説明

バイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法

【課題】比較的安価な液化処理装置を用いて、非水溶性であるリグニンの液化及び水溶性であるセルロースの液化のバランスを保ち、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率が高く、またアルカリ触媒などに由来する灰分の含有量が少ない、バイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法を提供する。
【解決手段】リグノセルロースを含むバイオマス7に対し、有機溶媒を含み且つ該バイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように調整された溶媒2を加え、250℃〜350℃の温度で液化処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法に関するものである。より詳しくは、バイオマスに溶媒を加え、該バイオマスの熱分解が行われる温度で液化処理するバイオマスからの液化燃料油の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法として、特許文献1〜3では、バイオマスの液化触媒として炭酸カリウムを溶解した水と、バイオマスである木粉とを200℃〜385℃で処理することにより、バイオマス固形分に対し23重量%〜45重量%の収率で液化燃料油を得ている。
【0003】
特許文献4では、木粉と、水、中性含酸素溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1-ブタノール等)及び炭酸カリウムとを300℃で処理することにより、液化燃料油をバイオマス固形分に対し33重量%〜68重量%の収率で得ている。
【0004】
特許文献5では、木粉と、水、フェノール性化合物(フェノール、クレゾール)及びアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等)とを350℃で処理することにより、液化燃料油をバイオマス固形分に対し47重量%〜65重量%の収率で得ている。
【0005】
特許文献6では、活性炭触媒の存在下に、セルロース系バイオマスと脂肪族ケトン及び脂肪族アルコールから選ばれる1種の有機溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール等)とを超臨界温度以上の温度で熱分解することにより、バイオマス固形分に対し50重量%程度の収率で液化燃料油を得ている。
【0006】
特許文献7では、リグノセルロース系バイオマスを320℃〜360℃の超臨界アルコール(メタノール等)で処理することにより、アルコールに可溶な液化燃料油をバイオマス固形分に対し70重量%程度の収率で得ている。
【0007】
特許文献8では、バイオマスを195℃〜500℃の1−オクタノールで処理することにより、バイオマス固形分に対し最高90重量%程度の収率で液化燃料油を得ている。
【0008】
特許文献9では、炭素数1〜8の脂肪族アルコール(メタノール等)に5〜20体積%の水を加えた混合溶媒で、アルコールの超臨界又は亜臨界条件にてバイオマスを処理することにより、バイオマス固形分に対し最高95重量%の収率で液化燃料油を得ている。
【0009】
特許文献10では、木質バイオマスを250℃〜400℃のアントラセン等の有機溶媒で処理することにより、アセトンに可溶な液化燃料油をバイオマス固形分に対し45重量%の収率で得ている。得られた液化燃料油の一部はバイオマスを処理する溶媒として循環使用している。
【0010】
特許文献11では、木質バイオマスを、ポリエチレングリコール/グリセリン/硫酸=70/30/3の混合溶液(170℃〜200℃)で処理することにより、液化燃料油をバイオマス固形分に対し45重量%の収率で得ている。
【特許文献1】特公平3−36870号公報
【特許文献2】特公平3−36871号公報
【特許文献3】特公平4−75274号公報
【特許文献4】特公平3−36872号公報
【特許文献5】特公平3−41516号公報
【特許文献6】特公平6−29438号公報
【特許文献7】特許第3755076号公報
【特許文献8】特開2005−288406号公報
【特許文献9】特開2005−296906号公報
【特許文献10】特開2006−063310号公報
【特許文献11】特開2004−075928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1〜3に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、液化するための溶媒として水のみを使用するため、非水溶性であるリグニンの液化が十分でなく、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率が低くなる問題を有している。また、液化触媒として炭酸カリウムを用いているため、液化燃料油中に灰分として残存してしまう問題も有している。
【0012】
上記特許文献4に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、液化するための溶媒として水5部と、中性含酸素溶媒1部を用いることにより、非水溶性であるリグニンの液化を改善している。しかし、その効果は十分でなく、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率はあまり向上していない。また、特許文献1〜3と同じく、液化触媒として無機アルカリ性物質を用いているため、液化燃料油中に灰分として残存してしまう問題も有している。
