説明

バイオマスの糖化前処理におけるアンモニア処理方法

【課題】アンモニアを確実に吸収して回収できるアンモニア処理方法を提供する。
【解決手段】反応容器2で基質混合物から得たアンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを放散させ、アンモニアをアンモニア吸収塔3のアンモニア水に吸収させて回収する方法に関する。アンモニア吸収塔3のアンモニア水の濃度が、アンモニアを吸収することを妨げる値となったときにアンモニア水を水で希釈する。アンモニア水の液量が収容限度量を超えたら、アンモニア水をアンモニア吸収塔3の外部に移送して貯留する。アンモニアの放散が開始されるときには、外部に貯留されているアンモニア水をアンモニア吸収塔3に還流することでアンモニア水がアンモニアを吸収する能力を維持するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスの糖化前処理におけるアンモニア処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リグノセルロース系バイオマスに含まれるセルロースを糖化酵素を用いて糖化処理し、得られたグルコースを発酵させてエタノールを得ることが知られている。
【0003】
ところが、前記リグノセルロース系バイオマスは、通常セルロース及びヘミセルロースが、リグニンに強固に結合しているため、そのままでは該セルロースに対する酵素糖化反応を行うことが難しい。従って、前記セルロースを酵素糖化反応させるに際して、予め前記リグノセルロース系バイオマスを糖化前処理して酵素糖化反応可能な状態とすることが行われている。
【0004】
前記糖化前処理として、基質としてのリグノセルロース系バイオマスとアンモニア水とを混合して基質混合物とし、該基質混合物からアンモニア含有糖化前処理物を得る方法が知られている。前記アンモニア含有糖化前処理物は、前記基質としてのリグノセルロース系バイオマスが酵素糖化反応可能な状態に前処理されているが、アンモニアを含有しているためにpHが高く、そのままでは酵素糖化反応に供することができない。
【0005】
そこで、次に、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを放散させて分離する。この結果、アンモニアが分離されたアンモニア分離糖化前処理物を得ることができ、該アンモニア分離糖化前処理物を酵素糖化反応に供することができる。
【0006】
一方、放散されたアンモニアは水に溶解させてアンモニア水として回収し、前記基質と混合するアンモニア水の原料として再利用することができる。
【0007】
従来、アンモニア処理方法として、前記アンモニア含有糖化前処理物から分離されたアンモニアをアンモニア吸収塔に収容されている水に吸収させて回収する方法が知られている(例えば、特許文献1参照 )。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−142680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアの放散が開始されるときには、一時的に高濃度かつ多量のアンモニアが放散される。このようなときには、前記従来のアンモニア処理方法では、前記アンモニア吸収塔で水がアンモニアを吸収したアンモニア水の濃度が一時的に高くなり、アンモニアの吸収を妨げる値となってしまうことがあるという不都合がある。
【0010】
本発明は、かかる不都合を解消して、高濃度かつ多量のアンモニアが放散されても、該アンモニアを確実に吸収して回収することができるアンモニア処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明は、反応容器に基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、アンモニア水とを供給して混合することにより基質混合物を得る工程と、該反応容器中で該基質と該アンモニア水とを反応させることにより該基質混合物からアンモニア含有糖化前処理物を得る工程と、該反応容器中の該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを放散させると共に、該放散されたアンモニアを、アンモニア水を収容するアンモニア吸収塔に案内し、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水に吸収させて回収する工程とを備えるアンモニア処理方法において、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の濃度が、アンモニアを吸収することを妨げる値となったときに該アンモニア水を水で希釈する工程と、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の収容限度量を超えたときに、該アンモニア水を該アンモニア吸収塔の外部に移送して貯留する工程と、該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアの放散が開始されるときには、該アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水を該アンモニア吸収塔に還流し、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水が、該放散されるアンモニアを吸収する能力を維持するようにする工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のアンモニア処理方法は、まず、反応容器に基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、アンモニア水とを供給して混合することにより基質混合物を得る。
【0013】
次に、前記反応容器中で前記基質と前記アンモニア水とを反応させることにより前記基質混合物からアンモニア含有糖化前処理物を得る。前記アンモニア含有糖化前処理物は、前記基質としてのリグノセルロース系バイオマスが酵素糖化反応可能な状態に前処理されているが、アンモニアを含有しているためにpHが高く、そのままでは酵素糖化反応に供することができない。
