説明

バイオ燃料電池用電極およびバイオ燃料電池

【課題】
光合成微生物(バクテリア,藻等)に直接反応して光合成や代謝により生成された電子を効率良く受け取ることができるバイオ燃料電池用電極およびこのバイオ燃料電池用電極を用いたバイオ燃料電池を提供する。
【解決手段】
バイオ燃料電池用電極は、正電極である親微生物性の導電性多孔質膜と、負電極である導電性多孔質膜との間に絶縁性イオン交換膜が介在されて積層されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成微生物(バクテリア,藻等)に直接反応して光合成や代謝により生成された電子を効率良く受け取ることができるバイオ燃料電池用電極およびこのバイオ燃料電池用電極を用いたバイオ燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンパクトで高性能なマイクロパワー源の要求が高まっており、直接メタノール型燃料電池(DMFC)やバイオ燃料電池に関する技術が種々提案されている。DMFCでは、プラチナ等の貴金属触媒を用いてメタノール燃料から電気エネルギーを得ている。これに対して、バイオ燃料電池は、ブドウ糖,メタノール等の炭水化物を培養要素として微生物の生化学エネルギーから電気エネルギーを得ており低製造コストであるといった利点がある。このため、バイオ燃料電池は、常温で動作するため将来のメタノール型燃料電池に代わる電池として期待されている。
【0003】
この種のバイオ燃料電池では、生物内で起こる光合成や代謝により生じたエネルギーの抽出は、一連の酵素反応と電荷伝達体の移動により行われる。
【0004】
光合成過程では水の光分解(CO2の還元反応)により電子(e-)が生成され、代謝過程では炭水化物のCの酸化反応により電子(e-)が生成される。生成された電子(e-)は、電荷伝達系を経てアノードに渡され、アノードの電子(e-)は負荷を介してカソードに移送される。
バイオ燃料電池で実用的電流を得るためには、微生物の体内で生産された電子(e-)を取り出さなければならないが、微生物の細胞は細胞膜や細胞壁によって囲まれているため、そのままでは電子(e-)を取り出すことができない。そこで、バイオ燃料電池では、メディエータ(電荷伝達体)を用いることによって、細胞内の電子(e-)をその外部に取り出してアノードまで運んでいる。
【0005】
図5に従来のバイオ燃料電池のモデルを示す。図5において、バイオ燃料電池900は、バイオ燃料電池用電極91と、光照射槽92と、酸化還元反応槽93とを備えている。バイオ燃料電池用電極91は、正負電極(アノードA,カソードK)となる一対の導電性多孔質膜911,912間に、固体高分子からなる絶縁性イオン交換膜913が介在されて構成されている。図5では、微生物(バクテリア)としてシアノバクテリア(アナベナ)94を用い、メディエータ(電荷伝達体)95としてメチレンブルーを使用している。
【0006】
バイオ燃料電池用電極91は、光照射槽92と酸化還元反応槽93とを分離している。光照射槽92内のシアノバクテリア94は光照射時には、光合成および代謝を行い、光非照射時には代謝のみを行う。シアノバクテリア94が光エネルギーを捕捉すると、内部で電子(e-)およびプロトン(H+)が生成される。メディエータ95は、シアノバクテリア94から電子(e-)を受け取り、導電性多孔質膜911(アノードA)に電子(e-)を渡す。電子(e-)は負荷96を介して、導電性多孔質膜912に移動する。
【0007】
導電性多孔質膜912側には酸化還元物質(図5ではフェロシアン化カリウムの鉄イオンをFe(II)で示し、フェリシアン化カリウムの鉄イオンをFe(III)で示す)が挿入されており、導電性多孔質膜912側に到達した電子(e-)はフェリシアン化カリウムを還元する(この結果、三価のフェリシアン化カリウムは二価のフェロシアン化カリウムに遷移する)。一方、プロトン(H+)は、濃度勾配により絶縁性イオン交換膜913を透過して導電性多孔質膜912側に移動する。
【0008】
導電性多孔質膜912側に移動したプロトン(H+)は、フェロシアン化カリウムから電子を受け取る(この結果、二価のフェロシアン化カリウムは三価のフェリシアン化カリウムに遷移する)。この反応は、プロトン(H+)がO2により酸化される反応でもあり、結果としてH2Oが生成される。以上のように、導電性多孔質膜912側では、導電性多孔質膜911側から供給される電子を順次消費することで電力エネルギーを得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図5に示す光合成燃料電池システムでは、実用化できる程度の安定した電力を得ることができない。その理由は、電子(e-)の伝達にメディエータ95を使用することが不可欠であるため、メディエータ95と電子(e-)との化学反応、およびこの化学反応により生成された物質とメディエータ95との反応が複雑かつ不安定であることが原因であると考えられる。