【0013】
上記特許文献5に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒として水/フェノール性化合物=5/1〜1/1の混合溶媒を用いることで、非水溶性であるリグニンの液化を改善しているが、その効果は十分でなく、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率はあまり向上していない。また、特許文献1〜4と同じく、液化触媒として無機アルカリ性物質を用いているため、液化燃料油中に灰分として残存してしまう問題も有している。
【0014】
上記特許文献6に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒として脂肪族ケトン及び脂肪族アルコールから選ばれる1種の有機溶媒を用いているが、バイオマスの分解反応が十分進行しておらず、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率はあまり向上していない。
【0015】
上記特許文献7に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒として超臨界状態のアルコール(メタノール等)を用いて、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を70重量%まで向上させている。しかし、バイオマスの液化圧力が43MPaと非常に高圧であり、液化反応装置が高価になるという問題を有している。
【0016】
上記特許文献8に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒として1−オクタノールを用い、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を90重量%まで向上させている。しかし、1−オクタノールの使用量が、バイオマス1kgに対して32.7リットルと非常に多く、そのため溶媒の加熱コストが高くなる問題を有している。
【0017】
上記特許文献9に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒として炭素数1〜8の脂肪族アルコール(メタノール等)に5〜20体積%の水を加えた混合溶媒を用いて、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を95重量%まで向上させている。しかし、バイオマスの含まれる水分を考慮していないので、水分量が多いバイオマスでは収率が低下する問題を有している。
【0018】
上記特許文献10に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒として重質油(アントラセン等)を用いているが、バイオマスの分解反応が十分進行しておらず、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率はあまり向上していない。
【0019】
上記特許文献11に記載されたバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法の場合、溶媒としてポリエチレングリコール/グリセリン/硫酸=70/30/3の混合溶液を用い、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を90重量%まで向上させている。しかし、酸触媒として硫酸を用いているため、液化反応装置の材質にニッケル合金などの高級材料を使用しなければならず、プラント装置のコストが非常に高価になる問題を有している。
【0020】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、比較的安価な液化処理装置を用いることができ、また非水溶性であるリグニンの液化と水溶性であるセルロースの液化のバランスが良く、したがってバイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を高くすることができ、さらにアルカリ触媒などに由来する灰分の残存量が少ない、バイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、上記目的を達成するため、従来技術の現状に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、有機溶媒を含み且つバイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように調整された溶媒を加え、該バイオマスの熱分解が行われる250℃〜350℃の温度で液化処理することによって、比較的安価な液化処理装置を用いることができ、非水溶性であるリグニンの液化と水溶性であるセルロースの液化のバランスが良く、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率が高い、さらにはアルカリ触媒に由来する灰分の残存量が少ないバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
