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バイオ(生物)医薬品の製造方法を最適化する方法
説明

バイオ(生物)医薬品の製造方法を最適化する方法

本発明は、真核生物細胞を用いる生物反応器中のCO制御を確立するための細胞培養培地用の新規の緩衝系の開発に関する。この技術は、プロセスの制御、プロセスの最適化及びスケーリングの目的のためにCO制御を可能にする。本発明はさらに特定の緩衝物質を含む特定の細胞培養培地に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、対象の組み換えタンパク質を生産する真核生物細胞を有するバイオ(生物)医薬品プロセス開発の分野に関する。特に、本発明は方法の操作を最適化する方法であり、NaCO及びNaHCOを含まないか又は減少した培地をpCO制御と協同して使用することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
バイオ(生物)医薬品プロセス開発は、治療上のタンパク質、特に厳しいデッドラインを有する臨床上の(毒物学上の)研究のための抗体の生産のために、又は市場に供給するために、これまでより高い力価を提供する必要に直面している。
【0003】
これらの時間制約の範囲内で、発現系が設計されなければならず、安定生産細胞クローンは、産生(例えばCHO細胞、ハイブリドーマ、BHK又はNSO細胞)のために生成され及び選択されなければならず、拡張可能なバイオ(生物)医薬品製造方法が、培地の最適化及びプロセス管理を含めて設計されなければならない。この全ては、特定の生産性(=特定の生成物の形成速度)及び達成される力価(生成物の収率)が最大になるように対処されなければならず、異なる大きさのプラントにおいて該方法が強力にかつ再現的に作動することを可能にする。近年、生成物力価の巨大な増加が組み換え真核生物細胞系において達成された。よって、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で、イムノグロブリン5g/L以上の生成物濃度が達成された。分子生物学及び細胞生物学の進歩は、遺伝子の細胞株の開発及び変化、培地の開発を含み、そしてとりわけ、栄養分(「飼料」)の添加のような「インプロセスの」管理戦略が、これを可能にした。しかしながら、真核生物細胞系、特に哺乳類細胞系の生産性は原核細胞系のそれに迫らず、したがって、特に発酵の間のプロセス管理のさらなる最適化及び発酵培地の最適化が、未だ必要である。
【0004】
一つの特別な要請は、酸化性代謝の管理である。
全ての細胞は、酸化性代謝の範囲内でCOを生産し、様々な関連する輸送プロセスのためのHCOを必要とする。例えば強い増殖がある場合に発生しうる高いCO含有量は、pHを低下させ、そして炭酸水素ナトリウム含有量の増加によって中和することができる。よって、炭酸水素ナトリウムは、緩衝物質かつ不可欠な栄養分である。炭酸水素ナトリウムは数ある中でも、Lindl, Toni; Gstraunthaler Gerhard (2002):Zell- und Gewebekultur [Cell and Tissue Culture], 5th edition, Spektrum Akademischer Verlag Heidelberg, p. 93, Point 4.4.3, or in Ling, C. T. et al (1968):Chemically characterized concentrated corodies for continuous cell culture (The 7C's culture media), in Experimental Cell Research Nr. 52, p. 469-489.による教科書に、不可欠な栄養分として記載されている。
【0005】
更に炭酸水素塩は、クエン酸回路において全身及び個々の細胞のpH制御ならびにその量の制御に関与する。哺乳類細胞の膜は、炭酸水素塩のための輸送タンパク質を含み、膜透過輸送を支援する。COは拡散によって脂質二重層に浸透することができるのに対して、HCOは荷電されており、特定の輸送タンパク質を用いてのみ膜を通過することができる。CO/HCOの酸−塩基特性を基礎として、細胞からのCOの放出は、細胞のアルカリ化をもたらすが、HCOの流出は、細胞を酸性化する(Casey Joseph. R. (2006): Why bicarbonate? in Biochem. Cell Biol. No. 84, S. 930-939)。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
発酵プロセス中のCOを完全に制御することを可能にするという目的を達成するために、例えば炭酸水素ナトリウム緩衝液から生じるHCO又はCO2−イオンは、代替的な緩衝物質と置き換えられなければならない。現在、以下の化学方程式に示すように、COは、乳酸(LA)との反応を通じて形成されうる:
【数1】


現在では、pH値の調節は、NaCO溶液を用いて行われ、それは、式2に示すように、分解してNaHCOを形成することができる。式2による生成物NaHCOは、次に式1の遊離体になる。
【数2】


上記の通り、重要な細胞機能にとって必須であるため、細胞はHCOなしで存在することができない。したがって、HCO(緩衝物質のNaHCOから、又はpH調整剤のNaCO溶液から生じる)を完全になしで済ませることが不可能にみえる。しかしながら、細胞は、重炭酸イオンのさらなる供給源を有する。
【数3】


