説明

バイオマス原料からの燃料油の製造方法および製造装置

【課題】押出混練型の反応装置を用いて、未利用のセルロース系(木質系)バイオマス原料を処理し、軽油〜重油相当の燃料を、低温・低圧の温和な条件で、かつ高効率に製造する方法、およびセルロース系バイオマス原料が排出される場所に隣接して設置できるような小規模で、簡便な製造装置を提供すること。
【解決手段】バイオマス原料と有機溶媒とを押出混練機に装入し、該押出混練機のスクリューの回転によってそれらを移送させながら燃料油成分を抽出する方法において、押出混練機に装入されたバイオマス原料と有機溶媒を粉砕しながら混練する粉砕・混合工程と、粉砕・混合工程において得られた混練物を、加熱して、気液化処理する圧縮・反応工程と、圧縮・反応工程において気液化された燃料油成分と、未反応の残渣物とを分離する固体・気液体分離工程と、を経て、燃料油を製造すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間伐材や廃木材などのセルロース含有バイオマス原料から、石油代替燃料となる燃料油を製造する方法、およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油、石炭などの化石燃料の枯渇や、大気汚染、地球温暖化などの環境破壊が問題となっている。これらの問題を解決するため、化石燃料に代わるクリーンなエネルギーの開発が期待されており、その中でも、木質系(セルロース系)バイオマス原料は、食料問題を生じさせないカーボンニュートラルな炭化水素資源であり、かつ再生可能資源であることから注目されている。なお、バイオマスとは、水や二酸化炭素等の無機物が太陽エネルギーを用いて光合成により生物等の有機物に変換されたものとして定義される。かかる木質系(セルロース系)のバイオマス原料としては、建築廃材や間伐材などがあり、これらは国内で多量に排出されているものの、それの一部が燃料チップなどとして利用されているだけで、エネルギー資源として、さらなる有効利用が望まれている。
【0003】
木質系バイオマス原料をエネルギー資源に変換する方法としては、直接燃焼や熱分解、液化等による熱化学的変換方法や、アルコール発酵、メタン発酵等による生物学的変換方法があり、いずれも実用化に向けた研究開発が現在も進められているのが実情である。
【0004】
中でも、木質系バイオマス原料をアルコール発酵させてバイオエタノールを抽出する技術は、石油代替液体燃料の生産につながる点で、とくに注目されている。しかし、非特許文献1に開示されているように、バイオマス原料の一種であるリグノセルロース系バイオマス原料からエタノール(液状物)を生産する場合、まずセルロースやグルコースの糖化(分解)を行う必要がある。しかし、この糖化方法は、酸化水分解法によると、廃液処理や反応器の腐食の問題があり、酵素糖化法によると、蒸煮爆砕等の前処理を必要とする上に、変換の所要時間が長く、酵素の価格が高くなるという問題があり、いずれも実用化に至っていないのが実情である。
【0005】
また、新規な糖化方法として、例えば非特許文献2では、水そのものを反応媒体とする水熱反応による方法が検討されている。この水熱反応は、熱分解と加水分解が同時に進行するため、反応速度が非常に速いという特徴があり、またもともと含水率の高いバイオマス原料に対して、乾燥工程の必要がないというメリットがある。
【0006】
しかし、この水熱反応は、臨界点以上の温度(超臨界水)で高い反応性を示すため、反応速度が非常に速く、それを制御することが難しく、しかも圧力も高いために装置化が困難である。また、この反応では、マレイン酸等の有機酸が副産物として生成するという問題があり、しかも、臨界点近傍の温度(亜臨界水)や100〜300℃付近(加圧熱水)の温度で行うと、変換効率が低く、アルカリや触媒などの使用が必要になる等の問題がある(非特許文献3等)。
【0007】
このため、例えば、特許文献1では、反応媒体として水ではなく、有機溶媒を用いて電磁誘導攪拌式オートクレーブ等の耐圧器を用いて、加熱温度を250〜400℃、圧力を15気圧未満に調整し、バイオマス原料を温和な反応条件で液化する方法が提案されている。
【0008】
しかし、前記従来技術の場合、液化設備として、バイオマス原料と有機溶媒とを混合する混合槽や、混合物を加熱処理し液化反応を生成させる反応槽、液化生成物を分離して液化油を得る分離槽を配設する必要があり、設備が複雑化して敷地面積が大きくなり、運転操作が煩雑になるという問題点がある。
【非特許文献1】林 信行、他、日エネ誌、83、805(2004)
【非特許文献2】前 一廣、長谷川 功、エネルギー・資源、26、173(2005)
【非特許文献3】熊谷 聡、他、日エネ誌、83、776(2004)