すなわち、本発明は下記のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法に関するものである。
【0023】
請求項1に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、上記の課題を解決するために、リグノセルロースを含むバイオマスに対し、有機溶媒を含み且つ該バイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように調整された溶媒を加え、250℃〜350℃の温度で液化処理することを含む。
【0024】
上記の構成によれば、原料のバイオマスに含まれる水分が考慮され、セルロースやヘミセルロースの加水分解反応を促進する水と、リグニンの分解物を溶解する有機溶媒のバランスを保ちつつバイオマスの液化が行われるため、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を高くすることができる。
【0025】
請求項2に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項1に記載の方法において、溶媒を、バイオマスの固形分に対し重量比で5倍〜20倍加えることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、バイオマスの液化を促進する溶媒の量が、バイオマスの固形分に対して5倍〜20倍とあまり多くなく、したがって溶媒を反応温度まで加熱するのに要する熱量を小さくすることができる。なお、ここでいう固形分とは、バイオマスから水分を除いた乾燥重量をいう。
【0027】
請求項3に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項1又は2に記載の方法において、溶媒が、酸触媒及びアルカリ触媒のいずれも含有しないことを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、バイオマスの液化触媒として、酸やアルカリ物質を使用しないため、灰分の含有量が少ない液化燃料油を得ることができる。また、バイオマスの液化触媒として酸を使用しないため、液化処理装置に一般的な材質であるステンレス鋼を用いることができる。
【0029】
請求項4に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法において、溶媒が、炭素数3〜12の有機溶媒を含むことを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、セルロースやリグニンの分解物の溶解度を向上させることができ、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を高くすることができる。
【0031】
請求項5に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法において、溶媒が、有機溶媒として芳香族炭化水素溶媒を含むことを特徴としている。
【0032】
上記の構成によれば、液化処理により得られる生成物のうち、水相成分もしくはガス成分として得られる割合が少なくなり、有用な液化燃料油の収率をさらに向上させることができる。
【0033】
請求項6に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法において、液化処理した後の液化燃料油を脱水触媒と接触させ、液化燃料油の脱水を行うことを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、バイオマスから得られた液化燃料油を脱水することにより、液化燃料油の発熱量を向上させることができる。
【0035】
請求項7に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項5に記載の方法において、液化処理した後の、芳香族炭化水素溶媒を含む液化燃料油を脱水触媒と接触させて脱水を行い、得られた芳香族炭化水素溶媒を含む液化燃料油を芳香族炭化水素溶媒と液化燃料油とに分離し、分離された芳香族炭化水素溶媒をバイオマスの液化処理に再利用することを特徴としている。
【0036】
上記の構成によれば、脱水を行うことにより液化燃料油の発熱量を向上させることができる。また、液化処理に用いた溶媒を回収して有効利用することができる。
【0037】
請求項8に記載のバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法は、請求項5又は7に記載の方法において、芳香族炭化水素溶媒がキシレンであることを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、液化燃料油の収率が向上するとともに、溶媒が脱水触媒により変質しないため、溶媒を再利用する場合に高い回収率が得られる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、比較的安価な液化処理装置を用いてバイオマスを原料とする液化燃料油を得ることができる。また、非水溶性であるリグニンの液化と水溶性であるセルロースの液化のバランスを良好に保ち、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を高めることができる。さらに、アルカリ触媒などに由来する灰分の含有量が少ない液化燃料油を得ることができる。
