説明

バグフィルタ及び排ガス処理装置

【課題】装置の省スペース化が可能で、且つ脱硝効率を高く維持することができるバグフィルタ及び排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスが、筒状ろ布61の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去するバグフィルタ60において、前記筒状ろ布61の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面に第1の触媒層62を有し、前記排ガスの排気面に前記第1の触媒層62とは異なる種類の触媒で形成された第2の触媒層63を有しており、前記第2の触媒層63は脱硝触媒で形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ布に脱硝触媒を担持させて脱硝を行うようにしたバグフィルタ、及び該バグフィルタを有する除塵手段を備えた排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばゴミ焼却炉や石炭焚きボイラ等の燃焼機器から排出される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)が含まれている。そのため、燃焼機器が具備する排ガス処理装置にはNOxを低減する手段が設けられている。
ここで一例として、図10を参照して従来の排ガス処理装置を備えたゴミ焼却プラントの構成例を説明する。ゴミ焼却プラントでは、焼却炉1で発生した排ガスはボイラ2で熱回収された後、減温塔3で水噴霧により冷却される。次いで除塵手段5で排ガスの除塵が行なわれるとともに、必要に応じてこの上流側で排ガス中に供給された消石灰によりHCl除去、SOx除去が行われる。さらに除塵手段5には脱硝触媒が担持されており、この上流側で排ガス中に供給された還元剤5aにより除塵手段5でNOxが除去される。各種の有害物質が除去された排ガスは、煙突7より外部に排出される。
【0003】
上記したように従来の排ガス処理装置では、除塵手段5に脱硝触媒を担持させて、脱硝触媒でNOxの脱硝反応を行わせる構成が多く用いられている。例えば特許文献1(特開平9−290136号公報)には、脱硝触媒成分を担持した脱じん用フィルタを配置した構成が開示されている。さらにここで用いられる脱硝触媒には、酸化チタン系の触媒、例えばTi−Mo−V系やTi−W−V系の触媒が適していると記載されている。
また、特許文献2(特開平1−127028号公報)には、バグフィルタの筒状ろ布の変形を防ぐために筒状ケージが配置され、この筒状ケージに脱硝触媒が担持されたバグフィルタの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−290136号公報
【特許文献2】特開平1−127028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、従来よりバグフィルタのろ布に担持させる脱硝触媒には、Ti−Mo−V系やTi−W−V系等の触媒が多く用いられていた。しかしながら、これらの脱硝触媒は硫黄分に弱く、排ガス中に含まれるSOxにより劣化が促進されてしまう。そこで、NOxの反応率から決定する触媒量よりろ布に担持させる触媒量を多くする必要があった。ところが、ろ布に脱硝触媒を担持させる構成では、触媒量を多くするとバグフィルタの圧力損失が高くなり、ランニングコストが高くなってしまうという問題があった。また、一般にバグフィルタでは、煤塵がろ布に一定量以上堆積したら煤塵を払い落とすために空気逆洗を行っているが、ろ布に担持させる触媒量が多くなると空気逆洗効果が半減してしまい、ろ布に堆積した煤塵を十分に払い落とすことができず、やはり圧力損失が高くなってしまう。一方、従来から耐硫黄性の脱硝触媒も知られているが、この耐硫黄性の脱硝触媒は上記したようなTi−Mo−V系やTi−W−V系等の脱硝触媒より脱硝効率が低く、且つ高価であった。
【0006】
また、一般に脱硝反応はNOと還元剤との反応を基本としているが、この反応はNOとNOが等量存在する場合に比べて反応速度が遅い。しかし、排ガス中に含まれるNOはNOに比べて極めて少なくいため、脱硝効率を向上させることは難しかった。そこで特許文献1のように酸化剤を供給してNOx中のNO比率を増大させることが考えられるが、この場合NOを生成する酸化反応を促進させるために、酸化触媒を用いた触媒塔等を設置する必要があり、設置スペースの増大が問題となる。
【0007】
さらに、特許文献2に開示されるように筒状ケージに脱硝触媒を担持する構成においては、ろ布に脱硝触媒を担持する場合よりも排ガスとの接触面積が小さくなり、脱硝効率が低下することが考えられる。
さらにまた、従来の排ガス処理装置では、脱硝効率を高く維持するために還元剤を多く供給しており、この場合、除塵手段をスリップして排出規制のあるNH等の還元剤が煙突から排出してしまうことがあった。そこで還元剤を排ガス処理装置内で除去するためには、別途、脱硝触媒の下流側に還元剤浄化用触媒を担持した触媒塔を設置する必要があり、設置スペースの増大が問題となっていた。
【0008】
