説明

バイオ資源のアクロレインポリマーと、その製造方法と、その使用

【課題】バイオ資源のアクロレインポリマーと、その製造法と、その使用。
【解決手段】ASTM D6866規格に従ったバイオ資源炭素を含むアクロレインポリマーと、その製造法。本発明の製造法は酸触媒の存在下でグリセロール水溶液からグリセロールを脱水した後に、得られた物質をイオン触媒またはフリーラジカル開始剤の存在下で重合する第1段階を含む。本発明ポリマーは、家畜用抗生物質、消毒および殺菌、化粧品、掘削泥水、塗料およびインク、および製紙およびテキスタイル工業の分野で多くの用途がある。持続可能な発展に一定の対応ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生可能な出発材料から得られるアクリルポリマーと、その製造方法と、その使用に関するものである。
本発明は特に、バイオ資源炭素(carbone bioressource)を含むアクロレインから得られるポリマーと、グリセロールからのその製造方法と、その使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクロレイン(2−プロペナールともよばれる)は個々または一緒に反応可能な2つの反応性官能基ビニルおよびアルデヒドが存在するため多くの工業的用途がある。アクロレインは多数の工業化学反応、特にメチオニン(飼料補助食品として用いられる合成蛋白質)、アクリル酸(誘導体の重要性が評価されている)およびグルタルアルデヒド(殺生剤または殺菌剤としての多くの用途がある)を製造するための出発生成物である。アクロレインは製造ラインおよび工業用水の殺生剤としても用いられる。
【0003】
アクロレインは塩基、アミン、強酸または過酸化物の存在下で容易に重合して一般にポリアクロレインとして知られるポリマーを生じる非常に反応性に富む化合物である。
【0004】
ポリアクロレインポリマーは種々の触媒を使用した種々の製造方法によって製造でき、異なるポリマー特性、特に有機溶剤または水性媒体中での溶解度、分子量範囲、カルボニル官能基の含有量等の点で異なるポリマー特性が得られる。アクロレインの重合触媒の例としては塩基性化合物、例えばアルカリ金属水酸化物、脂肪族アミン、炭酸ナトリウム、アンモニア水、ヒドラジン、ピペリジン、フリーラジカル触媒、例えば過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルヒドロキシペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルアセテート、過硫酸、過炭酸または過ホウ酸アルカリ金属、アゾ化合物、還元剤、例えば亜硫酸塩または亜硫酸水素塩を含む酸化還元系が挙げられる。重合は水性媒体中でまたは溶剤、例えば軽質アルコール、エーテル、例えばTHFまたはジオキサン、脂肪族または芳香族炭化水素、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはシクロヘキサン、塩素化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等の存在下で行うことができる。特に、アクロレインをベースにしたポリマーを得るための各種方法については特許文献1〜9を参照されたい。
【0005】
アクロレインは、その他のビニルモノマー、例えばメチルメタクリレート、スチレン、アクリルエステルまたは酢酸ビニルと共重合反応させることもでき、従って、広範囲の生成物が得られる。例えば、アクロレイン/アクリロニトリルおよびアクロレイン/メチルメタクリレートコポリマーの製造が記載された上記特許文献3(フランス国特許第1,299,254号公報)が挙げられる。上記特許文献2(フランス国特許第1,312,166号公報)にはアクロレインと、β−置換アクロレイン、例えばアリール、アラルキル、アルキルおよびアルカリルアクロレイン、またはエチレン基を含むその他のモノマーとのコポリマーが記載されている。
【0006】
アクロレインポリマーの合成後、これらに様々な化学処理を施して、その特性またはその適用性を改質する。例えば、水または標準溶剤、例えばベンゼン、トルエンまたはアセトンに不溶なポリマーを、種々の材料、例えば二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、メルカプタン、アルコール等を用いて処理して可溶型に変換できる。二亜燐酸塩と、ポリアクロレインポリマーのアルデヒド官能基との反応で得られる、特許文献10に記載の難燃ポリマーも挙げられる。
【0007】
特許文献11、12は、アクロレインベースのポリマーを水および/またはアルコールまたはポリオールの存在下で40〜150℃で熱処理し、その安定性およびその抗菌性を向上させている。
【0008】
アクロレインベースのポリマーは、特に家畜の健康、抗生物質、消毒および殺菌、化粧品、掘削泥水、塗料およびインク、製紙およびテキスタイル工業等の分野で広く求められている。特に、商品名Chemydeで市販のアクロレインポリマーは家畜衛生の細菌感染を治療する抗生物質の代替品として用いられている。
【0009】
