説明

バケットコンベア

【課題】被搬送物の量に応じた必要十分な数のバケットで搬送を行うことができるバケットコンベアを提供すること。
【解決手段】排出シュート20から単位時間当たりに所定量の被搬送物を排出するために必要なバケット数を設定し、設定されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出し、駆動開始ボタン32が操作される毎に算出しておいたバケット間隔だけチェーン12を駆動して停止するバケット取付けモード、および、駆動開始ボタン32が操作される毎にバケットセンサ33が次のバケットを検出するまでチェーン12を駆動して停止するバケット取外しモード、を実行する制御部40と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバケットが装着されたチェーン等の搬送手段により被搬送物を搬送して計量装置等に供給するバケットコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
被搬送物を次工程まで搬送するバケットコンベアにおいては、無端状のチェーンが対に装着された複数のバケットに被搬送物を載置または収容して次工程まで搬送するようになっている。このようなバケットコンベアにおいては、次工程の計量装置の台数に応じて高さ、奥行寸法等が設定されており、例えば、100個を超える多数のバケットをチェーンに装着して被搬送物を搬送するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−320762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のバケットコンベアにおいては、最大処理能力に合わせて高さ、奥行寸法等が設定されているため、少量の被搬送物の搬送を行う場合に、要求される搬送能力に応じた必要最低限度のバケットを用いればよいにも関わらず、全てのバケットをチェーンに装着して被搬送物の搬送を行っていたため、バケットの取付け、取外し、洗浄等のために多くの時間と労力を費やしてしまっていた。
【0005】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、被搬送物の量に応じた必要十分な数のバケットで搬送を行うことができるバケットコンベアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバケットコンベアは、内部に被搬送物が供給される被搬送物供給位置および前記被搬送物が外部に排出される被搬送物排出位置を有する筺体と、前記筺体内に設けられ、被搬送物を載置可能な複数のバケットが着脱可能に構成されるとともに、前記バケットを前記筺体の被搬送物供給位置と被搬送物排出位置との間で循環する無端状のチェーンと、前記被搬送物供給位置に設けられ、前記バケットに被搬送物を供給する供給フィーダと、前記被搬送物排出位置に設けられ、前記バケットから被搬送物を排出する排出シュートと、前記チェーンの駆動開始操作を行う駆動開始操作手段と、前記着脱位置の近傍に設けられ、前記チェーンに装着されたバケットを検出するバケット検出手段と、前記筺体に設けられ、前記チェーンへの前記バケットの着脱を行う着脱位置と、前記排出シュートから単位時間当たりに所定量の被搬送物を排出するために必要なバケット数を設定する必要バケット数設定手段と、前記必要バケット数設定手段により設定されたバケット数に基づいて、前記チェーンにおけるバケットの間隔が均等になるようバケット間隔を算出するバケット間隔算出手段と、前記駆動開始操作手段が操作される毎に前記バケット間隔算出手段が算出したバケット間隔だけ前記チェーンを駆動して停止するバケット取付けモード、および、前記駆動開始操作手段が操作される毎に前記バケット検出手段が次のバケットを検出するまで前記チェーンを駆動して停止するバケット取外しモード、を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成により、利用者は、バケット取付けモードにおいては、算出された均等なバケット間隔だけ駆動開始操作手段を操作することでチェーンを送り、着脱位置でバケットをチェーンに取付けることができ、バケット取外しモードにおいては、駆動開始操作手段を操作することでバケット検出手段が次のバケットを検出するまでチェーンを送り、着脱位置でバケットをチェーンから取外すことができるので、全てのバケットを取付けることなく被搬送物を搬送することができる。また、バケット間隔が均等となるので、排出指令を受け取った排出シュートまでバケットにより被搬送物を搬送するための時間を短縮することができる。したがって、被搬送物の量に応じた必要十分な数のバケットで搬送を行うことができる。
【0008】