式3は、例えばCOガスが導入されるときに自発的に起こるのに対して、式4の反応は、細胞内酵素である炭酸脱水酵素によって更に促進される。よって細胞は、HO(細胞培養培地に存在する)及びCO(例えばガスとして中に加えられるか、細胞周期の副産物である)から、それ自身の重炭酸イオンを必要に応じて合成することができる。
【0007】
発酵系のpCOを制御することの第一段階は、炭酸水素ナトリウム、NaHCOに代わる緩衝物質の検索である。標準的な培地/NaHCO含有標準緩衝液について、平衡はCO(ガス)とCO(溶液)との間に形成され、これは細胞培養のpHに影響する。
【0008】
新規な、代わりの緩衝物質(例えば炭酸水素ナトリウムから生じるHCO又はCO2−イオンを完全に又は部分的に置き換える)は、良好な緩衝液活性を有しなければならず、細胞培養に悪影響を与えてはならない。また、性能及び生成物形成(力価)は、少なくとも同じ高い水準のままでなければならない。例えば、新規な緩衝物質が実際良好な緩衝液の特性を示すが、細胞上の毒性を有するか又は細胞外で分泌される生成物に損傷を与える場合が起こりうる。更に、好ましくない反応が細胞培養培地の他の成分によって発生し、例えば活力比率を低くする場合がある。活力の低下は培養物中のより多くの死滅細胞を意味し、それは有害な細胞含有物、例えばプロテアーゼを発酵液へ放出する。第2の優先度として、新規な緩衝物質は、安価でなければならず、貯蔵及び取扱いにいかなる特別な処置も必要としてはならず、多くの供給元から得ることができなければならない。
【0009】
発酵系のpCOを制御することに対する第二の方法/他の方法は、より少ない有毒代謝産物が形成される(ラクタート、アンモニウム)、及び/又はpHを制御するための酸及びアルカリの追加を最小にするという点で、細胞の代謝に正の影響を及ぼす最適COプロファイルを決めることである。最適なプロファイルは、初期増殖期を短縮し、増殖期を長くし、そして増殖期の間に特定の生成物形成速度を上げる目的で、対応する増殖期(初期増殖期、増殖期、絶滅期)に適合する。よって、選択されたCOプロファイルは、計画的な方法における方法を管理するのに役立ち、幾つかの制御する節に分けられる:初期増殖期の低いpCO(<10%のtbd、好ましくは3〜8%又は3〜5%、特に好ましくは5%又は3%)は、細胞のより速い始動を促進し、増殖期の適度なpCO(<12%のtbd、好ましくは5〜11%)は、高い増殖速度及びより良好な代謝を促進し、よって、より高いpCOよりもラクタートの形成が少ないが、乾燥期の僅かに増加したか高いpCO(>5%、>8%、>15%のtbd、好ましくは5〜10%)は、アルカリの添加に対抗し、よって浸透圧を低下させ、それ故、生産性期を延長することを助ける。
【0010】
他の重要な本発明の態様は、拡張性及び特に、異なる発酵槽の容量にわたる方法の変換可能性である。従来の発酵系において、pCOは使用する器材及び大きさに依存して、規模が増加するにつれて伝統的に増加する。従来の系においては、pCOはガス供給及びpH制御を伴うため、細胞の代謝を同時に変えることなく、この現象に対抗することは可能ではない。pCO制御と組み合わせての本発明に記載されている緩衝液系によって、pH及びガス供給の制御(より正確にはpOの制御)からpCO制御を解離させることによって、規模の増大を、容易にかつ発酵特性(=性能)を基本的に変えずに、達成することができ、一方、同時に、ガス供給(より正確にはpO)、pH及びpCOの制御を各々別に変換し、よって全ての発酵スケール上の同等の細胞培養性能を確実にする。
【0011】
本発明は、バイオ(生物)医薬品の製造方法を最適化する方法を提供することによってこの目的を達成し、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸及び/又はアルカリを用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間に、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度を使用して制御され、該制御は、初期増殖期においてより低いpCOを選択することを特徴とする。好ましくは、pCOは、CO及び/又はNで制御される。
【0012】
更に、本発明は、12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)
及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地に関する。
【0013】
バイオリアクター内で制御された発酵において、pHは、COガスの導入及び液体アルカリ、例えばNaCOの添加によって制御される。しかしながら、pHがpCOと独立して制御されることを可能にするために、緩衝液系及び付随するpH制御は、COを放出しない物質を使用してもたらされなければならない。CO発生性の緩衝液及び酸/塩基を除去することによってのみ、DO(溶存酸素、pO)及びpCOの独立した制御を達成することができる。加えて、緩衝液系及び酸/塩基はともに、重量オスモル濃度(osmo)に決定的に寄与する。したがって、酸/塩基を有するCOから独立した緩衝液系は、オスモリダクション(osmoreduction)のために特別に開発された。pCO制御は、付加的な制御変数として、バイオプロセスの最適化に寄与し、pCOプロファイルを最適化することによってプロセス性能を増加させるために用いられ、再現性及び拡張性を改善する。
【0014】
本発明による方法の一つの利点は、特定の生成物形成速度/特定の生産性の顕著な改善である。更に、生成物の品質、発酵時間及び細胞代謝は、一般に正の影響を受けることができる。これは、例えば高い生成物の収率を達成すると同時に、流加回分法の発酵時間を延長することができることを意味する。
【0015】
他の制御変数(pCO)の実現は、改良された方法の最適化を可能にする。pHプロファイル、温度プロファイル、速度プロファイル、Oプロファイル及びpCOプロファイルは、互いに独立して最適化されうる。最適化された条件は、異なるバイオプロセス及び生産の規模に対して再現性及び変換可能性の増加に顕著に寄与する。新規な緩衝液系を用いる別々のpCO制御を導入することにより上記三つの制御変数を解離させることによってのみ、規模の独立した変換を達成することが可能であるということが、ここで重要である;従来の系では、三つの制御変数は、規模に応じて多かれ少なかれ全て互いに影響を与える。したがって、従来の系では、同様にこれら三つの制御変数を変換することができない。
【0016】
浸透圧を減らした酸塩基緩衝液系は、細胞活力の増加を導き、細胞に特有の生産性を上昇させ、方法の時間を延長することによって、生産性のさらなる増大を可能にする。本発明によるpH制御のための好ましい酸及びアルカリは、NaOH(水酸化ナトリウム溶液)、酢酸、リン酸、硫酸及び塩酸である。塩酸、リン酸及び硫酸が好ましい。硫酸が、特に好ましい酸である。
【0017】
新規なNaHCOを含まない培地の他の利点を、分析の分野で見いだすことができる:細胞培養技術の幾つかの実験において、二酸化炭素形成速度(CER)を決定することは重要である。CO源緩衝液、塩基及び酸を除去することは、第一に例えば排気ガス分析によって炭素収支を達成することを可能にし、この炭素収支を方法の最適化に用いることができる。
【0018】
炭素バランシィング(釣合試験)は、検出により、例えば排気の分析により実施される。新規な制御戦略は最適化のツールとして用いられる正確な炭素バランシィング(釣合試験)(例えばCER)を可能にする。二酸化炭素形成速度は、1時間で培養液1リットル中の細胞によって形成されるCOの量を示す。オペレーターが重炭酸イオンによって緩衝される細胞培養培地を使用しなければならない場合、特色は二酸化炭素形成速度の測定において起こる。生理的pH範囲において、全炭酸塩には、COとHCOの間のバランス(平衡)にあり、これはpHによって影響を受ける。平衡を得るために、気体組成物は、加えられたまま及び発酵槽から取り除かれたまま分析される。これまで、細胞培養液の実際の貯蔵効果が知られていないため、培地NaHCOのバランス(平衡)を得ることは困難だった。細胞に最適に適合している、HCO又はCOを含まない新規な培地は、新しい可能性を開く。
【0019】
本発明の他の利点は、バイオプロセスの再現性の改良である。これは、制御されたpCOを有する異なるスケーリングでの繰り返し発酵の実行において、比較できる結果が最終的な力価、細胞数、代謝等に関して得られることを意味する。pCOを制御しない発酵の実行において、特にスケーリングが異なる場合、これらのパラメータは、1つの発酵の実行と他の発酵の実行の場合によって、かなり変動しうる。
【0020】
図面の説明
使用するバイオリアクターの構造の例は実施例3に記載されている。しかしながら、バイオリアクターの構造は、異なる要件を満たすように原則として可変的である。例えば、上昇管は除外することができ、そしてその代わりに追加プローブを取り付けることができるか、又は、さらなる/他の溶液をホースポンプによって自動的に加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1 変化するNaHCO濃度でのpO[%]の比較;緩衝液の条件:曲線1=NaHCOを含まない培地A+ゼロNaHCO(完全にNaHCOを含まない);曲線2=NaHCOを含まない培地A+1mM NaHCO;曲線3=NaHCOを含まない培地A+4mM NaHCO;曲線4=NaHCOを含まない培地A+8mM NaHCO+20mM HEPES;曲線5=NaHCOを含まない培地A+8mM NaHCO;曲線6=NaHCOを含まない培地A+36mM NaHCO(対照)
【図2A】図2 緩衝液のスクリーン;A:高いpCOプロファイルを有する緩衝液のスクリーン;SF01=NaHCOを含まない、100mM HEPES緩衝液(1/2)を有する培地;SF02=NaHCOを含まない、100mM HEPES緩衝液(2/2)を有する培地;SF03=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液(1/2)を有する培地;SF04=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液(2/2)を有する培地;SF05=NaHCOを含まない、100mM MOPS緩衝液(1/2)を有する培地;SF06=NaHCOを含まない、100mM MOPS緩衝液(2/2)を有する培地;SF07=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液(1/2)を有する培地;SF08=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液(2/2)を有する培地;SF09=NaHCOを含まない、50mM Sod−β(1/2)を有する培地;SF10=NaHCOを含まない、50mM Sod−β(2/2)を有する培地;SF11=NaHCOを含まない、25mM Sod−β(1/2)を有する培地;SF12=NaHCOを含まない、25mM Sod−β(2/2)を有する培地;SF13=NaHCOを含まない、80mM TES(1/2)を有する培地;SF14=NaHCOを含まない、80mM TES(2/2)を有する培地;SF15=NaHCOを含まない、40mM TES(1/2)を有する培地;SF16=NaHCOを含まない、40mM TES(2/2)を有する培地;SF17=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基(1/2)を有する培地;SF18=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基(2/2)を有する培地;SF19=NaHCOを含まない、100mM Trizma塩基(1/2)を有する培地;SF20=NaHCOを含まない、100mM Trizma塩基(2/2)を有する培地;SF21=培地A(対照)(1/2);SF22=培地A(対照)(2/2);SF23=ブランク培地A(=MOPSを含まず、NaHCOを含まない培地A)(1/2);SF24=ブランク培地A(=MOPSを含まず、NaHCOを含まない培地A)(2/2);SF49=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF50=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF51=NaHCOを含まない、25mM Sod−β+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF52=NaHCOを含まない、40mM TES緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF53=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地
【図2B】B:低いpCOプロファイルを有する緩衝液のスクリーン;SF25=NaHCOを含まない、100mM HEPES緩衝液(1/2)を有する培地;SF26=NaHCOを含まない、100mM HEPES緩衝液(2/2)を有する培地;SF27=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液(1/2)を有する培地;SF28=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液(2/2)を有する培地;SF29=NaHCOを含まない、100mM MOPS緩衝液(1/2)を有する培地;SF30=NaHCOを含まない、100mM MOPS緩衝液(2/2)を有する培地;SF31=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液(1/2)を有する培地;SF32=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液(2/2)を有する培地;SF33=NaHCOを含まない、50mM Sod−β(1/2)を有する培地;SF34=NaHCOを含まない、50mM Sod−β(2/2)を有する培地;SF35=NaHCOを含まない、25mM Sod−β(1/2)を有する培地;SF36=NaHCOを含まない、25mM Sod−β(2/2)を有する培地;SF37=NaHCOを含まない、80mM TES(1/2)を有する培地;SF38=NaHCOを含まない、80mM TES(2/2)を有する培地;SF39=NaHCOを含まない、40mM TES(1/2)を有する培地;SF40=NaHCOを含まない、40mM TES(2/2)を有する培地;SF41=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基(1/2)を有する培地;SF42=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基(2/2)を有する培地;SF43=NaHCOを含まない、100mM Trizma塩基(1/2)を有する培地;SF44=NaHCOを含まない、100mM Trizma塩基(2/2)を有する培地;SF45=培地A(対照)(1/2);SF46=培地A(対照)(2/2);SF47=ブランク培地A(=MOPSを含まず、NaHCOを含まない培地A)(1/2);SF48=ブランク培地A(=MOPSを含まず、NaHCOを含まない培地A)(2/2);SF54=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF55=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF56=NaHCOを含まない、25mM Sod−β+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF57=NaHCOを含まない、40mM TES緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF58=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地
【図2C】C:8及び11日目の力価に対する緩衝液のスクリーン;SF01=NaHCOを含まない、100mM HEPES緩衝液(1/2)を有する培地;SF02=NaHCOを含まない、100mM HEPES緩衝液(2/2)を有する培地;SF03=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液(1/2)を有する培地;SF04=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液(2/2)を有する培地;SF05=NaHCOを含まない、100mM MOPS緩衝液(1/2)を有する培地;SF06=NaHCOを含まない、100mM MOPS緩衝液(2/2)を有する培地;SF07=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液(1/2)を有する培地;SF08=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液(2/2)を有する培地;SF09=NaHCOを含まない、50mM Sod−β(1/2)を有する培地;SF10=NaHCOを含まない、50mM Sod−β(2/2)を有する培地;SF11=NaHCOを含まない、25mM Sod−β(1/2)を有する培地;SF12=NaHCOを含まない、25mM Sod−β(2/2)を有する培地;SF13=NaHCOを含まない、80mM TES(1/2)を有する培地;SF14=NaHCOを含まない、80mM TES(2/2)を有する培地;SF15=NaHCOを含まない、40mM TES(1/2)を有する培地;SF16=NaHCOを含まない、40mM TES(2/2)を有する培地;SF17=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基(1/2)を有する培地;SF18=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基(2/2)を有する培地;SF19=NaHCOを含まない、100mM Trizma塩基(1/2)を有する培地;SF20=NaHCOを含まない、100mM Trizma塩基(2/2)を有する培地;SF21=培地A(対照)(1/2);SF22=培地A(対照)(2/2);SF23=ブランク培地A(=MOPSを含まず、NaHCOを含まない培地A)(1/2);SF24=ブランク培地A(=MOPSを含まず、NaHCOを含まない培地A)(2/2);SF49=NaHCOを含まない、60mM HEPES緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF50=NaHCOを含まない、50mM MOPS緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF51=NaHCOを含まない、25mM Sod−β+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF52=NaHCOを含まない、40mM TES緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地;SF53=NaHCOを含まない、50mM Trizma塩基緩衝液+8mM NaHCO(1/1)を有する培地
【図3】図3 pCO制御;図3は、内部のpCO測定(自動的なデータのアーカイブと共に探査する)及び血液ガス測定装置(BGA)の外部の計測値の、時間とともにプロットされた経過を視覚的に示す。0日目(d0)上の矢印(COプローブとBGAの間の比較)で印をつけた最初の較正は、制御特性がまだあまりに不安定であるため、ほとんど効果を示さない。4日目(d4)上の二回目の較正(2本目の矢印)から、内外の計測値の間の良好な相関関係を検出することができる。軸の説明:pCO−オンライン対pCO−BGA;曲線A=内部のCO測定(COプローブ、Messrs Mettler Toledoを介する);曲線B=外部のCO測定(BGA Rapidlap、Messrs Siemensを介する)
【図4A】図4 正常な生存細胞数濃度(A)又は力価濃度(B);A:生存細胞数濃度(参照、pCO−制御/非制御);A=FS 33.1 培地B NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES(pCO−制御) pH試薬:NaOH;B=FS 32.2 培地B NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(非制御) pH試薬:NaOH;C=FS 32.3 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(非制御) pH試薬:NaCO
【図4B】B:標準化した力価(参照、pCO−制御/非制御);A=FS 33.1 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES(pCO−制御) pH試薬:NaOH;B=FS 32.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(非制御) pH試薬:NaOH;C=FS 32.3 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(非制御) pH試薬:NaCO
【図5A】図5 緩衝液系の比較;A:pCOプロファイル 制御/非制御;A=FS 33.1 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES(pCO−制御) pH試薬:NaOH;B=FS 32.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(非制御) pH試薬:NaOH;C=FS 32.3 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(非制御) pH試薬:NaCO
【図5B】B:pCOプロファイル 制御(1×)/非制御(5×);I=FS 32.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(NaOH);II=FS 33.1 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES(pCO−制御)(NaOH);III=FS 32.4 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β(NaOH);IV=FS 32.5 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β+12mM NaHCO(NaOH);V=FS 33.3 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+36mM NaHCO(比較対照)(NaOH);VI=FS 33.5 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+8mM NaHCO(NaOH)
【図5C】C:標準化した力価;I=FS 32.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO(NaOH);II=FS 33.1 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES(pCO−制御)(NaOH);III=FS 32.4 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β(NaOH);IV=FS 32.5 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β+12mM NaHCO(NaOH);V=FS 33.3 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+36mM NaHCO(比較対照)(NaOH);VI=FS 33.5 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+8mM NaHCO(NaOH);TES緩衝液を用いて得られた生成物の力価又は生成物の濃度は、対照のそれと同じ水準であった。
【図6】図6 緩衝液系−標準化した生成物濃度の比較;CO制御及びアルカリ溶液として1.2M NaOHを有する、図6の実験1.1〜1.6。1.1=FS 33.1 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES;1.2=FS 33.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+40mM TES+8mM NaHCO;1.3=FS 33.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β;1.4=FS 33.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β+8mM NaHCO;1.5=FS 33.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β+12mM NaHCO;1.6=FS 33.2 培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β+16mM NaHCO
【図7A】図7 COプロファイルの比較;CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを有し、NaHCOを含まず、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用いる、図7の実験3.1〜3.5;異なるCOプロファイル:3.1=0〜3日目 5% CO、3〜11日目 3% CO;3.2=0〜2日目 8% CO、2〜11日目 6% CO;3.3=0〜4日目 8% CO、4〜8日目 10% CO、8〜11日目 8% CO;3.4=0〜1日目 8% CO、1〜2日目 6% CO、2〜7日目 8% CO、7〜11日目 5% CO;3.5=0〜11日目 3% CO
【図7B】図7 COプロファイルの比較;CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを有し、NaHCOを含まず、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用いる、図7の実験3.1〜3.5;異なるCOプロファイル:3.1=0〜3日目 5% CO、3〜11日目 3% CO;3.2=0〜2日目 8% CO、2〜11日目 6% CO;3.3=0〜4日目 8% CO、4〜8日目 10% CO、8〜11日目 8% CO;3.4=0〜1日目 8% CO、1〜2日目 6% CO、2〜7日目 8% CO、7〜11日目 5% CO;3.5=0〜11日目 3% CO
【図7C】図7 COプロファイルの比較;CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを有し、NaHCOを含まず、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用いる、図7の実験3.1〜3.5;異なるCOプロファイル:3.1=0〜3日目 5% CO、3〜11日目 3% CO;3.2=0〜2日目 8% CO、2〜11日目 6% CO;3.3=0〜4日目 8% CO、4〜8日目 10% CO、8〜11日目 8% CO;3.4=0〜1日目 8% CO、1〜2日目 6% CO、2〜7日目 8% CO、7〜11日目 5% CO;3.5=0〜11日目 3% CO
【図8】図8 ナトリウム塩を用いた酸の適合性;NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用いて、3日目に異なるナトリウム塩を添加するSF1〜10:SF1=水の添加(対照として);SF2=水の添加(対照として);SF3=塩化ナトリウムの添加(塩酸として);SF4=塩化ナトリウムの添加(塩酸として);SF5=酢酸ナトリウムの添加(酢酸として);SF6=酢酸ナトリウムの添加(酢酸として);SF7=硫酸ナトリウムの添加(硫酸として);SF8=硫酸ナトリウムの添加(硫酸として);SF9=リン酸水素二ナトリウムの添加(リン酸として);SF10=リン酸水素二ナトリウムの添加(リン酸として)
【図9A】図9 異なる酸の比較; CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを用いて、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用い、3日目に異なる酸(50ml)を添加する、図9における実験4.3〜4.5:4.3=99mM塩酸の添加;4.4=81mMリン酸の添加;4.5=54mM硫酸の添加
【図9B】図9 異なる酸の比較; CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを用いて、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用い、3日目に異なる酸(50ml)を添加する、図9における実験4.3〜4.5:4.3=99mM塩酸の添加;4.4=81mMリン酸の添加;4.5=54mM硫酸の添加