最もよく用いられるアクロレイン製造方法はプロピレンを大気中の酸素で気相触媒酸化する反応を基にしている。従って、アクロレインの製造に直接つながるアクロレインポリマーの製造は、石油留分の水蒸気分解や接触分解で得られるプロピレン出発材料に大きく依存する。石油に由来するこの出発材料は温室化効果を増大させる原因となる。さらに、この方法では石油を使用するが、オイル層は急速に使い果たされ、石油の掘削はますます難しくなっており(深海の油田)、その掘削には高温(400〜500℃)に耐えなければならない大規模で高価な設備が必要である。地球上の石油資源の減少を考慮すると、これらの出発材料の供給源は徐々に枯渇しつつある。
【0010】
バイオマスから得られる出発材料は再生可能な資源、またはバイオ資源であり、環境への影響は少ない。「バイオマス」は自然に生産される動植物由来の出発材料を意味する。植物材料の特徴は植物が成長するために大気CO2を消費し、酸素を生成する点にある。動物は成長するためにこの植物出発材料を消費することで大気CO2に由来する炭素を取り込む。
【0011】
バイオマスベースの出発材料は石油製品の抽出および精製工程(エネルギーの点で非常にコスト高である)は不必要であり、CO2の発生量が減り、地球温暖化に対する影響が少なく、持続可能な発展という課題のいくつかの懸念に対応できる。
さらに、化粧品または家畜衛生のような分野では、生態学的および生物学的倫理の点でより安全であるという定評がある植物由来の製品に、消費者はますます引きつけられている。
【0012】
従って、化石由来の出発材料に依存しない利用可能なアクロレインベースのポリマー、従って、バイオ資源の出発材料を用いたアクロレインベースのポリマーの合成方法に対するニーズがある。
【0013】
グリセロールを脱水してアクロレインを合成することは公知である。グリセロール(水溶液の形のときはグリセリンともよばれる)は特に動植物油のメタノリシス(methanolysis)でメチルエステルと同時に得られる。メチルエステル自体はディーゼルオイルまたは家庭用燃料油で燃料として用いられている。天然物は多量に入手可能で、しかも、容易に貯蔵、輸送できる。グリセロールは新しい概念である「環境に優しい化学」の基準を満たした再生可能な出発材料であるという利点を有する。
【0014】
グリセロールの改良、特にアクロレインの製造は近年多くの研究が行われており、下記の反応に従ったグリセロールの脱水反応を用いる方法もその一つである:
CH2OH−CHOH−CH2OH −> CH2OH−CH2−CHO+H2O<−>CH2=CH−CHO+2H2
この反応によってアクロレインが得られる。
【0015】
この反応は平衡反応である。一般に、水和反応は低温が良く、脱水反応は高温が良い。従って、アクロレインを得るためには、反応をシフトするのに十分な温度および/または分圧を用いなければならない。反応は液相または気相で行うことができる。この種の反応が酸で触媒されることは公知である。例えば、アクロレインを製造するためにグリセロールの脱水反応を行う様々な条件が記載されている特許文献13〜18を参照されたい。
【0016】
グリセロールから得られるアクロレインはアクロレインベースのポリマーを合成する場合に特に有利であり、「バイオマスから得られた」または「バイオ資源の」といえる。プロセス的には、特に、グリセロールから得られたアクロレイン中に存在する不純物の大部分は、ポリマーを得る方法では重合できない。これらは次いで、残留モノマーのポリマーを遊離するための次の処理で過剰アクロレインと同時に除去される。グリセロールの脱水で得られるアクロレインはさらに、プロピレンの酸化で得られるアクロレインよりも、アクリル酸および酢酸の含有量が少ないが、プロパンアルデヒドおよびアセトアルデヒドの含有量が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】カナダ国特許第696,969号公報
【特許文献2】フランス国特許第1,312,166号公報
【特許文献3】フランス国特許第1,299,254号公報
【特許文献4】米国特許第1,051,858号明細書
【特許文献5】米国特許第2,657,192号明細書
【特許文献6】米国特許第3,635,898号明細書
【特許文献7】英国特許第1,051,858号公報
【特許文献8】国際特許第WO 88/04671号公報
【特許文献9】欧州特許第667,358号公報
【特許文献10】米国特許第3,183,214号明細書
【特許文献11】国際特許第WO 01/60874号公報
【特許文献12】国際特許第WO 2005/044874号公報
【特許文献13】フランス国特許第695,931号公報
【特許文献14】米国特許第2,558,520号明細書
【特許文献15】国際特許出願第99/05085号公報
【特許文献16】米国特許第5,387,720号明細書
【特許文献17】国際特許出願第WO 06/087,083号公報
【特許文献18】国際特許出願第WO 06/087,084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の第1の対象は、炭素の少なくとも一部がバイオ資源であるアクロレインベースのポリマーにある。
