説明

バイオメトリクス認証を利用した無線鍵錠システム

【課題】多数の鍵装置を有し、各鍵装置に多数の指紋特徴情報を割り当てることにより各鍵装置を多数の者に共同使用させることを想定した大規模な鍵錠システムを実現する。
【解決手段】バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1は、複数の鍵装置2、複数の制御装置3および管理装置4を備えている。各鍵装置2の鍵装置識別情報および鍵装置使用者の指紋特徴情報などは管理装置4に登録する。さらに、鍵装置識別情報と指紋特徴情報との関連付けの形成なども管理装置4で行う。これにより、各鍵装置2を回収することなく、また、各室5に分散配置された制御装置3を操作するために建物内を巡回することなく、管理装置4を操作するだけで、鍵装置2の登録・抹消、指紋特徴情報の登録・抹消などを効率よく行い、また、鍵装置2の使用履歴や使用者履歴の管理などをきめ細かく行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオメトリクス認証、および鍵装置と錠側の制御装置・管理装置との間の無線通信により、扉の錠の開閉、自動車エンジンの始動、医療機器の操作、コンピュータの起動、コンピュータシステムへのログイン、ファクトリーオートメーションシステムの操作その他機器、装置またはシステムなどの動作を制御する鍵錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、バイオメトリクス認証装置と電気錠とを組み合わせたシステム錠が普及している。指紋認証を利用した扉用のシステム錠の場合、指紋センサを搭載した指紋認証装置を扉近傍に設置し、指紋認証装置と電気錠とをリード線やケーブルなどの電線を用いて接続する。解錠を望む者は、自分の指紋を指紋センサにより読み取らせる。指紋認証装置は、指紋センサにより読み取られた指紋の情報と、指紋認証装置に予め登録された指紋の情報とが一致した場合に限り、解錠する。このようなシステム錠では鍵が不要である。
【0003】
一方、鍵装置と錠制御装置とを備えたバイオメトリクス認証無線鍵錠システムが知られている。例えば、指紋認証を利用したバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの場合、鍵装置に設けられた指紋センサを用いて指紋の情報を取得し、この取得した指紋の情報と、鍵装置に予め記憶された指紋の情報とを照合する。そして、照合に成功した場合には、解錠許可信号を無線通信方式により鍵装置から錠制御装置に送信する。錠制御装置は、鍵装置から送信された解錠許可信号を受信し、この信号に応じて電気錠を制御し、扉を解錠する(特開2003−286781号公報、第3頁、第2列、第27行から第41行まで参照)。
【0004】
また、鍵装置において取得した指紋の情報を鍵装置から錠制御装置に送信し、錠制御装置において、鍵装置から送信された指紋の情報と予め記憶された指紋の情報とを照合する構成を持つバイオメトリクス認証無線鍵錠システムも知られている(特開平11−93478号公報、第4頁、第1列、第15行から第36行まで参照)。
【0005】
また、鍵装置または錠制御装置に複数のバイオメトリクス情報を登録することができるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムも知られている(特開2004−70778号公報、第5頁、第7行から第6頁、第14行まで参照)。
【0006】
さて、上述したシステム錠もバイオメトリクス認証無線鍵錠システムも、バイオメトリクス情報を登録した者でなければ、扉の解錠などを行うことができない。それゆえ、両者いずれもセキュリティ性が優れている。
【0007】
他方、上述したシステム錠とバイオメトリクス認証無線鍵錠システムとを比較すると、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムには次のようなメリットがある。
【0008】
例えば、指紋認証を利用したシステム錠では、指紋の情報を登録した者であれば、扉近傍に配置された共用の指紋センサに指紋を読み取らせることにより、誰でもいつでも扉を解錠することができてしまう。これに対し、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムでは、指紋の情報を登録した者であっても鍵装置を所持していなければ、指紋センサに指紋を読み取らせることができず、この結果、扉を解錠することができない。つまり、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムによれば、鍵装置の所持・不所持に基づいて入室制限を行うことができる。
【0009】
また、我々は、昔から、鍵と錠との組み合わせにより入室管理などを行ってきている。このため、鍵を利用した様々な管理手法や管理ノウハウが考えられている。バイオメトリクス認証無線鍵錠システムによれば、鍵を利用した様々な管理手法や管理ノウハウを、鍵を鍵装置に置きかえるだけで、ほぼそのまま利用することができる。
【0010】
また、バイオメトリクス認証を利用したシステム錠では、バイオメトリクスセンサを屋外の扉近傍などに露出可能な状態で配置する必要がある。このため、屋外の劣悪な環境に耐えうる高価な保護機構を用いてバイオメトリクスセンサを保護する必要があり、あるいはバイオメトリクスセンサを備えた認証装置の設置場所を例えば建物のエントランス内などに限定する必要がある。これに対し、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムでは、バイオメトリクスセンサが鍵装置に設けられており、鍵装置は使用者の良好な管理の下にある。それゆえ、バイオメトリクスセンサを保護するための保護機構は安価のもので足りる場合が多い。また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムでは、屋外に露出可能な状態で配置する必要のあるバイオメトリクスセンサが錠制御装置側にないので、錠制御装置の設置場所の限定を緩やかにすることができる。
【0011】
【特許文献1】特開2003−286781号公報
【特許文献2】特開平11−93478号公報
【特許文献3】特開2004−70778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムを、例えば、多数の室を有し、多数の者が利用する大きな建物の入出管理に適用することが望まれる。
【0013】
しかし、例えば室ごとに異なる鍵装置を用意する場合、室数が多くなると鍵装置の個数も多くなる。さらに、各鍵装置を複数の者で共同使用する場合には、各鍵装置に対し複数のバイオメトリクス情報を登録しなければならない。この結果、各鍵装置に対するバイオメトリクス情報の登録作業が煩雑化するおそれがある。また、登録後、各鍵装置に誰のバイオメトリクス情報が登録されているかを確認するのが困難になる。
【0014】
さらに、使用が許された室が変更された場合、あるいは各鍵装置の使用を許された者が変更された場合には、各鍵装置に対するバイオメトリクス情報の追加登録または登録抹消を行う必要がある。鍵装置の個数や各鍵装置に登録されたバイオメトリクス情報の個数が多くなると、バイオメトリクス情報の追加登録作業または登録抹消作業が煩雑化するおそれがある。殊に、特開2003−286781号公報または特開2004−70778号公報に記載されているような、鍵装置にバイオメトリクス情報を記憶するタイプのバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの場合には、バイオメトリクス情報の追加登録作業または登録抹消作業のために鍵装置を回収しなければならない。回収が必要な鍵装置の個数が多い場合には、回収作業だけでも大きな負担になるおそれがある。
【0015】
また、鍵装置の個数や各鍵装置を共同使用する者が多くなると、鍵装置の使用状況を管理することが難しくなる。
【0016】
また、鍵装置の個数や各鍵装置を共同使用する者、室数が多い場合には、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムに多数のバイオメトリクス情報を登録する。このため、扉の解錠を制御するために、利用者から取得したバイオメトリクス情報を、登録された多数のバイオメトリクス情報と逐一照合しなければならなくなり、照合処理に時間がかかる。この結果、鍵装置使用時(被制御装置を実際に動作させるとき)における鍵錠システムのレスポンス性が低下する。
【0017】
以上のような問題があるため、バイオメトリクス認証無線鍵錠システムを、例えば多数の室を有し、多数の者が利用する大きな建物の入出管理に適用することは難しい。
【0018】
本発明は上記に例示したような問題点に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、多数の被制御装置があり、各被制御装置の動作制御を多数の者が行う場合であっても、各被制御装置の動作の管理を適切に行うことができる鍵錠システム、管理装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0019】
本発明の第2の課題は、複数の鍵装置があり、各鍵装置を複数の者で共同使用する場合でも、バイオメトリクス情報(特徴情報)の登録、登録確認、追加登録または登録抹消の作業を簡単に行うことができる鍵錠システム、管理装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0020】
本発明の第3の課題は、鍵装置の使用状況を容易に管理することができる鍵錠システム、管理装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0021】
本発明の第4の課題は、多数のバイオメトリクス情報を取り扱う場合でも、鍵装置使用時(被制御装置を実際に動作させるとき)におけるレスポンス性を高めることができ、また、鍵装置使用者にとっての操作の容易性を高めることができる鍵錠システム、管理装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために第1の発明は、複数の鍵装置、制御装置および管理装置を備えた鍵錠システムであって、前記各鍵装置は、当該鍵装置の第1鍵装置識別情報を記憶する第1鍵装置識別情報記憶手段と、前記第1鍵装置識別情報記憶手段に記憶された第1鍵装置識別情報を無線通信方式により送信する識別情報送信手段と、人体の特徴を示す第1特徴情報を人体から取得する特徴情報取得手段と、前記特徴情報取得手段により取得された第1特徴情報を無線通信方式により送信する特徴情報送信手段とを備えている。前記制御装置は、前記識別情報送信手段により送信された第1鍵装置識別情報を受信し、この第1鍵装置識別情報を前記管理装置に転送する識別情報転送手段と、前記特徴情報送信手段により送信された第1特徴情報を受信し、この第1特徴情報を前記管理装置に転送する特徴情報転送手段と、前記管理装置から送られた制御指令を受け取り、この制御指令に基づき、被制御装置に特定動作を行わせるための制御信号を前記被制御装置に出力する制御信号出力手段とを備えている。前記管理装置は、第2鍵装置識別情報の登録および抹消を行う識別情報登録関連処理手段と、前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2鍵装置識別情報を記憶する第2鍵装置識別情報記憶手段と、第2特徴情報の登録および抹消を行う特徴情報登録関連処理手段と、前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2特徴情報を記憶する特徴情報記憶手段と、前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報と、前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の第2特徴情報との間に関連付けを形成する第1関連付け形成手段と、前記識別情報転送手段により転送された第1鍵装置識別情報を受け取る識別情報受取手段と、前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を、前記第2鍵装置識別情報記憶手段に記憶された複数の第2鍵装置識別情報の中から選択する識別情報選択手段と、前記識別情報選択手段により選択された第2鍵装置識別情報に関連付けられた複数の第2特徴情報を、前記特徴情報記憶手段に記憶された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報絞込手段と、前記特徴情報転送手段により転送された第1特徴情報を受け取る特徴情報受取手段と、前記特徴情報受取手段により受け取られた第1特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす第2特徴情報を、前記特徴情報絞込手段により選択された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報選択手段と、前記特徴情報選択手段により第2特徴情報の選択が成功した場合に、前記被制御装置に特定動作を行わせるための前記制御指令を前記制御装置に送る制御指令送出手段とを備えている。
【0023】
また、第1の発明の鍵錠システムにおいて、複数の制御装置を備えてもよい。この場合、前記管理装置には、前記各制御装置の制御装置識別情報を記憶する制御装置識別情報記憶手段と、前記制御装置識別情報記憶手段に記憶された制御装置識別情報と前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報との間に関連付けを形成する第2関連付け形成手段とを追加する。そして、前記識別情報選択手段は、前記第2鍵装置識別情報記憶手段および前記制御装置識別情報記憶手段を参照し、これにより、前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報の転送元である制御装置の制御装置識別情報に関連付けられ、かつ前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を選択する。
【0024】
また、第1の発明の鍵錠システムにおいて、前記管理装置には、前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報と前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた第2特徴情報との間の関連付けを追加し、消去しまたは変更する関連付け変更手段を追加してもよい。
