説明

バケットコンベア

【課題】 物品投入位置において、バケットを安定な姿勢に保ち、物品がバケットからこぼれ落ちるのを防止することが可能なバケットコンベアを提供することを課題とする。あわせて、バケットの縁部同士が重なり合っている場合に、該縁部の衝突による騒音の発生を回避する。
【解決手段】 バケット25が物品投入位置Aを蛇行しながら通過する際に、バケット25の両側面から突出する枢支点25a,25aで該バケット25をエンドレスチェーン19,19に枢支すると共に、バケット25の一方の側面から突出するボス25dを蛇行状のガイドレール28に係合させて保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットで物品を搬送するコンベアに関し、物品搬送の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を低所から高所に搬送するため、バケットコンベアが用いられることがある。例えば特許文献1及び特許文献2に開示されているバケットコンベアは、所定の経路を走行する左右一対のエンドレスチェーンと、これらのチェーン間に一定間隔で揺動自在に枢支された複数のバケットとを有し、該バケットをチェーンの走行経路に沿って循環移送する構成とされており、低所の物品投入位置で投入された物品をバケットに収容し、高所の物品排出位置で該バケットを反転させることによりバケット内の物品を排出するようになっている。
【0003】
その場合、特許文献1に記載のバケットコンベアでは、図8(a)に示すように、物品投入位置の近傍において、複数のバケット50…50が直線状に設けられたエンドレスチェーン51に枢支点50a…50aを介して取り付けられており、隣接するバケット50,50が一定の間隔を空けた状態で矢印cの方向に移動するようになっている。そして、補助チェーン52に板状の物品落下防止部材53…53を取り付けて、該物品落下防止部材53…53の移動と前記バケット50…50の移動とが同期するように構成されている。これにより、バケット50…50が矢印cの方向に移動中に物品Mが投入されても、前記バケット50,50間の隙間を前記物品落下防止部材53が跨るようにして覆うので、該隙間から物品Mが落下するのを防止している。
【0004】
一方、特許文献2に記載のバケットコンベアでは、図9(a)に示すように、物品投入位置の近傍を矢印dの方向に移動中に、チェーン61をS字状にして上下に蛇行させることにより、枢支点60a,60aを介して取り付けられた隣接するバケット60,60の縁部60b,60cを重ね合わせて隙間をなくし、もって物品Mがバケット60,60に投入されることなく落下するのを防止している。
【0005】
【特許文献1】実開平1−147315号公報
【特許文献2】特開平9−165114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1及び特許文献2に記載のバケットコンベアの場合、図8(b)及び図9(b)に示すように、それぞれ矢印c及び矢印dの方向に向けて移動するバケット50…50,60…60に対して物品Mが投入されると、該物品Mの重量によって各バケット50,60のバランスが不安定な状態となり、バケット50,60の枢支点50a,60aを支点にして矢印s,tの方向に回動することがある。このように、物品Mの重量によりバケット50,60の姿勢が傾くと、該バケット50,60から物品Mが下方にこぼれ落ちやすくなるという問題がある。
【0007】
特に、特許文献2に記載のバケットコンベアの場合、矢印tの方向にバケット60が回動した後、図9(c)に示すように、元の姿勢に戻ろうとする反動で矢印uの方向に回動し、この後続するバケット60の前縁部60bと隣接して先行するバケット60の後縁部60cとが衝突して騒音が生じてしまうという問題がある。特に、バケット60が金属製の場合には、この騒音の問題が一層顕著となる。
【0008】
そこで、本発明は、物品投入位置において、バケットを安定な姿勢に保ち、物品がバケットからこぼれ落ちるのを防止することが可能なバケットコンベアを提供することを課題とする。あわせて、物品投入位置において、バケットの縁部同士が重なり合っている場合に、該縁部の衝突による騒音の発生を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、請求項1に記載の発明は、所定の経路を走行する左右一対のエンドレスチェーンと、これらのチェーン間に一定間隔で揺動自在に枢支され、該チェーンの走行により低所の物品投入位置と高所の物品排出位置とを経由して循環移送される複数のバケットと、前記物品排出位置でバケットを反転させる反転機構とを有するバケットコンベアであって、各バケットの側面に、前記チェーンへの枢支点から離間させて突起が設けられていると共に、前記物品投入位置に、バケットの突起に係合し、これをチェーンの経路に沿って案内することによりバケットの姿勢を水平に保持するガイド部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のバケットコンベアにおいて、前記チェーンの経路は、前記物品投入位置で隣接するバケットの前後の縁部が重なり合うように、蛇行状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載のバケットコンベアにおいて、前記反転機構は、バケットの側面に設けられた突起と、物品排出位置において該突起をガイド面に摺接させることにより該バケットを反転させるガイド部材とで構成され、前記物品投入位置で前記姿勢保持用ガイド部材に係合する突起は、この反転機構を構成する突起であることを特徴とする。