また、本発明に係るバケットコンベアは、前記排出シュートから所定量の被搬送物を単位時間当たりに排出するために必要なバケット数の入力操作を行う必要バケット数入力操作手段を備え、前記制御手段が、前記必要バケット数入力手段から入力されたバケット数に基づいて、前記チェーンにおけるバケットの間隔が均等になるようバケット間隔を算出することを特徴とする。
【0009】
この構成により、必要なバケット数の範囲内の所望のバケット数で被搬送物の搬送を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係るバケットコンベアは、前記必要バケット数入力手段から、前記排出シュートから単位時間当たりに所定量排出する被搬送物の品種数および品種毎に必要なバケット数が入力され、前記バケット間隔算出手段が、前記必要バケット数入力手段から入力された品種数および品種毎に必要なバケット数に基づいて、前記チェーンにおけるバケットの間隔が均等になるようバケット間隔を算出することを特徴とする。
【0011】
この構成により、複数の品種の被搬送物を搬送するときであっても、バケット間隔を均等にすることができる。
【0012】
また、本発明に係るバケットコンベアは、前記排出シュートから排出された被搬送物を受け入れる外部装置から、該外部装置の単位時間当たりの被搬送物の処理能力を取得する処理能力取得手段を備え、前記必要バケット数設定手段が、前記処理能力取得手段が取得した処理能力を満たすようバケット数を算出することを特徴とする。
【0013】
この構成により、利用者がバケット数を入力することなく、外部装置の処理能力に応じた必要なバケット数およびバケット間隔が算出されるので、利便性を高めることができる。
【0014】
また、本発明に係るバケットコンベアは、開放時に前記着脱位置としての開口部を前記筺体に形成する開閉扉と、前記開閉扉の閉塞状態を検知して前記開閉扉の閉塞時にのみ前記制御手段による前記チェーンの駆動を許容するインタロックスイッチを備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、バケットをチェーンに着脱している最中にチェーンが駆動されることによる危険を回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、被搬送物の量に応じた必要十分な数のバケットで搬送を行うことができるバケットコンベアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るバケットコンベアを示す正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るバケットコンベアを示す上面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るバケットコンベアを示す側面図である。
【図4】(a)は、チェーンおよびバケットの側面図であり、(b)は、全排出シュートの側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るバケットコンベアの制御部を示すブロック図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の一実施の形態に係るバケットコンベアのバケット間隔の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1〜図3に示すように、バケットコンベア1は、略Z字形の中空函体であって密閉型ケーシングを構成する筺体10を備えている。筺体10は、設置面上に設置された第1水平部10aと、この第1水平部10aから垂直上方に連続する垂直部10bと、この垂直部10bの上部にL字形をなして一体化した第2水平部10cとから構成される。
【0020】
バケットコンベア1は、筺体10の内部に、L字形の形状に沿って無端状に移動する左右一対のチェーン12と、チェーン12に回動可能に両端を連結された複数のバケット13と、チェーン12の駆動のための第1水平部10aの内部に配置された駆動用スプロケット14および駆動用モータ15と、各方向転換位置に配置された複数のガイド用スプロケット16と、第2水平部10cの終端位置に配置された終端スプロケット17とを備えている。
【0021】
また、バケットコンベア1は、バケット13の搬送方向往路において、筺体10の第1水平部10aの上面の被搬送物供給位置18P、19Pに、被搬送物をバケット13に供給する供給フィーダ18、19をそれぞれ備えている。この供給フィーダ18、19から筺体10の内部に供給された被搬送物は、供給フィーダ18、19の直下にそれぞれ位置するバケット13に投入される。なお、2種類の被搬送物をバケット13で搬送する場合は、一方の品種の被搬送物を供給フィーダ18から供給し、他方の品種の被搬送物を供給フィーダ19から供給するようになっている。また、投入対象となるバケット13が供給フィーダ18、19の直下を通過するときに図示しないホッパが開くようにして、バケット13の駆動を停止させずに被搬送物が投入されるようになっている。
【0022】
