説明

バゲージタグ認識システム

【目的】バーコードを用いた既存の航空手荷物管理システムに変更を加えることなく付加するだけで航空手荷物のバゲージタグに高認識率を有するRFIDを用いた航空手荷物管理システムに適用可能なバゲージタグ認識システムを提供する。
【構成】航空手荷物に取り付けられたバゲージタグのバーコードを読取り認識し、該航空手荷物を自動的に仕分け・搬送して持ち主である旅客が搭乗する飛行機の貨物室に搭載する航空手荷物管理システムに用いられるバーコード認識システムにおいて、
前記バゲージタグが、旅客の搭乗に関する情報が書き込まれるRFIDが付されたものであり、
前記バーコードリーダの近傍に、前記RFIDを読取り認識するRFIDリーダを配設し、該RFIDリーダが読取り認識したRFIDの情報を前記バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部に伝達する構成であることを特徴とするバゲージタグ認識システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバゲージタグ認識システムに関し、詳しくはバーコードリーダを用いた既存システムに付加するだけでRFIDを用いた航空手荷物管理システムに適用可能なバゲージタグ認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機の客室に持ち込まれるのではなく貨物室に搭載される航空手荷物は、搭乗手続場所(チェックインカウンタ)にて搭乗手続を行った際、搭乗券と共に発行されるバゲージタグが持ち手等に取り付けられて搬送ライン上に送られる。
【0003】
バゲージタグには、持ち主である旅客が搭乗する飛行機の航空会社の識別情報やシリアル番号等の搭乗に関する情報が、バーコードプリンタによりバーコードに変換された形で印刷される。このバゲージタグに印刷されたバーコードを搬送ライン上や荷物搭載作業場所(メイクアップエリア)等に設置されたバーコードリーダによって読み取ることで自動的に仕分け・搬送されて持ち主である旅客が搭乗する飛行機の貨物室に搭載されることとなる。
【0004】
搬送ラインや荷物搭載作業場所の任意の位置には、バーコードリーダが適宜設置されており、航空手荷物の持ち手等に取り付けられたバゲージタグのバーコードが読み取られる。読み取ったバーコード情報に基づき、管理コンピュータ(旅客情報や航空手荷物を管理するシステム)が搬送ライン上の航空手荷物の搬送を管理・制御する。
【0005】
バゲージタグには、上記バーコードの他に、航空会社名・搭乗便番号・出発日時・行き先等の文字情報も印刷されている。これらの文字情報は、バーコードリーダによるバーコード読取りに基づく自動仕分け・搬送に支障をきたした場合に目視・人力による仕分けを行う際等に利用される。
【0006】
バゲージタグに印刷したバーコードの読取りによる航空手荷物の管理(搬送・仕分け・搭載)は、バーコード導入前の色分けされたバゲージタグを用いた目視・人力によるに仕分け作業に比べて効率が飛躍的に向上している。
【0007】
しかし、バゲージタグに印刷されたバーコードの認識率は85%程度であり、ほぼ100%に近い認識率である工業製品や各種商品等に用いられている一般的なバーコードに比して著しく低く、誤配送や紛失(IATA[International Air Transport Association]の統計によると世界で年間17億個の航空手荷物が取り扱われ、そのうち約1%が紛失又は一時的に行方不明になっている。)が絶えない。
【0008】
バゲージタグのバーコードの低認識率の原因は、工業製品や一般商品のような画一的且つ好条件下での読取りではなく、悪条件下で読取りが行われるためである。即ち、搬送ライン上を搬送する航空手荷物の場合、バゲージタグのバーコード印刷部分が航空手荷物自体や持ち手の陰になってバーコードリーダから遮蔽されてしまったり、バゲージタグの折れ曲がりによってバーコード部分が非露出状態になってしまうことが多い。更に、バーコードの技術的特性上、読取り距離の限界は1m程度であるが、サイズの大きなスーツケースであることが一般的である航空手荷物の場合、バーコードの読取りはこの限界点に近い条件下で行われることが多い。
【0009】
そこで、上記したようなバーコードを用いた航空手荷物の自動仕分けの問題点を踏まえ、無線により情報の読み出し及び書き込みが可能なRFIDを用いた航空手荷物管理システムに関する技術が昨今種々提案されている(例えば、特許文献1〜5等参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2002−366984
【特許文献2】特開2002−362730
【特許文献3】特開2001−306659
【特許文献4】特開2001−243502
【特許文献5】特開平6−318277
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1〜5に記載の技術は、いずれも現在のバーコードを利用した航空手荷物管理システムに代えて、RFIDを利用した新たなシステムに関する技術である。