【0025】
また、第1の発明の鍵錠システムにおいて、前記管理装置には、前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報に基づいて前記鍵装置の使用履歴を示す使用履歴情報を生成し、かつ、前記特徴情報受取手段により受け取られた第1特徴情報に基づいて前記鍵装置の使用者履歴を示す使用者履歴情報を生成し、これら使用履歴情報および使用者履歴情報を記録装置に記録する履歴情報記録手段と、前記履歴情報記録手段により前記記録装置に記録された使用履歴情報および使用者履歴情報を出力する履歴情報出力手段とを追加してもよい。
【0026】
一方、上記課題を解決するために第2の発明は、自らを識別するための第1鍵装置識別情報を記憶する第1鍵装置識別情報記憶手段と、前記第1鍵装置識別情報記憶手段に記憶された第1鍵装置識別情報を無線通信方式により送信する識別情報送信手段と、人体の特徴を示す第1特徴情報を人体から取得する特徴情報取得手段と、前記特徴情報取得手段により取得された第1特徴情報を無線通信方式により送信する特徴情報送信手段とを備えた鍵装置と、前記識別情報送信手段により送信された第1鍵装置識別情報を受信し、この第1鍵装置識別情報を転送する識別情報転送手段と、前記特徴情報送信手段により送信された第1特徴情報を受信し、この第1特徴情報を転送する特徴情報転送手段と、制御指令を受け取り、この制御指令に基づき、被制御装置に特定動作を行わせるための制御信号を前記被制御装置に出力する制御信号出力手段とを備えた制御装置と共に鍵錠システムを構成する管理装置であって、第2鍵装置識別情報の登録および抹消を行う識別情報登録関連処理手段と、前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2鍵装置識別情報を記憶する第2鍵装置識別情報記憶手段と、第2特徴情報の登録および抹消を行う特徴情報登録関連処理手段と、前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2特徴情報を記憶する特徴情報記憶手段と、前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報と、前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の第2特徴情報との間に関連付けを形成する第1関連付け形成手段と、前記識別情報転送手段により転送された第1鍵装置識別情報を受け取る識別情報受取手段と、前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を、前記第2鍵装置識別情報記憶手段に記憶された複数の第2鍵装置識別情報の中から選択する識別情報選択手段と、前記識別情報選択手段により選択された第2鍵装置識別情報に関連付けられた複数の第2特徴情報を、前記特徴情報記憶手段に記憶された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報絞込手段と、前記特徴情報転送手段により転送された第1特徴情報を受け取る特徴情報受取手段と、前記特徴情報受取手段により受け取られた第1特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす第2特徴情報を、前記特徴情報絞込手段により選択された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報選択手段と、前記特徴情報選択手段により第2特徴情報の選択が成功した場合に、前記被制御装置に特定動作を行わせるための前記制御指令を前記制御装置に送る制御指令送出手段とを備えている。
【発明の効果】
【0027】
上述した第1の発明の鍵錠システムでは、第2鍵装置識別情報および第2特徴情報を管理装置に登録し、管理装置に記憶する。さらに、第2鍵装置識別情報と第2特徴情報との関連付けの形成も管理装置において行い、これらの関連付けに関する情報も管理装置に保持される。これにより、第2鍵装置識別情報および第2特徴情報を登録する作業、並びに第2鍵装置識別情報と第2特徴情報との間に関連付けを形成する作業を、管理装置を操作するだけで簡単に効率よく行うことができる。また、すでに登録された第2鍵装置識別情報、すでに登録された第2特徴情報、およびすでに形成された第2鍵装置識別情報と第2特徴情報との関連付けの確認作業を、管理装置を操作するだけで簡単に効率よく行うことができる。また、第2鍵装置識別情報の登録抹消作業および第2特徴情報の登録抹消作業を、管理装置を操作するだけで簡単に効率よく行うことが可能になる。
【0028】
また、第2鍵装置識別情報と第2特徴情報との間の関連付けを追加し、消去しまたは変更する関連付け変更手段を管理装置に追加することにより、第2鍵装置識別情報と第2特徴情報との関連付けを追加し、消去しまたは変更する作業を、管理装置を操作するだけで簡単に効率よく行うことが可能になる。
【0029】
また、上述した第1の発明の鍵錠システムでは、鍵装置から制御装置を介して管理装置に第1特徴情報を送り、管理装置において第1特徴情報と第2特徴情報との照合を行う。それゆえ、鍵装置は第1特徴情報も第2特徴情報も保持しない。また、鍵装置は第1鍵装置識別情報を保持するが、第1鍵装置識別情報は当該鍵装置に専属し、基本的に変更不要の情報である。これにより、第2特徴情報の追加登録作業または登録抹消作業を行うのに鍵装置を操作する必要がない。したがって、第2特徴情報の追加登録作業または登録抹消作業を行うに当たり、鍵装置を回収する必要がない。
【0030】
以上より、第1の発明の鍵錠システムによれば、多数の鍵装置の登録管理および各鍵装置を共同使用する者の特徴情報の登録管理を簡単にかつ効率よく行うことができる。これにより、多数の鍵装置を有し、各鍵装置に多数の特徴情報を割り当てることによって各鍵装置を多数の者に共同使用させることを想定した大規模な鍵錠システムを構築することが可能になる。つまり、第1の発明の鍵錠システムによれば、多数の被制御装置があり、各被制御装置の動作制御を多数の者が行う場合であっても、各被制御装置の動作の管理を適切に行うことができる。
【0031】
また、第1の発明の鍵錠システムにおいて、複数の制御装置を備える場合には、各制御装置の制御装置識別情報を管理装置に記憶する。また、制御装置識別情報と第2鍵装置識別情報との間の関連付けの形成を管理装置において行い、これらの関連付けに関する情報も管理装置に保持される。これにより、使用する鍵装置の個数の変更を、管理装置を操作するだけで簡単に行うことができる。すなわち、新しい鍵装置を追加したり、使用しなくなった鍵装置を排除したりする場合には、この鍵装置の第2鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けを追加しまたは消去する作業をしなければならない。この作業を各制御装置を操作することなく、管理装置を操作するだけで簡単に行うことができる。特に、制御装置の個数が多い場合には、各制御装置を逐一操作する必要がないので、作業を大幅に簡単化することができ、作業効率を高めることができる。また、鍵装置と制御装置との対応関係を変更する場合には、第2鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けを変更する作業をしなければならないが、この作業も各制御装置を操作することなく、管理装置を操作するだけで簡単に行うことができる。
【0032】
また、第2鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けの追加・消去・変更作業を行うに当たり制御装置を操作する必要がないので、制御装置にユーザーインターフェースを設ける必要がなくなる。これにより、制御装置を小型化することができ、制御装置を既存の被制御装置に組み込む(埋め込む)ことが可能になる。この結果、制御装置を様々な被制御装置に組み込むことが可能になり、鍵錠システムで制御可能な被制御装置の範囲を広げることができ、鍵錠システムの汎用性を高めることができる。
【0033】
また、第1の発明の鍵錠システムにおいて、履歴情報記録手段および履歴情報出力手段を管理装置に追加し、各鍵装置の使用履歴を示す使用履歴情報および各鍵装置の使用者履歴を示す使用者履歴情報を生成し、これらの履歴情報を記録装置に記録し、または表示装置や印刷装置、遠隔地にある端末などに出力するようにしてもよい。鍵装置の使用時(被制御装置を実際に動作させるとき)には、鍵装置から制御装置を介して管理装置に第1鍵装置識別情報および第1特徴情報が送られる。これにより、管理装置は、第1鍵装置識別情報に基づいて鍵装置の使用履歴情報を生成することができ、第1特徴情報に基づいて鍵装置使用者の使用者履歴情報を生成することができる。このような構成を備えた鍵錠システムによれば、鍵装置の使用状況を管理装置により容易にかつ効率よく管理することができる。さらに、どの鍵装置を誰が使用したかを管理装置により把握することができるので、鍵装置の使用状況をきめ細かく管理することができる。これにより、多数の鍵装置を有し、各鍵装置に多数の特徴情報を割り当てることによって各鍵装置を多数の者に共同使用させることを想定した大規模な鍵錠システムを適切に運営することが可能になる。したがって、多数の被制御装置があり、各被制御装置の動作制御を多数の者が行う場合であっても、各被制御装置の動作の管理を適切に行うことが可能になる。
【0034】
また、第1の発明の鍵錠システムでは、鍵装置から制御装置を介して管理装置に送られた第1特徴情報と、管理装置に登録されている第2特徴情報とを照合し、第1特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす第2特徴情報を選択する。この第2特徴情報の選択が成功したときに、被制御装置の動作を許可する。第1の発明の鍵錠システムは、この第2特徴情報の選択を次のように行う。まず、鍵装置から制御装置を介して送られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を選択する。続いて、この第2鍵装置識別情報に関連付けられた複数の第2特徴情報を、管理装置に記憶された多数の第2特徴情報の中から選択する。続いて、これら選択された複数の第2特徴情報のそれぞれと、鍵装置から制御装置を介して送られた第1特徴情報とを照合し、この第1特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす第2特徴情報を選択する。つまり、第1鍵装置識別情報または第2鍵装置識別情報を用いて、第1特徴情報の照合相手となる第2特徴情報を絞り込み、これら絞り込まれた第2特徴情報に対してのみ、第1特徴情報との照合処理を行う。これにより、照合処理を短時間で行うことができる。したがって、多数の特徴情報を取り扱う場合でも、鍵装置使用時(被制御装置を実際に動作させるとき)における鍵錠システムのレスポンス性を高めることができる。
【0035】
また、第1の発明の鍵錠システムでは、第1特徴情報の照合相手となる第2特徴情報の絞り込みを、鍵装置が元来有している鍵装置識別情報(第1鍵装置識別情報または第2鍵装置識別情報)を用いて行う。つまり、第2特徴情報の絞り込みを行うための特別な情報を用いない。これにより、第2特徴情報の絞り込みを単純な構成で実現することができる。また、鍵装置識別情報は、鍵装置の記憶手段に記憶されており、鍵装置の使用時にその記憶手段から読み出され、鍵装置から制御装置を介して管理装置に送られ、第2特徴情報の絞り込みに用いられる。つまり、鍵装置使用者は、鍵装置使用時に、第2特徴情報の絞り込みを行うための特別な情報(例えばパスワードや暗証番号など)を入力する必要がない。これにより、鍵装置使用者にとっての操作の容易性を高めることができる。また、鍵装置使用時に鍵装置使用者がパスワードや暗証番号などを手入力する必要がないので、パスワードや暗証番号などを手入力するためのユーザーインターフェース(例えばテンキーなど)を鍵装置にも制御装置にも設ける必要がない。これにより、鍵装置の小型化を図ることができ、制御装置の小型化を図ることができる。特に制御装置の小型化を図ることができるので、制御装置を既存の被制御装置に容易に組み込むことが可能となり、これにより鍵錠システムを用いて様々な既存の被制御装置を制御することが可能になる。
【0036】
第2の発明の管理装置によれば、鍵装置および制御装置と共に、上述した第1の発明の鍵錠システムを構築することができる。すなわち、多数の鍵装置の登録管理および各鍵装置を共同使用する者の特徴情報の登録管理を簡単にかつ効率よく行うことができる鍵錠システムを構築することができる。したがって、多数の鍵装置を有し、各鍵装置に多数の特徴情報を割り当てることによって各鍵装置を多数の者に共同使用させることを想定した大規模な鍵錠システムを実現することができる。これにより、多数の被制御装置があり、各被制御装置の動作制御を多数の者が行う場合であっても、各被制御装置の動作の管理を適切に行うことが可能になる。
【0037】
また、第2の発明の管理装置によれば、多数の特徴情報を取り扱う場合でも、鍵装置使用時(被制御装置を実際に動作させるとき)における鍵錠システムのレスポンス性を高めることができ、また、鍵装置使用者にとっての操作の容易性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0039】
(システムの概要)
図1は、本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムを示している。図1に示すように、本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1は、複数の鍵装置2、複数の制御装置3および1つの管理装置4を備えている。バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1は、指紋認証、および各鍵装置2と各制御装置3との間の無線通信により、各室5の扉6に設けられた電気錠7の解錠を制御する。また、各鍵装置2には、複数の使用者Pが割り当てられている。これにより、各鍵装置2は当該鍵装置2に割り当てられた複数の使用者Pにより共同使用される。また、各制御装置3と管理装置4とは、LAN(ローカルエリアネットワーク)、PLC(電力線搬送通信)その他の有線通信路8により接続されている。
