説明

バイブレーターコントロールシステム

【課題】
携帯電話をポケットに入れると、バイブレーターが動作して筺体が振動しても、十分に振動が身体に伝わってこないために、着信があっても気が付かない問題がある。すなわち、携帯端末内蔵のバイブレーターが動作した時、事を気が付きやすくする事が課題である。
【解決手段】
バイブレーター内蔵の機器に音や振動を検出する検出手段を付けて、バイブレーターが動作した時、筺体が外部の物体と接触する音や振動を検出手段が検出する。検出した情報に基づいて、バイブレーター出力をコントロールして解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
携帯電話などバイブレーターを筺体に内蔵する機器において、バイブレーターが動作すると、筐体が振動して機器所有者に着信などの情報を知らせるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話では着信などを、ブザーや光や振動で知らせている。ブザーや光を使用して知らせる場合は、ブザーの音量をあらかじめプログラムして変化させる事ができる。一方振動で知らせる場合は、バイブレーターを使用して筺体を振動させるが、衣服のポケットなどに入れている場合は、振動がうまく身体に伝わらないので、できるだけ振動の強さが大きい方が良い。しかし、テーブルに置いた時など、振動が強すぎると、振動で携帯電話が移動して落下する恐れがあるので、バイブレーターの出力を高過ぎないレベルに抑えて固定している。
【0003】
また、バイブレーターが内蔵されたテレビゲーム用のリモコンでは、リモコンでテレビ画面を操作する。場面に応じてバイブレーターが動作して、リモコンの筺体が振動し、操作している人の手に振動を伝えて臨場感を持たせている。画像はコンピュータープログラミングされていて、リモコンの操作を赤外線などの通信手段でゲーム機本体のマイクロプロセッサに伝達して、ソフトプログラムに割り込みモニター画面の画像を変化させる。そして、場面によってはマイクロプロセッサから命令を出力し、ゲーム機本体側から赤外線などの通信手段を使ってリモコンのバイブレーターを振動させる指令を送る。この場合、一見テレビ画面を検出してバイブレーターが動作しているように見えるが、実際には、リモコンとゲーム機本体との間のインターフェースをマイクロプロセッサがつかさどるプログラミングによる仮想空間である。
【0004】
また、公開特許公報の特開2007−201603においては、携帯端末の周囲から入ってくる周囲音を集音手段で集音し、周囲から入ってくる緊急車両警告音のサイレンなどを判別抽出してユーザーに知らせるハンズフリー装置の提案をしている。
【特許文献1】特開2007−201603
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話で採用している従来技術では、携帯電話をテーブルに置いた時など、振動が強すぎると、振動で携帯電話が移動して落下する恐れがあるので、高過ぎないレベルに抑えて固定している。すると、携帯電話をポケットに入れると、バイブレーターが動作して筺体が振動しても、十分に振動が身体に伝わってこないために、着信があっても気が付かない問題がある。また、テレビゲーム機のリモコンのように、プログラミングされた外部信号によってバイブレーターを動作させる方法は、携帯端末自身が外部情報を判断する訳ではないので、プログラミングされていない不特定の場所やタイミングを特定できない問題がある。従って、携帯端末が置かれた状況を把握して、その状況に応じたバイブレーターの出力をコントロールする事が課題である。一方、特開2007−201603で示される方法は、集音手段と集音した音を解析して判定する手段を有する。しかし、目的が異なるので、バイブレーターが自ら発する音や振動の大きさを判定する事に言及していないし、バイブレーターの出力の大きさを変化させる手段も持ち合わせていないので、やはり上記課題が解決できない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、機器に内蔵するバイブレーターが動作した時、筺体が接触する外部との間で発生する音や振動の大きさを検出して、バイブレーターの出力をコントロールする事で課題を解決する。
【0007】
本発明においては、内蔵するバイブレーターが動作する時、筺体と筺体と接触する外部物体との間で発生する外部情報である接触音を検出手段で検出する構造的特徴がある。そして検出した接触音を電気信号に変換して出力決定手段に入力し、出力決定手段が電気信号の大きさに応じてバイブレーターの動作出力を決定し、出力コントロール手段が、バイブレーターを決定した動作出力に変化させて動作させる電気的特徴がある。
【発明の効果】
【0008】
