説明

バイオマス燃料による常圧燃焼タービンシステム

【課題】バイオマス燃料を燃焼炉で完全燃焼させ、発生する高温ガスにより発電するとともに、高温ガスと熱交換した空気または水を暖房用として供給する常圧燃焼タービンシステムを提供する。
【解決手段】バイオマス燃料を完全燃焼させるバイオマス常圧燃焼炉1と、バイオマス常圧燃焼炉1で発生する高温ガスGを作動ガスとして膨張させるタービン21と、タービン21からの作動ガスG2を圧縮する圧縮機22と、タービン21と圧縮機22との間に配置されて、タービン21からの作動ガスG2を空気または水からなる熱交換媒体と熱交換して冷却するとともに熱交換媒体を加熱する熱交換器23と、熱交換器23で加熱された熱交換媒体である温風、温水または蒸気C3を消費する現場に供給する供給通路25とを備えている常圧燃焼タービンシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス燃料を燃焼炉で完全燃焼させて、発生する高温ガスをタービンの作動ガスとするとともに、作動ガスやバイオマス常圧燃焼炉の外壁の廃熱を効率的に利用する常圧燃焼タービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバイオマス燃料を燃焼させる常圧燃焼タービンシステムでは、バイオマス燃料をガス化炉で完全燃焼させず、ガス化燃焼させて生成した可燃ガスを燃焼器に導入し燃焼させ、燃焼器で得られた燃焼ガスをタービンにて膨張させ、発生した動力で発電機を駆動し発電している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3734759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ガス化炉で生成される可燃ガスの温度は500〜600℃であり、可燃ガスの一部がタールとしてシステムのラインの配管表面などの低温部で析出し、管閉塞などの原因となる。そのため、可燃ガスを燃焼器に導入するガス配管を保温し、低温部を作らないようにされているが、ガス配管の保温にはコストがかかり、また保温が不充分であれば、管内のメンテナンスの頻度が高くなっている。さらに、可燃ガスは不完全燃焼ガスであるため、一酸化炭素ガスやハイドロカーボンガスなどの人体に悪影響を及ぼすガス成分が多く含まれている。そのため、可燃ガス配管は、ガス漏洩を防止するために通常、大気圧よりわずかに負圧に保たれるが、バイオマス燃料は化石燃料のように均質でないことから燃焼時の圧力に変動が生じやすく、そのためシステムの圧力変動が生じやすい。この圧力変動を考慮してシステムは高気密にされている。
【0005】
加えて、ガス化炉への空気の供給が充分過ぎるとバイオマス燃料が完全燃焼し、可燃ガスの生成効率が低下する。また、ガス化炉への空気の供給が不充分であるとバイオマス燃料のガス化燃焼が不充分となり、燃え残りができ、ガス化が不充分となって可燃ガスの生成効率が低下する。このようにガス化炉には精度のよい運転制御が必要となり、システムが複雑になり、システムおよび運転のコストが高くなる。
【0006】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、バイオマス燃料を燃焼炉で完全燃焼させ、発生させた高温ガスをタービンの作動ガスとすることにより、タールの析出を防止して管閉塞をなくし、人体に悪影響を及ぼすガス成分の生成を抑制してシステムの安全性を向上させるとともに、システムおよび運転のコストの低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明にかかる常圧燃焼タービンシステムは、バイオマス燃料を完全燃焼させるバイオマス常圧燃焼炉と、前記バイオマス常圧燃焼炉で発生する高温ガスを作動ガスとして膨張させるタービンと、前記タービンからの作動ガスを圧縮する圧縮機とを備えている。ここで、「常圧」とは、タービンシステムの設置環境の圧力をいい、それよりも低い圧力を「負圧」という。
【0008】
この構成によれば、バイオマス燃料を常圧燃焼炉で完全燃焼させた高温ガスをタービンの作動ガスとしているので、作動ガス中にはタール成分、一酸化炭素ガスまたは/およびハイドロカーボンガスなどの人体に悪影響を及ぼすガス成分が含有されていないため、タールの析出による管閉塞を起こすことなく、有害ガスの漏洩もなく、システムの安全性を向上させることができる。また、バイオマス燃料を完全燃焼させるだけでよいので、燃焼炉への空気の供給量や温度制御を精度よく行なう必要がないから、システムを簡略化できるとともに、システムおよび運転のコストの低減化を図ることができる。しかも、バイオマス燃料を使用するから、その燃焼ガス中に塩素のような腐食性ガスが含まれていないので、常圧燃焼タービンシステムのタービンおよび圧縮機のブレードの腐食の問題も生じない。