【0040】
また、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒を用いて液化処理を行うことにより、水相成分やガス成分の割合が少なくなり、最終産物である高発熱量の液化燃料油を効率的に得ることができる。さらに、回収した芳香族炭化水素溶媒を再利用することができる。
以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明におけるバイオマスはリグノセルロースを含む。リグノセルロースとは、構造性多糖のセルロース及びヘミセルロースと、リグニンとから構成される有機化合物である。このリグノセルロースを含有するバイオマスを本発明の液化燃料油の原料として用いることができる。バイオマス中のリグノセルロースの含有量は特に限定されるものではないが、リグノセルロースがバイオマスの主成分であることが好ましい。「主成分である」とはバイオマス中に占めるリグノセルロース成分の割合が高いことをいい、具体的には、バイオマスから水分を除いた固形分中、リグニン成分、セルロース成分、及びヘミセルロース成分の合計が少なくとも50重量%、好ましくは80重量%であるバイオマスが好ましく用いられる。そのようなバイオマスの具体例として、小麦、米、トウモロコシ、大豆、大麦、ソルガム、サトウキビ、ジャガイモ、キャッサバ、テンサイなどの食糧作物及びその食糧作物残渣、パーム椰子、ヒマワリ、ナタネ、ナンヨウアブラギリ、ラッカセイ、トウゴマなどの油脂作物及びその油脂作物残渣、アルマングラス、ダンチク、カルドン、ケナフ、ミスキャンタス、ポプラ、ヒロハノウシノケグサ、ネピアグラス、ギニアグラス、ヤナギ、スイッチグラスなどのエネルギー作物、林地残材、間伐材、工場残廃材などの林産廃棄物、建築廃材、剪定残渣、古紙などの産業廃棄物及び一般廃棄物、リグノセルロースの糖化残渣、エタノール蒸留廃液などを挙げることができる。
【0042】
液化するための溶媒として用いる有機溶媒は、液状であれば特に限定されない。具体例として、パラフィン、環状炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、及びそれらの組み合わせを例示することができる。
【0043】
パラフィンとしては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン及びそれらの異性体を挙げることができる。
【0044】
環状炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
【0045】
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等を挙げることができる。
【0046】
アルコール類としては、メタノール、エタノール、ジエチレングリコール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等を挙げることができる。
【0047】
フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等を挙げることができる。
【0048】
エーテル類としては、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル等を挙げることができる。
【0049】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等を挙げることができる。
【0050】
エステル類としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチル等を挙げることができる。
【0051】
特に、セルロースやリグニンの分解物の溶解度を高めるため、炭素数が3〜12の有機溶媒が好適に用いられる。そのような有機溶媒の例として、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のパラフィン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族系溶媒などを挙げることができる。中でも、炭素数2〜6のアルコール、及び炭素数6〜12の芳香族炭化水素が好ましく、最も好ましくは1−ブタノール及びキシレンである。特にキシレン等の芳香族炭化水素溶媒を用いることで、最終産物である液化燃料油の収率をより向上させることができ、また、キシレン等の溶媒は脱水触媒により変質し難いため、溶媒を回収して再利用することができる。
【0052】
上記のリグノセルロースを含むバイオマスを、所定の有機溶媒を含む溶媒を加えて処理することにより、液化燃料油を得ることができる。次に、本発明の製造方法について図面を参照しつつ詳述する。
【0053】
図1は、本発明に係るバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法に用いる装置の第一の実施形態を示す図である。図1に示すように、この製造装置は、液化するための溶媒の貯蔵タンク1、溶媒の移送ポンプ4、溶媒加熱器5、バイオマス液化反応器6、気液分離タンク12、生成ガス抜出し弁16、液化燃料油抜出し弁18、及びそれらを接続するラインから構成されている。図1の装置は、溶媒が連続供給され、バイオマスが回分供給される半連続操作型の装置であるが、これに限定されるものではない。溶媒及びバイオマスを液化反応器に同時に投入して液化処理する回分操作型でも構わないし、溶媒にバイオマスを分散させたスラリー液を移送ポンプで液化反応器に連続供給する連続操作型の装置でも構わない。
