説明

バイオメディカルデバイス

1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物から形成されるコンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に眼科用レンズなどのバイオメディカルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスは、硬質ガス透過性材料、軟質エラストマー材料及びソフトヒドロゲル材料を含む様々なポリマー材料から作られている。現在販売されてコンタクトレンズの多くは、ソフトヒドロゲル材料から作られている。ヒドロゲルは水を吸収しそして保持する架橋ポリマー系であって、通常、10〜80質量%、特に20〜70質量%の水を吸収しそして保持する。ヒドロゲルレンズは、一般に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、グリセロールメタクリレート及びメタクリル酸などの少なくとも1種の親水性モノマーを含むレンズ形成性モノマー混合物を重合することによって調製される。シリコーンヒドロゲルレンズの場合には、シリコーン含有モノマーは、親水性モノマーと共重合される。水分含量に関係なく、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルシロキシ及び/又はフッ素化コンタクトレンズの両方は比較的疎水性で非湿潤性の表面を有する傾向がある。
【0003】
コンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスの分野において、たとえば、酸素透過性、湿潤性、材料強度及び安定性などの様々な物理的及び化学的特性は、まさに、使用可能なコンタクトレンズを提供するために注意深くバランスさせなければならない幾つかの要素である。たとえば、角膜は大気との接触から酸素供給を受けるので、良好な酸素透過性は特定のコンタクトレンズ材料にとって重要な特性である。もしレンズが十分な湿潤可能性を有しなければ、それが潤滑されず、それゆえ目に快適に装着できない点で湿潤性も重要である。したがって、最適なコンタクトレンズは少なくとも優れた酸素透過性及び優れた涙液湿潤性の両方を有する。
【0004】
コンタクトレンズ表面の親水性を上げることにより、コンタクトレンズの湿潤性が改良されることが知られている。このことは、また、レンズの装着快適性が改良されることに関連する。さらに、レンズの表面は、レンズ装着中に、レンズが全体として涙液からタンパク質及び脂質の付着を受けやすいかどうかに影響を及ぼすことがある。蓄積された付着物は、眼の不快感又はさらには炎症を引き起こすことがある。長期装着レンズの場合には、すなわち、睡眠前に毎日取り外すことなく使用されるレンズの場合には、長期装着レンズが長時間にわたって高い基準の快適性及び生体適合性をもって設計されなければならないので、表面は特に重要である。したがって、改良された表面品質を与える可能性のある新規の配合物が依然として望まれている。
【0005】
Karunakaranらの”Synthesis, Characterization, and Crosslinking of Methacrylate-Telechelic PDMAAm-b-PDMS-b-PDMAAm Copolymers”, Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 45, pp. 4284-4290 (2007) (”Karunakaranら”)は可逆的付加開裂連鎖移動(「RAFT」)重合による新規両親媒性メタクリレート−テレケリックペンタブロックコポリマーの製造を開示している。Karunakaranらは、さらに、新規両親媒性メタクリレート−テレケリックペンタブロックコポリマーはコンタクトレンズの形成などの眼科用途で使用できることを開示している。しかし、両親媒性メタクリレート−テレケリックペンタブロックコポリマーのその製造方法は時間がかかり、そして種々の試薬及びプロセス条件を使用する。これにより、また、再現性の問題が発生する可能性がある。さらに、Karanakaranらにより調製されるメタクリレート−テレケリックコポリマーは架橋剤であり、それが得られる製品の「有効」架橋密度を増加させ、製品のより高い弾性率をもたらしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、生体適合性でありながら、体との長期の接触のために酸素透過性、潤滑性及び湿潤性などの適切な物理的及び化学的特性を示すコンタクトレンズなどの改良されたバイオメディカルデバイスを提供することが望まれている。また、簡単でコスト効率の高い様式で容易に製造することができる、改良されたバイオメディカルデバイスを提供することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態によると、1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスが提供される。
【0008】
本発明の第二の実施形態によると、(a)1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマー及び(b)1種以上のバイオメディカルデバイス形成性モノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスが提供される。
【0009】
本発明のバイオメディカルデバイスは、有利には、1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーから形成される。エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは制御ラジカル重合を用いて製造される。制御ラジカル重合により、低い多分散度の良好に限定された分子構築でもってポリマーを合成することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は生体組織又は体液と直接的に接触することが意図されたバイオメディカルデバイスに関する。本開示中に使用される際に、「バイオメディカルデバイス」とは、哺乳動物の組織又は体液の中又はその上で、そして好ましくはヒトの組織又は体液の中又はその上で使用されるように設計された任意の物品である。バイオメディカルデバイスの代表的な例として、限定するわけではないが、人工尿管、横隔膜、子宮内デバイス、心臓弁、カテーテル、義歯ライナー、プロテーゼデバイス、レンズが目の中又はその上に直接的に配置されることが意図された眼科レンズアプリケーション、たとえば、眼内デバイス及びコンタクトレンズが挙げられる。好ましいバイオメディカルデバイスは眼科デバイス、特にコンタクトレンズ、そして最も特にはヒドロゲルで作られたコンタクトレンズである。
【0011】
本開示中で使用される際に、用語「眼科デバイス」は目の中に又は目の上にあるデバイスを指す。これらのデバイスは光学補正、傷の手当、ドラッグデリバリー、診断機能又は美容向上もしくは効果、あるいは、これらの特性の組み合わせを提供することができる。有用な眼科デバイスとしては、限定するわけではないが、眼科レンズ、たとえば、ソフトヒドロゲルレンズ、ソフト非ヒドロゲルレンズなどのソフトコンタクトレンズ及び硬質ガス透過性レンズ材料などのハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼科インサート、光学インサートなどが挙げられる。当業者に理解されるとおり、レンズは破壊することなく折り返すことができるならば、「ソフト」であると見なされる。
【0012】
本発明のバイオメディカルデバイスは、エチレン系不飽和親水性モノマー又はエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物から形成される。エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは制御ラジカル重合により調製され、すなわち、マクロモノマーは可逆的付加開裂連鎖移動重合(「RAFT」)機構又は原子移動ラジカル重合(「ATRP」)機構により重合される。
【0013】
1つの実施形態において、本発明のバイオメディカルデバイスは、エチレン系不飽和親水性モノマー又はエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含み、ここで、その1種以上の親水性ポリマーはポリカーボネートブロックを含まない。
【0014】
1つの実施形態において、本発明のバイオメディカルデバイスは、エチレン系不飽和親水性モノマー又はエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含み、ここで、そのバイオメディカルデバイスは熱可塑性でない。
【0015】
1つの実施形態において、本発明のバイオメディカルデバイスは、エチレン系不飽和親水性モノマー又はエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含み、ここで、そのバイオメディカルデバイスはヒドロゲルである。
【0016】
1つの実施形態において、本発明のバイオメディカルデバイスは、エチレン系不飽和親水性モノマー又はエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位からなる1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーからなる混合物の重合生成物を含む。
【0017】
エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーのエチレン系不飽和部分の代表的な例としては、たとえば、(メタ)アクリレート含有基、(メタ)アクリルアミド含有基、ビニルカーボネート含有基、ビニルカルバメート含有基、スチレン含有基、イタコネート含有基、ビニル含有基、ビニルオキシ含有基、フマレート含有基、マレイミド含有基、ビニルスルホニル基などが挙げられる。本開示中で使用される際に、「(メタ)」は任意のメチル置換基を表す。このため、たとえば、用語「(メタ)アクリレート」はメタクリレート又はアクリレートのいずれか、「(メタ)アクリルアミド」はメタクリルアミド又はアクリルアミドのいずれかを表す。
【0018】
1つの実施形態において、エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーのエチレン系不飽和部分は一般式
【化1】

