説明

バイポーラプレートの低品位ステンレス鋼/合金上に親水性耐食被膜を作製する方法

【課題】コストを節約してバイポーラプレートを親水性および導電性にするための諸材料の組合せを提供すること。
【解決手段】プレートを導電性および親水性にするチタンまたは酸化チタンの層と酸化チタン/酸化ルテニウムの層とを有する、燃料電池のステンレス鋼流れ場プレート。一実施形態では、PVDやCVDなど適切なプロセスを使用して、純金属または酸化物としてチタンがステンレス鋼バイポーラプレートの表面に堆積される。塩化ルテニウムのエタノール溶液がチタン層上にはけ塗りされる。次にプレートは、ステンレス鋼上に寸法安定性のある酸化チタン/酸化ルテニウム層を設けるためにか焼され、この層は、燃料電池の環境中で親水性および導電性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に燃料電池のバイポーラプレートに関し、より詳細には、燃料電池の環境中でバイポーラプレートを導電性、耐食性、親水性、および安定性のあるものにするように、バイポーラプレートがステンレス鋼からなり、また酸化チタンの被膜および酸化ルテニウムの被膜を有する、燃料電池のバイポーラプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
水素はクリーンであり、燃料電池内で効率的に電気を生み出すために使用することができるので、非常に魅力的な燃料である。水素燃料電池は、アノードとカソードを含みその間に電解質がある電気化学装置である。このアノードは水素ガスを受け取り、カソードは酸素または空気を受け取る。水素ガスは、アノードで解離されて自由プロトンおよび自由電子を生成する。このプロトンは電解質を通ってカソードに達する。プロトンは、カソードで酸素および電子と反応して水を生成する。アノードからの電子は電解質を通ることができず、したがって負荷を通るように導かれて、カソードまで送り出される前に仕事を行う。
【0003】
固体高分子形燃料電池(PEMFC)は、車両用の一般的な燃料電池である。このPEMFCは一般に、過フルオロスルホン酸膜などの固体高分子電解質プロトン伝導膜を含む。アノードおよびカソードは一般に、炭素粒子上に担持されイオノマーと混合された、微粉砕した触媒粒子、通常は白金(Pt)を含む。この触媒混合物は、膜の両面に堆積される。これらのアノード触媒混合物、カソード触媒混合物、および膜の組合せが膜電極アセンブリ(MEA)を画定する。
【0004】
所望の電力を発生させるために、通常いくつかの燃料電池が燃料電池スタックの形に組み合わされる。上述の自動車燃料電池スタックの場合には、そのスタックは200以上の燃料電池を含むことがある。燃料電池スタックは、カソード反応ガスを、通常は圧縮機によって強制的にスタックを通される空気の流れを、受け取る。スタックによってすべての酸素が消費されずに、空気の一部が、スタックの副生成物としての水を含むことがあるカソード排気ガスとして出力される。燃料電池スタックはまた、スタックのアノード側に流入するアノード水素反応ガスも受け取る。
【0005】
燃料電池スタックは、スタック内のいくつかのMEAの間に配置された一連のバイポーラプレートを含み、スタック内でこれらのバイポーラプレートおよびMEAが2つの端部プレート間に配置される。このバイポーラプレートは、スタック内の隣接する両側の燃料電池に対するアノード面およびカソード面を有する。アノード反応ガスがそれぞれのMEAまで流れるようにするアノードガス流チャネルが、バイポーラプレートのアノード面に設けられる。カソード反応ガスがそれぞれのMEAまで流れるようにするカソードガス流チャネルが、バイポーラプレートのカソード面に設けられる。一方の端部プレートはアノードガス流チャネルを含み、他方の端部プレートはカソードガス流チャネルを含む。バイポーラプレートおよび端部プレートは、ステンレス鋼や導電複合材などの導電性材料からなる。端部プレートは、燃料電池によって発生された電気をスタックの外へ伝導する。バイポーラプレートはまた、冷却流体がその中を流れる、流れチャネルも含む。
【0006】
バイポーラプレートは通常、燃料電池によって発生された電気を1つの電池から次の電池へ、またスタックの外へ伝導するように、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、高分子炭素複合材など、導電性材料からなる。金属バイポーラプレートは一般に、プレートを耐食性にする自然酸化物をその外面に生成する。しかし、この酸化物層は導電性ではなく、したがって燃料電池の内部抵抗を増大させて、その電気的性能を低下させる。また、酸化物層はプレートをより疎水性にもする。燃料電池内のプレートと拡散媒体の間の接触抵抗を低減させるために、バイポーラプレート上に金など、導電性材料の薄い層を堆積させることが従来技術で知られている。