【0040】
(鍵装置)
図2は各鍵装置2の構造を示している。鍵装置2は、鍵としての機能を有する。すなわち、鍵装置2は、当該鍵装置2の識別情報(チェック用鍵装置識別情報)および使用者の指紋の特徴情報を錠側の制御装置3・管理装置4に送ることにより、電気錠7の解錠制御のきっかけを作り出す機能を備えた装置である。鍵装置2は、例えば、掌に納まるほどに小型であり、片手で軽々と持ち上げることができるほどに軽量であり、使用者が携帯して容易に持ち運ぶことができる。
【0041】
図2に示すように、鍵装置2は、初期鍵装置識別情報記憶部11、特徴情報取得部12、無線通信部13、チェック用鍵装置識別情報記憶部14および内部制御部15を備えている。
【0042】
初期鍵装置識別情報記憶部11は鍵装置2の初期鍵装置識別情報を記憶する。初期鍵装置識別情報記憶部11は例えばROM(Read−Only Memory)などの不揮発性読取専用記憶素子により構成されている。
【0043】
初期鍵装置識別情報は、鍵装置2を識別するための情報である。初期鍵装置識別情報は鍵装置2固有の情報であり、鍵装置2ごとに異なる。また、初期鍵装置識別情報は鍵装置2に専属し、基本的に不変の情報である。初期鍵装置識別情報は例えば鍵装置2の製造工程において与えられる。
【0044】
特徴情報取得部12は、解錠制御処理において、使用者の指から照合用特徴情報を取得する。例えば、特徴情報取得部12は、指紋センサおよび指紋認証回路を備えている。指紋センサは使用者の指紋を読み取り、使用者の指紋を示す指紋画像情報を取得する。指紋認証回路は、指紋センサにより取得された指紋画像情報から指紋の特徴を抽出し、この抽出した指紋の特徴を示す照合用特徴情報を生成する。照合特徴情報のサイズは、指紋画像情報のサイズよりも小さく、例えば数十ないし数百バイト(より具体的には128バイト)であることが望ましい。なお、指紋の特徴を抽出する方式には、例えば特徴点抽出方式(マニューシャ方式)、パターンマッチング方式、特徴点抽出方式とパターンマッチング方式との組み合わせ、または周波数解析方式などを採用することが可能である。また、指紋センサの指紋検出方式には、静電容量式、感圧式、電界式、電界検知式または光学式などを採用することが可能である。
【0045】
無線通信部13は、鍵装置識別情報登録処理において、初期鍵装置識別情報記憶部11に記憶された初期鍵装置識別情報を無線通信方式により管理装置4へ送信する。また、無線通信部13は、鍵装置識別情報登録処理において、管理装置4から送信されたチェック用鍵装置識別情報を受信する。また、無線通信部13は解錠制御処理においてチェック用鍵装置識別情報を制御装置3へ送信する。また、無線通信部13は、解錠制御処理において、制御装置3から送信された暗号キーを受信する。また、無線通信部13は、解錠制御処理において、特徴情報取得部12により取得され、暗号キーにより暗号化された照合用特徴情報を解錠承認要求信号として無線通信方式により制御装置3へ送信する。無線通信部13は、例えば無線通信回路により構成されている。
【0046】
チェック用鍵装置識別情報記憶部14は、鍵装置識別情報登録処理において、管理装置4から送信されたチェック用鍵装置識別情報を記憶する。チェック用鍵装置識別情報記憶部14は例えばフラッシュメモリなどの不揮発性書換可能記憶素子により構成されている。
【0047】
内部制御部15は鍵装置2の全体的な制御を行う。内部制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM(Random−Access Memory)を備えている。ROMには鍵装置2の全体的な制御を行うプログラムが記憶されており、CPUはROMからこのプログラムを読み出して実行する。CPUがプログラムを実行するときには作業メモリとしてRAMが用いられる。また、内部制御部15は、解除制御処理において、制御装置3から送信された暗号キーを用いて照合用特徴情報を暗号化する。
【0048】
(制御装置)
図3は各制御装置3の構造を示している。制御装置3は、例えば室外で使用者が所持している鍵装置2と室内にある管理装置4との間の情報のやり取りを中継すると共に、管理装置4が発した制御指令(照合結果信号)に従って電気錠7を直接的に制御する機能を備えた装置である。制御装置3は、例えば、後述する構成要素21ないし24を小型の基板上に配置することにより構成されており、電気錠7に取り付けられ、または電気錠7に組み込まれ、あるいは電気錠7の近傍に設置されている。
【0049】
図3に示すように、制御装置3は、無線通信部21、有線通信部22、制御信号出力部23および内部制御部24を備えている。
【0050】
無線通信部21は、解錠制御処理において、鍵装置2から送信されたチェック用鍵装置識別情報および解錠承認要求信号を受信する。また、無線通信部21は解錠制御処理において暗号キーを鍵装置2へ送信する。無線通信部21は例えば無線通信回路により構成されている。
【0051】
有線通信部22は、制御装置識別情報登録処理および解錠制御処理において、制御装置識別情報を管理装置4へ送出する。また、有線通信部22は、解錠制御処理において、無線通信部21により受信されたチェック用鍵装置識別情報を管理装置4に転送する。また、有線通信部22は解錠制御処理において照合用特徴情報を管理装置4に転送する。また、有線通信部22は、解錠制御処理において、管理装置4から送られた比較結果信号および照合結果信号(制御指令)を受け取る。また、有線通信部22は、解錠制御処理において解錠信号を管理装置へ転送する。有線通信部22は例えばLAN通信回路またはPLC通信回路により構成されており、LANケーブルまたは電力線を介して管理装置4と接続されている。
【0052】
制御信号出力部23は、有線通信部22により受け取られた照合結果信号(制御指令)に基づき、電気錠7を解錠するための解錠制御信号を電気錠7に出力する。制御信号出力部23は例えば電気錠制御回路により構成されている。制御信号出力部23はリード線またはケーブルなどの電線を介して電気錠7と接続されている。
【0053】
内部制御部24は、制御装置3を全体的に制御する。内部制御部24は、例えばCPU、ROM、RAMを備えている。ROMには制御装置3の全体的な制御を行うプログラムが記憶されており、CPUはROMからこのプログラムを読み出して実行する。CPUがプログラムを実行するときには作業メモリとしてRAMが用いられる。また、内部制御部24は、解錠制御処理において暗号キーを生成する。また、内部制御部24は、解除制御処理において、無線通信部21により受信された解錠承認要求信号を、暗号キーを用いて復号し、これにより照合用特徴情報を復元する。また、内部制御部24は解除制御処理において拒絶制御処理を行う。
【0054】
また、内部制御部24のROMまたは有線通信部22に設けられた記憶素子には、制御装置識別情報が記憶されている。制御装置識別情報は、制御装置3を識別するための情報である。制御装置識別情報は制御装置3固有の情報であり、制御装置3ごとに異なる。また、制御装置識別情報は制御装置3に専属し、基本的に不変の情報である。制御装置識別情報は例えば制御装置3の製造工程において与えられる。
【0055】
(管理装置)
図4は管理装置4の構造を示している。管理装置4は、登録関連処理、鍵装置識別情報の一致判断、特徴情報の照合、電気錠7を解錠制御するための制御指令の送出、および履歴情報の記録・出力などを行う機能を備えた装置である。管理装置4は、例えばパーソナルコンピュータにコンピュータプログラムを読み込ませることにより具現化される。
【0056】
図4に示すように、管理装置4は、有線通信部31、識別情報登録関連処理部32、特徴情報登録関連処理部33、関連付け処理部34、記憶部35、識別情報一致判断部36、特徴情報照合部37、履歴情報処理部38、情報出力部39、無線通信部40、登録用特徴情報取得部41および内部制御部42を備えている。
【0057】
有線通信部31は、制御装置識別情報登録処理および解錠制御処理において、制御装置3から送出された制御装置識別情報を受け取る。また、有線通信部31は、解錠制御処理において、制御装置3から転送されたチェック用鍵装置識別情報および照合用特徴情報を受け取る。また、有線通信部31は、解錠制御処理において、比較結果信号および照合結果信号(制御指令)を制御装置3へ送出する。また、有線通信部31は、解錠制御処理において、制御装置3から解錠信号を受け取る。有線通信部31は例えばLAN通信回路またはPLC通信回路により構成されており、LANケーブルまたは電力線を介して制御装置3と接続されている。
【0058】
識別情報登録関連処理部32は、鍵装置識別情報登録処理において登録用鍵装置識別情報の登録を行う。また、識別情報登録関連処理部32は、制御装置識別情報登録処理において制御装置識別情報の登録を行う。また、識別情報登録関連処理部32は、登録用鍵装置識別情報の登録抹消および制御装置識別情報の登録抹消を行うことができる。
【0059】
無線通信部40は、鍵装置識別情報登録処理において、鍵装置2から初期鍵装置識別情報を受信すると共に、チェック用鍵装置識別情報を鍵装置2へ送信する。無線通信部40は例えば無線通信回路により構成されている。
【0060】
特徴情報登録関連処理部33は、特徴情報登録処理において、登録用特徴情報の登録を行う。また、特徴情報登録関連処理部33は、登録用特徴情報の登録抹消を行うことができる。
【0061】
登録用特徴情報取得部41は、特徴情報登録処理において、鍵装置2の使用者として登録する者の指から登録用特徴情報を取得する。例えば、特徴情報取得部41は、指紋センサおよび指紋認証回路を備えている。指紋センサは使用者の指紋を読み取り、使用者の指紋を示す指紋画像情報を取得する。指紋認証回路は、指紋センサにより取得された指紋画像情報から指紋の特徴を抽出し、この抽出した指紋の特徴を示す登録用特徴情報を生成する。登録用特徴情報のサイズおよびデータ形式は照合用特徴情報と同じである。また、特徴情報取得部41は、指紋画像情報から指紋の特徴を抽出する方式および指紋センサの指紋検出方式につき、鍵装置2の特徴情報取得部12と同様の方式を採用している。
【0062】
関連付け処理部34は、鍵装置識別情報登録処理において、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間に関連付けを形成すると共に、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間に関連づけを形成する。また、関連付け処理部34は、制御装置識別情報登録処理において、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間に関連づけを形成する。また、関連付け処理部34は、特徴情報登録処理において、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間に関連づけを形成する。また、関連付け処理部34は、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の関連付けの追加、消去および変更を行うことができる。また、関連付け処理部34は、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間の関連付けの追加、消去および変更を行うことができる。
【0063】
記憶部35は、識別情報登録関連処理部32により登録された登録用鍵装置識別情報および制御装置識別情報を記憶する。また、記憶部35は、特徴情報登録関連処理部33により登録された登録用特徴情報を記憶する。記憶部35には、複数の登録用鍵装置識別情報、複数の制御装置識別情報、複数の登録用特徴情報を記憶することができる。また、記憶部35は、関連付け処理部34により形成された登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の関連付けを記憶する。また、記憶部35は、関連付け処理部34により形成された登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間の関連付けを記憶する。記憶部35にはこれらの関連付けを複数記憶することができる。また、記憶部35は使用履歴情報および使用者履歴情報を記憶する。記憶部35は、大きな記憶容量を有する不揮発性の書換可能な記憶装置または記録装置により構成することが望ましい。
【0064】
識別情報一致判断部36は、解錠制御処理において、制御装置3から転送された制御装置識別情報に関連付けられた1つのまたは複数の登録用鍵装置識別情報を、記憶部35に記憶された登録用鍵装置識別情報の中から、一致判断対象として選択する。そして、識別情報一致判断部36は、制御装置3から転送されたチェック用鍵装置識別情報と、一致判断対象として選択された1つまたは複数の登録用鍵装置識別情報のそれぞれとの比較を行う。そして、識別情報一致判断部36は、制御装置3から転送されたチェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報を、一致判断対象として選択された1つまたは複数の登録用鍵装置識別情報の中から選択する。さらに、識別情報一致判断部36は、チェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報の選択が成功したか否かを示す比較結果信号を生成する。
【0065】
特徴情報照合部37は、解錠制御処理において、識別情報一致判断部36により選択された登録用鍵装置識別情報に関連付けられた1つまたは複数の登録用特徴情報を、記憶部35に記憶された登録用特徴情報の中から、照合対象として選択する。そして、特徴情報照合部37は、制御装置3から転送された照合用特徴情報と、照合対象として選択された1つまたは複数の登録用特徴情報のそれぞれとの間で照合処理を行う。そして、特徴情報照合部37は、制御装置3から転送された照合用特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報を、照合対象として選択された1つまたは複数の登録用特徴情報の中から選択する。さらに、特徴情報照合部37は、照合用特徴情報と所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報の選択が成功したか否かを示す照合結果信号を生成する。この照合結果信号が電気錠7を解錠するための制御指令に当たる。
【0066】