【0054】
液化処理するバイオマスは、一般にその種類等によって水分率が大きく異なっている。具体的には、バイオマスの種類とそれに含有される水分率の一例を示すと、おがくず(15重量%〜60重量%)、ソルガム(20重量%〜70重量%)、スイッチグラス(30重量%〜70重量%)、ジャイアントケルプ(85重量%〜97重量%)、ユーカリ(30重量%〜60重量%)、ポプラ(30重量%〜60重量%)、紙(3重量%〜13重量%)、稲わら(5重量%〜15重量%)となっており、バイオマスの種類や状態(収穫時期、収穫後の状態等)により水分率は変化する。したがって、従来のように一定の組成からなる溶媒を用いた場合には、処理する毎に反応場の水分量は大きく変動してしまう。その結果、例えば水分が過剰になると、セルロースやヘミセルロースの分解は促進されるが、その分解物は水相に低濃度で溶解するのみであり、液化燃料油の収率が得られないという問題が生じる。そこで本発明の製造方法は、バイオマス中の水分を考慮し、バイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように調整された溶媒を加えることを特徴とする。これにより、非水溶性であるリグニンの液化と水溶性であるセルロースの液化のバランスが改善され、すなわち、最低必要量の水分でセルロース及びヘミセルロースを分解し、残りの有機溶媒でリグニンの分解を促進することで有機相に最大限のバイオマス分解物を溶解させ、液化燃料油の収率を向上させることができる。
【0055】
なお、バイオマスに含有される水分を含めた溶媒の水分率が10重量%より少ない場合は、リグニン及びセルロースの加水分解が十分進行せず、25重量%より多い場合は、液化燃料油の収率が低下してしまうため好ましくない。有機溶媒として、1−ブタノールを用いた場合は、添加する水の量はバイオマスに含有される水分を含めて15重量%〜25重量%とすることが特に好ましい。重量法によりバイオマス中に含まれる水分を測定した後に、その水分量も含めて加える溶媒中の水分量が10重量%〜25重量%になるよう確実に実施する。ただし、バイオマスに含有される水分量だけで溶媒の25重量%を超えてしまう場合は、溶媒を加える際に水分率を10重量%〜25重量%に調整できるように、液化処理の前に予めバイオマスを乾燥させることが好ましい。例えば、水分率が80〜90重量%程度のバイオマスを、加熱乾燥などの手段により50重量%未満まで乾燥させ、このバイオマスに対して0〜20重量%の水分を含む溶媒を加える場合が挙げられる。
【0056】
溶媒の貯蔵タンク1には、バイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように調整された溶媒2が、常温あるいは加熱昇温された状態で貯蔵される。溶媒中の有機溶媒と水とが完全に相互溶解しない場合は、溶媒の供給が不均一となるので、有機溶媒の貯蔵タンク、水の貯蔵タンク、並びに有機溶媒と水の移送ライン、移送ポンプをそれぞれ設けて、溶媒加熱器5の直前の移送ラインで混合するようにしても良い。その場合、供給する水の流量は、バイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように設定される。
【0057】
溶媒の貯蔵タンク1は溶媒を貯蔵できる構造、材質のものであれば特に限定されず、金属製、ガラス製、プラスチック製、セラミック製のいずれでも構わない。また、常温や溶媒の沸点以下の温度で貯蔵される場合は、大気圧対応のもので良く、溶媒の沸点以上の温度で貯蔵される場合は、密閉加圧タイプのものが選定される。
【0058】
溶媒の流通量は、バイオマス固形分に対し重量比で5倍〜20倍となるように選定される。溶媒の量がバイオマス固形分に対して5倍未満の場合は、分解液化反応が起こらず、20倍を超える場合は、非常に多くの溶媒の加熱エネルギーを消費することになるので好ましくない。液化燃料油の収率と溶媒の加熱エネルギーの関係から、バイオマス固形分に対する溶媒の流通量は、重量比で8倍〜15倍の間が特に好ましい。
【0059】
溶媒の貯蔵タンク1に貯蔵された溶媒2は、溶媒移送ライン3を介して溶媒移送ポンプ4に移送され、溶媒移送ポンプ4で溶媒の蒸気圧以上の圧力まで加圧され、溶媒加熱器5で所定の反応温度まで加熱される。
【0060】
ここで、溶媒移送ポンプ4は、所定圧力まで加圧できるものであれば限定されず、ギアポンプ、多段渦巻きポンプ、シリンダポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ロータリーポンプ、スネークポンプなどを採用することができる。
【0061】
溶媒加熱器5は、溶媒を所定温度まで加熱できるものであれば特に限定はされず、二重管式、シェル&チューブ式、Uチューブ式、スパイラル式、プレート式、電熱ヒーター加熱式、誘導加熱式などから選定される。
【0062】
溶媒の加熱温度は、バイオマスの熱分解・液化反応が起こる250℃〜350℃の範囲内で、溶媒及びバイオマス原料の組み合わせを考慮した上で適宜設定される。好ましくは、275℃〜325℃の範囲内である。バイオマスとして、コナラチップ、有機溶媒として1−ブタノールを用いる場合は、反応温度が280℃から320℃の間にあることが、液化燃料油の収率を向上させる観点から好ましい。
