説明

バイタルサイン計測装置、バイタルサイン計測プログラム、および記録媒体

【課題】 バイタルサインの検出とともに必要な支援情報を検出して、被験者や診断を行う医師の負担を軽減しつつ、バイタルサインを正しく読み取ることを可能にするバイタルサイン計測装置を提供する。
【解決手段】バイタルサイン計測装置10であって、被験者のバイタルサインを検出して、バイタルデータとして出力するバイタルサイン検出部20と、前記バイタルサインの検出時における前記被験者の状態を表す支援情報を検出して、支援データとして出力する支援情報検出部30と、前記支援データに基づいて前記バイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部44と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイタルサイン計測装置、バイタルサイン計測プログラム、および記録媒体等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイタルサイン(生体情報)を検出して、そのデータをもとに健康管理等を行うシステムが提案されている。しかし、バイタルサインを検出したときの状態(例えば被験者の動き、および環境)を把握することが、バイタルサインを正確に読み取り診断する上で必要である。
【0003】
例えば、時折出現する不整脈を捉えるために24時間装着する携帯式のホルター心電計が使用されることがある。ホルター心電計は、被験者が日常の行動を記録して、医師は心電図を行動記録と照合しながら診断を行う。
【0004】
ここで、行動記録は、例えば被験者が所定の用紙に記入することで作成される。例えば被験者は、ホルター心電計を装着している間の運動、歩行、休憩の区別だけでなく、階段昇降といった事細かな動きまで記録を求められる場合がある。しかし、常に行動を事細かに記録することは被験者にとって煩雑な作業であり、行動の記入漏れや時刻の記入忘れ等が生じることがある。すると、医師が誤った診断をする恐れがある。
【0005】
そこで、被験者の自己申告によらずに、センサーを用いて被験者の行動を把握する発明が開示されている。例えば、特許文献1の発明では、被験者は筋電計と加速度計を装備する。そして、正常な部位と障害のある部位の動きの差を表示するので、医師はリハビリの進み具合などを評価できる。つまり、事細かな動きまで、筋電計と加速度計で正確に把握することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−278706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の発明は、被験者の行動自体を客観的、定量的に捉えることを目的とするものである。そのため、検出されたバイタルサインと関連させる手法等を開示するものではない。
【0008】
そのため、特許文献1の発明を単純にバイタルサイン計測装置に適用しても、医師が被験者の行動とバイタルサインとを逐一照合して必要なデータを取捨選択する必要があり、医師の負担は軽減されない。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、バイタルサインの検出とともに必要な支援情報を検出して、被験者や診断を行う医師の負担を軽減しつつ、バイタルサインを正しく読み取ることを可能にするバイタルサイン計測装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、バイタルサイン計測装置であって、被験者のバイタルサインを検出して、バイタルデータとして出力するバイタルサイン検出部と、前記バイタルサインの検出時における前記被験者の状態を表す支援情報を検出して、支援データとして出力する支援情報検出部と、前記支援データに基づいて前記バイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部と、を含む。
【0011】
本発明に係るバイタルサイン計測装置は、被験者のバイタルサインを検出するバイタルサイン検出部だけでなく、検出時における支援情報を検出する支援情報検出部を含む。更に、支援データに基づいてバイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部を含む。
【0012】
支援情報検出部によって、被験者の状態を表す情報である支援情報が自動的に取得されるため、被験者が行動を記録する必要がなく、その負担を軽減することができる。そして、データ評価部によってバイタルデータが有効か否か、すなわち診断に用いることができるデータか否かが自動的に判断されているので、医師が有効性を判断する必要がなく、その負担を軽減することができる。そして、正確な行動記録が用意されているため、医師はバイタルデータから被験者のバイタルサインを正しく読み取ることが可能である。
【0013】
ここで、バイタルサインとは、例えば心電、心拍、脈拍、脈波、血圧、血糖、体温等であるがこれらに限るものではない。
【0014】
また、支援情報とは被験者の状態を表す情報である。被験者の状態とは被験者自身の行動(例えば運動中、歩行中、休憩中、階段昇降等)のみならず、被験者のおかれた環境(例えば日時、気温、天候等)までも含む意味である。
【0015】
バイタルデータが有効でないとは、例えば被験者の行動に基づくノイズに埋もれて、診断に有用な波形が読み取れない状態等をいう。例えば、バイタルサインが心電である場合には、検出された電位の変化を表すデータがバイタルデータであるが、被験者が激しい運動をしていると筋電というノイズに埋もれて有効でない場合がある。
【0016】
このような場合、本発明によれば支援データから被験者が激しい運動をしていることを知ることができる。そして、データ評価部によって、被験者が激しい運動をしているときのバイタルデータを、被験者の行動記録や医師の照合を要することなく、自動的に有効でないと評価することが可能である。
【0017】
一方、データ評価部によって有効と判断されたバイタルデータの中に、波形の崩れた心電があれば、医師が直ちに異常と診断できるため、効果的かつ迅速な診断が可能になる。
【0018】
なお、データ評価部は有効でないと判断したバイタルデータや支援データを削除してもよいし、有効でないことが判別できるようなフラグ(エラーフラグ)をこれらのデータに付加してもよい。
【0019】
(2)このバイタルサイン計測装置において、前記バイタルサイン検出部に検出開始を指示する検出タイミング制御部を含み、前記検出タイミング制御部は、前記データ評価部から前記評価の結果を受け取り、前記バイタルデータが有効でないと評価された場合に、前記バイタルサイン検出部に再び前記検出開始を指示してもよい。
【0020】
本発明に係るバイタルサイン計測装置は、バイタルサインの検出開始を指示する検出タイミング制御部を含む。そして、検出タイミング制御部は、データ評価部から評価の結果を受け取り、バイタルデータが有効でないと評価された場合には再びバイタルサインの検出開始を指示する。このとき、検出タイミング制御部は、支援情報についても検出開始を指示できてもよい。そして、バイタルデータが有効でないと評価された場合には再びバイタルサインおよび支援情報の検出開始を指示してもよい。
【0021】
バイタルデータが有効でない場合には、再びバイタルサインの検出が開始されるので、これらのデータの数を確保して正確な診断を行うことが可能になる。
【0022】
例えば、バイタルサインが血糖であって数時間おきに検出される場合、1回のバイタルデータが有効でないことでデータ不足となり、医師による正確な診断に支障をきたす可能性がある。このとき、バイタルサイン計測装置が、バイタルデータが有効でない場合に自動的にバイタルサインを再度検出すれば、このような問題を回避できる。
【0023】
なお、検出タイミング制御部は、データ評価部から支援データが有効でないとの結果を得た場合にも、再びバイタルサイン、支援情報の検出開始を指示してもよい。例えば、ノイズ等の影響により支援データが正しく得られなかった場合にも、バイタルデータを適切に評価できないため、医師による正確な診断ができない可能性があるからである。