履歴情報処理部38は、解錠制御処理において、鍵装置2および制御装置3の使用履歴を示す使用履歴情報を生成する。また、履歴情報処理部38は、解錠制御処理において、鍵装置2の使用者履歴を示す使用者履歴情報を生成する。さらに、履歴情報処理部38は、これら使用履歴情報および使用者履歴情報を記憶部35に記憶(記録)する。
【0067】
情報出力部39は、履歴情報処理部38により記憶部35に記憶(記録)された使用履歴情報および使用者履歴情報を、例えば表示装置(ディスプレイ)や印刷装置(プリンタ)、あるいは遠隔地にある端末(インターネットを介して接続された端末)などを介して、人が目で確認できる状態で出力する。
【0068】
内部制御部42は、管理装置4の全体的な制御を行う。また、内部制御部42は、鍵装置識別情報登録処理において、鍵装置2から受信した初期鍵装置識別情報を暗号化し、チェック用鍵装置識別情報を生成する。また、内部制御部42は、解錠制御処理において、制御装置3から転送されたチェック用鍵装置識別情報を復号する。
【0069】
識別情報登録関連処理部32、特徴情報登録関連処理部33、関連付け処理部34、識別情報一致判断部36、特徴情報照合部37、履歴情報処理部38、情報出力部39および内部制御部42は、例えばCPU、ROM、RAM、キーボード・マウスなどの入力装置、およびディスプレイ・プリンタなどの出力装置などから構成されている。ROMには、識別情報登録関連処理部32、特徴情報登録関連処理部33、関連付け処理部34、識別情報一致判断部36、特徴情報照合部37、履歴情報処理部38、情報出力部39および内部制御部42の機能を実現するためのプログラムが記憶されており、CPUはROMからこのプログラムを読み出して実行する。CPUがプログラムを実行するときには作業メモリとしてRAMが用いられる。また、管理装置4の使用者(管理者)は、入力装置を用いて情報を入力することができ、出力装置を介して情報を目で確認することができる。
【0070】
なお、管理装置4は、登録用鍵装置識別情報、制御装置識別情報、登録用特徴情報など、室5の入室管理のために重要な情報が集中して記憶されている。また、管理装置4は、鍵装置識別情報登録処理、制御装置識別情報登録処理および特徴情報登録処理などを実行することにより、室5の入室制限を変更することができる。このため、管理装置4を操作することができる者を、管理人などの特定の者に制限する仕組み(例えば二重のバイオメトリクス認証やロングパスワード認証によるログイン制限など)を管理装置4に追加してもよい。
【0071】
(テーブル)
図5は、管理装置4の記憶部35に記憶された3種類のテーブルを示している。記憶部35には、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間の関連付けが、鍵装置−特徴情報テーブル51として記憶されている。鍵装置−特徴情報テーブル51には、登録用鍵装置識別情報および登録用特徴情報が、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間の対応関係を特定することができる所定の規則に基づいて配列されている。
【0072】
また、記憶部35には、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の関連付けが、鍵装置−制御装置テーブル52として記憶されている。鍵装置−制御装置テーブル52には、登録用鍵装置識別情報および制御装置識別情報が、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の対応関係を特定することができる所定の規則に基づいて配列されている。
【0073】
また、記憶部35には、登録用特徴情報と使用者識別情報との間の関連付けが、特徴情報−使用者テーブル53として記憶されている。特徴情報−使用者テーブル53には、登録用特徴情報および使用者識別情報が、登録用特徴情報と使用者識別情報との間の対応関係を特定することができる所定の規則に基づいて配列されている。なお、使用者識別情報は、鍵装置2の使用者を識別することができる情報であれば何でもよく、例えば個々の使用者ごとに異なるユニークな番号でもよいし、使用者の氏名を示す文字列でもよい。特徴情報−使用者テーブル53を用いて、使用者の指紋の特徴情報と当該使用者の使用者識別情報とを関連付けることにより、使用者識別情報を用いて特徴情報を特定することができる。
【0074】
例えば、図5に示すように、鍵装置−特徴情報テーブル51において、登録用鍵装置識別情報K001は、特徴情報F1および特徴情報F2と関連付けられている。一方、鍵装置−制御装置テーブル52において、登録用鍵装置識別情報K001は制御装置識別情報L001と関連付けられている。また、特徴情報−使用者テーブル53において、特徴情報F1は、使用者識別情報P001と関連付けられている。
【0075】
なお、図5中の鍵装置−特徴情報テーブル51が示す通り、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との関連付けは一対一に限られない。1つの登録用鍵装置識別情報と複数の登録用特徴情報とを関連付けることもできるし、複数の登録用鍵装置識別情報と1つの登録用特徴情報とを関連付けることもできる。登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との関連付けが一対一である場合には、特定の1つの鍵装置2を使用することができる者は特定の1人の者のみとなり、かつ当該特定の1人の者が使用することができる鍵装置2は当該特定の1つの鍵装置2のみとなる。しかし、1つの登録用鍵装置識別情報と複数の登録用特徴情報とを関連付けることにより、特定の1つの鍵装置2を特定の複数の者で共同使用することが可能になる。また、複数の登録用鍵装置識別情報と1つの登録用特徴情報とを関連付けることにより、特定の1人の者が特定の複数の鍵装置2を使用することが可能になる。
【0076】
また、図5中の鍵装置−制御装置テーブル52が示す通り、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けは一対一に限られない。1つの登録用鍵装置識別情報と複数の制御装置識別情報とを関連付けることもできるし、複数の登録用鍵装置識別情報と1つの制御装置識別情報とを関連付けることもできる。登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けが一対一である場合には、特定の1つの鍵装置2により制御することができる制御装置3は特定の1つの制御装置3のみとなり、かつ、当該特定の1つの制御装置3を制御することができる鍵装置2は当該特定の鍵装置2のみとなる。つまり、この場合、特定の1つの鍵装置2により解錠することができる扉6は特定の1つの扉6のみとなり、かつ、当該特定の1つの扉6を解錠することができる鍵装置2は当該特定の鍵装置2のみとなる。しかし、1つの登録用鍵装置識別情報と複数の制御装置識別情報とを関連付けることにより、1つの鍵装置2で複数の制御装置3を制御することが可能になり、つまり1つの鍵装置2で複数の扉6を解錠することが可能になる。複数の登録用鍵装置識別情報と1つの制御装置識別情報とを関連付けることにより、複数の鍵装置2で1つの制御装置3を制御することが可能になり、つまり1つの扉6を複数の鍵装置2で解錠することが可能になる。
【0077】
また、登録用特徴情報は、使用者の複数の指の指紋にそれぞれ対応する複数の特徴情報により構成してもよい。例えば、図5に示すように、使用者識別情報P001が割り当てられた使用者の手の2〜10本の指の指紋について2〜10個の特徴情報fa、fb、…を取得し、これら特徴情報fa、fb、…をまとめて1つの登録用特徴情報F1として記憶部35に記憶してもよい。
【0078】
(システムの具体的な実施例)
図6は本発明のバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの具体的な実施例を示している。図6に示すように、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム100は、鍵装置101、制御装置102および管理装置103を備えている。鍵装置101と制御装置102とは無線通信方式により通信を行う。制御装置102と管理装置103との間はLANケーブルで接続されており、両者はLAN通信方式により通信を行う。制御装置102には電気錠104がリード線を介して接続されており、制御装置102は電気錠104に制御信号を出力し、電気錠104の解錠制御を行う。
【0079】
鍵装置101は、指紋センサ111、指紋認証回路112、無線通信回路113、フラッシュメモリ114、CPU115、ROM116およびRAM117を備えている。鍵装置101のこれらの構成要素は、図7に示すように、ほぼ直方体に形成された小型のケーシング内に収容されている。指紋センサ111の検出面はケーシングの表面に配置されている。
【0080】
鍵装置101は図2中の鍵装置2の具体例に当たる。すなわち、指紋センサ111および指紋認証回路112は特徴情報取得部12の具体例に当たり、無線通信回路113は無線通信部13の具体例に当たり、フラッシュメモリ114はチェック用鍵装置識別情報記憶部14の具体例に当たり、CPU115、ROM116およびRAM117は内部制御部15の具体例に当たり、ROM116は初期鍵装置識別情報記憶部11の具体例に当たる。
【0081】
また、制御装置102は、無線通信回路121、LAN通信回路122、電気錠制御回路123、CPU124、ROM125およびRAM126を備えている。制御装置102のこれらの構成要素は、1つの小型の基板上に配置されている。なお、制御装置102のこれらの構成要素を集積し、1つのチップとして具現化してもよい。
【0082】
制御装置102は、図3中の制御装置3の具体例に当たる。すなわち、無線通信回路121は無線通信部21の具体例に当たり、LAN通信回路122は有線通信部22の具体例に当たり、電気錠制御回路123は制御信号出力部23の具体例に当たり、CPU124、ROM125およびRAM126は内部制御部24の具体例に当たる。
【0083】
また、管理装置103は、LAN通信回路131、大記憶容量のフラッシュメモリ132、CPU133、ROM134、RAM135、キーボード136、ディスプレイ137、時計138、無線通信回路139および指紋入力装置140を備えている。管理装置103は例えばパーソナルコンピュータにより具現化することができる。
【0084】
管理装置103は図4中の管理装置4の具体例に当たる。すなわち、LAN通信回路131は有線通信部31の具体例に当たり、フラッシュメモリ132は記憶部35の具体例に当たり、CPU133、ROM134、RAM135、キーボード・マウス136、ディスプレイ137および時計138は、識別情報登録関連処理部32、特徴情報登録関連処理部33、関連付け処理部34、識別情報一致判断部36、特徴情報照合部37、履歴情報処理部38、情報出力部39および内部制御部42の具体例に当たり、無線通信回路139は無線通信部40の具体例に当たり、指紋入力装置140は登録用特徴情報取得部41の具体例に当たる。
【0085】
(鍵装置識別情報登録処理)
図8は鍵装置識別情報登録処理を示す。鍵装置識別情報登録処理は、新たな鍵装置2の登録用鍵装置識別情報をバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1に登録する処理である。この処理は、解錠制御処理を行う前の準備段階において行う処理であり、例えばバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1を導入するときや、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1に新たな鍵装置2を追加するときなどに行う。
【0086】
バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1の管理者が、管理装置4のキーボードなどを操作し、鍵装置識別情報登録処理を行う旨の指示を管理装置4に入力すると、これに応じ、管理装置4の内部制御部42は、図11に示すような登録・抹消指示入力フォーム60を管理装置4のディスプレイに出力する。続いて、管理者が、登録・抹消指示入力フォーム60中の新規登録ボタン61をマウスでクリックすると、管理装置4は、鍵装置識別情報登録処理を開始する。
【0087】
まず、管理装置4は、図8に示すように、初期鍵装置識別情報の受信を待機する状態になる(ステップS1)。
【0088】
続いて、管理者または鍵装置2の使用者が新たな鍵装置2を操作し、初期鍵装置識別情報を管理装置4に送信すべき旨の指示をこの鍵装置2に入力する。これに応じ、鍵装置2の内部制御部15は、初期鍵装置識別情報を初期鍵装置識別情報記憶部11から読み出す。続いて、鍵装置2の無線通信部13は、この初期鍵装置識別情報を管理装置4に送信する(ステップS2)。
【0089】
続いて、管理装置4の無線通信部40は、鍵装置2から送信された初期鍵装置識別情報を受信する。そして、管理装置4の識別情報登録関連処理部32は、この初期鍵装置識別情報を登録用鍵装置識別情報として記憶部35に記憶する(ステップS3)。
【0090】
続いて、管理装置4の内部制御部42は、ステップS3で受信した初期鍵装置識別情報を暗号化し、これによりチェック用鍵装置識別情報を生成する(ステップS4)。
【0091】
続いて、管理装置4の無線通信部40は、ステップS4で生成されたチェック用鍵装置識別情報を鍵装置2へ送信する(ステップS5)。
【0092】
続いて、鍵装置2の無線通信部13は、管理装置4から送信されたチェック用鍵装置識別情報を受信する。そして、鍵装置2の内部制御部15は、このチェック用鍵装置識別情報をチェック用鍵装置識別情報記憶部14に記憶する(ステップS6)。
【0093】
続いて、管理装置4の関連付け処理部34は、ステップS3で記憶部35に記憶された登録用鍵装置識別情報と、すでに記憶部35に記憶されている制御装置識別情報との間の関連付けを形成する。さらに、関連付け処理部34は、ステップS3で記憶部35に記憶された登録用鍵装置識別情報と、すでに記憶部35に記憶されている登録用特徴情報との間の関連付けを形成する。(ステップS7)。
【0094】
