説明

バイオフィルムの形成を防止、存在するバイオフィルムを減少、および細菌の個体群を減少させるための方法ならびに組成物

本明細書中に開示されるのは、バイオフィルムの形成を防止、存在するバイオフィルムを減少、ならびに/または病原菌、指示菌、および品質低下菌の個体群を減少させるための組成物ならびに方法である。1つの例において、開示されるのは、Delisea pulchra海草由来の抽出物と別々にか、併用するか、または組み合わせて使用される、Lactobacillus種、Pediococcus種、および/あるいはLactococcus種を使用する、無細胞発酵物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本明細書中に開示されるのは、バイオフィルムの形成を防止、存在するバイオフィルムを減少、および/または細菌の個体群を減少させるための方法ならびに組成物である。
【背景技術】
【0002】
(背景)
疾病管理センター(Centers for Disease Control)(CDC)は、米国において健康上の食品が原因となる疾患の影響をよりよく定量化するための評価を実施した。Meadらは複数の監視システムおよび他の情報源から情報を集計して分析した(非特許文献1)。その報告によって、食品が原因となる疾患が、毎年米国において約76,000,000人の疾患、約325,000人の入院、および約5,000人の死亡を引き起こすことが見積もられた。公知の病原体は、見積もられた14,000,000人の疾患、60,000人の入院、および1,800人の死亡の原因となる。3種の病原体(Salmonella、Listeria、およびToxoplasma)は、毎年1,500人の死亡の原因となり、これらの死亡のうちの75%より多くは、公知の病原体によって引き起こされるが、未知の因子が、残っている62,000,000人の疾患、265,000人の入院、および3,200人の死亡の原因となる。食品安全ならびに食品および薬物投薬の応用栄養センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition of the Food and Drug Administration)の役員であるFred R.Shankは、米国における食品が原因となる疾患の毎年の費用が、$7,700,000,000と$23,000,000,000との間であると米国議会の前で証言した。
【0003】
2000年単独において、U.S.D.A.食品安全検査サービス(Food Safety and Inspection Service)は、34社からの食べる準備のされた肉製品および鳥肉製品の18,081,829ポンド(8,200メートルトン)が、汚染された機材からの調理後の汚染の結果、Listeria monocytogenesの存在のために回収されたと報告した。これは、たった1年でこの1種の生物のために、市場から引き上げられなければならない約$118,000,000の製品の価値と等しかった。さらに、Listeriaに接触する人々の約30%は、その感染から生き残らない。Listeriaはまた、自然流産を引き起こす。これらの危険によって、U.S.D.A−F.S.I.Sは、検査手続きがそれらの製品にListeriaを混入していないことを確実にするために、各会社に検査手続きを行うことを必要とする新しい指令(10,240.4)を成立させることを促された。多数の回収とともに、これらの新しい指令は、食品加工産業に莫大な量の金額がかかり、広範囲にわたるヒトの苦痛および企業の評判の損失を生じている。莫大なこれらの問題のために、多数の科学的な研究が、これらの疾患を防ぐデバイス方法に対して行われている。
【0004】
食品加工産業における汚染に対する主要な寄与要因が、確認されている。病原菌はしばしば、食品加工の機材表面、冷却器、および冷蔵庫にコロニーを形成し得る。それらの細菌が、例えば、排水管および床の高圧噴霧由来のエアロゾル、汚染された作業者の衣服およびブーツとの接触によって、または調理中の製品から食品加工の機材表面に移される場合、それらは、固体表面に付着し得、バイオフィルムとして公知のヌルヌルしてすべりやすい被膜を形成する。実際に、SalmonellaおよびListeriaは、食品加工の機材上のバイオフィルムのために、十分に調理されて食べる準備のされた食品が調理後に汚染される場合、しばしば感染を引き起こす食品原因性に関連した病原体である。
【0005】
Wong(非特許文献2)は、バイオフィルムが、食品加工プラントにおける排水管、ベルト、壁、裂け目、接合部、およびバルブに形成し得、洗浄および殺菌の後でさえ、機械類からの食物の汚染の起源であることを報告した。Wongは、バイオフィルムが、非付着性細胞を通常、破壊する環境条件(例えば、食品製造職員による機材表面の洗浄および殺菌)に対して防御を提供することを述べた。Wongは、食品加工の機材を丁寧に洗浄および殺菌した後でさえ、細菌細胞がまだ、機材表面上に残存したという結論を出した。従って、特に食品産業において、バイオフィルムの形成を防止、存在するバイオフィルムを破壊もしくは減少、バイオフィルムの増殖を阻害、および/または細菌の個体群を減少させるための方法ならびに組成物に関する必要性が存在する。本明細書中に開示される組成物および方法は、この必要性を満たす。
【非特許文献1】「Food−Related Illness and Death in the United States」、Centers for Disease Control and Prevention、Atlanta、Georgia、USA、2003年
【非特許文献2】「Biofilms in Food Processing Environments.」J Dairy Sci、1998年、第81巻、p.2765−2770
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本明細書中に具体化されて広範に記載されるように、開示される物質、組成物、論文、デバイス、および方法の目的に従って、開示される主題は、1つの局面において、組成物、そのような組成物を調製するための方法、およびそのような組成物を使用するための方法に関する。別の局面において、本明細書中に開示されるのは、表面とそのような組成物とを接触させる方法である。さらに別の局面において、本明細書中に開示されるのは、バイオフィルムの形成を処理、防止、阻害および/または減少させる方法ならびに/あるいは表面上に存在するバイオフィルムを減少または分解する方法である。さらになお別の局面において、本明細書中に開示されるのは、細菌(例えば、病原菌、指示菌および品質低下菌)の個体群を減少させるための組成物ならびに方法である。
【0007】
さらなる利点が、以下の説明の一部に記載されており、部分的にこの説明から明らかであるか、または以下に記載された局面の実施によって知られ得る。以下に記載された利点は、特に添付の特許請求の範囲に示した要素および組み合わせによって理解されて、達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明のみであり、制限されないことは理解されるべきである。
【0008】
(詳細な説明)
本明細書中に記載される物質、組成物、物品、デバイスおよび方法は、開示される主題の特定の局面についての以下の詳細な説明、ならびに以下の詳細な説明中に含まれる方法および実施例ならびに図面、ならびにそれらの上記および以下の説明への参照によって、より容易に理解され得る。
【0009】
本発明の物質、組成物、物品、デバイスおよび方法が、開示および記載される前に、以下に記載される局面が、特定の合成方法または特定の試薬に限定されないことは、理解されるべきである。なぜならこれらは、もちろん変化し得るからである。本明細書中に使用される専門用語は、特定の局面のみを記載する目的のためであり、限定されることを意図されないこともまた、理解されるべきである。
【0010】
本明細書中に開示されるのは、開示される方法および組成物のために使用され得、それらと併せて使用され得、それらのための調製において使用され得るか、またはそれらの生成物である物質、組成物、および成分である。これらの物質および他の物質は、本明細書中に開示され、そして、それらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが、開示される場合、種々の組み合わせおよび集合的な組み合わせのそれぞれの特定の参照ならびにこれらの複合の順列が、明白に開示され得ないが、各々が本明細書中に具体的に企図および記載されることは、理解される。例えば、組成物が開示されて、その組成物の多くの成分に成され得る多くの改変が、議論される場合、可能である各々およびあらゆる組み合わせならびに順列は、具体的に反対に示されない限り、具体的に企図される。従って、成分A、BおよびCのクラスが開示され、ならびに成分D、EおよびFのクラスならびに組み合わせた組成物A−Dの例が開示される場合、たとえ各々が、個々に列挙されなくても、各々は個々および集合的に企図される。従って、この例において、A、BおよびC;D、EおよびF;ならびに組み合わせA−Dの例の開示から、各々の組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fが具体的に企図され、開示されるとみなされるべきである。同様に、それらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた、具体的に企図および開示される。従って、例えば、A、BおよびC;D、EおよびF;ならびに組み合わせA−Dの例の開示から、A−E、B−FおよびC−Eのサブグループが、具体的に企図され、開示されるとみなされるべきである。この考え方は、この開示(開示される組成物を作製および使用する方法の工程を含むが、それらに限定されない)の全ての局面に適用する。従って、実施され得る種々のさらなる工程が存在する場合、それらのさらなる工程の各々が、開示される方法の任意の特定の局面または任意の局面の組み合わせで実施され得ること、および各々のそのような組み合わせが具体的に企図され、開示されるとみなされるべきであることは、理解される。
【0011】
また、この明細書の全体にわたって、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、その全体が、この出願が関係する当該分野の状況をより完全に記載するために、本明細書中にこの出願への参考として援用される。開示される参考文献はまた、それら参考文献に含まれる物質(参考文献を基にした文章に議論される)に関して、個々および具体的に本明細書中に参考として援用される。
