説明

バケットコンベヤの投入口構造およびバケットコンベヤ

【課題】粉粒体等からなる搬送物を投入口からバケットに投入する際に搬送物がバケットから飛散することを防止してバケットコンベヤの円滑な運行を図り、コンベヤを長寿命化して保守作業の頻度を低減したバケット式コンベヤを提供すること。
【解決手段】投入口101の両側にバケットコンベヤ100を構成するバケット160の開口上面と近接してバケット160の開口上面と平行な下端面121を有し、バケット160の両側のバケット側壁161の内側に該バケット側壁161と平行にバケットコンベヤ100の移動方向に延設する一対の垂直飛散防止板120と、垂直飛散防止板120の外側に垂直飛散防止板120に沿って水平に配置され、投入口101の下方を移動するバケット160のバケット側壁161と垂直飛散防止板120との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板130とを備えているバケットコンベヤ100の投入口構造110。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体、バラ物、塊状物等の搬送物を搬送するバケット式のコンベヤに関するものであって、特に、バケットコンベヤにおける投入口の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体、バラ物、塊状体等の搬送物を搬送する場合には、循環駆動されるチェーンに多数のバケットを取り付けたバケットコンベヤが使用されていて、例えば、コンベヤケースのような筐体により囲繞される水平および垂直搬送路内で、左右両側に設置されたガイドレール上を水平・垂直循環走行する一対のコンベヤチェーンの間に多数のバケットが取り付けられ、水平搬送路の上方に設置された投入口から搬送物がそれぞれのバケット内に投入されて搬送され、送出口でバケット内の搬送物を送出するようなバケット式コンベヤが知られている。
【0003】
このような従来のバケットコンベヤでは、例えば、図10に示すように、バケットコンベヤの水平搬送路の所望箇所に、上方に設けられた投入シュートから粉粒体状の搬送物Mが投入される投入口501が設置されていて、当該投入口501の付近には、バケットコンベヤ500を駆動するコンベヤチェーン570を下方から支持して案内するガイドレール571がコンベヤチェーン570の走行方向に延設されている。
当該投入口501が形成された天井板513の上方には、搬送物Mが貯留されたホッパが設置されていて、ホッパ内に貯留されている搬送物Mが、ホッパの下方に設けられたシャッタを開閉することにより、投入口501を通じて、それぞれのバケット560に投入される。
また、投入口501の両側には、バケットコンベヤ500の移送方向に延在して、バケット560の両端部付近に、バケット560の上部開口に近接して位置する、左右一対の垂直飛散防止板520を設置した投入口構造510が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−105848号公報(図4又は図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来のバケットコンベヤの投入口構造510では、コンベヤチェーン570を支持・案内するガイドレール571によりバケット550を投入口501下部に延設されている垂直飛散防止板520に近接した位置を通過させるようにして、バケット560と投入口501との間に生じる隙間を減少させて、ホッパから落下した搬送物Mが両側に飛散することを防止している。
このように投入口501の両側に設けた垂直飛散防止板520をバケット560の上面との隙間を適宜に調整可能に設置したことで、投入口501から落下した搬送物Mが直接側方へ飛散することはある程度抑制されるものの、垂直飛散防止板520とバケット560の側壁551との間にはある程度の隙間が生ずるため、バケット560内に勢いよく落下した粉粒体がバケット560の底部で飛び跳ね、垂直飛散防止板520とバケット560の側壁551との隙間からバケット560の外側に飛散してしまうという問題があった(図10中の矢印参照)。特に、搬送物が粉体の場合には、投入口からバケット550内に落下した搬送物が飛び散りやすく、このような両側からの飛散が顕著であり、一層問題であった。
【0006】
また、投入口501の前後方向には、搬送物Mの飛散を防止する手段が何ら講じられていなかったので、前後方向に飛散した搬送物Mは、斜め前方若しくは斜め後方に跳ね飛んだものなど、たまたま隣接するバケット560に収容されたもの以外は、バケット560相互の隙間などから水平搬送路内に落下し、バケット560の両側から飛散した搬送物Mと同様の問題を引き起こすという問題があった。
【0007】
次に、搬送物Mがバケット560から搬送路内に飛散すると、飛散した搬送物Mがガイドレール上571に堆積し、ガイドレール571上に滞積した搬送物Mにバケットを支持する伝動チェーン530が乗り上げてバケットが投入口501側におし上げるので、バケット560が水平飛散防止板520と接触して耳障りな接触音を発生したり、極端な場合にはバケット560の前壁、後壁または側壁などが垂直飛散防止板520に引っ掛かりバケットコンベヤを損傷してしまうなど、バケットコンベヤ500の円滑な作動を阻害し、コンベヤ寿命を短縮するという問題があった。
