説明

バイオフィルム抑制剤

【課題】環境中におけるバイオフィルムを排除するためのバイオフィルム抑制剤の提供。
【解決手段】カリオフィレン、セドレン、セドロール、セドリルアセテート、ベチベロール、ネロリドール、サンタロール、フィトール、リナロール、ゲラニオール、リモネン、l-カルボン、メントン、メントール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、セダーオイル及びパルマローザオイルから選ばれる1種以上を含有するバイオフィルム抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオフィルムを環境から排除するバイオフィルム抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオフィルムは、細菌やカビ等の微生物が固体や液体の表面に付着し、分泌物等と共に形成される微生物の群落であり、微生物が環境中に生息する場合は、バイオフィルムの状態にあることが非常に多い。バイオフィルムは、生活環境や産業上で、深刻な問題を引き起こす場合がある。例えば、住環境では、台所、浴室、トイレ等の排水口のぬめりやつまりの原因や悪臭の原因となり不快感を与える。温泉施設等の循環式の浴槽内で形成されたバイオフィルム中の細菌により感染症が発症する場合もある。一方、産業上では、下水道管や船底に形成されることにより腐食を引き起こす事が知られている。工場の製造ライン上のバイオフィルムが微生物汚染の原因となることもある。医療関連では、透析等のチューブや内視鏡、コンタクトレンズ等の医療器具に形成されたバイオフィルムが感染源となったり、また、皮膚等の人体組織でのバイオフィルム形成により疾病を引き起こしたりする。食品関連では、野菜等の生鮮食料品や加工食品原料及び調理器具に形成されたバイオフィルムが腐敗や食中毒の原因となる。
【0003】
微生物がバイオフィルムを形成すると、洗浄除去や薬剤、熱等のストレスに対して浮遊の状態にある場合に比べ非常に強固になることが知られており、通常の洗浄や殺菌方法ではその効果が十分発揮できないことが多く、徹底的な微生物の排除を困難にするため、深刻な問題となっている。
【0004】
バイオフィルムを除去又は殺菌する方法としては、一般的な洗浄剤や殺菌剤を用いることのほか、モノグリセリド多価カルボン酸エステル等の界面活性剤やデキストラナーゼ、ペプチターゼ、グルカナーゼ等の酵素を組み合わせて用いるにことやアルカリ電解水により化学的に除去すること等が提案されている(特許文献1〜4参照)。また、バイオフィルムの付着部分を液体と接触させながら、それにパルスレーザを照射することやバブリング等で物理的にバイオフィルムを除去する方法(特許文献5〜7参照)も提案されている。
【0005】
しかしながら、一旦、バイオフィルムが形成されると、菌から産出される多糖類等の粘性物質は単に洗浄液を流したり、擦ったりすることでだけで充分に除去することは容易ではない。従って、バイオフィルムを環境から排除するためには、バイオフィルムの形成を抑制することが効果的である。これらの方法としてはファルネソールやキシリトールを用いる方法(特許文献8参照)、ラクトン誘導体及び/又はフラン誘導体を用いる方法(特許文献9参照)、次亜塩素酸アルカリ金属塩等を配合した組成物を用いる方法(特許文献10参照)等が提案されているが、効果が十分ではなく、対象の菌種が限られている等の問題があった。その為、より効果が高いバイオフィルム形成抑制能を持つ剤が求められている。
【0006】
カリオフィレン、セドレン、セドロール、セドリルアセテート、ベチベロール、ネロリドール、サンタロール、フィトール、リナロール、ゲラニオール、リモネン、l-カルボン、メントン、メントール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、セダーオイル及びパルマローザオイルは、いずれも香料や精油として広く用いられているが、これらに微生物のバイオフィルムを環境から排除する効果があることは全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−234294号公報
【特許文献2】特開平10−234595号公報
【特許文献3】特開平3−193号公報
【特許文献4】特開2003−250436公報
【特許文献5】特開2004−275979号公報
【特許文献6】特開2004−65612号公報
【特許文献7】特開2002−284604号公報
【特許文献8】特開2004−324045号公報
【特許文献9】特開2004−155681号公報
【特許文献10】特開2005−75873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、環境中におけるバイオフィルムを排除するためのバイオフィルム抑制剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、安全性が高く居住空間等に広く使用可能な化合物について検討したところ、特定の香料化合物が優れたバイオフィルムの形成抑制作用を有することを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、カリオフィレン、セドレン、セドロール、セドリルアセテート、ベチベロール、ネロリドール、サンタロール、フィトール、リナロール、ゲラニオール、リモネン、l-カルボン、メントン、メントール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、セダーオイル及びパルマローザオイルから選ばれる1種以上を含有するバイオフィルム抑制剤を提供するものである。