したがって、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、装置の省スペース化が可能で、且つ脱硝効率を高く維持することができるバグフィルタ及び排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るバグフィルタは、窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスが、筒状ろ布の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去するバグフィルタにおいて、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面に第1の触媒層を有し、前記排ガスの排気面に前記第1の触媒層とは異なる種類の触媒で形成された第2の触媒層を有しており、前記第2の触媒層は脱硝触媒で形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、筒状ろ布の外表面及び内表面のうち排ガスの導入面と排気面に、それぞれ異なる種類の触媒で形成された第1の触媒層と第2の触媒層とを設けることにより、1つのバグフィルタで2つの触媒機能を実現することができ、従来は除塵手段とは別に触媒塔等を設けていたところ、この機能をバグフィルタに担わせることで装置の省スペース化が図れる。
また、排ガス中に含有される硫黄酸化物(SOx)は煤塵中に多く含まれるが、この煤塵は筒状ろ布の表面のうち排ガス導入面に堆積し、排ガス排気面側へ通過するSOxは低減される。したがって、排ガス排気面に設けられた第2の触媒層でのSOx濃度は低くなり、第2の触媒層を形成する脱硝触媒の劣化を抑制することが可能で、延いては脱硝効率を高く維持することが可能となる。
【0011】
なお、本発明は特に、バグフィルタより上流側で消石灰や苛性ソーダ等のアルカリ剤を排ガスに供給して酸性ガス(SOx、HCl等)除去を行う場合に適している。これは、例えば消石灰を供給して筒状ろ布の排ガス導入面に消石灰層を形成し、この消石灰層で排ガス中のSOxやHClを中和反応させ、煤塵とともに除去する。このような構成を有する排ガス処理装置に本発明を適用することにより、筒状ろ布の排ガス排気面側に通過するSOxをより低減させることができ、脱硝触媒のSOxによる劣化をより一層防止することが可能となる。
【0012】
また、本発明の一の態様として、前記第1の触媒層は耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成され、前記第2の触媒層は耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成されていることが好ましい。
ここで、耐硫黄性を有する脱硝触媒には、例えば酸化チタンを主成分とし、活性金属成分としてバナジウム、タングステン、モリブデンの少なくともいずれかを含むとともに、クロム、マンガン、銅、コバルトのうち少なくともいずれかを含む触媒、又は、ゼオライトを主成分とし、鉄、コバルト、ニッケル、銅のうち少なくともいずれかを含む触媒が挙げられる。一方、耐硫黄性を有していない脱硝触媒には、例えば酸化チタンを主成分とし、活性金属成分としてバナジウム、タングステン、モリブデンの少なくともいずれかを含み、クロム、マンガン、銅、コバルトを含まない触媒が挙げられる。
【0013】
本構成では、排ガス導入面に設けられた第1の触媒層が、耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成されていることにより、排ガス中に含有されるSOxにより第1の触媒層を形成する脱硝触媒が劣化することを抑制できる。また、上記したような耐硫黄性を有していない脱硝触媒は、耐硫黄性を有する脱硝触媒より脱硝効率が高いため、SOx濃度の低い排ガス排気面に、耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成した第2の触媒層を設けることにより、脱硝効率をより一層高くすることが可能となる。
【0014】
また、本発明の他の態様として、前記第1の触媒層は、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成されていることが好ましい。
ここで、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒とは、例えば、シリカ、チタニア、ゼオライト、アルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物に、白金、パラジウム、ロジウム及び金等の活性金属を担持した触媒が挙げられる。
【0015】
このように、第1の触媒層が酸化触媒で形成されていることにより、まず最初に排ガス導入面で排ガス中に含有されるNOからNOを生成する反応を促進し、次いで排ガス排気面で第2の触媒層の脱硝触媒によりNO、NOの脱硝反応を促進する。NO、NOが等量存在する場合の脱硝反応はNO単独の脱硝反応よりも反応速度が速いため、第1の触媒層で予めNOx中のNOの比率を増加させておくことにより、第2の触媒層での脱硝効率をより一層高くすることが可能となる。
【0016】
さらにまた、前記排ガスが前記筒状ろ布の外表面から内表面に通過するバグフィルタであって、前記筒状ろ布の内表面に接して設けられたろ布変形防止用のリテーナを有し、前記リテーナの表面に、前記排ガスに含まれる還元剤を分解する還元剤浄化用触媒が塗布されていることが好ましい。
ここで、還元剤浄化用触媒とは、例えば、白金、パラジウム又はロジウムより選ばれる貴金属の塩類、若しくはこれらの貴金属をゼオライト、アルミナ、シリカ等の多孔体単体に担持したものが用いられる。