その上、搬送路中に堆積する搬送物Mが増大すると、下方を通過するバケット560の運行にも支障をきたすため、適宜の期間毎にバケットコンベヤの搬送路内の清掃や、バケット560、コンベヤチェーン570の整備などの保守作業を行なう必要があるが、搬送物Mの飛散が多いと、当該保守作業の頻度が高まり、バケットコンベヤの保守が煩雑になるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、粉粒体等からなる搬送物を投入口からバケットに投入する際に搬送物がバケットから飛散することを防止してバケットコンベヤの円滑な運行を図り、コンベヤを長寿命化して保守作業の頻度を低減したバケットコンベヤの投入口構造及びこれを備えたバケットコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は、水平搬送路の上方に設置された投入部の下部の投入口から落下投入される粉粒体状の搬送物を搬送するバケットコンベヤの投入口構造において、前記投入口の両側に、前記バケットコンベヤを構成するバケットの開口上面と近接する位置まで延在して該バケットの開口上面と平行な下端面を有し、前記バケットの両側を形成するバケット側壁の内側に該バケット側壁と平行にバケットコンベヤの移動方向に延設される一対の垂直飛散防止板と、前記垂直飛散防止板の外側に該垂直飛散防止板に沿って水平に配置され、前記投入口の下方を移動するバケット側壁と前記垂直飛散防止板との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板と、を備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記水平飛散防止板が、前記垂直飛散防止板と内側面で摺接し、前記投入口の下方を移動する前記バケットのバケット側壁上端と下面で摺接する位置に上下動自在に配置されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
請求項3に係る本発明は、請求項2に係る発明の構成に加えて、前記水平飛散防止板が、上下動の範囲を規制する上下動規制機構を備えていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0012】
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記投入口の前後端部に、前記バケットコンベヤの移動方向と直行する方向に前記垂直飛散防止板の間を延在して、前記バケットコンベヤの移動方向に揺動自在に垂下された揺動飛散防止板が設置されていることにより、前述したような課題をさらに解決したものである。
【0013】
請求項5に係る本発明は、請求項4に係る発明の構成に加えて、前記揺動飛散防止板の揺動下端が、前記投入口の下方を移動するバケットのバケット前壁またはバケット後壁の上端部よりも下方まで延在されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0014】
請求項6に係る本発明は、請求項4又は請求項5に係る発明の構成に加えて、前記揺動飛散防止板が、前記投入口の前端側および後端側にそれぞれ複数設置されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0015】
請求項7に係る本発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された投入口構造を備えたバケットコンベヤであることにより、前述した課題を解決したものである。
【0016】
請求項8に係る本発明は、請求項7に係る発明の構成に加えて、前記投入口の下方を移動するバケットコンベヤを構成する複数のバケットの開口上面が、前記垂直飛散防止板の端面に近接する同一高さ平面を形成しつつ前記水平搬送路を移動することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0017】
請求項9に係る本発明は、請求項7又は請求項8に係る発明の構成に加えて、前記投入口の両側にバケットコンベヤを移送するコンベヤチェーンを案内するガイド機構が設置され、前記コンベヤチェーンに支持される多数のバケットのそれぞれが前記ガイド機構により案内されて前記垂直飛散防止板の下端面に近接して移動することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、水平搬送路の上方に設置された投入部の下部の投入口から落下投入される粉粒体状の搬送物を搬送するバケットコンベヤの投入口構造において、投入口の両側にバケットコンベヤを構成するバケットの開口上面と近接する位置まで延在してバケットの開口上面と平行な下端面を有し、バケットの両側を形成するバケット側壁の内側にバケット側壁と平行にバケットコンベヤの移動方向に延設される一対の垂直飛散防止板と、垂直飛散防止板の外側に垂直飛散防止板に沿って水平に配置され、投入口の下方を移動するバケットのバケット側壁と垂直飛散防止板との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板とを備えていることにより、垂直飛散防止板の内側側面が投下される搬送物を下方に案内しつつ側方に飛散することを防止するとともに、垂直飛散防止板の外側にバケット側壁との間に生ずる隙間も水平飛散防止板により閉塞されているため、バケット内に投入された粉体状の搬送物がバケット内壁若しくは搬送物相互に衝突して飛び跳ね、舞い上がるなどしても、当該隙間からバケットコンベヤの搬送路内に搬送物が飛び散することを効果的に防止して、無駄なく搬送物をバケット内に積載することができる。
【0019】
また、投入口の下方を移動するバケット側壁と垂直飛散防止板との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板を備えていることにより、水平搬送路内へ飛散する粉粒体状の搬送物の量を大幅に減少させて搬送路内に堆積した搬送物に起因するバケットコンベヤの不具合が発生する可能性を大幅に軽減したため、搬送路内の清掃や、バケットコンベヤを支持、駆動する駆動機構であるコンベヤチェーンの整備などの保守作業を実施する頻度を低減してバケットコンベヤを長期に亘って円滑に稼働させることができる。
【0020】
請求項2に係る本発明のバケットコンベヤの投入口構造によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、水平飛散防止板が垂直飛散防止板と内側面で摺接し投入口の下方を移動するバケットコンベヤのバケット側壁上端と下面で摺接する位置に上下動自在に配置されていることにより、垂直飛散防止板と水平飛散防止板との間の隙間をも解消することができるとともに、コンベヤチェーンに多数支持されて移動していて高さが上下に移動しがちであり、また個々に寸法差があってその高さが必ずしも一定しないバケット側壁に対して、水平飛散防止板がバケット側壁に乗った状態となって追従して上下移動して、バケット側壁と水平飛散防止板との隙間を事実上完全に解消するため、バケットの移動、寸法差にも係わらずバケット側壁と垂直飛散防止板との間の隙間から投入された粉粒体状の搬送物が飛散することをほぼ完全に阻止することができる。