【0011】
また本発明は、カリオフィレン、セドレン、セドロール、セドリルアセテート、ベチベロール、ネロリドール、サンタロール、フィトール、リナロール、ゲラニオール、リモネン、l-カルボン、メントン、メントール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、セダーオイル及びパルマローザオイルから選ばれる1種以上を含有し、バイオフィルム形成抑制作用を有することを特徴とし、そのために用いるものである旨の表示をした洗浄剤を提供するものである。
【0012】
また本発明は、カリオフィレン、セドレン、セドロール、セドリルアセテート、ベチベロール、ネロリドール、サンタロール、フィトール、リナロール、ゲラニオール、リモネン、l-カルボン、メントン、メントール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチル、セダーオイル及びパルマローザオイルから選ばれる1種以上を含有し、バイオフィルム形成抑制作用を有することを特徴とし、そのために用いるものである旨の表示をした化粧品又は医薬部外品を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、住居内及び産業上の様々な環境において形成されるバイオフィルムの付着を簡便にかつ効率的に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に用いられるカリオフィレン、セドレン、セドロール、セドリルアセテート、ベチベロール、ネロリドール、サンタロール、フィトール、リナロール、ゲラニオール、リモネン、l-カルボン、メントン、メントール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジヒドロジャスモン酸メチルは、いずれも香料として用いられている公知化合物(以下、これらを「香料化合物」という)であり、セダーオイルはセドレン、セドロール、セドリルアセテートを主に含有する精油であり、パルマローザオイルはゲラニオールを主に含有する精油である。
【0015】
ここで、カリオフィレン(Caryophyllene、β-Caryophyllene)、セドレン(Cedrene)、セドロール(Cedrol)、セドリルアセテート(Cedryl acetate)、ベチベロール(vetiverol)、ネロリドール(Nerolidol)及びサンタロール(Santalol)はセスキテルペン化合物であり、カリオフィレンはチョウジ、イランイラン、セドレン等、セドロール及びセドリルアセテートはセダーオイル、ベチベロールはベチバー、ネロリドールはネロリ、サンタロールはビャクダンにそれぞれ含まれる。
【0016】
フィトール(Phytol)はジテルペン化合物であり、ジャスミンに含まれる。
【0017】
リナロール(Linalool)、ゲラニオール(Geraniol)、リモネン(Limonene)、l-カルボン(l-Carvone)、メントン(Mentone)及びメントール(Mentol)はモノテルペン化合物であり、リナロールはラベンダー、ジャスミン、レモンオイル等、ゲラニオールはパルマローザオイル、レモングラス、レモンオイル等、リモネンはレモンオイル、オレンジ、スペアミント等、l-カルボンはスペアミント、メントン及びメントールはペパーミント等にそれぞれ含まれる。
【0018】
cis-ジャスモン(cis-Jasmon)、ジヒドロジャスモン(Dihydrojasmon)及びジヒドロジャスモン酸メチル(Methyl dihydrojasmonate)はジャスモノイド化合物であり、ジャスミンに含まれる。
【0019】
上記香料化合物は、一般的な化学合成によって製造されたもの、天然精油中から単離・精製されたもの、或いはこれらを含有する天然精油のまま使用してもよい。例えば、セドレン、セドロール、セドリルアセテートであればセダーオイルを、ゲラニオールであればパルマローザオイルを使用することができる。
【0020】
本発明のバイオフィルム抑制剤においては、当該香料化合物を単独で使用する他、2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
斯かる本発明の香料化合物は、後記実施例に示すように、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌や酵母によるバイオフィルムの形成抑制作用を有する。従って、本発明の香料化合物は、様々な環境中のバイオフィルム抑制剤として幅広く有用である。ここで、本発明におけるバイオフィルムの抑制とは、微生物が分泌物や沈着物と共に形成する群落(バイオフィルム)の形成を阻止若しくは抑制することをいう。形成に関わる微生物の種類やその種類数は特に限定されるものではないが、好適には黄色ブドウ球菌、バチルス属細菌、ブドウ球菌(スタフィロコッカス属細菌)、ミクロコッカス属細菌、乳酸菌、ストレプトコッカス属やエンテロコッカス属細菌等の連鎖球菌、コリネバクテリウム属細菌、リステリア属細菌等のグラム陽性菌やサッカロマイセス属、ピキア属、ハンゼヌラ属、ロドトルラ属、キャンディダ属、ロドスポリディウム属等の酵母であり、より好適には、スタフィロコッカス属細菌やロドトルラ属酵母が1種類以上含まれているバイオフィルムである。