【0063】
溶媒加熱器5で所定温度まで加熱された溶媒2は、溶媒移送ライン3を介して、バイオマス液化反応器6に供給される。バイオマス液化反応器6内には、適宜乾燥させたバイオマス7、例えば、1mm以下に粉砕されたバイオマスチップであるコナラ粉が充填されており、これが溶媒2と反応して、バイオマスの分解液化反応が生じる。
【0064】
バイオマスの液化処理の後に、得られた液化燃料油を必要に応じて脱水触媒と接触させ、液化燃料油の脱水を行うことができる。液化燃料油の脱水を行う場合は、例えば図1に示すように、バイオマス液化反応器6内に目皿9で仕切られた液化燃料油の脱水触媒8が充填される。この脱水触媒8の層に液化燃料油を通過させることによって、液化燃料油の脱水を行うことができる。あるいは水素に改質するために、水素化触媒を充填し使用しても良い。
【0065】
液化燃料油の脱水触媒8としては、脱水反応を促進するものであれば特に限定されないが、シリケート(珪酸塩)、アルミナ、アルミノシリケート(ゼオライト)、チタニア等の金属酸化物、及びこれらの金属酸化物にニッケル、銅、コバルト、白金、パラジウム等の金属を担持した触媒を例示することができる。
【0066】
バイオマス液化反応器6における溶媒2の滞留時間は、反応器の構成にもよるが通常15分〜60分であり、溶媒が1−ブタノールを含む場合は、滞留時間は30分程度であることが好ましい。また、充填する脱水触媒8の量は、液空間速度が1〜6h−1となるように設定される。
【0067】
バイオマス液化反応器6は、バイオマス液化反応器の加熱装置10を制御することで、所定温度に維持される。このバイオマス液化反応器の加熱装置10は、例えば反応器の外面に電熱ヒーターを取り付けたものでも良く、あるいは反応器の外面にジャケットを設け、これに熱媒体を流通させる構造でも良く、特に限定されるものではない。
【0068】
バイオマス液化反応器6の材質は、液化処理の温度、圧力、さらには溶媒による腐食に耐えられるものであれば特に限定されないが、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金鋼及びそれらのライニング鋼、セラミックライニング鋼などが適用可能である。バイオマス液化反応器6の構造についても特に限定されず、一般には縦型円筒型、横型円筒型が選定されるが、ループ型、流動層型のものを選択しても構わない。
【0069】
液化処理によって得られた液化燃料油及び生成ガスは、液化燃料油の移送ライン11を介して、気液分離タンク12に移送される。気液分離タンク12では、生成ガス13及び液化燃料油14に分離され、生成ガス13は生成ガス移送ライン15及び生成ガス抜出し弁16を介して系外に抜出しされる。一方、液化燃料油14は、液化燃料油移送ライン17及び液化燃料油抜出し弁18を介して系外に抜出しされる。
【0070】
バイオマス液化反応器6及び気液分離タンク12の圧力は、液化燃料油が気化しない圧力となるように、生成ガス抜出し弁16及び液化燃料油抜出し弁18を調節して維持される。
【0071】
気液分離タンク12の材質は、液化燃料油及び生成ガスの温度、圧力、並びに液化燃料油及び生成ガスの腐食に耐えられるものであれば特に限定されないが、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金鋼及びそれらのライニング鋼、セラミックライニング鋼などを採用することができる。気液分離タンク12の構造についても特に限定されず、縦型円筒型、横型円筒型などが通常選定される。
【0072】
上記方法によれば、比較的安価な液化処理装置を用いることができ、また非水溶性であるリグニンの液化と水溶性であるセルロースの液化のバランスが良く、バイオマス固形分に対する液化燃料油の収率を向上させることができる。さらに、液化するための溶媒が、酸及びアルカリ触媒を含有しないため、灰分の含有量が少ない液化燃料油を得ることができる。
【0073】
図2は、本発明に係るバイオマスを原料とする液化燃料油の製造方法に用いる装置の第二の実施形態を示す図である。この実施形態は、液化処理に用いた溶媒を回収して再利用する例であり、特に溶媒としてキシレン等の芳香族芳香族炭化水素溶媒を含む場合に好適な装置構成である。図2において、図1と共通する符号は、上記第一の実施形態と同一の構成要素を表している。
【0074】
図2に示すように、液化燃料油抜出し弁18を介して抜出しされた液化燃料油14は、一旦、液化燃料油の貯蔵タンク19に貯蔵される。この液化燃料油14は、キシレン等の芳香族炭化水素を含む溶媒を用いて液化処理を行う場合には、芳香族炭化水素溶媒と水分とを含有している。続いて、この芳香族炭化水素溶媒を含む液化燃料油14が、液化燃料油移送ライン20、23を介して液化燃料油移送ポンプ24に移送され、そこで所定圧力まで加圧され、液化燃料油加熱器25によって所定の脱水反応温度まで加熱された後、液化燃料油脱水反応器26内へ導入される。液化燃料油の貯蔵タンク19、移送ライン20、23、移送ポンプ24、加熱器25の各構成は、第一の実施形態における溶媒の貯蔵タンク1、移送ライン3、移送ポンプ4、加熱器5について述べた構成に準ずる。
【0075】