【0021】
請求項3に係る本発明のバケットコンベヤの投入口構造によれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、水平飛散防止板が上下動の範囲を規制する上下動規制機構を備えていることにより、水平飛散防止板が濫りに下方に垂れ下がることもなくバケットコンベヤの走行の障害となる位置まで下降したり、水平飛散防止板が脱落して落下してしまうこともないため、水平飛散防止板が上下動自在であっても、下降した水平飛散防止板によりバケットコンベヤの円滑な走行を妨げることを阻止して、長期に亘りバケットコンベヤの円滑な稼働を継続させることができる。
【0022】
請求項4に係る本発明のバケットコンベヤの投入口構造によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明が奏する効果に加えて、投入口の前後端部にバケットコンベヤの移動方向と直行する方向に垂直飛散防止板の間を延在して、バケットコンベヤの移動方向に揺動自在に垂下された揺動飛散防止板が設置されていることにより、バケットの前後方向についても、バケットに投入された粉粒体状の搬送物がバケットコンベヤの前後方向に跳ね飛んだとしても揺動飛散防止板により跳ね飛んだ搬送物が前後方向に飛散することを防止するため、バケットコンベヤの搬送路内に搬送物が飛散することをより一層防止することができるとともに、搬送路内に飛散した搬送物が堆積する量を一層軽減して、保守作業の頻度をさらに低減し、一層長期に亘りバケットコンベヤを稼働させることができる。
また、揺動飛散防止板がバケットコンベヤの移動方向に揺動自在であることにより、バケットのバケット前壁、バケット後壁またはバケット内に積載された搬送物が揺動飛散防止板に接触したとしても、バケットの移動につれて揺動飛散防止板が揺動されてバケットの移動を妨げることがないため、投入口の付近にバケットコンベヤの移動方向の前後に飛散防止部材を設けても、水平飛散防止板やバケット前壁、バケット後壁などを損傷することなく、バケットコンベヤを円滑に稼働させることができる。
【0023】
請求項5に係る本発明のバケットコンベヤの投入口構造によれば、請求項4に係る発明が奏する効果に加えて、揺動飛散防止板の揺動下端が投入口の下方を移動するバケットコンベヤを構成するバケットのバケット前壁またはバケット後壁の上端部よりも下方まで延在されていることにより、投入口の前後端部とバケットのバケット前壁またはバケット後壁との間において形成される隙間が狭まり、または、揺動飛散防止板の先端がバケットの前壁若しくは後壁と接触してこの間の隙間が完全に閉塞されるため、粉粒体状の搬送物が前後方向へ飛散することを一層効果的に阻止することができる。
また、揺動飛散防止板がバケットの前後壁の上端部より下方に延在されていることにより、バケットに投入される粉粒体状の搬送物が揺動飛散防止板の内側側面により案内されてバケット内に流下するため、粉粒体状の搬送物が投入時に拡散することなく確実にバケット内に流入、保持させることができる。
【0024】
請求項6に係る本発明のバケットコンベヤの投入口構造によれば、請求項4または請求項5に係る発明が奏する効果に加えて、揺動飛散防止板が投入口の前端側および後端側にそれぞれ複数設置されていることにより、例えば、内側の揺動防止板の下端をくぐり抜けた搬送物であっても外側の揺動飛散防止板によって跳ね戻され飛散することが阻止される、または、投入された搬送物の勢いにより揺動されたいずれかの揺動飛散防止板が隣接する揺動飛散防止板あるいはバケット前壁若しくはバケット後壁と当接して両者の間の隙間を閉塞して搬送物が飛び散ることを防ぐ、というように、個々の揺動飛散防止板とバケット内壁との間には隙間があっても、揺動する複数の揺動飛散防止板相互の、または揺動飛散防止板とバケット前後壁との相互作用により、前後方向の隙間を閉塞して前後方向への搬送物の飛散を阻止するため、バケットコンベヤの搬送路内部への搬送物の飛散・堆積を効果的に阻止することができるとともに、バケットコンベヤの保守作業頻度を一層低減してバケットコンベヤを長期に亘り円滑に稼働させることができる。
また、複数垂下される揺動飛散防止板が、流下する搬送物を案内する一種の整流板として作用するため、仮に、バケットが投入口の直下から多少ずれた位置において搬送物が投入されたとしても、搬送物が前後方向に飛散することが少なく、無駄なく案内されてバケット内に流下、収容することができる。
【0025】
請求項7に係る本発明のバケットコンベヤによれば、バケットコンベヤが請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された投入口構造を備えていることにより、請求項1乃至請求項6いずれか1項に係る発明と同様の効果を奏して、搬送物投入口における搬送路内への粉粒体状の搬送物の飛散が効果的に阻止されるため、バケットコンベヤ内部に搬送物が堆積することが大幅に軽減されて、バケットコンベヤを構成する駆動機構、バケット、搬送路などの点検、整備の頻度を著しく低減して保守作業を容易、簡便化することができるとともに、長時間に亘りバケットコンベヤを円滑に稼働させることができる。
【0026】
請求項8に係る本発明のバケットコンベヤによれば、請求項7に係る発明が奏する効果に加えて、投入口の下方を移動するバケットコンベヤを構成する複数のバケットの開口上面が、前記垂直飛散防止板の端面に近接する同一高さ平面を形成しつつ水平搬送路を移動することにより、投入口に設けた水平飛散防止板と摺接するバケット側壁の高さが一定となり水平飛散防止板を上下動させることが著しく低減されるため、水平飛散防止板の下面とバケット側壁とが摺接する摺接部や、垂直飛散防止板と水平飛散防止板とが摺接する摺接部などが損傷する可能性を著しく低減することができるとともに、バケットコンベヤの円滑な稼働を長期に亘り継続させることができる。
【0027】