【0012】
これらの技術は、現在のバーコードを用いたシステムに代わる新たなシステムであり、当該新システムの導入に当たっては、ハード(施設・設備機器等)とソフト(コンピュータプログラム、スタッフ研修等)の両面での大規模なシステム変更となるために導入コストが高いだけでなく、段階的な新システムへの移行が困難であるため既存システムとの併用が相当期間必要であり、コスト面及び運用面での問題点が多い。
【0013】
また、航空手荷物管理システムは、軽量小型の機内持込手荷物ではなく貨物室へ搭載する長距離旅行用の航空手荷物を管理するシステム、即ち、国際便に用いるシステムであるため、他国の国際空港を含めた多数の国際空港との国際的な連携・協調が必要であるという問題点も有している。
【0014】
本発明者は、無線により情報の読み出し及び書き込みが可能なRFIDを用いた航空手荷物管理システムについて研究を続けたところ、バゲージタグに付したRFIDの認識率が略100%を達成しており、85%程度の認識率であるバーコードを印刷した現在の技術に比して優位性を有していることが明白であった。
【0015】
そこで本発明の課題は、バーコードを用いた既存の航空手荷物管理システムに変更を加えることなく付加するだけで航空手荷物のバゲージタグに高認識率を有するRFIDを用いた航空手荷物管理システムに適用可能なバゲージタグ認識システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0017】
1.航空手荷物の搬送ラインや荷物搭載作業場所の任意の位置にバーコードリーダを適宜設置して航空手荷物に取り付けられたバゲージタグのバーコードを読取り認識し、該航空手荷物を自動的に仕分け・搬送して持ち主である旅客が搭乗する飛行機の貨物室に搭載する航空手荷物管理システムに用いられるバーコード認識システムにおいて、
前記バゲージタグが、旅客の搭乗に関する情報が書き込まれるRFIDが付されたものであり、
前記バーコードリーダの近傍に、前記RFIDを読取り認識するRFIDリーダを配設し、該RFIDリーダが読取り認識したRFIDの情報を前記バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部に伝達する構成であることを特徴とするバゲージタグ認識システム。
【0018】
2.前記RFIDリーダの読取り認識範囲を前記バーコードリーダの読取り認識範囲と一致させる構成であることを特徴とする上記1に記載のバゲージタグ認識システム。
【0019】
3.前記搬送ラインや荷物搭載作業場所の読取り認識範囲内への航空手荷物の進入を検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を開始し、前記読取り認識範囲外への航空手荷物の進出を検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を終了させる構成であることを特徴とする上記1又は2に記載のバゲージタグ認識システム。
【0020】
4.前記RFIDの情報を前記バーコードの情報と一致させる構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のバゲージタグ認識システム。
【0021】
5.前記バーコードとRFIDのいずれか一方の情報の読取り認識ができた時点で認識完了とする構成であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のバゲージタグ認識システム。
【0022】
6.前記バーコードリーダと該バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部との間に、前記RFIDリーダの読取り認識した情報を前記バーコードリーダが受取部に伝達する情報と同じ形式に変換ないしは調整して前記受取部に伝達するインターフェース手段を介在させる構成であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のバゲージタグ認識システム。
【0023】
7.前記インターフェース手段が、前記バーコードリーダ及び/又はRFIDリーダで読取り認識した情報を前記受取部に一つの出力情報として一系統で伝達する構成であることを特徴とする上記6に記載のバゲージタグ認識システム。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に示す発明によれば、航空手荷物の搬送ラインや荷物搭載作業場所の任意の位置にバーコードリーダを適宜設置して航空手荷物に取り付けられたバゲージタグのバーコードを読取り認識し、該航空手荷物を自動的に仕分け・搬送して持ち主である旅客が搭乗する飛行機の貨物室に搭載する航空手荷物管理システムに用いられるバーコード認識システムにおいて、