【図9C】図9 異なる酸の比較; CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを用いて、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−βである培地Bを用い、3日目に異なる酸(50ml)を添加する、図9における実験4.3〜4.5:4.3=99mM塩酸の添加;4.4=81mMリン酸の添加;4.5=54mM硫酸の添加
【図10】図10 CO制御無しの標準的方法とCOを制御する方法との比較;4.1=培地B、アルカリ溶液として1M NaCO、COの制御無し(標準的方法);4.3=培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β、アルカリ溶液として1.2M NaOH、COの制御及び99mM塩酸の添加を伴う;4.4=培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β、アルカリ溶液として1.2M NaOH、COの制御及び81mMリン酸の添加を伴う;4.5=培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+25mM Sod−β、アルカリ溶液として1.2M NaOH、COの制御及び54mM硫酸の添加を伴う
【図11A】図11 モデル細胞2を用いたCOプロファイルの比較;(A)標準化した細胞濃度、(B)標準化した生成物濃度、(C)COプロファイル;CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを有し、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+Sod−β 25mMである培地Bを用いる、図11の実験KF1〜KF5;異なるCOプロファイル:KF1=0〜11日、3%CO;KF2=0〜3日、7%CO、3〜11日、3%CO;KF3=0〜3日、11%CO、3〜11日、3%CO;KF4=0〜3日、7%CO、3〜7日、11%CO、7〜11日、7%CO;KF5=0〜3日、7%CO、3〜7日、11%CO、7〜11日、3%CO
【図11B】図11 モデル細胞2を用いたCOプロファイルの比較;(A)標準化した細胞濃度、(B)標準化した生成物濃度、(C)COプロファイル;CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを有し、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+Sod−β 25mMである培地Bを用いる、図11の実験KF1〜KF5;異なるCOプロファイル:KF1=0〜11日、3%CO;KF2=0〜3日、7%CO、3〜11日、3%CO;KF3=0〜3日、11%CO、3〜11日、3%CO;KF4=0〜3日、7%CO、3〜7日、11%CO、7〜11日、7%CO;KF5=0〜3日、7%CO、3〜7日、11%CO、7〜11日、3%CO
【図11C】図11 モデル細胞2を用いたCOプロファイルの比較;(A)標準化した細胞濃度、(B)標準化した生成物濃度、(C)COプロファイル;CO制御、アルカリ溶液として1.2M NaOHを有し、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+Sod−β 25mMである培地Bを用いる、図11の実験KF1〜KF5;異なるCOプロファイル:KF1=0〜11日、3%CO;KF2=0〜3日、7%CO、3〜11日、3%CO;KF3=0〜3日、11%CO、3〜11日、3%CO;KF4=0〜3日、7%CO、3〜7日、11%CO、7〜11日、7%CO;KF5=0〜3日、7%CO、3〜7日、11%CO、7〜11日、3%CO
【0022】
発明の詳細な説明
実験は、一例として以下のことを示している:
結果1:12mmol/L及び特に8mmol/Lの、NaHCO濃度の減少は、対照のそれと同様に、有利なpOプロファイル(細胞増殖)を示す。
【0023】
結果2:
→NaHCOを含まない細胞培養培地又はNaHCOが低い(=8mmol/L)細胞培養培地における最良の緩衝液物質の同定
→最良の緩衝液物質は:TES(例えば40mmol/L)及びSod−β(例えば25mmol/L)である
【0024】
図2Aは、濃度Iの全ての緩衝液培地混合物は、Trizma塩基(SF19及びSF20)を除き、細胞増殖を呈することを示している。最良の増殖は、二つの対照(SF21及びSF22)において見られたが、緩衝液培地混合物との違いは、少なくともd8までは相対的に小さい。約45の細胞濃度を有する、三つの最良の緩衝液は、Sod−β/H;TES/K+NaHCO/D及びMOPS/F+NaHCO/Dである。Trizma塩基は、全ての濃度で十分に作動しない;pHは確かに安定であるが、幾らか毒性が存在しうる。
【0025】
図2Bにおいては、図2Aと同じ基準を用いた。このCOプロファイルで達成された細胞密度は、実質的により低くなったことが疑いなく明らかである。対照はここでも疑いなく群を抜いているが、最大細胞密度20は容認されない。約18の細胞濃度を有する、ここでの二つの最良の緩衝液混合物は、Sod−β/H+NaHCO/D及びMOPS/Fである。このため、さらなる評価は、関連するCOプロファイルを有するインキュベーター1からの振とうフラスコに、主に制限される。
【0026】
一般的に、NaHCO/Dとの組み合わせは、低い緩衝液濃度で有利である。図2Cは、得られた力価濃度を示す(標準化)。二三の例外を除き、力価の増加をd8とd11の間に見ることができる。よって、減少したNaHCO濃度を有する培地である振とうフラスコSF49〜SF52では、増加は10倍さえ超える!
【0027】
他の注目すべき事実は、初めて、従来の対照(SF21及びSF22)が培地の新規な緩衝物質によって上回られたということである:TES/K+NaHCO/Dを有するSF52は、d11において標準化した生成物濃度83.6という、非常に良好な結果を与える。
【0028】
結果3
pCO制御実験は、2%の所望のpCO値については、方法において顕著に現れない決定的な下限に達することを示している。
【0029】
結果4:
それぞれ標準的な生存細胞数濃度(A)及び力価濃度(B)に関する図4A及びBは、制御した発酵実験(三角形の符号を有する曲線)の細胞に特異的な生成物の形成速度が、比較の非制御発酵実験(ひし形を有する曲線)のそれより高いことを示している。加えて図4における試験は、NaOHを用いたpH制御は、NaCOを用いるそれより良好な生成物の形成速度を有する傾向があることを示している。pCOプロファイルが更に最適化される場合、特異的な生成物の形成速度は、更により増加する。pCO制御実験(FS 33.1)の生存細胞数密度は、図4Bに見られるように、最大で20単位互いに外れる。d10から、二つの比較実験はまたごく僅かな相違しか示さないか、又は良好な適合性が得られる。FS 33.1のより低い水準は、より高いpCOプロファイルから生じることがありえ、負に解釈することができない。活力(図示せず)は、全ての実験で同じ水準である。アルカリ性溶液の消費(図示せず)は、あらゆる実験において低い。FS 32.2(最高の生存細胞数濃度)では、予測されるとおり、より多くのアルカリ性溶液が、発酵の終了(d9〜d11)の頃に加えられなければならない。しかしながら、この実験は、発酵の終わりに最も低い重量オスモル濃度(図示せず)、393mosmol/kgを有する。図4Aは、FS 32.3より低い細胞数を有するにもかかわらず、FS 33.1がより高い力価濃度を有することを示す。濃度は、二つの同一の発酵実験、FS 32.2とFS 32.3の間に、散乱の上部3分の1にある。これは、pCO調節を有する発酵実験が、より高い特定の生成物形成速度を有することを意味する。
【0030】
結果5:
→理想的には、発酵実験は、以下の条件の下で起こる:完全にNaHCOがなく、pCO制御を有するTES緩衝液(又はSod−β緩衝液)。最良の終端力価は、このようにして達成される。
【0031】
図5Aは、制御された発酵実験(FS 33.1)のpCOプロファイルが、比較の発酵(FS 32.2及びFS 32.3)から明らかに区別されることを示している。FS 32.2及びFS 32.3が比較のために使用されるが、同一の比較相手が汚染により除外されているため、それらはより少ない量のNaHCOを有する。制御によって得られたpCOプロファイルは、発酵の最初の3分の1において比較実験と明らかに区別され、大体は規定の値に続く(図5Bを参照されたい、d1〜d3でpCO=8%、d3〜d6でpCO=6%、d6〜d8でpCO=2%及びd8〜d11でpCO=4%)。通常より低いpCO値が課される(6〜8日目、d6〜d8)場合、窒素ガスがCOを排出するように送り込まれる。低い所望の値には決して到達せず、3.2%のpCO値が制御について臨界的な下限を表すことが見出された。窒素の需要の増加については、酸素もその結果排出され、これは酸素のより高い体積フローによって補償される。臨界的な総気体量は、達成することができ、ここで、法外に大量の発泡を観察することができる。
【0032】
図5Bは、制御発酵実験が、全ての他の比較実験から驚くほど明らかに区別されることを示している。これは、制御によって達成されるpCOプロファイルが、規定の値(d1〜d3でpCO=8%、d3〜d6でpCO=6%、d6〜d8でpCO=2%及びd8〜d11でpCO=4%)に実際に基づき、偶然に発生しないことを意味する。
【0033】
図5Cは、NaHCOのないTES又は8mmol/LのNaHCOを有するTESによって得られる力価濃度が、対照(36mmol/Lの濃度を有するNaHCOベースの緩衝液)と同等であることを示している。無作為に選択され、かつ最適化されていないpCOプロファイルにもかかわらず、NaHCOのないTES(制御)を用いる実験は、僅か6.10%(対象を基に測定される)しか対照と異ならない最終濃度(力価)を達成する。TESプラス8mmol/LのNaHCO(非制御)を有する実験は、僅か0.01%(対象を基に測定される)しか対照と異ならない最終濃度(力価)を達成する。全く驚くべきことに、これはNaHCOがTESと完全に置き換えられることができることを示す。これは更に、TESプラス8mmol/LのNaHCO(非制御)を有する実験の結果が、対照と同じ最終的な力価濃度を達成することを示している。
【0034】
結果6:
最も高く、起こりうる生成物濃度を達成するためには、驚くべきことに、培地中にNaHCOを使用することは必要でない。図6に示される、TESを用いての両方の実験の生成物濃度(1.1、1.2)は、驚いたことに、培地中でNaHCOを用いるものと用いないものの両方で、同じ生成物濃度を有する。Sod−βを使用する実験において、達成した生成物濃度は、全ての実験において、同様の最大生成物濃度が11日目に達成される(1.3〜1.6)ため、培地中のNaHCOの量には今回も依存していない(図6を参照されたい)。
CO−制御発酵プロセスにおいて、驚くべきことに、培地中のNaHCOの使用は必要でない。培地はCOを全く形成することができないため、培地中のNaHCOなしで、方法中のCO制御はより容易になる。
【0035】
結果7:
驚くべきことに、発酵の開始時における低いCO分圧が、最適化された発酵結果のための決定的な要因であることが示された。
一方では、発酵方法を高いpCOで始めることは有利ではない。異なるpCOプロファイルを有する実験3.2以外の全ての実験の生存細胞濃度及びまた生成物濃度は、同様に進行して、おおよそ同じ最大値に達する(図7A及び7Bを参照されたい)。実験3.2において、細胞はあまり増殖せず、したがってより低い生成物濃度を達成する。
【0036】
図7Cにおいて関連するpCO値を見るに、相当な違いは、実験3.2と他の全ての実験の間で見ることができる。3.2における1日目のpCOは、8%を超える。一方、他の実験における1日目のpCO値は、全て5%以下である。
細胞の増殖は、最初は高いpCOによって阻害される。
【0037】
結果8:
図8に示される生存細胞濃度は、細胞増殖が酢酸ナトリウムの添加によって影響を受けることを示している(SF5及び6)。生存細胞数は、酢酸ナトリウムが使用されるときに僅かに増加して、添加の3日後に再び後退し、そのため、酢酸ナトリウムが毒性を有するとみなすことができる。明示された細胞毒性のため、酢酸は、発酵方法におけるpH制御のための好適な酸として使用されない。
他の塩類はいずれも細胞増殖上のいかなる毒性をも示さず、発酵方法の試験のために用いることができる。塩酸、硫酸及びリン酸が好ましい。
【0038】
結果9:
図9Bに示すように、塩酸(4.3)、硫酸(4.4)及びリン酸(4.5)の添加の結果、同じ生成物濃度が発酵方法において達成される。
これらの混合物の生存細胞濃度を考慮する場合(図9Aを参照されたい)、塩酸の添加を有する実験4.3で、他の実験より低い細胞数が得られることは明らかである。しかしながら、生成物濃度が他の全ての実験と丁度同程度の高さであるため、細胞の生産性は塩酸の添加の結果としてより高くなる。
【0039】
硫酸の添加を有する実験4.4において、図9Cに示すように、7日目から、他の実験より少ないラクタートが形成される。ラクタートは特定の濃度以上で細胞上の毒性を有するため、その方法における低い乳酸濃度は有利である。
硫酸及び塩酸の両方が、発酵方法において有利である。硫酸は低い乳酸の生産を保障し、塩酸は高い細胞生産性を保障する。
【0040】
結果10:
標準的方法(4.1)が異なる酸を用いたCO制御方法(4.3〜4.5)と比較される場合、同程度の生成物濃度は全ての実験で得られる(図10を参照されたい)。リン酸の添加を有する実験4.5において、実験4.1(標準的方法)とほぼ同じ最大生成物濃度が得られる。
【0041】
CO制御方法は、標準的方法と比較して生成物濃度に関していかなる不利な点も含まない。CO制御方法が更に最適化される場合、生成物濃度は、標準方法と比べて増加することさえできる。
【0042】
要約すると、結果は、試験される酸がpHを調整するために用いられる場合、低い乳酸形成の結果として、細胞増殖及び生産性に関して同等の性能ならびにより改良された性能をも示す。
【0043】
結果11:
結果7にて説明したような、異なるpCOプロファイルについての方法の性能の結果をより広範なデータベースに配置するために、実施例9において、他の試験方法が、異なるpCOプロファイルを用いて、今度は異なるモデル細胞(CHO)を用いて使用される。
【0044】
この試験方法で使用される異なるpCOプロファイルは、図11Cに示される。図11A及び11Bから明らかなように、細胞増殖についての及び生成物濃度のパターンについての両方の発酵実験KF1は、残りの曲線のセットから明らかに区別される。この発酵槽実験(KF1)は、0日目から11日目まで3%のpCOを有するpCOプロファイルにより行われた。
よってこの試験方法は、発酵の開始時(初期増殖期、特に0〜3日目)のCO分圧が最適化された発酵結果のための重要な要因であることを確認することが可能であった。
【0045】
実施例9は、発酵の開始時に故意に選択された低いCO分圧が、細胞増殖について及び生成物濃度のパターンについて最善の結果を与えることを確認する。これはまた、特に、減少したHCO又はCO2−イオン(特に12mmol/L又は8mmol/L未満のHCO又はCO2−イオン)を有する培養培地を使用する場合に、あるいは、完全にHCO又はCO2−イオンを含まない培養培地を使用する場合に、真である。
【0046】
定義
続いての非限定的な範例となる実施形態による本発明のより詳細な説明の前に、不定冠詞、例えば「a」又は「an」及び定冠詞、すなわち「the」の使用は、二つの形のうちの一つが明確に除外され、言及が特定様式(単数又は複数)になされない限り、問題の用語の単数及び複数を含むことが指摘されるべきである。よって、単一の細胞だけを意味すると明確に述べられない限り、用語「細胞」は自動的に「複数の細胞」を含む。単数は明確に意味され、例えばここで、「a」又は「one」は、(1)により補われる。
【0047】
「バイオ(生物)医薬品の製造方法」は、発酵プロセスにおける真核生物細胞による生体分子の生産を意味する。これは、特にタンパク質、例えばCHO、NS0、PERC.6細胞のような哺乳類細胞中の抗体の生産を含む。
【0048】
生体分子によって意味される、特に対象のタンパク質又はDNAもしくはRNA分子、例えばRNAi、アンチセンスRNAなどである。
【0049】
バイオ(生物)医薬品の製造方法の最適化は、発酵プロセスの培地及び物理パラメータの適合を意味する。これらは、例えばpCO、撹拌機の速度などを含む。最適化は、例えば、力価もしくは生成物の品質の増加(例えばタンパク質の異なるグリコシル化パターン又はタンパク質の他の翻訳後修飾)又は方法の頑健性(方法に影響を与えない、小さな方法の変動、軽微な変化に対する感度の欠如)を改善する。
【0050】
用語「非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液」は、化学反応によってCOを出さない酸及びアルカリ性の溶液、例えばNaOH、HCl、HPO、CHCOOH、HSOを指す。
【0051】
「pCOの制御」は、発酵溶液中のCO分圧が、所望の値に保たれる/制御されることを意味する。これは例えば、バイオプロセスの間にCO、O、N及び/又は空気の供給によって行われる。本発明において、「pCOの制御」は、好ましくはCO及び/又はNガスの供給によって行われる。
【0052】
「HCO又はCO2−イオンを完全に含まない」は、0日目から発酵の終了まで使用される培地がHCO又はCO2−イオンを含まないことを意味する。HCO又はCO2−イオンは、別個の添加(「飼料」)を通して、0日目から発酵の終了まで、培地に供給されない。
【0053】
「流加回分」発酵/「流加回分」法又は「流加回分」プロセスは、最大充填水準までの基質の流入によって操作される発酵方法を意味する。用語「流加回分」は、堆積又は供給を意味する、英語「fed」及びbatchに由来する。時折、用語「流入方法」が、用語「流加回分法」に変えて用いられる。用語「流加発酵/流加回分法又は流加回分プロセス」は、プロセス技術において定着している。これらの用語は、「堆積」として、すなわち順々に実施され、そして最大充填水準までの試薬(出発物質)の流入(飼料)によって操作される方法を指す。
【0054】
本発明の範囲内で、流加回分発酵/流加回分法又は流加回分プロセスは、好ましくは三つの部分:初期増殖期、増殖期、絶滅期に細分される。流加発酵の持続期間は、期限付きである。好ましくは、流加回分発酵/流加回分法又は流加回分プロセス全体の持続期間は、8〜15日間であり、特に好ましくは、11日間である。
【0055】
流加回分発酵/流加回分法又は流加回分プロセスは、他の培養方法、例えばかん流培養又はかん流法における発酵又は連続培養と異なる。かん流培養では、細胞培養を含むインキュベーション反応器は、培養液の流れによって絶えずすすがれる。これは栄養、成長因子、抗生物質等の一定の濃度比、代謝最終生成物の除去ならびに、自然で生理学的かつ代謝の、周囲条件のシミュレーション(血液循環、拡散及び組織液の循環)を保障する。
【0056】
細胞の「特異的な生産性」又は「特異的な生成物の形成速度」は、時間当たりで細胞により産生した、すなわち分泌したタンパク質の場合は、培地中に放出された、特定のタンパク質の量を示す。特異的な生産性は、培地中の生成物の濃度(=力価、例えばELISAによって決定される)及び考慮中の時間幅にわたって存在する生産細胞数、別名「IVC」(時間にわたる生存細胞数の積分)の商から計算される。特異的な生産性は、通常、「pcd」(=pg/細胞×日=細胞あたり、1日当たり分泌されたタンパク質のピコグラム)で与えられる。
【0057】
用語「血清を含まない」は、細胞が、動物及び/又はヒト血清の非存在下、好ましくは血清から単離された任意のタンパク質の非存在下、好ましくは組み換え技術によらず生産されたタンパク質の非存在下で増殖したことを特徴とする、培養培地及びまた培養条件を意味する。その結果として、用語「血清を含まない条件で適合させた細胞」は、動物もしくはヒト血清又は血清タンパク質の非存在下で増加させることができる細胞を意味する。
【0058】
用語「タンパク質を含まない」は、培養培地がいかなる動物タンパク質をも含まないことを意味し;バクテリア、酵母又は菌から単離したタンパク質は、動物タンパク質とみなさない。
【0059】
用語「化学的に定義される」とは、血清を含まない、好ましくはタンパク質をも含まず、そして化学的に定義される物質からなる細胞培養培地を説明する。よって、化学的に定義された培地は、ほぼ純粋な個々の物質の混合物からなる。化学的に定義された培地の一つの例は、Messrs Invitrogen(Carlsbad、CA、US)製のCD−CHO培地である。
【0060】
表現「懸濁液中で培養しうる細胞」は、液体培養(「懸濁液培養」)中での増殖に適合し、そして容器、例えば細胞培養のシャーレもしくはフラスコの表面への接着力が制限されるか又は失われた細胞を指す。血清無しの増殖及び懸濁液中での増殖の両者に適合した細胞は、「血清を含まない培地に適合した非接着性細胞」と呼ばれる。
【0061】
用語「対象の遺伝子」又は「対象の組み換え遺伝子」は、対象の生成物についてコードする任意の所望の長さのヌクレオチド配列を包含する。遺伝子産物又は「対象の生成物」は一般にタンパク質、ポリペプチド、ペプチド又はその断片もしくは誘導体である。しかし、これはRNA又はアンチセンスRNAでもよい。対象の遺伝子は、完全長であるか、短縮したものであるか、融合遺伝子であるか又は標識化した遺伝子であることができる。これは、ゲノムDNA又は好ましくはcDNA又は対応する断片もしくは融合でもよい。対象の遺伝子は、自然の遺伝子配列でもよく、又は変異しているかもしくは修飾されていてもよい。そのような修飾は、特定の宿主細胞及びヒト型化に適合するためのコドン最適化を含む。例えば対象の遺伝子は、分泌され、細胞質内の、核に位置する、膜結合又は細胞表面に結合したポリペプチドについてコードすることができる。
【0062】
用語「対象の生成物」は、生物薬剤学的に重要な物質、例えば、タンパク質/ポリペプチドだけでなく、DNA及びRNA分子(例えばsiRNA、アンチセンスRNA)及び他の生成物、例えばウイルス、ウイルス粒子等も指す。
【0063】
用語「対象のタンパク質」は、例えば抗体、酵素、サイトカイン、リンフォカイン、粘着分子、受容体及びその誘導体もしくは断片を含む、生物薬剤学的に重要なタンパク質/ポリペプチドに関する。しかし、対象のタンパク質/生成物は、これらの例に制限されない。一般に、アゴニストもしくはアンタゴニストとして作用し、及び/又は治療上もしくは診断上の用途を有する全てのポリペプチドは、重要であるか又は対象である。他の対象のタンパク質は、例えば、いわゆる「細胞工学」の範囲内で宿主細胞の特性を変えるために用いられるタンパク質/ポリペプチド、例えば抗アポトーシスのタンパク質、シャペロン、代謝酵素、グリコシル化酵素、及びその誘導体もしくは断片であるが、それらに制限されない。
【0064】
用語「ポリペプチド」は、アミノ酸配列又はタンパク質について用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。この用語はまた、反応、例えばグリコシル化、リン酸エステル化、アセチル化又はタンパク質処理によって、翻訳後修飾されたタンパク質を含む。ポリペプチドの構造は、例えば、アミノ酸の置換、削除又は挿入及び他のタンパク質との融合によって、その生物活性を保持すると共に修飾されうる。加えて、ポリペプチドは多量体化して、ホモ及びヘテロマーを形成することができる。
【0065】
組み換えタンパク質によって意味されるのは、宿主細胞の組み換え発現によって生じるタンパク質である。そのような組み換えタンパク質は、汚染の危険度を最小にするために、最も厳しい純度条件の下で産生される。組み換えタンパク質は、通常、適切な宿主細胞、例えば、酵母細胞、動物性細胞又は原核細胞(大腸菌又は他の菌株)に、発現ベクター、例えばプラスミド、バクテリオファージ、裸のDNA又はウイルスを使用して生じ、宿主細胞に組み換えタンパク質を導入する。
【0066】
組み換えタンパク質は、組み換え遺伝子によってコードされて、組み換え細胞によって発現する。組み換えタンパク質は、通常、濃縮タンパク質溶液としての純化された形で、又は粉末形態で市販されている。組み換えHSAは、例えば、さまざまな商業用供給元(例えばSigma Aldrich)から入手できる。治療上のタンパク質の例は、インスリン、インスリン様成長因子、ヒト成長ホルモン(hGH)及び他の成長因子、受容体、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、エリスロポイエチン(EPO)、サイトカイン、例えばインターロイキン(IL)(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18)、インターフェロン(IFN)−α、β、γ、ω又はτ、腫瘍壊死因子(TNF)、例えばTNF−α、β又はγ、TRAIL、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、MCP−1及びVEGFである。他の例は、モノクローナル、ポリクローナル、多特異的及び単鎖状の抗体及びその断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fc及びFc’断片、軽(L)及び重(H)のイムノグロブリン鎖及びその一定、可変又は高頻度可変領域ならびにFv及びFd断片である。抗体は、ヒト又はヒト以外の起源でもよい。ヒト化及びキメラ抗体もまた、可能である。
【0067】
Fab断片(抗原結合断片=Fab)は、隣接する定常領域によって一緒に保たれる両方の鎖の可変領域からなる。それらは、パパインのようなプロテアーゼで処理することによって、又はDNAクローニングによって、従来の抗体から産生されうる。他の抗体断片は、ペプシンを用いたタンパク消化によって産生することができるF(ab’)2断片である。
【0068】
遺伝子クローニングによって、重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変部だけからなる、短縮した抗体断片を調製することもできる。これらは、Fv断片(可変断片=可変部の断片)として公知である。恒常的な鎖のシステイン基を介する共有結合はこれらのFv断片において可能でないため、それらは多くの場合、幾つかの他の方法によって安定化される。このため、重鎖及び軽鎖の可変領域は多くの場合、約10〜30のアミノ酸、好ましくは15のアミノ酸の短いペプチド断片によって結合される。これは、VH及びVLがペプチドリンカーによって結合した単一のポリペプチド鎖を生じる。そのような抗体断片は、単鎖Fv断片(scFv)とも呼ばれる。scFv抗体の例は公知であり、記載されている。
【0069】
過去数年のうち、様々な計画が多量体scFv誘導体の生産のために開発された。目的は、改良された薬物動態学的特性及び増加した結合活性を有する組み換え抗体を生産することである。scFv断片の多量体化を達成するために、それらは、多量体化領域を有する融合タンパク質として生産される。多量体化領域は、例えば、IgG又はヘリックス構造(「らせん状のコイル構造」)のCH3領域、例えばロイシンジッパー領域であることができる。他の計画において、scFv断片のVHとVL領域の間の相互作用が、多量体化(例えば二重、三重及び五重特異性抗体)のために用いられる。
【0070】
用語「二重特異性抗体」は、当該技術において二価ホモダイマーのscFv誘導体を示すために用いられる。5〜10のアミノ酸にscFv分子のペプチドリンカーを短縮することは、VH/VL鎖の重ね合わせによって、ホモダイマーの形成をもたらす。二量体は、挿入されたジスルフィド架橋によって更に安定化されうる。二重特異性抗体の例を、文献で見つけることができる。
【0071】
用語「ミニ抗体」は、当該技術において二価ホモダイマーのscFv誘導体を示すために用いられる。これは、イムノグロブリン、好ましくはIgG、最も好ましくはIgG1のCH3領域を二量体化領域として含む、融合タンパク質からなる。これは、ヒンジ領域、またIgGによって、scFv断片とリンカー領域を接続する。
【0072】
用語「三重特異性抗体」は、当該技術において三価ホモトリマーのscFv誘導体を示すために用いられる。リンカーシークエンスを用いないVH−VLの直接の融合は、トリマーの形成を導く。
【0073】
二、三又は四価の構造を有するミニ抗体として当該技術において公知の断片もまた、scFv断片の誘導体である。多量体化は、二、三又は四量体の「らせん状のコイル」構造によって達成される。
【0074】
用語「抗体融合」又は「抗体融合タンパク質」は、抗体又は抗体部分へのタンパク質の融合/カップリングを示す。特に、これらは遺伝子工学によって産生される融合タンパク質を含み、ここでは、これにより血清中のタンパク質の半減期/安定性を増加させるために、治療上のタンパク質は抗体のFc部分に連結する。該用語はまた、ペプチド及び抗体又は抗体の部分からなる抗体融合を包含する。
【0075】
本発明の目的ために好ましい宿主細胞は、ハムスター細胞、例えばBHK21、BHK TK−、CHO、CHO−K1、CHO−DUKX、CHO−DUKX B1及びCHO−DG44細胞又はこれらの細胞株の誘導体/派生物である。特に好ましいものは、CHO−DG44、CHO−DUKX、CHO−K1及びBHK21細胞、特にCHO−DG44及びCHO−DUKX細胞である。また適切なものは、マウス骨髄腫細胞、好ましくはNS0及びSp2/0細胞ならびにこれらの細胞系の誘導体/派生物である。
【0076】
本発明に用いることができるハムスター及びマウス細胞の例は、以下の表1に与えられる。しかしながら、これらの細胞;ヒト、マウス、ラット、サル、げっ歯類の細胞系を含むがこれらに限定されない他の哺乳類細胞;又は酵母、昆虫、トリ及び植物細胞を含むがこれらに限定されない真核生物細胞の誘導体及び派生物が、バイオ(生物)医薬品タンパク質の生産のための宿主細胞として使用されうる。
【0077】
【表1】

