説明

バケットコンベヤ

【課題】可撓性シートで掛け渡された収容底部の形態をバケット頂部の相互間隔の拡縮に応じて変化させて粘着性の高い粉粒体状の搬送物であっても確実かつ簡便にチェーン外周側へ排出促進するバケットコンベヤを提供すること。
【解決手段】搬送物Mを収容搬送するバケット130が、バケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するとともに、バケット130の収容底部130aが、搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部130b、132に跨がって掛け渡された可撓性シートからなり、排出口側スプロケット141に周回させながらバケット130の収容底部130aをチェーン内周側で移送させて上側水平搬送域から下側水平返送域へ反転するバケット130内の搬送物Mをチェーン外周側へ落下搬出するバケットコンベヤ100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された多数のバケットで粉粒体状の搬送物を収容搬送して前記エンドレスチェーンを周回させながら上側水平移動域から下側移動域へ折り返してバケットの上下姿勢を反転させる排出口側スプロケットの下方位置に設けた排出口から反転されたバケット内の搬送物を落下搬出するバケットコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバケットコンベヤとして、運搬物16を収容したバケット15がバケットエレベータ10の走行に伴い上端部に至り、バケット15を反転させて内部の運搬物16を排出する際、バケット15の底板155内面に滑動自在に配設した鎖23が、自重により開口部19に向けて移動してバケット底板155から離反し、この状態で、運搬物16を排出した後のバケット15が、バケットエレベータ10の走行に伴い下方に移動して下端部に至り、この下端部においてバケット15が元の姿勢に復帰する際に、バケット底板155から離反していた鎖23がバケット底部155を打撃かつ滑動し、その際に生じる振動等によりバケット15の隅部等に付着していた運搬物16を掻き落すバケットエレベータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、コンベヤ10の下部において搬入用シュート32の下端が円板33a,33bの内側にまで延設されると共に円板33a,33bの下端部がバケット16の内部に入り込み、コンベヤ10の上部において円板53a,53bの上端がバケット16の下方近傍にまで延設されると共に搬出用シュート52の上端部が円板53a,53bの下部外側にまで延設され、搬入用シュート32に投入された輸送物が、漏洩することなくバケット16内に搬入され、その後、搬出用シュート52を通って漏洩することなく外部に排出されるバケットコンベヤが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−256261号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献1】特開平10−218329号公報(特許請求の範囲、図2−図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者のバケットエレベータは、鎖23を用いてバケット底部155を打撃かつ滑動させて、その際に生じる振動等によりバケット15の隅部等に付着して運搬物16を掻き落とすために、バケット15内が複雑な鎖23などで複雑な構造となって、運搬物が残存して完全に排出できず、また、鎖23とバケット15との間の摩耗損傷が著しくバケット15などを早期に交換しなければならないという運搬物取り扱い上の厄介な問題があった。
【0006】
また、後者のバケットコンベヤは、コンベヤ10のチェーン内周側上部において円板53a,53bの上端がバケット16の下方近傍にまで延設されると共に搬出用シュート52の上端部が円板53a,53bの下部外側にまで延設されているため、搬出用シュート52を介して外部に排出される輸送物が、コンベヤ10のチェーン内周側上部においてバケット16からこぼれ落ちるように上部スプロケット11b、11cを軸支するスプロケット軸などに降りかかりながら搬出用シュート52に搬出され、チェーン内周側に配置するスプロケット軸などの周辺部材を搬送物の不本意な漏洩落下で汚すばかりでなく、搬出用シュート52などのチェーン内周側構造に対する保守メンテナンスが多大な作業負担を要するという取り扱い上の厄介な問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来のような問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、可撓性シートで掛け渡された収容底部の形態をバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔の拡縮に応じて変化させて粘着性の高い粉粒体状の搬送物であってもバケットの収容底部から確実かつ簡便にチェーン外周側へ排出促進し、チェーン内周部の周辺部材を搬送物の不本意な漏洩落下で汚すことが無くチェーン内周側構造を簡素化したバケットコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、請求項1に係る本発明は、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