ステップS7における関連付けの形成は例えば次のような手順で行う。まず、管理装置4の内部制御部42は、図12に示すような関連付け指示入力フォーム80を管理装置4のディスプレイに出力する。続いて、管理者が、関連付け指示入力フォーム80中の追加ボタン81をマウスでクリックすると、関連付け処理部34は、すでに記憶部35に記憶されている制御装置識別情報のリスト(図示せず)をディスプレイに表示する。管理者が、このリストの中から1つまたは複数の制御装置識別情報を選択する旨の指示を管理装置4に入力すると、これに応じ、関連付け処理部34は、ステップS3で記憶された登録用鍵装置識別情報と、管理者により選択された1つまたは複数の制御装置識別情報とを所定の規則に基づいて鍵装置−制御装置テーブル52中に配列する。
【0095】
続いて、管理装置4の内部制御部42は、図12に示すような関連付け指示入力フォーム80を管理装置4のディスプレイに再び出力する。続いて、管理者が、関連付け指示入力フォーム80中の追加ボタン85をマウスでクリックすると、関連付け処理部34は、すでに記憶部35に記憶されている登録用特徴情報に関連付けられた使用者識別情報のリスト(図示せず)をディスプレイに表示する。管理者が、このリストの中から1つまたは複数の使用者識別情報を選択する旨の指示を管理装置4に入力すると、これに応じ、関連付け処理部34は、ステップS3で記憶された登録用鍵装置識別情報と、管理者により選択された1つまたは複数の使用者識別情報に関連付けられた登録用特徴情報とを所定の規則に基づいて鍵装置−特徴情報テーブル51中に配列する。
【0096】
以上より、新たな鍵装置2の登録用鍵装置識別情報の登録および関連付けの形成が完了する。この結果、図11に示す登録・抹消指示入力フォーム60中の鍵装置リスト64に、当該新たな鍵装置2の登録用鍵装置識別情報が表示される。また、図12に示す関連付け指示入力フォーム80中の制御装置リスト84には、当該新たな鍵装置2の登録用鍵装置識別情報と関連付けられた制御装置識別情報が表示される。さらに、関連付け指示入力フォーム80中の使用者リスト88には、当該新たな鍵装置2の登録用鍵装置識別情報と関連付けられた登録用特徴情報に対応する使用者識別情報が表示される。なお、登録・抹消指示入力フォーム60および関連付け指示入力フォーム80により、鍵装置2に関する登録および関連付けの状況を確認することができる。
【0097】
(制御装置識別情報登録処理)
図9は制御装置識別情報登録処理を示す。制御装置識別情報登録処理は、新たな制御装置3の制御装置識別情報をバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1に登録する処理である。この処理は、解錠制御処理を行う前の準備段階において行う処理であり、例えばバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1を導入するときや、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1に新たな制御装置3(すなわち新たな室5)を追加するときなどに行う。
【0098】
バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1の管理者が、管理装置4のキーボードなどを操作し、制御装置識別情報登録処理を行う旨の指示を管理装置4に入力すると、これに応じ、管理装置4の内部制御部42は、図11に示すような登録・抹消指示入力フォーム60を管理装置4のディスプレイに出力する。続いて、管理者が、登録・抹消指示入力フォーム60中の新規登録ボタン65をマウスでクリックすると、管理装置4は、制御装置識別情報登録処理を開始する。
【0099】
まず、管理装置4の内部制御部42は、図9に示すように、新たな制御装置3に対し、当該制御装置3の制御装置識別情報の送出を要求する。(ステップS11)。
【0100】
これに応じ、新たな制御装置3の有線通信部22は、内部制御部24のROMまたは有線通信部22に設けられた記憶素子に記憶された制御装置識別情報を管理装置4へ送出する(ステップS12)。
【0101】
続いて、管理装置4の有線通信部31は、制御装置3から送出された制御装置識別情報を受け取る。そして、管理装置4の識別情報登録関連処理部32は、この制御装置識別情報を記憶部35に記憶する(ステップS13)。
【0102】
続いて、管理装置4の関連付け処理部34は、ステップS13で記憶部35に記憶された制御装置識別情報と、すでに記憶部35に記憶されている登録用鍵装置識別情報との間の関連付けを形成する(ステップS14)。制御装置識別情報と登録用鍵装置識別情報との間の関連付けを形成する手順は、鍵装置識別情報登録処理において登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の関連付けを形成する手順と同じである(図8中のステップS7参照)。
【0103】
以上より、新たな制御装置3の制御装置識別情報の登録および関連付けの形成が完了する。この結果、図11に示す登録・抹消指示入力フォーム60中の制御装置リスト68に、当該新たな制御装置3の制御装置識別情報が表示される。また、当該新たな制御装置3の制御装置識別情報と関連付けが形成された登録用鍵装置識別情報を有する鍵装置2に係る関連付け指示入力フォーム80中の制御装置リスト84には、当該新たな制御装置3の制御装置識別情報が表示される(図12参照)。なお、登録・抹消指示入力フォーム60および関連付け指示入力フォーム80により、制御装置3に関する登録および関連付けの状況を確認することができる。
【0104】
(特徴情報登録処理)
図10は特徴情報登録処理を示す。特徴情報登録処理は、鍵装置2の新たな使用者の登録用特徴情報をバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1に登録する処理である。この処理は、解錠制御処理を行う前の準備段階において行う処理であり、例えばバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1を導入するときや、鍵装置2の新たな使用者を追加するときなどに行う。
【0105】
バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1の管理者が、管理装置4のキーボードなどを操作し、特徴情報登録処理を行う旨の指示を管理装置4に入力すると、これに応じ、管理装置4の内部制御部42は、図11に示すような登録・抹消指示入力フォーム60を管理装置4のディスプレイに出力する。続いて、管理者が、登録・抹消指示入力フォーム60中の新規登録ボタン69をマウスでクリックすると、管理装置4は、特徴情報登録処理を開始する。
【0106】
まず、管理装置4は、図10に示すように、新たな使用者の指紋の読取を待機する状態になる(ステップS21)。
【0107】
続いて、鍵装置2の新たな使用者は、その指紋を登録用特徴情報取得部41の指紋センサに読み取らせる。登録用特徴情報取得部41の指紋センサは、新たな使用者の指紋を読み取り、これによりこの者の指紋画像情報を取得する。続いて、登録用特徴情報取得部41の指紋認証回路は、指紋センサにより取得された指紋画像情報から指紋の特徴を抽出し、これにより登録用特徴情報を生成する(ステップS22)。
【0108】
続いて、特徴情報登録関連処理部33は、この登録用特徴情報を記憶部35に記憶する(ステップS23)。
【0109】
続いて、管理装置4の関連付け処理部34は、ステップS23で記憶部35に記憶された新たな使用者の登録用特徴情報と、当該新たな使用者の使用者識別情報と間の関連付けを形成する(ステップS24)。この関連付けの形成は例えば次のような手順で行う。まず、関連付け処理部34は、新たな使用者の使用者識別情報の入力を要求する。これに応じ、管理者が新たな使用者の使用者識別情報を入力する。使用者識別情報の入力が完了した後、関連付け処理部34は、ステップS23で記憶された登録用特徴情報と、管理者により入力された使用者識別情報とを所定の規則に基づいて特徴情報−使用者テーブル53中に配列する。
【0110】
続いて、関連付け処理部34は、ステップS23で記憶部35に記憶された新たな使用者の登録用特徴情報と、すでに記憶部35に記憶されている登録用鍵装置識別情報との間の関連付けを形成する(ステップS25)。登録用特徴情報と登録用鍵装置識別情報との間の関連付けを形成する手順は、鍵装置識別情報登録処理において登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間の関連付けを形成する手順と同じである(図8中のステップS7参照)。
【0111】
以上より、鍵装置2の新たな使用者の登録用特徴情報の登録および関連付けの形成が完了する。この結果、図11に示す登録・抹消指示入力フォーム60中の使用者リスト72に、当該新たな使用者の使用者識別情報が表示される。また、当該新たな使用者の登録用特徴情報と関連付けが形成された登録用鍵装置識別情報を有する鍵装置2に係る関連付け指示入力フォーム80中の使用者リスト88には、当該新たな使用者の使用者識別情報が表示される(図12参照)。なお、登録・抹消指示入力フォーム60および関連付け指示入力フォーム80により、使用者および特徴情報に関する登録および関連付けの状況を確認することができる。
【0112】
(登録抹消処理および関連付け消去・変更処理)
一方、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、例えば次のような手順により、登録用鍵装置識別情報の登録抹消を行うことができる。すなわち、管理者は、管理装置4を操作し、図11に示すような登録・抹消指示入力フォーム60を管理装置4のディスプレイに出力させる。続いて、管理者は、登録・抹消指示入力フォーム60中の鍵装置リスト64に列挙された登録用鍵装置識別情報の中から、抹消したい登録用鍵装置識別情報をマウスで指定する。続いて、管理者は、抹消ボタン62をマウスでクリックする。これに応じ、識別情報登録関連処理部32は、管理者により指定された登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付け、この登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との関連付け、およびこの登録用鍵装置識別情報を記憶部35から消去する。
【0113】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、例えば次のような手順により、制御装置識別情報の登録抹消を行うことができる。すなわち、管理者は、管理装置4を操作し、登録・抹消指示入力フォーム60を管理装置4のディスプレイに出力させる。続いて、管理者は、登録・抹消指示入力フォーム60中の制御装置リスト68に列挙された制御装置識別情報の中から、抹消したい制御装置識別情報をマウスで指定する。続いて、管理者は、抹消ボタン66をマウスでクリックする。これに応じ、識別情報登録関連処理部32は、管理者により指定された制御装置識別情報と登録用鍵装置識別情報との関連付け、およびこの制御装置識別情報を記憶部35から消去する。
【0114】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、例えば次のような手順により、使用者識別情報および登録用特徴情報の登録抹消を行うことができる。すなわち、管理者は、管理装置4を操作し、登録・抹消指示入力フォーム60を管理装置4のディスプレイに出力させる。続いて、管理者は、登録・抹消指示入力フォーム60中の使用者リスト72に列挙された使用者識別情報の中から、抹消したい使用者識別情報をマウスで指定する。続いて、管理者は、抹消ボタン70をマウスでクリックする。これに応じ、特徴情報登録関連処理部33は、管理者により指定された使用者識別情報に対応する登録用特徴情報と登録用鍵装置識別情報との関連付け、この使用者識別情報と登録用特徴情報との関連付け、並びにこれら使用者識別情報および登録用特徴情報を記憶部35から消去する。
【0115】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、例えば次のような手順により、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の関連付けの消去を行うことができる。すなわち、管理者は、管理装置4を操作し、図12に示すような関連付け指示入力フォーム80を管理装置4のディスプレイに出力させる。続いて、管理者は、関連付け指示入力フォーム80中の制御装置リスト84に列挙された制御装置識別情報の中から、関連付けを消去したい制御装置識別情報をマウスで指定する。続いて、管理者は、消去ボタン82をマウスでクリックする。これに応じ、関連付け処理部34は、管理者により指定された制御装置識別情報と登録用鍵装置識別情報との関連付けを消去する。これと同様の手順により、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間の関連付けの変更、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間の関連付けの消去・変更も行うことができる。
【0116】
(解錠制御処理)
図13および図14は解錠制御処理を示す。解錠制御処理は、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1により電気錠7の解錠制御を実際に行う処理である。
【0117】
バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1の管理者が、管理装置4を操作し、解錠制御処理を行う旨の指示を管理装置4に入力すると、これに応じ、管理装置4は、解錠制御処理を開始する。
【0118】
まず、管理装置4は、図13に示すように、初期鍵装置識別情報の受信を待機する状態になる(ステップS31)。
【0119】
続いて、鍵装置2の使用者が鍵装置2を操作し、チェック用鍵装置識別情報を送信すべき旨の指示をこの鍵装置2に入力する。これに応じ、鍵装置2の内部制御部15は、チェック用鍵装置識別情報をチェック用鍵装置識別情報記憶部14から読み出す。続いて、鍵装置2の無線通信部13は、このチェック用鍵装置識別情報を制御装置3に送信する(ステップS32)。
【0120】
続いて、制御装置3の無線通信部21は、鍵装置2から送信されたチェック用鍵装置識別情報を受信する(ステップS33)。続いて、制御装置3の有線通信部22は、このチェック用鍵装置識別情報および当該制御装置3の制御装置識別情報を管理装置4へ転送する(ステップS34)。