(上式中、Rは水素であるか又はメチルなどの1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、各R’は独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は−CO−Y−R”’基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、R”’は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、R”は結合基(たとえば、1〜約12個の炭素原子を有する二価のアルケニル基)であり、Bは−O−又は−NH−であり、Zは−CO−、−OCO−又は−COO−であり、Arは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、wは0〜6であり、aは0又は1であり、bは0又は1であり、そしてcは0又は1である)によって表される。エチレン系不飽和含有部分は側基、末端基又はその両方としてマクロモノマーに結合されうる。
【0019】
エチレン系不飽和部分に加えて、本開示に記載されるエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位をも含む。用語「エチレン系不飽和重合性」は、本開示中で使用される際に、上記で議論した任意のエチレン系不飽和部分を包含するものと理解されるべきである。
【0020】
親水性単位は同一であるか又は異なるエチレン系不飽和重合性親水性モノマーから得ることができる。マクロモノマー中で親水性単位を形成するのに適切なエチレン系不飽和重合性親水性モノマーとしては、たとえば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルアセトアミドなどのアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドンなどの環式ラクタム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル化アルコール、(メタ)アクリル化ポリ(エチレングリコール)など、メタクリル酸、アクリル酸などのエチレン系不飽和カルボン酸、及び、それらの混合物が挙げられる。
【0021】
1つの実施形態において、親水性単位は開環反応性官能基を有するエチレン系不飽和重合性親水性モノマーから得ることができる。このようなモノマーは、たとえば、アズラクトン、エポキシ、酸無水物などの1つ以上の開環反応性基を含むことができる。開環反応性官能基を有する適切なエチレン系不飽和重合性親水性モノマーとしては、限定するわけではないが、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルビニルカーボネート、グリシジルビニルカルバメート、ビニルシクロヘキシル−1,2−エポキシド、無水マレイン酸、無水イタコン酸など及びそれらの混合物が挙げられる。開環反応性官能基を有するエチレン系不飽和重合性親水性モノマーから得られる単位は、得られるエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマー中に親水性単位を形成するための親水性コモノマーと共重合することができる。親水性モノマーの開環反応性官能基と共重合させるのに有用な非限定的な親水性コモノマーの例としては上記のものが挙げられ、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び/又はN−ビニルピロリドンが好ましい。又は、開環反応性官能基を有するエチレン系不飽和重合性親水性モノマーから得られる単位は、たとえば、水で加水分解することにより、開環反応に付され、得られるエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマー中に親水性単位を形成することができる。
【0022】
1つの実施形態において、親水性単位は、たとえば、エチレン系不飽和保護モノマー、たとえば、窒素保護モノマー、アセテート保護モノマー、たとえば、酢酸ビニルなどから得られる。一般に、窒素保護モノマー(NPM)は窒素保護基により保護されているアミノ基を有する。本開示において使用される際に、「窒素保護基」は、窒素原子を重合反応に参加させないようにするために、その窒素原子に結合した基を意味する。第二級アミン基は本発明により保護されていることができるが、ほとんどの実施形態では、保護されたアミノ基は脱保護後に第一級アミン基を提供する。
【0023】
適切な窒素保護基としては、限定するわけではないが、(a)式C(O)O−R’の「カルバメート型」基(式中、R’は芳香族又は脂肪族炭化水素基であり、その基は場合により置換されていてよく、そしてそれが結合している窒素原子と一緒になってカルバメート基を形成している)、(b)式−C(O)−R”の「アミド型」基(式中、R”は、たとえば、メチル、フェニル、トリフルオロメチルなどであり、そしてそれが結合している窒素原子と一緒になってアミド基を形成している)、(c)「N−スルホニル」誘導体、すなわち、式−SO−R”’の基(式中、R”’は、たとえば、トリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−イル−、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンなどである)が挙げられる。
【0024】
窒素保護基の代表的な例としては、限定するわけではないが、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、2−クロロベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(alloc)、2−(4−ビフェニリル)プロピル−2−オキシカルボニル(Bpoc)、1−アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、トルエンスルホニルなどが挙げられる。
【0025】
1つの実施形態において、t−Boc保護モノマーの例としては、2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセトアミド)エチルメタクリレート、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルメタクリレート、tert−ブチル2−(ビニルオキシカルボニルオキシ)エチルカルバメート、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル−N−ビニルカルバメート、3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセトキシ)−2−ヒドロキシプロピル、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−グルタミン酸メタクリルオキシエチルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−6−(3−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ウレイド)ヘキサン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(メタクリロイルオキシ)プロパン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−6−メタクリルアミドヘキサン酸などが挙げられる。
【0026】
単位内に存在する窒素保護基は化学技術の分野でよく知られた方法によって重合後に容易に除去され、親水性単位を形成することができる。窒素保護基によりアミノ窒素原子を保護し、そして特定の反応後にアミノ窒素原子を脱保護するための技術は化学技術の分野でよく知られている。たとえば、GreeneらのProtective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991及び米国仮出願第61/113,736号;同第61/113,739号;同第61/113,742号;及び同第61/113,746号明細書を参照されたい。それらの内容を参照により本開示中に取り込む。例として、NPMは窒素保護されたアミノ酸又はアミノアルコールを、それぞれの酸又はアルコール基と反応性の基を有するエチレン系不飽和化合物と反応させることによって調製することができる。いくつかの実施形態では、窒素保護されたアミノ酸は、また、保護されていないアミン基又はヒドロキシル基を有することができ、そしてその第二のアミン基又はヒドロキシル基は、それぞれ、エチレン系不飽和に結合する反応サイトである。窒素保護されたアミノ酸がエチレン系不飽和基の結合の複数の利用可能なサイトを有するならば、2個以上のエチレン系不飽和基を有するNPMモノマーを生成することができる。
【0027】
当業者が容易に理解するとおり、これらのモノマーは「保護された」又は「ブロックされた」の形態では通常に疎水性である。より極性で親水性となるためには、保護基(たとえば、t−Bocモノマーの場合)は、単位から除去される必要があるであろう。これにより、バイオメディカルデバイスがより親水性の性質となり、そしてそれゆえ材料はより多量の水を保持することができるであろう。保護基を除去するための方法は当業者の範囲内である。
【0028】
別の実施形態において、親水性単位はエチレン系不飽和重合性アルコキシル化ポリマーから得ることができる。適切なエチレン系不飽和重合性アルコキシル化ポリマーとしては、例示として、分子量が、たとえば、約1000以下である重合可能なポリエチレングリコール、たとえば、CTFA名PEG−200、PEG−400、PEG−600、PEG−1000のもの及びそれらの混合物が挙げられる。代表的な例としては、PEG−200メタクリレート、PEG−400メタクリレート、PEG−600メタクリレート、PEG−1000メタクリレートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
1つの実施形態において、親水性単位の例としては、限定するわけではないが、ポリオキシアルキレン、ポリジメチルアクリルアミドなどのポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(HEMA)など及びそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
疎水性単位は同一であるか又は異なるエチレン系不飽和重合性疎水性モノマーから得ることができる。用語「エチレン系不飽和重合性」は、本開示中に使用される際に、上記に議論された任意のエチレン系不飽和部分を含むものと理解されるであろう。
【0031】
1つの実施形態において、疎水性単位はエチレン系不飽和重合性フッ素含有モノマーから得ることができる。適切な重合性フッ素含有モノマーとしては、1個以上の重合性エチレン系不飽和含有基が結合しており、そして場合により1個以上のエーテル結合基を含んでよいフッ素置換炭化水素が挙げられ、たとえば、1個以上の重合性エチレン系不飽和含有基が結合しているフッ素置換直鎖又は枝分かれC〜C18アルキル基で、場合によりエーテル結合を間に含んでよいもの、1個以上の重合性エチレン系不飽和含有基が結合しているフッ素置換C〜C24シクロアルキル基で、エーテル結合を間に含んでよいもの、1個以上の重合性エチレン系不飽和含有基が結合しているフッ素置換C〜C30アリール基で、エーテル結合を間に含んでよいものなど、が挙げられる。
【0032】
重合性フッ素含有モノマーの代表的な例としては、限定するわけではないが、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルビニルカーボネート、オクタフルオロペンチルn−ビニルカルバメート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロヘキシル(メタ)アクリレートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0033】
別の実施形態において、疎水性単位はエチレン系不飽和重合性エステル含有モノマーから得ることができる。適切なエチレン系不飽和重合性エステル含有モノマーとしては、たとえば、鎖中に4〜約26個の炭素原子、好ましくは約12〜約16個の炭素原子を有する脂肪酸から作られたビニルエステルを含む重合性脂肪酸エステル含有モノマーが挙げられる。適切な重合性脂肪酸エステル含有モノマーの例としては、限定するわけではないが、ビニルラウレート、ビニルノナノエート(vinyl nononoate)、ビニルピバレート、ビニルクロトネート(vinyl crotanate)、アリルクロトネート(allyl crotanate)、ビニルステアレートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
別の実施形態において、疎水性単位はエチレン系不飽和重合性ポリシロキサニルアルキル含有モノマーから得ることができる。適切な重合性ポリシロキサニルアルキル含有モノマーとしては、限定するわけではないが、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリルアミドなど及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態では、重合性ポリシロキサニルアルキル含有モノマーは、下記式で示すとおりのM1−MCR−C12である。
【0035】
【化2】

【0036】
1つの実施形態において、疎水性単位は開環反応性官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーから得ることができる。このようなモノマーは、たとえば、アズラクトン、エポキシ、酸無水物などの1個以上の開環反応性基を含むことができる。開環反応性官能基を有する適切なエチレン系不飽和重合性モノマーとしては、限定されるわけではないが、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルビニルカーボネート、グリシジルビニルカルバメート、4,4−ジメチル−2−ビニルオキサゾール−5(4H)−オン、ビニルシクロヘキシル−1,2−エポキシド、無水マレイン酸、無水イタコン酸など及びそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
別の実施形態において、疎水性単位はアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカルバメート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、N−フルオロアルキルビニルカーボネート、N−フルオロアルキルビニルカルバメート、シリコーン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、ビニルエステル、スチレン系モノマー、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなど及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる疎水性モノマーから得ることができる。このような疎水性モノマーの代表的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシルメタクリレート及びラウリル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、パーフルオロオクチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルモノクロロスチレン及びp−t−ブチルジクロロスチレン、メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、酢酸ビニル、t−ブチルアリルカルバメート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
疎水性単位の代表的な例としては、限定するわけではないが、ポリシロキサン、パーフルオロ化ポリエーテル、ポリフルオロアルキル、ポリジエンなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマー中の親水性単位又は疎水性単位は、有利には、リビングラジカル重合又は制御フリーラジカル重合により得られる。用語「制御(された)」は予め決められたモル質量及び低多分散度を有するマクロモノマーを得ることができるすべての重合法を記載するために本開示中において使用される。1つの実施形態では、リビングラジカル重合は、チオカルボニルチオ可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤(又はRAFT基)によって行われる。別の実施形態では、リビングラジカル重合は原子移動ラジカル重合(ATRP)基によって行われる。
【0040】
リビングラジカル重合がRAFT重合による場合には、RAFT重合で用いるRAFT剤は当業者によく知られているチオカルボニルチオ化学に基づくものである。チオカルボニルチオ断片は各化合物がチオカルボニルチオ基を含むキサンテート含有化合物、トリチオカーボネート含有化合物、ジチオカルバメート含有化合物又はジチオエステル含有化合物などの単官能又は二官能RAFT剤から得ることができる。本開示中で使用可能なRAFT剤の1つのクラスは下記一般式のものである。
【0041】
【化3】