【0078】
本発明によれば、組み換え哺乳類細胞、好ましくはげっ歯類の細胞、最も好ましくはNS0のようなマウス細胞及びCHO又はBHK細胞のようなハムスター細胞が、特に好まれる。
【0079】
宿主細胞が血清を含まない条件下で定着され、適合され、完全に培養される場合が好ましい。特に好ましくは、宿主細胞は更に、血清を含まないだけでなくいかなる動物タンパク質/ペプチドも含まない培地中で、定着され、適合され、完全に培養される。
【0080】
適切な栄養液の例は、市販の培地、例えばHam's F12(Sigma, Deisenhofen, Germany)、RPMI-1640(Sigma)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Sigma)、最小必須培地(MEM;Sigma)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM;Sigma)、CD−CHO(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、CHO−S(Invitrogen)、血清を含まないCHO−培地(Sigma)及びタンパク質を含まないCHO−培地(Sigma)を含む。
【0081】
用語「産生細胞」又は「プロデューサー細胞」又は「産生クローン」は、タンパク質を調製するプロセスに用いられる細胞を示す。特にこれは、組み換えタンパク質の工業生産に用いられる遺伝子組み換え的に修飾された細胞を含む。本発明の範囲内で、該用語は特に、組み換えタンパク質を発現し、このタンパク質を調製するために用いられる遺伝子組み換え的に修飾された真核生物宿主細胞を含む。これは特に、治療上のタンパク質の生産のための単一クローン系細胞株を含む。
【0082】
本発明による実施態様
本発明は、バイオ(生物)医薬品の製造方法を最適化する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸及び/又はアルカリを用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度を使用して制御される、方法を説明する。
【0083】
本発明は、pCOを制御する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸及び/又はアルカリを用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度を使用して制御される、方法を説明する。
【0084】
本発明は更に、真核生物細胞を用いたバイオプロセスの再現性を改善する方法であって、少なくとも以下のパラメーター:pCOプロファイル、Oプロファイル、pHプロファイル、温度プロファイル、速度を監視し、そして
a)細胞の培養を、12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含む細胞培養培地中で行い、そして
b)前記細胞培養培地が、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5HO、Sod−β)
を含み、そして
c)pHの制御を、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて実施し、そして
d)バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御されることを特徴とする、方法を説明する。
【0085】
本発明は更に、pHを制御する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法を説明する。
【0086】
本発明は更に、力価/特定の生産性を増加させる方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を生じる、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法を説明する。
【0087】
本発明は更に、生成物の品質を改善する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法に関する。
【0088】
本発明は更に、方法の頑健性を改善する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法に関する。
【0089】
本発明は更に、対象の組み換え生成物を調製する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法を説明する。
【0090】
本発明による製造方法の好ましい実施態様では、対象の生成物はタンパク質であり、好ましくは、抗体もしくは抗体断片又はFc融合タンパク質である。
【0091】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の好ましい実施態様では、pCOは、CO及び/又はNガスの導入によって制御される。好ましくは、pCOは、CO及び/又はNガスの導入によってもっぱら制御される。
【0092】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の好ましい実施態様では、細胞培養培地は、8mmol/LのHCO又はCO2−イオンを含む。
【0093】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の特に好ましい実施態様では、細胞培養培地は、HCO又はCO2−イオンを完全に含まない。
【0094】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の好ましい実施態様では、細胞の培養は、流加回分発酵法(そして例えばかん流法によってではない)によって実施される。好ましくは、細胞の培養は、流加回分法によって実施される。好ましくは、0日目から流加回分発酵/流加回分法の最後まで、培地中にHCO又はCO2−イオンは一切加えられず、及び/又は用いられない。
【0095】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の具体的な実施態様において、TES濃度は、1mmol/Lと100mmol/L、10〜90、20〜80、30〜50の間、又は100mmol/Lもしくは40mmol/L以下である。100mmol/Lより高いTES濃度は、重量オスモル濃度の増加のために本発明に従っていない。
【0096】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の具体的な実施態様において、Sod−β濃度は、1mmol/Lと100mmol/L、5〜50、15〜30の間、又は100mmol/Lもしくは25mmol/L以下である。100mmol/Lより高いSod−β濃度は、重量オスモル濃度の増加のために本発明に従っていない。
【0097】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の具体的な実施態様において、ステップc)による酸性及び/又はアルカリ性溶液は、NaOH、HCl、HPO、CHCOOH又はHSO、好ましくはNaOH又はHClである。
【0098】
先に記載したとおりの本発明による一つの方法の具体的な実施態様において、真核生物細胞は、哺乳類細胞、好ましくはげっ歯類の細胞、好ましくはCHO、PER.C6又はNS0細胞である。先に記載したとおりの本発明による方法の一つの具体的な実施態様において、真核生物細胞は、CHO、PER.C6又はNS0である。先に記載したとおりの本発明による一つの方法の好ましい実施態様では、pCOは、初期増殖期(0日目〜3日目又は1〜3日目、特に発酵の1日目)において、10%以下又は8%以下の値に制御され、好ましくは、pCOは、2%から8%の間又は3%から8%の間又は5%から8%の間又は3%から5%の間の値に調節され、一方、5%又は3%のpCO値が、特に好ましい。
【0099】
他の好ましい実施態様において、0日目から11日目(又は発酵の終了まで)のpCOプロファイルは、3% pCOに設定される。好ましくは、pCOは、0日目から11日目(又は発酵の終了まで)まで3%に制御される。
【0100】
他の好ましい実施態様において、該方法は更に、pCO値を更に以下のとおりに制御することを含む:
i)好ましくは5〜12%又は8〜12%、特に好ましくは8〜10%又は5〜11%又は3〜11%の増殖期(例えば3〜7日目又は4〜8日目)の平均pCO(12%以下)、
ii)好ましくは15〜18%又は5〜10%又は15%の絶滅期(7〜11日目又は9〜11日目又は(流加回分)発酵の終了まで/細胞培養の終了まで)の僅かに上昇したか又は高いpCO(5%、8%又は15%以上)。
【0101】
本発明は更に、12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)
及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5HO、Sod−β)を含む、細胞培地に関する。
【0102】
本発明は特に、12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)
及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5HO、Sod−β)を含む、流加回分細胞培養培地を記述する。
【0103】
本発明による細胞培養培地の具体的な実施態様において、細胞培養培地は、8mmol/LのHCO又はCO2−イオンを含む。
【0104】
本発明による細胞培養培地の具体的な実施態様において、細胞培養培地は、HCO又はCO2−イオンを完全に含まない。
【0105】
具体的な実施態様において、本発明による細胞培養培地は、好ましくは、細胞の流加回分培養のためのものである。
【0106】
本発明による細胞培養培地の具体的な実施態様において、培養される細胞は、真核生物細胞、特に哺乳類細胞、特にげっ歯類の細胞、特にハムスターの細胞、特にCHO細胞である。
【0107】
本発明による細胞培養培地の具体的な実施態様において、TES濃度は、1mmol/Lと100mmol/L、10〜90、20〜80、30〜50の間、又は100mmol/Lもしくは40mmol/L以下である。100mmol/Lより高いTES濃度は、重量オスモル濃度の増加のために本発明に従っていない。
【0108】
本発明による細胞培養培地の具体的な実施態様において、Sod−β濃度は、1mmol/Lと100mmol/L、5〜50、15〜30の間、又は100mmol/Lもしくは25mmol/L以下である。100mmol/Lより高いSod−β濃度は、重量オスモル濃度の増加のために本発明に従っていない。
【0109】
本発明は更に、以下の成分:
(a)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含むか、又は好ましくは完全にHCO又はCO2−イオンを含まず、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)
及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5HO、Sod−β)を含む、細胞培養培地、
(b)流加回分発酵槽、
(c)真核生物細胞、好ましくは哺乳類細胞、げっ歯類の細胞、ハムスターの細胞、特に好ましくはCHO細胞
を含む、流加回分発酵の設定又は流加回分発酵機器の品目一式もしくはキットを記述する。
【0110】
好ましくは、(c)における細胞は、組み換え細胞である。組み換え細胞は、好ましくは発現しており、及び特に好ましくは精製及び単離されている、組み換え(例えば外因性)DNA又はRNA配列を含む。好ましくは、この組み換え細胞は、対象の遺伝子、特に治療タンパク質、好ましくは抗体、抗体断片又はFc融合タンパク質を発現する。
【0111】
本発明による全ての方法は、プロセスと同義的に称される。よって、本発明はまた、例えば以下の工程(ステップ):
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、バイオプロセスの間に、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度を用いて制御される、pCOの制御するためのプロセスに関する。
【0112】
先に記載したとおりの本発明によるプロセスの一つの好ましい実施態様では、pCOは、CO及び/又はNガスの導入によってもっぱら制御される。
【実施例】
【0113】
実験の部
機器及び方法
発酵
実施した実験は、発酵容積2L(接種容量1.8L)を有するバイオリアクター中か、250ml振とうフラスコ(接種容量50ml)中で、又はPresens社製SensorDish Reader(登録商標)(接種容量1.5ml)を用いてのいずれかで行った。
【0114】
バイオリアクターを用いた実験は、多数の利点、例えばリアルタイムのデータ収集及びプロセスパラメーターをアーカイブすること、温度、pH、ガス供給(ガスの異なる比率)及び撹拌機速度のプロセス変量の、確立しかつ妥当な制御を有する。得られたデータは、管理された条件によって再現することができ、より大きいバイオリアクターに移しうる(スケールアップ/スケーリング)。バイオリアクターでの収率は、比較すると、代わりの発酵方法を用いるより一般的に高い。これはとりわけ、栄養分のより良好な供給及び酸素導入の増加を提供する、乱流混合作用を有する一体化撹拌機に起因する。しかしながら、発酵の始めに装置/機器はまとめて滅菌されなければならず、発酵の間は日々の管理が必要とされ、そして発酵の後、機器は分解して慎重に掃除されなければならないため、操作は比較的複雑かつ時間がかかる。よって操作は、非常に労働集約的かつ高コストである。
【0115】
良好な結果が予備試験で既に得られ、そしてさらなるバイオリアクターの利点が必要とされている場合、バイオリアクターが発酵のために用いられる。
【0116】
バイオリアクターのために、異なる操作モードがある。バッチプロセスが主に一定容積を特徴とするのに対して、これは流加回分法においては可変である。発酵プロセスの間に細胞培養液への添加があるので、可変である。添加は、発酵プロセスを援助するために連続的な供給であるか、又は付加的なボーラスの形態であることができる。
【0117】
実験の部に記載されているバイオリアクターを使用する発酵において、流加回分法が用いられた。
【0118】
振とうフラスコ中での細胞の培養は、それを比較的単純な手段で実施することができるという利点がある。インキュベーター、LAFボックス(層流、滅菌の作業域)及び使い捨て可能なフラスコに加えて、他のいかなる技術的な機器も必要とされない。フラスコは、滅菌状態下で、定められた濃度の細胞培養培地及び接種材料で満たされ、そして次にインキュベーターに移される。インキュベーター上の設定(所望の温度、相対湿度、速度及び−CO含有量)を調整することによって、細胞培養は、影響を受けることができる。振とうフラスコは滅菌包装で供給されるため、機器の他のいかなる準備も必要とされない。しかしながら、不利な点は明らかである:オンラインデータ収集を行うこと、pHを制御すること、ガスを導入すること又は栄養供給を行うことができない。分析のためのサンプリングならびに飼料及びボーラスの添加は、LAFボックス下で実施されなければならない。これは汚染又は誤差の出所であり、そして通常の取り扱いに加えて多くの時間を取る。更に、分析の観点から、試料体積は制限を課す:例えば、発酵の開始時に、50mlが接種され、そしてサンプルごとに、2〜3ミリリットルの量がとられる(一般的に毎日)。これは飼料及びボーラスの添加によって部分的に補償されるにもかかわらず、培養の総容積に関して、そのたびごとに大きな除去(removal)となる。一般的に、安価な振とうフラスコ中での試験は、取扱いの容易さ及び十分な評価可能性のため、バイオリアクター試験のための前駆体として非常に適切である。
【0119】
Sensor Dish Reader(=SDR)を使用する実験は、バイオリアクター及び振とうフラスコの利点を部分的に兼ね備える。この方法では、24ウェルシャーレはウェル当たり1.5mlの細胞懸濁液のみを接種され、そしてシャーレは蓋をされ、インキュベーターに置かれる。センサーの位置は、各々のウェルの下側に適用される。ウェルプレートの下に、このセンサーを読み取る、いわゆるリーダーがある。これは、pH又はpOの、オンライン及びリアルタイムでの無侵襲計測(non-invasive)を可能にする。前もっての較正は必要とされない;較正データは、印刷されたロット番号を用いて、初めは制御ソフトウェアに自動的にロードされる。
【0120】
しかしながら、SDRの可能性は、ウェルのpHを読み込み、経時的にpOの低下を解釈することによって細胞発育に関して判定を出すことに限られている。該プロセスは、毒性、個々の物質の効果又は限界濃度の試験に推奨される。SDRは、複数の測定を必要とする試験においても有用である。サンプリングがなく、かつ実験は3日のみの実行時間を有するため、よっていかなる供給の必要性もないので、この方法は多くの時間を節約し、非常に快適な取扱いを可能にする。
【0121】
pH制御
Sensor Dish Readerを用いる試験及びインキュベーター内の振とうフラスコ中での発酵の間、能動的なpH制御は実施されない。
【0122】
バイオリアクターのpH制御は、NaCO3(aq)及びCO2(ガス)の添加によって、BIで定期的に行われる。制御は、SimaticIT(登録商標)を使用して、自動的に行われる(ソフトウェアの節を参照されたい)。pHactual>pHdesiredの場合、CO2(ガス)が導入され、pHactual<pHdesiredの場合、NaCO3(aq)が、所望の値、+/−所定のデッドバンドが再び到達するまで、制御されたポンプを通して計量される。
【0123】
現在の例において、幾つかの発酵において、述べられた理由のため、NaCO3(aq)は、等価な効果を有する水酸化ナトリウム溶液で置き換えられる。
【0124】
培地
基本的な細胞培養培地として、BI独自(proprietary)の培地が全ての発酵の標準培地として使用される。培地A及びBは、予め選択されたpHのみが異なる。両方の培地は、「ジャストインタイムの」基礎で、社内で生産される血清を含まない生産培地である。
【0125】
使用する流加培地はまた、社内で生産されるBI独自の流加培地でもある。流加培地は、一般的に、高純度水(WFI=注射用水)、ブドウ糖、アミノ酸、成長因子及び例えば特定の細胞株に理想的である酵母からの生物学的エキスを含む。マルチ発酵において、流加培地はポンプによって連続的に供給され、その一方で振とうフラスコ中の発酵においては、LAFボックス下で、それが手動でピペットで取られる。
【0126】
バイオリアクター中の実験のために、いわゆるマルチ発酵槽(multifermenter)が使用される。それは各々2リットルの発酵容積を有する六つの同一の個々の発酵槽からなり、これは物理的に結合されて携帯ユニットを形成する。機器は、SimaticIT(登録商標)ソフトウェアを用いてPCで作動する。発酵槽の基本構成は、温度調節のための二重ジャケットならびにプローブ及び他の周辺機器、例えば上昇管がねじ止めされるカバープレートを備えた2Lのガラス容器によって形成される。
【0127】
バイオリアクター中の発酵において、バイオリアクターのカバープレートにねじ止めされる以下のプローブ:温度プローブ、pOプローブ、pHプローブ、COプローブが用いられる。
【0128】
実施される全ての発酵において、BI-HEX(登録商標)細胞が用いられる。BI-HEX(登録商標)は、Boehringer Ingelheim High Expression Systemを意味する。BI-HEX(登録商標)細胞は、CHO細胞であり、対象の生成物を効果的に産生するように、その遺伝子の構造物が変えられ/最適化される。細胞が必要である場合、接種材料セクターからの対応するCHO細胞を有するアンプルは解凍され、拡張され、そして保存培養はバイオリアクター又は振とうフラスコ内の接種のための展開を確実にするために適用される。細胞は、細胞培養培地において細胞外で特定の生体分子、好ましくはタンパク質、好ましくは特異的な抗体を分泌する。これは力価の濃度が決定される場合に検出される。
【0129】
実施例1
SDR実験(NaHCO濃度の減少)
細胞についてのNaHCOの基本的な機能は、既に説明してきた。本実験は、NaHCO濃度の減少が細胞増殖に影響をどのように与えるか、又は与えるかどうかを示すことを目的とする。評価は、細胞培養培地中の酸素消費量(細胞増殖による)について結論を出すことによってなされる。実験は、SensorDish Reader上で実施される。
【0130】
試験系列は、分離物を検出して、一般的な散乱を評価することが可能であるように、n=4で実施した。24ウェルOxiDish OD24プレートを用いる。五つの異なるNaHCO濃度に加えて、特定濃度のNaHCO及びHEPESを有する試験系列が実験される。この組合せは文献に記載されているが、その例において3%のpCOを用いて実験されるのみである。他の実験との比較を達成するように、本実験(6)は、5%のpCOを用いて実験される。詳細について、表1の実験計画を参照されたい。
【0131】
変化をできるだけ低く保つために、同じ濃度の試験系列のための細胞懸濁液がプールにおいて生産され、ウェルの中へピペットで移され、そして次に算出された同一の量のNaHCO原液が提供される。
プラットフォーム:SensorDish Reader(SDR) 細胞:CHO 実行時間:90h
培地:培地A w/o NaHCO+一定量/原液の緩衝液物質
給餌:−適用されない− T/L:36.8℃/70%
COプロファイル:5%で一定 接種密度:0.6
【0132】
【表2】