【0121】
続いて、管理装置4の有線通信部31は、制御装置3から転送されたチェック用鍵装置識別情報および制御装置識別情報を受け取る(ステップS35)。続いて、管理装置4の内部制御部42は、制御装置3から転送されたチェック用鍵装置識別情報を復号する(ステップS36)。
【0122】
続いて、管理装置4の識別情報一致判断部36は、制御装置3から転送された制御装置識別情報に関連付けられた1つのまたは複数の登録用鍵装置識別情報を、記憶部35に記憶された登録用鍵装置識別情報の中から、一致判断対象として選択する(ステップS37)。続いて、識別情報一致判断部36は、ステップS36で復号されたチェック用鍵装置識別情報と、一致判断対象として選択された1つまたは複数の登録用鍵装置識別情報のそれぞれとの比較を行う。そして、識別情報一致判断部36は、復号されたチェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報を、一致判断対象として選択された1つまたは複数の登録用鍵装置識別情報の中から選択する(ステップS38)。続いて、識別情報一致判断部36は、復号されたチェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報の選択が成功したか否かを示す比較結果信号を生成する。そして、管理装置4の有線通信部31は、この比較結果信号を制御装置3へ送出する(ステップS39)。
【0123】
続いて、制御装置3の有線通信部22は、管理装置4から送出された比較結果信号を受け取る(ステップS40)。続いて、制御装置3の内部制御部24は、比較結果信号に基づいて、復号されたチェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報の選択が成功したか否かを判断する(ステップS41)。
【0124】
そして、復号されたチェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報の選択が成功しなかったときには(ステップS41:NO)、制御装置3の内部制御部24は拒絶制御処理を行う(ステップS42)。拒絶制御処理では、例えば、制御装置3が鍵装置2および管理装置4に解錠制御処理を中途終了すべき旨の指令を送信する。これにより、制御装置3の制御信号出力部23による制御信号の出力は行われず、この結果、電気錠7の解錠は行われない。
【0125】
一方、復号されたチェック用鍵装置識別情報と一致する登録用鍵装置識別情報の選択が成功したときには(ステップS41:YES)、解錠制御処理は図14中のステップS43へ進む。
【0126】
図14中のステップS43において、制御装置3の内部制御部24は、暗号キーを生成する。そして、制御装置3の無線通信部21は、この暗号キーを鍵装置2へ送信する。なお、この暗号キーは、乱数や送信ごとに変化する数値、時々刻々と常時変化する数値などを利用して生成し、制御装置3から鍵装置2へ送信される度に変化することが望ましい。
【0127】
続いて、鍵装置2の無線通信部13は、制御装置3から送信された暗号キーを受信する(ステップS44)。
【0128】
続いて、鍵装置2の使用者は、その指紋を特徴情報取得部12の指紋センサに読み取らせる。特徴情報取得部12の指紋センサは、使用者の指紋を読み取り、これによりこの者の指紋画像情報を取得する(ステップS45)。続いて、特徴情報取得部12の指紋認証回路は、指紋センサにより取得された指紋画像情報から指紋の特徴を抽出し、これにより照合用特徴情報を生成する(ステップS46)。続いて、鍵装置2の内部制御部15は、この照合用特徴情報を、制御装置3から送信された暗号キーを用いて暗号化する(ステップS47)。続いて、鍵装置2の無線通信部13は、暗号化された照合用特徴情報を解錠承認要求信号として制御装置3へ送信する(ステップS48)。
【0129】
続いて、制御装置3の無線通信部21は、鍵装置2から送信された解錠承認要求信号を受信する(ステップS49)。続いて、制御装置3の内部制御部24は、この解錠承認要求信号を復号し、照合用特徴情報を復元する(ステップS50)。続いて、制御装置3の有線通信部22は、この照合用特徴情報を管理装置4へ転送する(ステップS51)。
【0130】
続いて、管理装置4の有線通信部31は、制御装置3から転送された照合用特徴情報を受け取る(ステップS52)。続いて、管理装置4の特徴情報照合部37は、図13中のステップS38で選択された登録用鍵装置識別情報に関連付けられた1つまたは複数の登録用特徴情報を、記憶部35に記憶された登録用特徴情報の中から、照合対象として選択する(ステップS53)。続いて、特徴情報照合部37は、制御装置3から転送された照合用特徴情報と、照合対象として選択された1つまたは複数の登録用特徴情報のそれぞれとの間で照合処理を行う。そして、特徴情報照合部37は、制御装置3から転送された照合用特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報を、照合対象として選択された1つまたは複数の登録用特徴情報の中から選択する(ステップS54)。続いて、特徴情報照合部37は、照合用特徴情報と所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報の選択が成功したか否かを示す照合結果信号を生成する。続いて、管理装置4の有線通信部31は、この照合結果信号を制御装置3へ送出する(ステップS55)。
【0131】
続いて、制御装置3の有線通信部22は、管理装置4から送出された照合結果信号を受け取る(ステップS56)。続いて、制御装置3の内部制御部24は、照合結果信号に基づいて、照合用特徴情報と所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報の選択が成功したか否かを判断する(ステップS57)。
【0132】
そして、照合用特徴情報と所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報の選択が成功しなかったときには(ステップS57:NO)、制御装置3の内部制御部24は拒絶制御処理を行う(ステップS58)。拒絶制御処理では、例えば、制御装置3が鍵装置2および管理装置4に解錠制御処理を中途終了すべき旨の指令を送信する。これにより、制御装置3の制御信号出力部23による制御信号の出力は行われず、この結果、電気錠7の解錠は行われない。
【0133】
一方、照合用特徴情報と所定の同一性基準を満たす登録用特徴情報の選択が成功したときには(ステップS57:YES)、制御装置3の制御信号出力部23は、解錠制御信号を電気錠7へ出力する(ステップS59)。電気錠7は、この解錠制御信号に基づいて解錠動作を行う。これにより使用者は扉6を開け、室5に入ることが可能になる。
【0134】
電気錠7が解錠動作を完了すると、例えば電気錠7は直ちに解錠検知信号を制御装置3に返す。制御装置3はこの解錠検知信号を受け取る。続いて、制御装置3の内部制御部24は解錠検知信号に基づいて、電気錠7の解錠動作が完了したことを示す解錠信号を生成する。そして、制御装置3の有線通信部22は、この解錠信号を管理装置4に転送する(ステップS60)。
【0135】
続いて、管理装置4の有線通信部31は、制御装置3から転送された解錠信号を受け取る(ステップS61)。続いて、管理装置4の履歴情報処理部38は、使用履歴情報および使用者履歴を生成し、これらを記憶部35に記憶する(ステップS62)。
【0136】
(履歴情報処理)
使用履歴情報および使用者履歴情報の生成は、例えば次のような手順で行う。すなわち、履歴情報処理部38は、図13中のステップS35で制御装置3から受け取った制御装置識別情報に基づいて使用制御装置特定情報を生成し、これを記憶部35に記憶する。また、履歴情報処理部38は、ステップS35で制御装置3から受け取り、ステップS36で復号されたチェック用鍵装置識別情報、またはステップS38で選択された登録用鍵装置識別情報に基づいて使用鍵装置特定情報を生成し、これを記憶部35に記憶する。また、履歴情報処理部38は、図14中のステップS52で制御装置3から受け取った照合用特徴情報、またはステップS54で選択された登録用特徴情報に基づいて使用者特定情報を生成し、これを記憶部35に記憶する。また、履歴情報処理部38は、ステップS61で制御装置3から受け取った解錠信号に基づいて解錠事実情報および解錠日時情報を生成し、これらを記憶部35に記憶する。そして、履歴情報処理部38は、記憶部35に記憶された使用制御装置特定情報、使用鍵装置特定情報、使用者特定情報、解錠事実情報および解錠日時情報に基づいて鍵装置2の使用履歴情報、制御装置3の使用履歴情報、および鍵装置2の使用者履歴情報を生成する。
【0137】
また、管理装置4の情報出力部39は、図15に示すように、履歴情報処理部38により生成された制御装置3の使用履歴情報、鍵装置2の使用履歴情報、および鍵装置2の使用者履歴情報を整理した履歴情報テーブル90を、例えば表示装置(ディスプレイ)や印刷装置(プリンタ)、あるいは遠隔地にある端末(インターネットを介して接続された端末)などを介して、人が目で確認できる状態で出力することができる。
【0138】
さらに、履歴情報処理部38は履歴情報検索機能を備えている。例えば、履歴情報処理部38は、履歴情報処理部38により生成・蓄積された使用履歴情報および使用者履歴情報の中から、特定の期間や日付あるいは時間帯における使用履歴情報または使用者履歴情報を検索し、これらを情報出力部39により出力することができる。また、履歴情報処理部38は、特定の制御装置3(特定の室5)と関わりのある使用履歴情報または使用者履歴情報だけを、あるいは、特定の鍵装置2に関わりのある使用履歴情報または使用者履歴情報だけを、あるいは特定の鍵装置使用者に関わりのある使用履歴情報または使用者履歴情報だけを検索して出力することもできる。
【0139】
(活用例)
図16ないし図21は、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1のいくつかの活用例を示している。図16および図17に示すように、3つの鍵装置2a、2b、2cの登録用鍵装置識別情報がそれぞれK001、K002、K003であり、制御装置3aの制御装置識別情報がL001であるとする。そして、3人の鍵装置使用者Pa、Pb、Pcの登録用特徴情報がそれぞれF1、F2、F3であるとする。
【0140】
図16および図17は第1の活用例を示している。第1の活用例では、複数の鍵装置の登録用鍵装置識別情報のそれぞれに同一の制御装置識別情報が関連付けられ、かつ、当該複数の鍵装置の登録用鍵装置識別情報のそれぞれに同一の登録用特徴情報が関連付けられている。具体的には、図17に示すように、登録用鍵装置識別情報K001、K002、K003のそれぞれに制御装置識別情報L001が関連付けられている。さらに、登録用鍵装置識別情報K001に登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられている。また、登録用鍵装置識別情報K002にも登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられており、登録用鍵装置識別情報K003にも登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられている。そして、登録用鍵装置識別情報K001を有する鍵装置2aを使用者Paが所持し、登録用鍵装置識別情報K002を有する鍵装置2bを使用者Pbが所持し、登録用鍵装置識別情報K003を有する鍵装置2cを使用者Pcが所持する。これにより、図16に示すように、使用者Pa、Pb、Pcは、各自が所持する鍵装置2a、2b、2cを用いて、制御装置3aを作動させ、電気錠7aを解錠し、扉6aを開けて室5aに入ることができる。また、鍵装置2aに使用者Pa、Pb、Pc全員の指紋の特徴情報が割り当てられているので、使用者Paだけでなく、使用者Pbも使用者Pcも鍵装置2aを用いて電気錠7aを解錠することができる。同様に、使用者Paも使用者Pcも鍵装置2bを用いて電気錠7aを解錠することができ、使用者Paも使用者Pbも鍵装置2cを用いて電気錠7aを解錠することができる。これにより、使用者Pa、Pb、Pc以外の者が室5aに入るのを確実に防止することができる一方で、使用者Pa、Pb、Pc間で鍵装置2a、2b、2cを共同使用し、室5aに入ることの自由度を高めることができる。例えば、使用者Paが鍵装置2aを自宅に忘れて出社してしまっても、使用者Paは使用者Pbから鍵装置2bを一時的に借りて会社の室5aに入ることができる。
【0141】
図18および図19は第2の活用例を示している。第2の活用例では、図19に示すように、登録用鍵装置識別情報K001に制御装置識別情報L001が関連付けられている。さらに、登録用鍵装置識別情報K001に登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられている。そして、登録用鍵装置識別情報K001を有する鍵装置2aを使用者Pa、Pb、Pcのいずれか1人が所持する。これにより、図18に示すように、使用者Pa、Pb、Pcはいずれも、鍵装置2aを用いて制御装置3aを作動させ、電気錠7aを解錠し、室5aに入ることができる。しかし、使用者の1人が鍵装置2aを所持している間は、他の使用者は鍵装置2aを用いることができないので、電気錠7aを解錠することができない。これにより、使用者Pa、Pb、Pc以外の者が室5aに入るのを確実に防止することができるだけでなく、使用者Pa、Pb、Pcが室5aに入るのを緩やかに制限することができる。例えば、使用者Paを鍵装置2aの管理責任者に任命し、使用者Paに鍵装置2aを管理させる。そして、使用者Pb、Pcは、室5に入る正当な目的があるときに限り、使用者Paから鍵装置2aを借り受けるようにする。これにより、使用者Paは室5aの入室を緩やかに制限することができる。
【0142】