された多数のバケットで粉粒体状の搬送物を収容搬送し、前記エンドレスチェーンを排出口側スプロケットに周回させながら上側水平搬送域から下側水平返送域へ折り返して前記バケットの収容底部をチェーン内周側で移送させるとともにバケットのバケット頂部をチェーン外周側で移送させて前記バケットの上下姿勢を反転し、反転するバケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下搬出するバケットコンベヤにおいて、前記バケットが、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するように前記左右一対のエンドレスチェーンに配置されているとともに、前記バケットの搬送物を収容する収容底部が、搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部に跨がって掛け渡された可撓性シートからなることにより、前述した課題を解決したものである。
【0009】
また、請求項2に係る発明のバケットコンベヤは、請求項1記載の構成に加えて、前記バケットが、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された左右一対の側板と、該左右一対の側板に架設されて前記搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点となる前方軸支フレームと、該一対の側板に架設されて前記収容底部の可撓性シートを着脱自在に取り付ける後方支持フレームとを備えていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0010】
また、請求項3に係る発明のバケットコンベヤは、請求項1または請求項2記載の構成に加えて、前記バケットが、前記エンドレスチェーンを構成するリンクプレート毎に配置されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
また、請求項4に係る発明のバケットコンベヤは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記バケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換する方向転換域が、前記上側水平搬送域から下側水平返送域へ周回させながら折り返してバケットの上下姿勢を反転してバケット内の搬送物をエンドレスチェーンの外周側へ落下搬出するまでに、少なくとも一カ所以上存在していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に係る発明のバケットコンベヤによれば、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された多数のバケットで粉粒体状の搬送物を収容搬送し、前記エンドレスチェーンを排出口側スプロケットに周回させながら上側水平搬送域から下側水平返送域へ折り返してバケットの収容底部をチェーン内周側で移送させるとともにバケットのバケット頂部をチェーン外周側で移送させてバケットの上下姿勢を反転し、反転するバケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下搬出することにより、バケットの収容底部が常時チェーン内周側で移送されてバケットのバケット頂部が常時チェーン外周側に向けて開口した状態で搬送物を収容排出するため、バケットの収容底部で搬送物を収容搬送する際やバケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下排出させる際に、チェーン内周側に配置するスプロケット軸などの周辺部材を搬送物の不本意な漏洩落下で汚すことが無く、保守メンテナンスの困難なチェーン内周側構造を簡素化することができる。
【0013】
そして、バケットが、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するように左右一対のエンドレスチェーンに配置されているとともに、バケットの搬送物を収容する収容底部が、搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部に跨がって掛け渡された可撓性シートからなることにより、可撓性シートで掛け渡された収容底部の形態が、バケット頂部の相互間隔の拡縮に応じて変化するため、バケットの収容底部に収容された搬送物の収容状態が変動して粘着性の高い粉粒体状の搬送物であってもバケットの収容底部に対するこびり付きや滞留を抑制することができるとともに、バケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下排出させる際には、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔が拡張して可撓性シートを引っ張り上げることにより収容底部を浅くしながら搬送物を収容底部から押し上げ剥離させるため、バケットの収容底部に収容されて粘着したような粉粒体状の搬送物であっても効率良くその排出を促進することができる。
【0014】