【0010】
また、周知のように色素系の試薬は光劣化するものが多く、メディエータであるメチレンブルーも光により劣化する。したがって、メディエータ95が存在する限りバイオ燃料電池の寿命が短くなり、あるいはメディエータの補充が適時に必要となるという問題がある。
【0011】
本発明は上記のような問題を解決するために提案されたものであって、光合成微生物に直接反応して光合成や代謝により生成された電子を効率良く受け取ることができるバイオ燃料電池用電極およびこのバイオ燃料電池用電極を用いたバイオ燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のバイオ燃料電池用電極は、正電極である親微生物性の導電性多孔質膜と、負電極である導電性多孔質膜との間に絶縁性イオン交換膜が介在されて積層されていることを特徴とする。
【0013】
絶縁性イオン交換膜を介在させることで、一対の導電性多孔質膜(すなわち、一方が陽極、他方が陰極)間の絶縁を行うとともに、一対の導電性多孔質膜間に電気的な勾配を形成することができる。これにより、プロトン(H+)を透過させ、電子(e-)を一方の導電性多孔質膜から他方の導電性多孔質膜に電気配線を介して移動させることができる。
【0014】
本発明のバイオ燃料電池用電極では、前記一対の導電性多孔質膜の少なくとも一方の、片面または両面に、イオンが通過する導電補助用の金属を形成することができる。
【0015】
本発明のバイオ燃料電池用電極では、前記一対の導電性多孔質膜をポリアニリン、ポリニュートラルレッド、ポリメチレンブルー等の親微生物性かつ導電性である物質から形成することができる。
【0016】
本発明のバイオ燃料電池は、上記何れかのバイオ燃料電池用電極と、
前記バイオ燃料電池用電極の一方の面が内壁面の一部または全部を構成し、光合成微生物が含まれる微生物培養液が封入された光照射槽と、
を備え、
前記バイオ燃料電池用電極の他方の面は外気に露出している、
ことを特徴とする。また、上記何れかのバイオ燃料電池用電極と、
前記バイオ燃料電池用電極の一方の面が内壁面の一部または全部を構成し、光合成微生物が含まれる微生物培養液が封入された光照射槽と、
前記バイオ燃料電池用電極により分離された、酸化還元反応が行われる酸化還元反応槽と、
を備えたことをも特徴とする。
【0017】
本発明のバイオ燃料電池では、前記微生物培養液には、前記光合成微生物が生成した電子およびプロトンを前記バイオ燃料電池用電極の一方の極(アノード)に搬送するメディエータ(電荷伝達体)を含まないようにできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバイオ燃料電池用電極およびバイオ燃料電池は、アノードの導電性多孔質膜に親微生物性のものを使用するので、光合成微生物(バクテリア,藻等)に直接反応して、光合成や代謝により生成された電子を効率良く受け取ることができる。すなわち、微生物培養液中では、メディエータによることなく光合成微生物から電子(e-)およびプロトン(H+)をアノードに渡すことができる。しかも、メディエータを使用しない場合には、光学的劣化等の不都合は生じないので、電池寿命を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明のバイオ燃料電池の一実施形態をモデルで示す説明図である。図1においてバイオ燃料電池100は、バイオ燃料電池用電極1と、光照射槽21と、酸化還元反応槽22とを備えている。
【0020】
バイオ燃料電池用電極1は、正負電極(アノードA,カソードK)となる一対の導電性多孔質膜11,12間に、固体高分子からなる絶縁性イオン交換膜13が介在されて構成されている。
【0021】
本実施形態では、導電性多孔質膜11と絶縁性イオン交換膜13と導電性多孔質膜12とは積層されている。導電性多孔質膜11,12は、親微生物性を有しており、本実施形態では、ポリアニリンから構成されている。後述するように、導電性多孔質膜12には、酸化還元物質(図1ではFe(II),Fe(III)で示す)を埋め込むことができる。
【0022】