【0042】
上式中、xは1又は2であり、Zは置換酸素(たとえば、キサンテート(−O−R))、置換窒素(たとえば、ジチオカルバメート(−NR))、置換硫黄(たとえば、トリチオカーボネート(−S−R))、置換もしくは非置換のC〜C20アルキルもしくはC〜C25不飽和もしくは部分的もしくは完全に飽和の環(たとえば、ジチオエステル(−R))又はカルボン酸含有基であり、R及びRは独立に直鎖又は枝分かれの置換又は非置換C〜C30アルキル基、置換又は非置換C〜C30シクロアルキル基、置換又は非置換C〜C30シクロアルキルアルキル基、置換又は非置換C〜C30シクロアルケニル基、置換又は非置換C〜C30アリール基、置換又は非置換C〜C30アリールアルキル基、C〜C20エステル基、エーテル含有基又はポリエーテル含有基、アルキルアミド基又はアリールアミド基、アルキルアミン基又はアリールアミン基、置換又は非置換C〜C30ヘテロアリール基、置換又は非置換C〜C30複素環、置換又は非置換C〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換C〜C30ヘテロアリールアルキル基、カルボン酸含有基及びそれらの組み合わせである。
【0043】
ここでの使用のためのアルキル基の代表的な例として、たとえば、分子の残りの部分への、1〜約30個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子及び水素原子を含み、不飽和を有しても又は有しなくてもよい直鎖又は枝分かれアルキル鎖の基が挙げられ、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、メチレン、エチレンなどが挙げられる。
【0044】
ここでの使用のためのシクロアルキル基の代表的な例として、たとえば、約3〜約30個の炭素原子、好ましくは3〜約6個の炭素原子の置換又は非置換の非芳香族単環系又は多環系、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチル及びノルボルニル基、橋架け環式基又はスピロ二環式基、たとえば、スピロ−(4,4)−ノン−2−イルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0045】
ここでの使用のためのシクロアルキルアルキル基の代表的な例としては、たとえば、アルキル基に直接的に結合した約3〜約30個の炭素原子、好ましくは3〜約6個の炭素原子を含む置換又は非置換環含有基が挙げられ、その基は安定な構造を形成するアルキル基の任意の炭素でモノマーの主構造に結合しており、たとえば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチルなどで、その環が場合により1個以上のヘテロ原子、たとえば、O又はNなどを含むことができるものが挙げられる。
【0046】
ここでの使用のためのシクロアルケニル基の代表的な例としては、たとえば、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、約3〜約30個の炭素原子、好ましくは3〜約6個の炭素原子を含む、置換又は非置換の環含有基、たとえば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルなどであって、その環が場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むことができるものが挙げられる。
【0047】
ここでの使用のためのアリール基の代表的な例としては、たとえば、約5〜約30個の炭素原子を含む、置換又は非置換の単環芳香族基又は多環芳香族基、たとえば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0048】
ここでの使用のためのアリールアルキル基の代表的な例としては、たとえば、本開示中で規定されるとおりのアルキル基に直接結合された、本開示中で規定されるとおりの置換又は非置換アリール基、たとえば、−CH、−Cなどが挙げられ、上記アリール基は場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むことができる。
【0049】
ここでの使用のためのエステル基の代表的な例としては、たとえば、1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0050】
ここでの使用のためのエーテル含有基又はポリエーテル含有基の代表的な例としては、たとえば、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルキルアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテルが挙げられ、ここで、上記のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール及びアリールアルキル基は本開示中に規定されるとおりである。例示のエーテル含有基又はポリエーテル含有基としては、たとえば、アルキレンオキシド、ポリ(アルキレンオキシド)、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)及びそれらの混合物又はコポリマー、一般式−(ROR(式中、Rは結合、本開示中で規定されるとおりの置換又は非置換アルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、Rは本開示中に規定されるとおりの置換又は非置換アルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、tは少なくとも1である)のエーテル基又はポリエーテル基、たとえば、−CHCHOC及びCH−CH−CH−O−CH−(CF−H(式中、zは1〜6である)、−CHCHOCなどが挙げられる。
【0051】
ここでの使用のためのアルキルアミド基又はアリールアミド基の代表的な例としては、たとえば、一般式−RC(O)NR(式中、R、R及びRは独立にC〜C30炭化水素であり、たとえば、Rは本開示中に規定されるとおりのアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基であってよく、そしてR及びRはアルキル基、アリール基及びシクロアルキル基であってよい)のアミドなどが挙げられる。
【0052】
ここでの使用のためのアルキルアミン基又はアリールアミン基の代表的な例としては、たとえば、一般式−RNR1011(式中、RはC〜C30アルキレン、アリーレン又はシクロアルキレン基であり、そしてR10及びR11は独立にC〜C30炭化水素、たとえば、本開示中に規定されるとおりのアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基である)のアミンが挙げられる。
【0053】
ここでの使用のための複素環基の代表的な例として、たとえば、置換又は非置換の安定した3〜約30員環基であり、炭素原子及び1〜5個のヘテロ原子、たとえば、窒素、リン、酸素、硫黄及びそれらの混合物を含むものが挙げられる。ここでの使用に適した複素環基は単環系、二環系又は三環系であることができ、その環系は縮合、橋かけ又はスピロ環系を含んでよく、そして複素環基中の窒素、リン、炭素、酸素又は硫黄原子は場合により様々な酸化状態に酸化されていてよい。さらに、窒素原子は、場合により第四級化されてよく、そして環基は部分的又は完全に飽和であってよい(すなわち、ヘテロ芳香族又はヘテロアリール芳香族)。このような複素環基の例としては、限定するわけではないが、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフルニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾイル(tetrazoyl)、イミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、インダニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフルチル(tetrahydrofurtyl)、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、イソクロマニルなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
ここでの使用のためのヘテロアリール基の代表的な例としては、たとえば、本開示中に規定されるとおりの置換又は非置換複素環基が挙げられる。ヘテロアリール環基は、安定した構造の形成をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子で主構造に結合されうる。
【0055】
ここでの使用のためのヘテロアリールアルキル基の代表的な例としては、たとえば、本開示中に規定されるとおりのアルキル基に直接結合された、本開示中に規定されるとおりの置換又は非置換ヘテロアリール環基が挙げられる。ヘテロアリールアルキル基は、安定した構造の形成をもたらす、アルキル基の任意の炭素原子で主構造に結合されうる。
【0056】
ここでの使用のための複素環基の代表的な例としては、たとえば、本開示中に規定されるとおりの置換又は非置換複素環が挙げられる。複素環基は、安定した構造の形成をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子で主構造に結合されうる。
【0057】
ここでの使用のためのヘテロシクロアルキル基の代表的な例としては、たとえば、本開示中に規定されるとおりのアルキル基に直接結合した、本開示中に規定されるとおりの置換又は非置換複素環基が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、安定した構造の形成をもたらす、アルキル基中の任意の炭素原子で主構造に結合されうる。
【0058】
ここでの使用のためのカルボン酸含有基の代表的な例としては、たとえば、結合基を介して分子の残りの部分に結合されたカルボン酸基、たとえば、一般式−R12C(O)OH(式中、R12は結合、本開示中に規定されるとおりの置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換シクロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキレン基、置換もしくは非置換アリーレン又は置換もしくは非置換アリールアルキレン基である)であり、たとえば、−CH−(Ar)(C(O)OH)、−C(CH)(C(O)OH)などが挙げられる。
【0059】
「置換酸素」、「置換窒素」、「置換硫黄」、「置換アルキル」、「置換アルキレン」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルキルアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換アリールアルキル」、「置換アリール」、「置換複素環」、「置換ヘテロアリール環」、「置換ヘテロアリールアルキル」、「置換ヘテロシクロアルキル環」、「置換環式環」中の置換基は同一であっても又は異なっていてもよく、そしてかかる置換基として、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アミノ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換ヘテロアリールアルキル、置換又は非置換複素環などの1つ以上の置換基が挙げられる。
【0060】
ここでの使用のためのRAFT剤の代表的な例としては、限定するわけではないが、ベンジルドデシルトリチオカーボネート、エチル−2−ドデシルトリチオカルボニルプロプリオネート(ethyl-2-dodecyl trithiocarbony)proprionate)、S−secプロピオン酸O−エチルキサンテート、α−エチルキサンチルフェニル酢酸、エチルα−(O−エチルキサンチル)プロプリオネート(ethyl α-(o-ethyl xanthyl)proprionate)、エチルα−(エチルキサンチル)フェニルアセテート、エチル2−(ドデシルトリチオカルボニル)フェニルアセテート、エチル2−(ドデシルトリチオカルボニル)プロピオネート、2−(ドデシルチオカルボニルチオール)プロパン酸など及びそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
RAFT剤を形成するために使用される有機化学には特に限定がなく、当業者の範囲内である。また、以下の実施例は指針を提供する。たとえば、RAFT剤は、下記スキームI〜IIIに例示されるとおりに調製することができる。
【0062】
【化4】