【0024】
(3)このバイタルサイン計測装置において、前記支援情報検出部は、前記支援情報として前記被験者の動きを検出するセンサーを含んでもよい。
【0025】
本発明によれば、センサーによって、被験者の動きを検出して支援情報として利用することが可能になる。具体的には、被験者が例えば運動中であるか、歩行中であるか、休憩しているか等を区別することができるので、データ評価部はバイタルデータが有効であるか否かの判断を正確に行うことができる。
【0026】
また、センサーによって、被験者の動きが事細かに検出される。そのため被験者は行動記録を記入する手間が不要になる。そして医師は、被験者が記入する行動記録よりも、詳細で診断に役立つ支援データを得ることができる。
【0027】
ここで、センサーとはモーションセンサーであってもよいし、圧力センサーであってもよいし、他のセンサーであってもよい。また、複数の種類を含んでいてもよい。
【0028】
例えば、圧力センサーの場合、被験者の姿勢などを検出して支援情報として利用することが可能になる。具体的には、被験者が例えば立っているのか、座っているのか、寝ているのか等を区別することができるので、正確な診断のための有用な情報を提供できる。また、データ評価部はバイタルデータが有効であるか否かの判断を正確に行うことができる。
【0029】
さらに、圧力センサーとモーションセンサーの両方を備える場合、圧力センサーは例えば気圧の変化を感知するため、モーションセンサーによる動作の感知と組み合わせることで、階段の昇降等の動きを事細かに検出できる。
【0030】
そのため、被験者は行動記録を記入する手間が不要になる。そして医師は、被験者の申告による行動記録よりも、詳細で診断に役立つ支援データを得ることができる。
【0031】
(4)このバイタルサイン計測装置において、前記支援情報検出部は、前記支援情報として前記被験者の音声を検出する音声検出部を含んでもよい。
【0032】
本発明によれば、音声検出部によって、被験者の声の状態に基づいて感情を知ることができ、支援情報として利用することが可能になる。音声検出部は例えばマイクであり、被験者の声の音圧によって、興奮状態にあるのか、冷静であるのか等を区別することができる。よって、データ評価部はバイタルデータが有効であるか否かの判断を正確に行うことができる。
【0033】
そのため、被験者は会話していたことを行動記録として記入する手間が不要になる。そして医師は、被験者の感情までも知ることができる、詳細で診断に役立つ支援データを得られる。
【0034】
(5)このバイタルサイン計測装置において、前記支援情報検出部は、前記支援情報として前記被験者の位置を検出する位置検出部を含んでもよい。
【0035】
本発明によれば、位置検出部によって、被験者の位置を知ることができ、支援情報として利用することが可能になる。位置検出部は例えばGPSであって、被験者が仕事中であるのか、帰宅しているのか等を区別することを可能にする。よって、データ評価部はバイタルデータが有効であるか否かの判断を正確に行うことができる。
【0036】
(6)このバイタルサイン計測装置において、前記バイタルデータおよび前記支援データを記憶する記憶部を含んでもよい。
【0037】
本発明に係るバイタルサイン計測装置は、バイタルデータと支援データを記憶する記憶部を含む。例えば数日間連続の計測を行って記憶部にこれらのデータを記憶し、その後の都合のよい時に医師に診断してもらうことが可能になる。
【0038】
記憶部は、不揮発性(例えば、フラッシュメモリー等)であることが好ましい。また、計測中の全てのデータを記憶できる程度に容量が大きいことが好ましい。なお、記憶部のデータが適宜通信手段によって送信される場合には、記憶部は小容量のFIFOメモリーであってもよい。そして、記憶部はバイタルサイン計測装置から着脱可能なものであってもよい。ここで、記憶部に記憶されるバイタルデータと支援データは、バイタルサインと支援情報が検出された時間が後日でも判るように、タイムスタンプ(時刻情報)を含んでいてもよい。
【0039】
ここで、バイタルサイン計測装置に含まれる記憶部の容量は限られているため、有効なデータだけを記憶することが好ましい。そこで、データ評価部が有効でないと評価したバイタルデータは自動的に記憶の対象から除外されてもよい。なお、対応する支援データも同時に除外されてもよい。このとき、医師は記憶部のデータから有効でないデータを排除する作業を行う必要がなく、効率的な診断を行うことができる。
【0040】
(7)このバイタルサイン計測装置において、無線で前記バイタルデータおよび前記支援データに基づくデータを送信する無線通信部を含んでもよい。
【0041】
本発明によれば、被験者が例えば病院から遠く離れた場所で生活していても、被験者のバイタルサインを無線で送信することが可能である。そのため、医師は遠隔地の被験者の診断を病院でいつでも行うことができる。
【0042】
そして、例えば被験者が意識不明の状態に陥った場合には、医師は被験者のバイタルサインの異常から緊急事態を把握でき、救急車などを手配することが可能になる。このとき、支援データに被験者の位置情報が含まれていれば、短い時間で病院に搬送することが可能になる。
【0043】
(8)本発明は、バイタルサイン計測プログラムであって、被験者のバイタルサインを検出するバイタルサイン検出部から出力されるバイタルデータと、前記バイタルサインの検出時における前記被験者の状態を表す支援情報を検出する支援情報検出部から出力される支援データと、を受け取り、前記支援データに基づいて前記バイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部としてコンピューターを機能させる。
【0044】
(9)本発明は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であって、前記のバイタルサイン計測プログラムを記録する。
【0045】
これらの発明に係るバイタルサイン計測プログラムは、被験者のバイタルサインを検出するバイタルサイン検出部からのバイタルデータ、その検出時における支援情報を検出する支援情報検出部からの支援データに基づいて所定の処理をする。具体的には、支援データに基づいてバイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部としてコンピューターを機能させる。
【0046】
このプログラムによって、バイタルデータが有効か否か、すなわち診断に用いることができるデータか否かが自動的に判断されるので、医師の負担を軽減することができる。そして、正確な被験者の状態を表すデータ(支援データ)が用意されているため、医師はバイタルデータから被験者のバイタルサインを正しく読み取ることが可能である。
【0047】
さらに、このプログラムによって、バイタルデータが有効か否かの評価を行うので、検出するバイタルサインや支援情報の変更、増減に対して柔軟に対応することが可能になる。
【0048】
そして、このプログラムは、例えば光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリー等)である記録媒体に記録されていてもよい。例えば、コンピューターのCPUは記録媒体からこのプログラムを読み出して、前記のデータ評価部として機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態におけるバイタルサイン計測装置のブロック図。
【図2】図2(A)〜図2(B)は第1実施形態におけるバイタルサイン計測装置の外観と表示の例を示す図。
【図3】図3(A)〜図3(C)は被験者の状態(姿勢)を表す図。
【図4】バイタルサイン検出部の構成例。
【図5】支援情報検出部の構成例。
【図6】図6(A)〜図6(B)は第1実施形態のバイタルデータの変化の例、図6(C)〜図6(D)は第1実施形態の支援データの変化の例を示す図。
【図7】第1実施形態のフローチャート。
【図8】図8(A)〜図8(C)は第1実施形態のノイズ除去の例を示す図。
【図9】第2実施形態におけるバイタルサイン計測装置のブロック図。
【図10】第2実施形態におけるバイタルサイン計測装置による緊急通報の例を示す図。