このように、リテーナの表面に還元剤浄化用触媒が塗布されていることにより、筒状ろ布表面での脱硝反応に用いられなかった未反応の還元剤の分解反応を促進することができる。また、還元剤浄化装置を新たに設けない構成とすることもでき、装置の省スペース化が図れる。
【0017】
また、本発明に係る排ガス処理装置は、窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記還元剤供給手段より排ガス流れ方向下流側に設けられた除塵手段とを備えた排ガス処理装置において、前記除塵手段が、複数の筒状ろ布を含み、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に前記排ガスが通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去する構成であり、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面に耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成された第1の触媒層が設けられ、前記排ガスの排気面に耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成された第2の触媒層が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記還元剤供給手段より排ガス流れ方向下流側に設けられた除塵手段とを備えた排ガス処理装置において、前記除塵手段が、複数の筒状ろ布を含み、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に前記排ガスが通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去する構成であり、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面にNOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成された第1の触媒層が設けられ、前記排ガスの排気面に脱硝触媒で形成された第2の触媒層が設けられていることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記除塵手段は前記筒状ろ布の外表面から内表面に排ガスが通過する構成であり、前記筒状ろ布の内表面に接して設けられたろ布変形防止用のリテーナを有し、前記リテーナの表面に前記排ガスに含まれる前記還元剤を分解する還元剤浄化用触媒が塗布されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上記載のように本発明によれば、筒状ろ布の外表面及び内表面のうち排ガスの導入面と排気面に、それぞれ異なる種類の触媒で形成された第1の触媒層と第2の触媒層とを設けることにより、一のバグフィルタで2つの触媒機能を実現することができ、従来は除塵手段とは別に触媒塔等を設けていたところ、この機能をバグフィルタに担わせることで装置の省スペース化が図れる。
また、排ガス中に含有される硫黄酸化物は煤塵中に多く含まれるが、この煤塵は筒状ろ布の表面のうち排ガス導入面に堆積し、排ガス排気面側へ通過するSOxは低減される。したがって、排ガス排気面に設けられた第2の触媒層でのSOx濃度は低くなり、第2の触媒層を形成する脱硝触媒の劣化を抑制することが可能で、延いては脱硝効率を高く維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る排ガス処理装置の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態における除塵手段の内部構成を示す概略側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るバグフィルタの構成を示す図であり、(A)はリテーナを装着した状態を示す斜視図で、(B)はリテーナを一部抜き出した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例に係るバグフィルタの筒状ろ布の斜視図である。
【図5】本発明の第1実施例に係るバグフィルタの筒状ろ布の拡大断面図である。
【図6】本発明の第2実施例に係るバグフィルタの筒状ろ布の斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例に係るバグフィルタの筒状ろ布の拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施例に係るバグフィルタの構成を示す図であり、(A)は筒状ろ布の斜視図で、(B)は筒状ろ布からリテーナを一部抜き出した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施例に係るバグフィルタの拡大断面図である。
【図10】従来の排ガス処理装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。なお、本実施形態では、一例として排ガス処理装置をゴミ焼却プラントに取り付けた場合につき説明するが、排ガス処理装置を取り付ける燃焼機器はこれに限定されるものではなく、熱分解炉、溶融炉、ボイラ、内燃機関、外燃機関等種々の燃焼機器に適用することができる。より好ましくは、本発明は焼却炉、熱分解炉、溶融炉、ボイラに取り付けられる排ガス処理装置に適している。