【0022】
本発明のバイオフィルム抑制剤は、必要に応じて乳化剤、固着剤、分散剤、湿潤剤、安定剤、噴射剤等を適宜添加することにより、油剤、乳剤、水和剤、噴霧剤、エアゾール剤、燻煙剤、塗布剤、洗浄剤、粉剤及び粒剤の形態として製剤化することができ、化粧品、皮膚外用剤等の医薬品、医薬部外品として使用できる。斯かる化粧品や医薬部外品、洗浄剤等は、本発明の香料化合物を含有し、バイオフィルム形成抑制作用を有し、そのために用いるものである旨の表示を付していることができる。
ここで、洗浄剤としては、住居用洗浄剤、台所用洗剤、工業用の洗浄剤、医療用の洗浄剤が挙げられ;化粧料としては、メーキャップ化粧料や基礎化粧料、毛髪用化粧料等が挙げられ、医薬品としては、例えば傷薬等が挙げられ;医薬部外品(薬事法第2条2項)としては、例えば浴用剤、薬用化粧品、コンタクトレンズ用消毒剤、外皮消毒剤、きず消毒保護剤、ひび・あかぎれ用剤等が挙げられる。
これらをバイオフィルムが形成される種々の環境、例えば床面、畳、浴槽、壁、便器等の住環境中や船底、工場等の配管、皮膚、傷口等の人体、コンタクトレンズ、内視鏡等の医療機器等に散布、噴霧、塗布又は蒸散することにより、その効果を発揮させることができる。
【0023】
上記の製剤には、本発明の香料化合物に加えて、抗菌抗カビ剤、防腐防黴剤、抗生物質、浸透促進剤、界面活性剤、消臭剤及び芳香剤等を配合するとより効果的である。
抗菌抗カビ剤としては、例えばチアベンダゾール、トリクロサン、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン、クロルキシレノール等の抗菌剤や、キトサン、カテキン、チモール、ヒノキチオール、孟宗竹エキス、カラシ精油、ワサビ精油等の天然由来の抗菌成分が挙げられる。
【0024】
防腐防黴剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)類、2-フェノキシエタノール、安息香酸及びその塩類、サルチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、p-トルエンスルホン酸及びその塩、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、塩化ベンザルコニウム等の第四級アンモニウム塩等及び防腐力を有する原料である多価アルコール類、中鎖脂肪酸やそのエステル類、グルセリン誘導体類、及びEDTA等のキレート剤等が挙げられる。
【0025】
本発明のバイオフィルム抑制剤における香料化合物の配合量は、0.01〜10質量%、特に0.03〜5質量%が好ましい。
【実施例】
【0026】
実施例1 黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成に対する抑制効果
(1)香料化合物
カリオフィレン(豊玉香料)、セドレン(長谷川香料)、セドロール(長谷川香料)、セドリルアセテート(IFF)、ベチベロール(IFF)、ネロリドール(ジボダン・ルール)、サンタロール(長谷川香料)、フィトール(クラレ)、リナロール(クラレ)、ゲラニオール(ブッシュ・ボーク・アレン森村)、リモネン(ヤスハラケミカル)、l-カルボン(クエスト)、メントン(高砂香料工業)、メントール(高砂香料工業)、cis-ジャスモン(ジボダン・ルール)、ジヒドロジャスモン(AROMOR FLAVORS & FRAGRANCES)、ジヒドロジャスモン酸メチル(花王)、セダーオイル(高砂香料工業)、及びパルマローザオイル(シャラボ)を用いた。
【0027】
(2)供試菌株
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 13276)
【0028】
(3)実験方法
供試菌株を24穴マイクロプレートを用いLB培地(和光純薬工業)(600μL/well)で振盪培養(30℃、700rpm、一昼夜)した後100倍希釈したものを供試菌液とした。
バイオフィルムの調製と形成抑制効果の評価は次のように行った。
1)PVC(ポリビニルアルコールクロライド)の96穴マイクロプレート(丸底)を用い、MHB培地(ミューラヒントン液体培地、DFICO)(100μL/well)に各香料化合物をエタノ-ルに溶解し、最終濃度が0.1%(エタノールは2%)となるように添加した後、供試菌液を10μL接種し、30℃で24時間静置培養した。
2)培養液を取り除いた後、付着している菌体をバイオフィルムとし、0.1%クリスタルバイオレット液を200μL添加し、バイオフィルムを染色した。
3)クリスタルバイオレット液を除き、200μLの水道水で10回洗浄後、プレートに固着して残存していたバイオフィルムを定量した。
4)バイオフィルムの定量は染色したバイオフィルムを99.5%エタノール200μLに溶解後、吸光度(595nm)を測定することで行った。
5)なお、コントロールとして、香料化合物を添加せず同濃度のエタノールのみを添加し、同様の方法でバイオフィルムを形成させた。
結果を表1に示す。ここでバイオフィルム形成量は、コントロールを100とした場合の比率で示した。
