説明

バイオマス−石油由来樹脂とこれを用いた部品、および画像出力機器

【課題】省資源および環境負荷削減に対応できる品質の安定したバイオマス−石油由来樹脂と、これを用いた部品、および画像出力機器を提供する。
【解決手段】バイオマス由来樹脂[B]と、石油由来樹脂[P]と、回収部品に識別可能に付与された材料構成情報を元に分別された前記石油由来樹脂と同種別の使用済みリサイクル樹脂[R1]とをブレンドして適用部品の要求特性と同等品質のバイオマス−石油由来樹脂とする。この樹脂を用いて部品を構成し、該部品を装着して画像出力機器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷削減や省資源問題に対応可能なバイオマス−石油由来樹脂と、この樹脂を用いて構成した部品、およびその部品を装着した画像出力機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やレーザープリンターなど電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器や、家電製品、電機電子機器製品等では、市場のユーザー環境で使用された後に回収され、例えば、カバー部分などの樹脂材料で作製された部品については、所定のマテリアルリサイクルで材料の再資源化が行われて有効利用されている。
それらのごく一部は適用部品の要求特性と同等品質を有する材料へのマテリアルリサイクルに回されているが、このような同等品質、すなわち高品位材料としてのリサイクルを実施している場合は少ない。しかも、その少ない同等品質へのリサイクル利用においても、品質を確保するためには、未使用の石油由来樹脂を新たに配合することが不可欠であった。
【0003】
このような状況から、ほとんどのマテリアルリサイクルにおいては、低品位の材料としてのリサイクルやアスファルト舗装などに用いる添加材料としてのリサイクル等、いわゆるカスケードリサイクルの形で用いられているのが主流であった。
【0004】
しかし、上記未使用の新しい石油由来樹脂を多く配合したり、あるいはカスケードリサイクルにより再利用する方法では、二酸化炭素排出量低減による環境負荷削減や化石資源の有効活用等の問題解決に対して効果は非常に少ない。
そこで、より環境負荷を削減する方法として、バイオマス由来樹脂が注目され、その活用に関して種々検討されている。
【0005】
例えば、化石資源由来の熱可塑性樹脂成分(A)と、バイオマス由来の熱可塑性樹脂成分(B)と、これらの(A)および(B)の両者に対して相溶性または分散性を示す熱可塑性樹脂成分(C)とを混合して熱可塑性樹脂成形体とする手法が提案されている。ここで、(B)および(C)をそれぞれ構成するモノマー単位、またはオリゴマー単位を共重合させた熱可塑性共重合樹脂成分(D)と、前記(A)とを混合した熱可塑性樹脂成形体、あるいは上記(D)と、前記(A)および(B)とを混合した熱可塑性樹脂成形体も可能とされており、前記熱可塑性樹脂成形体によれば、高度な特性が要求される部材にも使用が可能で、埋蔵化石資源の使用量を低減することができるとしている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の実施例8に、(A)+熱可塑性共重合樹脂成分(D)+ポリオレフィン系変性重合体(E)からなる構成の熱可塑性樹脂成形体の(A)(ポリプロピレン)を全て家電4品目の廃棄物から回収されたリサイクル樹脂(ポリプロピレン)に代替した例が示されているが、成形体の特性が実施例6、7と同等と記載されていることから、性能(例えば、機械的強度)としては低品位の要求特性に対応するレベルのものと想定される。なお、リサイクル樹脂のグレードや物性の変動に応じて熱可塑性樹脂成形体における混合割合を適正なものに制御することに関しては考慮されておらず、これに関する記載もない。
すなわち、リサイクル樹脂には回収材料の品質バラつきや他材料の混入などによる影響があるため、物性値は変化する。このため、リサイクル樹脂を用いて安定した品質を確保するためには回収材料品質の把握が重要な課題となる。つまり、リサイクル樹脂を単に従来材料の代替として用いるだけでは物性変化等の影響があり、特に高品位の要求特性の部材として使用する場合には問題がある。
【0006】
また、一定温度以上に加熱することによって開裂し、冷却によって再び前記架橋が形成される少なくとも二つの官能基が静電結合して架橋する熱可逆架橋性生分解性樹脂が提案されている。この生分解性樹脂を用いることにより、十分な成形性、リサイクル性、耐熱性が実現できるとされている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、上記熱可逆架橋を構成する静電結合は共有結合に比べて弱く、耐熱性の向上を図るには十分とは言えない。
【0007】
また、冷却により共有結合し、加熱により開裂する熱可逆的な架橋構造を形成する官能基を有する生分解性樹脂が提案されている。これによれば、実際の使用に耐え得るだけの性能を有し、リサイクル性の生分解性樹脂材料が提供されるとされている(例えば、特許文献3参照。)。
共有結合は静電結合に比べて強い結合であることから耐熱性や機械特性などの性能は向上するが、リサイクル性の向上とはトレードオフの関係にあり、性能とリサイクル性のバランスを図るのは難しいと想定される。