光照射槽21と酸化還元反応槽22とはバイオ燃料電池用電極1により分離されている。光照射槽21には、シアノバクテリア(光合成微生物)32を含む微生物培養液31が封入されており、後述するように光照射槽21ではシアノバクテリア32による光合成および呼吸が行われる。図1では説明の便宜上、シアノバクテリア32を拡大して示してある。
【0023】
酸化還元反応槽22には酸素等が溶けている水(符号41で示す)が封入されており、後述するように、酸化還元反応槽22側では、酸化還元により新たにH2Oが生成される。なお、図1には示していないが生成されたH2Oに見合うだけの量のH2Oを、バルブ等を介して光照射槽21に戻すように構成することができる。
【0024】
以下、図1のバイオ燃料電池100の動作を説明する。
光照射槽21では、シアノバクテリア32は光照射時には、光合成および代謝を行い、光非照射時には代謝のみを行う。光合成過程は、
2O+CO2→(CH2O)+O2
で表され、代謝過程は、
(CH2O)+O2→H2O+CO2+ATP
で表される。
【0025】
ここで、(CH2O)は、グルコースなどの炭水化物である。また、ATPは、炭水化物が代謝により分解された際に生じるエネルギー源であり、シアノバクテリア32内のエネルギー代謝等の機能に供される。
【0026】
上記の反応過程において、シアノバクテリア32が光エネルギーを捕捉すると、電子(e-)およびプロトン(H+)は、NADP(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、NAD(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に渡され、NADPH(還元型NADP)、NADH(還元型NAD)となる。これらNADPH、NADHは、シアノバクテリア32内での電荷伝達体として機能するもので電子(e-)やプロトン(H+)の流れを生じさせることができる。
【0027】
電子(e-)の挙動は以下の通りである。すなわち、導電性多孔質膜11は親微生物性のポリアニリンであるので、シアノバクテリア32に対して親和性を持っている。したがって、導電性多孔質膜11はシアノバクテリア32が接すると、NADPHやNADHから直接(すなわち、微生物培養液31中にメディエータがなくても)電子を受け取り、還元型となる。導電性多孔質膜11に集められた電子(e-)は、負荷5を通って、導電性多孔質膜12側に移動する。このとき、電子(e-)は仕事をし、導電性多孔質膜11側のポリアニリンは酸化型となる。
【0028】
導電性多孔質膜12側に到達した電子(e-)は、導電性多孔質膜12を還元する。本実施形態では、導電性多孔質膜12には、予め酸化還元物質としてフェリシアン化カリウム(あるいはフェロシアン化カリウム:図1ではフェリシアン化カリウムの鉄イオンをFe(III)で示し、フェロシアン化カリウムの鉄イオンをFe(II)で示す)が挿入されており、電子(e-)は、フェリシアン化カリウムを還元する(この結果、三価のフェリシアン化カリウムは二価のフェロシアン化カリウムに遷移する)。なお、本発明では、バイオ燃料電池100に酸化還元反応槽22を設けずに、導電性多孔質膜12を空気中に暴しておくこともできる。この場合には、酸化還元反応槽22にH2Oが供給されるように構成することができる。
【0029】
バイオ燃料電池100に酸化還元反応槽22を設けた場合には、酸化還元物質は酸化還元反応槽22に溶解させておくこともできる。特に、生成されたH2Oを光照射槽21に戻す場合には、酸化還元物質(フェロシアン化カリウムあるいはフェリシアン化カリウム)は導電性多孔質膜12に挿入して固定化しておくことが好ましい。
【0030】
一方、プロトン(H+)の動向は以下の通りである。すなわち、ポリアニリンからなる導電性多孔質膜11は親微生物性であるので、シアノバクテリア32に対して親和性を持っている。したがって、シアノバクテリア32が導電性多孔質膜11に接すると、導電性多孔質膜11は、前述したように電子(e-)だけでなくプロトン(H+)もシアノバクテリア32内から導電性多孔質膜(ポリアニリン)11に移動する。導電性多孔質膜11に移動したプロトン(H+)は、導電性多孔質膜12側(すなわち、酸化還元反応槽22側)よりも高濃度である。したがって、導電性多孔質膜11側のプロトン(H+)は濃度勾配により絶縁性イオン交換膜13を透過して導電性多孔質膜(ポリアニリン)12側に移動する。
【0031】