【特許文献1】特開2006−63310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、従来技術が抱えている上記問題点を鑑みて開発されたものであり、プラスチック製品製造の分野において広く利用されている押出混練型の反応装置を用いて、未利用のセルロース系(木質系)バイオマス原料を処理し、軽油〜重油相当の燃料を、低温・低圧の温和な条件で、かつ高効率に製造する方法、およびセルロース系バイオマス原料が排出される場所に隣接して設置できるような小規模で、簡便な製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するため鋭意検討を重ねた結果、本発明は、バイオマス原料と有機溶媒とを、スクリューを備える押出混練機内に装入し、該スクリューによって移送させながら燃料油成分を抽出する方法において、押出混練機に装入されたバイオマス原料と有機溶媒を、粉砕しながら混合する粉砕・混合工程と、粉砕・混合工程において得られた混合物を熱分解して気液化処理する圧縮・反応工程と、圧縮・反応工程において気液化された燃料油成分と、未反応の残渣物とを分離する固体・気液体分離工程と、を経て、燃料油を製造することを特徴とするバイオマス原料からの燃料油の製造方法を提案する。
【0011】
なお、本発明のバイオマス原料からの燃料油の製造方法においては、
(1)前記固体・気液体分離工程において抽出された燃料油成分を、蒸留工程において処理し、ガス成分を分留除去すること、
(2)前記粉砕・混合工程と圧縮・反応との間および圧縮・反応工程と固体・気液体分離工程との間に、バイオマス原料含有混合物を剪断し、混練する混練工程を介在させること、
(3)前記蒸留工程においてガス成分を分留除去した燃料油の少なくとも一部を還流させ、バイオマス原料に混合して循環使用すること、
(4)前記押出混練機における前記各工程での処理は、粉砕・混合工程を50〜200℃の温度に、圧縮・反応工程を300〜450℃の温度に、そして固体・気液体分離工程を200℃以下の温度に制御すること、
(5)前記バイオマス原料と有機溶媒との混合比率は、質量比率で1:1〜1:5であること、
(6)前記バイオマス原料は、水分含有量が10質量%以下であること、
(7)前記バイオマス原料は、粒径が3mm以下であること、
(8)前記有機溶媒は、アセトフェノンまたはベンジルアルコールであること、
(9)前記バイオマス原料が、建築廃材、製材所端材、間伐材、剪定材、林地残材、流木、刈草、コーヒー豆残渣、汚泥およびヤシガラのうちから選ばれるいずれか1種以上のセルロース含有バイオマス原料であること、
が、より好ましい解決手段となる。
【0012】
また、本発明は、バイオマス原料と有機溶媒とを装入するシリンダーと、このシリンダー内に回転可能に軸挿したスクリューからなる押出混練機を有するバイオマス原料からの燃料油の製造装置であって、前記押出混練機は、シリンダー入側に設けた装入口から装入されたバイオマス原料および有機溶媒とからなる装入物を、粉砕しながら混合する粉砕・混合部と、得られた混合物を熱分解して気液化処理する圧縮・反応部と、気液化された燃料油成分と、未反応の残渣物とを分離する固体・気液体分離部と、に機能分割されていることを特徴とするバイオマス原料からの燃料油の製造装置を提案する。
【0013】
なお、本発明のバイオマス原料からの燃料油の製造装置においては、
(1)前記シリンダー内に軸挿したスクリューは、主に送りスクリューで構成され、併せて軸方向の少なくとも2箇所に剪断スクリューおよび/または逆送スクリューとからなる混練部を備えていること、
(2)前記押出混練機は、粉砕・混合部と圧縮・反応部との間および圧縮・反応部と固体・気液体分離部との間にそれぞれ、前記混練部を介在させることにより機能分割したものであること、
(3)前記押出混練機は、下流の一部にベント部を設け、そのベント部の機外延在位置に、抽出された燃料油成分をガス成分と燃料油とに分留する蒸留塔を設けてなること、
(4)前記蒸留塔で分離された燃料油の少なくとも一部を、バイオマス原料に混合するための循環設備を付帯していること、
(5)前記押出混練機のシリンダー内に内蔵されているスクリューは、スクリュー長さとスクリュー径の比(L/D)が20以上のものであること、
が、より好ましい解決手段となる。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成される本発明によれば、間伐材や製材所から発生する端材(チップ)等の未利用のセルロース系(木質系)バイオマス原料を、高圧ガス関連法規に抵触しない低温、低圧の反応条件下で、安全にかつ簡便に軽油〜重油相当の石油代替燃料に変換することができる。従って、本来は、廃棄すべきバイオマス原料の有効利用を図ることができる。
【0015】
また、本発明によれば、得られた燃料油の一部を、バイオマス原料を分解させるための溶媒(自製溶媒)として循環使用することができるため、外部から有機溶媒を添加しなくてもバイオマス原料から燃料油を効率的に継続して製造することができる。
【0016】
また、本発明の製造装置は、小規模であり、バイオマス原料が排出される場所に隣接して設置することができため、日本全国の主要な林産資源生産地や都市部の建設所や製材所などにおいてバイオマス原料由来の液体燃料の製造や活用が可能となり、その波及効果が期待できる。
【0017】