【0008】
上記特許文献2、3においては、リサイクルにおける再生混練時の熱履歴は一つの要素に過ぎず、実際のマテリアルリサイクルを行う場合には、回収材料の経時変化による物性劣化や、回収時における他材料の混入による物性低下など、回収品質に左右されることに配慮することが重要である。すなわち、回収材料品質の把握とその物性劣化に応じた再生方法が課題となる。
【0009】
【特許文献1】特開2006−70210号公報
【特許文献2】特開2004−18680号公報
【特許文献3】WO2003−106539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、省資源および環境負荷削減に対応できる品質の安定したバイオマス−石油由来樹脂と、これを用いた部品、および画像出力機器を提供することを目的とする。なお、本発明においては、適用部品の要求特性と同等品質を満たす高品位なバイオマス−石油由来樹脂を提供することを目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の(1)〜(15)に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
(1):バイオマス由来樹脂[B]と、石油由来樹脂[P]と、使用済みリサイクル樹脂[R1]とをブレンドしてなるバイオマス−石油由来樹脂であって、前記使用済みリサイクル樹脂[R1]は、回収部品に識別可能に付与された材料構成情報を元に分別された前記石油由来樹脂と同種別のリサイクル樹脂であることを特徴とするバイオマス−石油由来樹脂である。
【0013】
本発明の[B]、[P]および[R1]のブレンド構成によれば、バイオマス由来樹脂の活用によって二酸化炭素排出量の低減ができ、回収された樹脂を再利用することによって化石資源の有効活用、つまり省資源ができるため、総合的に環境負荷削減を実現することが可能である。回収部品に識別可能に付与された材料構成情報により正確に分別されたリサイクル樹脂のうち、石油由来樹脂と同種別のものが用いられるため、適用部品の要求特性と同等品質を満たす高品位のバイオマス−石油由来樹脂が提供される。
【0014】
(2):上記(1)に記載のバイオマス−石油由来樹脂において、前記バイオマス由来樹脂が、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、セルロース誘導体、リグニン誘導体、エステル系澱粉、糖質高分子、もしくはこれら高分子化合物の共重合体から選択される少なくとも1種類の樹脂であることを特徴とする。
【0015】
上記バイオマス由来樹脂をブレンドすることにより、バイオマス由来樹脂部分の分解処理も可能であり、また焼却処分する場合であっても従来の石油由来樹脂単独の場合に比べて二酸化炭素排出量の低減ができ、環境負荷を削減することができる。また、化石資源の省資源を図ることができる。
【0016】
(3):上記(1)または(2)に記載のバイオマス−石油由来樹脂において、前記バイオマス−石油由来樹脂に加えて、該バイオマス−石油由来樹脂そのものの使用済みリサイクル樹脂[R2]をブレンドしてなることを特徴とする。
【0017】
バイオマス−石油由来樹脂そのものの使用済みリサイクル樹脂がブレンドされるため、適用部品の要求特性と同等の品質を確実に満たすことができる高品位のバイオマス−石油由来樹脂が提供される。そして、省資源および環境負荷削減に大きく貢献することができる。
【0018】
(4):上記(1)〜(3)のいずれかに記載のバイオマス−石油由来樹脂において、前記バイオマス−石油由来樹脂における各樹脂成分のブレンド割合が、予めデータベース化した使用済みリサイクル樹脂[R1]の溶融粘度と各樹脂成分の適正な配合割合との関係を基にしてブレンド毎に決められるものであることを特徴とする。
【0019】
リサイクル樹脂の経時変化やユーザー環境がたとえ異なったとしても、データベースに基づいて各樹脂成分の適正な配合割合が確実に決定されるので、回収材料の物性劣化等の変動に応じて安定したバイオマス−石油由来樹脂が提供される。
【0020】
(5):上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバイオマス−石油由来樹脂において、前記バイオマス−石油由来樹脂に他の添加剤を加える場合の添加量が、予めデータベース化した各樹脂成分のブレンド割合と添加剤の適正な配合割合との関係を基にしてブレンド毎に決められるものであることを特徴とする。
【0021】
データベースに基づいて、各樹脂成分のブレンド割合に応じた添加剤の配合割合が適正に決定されるので、リサイクル樹脂の再生対象に応じて物性が確保され、短時間で確実に安定したバイオマス−石油由来樹脂が提供される。
【0022】
(6):上記(1)〜(5)のいずれかに記載のバイオマス−石油由来樹脂を用いて構成されたことを特徴とする部品である。
【0023】
上記本発明のバイオマス−石油由来樹脂を用いれば、適用部品の要求特性と同等の品質(高品位)を満たすことができ、しかも省資源および環境負荷削減に大きく寄与する部品を提供することが可能である。
【0024】
(7):上記(6)に記載の部品において、前記部品が、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器に使用される部品であることを特徴とする。
