説明

バグフィルター用濾材

【課題】従来のバグフィルター用濾材よりも圧力損失を小さくすることが可能であり、バグフィルター用濾材の寿命をより一層長くすることが可能なバグフィルター用濾材を提供する。
【解決手段】基材層10と、捕塵用ナノ繊維22からなる捕塵用ナノ繊維層20と、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合するための接合用ナノ繊維32を有する接合用ナノ繊維層30とを備え、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合用ナノ繊維32で接合した構造を有することを特徴とするバグフィルター用濾材1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バグフィルター用濾材、バグフィルター用濾材の製造装置、バグフィルター用濾材の製造方法及びバグフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材層と、空気中の粉塵を捕捉するナノ繊維層(以下、捕塵用ナノ繊維層という。)とを備え、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接着剤(溶剤系接着剤又はホットメルト接着剤)によって接合した構造を有するバグフィルター用濾材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図12は、従来のバグフィルター用濾材900を説明するために示す図である。
従来のバグフィルター用濾材900は、図12に示すように、基材層910と、空気中の粉塵を捕捉する捕塵用ナノ繊維層920とを備え、基材層910と捕塵用ナノ繊維層920とを接着剤(溶剤系接着剤又はホットメルト接着剤)によって接合した構造を有する。
【0004】
従来のバグフィルター用濾材900によれば、捕塵用ナノ繊維層920を備えるため、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較してより一層微細な粉塵を捕捉することが可能となる。
【0005】
また、従来のバグフィルター用濾材900によれば、捕塵用ナノ繊維層920を備えるため、バグフィルター用濾材の奥深くに粉塵が捕捉されることがなくなり、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較してパルスジェット洗浄等による粉塵の払い落とし効率を高くすることが可能となる。その結果、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0006】
さらにまた、従来のバグフィルター用濾材900によれば、基材層910と捕塵用ナノ繊維層920とを接合した構造を有するため、基材層と捕塵用ナノ繊維層とが剥がれにくくなり、この観点からもバグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2010−525938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明の発明者らの研究により、従来のバグフィルター用濾材においては、接着剤がバグフィルター用濾材の空隙を埋めてしまうことによりバグフィルターの圧力損失が大きくなる場合があることが判明した。その結果、バグフィルター用濾材にかかる圧力が大きくなることによりバグフィルター用濾材が損傷しやすくなり、バグフィルター用濾材の寿命が短くなる場合があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、従来のバグフィルター用濾材よりも圧力損失を小さくすることが可能であり、バグフィルター用濾材の寿命をより一層長くすることが可能なバグフィルター用濾材を提供することを目的とする。また、このようなバグフィルター用濾材を用いたバグフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明のバグフィルター用濾材は、基材層と、捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層と、前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを接合するための接合用ナノ繊維を有する接合用ナノ繊維層とを備え、前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維で接合した構造を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のバグフィルター用濾材によれば、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接着剤ではなく接合用ナノ繊維によって接合した構造を有するため、バグフィルター用濾材の空隙を埋めてしまうことを防ぐことができる。その結果、従来のバグフィルター用濾材よりも圧力損失を小さくすることが可能となり、バグフィルター用濾材の寿命をより一層長くすることが可能となる。
【0012】
また、本発明のバグフィルター用濾材によれば、捕塵用ナノ繊維層を備えるため、従来のバグフィルター用濾材と同様に、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較してより一層微細な粉塵を捕捉することが可能となる。
【0013】
また、本発明のバグフィルター用濾材によれば、捕塵用ナノ繊維層を備えるため、従来のバグフィルター用濾材と同様に、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較してバグフィルター用濾材の奥深くに粉塵が捕捉されることがなくなり、パルスジェット洗浄等による粉塵の払い落とし効率を高くすることが可能となる。その結果、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0014】
さらにまた、本発明のバグフィルター用濾材によれば、接合用ナノ繊維層を備えるため、従来のバグフィルター用濾材と同様に、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較して、基材層とナノ繊維層とが剥がれにくくなり、この観点からもバグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0015】
なお、特許文献1には、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接着剤を用いることなく接合した構造も記載されている。例えば、基材層と捕塵用ナノ繊維層とをそれぞれの繊維を絡ませて接合した構造、又は基材層と捕塵用ナノ繊維層とを熱圧着により接合した構造である。
【0016】
しかしながら、基材層と捕塵用ナノ繊維層とをそれぞれの繊維を絡ませて接合した構造の場合には、基材層と捕塵用ナノ繊維層との接合強度が十分でなく、基材層と捕塵用ナノ繊維層とが剥がれてしまう場合があり、バグフィルター用濾材の寿命が短くなる場合があるという問題がある。また、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを熱圧着により接合した構造の場合には、基材層の一部又は捕塵用ナノ繊維層の一部が溶融しバグフィルターの空隙を埋めてしまう場合があり、基材層又は捕塵用ナノ繊維層の性能(捕塵用ナノ繊維層が微細な粉塵を捕捉する性能及び基材層の通気度等)が熱圧着に起因して低下する場合があるという問題がある。
【0017】
[2]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記接合用ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とは、少なくとも一部を溶融した接合用ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、基材層と捕塵用ナノ繊維層とが剥がれにくくなるため、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0019】