バケット13は、図4(a)に示すように、一対のチェーン12の間に取付けられるようになっている。なお、一対のチェーン12の間隔を広げてバケット13の両端のピンをチェーン12に差し込むことにより、バケット13の取付けが行われる。バケット13は、チェーン12に取付けられた状態では、自重および被搬送物の重量によって姿勢が維持される。
【0023】
被搬送物を保持したバケット13は、駆動用スプロケット14の回転に伴い、姿勢を保ちながら垂直部10bの内部を上昇し、次いで第2水平部10cの内部を水平方向に移動し、排出シュート20の上部で回動して上下反転することにより被搬送物を排出する。
【0024】
第2水平部10cの下面の複数の被搬送物排出位置20Pには、バケット13から被搬送物を排出する排出シュート20がそれぞれ設けられている。下方の計量装置50から排出指令を受け取った排出シュート20の上部ではバケット13の上下が反転され、排出された被搬送物は、排出シュート20を経て落下し、排出シュート20の下方に配置された計量装置50に受け渡されるようになっている。なお、計量装置50は、受け入れた被搬送物を、予め定められた重量となるように組み合わせるものである。
【0025】
チェーン12に装着された各バケット13は、終端スプロケット17で方向転換し、往路の下部で平行に復路側に水平移動し、次いで垂直に方向転換して下降し、駆動用スプロケット14の位置で再度往路方向に方向転換され、チェーン12上を循環しながら被搬送物を連続的に搬送するようになっている。
【0026】
また、第2水平部10cの下面には、2つの全排出シュート25、26が設けられており、バケットコンベア1の運転終了時等に全てのバケット13から被搬送物を排出するときは、排出シュート20と同様に、全排出シュート25、26の上部でバケット13の上下を反転して被搬送物を排出し、全排出シュート25、26を経て落下し、図示しない容器に被搬送物を回収するようになっている。全排出シュート25、26の下端部は、図1に示す正面図、および図4(b)に示す側面図から理解されるように、互いに異なる位置に配置されている。2種類の被搬送物をバケット13で搬送していた場合は、一方の品種の被搬送物を搬送するバケット13から全排出シュート25により全排出を行い、他方の品種の被搬送物を搬送するバケット13から全排出シュート26により全排出を行うことで、全排出により回収した被搬送物の品種が混合することが防止されるようになっている。
【0027】
筺体10の垂直部10bには、チェーン12に対してバケット13を取付けまたは取外しをするための開閉扉30と、開閉扉30が開いていることを検知するインタロックスイッチ31と、チェーンの駆動開始操作を行う駆動開始ボタン32と、バケット13を検知するバケットセンサ33と、バケット13の取付けに関する設定の入力操作を行う設定入力操作部34と、バケットコンベア1の動作を制御する制御部40と、が設けられている。
【0028】
開閉扉30は、開放することで垂直部10bの着脱位置30Pに、バケット13を筺体10に出し入れ可能なサイズの開口部を形成し、この開口部を通してチェーン12に対するバケット13の取付けまたは取外しを可能とするものである。
【0029】
インタロックスイッチ31は、開閉扉30の閉塞状態を検知するとともに、開閉扉30が閉塞されていることを検知しているときのみ、制御部40にチェーン12の駆動を許容するものである。
【0030】
駆動開始ボタン32は、開閉扉30の近傍の垂直部10bの外部に配置されており、後述するバケット取付けモードおよびバケット取外しモードにおいて、停止状態のチェーン12の駆動を開始させるために操作するものである。
【0031】
バケットセンサ33は、開閉扉30の近傍の垂直部10bの内部に配置されており、開閉扉30が設けられた着脱位置30Pに移動してきたバケット13を検知するようになっている。なお、垂直部10bの内部には、往路側(上昇側)のチェーン12と復路側(下降側)のチェーンの2組があるが、バケットセンサ33は、往路側と復路側のうち開閉扉30から到達しやすい側の1組のチェーン12上のバケット13を検知するように配置または構成してもよく、または、往路側と復路側の両方のチェーン12上のバケット13を検知するように配置または構成してもよい。
【0032】
設定入力操作部34は、バケット13をチェーン12に取付けるときのバケット取付けモードのときに、必要なバケット数を入力するものであり、被搬送物の種類が1種類である場合は必要なバケット数だけを入力し、被搬送物の種類が複数である場合は被搬送物の品種数と、品種毎のバケット数を入力するようになっている。設定入力操作部34は、キーボードやタッチパネル等から構成されている。設定入力操作部34からは、例えば、品種数が"2"、2つの品種のうち品種Aのバケット数が"20"、品種Bのバケット数が"10"という態様で入力が行われる。
【0033】