また、本発明の製造方法およびその装置を利用して、年間約3000t産出されるセルロース系(木質系)のバイオマス原料を、燃料油へと転換させることで、790kl(原油換算)/年の省エネルギー効果と、1400t−CO/年のCO排出量削減効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の全体プロセスを示す図面である。
【図2】押出混練機のスクリュー構成の概略を説明する図である。
【図3】押出混練機のシリンダー軸方向における加熱温度変更試験の加熱パターンを示す図である。
【図4】押出混練機のシリンダー軸方向における加熱温度変更試験の燃料油収率への影響を示す図である。
【図5】本発明の製造方法における有機溶媒種の、燃料油収率への影響を示す図である。
【図6】本発明の製造方法により製造された液化油を自製溶媒と使用する場合の留分種と燃料油収率の関係を示す図である。
【図7】本発明の製造方法におけるバイオマス原料と溶媒との混合割合の、燃料油収率への影響を示す図である。
【図8】本発明の製造方法におけるバイオマス原料粒度および含有水分量の、燃料油収率への影響を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のバイオマス原料からの燃料油の製造プロセスを、図1に従って説明する。
まず、建築廃材や間伐材などのバイオマス原料を受入槽1へと搬送した後、粗破砕機2によって粒径10mm以下にまで粗粉砕する。これは、後段の乾燥機5による乾燥効率を向上させるためである。
なお、バイオマス原料としては、建築廃材や間伐材の他、製材所端材、剪定材、林地残材、流木、樹皮、刈草、コーヒー豆残渣、汚泥、ヤシガラなどのいずれか1種以上のセルロース含有バイオマスを用いることができる。
【0020】
粗破砕機2によって粗粉砕されたバイオマス原料は、次に、磁選機やスクリーンなどを使って混入する金属や土砂などの異物を除去する異物除去装置3を経た後、バイオマス原料槽4に貯留され、その後、乾燥機5に移送される。
【0021】
前記乾燥機5は、図示のようなロータリーキルンや移動式グレート、流動槽などを用いることができる。このように、バイオマス原料は、気液化処理に先立って乾燥する。その理由は、バイオマス原料中は、30〜40質量%程度の水分を含有しており、もしこのままの水分で後述する気液化処理を行うと、押出混練機8における気液化処理の際の熱容量が小さくなり、反応温度の低下を招いて、液化生成油(燃料油)の収率が低下するためである。そのため、本発明では、前記乾燥機5による乾燥処理は、水分含有率が10質量%以下になるように、好ましくは5質量%程度まで低減させるように処理することが好ましい。なお、この乾燥に使用する熱源は、化石燃料に依存せず、後述するようにバイオマス原料由来の燃料油と共に発生するCOやCOなどを利用することが好ましく、これにより装置全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0022】
乾燥機5を通過したバイオマス原料は、自然発火を防ぐため、専用保管槽6に保管する。その後、乾燥バイオマス原料は、粉砕機7に送られ、3mm以下の大きさにまで微粉砕される。これは、後述する押出混練機8内での気液化反応を促進させるためであり、バイオマス原料径が3mm超の場合、未反応のバイオマス原料が増加し、燃料油の収率が低下すると共に、バイオマス原料が、押出混練機8の供給口や剪断スクリューや逆送スクリューが組み込まれた混練部に詰まるなどのおそれがあり好ましくないからである。
【0023】
このようにして微細化(粉化)処理されたバイオマス原料は、有機溶媒と共に、それぞれ独立して計量され、押出反応機、すなわち押出混練機8内に装入される。そして、この押出混練機8内で、バイオマス原料は、粉砕しながら混合する粉砕・混合工程と、この混合物を熱分解して液化した後、燃料油分(液化油分)も含めて気化させる圧縮・反応工程と、気液化された燃料油分と未反応の残渣分とを分離する固体・気液体分離工程の各工程を経て、燃料油分が気化した状態の気液化生成物が抽出される。
【0024】
この気液化生成物は、次に、押出混練機8の機外に設けられた蒸留塔9へと供給され、ガス成分(主にCO、CO)と燃料油(軽油、中油、重油)とに精製分留される。なお、蒸留塔9で発生した前記ガス成分は、上記のように乾燥機5の熱源として利用し、燃料油の一部は、溶媒(自製溶媒)としてバイオマス原料と混合して循環利用することで高いエネルギー効率を得ることができる。
【0025】
なお、本発明では、押出混練機8内にバイオガス原料と共に、溶媒として沸点の高い有機溶媒や前記自製溶媒を装入することにより、押出混練機8内で熱分解によって反応が進み、低圧に保たれ、さらに水を使用しないことで、有機酸類を含まない質の高い燃料油を得ることができる。
【0026】
前記有機溶媒としては、極性溶媒であるアセトフェノンまたはフェノール系溶媒であるビニールアルコールを用いることが好ましい。木材などのセルロース系バイオマス原料は、分子構造中に酸素を多く含有し、得られる燃料油(液化油)が極性化合物と想定されるため、上記溶媒を用いることにより、生成した燃料油は溶媒和して溶媒中に分散し、燃料油どうしの重縮合を抑制して、残渣の形成を低減する働きをすると考えられる。また、極性溶媒種により、燃料油の収率に差異が見られることから、溶媒の効果は、極性の強さや官能基構造等に依存することが想定される。