【0012】
続いて、本明細書および添付の特許請求の範囲において、参考が多数の用語に成され、それらは以下の意味を有すると定義される:
本明細書の説明および添付の特許請求の範囲の全体にわたって、単語「含む(comprise)」およびその単語の他の形態、例えば「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」とは、「含むが、限定しない」ことを意味し、例えば、他の添加物、他の成分、他の整数または他の工程を排除することを意図しない。
【0013】
本説明および添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がはっきりと他に指示しない限り、複数の対象を含む。従って、例えば、「発酵物」という言及は、2種以上のそのような画分の混合物を含み、「抽出物」という言及は、2種以上のそのような抽出物の混合物を含み、「組成物」という言及は、2種以上のそのような組成物の混合物を含む、などである。
【0014】
「任意の」または「必要に応じて」とは、続いて記載される事象または状況が、起こってもよいか、または起こらなくてもよいことを意味し、そしてその説明は、その事象または状況が起こる場合、およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0015】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして本明細書中で表され得る。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、前例の「約」の使用によって、値が近似として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、各々の範囲の終点は、もう一方の終点に関連して有意であること、およびもう一方の終点とは無関係に有意であることの両方であると理解される。本明細書中に開示される多くの値が存在し、そして各々の値はまた、その値自体に加えて「約」その特定の値として本明細書中に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。当業者によって適切に理解されるように、値が開示される場合、その値「未満または等しい」、「その値より大きいまたは等しい」および値の間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「10未満または等しい」ならびに「10より大きいまたは等しい」もまた、開示される。本出願全体にわたって、データが多くの異なる形式で提供され、そしてこのデータは、そのデータポイントの終点および出発点、ならびに任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が、開示される場合、10および15より大きい、10および15より大きいまたは等しい、10および15未満、10および15未満または等しい、10および15と等しいが開示されるとみなされ、10と15との間も同様に開示されるとみなされることが理解される。2つの特定の単位の間の各単位も開示されることも理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13および14も開示される。
【0016】
「減少する」または他の形態の減少(例えば、「減少している」または「減少」)によって、事象または性質を低下することを意味する。これは代表的に、いくつかの標準的な値または予想される値に関連し、言い換えれば、相対的であるが、必ずしも、参照されるべき標準的な値または相対的な値を必要としないことが理解される。例えば、「細菌の個体群の減少」とは、標準的またはコントロールに対した細菌の量を低下することを意味する。
【0017】
「阻害する」または他の形態の阻害(例えば、「阻害している」または「阻害」)によって、特定の事象または性質を妨げるかもしくは抑制するか、あるいは特定の事象または性質の頻度または重大度を減少させることを意味する。これは代表的に、いくつかの標準値または予想値に関連し、言い換えれば、相対的であるが、必ずしも、参照されるべき標準値または相対値を必要としないことが理解される。例えば、「バイオフィルムの形成を阻害する」とは、バイオフィルムの形成またはさらなる増加を妨げるかまたは抑制するか、あるいは標準またはコントロールと相対的なバイオフィルムの形成の重大度を減少させることを意味する。
【0018】
「防止する」または他の形態の防止(例えば、「防止している」または「防止」)によっては、特定の事象または性質を止めること、特定の事象または性質の発達もしくは進行を固定させることまたは遅らせること、あるいは特定の事象または性質が起こる機会を最小化することを意味する。防止は代表的に、例えば、減少または阻害より絶対的であるので、コントロールとの比較を必要としない。本明細書中で使用される場合、何かあるものは、減少され得るが、阻害または防止され得ない。しかし、減少される何かあるものは、阻害も防止もされ得る。また、何かあるものは、阻害され得るが、減少も防止もされ得ない。しかし、阻害される何かあるものは、減少または防止され得る。同様に、何かあるものは、防止され得るが、阻害も減少もされ得ない。しかし、防止される何かあるものはまた、阻害または減少され得る。他に具体的に示されない限り、減少、阻害または防止が使用される場合、その他の2つの単語の使用もまた、明白に開示されることが理解される。従って、バイオフィルム形成の減少が開示される場合、バイオフィルム形成の阻害および防止もまた開示されるなどである。
【0019】
「処理する」または他の形態の処理(例えば、「処理される」または「処理」)によって、特定の性質または事象(例えば、本明細書中に開示される組成物を投与すること、あるいはバイオフィルム形成または増加)を減少、阻害、防止、分解、もしくは除去するために、本明細書中に開示される方法を実施することを意味する。
【0020】
組成物中の特定の要素または成分の重量部についての明細書および添付の特許請求の範囲における参照は、重量部が表されるための組成物または物品中の、要素または成分と、任意の他の要素または成分との間の重量関係を示す。従って、2重量部の成分Xおよび5重量部の成分Yを含む化合物において、XおよびYは、2:5の重量比で存在し、さらなる成分がその化合物中に含まれるか否かに関わらず、そのような比で存在する。
【0021】
具体的に反対の記載がない限り、成分の重量%は、その成分が含まれる処方物または組成物の全重量に基づいている。
【0022】
ここで、参照は、開示される物質、化合物、組成物、成分、および方法の特定の局面に対して詳細に成され得、それらの例は、添付の図面において例示される。
【0023】
1つの局面において、本明細書中に開示されるのは、組成物、そのような組成物を調製するための方法、およびそのような組成物を使用するための方法である。別の局面において、本明細書中に開示されるのは、表面とそのような組成物とを接触させる方法である。さらに別の局面において、本明細書中に開示されるのは、バイオフィルムの形成を処理、防止、阻害および/または減少させる方法ならびに/あるいは表面上に存在するバイオフィルムを減少または分解する方法である。なお別の局面において、本明細書中に開示されるのは、細菌(例えば、病原菌、指示菌、および品質低下菌)の個体群を減少させるための組成物および方法である。
【0024】
一般に、バイオフィルムは、細胞外ポリマー(すなわち、エキソポリマー(exopolymer)またはグリコカリックス)のマトリックスによって取り囲まれる微生物の堆積(collection)である。これらの細胞外ポリマーは代表的に多糖類であるが、それらは、なお他のバイオポリマーを含み得、そしてそれらは不活性または活性な表面のいずれかに付着し得る。
【0025】
バイオフィルムは、多くの環境においてバイオマスのうちの相当な部分を構成する。一般に、全ての細菌のうちの99%より多くは、バイオフィルム群集において生存していると考えられる。いくつかの場合において、細菌のバイオフィルム関連形態は、数オーダーの規模で、それらの自由遊泳性の対応物の数を上回り得る。また、バイオフィルムは、単一種または複数種の細菌のいずれかを含み得る。
【0026】
バイオフィルムは、本明細書中に開示される組成物および方法によって処理され得(すなわち、減少され得、阻害され得、防止され得、分断され得、分解され得(degraded)、破壊され得(broken−down)、除去され得るなど)、グラム陽性細菌および/またはグラム陰性細菌によって形成され得る。そのような細菌は、病原菌、指示菌、および/または品質低下菌であり得る。本明細書中に開示される組成物および方法によって、そのような細菌の個体群は、バイオフィルム形成の前、その間、またはその後に処理され得る。例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、病原菌、指示菌、および/または品質低下菌の個体群は、これら細菌が、バイオフィルムをまだ形成し始めていない場合、バイオフィルムを形成している場合、および/またはバイオフィルムを形成した後、本明細書中に開示される組成物および方法によって処理され得る。
【0027】
本明細書中に開示される組成物および方法によって処理可能なグラム陽性細菌としては、以下
【0028】
【化1】

が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
本明細書中に開示される組成物および方法によって処理可能なグラム陰性細菌としては、以下
【0030】
【化2】

が挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、病原菌、指示菌、および品質低下菌の上記の例は、限定されることを意図されないが、全てのバイオフィルム関連細菌、ならびに非グラム試験反応性細菌を含む、より大きな個体群の代表であると意図される。他の種の細菌の例としては、以下
【0032】
【化3】

【0033】
【化4】

が挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
バイオフィルムはまた、他の微生物(例えば、寄生生物)を含み得る。本明細書中に開示される組成物および方法によって処理され得るバイオフィルム中に存在し得る寄生生物の例としては、以下