【0025】
(8):上記(7)に記載の部品において、前記部品が、画像出力機器本体にサブユニットを装着する際に取り外しかつ機能上不要になるものであることを特徴とする。
【0026】
(9):上記(7)に記載の部品において、前記部品が、バイオマス−石油由来樹脂構成部と異種材料構成部が付着または接着あるいは接合しているものであることを特徴とする。
【0027】
(10):上記(7)に記載の部品において、前記部品が、バイオマス−石油由来樹脂構成部中に異種材料構成部が分散または混合しているものであることを特徴とする。
【0028】
上記(7)〜(10)によれば、所定の部品がバイオマス−石油由来樹脂を用いて構成されるので、この部品を用いれば省資源および環境負荷削減に大きく寄与することができる。また、ユーザー環境で使用された後に画像出力機器から回収された部品(例えば、標準排紙トレイ等)はリサイクル材料として再利用することができ、一方、この部品を焼却処分するとしても、従来の石油由来樹脂のみで構成した部品に比べて、二酸化炭素排出量がより少なくなり、省資源化と併せて総合的に環境負荷削減に大きく寄与することができる。
【0029】
(11):上記(9)または(10)に記載の部品において、前記異種材料が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、真鍮等の金属、または、これらの合金等の金属材料、もしくは、ガラス、セラミックス、炭素繊維等の無機材料であることを特徴とする。
【0030】
バイオマス−石油由来樹脂とともに金属を用いて部品を構成することによって、インサートなどの締結力の高い結合部品構造とすることができる。構造としてはバイオマス−石油由来樹脂と金属が分離可能に構成されることが望ましいが、分離が容易でなく樹脂部分のマテリアルリサイクルが不可能で使用後に単純焼却を行う場合であっても、主材料にバイオマス−石油由来樹脂を用いているので、二酸化炭素排出量等の環境負荷の少ない最終処理が可能になる。
【0031】
(12):上記(9)〜(11)のいずれかに記載の部品において、市場から回収されてきた画像出力機器を分解再生する際の前記バイオマス−石油由来樹脂の分離が、熱分解、加水分解、超臨界状態による分解、または微生物発酵のいずれかの分解により可能であることを特徴とする。
【0032】
バイオマス−石油由来樹脂を用いていることから、上記いずれかの分解処理で樹脂を分離することが可能である。また、樹脂の分離によって部品を構成する価値のある異種材料を効果的に取り出すことも可能になり、異種材料に関しても有効な部品リユースやマテリアルリサイクルが可能になる。
【0033】
(13):上記(6)〜(12)のいずれかに記載の部品において、前記部品に、材料種別・グレードを示す材料構成情報が識別可能に付与されたことを特徴とする。
【0034】
前述のように、部品に材料構成情報が識別可能に付与されていれば、リサイクルの際に正確な分別が可能であり、効率良く再利用することができて環境負荷削減に対してさらに貢献することができる。例えば、リサイクル樹脂[R2]として再利用することができ、適用部品の要求特性を高品位なレベルで満たすことができる。当然、他の目的のリサイクル樹脂として使用することも可能である。
【0035】
(14):上記(6)〜(13)のいずれかに記載の部品を装着したことを特徴とする画像出力機器である。
【0036】
(15):上記14に記載の画像出力機器において、前記画像出力機器が、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いたものであることを特徴とする。
【0037】
上記(14)、(15)のように本発明の部品を装着すれば、部品として要求される特性が確保されるので、ばらつきがなく信頼性のある画像出力機器とすることができ、しかも省資源および環境負荷削減に大きく寄与することが可能である。
【発明の効果】
【0038】
本発明のバイオマス−石油由来樹脂によれば、石油由来樹脂[P]以外に、バイオマス由来樹脂[B]と使用済みリサイクル樹脂[R1]をブレンドすることにより、枯渇性の化石資源を節約し、焼却処理する場合でも二酸化炭素の排出量を低減することができるため、環境負荷の削減を図ることができる。材料構成情報から正確に分別されたリサイクル樹脂[R1]を用いるので、適用部品の要求特性と同等品質のバイオマス−石油由来樹脂が得られる。また、バイオマス由来樹脂[B]にポリ乳酸等の高分子化合物やその共重合体を用いれば、成形性の維持と特性の低下を抑制しつつ環境負荷を効率良く削減することができる。さらに、バイオマス−石油由来樹脂そのものの使用済みリサイクル樹脂[R2]をブレンドすれば、適用部品の要求特性と同等の品質が確実に得られ、省資源および環境負荷削減効果も大きい。
また、各樹脂成分のブレンド割合を予め取得したデータベース([R1]の溶融粘度−各樹脂成分の適正な配合割合)により決めれば、リサイクル樹脂の物性の変動によらず安定したバイオマス−石油由来樹脂が得られる。同様に、予め取得したデータベース(各樹脂成分のブレンド割合−添加剤の適正な配合割合)により他の添加剤量を決めれば、リサイクル樹脂の物性の変動によらず安定したバイオマス−石油由来樹脂が得られる。