導電性多孔質膜12側に移動したプロトン(H+)は、フェロシアン化カリウムから電子を受け取り(この結果、二価のフェロシアン化カリウムは三価のフェリシアン化カリウムに遷移する)。この反応は、プロトン(H+)がO2により酸化される反応でもあり、結果としてH2Oが生成される。以上のように、導電性多孔質膜12側では、導電性多孔質膜11側から供給される電子を順次消費することで、安定した電力エネルギーを得ることができる。
【0032】
図2(A)に示すように、導電性多孔質膜11,12の少なくとも一方の片面または両面(図2(A)では、導電性多孔質膜11,12の、絶縁性イオン交換膜13側とは反対側の各表面)にCu,Au等の導電補助膜(図2(A)ではAu)111,112をメッキ等により形成することができる。導電補助膜111,112は、シアノバクテリア32(図1参照)が光照射槽21側のポリアニリン(すなわち、導電性多孔質膜11)に接することができるように、かつプロトン(H+)が透過できるように形成する必要がある。
【0033】
また、図2(B)に示すように、導電性多孔質膜11,12の少なくとも一方の片面または両面(図2(B)では導電性多孔質膜11の、絶縁性イオン交換膜13側とは反対側の表面)に上記と同様の導電補助膜113を形成し、さらにこの導電補助膜113に導電性多孔質膜114(導電性多孔質膜11,12と同一構成である)を形成することもできる。
【0034】
以下、バイオ燃料電池100の具体的な構成を説明する。
図3(A)はバイオ燃料電池100の分解図であり、図3(B)はバイオ燃料電池100の組立図である。
【0035】
図3(A),(B)において、バイオ燃料電池100は、バイオ燃料電池用電極1の両面に配置された一対の集電板61,62と、その外側に配置されたOリング71,72と、さらにその外側に配置されたカバー板81,82とを備えている。図4(A)にバイオ燃料電池用電極1を、図4(B)に集電板61,62を、(C)にOリング71,72を、(D)にカバー板81,82をそれぞれ平面図で示す。
【0036】
バイオ燃料電池用電極1は、図1において説明したものと同じものであり、本例では平面視がほぼ正方形に形成されている。集電板61,62は、平面視外周輪郭がバイオ燃料電池用電極1とほぼ同様の正方形に形成され、大径の円形孔63が空けられ、一辺に端子片64が形成されている。Oリング71,72は、外径が集電板61,62の1辺よりも小さく、内径が集電板61,62に空けられた穴よりも大きく形成されている。アクリル板81,82は、平面視が集電板61,62と同じ正方形状に形成されている。
【0037】
バイオ燃料電池用電極1は、絶縁性イオン交換膜13の両面に、導電性多孔質膜11,12(図1参照)となるポリアニリンをスピンニングにより塗布形成することで製造することができる。本例では、絶縁性イオン交換膜13として「ナフィオン(登録商標:米国Dupon社製)117」を使用した。本例ではバイオ燃料電池用電極1の平面視形状は、厚さ0.18mm、一辺34mmの正方形状とした。
【0038】
「ナフィオン117」には以下の前処理を施し、絶縁性イオン交換膜13とした。この前処理により、「ナフィオン117」に付着した有機物や金属を除去でき、空孔にH+を注入することで「ナフィオン117」を活性化することができる。
・80℃、3%のH22で1時間煮沸
・純水で1時間煮沸
・80℃,0.5mol/リットルのH2SO4で1時間煮沸
・純水で1時間煮沸
【0039】
導電性多孔質膜11,12となるポリアニリンの絶縁性イオン交換膜13(ナフィオン)への塗布形成は、スピナーを用いて、ナフィオン膜を1500回転/分程度回転させ、その上に有機溶剤に溶けた状態のポリアニリンをスポイトで滴下することで行った。その後に、ドライヤーを用いてポリアニリンを乾燥させた。滴下量は0.1〜0.2ミリリットル(スポイトで5滴)程度とした。
【0040】
集電板61,62は、厚さ0.3mmの銅板により、ワイヤー放電加工機を用いて作成した。空けられた穴63の径は24mmとしてあり、端子片64は幅3mmとし、正方形角部から長さ15mmの長さ突出させて形成した。集電板61,62を用いずに導電性多孔質膜11,12(ポリアニリン)から、電子を直接取り出すこともできるが、集電板61,62を用いることで、集電効率を向上させることができる。集電板61,62として、銅板に代えてアルミニウム等の他の導電材料を使用することもできるが、耐腐食性、電気導電率を考慮し銅板とすることが好ましい。
【0041】
Oリング71,72は、外径32mm、内径24mm、厚さ2mmのゴム製としてある。このOリング71,72により、バイオ燃料電池用電極1とカバー板81との間に密閉した光照射槽21(図1参照)の空間が形成され、バイオ燃料電池用電極1とカバー板82との間に密閉した酸化還元反応槽22(図1参照)の空間が形成される。