請求項9に係る本発明のバケットコンベヤによれば、請求項7又は請求項8に係る発明が奏する効果に加えて、投入口の両側にバケットコンベヤを移送するコンベヤチェーンを案内するガイド機構が設置され、コンベヤチェーンに支持される多数のバケットのそれぞれがガイド機構により案内されて垂直飛散防止板の下端面に近接して移動することにより、例えば搬送物の投入によりバケットに衝撃力が加わったとしても、バケットがガイド機構により支持されて上下に揺れることなく、垂直飛散防止板に近接した位置を安定に維持しつつ移動するため、バケット側壁上端の位置が上下に変動することなく垂直飛散防止板及び水平防止板を有効に機能させることができるとともに、バケット側壁が上下に振動することなく安定して移動して、これらの飛散防止板とバケット側壁との間で衝突が発生することが回避され、両者が滑らかに摺接、相対移動して、いずれにも損傷が生じないため、各飛散防止板やバケットを長時間に亘り使用することができ、ひいてはバケットコンベヤを長時間に亘り安定して稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例であるバケットコンベヤの全体概略図。
【図2】本発明の第1実施例であるバケットコンベヤの投入口構造の移動方向断面図。
【図3】図2に示す投入口構造の一部断面側面図。
【図4】図2に示す投入口構造を下方斜め下からみた仰瞰図。
【図5】図2に示す投入口構造を斜め上からみた一部分解俯瞰図。
【図6】図2に示す投入口構造の要部仰瞰図。
【図7】図2に示す投入口構造のバケットコンベヤ稼働時移動方向断面図。
【図8】図2に示す投入口構造のバケットコンベヤ稼働時一部断面側面図。
【図9】本発明の第2実施例である投入口構造の稼働時一部断面側面図
【図10】従来のバケット式コンベヤの投入口構造の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、水平搬送路の上方に設置された投入部の下部の投入口から落下投入される粉粒体状の搬送物を搬送するバケットコンベヤの投入口構造において、投入口の両側にバケットコンベヤを構成するバケットの開口上面と近接する位置まで延在してバケットの開口上面と平行な下端面を有し、バケットの両側を形成するバケット側壁の内側にバケット側壁と平行にバケットコンベヤの移動方向に延設する一対の垂直飛散防止板と、垂直飛散防止板の外側にこの垂直飛散防止板に沿って水平に配置され、投入口の下方を移動するバケットのバケット側壁と垂直飛散防止板との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板とを備えて、粉粒体等からなる搬送物を投入口からバケットに投入する際に搬送物がバケットから飛散することを防止してバケットコンベヤの円滑な運行を図り、コンベヤを長寿命化して保守作業の頻度を低減したものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0030】
すなわち、本発明のバケット式コンベヤに用いるコンベヤチェーンの具体的な形態については、左右一対に並設されたコンベヤチェーンの間にバケットを取り付けることが可能なものであればよく、例えば、ローラチェーンあるいはブシュチェーンのいずれであっても差し支えない。
また、バケットコンベヤの形式としては、コンベヤチェーンに回動不能にバケットを取り付けた形式のものでもよいし、コンベヤチェーンに対し回動自在に取り付けた、所謂ピボテッドタイプのものでも、いずれでも構わず、バケットの素材は、金属製でも、合成樹脂製でも、またそれらの複合材料であってもよい。
【0031】
本発明で採用した垂直飛散防止板については、投下部の下部に位置する投入口のバケットコンベヤ移動方向長さ程度、あるいは当該移動方向長さよりも長く、投入口を前後に跨がって、バケットの上面開口をその移動方向長さにわたって延設する程度のものであればよく、その材質は、搬送物の性状にもよるが、搬送物と反応性を有しない材料であれば、金属、合成樹脂など、従前バケットコンベヤの投入部に使用されていたどのような材料を採用してもよい。
【0032】
本発明で採用した水平飛散防止板については、バケット移動方向の長さは上述の垂直飛散防止板と同程度の長さであればよく、搬送物の飛び跳ねなどを考慮すると、バケットの移動方向長より幾分長い程度が好ましい。
また、その下面がバケットコンベヤのバケット側壁の上端と始終摺接していることに鑑み、耐摩耗性、滑性に優れた金属材料、フッ素樹脂などの材料を使用することが好ましいが、鋼材などの摺接面にフッ素樹脂被覆を施したものでもよい。
さらに、バケットコンベヤが一方向から侵入してくることに鑑み、バケット侵入側を上方に反らせたスキー板状の形状とすると、侵入してくるバケットが突発的に上昇しても、上昇したバケットのバケット前壁若しくはバケット側壁との衝突を回避できて好ましい。
【0033】
本発明で採用した揺動飛散防止板の逆転防止手段の具体的な形態については、基本的に長方形状の板体でよいが、投下される搬送物をバケット内部の中央よりに集積させるという機能に鑑み、側方視で、中央部を外に凸とした湾曲を備えるものであってもよい。
また、内側を搬送物が流下すること、および下端付近においてバケットのバケット前壁やバケット後壁と頻りに当接、摺動するため、滑性、耐摩耗性に優れる材料を使用すべきであり、フッ素樹脂などの滑性、耐摩耗性に優れた材料で被覆したものでも構わない。
【0034】
バケットコンベヤを支持するコンベヤチェーンを案内するガイドレールの具体的な形態については、コンベヤチェーンの走行位置を上下又は左右に振れないように確実に規制して、バケット開口の同一平面を維持しつつ移動させるものであれば、いかなる形態のものであってもよい。
【実施例1】
【0035】
以下、本発明の第1実施例であるバケット式コンベヤ100を図1乃至図8に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例であるバケットコンベヤの全体概略図であり、図2は、図1に示すバケットコンベヤの投入口構造の正面、断面図であり、図3は、図2に示す投入口構造の一部断面、側面図であり、図4は、図2に示す投入口構造を下方斜め下からみた仰瞰図であり、図5は、図2に示す投入口構造を斜め上からみた一部分解俯瞰図であり、図6は、図2に示す投入口構造の要部仰瞰図であり、図7は、図2に示す投入口構造のバケットコンベヤ稼働時の正面、断面図であり、図8は、図2に示す投入口構造のバケットコンベヤ稼働時における、左側が側断面であり、右側が側面図である。