【0027】
なお、バイオマス原料と有機溶媒との混合比率は、質量比で1:1〜1:5とすることが好ましく、これは、この比率が1:1未満だと、押出混練機内部でバイオマス原料と有機溶媒との接触が少なくなり、バイオマス原料の溶解性が悪くなって燃料油の収率が低下し、一方この比率が1:5を超えると、燃料油の収率の向上がなく、却って押出混練機内で溶媒を加熱するための熱量が増加し、全体のエネルギー効率が悪化するからである。
【0028】
ところで、本発明は、上記のように押出混練機8内で、バイオマス原料と有機溶媒とを反応させて液化分解した後、その分解生成物を、燃料油分も含めて気化させた状態で取り出す点(以下、「気液化」という)に特徴があり、これによって、後段の蒸留塔9において分解生成物を冷却することなく供給できるため、エネルギー効率を向上させることが可能である。
【0029】
なお、押出混練機8内に装入されたバイオマス原料は、基本的に次のようなプロセスを経て気液化される。
(a)表面水分の蒸発:バイオマス原料は、加熱によって水の沸点(圧力によって変わる)に達すると、表面水分が蒸発する。なお、原料が大きい場合には、内部に水分が残存する。
(b)固有水分の蒸発:表面水分の蒸発に続き、さらに10〜20℃高い温度に加熱することで固有水分が蒸発する。
(c)バイオマス原料の熱分解と溶媒との液化反応:バイオマス原料が、200℃以上に達すると、熱分解が生じると共に、気化した溶媒によってバイオマス原料が溶解し、液化反応が促進される。そして、CO、CO、HOなどのガス成分と共に、軽質から重質成分により構成される液状物質が生成する。
(d)木質系バイオマス原料は、セルロース成分、ヘミセルロース成分およびリグニン成分により構成されている。セルロース成分とヘミセルロース成分は、有機溶媒により液化されるが、リグニン成分は、ほとんど液化されず、固体物質として残り、押出混練機の出口から残渣物として排出される。
【0030】
本発明では、バイオマス原料を有機溶媒と共に押出混練機8内に装入し、上記のような気液化処理をするため、図2に示すような押出混練機8を用いる。この押出混練機8は、シリンダー20(混練機本体)内に軸挿されたスクリュー19が、上記粉砕・混合工程、圧縮・反応工程および固体・気液体分離工程を司る部分に機能分割されたものであり、バイオマス原料と有機溶媒の装入口11側から、粉砕・混合部14、圧縮・反応部15、固体・気液体分離部16にて構成されている。そして、各部14、15、16の間には、図2に示すように、混練部13a、13bがそれぞれ設けられている。
【0031】
これらの粉砕・混合部14、圧縮・反応部15および固体・気液体分離部16は、それぞれが独立して加熱温度の調整ができるように構成されており、各部14、15、16の温度分布を以下のように制御することで、バイオマス原料の分解および気液化を実現することができる。なお、各部14、15、16の温度は、シリンダー20に取り付けられた電気式ヒータや熱媒等の加熱手段21によって制御する。
【0032】
圧縮・反応部15の温度は、300〜450℃の範囲とすることが好ましく、一方、粉砕・混合部14および固体・気液体分離部16の温度はいずれも、圧縮・反応部15の温度よりも低くし、かつバイオマス原料と共に供給される有機溶媒の気化温度よりも低くすることが好ましい。
【0033】
これは、圧縮・反応部15の温度が300℃未満の場合、バイオマス原料と有機溶媒との反応が進まず、気液化効率(燃料油収率)が低下し、一方、450℃を超えると、気液化生成物がさらに熱分解してしまいCOやCOなどが多量に発生するおそれがあるからである。また、粉砕・混合部14および固体・気液体分離部16の温度は、圧縮・反応部15の温度よりも高くなると、有機溶媒が気化、逆流して、押出混練機8の装入口11から排出されてしまうため、有機溶媒の気化温度よりも低くすることで、粉砕・混合部14においては、有機溶媒の逆流を抑制できると共に、固体・気液体分離部16においては、有機溶媒を、押出混練機下流に設けたベント部12から排出、回収がし易くなるという効果がある。
【0034】
なお、より好ましくは、粉砕・混合部14の温度は50〜200℃の範囲とし、固体・気液体分離部16の温度は200℃以下とする。これは、粉砕・混合部14の温度が50℃未満の場合、バイオマス原料が溶解し、液化反応する温度(反応温度)に達するまでの加熱時間が長くなり、反応時間が抑制されることになり、一方、200℃以上の場合、有機溶媒が気化、逆流して、押出混練機の装入口8から排出されてしまうためである。また、固体・気液分離部16の温度が、200℃を超えると、気液化生成物(分解生成物)が縮重合や熱分解し、ガス成分の生成が多くなり、燃料油の収率が低下すると共に、高温の残渣物が押出混練機8から排出されるため、全体のエネルギー効率などに問題がある。
【0035】