【0019】
バイオ資源は天然の動物または植物の資源であり、これらは人間の時間で短い期間に再構成することができる。特に、これら資源は消費速度以上の速さで再生可能である必要がある。化石原料に由来する材料とは違って、バイオ資源の出発材料は大気CO2と同じ比率で14Cを含む。生物(動物または植物)から得られる全ての炭素のサンプルは3つの同位元素:12C(約98.892%)、13C(約1.108%)および14C(痕跡量:1.2×10-10%)の混合物である。生物組織の14C/12C比は大気のそれと同じである。環境中では14Cは主として2つの形:無機の形すなわち二酸化炭素(CO2)の形と、有機の形すなわち有機分子中に一体化された炭素の形で存在する。
【0020】
有機生物体中では炭素が環境と絶えず交換しているので、14C/12C比は新陳代謝によって一定に保たれる。大気中の14Cの比率は一定であるので、その比は生物中でも同じである。生きている間、生物は12Cと一緒に14Cも吸収し、14C/12C比の平均値は1.2×l0-12に等しい。炭素-14は大気窒素(14)の衝撃によって得られ、大気酸素で自然に酸化され、CO2を生成する。人類史上で、14CO2の含有量は大気圏内核実験が行われた後に増加し、この年以降、このような実験が中止された後も減少していない。
【0021】
12Cは安定しており、サンプル中の12C原子の数は経時的に一定である。一方、14Cは放射性であり(生物中の炭素の1グラム当たり毎分、13.6個の14C同位元素が崩壊)、サンプル中のこの原子の数は下記の式に従って時間(t)の関数で減少する:
n=no exp(−at)
【0022】
(ここで、
oは開始時(生物、動植物の死)の14C原子の数であり、
nは時間tの終了後に残った14C原子の数であり、
aは崩壊定数(または放射性定数)で、これは半減期に関係する)
【0023】
半減期(または半減時間)とは所定の種の放射性核または不安定粒子の数が崩壊によって半分になるまでの期間であり、半減期T1/2は式aT1/2=ln2によって崩壊定数と関係する。14Cの半減期は5730年である。50,000年で、14Cの含有量は初期含有量の0.2%以下となるので、検出は困難になる。従って、石油製品、または天然ガスまたは石炭は14Cを全く含まない。
14Cの半減期(T1/2)を考慮すると、14Cの含有量はバイオ資源の出発材料を抽出してから、これらの出発材料で「バイオ材料」を製造し、さらにはその使用終了までほぼ一定である。
【0024】
「バイオ材料」中の14Cの含有量は例えば下記の方法に従って行う測定から演繹できる:
(1)液体シンチレーションを用いたスペクトロメトリ:
この方法の基本は14Cの崩壊で生じた「β」粒子をカウントすることにある。質量(炭素原子数)が分かっているサンプルに由来するβ線を一定時間測定する。この「放射能」は14C原子の数に比例し、それは求めることができる。サンプル中に存在する14Cはβ線を発し、それが液体発光物質と接触すると光子が出る。この光子は種々のエネルギー(O〜156Kev)を有し、14Cスペクトルを形成する。この方法には2つの変形法があり、適当な吸収剤の溶液中で炭素サンプルを燃焼して予め出したCO2を測定するか、炭素化サンプルを予めベンゼンに変換してベンゼンを測定する。
【0025】
(2)マススペクトル分析:
サンプルをグラファイトまたはCO2ガスにし、質量分析機で分析する。この方法では14Cイオンを12Cイオンから分離するための加速器と質量分析装置とを使用して、2つの同位元素の比を求める。
【0026】
材料中の14Cの量を測定するこれらの方法はASTM D6866規格(特にD6866−06)およびASTM D7026規格(特に7026−04)に記載されている。これらの方法でサンプル中のデータを測定し、バイオ資源炭素が100%の参照サンプルのデータ(14C/12C比が1.2×10-12である)と比較することで、各サンプル中のバイオ資源炭素の相対百分比を求めることができる。続いてサンプルの14C/12C比をそこから演繹できる。
好ましい測定方法はASTM D6866−06規格(「加速質量分析法」)に記載のマススペクトル分析である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の対象は、14C質量含有量がASTM D6866規格に従った14C/12C比が0.2×10-12〜1.2×10-12、好ましくは14C/12C比が0.6×10-12〜1.2×10-12、特に0.8×10-12〜1.2×10-12になる量であることを特徴とするアクロレインベースのポリマーにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の好ましい一実施例のアクロレインベースポリマーは14C/12C比が1.2×10-12である。すなわち100%がバイオ資源炭素から成る。
【0029】
「アクロレインベースのポリマー」とは少なくとも下記の型の単位を含むポリマーを意味し、ヘミアセタールまたはアセタール水和物の形でもよい。これは上記特許文献8(国際特許出願第WO 88/04671号公報)または国際特許出願第WO 96/38186号公報(これら特許公報の内容は本明細書の一部を成す)の図1および図2に示された表現によるものである:
【0030】
【化1】

【0031】
この単位は、アクロレインの単独重合またはアクロレインと少なくとも一種の重合可能なコモノマーとの共重合で得られ、重合はアクロレインのアルデヒド官能基および/またはビニル官能基から始める。
アルデヒド官能基を含む単位(I)は、水和ジオール型、ジオール型とアルデヒドまたはジオール型との縮合で得られるヘミアセタールまたはアセタール型、ジオール型の縮合で得られるテトラヒドロピランまたはポリテトラヒドロピラン型、またはアルドール−マイケル縮合で得られる型にすることができる。
【0032】
式(I)の単位に対応するアルデヒド官能基の比率は、ポリマー中で20モル%以下、好ましくは5〜15モル%であるのが有利である。
【0033】
コモノマーとしては下記のものが挙げられる:β−置換アクロレイン、例えばアリール、アリールアルキル、アルキルおよびアルキルアリールアクロレイン、例えばβ−エチルアクロレイン、β−フェニルアクロレイン、β−ブチルアクロレイン、β−オクチルアクロレイン、アクロレインのアルデヒド誘導体、例えばアクロレインジアルキルアセタール、少なくとも一種のエチレン基、好ましくはCH2=CH−を含むモノマー、例えばブタジエン、イソプレン、メチルペンタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、オクテン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル誘導体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アリル化合物、例えば酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、コハク酸ジアリル等。
【0034】
好ましいコモノマーはアクリル酸である。
本発明の好ましい実施例では、コモノマーはバイオ資源の出発材料から得られる。例えばアクリル酸はグリセロールから得られ、バイオ資源炭素を含む。
コモノマーは一般に、ポリマーの重量に対して約0〜40重量%、好ましくは0〜25重量%、特に0〜10重量%の量で用いられる。
本発明のポリマーは分子量を広範囲に変えることができる。好ましいポリマーは重量平均分子量が少なくとも1000、好ましくは少なくとも2000、特に2000〜10,000である。
【0035】
好ましいポリマーは、水和物の形で存在するアルデヒド基の含有量が多いポリマーである。
その他の好ましいポリマーは、アルデヒド単位の部分自動酸化で得られるカルボン酸官能基を含むポリマーである。カルボキシル単位の含有量はポリマー1キログラム当たり0.1〜5モルである。
【0036】
本発明の別の対象は、下記:
【化2】

【0037】
の型の単位(ヘミアセタールまたはアセタール水和物の形でもよい)を含むアクロレインベースのポリマーの製造方法であって、下記(a)〜(d)の段階を含む方法にある:
(a)第1反応器中で酸触媒の存在下でグリセロール水溶液から始めてグリセロールを脱水して、アクロレインと水との混合物を生成させ、
(b)任意段階として(a)段階で得られた生成物を精製し、
(c)(a)または(b)段階で製造したアクロレインを第2反応器中で重合し、
(d)(c)段階で製造したポリマーを回収し、その後、任意段階として洗浄、乾燥および/または分子蒸留および空気中での活性化を行う。
【0038】
グリセロールを脱水する第1段階(a)を触媒の存在下で、150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、105〜5×105Paの圧力下で、反応器内で気相で行う。
【0039】
使用する反応器は酸性固体触媒の存在下で運転する固定床、流動床または循環流動床や下記文献に記載のモジュール構成(プレートまたはバスケット)にすることができる。
【特許文献19】欧州特許第995,491号公報
【特許文献20】欧州特許第1,147,807号公報
【特許文献21】米国特許第2005/0,020,851号明細書
【0040】
使用に適した触媒は均一系または多相系材料で、これらの均一系または多相系材料は反応媒体に不溶で、ハメット酸度(H0)が+2以下である。ハメットの酸度は指示薬を用いるアミン滴定によってまたは気相中の塩基の吸着で測定される。これは下記文献で言及している特許文献16(米国特許第5,387,720号明細書)に記載されている。
【非特許文献1】K.Tanabe達、「表面科学研究と触媒」、第51巻、1989年、第1章、2章
【0041】
この触媒は+2以下の酸度基準H0を満足する天然または合成のシリカ質材料または酸性ゼオライト;モノ、ジ、トリまたはポリ酸性無機酸で被覆された無機物担体、例えば、酸化物;酸化物または混合酸化物またはヘテロポリ酸の中から選択できる。
【0042】
ハメット酸度H0が−9〜−18の強酸性固体触媒を用いるのが有利である。