【0035】
【化5】

が挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
バイオフィルムはさらに、真菌種(例えば、非限定的であるが、
【0037】
【化6】

)を含み得、それらは、本明細書中に開示される組成物および方法によって処理され得る。
【0038】
1つの局面において、バイオフィルムは、
【0039】
【化7】

から選択される1種以上の微生物を含み得る。
【0040】
自由遊泳性の存在からバイオフィルム(例えば、食品加工の機材表面上のバイオフィルム)における増殖への移行は、多くの環境要因(栄養物の欠乏または高浸透圧モル濃度の条件下での長期間の増殖を含む)に応答して起こり得る。その結果として生じるバイオフィルムは、群集全体に役立つより高い系列の構造(例えば、水/栄養物チャネル、細胞性の柱(pillar)または微小コロニーによって断続される高密度の単層を含む)へと組織化され得る(図1および2を参照のこと)。バイオフィルムのコロニーは、組織的な代謝反応(例えば、それらの全体的な適応性に寄与するバイオフィルムの異なる領域における空間的に別の遺伝子発現)を示し得る。バイオフィルムは、不良環境において細菌を生存させ得る。そして殺菌剤を使用して、すでにバイオフィルムを形成している細菌を殺傷することは、非常に困難であり得る。
【0041】
細菌はしばしば、それらが、他の細菌から受け取る化学的シグナルの結果としてバイオフィルムを形成する(Basslerらに対する米国特許第6,559,176号を参照のこと、これは、バイオフィルムの教示のために本明細書中に参考として援用される)。さらに、細菌が、遺伝子発現を調節するために、互いに連絡し得ることが、示されている(Molinaら、Degradation of pathogen quorum−sensing molecules by soil bacteria:a preventive and curative biological control mechanism.FEMS Microbiol Ecol、45:71−81、2003、それは、集団感知の教示のために、本明細書中に参考として援用される)。この現象は、「集団感知」と呼ばれ、バイオフィルム形成、生物発光、スウォーミング、タンパク質分解酵素の産生、抗生物質の合成、遺伝的受容能力の発達、プラスミド接合伝達、および奪取(spoliation)のような活性の同調において、細菌が実施するのを可能にする、多くの細菌(例えば、グラム陰性およびグラム陽性)における遺伝子調節のための一般的機構として認識されている(Basslerらに対する米国特許第6,559,176号、これは、集団感知の教示のために本明細書中に参考として援用される)。集団感知細菌は、細胞密度が変化する場合に遺伝子発現を制御する手段として自己誘導物質(autoinducer)と呼ばれるシグナル伝達分子を合成し、放出し、そしてシグナル伝達分子に反応する。これらの細菌の多く(例えば、Listeria、Salmonella、Escherichia、およびPseudomonas)は、集団感知のためにアシル−ホモセリンラクトンシグナルを使用する(BasslerおよびSilverman、Two Component Signal Transduction、Hochら編、American Society of Microbiologist、Washington D.C.、431−435頁、1995;ParsekおよびGreenberg、Acyl−homoserine lactone quorum sensing in Gram−negative bacteria:a signaling mechanism involved in associations with higher organisms.Proc Natl Acad Sci USA、97(16):8789−93、2000を参照のこと、これらは、集団感知およびアシルホモセリンラクトンアナログの教示のために、両方とも本明細書中に参考として援用される)。
【0042】
バイオフィルムの形成を、図3に例示する。バイオフィルム形成の初期段階において、バイオフィルムは、表面に付着される細胞層から構成される。その細胞は増殖し、分裂して、高密度な粒状の多数の厚い層を形成する。これらの細菌は、互いに認識するためのシグナルに対する集団感知を使用し、それによって、柱の列およびでこぼこの表面構造を形成する。これらの構造は、食物を送達し、そして不要物を除去する回旋状のチャネルによって結合される。また、それらの細胞は、環境からそれらを遮断し、殺菌剤がそれらを殺傷することから防ぐグリコカリックスマトリックスを産生する。経時的に撮った顕微鏡写真は、図4にバイオフィルムの形成を示す。
【0043】
集団感知シグナル伝達機構は、フラノン化合物によって無効にされ得ると示されている。Manefieldらは、海草のDelisea pulchraが、ホモセリンラクトン活性をブロックすることが公知であるハロゲン化フラノンを産生することを報告した(FEMS Microbio Lett、205(1):131−138、2001、これは、Delisea pulchra、その抽出物、およびフラノンの教示のために、本明細書中に参考として援用される)。ハロゲン化アシルフラノンもまた、ホモセリンラクトン同系レセプタータンパク質に対する遮断薬として作用すると示されている(Daviesらに対する米国特許第6,455,031号、これは、ハロゲン化フラノンの教示のために、本明細書中に参考として援用される)。
【0044】
本明細書中に開示されるものは、バイオフィルムの形成を処理、防止、阻害および/または減少させるため、ならびに/あるいは存在するバイオフィルムを分断、減少、または分解するために、フラノンを含む組成物ならびにそのような組成物を使用する方法である。これらの組成物および方法は、表面(例えば、食品加工の機材表面)のより効果的な消毒を可能にし得る。理論によって束縛されることは望まないが、フラノンは、集団感知およびバイオフィルムを形成するための細菌の能力を阻害する、アシルホモセリンラクトンのアンタゴニストであると考えられる。また、フラノンは、細菌のリポ多糖(バイオフィルムまたはグリコカリックス)形成と結合するか、またはこれを阻害すると考えられる。従って、フラノンは、存在する細菌のバイオフィルムのグリコカリックスマトリックスを分断または分解ならびにバイオフィルムの形成を防止すると考えられる。
【0045】
1つの局面において、本明細書中に開示されるフラノンは、以下に記載される方法から調製され得るか、または以下に記載される方法によって得られ得る。本明細書中に開示される1つの局面において、フラノンは、細菌発酵の代謝産物から得られ得る。例えば、フラノンを含む組成物は、1種以上の発酵菌を含む発酵性物質から得られ得る。1つの特定の例において、Lactobacillus acidophilusを含むミルク製品
が、フラノンを含む代謝産物を提供するために発酵され得る。そのような製品は、乳酸菌ミルクから商業的に得られ得る。さらに、Lactobacillusは、有機酸(乳酸)、ラクトペルオキシダーゼ(ペルオキシド化合物)、およびバクテリオシン(細菌性抗生物質(例えば、以下に議論されるようなナイシン、ラクタシン(lactacin)A−F、およびサカシン(sakacin)A))を産生し、それらもまた、バイオフィルムを減少、阻害、および/または防止し得る。他の発酵菌(例えば、Lactococcus種およびPedicoccus種)は、本明細書中に開示される組成物を生成するために、単独または他の発酵菌と組み合わせて使用され得る。
【0046】
バイオフィルムを形成する前、またはバイオフィルムが分断された後の表面(例えば、機材表面)上の病原菌、指示菌、および品質低下菌の除去は、細菌性発酵の種々の代謝産物を使用して達成され得る。バクテリオシンは、病原性個体群の菌、指示性個体群の菌、および品質低下性個体群の菌を殺傷するために効果的であると示されている代謝産物の1つのクラスである。バクテリオシンは、特定の微環境において他の種に優る競合優位性を与える、細菌によって産生される抗菌タンパク質である。
【0047】
Hooverは、乳酸菌由来のバクテリオシンが、以下の利点を有することを報告した:連邦食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)は、食物のためのGRAS物質としてナイシン(バクテリオシン)を承認した;消費者は、従来の化学的殺菌剤の使用に対して耐性がある;そして、出発培養物によって産生されるバクテリオシンは、発酵食品(例えば、ヨーグルトおよびチーズ)のための防腐剤として数年間、使用されている(Microorganisms and their products in the preservation of foods.Microbiological Safety and Quality of Food.第1巻.Aspen Publishers、Gaithersburgら編、2000、これは、バクテリオシンおよびバクテリオシンを取得する方法の教示のために、本明細書中に参考として援用される)。ヨーグルト、チーズ、およびソーセージの発酵出発培養菌としては、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactococcus lactis亜種lactis、およびPediococcus aciditacticiのような種が挙げられる。
【0048】
上記に示した例のように、Lactobacillus acidophilusは、多くの他のもののうちで、有機酸(乳酸)、ラクトペルオキシダーゼ、バクテリオシン(例えば、ナイシン(50年以上の間、食品として効果的かつ安全と証明されている))、ラクタシンA−Fを産生し得る(Hoover、Microorganisms and their products in the preservation of foods.Microbiological Safety and Quality of Food.第1巻.Aspen Publishers、Gaithersburgら編、2000)。
【0049】
別の実施例において、発酵菌Lactobacillus sakeiは、バクテリオシンサカシンAを産生し得、それは、Listeria個体群を殺傷するために効果的であると示されている。
【0050】