【0013】
次に、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載のバケットコンベアにおいて、前記姿勢保持用ガイド部材は、バケット側面の突起を上下から保持する上側ガイド部材と下側ガイド部材とで構成されており、かつ、両ガイド部材間への突起の導入部は上流側に向かって拡開されていることを特徴とする。
【0014】
そして、請求項5に記載に発明は、前記請求項4に記載のバケットコンベアにおいて、上側ガイド部材の上流端は、下側ガイド部材の上流端よりも上流側に突出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1に記載の発明によれば、各バケットの側面に設けられた突起にガイド部材を係合させて、該突起をチェーンの経路に沿って案内することによりバケットの姿勢を水平に保持するようにしたから、物品投入位置において、バケットをチェーンに枢支するための枢支点と該突起とによりバケットが安定な姿勢を保つようになる。したがって、物品がバケットに投入されても、該バケットが傾くことはなく、もって物品がこぼれ落ちるのを防止することが可能となる。
【0016】
そして、請求項2に記載の発明によれば、チェーンの経路を、物品投入位置で隣接するバケットの前後の縁部が重なり合うように、蛇行状に形成するようにした場合においても、投入された物品の重量によりバケットが傾くことがないため、前述した物品のこぼれ落ちが防止され、さらに、隣接するバケットの縁部同士が衝突して騒音が発生するのを確実に回避することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、反転機構を構成する突起を、物品投入位置でのバケットの姿勢を安定させるために前記姿勢保持用ガイド部材に係合する突起に流用するから、バケットを安定な姿勢に保つために新たな部品を設ける必要がなく、コストの高騰を招くことはない。
【0018】
次に、請求項4に記載の発明によれば、上下のガイド部材間への突起の導入部が上流側に向かって拡開されているから、突起は両ガイド部材間にスムーズに導入されるようになる。
【0019】
特に、このバケットコンベアでは、チェーンを介してバケットを循環させているため、チェーンの張力設定や装置稼動中のゆるみ等に起因して、該チェーンの走行軌道が変化することがあるが、前述したように導入部が上流側に向かって拡開されているから、前記変化に対応可能な装置が実現される。
【0020】
そして、請求項5に記載の発明によれば、上側ガイド部材の上流端が、下側ガイド部材の上流端よりも上流側に突出するように構成したから、前記導入部から上下のガイド部材間にゴミが入ることで、突起の案内を滑らかに行うことが困難になったり、また、導入部から入ったゴミが前記両ガイド部材間を伝って外側に出てバケット内に混入したりするのを確実に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係るバケットコンベアについて説明する。
【0022】
まず、図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るバケットコンベア1は、符号Aで示す低所の物品投入位置に設置された電磁フィーダ2によって投入された物品を収容した後、符号Bで示す高所の物品排出位置で下方に配置された計量装置3に排出するもので、概ね水平方向に延びる下部走行部11と、該下部走行部11から上方に延びる中間走行部12と、該中間走行部12の上端から水平方向に延びる上部走行部13とを有している。
【0023】
すなわち、本体ケース1a内において、下部走行部11の図例上手前側と奥方側とで一対とされた2組のスプロケット(手前側のみ図示)14,14,15,15と、上部走行部13の3組のスプロケット16,16,17,17,18,18とが回転自在に配置されている。そして、手前側のスプロケット14〜18と奥方側のスプロケット14〜18とに、それぞれエンドレスチェーン(手前側のみ図示)19,19が巻き掛けられている。
【0024】
また、本体10a内の下部にモータ20が設置されている。そして、該モータ20の出力軸に取り付けられたスプロケット21と前記スプロケット14と同軸に取り付けられたスプロケット22との間にエンドレスチェーン23が巻き掛けられており、モータ20の駆動力がスプロケット14に伝達されて、エンドレスチェーン19,19が下部、中間、及び上部走行部11〜13を矢印で示すように循環走行する。
【0025】
また、本体ケース1a内の中間走行部12及び上部走行部13に、エンドレスチェーン19,19を案内する長尺のガイド(奥方側のみ図示)24…24が走行経路に沿って設けられている。そして、2条のエンドレスチェーン19,19間に、物品を収容する複数のバケット25…25が、隙間をあけて所定ピッチで取り付けられている。