【0009】
前記バイオマス常圧燃焼炉の高温ガス出口と前記タービンの高温ガス入口との間に高温ガスから燃焼灰を分離する分離部を設けた場合には、燃焼灰がタービンや圧縮機に入り込むことを抑制し、タービンや圧縮機のブレードなどへの付着や減肉、損傷などを防止することが可能になる。つまり、木質チップなどのバイオマス燃料が燃焼すると、燃料量に対し0.5〜数重量%の燃焼灰が発生し、燃焼灰が高温ガスと一緒にタービンや圧縮機に入り込むと、タービンや圧縮機のブレードなどへ付着したり、減肉させたり、損傷させたりするが、高温ガスから燃焼灰を分離する分離部を設けることにより、燃焼灰がタービンや圧縮機に入り込むことを抑制し、タービンや圧縮機のブレードなどへの付着や減肉、損傷などを防止することができる。
【0010】
本発明において、前記タービンと前記圧縮機との間に配置されて、前記タービンからの作動ガスを空気または水からなる熱交換媒体と熱交換して冷却するとともに熱交換媒体を加熱する熱交換器と、前記熱交換器で加熱された熱交換媒体である温風、温水または蒸気を消費する現場に供給する供給通路とを備えることができる。この構成によれば、熱交換器で加熱された熱交換媒体である温風、温水または蒸気を消費する現場に供給する供給通路を備えているので、常圧燃焼タービンシステムの廃熱を暖房用、給湯用などとして有効に利用することができる。また、常圧燃焼タービンシステムは、常圧から29.4kPa(0.3気圧)程度の負圧の間で作動するので、熱交換器内の作動ガスの圧力は負圧であり、ピンホールなどの熱交換器の故障が起きても熱交換器周辺の外気を作動ガス内に吸い込むだけであり、暖房用などとして供給する熱交換媒体である温風、温水または蒸気内に侵入してこれを汚染することがない。
【0011】
廃熱を暖房に利用する場合、前記供給通路が前記バイオマス常圧燃焼炉の外壁から吸熱する吸熱路を含むのが好ましい。これにより、バイオマス常圧燃焼炉を冷却して耐久性を向上させるとともに、バイオマス常圧燃焼炉の外壁の廃熱を温風、温水または蒸気の加熱に有効に利用できるので、熱エネルギのカスケード利用を実現することができる。
【0012】
さらに、本構成の前記熱交換器の排ガス配管に除塵装置を設けることが好ましい。これにより、よりクリーンな温風、温水または蒸気を消費する現場に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る常圧燃焼タービンシステムの概略構成を示すブロック図である。このシステムは、木くず、草、コーン、木の実、動物の糞などのバイオマス燃料Fを常圧で完全燃焼させるバイオマス常圧燃焼炉1と、バイオマス常圧燃焼炉1で発生するほぼ常圧の高温ガスG1を作動ガスとして利用する常圧燃焼タービンエンジン2とを有している。
【0014】
バイオマス常圧燃焼炉1はブロア11、点火用バーナ(図示なし)を有しており、燃料供給装置15から供給されるバイオマス燃料Fに点火用バーナで点火し、燃料供給装置15から順次投入されるバイオマス燃料Fをブロア11から供給される空気Aで完全燃焼させて、高温ガスG1を生成する。ブロア11による空気Aの押し込み力によって、バイオマス常圧燃焼炉1から常圧の高温ガスG1が高温ガス出口13から送り出される。ブロア11および燃料供給装置15は制御装置16により制御される。高温ガスG1の温度は高温の方が常圧燃焼タービンエンジン2の熱効率上好ましい。特に高温ガスG1の温度は900℃以上が好ましい。制御装置16により燃料供給装置15およびブロア11を制御し、高温ガスの温度が900℃以上になるようにバイオマス燃料と空気の供給量が調整される。
【0015】
常圧燃焼タービンエンジン2は、バイオマス常圧燃焼炉1から送り出された常圧の高温ガスG1を作動ガスとして負圧にまで膨張させるタービン21と、このタービン21からの作動ガスG2の温度を低下させて作動ガスG2中の水分を凝縮してガス量を減少させるとともにガスの比容積を低下させる熱交換器23と、前記タービン21が発生する動力により駆動されて、熱交換器23で冷却された作動ガスG3を昇圧する圧縮機22とを備えている。常圧燃焼タービンエンジン2は、この例では一軸型であり、タービン21と圧縮機22が同一回転軸24に結合され、さらに、この回転軸24に、負荷である発電機7が結合されている。なお、常圧燃焼タービンエンジン2は二軸型として、第1軸でタービン21と圧縮機22を連結し、第2軸でタービン3と発電機7を連結することもできる。