制御部40は、バケットコンベア1の全体の制御を行うものであり、バケット13をチェーン12に取付けるための動作モードであるバケット取付けモード、およびバケット13をチェーン12から取外すための動作モードであるバケット取外しモードを実行するようになっている。
【0034】
また、開閉扉30の近傍の垂直部10bの外部には、キーボードやタッチパネル等から構成され、制御部40の動作モードをバケット取付けモードまたはバケット取外しモードに設定するモード設定部35が設けられている。
【0035】
図5に示すように、制御部40は、インタロックスイッチ31、駆動開始ボタン32、バケットセンサ33、設定入力操作部34、モード設定部35、接続インタフェース36からの各信号が入力されるとともに、設定された動作モードに基づいて駆動用モータ15の駆動制御を行うようになっている。
【0036】
制御部40は、排出シュート20から単位時間当たりに所定量の被搬送物を排出するために必要なバケット数を設定し、設定されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出するようになっている。また、制御部40は、バケット取付けモードにおいては、駆動開始ボタン32が操作される毎に、算出しておいたバケット間隔だけチェーン12を駆動して停止し、バケット取外しモードにおいては、駆動開始ボタン32が操作される毎にバケットセンサ33が次のバケット13を検出するまでチェーン12を駆動して停止するようになっている。
【0037】
具体的には、制御部40は、設定入力操作部34から入力されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出するか、または、接続インタフェース36を介して計量装置50から取得した計量装置50の処理能力を満たすように、排出シュート20から単位時間当たりに所定量の被搬送物を排出するために必要なバケット数を設定し、設定されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出する。
【0038】
設定入力操作部34から入力されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出する場合は、例えば、設定入力操作部34から入力された品種数が品種Aと品種Bの2種類であり、品種A用のバケット数が20で品種B用のバケット数が10であったとき、図6(a)に示すように、バケット数が多い品種Aについてチェーン12上のバケット間隔が均等になるバケット間隔を算出し、次いで、図6(b)に示すように、バケット数が少ない品種Bについてチェーン12上のバケット間隔が均等になるバケット間隔を算出する。なお、バケット間隔の"均等"とは、厳密な均等に限るものではなく"略均等"も含んでおり、チェーン12上のバケット取付可能位置の総数が取付けるべきバケット数で割り切れずに端数が生じる場合には、制御部40は、チェーン12上の一部でバケット間隔が他と異なることを許容するようになっている。制御部40は、品種Aと品種Bとの間でもバケット間隔が均等になるようにバケット間隔を算出する。品種数が更に多い場合も同様にバケット間隔を算出する。
【0039】
一方、接続インタフェース36を介して計量装置50から取得した計量装置50の処理能力を満たすように、必要なバケット数の設定、およびバケット間隔の算出を行う場合は、バケット数の算出は、バケットコンベア1が計量装置50に排出供給する排出供給量に依存し、この排出供給量は、計量装置50から見れば、要求供給量になる。要求供給量とは、実際に要求した量ではなく、計量装置50の能力に依存するものである。たとえば、1台の計量装置50あたり、Wgに組み合わされた被搬送物を毎分N個生産することができる場合には、最低でもWg×N(個)=(W×N)gの被搬送物を毎分投入し続けなければならない。実際には、バケットコンベア1の供給能力がぎりぎりでは計量装置50に十分な量の物品を安定して供給できずに組み合わせ能力や精度が悪化することになり、運転開始時には計量装置50に被搬送物を貯めるために、フル稼働に近い状態で被搬送物を排出供給する必要があるが、この際に搬送能力には余裕が必要となる。どの程度の余裕を見込んでおくかは定数でもよいし、設定できるようにしてもよい。供給フィーダ18、19からの供給量にバラツキがある場合にも、供給するはずの量の被搬送物が十分供給でないおそれがあるので、さらに余裕を見込む必要がある。
【0040】
具体的には、(バケットコンベアの排出供給量)≧Σ(第K(自然数)の計量装置50の生産能力)×余裕度、の式を満足するようにバケットコンベアの排出供給量を設定する必要がある。ここで、(計量装置50の生産能力)≒(組み合わせ重量)×(生産数)/分、である。異なる品種の被搬送物を排出供給する場合(ミックスの場合)には、各品種ごとに適用する。一般的には、(品種数L(自然数)のバケットコンベアの排出供給量)≧Σ(第Kの計量装置50の生産能力)×余裕度、となる。
【0041】