【0023】
まず最初に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る排ガス処理装置が適用されるゴミ焼却プラントの全体構成を説明する。
ゴミ焼却プラントは、主に、焼却炉1と、ボイラ2と、減温塔3と、還元剤供給手段4と、除塵手段5と、煙突7とを有する。
【0024】
焼却炉1は、ゴミを燃焼させる燃焼機器であり、ストーカ式焼却炉、流動床式焼却炉、バーナ式焼却炉等の各種の焼却炉を用いることができる。例えばストーカ式焼却炉を用いる場合、投入ホッパ11から投入されたゴミは、火炉12内で火格子上を移送されながら火炉底部から導入される一次空気により燃焼する。この燃焼により発生した排ガス中の未燃分は、火炉上方に導入される二次空気により再燃焼する。焼却炉1でゴミを燃焼させることにより発生した燃焼灰は灰処理部13に送られ、排ガスは配管によりボイラ2に送られる。
【0025】
ボイラ2は、焼却炉1から排出される高温の排ガスから熱を回収する。ボイラ2で熱を回収された排ガスは減温塔3に送られる。
減温塔3は、水が貯留された水タンク31と接続されている。水タンク31の水はポンプ32により減温塔3に供給される。そして、ボイラ2から送られた排ガスに減温塔3で水を噴霧し、排ガスを冷却する。減温塔3で冷却された排ガスは除塵手段5に送られる。
【0026】
減温塔3と除塵手段5とを接続する配管には、還元剤供給手段4が設けられている。還元剤供給手段4は、還元剤を貯留する還元剤タンク41からポンプ42により還元剤を送給し、この還元剤を排ガス中に供給する手段である。還元剤の状態は液体、気体、粉末固体のいずれであってもよく、具体的に還元剤としては、尿素水、アンモニア水、アンモニアガス等が用いられる。なお、還元剤供給手段4は、除塵手段5より上流側の配管であればどの位置に接続されていてもよい。
また、除塵手段5の上流側の配管に、添加剤供給手段8を接続してもよい。添加剤供給手段8は、還元剤以外の添加剤を供給する手段である。添加剤としては、例えば排ガス中に含まれるHClやSOx等の酸性ガスを中和する消石灰や苛性ソーダ等のアルカリ剤、又は、排ガス中のダイオキシン類を吸着除去する活性炭、又は、除塵手段5のろ布の目詰まりを抑制する特反剤(珪藻土)等が挙げられる。
【0027】
除塵手段5は、配管を介して減温塔3と接続されており、減温塔3から該配管を通過した排ガスが導入される。除塵手段5は複数の筒状ろ布を含み、主に、排ガス中に含まれる煤塵を除去するとともに、排ガス中のNOxと還元剤とを触媒存在下で反応させ、NOxを還元する。さらに除塵手段5では、その上流側で上記した各種添加剤が添加された場合には、排ガス中の酸性ガスと消石灰との中和反応で得られた塩類やダイオキシン類等を吸着した活性炭を含む煤塵を除去する。除塵手段5で除塵、NOx還元が行われて浄化された排ガスは煙突7から排出される。
【0028】
図2は本発明の実施形態における除塵手段5の内部構成を示す概略側面図である。
除塵手段5は、排ガス流入部51と、排ガス流出部52と、排ガス流入部51に連通するダーティ室53と、排ガス流出部52に連通するクリーン室54と、クリーン室54に配置されるブローチューブ56と、ブローチューブ56に接続される逆洗ヘッダ55と、ダーティ室53に配置されブローチューブ56に接続される複数のバグフィルタ60とを有する。
【0029】
焼却炉1からの排ガスは、排ガス流入部51を通ってダーティ室53に流入し、バグフィルタ60を通過してクリーン室54に流入し、排ガス流出部52を通ってクリーン室54から流出し、煙突7に導かれる。
この除塵手段5は、適切なタイミングで逆洗操作を行うようになっている。逆洗操作において、逆洗ヘッダ55から送り出された逆洗用空気は、ブローチューブ56からバグフィルタ60に噴き出し、バグフィルタ60の筒状ろ布61を内側から外側へ通過する。このとき、筒状ろ布に堆積した堆積層の一部が筒状ろ布61から除去される。
なお、ここではバグフィルタ60の筒状ろ布61の外表面から内表面に排ガスが通過して除塵が行われる構成について説明したが、筒状ろ布61の内表面から外表面に排ガスが通過して除塵が行われる構成としてもよい。この場合、ダーティ室53とクリーン室54が逆の配置となる。
【0030】
次いで、図3を参照して、本発明の実施形態に係るバグフィルタ60の構成を説明する。ここで、図3は本発明の実施形態に係るバグフィルタ60の構成を示す図であり、(A)はリテーナ65を装着した状態を示す斜視図で、(B)はリテーナ65を一部抜き出した状態を示す斜視図である。
バグフィルタ60は、筒状ろ布61と、該筒状ろ布61の内表面に接して設けられるろ布変形防止用のリテーナ65とを有している。
筒状ろ布61は、円筒部61aと、該円筒部61aの一端側の開口を塞ぐ底部61bとを含む。
リテーナ65は、筒状ろ布61内に挿入される円筒部66と、クリーン室54に配置されるベンチュリ部67とを含む。円筒部65は、筒状ろ布61の形状を保持するとともに該筒状ろ布61を通過する排ガスの流れを阻止しないように、複数の排ガス通気部を有するように形成されている。例えば、リテーナ65の円筒部65は、メッシュ構造又は格子状構造を有する。
【0031】