【0016】
前記高温ガス出口13とタービン21の高温ガス入口との間には、高温ガスG1から燃焼灰を分離する分離部である、例えば接線入口形式のサイクロン3を有し、バイオマス常圧燃焼炉1から高温ガスG1と一緒に送り出されてくる燃焼灰を高温ガスG1と分離し、タービン21や圧縮機22のブレードなどへの付着や減肉、損傷などを防止している。サイクロン3内に集塵された燃焼灰は、定期的にサイクロン3の底部に設けられた燃焼灰回収部(図示なし)から除去される。なお、燃焼灰のうち大きな塊りは炉内に留まるので、高温ガスG1には微細な燃焼灰が多く含まれる。
【0017】
前記熱交換器23は、作動ガスを冷却する熱交換媒体として、空気または水C1を用いている。熱交換器23において、作動ガスの熱によって加熱された温風、温水または蒸気は供給通路25を通って、消費する現場、例えば製造工場などに供給される。この供給通路25は前記バイオマス常圧燃焼炉1の外壁17からの廃熱を吸熱する吸熱路26を備えている。
【0018】
つぎに、本実施形態の常圧燃焼タービンシステムの動作について説明する。バイオマス燃料Fが完全燃焼するように、制御装置16によって制御されている燃料供給装置15およびブロア11から、コントロールされたバイオマス燃料Fと空気Aとがバイオマス常圧燃焼炉1に供給され、900℃以上の高温ガスG1を生成する。ブロア11による空気Aの押し込み力によって、バイオマス常圧燃焼炉1から常圧の高温ガスG1が高温ガス出口13から送り出される。
【0019】
高温ガス出口13から送り出された高温ガスG1はサイクロン3に導入され、高温ガスG1と一緒に送り出されてくる燃焼灰を高温ガスG1と分離し、クリーンな高温ガスが、作動ガスとしてタービン21に送られ、このタービン21を駆動し、その発生動力により圧縮機22と発電機7が駆動される。また、前記作動ガスG1は、タービン21を通過することにより負圧まで膨張し、この負圧・中温の作動ガスG2が熱交換器23に送られて冷却されることにより低温化されたのち、圧縮機22に送られ、ここで、常圧まで昇圧されて煙突10から大気中に放出される。圧縮機22に送られる作動ガスG3は、熱交換器23で冷却されて低温となっているため、圧縮機22の必要動力が減少して、常圧燃焼タービンエンジン2の効率が向上する。
【0020】
一方、熱交換器23で熱交換媒体として作動ガスG2を冷却するために用いられる空気または水C1が熱交換器23に供給され、作動ガスG2との熱交換によって加熱され、常温の空気または水が温風、温水または蒸気C2となって供給通路25から導出される。この温風、温水または蒸気C2は、バイオマス常圧燃焼炉1の外壁17に設けられ、バイオマス常圧燃焼炉1からの廃熱を吸熱するための吸熱路26を通過し、さらに高温となった温風、温水または蒸気C2を、例えば製造工場現場や居室などに供給され、暖房用または給湯用として使用される。
【0021】
本実施形態によれば、バイオマス燃料Fをバイオマス常圧燃焼炉1で完全燃焼させた高温ガスG1をタービン21の作動ガスとしているので、作動ガス中にはタール成分や一酸化炭素ガスやハイドロカーボンガスなどの人体に悪影響を及ぼすガス成分が含有されていないため、タールの析出による管閉塞を起こすことなく、有害ガスの漏洩もなく、システムの安全性を向上させることができる。また、バイオマス燃料Fを完全燃焼させるだけでよいので、燃焼炉1への空気の供給量や温度制御を精度よく行なう必要がないから、システムを簡略化できるとともに、システムおよび運転のコストの低減化を図ることができる。しかも、バイオマス燃料Fを使用するから、その燃焼ガスG1中に塩素のような腐食性ガスが含まれていないので、常圧燃焼タービンエンジン2のタービン21および圧縮機22のブレードの腐食が抑制される。
【0022】
前記バイオマス常圧燃焼炉1の高温ガス出口13と前記タービン21の高温ガス入口との間に高温ガスG1から燃焼灰を分離するサイクロン3を設けたので、燃焼灰がタービン21や圧縮機22に入り込むことを抑制し、タービン21や圧縮機22のブレードなどへの付着や減肉、損傷などを防止することができる。
【0023】