【0007】
従来技術でよく理解されているように、燃料電池内の膜は、膜の両面間のイオン抵抗が、プロトンを効果的に伝導させるのに十分な程度に低くなるように、ある相対湿度を有する必要がある。燃料電池の動作中に、MEAおよび外部加湿からの湿気がアノード流れチャネルおよびカソード流れチャネルに入ることがある。一般に0.2A/cm未満の低い電池電力需要では、水を強制的にチャネルから外に出すには反応ガスの流量があまりに低いので、流れチャネル内に水が蓄積することがある。水が蓄積するにつれて、それが水滴を形成し、この水滴は、プレート材料が比較的疎水性であるために大きくなり続ける。水滴は、流れチャネル内で反応ガスの流れに対してほぼ垂直にできる。水滴のサイズが増大するにつれて、流れチャネルが塞がれるが、各流れチャネルが共通の入口マニホルドと出口マニホルドの間で並行しているので、反応ガスは、別の流れチャネルへと進路をそらされる。水で閉鎖されたチャネル中を反応ガスが流れることができないので、反応ガスは、水をチャネルから外に強制的に出すことができない。チャネルが閉鎖されるために反応ガスを受け取らない膜の領域は、電気を発生せず、その結果、非均質電流分配となって、燃料電池の全体的な効率を低下させる。さらに多くの流れチャネルが水で閉鎖されるにつれて、燃料電池によって生み出される電気が減少し、200mV未満の電池電圧では、電池不良とみなされる。各燃料電池は電気的に直列に接続されているので、燃料電池の1つが動作を停止すれば、燃料電池スタック全体が動作を停止することもある。
【0008】
高い流量で反応ガスを周期的に流れチャネル内に強制的に通すことによって、流れチャネル内に蓄積された水を除去することが通常可能である。しかし、カソード面において、こうすることがエアコンプレッサに加えられる寄生電力を増大させ、それによってシステム全体の効率を低下させる。さらに、経済性の低下、システム効率の低下、および排気ガス流中の高い濃度の水素を処理するために増すシステムの複雑さを含めて、水素燃料を除去ガスとして使用しない多くの理由がある。
【0009】
チャネル内に蓄積した水を低減することはまた、入口加湿を低減することによって実現することもできる。しかし、燃料電池内の膜が水和したままとなるように、アノード反応ガスおよびカソード反応ガスにある程度の相対湿度を与えることが望ましい。乾燥した入口ガスは、膜に対する乾燥効果を有し、これは、電池のイオン抵抗を増加させ、膜の長期的な耐久性を限定することがある。
【0010】
チャネルの水移送を改善するために、燃料電池のバイポーラプレートを親水性にすることが、従来技術で提案された。親水性プレートによってチャネル内の水が薄い膜を形成し、この膜は、共通の入口ヘッダおよび出口ヘッダに接続されたアレイをなすチャネルに沿った流れ配分を変える傾向が少ない。プレート材料の濡れ性が十分である場合、拡散媒体を通して移送される水は、チャネル壁面に接触し、次いで毛管力によって、チャネルの長手方向に沿ってチャネルの底部の隅部に移送される。流れチャネルの隅部での自発的な濡れを裏付ける物理的な要件は、Concus−Finn条件、β+α/2<90°によって記述される。この式でβは静止接触角、αはチャネルコーナ角である。長方形チャネルではα/2=45°であり、これによって静止接触角が45°未満である場合に自発的な濡れが発生することが決まる。複合材バイポーラプレートを用いた現在の燃料電池スタック設計に使用される概して長方形のチャネルに関して、この静止接触角は、チャネル水移送および低負荷安定性に対する親水性プレート表面の有益な効果を実現するのに必要な接触角についてのおおよその上限を定める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