【0036】
まず、本発明の投入口構造110が適用され、または、本発明の実施例でもあるバケット式コンベヤ100は、図1に示すように、粉粒体等からなる搬送物Mを上方に設けたホッパ111若しくは投入シュートなどの投入部から投入、落下する投入口101を下方側水平搬送路103の上面に設けるとともに、搬送物Mを送出する送出口102を上方水平搬送路105の底部に設け、これら下方水平搬送路103と上方水平搬送路105との間に垂直搬送路104を備えてバケットコンベヤ100を形成している。
このバケットコンベヤ100内に、上方水平搬送路105の端部に配置した左右一対の駆動スプロケットSP1と下方水平搬送路103の端部に配置した従動スプロケットSP2との間に巻回されて循環駆動される左右一対のローラチェーンからなるコンベヤチェーン170が設置され、さらに、これらの左右一対のコンベヤチェーン170の間に、側面に突出した一対の突起部で、搬送方向に等間隔にコンベヤチェーン170に支持され、当該コンベヤチェーンに、投入口101から落下、投入された搬送物Mを収容し、送出口102へ搬送する多数のバケット160が設置されている。
【0037】
図1に示すバケットコンベヤ100は、搬送物Mを下方水平搬送路103の上面を構成する天井板113に設けた投入口101からバケット160に投入し、このバケット160を水平移動させ、次いで、垂直搬送路104の上昇移動を経て、上方水平搬送路105を水平搬送させた後、上方水平搬送路105の終端位置に設けた送出口102から搬送物Mを送出するようにレイアウトされている。
【0038】
なお、本実施例の対象であるバケットコンベヤ100では、図1に示すようなレイアウトを採用しているが、水平搬送路の天井板113に設けた投入口101の近傍においてコンベヤチェーン170を水平搬送させて、投入口101から投入、落下した搬送物Mを収容、搬送することが可能であれば、水平搬送のみ、あるいは、これ以外のレイアウトであっても適用できる。
また、図1におけるSP3は、コンベヤチェーン160の移動方向を転回案内する転回スプロケットである。
【0039】
本実施例のもっとも特徴とするバケットコンベヤの投入口の構造、すなわち投入口構造110について、以下に説明する。
まず、図2乃至図5に示すように、前述した下方水平搬送路103の上部に、搬送物Mを貯留し、下部にシャッタ112を備えたホッパ111または上方の貯留部から流下してくる搬送物Mを投入口101に案内する投入シュートのような投入部が配置されていて、当該投入部の下方で、下方水平搬送路103を移動するバケットコンベヤ100の直上部を構成する天井板113に、搬送物M投入用の開口、すなわち投入口101が形成されている。
【0040】
当該投入口101の左右方向両側には、バケットコンベヤ100の移動方向に延びて、バケットコンベヤ100を構成するバケット160のバケット側壁161のやや内側に、バケット側壁161と平行に、投入口101の形成された天井板113からバケット160の上面開口164に近接する位置まで延在した下端面121を有する垂直飛散防止板120が、L型材などの取付部材により天井板113の下面に設置されている。
なお本第1実施例では、垂直飛散防止板120は、バケット移動方向に、バケット上面開口164の移動方向長さよりも(3倍程度)長く延在させている。
垂直飛散防止板120は、バケット161の上面、特にバケット160のバケット後壁163の上端部の移動軌跡に近接して配置されていて、本第1実施例においてはバケット側壁161より幾分下方の位置まで入り込んで、その下端面121がバケット側壁161より低いバケット後壁163と微少なクリアランスを形成して、バケット160の上面開口164と対向して平行に位置付けられている。
【0041】
また、天井板113の両側で下方に延在する側板114には、バケットコンベヤ100を駆動するコンベヤチェーン170を支持、案内するガイド機構であるコンベヤチェーンガイド171が設けられていて、当該コンベヤチェーンガイド171上を走行するコンベヤチェーン170に多数連設、配置されたバケット160が、コンベヤチェーンガイド171に案内されつつ、垂直飛散防止板120の下端面121に近接した位置を移動してゆく。
これにより、投入された搬送物Mがバケット160の側方に飛散することを相当程度に防止していることは、従来技術と同様である。
【0042】
さらに、本第1実施例のバケットコンベヤ100の投入口構造110では、投入口101の両側に設けられた垂直飛散防止板120の外側面122に沿って、垂直飛散防止板120の外側面122とバケット160のバケット側壁161との間に生ずる隙間を閉塞するように、水平飛散防止板130が設置されている。
水平飛散防止板130は、長手方向の両端部が反り上がり、全体としては略細長長方形でスキー板状を呈する形状をしていて、その前後端付近に設けた固定ブロック135において、下方搬送路103の上面を構成する天井板113からチェーンリンク136により吊下されて、上下に移動自在に設置されている。
【0043】
水平飛散防止板130は、平坦な下面131及び内側面132を有していて、下面131でバケット側壁161の上端と、また内側面132で、隣接する垂直飛散防止板120の外側面122と、それぞれ摺動自在に当接するように設置されている。
これらの摺動、当接面を有して上下動自在であることにより、移動してきたバケット160のバケット側壁161の上端が水平飛散防止板130の下面を摺接しながら通過してゆくので、バケット側壁161と水平飛散防止板130とは常に摺接状態を維持し、また、水平飛散防止板130の内側面132と垂直飛散防止板120の外側面122とも摺接状体を維持するので、これらの間に隙間が生ずることはない。
たとえ移動中のバケット160が上下動したり傾動したりしても、吊下された水平飛散防止板130は、下方を移動するバケット側壁161の上下動、傾動にあわせて適宜に移動するので、両者の間に隙間が生ずる可能性が著しく低減されることになる。