[3]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記基材層を構成する材料の融点をT1、前記接合用ナノ繊維層を構成する前記熱接合性を有する樹脂の融点をT2、前記捕塵用ナノ繊維層を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1>T2」かつ「T3>T2」の関係を満たすことが好ましい。
【0020】
このような構成とすることにより、製造過程で接合用ナノ繊維層における接合用ナノ繊維のみを選択的に溶融することが可能となる。その結果、基材層及び捕塵用ナノ繊維層に与える影響を少なくすることができ、基材層又は捕塵用ナノ繊維層の性能(捕塵用ナノ繊維層が微細な粉塵を捕捉する性能及び基材層の通気度等)が低下することを防ぐことが可能となる。
【0021】
[4]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記基材層を構成する材料の融点をT1、前記接合用ナノ繊維層を構成する前記熱接合性を有する樹脂の融点をT2、前記捕塵用ナノ繊維層を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1−T2≧10℃」かつ「T3−T2≧10℃」の関係を満たすことが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、T1とT2とが十分離れていて、かつ、T3とT2とも十分に離れているため、熱接合性を有する樹脂を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【0023】
[5]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記接合用ナノ繊維層の目付は、0.01g/m〜20g/mの範囲内にあることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることにより、接合用ナノ繊維層の目付が0.01g/m以上であるため、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接合するために十分な量の接合ナノ繊維を有し、基材層と捕塵用ナノ繊維層とが剥がれにくくなる。また、接合用ナノ繊維層の目付が20g/m以下であるため、接合用ナノ繊維が溶融してもバグフィルター用濾材の空隙を埋めてしまうことを防ぐことが可能となる。その結果、圧力損失を小さくすることが可能となり、バグフィルター用濾材の寿命をより一層長くすることが可能となる。
【0025】
[6]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記捕塵用ナノ繊維の平均径をD1とし、前記接合用ナノ繊維の平均径をD2としたとき、「0.01≦D2/D1≦0.50」の関係を満たすことが好ましい。
【0026】
このような構成とすることにより、接合用ナノ繊維が溶融しやすくなり、接合用ナノ繊維層が基材層及び捕塵用ナノ繊維層と接合した構造を多く形成することができる。
【0027】
なお、「D2/D1」が0.01未満の場合には、接合用ナノ繊維の平均径が捕塵用ナノ繊維に較べてはるかに小さいため、捕塵用ナノ繊維層と接合用ナノ繊維層とを十分に接合することができず、剥がれやすくなる。「D2/D1」が0.50を超える場合には、接合用ナノ繊維の平均径が捕塵用ナノ繊維に較べてはるかに大きいため、溶融した接合ナノ繊維がバグフィルター用濾材の空隙を埋めることに起因してバグフィルター用濾材の圧力損失が大きくなり、バグフィルター用濾材の寿命が短くなる場合がある。
【0028】
[7]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記接合用ナノ繊維は、電界紡糸法により形成されたものであることが好ましい。
【0029】
このような構成とすることにより、所望の性質(組成、厚さ、目付、接合用ナノ繊維の平均径等)を有する接合用ナノ繊維層を形成することができ、所望の性質を有するバグフィルター用濾材とすることが可能となる。
【0030】
[8]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記捕塵用ナノ繊維は、電界紡糸法により形成されたものであることが好ましい。
【0031】
このような構成とすることにより、所望の性質(組成、厚さ、目付、捕塵用ナノ繊維の平均径等)を有する捕塵用ナノ繊維層を形成することができ、所望の性質を有するバグフィルター用濾材とすることが可能となる。
【0032】
[9]本発明のバグフィルター用濾材においては、前記補塵用ナノ繊維層は、前記接合用ナノ繊維層との接合面とは反対側の面にカバー層をさらに備えることが好ましい。
【0033】
このような構成とすることにより、バグフィルター用濾材の製造工程やバグフィルターの使用中に捕塵用ナノ繊維層が損傷することを防ぐことが可能となり、捕塵用ナノ繊維層の寿命を長くすることが可能となる。その結果、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0034】
[10]本発明のバグフィルター用濾材の製造装置は、バグフィルター用濾材の製造装置であって、基材層を搬送する搬送装置と、前記基材層の表面に、接合用ナノ繊維からなる接合用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第1ナノ繊維複合体を形成する第1電界紡糸装置と、前記第1ナノ繊維複合体における前記結合用ナノ繊維層の表面に、捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第2ナノ繊維複合体を形成する第2電界紡糸装置と、前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維によって接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【0035】
本発明のバグフィルター用濾材の製造装置によれば、2台の電界紡糸装置及び接合装置を用いて本発明のバグフィルター用濾材を製造することが可能となる。
【0036】
[11]本発明のバグフィルター用濾材の製造装置においては、前記接合装置は、前記第2ナノ繊維複合体を熱圧着して前記接合用ナノ繊維の一部を溶融することにより、前記基材層と前記捕塵用複合ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維で接合する熱圧着装置であることが好ましい。
【0037】
このような構成とすることにより、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接合用ナノ繊維によって容易かつ確実に接合することが可能となる。
【0038】
[12]本発明のバグフィルター用濾材の製造装置においては、前記第2ナノ繊維複合体における前記捕塵用ナノ繊維層の表面に、カバー層を形成するカバー層付加装置をさらに備え、前記基材層が搬送される方向に沿って、前記カバー層付加装置と、前記接合装置とが、この順序、又は、これとは逆の順序で配置されていることが好ましい。
【0039】
このような構成とすることにより、上記[9]に記載したバグフィルター用濾材を製造することが可能となる。
【0040】
[13]本発明のバグフィルター用濾材の製造方法は、バグフィルター用濾材の製造方法であって、基材層を準備する基材層準備工程と、前記基材層の表面に、接合用ナノ繊維からなる接合用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第1ナノ繊維複合体を形成する第1電界紡糸工程と、前記第1ナノ繊維複合体における前記結合用ナノ繊維層の表面に、捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第2ナノ繊維複合体を形成する第2電界紡糸工程と、前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維層によって接合する接合工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0041】
本発明のバグフィルター用濾材の製造方法によれば、2つの電界紡糸工程と接合工程により本発明のバグフィルター用濾材を製造することが可能となる。
【0042】