バイポーラプレートを親水性にするために、プレート上に酸化チタンの層を堆積させることが従来技術で提案された。さらに、その酸化チタン層上に金の層を堆積させることによって酸化チタンを導電性にすることが従来技術で提案された。しかし、金は近年、非常に高価になってきている。したがって、コストを節約するために、バイポーラプレートを親水性および導電性にするための諸材料の他の組合せを提供することが望ましいはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の教示によれば、燃料電池の流れ場プレートすなわちバイポーラプレートが開示され、このバイポーラプレートは、プレートを導電性および親水性にするチタンまたは酸化チタンの層、および酸化チタン/酸化ルテニウムの層を有する。一実施形態では、チタンがステンレス鋼バイポーラプレートの表面に純金属または酸化物として、PVDまたはCVDなど適切なプロセスを使用して堆積される。塩化ルテニウムのアルコール溶液がそのチタン層にはけ塗りされる。次いでプレートは、適切な温度で適切な時間、か焼されて、ステンレス鋼基材上にチタンまたは酸化チタンの層がもたらされ、このチタンまたは酸化チタンの層上には寸法安定性のある酸化ルテニウム/酸化チタン層がもたらされ、これらの層は、燃料電池の環境中でプレートを親水性および導電性にする。
【0013】
本発明のさらなる特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を添付の図面と併せ読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
バイポーラプレートを燃料電池の環境中で親水性および導電性にする酸化チタン層および酸化ルテニウム層を有する、燃料電池のバイポーラプレートを対象とする本発明の実施形態についての以下の議論は、例示的な性質のものにすぎず、本発明、あるいはその応用例または使い方を限定するものでは全くない。
【0015】
図1は、上記で論じたタイプの燃料電池スタックの一部である燃料電池10の断面図である。燃料電池10は、過フルオロスルホン酸膜16によって分離されたカソード面12およびアノード面14を含む。カソード側拡散媒体層20がカソード面12に設けられ、カソード側触媒層22が膜16と拡散媒体層20の間に設けられる。同様に、アノード側拡散媒体層24がアノード面14に設けられ、アノード側触媒層26が膜16と拡散媒体層24の間に設けられる。触媒層22、26および膜16はMEAを画定する。拡散媒体層20、24は多孔質層であり、MEAへの入力ガス移送、およびMEAからの水移送を行う。触媒層22、26をそれぞれ拡散媒体層20、24の上に、または膜16の上に堆積するための様々な技法が、従来技術で知られている。
【0016】
カソード側流れ場プレートすなわちバイポーラプレート18がカソード面12に設けられ、アノード側流れ場プレートすなわちバイポーラプレート30がアノード面14に設けられる。バイポーラプレート18および30は、燃料電池スタック内の各燃料電池の間に設けられる。バイポーラプレート30の流れチャネル28からの水素反応ガス流が触媒層26と反応して、水素イオンと電子を解離する。バイポーラプレート18の流れチャネル32からの空気流が触媒層22と反応する。水素イオンは、膜16を通り抜けて伝搬することができ、この膜を通してイオン流を伝達する。この電気化学反応の副生成物は水である。
【0017】
この非限定的な実施形態では、バイポーラプレート18は、別々に形成されてから結合される2つのシート34、36を含む。シート36は、流れチャネル32を画定し、シート34は、燃料電池10に隣接する燃料電池のアノード側流れチャネル38を画定する。示されているように、冷却流体流れチャネル40がシート34と36の間に設けられる。同様に、バイポーラプレート30は、流れチャネル28を画定するシート42、隣接する燃料電池のカソード側流れチャネル46を画定するシート44、および冷却流体流れチャネル48を含む。本明細書で論じる実施形態では、シート34、36、42、44は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、高分子炭素複合材など、導電性材料からなる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、バイポーラプレート18は、チタン層または酸化チタン層50および酸化チタン/酸化ルテニウム層52を含み、バイポーラプレート30は、チタン層または酸化チタン層54、および酸化チタン/酸化ルテニウム層56を含み、これらの層は、燃料電池の環境中でプレート18、30を導電性、耐食性、親水性、および安定性のあるものにする。チタン層または酸化チタン層50、54は、攻撃的な塩化ルテニウムイオンからプレート基材を保護し、酸化チタン/酸化ルテニウム層52、56は、プレート18、30を親水性および導電性にする。層52、56の親水性によって流れチャネル28、32内の水は水滴ではなく膜を形成し、その結果、流れチャネルを水が著しく閉鎖することはなくなる。具体的には、層52、56の親水性は、流れチャネル32、38、28、46に蓄積する水の接触角を低減させ、その結果、反応ガスはチャネル中を低い負荷で流れるようになる。一実施形態では、水の接触角は30°未満、好ましくは約10°である。