【0133】
試験系列番号5において、NaHCOに加えて、HEPESが原液によってプールにも加えられる。
【0134】
評価のために、図1のダイヤグラムが使われ、各々のウェルのpO値は時間に対して記録される。ダイヤグラムは、既に試験系列4における分離物を除外しており、4回の反復(試験系列4においては3回)の算術平均に基づく。
→ 8mmol/Lの減少したNaHCO濃度は、対照(細胞増殖)と同様に有利なpOプロファイルを示す。
【0135】
実施例2
振とうフラスコ実験
緩衝液系(細胞を含まない)の選択は、細胞を用いて直ちに操作される。この実験において使用する緩衝液系の選択の基準は、振とうフラスコインキュベーターへのガスの導入の間の、許容される重量オスモル濃度及び良好な緩衝液の特性である。試験設定/実験計画は、濃度D(=8mmol/L)に減少したNaHCO濃度を用いてさえ、良好な増殖速度(酸素消費量から導き出される)が得られるという実施例1の発見と合う。
【0136】
目的は、細胞の増殖能に関して、バイオリアクター中の続いての発酵の基礎として最良の緩衝液培地を決定することである。
【0137】
調製はできるだけ正確に、分析的に実施される。pH値は、BGA比較によって調整される。より低い緩衝液濃度が、原液によって加えられる。製造の後、除菌ろ過が行われる。安全対策として、実験はn=2で行われる。二つの異なるガス供給の変形を達成するために、実験は二つの異なるインキュベーターの間で分割される。概要は、実験計画に見いだすことができる。
プラットフォーム:インキュベーター内の振とうフラスコ
細胞:CHO 実行時間:11d
培地:培地A w/o NaHCO w/o MOPS+一定量/原液の緩衝液物質
給餌:1.5ml/日 T/L:37℃/70%
COプロファイル:実験計画を参照されたい
接種密度:1.1
【0138】
【表3】