【0044】
また、水平飛散防止板130は、上下方向の動作範囲を規制する上下動規制機構、左右方向の動作を規制する左右動規制機構、および前後方向の移動を制限する前後動規制事項を兼ねる作動範囲規制機構150を備えていて、作動範囲規制機構150は、水平飛散防止板130から側方に突設されてバケットコンベヤ100の移動方向に長い長穴134が形成された位置規制フランジ133と協働するものであり、天井板113から下方に延びて規制フランジ133に形成された長穴134に挿通される位置規制ボルト151と、当該位置規制ボルト151のそれぞれに螺着される2個の下動規制ナット153、および下動規制ナット153と位置規制フランジ133との間に介在する下動規制ワッシャ152とから構成されている。
【0045】
図6に一層明瞭に示されているように、作動範囲規制機構150と協働する部材として、水平飛散防止板130には、垂直飛散防止板120と当接する側とは反対側の側方に突出して、作動規制フランジ133が、長手方向の前後2箇所に形成されていて、そのいずれにも、バケット160の移動方向に長い長穴134が形成されている。
作動範囲規制機構150を構成する位置規制ボルト151は、垂直飛散防止板120の投入口101側とは反対の側の両側方でやや離間した位置に、バケット160の移動方向に沿って前後にそれぞれ2箇所、天井板113からバケット160側に延設して固定されている。
また、作動規制ボルト151に螺着された下動規制ナット153により、介挿される下動規制ワッシャ152とともに、作動規制フランジ133の長穴134に挿通されて、水平飛散防止板130の下方移動の限界を規制している。
【0046】
したがって、水平飛散防止板130の作動規制フランジ133に形成された長穴134に、天井板113に固定された作動規制ボルト151を挿通して、下動規制ナット153を螺着することによって、作動規制フランジ133を備える水平飛散防止板130が、左右方向については作動規制ボルト151と長穴134の左右幅により、垂直飛散防止板120の外側面122と水平飛散防止板130の内側面132とが摺動、当接する位置に位置決めされる。
また、作動規制ボルト151が長穴134に挿通されて、前後方向についても移動可能範囲が制限されているので、移動するバケット160のバケット側壁161から水平飛散防止板130に摩擦力が作用しても、長穴134の前後方向長さの範囲でバケット160に引き摺られて前後動するが、バケット160とともに下流側に持ち去られることはない。
さらに、水平飛散防止板130が、下方に位置する下動規制ボルト153および下動規制ワッシャ152により下方への動作範囲を規制されているので、下方に下がりすぎた水平飛散防止板130の先端がバケット160の前壁と衝突してバケット160を破損したり、バケットコンベヤ100が稼働不能になることが予防される。
なお、水平飛散防止板130の上方への移動に関しては、上方に位置する天井板113などにより可動範囲を制限されている。
【0047】
本第1実施例の投入口構造110は、さらに、この投入口101の前後端部付近で両側に設けられた垂直飛散防止板120の間に、バケットコンベヤ100の移動方向と直行する方向に垂直飛散防止板120の間全体にわたって延在して、揺動飛散防止板140が垂下されている。
揺動飛散防止板140は、投入口101の、バケットコンベヤ100の移動方向でみて上流側および下流側の端部付近に、投入口101の両側に配置された垂直飛散防止板120の上部に、揺動ヒンジ141をさし渡して揺動自在に枢支されていて、その揺動下端142は、垂直飛散防止板120の下端よりさらに下方、バケット後壁163の移動軌跡にまで入り込んで位置するように配置されている。
したがって、投入口101付近にバケット160が移動してくると、バケット後壁163により、揺動飛散防止板130が押されて揺動され、バケット後壁163の移動軌跡から退出するため、揺動飛散防止板140がバケット160の移動に対して障害となることはない。
【0048】
また、バケット160が投入口101の直下に位置しているときは、揺動飛散防止板130の揺動端部132がバケット後壁162の高さよりも下方まで延在しているため、投入口101から流下してくる粉粒体状の搬送物Mは、揺動飛散防止板140の側面によりバケット160の中央底部に案内されて、前後いずれかの方向に広がって投入されることが防止される。
さらに、バケット160の底部から跳ね返しや、搬送物Mどうしの衝突などの結果、前後方向に飛散しようとする搬送物Mがあっても、跳ね飛んだ搬送物が通過可能な領域は、下流側の揺動飛散防止板130の揺動下端132と先行するバケット160のバケット後壁163の上端との隙間、上流側の揺動飛散防止板130の下端部とバケット後壁163の上端との隙間、および、バケット後壁163とバケット前壁162との間の微小な隙間とに限定され、きわめて狭い範囲に限られるので、跳ね飛んだ搬送物Mは、ほとんどが、バケット後壁163より下方まで入り込んだ揺動飛散防止板130およびバケット後壁163により跳ね戻され、バケット160の外部に飛散する搬送物Mは、揺動飛散防止板130を備えていない従前の投入口と比べ、格段に少なくなる。
【0049】
その上、本実施例のように、投入口101の前端側に2枚、後端側に2枚というように揺動飛散防止板140を複数、バケットの開口上面164の移動方向前後に設けると、揺動飛散防止板140とバケット後壁163との間に形成される隙間が一層狭く限定されるとともに、内側に垂下された揺動飛散防止板140の下方をくぐり抜けた搬送物Mも、ほとんどは外側に垂下された揺動飛散防止板140により跳ね戻されるので、バケット160の外に飛散する搬送物Mの量を、さらに一層低減することができる。
【0050】
このように、揺動飛散防止板140をバケット160移動方向に揺動自在に垂下して設置したことにより、従来は何ら手立てが講じられていなかったバケット160前後方向への搬送物Mの飛散を大幅に抑制できるようになったにも係わらず、バケット160の移動に、支障をきたすことなく、円滑にバケットコンベヤを稼働させることができる。
【0051】