また、1つのバケット13でどの程度の量の被搬送物を供給できるかは、物品の種類により、嵩があるものはあまり多くはバケット13に入らない。更に、バケット13を常に満杯にして使用できるものでもないので、平均的なバケット容量を用いる。この容量は、品種に応じて重量値で設定されていてもよいし、乗率(係数)を用いてもよい。バケットコンベア1のフル稼働時の被搬送物の供給量は、バケット13の循環速度による。具体的には、装着できるバケット数と、バケット13の1週に要する時間から求めることができる。駆動速度が変速制御できる場合には制御値として、"毎分何バケット"と設定してもよい。
【0042】
バケット数の算出に必要な情報は、計量装置50にどれだけの量の被搬送物を供給するか、バケットコンベア1は最大でどれだけの量の被搬送物を供給できるか、等である。すなわち、要求される搬送量が最大能力の半分である場合は、1つ飛ばしでチェーン12にバケット13を装着し、1/3の場合は、2つ飛ばしでチェーン12にバケット13を装着すればよい。なお、ミックスの場合は、チェーン12上のバケット13の装着可能位置を、複数種類の被搬送物に対応するバケット13でシェアすることとなる。
【0043】
図6(a)、図6(b)は、チェーン12上にバケット取付可能位置が120箇所ある場合を示しており、制御部40は、バケット間隔を算出した結果、品種Aのバケット間隔を6、品種Bのバケット間隔を12とするとともに、品種Bのバケット取付予定位置が品種Aの隣り合う2つのバケット取付予定位置の中間となるように割り当てを行っている。そして、制御部40は、駆動開始ボタン32が操作される毎に、品種Aまたは品種Bのバケット取付予定位置が開閉扉30のある着脱位置30Pまで移動するように、算出したバケット間隔だけ駆動用モータ15を制御してチェーン12を駆動して停止するようになっている。なお、インタロックスイッチ31が開閉扉30の閉塞を検知しているときのみ、チェーン12の駆動が許容される。なお、チェーン12には、図示しないセンサにより接触または非接触で検出される基準位置が設定されており、検出した基準位置と駆動用モータ15の駆動量から制御部40はチェーン12上の位置を把握するようになっている。
【0044】
ここで、バケットコンベア1が、計量装置50からの要求の有無に関わらず循環駆動される場合には、計量装置50に排出供給されず、被搬送物が収納されたまま被搬送物供給位置18P、19Pに戻ってくるバケット13がある。換言すると、全てのバケット13が空の状態で戻ってくるときには供給が間に合ってないことになる。このときには、さらに被搬送物を供給するとバケット13から溢れてしまうので、被搬送物供給位置18P、19Pは通過するだけで被搬送物はバケット13に供給されない。このように、被搬送物供給位置18P、19Pでバケット13に被搬送物を供給するか否かを制御するために、各バケット13に被搬送物が収納されているか否かを記憶するようになっている。具体的には、各バケット13に被搬送物が入っているか否かは、チェーン12上のバケット取付可能位置にバケット13の"着/脱フラグ"を付すとともに、"着フラグ"が付された位置に"空/満フラグ"を付すことにより記憶されるようになっている。全排出シュート25、26から全てのバケット13の被搬送物を全排出する全排出動作が行われると、"空/満フラグ"がリセットされる。
【0045】
また、制御部40は、動作モードがバケット取外しモードのときは、駆動開始ボタン32が操作される毎にバケットセンサ33が次のバケット13を検出するまで駆動用モータ15を制御してチェーン12を駆動して停止するようになっている。具体的には、駆動開始ボタン32が操作されると駆動用モータ15によりチェーン12を駆動し、バケットセンサ33が次のバケット13を検出すると駆動用モータ15が停止してチェーン12が停止する。この状態で、利用者は、開閉扉30を開放してバケット13をチェーン12から取外すことができ、開閉扉30を閉塞して駆動開始ボタン32を操作することで、駆動用モータ15によりチェーン12を駆動して次のバケット13を開閉扉30のある着脱位置30Pまで移動させることができる。なお、インタロックスイッチ31が開閉扉30の閉塞を検知しているときのみ、チェーン12の駆動が許容される。
【0046】
このように構成されたバケットコンベア1の動作を説明する。
【0047】
制御部40は、モード設定部35が操作されて動作モードがバケット取付けモードに設定されているときは、まず、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出する。
【0048】
ついで、制御部40は、算出したバケット間隔だけ駆動開始ボタン32が操作される毎に駆動用モータ15を制御してチェーン12を駆動して停止する。
【0049】