【図11】第2実施形態のフローチャート。
【図12】第2実施形態のフローチャート(サブルーチン)。
【図13】第3実施形態におけるバイタルサイン計測装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0051】
1.第1実施形態
1.1.バイタルサイン計測装置の構成
本発明の第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する。図1は、本実施形態のバイタルサイン計測装置10のブロック図である。
【0052】
本実施形態のバイタルサイン計測装置10は、バイタルサイン検出部20、支援情報検出部30、データ評価部44を含む。そして、バイタルサイン計測装置10は、さらにデータ格納部42、検出タイミング制御部46、記憶制御部50、記憶部60、表示制御部48、表示部80を含んでもよい。
【0053】
バイタルサイン検出部20は、被験者のバイタルサイン(生体情報)を検出する。バイタルサインは、例えば、心電、心拍、脈拍、脈波、血圧、血糖、体温等である。バイタルサイン計測装置10は、1つのバイタルサインを検出してもよいし、複数のバイタルサインを検出してもよい。そして、バイタルサイン検出部20は、検出したバイタルサインを表すデータをバイタルデータ120として出力する。
【0054】
支援情報検出部30は、被験者の状態を表す情報である支援情報を検出する。ここで、被験者の状態とは被験者自身の行動(例えば運動中、歩行中、休憩中、階段昇降等)のみならず、被験者のおかれた環境(例えば日時、気温、天候等)までも含む意味である。支援情報によって、バイタルサインが検出されたときの被験者の状態を知ることができる。そして、支援情報検出部30は、検出した支援情報を表すデータを支援データ130として出力する。
【0055】
データ評価部44は、支援データ130に基づいてバイタルデータ120が有効であるか否かの評価を行う。評価とは、医師がそのバイタルデータを診断に用いることができるか否かを判断することであり、具体的には波形がノイズに埋もれたり、ノイズの影響でつぶれたりしていないかを判断することである。
【0056】
例えば、後述するように、激しい運動の最中に心電をとると、筋電によるノイズに埋もれて心電のパルスの間隔が測れない場合がある。そのような場合には、データ評価部44はバイタルデータを有効でないと判断して、例えばバイタルデータにエラーフラグを付加したり、データ自体を消去したりする。
【0057】
データ格納部42は、バイタルサイン検出部20からのバイタルデータ120、支援情報検出部30からの支援データ130を受け取り、検出データ142として出力する。検出データ142は、一時保存されたバイタルデータ120と支援データ130であって、例えば両データが結合される等のデータ形式の変換が行われていてもよい。データ評価部44と記憶部60は、検出データ142を必要なタイミングで受け取る。データ格納部42があることにより、データ評価部44が行う評価、記憶部60が行う記憶の時間的な自由度が増す。
【0058】
検出タイミング制御部46は、バイタルサイン、支援情報の検出開始を指示する。検出タイミング制御部46は、レジスター(図外)等で指定された所定のタイミングで、制御信号146によって、バイタルサイン検出部20にバイタルサインの検出を指示する。また、制御信号147によって、支援情報検出部30に支援情報の検出を指示する。
【0059】
さらに、検出タイミング制御部46は、データ評価部44から評価結果データ145を受け取り、バイタルデータ120および支援データ130の少なくとも一方が有効でないと評価された場合に、バイタルサインおよびの支援情報の再度の検出(以下、再検出)を指示する。ここで、支援データ130が有効でないとは、例えば支援データ130の値が想定された範囲を超えており、バイタルデータ120が有効か否かを判断できないことを意味する。
【0060】
再検出が行われることで、医師の診断に必要なバイタルデータ120と支援データ130とを確保することが可能になる。
【0061】
記憶制御部50は、データ評価部44から評価結果データ143を受け取り、評価の結果に基づいて記憶部60へ制御信号150を出力する。例えば記憶制御部50は、検出データ142が有効なデータであるとの評価結果を受け取った場合には、制御信号150によって、検出データ142の記憶部60への記憶を指示する。
【0062】
このとき、記憶部60には有効なデータだけを記憶することができ、記憶部60の容量を無駄にすることがない。なお、データ評価部44が検出データ142に対して例えばノイズ除去、統計処理といった演算処理を行う場合、記憶制御部50は、検出データ142に代えて演算処理後の検出データ(図外)を記憶部60に記憶させてもよい。このとき、記憶部60には有効かつ直ちに診断に用いることが可能なデータだけが記憶され、記憶部60の容量を無駄にしないだけでなく、医師が直ちに診断することを可能にする。
【0063】
記憶部60は、医師が診断に用いるデータを記憶する。記憶部60があることで、バイタルサイン計測装置10による計測を連続して行うことが可能になる。例えば数日間連続の計測を行って記憶部60にデータを記憶した後に、都合のよい時に医師に診断してもらってもよい。
【0064】
記憶部60は、不揮発性(例えば、フラッシュメモリー等)であることが好ましい。また、計測中の全てのデータを記憶できる程度に容量が大きいことが好ましい。また、記憶部60は、例えばメモリーカードであって、バイタルサイン計測装置10から着脱可能であってもよい。
【0065】
記憶部60に記憶されるバイタルデータと支援データ(具体的には、検出データ142、又はデータ評価部44で演算処理された検出データ)は、バイタルサインと支援情報が検出された時間が判るようにタイムスタンプを含んでいてもよい。このとき、例えば医師が両データをグラフ等で表示した場合に、同一の時間軸を使用でき、両データの対応関係を直感的に把握することができる。
【0066】
表示制御部48は、データ評価部44から評価結果データ144を受け取り、評価の結果に基づいて表示部80へ必要な表示を指示する制御信号148を出力する。例えば表示制御部48は、検出データ142が有効なデータでないとの評価結果を受け取った場合には、制御信号148によって被験者に警告表示を指示してもよい。また、表示制御部48は、バイタルサイン計測装置10の起動時に、検出するバイタルサインを被験者に選択させる検出項目選択画面を表示させてもよい。
【0067】
表示部80は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、EPD(Electrophoretic Display)等であって、バイタルサイン計測装置10の状態等を被験者に知らせるために用いられる。本実施形態の表示部80は、バイタルサイン計測装置10と一体となったLCDであるとする。
【0068】
バイタルサイン計測装置10は、さらに入力部(図外)を備えていてもよい。入力部は被験者からの入力を受け付けて、例えば検出するバイタルサインの選択に用いられてもよい。また、バイタルサイン計測装置10は、携帯可能で、小型であることが好ましい。このとき、被験者はバイタルサイン計測装置10を意識することがない。そのため、被験者のリラックスした状態におけるバイタルサインを検出することが可能になる。
【0069】
1.2.バイタルサイン計測装置の外観
図2(A)は、本実施形態のバイタルサイン計測装置10の外観を示す図である。なお、図1と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
【0070】
図2(A)のように、バイタルサイン計測装置10は、例えば被験者の腕に装着される。バイタルサイン計測装置10の外観は例えば腕時計のようであってもよい。このとき、被験者に装着による違和感を与えることなく、バイタルサインの検出ができる。
【0071】
本実施形態のバイタルサイン計測装置10は、ケース2に処理装置が内蔵されており、使用者はバンド3で腕に固定する。ケース2の正面には、表示部80があり、必要な表示を行う。そして、ボタン7、8は被験者からの入力を受け付ける入力部として機能してもよい。