図20および図21は第3の活用例を示している。第3の活用例では、図21に示すように、登録用鍵装置識別情報K001に制御装置識別情報L001、L002、L003が関連付けられている。また、登録用鍵装置識別情報K002にも制御装置識別情報L001、L002、L003が関連付けられ、登録用鍵装置識別情報K003にも制御装置識別情報L001、L002、L003が関連付けられている。さらに、登録用鍵装置識別情報K001に登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられている。また、登録用鍵装置識別情報K002にも登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられており、登録用鍵装置識別情報K003にも登録用特徴情報F1、F2、F3が関連付けられている。そして、登録用鍵装置識別情報K001を有する鍵装置2aを使用者Paが所持し、登録用鍵装置識別情報K002を有する鍵装置2bを使用者Pbが所持し、登録用鍵装置識別情報K003を有する鍵装置2cを使用者Pcが所持する。これにより、図20に示すように、使用者Pa、Pb、Pcは、各自が所持する鍵装置2a、2b、2cを用いて、制御装置3a、3b、3cを作動させ、電気錠7a、7b、7cを解錠し、室5a、5b、5cに入ることができる。また、鍵装置2aに使用者Pa、Pb、Pc全員の指紋の特徴情報が割り当てられており、かつ鍵装置2aに制御装置3a、3b、3c全部の制御装置識別情報が割り当てられているので、使用者Paだけでなく、使用者Pbも使用者Pcも鍵装置2aを用いて電気錠7a、7b、7cを解錠することができる。同様に、使用者Paも使用者Pcも鍵装置2bを用いて電気錠7a、7b、7cを解錠することができ、使用者Paも使用者Pbも鍵装置2cを用いて電気錠7a、7b、7cを解錠することができる。これにより、使用者Pa、Pb、Pc以外の者が室5a、5b、5cに入るのを確実に防止することができる一方で、使用者Pa、Pb、Pc間で鍵装置2a、2b、2cを共同使用し、室5a、5b、5cに入ることの自由度を高めることができる。各使用者Pa、Pb、Pcが各室5a、5b、5cに頻繁に出入りする必要があるような場合など、このような活用の仕方が好適な場合もある。
【0143】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1の活用例として、次のようなものも考えられる。すなわち、2個の鍵装置の登録用鍵装置識別情報のそれぞれに同一の制御装置識別情報を関連付ける。そして、第1の鍵装置から制御装置へのチェック用鍵装置識別情報または照合用特徴情報の送信と、第2鍵装置から制御装置へのチェック用鍵装置識別情報または照合用特徴情報の送信とがほぼ同時に(例えば約1秒程度の短い期間内に)行われ、かつ、両鍵装置につきチェック用鍵装置識別情報と登録用鍵装置識別情報との一致が確認され、かつ、両鍵装置につき照合用特徴情報と登録用特徴情報とが所定の同一性基準を満たすことが確認されたときに限り、電気錠の解錠動作を許可するようにする。この活用例によれば、2個の鍵装置をほぼ同時に使用しないと電気錠を解錠させることができないので、電気錠の解錠をきわめて厳格に制限することができる。また、3個以上の鍵装置をほぼ同時に使用しないと電気錠を解錠させることができないようにすることも可能であり、このようにすれば、電気錠の解錠をより一層厳格に制限することができる。
【0144】
(実施形態の効果など)
以上説明した通り、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、登録用鍵装置識別情報、制御装置識別情報および登録用特徴情報を管理装置4に登録し、これらを管理装置4に記憶する。さらに、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けの形成、および登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との関連付けの形成も管理装置4において行い、これらの関連付けに関する情報も管理装置4に保持される。これにより、登録用鍵装置識別情報、制御装置識別情報および登録用特徴情報のそれぞれについて、登録・登録確認・登録抹消作業を、管理装置4を操作するだけで簡単に効率よく行うことができる。さらに、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との間に関連づけを形成し、追加し、消去しまたは変更する作業や、登録用鍵装置識別情報と登録用特徴情報との間に関連付けを形成し、追加し、消去しまたは変更する作業を、管理装置4を操作するだけで簡単に効率よく行うことができる。これらの作業を行うに当たり、各鍵装置2を回収したり、各室5に散在している制御装置3を操作するために建物内を巡回したりする必要はない。
【0145】
したがって、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1によれば、多数の鍵装置2および多数の制御装置3の登録管理、並びに各鍵装置2を共同使用する者の特徴情報の登録管理を簡単にかつ効率よく行うことができる。これにより、多数の鍵装置2および多数の制御装置3を有し、各鍵装置2に多数の特徴情報を割り当てることによって各鍵装置2を多数の者に共同使用させることを想定した大規模なバイオメトリクス認証無線鍵錠システムを構築することが可能になる。したがって、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1によれば、例えば、多数の室があり、各室を多数の者が利用する大きな建物の管理などを適切に行うことが可能になる。
【0146】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、鍵装置2から制御装置3を介して管理装置4に照合用特徴情報(解錠承認要求信号)を送り、管理装置4において照合用特徴情報と登録用特徴情報との照合を行う。それゆえ、鍵装置2は照合用特徴情報も登録用特徴情報も保持しない。また、鍵装置2は初期鍵装置識別情報およびチェック用鍵装置識別情報を保持するが、これらの鍵装置識別情報は当該鍵装置2に専属し、基本的に変更不要の情報である。これにより、登録用特徴情報の追加登録作業または登録抹消作業を行うのに鍵装置2を操作する必要がない。したがって、登録用特徴情報の追加登録作業または登録抹消作業を行うに当たり、鍵装置2を回収する必要がない。
【0147】
また、制御装置識別情報の登録・登録抹消作業や、登録用鍵装置識別情報と制御装置識別情報との関連付けの追加・消去・変更作業を行うに当たり制御装置3を操作する必要がないので、制御装置3にユーザーインターフェースを設ける必要がなくなる。これにより、制御装置3を小型化することができ、制御装置3を既存の電気錠に組み込む(埋め込む)ことが可能になる。この結果、制御装置3を様々な電気錠に組み込むことが可能になり、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1で制御可能な電気錠の範囲を広げることができ、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1の汎用性を高めることができる。
【0148】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、履歴情報処理部38を管理装置4に設け、各鍵装置2および各制御装置3の使用履歴情報並びに各鍵装置2の使用者履歴情報を生成し、これらの履歴情報を記憶部35に記録し、または表示装置や印刷装置、遠隔地にある端末などに出力する。鍵装置2の使用時(解錠制御処理実行時)には、鍵装置2から制御装置3を介して管理装置4にチェック用鍵装置識別情報および照合用特徴情報が送られる。さらに、制御装置3から管理装置4に制御装置識別情報が送られる。これにより、管理装置4は、チェック用鍵装置識別情報に基づいて鍵装置2の使用履歴情報を生成することができ、制御装置識別情報に基づいて制御装置3の使用履歴情報を生成することができ、照合用特徴情報に基づいて鍵装置使用者の使用者履歴情報を生成することができる。したがって、鍵装置2および制御装置3(室5)の使用状況を管理装置4により容易にかつ効率よく管理することができる。さらに、どの鍵装置2をどの制御装置3(室5)に対し誰が使用したかを管理装置4により把握することができるので、鍵装置2および制御装置3(室5)の使用状況をきめ細かく管理することができる。
【0149】
したがって、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1によれば、多数の鍵装置2および多数の制御装置3を有し、各鍵装置2に多数の特徴情報を割り当てることによって各鍵装置2を多数の者に共同使用させることを想定した大規模なバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1を適切に運営することが可能になる。これにより、例えば、多数の室があり、各室を多数の者が利用する大きな建物の管理などを適切に行うことが可能になる。
【0150】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、解錠制御処理において、チェック用鍵装置識別情報または登録用鍵装置識別情報を用いて、照合用特徴情報の照合対象となる登録用特徴情報を絞り込み、これら絞り込まれた登録用特徴情報に対してのみ、照合用特徴情報との照合処理を行う(図14中のステップS53およびステップS54参照)。これにより、照合処理を短時間で行うことができる。したがって、多数の特徴情報を取り扱う場合でも、鍵装置使用時(解錠制御処理実行時)におけるバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1のレスポンス性を高めることができる。
【0151】
また、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、解錠制御処理において、照合用特徴情報の照合対象となる登録用特徴情報の絞り込みを、鍵装置2が元来有している鍵装置識別情報(初期鍵装置識別情報、チェック用鍵装置識別情報または登録用鍵装置識別情報)を用いて行う(図14中のステップS53参照)。つまり、登録用特徴情報の絞り込みを行うための特別な情報を用いない。これにより、登録用特徴情報の絞り込みを単純な構成で実現することができる。また、チェック用鍵装置識別情報は、鍵装置2のチェック用鍵装置識別情報記憶部14に記憶されており、鍵装置2の使用時にチェック用鍵装置識別情報記憶部14から読み出され、鍵装置2から制御装置3を介して管理装置4に送られ、登録用特徴情報の絞り込みに用いられる。つまり、鍵装置使用者は、鍵装置2の使用時に、登録用特徴情報の絞り込みを行うための特別な情報(例えばパスワードや暗証番号など)を入力する必要がない。これにより、鍵装置2の使用者にとっての操作の容易性を高めることができる。また、鍵装置使用時に鍵装置使用者がパスワードや暗証番号などを手入力する必要がないので、パスワードや暗証番号などを手入力するためのユーザーインターフェース(例えばテンキーなど)を鍵装置2にも制御装置3にも設ける必要がない。これにより、鍵装置2の小型化を図ることができ、制御装置3の小型化を図ることができる。特に制御装置3の小型化を図ることができるので、制御装置3を既存の電気錠7に容易に組み込むことが可能となり、これにより鍵錠システムを用いて様々な既存の電気錠7を制御することが可能になる。
【0152】
なお、上述した実施形態のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、図8に示す鍵装置識別情報登録処理において、鍵装置2と管理装置4との間で初期鍵装置識別情報およびチェック用鍵装置識別情報の送受信を無線通信方式により行う場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。鍵装置2と管理装置4とをケーブルで接続し、両者間で初期鍵装置識別情報およびチェック用鍵装置識別情報の送受信をケーブルを介して行ってもよい。
【0153】
また、上述した実施形態のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、鍵装置2が有する初期鍵装置識別情報を暗号化したものをチェック用鍵装置識別情報として用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。鍵装置2が有する初期鍵装置識別情報を暗号化せずにそのままチェック用鍵装置識別情報として用いてもよい。もっとも、初期鍵装置識別情報を暗号化したものをチェック用鍵装置識別情報と用いる方がセキュリティ性を高めることができる。
【0154】
また、上述した実施形態のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、管理装置4に登録用特徴情報取得部41を設け、図10に示す特徴情報登録処理において、登録用特徴情報取得部41を用いて、新たな使用者の指紋の登録用特徴情報を取得する場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。新たな使用者の指紋の登録用特徴情報の取得に鍵装置2の特徴情報取得部12を用いてもよい。
【0155】
また、上述した実施形態のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1において、制御装置識別情報と登録用特徴情報との関連付けを形成してもよい。
【0156】
また、上述した実施形態のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、人体の特徴を示す特徴情報として、指紋の特徴を示す特徴情報を用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。人体の特徴を示す情報として、例えば掌、静脈、虹彩、顔面または声紋などの特徴を示す情報を用いることができる。
【0157】
また、本発明のバイオメトリクス認証無線鍵錠システムにおける鍵装置と制御装置との間の無線通信には、電波を用いてもよいし、赤外線を用いてもよい。また、鍵装置と制御装置との無線通信方式は、移動通信網などを介さずに、両者互いに直接的に通信する方式であることが望ましい。
【0158】
また、上述した実施形態のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1では、各制御装置3と管理装置4との間を有線通信路8により接続する場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。各制御装置3と管理装置4との間を例えば無線LANなどの無線通信手段により接続してもよい。
【0159】