一方、制御部40は、モード設定部35が操作されて動作モードがバケット取外しモードに設定されているときは、駆動開始ボタン32が操作される毎にバケットセンサ33が次のバケット13を検出するまで駆動用モータ15を制御してチェーン12を駆動して停止する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係るバケットコンベア1は、内部に被搬送物が供給される被搬送物供給位置18P、19Pおよび被搬送物が外部に排出される被搬送物排出位置20Pを有する筺体10と、筺体10内に設けられ、被搬送物を載置可能な複数のバケット13が着脱可能に構成されるとともに、バケット13を筺体10の被搬送物供給位置18P、19Pと被搬送物排出位置20Pとの間で循環する無端状のチェーン12と、被搬送物供給位置18P、19Pに設けられ、バケット13に被搬送物を供給する供給フィーダ18、19と、被搬送物排出位置20Pに設けられ、バケット13から被搬送物を排出する排出シュート20と、筺体10に設けられ、チェーン12へのバケット13の着脱を行う着脱位置30Pと、チェーン12の駆動開始操作を行う駆動開始ボタン32と、着脱位置30Pの近傍に設けられ、チェーン12に装着されたバケット13を検出するバケットセンサ33と、排出シュート20から単位時間当たりに所定量の被搬送物を排出するために必要なバケット数を設定するとともに、設定されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出し、駆動開始ボタン32が操作される毎に算出しておいたバケット間隔だけチェーン12を駆動して停止するバケット取付けモード、および、駆動開始ボタン32が操作される毎にバケットセンサ33が次のバケット13を検出するまでチェーン12を駆動して停止するバケット取外しモード、を実行する制御部40と、を備えたことを特徴とする。
【0051】
この構成により、利用者は、バケット取付けモードにおいて、算出された均等なバケット間隔だけ駆動開始ボタン32を押すことでチェーン12を送り、着脱位置30Pでバケット13をチェーン12に取付けることができ、バケット取外しモードにおいて、駆動開始ボタン32を押すことでバケットセンサ33が次のバケット13を検出するまでチェーン12を送り、着脱位置30Pでバケット13をチェーン12から取外すことができるので、全てのバケット13を取付けることなく被搬送物を搬送することができる。また、バケット間隔が均等となるので、下方の装置から排出指令を受け取った排出シュート20までバケット13により被搬送物を搬送するための時間を短縮することができる。したがって、被搬送物の量に応じた必要十分な数のバケットで搬送を行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るバケットコンベア1は、排出シュート20から所定量の被搬送物を単位時間当たりに排出するために必要なバケット数の入力操作を行う設定入力操作部34を備え、制御部40が、設定入力操作部34から入力されたバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出することを特徴とする。
【0053】
この構成により、必要なバケット数の範囲内の所望のバケット数で被搬送物の搬送を行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態に係るバケットコンベア1は、設定入力操作部34から、排出シュート20から単位時間当たりに所定量排出する被搬送物の品種数および品種毎に必要なバケット数が入力され、制御部40が、設定入力操作部34から入力された品種数および品種毎に必要なバケット数に基づいて、チェーン12におけるバケット13の間隔が均等になるようバケット間隔を算出することを特徴とする。
【0055】
この構成により、複数の品種の被搬送物を搬送するときであっても、バケット間隔を均等にすることができる。
【0056】
また、本実施の形態に係るバケットコンベア1は、排出シュート20から排出された被搬送物を受け入れる外部装置である計量装置50から、計量装置50の単位時間当たりの被搬送物の処理能力を取得する接続インタフェース36を備え、制御部40が、接続インタフェース36が取得した処理能力を満たすようバケット数を算出することを特徴とする。
【0057】
この構成により、利用者がバケット数を入力することなく、外部装置である計量装置50の処理能力に応じた必要なバケット数およびバケット間隔が算出されるので、利便性を高めることができる。
【0058】
また、本実施の形態に係るバケットコンベア1は、開放時に着脱位置30Pとしての開口部を筺体10に形成する開閉扉30と、開閉扉30の閉塞状態を検知して開閉扉30の閉塞時にのみ制御部40によるチェーン12の駆動を許容するインタロックスイッチ31を備えたことを特徴とする。
【0059】