【0014】
そこで、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを放散させて分離し、放散されたアンモニアをアンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水に吸収させて回収する。この結果、アンモニアが分離されたアンモニア分離糖化前処理物を得ることができ、該アンモニア分離糖化前処理物を酵素糖化反応に供することができる。
【0015】
次に、アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の濃度が、アンモニアを吸収することを妨げる値となったときに、該アンモニア水を水で希釈する。前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水を希釈することにより、該アンモニア水は再び多くのアンモニアを吸収することができるようになるので、放散されるアンモニアが高濃度かつ多量であっても確実に吸収することができる。
【0016】
そして、前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の液量が収容限度量を超えたときには、該アンモニア水を該アンモニア吸収塔の外部に移送して貯留する。このようにすることにより、前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の液量が前記収容限度量より過度に増加することを防止することができる。
【0017】
また、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアの放散が開始されるときには、前記アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水を該アンモニア吸収塔に還流し、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水が、該放散されるアンモニアを吸収する能力を維持するようにする。
【0018】
高濃度かつ多量のアンモニアが放散されることになるアンモニアの放散が開始されるときには、前記アンモニア吸収塔の外部に収容されているアンモニア水はアンモニアを吸収する能力を有しているので、これにより前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の液量を増加させることにより、放散されるアンモニアを吸収する能力が維持される。その結果、アンモニアを回収する系が安定するため、アンモニアを確実に吸収して回収することができる。
【0019】
この結果、本発明のアンモニア処理方法によれば、必要に応じてアンモニア吸収塔のアンモニアの吸収能力を維持することができるので、高濃度かつ多量のアンモニアを吸収する必要があっても、アンモニア吸収塔を大型化することなく対応することができる。
【0020】
また、本発明のアンモニア処理方法では、前記アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水を、前記基質混合物を得る工程に供給することにより、より効率良く回収したアンモニアを再利用することができる。
【0021】
さらに、前記アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水は、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の液量が収容限度量を超えたときに、該アンモニア水の濃度が前記基質混合物を得る工程に供給されるアンモニア水の濃度になるまで希釈した後に、該アンモニア吸収塔の外部に移送して貯留する。
【0022】
このようにすることにより、前記アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水を、追加の濃度調整をすることなく、前記基質混合物を得る工程に供給することができる。
【0023】
また、本発明のアンモニア処理方法では、前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水を冷却することが好ましい。このようにすることにより、前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の溶解度を上げることで、該アンモニア水はさらにより多くのアンモニアを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態のアンモニア処理方法を実施する装置構成を示すシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0026】
本実施形態のアンモニア処理方法は、図1に示す前処理装置1を用いて糖化前処理を行うときに適用することができる。
【0027】
前処理装置1は、反応容器2と、アンモニア吸収塔3と、貯留タンク4とを備えている。
【0028】
反応容器2は、上部に、基質供給導管5と、アンモニア水供給導管6とが配設されていると共に、アンモニアガスを排出しアンモニア吸収塔3に案内する第1排気導管7が排気弁8とバグフィルタ9とを介して配設されている。基質供給導管5は、基質としてのリグノセルロース系バイオマス、例えば稲藁を反応容器2に供給し、アンモニア水供給導管6は、貯留タンク4からアンモニア水を反応容器2に供給する。
【0029】
また、反応容器2は、上部に配設されたモータ10と、モータ10から反応容器2内部に垂下される回転軸11と、回転軸11から水平方向に延出された攪拌翼12とを備えると共に、外側に熱媒体としての高温水が流通されるジャケット13を備えている。ジャケット13には高温水導管14が接続されており、高温水導管14を介して例えば90〜95℃の範囲の温度の高温水が供給される。
【0030】
