説明

バイオマス燃料製造機

【課題】雑草などを中心とするバイオマスを乾燥炭化することで、バオイマス燃料に加工する機械を提供する。
【解決手段】ドーム状の水槽3の内側に大きな加熱室5−1を設け、加熱室5−1の中に蒸気管2と回転する乾燥炭化ドラム4を組み込み、一つの燃焼炉1の炎で蒸気管2と乾燥炭化ドラム4を同時に加熱し、水槽3で発生した蒸気を直接もしくはさらに蒸気管2で加熱して発電に必要な蒸気とするとともに、雑草などを中心とするバイオマスを乾燥炭化ドラム4により乾燥炭化する。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
バイオマス燃料の製造機械に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は特願2011−230177のバイオマス燃料の生産プラントを改良するものである。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 特願2011−230177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先の出願によるバイオマス燃料の生産プラントは雑草などを中心とする植物のバイオマスをバイオマス燃料に加工するプラントであるが基本的な加工、生産に関するもので実際の企業的な経営に用いる場合には各部分の構造や全体の構成を含めて総合的に改良する必要があった、所謂実用プラントの開発が課題となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
先の出願によるバイオマス燃料の生産プラントの中心部の機構構成は火力発電機を中心とする機構であって火力発電機よりの排煙と排熱を利用したバイオマスの乾燥炭化の機構の組み合せであったが本発明はこの機構構成を根本から変えるものである。
【0006】
そもそもこの発明の原点となる発想はバイオマスを乾燥するのに重油等の燃料を使う以外手段がないと考えるのが今の社会の常識である、その常識を変えるために燃料は買わずに自分で生産したものを使えばいい、燃料はバイオマスを乾燥するためだけに使うだけではもったいない、少し余計に燃やせば自分で使うだけの電気を作ることができるだろうと言うものであった、そのためにプラントの中心に火力発電機を置かなければならなかったものである。
【0007】
改良したプラントの機構構成の基本となるものは乾燥、炭化を担う機構が中心となるものでその構造は火力発電の蒸気ボイラーと乾燥炭化を行う炭化炉が一体化したものであって発電機はそれに付随するような構造になっているものである。
【0008】
具体的に説明すると説明図の様に火力発電機のための特殊な蒸気ボイラーの中に乾燥炭化炉の回転ドラムが組み込まれているもので一つの熱源で二つの目的を同時に賄うものである、従ってこの機構構成はプラントと言うよりも一つのバイオマス燃料製造機と言うのが適当である。
【0009】
このバイオマス燃料製造機の燃料製造運転時の稼動形態は次のようになる、先ず熱源である燃焼炉▲1▼によって加熱された回転する乾燥炭化ドラム▲4▼に原料投入ホッパー▲7▼より原料のバイオマスが投入される、投入されたバイオマスはゆっくりと乾燥しながら炭化部▲9▼に達する、ここでもゆっくりと進みながらバイオマスの一部が炭化し冷却部▲10▼である程度冷却されてから乾燥炭化ドラム▲4▼より排出される。
【0010】
ドラム▲4▼より排出されたバイオマスが粗バイオマス燃料である、この粗バイオマス燃料を処理することで製品のバイオマス燃料が完成する、このバイオマス燃料製造機はここで完成品となったバイオマス燃料の一部を自給燃料として燃焼炉▲1▼に供給することで燃料の生産−自給−消費と言う燃料サイクルを形成する。
【0011】
発電用の蒸気ボイラーは乾燥炭化ドラム▲4▼の炭化部▲9▼を包むようなドーム状であってその蒸気ボイラーの中に熱源である燃焼炉▲1▼が入っているものである、蒸気ボイラーのドームは水槽▲3▼になっているものでドーム状の水槽▲3▼のなかに燃焼炉▲1▼が入っている、所謂循環式の風呂釜の原理である、従ってこのドーム状の水槽▲3▼で蒸気を発生する、発生した蒸気は燃焼炉▲1▼の炎で加熱される蒸気管▲2▼に導かれて加熱されて高圧の過熱蒸気になって蒸気タービンを回し発電をする。