このようなバグフィルタ60において、図2に示すような排ガス流れの場合は、図3の矢印B方向に排ガスが流れる。すなわち、筒状ろ布61の外表面から内表面に排ガスが通過するようになっている。一方、図3の矢印A方向に排ガスが流れる構成とすることもでき、この場合、筒状ろ布61の内表面から外表面に排ガスが通過するようになっている。この筒状ろ布61の表面において、排ガスの流れ方向上流側に位置する面を排ガス導入面と呼び、下流側に位置する面を排ガス排気面と呼ぶ。
【0032】
本発明の実施形態においては、バグフィルタ60は、筒状ろ布61の外表面及び内表面のうち排ガスの導入面に第1の触媒層を有し、排ガスの排気面に第1の触媒層とは異なる種類の触媒で形成された第2の触媒層を有している。さらに、第2の触媒層は脱硝触媒で形成されている。
【0033】
このように、筒状ろ布61の外表面及び内表面のうち排ガスの導入面と排気面に、それぞれ異なる種類の触媒で形成された第1の触媒層と第2の触媒層とを設けることにより、一のバグフィルタ60で2つの触媒機能を実現することができ、従来は除塵手段とは別に触媒塔等を設けていたところ、この機能をバグフィルタ60に担わせることで装置の省スペース化が図れる。
また、排ガス中に含有される硫黄酸化物は煤塵中に多く含まれるが、この煤塵は筒状ろ布61の表面のうち排ガス導入面に堆積し、排ガス排気面側へ通過するSOxは低減される。したがって、排ガス排気面に設けられた第2の触媒層でのSOx濃度は低くなり、第2の触媒層を形成する脱硝触媒の劣化を抑制することが可能で、延いては脱硝効率を高く維持することが可能となる。
【0034】
なお、本発明の実施形態は、バグフィルタ60より上流側で消石灰や苛性ソーダ等のアルカリ剤を排ガスに供給して酸性ガス(SOx、HCl等)除去を行う添加剤供給手段8(図1参照)を有している場合に特に適している。これは、例えば消石灰を供給して筒状ろ布61の排ガス導入面に消石灰層を形成し、この消石灰層で排ガス中のSOxやHClを中和反応させ、煤塵とともに除去する。このような構成を有する排ガス処理装置に本発明を適用することにより、筒状ろ布61の排ガス排気面側に通過するSOxをより低減させることができ、脱硝触媒のSOxによる劣化をより一層防止することが可能となる。
次に、以下に示す第1実施例乃至第3実施例により、本発明に係るバグフィルタ60の具体的な構成をさらに説明する。
【0035】
(第1実施例)
図4及び図5により本発明の第1実施例に係るバグフィルタ60の構成を説明する。ここで、図4は本発明の第1実施例に係るバグフィルタ60の筒状ろ布61の斜視図であり、図5は本発明の第1実施例に係るバグフィルタ60の筒状ろ布61の拡大断面図である。なお、図4及び図5に示すバグフィルタ60において、リテーナ65は省略している。
このバグフィルタ60は、筒状ろ布61の外表面及び内表面のうち排ガス導入面に耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成された第1の触媒層62が設けられ、排ガス排気面に耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成された第2の触媒層63が設けられている。このとき、筒状ろ布61の円筒部61aと底部61bの両方に同様の触媒層を設けることが好ましい。なお、図4では一例として、筒状ろ布61の外側から内側に向けて排ガスが流れる場合を示している。したがって、この図では外表面が排ガス導入面となり、内表面が排ガス排気面となる。
【0036】
耐硫黄性を有する脱硝触媒には、例えば酸化チタンを主成分とし、活性金属成分としてバナジウム、タングステン、モリブデンの少なくともいずれかを含むとともに、クロム、マンガン、銅、コバルトのうち少なくともいずれかを含む触媒、又は、ゼオライトを主成分とし、鉄、コバルト、ニッケル、銅のうち少なくともいずれかを含む触媒が挙げられる。
一方、耐硫黄性を有していない脱硝触媒には、例えば酸化チタンを主成分とし、活性金属成分としてバナジウム、タングステン、モリブデンの少なくともいずれかを含み、クロム、マンガン、銅、コバルトを含まない触媒が挙げられる。
【0037】
また、具体的には、筒状ろ布61の厚さが1mm以上数mm以下である場合、第1の触媒層62及び第2の触媒層63の厚さは、0.1μm以上数μm以下であることが好ましく、さらに好適には0.1μm以上1.0μm以下であるとよい。これは、第1の触媒層62及び第2の触媒層63の厚さが0.1μm未満である場合、触媒層と排ガスとの十分な接触が得られず脱硝率が低くなってしまい、一方、第1の触媒層62及び第2の触媒層63の厚さが数μm超過である場合、圧力損失が高くなりランニングコストが高くなったり、触媒層が厚すぎて逆洗操作を行ったときに触媒層が剥がれ落ちてしまうことがある。
【0038】
このような第1の触媒層62及び第2の触媒層63の形成方法は、例えば、筒状ろ布61の内表面及び外表面のうち一面側をマスキングしておき、触媒を溶媒に溶かした触媒スラリに筒状ろ布61を含浸させた後、同様に他面側をマスキングして他の種類の触媒スラリに筒状ろ布61を含浸させ、筒状ろ布61の両面にそれぞれ異なる種類の触媒層を形成する。また別の方法として、筒状ろ布61を吊下した状態で、一面側に触媒スラリをスプレーで塗布した後、他面側に他の種類の触媒スラリをスプレーで塗布し、筒状ろ布61の両面にそれぞれ異なる種類の触媒層を形成する。なお、各触媒層の形成方法は上記に限定されるものではなく、それぞれ異なる種類の触媒層を分離した状態で形成することができればいずれの方法を採用してもよい。更に、触媒の存在箇所はろ布の外表面、内表面に限定されるものではなく、いずれかの触媒をろ布の繊維内部に埋め込んでもよい。