[14]本発明のバグフィルター用濾材の製造方法においては、前記接合工程は、前記第2ナノ繊維複合体を熱圧着して前記接合用ナノ繊維の一部を溶融することにより、前記基材層と前記捕塵用複合ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維で接合する熱圧着工程であることが好ましい。
【0043】
このような方法とすることにより、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接合用ナノ繊維によって容易かつ確実に接合することが可能となる。
【0044】
[15]本発明のバグフィルター用濾材の製造方法においては、前記第2ナノ繊維複合体における前記捕塵用ナノ繊維層の表面に、前記カバー層を形成するカバー層付加工程をさらに含み、前記カバー層付加工程と、前記接合工程とをこの順序、又はこれとは逆の順序で含むことが好ましい。
【0045】
このような方法とすることにより、上記[9]に記載したバグフィルター用濾材を製造することが可能となる。
【0046】
[16]本発明のバグフィルターは、本発明のバグフィルター用濾材を備えるバグフィルターである。
【0047】
このため、本発明のバグフィルターは、本発明のバグフィルター用濾材の効果を有するバグフィルターとなる。このようなバグフィルターは広い範囲に使用可能であり、プラントなどの集塵装置のフィルターとして好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係るバグフィルター用濾材製造装置100を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の製造方法を説明するために示すフローチャートである。
【図4】実施形態1における第2ナノ繊維複合体50の製造工程を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1における接合工程を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を用いて製造されたバグフィルター500を説明するために示す図である。
【図7】実施形態1に係るバグフィルター500におけるパルスジェット洗浄について説明するために示す図
【図8】実施形態2に係るバグフィルター用濾材2を説明するために示す図である。
【図9】実施形態2に係るバグフィルター用濾材の製造装置102を説明するために示す図である。
【図10】実施形態2に係るバグフィルター用濾材2の製造方法を説明するために示すフローチャートである。
【図11】実施形態2におけるナノ繊維複合体70の製造工程を説明するために示す図である。
【図12】従来のバグフィルター用濾材900を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明のバグフィルター用濾材、バグフィルター用濾材の製造装置、バグフィルター用濾材の製造方法及びバグフィルターについて、図に示す各実施形態に基づいて説明する。
【0050】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の構成
まず、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を説明するために示す図である。図1(a)は芯材(符号を図示せず。)に巻いた状態のバグフィルター用濾材1の斜視図であり、図1(b)はバグフィルター用濾材1の拡大断面図であり、図1(c)は図1(b)のAで示す範囲をさらに拡大して示す図である。なお、構成等を示す図は全て模式図であり、実際の大きさ、厚さ等を反映しているものではない。
【0051】
実施形態に係るバグフィルター用濾材1は、図1に示すように、基材層10と、捕塵用ナノ繊維層20と、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合するための接合用ナノ繊維32を有する接合用ナノ繊維層30とを備え、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合用ナノ繊維32で接合した構造を有する。
【0052】
基材層10は、長尺シートの形態を取っており、基材層10としては、各種材料からなる不織布、織物、編物、紙等、通気性のあるものを用いることができる。実施形態1においては、基材層10として、平均径1000nmのPTFEからなる不織布を用いる。図1(c)中、符号12で示すのは基材層10中のPTFEの繊維である。基材層10の目付は、例えば、350g/m〜800g/mの範囲内にある。また、基材層10の通気度は、例えば、0.5cm/cm/s〜50cm/cm/sの範囲内にある。基材層10は、例えば、10m〜10kmの長さのものを用いることができる。なお、基材層として長尺シートではないもの(例えば、短冊状のもの)を用いることもできる。
【0053】
捕塵用ナノ繊維層20は、空気中の粉塵を捕捉する捕塵用ナノ繊維22からなる。捕塵用ナノ繊維22の平均径は、例えば、50nm〜1000nmの範囲内にあり、より好ましくは50nm〜500nmの範囲内にある。また、捕塵用ナノ繊維22の融点は100度以上である。また、捕塵用ナノ繊維層20の目付は、例えば、0.05g/m〜50g/mの範囲内にあり、好ましくは0.1g/m〜10g/mの範囲内にある。
【0054】
捕塵用ナノ繊維22を構成する材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、シルク、セルロース、キトサン等、各種のポリマーを用いることができ、2以上のポリマーを混合した材料を用いることもできる。
【0055】
接合用ナノ繊維層は、接合用ナノ繊維層として、接合用ナノ繊維32のみからなる接合用ナノ繊維層30を用いる。接合用ナノ繊維層30は、接合用ナノ繊維32の一部が溶融して基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合している(図1(c)参照。)。接合用ナノ繊維層30の目付は、例えば、0.01g/m〜20g/mの範囲内にあり、好ましくは0.02g/m〜5g/mの範囲内にある。また、接合用ナノ繊維層30の厚さは、例えば、0.1μm〜5μmの範囲内にある。
【0056】
接合用ナノ繊維32は熱接合性を有する樹脂からなる。接合用ナノ繊維32の平均径は、例えば、50nm〜1000nmの範囲内にある。接合用ナノ繊維層30を構成する熱接合性を有する樹脂の融点は、基材層10を構成する材料の融点をT1、接合用ナノ繊維層30を構成する熱接合性を有する樹脂の融点をT2、捕塵用ナノ繊維層20を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1>T2」かつ「T3>T2」の関係を満たし、さらに言えば、「T1−T2≧10℃」かつ「T3−T2≧10℃」の関係を満たす。
【0057】
接合用ナノ繊維32を構成する材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)等、各種のポリマーを用いることができ、2以上のポリマーを混合した材料を用いることもできる。また、異なる融点をもつポリマーであれば捕塵用ナノ繊維22と同じ種類のポリマーを用いることもできる。
【0058】
捕塵用ナノ繊維22と、接合用ナノ繊維32とは以下の関係を満たす。
捕塵用ナノ繊維22の平均径をD1とし、接合用ナノ繊維32の平均径をD2としたとき、「0.01≦D2/D1≦0.50」である。
【0059】
2.実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100の構成
次に、実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100を説明する。
図2は、実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100を説明するために示す図である。
【0060】
実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100は、図2に示すように、バグフィルター用濾材の製造装置であって、基材層10を搬送する搬送装置110と、第1電界紡糸装置120と、第2電界紡糸装置320と、接合装置130とを備える。
【0061】