【0012】
ここで発電された電気はこのバイオマス燃料製造機に使われているモーター、ポンプ、フアンの動力源として使われるもので燃料と電機の生産、自給、消費のサイクル形成の一部となるものである。
【0013】
このバイオマス燃料製造機はこの様に機械自体が必要とする燃料と電気を生産、自給、消費しながら稼動する機械であって原料のバイオマスとボイラーの水の自動供給設備及び製品となったバイオマス燃料の処理設備と全体的な付帯設備が完備すれば一旦稼動させれば故意に運転を止めるか故障でもない限り休むことなく自動運転を続けることができることを特徴とする機械である。
【発明の効果】
【0014】
現時点では予想することが不可能と思われるほど膨大な量の未開発のバイオマスの開発に貢献するものであって現在一般に知られているバイオマス燃料に比べて比較の対象にならないほどの低価格のバイオマス燃料の生産が可能になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
説明の様にこのバイオマス燃料製造機は自然界に自生する雑草を中心とする植物やバイオマス燃料の原料として栽培された植物をバイオマス燃料に加工する機械であって図の様にバイオマス燃料を燃料とする一つの燃焼炉▲1▼で蒸気を発生する蒸気ボイラーとバイオマスの乾燥炭化を行う乾燥炭化ドラム▲4▼に同時に作用することも特徴とするがここでの燃焼炉▲1▼の詳しい説明は機械の説明の範囲を超えるので省略する。
【0016】
先ずこの機械の機能と稼動形態を説明するとこの機械にかけられる前のバイオマスは一定の寸法の長さに裁断する前処理が施されているがこの機械の役目はこのバイオマスを単純に乾燥するだけであるが乾燥を過度にすることで一部が焦げて炭化するまで加熱するものである、然し乾燥のために必要な燃料と稼動に必要なモーター等の電力は自分で生産し自給しながらバイオマスを燃料に加工して行くと言う今の工業技術の概念を破る技術である。
【0017】
この機械を稼動するに当たっては予め燃料とするバイオマス燃料を準備しておかなければならない、この準備された燃料はこの燃料専用に開発された燃焼炉以外での使用はできないものであるが準備された燃料によってバイオマス燃料製造機が正常な稼動運転を始めれば新たなバイオマス燃料の生産が始まり生産されたバイオマス燃料の一部を使いながら順次バイオマスの加工を行い連続したバイオマス燃料の生産をして行くと言う独自の燃料の生産、自給、消費と言う燃料サイクルを形成するものである。
【0018】
次にこの機械の構造を説明すると独特な蒸気ボイラーの中に乾燥炭化ドラム▲4▼が組み込まれているという物であるがこの蒸気ボイラーは循環式の風呂釜の形式を応用したものであってドーム状の水槽▲3▼の内側が大きな加熱室▲5▼−1になっている、その加熱室▲5▼−1の中に回転する乾燥炭化ドラム▲4▼と蒸気管▲2▼が組み込まれ一つの燃焼炉▲1▼の炎で同時に加熱しながら加熱室▲5▼−1内も加熱することで発電に必要な蒸気を発生する。
【0019】
この蒸気ボイラーは厳密に言えば蒸気管ボイラーに属すると思われるものであって水槽▲3▼の熱水を蒸気管に導き発生した高温高圧の加熱蒸気で発電機のタービンを回す、又はドーム状の水槽▲3▼の水を沸させて蒸気を発生するその蒸気はドーム状の水槽▲3▼の頂上部の気水分離部より格子状の蒸気管▲2▼に導かれここで更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気になり発電機▲12▼の蒸気タービンを回し外気中に放出される。
【0020】
つまり燃焼炉▲1▼の炎は蒸気管▲2▼と乾燥炭化ドラム▲4▼の炭化部▲9▼を直接加熱しながらドーム状の水槽▲3▼の中の加熱室▲5▼−1内を加熱すると言うもので循環式の風呂釜の構造と全く同じものである。
【0021】
次に加熱室▲5▼−1より排出される排煙は乾燥炭化ドラム▲4▼の乾燥部▲8▼を加熱する加熱室▲5▼−2で乾燥炭化ドラム▲4▼を加熱した後煙突▲6▼より排出される。