【0063】
1つの実施形態において、エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーはRAFT重合から得られ、その重合は(1)親水性モノマー又は疎水性モノマーをRAFT剤と混合すること、(2)重合開始剤を添加すること、及び(3)混合物を熱源に付すことを含む。典型的な開始剤としては、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、コプリリル(coprylyl)ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、過炭酸ナトリウム、tert−ブチルペルオクトエート及びアゾビス−イソニトリル(AIBN)で示されるタイプのフリーラジカル発生性重合開始剤が挙げられる。開始剤の使用レベルはモノマーの混合物の0.01〜2質量%の範囲内で変化するであろう。所望ならば、上記のモノマーの混合物はフリーラジカル形成剤の添加とともに温められる。
【0064】
反応は、約40℃〜約100℃の温度で約2〜約24時間行うことができる。反応は、適切な溶剤の存在下で行うことができる。適切な溶剤は、原則的に、使用されるモノマーを溶解させるすべての溶剤であり、たとえば、ジメチルホルムアミドなどのカルボキサミド、ジメチルスルホキシドなどの双極性非プロトン性溶剤、アセトン又はシクロヘキサノンなどのケトン、トルエンなどの炭化水素などである。
【0065】
次に、エチレン系不飽和含有部分は、誘導化剤の使用により、続く工程において導入される。適切な誘導化剤としては、メタクリル化反応の場合には、過剰の無水メタクリル酸、メタクリロイルクロリド(methacroyloyl chrolide)、2−イソシアノエチルメタクリレートなどの使用であることができる。他の誘導化剤としては、たとえば、アリル基の付加のためにはアリルアルコール、アリルブロミドなど、又は、N−ビニル基及びO−ビニル基の付加のためにはビニルイソシアネート、ビニルクロロホルメートなどが挙げられる。これらの例は限定することを意図しておらず、当業者は非両親媒性マクロモノマーを形成するためのエチレン系不飽和基を導入するための様々な変更を挙げることができる。
【0066】
別の実施形態において、エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーはRAFT重合から得ることができ、その重合は(1)アリルメタクリレートなどのジエチレン系不飽和含有モノマー(ここで、エチレン系不飽和基のいずれかが優先的に重合)及びRAFT剤を混合すること、(2)重合開始剤を添加すること、及び(3)混合物を熱源に付すことを含む。典型的な開始剤としては、上記のフリーラジカル発生性重合開始剤が挙げられる。反応は約40℃〜約100℃の温度で約2〜約24時間行うことができる。
【0067】
所望ならば、反応を適切な溶剤の存在下に行うことができる。適切な溶剤は、原則的に、使用されるモノマーを溶解させるすべての溶剤であり、たとえば、ジメチルホルムアミドなどのカルボキサミド、ジメチルスルホキシドなどの双極性非プロトン性溶剤、アセトン又はシクロヘキサノンなどのケトン、トルエンなどの炭化水素などである。
【0068】
次に、マクロモノマー中に親水性又は疎水性ホモポリマーを形成するために親水性又は疎水性モノマーを導入する。
【0069】
本開示中に開示されるエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを製造するための様々な合成方法の限定しない模式的な例をRAFT剤とともに下記のスキームIV〜VIに示す。
【0070】
【化5】

【0071】
上式中、R及びRはモノマーを親水性又は疎水性とすることができる任意の置換基又は任意の基であり、mは独立に約1〜約20であり、そしてnは独立に約10〜約2000である。
【0072】
【化6】

【0073】
上式中、R、R、m及びnは上記の意味である。
【0074】
親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーがATRP重合から得られる場合には、エチレン系不飽和基は適切なATRP開始剤の適切な選択によって、又は、末端ハロゲン原子の置換反応によって導入することができる。ここでの使用に適したATRP基としては、当業者に知られているとおりの任意の標準的な単官能性又は二官能性ATRP基が挙げられる。テレケリックポリマーを生成するための求電子性反応、求核性反応及びラジカル反応を用いた端末ハロゲンの置換又はATRP開始剤の使用に関する総説は、たとえば、Matyjaszewski, K.; Xia, J. Chem. Rev., 101, 2921-2990 (2001)に開示されている。
【0075】
1つの実施形態において、有用なATRP基としては、たとえば、ビニル官能化ATRP開始剤などのエチレン系不飽和ATRP開始剤、たとえば、プロプ−2−エニル−2’−ブロモイソブチレート、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテート、臭化アリルなどが挙げられる。これらの開始剤は親水性モノマー又は疎水性モノマーのいずれかを重合するために使用される。
【0076】
別の実施形態において、有用なATRP基としては、続いて行う工程によりエチレン系不飽和開始剤へと転化されうる非エチレン系不飽和ATRP開始剤が挙げられる。このような開始剤の例としては、ヒドロキシエチル2−ブロモプロピオネート、グリシドール2−ブロモプロピオネート、tert−ブチル2−ブロモプロピオネート及び4−ブロモベンジルブロミドなどが挙げられる。これらの開始剤は、親水性モノマー又は疎水性モノマーのいずれかを重合するために使用され、その後、上記のとおりの適切な誘導化剤によりエチレン系不飽和基に転化される。
【0077】
別の実施形態において、親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーはATRP重合から得られ、その重合は(1)ATRP開始剤及び適切なATRP触媒を用いて親水性モノマー又は疎水性モノマーを重合すること、(2)エチレン系不飽和を与えるための求電子性反応、求核性反応及びラジカル反応を用いて末端ハロゲンを誘導化することを含む。1つの例では、不飽和末端基はアリルアルコールなどのエチレン系不飽和含有剤を使用して転化されうる。
【0078】
反応は約50℃〜約150℃の温度で約1〜約48時間行うことができる。反応は、適切な溶剤の存在下に行うことができる。適切な溶剤は、原則的に、使用されるモノマーを溶解させるすべての溶剤であり、たとえば、ジメチルホルムアミドなどのカルボキサミド、ジメチルスルホキシドなどの双極性非プロトン性溶剤、アセトン又はシクロヘキサノンなどのケトン、トルエンなどの炭化水素などである。
【0079】
ATRP剤を用いた、本開示中に開示されるエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを製造するための様々な合成方法の限定しない模式的な例を下記のスキームVII〜VIIIに示す。
【0080】
【化7】

【0081】
上式中、R及びRは上記の意味であり、そしてnは約10〜約3000である。
【0082】
【化8】

【0083】
上式中、R、R及びnは上記の意味である。
【0084】
得られたエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは約1000〜約300,000、好ましくは約10,000〜約100,000の範囲の数平均分子量を有することができる。
【0085】
重合して本発明のバイオメディカルデバイスを形成する混合物は、さらに、従来のバイオメディカルデバイス形成性又は眼科レンズ形成性モノマーを含むことができる。本開示中に使用されるときに、「モノマー」又は「単量体」などの用語はフリーラジカル重合により重合可能な比較的低分子量の化合物、ならびに、「プレポリマー」、「マクロモノマー」及び関連用語としても参照される、より高分子量の化合物を意味する。一般に、バイオメディカルデバイス形成性コモノマーは少なくとも1個の重合性基又はフリーラジカル重合性基を含む。適切な重合性基又はフリーラジカル重合性基は(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、スチレニル基、アルケニル基、ビニルカーボネート基、ビニルカルバメート基及びそれらの組み合わせから選択される。1つの実施形態において、適切なコモノマーとしては、疎水性モノマー、親水性モノマーなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0086】
親水性コモノマーの代表的な例としては、限定するわけではないが、メタクリル酸及びアクリル酸などの不飽和カルボン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセリルメタクリレートなどの(メタ)アクリル置換アルコール又はポリオール、N−ビニルピロリドンなどのビニルラクタム、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。なおもさらなる例は、米国特許第5,070,215号明細書に開示されている親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、及び米国特許第4,910,277号明細書に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水性モノマーは当業者に明らかであろう。親水性モノマーは混合物の総質量に基づいて、約0.1〜約90質量%の範囲の量で混合物中に存在することができる。
【0087】
様々な好ましい実施形態によると、重合される当初混合物は、少なくとも1種の(メタ)アクリル置換アルコール、たとえば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びグリセリルメタクリレートの少なくとも1つを、好ましくは少なくとも約0.1〜約50質量%の量で含むことができる。好ましくは、重合される混合物は、少なくとも1種のビニルラクタム、たとえば、N−ビニルピロリドン及び/又は少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、たとえば、N,N−ジメチルアクリルアミドをさらに含む。
【0088】
適切な疎水性モノマーとしては、C〜C20アルキル及びC〜C20シクロアルキル(メタ)アクリレート、置換及び非置換C〜C30アリール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フッ素化アルキルメタクリレート、オクチルアクリルアミドなどの長鎖アクリルアミドなどが挙げられる。疎水性モノマーは混合物の総質量に基づいて、約0.1〜約90質量%の範囲の量で混合物中に存在することができる。
【0089】
別のクラスのバイオメディカルデバイス形成性又はレンズ形成性モノマーはシリコーン含有モノマーである。別の言い方をすると、たとえば、もし高酸素透過率を有する重合生成物を得ることを望むならば、ランダムコポリマーに加えて、1〜約60個のケイ素原子を含むシリコーン含有コモノマーが当初混合物中に含まれていてよい。シリコーンヒドロゲルなどのコンタクトレンズの形成における使用のための応用可能なシリコーン含有モノマーは当該技術分野でよく知られており、多数の例が、たとえば、米国特許第4,136,250号明細書、同第4,153,641号明細書、同第4,740,533号明細書、同第5,034,461号明細書、同第5,070,215号明細書、同第5,260,000号明細書、同第5,310,779号明細書及び同第5,358,995号明細書に提供されている。
【0090】
応用可能なシリコーン含有モノマーの代表的な例としては、嵩高なポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。嵩高なポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーの例は下記式Iの構造で表される。
【0091】
【化9】

【0092】
上式中、Xは−O−又は−NR−であり、Rは水素又はC〜Cアルキルであり、各R12は独立に水素又はメチルであり、各R13は独立に低級アルキル基、フェニル基又は下記式の基
【化10】

であり、ここで、各R13’は独立に低級アルキル又はフェニル基であり、hは1〜10である。
【0093】
他の応用可能なシリコーン含有モノマーの代表的な例としては、限定するわけではないが、式Iaに一般に記載されるとおりの嵩高なポリシロキサニルアルキルカルバメートモノマーなどが挙げられる。
【0094】
【化11】

【0095】
上式中、Xは−NR−であり、Rは水素又はC〜Cアルキルであり、R12は水素又はメチルであり、各R13は独立に低級アルキル基、フェニル基又は下記式の基
【化12】