【0139】
【表4】

【0140】
d0(0日目)の分析は、LAFボックス下で、播種の直後に、すなわちインキュベーターのCO雰囲気のいかなる予備効果なしで、行われた。
【0141】
図2Aは、濃度Iを有するTrizma塩基(SF19及びSF20)を別にして全ての緩衝液培地混合物が、いくらかの細胞増殖を示すことを示している。最良の増殖は二つの対照(SF21及びSF22)に見られているが、緩衝液培地混合物との違いは、少なくともd8まで、比較的小さい。45の範囲内の細胞密度を有する三つの最良の緩衝液は、Sod−β/H;TES/K+NaHCO/D及びMOPS/F+NaHCO/Dである。Trizma塩基は、任意の濃度において十分に動作せず、pHは確実に安定であるが、いくらかの毒性を有しうる。
【0142】
図2Bにおいて、図2Aと同じ基準が使われた。達成される細胞密度が、このCOプロファイルよりかなり低いことは明らかである。明らかに、対照はここでも最も良く実行するが、最大細胞密度20は容認できない。18の領域の細胞密度を有する最良の2つの緩衝液混合物は、この場合、Sod−β/H+NaHCO/D及びMOPS/Fである。このためさらなる評価は、付随するCOプロファイルを有するインキュベーター1から、主に振とうフラスコに制限される。
一般的に、低い緩衝液濃度のNaHCO/Dとの組合せが有利である。
【0143】
pCO測定が行われる場合、定められたpCOプロファイルが維持されることが見られる。サンプリングのタイミングがより遅くなればなるほど、測定されるpCOがより低くなることは明らかである。これは、インキュベーターを繰り返し開く結果である。
【0144】
対照は、端の方のインキュベーター1においてpCOの他の上昇を示し、これは恐らく細胞内での生産に起因する。
【0145】
発酵期にわたるpHの経過もまた測定される。pH値は、許容できるレベルである。対照(SF21及びSF22)は、まだ2日目(d2)の7.00+/−0.05の実際の出発値を越える。これはBGAと比較してのpH計からの偏りに起因しうる;対照は、培地(pHがBGAなしで選択される)の製造からいかなる干渉もなく、直接得られた。対照において、pH値は、細胞培養の酸性化に基づいて最後に最も鋭く下がる。
【0146】
図2Cは、達成される力価濃度(標準化した)を示す。幾つかの例外を除いて、力価の増加はd8とd11の間に検出されうる。振とうフラスコSF49からSF52(減少したNaHCO濃度を有する培地)における増加は10倍以上でさえありうる!
【0147】
他の注目に値する事実は、培地中の新規な緩衝液物質により初めて、従来の対照(SF21及びSF22)が優る性能が示されたことであり:TES/K+NaHCO/Dを有するSF52はd11で、標準化された生成物濃度83.6の、非常に良好な結果を与える。
【0148】
結果:
→ NaHCOを含まない細胞培養培地(表の左手側半分)又は減少したNaHCO(=8mmol/L)の細胞培養培地(表の右手側半分)における最良の緩衝液物質の同定。
→ 最良の緩衝液物質は:TES及びSod−βであった。
【0149】
実施例3 バイオリアクターでの発酵
pCO制御の試験装置:
方法を制御するための異なる組合せで利用可能な、異なる型のレギュレーターがある。それらは以下のレギュレーターを含みうる:
1.P−レギュレーター:プロポーショナルレギュレーター。これらは、制御の精度についての要求が低い応用で用いられる。P−レギュレーターは、一定の制御偏差を有する。
2.I−レギュレーター:インテグラルレギュレーター。これらは、制御の速度についての要求が低いが非常に精密な応用で用いられる。
【0150】
実際には、PIレギュレーターが最も頻繁かつ本発酵の制御においても用いられる。PIレギュレーターは、P及びIレギュレーターの利点を兼ねる:それらはPコンテントによって速やかに、Iコンテントによって正確かついかなる不変の制御偏差無しに制御し;個々のレギュレーターの効果は合計される。
【0151】
制御特性は、制御している設定(P−I成分)の修飾によって発酵の次の過程において最適化されることが意図される。
【0152】
バイオリアクターは、以下の成分を含有する:
【0153】
【表5】