【0072】
バイタルサイン計測装置10の被験者と接触する面(裏面)には、例えば脈拍、脈波、血圧、体温を検出するセンサー、電極があり、バイタルサイン検出部として機能する。また、例えば被験者は心電、心拍を検出するための電極を胸部に貼り付けていて、有線でバイタルサイン計測装置10に接続されていてもよい(図外)。
【0073】
本実施携帯のバイタルサイン計測装置10は、腕時計型の小型携帯装置であって、電池によって動作する。なお、記憶部(図1参照)は、バイタルサイン計測装置10に内蔵されていて医師がケーブル等でそのデータを読み出してもよいし、着脱可能なメモリーカードであって医師が診断時に取り出してもよい。
【0074】
図2(A)において、表示部80は被験者に検出項目を選択させる画面を表示している。この画面は例えば起動時に表示され、被験者はボタン7、8で必要な検出項目(バイタルサイン)を選択する。そして、検出タイミング制御部(図1参照)は、選択されたバイタルサインと必要な支援情報の検出開始を適切なタイミングで指示する。図2(A)の例では、バイタルサインとして心電と心拍が選択されている。
【0075】
図2(B)は、表示部80が別の表示を行っている例を示す。例えば、データ評価部(図1参照)によって検出データが有効でないと評価された場合に、その原因が被験者の装着具合の不備にあるならば、図2(B)のような警告表示を行ってもよい。これにより、有効な検出データを得ることが可能になる。
【0076】
このとき、支援情報の1つとして温度を検出していれば図2(B)の警告表示を行う場合の判断に用いることもできる。例えば、バイタルサイン計測装置10の裏面の温度が体温(おおよそ35℃以上)であれば適切な装着がされていると考えられ警告表示は行わない。一方、その温度が気温と同程度(例えば25℃)であれば警告表示を行う。
【0077】
この例のように支援データは、被験者の状態を把握するのに使用される。そして、特にバイタルデータが有効か無効かを判断する材料として用いられる。次に、支援データの具体例について説明する。
【0078】
1.3.支援データ
図3(A)〜図3(C)は、被験者の状態、具体的には被験者の姿勢を表す図である。例えばバイタルサイン計測装置10は、バイタルサインとして血圧を検出することができるとする。このとき、病院において緊張しながら血圧を測る場合と比べて、リラックスした日常生活における血圧を測ることができるとの利点を有する。しかし、医師による正確な診断にとって、立位(図3(A))、座位(図3(B))、伏位(図3(C))のいずれで検出された血圧であるかは重要な情報である。
【0079】
しかし、事細かな姿勢まで被験者が記録することは現実的ではない。また、被験者に特に意識させることなく血圧が検出されるので、被験者は検出時にどのような状態であったかを思い出せないこともある。よって、バイタルサインとして血圧を検出する場合には、支援情報として被験者の姿勢が検出されて、支援データとして記録される必要がある。
【0080】
ここで、被験者の姿勢の検出は、例えばバイタルサイン計測装置10が圧力センサーを含むことで可能になる。圧力センサーは、気圧の変化を感知し、例えば数cm程度の高さの変化を検出することも可能である。そのため、医師は支援データに基づいて立位(図3(A))、座位(図3(B))、伏位(図3(C))の区別をすることができる。
【0081】
本実施形態のバイタルサイン計測装置10は、バイタルサインとして血圧以外にも、心電、心拍、血糖、体温、脈拍、脈波が検出できるとする。これらのバイタルサインのうち、多くのものは被験者の安静状態で検出されることが好ましい。しかし、心拍などは激しい運動時にどの程度まで上昇するかを診断で見たい場合もある。そこで、被験者の動きを検出するモーションセンサーが本実施形態のバイタルサイン計測装置10に含まれているとする。
【0082】
モーションセンサーによって、被験者が静止しているのか、ゆっくり歩いているのか、激しい運動をしているのかがわかる。また、バイタルサインとして運動の影響を受けやすい心電を検出する場合には、モーションセンサーおよび圧力センサーの検出データに基づいて、階段を昇降中であるのか、座っているのが家の椅子であるのか、電車や自動車の椅子であるのかがわかるので、より正確な診断が可能になる。
【0083】
また、支援データとして、被験者の感情を得ることも可能である。例えば、被験者に行動を記録させることは可能である。しかし、感情の変化を記録させることは、その客観性の面からも現実的ではない。本実施形態のバイタルサイン計測装置10は、音声検出部(具体例としてはマイク)を含み、特に音圧を測ることにより、被験者の感情判断が可能になる。
【0084】
例えば、バイタルサインとして感情の影響を受けやすい血糖を検出する場合には、音圧レベルが高く被験者の感情が高ぶっている状態か、通常の会話をしている比較的平静な状態かを区別できるので、より正確な診断が可能になる。
【0085】
さらに、支援データとして、被験者の位置を知ることも可能である。例えば、本実施形態のバイタルサイン計測装置10は、位置検出部(具体例としてはGPS受信機)を含み、例えば、被験者が会社で仕事中か、自宅にいるか、旅行中であるかを判断することができる。このとき、被験者の緊張の度合いを知ることができ、より正確な診断が可能になる。
【0086】
このように、支援データは、バイタルデータの信頼度を高め、正確な診断を可能にする。また、被験者としては、行動記録を作成する煩わしさから開放され、医師にとっては詳細で正確な行動、感情、位置などの情報を得ることができる。
【0087】
さらに、具体的には後述するが、データ評価部(図1参照)によって、支援データに基づいて診断に用いるのに不適な(有効でない)バイタルデータを排除することが可能になる。そのため、医師による診断の効率を高めることができる。
【0088】
ここで、前記のいくつかの例のように、バイタルサインに応じて必要な支援情報が選択されてもよい。例えば、心電だけを検出するのであれば、モーションセンサーと圧力センサーだけがオン状態となり、他の支援情報を得るのに必要なマイク等はオフ状態になっていてもよい。このとき、バイタルサイン計測装置10の消費電力を低減することが可能になる。
【0089】
1.4.検出部の構成例
1.4.1.バイタルサイン検出部
図4は、バイタルサイン検出部20の構成例を表す図である。なお図1〜図3と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。なお、図4のバイタルデータ120A〜120Eは、図1のバイタルデータ120を構成する。また、図4の制御信号146A〜146Eは、図1の制御信号146を構成する。
【0090】
バイタルサイン検出部20は、バイタルサインとして心電を検出する心電検出部20Aを含む。心電検出部20Aは電源電圧としてV20Aを用いており、その電源と心電検出部20Aとの間にはスイッチ22Aが設けられている。
【0091】
制御信号146Aは、バイタルサインとして心電が選択されない場合には、スイッチ22Aをオフ状態にして消費電力を抑える。そして、制御信号146Aは、バイタルサインとして心電が選択される場合には、スイッチ22Aをオン状態にして、心電検出部20Aに例えば数ms間隔で心電を検出するように指示する。
【0092】
バイタルサイン検出部20は、心電検出部20Aおよびスイッチ22Aと同様の構成で、心拍を検出する心拍検出部20Bおよびスイッチ22B、血圧を検出する血圧検出部20Cおよびスイッチ22C、血糖を検出する血糖検出部20Dおよびスイッチ22D、体温を検出する体温検出部20Eおよびスイッチ22Eを含む。バイタルサイン検出部20は、さらに脈拍を検出する脈拍検出部、脈波を検出する脈波検出部を含んでいてもよい。
【0093】
制御信号146B〜146Eは、バイタルサインとしてそれぞれ心拍、血圧、血糖、体温が選択されない場合には、それぞれスイッチ22B、22C、22D、22Eをオフ状態にして消費電力を抑える。ここで、図4のV20B、V20C、V20D、V20Eは、それぞれ心拍検出部20B、血圧検出部20C、血糖検出部20D、体温検出部20Eの電源電圧を表す。