搬送装置110は、基材層10を所定の搬送速度で搬送する機能を有する。搬送装置110は、基材層10を繰り出す繰り出しローラー111、基材層10を巻き取る巻き取りローラー112、基材層10の張りを調整するテンションローラー113,118と、繰り出しローラー111と巻き取りローラー112との間に位置する補助ローラー114を備える。繰り出しローラー111及び巻き取りローラー112は、図示しない駆動モーターにより回転駆動される構造となっている。
【0062】
第1電界紡糸装置120は、基材層10の表面に、接合用ナノ繊維32からなる接合用ナノ繊維層30’(後述する図4(c)参照。)を電界紡糸法により形成して第1ナノ繊維複合体を形成する機能を有する。第1電界紡糸装置120は、図2に示すように、筐体200と、ノズルユニット210と、ポリマー溶液供給部230と、コレクター250と、電源装置260と、補助ベルト装置270とを備える。第1電界紡糸装置120は、後述する複数の上向きノズル220の吐出口からポリマー溶液をオーバーフローさせながら基材層10の表面に電界紡糸して接合用ナノ繊維層30を形成する。
【0063】
筐体200は、導電体からなり、接地されている。
ノズルユニット210は、複数の上向きノズル220を有する。
実施形態1におけるノズルユニット210は、上面から見たときに一辺が0.5m〜3mの長方形(正方形を含む)に見える大きさで、ブロック状の形状を有する。
【0064】
上向きノズル220は、ポリマー溶液供給部230から供給されるポリマー溶液を吐出口から上向きに吐出するノズルである。上向きノズル220を構成する材料としては導電体、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等を用いることができる。
【0065】
上向きノズル220は、例えば、1.5cm〜6.0cmのピッチで配列されている。上向きノズル220の数は、例えば、36個(縦横同数に配列した場合、6個×6個)〜21904個(縦横同数に配列した場合、148個×148個)とすることができる。
【0066】
なお、実施形態1においては、ノズルとして上向きノズル220を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。ノズルとして横向きノズルを用いてもよいし、下向きノズルを用いてもよい。
【0067】
ポリマー溶液供給部230は、原料タンク232及びポリマー溶液供給装置234を備える。
原料タンク232は、接合用ナノ繊維層30の原料となるポリマー溶液を貯蔵している。原料タンク232は、ポリマー溶液の分離や凝固を防ぐための撹拌装置233を内部に有する。原料タンク232には、ポリマー溶液供給装置234のパイプ236が接続されている。
【0068】
ポリマー溶液供給装置234は、ポリマー溶液を通過させるパイプ236及び供給動作を制御するバルブ238からなり、原料タンク232に貯蔵されたポリマー溶液をノズルユニット210に供給する。なお、ポリマー溶液供給装置は1つのノズルユニットにつき最低1つあればよく、複数あってもよい。
【0069】
コレクター250は、ノズルユニット210の上方に配置されている。コレクター250は導電体からなり、図2に示すように、絶縁部材252を介して筐体200に取り付けられている。
電源装置260は、電界紡糸の際に上向きノズル220と、コレクター250との間に高電圧を印加する機能を有する。電源装置260の正極はコレクター250に接続され、電源装置260の負極は筐体200を介してノズルユニット210に接続されている。
【0070】
補助ベルト装置270は、基材層10の搬送速度に同期して回転する補助ベルト272と、補助ベルト272の回転を助ける5つの補助ベルト用ローラー274とを有する。5つの補助ベルト用ローラー274のうち1つ又は2つ以上の補助ベルト用ローラーが駆動ローラーであり、残りの補助ベルト用ローラーが従動ローラーである。コレクター250と基材層10との間に補助ベルト272が配設されているため、基材層10は、正の高電圧が印加されているコレクター250に引き寄せられることなくスムーズに搬送されるようになる。
【0071】
第2電界紡糸装置320は、第1ナノ繊維複合体における接合用ナノ繊維層30’(後述する図4(c)参照。)の表面に、捕塵用ナノ繊維22からなる捕塵用ナノ繊維層20を電界紡糸法により形成して第2ナノ繊維複合体50を形成する機能を有する。第2電界紡糸装置320は、図2に示すように、第1電界紡糸装置120と基本的には同様の構成を有するが、接合用ナノ繊維32を形成するのに適した構成となっている。
【0072】
接合装置130は、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合用ナノ繊維32によって接合する機能を有する。接合装置130は、第2ナノ繊維複合体50を熱圧着して接合用ナノ繊維32の一部を溶融することにより、基材層10と捕塵用ナノ繊維層30とを接合用ナノ繊維32で接合する熱圧着装置である。
【0073】
このような接合装置130としては、カレンダーロール132内にヒーター(図示せず。)を備えた熱圧着装置を例示することができる。なお、図2においては、カレンダーロール132として、上下1個ずつのローラーによって第2ナノ繊維複合体50を挟むような構成のものを例示したが、このような構成に限られものではなく、上下2個ずつのローラーを備えるものなど種々の構成を有するカレンダ―ロールを使用することができる。
【0074】
3.実施形態1におけるバグフィルター用濾材1の製造方法
次に、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の製造方法を説明する。
図3は、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の製造方法を説明するために示すフローチャートである。図4は、実施形態1における第2ナノ繊維複合体50の製造工程を示す図である。図4(a)〜図4(c)は各工程を示す図である。図5は、実施形態1における接合工程を説明するために示す図である。図5(a)及び図5(b)は図1(b)のAで示す範囲をさらに拡大して示す図であり、図5(a)は接合工程実施前における接合用ナノ繊維層30’を示す図であり、図5(b)は接合工程実施後における接合用ナノ繊維層30’を示す図である。
【0075】
実施形態1におけるバグフィルター用濾材1の製造方法は、図3に示すように、基材層準備工程S1と、第1電界紡糸工程S2と、第2電界紡糸工程S3と、接合工程S4とをこの順で含む。実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の製造方法は、上記した実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100を用いて、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を製造する方法である。
【0076】
(基材層準備工程S1)
基材層準備工程S1は、基材層10を準備する工程である(図4(a)参照。)。基材層10は長尺シートとして構成され、当該長尺シートを搬送装置110にセットし、その後、基材層10を繰り出しローラー111から巻き取りローラー112に向けて所定の搬送速度で搬送する。
【0077】
(第1電界紡糸工程S2)
第1電界紡糸工程S2は、第1ナノ繊維複合体40を形成する工程である(図4(b)参照。)。第1電界紡糸工程S2は、接合用ナノ繊維32の原料となるポリマー材料を含有する第1ポリマー溶液を用いて、基材層10の表面に接合用ナノ繊維32からなる接合用ナノ繊維層30’を電界紡糸法により形成することによって、基材層10と接合用ナノ繊維層30’とが積層した構造を有する第1ナノ繊維複合体40を形成する。なお、第1ポリマー溶液は、ポリマー溶液供給部230を通じてノズルユニット210へ供給される。
【0078】
以下に、第1電界紡糸工程S2における紡糸条件を例示的に示す。
【0079】
接合用ナノ繊維を形成するためのポリマー溶液に含まれるポリマー材料は、「1.実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の構成」で説明した材料と同様である。
【0080】