であり、ここで、各R13’は独立に低級アルキル又はフェニル基であり、hは1〜10である。
【0096】
嵩高なモノマーの例は3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン又はトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(しばしばTRISと呼ばれる)及びトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルビニルカルバメート(しばしばTRIS−VCと呼ばれる)など及びそれらの混合物である。
【0097】
このような嵩高なモノマーはシリコーンマクロモノマーと共重合可能であり、それは分子の2つ以上の末端において不飽和基によってキャッピングされたポリ(オルガノシロキサン)である。米国特許第4,153,641号明細書は、たとえば、アクリルオキシ基又はメタクリルオキシ基などの様々な不飽和基を開示している。
【0098】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、限定するわけではないが、シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、たとえば、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチルジシロキサン、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートなどが挙げられる。
【0099】
別のクラスのシリコーン含有モノマーとしては、ポリウレタン−ポリシロキサンマクロモノマー(時折、プレポリマーとも呼ぶ)が挙げられ、それは伝統的なウレタンエラストマーと同様のハード−ソフト−ハードブロックを有することができる。シリコーンウレタンの例はLai, Yu-Chin, “The Role of Bulky Polysiloxanylalkyl Methacrylates in Polyurethane-Polysiloxane Hydrogels,”Journal of Applied Polymer Science, Vol. 60, 1193-1199(1996)”を含む様々な文献中に開示されている。国際公開WO96/31792号明細書もこのようなモノマーの例を開示しており、その内容の全体を参照により本開示中に取り込む。シリコーンウレタンモノマーのさらなる例は式II及びIIIによって表される。
E(G)E’ (II) 又は
E(A)E’ (III)
【0100】
Dはアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、6〜約30個の炭素原子を有し、
Gはアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、1〜約40個の炭素原子を有し、そしてそれは、エーテル結合、チオ結合又はアミン結合を主鎖に含むことができ、
*はウレタン結合基又はウレイド結合基であり、
aは少なくとも1であり、
Aは式IVの二価ポリマー基であり、
【化13】

各Rは独立に1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基又はフルオロ置換アルキル基であり、それは炭素原子の間にエーテル結合を含むことができ、
m’は少なくとも1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、
各E及びE’は独立に式Vにより表される重合性不飽和有機基であり、
【化14】

上式中、Rは水素又はメチルであり、
は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又は、−CO−Y−R11基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、
10は1〜約10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
11は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Xは−CO−又は−OCO−であり、
Zは−O−又は−NH−であり、
Arは約6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、
wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0101】
好ましいシリコーン含有ウレタンモノマーは下記式VIにより表される。
【0102】
【化15】

【0103】
上式中、mは少なくとも1であり、好ましくは3又は4であり、aは少なくとも1であり、好ましくは1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、好ましくは少なくとも約30であり、R12はイソシアネート基を取り除いた後のジイソシアネートの二価基であり、たとえば、イソホロンジイソシアネートの二価基であり、各E”は下記により表される基である。
【0104】
【化16】

【0105】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、フッ素化モノマーが挙げられる。このようなモノマーはフルオロシリコーンヒドロゲルの生成に使用されており、結果として、それから作られたコンタクトレンズ上の付着物の堆積を抑制し、そのことはたとえば米国特許第4,954,587号明細書、同第5,010,141号明細書及び同第5,079,319号明細書に記載されるとおりである。特定のフッ素化側基、すなわち、−(CF)−Hを有するシリコーン含有モノマーの使用は、親水性モノマー単位とシリコーン含有モノマー単位との相容性を改良することが発見されており、たとえば、米国特許第5,321,108号明細書及び同第5,387,662号明細書を参照されたい。
【0106】
上記のシリコーン材料は単なる例示であり、そして本発明に係るバイオメディカルデバイスを形成するのに使用され、様々な刊行物中に開示され、コンタクトレンズ及び他のバイオメディカルデバイスにおける使用のために継続的に開発されている他の材料も、また、使用できる。たとえば、バイオメディカルデバイス形成性コモノマーはカチオン性シリコーン含有モノマー又はカチオン性フッ素化シリコーン含有モノマーなどのカチオン性モノマーであることができる。
【0107】
重合される混合物は、主題のエチレン系不飽和マクロモノマーに加えて、存在する場合には0〜約50質量%、好ましくは約5〜約30質量%のシリコーンコモノマーを含むことができる。
【0108】
重合される混合物は、また、架橋性モノマー(架橋性モノマーは複数の重合性官能基を有するモノマーと規定される)をも含むことができる。代表的な架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、グリコールジメタクリレートのビニルカーボネート誘導体及びメタクリルオキシエチルビニルカーボネートが挙げられる。架橋剤を使用する場合には、このモノマー材料は、約0.1〜約20質量%でモノマー混合物中に含まれてよく、より好ましくは約0.2〜約10質量%で含まれる。
【0109】
必須ではないが、本発明の範囲に入るエチレン系不飽和マクロモノマーに、重合前に、場合により、1種以上の補強剤を、好ましくは約80質量%未満の量で、好ましくは約20〜約60質量%の量で添加することができる。適切な補強剤の非限定的な例は米国特許第4,327,203号、同第4,355,147号及び同第5,270,418号明細書に記載されており、その各々の全体を参照によって本開示中に取り込む。このような補強剤の限定を意図しない具体例としては、たとえば、tert−ブチルシクロヘキシルメタクリレート及びイソプロピルシクロペンチルアクリレートなどのシクロアルキルアクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
【0110】
重合される混合物は、必要な際には、本発明の目的及び効果を損なわない限度内で、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、内部湿潤剤、強化剤などの各種添加剤など及び当該技術分野でよく知られている他の成分をさらに含んでよい。
【0111】
本発明のバイオメディカルデバイス、たとえば、コンタクトレンズ又は眼内レンズは、上記の混合物を重合して、次いで、たとえば、旋盤加工、射出成形、圧縮成形、切断などによって適当な形状に加工されうる生成物を生成することで調製することができる。たとえば、コンタクトレンズを製造するときに、初期の混合物をチューブ中で重合してロッド形状の製品を提供し、その後、それをボタンに切断する。その後、ボタンを旋盤加工してコンタクトレンズとすることができる。
【0112】
又は、コンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスは、たとえば、スピンキャスティング及び静的キャスティング法によって、混合物からモールド、たとえば、ポリプロピレンモールドに直接キャスティングされることができる。スピンキャスティング法は米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号明細書に開示されており、静的キャスティング法は米国特許第4,113,224号、同第4,197,266号及び同第5,271,875号明細書に開示されている。スピンキャスティング法は、重合される混合物をモールドに充填し、そしてその混合物をUV光などの放射線源に暴露しながら制御した様式でモールドを回転させることを含む。静的キャスティング法は、1つのモールドセクションが前部レンズ表面を形成するような形状であり、他方のモールドセクションが後部レンズ表面を形成するような形状である、2つのモールドセクションの間に混合物を充填し、モールドアセンブリー中に混合物を保持しながら、たとえば、混合物のフリーラジカル重合によって硬化させてレンズを形成することを含む。レンズ材料を硬化させるためのフリーラジカル反応技術の例としては、熱照射、赤外線照射、電子ビーム線照射、γ線照射、紫外線(UV)照射などが挙げられ、このような技術の組み合わせも使用することができる。米国特許第5,271,875号明細書は前部モールド及び後部モールドによって画定される、モールドキャビティー中で最終のレンズの成形を行うことが可能である静的キャスト成形法を記載している。さらなる方法として、米国特許第4,555,732号明細書はモールド内でのスピンキャスティングによって過剰の混合物を硬化させ、前部レンズ表面及び比較的に厚い厚さを有する成形品を形成し、硬化したスピンキャスト製品の後部表面を、次いで、旋盤加工して、所望の厚さ及び後部レンズ表面を有するコンタクトレンズを提供する方法を開示している。
【0113】
重合は熱及び/又は紫外光、可視光又は高エネルギー線などの放射線に混合物を暴露することにより促進されうる。重合開始剤は重合工程を促進するために混合物中に含まれることができる。代表的なフリーラジカル熱重合開始剤の例としては、有機過酸化物、たとえば、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、ペルオキシジカーボネートなどが挙げられる。代表的なUV開始剤は当該技術分野に知られたものであり、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ダロキュア(Darocure)1173,1164,2273,1116,2959,3331(EM Industries)及びイルガキュア(Irgacure)651及び184(Ciba−Geigy)などが挙げられる。一般に、開始剤は合計混合物の約0.01〜約5質量%の濃度でモノマー混合物中に使用されるであろう。
【0114】
重合は、一般に、溶剤、たとえば、水又は1〜12個の炭素原子を有するアルカノール、たとえば、メタノール、エタノール又はプロパン−2−オールを用いた溶液又は分散液などの反応媒体中で行われる。又は、上記の任意の溶剤の混合物を使用できる。
【0115】
一般に、重合は約15分間〜約72時間、たとえば窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下に行うことができる。所望ならば、得られた重合生成物は、たとえば、約5〜約72時間、真空下に乾燥してよく又は使用前に水溶液中に入れておくことができる。
【0116】
混合物の重合によりポリマーを生じ、そのポリマーが水和されるときにヒドロゲルを形成する。一般に、混合物は混合物の合計質量を基準として、約0.1〜約60質量%、好ましくは約5〜約25質量%の範囲の量でエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含むであろう。バイオメディカルデバイス形成性コモノマーは混合物の合計質量を基準として、約40〜約99.9質量%、好ましくは約75〜約95質量%の範囲の量で混合物中に存在することができる。
【0117】
ヒドロゲルレンズを製造するときに、混合物は少なくとも1種の希釈剤をさらに含んでよく、その希釈剤は重合生成物が水和されてヒドロゲルを形成するときに最終的に水で置換される。一般に、ヒドロゲルの含水率は約5質量%より大きく、より一般的には約10質量%〜約80質量%である。使用される希釈剤の量は約50質量%未満とすべきであり、ほとんどの場合には希釈剤含有率は約30質量%未満であろう。しかしながら、特定のポリマー系では、実際の制限は希釈剤中の各種モノマーの溶解度によって決まるであろう。光学的に透明なコポリマーを製造するためには、視覚的な不透明性を生じさせる相分離がコモノマーと希釈剤の間又は希釈剤と最終コポリマーとの間に起こらないことが重要である。
【0118】
さらに、使用されうる希釈剤の最大量は希釈剤が最終のポリマーに生じさせる膨潤の量によって決まるであろう。過度の膨潤は水和時に希釈剤を水で置換するときにコポリマーを崩壊させる又は崩壊させうる。適切な希釈剤としては、限定するわけではないが、エチレングリコール、グリセリン、液体ポリ(エチレングリコール)、アルコール、アルコール/水混合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、低分子量直鎖ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、乳酸のグリコールエステル、ホルムアミド、ケトン、ジアルキルスルホキシド、ブチルカルビトールなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0119】
必要ならば、縁仕上げ操作の前に、レンズから残存希釈剤を除去することが望ましいことがあり、そのことは周囲圧力もしくはその付近又は真空下での蒸発によって行うことができる。希釈剤を蒸発させるのに必要な時間を短縮するために高温を用いることができる。溶剤除去工程の時間、温度及び圧力条件は、希釈剤及び特定のモノマー成分の揮発性などの因子によって様々であることができ、当業者によって容易に決定することができる。所望ならば、ヒドロゲルレンズを製造するために使用される混合物はヒドロゲル材料を製造するための従来技術で知られた架橋剤及び湿潤剤をさらに含むことができる。
【0120】
眼内レンズの場合には、重合される混合物は得られるコポリマーの屈折率を増加させるためのモノマーをさらに含むことができる。このようなモノマーの例は芳香族(メタ)アクリレート、たとえば、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートである。
【0121】
ここで得られるコンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスは、任意的に行う機械加工操作を受けることができる。たとえば、任意的に行う機械加工工程としては、レンズ縁及び/又は表面のバフ研磨又はポリッシングが挙げられる。一般に、このような機械加工処理は製品がモールド部品から解放される前又は後に行われてよく、たとえば、真空ピンセットを用いてモールドからレンズを持ち上げることによってレンズをモールドから乾燥解放し、その後、レンズを機械ピンセット手段によって第二の真空ピンセットに移し、そして回転表面に置くことで表面又は縁をなめらかにする。その後、レンズの反対面を機械加工するためにレンズをひっくり返すことができる。
【0122】
その後、レンズを緩衝塩類溶液を含む個々のレンズパッケージに移すことができる。塩類溶液はレンズの移送前又は後のいずれでもパッケージに添加することができる。適切なパッケージングデザイン及び材料は当該技術分野で知られている。プラスチックパッケージはフィルムによって開放可能にシールされる。適切なシーリングフィルムは当該技術分野で知られており、ホイル、ポリマーフィルム及びそれらの組み合わせが挙げられる。レンズを含むシール済みパッケージはその後、無菌化されて無菌製品とする。適切な無菌化手段及び条件は当該技術分野で知られており、たとえば、オートクレービングが挙げられる。
【0123】
当業者が容易に理解するとおり、上記のモールディング及びパッケージングプロセスに他の工程が含まれてよい。このような他の工程としては、たとえば、形成されたレンズのコーティング、(たとえば、モールド輸送による)形成の間のレンズの表面処理、レンズの検査、欠陥レンズの廃棄、モールドハーフのクリーニング、モールドハーフの再使用など及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【実施例】
【0124】
下記の実施例は当業者が本発明を実施することができるように提供されるものであって、本発明の単なる例示である。実施例は特許請求の範囲に規定されるとおりの発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0125】
実施例において、下記の略語を使用する。
DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル(VazoTM64)
TRIS:3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
HEMAVC:メタクリルオキシエチルビニルカーボネート
IMVT:1,4−ビス(4−(2−メタクリルオキシエチル)フェニルアミノ)アントラキノン
THF:テトラヒドロフラン
【0126】
例1
以下の構造を有するエチルα−(O−エチルキサンチル)プロプリオネート(ethyl α-(o-ethyl xanthyl)proprionate)の調製:
【化17】