【0026】
次に、図2に示すように、前記上部走行部13における折り返し位置に、図例の形状のガイドフレーム26が設けられており、前記エンドレスチェーン19,19(手前側のみ図示)によりこの位置に移送されてきたバケット25が、後で説明するボス25dを該ガイドフレーム26の下部外周に摺接させながら折り返すように構成されている。すなわち、バケット25は、鎖線で示した軌道を描いて搬送され、折り返しの際に上下反転し、その後再び元の水平の姿勢に戻ってから中間走行部12の方向に搬送される。
【0027】
そして、図3に示すように、前記下部走行部11の物品投入位置Aにおける電磁フィーダ2の直下方近傍では、エンドレスチェーン19は、複数のガイドスプロケット27…27により上下に蛇行して走行するように構成されている。
【0028】
また、前記下部走行部11において、本発明の特徴部分である後述するボス25dに係合する金属製のガイドレール28が、前記エンドレスチェーン19,19の蛇行状の経路の上側に設けられたL字状のサイドフレーム29,29の一方の側壁に、チェーン19の蛇行状の経路と平行に蛇行するように設けられている。該ガイドレール28は、前記ボス25dをそれぞれ上下から保持する上側レール部材28aと下側レール部材28bとで構成されており、上側レール部材28a及び下側レール部材28bの上流端つまりボス25dの導入部は、上流側下方に向けてハの字型に拡開されている。さらに、上側レール部材28aの上流端が下側レール部材28bの上流端よりも上流側に突出している。
【0029】
また、各スプロケット15の回転軸15aには、張力調節機構30が取り付けられている。該張力調節機構30は、本体ケース1aに固設されたフレーム部材30aを有している。また、回転軸15aを回転自在に支持するピローブロック30bに長ネジボルト30cの一方の端部が結合され、前記フレーム部材30aの後方壁部30a′を貫通する該長ネジボルト30cの他方の端部にナット30d,30dが螺合されている。そして、長ネジボルト30cにおけるフレーム部材30aの後方壁部30a′とナット30d,30dとの間に、フレーム部材30aに対してナット30d,30dつまり長ネジボルト30cを後方に付勢するスプリングコイル30eが外装されている。
【0030】
これにより、ピローブロック30b、つまり回転軸15a、ひいてはスプロケット15は、常に後方に付勢されることになり、エンドレスチェーン19は安定した張力状態に維持される。なお、該エンドレスチェーン19がのびてスプリングコイル30eの付勢力による張力調整が限界になったときには、ナット30d,30dの位置を前方へずらせることにより、スプリングコイル30eの付勢力を回復させればよい。
【0031】
次に、バケット25について説明する。図3〜5に示すように、バケット25は金属製のものであり、該バケット25では、エンドレスチェーン19,19に沿った両側面から該バケット25を前記エンドレスチェーン19,19に枢支する枢支点25a,25aが突出している。また、バケット25の前方側及び後方側には、それぞれ前縁部25b、後縁部25cが形成されている。そして、該バケット25の一方の側面における枢支点25aの上側後方近傍には、該枢支点25aと比較して短尺のボス25dが突出している。前述したように、前記下部走行部11で、エンドレスチェーン19が上下に蛇行して走行する際に、先行するバケット25の後縁部25cと後続するバケット25の前縁部25bとが重なり合って隙間がなくなるようになっている。
【0032】
また、前記エンドレスチェーン19,19には、一定ピッチで多数のピン31…31が相互に対向するように設けられており、対向する一対のピン31,31間に各バケット25の枢支点25a,25aを嵌め込むことにより、該バケット25が前記2条のチェーン19,19に対して揺動自在に支持される。
【0033】
ここで、このバケットコンベア1の作用について説明する。
【0034】
モータ20が駆動されて、それに伴いエンドレスチェーン19,19が走行することによって、各バケット25が図1中の矢印の方向に搬送され、下部走行部11を搬送中に物品投入位置Aにおいて電磁フィーダ2によって物品が投入される。そして、物品を収容した各バケット25は、中間走行部12を経て上部走行部13に搬送され、該上部走行部13から再び中間走行部12に向けて折り返す物品排出位置Bで反転されて収容された物品は下方の計量装置3に向けて排出される。
【0035】
また、各バケット25は、前記下部走行部11において、複数のガイドスプロケット27…27により上下に蛇行するように搬送され、隣接するバケット25,25の隙間が密とされて、後続するバケット25の前縁部25bが先行するバケット25の後縁部25cに重なって、前記電磁フィーダ2から投入される物品が下方にこぼれ落ちないようになる。
【0036】