ところで、各部14、15、16を機能分割するように、各部間にそれぞれ設けられた混練部13a、13bは、バイオマス原料含有混合物を剪断し、混練する部分であり、この混練部13a、13b(混練工程)によってバイオマス原料と有機溶媒とが十分に混合されると共に、試料の流れが堰き止められて滞留時間が確保され、押出混練機8内での反応時間を長くすることができる。なお、混練部13aおよび13bは、せん断スクリューやバックフロー機能のある逆送スクリューなどのミキシングエレメントを組み合わせたものから構成される。
【0036】
また、固体・気液体分離部16には、ベント部12を少なくとも1箇所設けることが好ましく、このベント部12から、圧縮・反応部15内で気液化した生成物を真空ポンプなどで減圧して抜き出す。なお、回収した気液化生成物は、図1の蒸留塔9へ供給され、ガス分(CO、COなど)とバイオマス原料に由来の燃料油(軽油〜重油相当)とに分離される一方、有機溶媒に不溶の成分などの残渣物10は、スクリューで圧縮成形され、固形生成物としてダイス部18の吐出口から押出混練機8外へと押し出される。
【0037】
なお、残渣物10は、主に未分解リグニン成分からなり、燃料としての用途の他、各種バインダーとして利用することができる。また、ダイス部18のすぐ外側に切断手段を設けてもよく、これによりダイス部18の吐出口から押し出された固形成形物を、熱間で切断し、所定の大きさのペレットにすることもできる。なお、ダイス部18の形状や大きさ、数については、とくに限定されるものではない。
【0038】
本発明の製造装置は、バイオマス原料を、有機溶媒と共にシリンダー20内に装入し、該シリンダー20内に軸挿されたスクリュー19によって装入物を移送させながら混練および加熱分解処理して、気液化させる押出型反応機、即ち、押出混練機8を用いる点に特徴がある。そして、押出混練機8の下流に設けたベント部12から抽出された気液化生成物は、機外に設けた蒸留塔9へと移送され、そこで燃料油とガス成分とに分留される。なお、蒸留塔9で分離された燃料油の一部は、押出混練機8のバイオマス原料装入口11の上流へ還流することが好ましく、そのための循環設備を設けることが好ましい。
【0039】
前記押出混練機8は、スクリュー19の本数によって単軸混練機と多軸混練機とに分類されるが、本発明では、混練能力の高い多軸混練機、とくに二軸混練機を用いることが好ましく、その中でもバイオマス原料と有機溶媒の粉砕・混合、圧縮を効率的に行うために同方向完全噛合型のものを選択することが好ましい。
【0040】
なお、スクリュー19は、上記のように、主に送りスクリューで構成され、併せて軸方向の少なくとも2箇所に剪断スクリューおよび/または逆送スクリューとからなる混練部13a、13b(図2)を備えることが好ましく、これらの混練部13a、13bが介在することにより、スクリュー19を粉砕・混合部14と圧縮・反応部15と固体・気液体分離部16とに機能分割することができる。
【0041】
また、本発明では、押出混練機8の圧縮・反応部15の長さが、スクリュー19の有効長さの20〜40%の範囲とすることが好ましく、20%以上とすることでバイオマス原料の気液化に十分な滞留時間を得ることができ、また40%以下とすることでその他の工程、すなわち粉砕・混合工程(粉砕・混合部14)および固体・気液体分離工程(固体・気液体分離部16)も十分な滞留時間を得ることができる。なお、二軸混練機の場合、バイオマス原料の圧縮・反応工程(圧縮・反応部15)での滞留時間が20分以上となるように設計することが気液化反応を促進するうえで好ましい。
【0042】
また、押出混練機8の性能は、一般にスクリュー長さ(L)とスクリュー径(D)との比L/D(有効長)で左右され、本発明の場合には、L/Dが20以上、とくに40以上であることが好ましい。これは、L/Dが20未満、すなわちスクリュー径(D)が大きくなると、押出混練機8の加熱方法が外部加熱方式であるため、スクリュー19の中心部まで均一に昇温させるのに炉壁温度の設定を高める必要があり、それによって気液化生成物が縮重合や熱分解したり、エネルギー効率が低下するなどの問題があるからである。
【0043】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
バイオマス原料と有機溶媒を、二軸押出混練機へ連続的に装入しバイオマス原料の分解と気液化処理を行い、各生成物(液体:燃料油、固体:残渣物、ガス:CO、COなど)の収率を調査した。なお、二軸押出混練機として、パーカー社製のHK25D(φ43mm、L/D=41)を使用し、バイオマス原料としては、杉を粒度1mm以下に粉砕した木粉、有機溶媒としてはアセトフェノンを使用した。なお、使用した杉の性状は表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
使用した二軸押出混練機は、バイオマス原料を定量的に供給することが可能なテーブルフィダーと、有機溶媒などの液体を定量的に供給可能なポンプとが設置されており、これらの装置によりバイオマス原料と有機溶媒とを一定の比率で定量的に供給することができる。
【0046】