【0094】
逆に、バイタルサインとしてそれぞれ心拍、血圧、血糖、体温が選択された場合には、対応するスイッチをオン状態とする。そして、例えば、心拍検出部20Bは数百ms間隔で、血圧検出部20C、血糖検出部20D、体温検出部20Eは数時間間隔でバイタルサインを検出するように指示する。
【0095】
ここで、図2(A)の例のように、バイタルサイン計測装置の起動時に、表示部の検出項目選択画面で被験者が「心電」と「心拍」とを選択したとする。このとき、図4では、制御信号146A、146Bによって、スイッチ22A、22Bのみがオン状態となり、心電検出部20A、心拍検出部20Bが検出動作を開始する。そして、バイタルサインの検出を開始した場合には、支援情報の検出も開始されることになる。
【0096】
1.4.2.支援情報検出部
図5は、支援情報検出部30の構成例を表す図である。なお図1〜図4と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。なお、図5の支援データ130A〜130Eは、図1の支援データ130を構成する。また、図5の制御信号147A〜147Eは、図1の制御信号147を構成する。
【0097】
支援情報検出部30は、支援情報として被験者の動きを検出するモーションセンサー30Aを含む。モーションセンサー30Aは、例えば3軸加速度センサーと3軸角速度センサーを含むものであって、被験者の3次元方向の動き、回転、傾きを感知するものであってもよいが、これに限られない。モーションセンサー30Aは、電源電圧としてV30Aを用いており、その電源とモーションセンサー30Aとの間にはスイッチ32Aが設けられている。
【0098】
制御信号147Aは、支援情報として被験者の動きが不要な場合には、スイッチ32Aをオフ状態にして消費電力を抑える。そして、制御信号147Aは、支援情報として被験者の動きが必要な場合には、スイッチ32Aをオン状態にしてモーションセンサー30Aを動作させる。
【0099】
支援情報検出部30は、モーションセンサー30Aおよびスイッチ32Aと同様の構成で、被験者の姿勢などを検出する圧力センサー30Bおよびスイッチ32B、感情の判断に用いるために被験者の声(音圧、内容、抑揚)を検出する音声検出部30Cおよびスイッチ32C、仕事中、休暇中等の判断のために被験者の位置を検出する位置検出部30Dおよびスイッチ32D、バイタルサイン計測装置の装着具合を確認するために温度を検出する温度検出部30Eおよびスイッチ32Eを含む。支援情報検出部30は、さらに天気や気温などの環境を検出可能であってもよい。
【0100】
これらの支援情報は、選択されたバイタルサイン(心電、心拍、血圧、血糖、体温)に応じて選択される。例えば、バイタルサインとして血糖を検出する場合には、血糖値の変化と関連する被験者の声が検出される。
【0101】
制御信号147B〜147Eは、支援情報としてそれぞれ被験者の姿勢、被験者の声、被験者の位置、温度が選択されない場合には、それぞれスイッチ32B、32C、32D、32Eをオフ状態にして消費電力を抑える。ここで、図5のV30B、V30C、V30D、V30Eは、それぞれ圧力センサー30B、音声検出部30C、位置検出部30D、温度検出部30Eの電源電圧を表す。
【0102】
逆に、支援情報としてそれぞれ被験者の姿勢、被験者の声、被験者の位置、温度が選択された場合には、対応するスイッチをオン状態とする。これらの支援情報は、バイタルサインの検出を開始した場合に、検出が開始される。
【0103】
ここで、図2(A)の例のように、バイタルサイン計測装置の起動時に、表示部の検出項目選択画面で被験者が「心電」と「心拍」とを選択したとする。このとき、支援情報として、例えば被験者の動きと被験者の声が選択されたとする。図5では、制御信号147A、147Cによって、スイッチ32A、32Cがオン状態となり、モーションセンサー30A、音声検出部30Cが検出動作を開始する。
【0104】
1.5.バイタルデータと支援データ
図6(A)〜図6(B)は本実施形態のバイタルデータの変化の例を表す図である。また、図6(C)〜図6(D)は本実施形態の支援データの変化の例を表す図である。
【0105】
本実施形態のバイタルサイン計測装置は、バイタルサイン検出部(図4参照)が、バイタルサインを検出してバイタルデータとして出力する。また、支援情報検出部(図5参照)が、バイタルサインの検出時における前記被験者の状態を表す支援情報を検出して、支援データとして出力する。図6(A)〜図6(D)は、バイタルデータ、支援データを時系列に並べた図であって、図2(A)の例のように被験者が「心電」と「心拍」とを選択した場合に対応する。
【0106】
ここで、バイタルサイン「心電」を表すバイタルデータは、例えば図6(A)のように電位の変化で表される。以下の説明では「心電位」と表現する。また、バイタルサイン「心拍」を表すバイタルデータは、例えば図6(B)のように1分あたりの数で表現される。以下の説明では「心拍数」と表現する。
【0107】
そして、モーションセンサーが検出する被験者の動きも、例えば図6(C)のように動きの激しさに対応したレベル(例えば、電位)で表すことができる。以下の説明では「動きレベル」と表現し、被験者の動きが激しいほど動きレベルが高くなるとする。被験者の感情を知るために、音声検出部が検出する被験者の声も、例えば図6(D)のように音圧の大きさに対応したレベル(例えば、電位)で表すことができる。以下の説明では「音圧レベル」と表現し、被験者の感情が高ぶっている場合に音圧レベルが高くなるとする。
【0108】
例えば、従来のホルター心電計を用いた計測では、医師は心電計から得られた図6(A)、図6(B)に相当するバイタルデータと、被験者が自分で記入した行動記録とを照合して診断を行う。被験者が忘れたり、怠惰であったりして、例えば激しい運動を行ったときの記録を忘れると、医師は異常が発生したと誤診するおそれがある。
【0109】
これに対し、本実施形態のバイタルサイン計測装置は、バイタルサインの検出中に支援情報が自動的に検出される。従って、医師はバイタルデータに対応した支援データを入手することができ、例えば図6(A)〜図6(D)のような時系列に沿った表示に基づいて、正確な診断を行うことが可能である。
【0110】
例えば、図6(A)において、期間Tでは心電位の振幅が小さくなっている。このとき、医師は動きレベル(図6(C))を確認することで、被験者が同期間に激しい運動を行っていることを知ることができる。また、医師は音圧レベル(図6(D))を確認することで、感情の高ぶりによっては変化が生じていないことも知ることができる。
【0111】
そして、医師はこの原因が心臓の異常ではなく、期間Tにおいて心電位を表す波形が筋電のノイズに埋もれただけであると判断できる。このとき、医師は期間Tのバイタルデータを除外し、診断に適した他の期間のバイタルデータを探すことができる。
【0112】
例えば、図6(A)において期間Tでは心電位の明確な波形が示されており、心拍数(図6(B))においても安定している。このとき、医師は動きレベル(図6(C))によって被験者が安静にしており、音圧レベル(図6(D))によって日常会話を行っていることを知ることができる。
【0113】
よって、医師は期間Tのバイタルデータは、被験者が起きていて安静にしている状態を診断するのに適切であると判断できる。このように医師は、被験者の記録よりも信頼性の高い支援データに基づいて、適切なバイタルデータを選択することもできる。
【0114】
ここで、本実施形態のバイタルサイン計測装置のデータ評価部は、支援データに基づいてバイタルデータが有効であるか否かの評価を行う。例えば、データ評価部は期間Tのバイタルデータ(図6(A)〜図6(B))を、自動的に有効でないと評価してもよい。このとき、この期間のバイタルデータに例えばエラーフラグが付加されて、医師が図6(A)〜図6(D)のようなグラフを見たときに、他の期間とは異なる警告色(例えば、赤色)で表示されるようにしてもよい。または、有効でないと評価されたバイタルデータが記憶部(図1参照)に記憶されないようにしてもよい。このとき、記憶部を無駄なく使用することができ、記憶部を有効に使用することができる。