【0039】
ここで、図5を参照して、上記した構成を有するバグフィルタ60の作用を説明する。
ダーティ室53に導入される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、塩化水素(HCl)、煤塵(ダスト)、及び還元剤供給手段で供給された還元剤(NH等)が含まれている。筒状ろ布61の表面には、SOxやHClを中和するアルカリ剤として予め供給された消石灰層101が形成されている。さらに消石灰層101の表面には煤塵が堆積した煤塵層102が形成されている。消石灰層101と煤塵層102とを含めて堆積層100と称する。
上記した排ガスは、堆積層100、耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成された第1の触媒層62、筒状ろ布61、耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成された第2の触媒層63の順に通過する。
【0040】
まず、排ガス中の煤塵は堆積層100の表面にさらに堆積し、排ガス中のSOx、HClは消石灰層101で主に以下の反応式(1)、(2)により消石灰と中和反応して除去される。
Ca(OH)+SOx→CaSO+HO ・・・(1)
Ca(OH)+2HCl→CaCl+HO ・・・(2)
【0041】
続いて排ガス中のNOxは、まず第1の触媒層62で脱硝触媒の存在下にて脱硝反応して除去され、排ガス中に残存するNOxは、筒状ろ布61を通過した後、第2の触媒層63で脱硝触媒の存在下にて脱硝反応して除去される。第1の触媒層62及び第2の触媒層63では、主に以下の反応式(3)により脱硝反応が行われる。
4NO+4NH+O→4N+6HO ・・・(3)
このようにして、バグフィルタ60により排ガス中の煤塵、SOx、HCl、NOxが除去される。
【0042】
本第1実施例では、排ガス導入面に設けられた第1の触媒層62が、耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成されていることにより、排ガス中に含有されるSOxにより第1の触媒層62を形成する脱硝触媒が劣化することを抑制できる。また、上記したような耐硫黄性を有していない脱硝触媒は、耐硫黄性を有する脱硝触媒より脱硝効率が高いため、SOx濃度の低い排ガス排気面に、耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成した第2の触媒層63を設けることにより、脱硝効率をより一層高くすることが可能となる。
【0043】
(第2実施例)
図6及び図7により本発明の第2実施例に係るバグフィルタ60の構成を説明する。ここで、図6は本発明の第2実施例に係るバグフィルタ60の筒状ろ布61の斜視図であり、図7は本発明の第2実施例に係るバグフィルタ60の筒状ろ布61の拡大断面図である。なお、図6及び図7に示すバグフィルタ60において、リテーナ65は省略している。また、上記した第1実施例と同一の構成については、その詳細な説明を省略する。
このバグフィルタ60は、筒状ろ布61の外表面及び内表面のうち排ガス導入面に、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成された第1の触媒層64が設けられ、排ガス排気面に脱硝触媒で形成された第2の触媒層63が設けられている。なお、図6では一例として、筒状ろ布61の外側から内側に向けて排ガスが流れる場合を示している。したがって、この図では外表面が排ガス導入面となり、内表面が排ガス排気面となる。
【0044】
NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒には、例えば、シリカ、チタニア、ゼオライト、アルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物に、白金、パラジウム、ロジウム及び金等の活性金属を担持した触媒が挙げられる。
一方、脱硝触媒には、例えば、第1実施例で記載した耐硫黄性を有する脱硝触媒又は耐硫黄性を有していない脱硝触媒が用いられる。好適には、耐硫黄性を有していない脱硝触媒が用いられる。
各触媒層の厚さやその形成方法は第1実施例と同様である。
【0045】
ここで、図7を参照して、上記した構成を有するバグフィルタ60の作用を説明する。
ダーティ室53に導入される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、塩化水素(HCl)、煤塵(ダスト)、及び還元剤供給手段で供給された還元剤(NH3等)が含まれている。筒状ろ布61の表面には、消石灰層101、煤塵層102からなる堆積層100が形成されている。
上記した排ガスは、堆積層100、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成された第1の触媒層64、筒状ろ布61、脱硝触媒で形成された第2の触媒層63の順に通過する。
【0046】
まず、排ガス中の煤塵は堆積層100の表面にさらに堆積し、排ガス中のSOx、HClは消石灰層101で第1実施例に示した反応式(1)、(2)により消石灰と中和反応して除去される。
続いて排ガス中のNOxは、第1の触媒層64で酸化触媒の存在下にて、主に以下の反応式(4)に示すNO生成反応によりNOからNOが生成される。
2NO+O→2NO ・・・(4)
【0047】