【0154】
修飾バイオリアクターは、特に集積COプローブを含む。実験のハードウェア構成は原則として、変化することができ、異なる要件を満たす。例えば、上昇管は省略することができ、そしてその代わりに他のプローブを取り付けることができ、又は、さらなる/他の溶液をホースポンプで自動的に加えることができる。
【0155】
pCO測定は、目標値に変化した後レギュレーターが長期間発振することをまず第一に示す。接種の瞬間から8%の目標値が達成されるまで、レギュレーターは約2日間発振する。目標値が8%から6%まで低下する場合、レギュレーターは更に14時間発振する;プロセス内の較正の後、約12時間。
【0156】
pCOレギュレーターの最大の負の制御変数(−45%)であてはまるガス体積フローもまた測定される。この制御変数にもかかわらず、2% pCO+0.3%の目標値は達成されない。これから、2%のpCO目標値については、その過程で有用であると思われない臨界的下限に達すると結論することができる。導入される窒素が酸素を放出するため、これは酸素の体積フロー増加によって補償されなければならない。蓄積された全体のガス容量フローは、発泡に関して決定的な量に達しうる。制御がより高い水準で安定した後、COガスの均一な供給が得られることもまた、明白である。
【0157】
図3において、pCOのオンラインデータ(分刻みでアーカイブしたpCOプローブ測定に対応する)は、BGAでのサンプリングの後、外部的に測定される値と比較される。恒常的な違いを示すため、最初の較正はあまり成功していない。しかしながら、2回目の較正の後、続いての測定は合致する。これから、プロセス内の較正は、発振している制御特性が軽減したときのみ意味をなすと結論することができる。発酵の第二の四半期において、外部の計測値はより高い。このための仮説は、この時点で細胞代謝が非常に活発であり、多くのCOが形成されるということである。ガスをもはや供給されていないシリンジ内のサンプルにおいて、COはそれが測定されるまで蓄積することができる。
【0158】
よって図3は、pCO(自動でデータをアーカイブすることを伴うプローブ)の内部測定の、及び血液ガス分析装置上の外部測定の経過を視覚的に示す。0日目(d0)の矢印で印をつけた第一の較正(COプローブとBGA間の比較)は、制御特性がまだあまりに不安定であるため、ほとんど効果を示さない。4日目(d4)の2回目の較正(第二の矢印)から、良好な一致を内部及び外部測定の間で見ることができる。
【0159】
前もって実施される機能試験は、pCO制御の発振が緩衝液系に依存していることを示している。PBS緩衝液のpCO制御(試験として実施される)において、制御している系は僅か3時間後には安定である。
【0160】
マルチ発酵槽を使用する発酵は再び、SDRを使用する最適化試験に先行する。この予備試験において、実施例1に従って、異なるNaHCO濃度が培地Sod−β/H及びTES/Kに関連して試験される。実験において、pOの低下による評価に加えて、同様に覆われたウェルプレートがpHセンサーを備えて用いられる。結果は現在の実施例についての決定をするのに役立ち、最も有望な組合せ(TES/K+NaHCO/D及びSod−β/H+NaHCO/E)が実験計画に含まれる(予備試験からのデータはここでは示されない。)。
【0161】
発酵は、異なる培地の組合せを有する二つのマルチ発酵槽(12個の個別の発酵槽に対応する)において起こる。
【0162】
手順及び取扱いは、機器、方法及び操作工程の見出しで説明している節に基づく。試験の構成及び実験計画は、表5に要約される。

プラットフォーム:バイオリアクター/マルチ発酵槽 細胞:CHO 実行時間:11d(11日間)
培地:培地B w/o NaHCO+一定量/原液の緩衝液物質
給餌:dxからの連続流加 T:37.0℃ 接種密度:1.7
COプロファイル:d0〜d3:8% − d3〜d6:6% − d6〜d8:2% − d8〜d11:4%
【0163】
上に示したCOプロファイルは、残った発酵槽中で制御されたバイオリアクターFS 33.1に適用され、播種(d0)の後、特定の制御強度の特定の時間の長さについて、CO2(ガス)は最小量の溶解したCOを有する細胞を提供するために加えられる。さらなるpCO測定はd1に行われ、その経過で、培養物が平均して約2〜3%のCOを含んだことが判明した。細胞密度を決定する場面において、さらなる手動干渉は二酸化炭素ガスを供給するために必要ではないことが一緒に決定された。
【0164】
制御特性はもう一度観察された。後の段階でなされる客観的な評価を可能にするために、設定は変えないか又は手動介入を行った。制御特性の分析は、別々のレギュレーター調整(今後は、別々の正及び負の調整範囲は変動する)の基礎として役立つことを目的とする。
【0165】
【表6】

【0166】
発酵システム(FS)32.1、32.6及び33.6は、残念なことに、汚染のため発酵期にわたって失敗した。結果の考慮において、得られたデータは含めなかったか、又は有限の範囲のみ含めた。
【0167】
pCO制御とpCO非制御との比較
FS 32.1及びFS 32.6の両方(制御されたバイオリアクターFS 33.1のように、細胞培養培地TES/Kを用いて操作される)が汚染を理由に除外されたため、相違はFS 32.2とFS 32.3(両方ともTES/K+NaHCO/D)を比べることによってのみ推定した。通常の生存細胞数濃度(A)又は力価濃度(B)の図4A及びBは、制御された発酵実験の細胞特定の生成物形成速度(三角形の符号を有する曲線)が、相当する非制御の発酵実験(菱形の曲線)のそれより高いことを示している。
【0168】
更に、図4からの実験は、NaOHを用いたpH制御が、NaCOを用いたそれより良い生成物形成速度を有する傾向があることを示している。
【0169】
pCOプロファイルのさらなる最適化の間、特定の生成物形成速度は更に増加する。
【0170】
図4Bに示すように、pCOを制御した実験(FS 33.1)の生存細胞数密度は、最高で20単位互いに離れる。d10からは、二つの比較実験はまた僅かな相違だけを示し、さもなければ、良好な適合が達成される。FS 33.1のより低いレベルは、より高いpCOプロファイルに起因しえて、負に解釈されてはならない。活力(図示せず)は、全ての実験で同じレベルである。
【0171】
アルカリ性溶液の消費(図示せず)は、全ての実験において低い。FS 32.2(最高の生存細胞数濃度)において、より多くのアルカリ性溶液が、予想通りに発酵の最後の頃(d9〜d11)に加えられなければならない。これにもかかわらず、発酵の終わりに、この実験は393mosmol/kgで最も低い重量オスモル濃度(図示せず)を有する。
【0172】
図4Aは、FS 32.3より低い細胞数を有することにもかかわらず、FS 33.1がより高い力価濃度を有することを示している。濃度は、二つの同一の発酵実験FS 32.2とFS 32.3の間の分散の上部三分の一にある。これは、pCO制御を用いた発酵実験が、より高い特定の生成物形成速度を有することを意味する。
【0173】
緩衝液系の比較
異なる緩衝液系は次に、互いに比較される。
【0174】
図5Aは、制御された発酵実験(FS 33.1)のpCOプロファイルが、比較の発酵(FS 32.2及びFS 32.3)と著しく異なることを示している。汚染により同一の比較相手がいないため、それらが少量のNaHCOを含む場合であっても、FS 32.2及びFS 32.3が比較のために用いられる。制御によって得られたpCOプロファイルは、発酵の最初の三分の一において比較実験から明らかに区別されて、主に所定の値に続く(図5Bを参照されたい、d1〜d3 pCO=8%、d3〜d6 pCO=6%、d6〜d8 pCO=2%、そしてd8〜d11 pCO=4%)。通常より低いpCO値が課されるとき(6〜8日目、d6〜d8)、窒素ガスがCOを排出するように送り込まれる。低い目標値には決して達せず、3.2%のpCO値は制御のための臨界的な下限を表すことが見いだされる。窒素の需要の増加については、酸素もまたその結果排出され、これは酸素のより高い体積フローによって補償される。臨界的な総気体量を達成することができ、ここで、過度に大量の発泡を観察することができる。
【0175】
図5Bは、制御された発酵実験がまた、全ての他の比較実験と驚くほど明らかに区別されることを示している。これは、制御によって達成されるpCOプロファイルが所定の値(d1〜d3 pCO=8%、d3〜d6 pCO=6%、d6〜d8 pCO=2%、そしてd8〜d11 pCO=4%)に実際に基づき、偶然に発生しないことを意味する。
【0176】
図5Cは、NaHCOのないTES又は8mmol/LのNaHCOを有するTESによって得られる力価濃度が、対照(36mmol/Lの濃度を有するNaHCOベースの緩衝液)と同等であることを示している。ランダムに選択された及び最適化されていないpCOプロファイルにもかかわらず、NaHCOのないTES(制御)を有する実験は、僅か6.10%(対照を基に測定した)しか対照と異ならない最終濃度(力価)を達成する。TESに加え8mmol/LのNaHCO(非制御)を有する実験は、僅か0.01%(対照を基に測定した)しか対照と異ならない最終濃度(力価)を達成する。全く驚くべきことに、これはNaHCOがTESと完全に置き換えられることができることを示している。更に、TESプラス8mmol/LのNaHCO(非制御)を有する実験の結果が、対照と同じ最終的な力価濃度を達成することを示している。
【0177】
理想的には、発酵実験は以下の条件の下で起こる:完全にNaHCOを含まず、pCO制御を有するTES緩衝液。最良の最終力価はこのようにして達成される。
【0178】
実施例4 発酵検証 緩衝液系
六つのCOを制御されたバイオリアクターにおいて、培地中のNaHCOの最適濃度を決定するために、緩衝液系TES及びSod−βが、NaHCOの異なる濃度とともに用いられる。試験の構成は後述する:
プラットフォーム:バイオリアクター/マルチ発酵槽
方法:流加回分法
細胞:CHO
接種密度:3×10vc/mL
開始体積:1,8L
実行時間:11日間
培地:培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+一定量/原液の緩衝液物質
給餌:2日目から継続して、飼料I
温度:37℃
pO:60%
速度:160rpm
pH:0〜3日目 6.95±0.15、3〜11日目 6.80±0.15
pH制御:NaOH(1.2M )(COなし)
pCO:0〜3日目 5%、3〜11日目 3%
【0179】
異なる濃度のNaHCOを有して使用される緩衝液系を、表6に示す。
【0180】
【表7】

【0181】
図6に示される標準化された生成物濃度は、同じ緩衝物質が用いられるとき、使用するNaHCO濃度における違いを示さない。TESが用いられる(1.1、1.2)ときに、異なるNaHCO濃度によって同一の生成物濃度を呈する。Sod−β(1.3、1.4、1.5、1.6)及び異なる濃度のNaHCOを使用している他の発酵において、細胞の生産性が培地に使用されるNaHCOの濃度からは独立していることが確認される。このために、NaHCOを用いずに細胞を培養することができる。
【0182】
実施例5 発酵の比較 COプロファイル
五つのCOを制御したバイオリアクターにおいて、発酵プロセスに最適のCOプロファイルを見つけるために、異なる所望のCO値は培養期間にわたって定められる。試験の構成は後述する:
プラットフォーム:バイオリアクター/マルチ発酵槽
方法:流加回分法
細胞:CHO
接種密度:3×10vc/mL
開始体積:1.8L
実行時間:11日間
培地:培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+Sod−β(25mM)
給餌:2日目から継続して、飼料I
温度:37℃
pO:60%
速度:160rpm
pH:0〜3日目 6.95±0.15、3〜11日目 6.80±0.15
pH制御:NaOH(1.2M )(COなし)
【0183】
六つの発酵プロセスの異なるCOプロファイルを、表7に示す。
【0184】
【表8】