なお、バイオマス原料と有機溶媒の混合比率は質量比で1:2の割合とし、供給量は0.25kg/hとした。また、バイオマス原料の分解生成物である気液化生成物は、ベント弁からポンプで吸引して回収した後、蒸留塔へ送り、ガス成分(主にCO、CO)と燃料油(軽油、中油、重油)とに精製分留した。また、有機溶媒との未反応成分(残渣物)は、押出混練機のスクリューで圧縮、成形し、吐出口から成形物として排出して回収した。
【0047】
二軸押出混練機のスクリューは、図2のようにシリンダー軸方向にせん断スクリューと逆送スクリューとを組み合わせた2箇所の混練部を有し、装入口側から混練部を介して粉砕・混合部、圧縮・反応部、固体・気液体分離部とに3分割されてなる。なお、粉砕・混合部、圧縮・反応部、固体・気液体分離部のシリンダー軸方向の長さ比率は40%、30%および30%とした。
【0048】
このような構造からなる二軸押出混練機に、バイオマス原料と有機溶媒とを供給し、粉砕・混合部、圧縮・反応部、固体・気液体分離部の加熱温度条件を表2および図3に示すように変更して実験を行った。その結果を図4に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
図4の結果より、加熱パターン1(全部分の温度を300℃一定)の条件においては、粉砕・混合部の温度が、有機溶媒のアセトフェノンの気化温度より高いため、有機溶媒がバイオマス原料との混合前に気化して混練機内をガスとして通過してしまい、バイオマス原料は、分解および気液化処理されず、未反応の状態で吐出口から排出されてしまった。
【0051】
一方、加熱パターン2の条件では、粉砕・混合部の温度を下げることでバイオマス原料の混練が強化され、直接気液化されるが、固体・気液体分離部の温度が低いため、重質油分が、未反応成分として残渣物に含まれることになり、分離が不充分となってしまった。
【0052】
また、圧縮・反応部の温度を加熱パターン3、4のように350℃、450℃に上げると、未反応成分である固形体(残渣)の収率が減少し、燃料油の収率が向上することがわかった。なお、固形体物質は、主にリグニンが未反応物質として残ったものであり、気体成分は、CO、COやメタンなどの低級炭素類であった。
【0053】
以上の結果より、二軸混練押出機の温度条件は、粉砕・混合部の温度を有機溶媒の気化温度より低い温度とすることで、溶媒の逆流を抑制すると共に、溶媒とバイオマス原料との十分な混練を可能とし、さらに圧縮・反応部の温度を、300℃以上、450℃以下に制御することで気液化反応を促進することが好ましいことが分かった。
【0054】
なお、圧縮・反応部の加熱温度が450℃を超えると、気液化反応が促進されて未反応物質(固形体)の収率が減少するが、生成した気液化生成物が二次分解されてガス(CO、COなど)の発生量が増え、液体分(燃料油)の収率が減少するため好ましくない。
【0055】
(実施例2)
この実施例では、実施例1と同じ二軸押出混練機を用いてバイオマス原料の分解、気液化を行い、その際使用する有機溶媒の、燃料油収率への影響を調査した。バイオマス原料としては、表1のスギを、水分含有量が2質量%になるまで乾燥した後、1mm以下に粉砕したものを用いた。
二軸押出混練機のスクリューは、実施例1と同じ構造のものを使用し、シリンダー軸方向の温度条件は、加熱パターン3とした。
【0056】
なお、有機溶媒としては、無極性溶媒であるデカリン、極性溶媒であるアセトフェノンおよびフェノール系溶媒であるビニールアルコールを用いた。自製溶媒としては、気液化生成物の燃料油留分のうち、沸点が125℃〜240℃のものを用いた。
【0057】
その結果を図5に示す。有機溶媒として無極性溶媒であるデカリンを使用した場合、バイオマス原料の溶解性が小さく、燃料油の収率は低い値を示した。極性溶媒であるアセトフェノンを使用した場合には、溶解性が大きく、燃料油の収率は高くなることが確認された。また、フェノール系溶媒のビニールアルコールを使用した場合には、溶解性が大きく、燃料油の収率は高い値を示したが、生成した燃料油の性状は、重質成分が多く、循環溶媒として利用するには問題になる可能性がある。また、自製溶媒を使用した場合には、アセトフェノンに近い溶解性を示し、燃料油の収率が高いことが認められた。
【0058】
以上の結果より、有機溶媒としては、アセトフェノンを用いることが好ましく、さらに、有機溶媒の代替えとしてバイオマス原料の燃料油を溶媒として循環使用することが好ましいことがわかった。
【0059】
(実施例3)
この実施例では、実施例1と同じ二軸押出混練機を用いてバイオマス原料の分解、気液化を行い、その際使用する自製有機溶媒種の、燃料油収率への影響を調査した。バイオマスとしては、表1のスギを、水分含有量が3質量%になるまで乾燥させたのち、それを1mm以下に粉砕したものを用いた。
【0060】
二軸押出混練機のスクリューとして、実施例1と同一構造のものを使用し、シリンダー軸方向の温度条件は、加熱パターン3とした。自製溶媒としては、押出混練機から抽出された気液化生成物を蒸留して得られた沸点の異なる燃料油留分すなわち自製溶媒を用いた。その結果を図6に示す。
【0061】