この構成により、バケット13をチェーン12に着脱している最中にチェーン12が駆動されることによる危険を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係るバケットコンベアは、被搬送物の量に応じた必要十分な数のバケットで搬送を行うことができるという効果を有し、複数のバケットが装着されたチェーン等の搬送手段により被搬送物を搬送して計量装置等に供給するバケットコンベアとして有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 バケットコンベア
10 筺体
10a 第1水平部
10b 垂直部
10c 第2水平部
12 チェーン
13 バケット
14 駆動用スプロケット
15 駆動用モータ
16 ガイド用スプロケット
17 終端スプロケット
18、19 供給フィーダ
18P、19P 被搬送物供給位置
20 排出シュート
20P 被搬送物排出位置
25、26 全排出シュート
50 計量装置
30 開閉扉
30P 着脱位置
31 インタロックスイッチ
32 駆動開始ボタン(駆動開始操作手段)
33 バケットセンサ(バケット検出手段)
34 設定入力操作部(必要バケット数入力操作手段)
35 モード設定部
36 接続インタフェース(処理能力取得手段)
40 制御部(必要バケット数設定手段、バケット間隔算出手段、制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被搬送物が供給される被搬送物供給位置(18P、19P)および前記被搬送物が外部に排出される被搬送物排出位置(20P)を有する筺体(10)と、
前記筺体内に設けられ、被搬送物を載置可能な複数のバケット(13)が着脱可能に構成されるとともに、前記バケットを前記筺体の被搬送物供給位置と被搬送物排出位置との間で循環する無端状のチェーン(12)と、
前記被搬送物供給位置に設けられ、前記バケットに被搬送物を供給する供給フィーダ(18、19)と、
前記被搬送物排出位置に設けられ、前記バケットから被搬送物を排出する排出シュート(20)と、
前記筺体に設けられ、前記チェーンへの前記バケットの着脱を行う着脱位置(30P)と、
前記チェーンの駆動開始操作を行う駆動開始操作手段(32)と、
前記着脱位置の近傍に設けられ、前記チェーンに装着されたバケットを検出するバケット検出手段(33)と、
前記排出シュートから単位時間当たりに所定量の被搬送物を排出するために必要なバケット数を設定する必要バケット数設定手段(40)と、
前記必要バケット数設定手段により設定されたバケット数に基づいて、前記チェーンにおけるバケットの間隔が均等になるようバケット間隔を算出するバケット間隔算出手段(40)と、
前記駆動開始操作手段が操作される毎に前記バケット間隔算出手段が算出したバケット間隔だけ前記チェーンを駆動して停止するバケット取付けモード、および、前記駆動開始操作手段が操作される毎に前記バケット検出手段が次のバケットを検出するまで前記チェーンを駆動して停止するバケット取外しモード、を実行する制御手段(40)と、を備えたことを特徴とするバケットコンベア。
【請求項2】
前記排出シュートから所定量の被搬送物を単位時間当たりに排出するために必要なバケット数の入力操作を行う必要バケット数入力操作手段(34)を備え、
前記制御手段が、前記必要バケット数入力手段から入力されたバケット数に基づいて、前記チェーンにおけるバケットの間隔が均等になるようバケット間隔を算出することを特徴とする請求項1に記載のバケットコンベア。
【請求項3】
前記必要バケット数入力手段から、前記排出シュートから単位時間当たりに所定量排出する被搬送物の品種数および品種毎に必要なバケット数が入力され、
前記バケット間隔算出手段が、前記必要バケット数入力手段から入力された品種数および品種毎に必要なバケット数に基づいて、前記チェーンにおけるバケットの間隔が均等になるようバケット間隔を算出することを特徴とする請求項2に記載のバケットコンベア。
【請求項4】
前記排出シュートから排出された被搬送物を受け入れる外部装置から、該外部装置の単位時間当たりの被搬送物の処理能力を取得する処理能力取得手段(36)を備え、
前記必要バケット数設定手段が、前記処理能力取得手段が取得した処理能力を満たすようバケット数を算出することを特徴とする請求項1に記載のバケットコンベア。
【請求項5】
開放時に前記着脱位置としての開口部を前記筺体に形成する開閉扉(30)と、
前記開閉扉の閉塞状態を検知して前記開閉扉の閉塞時にのみ前記制御手段による前記チェーンの駆動を許容するインタロックスイッチ(31)を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のバケットコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−213437(P2011−213437A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82055(P2010−82055)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】