そして、請求項2に係るバケットコンベヤによれば、請求項1に記載のバケットコンベヤが奏する効果に加えて、バケットが、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された左右一対の側板と、これら左右一対の側板に架設されて搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点となる前方軸支フレームと、一対の側板に架設されて収容底部の可撓性シートを着脱自在に取り付ける後方支持フレームとを備えていることにより、可撓性シートが、前後に連結した前方のバケットの後方支持フレームにシート前端を取り付けるとともに後方のバケットの後方支持フレームにシート後端を取り付け可能になるため、可撓性シートで掛け渡された収容底部の形態を搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔の拡縮に応じて変化させて粘着性の高い粉粒体状の搬送物であってもバケットの収容底部に対するこびり付きや滞留を確実かつ簡便に抑制することができる。
【0015】
また、請求項3に係るバケットコンベヤによれば、請求項1または請求項2に記載のバケットコンベヤが奏する効果に加えて、バケットがエンドレスチェーンを構成するリンクプレート毎に配置されていることにより、バケットが排出口側スプロケットなどに対するエンドレスチェーンの周回動作に伴うリンクプレート同士の多角形運動に連動して搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔を拡縮させるため、可撓性シートで掛け渡された収容底部の形態をリンクプレート単位で簡便に繰り返し変化させることができる。
【0016】
請求項4に係るバケットコンベヤによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバケットコンベヤが奏する効果に加えて、バケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換する方向転換域が、上側水平搬送域から下側水平返送域へ周回させながら折り返してバケットの上下姿勢を反転してバケット内の搬送物をエンドレスチェーンの外周側へ落下搬出するまでに、少なくとも一カ所以上存在していることにより、バケットの収容底部に収容された搬送物が搬送振動により収容底部内で揺り固められてもこの方向転換域においてバケットの収容底部に収容された搬送物の収容状態が必然的に変動して解されるため、バケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下排出させる際に、バケットの収容底部に粘着しがちな粉粒体状の搬送物であっても効率よくその排出を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例であるバケットコンベヤの全体概略図。
【図2】図1におけるバケットの周回状態を一部欠いて示した模式図。
【図3】エンドレスチェーンに対するバケットの組み付け図。
【図4】図1に示すバケットコンベヤのX−X断面で示した拡大図。
【図5】図1に示すバケットコンベヤの排出口側を拡大した平面図。
【図6】エンドレスチェーンと排出口側スプロケットとの噛み合い状態図。
【図7】本発明で用いるバケットの組み立て分解図。
【図8】本発明で用いるバケットの組み立て後における水平搬送状態の側面図。
【図9】図2のAに示す搬入領域におけるバケットの動作図。
【図10】図2のBに示す方向転換域におけるバケットの動作図。
【図11】図2のCに示す方向転換域におけるバケットの動作図。
【図12】図2のDに示す搬出領域におけるバケットの動作図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された多数のバケットで粉粒体状の搬送物を収容搬送し、エンドレスチェーンを排出口側スプロケットに周回させながら上側水平搬送域から下側水平返送域へ折り返してバケットの収容底部をチェーン内周側で移送させるとともにバケットのバケット頂部をチェーン外周側で移送させてバケットの上下姿勢を反転し、反転するバケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下搬出するバケットコンベヤにおいて、バケットが搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するように左右一対のエンドレスチェーンに配置されているとともに、バケットの搬送物を収容する収容底部が搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部に跨がって掛け渡された可撓性シートからなり、可撓性シートで掛け渡された収容底部の形態をバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔の拡縮に応じて変化させて粘着性の高い粉粒体状の搬送物であってもバケットの収容底部から確実かつ簡便にチェーン外周側へ排出促進し、チェーン内周部の周辺部材を搬送物の不本意な漏洩落下で汚すことが無くチェーン内周側構造を簡素化したものであれば、その具体的な実施の形態は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0019】
まず、本発明のバケットコンベヤの具体的な搬送ライン形態については、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された多数のバケットで粉粒体状の搬送物を収容搬送し、エンドレスチェーンを排出口側スプロケットに周回させながら上側水平搬送域から下側水平返送域へ折り返してバケットの収容底部をチェーン内周側で移送させるとともにバケットのバケット頂部をチェーン外周側で移送させてバケットの上下姿勢を反転し、反転するバケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下搬出する使用状況下であれば、如何なる搬送ライン形態であっても良い。