【0115】
さらに、別の例では、データ評価部は期間Tのバイタルデータ(図6(A)〜図6(B))だけを、自動的に有効であると評価してもよい。このとき、医師が図6(A)〜図6(D)のようなグラフを見たときに、他の期間とは異なる色(例えば、緑色)で表示されて、データの有効性を示すようにしてもよい。さらに、記憶領域を無駄なく使用するため、有効な期間T以外のバイタルデータが記憶部(図1参照)に記憶されないようにしてもよい。
【0116】
このように、本実施形態のバイタルサイン計測装置は、データ評価部が支援データに基づいてバイタルデータが有効であるか否かの評価を行う。そのため、医師の診断の際に、有効、又は有効でないバイタルデータを即時に判断できるので、医師の診断の効率を高めることが可能になる。また、データ評価部が有効でないバイタルデータを記憶部に記憶させない処理をする場合、医師は有効なバイタルデータのみを受け取るため、さらに診断の効率が高まるとともに、記憶部を無駄なく使用することが可能になる。
【0117】
1.6.フローチャート
図7は、本実施形態におけるバイタルサイン計測装置のデータ処理を表すフローチャートである。具体的には、図1のデータ格納部42、データ評価部44、検出タイミング制御部46、表示制御部48、記憶制御部50が行うデータ処理を示している。なお、これらの機能ブロック(図1のデータ格納部42、データ評価部44、検出タイミング制御部46、表示制御部48、記憶制御部50)はCPUで実現されていてもよい(図13参照)。
【0118】
データ格納部は、バイタルサイン検出部、支援情報検出部(図1参照)からそれぞれバイタルデータ、支援データを受け取る(S10)。そして、データ評価部は、データ格納部からこれらのデータを受け取って、支援データが有効であるか確認し(S20)、バイタルデータが有効であるか否かを評価する(S22)。
【0119】
データ評価部は、まず支援データが有効であること、すなわち、バイタルデータを評価できるデータであることを確認する。例えば、事前に想定された数値範囲から外れた支援データであれば、データ評価部は支援データが有効でないと判断してもよい(S20N)。
【0120】
データ評価部は、支援データが有効であれば(S20Y)、支援データに基づいてバイタルデータが有効であるか否かを評価する。例えば、バイタルサインが心電である場合、心電は被験者が安静にしている状態で検出されなくてはならない。そこで、データ評価部は、被験者の動きレベル(図6(C)参照)が所定のレベルよりも高い場合にバイタルデータが有効でないと判断し(S22N)、所定のレベル以下の場合にバイタルデータが有効であると判断してもよい(S22Y)。
【0121】
ここで、データ評価部から評価結果データを受け取って、支援データおよびバイタルデータの少なくとも一方が有効でないことを知った表示制御部は、必要な場合に表示部へ警告表示を行うように指示する(S30Y、S32)。
【0122】
例えば、被験者がバイタルサイン計測装置を正しく装着していないために有効な支援データが得られない場合や、電極である金属部分が被験者に密着していないために有効なバイタルデータが得られない場合に、表示制御部は警告表示を指示する(図2(B)参照)。なお、警告表示と共に警告音が鳴ってもよい。
【0123】
しかし、被験者が就寝中の時間帯であるなど、警告表示が必要とされない場合には(S30N)、次の再検出の判断(S40)に進んでもよい。
【0124】
支援データおよびバイタルデータの少なくとも一方が有効でない場合、データ数を確保するために再検出が必要な場合がある。例えば、バイタルサインが血糖であって数時間おきに検出される場合、1回分のバイタルデータが有効でないことでデータ不足となり、医師による正確な診断に支障をきたす可能性がある。
【0125】
このとき、データ評価部から評価結果データを受け取って、支援データおよびバイタルデータの少なくとも一方が有効でないことを知った検出タイミング制御部は、例えば、バイタルサインの種類によって再検出の必要性を判断する(S40)。そして、必要な場合には(S40Y)、直ちにバイタルサイン検出部、支援情報検出部にそれぞれバイタルサイン、支援情報の検出を指示する(S60)。そして、その後にS10に戻り、再検出によるバイタルデータ、支援データをデータ格納部が受け取る。
【0126】
一方、データ評価部が、支援データおよびバイタルデータを有効と評価した場合(S22Y)、これらのデータは記憶部(図1参照)に記憶される必要がある。このとき、データ評価部から評価結果データを受け取った記憶制御部は、記憶部に対し、これらの有効なデータを記録するように指示する(S24)。
【0127】
そして、所定時間の経過を待ち(S50N)、次の検出を開始するタイミングになると(S50Y)、検出タイミング制御部は、バイタルサイン検出部、支援情報検出部に検出開始を指示する(S60)。そして、その後にS10に戻り、新たなバイタルデータ、支援データをデータ格納部が受け取る。
【0128】
なお、再検出が不要の場合(S40N)にも、所定時間が経過した後に(S50Y)、検出タイミング制御部はバイタルサイン検出部、支援情報検出部に検出開始を指示し(S60)、その後にS10に戻る。
【0129】
1.7.演算処理
本実施形態におけるバイタルサイン計測装置は、バイタルデータ、支援データのノイズ除去、統計処理(例えば、極大値、極小値の抽出や平均化等)といった演算処理を行ってもよい。例えば、再び図1を参照すると、データ評価部44が検出データ142からノイズを除去してもよい。このとき、記憶制御部50は、検出データ142に代えてノイズが除去された検出データ(図外)を記憶部60に記憶させるものとする。
【0130】
このとき、記憶部には有効かつ直ちに診断に用いることが可能なデータだけを記憶することができる。よって、記憶部の容量を無駄にせず、医師が直ちに診断することを可能にする。なお、データ評価部は、演算処理の負担軽減のため、例えば検出データにノイズが混入していることを検知した場合にだけノイズ除去を行ってもよい。
【0131】
図8(A)〜図8(C)は、バイタルデータ「心電位」のノイズ除去の例を示す図である。図8(A)は、バイタルサイン検出部(図1参照)からのバイタルデータ「心電位」の波形図である。この波形は正しいデータである周期的なパルス波と、ノイズとが合成されている。
【0132】
図8(B)は、このときのノイズであり、例えば低周波のサイン波であるとする。そのため、図8(A)の波形図のように、鋭いピークを有するパルス波が、時間によって電位方向上下にシフトする。図8(A)のままだと、医師は例えばパルス波の周期を読み取ることもできない。
【0133】
そこで、データ評価部はノイズ除去を行って図8(C)のような周期的なパルス波のみを抽出してもよい。データ評価部が例えばハイパスフィルター等を含むことで、この例のようなノイズ除去を実現できる。
【0134】
以上のように、本実施形態のバイタルサイン計測装置は、バイタルサインの検出とともに必要な支援情報を検出して、行動記録の作成という被験者の負担を軽減させる。そして、被験者の自己申告による行動記録よりも事細かで正確な支援情報を検出し、医師がバイタルサインを正しく読み取ることを可能にする。さらに、バイタルサインと支援情報とは例えばタイムスタンプ等により対応づけが可能になっており、医師の照合作業の負担を軽減する。
【0135】
このとき、バイタルサイン計測装置のデータ評価部は、支援情報を表す支援データに基づいて、バイタルサインを表すバイタルデータを評価する。データ評価部によって、そのバイタルデータが有効か否かの評価が行われるので、医師は有効なバイタルデータのみを用いて、効率的な診断を行うことができる。
【0136】
2.第2実施形態
2.1.バイタルサイン計測装置の構成
本発明の第2実施形態について図9〜図12を参照して説明する。図9は、本実施形態のバイタルサイン計測装置10Aのブロック図である。なお、図1〜図8と同じ要素には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0137】
本実施形態のバイタルサイン計測装置10Aは、第1実施形態の構成に加えて、位置検出部72、通信制御部52、無線通信部70を含む。