発酵菌Lactococcus lactis亜種lactisは、バクテリオシンナイシンを産生し得、それは、Listeria、Staphylococcus、Clostridium、およびBacillusならびに酵母および糸状菌の増殖を阻害する。L.lactis亜種lactisはまた、ラクチシン(lacticin)(L.acidophilusと類似した)を産生し得、それは、Streptococcus pyogenes由来のストレプトコクシン(streptococcin)に関連した疎水性ポリペプチドである。このバクテリオシンは、Clostridium tyrobutyrieumに対して効果的であり、熱安定性である。L.lactis亜種lactisはまた、ラクトストレプチシン(lactostrepticin)バクテリオシンを産生し得る。
【0051】
Pediococcus acidilacticiは、伝統的にソーセージを発酵するのに使用されている発酵菌である。この細菌は、Listeria、Enterococcus、Proprionibacterium、Staphylococcus、ClostridiumおよびBacillusを阻害するバクテリオシンペジオシン(pediocin)AcHを産生する。理論によって束縛されることは望まないが、ペジオシンに関する作用機構は、植物性細胞の膜を弱め、胞子発芽後の増殖を防ぐと考えられる。脱脂粉乳中で増殖したP.acidilaeticiの代謝産物の乾燥粉末の混合物は、40℃で2週間、カテージチーズ、ハーフアンドハーフクリーム、およびチェダーチーズスープにおけるListeria monocytogenesの増殖を防止し得た(Hoover、Microorganisms and their products in the preservation of foods.Microbiological Safety and Quality of Food.第1巻.Aspen Publishers、Gaithersburgら編、2000)。研究はまた、滅菌された赤身の牛肉に塗布されたL.monocytogenesが、P.acidilactici由来の抽出物を適用することによって、減少したことを示している。P.acidilacticiによって産生されたバクテリオシンは、1ヶ月より長い貯蔵の間、肉の表面上で有効であると見出された。
【0052】
発酵菌が、本明細書中で開示される方法において使用され得る。「発酵菌」によって、酵素的に有機化合物(例えば、炭水化物)を変換し得る任意の細菌または細菌の組み合わせを意味する。一般に、フラノンおよび/またはバクテリオシンを産生し得る任意の発酵菌が、本明細書中に使用され得る。開示される方法のために適切な発酵菌の種々の種は、食品(例えば、ヨーグルト、チーズ、ソーセージ、および塩漬け発酵キャベツ(ザウアークラウト))の発酵のために使用される。これらの細菌は、他のもの(より危険な細菌(例えば、Listeria monocytogenes))の複製を阻害する代謝産物(例えば、フラノン、バクテリオシン、ラクトペルオキシダーゼ、および有機酸)を産生し得る。さらに、紅藻のDelisea pulchraは、集団感知を防止し得るフラノン化合物を産生し得、従って、例えば、食品加工の機材上のバイオフィルムの形成を防止し得る(Manefieldら、FEMS Microbio Lett、205(1):131−138、2001)。1つの局面において、Delisea pulchraの抽出物は、本明細書中に開示される組成物および方法における発酵菌の代謝産物と組み合わせて使用され得る。
【0053】
1つの局面において、本明細書中に開示されるのは、無細胞発酵物を含む組成物である。「無細胞」によってとは、発酵が、実質的に細胞を含まないことを意味し、代表的に、約10細胞/mL未満の発酵物、約10細胞/mL未満の発酵物、約10細胞/mL未満の発酵物、約10細胞/mL未満の発酵物、または約10細胞/mL未満の発酵物を含む。本明細書中に開示される組成物は、例えば、1種以上のフラノンおよび/または1種以上のバクテリオシンを含み得る。ラクトペルオキシダーゼおよび/または有機酸も、開示される組成物中に存在し得る。
【0054】
開示される無細胞発酵物は、1種以上の発酵菌由来であり得る。例えば、開示される無細胞発酵物は、1種以上の発酵性物質および1種以上の発酵菌をインキュベートすることによって調製され得る。発酵は、インキュベーションの間に起こり、それによって発酵物を提供する。示したように、適切な発酵菌は、有機化合物(例えば、炭水化物)を酵素的に変換し得る任意の細菌または細菌の組み合わせであり得る。発酵菌の例としては、Lactobacillus種、Lactococcus種、およびPediococcus種が挙げられ得るが、それらに限定されない。1つの局面において、発酵菌は、Lactobacillus acidophilus(例えば、ATCC#4356)、Lactobacillus sakei(例えば、ATCC#15521)、Lactococcus lactis(例えば、ATCC#11955)、およびPediococcus acidilactici(例えば、ATCC#25742)から選択される1種以上の細菌であり得る。これらの細菌は、本明細書中に開示される方法および組成物において、特に有用であり得る。なぜなら、それらは安全な食品(すなわち、食品中、食品上、食品付近に使用するために安全)であり得るからである。また、これらの菌は、Listeriaに特異的であるバクテリオシンを産生し得る。
【0055】
別の局面において、遺伝的に操作された生物が、本明細書中に開示される方法において使用され得ることが、企図される。一般的に操作された細菌は、本明細書中の使用のために適切な別の種類の発酵菌であり得る。例えば、1種以上のバクテリオシンおよび/または1種以上のフラノンをコードする遺伝子が、生物の中に挿入され得る。そのような操作された生物は、次いで、1種以上のバクテリオシンおよび/またはフラノンを含む発酵物を発酵あるいは産生するために使用され得、それらは、単離され得、そしてバイオフィルムを処理、防止、阻害、減少および/または破壊するために使用され得る。
【0056】
細菌は、本明細書中に開示される方法において別々または集団的に使用され得る。無細胞発酵物は、発酵菌の任意の単一の種から調製され得る。例えば、無細胞発酵物は、Lactobacillus単独の種(例えば、Lactobacillus acidophilus単独またはLactobacillus sakei単独)、Lactococcus単独の種(例えば、Lactococcus lactis亜種lactis単独)、またはPediococcus単独の種(例えば、Pediococcus acidilactici単独)から調製され得る。別の局面において、無細胞発酵物は、発酵菌の任意の組み合わせから調製され得る。例えば、無細胞発酵物は、Lactobacillus種、Lactococcus種、またはPediococcus種の任意の組み合わせ(例えば、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactococcus lactis亜種lactis、またはPediococcus acidilacticiの任意の組み合わせ)から調製され得る。さらに別の局面において、無細胞発酵物は、任意の発酵菌もしくは発酵菌の組み合わせ由来の発酵物および/または無細胞発酵物を、任意の組み合わせにおいて、混合することによって調製され得る。例えば、無細胞発酵物は、Lactobacillus種、Lactococcus種、またはPediococcus種(例えば、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactococcus lactis亜種lactis、および/またはPediococcus acidilactici)から得られる無細胞発酵物を、単独あるいは組み合わせのいずれかでの任意の組み合わせにおいて、混合することによって調製され得る。
【0057】
インキュベーションは、任意の1種以上の発酵性物質とともに、任意の1種以上の発酵性物質上、または任意の1種以上の発酵性物質中で行われ得る。発酵性物質は、有機化合物(例えば、発酵菌の酵素的作用によって、転換され得る(すなわち、別の化合物に変換される)炭水化物)を含む物質である。発酵性物質の例としては、脱脂粉乳、野菜(例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、キャベツ)、デンプン、穀物(例えば、米、小麦、大麦、ホップ)、果物(例えば、ブドウ、リンゴ、オレンジ)、糖、サトウキビ、肉(例えば、牛肉、鳥肉、豚肉、ソーセージ)、それらの組み合わせなどが挙げられるが、それらに限定されない。発酵性である任意の物質が、本明細書中に開示される方法における発酵性物質として使用され得る。1つの局面において、発酵性物質は、ミルクまたはミルク製品(すなわち、脱脂粉乳)であり、それらは、市販されて安全な食品である。
【0058】
インキュベーションは、任意の適切な時間、行われ得る。例えば、インキュベーションは、約1時間〜約36時間、約5時間〜約25時間、または約10時間〜約20時間、行われ得る。1つの局面において、インキュベーションは、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、または約36時間、行われ得、ここで、示した値のいずれも、適切な場合、高い方の終点または低い方の終点を形成し得る。別の局面において、インキュベーションについての時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、または約36時間より長くなり得るか、あるいはそれらと等しくなり得る。さらに別の局面において、インキュベーションについての時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、または約36時間未満であり得るか、あるいはそれらと等しくなり得る。なお別の局面において、インキュベーションは、約18時間、起こり得る。
【0059】
