および標的分析物は特異的結合対のメンバーである請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項97】
特異的結合対のメンバーは、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗体、抗原、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬剤、ウイルス、多糖類、脂質、リポ多糖体、糖タンパク質、リポ蛋白質、核蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、免疫グロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドおよびタンパク質のホルモン、非ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、腫瘍特異性エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、微生物の断片、一部、構成要素または生成物、小有機分子、核酸およびオリゴヌクレオチド、上記物質のいずれかの代謝産物または抗体を含む請求項96に記載のプローブ。
【請求項98】
核酸およびオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、糸状菌のDNA、哺乳動物のDNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、1本鎖および2本鎖の核酸、ならびに天然および合成の核酸を含む請求項97に記載のプローブ。
【請求項99】
前記標的分析物は核酸であり、前記特異的結合相補体はオリゴヌクレオチドである請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項100】
前記標的分析物はタンパク質またはハプテンであり、前記特異的結合相補体は、モノクローナルまたはポリクローナルの抗体を含む抗体である請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項101】
前記標的分析物はゲノムDNA試料からの配列であり、前記特異的結合相補体は、該ゲノム配列の少なくとも一部と相補的である配列を有するオリゴヌクレオチドである請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項102】
前記ゲノムDNAは、真核、細菌、真菌またはウイルスのDNAである請求項100に記載のプローブ。
【請求項103】
前記特異的結合相補体および標的分析物は抗体−リガンド対のメンバーである請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項104】
前記第1の結合部位に加えて、前記標的分析物は第2の結合部位を含むように変更されている請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項105】
請求項86から89のいずれか1項に記載のプローブを備えるキット。
【請求項106】
試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するためのキットであって、
各標的分析物のための少なくとも1種類の検出プローブであって、(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した特異的結合対のメンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチド;および、(iv)該複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定の配列を有するDNAバーコードを備える少なくとも1種類の検出プローブを含むキット。
【請求項107】
試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するためのキットであって、
(i)基質;(ii)該基質に結合した第1の特異的結合対の第1のメンバーを備える少なくとも1種類の捕獲プローブであって、該第1の特異的結合対の第1のメンバーは該標的分析物の第1の結合部位と結合する捕獲プローブと;
(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1の構成メンバーであって、該標的分析物の第2の結合部位と結合する第2の特異的結合対の第1の構成メンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定の配列を有する少なくとも1種類のDNAバーコードを備える少なくとも1種類の検出プローブを含むキット。
【請求項108】
前記基質は磁性粒子である請求項107に記載のキット。
【請求項109】
試料中の少なくとも2つの結合部位を有する1つまたは複数の標的分析物の有無を検出するためのキットであって、
(i)磁性粒子;(ii)該磁性粒子に結合した第1の特異的結合対の第1のメンバーを備える少なくとも1種類の捕獲プローブであって、該第1の特異的結合対の第1のメンバーは該標的分析物の第1の結合部位と結合する捕獲プローブと;
(i)ナノ粒子;(ii)該ナノ粒子に結合した第2の特異的結合対の第1のメンバーであって、該標的分析物の第2の結合部位と結合する第2の特異的結合対の第1のメンバー;(iii)該ナノ粒子に結合した少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド;および(iv)特定の種類のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかと相補的である既定の配列を有する少なくとも1種類のDNAバーコードを備える少なくとも1種類の検出プローブを含むキット。
【請求項110】
試料中の標的分析物を検出するためのキットであって、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブを含む少なくとも1つの容器を備え、該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し、該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し、特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し、該DNAバーコードは、該粒子と結合したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつか、および該特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、且つ検出可能な変化を観察するための任意の基質を含むキット。