これらの触媒は一般に、ヘテロポリ酸の陽子が、元素周期表のI〜XVI族に属する元素の中から選択される少なくとも一つのカチオンと交換されるヘテロポリ酸塩によって構成でき、このヘテロポリ酸塩はW、MoおよびVを含む族の中から選択される少なくとも一つの元素を含む。
混合酸化物としては、鉄および燐をベースにしたものおよびセシウム、燐およびタングステンをベースにしたものも挙げられる。
【0043】
触媒はゼオライト、ナフィオン(Nafion、登録商標)複合材料(フッ素化ポリマースルホン酸ベース)、塩素化アルミナ、燐タングステンおよび/またはシリカタングステン酸および酸の塩並びにボレートBO3、スルフェートSO4、タングステートWO3、フォスフェートPO4、シリケートSiO2またはモリブデートMoO3のような酸官能基を含浸した酸化タンタルTa25、酸化ニオブNb25、アルミナAl23、酸化チタンTiO2、ジルコニアZrO2、酸化スズSnO2、シリカSiO2またはアルミノ珪酸SiO2−Al23のような金属酸化物型の各種固体の中から選択するのが有利である。文献データによればこれらの触媒は全てハメットの酸度H0が+2以下である。
【0044】
触媒は硫酸ジルコニア、燐酸ジルコニア、タングステンジルコニア、シリカ質ジルコニア、硫酸酸化チタンまたは硫酸錫、燐酸、タングスト燐酸またはタンスグト珪酸アルミナまたはシリカであるのが好ましい。
本発明の一実施例では、上記特許文献17(国際特許出願第WO 06/087,083号)に記載のように、グリセロールの脱水反応を分子状酸素の存在下で行う。
【0045】
グリセロールは高濃度で利用可能なだけでなく、より経済的な水溶液の形で利用可能である。反応器内では10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の濃度のグリセロール水溶液を用いるのが有利である。この濃度はグリセロールエーテルの生成のような寄生反応、または、生成したアクロレインまたはアクリル酸とグリセロールとの反応を避けるために、過度に高くしてはならない。さらに、グリセロール水溶液の蒸発に伴うエネルギーコストの理由でグリセロール溶液は過度に稀釈してはならない。いずれの場合も、グリセロール溶液の濃度は反応で生じる水を再循環することによって調節できる。グリセロールの運搬および貯蔵コストを下げるために、40〜100重量%の濃縮液を反応器に供給することができる。最適な濃度への希釈は反応で生じた水蒸気の一部および希釈水の一部を再循環して行う。同様に、反応器出口での熱の回収によって、反応器に供給されるグリセロール溶液を気化することもできる。
【0046】
塩基性媒体中で植物油のメタノリシスで得られるグリセロールは、ある種の不純物、例えば塩化または硫酸ナトリウムまたは塩化または硫酸カリウム、非グリセリン有機物およびメタノールを含むことがある。グリセロールの予備精製処理、例えばイオン交換による処理を考えることができる。
【0047】
本発明方法の一実施例では、220〜350℃の温度に維持された不活性固体、例えば砂、ガラスまたは石英粉末、炭化珪素、または、比表面積の小さい固体を含む流動床中でグリセロール水溶液を気化する。これによってそれと同時に、グリセロール水溶液中に存在するまたはこの溶液での蒸発中に生じる不純物を除去できる。
【0048】
グリセロールのアクロレインへの脱水反応では一般に副反応が伴い、ヒドロキシプロパノン、プロパンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、フェノール、アクリル酸、アクロレインとグリセロールとの付加物、グリセロール重縮合生成物、環状グリセロールエーテルなどの副生成物が生成する。グリセロールの脱水で得られるアクロレインは一般に、プロピレンの酸化で得られるアクロレインよりも、アクリル酸および酢酸の含有量が少ないが、プロパンアルデヒドおよびアセトアルデヒドの含有量が多い。
【0049】
本発明方法の(a)段階で得られる生成物は、生成アクロレインおよび副生成物の他に多量の水(その一部はグリセロール溶液からの水、他の一部は脱水反応で生じる水)を含む。
【0050】
重合段階を容易に且つ最適化するために、特に、存在する水の大部分を除去するために、および/または、その存在が重合触媒にとって好ましくない可能性のある軽質アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)を除去するために、(a)段階で得られる生成物を精製するのが有利である。
【0051】
アクロレイン重合段階(c)を実施する前に、第1脱水段階で得られた流れの中に存在する水および重質副生成物を少なくとも部分的に凝縮する段階を実施するのが有利である。この段階は、必要に応じて蒸発器に接続された吸着カラム、熱交換器、凝縮器、デフラレグマター(deflegmator)および水を部分的に濃縮可能な当業者に周知な任意の装置を用いて行うことができる。一般に、この段階の後に、約5%の水を含むアクロレインの流れが得られる。
【0052】
こうして生成された、水の大部分および重質副生成物が除去されたアクロレインを精製処理、その他の処理によって「ポリマーグレード」の品質のアクロレインにすることができる。蒸留、液液抽出および膜分離が挙げられる。