アンモニア吸収塔3は、塔本体15と、塔本体15の下部に連通して設けられたアンモニア水タンク16とからなり、第1排気導管7によりアンモニア水タンク16に案内されたアンモニアガスをアンモニア水に吸収(溶解)させる。このため、塔本体15は、アンモニア水循環導管17を介してアンモニア水タンク16から供給されるアンモニア水をシャワリングするシャワリング装置18を上部に備えている。
【0031】
第1排気導管7は開閉弁19を介してアンモニア水タンク16に接続されている。第1排気導管7は開閉弁19の上流で第2排気導管20を分岐しており、第2排気導管20は途中に真空ポンプ21を備え、開閉弁19の下流で第1排気導管7に合流している。
【0032】
アンモニア水循環導管17は、アンモニア水タンク16から循環ポンプ22、アンモニア水熱交換器23、アンモニア濃度センサ24を介してシャワリング装置18に接続されている。また、塔本体15には、希釈水導管25が設けられており、希釈水導管25は給水弁26を介して希釈水タンク27に接続されている。
【0033】
アンモニア水タンク16は、収容するアンモニア水の液面を測定する液面センサ28と、アンモニア水を排出する排液導管29を備えており、排液導管29は、排液ポンプ30を介して貯留タンク4に接続されている。
【0034】
また、アンモニア水熱交換器23には、アンモニア水循環導管17を介して循環されるアンモニア水を冷却する低温水導管31が接続されている。低温水導管31は熱媒体として、例えば10〜15℃の範囲の温度の低温水を、冷却チラー32から、低温水ポンプ33を介してアンモニア水熱交換器23に循環させるようになっている。
【0035】
貯留タンク4に接続されているアンモニア水供給導管6は、還流ポンプ34を介して反応容器2に接続されている。また、アンモニア水供給導管6は、還流ポンプ34の下流側で切替弁35を介して還流導管36を分岐しており、還流導管36は、アンモニア水タンク16に接続されている。
【0036】
次に、本実施形態の前処理装置1の作動について説明する。
【0037】
前処理装置1では、まず、前回の処理で得られたアンモニア分離糖化前処理物が反応容器2底部の排出口(図示せず)から排出され、次工程に移送される。その後、基質供給導管5から新たな基質としてのリグノセルロース系バイオマス、例えば稲藁が反応容器2に供給されると共に、アンモニア水供給導管6からアンモニア水が反応容器2に供給される。
【0038】
このとき、反応容器2では、モータ10により回転軸11が回転駆動され、攪拌翼12で前記稲藁とアンモニア水とが攪拌されることにより、基質混合液が調製される。
【0039】
前記基質混合液は、高温水導管14からジャケット13に供給される前記高温水により、反応容器2内で所定の温度、例えば80〜85℃の範囲の温度に加熱され、該範囲の温度に所定の時間保持される。この結果、前記基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤されて、該基質としての稲藁が酵素糖化反応可能な状態とされたアンモニア含有糖化前処理物を得ることができる。
【0040】
尚、本実施形態において、解離とは、セルロース等に結合しているリグニンの結合部位のうち、少なくとも一部の結合を切断することをいう。また、膨潤とは、液体の浸入により結晶性セルロースを構成するセルロース等に空隙が生じ、又は、セルロース繊維の内部に空隙が生じて膨張することをいう。
【0041】
前処理装置1では、次に、排気弁8を開弁することにより、前記アンモニア含有糖化前処理物に含まれるアンモニアをガスとして放散させ、バグフィルタ9を介して第1排気導管7からアンモニア水タンク16に案内する。このとき、反応容器2内の圧力は、大気圧より高くなっており、排気弁8を開弁することにより、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアガスを容易に放散させることができる。
【0042】
また、前記アンモニアガスは、開閉弁19を開弁することにより第1排気導管7を介してアンモニア水タンク16に導入される。前記アンモニアガスの圧力は、放散されるに従って低下し、大気圧に等しくなるとそれ以上の放散が難しくなる。そこで、前処理装置1では、前記アンモニアガスの圧力が大気圧に等しくなったならば、開閉弁19を閉弁すると共に真空ポンプ21を作動させて、反応容器2内のアンモニアを吸引し、第1排気導管7、第2排気導管20を介してアンモニア水タンク16に導入する。
【0043】
反応容器2では、前記アンモニア含有糖化前処理物から前述のようにしてアンモニアが放散された結果、アンモニアが分離されたアンモニア分離糖化前処理物を得ることができる。
【0044】
前記アンモニア分離糖化前処理物は、反応容器2底部の排出口(図示せず)から排出され、次工程に移送される。そして、反応容器2では次回の処理が準備される。
【0045】
このようなリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理を行うときにおける本実施形態のアンモニア処理方法を、以下に詳細に説明する。
【0046】
先ず、アンモニア吸収塔3のアンモニア水タンク16に導入された前記アンモニアガスは、次いでアンモニア水タンク16に連通する塔本体15に導入される。塔本体15では、循環ポンプ22によりアンモニア水循環導管17を介して循環されるアンモニア水をシャワリング装置18によりシャワリングすることにより、前記アンモニアガスを該アンモニア水に吸収(溶解)させる。
【0047】
このとき、アンモニア水循環導管17の途中にはアンモニア水熱交換器23が設けられており、冷却チラー32から、低温水ポンプ33を介して供給される低温水により、アンモニア水循環導管17に循環されるアンモニア水を、例えば15〜20℃の範囲の温度に冷却する。
【0048】
また、アンモニア水循環導管17にはアンモニア濃度センサ24が設けられており、アンモニア水循環導管17を介して循環されるアンモニア水のアンモニア濃度を検出する。そして、検出されるアンモニア濃度がアンモニアの吸収を妨げる濃度以上になったときには、給水弁26を開弁し、希釈水タンク27から希釈水導管25を介して、アンモニア吸収塔3への純水の供給を開始する。
【0049】