本発明の部品(例えば、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器の部品)によれば、上記バイオマス−石油由来樹脂を用いているので、適用部品の要求特性と同等の特性が得られる。画像出力機器に使用される部品としては、サブユニット装着時に不要になる部品や、部品構成がバイオマス−石油由来樹脂と異種材料(例えば、金属材料、無機材料)との複合構成からなる部品として用いることができる。バイオマス−石油由来樹脂を用いているため、バイオマス由来樹脂部分の熱分解、加水分解、超臨界状態による分解、または微生物発酵のいずれかの分解により異種材料からバイオマス由来樹脂を分離することが可能である。
なお、リサイクルのためには、本発明におけるように部品に材料構成情報が識別可能に付与されていることが必要である。
本発明の画像出力機器(例えば、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器)によれば、部品特性が安定しているので、信頼性が維持されるとともに、省資源および環境負荷削減に大きく貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明について画像出力機器を例として挙げ、図を用いて説明する。
図1は本発明を説明するために参照する画像出力機器本体(電子写真装置)の全体構造を示す断面図である。なお、この電子写真装置の詳細構造及び機能に関しては後記する。
図1において、画像機器の複写装置本体100の外装カバーや給紙トレイ44等の部品には樹脂材料が多く使用されており、それらの材料は通常石油由来の樹脂で構成されている。複写装置に代表される画像出力機器は、ユーザー環境で使用後には回収され、回収センターにおいて解体され必要十分とされる部品、ユニットは再使用すなわち部品リユースやユニットリユースが行われている。また、リユースができない樹脂部品等は再資源化すなわちマテリアルリサイクルが行われており、それらのうち使用量が多い外装カバーや給紙トレイといった部品は材料グレード毎に分別解体され、同様の材料へのマテリアルリサイクルすなわちクローズドマテリアルリサイクルが行われている。前記クローズドマテリアルリサイクル以外の樹脂部品は、ネジ等の金属材料は分離された状態で材料種別によらず再利用されるオープンマテリアルリサイクルが行われている。
【0040】
一方上記前記クローズドマテリアルリサイクルにおいては、従来、回収された画像機器から分別解体され、同様の材料に分別された回収材と石油から新規に制作した材料すなわちバージン材料をブレンドして使用されていた。つまり、未使用の新しい石油由来樹脂を多く配合することが必要であり、環境負荷削減や化石資源の有効活用に対して効果は少ないものであった。
【0041】
[第1の実施形態]
前述のように本発明におけるバイオマス−石油由来樹脂は、バイオマス由来樹脂[B]と、石油由来樹脂[P]と、使用済みリサイクル樹脂[R1]とをブレンドしてなるバイオマス−石油由来樹脂であって、前記使用済みリサイクル樹脂[R1]は、回収部品に識別可能に付与された材料構成情報を元に分別された前記石油由来樹脂と同種別のリサイクル樹脂であることを特徴とするものである。図2は、本発明のバイオマス−石油由来樹脂の組成を示す構成図である。
【0042】
本発明のバイオマス−石油由来樹脂は、図2に示すように、バイオマス由来樹脂[B]と、石油由来樹脂[P]と、[P]と同種別である使用済みリサイクル樹脂[R1]からなる樹脂組成により構成されるものである。そして、[R1]としては、材料種別グレードが明らかなクローズドマテリアルリサイクルに利用されるリサイクル樹脂が用いられる。
このような実施形態の一例として、例えば、バイオマス由来樹脂[B]としてポリ乳酸樹脂、石油由来樹脂[P]としてABS樹脂、使用済みリサイクル樹脂[R1]として回収された使用済みABS樹脂で構成されるものが挙げられる。
このような構成のバイオマス−石油由来樹脂は、新たな石油資源投入を減らし、かつ環境負荷の低い材料構成で、例えば、画像機器の部品に利用可能な材料とすることができる。
【0043】
[第2の実施形態]
上記において、バイオマス資源とは、植物や動物などの生物を資源にしているという意味であり、木材やトウモロコシ、大豆や動物から取れる油脂、生ゴミなどを示すものである。一般には生分解性樹脂と言われているものもあるが、生分解とは温度・湿度などのある一定環境下において、微生物などにより分解される機能を有することを言い、必ずしも生分解性樹脂=バイオマス由来樹脂ではなく、石油由来樹脂であっても生分解する機能を持つ樹脂は存在する。
【0044】
バイオマス由来樹脂には、ジャガイモやサトウキビやトウモロコシなどの糖質を醗酵した乳酸をモノマー原料とし、これを化学重合して得られるポリ乳酸:PLA(PolyLactic Acid)や、澱粉を主成分としたエステル化澱粉、微生物が体内に生産するポリエステルである微生物産性樹脂:PHA(PolyHydoroxy Alkanoate)、醗酵法で得られる1,3プロパンジオールと石油由来のテレフタル酸を原料とするPTT(Poly Trimethylene erephtalate)などがある。
【0045】