その場合に、各バケット25の側面に設けられたボス25dにガイドレール28を係合させて、これをエンドレスチェーン19,19による搬送経路に沿って案内することにより、物品投入位置Aを通過する各バケット25の姿勢を水平に保持するようにしたから、該物品投入位置Aにおいて、枢支点25aと該ボス25dとにより各バケット25が安定な姿勢を保つようになる。したがって、電磁フィーダ2から物品がバケット25に投入されても、該バケット25が物品の重量で枢支点25aを支点にして傾くことはなく、もって物品がこぼれ落ちるのを防止することが可能となる。
【0037】
さらに、投入された物品の重量によりバケット25が傾くことがないため、後続するバケット25の前縁部25bと先行するバケット25の後縁部25cとが衝突して騒音が発生するのを確実に回避することが可能となる。
【0038】
また、ボス25dは、上部走行部13から再び中間走行部12に向けて折り返す物品排出位置Bで、ガイドフレーム26に摺接させることでバケット25を反転させるために設けた突起を流用するから、バケット25を安定な姿勢に保つために新たな部品を設ける必要がなく、コストの高騰を招くことはない。
【0039】
そして、前記ガイドレール28を構成する上側レール部材28a及び下側レール部材28bの上流端が上流側下方に向けてハの字型に拡開されているから、ガイドレール28のボス25dに対する導入部が大きくなっており、該ボス25dはガイドレール28にスムーズに導入されるようになる。
【0040】
特に、エンドレスチェーン19,19を介して複数のバケット25…25を循環移送させているため、バケットコンベア1の稼動中のゆるみ等に起因して、チェーン19,19の走行軌道が変化することがある。このとき、前述の張力調節機構30を用いてチェーン19,19の張力を調節する場合について説明すると、図6に示すように、各スプロケット15が一点鎖線で示す位置に設定されているときのチェーン19の走行軌道は、一点鎖線のようになる。したがって、各バケット25のボス25dの軌道は、ガイドレール28の導入部の近傍では矢印xで示す方向を向く。一方、張力調節機構30により各スプロケット15が二点鎖線で示す位置に設定されたときのチェーン19の走行軌道は、二点鎖線のようになる。したがって、この場合の各バケット25のボス25dの軌道は、ガイドレール28の導入部近傍では矢印yで示す方向を向く。このような場合にも、前述したようにガイドレール28のボス25dに対する導入部が上流側下方に向かって拡開されているから、前記変化に対応可能なバケットコンベア1が実現される。
【0041】
そして、上側レール部材28aの上流端が、下側レール部材28bの上流端よりも上流側に突出するように構成したから、前記導入部から上下のレール部材28a,28b間にゴミが入ることで、ボス25dの案内を滑らかに行うことが困難になったり、また、該導入部から入ったゴミが前記ガイドレール28を伝って外側に出てバケット25の内部に混入したりするのを確実に防止することが可能となる。
【0042】
以下、本発明の第2の実施の形態に係るバケットコンベアについて説明する。なお、前記第1の実施の形態と重複する箇所についてはその説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、このバケットコンベア1′は、下部走行部11の物品投入位置Aを複数の金属製のバケット25…25が通過する際に、該バケット25…25が前記第1の実施の形態のように上下に蛇行せず、エンドレスチェーン19,19(奥方側のチェーンのみ図示)により直線状の経路に沿って搬送されるように構成されている。
【0044】
前記バケット25は、エンドレスチェーン19,19間に隙間を空けて一定ピッチで取り付けられている。その場合に、物品投入位置Aにおいて電磁フィーダ2から投入された物品が隣合うバケット25,25の間の隙間からこぼれ落ちるのを防止するため、各隣合うバケット25,25間の隙間に跨るようにして複数の物品落下防止部材32…32が設けられている。
【0045】
すなわち、前記エンドレスチェーン19,19の上側には、2つのスプロケット(図示せず)が配置されており、該スプロケット間に補助チェーン33が巻き掛けられている。この補助チェーン33には、複数の物品落下防止部材32…32が前記バケット25…25の取付ピッチと同じピッチで取り付けられている。
【0046】
これにより、隣接するバケット25,25が物品投入位置Aを搬送される際に、後続するバケット25と先行するバケット25との間に物品落下防止部材32が跨り、該バケット25,25と一体となって前記物品投入位置Aを通過するようになっている。
【0047】
一方、前記下部走行部11において、前記エンドレスチェーン19,19の直線状の経路の上側に設けられたL字状のサイドフレーム(図示せず)の一方の側壁には、直線状の金属製のガイドレール34が、チェーン19の直線状の経路と平行になるように設けられている。該ガイドレール34は、バケット25の一方の側面から突出するボス25dをそれぞれ上下から保持する上側レール部材34aと下側レール部材34bとで構成されており、上側レール部材34a及び下側レール部材34bの上流端つまりボス25dの導入部は、ハの字型に拡開されている。さらに、上側レール部材34aの上流端が下側レール部材34bの上流端よりも上流側に向けて突出している。
【0048】