【0138】
位置検出部72は、被験者の位置を表す情報(位置情報)を検出する。位置検出部72は、例えばGPS受信機であってもよい。位置情報を表す位置データ172は、例えば緯度、経度、標高等を含んでいてもよい。位置データ172は、支援データの1つとして使用され、データ評価部44Aがバイタルデータを評価するのに用いてもよい。例えば、データ評価部44Aは位置データ172に基づいて、バイタルサインが被験者の仕事中に検出されたのか(例えば、位置データがオフィスを示す場合)、休暇中に検出されたのか(例えば、位置データが観光地を示す場合)を区別することができる。
【0139】
また、位置データ172は、緊急通報時に被験者の現在位置を知らせるデータとして、通信制御部52に出力されてもよい。例えば、被験者が意識不明状態にあるときに、救急車の到着先を知らせるためのデータとして使用できる。
【0140】
通信制御部52は、制御信号152によって無線通信部70を制御して、バイタルサイン計測装置10Aと外部とのデータの送受信を行わせる。ここで、外部とは例えば診断を行う医師のいる病院であるが、これに限られない。
【0141】
通信制御部52は、例えばデータ評価部44Aから評価結果データ149を受け取り、記憶部60Aに記憶された検出データ142に基づく送信データ160を、無線通信部70に送信させてもよい。通信制御部52は、例えば評価結果データ149が有効なデータであることを示す場合にカウントアップするカウンターを含んでもよい。そして、カウンターが所定の値になったタイミングで、記憶部60Aの残り容量が少なくなったと判断して、無線通信部70に送信データ160を送信させる指示を出してもよい。このとき、記憶部60AはFIFOメモリーであってもよい。
【0142】
無線通信部70は、バイタルサイン計測装置10Aと外部との送受信を可能にする。そのため、診断を行う医師と被験者とが離れていてもよく、例えば離島にいる被験者のバイタルサインを見守ることも可能になる。無線通信は例えば携帯電話の基地局を利用して行われてもよい。
【0143】
無線通信部70は、送信データ160の送信だけでなく、例えば検出タイミングを指示するタイミング信号を受け取ってもよい。タイミング信号170は通信制御部52に出力される。そして、通信制御部52はタイミング信号170を制御信号153として検出タイミング制御部46Aに出力する。このとき、外部からの指示により、例えばバイタルサインを検出するタイミングを状況に応じて早める、又は逆に遅くするという制御が可能になる。
【0144】
例えば、初期状態では固定の時間間隔でバイタルサインを検出する場合でも(図11のS50参照)、医師はタイミング信号170によって時間間隔を変更させることが可能になる。このとき、例えばより短時間のバイタルサインの変化を観察することができる。
【0145】
また、無線通信部70は、緊急通報の手段としても機能する。前記のように、被験者が意識不明状態にあるときに、被験者の現在位置を直ちに知らせることが可能である。例えば、データ評価部44Aは、バイタルデータ、支援データに基づいて被験者の容態が悪化したと判断したときは、評価結果データ149に緊急事態を知らせる信号を含めてもよい。そして、通信制御部52は、緊急通報として位置データ172と送信データ160の送信を指示することができる。このとき、医師、または病院は早期に適切な対応をとることが可能になる。
【0146】
2.2.緊急通報の具体例
本実施形態のバイタルサイン計測装置10Aは、第1実施形態と同じように得られたバイタルデータ、支援データを、無線で送信することができる。これにより、医師はほぼリアルタイムに遠隔地の被験者の状態を把握し、正確な診断を行うことができる。
【0147】
さらに、本実施形態のバイタルサイン計測装置10Aは、被験者の容態が悪化した場合に緊急通報を行うこともできる。図10は、緊急通報が行われる場合の対応等を説明する図である。
【0148】
まず、被験者の容態が悪化して意識不明の状態になった場合、後述する緊急無線送信処理が行われる。このとき、GPS衛星90の信号などから、被験者の正確な現在位置データが得られる。そして、少なくとも位置データを含む送信データが、無線基地局92まで送信される。無線基地局からは、例えばインターネット93経由で病院94にデータが送られる。
【0149】
病院94では、その緊急度を医師が、またはコンピューター等が自動で判断する。例えば、生命の危険がある場合には、救急車98を位置データに基づく被験者の現在位置に急行させる。そうでない場合には、医師が経過をモニター96で経過観察を行ってもよい。
【0150】
2.3.フローチャート
図11〜図12は、本実施形態におけるバイタルサイン計測装置のデータ処理を表すフローチャートである。具体的には、図9のデータ格納部42、データ評価部44A、検出タイミング制御部46A、表示制御部48、記憶制御部50が行うデータ処理を示している。
【0151】
なお、図7のフローチャートと同じステップについては同じ符号を付しており、その説明を省略する。また、これらの機能ブロック(データ格納部42、データ評価部44A、検出タイミング制御部46A、表示制御部48、記憶制御部50)はCPUで実現されていてもよい(図13参照)。
【0152】
図11は、本実施形態のデータ処理を表すメインのフローチャートである。第1実施形態のフローチャート(図7)と比較すると、本実施形態では支援データ、バイタルデータが有効である場合には、無線送信が必要か判断され(S26)、必要ならば送信が行われる(S28)ことが異なる。また、これらのデータが有効でない場合(S20N、S22N)に緊急無線送信処理(S100)が行われることも異なっている。以下では、重複説明を回避するため、これらの相違点だけを説明する。
【0153】
まず、S26、S28について説明する。データ評価部から評価結果データを受け取った通信制御部は、例えば記憶部の残り容量が少なくなった場合に、無線送信が必要と判断する(S26Y)。そして、支援データ、バイタルデータを含む送信データを無線通信部に送信させる(S28)。
【0154】
ここで、記憶部の残り容量に余裕がある場合には、無線送信が不要と判断してもよい(S26N)。このとき、記憶部が全て使用される前に無線送信が行われるので、無線送信部をもたない第1実施形態と比べると、記憶部の容量を小さくすることが可能である。
【0155】
次に、緊急無線送信処理(S100)について説明する。図12は、緊急無線送信処理を表すフローチャートである。データ評価部は、支援データのうち例えばモーションセンサーからのデータに基づいて、被験者が所定の時間(例えば3分)動かない場合にはさらに処理を進める(S110Y)。
【0156】
このとき、バイタルサイン、又は支援情報として脳波が検出されているならば、睡眠との区別のために判断に用いられてもよい。なお、被験者が動ける場合には、緊急無線送信処理を止めてもよい(S110N)。
【0157】
被験者の動きがない場合であって、検出しているバイタルサインが許容レベル以上の異常を示している場合には処理を進める(S110Y)。例えば、動きがないにもかかわらず、バイタルサイン「心拍数」が100を越える場合には異常であると判断される。ここで、バイタルサインに異常がみられなければ緊急無線送信処理を止めてもよい(S112N)。
【0158】
被験者の動きがない場合であって、検出しているバイタルサインが許容レベル以上の異常を示していることを(S110Y、S112Y)データ評価部からの評価結果で知った場合、通信制御部は被験者の最新の位置データを取得する(S114)。そして、例えば位置データ、バイタルデータ、支援データの送信を指示する(S116)。なお、緊急度が高い場合には、位置データを優先的に送信させてもよい。
【0159】
本実施形態のバイタルサイン計測装置は、無線通信部を含むため外部とのほぼリアルタイムなデータの送受信を可能にする。そのため、診断を行う医師と被験者とが離れていてもよく、例えば離島にいる被験者のバイタルサインを見守ることも可能になる。
【0160】