【0053】
好ましい一実施例では、最大で約10〜15重量%の含有量で存在することがあるアセトアルデヒドを除去するために、アクロレインの流れの第1蒸留を行う。この蒸留は、重合抑止剤、例えばヒドロキノンまたはアクロレインの安定化で通常用いられるその他の任意の重合抑止剤の流れで安定化されたサイド供給式蒸留カラムを用いて、大気圧で連続的に行うことができる。この蒸留を行うことによって、90%以上のアセトアルデヒドを除去する、好ましくは5%以下のアセトアルデヒド、さらに好ましくは1%以下のアセトアルデヒドを含むアクロレインの流れを得る。
【0054】
この純度を達成するために第2の蒸留を行うことができる。
(b)段階後に得られるアクロレインは純度が一般に70モル%以上、好ましくは90モル%以上(存在する水を除く)、特に95%以上の純度である。このアクロレインは3〜5%の含有量で水を含むこともできる。
【0055】
本発明の一実施例では、(b)段階後に、アクロレインがアクリル酸を含む。このアクリル酸は続く(c)段階でアクロレインと共重合される。
(c)段階の重合反応を実施する前にアクロレインが自然にダイマー化するのを制限するために、アクロレインに重合抑止剤、例えばヒドロキノンを0.01〜0.5重量%の含有量で添加するのが有利である。
【0056】
アクロレイン重合反応はイオン触媒、例えば塩基、例えばアルカリ金属水酸化物NaOHまたはLiOHの存在下で、または、フリーラジカル開始剤、例えば過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルヒドロキシペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエートまたはtert-ブチルペルアセテート、またはアゾ誘導体の存在下で行うことができる。
【0057】
また、当業者に周知の他の任意の方法を使用できる。
重合は水性媒体中または有機溶剤、例えばアルコール、例えばメタノール中で行うことができる。アクロレイン重合反応は水酸化ナトリウムの存在下で水溶液で行うのが好ましい。
【0058】
重合反応は抑止剤の存在下または非存在下で、空気および/または酸素の存在下で行うのが有利である。下記文献に示されているように、空気および/または酸素の存在によって結晶の形の生成物を得ることができる。この生成物は分離および乾燥が容易で、且つ、固有の抗菌活性が改良されている。
【特許文献22】国際特許第WO 00/03723号公報
【0059】
アクロレイン重合反応は0〜100℃、好ましくは室温〜80℃、すなわち20〜80℃の温度で行うのが有利である。
本発明方法の一実施例では、重合はアクロレインと重合可能な少なくとも一種のコモノマーの存在下で第2反応器で行う。
【0060】
コモノマーの例としては下記のものが挙げられる:β−置換アクロレイン、例えばアリール、アリールアルキル、アルキルおよびアルキルアリールアクロレイン、例えばβ−エチルアクロレイン、β−フェニルアクロレイン、β−ブチルアクロレイン、β−オクチルアクロレイン、アクロレインのアルデヒド誘導体、例えばアクロレインジアルキルアセタール、少なくとも一種のエチレン基、好ましくはCH2=CH−を含むモノマー、例えばブタジエン、イソプレン、メチルペンタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、オクテン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル誘導体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アリル化合物、例えば酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、コハク酸ジアリル等。
【0061】
好ましいコモノマーはアクリル酸である。
コモノマーは一般に、ポリマーの重量に対して約0〜40重量%、好ましくは0〜25重量%、特に0〜10重量%の量で用いられる。
【0062】
(c)段階で生成されたポリマーを濾過および/または遠心分離で回収し、種々の処理、例えば水での洗浄、乾燥、または粉砕して粒径を小さくすることができる。このポリマーは分子蒸留、剥離流下膜式蒸発、回転盤(回転盤蒸発器)での蒸発、または、残留モノマー、および同様にアクロレインと一緒に存在し且つ重合しなかったその他の不純物、例えばプロパンアルデヒドおよびアセトアルデヒドを真空蒸発、その他の任意の型の方法で回収することもできる。
【0063】
本発明方法の一実施例では、(d)段階で回収される乾燥状態のポリマーを室温〜110℃、好ましくは60〜85℃の温度に、空気の存在下で、数時間〜数日間の間、加熱して、このポリマーのアルデヒド官能基を少なくとも部分的に酸化する追加の段階(e)を実施する。一般に、この段階は例えば40〜85℃の温度勾配を用いて行うことができ、中間段階は2時間〜24時間続く。
【0064】
