説明

バイス

【課題】ワークの滑りや移動の防止に有効なバイスを提供する。
【解決手段】バイス110は、ワーク台10に底面22が接触した状態でワーク台10に固定される基台20と、対向して配置され互いの間隔を調整可能な第1顎30および第2顎40とを有する。第1顎30、第2顎40には、それぞれ第1プレート36、第2プレート46が固定されていて、第1プレート36および第2プレート46によってワーク50が把持される。第1プレート36および第2プレート46は、基台20の底面22に平行な水平保持面36a、46aおよび底面22に垂直な鉛直保持面36b、46bを有し、ワーク50は、水平保持面36a、46aによって鉛直方向の位置が規制され、鉛直保持面36b、46bによって水平方向の位置が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを把持するバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ボール盤やフライス盤などの工作機械において、ワーク(加工対象物)を把持するためにバイス(把持具)が使用される。バイスは、ボルト等によって工作機械のワーク台に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−127025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1および図2は、工作機械のワーク台に固定可能な一般的なバイスを示す斜視図である。バイス100は、工作機械のワーク台10にボルト26等によって固定される基台20と、対向して配置され互いの間隔を調整可能な第1顎30および第2顎40とを有する。第1顎30、第2顎40には、それぞれ第1プレート32、第2プレート42がボルト等によって固定されている。第1顎30は、基台20に固定され、または、基台20と一体成形されている。第2顎40は、基台20に対して移動可能に構成されていて、ハンドル45を回転させることによって移動して、これによって第1顎30に固定されている第1プレート32と第2顎40に固定されている第2プレート42との間隔が調整されうる。第2顎40の位置は、例えば固定機構46によって固定されうる。ワーク50は、図1に示すように、第1プレート32および第2プレート42によって把持される。
【0005】
一般に、第1プレート32および第2プレート42の表面は、平坦である。したがって、特に、第1プレート32および第2プレート42によって薄いワーク50を把持している場合には、ワーク50が第1プレート32および第2プレート42に対して滑りやすい。そのため、ドリルビットなどのビット70によってワーク50に力が加わったときに、図2に例示するようにワーク50が傾いたり移動したりしうる。
【0006】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、ワークの滑りや移動の防止に有利なバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バイスに係り、前記バイスは、ワーク台に底面が接触した状態で前記ワーク台に固定される基台と、対向して配置され互いの間隔を調整可能な第1顎および第2顎とを有し、前記第1、第2顎にはそれぞれ第1、第2プレートが固定されていて、前記第1プレートおよび前記第2プレートによってワークを把持する。前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記基台の底面に平行な水平保持面および前記底面に垂直な鉛直保持面を有し、前記ワークは、前記水平保持面によって鉛直方向の位置が規制され、前記鉛直保持面によって水平方向の位置が規制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワークの滑りや移動の防止に有利なバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】工作機械のワーク台に固定可能な一般的なバイスを示す斜視図である。
【図2】工作機械のワーク台に固定可能な一般的なバイスを示す斜視図である。
【図3】本発明の好適な実施形態のバイスの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態のバイスを説明する。
【0011】
図3は、本発明の好適な実施形態のバイスの構成を示す斜視図である。バイス110は、工作機械のワーク台10にボルト26等によって固定される基台20と、対向して配置され互いの間隔を調整可能な第1顎30および第2顎40とを有する。基台20は、典型的には、ワーク台10に設けられた固定用の溝12を利用してワーク台10に固定される。基台20は、底面22を有し、ワーク台10の表面に底面22が接触した状態でワーク台10に固定される。ここで、底面22とは、ワーク台10の表面に接触する部分を意味する。
【0012】
第1顎30、第2顎40には、それぞれ第1プレート36、第2プレート46がボルト等によって固定されている。第1顎30は、基台20に固定され、または、基台20と一体成形されている。第2顎40は、基台20に対して移動可能に構成されていて、ハンドル45を回転させることによって移動して、これによって第1顎30に固定されている第1プレート36と第2顎40に固定されている第2プレート46との間隔が調整されうる。第2顎40の位置は、例えば固定機構46によって固定されうる。
【0013】
ワーク50は、図3に示すように、第1プレート36および第2プレート46によって把持される。ここで、第1プレート36は、基台20の底面22に平行な水平保持面36aおよび底面22に垂直な鉛直保持面36bを有し、第2プレート46は、基台20の底面22に平行な水平保持面46aおよび底面22に垂直な鉛直保持面46bを有する。図3に例示するように、ワーク50は、水平保持面36a、46aによって鉛直方向の位置が規制され、鉛直保持面36b、46bによって水平方向の位置が規制される。水平保持面36a、46aと鉛直保持面36b、46bとは、段差を構成するように配置されうる。
【0014】
ワーク50の鉛直方向の位置を水平保持面36a、46aによって規制することによって、ドリルビット等のビットによってワーク50に力が加わっても、それによってワークが滑ったり移動したりすることが防止される。
【符号の説明】
【0015】
10 ワーク台
12 溝
20 基台
22 底面
26 ボルト
30 第1顎
32、36 第1プレート
36a 水平保持面
36b 鉛直保持面
40 第2顎
42、46 第2プレート
45 ハンドル
46a 水平保持面
46b 鉛直保持面
50 ワーク
70 ビット
100、110 バイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク台に底面が接触した状態で前記ワーク台に固定される基台と、対向して配置され互いの間隔を調整可能な第1顎および第2顎とを有し、前記第1、第2顎にはそれぞれ第1、第2プレートが固定されていて、前記第1プレートおよび前記第2プレートによってワークを把持するバイスであって、
前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記基台の底面に平行な水平保持面および前記底面に垂直な鉛直保持面を有し、前記ワークは、前記水平保持面によって鉛直方向の位置が規制され、前記鉛直保持面によって水平方向の位置が規制される、
ことを特徴とするバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−260137(P2010−260137A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112972(P2009−112972)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】