本発明のバイオマス−石油由来樹脂においてブレンドされるバイオマス由来樹脂[B]は、必ずしも生分解性樹脂である必要はなく、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、セルロース誘導体、リグニン誘導体、エステル系澱粉、チキン、キトサン等の糖質高分子、もしくはこれら高分子化合物の共重合体、あるいはこれらを組み合わせたもの等、少なくとも1種類以上の樹脂で構成することができる。
上記バイオマス由来樹脂のうち、ポリ乳酸は従来の石油由来樹脂と同様の射出成形機を用いた成形が可能な種類の材料であり、その材料を用いるか、もしくはその材料を基に改良などを加えることによって射出成形による部品成形が可能になる。
【0046】
[第3の実施形態]
また、本発明のバイオマス−石油由来樹脂において、該バイオマス−石油由来樹脂そのものの使用済みリサイクル樹脂[R2]をブレンドすることができる。すなわち、次の世代の材料まで効率的にマテリアルリサイクルを行うものである。図3は、本発明におけるバイオマス−石油由来樹脂の別の組成を示す構成図である。
図3に示すように、バイオマス由来樹脂[B]と、石油由来樹脂[P]と、[P]と同種別である使用済みリサイクル樹脂[R1]と、バイオマス−石油由来樹脂そのものの使用済みリサイクル樹脂[R2]からなる樹脂組成により構成されるものである。
このような構成のバイオマス−石油由来樹脂は第一の実施形態よりさらに新たな石油資源投入を減らし、かつ環境負荷の低い材料構成で画像機器の部品に利用可能な材料とすることができる。
【0047】
[第4の実施形態]
図2に示す各樹脂成分[B]、[P]、[R1]のブレンド割合を、予め、使用済みリサイクル樹脂[R1]の溶融粘度(以降、「粘度」と略称することがある。)と各樹脂成分の適正な配合割合との関係を実験により求めてデータベース化しておき、このデータベースを基にして、ブレンド毎に各樹脂成分の配合割合を決めるものである。
具体的には、例えば、使用済みリサイクル樹脂[R1]の粘度が新規の石油由来樹脂[P]と比較して、粘度低下が少ないか、もしくは粘度が同等の場合は石油由来樹脂[P]の配合比率を低く設定するか、もしくはバイオマス由来樹脂[B]の配合比率を高く設定するものである。また、使用済みリサイクル樹脂の粘度[R1]が低下している場合は、石油由来樹脂[P]の配合比率を高く設定するか、もしくはバイオマス由来樹脂[B]の配合比率を低く設定するものである。使用済みのリサイクル樹脂[R1]は物性低下が一定のものではなく、市場ユーザーの使用環境、分別回収品質等に左右されるので、使用済みリサイクル樹脂[R1]の物性把握と、作製するバイオマス−石油由来樹脂の物性確保のため粘度測定を行い、その粘度データから配合比率を決定するものである。図3に示すバイオマス−石油由来樹脂の使用済みリサイクル樹脂[R2]を利用する場合も同様にして[R2]の粘度データから各樹脂成分([B]、[P]、[R1]、[R2])の配合比率を決定する。
【0048】
[第5の実施形態]
バイオマス−石油由来樹脂に他の添加剤を加える場合の添加量を、予め、各樹脂成分のブレンド割合と添加剤の適正な配合割合との関係を実験により求めてデータベース化しておき、このデータベースを基にして、ブレンド毎に添加剤の添加量を決めるものである。すなわち、使用済みリサイクル樹脂[R1]の溶融粘度に基づいて決められた樹脂配合に応じて、添加剤の添加量が決められる。
例えば、図2において、使用済みリサイクル樹脂[R1]の粘度が新規の石油由来樹脂と比較して、粘度低下が少ないか、もしくは粘度が同等の場合の樹脂配合比率では、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、耐衝撃改質剤等の各種添加剤の添加量を少なめに設定するものである。また、使用済みリサイクル樹脂[R1]の粘度が低下している場合の樹脂配合比率では、前記各種添加剤の添加量を多めに設定するものである。
図3に示すバイオマス−石油由来樹脂の使用済みリサイクル樹脂[R2]に基づいて決められる各樹脂成分([B]、[P]、[R1]、[R2])の配合比率に応じて、各種添加剤の添加量を設定する場合も上記と同様である。
【0049】
[第6の実施形態]
上記バイオマス−石油由来樹脂を用いて部品として構成することができる。ここで、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器に用いられる部品とすれば好適に用いられる。
すなわち、適用部品の要求特性と同等の品質を満たすことができるバイオマス−石油由来樹脂を用いているので、バラツキのない安定した特性の部品が得られる。そして、この部品を用いれば使用後に焼却処分するとしても、従来の石油由来樹脂のみで構成した部品に比べて二酸化炭素排出量がより少ないので、例えば、画像出力機器に配設した場合にも省資源および環境負荷削減に大きく貢献することができる。
【0050】
[第7の実施形態]
本発明の部品としては、画像出力機器本体にサブユニットを装着する際に取り外しかつ機能上不要になるものに適用することができる。
電子写真装置に装着する際に、取り外しかつ機能上不要になる部品の例を示す。図4は標準排紙トレイを説明するために参照する図1の電子写真装置の外観を示す概略斜視図である。図4において、4が標準排紙トレイである。