インキュベーションの温度は、任意の適切な温度;代表的に、発酵菌による発酵のために適切な温度であり得る。例えば、インキュベーションの温度は、約10℃〜約55℃、約15℃〜約50℃、約20℃〜約45℃、約25℃〜約40℃、または約30℃〜約35℃であり得る。別の局面において、インキュベーションは、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、または約55℃の温度行われ得、ここで、示した値のいずれも、適切な場合、高い方の終点または低い方の終点であり得る。さらに別の局面において、インキュベーションは、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、または約55℃より高いかあるいはそれらと等しい温度で行われ得る。なお別の局面において、インキュベーションは、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、または約55℃未満あるいはそれらと等しい温度で行われ得る。さらなる局面において、インキュベーションは、約37℃で起こり得る。
【0060】
示したように、開示される無細胞発酵物は、1種以上の発酵性物質および1種以上の発酵菌をインキュベートすることによって調製され得、その結果として発酵物を生じる。その発酵物は、1種以上の代謝産物(例えば、バクテリオシンおよび/またはフラノン)ならびに他の成分(例えば、粒子状物質、固体、発酵されていない発酵性物質、発酵されている発酵物質、発酵菌、残屑、培地、生細胞および死細胞、細胞老廃物など)を含み得る。その代謝産物は、本明細書中に開示される組成物および方法において使用され得る。その代謝産物は、1種以上の他の発酵物成分(例えば、粒子状物質、固体、残屑、細胞など)から分離または単離され得る。1つの局面において、1種以上の細胞は、上記発酵物から分離されて、無細胞発酵物を提供する。
【0061】
任意の方法が、上記発酵物から1種以上の細胞を分離するために使用され得、それによって、1種以上の代謝産物を含む無細胞発酵物を提供する。分離の特定の方法は、例えば、使用される発酵性物質、使用される特定の発酵菌などの種類および量に依存し得る。1つの局面において、1種以上の細胞は、遠心分離および/または濾過することによって、上記発酵物から分離され得る。例えば、上記発酵物は、粒子状物質、細胞などのような成分を除去するために、濾過(多段階の工程において1回または数回)され得る。その結果、得られる無細胞発酵物は、1種以上の代謝産物を含み得る。上記発酵物から成分(例えば、1種以上の細胞)を分離する別の方法は、その発酵物を遠心分離することであり、それによって上清を産生する。遠心分離の速度および持続時間に依存して、その上清は、無細胞(すなわち、無細胞発酵物)であり得るかまたは上清は細胞などを含み得、それは、無細胞発酵物を提供するために濾過され得るか、またはさらに遠心分離され得る。
【0062】
遠心分離は、当該分野において周知である。1つの局面において、遠心分離は、Sorvall SS−34ローターで行われ得る。遠心分離の速度は、例えば、約5,000rpm、約10,000rpm、約15,000rpm、約20,000rpm、約25,000rpm、または約30,000rpmであり得る。1つの局面において、遠心分離の速度は、少なくとも約5,000rpmであり得る。遠心分離の時間は、約5分〜1時間、約10分〜約45分、または約30分であり得る。1つの局面において、遠心分離の時間は、少なくとも約10分、または少なくとも約15分である。
【0063】
1つの局面において、1種以上の細胞は、(例えば、遠心分離後)濾過によって上記発酵物から分離され得る。種々のフィルターが、上記発酵物または細胞を含む上清を濾過するために使用され得る。例えば、約0.01μm〜約1μm、約0.05μm〜約0.5μm、または約0.1μm〜約0.2μmの孔径を有するマイクロフィルターが使用され得る。別の局面において、そのフィルターは、約0.01μm、約0.02μm、約0.03μm、約0.04μm、約0.05μm、約0.06μm、約0.07μm、約0.08μm、約0.09μm、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.8μm、約0.9μmまたは約1μmの孔径を有し得、ここで、示した値のいずれも、適切な場合、高い方の終点または低い方の終点を形成し得る。さらに別の局面において、そのフィルターは、約0.01μm、約0.02μm、約0.03μm、約0.04μm、約0.05μm、約0.06μm、約0.07μm、約0.08μm、約0.09μm、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.8μm、約0.9μmまたは約1μmより大きいか、あるいはそれらと等しい孔径を有し得る。なお別の局面において、そのフィルターは、約0.01μm、約0.02μm、約0.03μm、約0.04μm、約0.05μm、約0.06μm、約0.07μm、約0.08μm、約0.09μm、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.8μm、約0.9μmまたは約1μm未満か、あるいはそれらと等しい孔径を有し得る。さらなる局面において、そのフィルターは、約0.2μmの孔径(例えば、Millipore(Billerica、MA)から入手可能である)を有し得る。1つの局面において、上記発酵物は、滅菌しているフィルターで濾過され得る。
【0064】
無細胞発酵物を調製するための方法の1つの例を、図5に示す。この例において、発酵性物質(例えば、脱脂粉乳)は、発酵菌を使用して発酵される。その発酵菌は、例えば、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactococcus lactis亜種lactis、および/またはPediococcus acidilacticiから選択される1種以上の細菌であり得、別々または集団的に使用される。その発酵は、凝乳画分および乳清画分を含む発酵物を生じる。細胞は、その乳清画分を回収すること(例えば、上記凝乳画分から上記乳清画分を分離すること)によって、その発酵物から分離され得、遠心分離して、得られる上清を滅菌フィルター(0.2μm)を使用して濾過する。代替として、その発酵物(例えば、その乳清画分およびその凝乳画分)は、遠心分離され得、その結果、得られる上清は、濾過され得る。得られた無細胞発酵物は、例えば、食品加工の機材上の表面を処理するために使用され得る。それらの組成物は、バクテリオシン、ペルオキシダーゼ(例えば、ラクトペルオキシダーゼ)、有機酸、およびフラノンを含み得る。それらの組成物は、バイオフィルムの形成を防止するため、すでに形成されたバイオフィルムを減少、破壊、もしくは除去するため、ならびに/または食品加工の機材および種々の食品の種類に関連した病原菌、指示菌、および品質低下菌を殺傷するために効果的であり得る。
【0065】
1つの局面において、Delisea pulchra由来の抽出物は、無細胞発酵物に添加され得る。Delisea pulchra由来の抽出物は、当該分野に公知の任意の方法から得られ得、高度に精製された抽出物または未精製の抽出物を含み得る。1つの局面において、Delisea pulchra由来の抽出物は、Manefieldら、FEMS Microbio Lett、205(1):131−138、2001(それは、Delisea pulchraおよびその抽出物の教示のために、本明細書中に参考として援用される)に開示される方法によって、得られ得る。
【0066】
意図される投与様式(それらのいくつかは、以下に議論される)に依存して、本明細書中に開示される組成物は、固体形態、半固体形態、液体形態、またはゲル形態(例えば、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、液体、懸濁液、分散物、または乳濁液)であり得る。また、本明細書中に開示される組成物は、希釈のために適切な形態であり得る。つまり、その組成物は、適切な溶媒で所望の濃度に希釈され得る水溶性、あるいは非水溶性の保存溶液、濃縮物、濃縮液、分散物、乳濁液、または懸濁液の形態であり得る。同様に、その組成物は、溶液もしくは分散物、乳濁液、または懸濁液を形成するために、溶媒で再構成され得るか、あるいは混合され得、そして所望の濃度に希釈され得る粉末、ペースト、クリームまたは固形物の形態であり得る。
【0067】
1つの局面において、本明細書中に開示される組成物は、1種以上のさらなる成分(例えば、キャリア、アジュバント、可溶化剤、懸濁化剤、希釈剤、および/または消費者に受容可能な因子)をさらに含み得る。「消費者に受容可能な因子」によって、大きな望ましくない生物学的影響を引き起こすとも、含まれる組成物の他の成分のいずれとも有害な様式で反応することなく、選択される活性化合物とともに、消費される場合、生物学的にも、それ以外にも望ましくない物質(例えば、食品中および飲料中または食品上および飲料上に使用される場合、受容可能であり、そして個体(例えば、ヒト、ペット、家畜など)に消費され得る因子)を意味する。例えば、消費者に受容可能な因子は、安全(GRAS)として一般的に認識される任意の化合物であり得る。
【0068】
本明細書中に開示される組成物は、キャリアをさらに含み得る。用語「キャリア」とは、本明細書中に開示される化合物または組成物と組み合わせる場合、意図される使用または目的のための化合物または組成物の調製、貯蔵、投与、送達、効果、選択性、または任意の他の特性を補助するか、あるいは促進する化合物、組成物、物質、または構造物を意味する。例えば、キャリアは、活性化合物の任意の分解を最小化するため、そして任意の有害な副作用を最小化するために選択され得る。適切な水溶性および非水溶性のキャリア、希釈剤、溶媒の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物性オイル、およびそれらの適切な混合物が挙げられる。
【0069】
本明細書中に開示される組成物はまた、アジュバント(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤および調剤)を含み得る。他の微生物の作用の防止は、種々の抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)によって、確実にされ得る。界面活性剤、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸(alignate)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア)、保湿剤(例えば、グリセロール)、湿潤剤(例えば、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロール)、吸着剤(例えば、カオリンおよびベントナイト)ならびに滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、またはそれらの混合物を含むこともまた所望され得る。