以上のような投入口構造110を備えたバケットコンベヤ100の稼働中の状態を示すのが図7および図8であり、コンベヤチェーン170(移動軌跡を一点鎖線で示す)に沿って多数連接されるバケット160は、搬送物Mの投入口部において、側面に設けられたコンベヤチェーンガイド171により垂直飛散防止板140に近接した位置を維持しつつ、それぞれの開口上面164が同一平面を形成するように移動し、また、投入口101付近では、バケット側壁161および垂直飛散防止板120と当接、摺動する水平飛散防止板130により垂直飛散防止板120とバケット側壁161との間にある隙間が閉塞された状態で搬送物Mが投入されるので、投入された搬送物Mが粉体であっても、バケット160の外側に飛散することはない。
また、投入口101の上流側及び下流側に、複数の揺動飛散防止板140を揺動可能に垂下したので、図8の左側断面図に示されるとおり、前後方向についても、投入口101の前後方向に開放した隙間が生ずることを低減しているので、粉粒体状の搬送物Mが前後方向に飛散することも大幅に軽減される。
【0052】
その上、搬送物Mの投入時にバケット160に衝撃が加わったとしても、コンベヤチェーンガイド171によりバケット160が支持されているため、バケット160が下方に沈み込むことが防止されて、投入口101とバケット160の開口部との距離が広がることはなく、仮に、搬送物M投入の衝撃で一時的に沈み込んだとしても、上下動自在な水平飛散防止板130がバケットに追従して下動するため、バケット側壁161と水平飛散防止板120との間に隙間が生ずることはない。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明であるバケットコンベヤの投入口構造を、ピボテッドタイプのバケットコンベヤに適用した第2実施例について、図9を参照して説明する。
第2実施例の投入口構造210も、基本的に前述した第1実施例の投入口構造110と同様の構造を有していて、下方を走行するバケットのタイプが相違するのみであるので、共通する事項については、下2桁を共通する200番代の符号を付すのみとして詳しい説明は省略する。
【0054】
第2実施例の投入口構造210において特徴とする点は、バケット260がバケットコンベヤ200の移動方向に隙間を有して連設されていることと、バケット260のバケット前壁262とバケット後壁263とがほぼ同じ高さに形成されていて、揺動飛散防止板240がバケット260の移動方向長さにほぼ等しい間隔で設置されている点である。
【0055】
垂直飛散防止板220及び水平飛散防止板230が、粉粒体状の搬送物Mのバケット260の両側への飛散を防止していることは、第1実施例の投入口構造110における垂直飛散防止板120および水平飛散防止板130と同様である。
本第2実施例の場合、両側の揺動飛散防止板240がバケット前壁262およびバケット後壁263の高さより下方まで入り込むように垂下されているため、バケット260が投入口201の真下に位置したとき、図9の左側に示されるように、バケット前壁262と前方側の揺動飛散防止板240の揺動下端242とが接触し、バケット260の前方側が完全に閉塞され、同様に、バケット260の後方側についても、図9右側に破線で示されるように、バケット後壁263も下流側に垂下された揺動飛散防止板240の揺動下端242と当接し、搬送物Mが飛び出すような隙間が完全に閉塞される。
【0056】
したがって、このような状態において搬送物Mをバケット260に投入すれば、両側方向の隙間は垂直飛散防止板220及び水平飛散防止板230により閉塞され、かつ、前後方向に隙間も、バケット前壁262若しくはバケット後壁263と当接した揺動飛散防止板240によりほぼ閉塞されるので、粉粒体状の搬送物Mを投入口201から投入した際に、バケット260とバケット260との隙間などから搬送物Mが周囲に飛び散る可能性を著しく減少させることができる。
バケットコンベヤ200は移動しているため、このような前後方向を閉塞した状態が長く継続することはないが、バケットコンベヤの移動状態と、搬送物Mの投入タイミングとを好適に同期させることにより、上述のような飛散防止を良好に実現することができる。
【0057】
また、バケット260の前後方向の閉塞と搬送物Mの投入とを完全に同期させなくとも、内側にある2つの揺動飛散防止板240により前後両側に分散することなく搬送物Mがバケットの中央部に案内されることでも搬送物Mの飛散は軽減され、さらに、内側の揺動飛散防止板240をくぐり抜けて上方に跳ね上がった粒状物も、多くは外側に垂下された揺動飛散防止板240に衝突してバケット260内に戻されるので、これらにより前後方向への飛散を抑制することが十分可能である。
【0058】
このようにして得られた本発明の実施例であるバケットコンベヤの投入口構造110、210は、投入口101、201の両側に、バケットコンベヤ100、200を構成するバケット160、260の開口上面264と近接する位置まで延在してバケット160、260の開口上面264と平行な下端面121、221を有し、バケット160、260の両側を形成するバケット側壁161、261の内側にバケット側壁161、261と平行にバケットコンベヤ100、200の移動方向に延設する一対の垂直飛散防止板120、220と、垂直飛散防止板120、220の外側に垂直飛散防止板120、220に沿って水平に配置され、投入口101、201の下方を移動するバケット160、260のバケット側壁161、261と垂直飛散防止板120、220との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板130、230とを備えていることにより、粉粒体等からなる搬送物Mを投入口101、201からバケット160、260に投入する際に搬送物Mがバケット160、260から飛散することを防止してバケットコンベヤ100、200の円滑な運行を図るとともに、搬送路内に堆積する搬送体Mの量を低減して搬送路内の清掃やコンベヤ駆動機構に整備の必要となる可能性を低減し、保守作業を大幅に簡易化することができる。
【0059】