液化燃料油脱水反応器26内には、目皿29で仕切られた空間内に脱水触媒28が充填されている。この脱水触媒28の層に芳香族炭化水素を含む液化燃料油14を通過させることによって、脱水を行うことができる。また、液化燃料油脱水反応器26の周囲には液化燃料油脱水反応器の加熱装置30が備えられ、脱水の反応温度を所定の値に制御することができる。そして、脱水反応を経た芳香族炭化水素を含む液化燃料油は、次に脱水液化燃料油の移送ライン31を介して気液分離タンク32へ導入される。なお、液化燃料油脱水反応器26や、脱水触媒28等の各構成は、上記第一の実施形態と同様である。
【0076】
続いて、気液分離タンク32では、生成ガス33及び脱水液化燃料油34に分離され、生成ガス33は生成ガス移送ライン35及び生成ガス抜出し弁36を介して系外に抜出しされる。一方、芳香族炭化水素を含む脱水液化燃料油34は、脱水液化燃料油移送ライン37及び脱水液化燃料油抜出し弁38を介して液化溶媒の回収装置39へ導入される。なお、気液分離タンク32等の構成は、上記第一の実施形態に準ずる。
【0077】
次に、液化溶媒の回収装置39において、芳香族炭化水素を含む脱水液化燃料油34は、芳香族炭化水素と脱水液化燃料油とに分離される。分離する方法としては、特に限定されるものではないが、蒸留等による方法が挙げられる。分離された脱水液化燃料油は、脱水液化燃料油移送ライン41を介して系外へ取り出し、高発熱量の液化燃料油として利用することができる。また、分離された芳香族炭化水素は、回収溶媒ライン40を介して溶媒の貯蔵タンク1へ循環させ、液化処理のための溶媒として再利用することができる。
【実施例】
【0078】
次に、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
コナラをカッターミルで粉砕し乾燥した後、16メッシュのふるいを通し、32メッシュのふるいに残った粉体(粒子径1mm以下)を調製した。このコナラ粉体をさらに乾燥機で乾燥させ、水分率を約15重量%に調整した。このように粒子径と水分率を調整したコナラ粉体を、バイオマス液化反応器に7g(バイオマス固形分6g)充填した。液化するための溶媒として1−ブタノール(ナカライテスク社製、試薬特級)を用い、これを高圧ポンプにより60g/hの流量で、また、水を別の高圧ポンプにより14g/hの流量で移送しつつ、溶媒加熱器にて1−ブタノール及び水からなる溶媒を加熱し、300℃まで昇温した時間から1時間、バイオマス液化反応器に流通させ、バイオマスの液化処理を行った。液化処理の際の反応圧力は12MPaGに調節した。この場合、液化処理時間は1時間であるので、バイオマスに供給した1−ブタノールは60g、バイオマスに含有される水分及び供給した水の量は、1+14g=15gであり、溶媒におけるバイオマスに含有される水分を含めた水分率は、15g/(15g+60g)×100=20重量%となる。また、バイオマスに流通させた溶媒の全量は、バイオマスの固形分に対して、重量比で75g/6g=12.5倍となる。仕込バイオマス固形分から液化処理後に液化反応器内に残存するバイオマス固形分を差し引いたバイオマスの反応率は99重量%となり、仕込バイオマス固形分に対する1−ブタノール相に含有されるバイオマス量の比である液化燃料変換率は96重量%となった。
【0079】
(実施例2)
バイオマスに含有される水分を含めた溶媒の水分率を10重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は83重量%であり、液化燃料変換率は83重量%であった。
【0080】
(実施例3)
液化処理の温度を350℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は96重量%であり、液化燃料変換率は88重量%であった。
【0081】
(実施例4)
溶媒として用いる有機溶媒を1−ブタノールからキシレンとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は91.9重量%であり、液化燃料変換率は85.0重量%であった。
【0082】
(実施例5)
溶媒として用いる有機溶媒を1−ブタノールから改質キシレンとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。ここで改質キシレンとは、キシレン(C8)以外に、C6〜C12の芳香族炭化水素を含む混合溶媒であり、各成分の混合比は表1の通りである。液化処理の結果、バイオマスの反応率は91.0重量%、液化燃料変換率は84.0重量%であり、キシレンのみを用いた場合(実施例4)と同程度の値が得られた。
【0083】
【表1】

上記の実施例4、5、及び1の液化処理により得られた生成物を、脱水触媒としてゼオライトに300℃で接触させた。得られた改質物中の油状成分、水相成分、及びガス状成分の各割合を表2に示す。表2から明らかなように、実施例1では、脱水触媒により1−ブタノールが変質し、水相成分及びガス状成分の割合が高くなったのに対し、キシレンを用いた実施例4及び5では、溶媒が変質せずに油状成分が効率的に得られた。したがって、実施例4及び5では、溶媒を再利用する際に高い回収率が得られる。
【0084】
【表2】

また、油状成分中の、芳香族物質及び1−ブタノールの含有量を表3に示す。キシレンを用いた実施例4及び5では、芳香族物質の含有量が高いことが分かった。
【0085】
【表3】

【0086】
(実施例6)
溶媒として用いる有機溶媒を1−ブタノールからn−ドデカンとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は82重量%であり、液化燃料変換率は81重量%であった。