ポリマー溶液を製造するための溶媒としては、適宜の溶媒を用いることができるが、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、THFなどを用いることができる。複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、導電性向上剤などの添加剤を含有させてもよい。
【0081】
搬送速度は、例えば0.2m/分〜100m/分に設定することができ、1m/分〜80m/分に設定することが好ましい。。コレクター250とノズルユニット210とに印加する電圧は、10kV〜80kVに設定することができ、40kV〜60kVに設定することが好ましい。
【0082】
紡糸区域の温度は、例えば25℃に設定することができる。紡糸区域の湿度は、例えば30%に設定することができる。
【0083】
(第2電界紡糸工程S3)
第2電界紡糸工程S3は、第2ナノ繊維複合体50を形成する工程である(図4(c)参照。)。第2電界紡糸工程S3は、捕塵用ナノ繊維22の原料となるポリマー材料を含有する第2ポリマー溶液を用いて第1ナノ繊維複合体40における接合用ナノ繊維層30’の表面に捕塵用ナノ繊維22からなる捕塵用ナノ繊維層20を電界紡糸法により形成することによって、第1ナノ繊維複合体40と捕塵用ナノ繊維層20とが積層した構造を有する第2ナノ繊維複合体50を形成する。なお、第2ポリマー溶液は、第2電界紡糸装置320におけるポリマー溶液供給部430を通じてノズルユニット410へ供給される。
【0084】
捕塵用ナノ繊維を形成するためのポリマー溶液に含まれるポリマー材料は、「1.実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の構成」でで説明した材料と同様である。
【0085】
ポリマー溶液を製造するための溶媒としては、適宜の溶媒を用いることができるが、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、THFなどを用いることができる。複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、導電性向上剤などの添加剤を含有させてもよい。
【0086】
(接合工程S4)
接合工程S4は、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合用ナノ繊維32によって接合する。すなわち、接合工程S4は、第2ナノ繊維複合体50を熱圧着して接合用ナノ繊維32の一部を溶融することにより、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とを接合用ナノ繊維32で接合する熱圧着工程である。当該工程はバグフィルター用濾材の製造装置100の接合装置130により行われ、バグフィルター用濾材1が製造される。製造されたバグフィルター用濾材1は、巻き取りローラー112に巻き取られる。
【0087】
上記基材層準備工程S1、第1電界紡糸工程S2、第2電界紡糸工程S3、接合工程S4を行うことによって、バグフィルター用濾材1を製造することができる。
【0088】
以下、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1、実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100及び実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の製造方法の効果を記載する。
【0089】
実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接着剤ではなく接合用ナノ繊維によって接合した構造を有するため、バグフィルター用濾材の空隙を埋めてしまうことを防ぐことができる。その結果、従来のバグフィルター用濾材よりも圧力損失を小さくすることが可能であり、バグフィルター用濾材の寿命をより一層長くすることが可能となる。
【0090】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、捕塵用ナノ繊維層を備えるため、従来のバグフィルター用濾材と同様に、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較してより一層微細な粉塵を捕捉することが可能となる。
【0091】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、捕塵用ナノ繊維層を備えるため、従来のバグフィルター用濾材と同様に、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較してバグフィルター用濾材の奥深くに粉塵が捕捉されることがなくなり、パルスジェット洗浄等による粉塵の払い落とし効率を高くすることが可能となる。その結果、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0092】
さらにまた、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、接合用ナノ繊維層を備えるため、従来のバグフィルター用濾材と同様に、不織布だけからなるバグフィルター用濾材と比較して、基材層とナノ繊維層とが剥がれにくくなり、この観点からもバグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0093】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、接合用ナノ繊維32は、熱接合性を有する樹脂からなり、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20とは、少なくとも一部を溶融した接合用ナノ繊維32により接合されているため、基材層と捕塵用ナノ繊維層とが剥がれにくくなり、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0094】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、基材層10を構成する材料の融点をT1、接合用ナノ繊維層30を構成する熱接合性を有する樹脂の融点をT2、捕塵用ナノ繊維層20を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1>T2」かつ「T3>T2」の関係を満たすため、接合用ナノ繊維層における接合用ナノ繊維のみを選択的に溶融することが可能となる。その結果、基材層及び捕塵用ナノ繊維層に与える影響を少なくすることができ、基材層又は捕塵用ナノ繊維層の性能(捕塵用ナノ繊維層が微細な粉塵を捕捉する性能及び基材層の通気度等)が低下することを防ぐことが可能となる。
【0095】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、基材層10を構成する材料の融点をT1、接合用ナノ繊維層30を構成する熱接合性を有する樹脂の融点をT2、捕塵用ナノ繊維層20を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1−T2≧10℃」かつ「T3−T2≧10℃」の関係を満たすため、T1とT2とが十分離れていて、かつ、T3とT2とも十分に離れているため、熱接合性を有する樹脂を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【0096】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、接合用ナノ繊維層の目付が0.01g/m以上であるため、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接合するために十分な量の接合ナノ繊維を有し、基材層と捕塵用ナノ繊維層とが剥がれにくくなる。また、接合用ナノ繊維層の目付が20g/m以下であるため、接合用ナノ繊維が溶融してもバグフィルター用濾材の空隙を埋めてしまうことを防ぐことが可能となる。その結果、圧力損失を小さくすることが可能となり、バグフィルター用濾材の寿命をより一層長くすることが可能となる。
【0097】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、接合用ナノ繊維が溶融しやすくなり、接合用ナノ繊維層が基材層及び捕塵用ナノ繊維層と接合した構造を多く形成することができる。