例えば、標準用紙上に印字を行い、出力された用紙を受け取る標準排紙トレイ4が装着されている構造の装置において、新たに、サブユニットとしてフィニッシャー(不図示)を装着する場合には、従来取り付けてある標準排紙トレイ4はオプション装置であるフィニッシャーを取り付ける際には不用となり、取り外す部品になる。従来ではそのような部品はユーザー環境において廃棄されてしまうのが一般的であった。
そこで、本発明の実施形態に係る部品では、例えば、標準排紙トレイにバイオマス−石油由来樹脂を使うことにより、新たなオプション機器のフィニッシャーを取り付ける際に従来の標準排紙トレイが廃棄、焼却処分されても、環境負荷や二酸化炭素が増加しない部品とすることができる。
【0051】
[第8の実施形態]
また、標準装備では取り付けられてないオプション部品の一つとして、大量給紙ユニットがある。この大量給紙ユニットは、画像出力機器本体側面に設置場所等において取り付けられ、数千枚の用紙を搭載して用紙の給紙を大量に行うものである。従来技術では、画像出力機器の本体と大量給紙ユニットの接続部分やコネクタ接続部分などを覆っている目隠し板があり、大量給紙ユニットを画像出力機器本体に装着する際に、この目隠し板を取り外す。従ってこの目隠し板は機能上不要になる部品である。図5は画像出力機器本体にサブユニットを装着する際に取り外しかつ機能上不要になる部品として例示する目隠し板の外観を示す斜視図である。
目隠し板には、他の外装部品と遜色ない材料を用いており、前記のような大量給紙ユニットを取り付ける際にはその目隠し板は設置場所で外され、販売サービス会社やユーザー環境での一般廃棄物と同様の焼却処分されてしまう。そこで、本発明の実施形態に係る部品では、例えば、目隠し板にバイオマス−石油由来樹脂を使うことにより、新たなオプション部品の大量給紙ユニットを取り付ける際に従来の目隠し板が廃棄、焼却処分されても、環境負荷や二酸化炭素が増加しない部品とすることができる。
【0052】
なお、本発明においてバイオマス−石油由来樹脂を用いて構成する部品としては、カートリッジ部品に取り付けてある輸送時に稼動部が動かないように固定する部材や、カートリッジ内部の材料を封止するシール部材なども挙げられる。
【0053】
[第9の実施形態]
また、本発明の部品としては、バイオマス−石油由来樹脂構成部と異種材料構成部が付着または接着あるいは接合している構成の部品とすることができる。あるいは、バイオマス−石油由来樹脂構成部中に異種材料構成部が分散または混合している構成の部品とすることもできる。
バイオマス−石油由来樹脂と異種材料とからなる画像出力機器に用いる部品としては、例えば、図6に例示するような構成の部品が挙げられる。この部品は、樹脂8(バイオマス−石油由来樹脂構成部)にインサートネジなどの金属7(金属製の部材:異種材料構成部)が埋め込まれたインサート部品6であり、リサイクルやリユースを行う際には、金属部分の除去が必要になる。そこで本実施形態では、上記インサート部品をバイオマス−石油由来樹脂で構成することにより、廃棄処分や焼却処分がなされても、環境負荷や二酸化炭素が増加しないようにしたものである。
【0054】
[第10の実施形態]
本発明における部品の複合構成に用いる異種材料としては、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、真鍮等の金属、または、これらの合金等の金属材料、もしくは、ガラス、セラミックス、炭素繊維等の無機材料等が例示される。
前記図6に示すようなバイオマス−石油由来樹脂構成部にインサートネジなどの金属製の部材が埋め込まれた部品の場合、例えば、金属部分のリサイクルやリユースを行う際には、金属部分の抜き取りが必要になる。そこで本実施形態では、上記インサート部品の樹脂部分をバイオマス−石油由来樹脂で構成することにより、高温多湿環境下などの微生物分解が促進される環境下に置くことにより、樹脂部分が生分解して金属部分のみを抜き取ることが可能になり、金属部分のリサイクル、もしくは金属部品としてのリユースが可能になる部品とすることができる。
【0055】
[第11の実施形態]
画像出力機器本体に用いる部品として、高い強度が必要で、かつ、温度による寸法変化が少ない部品として、ポリゴンモーターやレンズなどを納める光学ハウジングが挙げられる。図7はバイオマス−石油由来樹脂と異種材料とからなる部品として例示する光学ハウジングの外観を示す斜視図である。
光学ハウジング9の構成材料には、前記性能を確保するために樹脂材料にガラス繊維や金属フィラーなどの無機物の材料が分散・混合されている。そのため、マテリアルリサイクルすることは非常に困難で、現状埋め立て、もしくは焼却処分などが行われている。
そこで本実施形態では、光学ハウジングにバイオマス−石油由来樹脂にガラス繊維、金属フィラーなどを配合して強度を高めた材料で構成することにより、廃棄時に焼却処分されても環境負荷や二酸化炭素が増加しない部品とすることができる。
【0056】
[第12の実施形態]
本発明においては、市場から回収されてきた画像出力機器を分解再生する際、熱分解、加水分解、超臨界状態による分解、または微生物発酵のいずれかの分解により、前記バイオマス−石油由来樹脂のバイオマス由来樹脂部分が分解し、異種材料と分離することが可能とされている。
前記図6に示すようなインサート部品のリサイクルを行う際に、ケミカルリサイクルが可能なバイオマス−石油由来樹脂を用いた本部品を高熱溶媒等の熱分解可能な環境下に置くことにより、バイオマス由来樹脂材料部分の熱分解によって生成するモノマー抽出によるケミカルリサイクルが可能となる。かつ、インサート部の金属材料のリサイクル、もしくは金属部品としてのリユースが可能になる。