各香料化合物の添加によりバイオフィルム形成抑制効果が認められた。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例2 酵母のバイオフィルム形成に対する抑制効果
(1)香料化合物
セドロール(長谷川香料)、ベチベロール(IFF)、サンタロール(長谷川香料)、フィトール(クラレ)、リナロール(クラレ)、ゲラニオール(ブッシュ・ボーク・アレン森村)、リモネン(ヤスハラケミカル)、及びcis-ジャスモン(ジボダン・ルール)を用いた。
【0031】
(2)供試菌株
酵母(Rhodotorula mucilaginosa NBRC0909)
【0032】
(3)実験方法
供試菌株を24穴マイクロプレートを用いYNB-グルコース培地(100mMグルコース含有イーストナイトロジェンベース(Difco))(600μL/well)で振盪培養(30℃、700rpm、一昼夜)した後100倍希釈したものを供試菌液とした。
バイオフィルムの調製と形成抑制効果の評価は次のように行った。
1)PS(ポリスチレン)の24穴マイクロプレートを用い、YNB―グルコース培地(500μL/well)に各香料化合物をエタノ-ルに溶解し、最終濃度が0.1%(エタノールは2%)になるように添加した後、供試菌液を50μL接種し、30℃で48時間静置培養した。
2)培養液を取り除いた後、600μLのPBS(リン酸緩衝食塩水)で洗浄後、付着している菌体をバイオフィルムとし、0.4%クリスタルバイオレット液を600μL添加し45分間放置することで、バイオフィルムを染色した。
3)クリスタルバイオレット液を除き、500μLの水道水で5回洗浄後、プレートに固着して残存していたバイオフィルムを定量した。
4)バイオフィルムの定量は染色したバイオフィルムを99.5%エタノール500μLに溶解後、吸光度(595nm)を測定することで行った。
5)なお、コントロールとして、香料化合物を添加せずに同濃度のエタノールのみを添加し、同様の方法でバイオフィルムを形成させた。
結果を表2に示す。ここでバイオフィルム形成量は、コントロールを100とした場合の比率で示した。
各香料化合物の添加によりバイオフィルム形成抑制効果が認められた。
【0033】
【表2】

【0034】
実施例3 枯草菌のバイオフィルム形成に対する抑制効果
(1)香料化合物
ベチベロール(IFF)、サンタロール(長谷川香料)、ゲラニオール(ブッシュ・ボーク・アレン森村)、l-カルボン(クエスト)、及びセドリルアセテート(IFF)を用いた。
【0035】
(2)供試菌株
枯草菌(Bacillus subtilis ATCC 6633)
【0036】
(3)実験方法
供試菌株を24穴マイクロプレートを用いLB培地(和光純薬工業)(600μL/well)で振盪培養(30℃、700rpm、一昼夜)した後100倍希釈したものを供試菌液とした。
バイオフィルムの調製と形成抑制効果の評価は次のように行った。
1)PVC(ポリビニルアルコールクロライド)の96穴マイクロプレート(丸底)を用い、MHB培地(ミューラヒントン液体培地、DFICO)(100μL/well)に各香料化合物をエタノ-ルに溶解し、最終濃度が0.1%(エタノールは2%)となるように添加した後、供試菌液を10μL接種し、30℃で7日間静置培養した。
2)培養液を取り除いた後、付着している菌体をバイオフィルムとし、0.1%クリスタルバイオレット液を200μL添加し、バイオフィルムを染色した。
3)クリスタルバイオレット液を除き、200μLの水道水で10回洗浄後、プレートに固着して残存していたバイオフィルムを定量した。
4)バイオフィルムの定量は染色したバイオフィルムを99.5%エタノール200μLに溶解後、吸光度(595nm)を測定することで行った。
5)なお、コントロールとして、香料化合物を添加せず同濃度のエタノールのみを添加し、同様の方法でバイオフィルムを形成させた。
結果を表1に示す。ここでバイオフィルム形成量は、コントロールを100とした場合の比率で示した。
各香料化合物の添加によりバイオフィルム形成抑制効果が認められた。
【0037】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲラニオール、パルマローザオイル及びリナロールから選ばれる1種以上を有効成分とするバイオフィルム抑制剤。
【請求項2】
パルマローザオイルを有効成分とする請求項1記載のバイオフィルム抑制剤。
【請求項3】
バイオフィルムの形成を抑制する請求項1又は2記載のバイオフィルム抑制剤。
【請求項4】
バイオフィルムが、スタフィロコッカス属細菌、ロドトルラ属酵母及びバチルス属細菌から選ばれる1種類以上の菌が含まれているバイオフィルムである、請求項1〜3のいずれか1項記載のバイオフィルム抑制剤。

【公開番号】特開2012−72179(P2012−72179A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274264(P2011−274264)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【分割の表示】特願2006−98902(P2006−98902)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】