【0022】
高温に加熱されている乾燥炭化ドラム▲4▼に予め前処理された原料のバイオマスを原料投入ホッパー▲7▼より投入するとバイオマスは毎分2〜3回転でゆっくり回転する乾燥炭化ドラム▲4▼の中を乾燥しながら乾燥部▲8▼から炭化部▲9▼へとゆっくりと移動してゆく、この乾燥炭化ドラム▲4▼の内部構造は原料のバイオマスを撹拌しながら乾燥部▲6▼から冷却部▲10▼まで送ってゆく板状の長い撹拌羽根▲11▼が複数枚付けられているだけである。
【0023】
この乾燥炭化ドラム▲4▼に当たる一般的な炭化装置や焙煎機の乾燥炭化ドラムの内部構造は螺旋状の誘導羽根で内容物を流動させるようになっているが本発明の乾燥炭化ドラム▲4▼はドラムの全長に渡る撹拌羽根▲11▼を複数枚設けただけで乾燥炭化ドラム▲4▼を傾斜させて回転させることで内容物を流動させている。
【0024】
然し乾燥炭化ドラム▲4▼だけを傾斜させることはできないので燃焼炉▲1▼以外の部分を全て一括して傾斜をつけるものである、この傾斜ドラムによるバイオマスの乾燥炭化は内容物のバイオマスを高温のドラムの中で完全に撹拌反転させながら後方に送って行くので非常に乾燥の効率が良い、また排煙の排出にも相当の効果を発揮している。
【0025】
又乾燥炭化ドラム▲4▼の乾燥部▲8▼と加熱室▲5▼−2を長くすることで排煙の熱利用率が高くなりバイオマスの乾燥も順調に進むことになる、その結果として燃料の消費量が少なくなるものである。
【0026】
又排煙については加熱炭化ドラム▲4▼の傾斜による効果と伸縮できる高い煙突▲6▼によって吸引力を大きくして燃焼炉の燃焼効率を高くしている。
【0027】
本発明はこの様に乾燥炭化ドラム▲4▼の傾斜や伸縮できる高い煙突などの自然の摂理や循環風呂釜の様な古い技術を応用することで構造をできる限り単純にすると共に部品点数を少なくすることで機械自体の製作費用を低く抑えているのも大きな特徴の一つである。
【0028】
最後にこの機械の稼動形態を含む全体像を説明する、一旦原料となるバイオマスが供給されて正常な運転に入ると必要な燃料は自動で自給し動力源の電気も自給して稼動する、従って燃料の原料になるバイオマスとボイラーの水の自動供給設備及び加工生産された燃料を自動的に処理する設備の他付帯設備等が完備すれば故意に運転を止めるか故障でもない限り完全自動運転を続ける自己完結型のバイオマス燃料生産ロボットである。
【0029】
従って生産されるバイオマス燃料は原料であるバイオマスの収集を除けば投入エネルギーは限りなく「 0 」に近いと言う画期的な機械設備によって生産される格安燃料となるものである
【0030】
又この機械の特徴である自己生産の燃料を自己消費することや余熱を利用した自給発電の技術はペレット燃料等他のバイオマス燃料の生産現場でも利用は可能である、又余熱を利用する自給発電の技術は蒸気ボイラーに利用すれば燃料の利用効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】は横断面図
【図2】はボイラー部の断面図
【符号の説明】
【0032】
▲1▼ 燃焼炉 ▲2▼ 蒸気管 ▲3▼ 水槽 ▲4▼ 乾燥炭化ドラム ▲5▼−1 加熱室 ▲5▼−2 加熱室 ▲6▼ 煙突 ▲7▼原料投入ホッパー ▲8▼ 乾燥部 ▲9▼ 炭化部 ▲10▼ 冷却部 ▲11▼撹拌羽根 ▲12▼ 発電機
【産業上の利用可能性】
【0033】
日本が求めている再生可能エネルギー産業の一つであるバイオマスエネルギー産業の分野での活躍が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑草などを中心とするバイオマスを乾燥炭化することでバオイマス燃料に加工する機械の基本構造。
【請求項2】
請求項1の機械の燃料であるバイオマス燃料の生産から消費に関する燃料サイクル。
【請求項3】
請求項1の機械の発電から消費に関する電気の自給手段。

【図1】
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【図2】
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