【0070】
適切な懸濁化剤としては、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはそれらの物質の混合物などが挙げられ得る。
【0071】
開示される組成物はまた、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物など)を含み得る。
【0072】
開示される組成物はまた、香料および/または芳香を含み得る。
【0073】
本明細書中に開示される組成物は、当該分野に公知の任意の様式で表面に適用され得る。例えば、本明細書中に開示される組成物は、表面上で注がれ得るか、散布され得るか、霧状にして吹き付けられ得るか、ふき取られ得るか、またはモップでふかれ得る。別の例において、表面は、本明細書中に開示される組成物中に浸され得るか、ちょっと浸され得るか、または浸漬され得る。さらに別の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、細かい微粒子またはガス(例えば、フォギングシステムにより)として分散され得る。
【0074】
1つの局面において、開示される組成物は、静電噴霧器を使用して表面に接触され得る。静電噴霧器は、最小量の物質を必要としながら実質的に全ての表面をコーティングし得る。食品加工の設備において殺菌剤を適用するための代表的な噴霧方法は、使用されなければならない殺菌剤の量、およびこれらのシステムが殺菌剤で継ぎ目、割れ目、および裂け目を適切にコーティングすることができないことに起因した問題があり得る。静電噴霧は、20年前より開発されて、農薬を条植え作物に適用するために使用される。Law(Embedded−electrode electrostatic induction spray charging nozzle:theoretical and engineering design.Transact of the ASAE、12:1096−1104、1978(それは、静電噴霧の教示のために本明細書中に参考として援用される))は、空気噴霧化を使用して静電噴霧荷電システムを開発し、それは、従来の適用方法より噴霧沈着物の7倍の増加を達成するために使用されている。最近の研究において、Lawらは、沈着物の1.6倍〜24倍の増加を報告した(LawおよびLane、Electrostatic deposition of pesticide spray onto foliar targets of varying morphology.Transact of the ASAE、24:1441−1448、1981(それは、静電噴霧の教示のために、本明細書中に参考として援用される))。
【0075】
Herzogらは、綿の木の上の昆虫防除が、殺虫剤の半分のみを使用して、従来の噴霧適用と等しいか、または従来の噴霧適用より良いことを示した(Herzogら、Evaluation of an electrostatic spray application system for control of insect pests in cotton.J Econ Entomol、6:637−640、1983(それは、静電噴霧の教示のために、本明細書中に参考として援用される))。
【0076】
研究室の研究において、鶏の屠殺体を噴霧するための従来の方法は、効果的であるために、約5oz.(オンス)(約148ml)の殺菌剤を必要とするが、静電噴霧を使用すると、約0.3oz.(オンス)(約9ml)のみを、一般に必要とすることを示している。もちろん、本明細書中に開示される組成物の量は、処理されるべき表面領域、組成物の濃度などに依存する。開示される組成物の量は、当業者によって決定され得る。
【0077】
必要に応じて、Delisea pulchraの紅藻抽出物と組み合わせる、以前に記した発酵菌の種の無細胞発酵物の静電噴霧は、この組成物を機材表面および食品に適用する手段として使用され得、それによって、バイオフィルムの形成を防止し、すでに形成されたバイオフィルムを除去し、そして病原菌、指示菌、および品質低下菌を殺傷する。静電噴霧または代替のフォギングシステムを使用する、開示される組成物の適用は、沈着物を有意に増加させ得、バイオフィルムを防止およびすでに形成されたバイオフィルを破壊するために必要な製品の量を減少させ得る。理論に束縛されることは望まないが、これは、食品加工の機材表面、ならびに肉表面、鳥肉表面および野菜表面が、生来、正電荷を有するという事実に起因すると考えられる。高圧空気および殺菌剤は、静電噴霧ノズルの小口径を通って押し出され、空気が、殺菌剤を極めて小さい液滴(直径約30マイクロメートル)に剪断する。次いで、これらの液滴は、それらがノズル先を出て行く場合、電荷に曝露される。これは、負電荷を殺菌剤粒子に移行させ、次いで、それは、領域(例えば、加工機材)における表面に対して特定の親和性を有する。処理される表面への殺菌剤の沈着物は、静電噴霧を用いてさらにいっそう効果的であり得るので、通常使用される市販のロガーまたは噴霧器と比較して、さらにより少ない殺菌剤が、同じ菌の消毒の割合を生じるために使用され得る。
【0078】
1つの局面において、本明細書中に開示されるのは、表面と本明細書中に開示される組成物(例えば、無細胞発酵物)とを(例えば、静電噴霧によって)接触させることによって、バイオフィルムの形成を防止、存在するバイオフィルムを破壊または減少、ならびに/あるいは細菌(例えば、病原菌、指示菌、および品質低下菌)の個体群を減少させるための方法である。別の局面において、本明細書中に開示されるのは、表面と開示される組成物とを接触させることによって、食品加工の機材上およびその表面上のバイオフィルムから、汚染されていない食べる準備のされた製品への病原菌、指示菌、および品質低下菌の移動を防止する方法である。バイオフィルムの形成を防止、存在するバイオフィルムを破壊、および/または細菌個体群を減少させることによって、本明細書中に開示される組成物および方法は、十分に調理されて、すでに食べる準備のされた肉および鳥肉の製品の、通常、加工機材上、冷却器中、および冷蔵庫中にバイオフィルムを形成する細菌(例えば、Listeria monocytogenes)での汚染を防止することへの明確な影響を有し得る。さらに、開示される組成物および方法は、すでに食べる準備のされた食品および野菜の安全性への有益な影響を有し得る。また、開示されるのは、表面と開示される組成物とを接触させることによって、新鮮な食品(例えば、肉、鳥肉、果物、野菜、海産食物、およびミルク)の貯蔵寿命を増加させるための方法である。開示される組成物はまた、食品の表面上の病原菌を減少させるため、そしてそれらの増殖(例えば、ホットドッグ上のListeriaまたは肉牛の屠殺体上のE.coli O157:H7)を防止するために、多くの食品上に使用され得る。
【0079】
バイオフィルム形成の防止およびすでに形成されたバイオフィルムの破壊は、病原菌、指示菌、および品質低下菌の個体群の汚染のレベルに関して、十分に調理されて、すでに食べる準備のされた肉製品、野菜、食品加工の機材表面、冷却器、冷蔵庫、および食品接触表面の加工後の汚染を非常に減少させ得、そして市販の使用される殺菌剤の効果を非常に増加し得る。
【0080】
1つの局面において、本明細書中に開示されるのは、表面と本明細書中に開示される有効な量の組成物とを接触(例えば、静電噴霧)させることによって、表面を処理する方法である。用語「有効な量」とは、使用される組成物の量が、所望の結果(例えば、バイオフィルムの減少または防止)を提供するために、十分な量であることを意味する。以下に指摘するように、必要とされる正確な量は、バイオフィルムの型、経過時間、および一般的状態、使用される特定の組成物、その投与様式、処理される表面の型および規模などに依存して、用途ごとに変化する。従って、正確な「有効な量」を特定することは、可能ではない。しかし、適切な有効な量は、慣用的な実験のみを用いて、当業者によって、決定され得る。
【0081】
任意の表面が、本明細書中に開示される方法によって処理され得る。本明細書中に開示される方法によって処理され得る表面の型の例としては、食品加工の機材表面(例えば、タンク、コンベヤー、床、排水管、冷却器、冷蔵庫、機材表面、壁、バルブ、ベルト、パイプ、継ぎ目、裂け目、それらの組み合わせなど)が挙げられるが、それらに限定されない。その表面は、金属(例えば、アルミニウム、鋼、ステンレス、鋼、クロム、チタン、鉄、それらの合金など)であり得る。その表面はまた、プラスチック(例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、ブタジエン、ABS、アクリルニトリルブタジエン、など)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、およびポリアミン(例えば、ナイロン)、それらの組み合わせなど)であり得る。その表面はまた、レンガ、タイル、セラミック、磁器、木材、ビニール、リノリウム、またはカーペット、それらの組み合わせなどであり得る。他の局面において、その表面はまた、食品(例えば、牛肉、鳥肉、豚肉、野菜、果物、海産食物、それらの組み合わせなど)であり得る。
【0082】
また、開示されるのは、表面(例えば、食品加工の機材表面)および本明細書中に開示される組成物を含むシステムである。
【実施例】
【0083】
以下の実施例を、開示される主題に従った方法および結果を例示するために、以下に記載する。これらの実施例は、本明細書中に開示される主題の全ての局面を含むことより、むしろ代表的な方法および結果を例示することを意図される。これらの実施例は、当業者に明らかである本発明の等価物および変化を排除することを意図されない。
【0084】
数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にするための試みがなされているが、しかし、いくらかの誤差および偏差が、考慮されるべきである。他に示さなければ、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、そして圧力は大気圧、または大気圧付近である。記載したプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用され得る反応条件(例えば、成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力ならびに他の反応範囲および反応条件)の多数のバリエーションならびに組み合わせが存在する。適切かつ慣用的な実験のみが、そのようなプロセスの条件を最適化するために、必要とされる。