【0019】
バイポーラプレート18、30をより導電性にすることによって、各燃料電池間の電気的接触抵抗、および燃料電池内の損失が低減され、したがって電池の効率が向上する。また、層52、56によって導電性を増加させることが、スタック内の圧縮力の低減をもたらして、スタック内でのいくつかの耐久性の問題に対処することになる。
【0020】
層50、52、54、56はまた、安定性、すなわち耐食性もある。燃料電池10の動作中に、膜16の過フルオロスルホン酸イオノマーの分解の結果生成されたフッ化水素酸が、層50、52、54、56を腐食することはない。
【0021】
層50〜56をバイポーラプレート30上に堆積させるときに、これらの層を、冷却流体流れチャネル48が設けられるシート42、44の側面に堆積させることができ、その結果シート42と44を溶接する必要がなくなる。これは、酸化ルテニウムが各シート間に電気伝導のための良好なオーム接触をもたらすからである。したがって、従来技術において各プレートを結合し、各シート間を電気的に接触させるレーザ溶接の代わりに、バイポーラプレートを密封するために各シートは、その縁部の周りを封止する必要があるだけである。
【0022】
別の一実施形態では、層50、54は酸化タンタルとされてよく、層52、56は酸化タンタル/酸化イリジウムとされてよく、これらもまた燃料電池の環境中でプレート18、30を導電性、耐食性、親水性、および安定性のあるものにする。
【0023】
層50、52、54、56は、適切などんなプロセスによってもバイポーラプレート18、30の上に堆積させることができる。図2は、本発明の一実施形態による、層50、52、54、56を堆積させる1つのプロセスを示す流れ図である。ボックス62で、バイポーラプレート18および30は、プレート18および30の外面にできる可能性のある抵抗性のある酸化膜を除去するために、イオンビームスパッタリングなど、適切なプロセスによって清浄化される。次に、ボックス64でチタンの被覆が、純金属または酸化物としてバイポーラプレート18、30に施される。バイポーラプレート18、30の上にチタンを堆積させるには、物理的気相蒸着(PVD)や化学的気相蒸着(CVD)など、適切などんなプロセスでも使用することができる。
【0024】
次に、塩化ルテニウム溶液がチタン被覆に塗布される。非限定的な一実施形態では、塩化ルテニウム溶液は、エタノールに溶解させた塩化ルテニウムである。塩化ルテニウム溶液は、はけ塗りなど、適切などんなプロセスによってもバイポーラプレート18、30に塗布することができる。
【0025】
次に、チタン被覆および塩化ルテニウム溶液は、所定の温度で所定の時間、か焼されて、バイポーラプレート18、30の上に寸法安定性のある酸化ルテニウム/酸化チタン被覆を作り、これは、燃料電池の環境中で親水性および導電性がある。一実施形態では、チタン、および塩化ルテニウム溶液は、約450℃で約10分間、か焼される。チタンとルテニウムは、ほぼ同じ結晶構造を有する。塩化ルテニウムがチタン層または酸化チタン層の上に堆積されか焼されると、チタンまたは酸化チタンの下部層、および酸化チタン/酸化ルテニウムの上部層が形成される。本明細書で論じた酸化チタンおよび酸化ルテニウムの特性により、バイポーラプレート18、30を作製するのに使用されるステンレス鋼は、低品位としてよい。チタン層または酸化チタン層の厚さは10〜500nmの範囲としてよく、酸化チタン/酸化ルテニウム層の厚さは1〜50nmの範囲としてよい。
【0026】
か焼プロセスの後、酸化チタン層および酸化ルテニウム層の異なる各相は1つの相に混合されており、すなわち広い範囲に及ぶ固溶体を形成している。酸化チタンは親水性をもたらし、酸化ルテニウムは導電性をもたらす。さらに、酸化ルテニウムはステンレス鋼に十分に接着しないので、チタンまたは酸化チタンが、ステンレス鋼のバイポーラプレート上に酸化ルテニウムが堆積できるようにする。また、か焼プロセス中に、塩化ルテニウムが酸化ルテニウムに転化される。か焼温度での攻撃的な性質の塩化物イオンからステンレス鋼を保護するために、塩化ルテニウムをステンレス鋼に塗布する前に、チタン層がステンレス鋼に施される。チタン層に塩化ルテニウムが塗布されないと、か焼プロセスはまた、チタンを酸化し、それを非導電性の酸化チタンに転化することにもなる。