【0127】
500mL3つ口丸底フラスコはマグネティックスターラ、窒素インレット及び温度プローブを装備していた。エチル−2−ブロモプロピオネート(27.2g)及び500mLの無水エタノールを合わせ、窒素下に20分間撹拌した。反応フラスコを氷/水浴中に0℃で入れた。粉末漏斗を使用してカリウムO−エチルキサンテート(26.4g)を徐々に添加した。漏斗を追加量のエタノール50mLで濯いだ。反応フラスコを室温でさらに24時間攪拌した。その後、脱イオン水(250mL)を反応フラスコに加えた。粗混合物を、200mLの2:1のヘキサン:エチルエーテルで4回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶剤を減圧下で除去し、32.22gの所望の生成物を得た(97%収率)。
【0128】
例2
以下の構造を有するα−(エチルキサンチル)トルエンの調製:
【化18】

【0129】
250mLの3つ口丸底フラスコはマグネティックスターラ、窒素インレット、フリードリッヒコンデンサー及び温度プローブを装備していた。無水エタノール(125mL)及びベンジルブロミド(14.4g)を添加した後に、反応フラスコを氷/水浴に0℃で入れ、そして1時間攪拌した。粉末漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテート(17.63g)を反応フラスコにゆっくりと添加した。反応フラスコを室温でさらに16時間攪拌し、その後、精製水200mLをフラスコに添加した。200mLの2:1のペンタン:エチルエーテルで粗混合物を3回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去し、15.09g(84.6%収率)の所望の生成物を残した。
【0130】
例3
以下の構造を有する(1−フェニルエチル)エチルキサンテートの調製:
【化19】

【0131】
500mLの3つ口丸底フラスコはマグネティックスターラ、窒素インレット及び温度プローブを装備していた。1−ブロモエチルベンゼン(20.5mL)及び200mLの無水エタノールを添加した。反応フラスコを氷/水浴に0℃で入れた。粉末漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテートを反応フラスコに徐々に添加し、さらに100mLのエタノールとともに反応フラスコ中に濯いだ。反応フラスコを室温でさらに24時間攪拌し、その後、精製水250mLを添加した。200mLの2:1のヘプタン:エチルエーテルで粗混合物を4回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去し、31.42gの粗生成物を生じた。粗生成物の一部15gを、ヘキサンを用いてシリカゲルカラムから溶離し、12.81gの純粋生成物を提供した。
【0132】
例4
以下の構造を有するナフチル−O−エチルキサンテートの調製:
【化20】

【0133】
メカニカルスターラ、窒素インレット、フリードリッヒコンデンサー及び温度プローブを装備した1000mL3つ口丸底フラスコに、500mLのエタノール:1,4−ジオキサン及び2−(ブロモメチルナフタレン)(22.1g)を入れた。反応フラスコを氷/水浴に0℃で入れ、粉末漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテート(17.63g)を反応フラスコにゆっくりと添加した。反応物を室温でさらに16時間攪拌し、精製水500mLを添加した。500mLの50:50のヘキサン:エチルエーテル、ヘキサン及び塩化メチレンで粗混合物を2回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下で除去し、22.52g(85.8%収率)の生成物である黄色のオイルを残した。
【0134】
例5
S−sec−プロピオン酸−O−エチルキサンテートの調製
1000mL3つ口丸底フラスコはフリードリッヒコンデンサー、マグネティックスターラーバー、窒素インレット及び温度プローブを装備していた。2−ブロモプロピオン酸及び600mLの無水エタノールを合わせ、窒素下に20分間攪拌した。粉末漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテートを反応フラスコにゆっくりと添加し、追加量の50mLのエタノールで濯いだ。反応フラスコを穏やかな還流下に一晩攪拌し、その後、250mLの脱イオン水でクエンチした。混合物をHClで酸性化し、その後、250mLのエーテルで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、フラッシュ蒸留によりろ液から溶剤を除去し、26.3gの粗生成物である薄オレンジ色液体を残した。この反応を下記のスキームIXに概略的に示す。
【0135】
【化21】

【0136】
例6
α−エチルキサンチルフェニル酢酸の調製
1000mL3つ口丸底フラスコはマグネティックスターラ、窒素インレット及び温度プローブを装備していた。α−ブロモフェニル酢酸(21.5g)及び300mLのエタノールを添加した。粉末漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテートをゆっくりと添加し、追加の100mLの無水エタノールとともに反応フラスコ中に濯いだ。反応フラスコを60℃でさらに24時間攪拌し、その後、精製水250mLを添加した。粗混合物を、クロロホルム200mLで4回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そして溶剤を減圧下に除去し、5.18gの生成物である粘性液体を生じた。この反応を下記スキームXに概略的に示す。
【0137】
【化22】

【0138】
例7
2−(ドデシルチオカルボニルチオール)プロパン酸の調製
反応フラスコはマグネティックスターラ、氷浴、滴下漏斗及び窒素インレットを装備していた。このフラスコに、エチルエーテル(150mL)及び60%水素化ナトリウム(6.3g)を入れた。攪拌しながら、ドデシルメルカプタン(30.76g)を冷たいスラリー(温度5〜10℃)に添加した。灰色がかったスラリーは激しくHガスを放出しながら濃厚な白色スラリー(ナトリウムチオデシレート(sodium thiodecylate))に転化した。混合物を0℃に冷却し、二硫化炭素(12g)を添加した。添加の後に、氷浴を取り除き、反応物を室温に到達させ、2−ブロモプロパン酸(23.3g)を添加し、次いで、一晩攪拌した。溶液をろ過して、塩を除去し、そしてヘプタンからの再結晶により、21gの淡黄色針状物を提供した。この反応を下記スキームXIに概略的に示す。
【0139】
【化23】