【0085】
これらの研究の目的は、Pediococcus acidilactici、Lactococcus lactis亜種lactis、Lactobacillus acidophilus、およびLactobacillus sakeiの滅菌した無細胞発酵物が、1)Listeria monocytogenes(LM)による表面のバイオフィルムの形成を防止するために表面をコーティングし得るかどうか、2)表面へのLMの付着を防止し得るかどうか、3)水性環境においてLMによるバイオフィルムの形成を防止し得るかどうか、そして4)LMのすでに形成されたバイオフィルムを除去または破壊し得るかどうかを決定することであった。
【0086】
(実施例1:無細胞発酵物)
4種類の細菌の無細胞発酵物を、図5に示すように作製した。発酵物を作製するために使用した細菌の種は、Lactococcus lactis亜種lactis(ATCC#11955)、Pediococcus acidilactici(ATCC#25742)、Lactobacillus acidophilus(ATCC#4356)、およびLactobacillus sakei(ATCC#15521)であった。各細菌の培養物を、脱脂粉乳の上に置き、37℃で18時間、インキュベートした。インキュベーション後、乳清画分を、凝乳画分から分離した。次いで、その乳清を、25,000rpmで10分間、遠心分離した。次いで、その乳清を、滅菌フィルター(Millipore、Billerica、MAから提供される0.2μm孔径)を使用して、濾過した。これにより、滅菌した無細胞発酵物を得た。
【0087】
(実施例2:コントロール)
この実施例を、図6に概略的に示す。5つのステンレス鋼クーポン(1in;6.5cm)を、滅菌したペトリ皿の中に置いて、滅菌した脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよびLMを、その皿に添加した。これを、LMをそのクーポンの表面に付着させるために、35℃で6時間、インキュベートした。そのクーポンを、滅菌したピンセットでその皿から取り出し、1%の滅菌したペプトンブロスで穏やかにすすいだ。次いで、そのクーポンを、1%の滅菌したペプトンブロスを含むペトリ皿の中に置いて、パラフィルムで覆い、LMバイオフィルムを増殖させるために、35℃で16時間、インキュベートした。次いで、そのクーポンを、滅菌したガラスビーズおよび10mLのButterfieldのリン酸緩衝液と共に滅菌した尿検体カップ中で振盪させて、そのクーポンからバイオフィルムを除去した。そのサンプルを、適切に希釈し、全プレートカウント寒天培地を用いて混釈平板培養し、35℃で24時間インキュベートしてカウントした。
【0088】
(実施例3:コーティング研究)
この実施例を、図7に概略的に示す。5つのステンレス鋼クーポン(1in;6.5cm)を、Pediococcus acidilactici、Lactococcus lactis亜種lactis、Lactobacillus acidophilus、およびLactobacillus sakei由来の滅菌した無細胞発酵物の中に置いて、室温(約20℃)で1時間、そのままにさせた。次いで、そのクーポンを、滅菌したペトリ皿の中に置いて、滅菌した脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよびLMを、その皿に添加した。これを35℃で6時間、インキュベートして、そのクーポンの表面にLMを付着させる。このクーポンを、滅菌したピンセットでその皿から取り出して、1%の滅菌したペプトンブロスで穏やかにリンスした。次いで、このクーポンを、1%の滅菌したペプトンブロスを含むペトリ皿の中に置いて、パラフィルムで覆い、35℃で16時間インキュベートして、LMバイオフィルムを増殖させた。次いで、そのクーポンを、滅菌したガラスビーズおよび10mlのButterfieldのリン酸緩衝液と共に滅菌した尿検体カップ中で振盪させて、そのクーポンからバイオフィルムを除去した。そのサンプルを、適切に希釈し、全プレートカウント寒天培地を用いて混釈平板培養し、35℃で24時間インキュベートして、カウントした。
【0089】
(実施例4:付着前の研究)
この実施例を、図8に概略的に示す。5つのステンレス鋼クーポン(1in;6.5cm)を、Pediococcus acidilactici、Lactococcus lactis亜種lactis、Lactobacillus acidophilus、およびLactobacillus sakei由来の滅菌した無細胞発酵物、脳心臓浸出物(BHI)ブロス、およびLMを含む滅菌したペトリ皿の中に置いた。これを、LMが、そのクーポンの表面に付着し得るかどうかを決定するために、35℃で6時間、インキュベートした。そのクーポンを、滅菌したピンセットでその皿から除去して、1%の滅菌したペプトンブロスで穏やかにすすいだ。次いで、そのクーポンを、1%の滅菌したペプトン培養液を含むペトリ皿の中に置いて、パラフィルムで覆い、LMバイオフィルムを増加させるために、35℃で16時間、インキュベートした。次いで、そのクーポンを、滅菌したガラスビーズおよび10mLのButterfieldのリン酸緩衝液と共に滅菌した尿検体カップ中で振盪させて、そのクーポンからバイオフィルムを除去した。そのサンプルを、適切に希釈し、全プレートカウント寒天培地を用いて混釈平板培養し、35℃で24時間インキュベートして、カウントした。
【0090】
(実施例5:バイオフィルム前の研究)
この実施例を、図9に概略的に示す。5つのステンレス鋼クーポン(1in;6.5cm)を、滅菌したペトリ皿の中に置いて、滅菌した脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよびLMを、その皿に添加した。これを35℃で6時間インキュベートし、そのクーポンの表面にLMを付着させた。そのクーポンを、滅菌したピンセットでその皿から取り出し、1%の滅菌したペプトン培養液で穏やかにリンスした。次いで、そのクーポンを、1%の滅菌したペプトン培養液、Pediococcus acidilactici、Lactococcus lactis亜種lactis、Lactobacillus acidophilus、およびLactobacillus sakei由来の滅菌した無細胞発酵物を含むペトリ皿の中に置いて、パラフィルムで覆い、35℃で16時間インキュベートして、LMバイオフィルムが増殖し得るかどうかを決定した。次いで、そのクーポンを、滅菌したガラスビーズおよび10mLのButterfieldのリン酸緩衝液と共に滅菌した尿検体カップ中で振盪させて、そのクーポンからバイオフィルムを除去した。そのサンプルを、適切に希釈し、全プレートカウント寒天培地を用いて混釈平板培養し、35℃で24時間、インキュベートしてカウントした。
【0091】
(実施例6:バイオフィルム後の研究)
この実施例を、図10に概略的に示す。5つのステンレス鋼クーポン(1in;6.5cm)を、滅菌したペトリ皿の中に置いて、滅菌した脳心臓浸出物(BHI)ブロスおよびLMを、その皿に添加した。これを35℃で6時間インキュベートして、そのクーポンの表面にLMを付着させた。そのクーポンを、滅菌したピンセットでその皿から取り出し、1%の滅菌したペプトンブロスで穏やかにリンスした。次いで、そのクーポンを、1%の滅菌したペプトンブロスを含むペトリ皿の中に置いて、パラフィルムで覆い、35℃で16時間インキュベートして、LMバイオフィルムを増殖させた。次いで、そのクーポンを取り出し、発酵物によってバイオフィルムが分解され得るかどうかを決定するために、Pediococcus acidilactici、Lactococcus lactis亜種lactis、Lactobacillus acidophilus、およびLactobacillus sakei由来の滅菌した無細胞発酵物を含むペトリ皿の中に置いて、滅菌したガラスビーズおよび10mLのButterfieldのリン酸緩衝液と共に滅菌した尿検体カップ中で振盪させて、そのクーポンからバイオフィルムを除去した。そのサンプルを、適切に希釈し、全プレートカウント寒天培地を用いて混釈平板培養し、35℃で24時間、インキュベートしてカウントした。
【0092】
(結果)
実施例2〜6の結果を、図11〜14に示す。
【0093】
Pediococcus acidilactici由来の無細胞発酵物は、上記クーポンへの付着前からListeria monocytogenesを1.3log減少させ得、すでにバイオフィルム中に覆われたLMの2.3log(>99%)を殺傷し得た(図11)。これらは、化学的殺菌剤が、バイオフィルム中の細菌を約60%減少させることのみを示しているため、実質的な減少である。
【0094】
Lactococcus lactis亜種lactis由来の無細胞発酵物は、上記クーポン上のバイオフィルム形成の期間の間に、Listeria monocytogenesを2.92log(ほとんど99.9%)減少させ得、バイオフィルム中にすでに覆われたLMの2.2log(>99%)を殺傷し得た(図12)。
【0095】
Lactobacillus acidophilus由来の無細胞発酵物は、LMへの曝露前に上記クーポンをコーティングさせることによって、Listeria monocytogenesを1.2log(>90%)減少させ得、そのクーポン上のバイオフィルム形成の期間の間に、LMを1.6log(>90%)減少させ得た(図13)。
【0096】
Lactobacillus sakei由来の無細胞発酵物は、上記クーポンへの付着前に、Listeria monocytogenesを0.65log減少させ得、バイオフィルムですでに覆われたLMの1.6log(>90%)を殺傷し得た(図14)。
【図面の簡単な説明】
【0097】
本明細書中に援用され、そして本明細書の一部分をなす添付の図面は、以下に記載した数個の局面を例示する。
【図1】図1は、バイオフィルムの顕微鏡写真である。組織化されたチャネルを、矢印で示す。酵母(「y」)および細菌(「b」)もまた、示す。
【図2】図2は、細菌がバイオフィルム中の食物、水、および酸素を取得する方法ならびに老廃物を除去する方法を絵の形態で示すバイオフィルムの概略図である。