【0027】
表1は、上記で論じたように酸化ルテニウム/酸化チタン層を用いて被覆したバイポーラプレートの、様々な圧縮圧力での総合抵抗を示し、表2は、酸化チタン/酸化ルテニウム層を用いないステンレスバイポーラプレート上に酸化チタン層を有するバイポーラプレートの、上記と同じ圧縮圧力での各接触抵抗を示す。酸化ルテニウムの接触抵抗の優位は明らかである。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
以上の議論は、本発明の単に例示的な実施形態を開示し、説明するものである。このような議論から、また添付の図面および特許請求の範囲から、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に様々な変更、修正、変形を加えることができることが、当業者には容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】燃料電池スタック内の燃料電池の断面図であり、この燃料電池は、酸化チタン層および酸化ルテニウム層を有するバイポーラプレートを含み、これらの層は、バイポーラプレートを親水性および導電性にする。
【図2】バイポーラプレート上に酸化チタン層および酸化ルテニウム層を堆積させるプロセスを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0032】
10 燃料電池
12 カソード面
14 アノード面
16 過フルオロスルホン酸膜
18 カソード側流れ場プレート、バイポーラプレート
20 カソード側拡散媒体層
22 カソード側触媒層
24 アノード側拡散媒体層
26 アノード側触媒層
28 流れチャネル
30 アノード側流れ場プレート、バイポーラプレート
32 流れチャネル
34 シート
36 シート
38 流れチャネル
40 冷却流体流れチャネル
42 シート
44 シート
46 流れチャネル
48 冷却流体流れチャネル
50 チタン層または酸化チタン層
52 酸化チタン/酸化ルテニウム層
54 チタン層または酸化チタン層
56 酸化チタン/酸化ルテニウム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート材料からなる流れ場プレートを備える燃料電池であって、前記流れ場プレートが、反応ガスに応じた複数の反応ガス流れチャネルを含み、前記流れ場プレートがさらに、前記プレート上にチタン層または酸化チタン層を有し、かつ前記チタン層または酸化チタン層の上に酸化チタン/酸化ルテニウム層を有し、これらの層が燃料電池の環境中で前記プレートを導電性、親水性および安定性のあるものにする、燃料電池。
【請求項2】
前記プレート材料がステンレス鋼である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記チタン層または酸化チタン層が10〜500nmの範囲の厚さを有し、前記酸化チタン/酸化ルテニウム層が1〜50nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記流れ場プレートが、アノード側流れ場プレートおよびカソード側流れ場プレートからなる群から選択される、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記流れ場プレートが、冷却流体流れチャネルをその間に画定する2つのスタンプシートを含み、前記酸化チタン層および前記酸化ルテニウム層が前記シートの両面に設けられる、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記酸化チタン/酸化ルテニウム層が、前記流れチャネル内で30°未満の水接触角をもたらす、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記燃料電池が車両の燃料電池スタックの一部である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項8】
ステンレス鋼からなるアノード側流れ場プレートであって、反応ガスに応じた複数の反応ガス流れチャネルを含み、さらに、前記プレート上にチタン層または酸化チタン層を有し、かつ前記チタン層または酸化チタン層の上に酸化チタン/酸化ルテニウム層を有するアノード側流れ場プレートと、