以上のように構成したことにより、各バケット25の側面に設けられたボス25dにガイドレール34を係合させて、該バケット25をエンドレスチェーン19,19による搬送経路に沿って案内することにより、物品投入位置Aを通過する各バケット25の姿勢を水平に保持するようにしたから、該物品投入位置Aにおいて、枢支点25aと該ボス25dとにより各バケット25が安定な姿勢を保つようになる。したがって、電磁フィーダ2から物品がバケット25に投入されても、該バケット25が物品の重量で枢支点25aを支点にして傾くことはなく、もって物品がこぼれ落ちるのを防止することが可能となる。
【0049】
なお、前記バケット25及びガイドレール28,34は金属製としたが、樹脂製のものを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、物品が投入されるときに、バケットを安定な姿勢に保ち、物品がバケットからこぼれ落ちるのを防止することが可能なバケットコンベアが提供される。あわせてバケットの縁部同士が重なり合っていいる場合に、該縁部の衝突による騒音の発生を回避することが可能なバケットコンベアが提供され、本発明は、物品搬送の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るバケットコンベアの概略全体側面図である。
【図2】物品排出位置近傍を示す要部拡大側面図である。
【図3】物品投入位置近傍を示す要部拡大側面図である。
【図4】図3の矢印アによる断面図である。
【図5】図3の矢印イによる矢視図である。
【図6】エンドレスチェーンの張力調整状態を示す図3に相当する図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るバケットコンベアの物品投入位置近傍を示す要部側面図である。
【図8】従来のバケットコンベアの模式図であって、(a)はバケットに物品が投入されつつある状態、(b)は物品の重みでバケットが傾いた状態を示す。
【図9】同じく従来のバケットコンベアの模式図であって、(a)はバケットに物品が投入されつつある状態、(b)は物品の重みでバケットが傾いた状態、(c)は反動で元の姿勢に戻ろうとするバケットの前縁部と先行するバケットの後縁部とが衝突した状態を示す。
【符号の説明】
【0052】
1,1′ バケットコンベア
19 エンドレスチェーン
25 バケット
25a 枢支点
25b 前縁部(縁部)
25c 後縁部(縁部)
25d ボス(突起)
26 ガイドフレーム(反転用ガイド部材)
28,34 ガイドレール(姿勢保持用ガイド部材)
28a,34a 上側レール部材(上側ガイド部材)
28b,34b 下側レール部材(下側ガイド部材)
A 物品投入位置
B 物品排出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の経路を走行する左右一対のエンドレスチェーンと、これらのチェーン間に一定間隔で揺動自在に枢支され、該チェーンの走行により低所の物品投入位置と高所の物品排出位置とを経由して循環移送される複数のバケットと、前記物品排出位置でバケットを反転させる反転機構とを有するバケットコンベアであって、
各バケットの側面に、前記チェーンへの枢支点から離間させて突起が設けられていると共に、
前記物品投入位置に、バケットの突起に係合し、これをチェーンの経路に沿って案内することによりバケットの姿勢を水平に保持するガイド部材が設けられていることを特徴とするバケットコンベア。
【請求項2】
前記請求項1に記載のバケットコンベアにおいて、
前記チェーンの経路は、前記物品投入位置で隣接するバケットの前後の縁部が重なり合うように、蛇行状に形成されていることを特徴とするバケットコンベア。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載のバケットコンベアにおいて、
前記反転機構は、バケットの側面に設けられた突起と、
物品排出位置において該突起をガイド面に摺接させることにより該バケットを反転させるガイド部材とで構成され、
前記物品投入位置で前記姿勢保持用ガイド部材に係合する突起は、この反転機構を構成する突起であることを特徴とするバケットコンベア。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれかに記載のバケットコンベアにおいて、
前記姿勢保持用ガイド部材は、バケット側面の突起を上下から保持する上側ガイド部材と下側ガイド部材とで構成されており、かつ、両ガイド部材間への突起の導入部は上流側に向かって拡開されていることを特徴とするバケットコンベア。
【請求項5】
前記請求項4に記載のバケットコンベアにおいて、
上側ガイド部材の上流端は、下側ガイド部材の上流端よりも上流側に突出していることを特徴とするバケットコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−50943(P2007−50943A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235651(P2005−235651)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】