【請求項111】
試料中の1つまたは複数の標的分析物を検出するためのキットであって、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、DNAバーコード、および特異的標的分析物に対する特異的結合相補体が結合したオリゴヌクレオチドを備える粒子複合プローブを含む少なくとも1つまたは複数の容器を備え、(i)該DNAバーコードは少なくとも2つの部分を有する配列を有し、(ii)該粒子と結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分と相補的な配列を有し、(iii)特異的結合相補体が結合した該オリゴヌクレオチドはDNAバーコードの第2の部分と相補的な配列を有し、及び(iv)粒子複合プローブのDNAバーコードは、特定の標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有し、且つ検出可能な変化を観察するための基質を任意で含むキット。
【請求項112】
少なくとも1組の容器および検出可能な変化を観察するための任意の基質を含む標的分析物の検出のためのキットであって、
該1組の内の第1の容器は、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子および少なくとも2つの部分の配列を有するDNAバーコードを備える粒子プローブを含み、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかはDNAバーコードの第1の部分に相補的な配列を有し;
該1組の内の第2の容器は、該DNAバーコードの第2の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドは、標的分析物の特異的結合対相補体と共有結合するために使用され得る部分を有するキット。
【請求項113】
少なくとも2組以上の容器を含む、試料中の複数の標的分析物の検出のためのキットであって、
各組の内の第1の容器は、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子、および少なくとも2つの部分の配列を有するDNAバーコードを有する粒子複合プローブを含み、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、少なくとも2つの部分を有するDNAバーコードの第1の部分に相補的な配列を有し;
各組の内の第2の容器は、該DNAバーコードの第2の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドは、標的分析物の特異的結合対相補体と共有結合するために使用され得る部分を有し、
該粒子複合プローブのDNAバーコードは、標的分析物の識別子としての機能を果たす異なる配列を有し、且つ検出可能な変化を観察するための基質を任意で含むキット。
【請求項114】
第1の容器および少なくとも2組以上の容器を含む、試料中の複数の標的分析物の検出のためのキットであって、
該第1の容器は、複数のオリゴヌクレオチドが結合した粒子を有する粒子複合プローブを含み;
各組の内の第1の容器は、少なくとも2つの部分の配列を有するDNAバーコードを含み、該粒子に結合した複数のオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、該DNAバーコードの第1の部分に相補的な配列を有し;
各組の内の第2の容器は、該DNAバーコードの第2の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドは、標的分析物の特異的結合対相補体と共有結合するために使用され得る部分を有し、
各組の容器の内の第1の容器に存在するDNAバーコードは、標的分析物の識別子としての機能を果たし、かつ他の組の容器のDNAバーコードと異なる配列を有し、ならびに検出可能な変化を観察するための基質を任意で含むキット。
【請求項115】
前記DNAバーコードは、特異的標的分析物の存在の識別子としての機能を果たすオリゴヌクレオチド配列を備える請求項106に記載のキット。
【請求項116】
前記特異的標的分析物は抗体である請求項106に記載のキット。
【請求項117】
前記特異的結合対のメンバーは、抗体または抗原を備える請求項115に記載のキット。
【請求項118】
前記特異的結合対のメンバーは、受容体またはリガンドを備える請求項115に記載のキット。
【請求項119】
前記特異的結合対のメンバーは、酵素または基質を備える請求項115に記載のキット。
【請求項120】
前記特異的結合対のメンバーは、薬剤または標的分子を備える請求項115に記載のキット。
【請求項121】
前記特異的結合対のメンバーは、少なくとも部分的に相補的な2つのオリゴヌクレオチド鎖を備える請求項115に記載のキット。
【請求項122】
前記DNAバーコードがビオチン化されている請求項115に記載のキット。
【請求項123】
前記DNAバーコードが放射標識されている請求項115に記載のキット。
【請求項124】
前記DNAバーコードが蛍光標識されている請求項115に記載のキット。
【請求項125】
前記粒子に結合したオリゴヌクレオチドは、該粒子の表面に少なくとも10ピコモル/cmの密度で存在する請求項115に記載のキット。
【請求項126】
前記粒子に結合したオリゴヌクレオチドは、該粒子の表面に少なくとも15ピコモル/cmの密度で存在する請求項115に記載のキット。
【請求項127】
前記粒子に結合したオリゴヌクレオチドは、該粒子の表面に少なくとも約15ピコモル/cmから約40ピコモル/cmの密度で存在する請求項115に記載のキット。
【請求項128】
前記ナノ粒子は、金属ナノ粒子または半導体ナノ粒子である、請求項115に記載のキット。
【請求項129】
前記ナノ粒子は金ナノ粒子である請求項115に記載のキット。
【請求項130】
前記半導体ナノ粒子はCdSe/ZnS(コア/シェル)からなる請求項115に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−525970(P2007−525970A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517685(P2006−517685)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020493
【国際公開番号】WO2005/003394
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(501216012)ナノスフェアー インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】NANOSPHERE INC.
【Fターム(参考)】