ステンレス鋼からなるカソード側流れ場プレートであって、反応ガスに応じた複数の反応ガス流れチャネルを含み、さらに、前記プレート上にチタン層または酸化チタン層を有し、かつ前記チタン層または酸化チタン層の上に酸化チタン/酸化ルテニウム層を有するカソード側流れ場プレートとを備える燃料電池であって、前記チタン層または酸化チタン層、および前記酸化チタン/酸化ルテニウム層が、燃料電池の環境内で前記プレートを導電性、親水性、および安定性のあるものにする、燃料電池。
【請求項9】
前記チタン層または酸化チタン層が10〜500nmの範囲の厚さを有し、前記酸化チタン/酸化ルテニウム層が1〜50nmの範囲の厚さを有する、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記流れ場プレートが、冷却流体流れチャネルをその間に画定する2つのスタンプシートを含み、前記チタン層または酸化チタン層、および前記酸化チタン/酸化ルテニウム層が前記シートの両面に設けられる、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記酸化チタン/酸化ルテニウム層が、前記流れチャネル内で30°未満の水接触角をもたらす、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項12】
前記燃料電池が車両の燃料電池スタックの一部である、請求項8に記載の燃料電池。
【請求項13】
プレート材料からなる流れ場プレートを備える燃料電池であって、前記流れ場プレートが、反応ガスに応じた複数の反応ガス流れチャネルを含み、前記流れ場プレートがさらに、酸化タンタル層および酸化タンタル/酸化イリジウム層を有し、これらの層が燃料電池の環境中で前記プレートを導電性、親水性、および安定性のあるものにする、燃料電池。
【請求項14】
前記プレート材料がステンレス鋼である、請求項13に記載の燃料電池。
【請求項15】
燃料電池の流れ場プレートを作製する方法であって、
複数の反応ガス流れチャネルを含む流れ場プレート構造体を提供するステップと、
前記流れ場プレート構造体上に純金属または酸化物としてチタンの被覆を堆積させるステップと、
前記チタン被覆または酸化チタン被覆の上に塩化ルテニウム溶液を堆積させるステップと、
前記チタン被覆および前記塩化ルテニウム溶液が、前記燃料電池の環境中で前記流れ場プレートを導電性、親水性、および安定性のあるものにする酸化チタン/酸化ルテニウム層に転化されるように、前記バイポーラプレート構造体をか焼するステップとを含む、方法。
【請求項16】
流れ場プレート構造体を提供する前記ステップが、ステンレス鋼からなる流れ場プレート構造体を提供するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
流れ場プレート構造体を提供する前記ステップが、冷却流体チャネルをその間に画定する2つのスタンプシートを含む流れ場プレート構造体を提供するステップを含み、チタンの被覆および塩化ルテニウム溶液を堆積させる前記ステップと、前記チタン被覆および前記塩化ルテニウム溶液をか焼する前記ステップとが、前記シートの両面で前記か焼プロセスを実施するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
チタンの被覆を堆積させる前記ステップが、物理的気相蒸着または化学的気相蒸着によってチタンの被覆を前記流れ場プレート構造体上に堆積させるステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記塩化ルテニウム溶液を堆積させる前記ステップが、前記塩化ルテニウム溶液を前記チタン被覆にはけ塗りするステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記流れ場プレート構造体をか焼する前記ステップが、前記流れ場プレート構造体を約450℃の温度でか焼するステップを含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−329131(P2007−329131A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−150165(P2007−150165)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(505212049)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・インコーポレーテッド (221)
【Fターム(参考)】