また、本発明のバイオメトリクス認証無線鍵錠システムにおいて、鍵装置の個数および制御装置の個数は限定されない。また、上述した実施形態では、バイオメトリクス認証無線鍵錠システム1により電気錠7の解錠を制御する場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。本発明のバイオメトリクス認証無線鍵錠システム1は、扉の施錠、自動車エンジンの始動、医療機器の操作、コンピュータの起動、コンピュータシステムへのログイン、ファクトリーオートメーションシステムの操作その他機器、装置またはシステムなどの動作を制御することができる。
【0160】
また、図2中の初期鍵装置識別情報記憶部11またはチェック用鍵装置識別情報記憶部14が第1鍵装置識別情報記憶手段の具体例であり、無線通信部13が識別情報送信手段および特徴情報送信手段の具体例であり、特徴情報取得部12が特徴情報取得手段の具体例である。
【0161】
また、図3中の無線通信部21および有線通信部22が識別情報転送手段および特徴情報転送手段の具体例であり、制御信号出力部23が制御信号出力手段の具体例である。
【0162】
また、図4中の識別情報登録関連処理部32が識別情報登録関連処理手段の具体例であり、特徴情報登録関連処理部33が特徴情報登録関連処理手段の具体例であり、関連付け処理部34が第1関連付け形成手段、第2関連付け形成手段および関連付け変更手段の具体例であり、有線通信部31が識別情報受取手段および特徴情報受取手段の具体例であり、記憶部35が第2鍵装置識別情報記憶手段、特徴情報記憶手段および制御装置識別情報記憶手段の具体例であり、識別情報一致判断部36が識別情報選択手段の具体例であり、特徴情報照合部37が特徴情報絞込手段および特徴情報選択手段の具体例であり、特徴情報照合部37および有線通信部31が制御指令送出手段の具体例であり、履歴情報処理部38が履歴情報記録手段の具体例であり、情報出力部39が履歴情報出力手段の具体例である。また、記憶部35は、履歴情報記録手段が使用履歴情報および使用者履歴情報を記憶するのに用いる記録装置の具体例でもある。
【0163】
また、初期鍵装置識別情報またはチェック用鍵装置識別情報が第1鍵装置識別情報の具体例であり、登録用鍵装置識別情報が第2鍵装置識別情報の具体例であり、照合用特徴情報が第1特徴情報の具体例であり、登録用特徴情報が第2特徴情報の具体例である。
【0164】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う鍵錠システム、管理装置およびコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムを示すブロック図である。
【図2】図1中の各鍵装置の構造を示すブロック図である。
【図3】図1中の各制御装置の構造を示すブロック図である。
【図4】図1中の管理装置の構造を示すブロック図である。
【図5】管理装置の記憶部に記憶された鍵装置−特徴情報テーブル、鍵装置−制御装置テーブルおよび特徴情報−使用者テーブルを示す説明図である。
【図6】本発明の鍵錠システムのより具体的な実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明の鍵錠システムにおける鍵装置の外観構成の実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムにおける鍵装置識別情報登録処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムにおける制御装置識別情報登録処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムにおける特徴情報登録処理を示すフローチャートである。
【図11】登録・抹消指示入力フォームの具体例を示す説明図である。
【図12】関連付け指示入力フォームの具体例を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムにおける解錠制御処理を示すフローチャートである。
【図14】図13の解錠制御処理の続きを示すフローチャートである。
【図15】履歴情報テーブルを示す説明図である。
【図16】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの第1の活用例を示す説明図である。
【図17】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの第1の活用例を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの第2の活用例を示す説明図である。
【図19】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの第2の活用例を示す説明図である。
【図20】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの第3の活用例を示す説明図である。
【図21】本発明の実施形態であるバイオメトリクス認証無線鍵錠システムの第3の活用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0166】
1 バイオメトリクス認証無線鍵錠システム
2 鍵装置
3 制御装置
4 管理装置
7 電気錠
11 初期鍵装置識別情報記憶部
12 特徴情報取得部
13 無線通信部
21 無線通信部
22 有線通信部
23 制御信号出力部
31 有線通信部
32 識別情報登録関連処理部
33 特徴情報登録関連処理部
34 関連付け処理部
35 記憶部
36 識別情報一致判断部
37 特徴情報照合部
38 履歴情報処理部
39 情報出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵装置、制御装置および管理装置を備えた鍵錠システムであって、
前記各鍵装置は、
当該鍵装置の第1鍵装置識別情報を記憶する第1鍵装置識別情報記憶手段と、
前記第1鍵装置識別情報記憶手段に記憶された第1鍵装置識別情報を無線通信方式により送信する識別情報送信手段と、
人体の特徴を示す第1特徴情報を人体から取得する特徴情報取得手段と、
前記特徴情報取得手段により取得された第1特徴情報を無線通信方式により送信する特徴情報送信手段とを備え、
前記制御装置は、
前記識別情報送信手段により送信された第1鍵装置識別情報を受信し、この第1鍵装置識別情報を前記管理装置に転送する識別情報転送手段と、
前記特徴情報送信手段により送信された第1特徴情報を受信し、この第1特徴情報を前記管理装置に転送する特徴情報転送手段と、
前記管理装置から送られた制御指令を受け取り、この制御指令に基づき、被制御装置に特定動作を行わせるための制御信号を前記被制御装置に出力する制御信号出力手段とを備え、
前記管理装置は、
第2鍵装置識別情報の登録および抹消を行う識別情報登録関連処理手段と、
前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2鍵装置識別情報を記憶する第2鍵装置識別情報記憶手段と、
第2特徴情報の登録および抹消を行う特徴情報登録関連処理手段と、
前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2特徴情報を記憶する特徴情報記憶手段と、
前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報と、前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の第2特徴情報との間に関連付けを形成する第1関連付け形成手段と、
前記識別情報転送手段により転送された第1鍵装置識別情報を受け取る識別情報受取手段と、
前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を、前記第2鍵装置識別情報記憶手段に記憶された複数の第2鍵装置識別情報の中から選択する識別情報選択手段と、
前記識別情報選択手段により選択された第2鍵装置識別情報に関連付けられた複数の第2特徴情報を、前記特徴情報記憶手段に記憶された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報絞込手段と、
前記特徴情報転送手段により転送された第1特徴情報を受け取る特徴情報受取手段と、
前記特徴情報受取手段により受け取られた第1特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす第2特徴情報を、前記特徴情報絞込手段により選択された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報選択手段と、
前記特徴情報選択手段により第2特徴情報の選択が成功した場合に、前記被制御装置に特定動作を行わせるための前記制御指令を前記制御装置に送る制御指令送出手段とを備えていることを特徴とする鍵錠システム。
【請求項2】
複数の前記制御装置を備え、
前記管理装置は、
前記各制御装置の制御装置識別情報を記憶する制御装置識別情報記憶手段と、
前記制御装置識別情報記憶手段に記憶された制御装置識別情報と前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報との間に関連付けを形成する第2関連付け形成手段とをさらに備え、
前記識別情報選択手段は、前記第2鍵装置識別情報記憶手段および前記制御装置識別情報記憶手段を参照し、これにより、前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報の転送元である制御装置の制御装置識別情報に関連付けられ、かつ前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の鍵錠システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報と前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた第2特徴情報との間の関連付けを追加し、消去しまたは変更する関連付け変更手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵錠システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報に基づいて前記鍵装置の使用履歴を示す使用履歴情報を生成し、かつ、前記特徴情報受取手段により受け取られた第1特徴情報に基づいて前記鍵装置の使用者履歴を示す使用者履歴情報を生成し、これら使用履歴情報および使用者履歴情報を記録装置に記録する履歴情報記録手段と、
前記履歴情報記録手段により前記記録装置に記録された使用履歴情報および使用者履歴情報を出力する履歴情報出力手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵錠システム。
【請求項5】
自らを識別するための第1鍵装置識別情報を記憶する第1鍵装置識別情報記憶手段と、前記第1鍵装置識別情報記憶手段に記憶された第1鍵装置識別情報を無線通信方式により送信する識別情報送信手段と、人体の特徴を示す第1特徴情報を人体から取得する特徴情報取得手段と、前記特徴情報取得手段により取得された第1特徴情報を無線通信方式により送信する特徴情報送信手段とを備えた鍵装置と、
前記識別情報送信手段により送信された第1鍵装置識別情報を受信し、この第1鍵装置識別情報を転送する識別情報転送手段と、前記特徴情報送信手段により送信された第1特徴情報を受信し、この第1特徴情報を転送する特徴情報転送手段と、制御指令を受け取り、この制御指令に基づき、被制御装置に特定動作を行わせるための制御信号を前記被制御装置に出力する制御信号出力手段とを備えた制御装置と共に鍵錠システムを構成する管理装置であって、
第2鍵装置識別情報の登録および抹消を行う識別情報登録関連処理手段と、
前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2鍵装置識別情報を記憶する第2鍵装置識別情報記憶手段と、
第2特徴情報の登録および抹消を行う特徴情報登録関連処理手段と、
前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の前記第2特徴情報を記憶する特徴情報記憶手段と、
前記識別情報登録関連処理手段により登録が行われた第2鍵装置識別情報と、前記特徴情報登録関連処理手段により登録が行われた複数の第2特徴情報との間に関連付けを形成する第1関連付け形成手段と、
前記識別情報転送手段により転送された第1鍵装置識別情報を受け取る識別情報受取手段と、
前記識別情報受取手段により受け取られた第1鍵装置識別情報と一致する第2鍵装置識別情報を、前記第2鍵装置識別情報記憶手段に記憶された複数の第2鍵装置識別情報の中から選択する識別情報選択手段と、
前記識別情報選択手段により選択された第2鍵装置識別情報に関連付けられた複数の第2特徴情報を、前記特徴情報記憶手段に記憶された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報絞込手段と、
前記特徴情報転送手段により転送された第1特徴情報を受け取る特徴情報受取手段と、
前記特徴情報受取手段により受け取られた第1特徴情報との間において所定の同一性基準を満たす第2特徴情報を、前記特徴情報絞込手段により選択された複数の第2特徴情報の中から選択する特徴情報選択手段と、
前記特徴情報選択手段により第2特徴情報の選択が成功した場合に、前記被制御装置に特定動作を行わせるための前記制御指令を前記制御装置に送る制御指令送出手段とを備えていることを特徴とする管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−280810(P2008−280810A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127919(P2007−127919)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【特許番号】特許第4043507号(P4043507)
【特許公報発行日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(307013651)テンプランズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】