本発明方法の一実施例では、特許文献11(国際特許第WO 01/60874号公報)に記載されているように、水の存在下で、さらに必要に応じてポリエチレングルコール、ポリオールまたはアルカノールの存在下で、40〜150℃、好ましくは40〜115℃の温度で1〜1400時間、好ましくは10〜60時間ポリマーを加熱する追加の段階(e)を実施する。
【0065】
本発明方法の一実施例では、特許文献12(国際特許第WO 2005/044874号公報)に記載されているように、(d)段階で回収したポリマーをアルコールまたはポリオール中に、必要に応じて水の存在下で溶かして、pHが7以下の溶液を作り、こうして得られた溶液を加熱してこのポリマーとアルコールまたはポリオールとの反応生成物を形成する追加の段階(e)を実施する。この段階の結果、ポリマーの抗菌特性が活性化する。本発明方法で使用可能なアルコールまたはポリオールの例としては、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、好ましくは重量平均分子量が200〜20,000のもの、特に重量平均分子量が200〜2000のポリエチレングリコールが挙げられる。
【0066】
本発明方法の一実施例では、下記文献に記載されているように、ポリマーを直鎖または分岐鎖のC1〜C10アルコールと接触させる追加の段階(e)を実施する。
【特許文献23】フランス国特許第2,802,933号公報
【0067】
本発明方法の一実施例では、(d)段階で回収したポリマーを炭酸ナトリウム溶液のような塩基性水溶液に溶かす追加の段階(e)を実施する。
【0068】
本発明のさらに別の対象は、上記の少なくとも一種のアクロレインベースポリマーまたは上記方法に従って得られた少なくとも一種のアクロレインベースポリマーを含む組成物にある。
本発明の組成物は溶液の形またはエマルションの形にすることができる。
本発明のエマルションは、ポリマー油性相、水相、乳化剤および一種以上の安定剤を含むことができる。
本発明の組成物は添加剤、例えば分散剤、顔料、殺生剤等を含むこともできる。
【0069】
本発明のさらに別の対象は、上記のアクロレインベースのポリマーまたは上記方法に従って得られたアクロレインベースのポリマーを、殺生または殺菌特性を組成物に与えるために組成物中での使用にある。
【0070】
本発明のさらに別の対象は、上記のまたは上記方法に従って得られたアクロレインベースのポリマーの、感染症の治療または予防用の医薬、ウシ用食品添加物、皮膚用組成物の調製での、または、掘削泥水、塗料、プラスチック、インク、紙およびテキスタイルの用途での保存剤または殺生剤としての使用にある。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0071】
実施例1
グリセロールからのアクロレインの調製
触媒床を焼結物で保持したパイレックス(登録商標)反応器を用いる。触媒として例えば約6.6gのタングステンジルコニア脱水触媒(Daiichi Kigenso KK、参照番号Z1044)を7mlの微粒子径(0.125mm)の炭化珪素に希釈したものを最初に導入し、次に、粒径の異なる一連の炭化珪素の床を充填する。すなわち、反応器に2mlの0.125mm炭化珪素、7mlの0.5mm炭化珪素を入れ、最後に、反応器の頂部に1.19mm炭化珪素を補充する。
次いで、反応器を試験施設に連結する。「脱水層」で測定される触媒の温度は305℃に調節する。
ヘリウム−クリプトン/水−グリセロール気体混合物を反応器に送る。ヘリウム−クリプトン気体混合物は内部標準の役目をする4.92%のクリプトンを含む。水−グリセロール混合物は30重量%のグリセロールを含む。
注入混合物の組成は以下の通り(モル%表記):
ヘリウム/クリプトン/O2/水/グリセロール:50/2.6/3.4/40.6/3.4。
混合物の導入流量は毎時空間速度(HSV)が2000h-1になるようにする。この導入流量はHSVすなわち用いた触媒の体積に対する混合物の流量で表される。
反応器出口でコールドアイストラップを用いて流出液を回収し、非凝縮性物質から液体流出液を分離する。アクロレイン、ヒドロキシプロパノンおよびアクリル酸をクロマトグラフィーで分析する。
流出液をトラップ内で60分間集める。非凝縮性気体を反応収支で分析する。生成したアクロレインの収率は70モル%で、流出液のアクリル酸含有量は2モル%で、ヒドロキシアセトン含有量は0.5モル%である。
【0072】
実施例2
アクロレインポリマーの調製
撹拌器を備えたガラス反応器に、実施例1で得られた100gのアクロレインをヒドロキノンで安定化し、且つ、1リットルの脱イオン水に希釈したものを20℃に近い室温で導入する。次いで、0.2M水酸化ナトリウム溶液を添加してアクロレイン溶液のpHを約10.5にする。直後に、白色沈殿物の形成が観察される。30分後、撹拌を停止し、濾過によって固体生成物を回収し、次いで水で洗浄する。室温で2日間、濾紙上で乾燥後、42gの固体ポリマーを回収する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の型:
【化1】

の単位(ヘミアセタールまたはアセタール水和物の形でもよい)から成るアクロレインベースのポリマーにおいて、