そして、排ガス中に残存するNOと、第1の触媒層64で生成されたNOとを含む排ガスは、筒状ろ布61を通過した後、第2の触媒層63で脱硝触媒の存在下にて脱硝反応して除去される。第2の触媒層63では、主に、第1実施例に示した反応式(3)と、以下に示す反応式(5)、(6)とにより脱硝反応が行われる。
2NO+2NO+4NH→4N+6HO ・・・(5)
6NO+8NH→7N+12HO ・・・(6)
このようにして、バグフィルタ60により排ガス中の煤塵、SOx、HCl、NOxが除去される。
【0048】
本第2実施例では、第1の触媒層64が酸化触媒で形成されていることにより、まず最初に排ガス導入面で排ガス中に含有されるNOからNOを生成する反応を促進し、次いで排ガス排気面で第2の触媒層63の脱硝触媒によりNO、NOの脱硝反応を促進する。NOとNOが等量存在する場合の脱硝反応はNOの脱硝反応よりも反応速度が速いため、第1の触媒層64で予めNOの比率を増加させておくことにより、第2の触媒層63での脱硝効率をより一層高くすることが可能となる。NO/NO比はより好ましくは1とすることがよく、このときに最も脱硝反応速度が速く、高脱硝性能となる。
【0049】
(第3実施例)
図8及び図9により本発明の第3実施例に係るバグフィルタ60の構成を説明する。ここで、図8は本発明の第3実施例に係るバグフィルタ60の構成を示す図であり、(A)は筒状ろ布61の斜視図で、(B)は筒状ろ布61からリテーナ65を一部抜き出した状態を示す斜視図であり、図9は本発明の第3実施例に係るバグフィルタ60の筒状ろ布61の拡大断面図である。また、上記した第1実施例、第2実施例と同一の構成については、その詳細な説明を省略する。
このバグフィルタ60は、筒状ろ布61の外側から内側に向けて排ガスが流れるように構成される。バグフィルタ60は、筒状ろ布61の排ガス導入面である外表面にNOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成された第1の触媒層64が設けられ、排ガス排気面である内表面に脱硝触媒で形成された第2の触媒層63が設けられている。
【0050】
さらに、第3実施例においては、リテーナ65の円筒部66に、還元剤浄化用触媒69が塗布された構成となっている。このとき、円筒部66の底部にも還元剤浄化用触媒69が塗布されていることが好ましい。
ここで、還元剤浄化用触媒69とは、例えば、白金、パラジウム又はロジウムより選ばれる貴金属の塩類、若しくはこれらの貴金属をゼオライト、アルミナ、シリカ等の多孔体単体に担持したものが用いられる。
リテーナ65に還元剤浄化用触媒69を塗布する方法としては、例えば、触媒を溶媒に溶かした触媒スラリにリテーナ65を含浸させたり、触媒スラリをスプレーでリテーナ65に塗布したりする方法が挙げられる。但し、還元剤浄化用触媒69を塗布する方法は上記に限定されるものではなく、リテーナ65の表面に触媒を塗布することができればいずれの方法を採用してもよい。
なお、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒及び脱硝触媒の構成、並びに各触媒層の厚さやその形成方法は第1実施例又は第2実施例と同様である。
【0051】
ここで、図9を参照して、上記した構成を有するバグフィルタ60の作用を説明する。
ダーティ室53に導入される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、塩化水素(HCl)、煤塵(ダスト)、及び還元剤供給手段で供給された還元剤(NH3等)が含まれている。筒状ろ布61の表面には、消石灰層101、煤塵層102からなる堆積層100が形成されている。
上記した排ガスは、堆積層100、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成された第1の触媒層64、筒状ろ布61、脱硝触媒で形成された第2の触媒層63、還元剤浄化用触媒69が塗布されたリテーナ65の順に通過する。
【0052】
まず、排ガス中の煤塵は堆積層100の表面にさらに堆積し、排ガス中のSOx、HClは消石灰層101で第1実施例に示した反応式(1)、(2)により消石灰と中和反応して除去される。
続いて排ガス中のNOxは、第1の触媒層64で酸化触媒の存在下にて、実施例2に示した反応式(4)によりNOからNOが生成される。
そして、排ガス中に残存するNOと、第1の触媒層64で生成されたNOとを含む排ガスは、筒状ろ布61を通過した後、第2の触媒層63で脱硝触媒の存在下にて脱硝反応して除去される。第2の触媒層63では、主に、第1実施例に示した反応式(3)と、第2実施例に示した反応式(5)、(6)とにより脱硝反応が行われる。
【0053】
さらに、排ガス中に残存する未反応のアンモニアは、以下の反応式(7)により分解し浄化される。
4NH+3O→2N+6HO ・・・(7)
このようにして、バグフィルタ60により排ガス中の煤塵、SOx、HCl、NOxが除去されるとともに、未反応のアンモニアもリテーナ65で浄化される。
【0054】
本第3実施例では、リテーナ65の表面に還元剤浄化用触媒69が塗布されていることにより、筒状ろ布61表面での脱硝反応に用いられなかった未反応の還元剤の分解反応を促進することができる。また、還元剤浄化装置を新たに設けない構成とすることもでき、装置の省スペース化が図れる。また供給する還元剤量を誤って多量に供給した場合にも未反応の還元剤排出量を低減できる。
【0055】