【0140】
例8
エチルα−(O−エチルキサンチル)プロプリオネート(ethyl α-(o-ethyl xanthyl)proprionate)の調製
500mL3つ口丸底フラスコはフリードリヒコンデンサー、マグネティックスターラーバー、窒素インレット及び温度プローブを装備していた。エチル−2−ブロモプロピオネート及び500mLの無水エタノールを添加し、窒素下で20分間撹拌した。反応フラスコを0°±3℃の氷浴中に入れた。粉体漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテートを反応フラスコにゆっくり加え、追加量の50mLのエタノールで濯いだ。反応フラスコを24時間かけて撹拌し、室温に平衡化させた。脱イオン水(250mL)を添加して反応をクエンチした。200mLの2:1のヘキサン:エチルエーテルで、粗混合物を4回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下に除去した。
【0141】
例9
エチルα−(エチルキサンチル)フェニルアセテートの調製
500mL3つ口丸底フラスコはマグネティックスターラ、窒素インレット、フリードリヒコンデンサー及び温度プローブを装備していた。エチル(2−ブロモ−2−フェニル)アセテート及び250mLの無水エタノールを添加し、窒素下に20分間撹拌した。反応フラスコを0℃の氷/水浴中に入れた。粉末漏斗を用いてカリウムO−エチルキサンテートをゆっくりと添加し、そして追加量の50mLのエタノールとともに反応フラスコ中に濯いだ。反応フラスコを室温でさらに24時間攪拌した。脱イオン水(250mL)を反応フラスコに添加した。200mLの2:1のヘキサン:エチルエーテルで粗混合物を4回抽出し、有機層を残した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を減圧下に除去した。収率96%。
【0142】
例10
エチル2−(ドデシルトリチオカルボニル)プロプリオネート(ethyl-2-(dodecyl trithiocarbonyl)proprionate)の調製
250mL3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、フリードリヒコンデンサー及び温度プローブを装備していた。二硫化炭素及びドデカンチオールを65mLのクロロホルムとともにフラスコに添加した。トリエチルアミンを10mLのクロロホルムとともに添加漏斗を用いて滴下して加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。エチル−α−ブロモプロプリオネート(ethyl-α-bromo proprionate)を25mLのクロロホルムとともに添加漏斗を用いて滴下して加えた。反応フラスコを室温でさらに24時間撹拌した。粗混合物を、250mLの脱イオン水、5%HCl及び5%ブラインでそれぞれ2回洗浄し、有機層を残した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を圧力下に除去した。生成物をヘキサン:酢酸エチルを用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した。
【0143】
例11
エチル−α−(ドデシルトリチオカルボニル)フェニルアセテートの調製
250mL3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、フリードリヒコンデンサー及び温度プローブを装備していた。二硫化炭素及びドデカンチオールを、65mLのクロロホルムとともにフラスコに加えた。10mLのクロロホルムとともに、添加漏斗を使用してトリエチルアミンを滴下して加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。エチル−α−ブロモフェニルアセテートを35mLのクロロホルムとともに添加漏斗を用いて滴下して加えた。反応フラスコを室温でさらに24時間攪拌した。粗混合物を250mLの脱イオン水、5%HCl(水溶液)及び5%ブラインで2回洗浄し、有機層を残した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を圧力下に除去した。生成物をヘキサン:酢酸エチルを用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した。
【0144】
例12
ジアリル官能化ポリメチルメタクリレート(PMMA)の調製
シールし、脱酸素し、その後、Nガスでバックフィルした丸底フラスコにCu(I)Brを添加する。メチルメタクリレート、溶剤(たとえば、テトラヒドロフラン(THF))及び適切なリガンド(たとえば、N,N,N’,N’N”−ペンタメチルジエチレンアミン)をNで約30分間パージした後、Nリンスされたシリンジを用いて各成分を注意深く添加する。フラスコ及び内容物を反応温度にし、開始剤(たとえば、プロプ−2−エニル−2’−ブロモイソブチレート)を添加する。反応物がモノマーからポリマーへの所望の転化に達したときに、熱を除去し、そして室温に冷却する。次に、THFを添加し、粘度を低下させ、メタノール中に沈殿させる。白色沈殿物をろ過し、そして乾燥して、モノアリル官能化PMMAを得る。所望ならば、残存している銅種を除去するために沈殿工程を繰り返すことができる。
【0145】
末端基置換
分離されたPMMAを、THF中に溶解したアリルアルコール及び水酸化カリウム(KOH)を含むフラスコに添加する。反応が完了するまで室温で撹拌する。ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、その後、メタノール中に再沈殿させ、ジアリル官能化PMMAを得る。この反応を下記スキームXII中で概略的に示す。
【0146】
【化24】

【0147】
例13
ジメタクリル官能化ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)の調製
丸底フラスコに、S,S’−ビス(α,α’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネート、THF、AIBN及びDMAを添加し、フラスコをシールする。Nを溶液を通して30分間バブリングし、フラスコ及び内容物を反応温度にする。反応物がモノマーからポリマーへの所望の転化に達したときに、熱を除去し、そして室温に冷却する。次に、THFを添加して粘度を低下させ、そしてヘキサン中に沈殿させる。沈殿物をろ過し、そして乾燥してPDMAを提供する。
【0148】
末端基置換
分離したPDMAを含むフラスコに、塩化オキサリルを添加する。混合物を3時間60℃に温める。過剰の塩化オキサリルを、真空に付すことにより除去し、その後、2−ヒドロキシメタクリレートをポリマーに添加する。混合物を1時間撹拌し、THFを加えてヘキサン中に沈殿させる。沈殿物をろ過し、乾燥し、メタクリレート官能化PDMAを提供する。この反応を下記スキームXIIIに概略的に示す。
【0149】
【化25】

【0150】
例14
ジメタクリル官能化PDMAの調製
丸底フラスコにCu(I)Brを添加する。フラスコをシールし、脱酸素し、その後、Nガスでバックフィルする。DMA及び適切なリガンド(たとえば、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレンアミン)をNで約30分間パージした後、Nリンスされたシリンジを用いて各成分を注意深く添加する。フラスコ及び内容物を反応温度にし、その後、開始剤(たとえば、2,6−ジブロモヘプタン二酸)を添加する。反応物がモノマーからポリマーへの所望の転化に達したときに、熱を除去し、そして室温に冷却する。次に、THFを添加して粘度を低下させ、ヘキサン中に沈殿させる。沈殿物を濾過し、乾燥してPDMAを提供する。所望ならば、残存している銅種を除去するために沈殿工程を繰り返すことができる。
【0151】
末端基置換
塩化オキサリルを、分離したPDMAを含むフラスコに添加する。フラスコを3時間6O℃に温める。過剰な塩化オキサリルを、真空に付すことによって除去し、その後、2−ヒドロキシメタクリレートを添加する。混合物を1時間攪拌し、THFを添加してヘキサン中に沈殿させる。沈殿物をろ過し、乾燥して、メタクリレート官能化PDMAを提供する。この反応を、下記スキームXIVに概略的に示す。
【0152】
【化26】

【0153】
例15
メタクリル官能化ポリビニルピロリドン(PVP)の調製
3−アジド−1−プロパノールの調製
3−ブロモ−1−プロパノール及びナトリウムを、アセトン(180mL)及び水(30mL)の混合物中に溶解し、一晩還流する。アセトンを減圧下に除去する。生成物をジエチルエーテル中に抽出し、溶剤を蒸発させることにより分離する。
【0154】
3’−アジドプロピル2−ブロモプロピオネートの調製
2−ブロモプロピオニルブロミドのTHF中の溶液を、0℃で、3−アジド−1−プロパノール及びトリエチルアミンのTHF中の溶液に滴下して加える。完全に添加した後に、反応混合物を室温で一晩撹拌する。トリエチルアンモニウムブロミド塩をろ過し、溶剤を真空下で除去する。粗生成物をジクロロメタン中に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び蒸留水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶剤を真空下に除去する。
【0155】
3’−アジドプロピル−2−(O−エチルキサンチル)プロピオネートの調製
3’−アジドプロピル2−ブロモプロピオネートをクロロホルム中に溶解し、その後、3日間、過剰量のO−エチルキサントゲン酸カリウム塩とともに攪拌する。未反応の(O−エチル)キサントゲン酸カリウムをろ過し、そしてクロロホルムで数回洗浄する。真空下にクロロホルムを除去し、生成物を分離する。
【0156】
重合
3’−アジドプロピル−2−(O−エチルキサンチル)プロピオネート、AIBN、THF及びNVPを丸底フラスコに添加し、フラスコをシールし、そして30分間溶液を通してNをバブリングする。フラスコ及び内容物を反応温度にする。反応物がモノマーからポリマーへの所望の転化に達したときに、熱を除去し、そして室温に冷却する。次に、THFを添加して粘度を低下させ、そしてヘキサン中に沈殿させる。沈殿物をろ過し、乾燥して、アジド官能化PVPを提供する。
【0157】
末端基置換
アジド官能化PVPを丸底フラスコに添加し、CuBr及びN,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレンアミンを含むアセトン又は他の適切な溶剤中に溶解する。次に、プロパルギルメタクリレートをこの溶液に添加し、24時間攪拌し、その後、ヘキサン中に沈殿させる。沈殿物をろ過し、乾燥して、メタクリレート官能化PVPを提供する。この反応を下記スキームXV中に概略的に示す。
【0158】
【化27】