また、前記図7に示す光学ハウジング9の場合において、無機材料が添加された部品のリサイクルを行う際には、ケミカルリサイクルが可能なバイオマス−石油由来樹脂を用いた本部品を超臨界二酸化炭素の環境下に置くことにより、樹脂材料部分が分解し、モノマー抽出によるケミカルリサイクルが可能となる。また、光学ハウジング部品の場合は、材料に添加しているガラス繊維や金属フィラー等の無機材料のリサイクルが可能になる部品である。
【0057】
[第13の実施形態]
本発明の部品には、材料種別・グレードを示す材料構成情報が識別可能に付与することができる。すなわち、部品に材料構成情報が識別可能に付与されていれば、リサイクルの際に正確に分別でき、例えば、リサイクル樹脂[R2]として利用すれば適用部品の要求特性を高品位なレベルで満たすことができる
材料構成情報が識別可能に付与されているとは、材料構成を判別する手段を備えていることである。例えば、刻印や、スタンプ、スクリーン印刷による印刷表示なども実施形態の一例として行われているものである。また、物性や成形条件に影響のない微小なICタグ複数個を材料に混ぜ込むことにより、部品に成形された後にもICタグリーダー等により材料種類や材料グレードを判別するものである。前記材料種類と材料グレード以外に回収リサイクルした回数も同様に刻印、印刷表示、ICタグ等で判別させるものも同様にある。前記刻印の場合には、ユーザー環境で使用され、市場から回収された画像機器の部品から分別された使用済みリサイクル樹脂に関して、その材料種類や材料グレードを判別するために樹脂を成形する金型に刻印を彫り込み、成形された部品に材料種類や材料グレードが明記されるものである。
【0058】
[第14の実施形態]
上記部品を用いて画像出力機器とすることができる。ここで、部品は電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器に好適に用いられる。
本発明の部品を配設すれば、部品として要求される特性が確保され、信頼性のある画像出力機器とすることができる。しかも省資源および環境負荷削減に大きく貢献できる。
【0059】
ここで、前出の図1に示す画像出力機器本体(電子写真装置)の詳細構造および機能に関して説明する。なお、図1の電子写真装置は、タンデム型間接転写方式の電子写真装置である。
図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400は更にその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。
【0060】
そして、図1に示す通り、図示例では3つの支持ローラ14,15,16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
【0061】
そのタンデム画像形成装置20の上には、更に露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
【0062】
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0063】
上記タンデム画像形成装置において、個々の画像形成手段18は、ドラム状の感光体140(140Y〜140K)のまわりに帯電装置、現像装置、1次転写装置62、感光体クリーニング装置、除電装置等を備えている。
【0064】
ここで、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を更に反射して第2走行体34に向け、第2走
行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0065】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14,15,16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体140を回転して各感光体140Y,140C,140M,140K上にそれぞれ、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0066】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0067】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0068】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明を説明するために参照する画像出力機器本体(電子写真装置)の全体構造を示す断面図である。
【図2】本発明におけるバイオマス−石油由来樹脂の組成を示す構成図である。
【図3】本発明におけるバイオマス−石油由来樹脂の別の組成を示す構成図である。
【図4】本発明において標準排紙トレイを説明するために参照する図1の電子写真装置の外観を示す概略斜視図である。