内蔵するバイブレーターによって筺体が振動する機器において、検出手段とバイブレーターの出力決定手段と出力コントロール手段を内蔵する事で、検出した筺体の外部の影響によって発生する音や振動を検出して、バイブレーター出力をコントロールできる。すると大きな振動が必要な時はバイブレーター出力を大きくし、小さな振動が好ましい時はバイブレーター出力を小さくできる効果がある。具体例としては、携帯電話をポケットやかばんに入れて着信音をオフしてバイブレーターをオンにしている時、従来は振動が十分に身体に伝わってこなかったために、着信した事に気が付かない事があった。そこで、携帯電話がポケットに入れてあって振動が小さい時は、バイブレーターの出力を自動的に大きくすると、身体に振動を十分伝える効果がでる。逆に携帯電話をテーブルの上に置くと、従来は異常に大きな音を発生するので驚く事があった。このような時、検出手段が大きな音や振動を検出すると、出力コントロール手段でバイブレーター出力を下げる事ができるので、不必要な騒音を発生しないで済む効果もある。特に携帯電話は一般的に音を検出するマイクを内蔵しているので、ほとんどソフトウエアの追加だけで、コストをかけないで目的が達成できる効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
バイブレーター内蔵の機器に音や振動を検出する検出手段を付ける。そして、バイブレーターが動作した時、筺体が外部の物体と接触する音や振動を検出手段が検出する。その検出した情報に基づいて、バイブレーターが動作する出力を決定して、バイブレーター出力をコントロールする。
【実施例1】
【0010】
請求項1の実施例について、図1の斜視図を用いて説明する。電池で駆動する携帯電話で代表される携帯端末1は、上筺体2と下筺体3のケース4にバイブレーター5と検出手段6であるマイクと出力決定手段7と出力コントロール手段8を電気的に接続して内蔵する。携帯端末1を外部騒音の激しい場所などで使用する場合など、場合によって、検出手段6のマイクの後に、検出する周波数を限定するフィルターを挿入する。ところで、検出手段6はマイクとほぼ同じ動作原理である振動センサーに置き換えても本発明の趣旨は変わらない。また、1個でなく複数個の検出手段6を内蔵しても良い。
【0011】
次に実施例1の作用を図1を用いて説明する。携帯端末1をテーブル9の上に置いている状態でバイブレーター5が動作すると、ケース4が振動する。振動はテーブル9に伝わり、ケース4とテーブル9がぶつかり合って大きな接触音や振動が発生する。この接触音や振動を検出手段6のマイクで拾って電気信号に変換し、出力決定手段7に送る。出力決定手段7は電気信号の大きさを比較判定してバイブレーター5の動作する出力レベルを決定する。すなわち接触音や振動が大きすぎると、出力コントロール手段8が出力レベルを落とし、接触音や振動が小さければ、出力コントロール手段8が出力レベルを上げる。例えば、携帯端末1がテーブル9の上ではなく、図には示さないが、人のポケットに入っていると接触音や振動が小さい。すると、出力決定手段7が出力レベルを上げる決定をして、出力コントロール手段8がバイブレーター5の出力レベルを上げる。すると、ケース4が大きな振動になるので、携帯端末1を所持している人は、振動している事に気が付きやすくなる。また出力決定手段7は携帯端末1が、他の物体に接触していない時の自ら発する初期の振動レベルを記憶しておけば、検出手段6が検出している信号が、出力コントロール手段8によって変化した出力かどうかを判断できるので、出力決定手段7が精度の高い出力決定をする事ができる。さらに、検出手段6のマイクの後に、検出する周波数を限定するフィルターを挿入すると、電車の中などで検出手段6が激しい電車の騒音を拾っても、フィルターで必要な周波数だけに絞って、不要な騒音を排除することができる。他にも、本発明の趣旨を逸脱する事無く、従来技術を用いて検出精度を上げる事が可能である。また、複数個のバイブレーターがそれぞれ異なる振動出力を有するようにすると、出力コントロール手段8は、動作するバイブレーター5を選択する事でも、バイブレーターの出力を変化させる事が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
携帯電話など、携帯端末のバイブレーター動作の改善に利用できる。またテレビゲーム機のリモコンに適用すると斬新なゲームが開発できる可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 携帯端末
4 ケース
5 バイブレーター
6 検出手段
7 出力決定手段
8 出力コントロール手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵する1個以上のバイブレーターによって筺体が振動する機器において、外部情報を検出する検出手段と出力決定手段と出力コントロール手段を有し、該バイブレーターが動作する時、該検出手段は該筺体と該筺体と接触する外部物体との間で発生する該外部情報である接触音あるいは振動を検出して電気信号に変換して該出力決定手段に入力し、該出力決定手段が該電気信号の大きさに応じて該バイブレーターの動作出力を決定して、該出力コントロール手段を用いて、該バイブレーターを該動作出力で動作させるバイブレーターコントロールシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−62880(P2010−62880A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226558(P2008−226558)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(592149521)
【Fターム(参考)】