【0159】
例16
メタクリル官能化PVP調製
3−アジド−1−プロパノールの調製
3−ブロモ−1−プロパノール及びナトリウムを、アセトン(180mL)及び水(30mL)の混合物中に溶解し、一晩還流させる。アセトンを減圧下で除去し、生成物をジエチルエーテルで抽出する。生成物を、溶剤を蒸発させることにより分離する。
【0160】
3’−アジドプロピル2−ブロモプロピオネートの調製
2−ブロモプロピオニルブロミドのTHF中の溶液を、0℃で、3−アジド−1−プロパノール及びトリエチルアミンのTHF中の溶液に滴下して加える。完全に添加した後、反応混合物を室温で一晩撹拌する。トリエチルアンモニウムブロミド塩をろ過し、溶剤を真空下に除去する。粗生成物をジクロロメタン中に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び蒸留水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶剤を真空下に除去する。
【0161】
3’−アジドプロピル−2−(O−エチルキサンチル)プロピオネートの調製
3’−アジドプロピル2−ブロモプロピオネートをクロロホルム中に溶解し、過剰量のO−エチルキサントゲン酸カリウム塩とともに3日間攪拌する。未反応(O−エチル)キサントゲン酸カリウムをろ過し、クロロホルムで数回洗浄する。クロロホルムを真空下に除去し、生成物を分離する。
【0162】
4”−ヒドロキシメチル−3’−(1,2,3−トリアゾール)プロピル−2−(O−エチルキサンチル)プロピオネートの調製
プロパルギルアルコール及び3’−アジドプロピル−2−(O−エチルキサンチル)プロピオネートを、CuBr及びN,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレンアミンとともに、アセトン又は適切な溶剤中に溶解し、そして24時間攪拌する。過剰な溶剤を除去し、生成物を分離する。
【0163】
4”−ヒドロキシメチル−3’−(1,2,3−トリアゾール)プロピル−2−(O−エチルキサンチル)プロピオネート、THF、AIBN及びNVPを丸底フラスコに添加し、フラスコをシールし、溶液を通して30分間Nをバブリングする。フラスコ及び内容物を反応温度にする。反応物がモノマーからポリマーへの所望の転化に達したときに、熱を除去し、そして室温に冷却する。次に、THFを添加して粘度を低下させ、ヘキサン中に沈殿させる。沈殿物をろ過し、乾燥する。
【0164】
末端基置換
ヒドロキシ官能化PVPを、乾燥した丸底フラスコに添加し、クロロホルム中に溶解させる。氷水浴で冷却しながらメタクリロイルクロリドをゆっくりフラスコ中に滴下する。反応物を室温まで温め、そして6時間撹拌する。反応混合物を分液漏斗に加え、0.1N HClで2回洗浄し、飽和ブラインで2回洗浄し、そしてロータリーエバポレータで濃縮する。ヘキサン中に沈殿させる。この反応を下記スキームXVI中に概略的に示す。
【0165】
【化28】

【0166】
例17
アリル官能化PDMAの調製
242mg(0.858mmol)のS,S’−ビス(α,α’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネート、33mg(0.2mmol)のAIBN、1.3mL(9.67mmol)のアリルメタクリレート及び20mLのTHFを、50mLシュレンクフラスコに加え、アルゴンで30分間バブリングした。このフラスコを、50℃で平衡化した油浴中に入れ、反応を2時間進行させた。別個のフラスコにおいて、10mL(97mmol)のDMA及び10mLのTHFを添加し、アルゴンで30分間でバブリングした。2時間の時点で、少量のポリマーをシュレンクフラスコから取り出し、ヘプタン中に沈殿させた。次に、DMA/THF混合物をシュレンクフラスコに添加し、そして反応をさらに18時間進行させた。ポリマーをヘプタン中に沈殿させ、そして真空中で乾燥した。2時間で分離したポリマー(ポリ(アリルメタクリレート))及び反応の終了時に分離したポリマー(ポリ(アリルメタクリレート−コ−ジメチルアクリルアミド))の両方を、GPC及びNMR分析によって同定した。GPCは、ポリ(アリルメタクリレート)に関してMn=3300、そしてポリ(アリルメタクリレート−コ−ジメチルアクリルアミド)に関してMn=6,300を示した。NMRはアリルMA:DMAの比率を1:13と示し、10:110の反応のフィード比と一致している。反応を下記スキームXVII中に概略的に示す。
【0167】
【化29】

【0168】
例18
アリル官能化PDMAの調製
353mg(0.858mmol)のα−ドデシルα’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネート(DTTC)、33mg(0.2mmol)のAIBN、1.3mL(9.67mmol)のアリルメタクリレート及び20mLのTHFを、50mLシュレンクフラスコに添加し、30分間アルゴンでバブリングした。フラスコを50℃で平衡化した油浴に入れ、反応を2時間進行させた。別個のフラスコにおいて、10mL(97mmol)のDMA及び10mLのTHFを添加し、30分間アルゴンでバブリングした。2時間の時点で、少量のポリマーをシュレンクフラスコから取り出し、ヘプタン中に沈殿させた。次に、DMA/THF混合物をシュレンクフラスコに引き込み、さらに反応を18時間進行させた。ポリマーをヘプタン中に沈殿させ、そして真空中に乾燥させた。2時間で分離したポリマー(ポリ(アリルメタクリレート))及び反応の終了時に分離したポリマー(ポリ(アリルメタクリレート−コ−ジメチルアクリルアミド))の両方を、GPC及びNMR分析によって同定した。GPCは、ポリ(アリルメタクリレート)に関してMn=3500、そしてポリ(アリルメタクリレート−コ−ジメチルアクリルアミド)に関してMn=4,100を示した。NMRはアリルMA:DMAの比率を1:16と示し、10:110の反応のフィード比と一致している。反応を下記スキームXVIII中に概略的に示す。
【0169】
【化30】

【0170】
上式中、R及びRはスキームXIVに記載したものと同一である。
【0171】
例19
コンタクトレンズの調製
質量%の量で表1に示された下記の成分を混合することによって混合物を製造する。
【0172】
【表1】

【0173】
得られた混合物を、前方表面用エチルビニルアルコールモールド及び後方表面用エチルビニルアルコールモールドからなるモールドアセンブリーに導入し、混合物を100℃で2時間熱硬化させることによりコンタクトレンズへとキャスト成形する。得られたコンタクトレンズをモールドから取り出し、イソプロピルアルコールで4時間抽出し、そして緩衝液中に入れる。
【0174】
例20
コンタクトレンズの調製
質量%の量で表2に示された下記の成分を混合することによって混合物を製造する。
【0175】
【表2】

【0176】
得られた混合物を、前方表面用エチルビニルアルコールモールド及び後方表面用エチルビニルアルコールモールドからなるモールドアセンブリーに導入し、混合物を100℃で2時間熱硬化させることにより、コンタクトレンズへとキャスト成形する。得られたコンタクトレンズをモールドから取り出し、イソプロピルアルコールで4時間抽出し、そして緩衝液中に入れる。
【0177】
本開示中に開示される実施形態に様々な変更がなされうることは理解されるであろう。それゆえ、上記の記載は限定するものと解釈されるべきでなく、好ましい実施形態の単なる例示と解釈されるべきである。たとえば、上記の本発明を実施するための最適な形態として用いられる機能は例示の目的のみである。本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、当業者によって他の仕組み及び方法が実施されてもよい。さらに、ここに示した特徴及び利点の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者は他の変更を考えるであろう。
【0178】
他の特徴及び実施形態
1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスであって、上記のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーのエチレン系不飽和部分は(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、スチレニル基、アルケニル基、ビニルカーボネート基、ビニルカルバメート基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、バイオメディカルデバイス。
【0179】
1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスであって、上記のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーのエチレン系不飽和部分は一般式
【化31】

(上式中、Rは水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、各R’は独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は−CO−Y−R”’基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、R”’は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、R”は結合基であり、Bは−O−又は−NH−であり、Zは−CO−、−OCO−又は−COO−であり、Arは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、wは0〜6であり、aは0又は1であり、bは0又は1であり、そしてcは0又は1である)によって表される、バイオメディカルデバイス。
【0180】
1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスであって、上記のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから得られる親水性単位を含む、バイオメディカルデバイス。
【0181】
1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスであって、上記のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーはアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカルバメート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、N−フルオロアルキルビニルカーボネート、N−フルオロアルキルビニルカルバメート、シリコーン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、ビニルエステル、スチレンモノマー、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる疎水性モノマーから得られる疎水性単位を含む、バイオメディカルデバイス。
【0182】
1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含むエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイスであって、上記の混合物は、メタクリル酸、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーをさらに含む、バイオメディカルデバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のエチレン系不飽和親水性モノマー又は1種以上のエチレン系不飽和疎水性モノマーのリビングラジカル重合から得られる親水性単位又は疎水性単位を含む1種以上のエチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーを含む混合物の重合生成物を含むバイオメディカルデバイス。
【請求項2】
前記エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは、不飽和カルボン酸、アクリルアミド、ビニルラクタム、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、親水性オキサゾロンモノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから得られる親水性単位を含む、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項3】
前記エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは、ポリエチレングリコール(PEG)-200メタクリレート、PEG-400メタクリレート、PEG-600メタクリレート、PEG-1000メタクリレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれるエチレン系不飽和重合性アルコキシル化ポリマーから得られる親水性単位を含む、請求項1又は2のいずれか記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項4】
前記エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは、同一又は異なる親水性単位を少なくとも2つ含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項5】
前記親水性単位はポリオキシアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)の1種以上を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項6】
前記エチレン系不飽和含有非両親媒性マクロモノマーは、エチレン系不飽和重合性フッ素含有モノマー、エチレン系不飽和重合性脂肪酸エステル含有モノマー、エチレン系不飽和重合性ポリシロキサニルアルキル含有モノマー、開環反応性官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる疎水性モノマーから得られる疎水性単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項7】
前記親水性単位又は疎水性単位は可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤から得られる、請求項1〜6のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項8】
前記RAFT剤はジチオエステル基、キサンテート基、ジチオカルバメート基又はトリチオカーボネート基を含む、請求項7記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項9】
前記親水性単位又は疎水性単位は原子移動ラジカル重合(ATRP)基から得られる、請求項1〜8のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項10】
前記混合物は1種以上のバイオメディカルデバイス形成性モノマーをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項11】
前記混合物は親水性モノマー、疎水性モノマー又はその両方をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項12】
前記混合物は不飽和カルボン酸、アクリルアミド、ビニルラクタム、ポリ(アルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、親水性オキサゾロンモノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項13】
前記混合物はシリコーン含有モノマーをさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項14】
前記バイオメディカルデバイスは、コンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ヒドロゲルコンタクトレンズ、眼内レンズ及び角膜インプラントからなる群より選ばれる、請求項1〜13のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項15】
前記バイオメディカルデバイスはヒドロゲルである、請求項1〜13のいずれか1項記載のバイオメディカルデバイス。

【公表番号】特表2012−530282(P2012−530282A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516153(P2012−516153)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038466
【国際公開番号】WO2010/147876
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】