【図5】本発明において画像出力機器本体にサブユニットを装着する際に取り外しかつ機能上不要になる部品として例示する目隠し板の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明においてバイオマス−石油由来樹脂と異種材料とからなる部品として例示するインサート部品の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明においてバイオマス−石油由来樹脂と異種材料とからなる部品として例示する光学ハウジングの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1 画像出力機器本体(電子写真装置)
4 標準排紙トレイ
5 目隠し板
6 インサート部品
7 金属
8 樹脂
9 光学ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス由来樹脂[B]と、石油由来樹脂[P]と、使用済みリサイクル樹脂[R1]とをブレンドしてなるバイオマス−石油由来樹脂であって、前記使用済みリサイクル樹脂[R1]は、回収部品に識別可能に付与された材料構成情報を元に分別された前記石油由来樹脂と同種別のリサイクル樹脂であることを特徴とするバイオマス−石油由来樹脂。
【請求項2】
前記バイオマス由来樹脂が、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、セルロース誘導体、リグニン誘導体、エステル系澱粉、糖質高分子、もしくはこれら高分子化合物の共重合体から選択される少なくとも1種類の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス−石油由来樹脂。
【請求項3】
前記バイオマス−石油由来樹脂に加えて、該バイオマス−石油由来樹脂そのものの使用済みリサイクル樹脂[R2]をブレンドしてなることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマス−石油由来樹脂。
【請求項4】
前記バイオマス−石油由来樹脂における各樹脂成分のブレンド割合が、予めデータベース化した使用済みリサイクル樹脂[R1]の溶融粘度と各樹脂成分の適正な配合割合との関係を基にしてブレンド毎に決められるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバイオマス−石油由来樹脂。
【請求項5】
前記バイオマス−石油由来樹脂に他の添加剤を加える場合の添加量が、予めデータベース化した各樹脂成分のブレンド割合と添加剤の適正な配合割合との関係を基にしてブレンド毎に決められるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバイオマス−石油由来樹脂。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のバイオマス−石油由来樹脂を用いて構成されたことを特徴とする部品。
【請求項7】
前記部品が、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた画像出力機器に使用される部品であることを特徴とする請求項6に記載の部品。
【請求項8】
前記部品が、画像出力機器本体にサブユニットを装着する際に取り外しかつ機能上不要になるものであることを特徴とする請求項7に記載の部品。
【請求項9】
前記部品が、バイオマス−石油由来樹脂構成部と異種材料構成部が付着または接着あるいは接合しているものであることを特徴とする請求項7に記載の部品。
【請求項10】
前記部品が、バイオマス−石油由来樹脂構成部中に異種材料構成部が分散または混合しているものであることを特徴とする請求項7に記載の部品。
【請求項11】
前記異種材料が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、真鍮等の金属、または、これらの合金等の金属材料、もしくは、ガラス、セラミックス、炭素繊維等の無機材料であることを特徴とする請求項9または10に記載の部品。
【請求項12】
市場から回収されてきた画像出力機器を分解再生する際の前記バイオマス−石油由来樹脂の分離が、熱分解、加水分解、超臨界状態による分解、または微生物発酵のいずれかの分解により可能であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の部品。
【請求項13】
前記部品に、材料種別・グレードを示す材料構成情報が識別可能に付与されたことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の部品。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれかに記載の部品を装着したことを特徴とする画像出力機器。
【請求項15】
前記画像出力機器が、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いたものであることを特徴とする請求項14に記載の画像出力機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−69187(P2008−69187A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246317(P2006−246317)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】