また、投入口101、201の前後端部にバケットコンベヤ100、200の移動方向と直行する方向に垂直飛散防止板120、220の間を延在してバケットコンベヤ100、200の移動方向に揺動自在に垂下された揺動飛散防止板140、240が設置されていることにより、バケット160、260の移動する前後方向についても、バケット160、260に投入された粉粒体状の搬送物Mが飛散することを防止することができるとともに、搬送路内に飛散した搬送物Mが堆積する量を一層軽減して、保守作業の頻度をさらに低減し、一層長期に亘りバケットコンベヤ100、200を稼働させることができる。
さらに、投入口101、201の両側にバケットコンベヤ100、200を移送するコンベヤチェーン170、270を案内するコンベヤチェーンガイド171、271が設置されて、コンベヤチェーンガイド171、271によりバケット160、260を垂直飛散防止板120、220に近接して振動しないように移動させることにより、搬送物Mの投下によりバケット160、260に衝撃が生じたとしてもバケット160、260が垂直飛散防止板120、220に近接した位置を維持しつつ安定して移動するため、バケット側壁161、261上端の位置が上下に変動することなく垂直飛散防止板120、220、水平飛散防止板130、230及び揺動飛散防止板140、240を有効に機能させることができて、搬送路内に搬送物Mが堆積することをさらに一層低減できるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0060】
100 ・・・ バケットコンベヤ
101、501 ・・・ 投入口
102 ・・・ 送出口
103 ・・・ 下方水平搬送路
104 ・・・ 垂直搬送路
105 ・・・ 上方水平搬送路
110、210、510 ・・・ 投入口構造
111、211 ・・・ ホッパ
112 ・・・ シャッタ
113、213、513 ・・・ 天井板
114、214、514 ・・・ 搬送路側壁
120、220、520 ・・・ 垂直飛散防止板
121、221 ・・・ 下端面
122、222 ・・・ 外側面
130、230 ・・・ 水平飛散防止板
131、231 ・・・ 下面
132、232 ・・・ 内側面
133、233 ・・・ 動作規制フランジ
134、234 ・・・ 長穴
135、235 ・・・ 固定ブロック
136、236 ・・・ チェーンリンク
140、240 ・・・ 揺動飛散防止板
141、241 ・・・ 揺動軸部
142、242 ・・・ 揺動下端
150、250 ・・・ 作動範囲規制機構
151、251 ・・・ 作動規制ボルト
152、252 ・・・ 下動規制ワッシャ
153、253 ・・・ 下動規制ナット
160、260、560 ・・・ バケット
161、261 ・・・ バケット側壁
162、262 ・・・ バケット前壁
163、263 ・・・ バケット後壁
164、264 ・・・ 開口上面
170、570 ・・・ コンベヤチェーン
171、571 ・・・ コンベヤチェーンガイド
M ・・・ 搬送物
SP1、SP2、SP3 ・・・ スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平搬送路の上方に設置された投入部の下部の投入口から落下投入される粉粒体状の搬送物を搬送するバケットコンベヤの投入口構造において、
前記投入口の両側に、前記バケットコンベヤを構成するバケットの開口上面と近接する位置まで延在して該バケットの開口上面と平行な下端面を有し、前記バケットの両側を形成するバケット側壁の内側に該バケット側壁と平行にバケットコンベヤの移動方向に延設される一対の垂直飛散防止板と、
前記垂直飛散防止板の外側に該垂直飛散防止板に沿って水平に配置され、前記投入口の下方を移動する前記バケットのバケット側壁と前記垂直飛散防止板との間の隙間を閉塞する水平飛散防止板と、を備えていることを特徴とするバケットコンベヤの投入口構造。
【請求項2】
前記水平飛散防止板が、前記垂直飛散防止板と内側面で摺接し、前記投入口の下方を移動する前記バケットのバケット側壁上端と下面で摺接する位置に上下動自在に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバケットコンベヤの投入口構造。
【請求項3】
前記水平飛散防止板が、上下動の範囲を規制する上下動規制機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載のバケットコンベヤの投入口構造。
【請求項4】
前記投入口の前後端部に、前記バケットコンベヤの移動方向と直行する方向に前記垂直飛散防止板の間を延在して、前記バケットコンベヤの移動方向に揺動自在に垂下された揺動飛散防止板が設置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバケットコンベヤの投入口構造。
【請求項5】
前記揺動飛散防止板の揺動下端が、前記投入口の下方を移動するバケットのバケット前壁またはバケット後壁の上端部よりも下方まで延在されていることを特徴とする請求項4に記載のバケットコンベヤの投入口構造。
【請求項6】
前記揺動飛散防止板が、前記投入口の前端側および後端側にそれぞれ複数設置されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のバケットコンベヤの投入口構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の投入口構造を備えたバケットコンベヤ。
【請求項8】
前記投入口の下方を移動する複数のバケットの開口上面が、前記垂直飛散防止板の端面に近接する同一高さ平面を形成しつつ前記水平搬送路を移動することを特徴とする請求項7に記載のバケットコンベヤ。
【請求項9】
前記投入口の両側にバケットコンベヤを移送するコンベヤチェーンを案内するガイド機構が設置され、前記コンベヤチェーンに支持される多数のバケットのそれぞれが該ガイド機構により案内されて前記垂直飛散防止板の下端面に近接して移動することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のバケットコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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