なお、上記した第3実施例では、第2実施例に示した各触媒層の構成(第1触媒層64、第2触媒層63)に対して、リテーナ65に還元剤浄化用触媒69を塗布する構成を加えたバグフィルタ60について説明したが、各触媒層の構成として第1実施例の構成(第1触媒層62、第2触媒層63)を採用してもよい。
さらに、本第3実施例において、還元剤浄化用触媒69とともに脱硝触媒をリテーナ65に塗布してもよい。この場合、還元剤浄化用触媒69に脱硝触媒を混合して塗布してもよいし、これらの触媒を層状にコートした構成としてもよい。本構成により、第2の触媒層63の触媒量を低減することが可能であり、これにより筒状ろ布61の圧力損失の低減が可能でランニングコストを低減できる。
【符号の説明】
【0056】
1 焼却炉
2 ボイラ
3 減温塔
4 還元剤供給手段
5 除塵手段
51 排ガス流入部
52 排ガス流出部
53 ダーティ室
54 クリーン室
60 バグフィルタ
61 筒状ろ布
62、64 第1の触媒層
63 第2の触媒層
65 リテーナ
69 還元剤浄化用触媒
100 堆積層
101 消石灰層
102 煤塵層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスが、筒状ろ布の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去するバグフィルタにおいて、
前記筒状ろ布の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面に第1の触媒層を有し、前記排ガスの排気面に前記第1の触媒層とは異なる種類の触媒で形成された第2の触媒層を有しており、
前記第2の触媒層は脱硝触媒で形成されていることを特徴とするバグフィルタ。
【請求項2】
前記第1の触媒層は耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成され、前記第2の触媒層は耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバグフィルタ。
【請求項3】
前記第1の触媒層は、NOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバグフィルタ。
【請求項4】
前記排ガスが前記筒状ろ布の外表面から内表面に通過するバグフィルタであって、
前記筒状ろ布の内表面に接して設けられたろ布変形防止用のリテーナを有し、
前記リテーナの表面に、前記排ガスに含まれる還元剤を分解する還元剤浄化用触媒が塗布されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバグフィルタ。
【請求項5】
窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記還元剤供給手段より排ガス流れ方向下流側に設けられた除塵手段とを備えた排ガス処理装置において、
前記除塵手段が、複数の筒状ろ布を含み、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に前記排ガスが通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去する構成であり、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面に耐硫黄性を有する脱硝触媒で形成された第1の触媒層が設けられ、前記排ガスの排気面に耐硫黄性を有していない脱硝触媒で形成された第2の触媒層が設けられていることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
窒素酸化物及び硫黄酸化物を含有する排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記還元剤供給手段より排ガス流れ方向下流側に設けられた除塵手段とを備えた排ガス処理装置において、
前記除塵手段が、複数の筒状ろ布を含み、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のいずれか一方の面から他方の面に前記排ガスが通過することにより該排ガスに含まれる煤塵を除去する構成であり、前記筒状ろ布の外表面及び内表面のうち前記排ガスの導入面にNOからNOを生成する酸化反応を促進する酸化触媒で形成された第1の触媒層が設けられ、前記排ガスの排気面に脱硝触媒で形成された第2の触媒層が設けられていることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項7】
前記除塵手段は前記筒状ろ布の外表面から内表面に排ガスが通過する構成であり、
前記筒状ろ布の内表面に接して設けられたろ布変形防止用のリテーナを有し、
前記リテーナの表面に前記排ガスに含まれる前記還元剤を分解する還元剤浄化用触媒が塗布されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の排ガス処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−130853(P2012−130853A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284410(P2010−284410)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】