図6の結果より、自製溶媒として沸点125℃〜240℃の燃料油を使用した場合に、燃料油収率が最も高い値を示し、沸点が270℃〜350℃、300℃〜350℃と高くなるほど燃料油収率が低下する傾向を示した。また、燃料油の軽質〜重質成分を含む沸点125℃〜350℃留分の場合には、沸点1250℃〜240℃とほぼ近い燃料油収率が得られた。これは、溶媒中に重質成分が含まれることにより、溶媒とバイオマス原料との塗れ性が高まり、混合性が上昇して燃料油収率が向上したものと考えられる。
【0062】
(実施例4)
この実施例では、実施例1と同じ二軸押出混練機を用いてバイオマス原料の分解、気液化を行い、その際使用する溶媒添加量の、燃料油の収率への影響を調査した。なお、溶媒としては、自製溶媒の沸点125℃〜240℃のものを使用した。その結果を図7に示す。溶媒の割合(質量比)をバイオマス原料の1/1から1/5に増加させても、燃料油の収率はほとんど変化しないが、1/0.5に減少させると、燃料油の収率が低下する傾向が認められた。また、溶媒の割合(質量比)をバイオマス原料の1/6に増加させると、燃料油の収率は変化しないが、反応に必要な熱量が増加し、全体のエネルギー効率の低下が認められた。
【0063】
(実施例5)
この実施例では、実施例1と同じ二軸押出混練機を用いてバイオマス原料の分解、気液化を行い、その際使用するバイオマス原料の粒径および水分含有量の、燃料油の収率への影響を調査した。二軸押出混練機のスクリューは、実施例1と同じ構造のものを使用し、シリンダー軸方向の温度条件は、加熱パターン3とした。また、有機溶媒としては、自製溶媒の沸点125℃〜240℃のものを使用し、バイオマス原料と有機溶媒の混合比率は質量比で1:2、供給量は0.25kg/hとした。
【0064】
また、バイオマス原料としては、表1に示すスギを使用し、原料粒径の影響については、水分含有量が3質量%で、粒度が1mm以下、3mm以下および6mm以下のものを試料として用いて実験を行った。
一方、バイオマス原料の水分含有量の影響試験では、バイオマス原料の試料粒度が1mm以下のものを使用し、水分含有量を、それぞれ3質量%、10質量%、20質量%に変化させて実験を行った。その結果を図8に示す。
【0065】
図8に示す結果より、燃料油の収率は、バイオマス原料の粒度を細かくするほど向上するが、粒度が3mm以下になると、どれも同等となることがわかった。これは、押出混練機に装入されたバイオマス原料は、内部のせん断スクリューで微粉砕されるため、最終粒径がほぼ同等まで粉砕されるためと考えられる。なお、バイオマス原料の粒径が、6mm以上の場合、燃料油の収率が低下するとともに、試料供給口やせん断スクリュー、逆送スクリューが組み込まれた混練部にバイオマス原料が詰まるなどの問題が発生した。しかし、二軸押出混練機のスクリュー径の大型化や、せん断スクリューなどの構成強化によって、6mm以上の粗粒のバイオマス原料も使用可能と想定される。
【0066】
また、バイオマス原料の水分含有量の影響については、水分含有量が20質量%と高くなると、燃料油の収率が低下する傾向が認められた。これは、水分量が高くなると二軸押出混練機の熱容量が小さくなるため、反応温度が低下し、燃料油の収率が減少してしまったものと思われる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の製造方法およびその装置は、温和な反応条件を利用しているため小規模化が可能で、バイオマス原料が排出される場所に隣接して設置することができるため、日本全国の主要な林産資源生産地や都市部の建設所や製材所などにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 受入槽
2 粗破砕機
3 異物除去装置
4 バイオマス原料槽
5 乾燥機
6 専用保管槽
7 粉砕機
8 押出混練機
9 蒸留塔
10 残渣物
11 装入口
12 ベント部
13a、13b 混練部
14 粉砕・混合部
15 圧縮・反応部
16 固体・気液体分離部
17 ダイス部
18 吐出部
19 スクリュー
20 シリンダー
21 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料と有機溶媒とを、スクリューを備える押出混練機内に装入し、該スクリューによって移送させながら燃料油成分を抽出する方法において、
押出混練機に装入されたバイオマス原料と有機溶媒を、粉砕しながら混合する粉砕・混合工程と、
粉砕・混合工程において得られた混合物を熱分解して気液化処理する圧縮・反応工程と、
圧縮・反応工程において気液化された燃料油成分と、未反応の残渣物とを分離する固体・気液体分離工程と、
を経て、燃料油を製造することを特徴とするバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項2】
前記固体・気液体分離工程において抽出された燃料油成分を、蒸留工程において処理し、ガス成分を分留除去することを特徴とする請求項1に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項3】