【0020】
たとえば、バケットに投入された搬送物を排出口に向けて水平方向に搬送して排出口側スプロケットによりバケットの上下姿勢を反転させながら搬送物を排出口から落下排出するような、所謂、投入口と搬出口とがほぼ同じ水平な搬送ラインに配置される搬送ライン形態、あるいは、バケットに投入された搬送物を排出口に向けて水平方向から垂直方向に搬送し、さらに、垂直方向から水平方向に方向転換して排出口側スプロケットによりバケットの上下姿勢を反転させながら搬送物を排出口から落下排出するような、所謂、投入口と排出口とに高低差を設けた高揚程型の搬送ラインに配置される搬送ライン形態などであっても良く、後者の場合には、バケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換する方向転換域が、バケット内の搬送物をエンドレスチェーンの外周側へ落下搬出するまでに少なくとも一カ所以上存在するため、バケットの収容底部に収容された搬送物が搬送振動により収容底部内で揺り固められてもこの方向転換域においてバケットの収容底部に収容された搬送物の収容状態が方向転換域において必然的に変動して解され、バケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下排出させる際に、バケットの収容底部に粘着しがちな粉粒体状の搬送物であっても効率良くその排出を促進することになる。
【0021】
そして、バケットの収容底部を構成する可撓性シートの具体的な素材については、前後に連結した前方のバケットの後方支持フレームにシート前端を取り付けるとともに後方のバケットの後方支持フレームにシート後端を取り付けて、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔が拡張して可撓性シートを引っ張り上げることにより収容底部を浅くしながら搬送物を収容底部から押し上げ剥離させたり、あるいは、バケットの収容底部に収容された搬送物が搬送振動により収容底部内で揺り固められても方向転換域においてバケットの収容底部に収容された搬送物の収容状態が必然的に変動して解すものであれば良く、たとえば、ゴムシート、布シート、あるいは、これらをラミネートしたものなどを用いても構わない。
【実施例】
【0022】
本発明の一実施例であるバケットコンベヤについて、図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施例であるバケットコンベヤの全体概略図であり、図2は、図1におけるバケットの周回状態を一部欠いて示した模式図であり、図3は、エンドレスチェーンに対するバケットの組み付け図であり、図4は、図1に示すバケットコンベヤのX−X断面で示す拡大図であり、図5は、図1に示すバケットコンベヤの排出口側を拡大した平面図であり、図6は、エンドレスチェーンと排出口側スプロケットとの噛み合い状態図であり、図7は、本発明で用いるバケットの組み立て分解図であり、図8は、本発明で用いるバケットの組み立て後における水平搬送状態の側面図であり、図9は、図2のAに示す搬入領域におけるバケットの動作図であり、図10は、図2のBに示す方向転換域におけるバケットの動作図であり、図11は、図2のCに示す方向転換域におけるバケットの動作図であり、図12は、図2のDに示す搬出領域におけるバケットの動作図である。
【0023】
まず、本発明の実施例であるバケットコンベヤ100は、図1乃至図2に示すように、コンベヤケース110の投入口111から投入された粉粒体状の搬送物Mを左右一対のエンドレスチェーン120に両端支持された多数のバケット130に順次収容した後、これらのバケット130に収容された搬送物Mをコンベヤケース110の排出口112に向けて水平方向から垂直方向に搬送し、さらに、垂直方向から水平方向に方向転換して排出口側スプロケット141によりエンドレスチェーン120を周回させながら上側水平移動域から下側移動域へ折り返すと同時に、バケット130の収容底部130aをチェーン内周側で移送させるとともにバケット頂部130bをチェーン外周側で移送させてバケット130の上下姿勢を反転させながら搬送物Mを排出口112から落下排出するように、投入口111と排出口112とに高低差を設けた高揚程型の搬送ラインとして設置されている。
【0024】
すなわち、図2のB、Cに示すように、バケット130の搬送方向を転換する方向転換域は、上側水平搬送域から下側水平返送域へ周回させながら折り返してバケット130の上下姿勢を反転してバケット130内の搬送物をエンドレスチェーン120の外周側へ落下搬出するまでに2カ所に存在している。
これにより、バケット130の収容底部130aに収容された搬送物Mが、搬送振動により収容底部130a内で揺り固められても、これら2ケ所の方向転換域においてバケット130に収容された搬送物Mの収容状態が、必然的に変動して解されるようになっている。
なお、図1における符号142は、駆動源となる搬出口側スプロケット141にエンドレスチェーン120を介して従動する投入口側スプロケットであり、符号143は、エンドレスチェーン120を水平方向から垂直方向に方向転換させる、もしくは、垂直方向から水平方向に方向転換させる偏向スプロケットである。