【0098】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、接合用ナノ繊維32は、電界紡糸法により形成されたものであるため、所望の性質(組成、厚さ、目付、接合用ナノ繊維の平均径等)を有する接合用ナノ繊維層を形成することができ、所望の性質を有するバグフィルター用濾材とすることが可能となる。
【0099】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1によれば、捕塵用ナノ繊維22は、電界紡糸法により形成されたものであるため、所望の性質(組成、厚さ、目付、捕塵用ナノ繊維の平均径等)を有する捕塵用ナノ繊維層を形成することができ、所望の性質を有するバグフィルター用濾材とすることが可能となる。
【0100】
実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100によれば、搬送装置110と、第1電界紡糸装置120と、第2電界紡糸装置320と、接合装置130とを備えるため、2台の電界紡糸装置及び接合装置を用いて上記したような実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を製造することが可能となる。
【0101】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100によれば、接合装置130は、基材層10と捕塵用ナノ繊維層20との間に接合用ナノ繊維層30を介在させた状態で熱圧着する熱圧着装置であるため、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接合用ナノ繊維によって容易かつ確実に接合することが可能となる。
【0102】
実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造方法によれば、基材層準備工程S1と、第1電界紡糸工程S2と、第2電界紡糸工程S3と、接合工程S4とをこの順序で含むため、2つの電界紡糸工程と接合工程により本発明のバグフィルター用濾材を製造することが可能となる。
【0103】
また、実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造方法によれば、第2ナノ繊維複合体を熱圧着して接合用ナノ繊維の一部を溶融することにより、基材層と捕塵用複合ナノ繊維層とを接合用ナノ繊維で接合する熱圧着工程であるため、基材層と捕塵用ナノ繊維層とを接合用ナノ繊維によって容易かつ確実に接合することが可能となる。
【0104】
4.実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を用いたバグフィルター500の説明
図6は、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を用いて製造されたバグフィルター500を説明するために示す図である。図6(a)はバグフィルター500の外観斜視図であり、図6(b)はバグフィルター500に用いられる骨組520を取り出して示す図である。図7は、実施形態1に係るバグフィルター500におけるパルスジェット洗浄について説明するために示す図である。
【0105】
バグフィルター500は、図6に示すように、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1からなる円筒形状のバグフィルター本体510と、バグフィルター本体510が円筒形状を保持可能とするための骨組520とからなる。
【0106】
バグフィルター本体510は、図6(a)に示すように、円筒形の袋状をなし、一方の端面(上端面)511が開口面となっていて他方の端面(下端面)512が有底となっている。なお、バグフィルター用濾材1Aにおける捕塵用ナノ繊維層20が表面側(濾過対象となる気体の取り入れ側)となっている。
【0107】
骨組520は、図6(b)に示すように、例えば、複数の円形リング521を各円形リングの中心軸が一致するように離間して配置して、当該複数の円形リング521を複数の支持棒522によって支持するような構造としている。
【0108】
このように構成されたバグフィルター500は、例えば、プラントなどの集塵装置(図示せず。)のフィルターとして好適なものとなる。この場合、濾過対象となる気体(空気とする。)は、図5において、実線で示す矢印に沿ってバグフィルター500における捕塵用ナノ繊維層20側から取り込まれて、空気内に含まれる粉塵が捕塵用ナノ繊維層20で捕捉されることにより濾過されて、バグフィルター500の内側空間部を通って、上端面511から濾過済みの空気として排出される。
【0109】
そして、当該バグフィルター500を所定時間使用することによって多量の粉塵が捕捉された場合には、捕捉された粉塵を除去する作業(粉塵除去作業という。)を行う。粉塵除去作業を行う際は、図6に示すように、圧縮空気を圧縮空気噴射ノズル530から噴射させることによる「パルスジェット洗浄」を行う。
【0110】
このとき、圧縮空気噴射ノズル530から噴射した圧縮空気は、バグフィルター500における濾過済みの空気の排出口(バグフィルター本体510の上端面511)からバグフィルター500の内側空間部を通って、バグフィルター本体510を通過するような経路(図6における破線で示す矢印に沿う経路)で流通する。なお、圧縮空気の流通方向は、濾過対象となる空気の流通方向(図6の実線で示す矢印の方向)とは逆の方向であるので、バグフィルター500で捕捉された粉塵を効率よく除去することができる。
【0111】
図7に示すようなパルスジェット洗浄は、バグフィルター500が集塵装置(図示せず。)に取り付けられている場合、当該集塵装置からバグフィルター500を取り外して、図7に示すようなパルスジェット洗浄を行うようにしてもよく、また、集塵装置にパルスジェット洗浄を行うための機構(パルスジェット洗浄機構という。)を常設しておき、バグフィルター500が集塵装置に取り付けられている状態で、バグフィルター500をパルスジェット洗浄するようにしてもよい。
【0112】
このように構成されたバグフィルター500は、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1を用いているため、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1が有する効果を有するものとなる。
【0113】
また、捕塵用ナノ繊維層20においては、捕捉した粉塵は捕塵用ナノ繊維層20の奥深くまでは入り込むことは殆どないため、バグフィルター500をパルスジェット洗浄する場合、効率よく捕塵した粉塵を除去することができる。
【0114】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係るバグフィルター用濾材2を説明するために示す図である。図8(a)は芯材(符号を図示せず。)に巻いた状態のバグフィルター用濾材2の斜視図であり、図8(b)はバグフィルター用濾材2の拡大断面図である。
【0115】
実施形態2に係るバグフィルター用濾材2は、基本的には実施形態1に係るバグフィルター用濾材1と同様の構成を有するが、カバー層をさらに備える点で実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係るバグフィルター用濾材2は、図8に示すように、カバー層60をさらに備え、基材層10、接合用ナノ繊維層30、捕塵用ナノ繊維層20及びカバー層60がこの順序で積層されている。
【0116】
カバー層60は、捕塵用ナノ繊維層20を保護するものであるため、捕塵用ナノ繊維層20よりも空孔率が大きい部材(カバー層形成用部材61という)を用いることができる。実施形態2においては、カバー層形成部材61はガラス繊維で形成されているものとする。カバー層60の目付は20g/m〜100g/mの範囲内にある。また、カバー層60の厚さは1〜10μmの範囲内にある。また、カバー層の空孔率は捕塵用ナノ繊維層20の空孔率よりも大きい。また、カバー層の材料の融点をT4とし、接合用ナノ繊維層30を構成する熱接合性を有する樹脂の融点をT2としたとき、「T4>T2」の関係を満たし、さらに言えば、「T4−T2≧10℃」の関係を満たす。