【0185】
0日目に、午後にCO修正のための他の試料をとることが省略されたので、0〜1日目の指定されたCO値(表6を参照されたい)は、図7Cに示すように、計測値に対応しない。
【0186】
標準化された生存細胞濃度及びまた異なるpCOプロファイルを有する個々のプロセスの生成物濃度の両方は、実験3.2以外はほぼ同程度である。プロセス3.2において、細胞は他の全てのプロセスより増殖しない(図7Aを参照されたい)。乏しい細胞増殖及び低い細胞密度のため、この実験の生成物濃度は、他より低い(図Bを参照されたい)。実験3.2のCOプロファイルに関して、図7Cは、これが1日目に高いpCO(>8%)を有する唯一の実験であることを示している。
【0187】
よって細胞増殖は、最初は高いpCOによって負の影響を受ける。
【0188】
実施例6 Na塩を用いた振とうフラスコの酸耐性
10個の250ml振とうフラスコにおいて、細胞は、ナトリウム塩の添加を用いてそれらの酸耐性を試験される。塩溶液は、前もって滴定によって決定される酸の量が、7.1から6.7までのpHシフトについて1.5mlの溶液にあるように選択される。3日目に、これらの異なる塩溶液1.5mlが振とうフラスコに加えられ、pHシフトをシミュレーションする。
試験の構成は後述する:
培養容器/充填量:250mL/50mL
細胞:CHO
培地:培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+Sod−β(25mM)
接種密度:2×10vc/mL
培養期間:11日間
培養条件:温度:37℃
相対湿度:70%
速度:0〜3日目 120rpm、3〜7日目 140rpm
CO:0〜3日目 5%、3〜11日目 3%
給餌:毎日1.5mlの、飼料I
【0189】
10個の振とうフラスコへの異なる添加を、表8に示す。
【0190】
【表9】

【0191】
図8に示される標準化された生存細胞濃度は、酢酸ナトリウムの添加によってSF5及び6を除く全ての振とうフラスコ中の細胞が同様に増殖することを示している。これらの振とうフラスコにおいて、低い細胞濃度が達成され、細胞は7日目に死に始め、そのため、酢酸ナトリウムの添加は著しく低い増殖をもたらす。
【0192】
よって、バイオリアクター中のpH調整のための酢酸の使用を除外することができる。
【0193】
実施例7 発酵の比較の酸
異なる酸が、3日目に6.95から6.8までのpHシフトのために三つのCO−制御バイオリアクターに加えられる。酸性溶液の濃度は、物質の量が必要とするように選択され、滴定においてあらかじめ決定され、50mlの溶液中に存在する。
試験の構成は後述する:
プラットフォーム:バイオリアクター/マルチ発酵槽
方法:流加回分法
細胞:CHO
接種密度:3×10vc/mL
開始体積:1.8L
実行時間:11日間
培地:培地B、NaHCOを含まない、MOPSを含まない+Sod−β(25mM)
給餌:2日目から継続して、飼料I
温度:37℃
pO:60%
速度:160rpm
pH:0〜3日目 7.00±0.05、3〜11日目 6.80±0.05
pH制御:NaOH(1.2M )(COなし)
【0194】
三つの発酵プロセスへの異なる添加を、表9に示す。
【0195】
【表10】

【0196】
図9Aの標準化された細胞濃度はほぼ同様に動作し、そのため、10日目に個々の実験の最大値が達せられる。塩酸の添加を有する実験4.3の細胞濃度は、常に他より下である。
【0197】
しかしながら、標準化された生成物濃度に関して(図9Bを参照されたい)、これらが全て同様に動作し、よって塩酸の添加を有する実験4.3において他のプロセスと同様、同じ生成物濃度が得られることは注目に値する。
【0198】
図9Cに示される乳酸濃度に関して、より少ない乳酸が硫酸(4.4)の添加の結果として発酵プロセスで生産されることは明らかである。
【0199】
よって、塩酸の添加は細胞のより高い生産性をもたらし、そして硫酸の添加は発酵プロセスにおけるより低い乳酸濃度をもたらす。
【0200】
実施例8 COを制御したプロセスを用いた標準的プロセスの比較
四つのバイオリアクターにおいて、CO制御がなく、pH制御のためにNaCOを使用する従来の培地Bを用いた標準的プロセスを、NaHCOを含まず、MOPSを含まない培地B+Sod−β(25mM)を用いて、そしてpH制御のためにNaOH及び異なる酸を用いる、COを制御したプロセスと比較する。
試験の構成は後述する:
プラットフォーム:バイオリアクター/マルチ発酵槽
方法:流加回分法
細胞:CHO
接種密度:3×10vc/mL
開始体積:1.8L
実行時間:11日間
給餌:2日目から継続して、飼料I
温度:37℃
pO:60%
速度:160rpm
pH:0〜3日目 7.00±0.05、3〜11日目 6.80±0.05
【0201】
三つの発酵プロセスへの異なる添加を、表10に示す。
【0202】
【表11】

【0203】
図10に示される実験4.1及び4.3〜4.5の標準化された生成物濃度は、非常に類似した様式で動作する。標準プロセス(4.1)及びリン酸の添加を有する実験4.5においてほぼ同一の生成物濃度が得られ、これは、COを制御したプロセスが達成することができる生産性又は生成物濃度に関していかなる不利な点を有さないことを意味する。
【0204】
実施例9 モデル細胞2を用いたCOプロファイルの比較
五つのバイオリアクターにおいて、NaHCOを含まず、MOPSを含まない培地B+Sod−β(25mM)を用いたCOを制御したプロセスと、様々なpCOプロファイルについてのNaOHの使用とを比較した。pCOは、N及びCOガスの導入によって能動的に制御され、pH制御のデカップリングによって行われうる。
試験の構成は、後述される:
プラットフォーム:バイオリアクター/マルチ発酵槽
方法:流加回分法
細胞:CHO
接種密度:3×10vc/mL
開始体積:1.8L
実行時間:11日間
給餌:2日目から継続して、飼料I
温度:37℃
pO:60%
速度:160rpm
pH:0〜3日目 7.00±0.05、3〜11日目 6.80±0.05
【0205】
五つの発酵プロセスの異なるpCOプロファイルを、表11に示す。
【0206】
【表12】

【0207】
図11Aに示される標準化された生存細胞濃度は、発酵実験KF1について著しく良好な増殖特性を示している。標準化された生成物濃度についての図11Bも、KF1についてより良好な結果を有する。この実験についての発酵期は、pCOの所望値が変化した三つの節に分けられる。最良の結果は3%のpCOについての連続的に低い所定の値を用いて得られた。
【0208】
略語
以下は、本研究において用いられる略語及び符号の簡単な説明である。
【0209】
【表13】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ医薬品の製造プロセスを最適化する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、当該バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法。
【請求項2】
pCOを制御する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、当該バイオプロセスの間、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法。
【請求項3】
真核生物細胞を用いたバイオプロセスの再現性を改善する方法であって、少なくとも以下のパラメーター:pCOプロファイル、Oプロファイル、pHプロファイル、温度プロファイル、速度が監視され、そして
a)細胞の培養が、12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含む細胞培養培地中で行われ、そして
b)前記細胞培養培地が、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含み、そして
c)pHの制御が、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて行われ、そして
d)当該バイオプロセスの間に、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御されることを特徴とする、方法。
【請求項4】
対象の組み換え生成物を調製する方法であって、以下の工程:
a)対象の組み換え遺伝子を含み、対象の対応する生成物を産生する、真核生物宿主細胞を調製すること、
b)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)
を含む、細胞培養培地中で、工程a)からの細胞を培養すること、
c)pHを、非CO発生性の酸性及び/又はアルカリ性溶液を用いて制御すること、
を含み、当該バイオプロセスの間に、pCOが、CO、O、N及び/又は空気の供給で、又は撹拌機の速度によって制御される、方法。
【請求項5】
対象の生成物が、タンパク質、好ましくは抗体もしくは抗体断片又はFc融合タンパク質であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
pCOが、CO及び/又はNガスの導入によって制御されることを特徴とする、請求項1〜5の一項に記載の方法。
【請求項7】
細胞が、流加回分発酵法によって培養されることを特徴とする、請求項1〜6の一項に記載の方法。
【請求項8】
流加回分発酵法の0日目から最後まで、培地中にHCO又はCO2−イオンが添加されない及び/又は用いられないことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
細胞培養培地が、8mmol/LのHCO又はCO2−イオンを含むことを特徴とする、請求項1〜8の一項に記載の方法。
【請求項10】
細胞培養培地が、完全にHCO又はCO2−イオンを含まないことを特徴とする、請求項1〜9の一項に記載の方法。
【請求項11】
TES濃度が、1mmol/Lと100mmol/L、10〜90、20〜80、30〜50の間、又は100mmol/Lもしくは40mmol/L以下であることを特徴とする、請求項1〜10の一項に記載の方法。
【請求項12】
Sod−β濃度が、1mmol/Lと100mmol/L、5〜50、15〜30の間、又は100mmol/Lもしくは25mmol/L以下であることを特徴とする、請求項1〜10の一項に記載の方法。
【請求項13】
工程c)による酸性及び/又はアルカリ性溶液が、NaOH、HCl、HPO又はHSO、好ましくはNaOH又はHClであることを特徴とする、請求項1〜12の一項に記載の方法。
【請求項14】
真核生物細胞が、哺乳類細胞、好ましくはげっ歯類の細胞、好ましくはCHO、PER.C6又はNS0の細胞であることを特徴とする、請求項1〜13の一項に記載の方法。
【請求項15】
初期増殖期のpCO(0日目〜3日目又は1〜3日目、特に発酵の1日目)が、10%以下、又は8%以下の値に制御され、好ましくは、pCOが、2%と8%の間又は3%と8%の間又は5%と8%の間の値に調節され、特に好ましくはpCO値が5%又は3%であることを特徴とする、請求項1〜14の一項に記載の方法。
【請求項16】
0日目から11日目(又は発酵が終わるまで)のpCOが、3%に制御されることを特徴とする、請求項1〜15の一項に記載の方法。
【請求項17】
pCO値が、以下のとおり:
i)好ましくは5〜12%又は8〜12%、特に好ましくは8〜10%又は5〜11%又は3〜11%の、増殖期(3〜7日目又は4〜8日目)中の平均pCO(12%以下)、
ii)好ましくは15〜18%又は5〜10%又は15%の、絶滅期(7〜11日目又は9〜11日目又は発酵の終わりまで)中の僅かに上昇したか又は高いpCO(5%、8%又は15%以上)
にさらに制御されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含み、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)
及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)を含む、細胞培養培地。
【請求項19】
細胞培養培地が、8mmol/LのHCO又はCO2−イオンを含むことを特徴とする、請求項18に記載の細胞培養培地。
【請求項20】
細胞培養培地が、完全にHCO又はCO2−イオンを含まないことを特徴とする、請求項18又は19に記載の細胞培養培地。
【請求項21】
TES濃度が、1mmol/Lと100mmol/L、10〜90、20〜80、30〜50の間、又は100mmol/Lもしくは40mmol/L以下であることを特徴とする、請求項18〜20の一項に記載の細胞培養培地。
【請求項22】
Sod−β濃度が、1mmol/Lと100mmol/L、5〜50、15〜30の間、又は100mmol/Lもしくは25mmol/L以下であることを特徴とする、請求項18〜20の一項に記載の細胞培養培地。
【請求項23】
以下の構成要素:
(a)12mmol/L以下のHCO又はCO2−イオンを含むか、又は好ましくは完全にHCO又はCO2−イオンを含まず、以下の緩衝液成分:
(i)N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(C15NOS、TES)
及び/又は
(ii)β−グリセロリン酸ナトリウム五水和物(CNaP×5 HO、Sod−β)を含む、細胞培養培地、
(b)流加回分発酵槽、
(c)真核生物細胞、好ましくは哺乳類細胞、げっ歯類の細胞、ハムスターの細胞、特に好ましくはCHO細胞
を含む、流加回分発酵機器の品目一式、又はキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公表番号】特表2013−514071(P2013−514071A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543781(P2012−543781)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070042
【国際公開番号】WO2011/073377
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】