【0042】
カバー板81,82は、1辺50mm、厚さ2mmのアクリル板により形成した。光照射槽21の蓋材となるカバー板81のみを透明とすればよいが、本例ではカバー板81,82の双方を透明アクリル板により形成した。また、カバー板81,82には、組み付け用の2.6mm径のボルト孔83が四隅(各辺から5mmの位置)に設けてあり、各カバー板81,82には、微生物培養液や、水を注入するための2.6mm径の注入孔84を隣接する2辺から15mmの位置に設けてある。
【0043】
上記のバイオ燃料電池用電極1に、カバー板81の注入孔84からシアノバクテリアとしてアナベナが含まれる培養液31を注入し常温で負荷(100Ω)に電流を流した。これにより、6.93μW(0.11mA)のエネルギーを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のバイオ燃料電池の一実施形態をモデルで示す説明図である。
【図2】(A)は一対の導電性多孔質膜の各片面に導電補助膜を形成したバイオ燃料電池用電極を示す図、(B)は一対の導電性多孔質膜の一方の片面に導電補助膜を形成しさらにこの導電補助膜に導電性多孔質膜を形成したバイオ燃料電池用電極を示す図である。
【図3】具体的なバイオ燃料電池を示す図であり、(A)はバイオ燃料電池の分解図、(B)はバイオ燃料電池の組立図である。
【図4】図3のバイオ燃料電池の構成要素を示す図であり、(A)はバイオ燃料電池用電極を、(B)は集電板を、(C)はOリングを、(D)はカバー板をそれぞれ示す平面図である。
【図5】従来のバイオ燃料電池を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 バイオ燃料電池用電極
5 負荷
11,12,114 導電性多孔質膜
13 絶縁性イオン交換膜
21 光照射槽
22 酸化還元反応槽
32 シアノバクテリア
31 微生物培養液
41 水
61,62 集電板
63 円形孔
64 端子片
71,72 Oリング
81,82 カバー板
83 ボルト孔
84 注入孔
100 バイオ燃料電池
111,112,113 導電補助膜
A アノード
K カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電極である親微生物性の導電性多孔質膜と、負電極である導電性多孔質膜との間に絶縁性イオン交換膜が介在されて積層されていることを特徴とするバイオ燃料電池用電極。
【請求項2】
前記一対の導電性多孔質膜の少なくとも一方の、片面または両面に、イオンが通過する導電補助用の金属が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のバイオ燃料電池用電極。
【請求項3】
前記一対の導電性多孔質膜はポリアニリンからなることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオ燃料電池用電極。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のバイオ燃料電池用電極と、
前記バイオ燃料電池用電極の一方の面が内壁面の一部または全部を構成し、光合成微生物が含まれる微生物培養液が封入された光照射槽と、
を備え、
前記バイオ燃料電池用電極の他方の面は外気に露出している、
ことを特徴とするバイオ燃料電池。
【請求項5】
請求項1から3の何れかに記載のバイオ燃料電池用電極と、
前記バイオ燃料電池用電極の一方の面が内壁面の一部または全部を構成し、光合成微生物が含まれる微生物培養液が封入された光照射槽と、
前記バイオ燃料電池用電極により分離された、酸化還元反応が行われる酸化還元反応槽と、
を備えたことを特徴とするバイオ燃料電池。
【請求項6】
前記微生物培養液には、前記光合成微生物が生成した電子およびプロトンを前記バイオ燃料電池用電極の一方の極に搬送するメディエータ(電荷伝達体)を含まないことを特徴とする請求項4または5に記載のバイオ燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−190502(P2006−190502A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382170(P2004−382170)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】