前記粉砕・混合工程と圧縮・反応との間、および圧縮・反応工程と固体・気液体分離工程との間に、バイオマス原料含有混合物を剪断し、混練する混練工程を介在させることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項4】
前記蒸留工程においてガス成分を分留除去した燃料油の少なくとも一部を還流させ、バイオマス原料に混合して循環使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項5】
前記押出混練機における前記各工程での処理は、粉砕・混合工程を50〜200℃の温度に、圧縮・反応工程を300〜450℃の温度に、そして固体・気液体分離工程を200℃以下の温度に制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項6】
前記バイオマス原料と有機溶媒との混合比率は、質量比率で1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項7】
前記バイオマス原料は、水分含有量が10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項8】
前記バイオマス原料は、粒径が3mm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項9】
前記有機溶媒は、アセトフェノンまたはベンジルアルコールであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項10】
前記バイオマス原料が、建築廃材、製材所端材、間伐材、剪定材、林地残材、流木、刈草、コーヒー豆残渣、汚泥およびヤシガラのうちから選ばれるいずれか1種以上のセルロース含有バイオマス原料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造方法。
【請求項11】
バイオマス原料と有機溶媒とを装入するシリンダーと、このシリンダー内に回転可能に軸挿したスクリューからなる押出混練機を有するバイオマス原料からの燃料油の製造装置であって、
前記押出混練機は、シリンダー入側に設けた装入口から装入されたバイオマス原料および有機溶媒とからなる装入物を、粉砕しながら混合する粉砕・混合部と、
得られた混合物を熱分解して気液化処理する圧縮・反応部と、
気液化された燃料油成分と、未反応の残渣物とを分離する固体・気液体分離部と、
に機能分割されていることを特徴とするバイオマス原料からの燃料油の製造装置。
【請求項12】
前記シリンダー内に軸挿したスクリューは、主に送りスクリューで構成され、併せて軸方向の少なくとも2箇所に剪断スクリューおよび/または逆送スクリューとからなる混練部を備えていることを特徴とする請求項11に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造装置。
【請求項13】
前記押出混練機は、粉砕・混合部と圧縮・反応部との間および圧縮・反応部と固体・気液体分離部との間にそれぞれ、前記混練部を介在させることにより機能分割したものであることを特徴とする請求項11または12に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造装置。
【請求項14】
前記押出混練機は、下流の一部にベント部を設け、そのベント部の機外延在位置に、抽出された燃料油成分をガス成分と燃料油とに分留する蒸留塔を設けてなることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造装置。
【請求項15】
前記蒸留塔で分離された燃料油の少なくとも一部を、バイオマス原料に混合するための循環設備を付帯していることを特徴とする請求項14に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造装置。
【請求項16】
前記押出混練機のシリンダー内に内蔵されているスクリューは、スクリュー長さとスクリュー径の比(L/D)が20以上のものであることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載のバイオマス原料からの燃料油の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207920(P2011−207920A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74000(P2010−74000)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度〜平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「新エネルギー技術研究開発 バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)セルロース含有バイオマスの革新的燃料化技術の研究開発」委託研究 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591006298)JFEテクノリサーチ株式会社 (52)
【Fターム(参考)】