【図3】図3は、任意に5段階に分けたバイオフィルム形成の概略図である。段階1において、細菌は、表面に付着する。段階2において、細菌は、シグナル(例えば、アシル−ホモセリンラクトン)を送ることによって「集団感知」を受ける。段階3および段階4において、バイオフィルムは、増殖する(すなわち、グリコカリックスが、より大きくなる)。段階5において、細菌は、バイオフィルムから放れて遊離し、表面に付着し、再びプロセスを開始する。
【図4】図4は、3時間、5時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間および13時間に撮ったListeriaの一連の顕微鏡写真である。バイオフィルム形成の境目を矢印で示す。
【図5】図5は、無細胞発酵物を産生するための本明細書中に開示される1つのプロセスの概略図である。
【図6】図6は、実施例2のコントロール実験の概略図である。
【図7】図7は、実施例3のコーティング研究の概略図である。
【図8】図8は、実施例4の付着前研究の概略図である。
【図9】図9は、実施例5のバイオフィルム前の研究の概略図である。
【図10】図10は、実施例6のバイオフィルム後の研究の概略図である。
【図11】図11は、以下:1)LMへの曝露前に、表面上にコーティングされる場合(「コーティング」)、2)クーポンへの細菌の付着局面の間にLMへ曝露される場合(「付着前」)、3)バイオフィルム形成の間にLMへ曝露される場合(「バイオフィルム前」)、そして4)バイオフィルムを形成した後のLMへ曝露される場合(「バイオフィルム後」)のListeria monocytogenes(LM)コロニー形成単位(cfu)/mLのPediococcus acidilactici由来の無細胞発酵物の効果のグラフである。
【図12】図12は、以下:1)LMへの曝露前に、表面上にコーティングされる場合(「コーティング」)、2)クーポンへの細菌の付着局面の間にLMへ曝露される場合(「付着前」)、3)バイオフィルム形成の間にLMへ曝露される場合(「バイオフィルム前」)、そして4)バイオフィルムを形成した後のLMへ曝露される場合(「バイオフィルム後」)のListeria monocytogenes(LM)コロニー形成単位(cfu)/mlに対するLactococcus lactis亜種lactis由来の無細胞発酵物の効果のグラフである。
【図13】図13は、以下:1)LMへの曝露前に、表面上にコーティングされる場合(「コーティング」)、2)クーポンへの細菌の付着局面の間にLMへ曝露される場合(「付着前」)、3)バイオフィルム形成の間にLMへ曝露される場合(「バイオフィルム前」)、そして4)バイオフィルムを形成した後のLMへ曝露される場合(「バイオフィルム後」)のListeria monocytogenes(LM)コロニー形成単位(cfu)/mlに対するLactobacillus acidophilus由来の無細胞発酵物の効果のグラフである。
【図14】図14は、以下:1)LMへの曝露前に、表面上にコーティングされる場合(「コーティング」)、2)クーポンへの細菌の付着局面の間にLMへ曝露される場合(「付着前」)、3)バイオフィルム形成の間にLMへ曝露される場合(「バイオフィルム前」)、そして4)バイオフィルムを形成した後のLMへ曝露される場合(「バイオフィルム後」)のListeria monocytogenes(LM)コロニー形成単位(cfu)/mlに対するLactobacillus sakei由来の無細胞発酵物の効果のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上のバイオフィルムを処理するための組成物であって:
1種以上の無細胞発酵物を含む、組成物。
【請求項2】
前記無細胞発酵物が、Lactobacillus種、Lactococcus種、およびPediococcus種から選択される1種以上の発酵菌由来である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記無細胞発酵物が、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactococcus lactis亜種lactis、およびPediococcus acidilacticiから選択される1種以上の発酵菌由来である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Delisea pulchra由来の抽出物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
キャリア、希釈剤、アジュバント、可溶化剤、および懸濁剤から選択される1種以上の化合物をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
キャリア、アジュバント、可溶化剤、懸濁剤、希釈剤、および消費者に受容可能な因子から選択される1種以上の化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
無細胞発酵物を含む、表面上のバイオフィルムを処理するための組成物であって、該無細胞発酵物は、以下の工程:
a.1種以上の発酵性物質および1種以上の発酵菌をインキュベートして、それによって1種以上の細胞を含む発酵物を提供する工程;
b.該発酵物から1種以上の細胞を分離して、それによって該無細胞発酵物を提供する工程
を包含する工程によって調製される、組成物。
【請求項8】
前記発酵性物質が、野菜、澱粉、穀物、果物、糖、サトウキビ、肉、および脱脂粉乳、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記発酵性物質が、脱脂粉乳である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記発酵菌が、Lactobacillus種、Lactococcus種、およびPediococcus種から選択される1種以上の細菌である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記発酵菌が、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactococcus lactis亜種lactis、およびPediococcus acidilacticiから選択される1種以上の細菌である、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
分離する工程が、遠心分離することによって達成される、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
分離する工程が、濾過することによって達成される、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
請求項7に記載の組成物であって、ここで、前記発酵性物質が脱脂粉乳であり、そしてここで、分離する工程が、乳清画分を回収し、該乳清画分を遠心分離して、それによって上清を提供し、そして該上清を濾過することによって達成される、組成物。
【請求項15】
表面を処理する方法であって:
表面と有効な量の請求項1に記載の組成物とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項16】
前記表面上にバイオフィルムが存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオフィルムが、Bacillus種、Campylobacter種、Clostridium種、Enterococcus種、Escherichia種、Fusarium種、Listeria種、Proprionibacterium種、Pseudomonas種、Salmonella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Shewanella種、およびToxoplasma種から選択される1種以上の微生物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、Delisea pulchra由来の抽出物をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記表面が、食品加工の機材表面である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記表面が、肉上、鳥肉上、豚肉上、野菜上、果物上、または海産食物上にある、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記表面が、金属、プラスチック、レンガ、タイル、セラミック、磁器、木材、ビニール、リノリウム、またはカーペットである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
接触させる工程が、静電噴霧によって達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
食品加工の機材表面上のバイオフィルムから食品への病原菌、指示菌、または品質低下菌の移動を防止するための方法であって、該方法が、該機材表面上に請求項1に記載の組成物を静電噴霧器で噴霧する工程を包含する、方法。
【請求項24】
食品の貯蔵寿命を増大させるための方法であって、該方法が、該食品と請求項1に記載の組成物とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物および表面を含むシステム。
【請求項26】
前記表面が、食品加工の機材表面である、請求項25に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−518400(P2007−518400A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542863(P2006−542863)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/040823
【国際公開番号】WO2005/079210
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506188482)バイオフィルムズ ストラテジーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】