【0025】
つぎに、本発明の実施例であるバケットコンベヤ100が最も特徴とするバケット130の具体的な形態について、図3乃至図8に基づいて、以下に、詳しく説明する。
前述したバケット130は、左右一対のエンドレスチェーン120、120のリンクプレート121にそれぞれ支持された左右一対の側板131、131と、これら左右一対の側板131、131に架設されて搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pとなる前方軸支フレーム132と、一対の側板131、131に架設されて収容底部130aを構成するゴムシートから成る可撓性シート133を着脱自在に取り付ける後方支持フレーム134とを備えている。
なお、本実施例におけるバケット相互間の屈曲点Pは、エンドレスチェーン120の一部を構成する連結ピン122の配置レベルに位置付けている。また、図7などに示す符号137は、後方支持フレーム134に可撓性シート133を着脱自在に取り付けるためのボルトナットからなる締結具である。
【0026】
そして、前述したゴムシートからなる可撓性シート133は、前後に連結した前方のバケット130の後方支持フレーム134にシート前端133aが取り付けられ、後方のバケット130の後方支持フレーム134にシート後端133bが取り付けられ、搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部130bに跨がって掛け渡される。
【0027】
これにより、可撓性シート133で掛け渡された収容底部130aの形態が、バケット頂部130bの相互間隔の拡縮に応じて変化するため、バケット130の収容底部130aに収容された搬送物Mの収容状態が変動するとともに、バケット130内の搬送物Mをチェーン外周側へ落下排出させる際には、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔が拡張して可撓性シート133を引っ張り上げることにより収容底部130aを浅くしながら搬送物Mを収容底部130aから押し上げ剥離させることが可能になっている。
【0028】
さらに、前述したバケット130は、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するために、図3および図6に示すように、左右一対のエンドレスチェーン120、120を構成するリンクプレート121毎に配置されている。
これにより、バケット130が、排出口側スプロケット141などに対するエンドレスチェーン120の周回動作に伴うリンクプレート121、121同士の多角形運動に連動して搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔を拡縮させるため、可撓性シート133で掛け渡された収容底部130aの形態が、リンクプレート121単位で簡便に繰り返し変化するようになっている。
【0029】
なお、図7および図8に示す符号135は、左右一対の側板131、131から収容底部130aの外周部位に向けて突出し、バケット130の収容底部130aに収容された搬送物Mの重量を受けて収容底部130aを構成する可撓性シート133の過度の垂れ下がり変形を防止するための垂れ下がり変形防止ピンである。
また、図7および図8に示す符号136は、左右一対の側板131、131から収容底部130a内に向けて突出し、バケット130の上下姿勢が反転した場合に収容底部130aを構成する可撓性シート133の反転による垂れ下がりを防止するためのシート反転垂れ下がり防止ピンである。
【0030】
そこで、以上のようにして構成された本実施例のバケットコンベヤ100の搬入から搬出までの搬送動作について、図9乃至図12に基づいて説明する。
まず、図9に示すように、本実施例のバケットコンベヤ100は、コンベヤケース110の投入口111から投入された粉粒体状の搬送物Mを多数のバケット130に順次収容した後、これらのバケット130に収容された搬送物Mを、図10に示すような水平方向から垂直方向へバケット130の搬送方向を転換する方向転換域と、図11に示すような垂直方向から水平方向へバケット130の搬送方向を転換する方向転換域とを介して上側水平搬送域を搬送し、図12に示すような上側水平搬送域から下側水平返送域へ周回させながらバケット130の上下姿勢を反転してバケット130内の搬送物をエンドレスチェーン120の外周側へ落下搬出する。
【0031】
したがって、図9乃至図11に示すようなバケット頂部130bの相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換する方向転換域では、バケット130の収容底部130aに収容された搬送物Mが搬送振動により収容底部130a内で揺り固められても、この方向転換域においてバケット130の収容底部130aに収容された搬送物Mの収容状態が必然的に変動して解される。
【0032】
また、図12に示すような上側水平搬送域から下側水平返送域へ周回させながらバケット130の上下姿勢を反転してバケット130内の搬送物をエンドレスチェーン120の外周側へ落下搬出する搬出領域では、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔が拡張して可撓性シート133を引っ張り上げることにより収容底部130aを浅くしながら搬送物Mを収容底部130aから押し上げ剥離させる。
【0033】