14C質量含有量が、ASTM D6866規格に従った14C/12C比が0.2×10-12〜1.2×10-12となる量であることを特徴とするポリマー。
【請求項2】
単位(I)がアクロレインの単独重合またはアクロレインと少なくとも一種の重合可能なコモノマーとの共重合で得られる請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
コモノマーが下記の中から選択される請求項2に記載のポリマー:β−置換アクロレイン、例えばアリール、アリールアルキル、アルキルおよびアルキルアリールアクロレイン、アクロレインのアルデヒド誘導体、少なくとも一種のエチレン基、好ましくはCH2=CH−を含むモノマー、例えばブタジエン、イソプレン、メチルペンタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、オクテン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル誘導体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アリル化合物、例えば酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、コハク酸ジアリル。
【請求項4】
下記(a)〜(d)の段階を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の下記:
【化2】

の型の単位(ヘミアセタールまたはアセタール水和物の形でもよい)を含むアクロレインベースのポリマーの製造方法:
(a)第1反応器中で酸触媒の存在下でグリセロール水溶液から始めてグリセロールを脱水してアクロレインと水との混合物を生成させ、
(b)任意段階として(a)段階で得られた生成物を精製し、
(c)(a)または(b)段階で製造したアクロレインを第2反応器中で重合し、
(d)(c)段階で製造したポリマーを回収し、その後、任意段階として洗浄、乾燥および/または分子蒸留および空気中での活性化を行う。
【請求項5】
(b)段階が重質副生成物および水の部分濃縮から成る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2反応器中での重合をアクロレインと重合可能な少なくとも一種のコモノマー、例えばアクリル酸の存在下で行う請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
重合反応を塩基の存在下および空気および/または酸素の存在下で水溶液中で行う請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(d)段階で回収した乾燥状態のポリマーを室温〜110℃、好ましくは60〜85℃の温度で空気の存在下で加熱して、このポリマーのアルデヒド官能基を少なくとも部分的に酸化する追加の段階(e)を含む請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水の存在下で、さらに必要に応じてポリエチレングルコール、ポリオールまたはアルカノールの存在下で、40〜150℃、好ましくは40〜115℃の温度で1〜1400時間、好ましくは10〜60時間でポリマーを加熱する追加の段階(e)を含む請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(d)段階で回収したポリマーをアルコールまたはポリオールに、必要に応じて水の存在下で、溶かしてpHが7以下の溶液を作り、得られた溶液を加熱してポリマーとアルコールまたはポリオールとの反応生成物を形成する追加の段階(e)を含む請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(d)段階で回収したポリマーを炭酸ナトリウム溶液のような塩基性水溶液に溶かす追加の段階(e)を含む請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも一種のポリマーまたは請求項4〜11のいずれか一項に記載の方法に従って得られた少なくとも一種のポリマーを含む組成物。
【請求項13】
溶液の形またはエマルションの形をした請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマーまたは請求項4〜11のいずれか一項に記載の方法に従って得られたポリマーの、感染症の治療または予防用の医薬、ウシ用食品添加物、皮膚用組成物の調製での、または、掘削泥水、塗料、プラスチック、インク、紙およびテキスタイルの用途での保存剤または殺生剤としての使用。

【公表番号】特表2011−524927(P2011−524927A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514103(P2011−514103)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051171
【国際公開番号】WO2009/153529
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】