そして、本実施形態のバイタルサイン計測装置は、緊急通報手段としても用いられる。被験者が意識不明状態にあるとき等に、被験者の現在位置を直ちに知らせることが可能になり、医師、または病院は早期に適切な対応をとることが可能になる。
【0161】
3.第3実施形態
本発明の第3実施形態について図13を参照して説明する。なお、図1〜図12と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
【0162】
本実施形態のバイタルサイン計測装置10Bと第1実施形態のバイタルサイン計測装置10(図1参照)とを比較すると、本実施形態では、データ格納部42、データ評価部44、検出タイミング制御部46、表示制御部48、記憶制御部50がCPU40で実現されていることが異なる。そして、CPU40に接続されるROM82、RAM84、記録媒体86を含むことが異なる。以下では、重複説明を避けるために、異なる部分についてのみ説明する。
【0163】
ROM82は、例えば、CPU40が各種の計算処理や制御処理を行うための基本プログラムや基本プログラムで用いるデータ等を記憶している。基本プログラムとは例えばOS(Operating System)プログラムである。
【0164】
RAM84は、例えばCPU40の作業領域として用いられ、ROM82や記録媒体86から読み出されたプログラムやデータ、CPU40が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
【0165】
記録媒体86は、各種のアプリケーション機能を実現するためのアプリケーションプログラムやデータを記憶しており、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0166】
本実施形態では、アプリケーションプログラムであるバイタルサイン計測プログラムやそのデータは、記録媒体86に記録されている。バイタルサイン計測プログラムによって、コンピューター(ここではCPU40)は、例えば支援データ130に基づいてバイタルデータ120が有効であるか否かの評価を行うデータ評価部44として機能することが可能になる。
【0167】
CPU40は、例えばROM82、記録媒体86からRAM84に読み込まれたプログラムに従って、図7のフローチャートに従った処理を行う。本実施形態では、データ格納部42、データ評価部44、検出タイミング制御部46、表示制御部48、記憶制御部50は、CPU40におけるプログラムで実現される。ただし、その一部がハードウェアで構成されていてもよい。
【0168】
本実施形態のバイタルサイン計測装置10Bは、プログラムによって、これらの機能ブロックを実現するので、バイタルサイン計測装置10Bの構成が変化した場合でも、柔軟に対応することが可能になる。
【0169】
特にデータ評価部44の機能、例えば、バイタルデータが診断に用いることができるか否かの自動的な判断がプログラムによって実現される場合、検出するバイタルサインや支援情報の変更、増減に対して柔軟に対応することが可能になる。
【0170】
なお、本実施形態の変形例として、バイタルサイン計測装置10Bは、無線通信部等を含めた第2実施形態のバイタルサイン計測装置10A(図9参照)の機能ブロックを含んでもよい。このとき、第2実施形態のデータ格納部42、データ評価部44A、検出タイミング制御部46A、表示制御部48、記憶制御部50は、CPU40におけるプログラムで実現される。ただし、その一部がハードウェアで構成されていてもよい。
【0171】
4.その他
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0172】
2…ケース、3…バンド、7,8…ボタン、10,10A,10B…バイタルサイン計測装置、20…バイタルサイン検出部、20A…心電検出部、20B…心拍検出部、20C…血圧検出部、20D…血糖検出部、20E…体温検出部、22A,22B,22C,22D,22E…スイッチ、30…支援情報検出部、30A…モーションセンサー、30B…圧力センサー、30C…音声検出部、30D…位置検出部、30E…温度検出部、32A,32B,32C,32D,32E…スイッチ、40…CPU、42…データ格納部、44,44A…データ評価部、46,46A…検出タイミング制御部、48…表示制御部、50…記憶制御部、52…通信制御部、60,60A…記憶部、70…無線通信部、72…位置検出部、80…表示部、82…ROM、84…RAM、86…記録媒体、90…GPS衛星、92…無線基地局、93…インターネット、94…病院、96…モニター、98…救急車、120,120A,120B,120C,120D,120E…バイタルデータ、130,130A,130B,130C,130D,130E…支援データ、142…検出データ、143,144,145,149…評価結果データ、146,146A,146B,146C,146D,146E,147,147A,147B,147C,147D,147E,148,150,152,153…制御信号、160…送信データ、170…タイミング信号、172…位置データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者のバイタルサインを検出して、バイタルデータとして出力するバイタルサイン検出部と、
前記バイタルサインの検出時における前記被験者の状態を表す支援情報を検出して、支援データとして出力する支援情報検出部と、
前記支援データに基づいて前記バイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部と、を含むバイタルサイン計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバイタルサイン計測装置において、
前記バイタルサイン検出部に検出開始を指示する検出タイミング制御部を含み、
前記検出タイミング制御部は、
前記データ評価部から前記評価の結果を受け取り、
前記バイタルデータが有効でないと評価された場合に、前記バイタルサイン検出部に再び前記検出開始を指示するバイタルサイン計測装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバイタルサイン計測装置において、
前記支援情報検出部は、
前記支援情報として前記被験者の動きを検出するセンサーを含むバイタルサイン計測装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバイタルサイン計測装置において、
前記支援情報検出部は、
前記支援情報として前記被験者の音声を検出する音声検出部を含むバイタルサイン計測装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバイタルサイン計測装置において、
前記支援情報検出部は、
前記支援情報として前記被験者の位置を検出する位置検出部を含むバイタルサイン計測装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバイタルサイン計測装置において、
前記バイタルデータおよび前記支援データを記憶する記憶部を含むバイタルサイン計測装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバイタルサイン計測装置において、
無線で前記バイタルデータおよび前記支援データに基づくデータを送信する無線通信部を含むバイタルサイン計測装置。
【請求項8】
被験者のバイタルサインを検出するバイタルサイン検出部から出力されるバイタルデータと、前記バイタルサインの検出時における前記被験者の状態を表す支援情報を検出する支援情報検出部から出力される支援データと、を受け取り、前記支援データに基づいて前記バイタルデータが有効であるか否かの評価を行うデータ評価部としてコンピューターを機能させる、バイタルサイン計測プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のバイタルサイン計測プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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