このようにして得られた本実施例のバケットコンベヤ100は、左右一対のエンドレスチェーン120に両端支持された多数のバケットMで粉粒体状の搬送物Mを収容搬送し、エンドレスチェーン120を排出口側スプロケット141に周回させながら上側水平搬送域から下側水平返送域へ折り返してバケット130の収容底部130aをチェーン内周側で移送させるとともにバケット頂部130bをチェーン外周側で移送させてバケット130の上下姿勢を反転し、反転するバケット130内の搬送物Mをチェーン外周側へ落下搬出することにより、バケット130の収容底部130aで搬送物Mを収容搬送する際やバケット130内の搬送物Mをチェーン外周側へ落下排出させる際に、チェーン内周側に配置するスプロケット軸などの周辺部材を搬送物Mの不本意な漏洩落下で汚すことが無く、保守メンテナンスの困難なチェーン内周側構造を簡素化することができる。
【0034】
そして、バケット130が、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するように左右一対のエンドレスチェーン120に配置されているとともに、バケット130の搬送物Mを収容する収容底部130aが、搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部130b、130bに跨がって掛け渡された可撓性シートからなることにより、バケット130に収容された搬送物Mの収容状態が変動して粘着性の高い粉粒体状の搬送物Mであってもバケット130の収容底部130aに対するこびり付きや滞留を抑制することができるとともに、バケット130内の搬送物Mをチェーン外周側へ落下排出させる際に、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点Pを中心にバケット頂部130bの相互間隔が拡張して可撓性シート133を引っ張り上げることにより収容底部130aを浅くしながら搬送物Mを収容底部130aから押し上げ剥離させるため、バケット130に収容されて粘着するような粉粒体状の搬送物Mであっても効率良くその排出を促進することができる等、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0035】
100 ・・・ バケットコンベヤ
110 ・・・ コンベヤケース
111 ・・・ 投入口
112 ・・・ 排出口
120 ・・・ エンドレスチェーン
121 ・・・ リンクプレート
122 ・・・ 連結ピン
130 ・・・ バケット
130a・・・ 収容底部
130b・・・ バケット頂部
131 ・・・ 側板
132 ・・・ 前方軸支フレーム
133 ・・・ 可撓性シート
133a・・・ シート前端
133b・・・ シート後端
134 ・・・ 後方支持フレーム
135 ・・・ 垂れ下がり変形防止ピン
136 ・・・ シート反転垂れ下がり防止ピン
137 ・・・ 締結具
141 ・・・ 排出口側スプロケット
142 ・・・ 投入口側スプロケット
143 ・・・ 偏向スプロケット
M ・・・ 搬送物
P ・・・ 屈曲点



【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された多数のバケットで粉粒体状の搬送物を収容搬送し、前記エンドレスチェーンを排出口側スプロケットに周回させながら上側水平搬送域から下側水平返送域へ折り返して前記バケットの収容底部をチェーン内周側で移送させるとともにバケットのバケット頂部をチェーン外周側で移送させて前記バケットの上下姿勢を反転し、反転するバケット内の搬送物をチェーン外周側へ落下搬出するバケットコンベヤにおいて、
前記バケットが、搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点を中心にバケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換するように前記左右一対のエンドレスチェーンに配置されているとともに、
前記バケットの搬送物を収容する収容底部が、搬送方向の前後に連結したバケット相互間のバケット頂部に跨がって掛け渡された可撓性シートからなることを特徴とするバケットコンベヤ。
【請求項2】
前記バケットが、左右一対のエンドレスチェーンに両端支持された左右一対の側板と、該左右一対の側板に架設されて前記搬送方向の前後に連結したバケット相互間の屈曲点となる前方軸支フレームと、該一対の側板に架設されて前記収容底部の可撓性シートを着脱自在に取り付ける後方支持フレームとを備えていることを特徴とする請求項1に記載のバケットコンベヤ。
【請求項3】
前記バケットが、前記エンドレスチェーンを構成するリンクプレート毎に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバケットコンベヤ。
【請求項4】
前記バケット頂部の相互間隔を拡縮させて搬送方向を転換する方向転換域が、前記上側水平搬送域から下側水平返送域へ周回させながら折り返してバケットの上下姿勢を反転してバケット内の搬送物をエンドレスチェーンの外周側へ落下搬出するまでに、少なくとも一カ所以上存在していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバケットコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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