【0117】
カバー層60がこのような部材(カバー層形成用部材61)で構成されているため、捕塵用ナノ繊維層20の捕塵能力を落とすことなく、捕塵用ナノ繊維層20を保護することができる。特に、大きな粉塵などはカバー層60で捕捉される確率が高いため、大きな粉塵が直接的に捕塵用ナノ繊維層20に触れることが少なくなる。その結果、捕塵用ナノ繊維層20を保護することができ、捕塵用ナノ繊維層20の劣化を抑制することができる。それによって、捕塵用ナノ繊維層20の寿命を長くすることが可能となる。
【0118】
実施形態2に係るバグフィルター用濾材2は以下に示すバグフィルター用濾材の製造装置102によって製造することができる。図9は、実施形態2に係るバグフィルター用濾材の製造装置102を説明するために示す図である。
【0119】
実施形態2に係るバグフィルター用濾材の製造装置102は、基本的には実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100と同様の構成を有するが、カバー層付加装置をさらに備える点が実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造装置100の場合とは異なる。すなわち、バグフィルター用濾材の製造装置102は、図9に示すように、第2ナノ繊維複合体50における捕塵用ナノ繊維層20の表面にカバー層60を形成するカバー層付加装置140をさらに備え、基材層10の搬送方向に沿って、カバー層付加装置140と、接合装置130とが、この順序で配置されている。
【0120】
カバー層付加装置140は、ガラス繊維を用いて製造されたカバー層形成用部材61を繰り出しながら捕塵用ナノ繊維層20に接合させる。これにより、基材層10、接合用ナノ繊維層30’、捕塵用ナノ繊維層20及びカバー層60がこの順番で積層されたナノ繊維複合体70を形成する。
【0121】
実施形態2に係るバグフィルター用濾材2は以下に示すバグフィルター用濾材の製造方法によって製造することができる。図10は、実施形態2に係るバグフィルター用濾材2の製造方法を説明するために示すフローチャートである。図11は、実施形態2におけるナノ繊維複合体70の製造工程を説明するために示す図である。図11(a)〜図11(d)は各工程を示す図である。
【0122】
実施形態2に係るバグフィルター用濾材2の製造方法は、基本的には実施形態1に係るバグフィルター用濾材の製造方法と同様の方法を有するが、カバー層付加工程をさらに含む点が実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の製造方法の場合とは異なる。
【0123】
カバー層付加工程S4は、第2ナノ繊維複合体50における前記捕塵用ナノ繊維層の表面に、捕塵用ナノ繊維層20を機械的に保護するカバー層60を形成する。
【0124】
実施形態2に係るバグフィルター用濾材2によれば、カバー層を有するため、バグフィルター用濾材の製造工程やバグフィルターの使用中に捕塵用ナノ繊維層が損傷することを防ぐことが可能となり、捕塵用ナノ繊維層の寿命を長くすることが可能となる。その結果、バグフィルター用濾材の寿命を長くすることが可能となる。
【0125】
なお、実施形態2に係るバグフィルター用濾材2は、カバー層をさらに備える点以外は実施形態1に係るバグフィルター用濾材1の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係るバグフィルター用濾材1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0126】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0127】
(1)上記各実施形態における各構成要素の数、位置関係、大きさは例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0128】
(2)上記各実施形態においては、1台の第2電界紡糸装置によって捕塵用ナノ繊維層20を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数台の第2電界紡糸装置を用いて捕塵用ナノ繊維層を形成してもよい。このとき、使用するポリマー溶液を個々の第2電界紡糸装置ごとに異ならせるようにしてもよい。
【0129】
(3)上記各実施形態においては、1台の第1電界紡糸装置によって接合用ナノ繊維層30を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数台の第1電界紡糸装置を用いて接合用ナノ繊維層を形成してもよい。このとき、使用するポリマー溶液を個々の第1電界紡糸装置ごとに異ならせるようにしてもよい。
【0130】
(4)上記各実施形態に係るバグフィルター用濾材は、各実施形態に係るバグフィルター用濾材の製造装置を用いて製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のバグフィルター用濾材は、第1電界紡糸装置、第2電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているバグフィルター用濾材の製造装置を用いて製造してもよい。このように、本発明のバグフィルター用濾材は、種々のバグフィルター用濾材の製造装置を用いて製造することができる。
【0131】
(5)上記実施形態2においては、前記基材層の搬送方向に沿って、カバー層付加装置と、接合装置とが、この順に配置されているバグフィルター用濾材の製造装置を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。カバー層付加装置と、接合装置とが、これとは逆の順序に配置されているバグフィルター用濾材の製造装置を用いてもよい。
【0132】
(6)上記実施形態2においては、カバー層付加工程と、接合工程とをこの順序で含む本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。カバー層付加工程と、接合工程とをこの逆で含んでもよい。
【0133】
(7)上記各実施形態においては、基材層10としてPTFEの繊維からなる不織布を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。他の種類の繊維からなる不織布を用いてもよいし、各種材料からなる織物、編物、紙等、を用いることもできる。HEPAフィルターなどのフィルター用濾材を基材層としてもよい。
【0134】
(8)上記実施形態2においては、ガラス繊維を用いて製造されたカバー層形成用部材61を繰り出しながら捕塵用ナノ繊維層20に接合させるカバー層付加装置を用いてカバー層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、捕塵用ナノ繊維層の表面に電界紡糸法やメルトブロー法によってカバー層形成用部材61を形成することによりカバー層を付加するカバー層付加装置を用いてもよい。
【0135】
(9)上記各実施形態においては、接合用ナノ繊維からなる接合用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成する第1電界紡糸装置を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。ナノ繊維を製造できるメルトブロー紡糸装置その他の種類の紡糸装置を用いて接合用ナノ繊維層を形成してもよい。
【0136】
(10)上記各実施形態においては、捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成する第2電界紡糸装置を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。ナノ繊維を製造できるメルトブロー紡糸装置その他の種類の紡糸装置を用いて捕塵用ナノ繊維層を形成してもよい。
【符号の説明】
【0137】