このようにすることにより、アンモニア水タンク16内のアンモニア水は希釈され、再び多くのアンモニアを吸収することができるようになるので、反応容器2から高濃度かつ多量のアンモニアが放散されても、確実に吸収することができる。
【0050】
次に、前記アンモニア濃度センサ24で検出されるアンモニア濃度が、前記基質混合液の調製に用いる濃度の範囲にまで低下したら、給水弁26を閉弁し、アンモニア吸収塔3への純水の供給を停止する。
【0051】
次に、液面センサ28によりアンモニア水の液量を検出する。前記検出されたアンモニア水の液量が、アンモニア水タンク16の収容上限量以上になった場合には、排液ポンプ30により、排液導管29を介して、アンモニア水を収容下限量となるまで該アンモニア水を移送し、貯留タンク4に貯留する。
【0052】
このとき、上述のように、貯留タンク4に貯留されているアンモニア水のアンモニア濃度は、反応容器2における前記基質混合液の調製に用いる濃度の範囲、例えば、20〜25%の範囲となっている。そこで、貯留タンク4に貯留されているアンモニア水は、還流ポンプ34により、アンモニア水供給導管6を介して反応容器2に前記アンモニア水を還流することにより、前記基質混合液の調製に再利用することができる。
【0053】
また、反応容器2からのアンモニアの放散が開始されるときには、一時的に高濃度かつ多量のアンモニアがアンモニア水タンク16に導入される。そこで、液面センサ28で検出されるアンモニア水の液量が、前記収容上限量未満かつ前記収容下限量以上となるように設定された所定量より少ない場合には、該所定量となるまで貯留タンク4に貯留されているアンモニア水をアンモニア水タンク16に還流する。
【0054】
貯留タンク4に貯留されているアンモニア水のアンモニア水タンク16への還流は、切替弁35を切り替え、貯留タンク4に貯留されているアンモニア水を、還流ポンプ34により還流導管36を介して行われる。
【0055】
ここで、アンモニア水タンク16に収容されているアンモニア水は、前記純水で希釈された後のアンモニア水がアンモニア水タンク16に移送されたものであるので、アンモニアを吸収する能力を十分に有している。従って、貯留タンク4に貯留されているアンモニア水を、アンモニア水タンク16に還流することにより、アンモニア吸収塔3は、より多くのアンモニアを吸収することができるようになる。
【0056】
このようにすることにより、必要に応じてアンモニア吸収塔3のアンモニアの吸収能力を維持することができるので、高濃度かつ多量のアンモニアを吸収する必要があっても、アンモニア吸収塔を大型化することなく対応することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…前処理装置、 2…反応容器、 3…アンモニア吸収塔、 4…貯留タンク、 15…塔本体、 16…アンモニア水タンク。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に基質としてのリグノセルロース系バイオマスと、アンモニア水とを供給して混合することにより基質混合物を得る工程と、
該反応容器中で該基質と該アンモニア水とを反応させることにより該基質混合物からアンモニア含有糖化前処理物を得る工程と、
該反応容器中の該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを放散させると共に、該放散されたアンモニアを、アンモニア水を収容するアンモニア吸収塔に案内し、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水に吸収させて回収する工程とを備えるアンモニア処理方法において、
該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の濃度が、アンモニアを吸収することを妨げる値となったときに該アンモニア水を水で希釈する工程と、
該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の収容限度量を超えたときに、該アンモニア水を該アンモニア吸収塔の外部に移送して貯留する工程と、
該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアの放散が開始されるときには、該アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水を該アンモニア吸収塔に還流し、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水が、該放散されるアンモニアを吸収する能力を維持するようにする工程とを備えることを特徴とするアンモニア処理方法。
【請求項2】
請求項1記載のアンモニア処理方法において、前記アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水を、前記基質混合物を得る工程に供給することを特徴とするアンモニア処理方法。
【請求項3】
請求項2記載のアンモニア処理方法において、前記アンモニア吸収塔の外部に貯留されているアンモニア水は、該アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水の液量が収容限度量を超えたときに、該アンモニア水の濃度が前記基質混合物を得る工程に供給されるアンモニア水の濃度になるまで希釈した後に、該アンモニア吸収塔の外部に移送して貯留されたものであることを特徴とするアンモニア処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアンモニア処理方法において、前記アンモニア吸収塔に収容されているアンモニア水を冷却することを特徴とするアンモニア処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−59274(P2013−59274A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198904(P2011−198904)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】