【0087】
(実施例7)
1−ブタノールの流量を30g/hに設定し、水の流量を7g/hに設定した以外は、実施例1と同様の操作を行った。さらに、反応器内のバイオマス層の上段に、粒子径を1mm以下とした脱水触媒H−ZSM−5(ズードケミー社製)を5g充填し、液化処理と脱水とを同時に行った。その結果、バイオマスの反応率は99重量%であり、液化燃料変換率は90重量%であった。
【0088】
(実施例8)
溶媒として用いる有機溶媒を1−ブタノールからn−ヘキサデカンとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は75重量%であり、液化燃料変換率は67重量%であった。
【0089】
(比較例1)
バイオマスに含有される水分を含めた溶媒の水分率を50重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は99重量%であり、液化燃料変換率は43重量%であった。この比較例1では、溶媒の水分が多いため、燃料とならない水相が増え、その結果として燃料変換率が低くなったものと考えられる。
【0090】
(比較例2)
液化処理の温度を240℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、バイオマスの反応率は53重量%であり、液化燃料変換率は23重量%と低い値であった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の製造方法によって得られる液化燃料油は、自動車やモーターバイクの燃料油、ボイラーや発電装置の燃料油として利用することができる。また、得られる液化燃料油はバイオマス由来であるため、二酸化炭素の排出カウントがゼロとなり、地球温暖化などの地球環境の改善に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る製造方法に用いる装置の第一の実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る製造方法に用いる装置の第二の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 溶媒の貯蔵タンク
2 溶媒
3 溶媒移送ライン
4 溶媒移送ポンプ
5 溶媒加熱器
6 バイオマス液化反応器
7 バイオマス
8 液化燃料油の脱水触媒
9 目皿
10 バイオマス液化反応器の加熱装置
11 液化燃料油の移送ライン
12 気液分離タンク
13 生成ガス
14 液化燃料油
15 生成ガス移送ライン
16 生成ガス抜出し弁
17 液化燃料油移送ライン
18 液化燃料油抜出し弁
19 液化燃料油の貯蔵タンク
20 液化燃料油移送ライン
23 液化燃料油移送ライン
24 液化燃料油移送ポンプ
25 液化燃料油加熱器
26 液化燃料油脱水反応器
28 脱水触媒
29 目皿
30 液化燃料油脱水反応器の加熱装置
31 脱水液化燃料油の移送ライン
32 気液分離タンク
33 生成ガス
34 脱水液化燃料油
35 生成ガス移送ライン
36 生成ガス抜出し弁
37 脱水液化燃料油移送ライン
38 脱水液化燃料油抜出し弁
39 液化溶媒の回収装置
40 回収溶媒ライン
41 脱水液化燃料油移送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロースを含むバイオマスに対し、有機溶媒を含み且つ該バイオマスに含有される水分を含めて10重量%〜25重量%の水分率となるように調整された溶媒を加え、250℃〜350℃の温度で液化処理することを含む液化燃料油の製造方法。
【請求項2】
溶媒を、バイオマスの固形分に対し重量比で5倍〜20倍加える請求項1に記載の液化燃料油の製造方法。
【請求項3】
溶媒が、酸触媒及びアルカリ触媒のいずれも含有しない請求項1又は2に記載の液化燃料油の製造方法。
【請求項4】
溶媒が、炭素数が3〜12の有機溶媒を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の液化燃料油の製造方法。
【請求項5】
溶媒が、有機溶媒として芳香族炭化水素溶媒を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の液化燃料油の製造方法。
【請求項6】
液化処理した後の液化燃料油を脱水触媒と接触させ、液化燃料油の脱水を行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の液化燃料油の製造方法。
【請求項7】
液化処理した後の、芳香族炭化水素溶媒を含む液化燃料油を脱水触媒と接触させて脱水を行い、得られた芳香族炭化水素溶媒を含む液化燃料油を芳香族炭化水素溶媒と液化燃料油とに分離し、分離された芳香族炭化水素溶媒をバイオマスの液化処理に再利用する請求項5に記載の液化燃料油の製造方法。
【請求項8】
芳香族炭化水素溶媒が、キシレンである請求項5又は7に記載の液化燃料油の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−46661(P2009−46661A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165185(P2008−165185)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】