1,2…バグフィルター用濾材、10…基材層、12…基材層を構成する繊維、20…捕塵用ナノ繊維層、22…捕塵用ナノ繊維、30…接合用ナノ繊維層,30’…(接合工程前の)接合用ナノ繊維層,32…接合用ナノ繊維、40…第1ナノ繊維複合体,50…第2ナノ繊維複合体、60…カバー層、61…カバー層形成用部材、70…ナノ繊維複合体、100,102…バグフィルター用濾材製造装置、110…搬送装置、111…繰り出しローラー、112…巻き取りローラー、113,118…テンションローラー、114…補助ローラー、120…第1電界紡糸装置、320…第2電界紡糸装置、130…接合装置、132…カレンダーロール、140…カバー層付加装置、142…カバー層繰り出しローラー、200,400…筐体、210,410…ノズルユニット、220,420…上向きノズル、230,430…ポリマー溶液供給部、232,432…原料タンク、233,433…撹拌装置、234,434…ポリマー溶液供給装置、236,436…パイプ、238,438…バルブ、250,450…コレクター、252,452…絶縁部材、260,462…電源装置、270,470…補助ベルト装置、272,472…補助ベルト、274,474…補助ベルト用ローラー、500…バグフィルター、510…本体、511…一方の端面(上端面)、512…他方の端面(下端面)、520…骨組、521…複数の円形リング、522…支持棒、530…圧縮空気噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層と、
前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを接合するための接合用ナノ繊維を有する接合用ナノ繊維層とを備え、
前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維で接合した構造を有することを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項2】
請求項1に記載のバグフィルター用濾材において、
前記接合用ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とは、少なくとも一部を溶融した接合用ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項3】
請求項2に記載のバグフィルター用濾材において、
前記基材層を構成する材料の融点をT1、前記接合用ナノ繊維層を構成する前記熱接合性を有する樹脂の融点をT2、前記捕塵用ナノ繊維層を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1>T2」かつ「T3>T2」の関係を満たすことを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項4】
請求項3に記載のバグフィルター用濾材において、
前記基材層を構成する材料の融点をT1、前記接合用ナノ繊維層を構成する前記熱接合性を有する樹脂の融点をT2、前記捕塵用ナノ繊維層を構成する材料の融点をT3としたとき、「T1−T2≧10℃」かつ「T3−T2≧10℃」の関係を満たすことを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のバグフィルター用濾材において、
前記接合用ナノ繊維層の目付は、0.01g/m〜20g/mの範囲内にあることを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のバグフィルター用濾材において、
前記捕塵用ナノ繊維の平均径をD1とし、前記接合用ナノ繊維の平均径をD2としたとき、「0.01≦D2/D1≦0.50」の関係を満たすことを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のバグフィルター用濾材において、
前記接合用ナノ繊維は、電界紡糸法により形成されたものであることを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のバグフィルター用濾材において、
前記捕塵用ナノ繊維は、電界紡糸法により形成されたものであることを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のバグフィルター用濾材において、
前記補塵用ナノ繊維層は、前記接合用ナノ繊維層との接合面とは反対側の面にカバー層をさらに備えることを特徴とするバグフィルター用濾材。
【請求項10】
バグフィルター用濾材の製造装置であって、
基材層を搬送する搬送装置と、
前記基材層の表面に、接合用ナノ繊維からなる接合用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第1ナノ繊維複合体を形成する第1電界紡糸装置と、
前記第1ナノ繊維複合体における前記結合用ナノ繊維層の表面に、捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第2ナノ繊維複合体を形成する第2電界紡糸装置と、
前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維によって接合する接合装置とを備えることを特徴とするバグフィルター用濾材の製造装置。
【請求項11】
請求項10に記載のバグフィルター用濾材の製造装置において、
前記接合装置は、前記第2ナノ繊維複合体を熱圧着して前記接合用ナノ繊維の一部を溶融することにより、前記基材層と前記捕塵用複合ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維で接合する熱圧着装置であることを特徴とするバグフィルター用濾材の製造装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のバグフィルター用濾材の製造装置において、
前記第2ナノ繊維複合体における前記捕塵用ナノ繊維層の表面に、カバー層を形成するカバー層付加装置をさらに備え、
前記基材層が搬送される方向に沿って、前記カバー層付加装置と前記接合装置とが、この順序又はこれとは逆の順序で配置されていることを特徴とするバグフィルター用濾材の製造装置。
【請求項13】
バグフィルター用濾材の製造方法であって、
基材層を準備する基材層準備工程と、
前記基材層の表面に、接合用ナノ繊維からなる接合用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第1ナノ繊維複合体を形成する第1電界紡糸工程と、
前記第1ナノ繊維複合体における前記結合用ナノ繊維層の表面に、捕塵用ナノ繊維からなる捕塵用ナノ繊維層を電界紡糸法により形成して第2ナノ繊維複合体を形成する第2電界紡糸工程と、
前記基材層と前記捕塵用ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維によって接合する接合工程とをこの順序で含むことを特徴とするバグフィルター用濾材の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載のバグフィルター用濾材の製造方法において、
前記接合工程は、前記第2ナノ繊維複合体を熱圧着して前記接合用ナノ繊維の一部を溶融することにより、前記基材層と前記捕塵用複合ナノ繊維層とを前記接合用ナノ繊維で接合する熱圧着工程であることを特徴とするバグフィルター用濾材の製造方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のバグフィルター用濾材の製造方法において、
前記第2ナノ繊維複合体における前記捕塵用ナノ繊維層の表面に、前記カバー層を形成するカバー層付加工程をさらに含み、
前記カバー層付加工程と、前記接合工程とをこの順序又はこれとは逆の順序で含むことを特徴とするバグフィルター用濾材の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載のバグフィルター用濾材を備えるバグフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−22570(P2013−22570A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162597(P2011−162597)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(508231821)トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】TOPTEC Co., Ltd.
【Fターム(参考)】