また、熱交換器23で加熱された熱交換媒体である温風、温水または蒸気C2を消費する現場に供給する供給通路25を備えているので、バイオマス常圧燃焼炉1の廃熱を暖房または給湯に利用することができる。供給通路25はバイオマス常圧燃焼炉1の外壁17から吸熱する吸熱路26を含んでいるので、バイオマス常圧燃焼炉1の廃熱も有効に利用することができ、熱エネルギのカスケード利用を実現することができる。さらに、常圧燃焼タービンエンジン2は、常圧から29.4kPa(0.3気圧)程度の負圧の間で作動するので、熱交換器23内の作動ガスG2の圧力は負圧であり、ピンホールなどの熱交換器23の故障が起きても熱交換器23周辺の外気を作動ガス内に吸い込むだけであり、暖房用などとして供給する熱交換媒体である温風、温水または蒸気内に侵入してこれを汚染することがない。
【0024】
図2は本発明の第2実施形態に係る常圧燃焼タービンシステムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態はタービン21の直前に備えられているスクロール5を高温ガスG1から燃焼灰を分離する分離部として用いている常圧燃焼タービンシステムである。すなわち、図3に示すように、タービン21はラジアル形であり、このタービン21に高温ガスG1を旋回させながら導入するスクロール5を、前記した第1実施形態の常圧燃焼タービンシステムのサイクロン3に代えて、燃焼灰の分離部としている。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、スクロール5について説明する。
【0025】
図3に示すように、スクロール5は、脱着可能なケーシング55の中に設けられ、高温ガスG1を取り入れる高温ガス取入口52、スクロール本体50およびスクロール本体50の外壁の下部に開閉可能な図4の燃焼灰回収蓋51を有している。この燃焼灰回収蓋51を開けてスクロール本体50内に堆積した燃焼灰Hを回収することができる。スクロール5内の圧力はほぼ大気圧であるため、燃焼灰回収蓋51は高気密な構造を必要としない。ケーシング55は、常圧燃焼タービンエンジン2のメインハウジングMHに取り付けられた隔壁58に支持されている。このMHに、図1の圧縮機22を収納する圧縮機ハウジングも取り付けられる。
【0026】
バイオマス燃焼炉1から送られてきた高温ガスG1は高温ガス成分G11と燃焼灰Hと含んでおり、高温ガスG1がスクロール5内に導入されると、高温ガス成分G11は実線Mで示すようにスクロール5内のガス通路の中央部を流れ、スクロール出口53からタービンノズル57を通ってタービン21に送られる。一方、高温ガス成分G11よりも比重の大きい燃焼灰Hは、図4の点線Nで示すように、旋回の遠心力によりガス通路の外壁に寄って流れ、慣性力によりスクロール5の外周壁に衝突し、外壁の下部に設けられた燃焼灰回収蓋51に沿って堆積する。一方、タービン21に送られた高温ガスG11は排気ダクト31より圧縮機22に送られる。
【0027】
図5および図6に示すスクロールの第1変形例について説明する。スクロール6は、スクロール5と同様に、燃焼灰回収蓋61およびスクロールの外周壁に沿った半円筒状のガイド板65によって形成されている燃焼灰回収路62を有している。
【0028】
バイオマス燃焼炉1から送られてきた高温ガスG1は高温ガス成分G11と燃焼灰Hと含んでおり、高温ガスG1がスクロール6に導入されると、高温ガス成分G11は実線Mで示すようにスクロールのガス通路の中央部を流れ、スクロール出口63から、図3のタービンノズル57を通ってタービン21に送られる。図6に示す高温ガスG11よりも比重の大きい燃焼灰Hは旋回の遠心力により点線Nで示すようにガス通路の外壁に寄って流れ、燃焼灰回収路62内に入り、慣性力により外壁に衝突し、外壁の下部に設けられた燃焼灰回収蓋61に沿って堆積する。燃焼灰回収路62を設けることにより、後から導入される高温ガスG1によって堆積した燃焼灰Hを引っ張り上げ、再度、高温ガスG11中に戻ることを防ぐことができる。
【0029】
図7および図8に示すスクロールの第2変形例について説明する。スクロール7は、スクロール5と同様に燃焼灰回収蓋71および外壁の所定の個所に径方向内方に向いた突起72を有している。
【0030】
バイオマス燃焼炉1から送られてきた高温ガスG1は高温ガス成分G11と燃焼灰Hと含んでおり、高温ガスG1がスクロール7に導入されると、高温ガス成分G11は実線Mで示すようにスクロールのガス通路701の中央部を流れ、スクロール出口73からタービン21に送られる。高温ガスG11よりも比重の大きい燃焼灰Hは旋回の遠心力により点線Nで示すようにガス通路701の外壁に寄って流れ、慣性力により外壁および突起72の高温ガスG1の流れ方向と対向する面に衝突し、外壁の下部に設けられた燃焼灰回収蓋71に沿って堆積するとともに、突起72の衝突面で堆積する。また、この突起72の衝突面と反対側の面で生じる後流渦によっても燃焼灰Hは堆積する。
【0031】
つぎに、スクロール5から燃焼灰Hを回収する方法について説明する。図9において、例えば、ねじ等でメインハウジングMHに脱着可能に固定されているケーシング55を取外し、図10に示す燃焼灰回収蓋51を固定している固定具511をはずし、燃焼灰回収蓋51を開けて燃焼灰回収蓋51の内壁に堆積している燃焼灰Hを回収する。ここでは、スクロール5について説明したが、スクロールは前記のいずれを用いてもよいので、スクロール6および7についても同様の方法で燃焼灰を回収することができる。なお、付着性の強い燃焼灰の場合には、燃焼灰回収蓋51を定期的に交換してもよい。
【0032】
図2ないし図10に示した第2実施形態によれば、第1実施形態の常圧燃焼タービンシステムのサイクロン3をスクロール5、6および7のいずれかに置き換えたシステムであり、スクロール5、6および7も前記第1実施形態のサイクロン3と同様に、バイオマス燃焼炉1から送られた高温ガスG1から燃焼灰Hを分離する分離部であるので、第1実施形態と同様の作用、効果を有している。また、一般的にスクロールはラジアルタービンとともに備えられているので、サイクロンのように新たに設ける必要がなく、システムのコストの低減化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態である常圧タービンシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態である常圧タービンシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】同常圧タービンシステムのスクロール部の縦断面図である。
【図4】同常圧タービンシステムのスクロールの概略横断面図である。
【図5】同常圧タービンシステムの第1変形例のスクロールの概略縦断面図である。
【図6】同常圧タービンシステムの他の1つのスクロールの概略横断面図である。
【図7】同常圧タービンシステムの第2変形例のスクロールの概略縦断面図である。
【図8】同常圧タービンシステムのさらに他の1つのスクロールの概略横断面図である。
【図9】スクロールから燃焼灰を回収する方法の概略縦断面説明図である。
【図10】スクロールから燃焼灰を回収する方法の概略横断面説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 バイオマス燃焼炉
3 サイクロン(分離部)
5 スクロール(分離部)
21 タービン
22 圧縮機
23 熱交換器
25 供給通路
26 吸熱路
G1 G2 G3 高温ガス(作動ガス)
C1 C2 空気または水(温風または温水、蒸気)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス燃料を完全燃焼させるバイオマス常圧燃焼炉と、
前記バイオマス常圧燃焼炉で発生する高温ガスを作動ガスとして膨張させるタービンと、
前記タービンからの作動ガスを圧縮する圧縮機と、
を備える常圧燃焼タービンシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記バイオマス常圧燃焼炉の高温ガス出口と前記タービンの高温ガス入口との間に高温ガスから燃焼灰を分離する分離部を有する常圧燃焼タービンシステム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記タービンと前記圧縮機との間に配置されて、前記タービンからの作動ガスを空気または水からなる熱交換媒体と熱交換して冷却するとともに熱交換媒体を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器で加熱された熱交換媒体である温風、温水または蒸気を消費する現場に供給する供給通路と、
を備えた常圧燃焼タービンシステム。
【請求項4】
請求項3において、
前記供給通路が前記バイオマス常圧燃焼炉の外壁から吸熱する吸熱路を含む常圧燃焼タービンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−128175(P2008−128175A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316926(P2006−316926)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】