前記バゲージタグが、旅客の搭乗に関する情報が書き込まれるRFIDが付されたものであり、前記バーコードリーダの近傍に、前記RFIDを読取り認識するRFIDリーダを配設し、該RFIDリーダが読取り認識したRFIDの情報を前記バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部に伝達する構成により、バーコードを用いた既存の航空手荷物管理システムに変更を加えることなく付加するだけで、航空手荷物のバゲージタグに高認識率を有するRFIDを用いた航空手荷物管理システムに適用することが可能となる。
【0025】
請求項2に示す発明によれば、前記RFIDリーダの読取り認識範囲を前記バーコードリーダの読取り認識範囲と一致させることにより、一つの航空手荷物に対してバーコードとRFIDの2系統の読取り認識を同時に行うことが可能となる。
【0026】
請求項3に示す発明によれば、前記搬送ラインや荷物搭載作業場所の読取り認識範囲内への航空手荷物の進入を検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を開始し、前記読取り認識範囲外への航空手荷物の進出を検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を終了させる構成により、バーコードとRFIDの2系統の読取り動作を一致させることが可能となる。
【0027】
請求項4に示す発明によれば、前記RFIDの情報を前記バーコードの情報と一致させることにより、バーコードとRFIDのいずれか一方さえ読取りできれば、バゲージタグの情報を認識することが可能となる。
【0028】
請求項5に示す発明によれば、前記バーコードとRFIDのいずれか一方の情報の読取り認識ができた時点で認識完了とする構成により、読取り認識時間の短縮効率化が可能となる。
【0029】
請求項6に示す発明によれば、前記バーコードリーダと該バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部との間に、前記RFIDリーダの読取り認識した情報を前記バーコードリーダが受取部に伝達する情報と同じ形式に変換ないしは調整して前記受取部に伝達するインターフェース手段を介在させる構成により、既設のバーコードリーダ並びに既設の受取部及び該受取部より上流側の既設システムを全く変更することなくRFIDリーダを後付け設置することが可能となる。
【0030】
請求項7に示す発明によれば、前記インターフェース手段が、前記バーコードリーダ及び/又はRFIDリーダで読取り認識した情報を前記受取部に一つの出力情報として一系統で伝達する構成により、既設の受取部に伝達される情報の形式を従来のバーコード情報のみが伝達されていた従来構成の時と同じにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明について実施例に基づき詳説する。
図1は本発明に係るバゲージタグ認識システムの一実施例及び既設のバゲージタグ認識システムの一例を示す概略説明図である。
【0032】
本発明に係るバゲージタグ認識システム1Bは、図1(A)に示す既設のバゲージタグ認識システム1Aに、図1(B)に示すように、既設のバーコードリーダ12の近傍に、旅客の搭乗に関する情報がバーコード形式に加えてバゲージタグに付されたRFID(後述)を読取り認識するRFIDリーダ15を配設し、該RFIDリーダ15が読取り認識したRFIDの情報をバーコードリーダ12の読取り認識した情報の受取部13に伝達する構成である。
【0033】
図1(A)に示す既設のバゲージタグ認識システム1Aは、一般的な空港で稼働している既存の航空手荷物管理システムにおけるバゲージタグのバーコードを認識するシステムであり、バゲージタグを取り付けた航空手荷物(図示せず)を搬送する既設の搬送ライン11の任意の位置に、前記バゲージタグに印刷されているバーコードを読取り認識する既設のバーコードリーダ12が配設され、バーコードリーダ12が読取り認識する情報(旅客の搭乗に関する情報)を伝達する受取部13を介して航空手荷物管理コンピュータ14に通信回線で接続される構成を有している。この読取り認識等の一連の手順によって航空手荷物の搬送が管理・制御される。また、航空手荷物管理コンピュータ14は、空港(航空会社・各飛行機・その他)を管理制御する管理コンピュータ2に通信回線で接続されている。
【0034】
バーコードリーダ12が読取り認識するバゲージタグのバーコードは、国際的に標準化されている10ケタからなるIATAバーコード等である。IATAバーコードは、管理コンピュータ2等によって記録管理されている航空手荷物の持ち主である旅客が搭乗する飛行機の航空会社の識別情報やシリアル番号等の搭乗に関する情報に紐付けられており、既存の航空手荷物の管理では、該バーコードを搬送ライン11上や荷物搭載作業場所(メイクアップエリア)等に設置されたバーコードリーダ12によって読み取ることで自動的に仕分け・搬送されて持ち主である旅客が搭乗する飛行機の貨物室に搭載する構成となっている。尚、バゲージタグには、上記バーコードの他に、従来のバゲージタグと同様に、航空会社名・搭乗便番号・出発日時・行き先等の文字情報が印刷されていてもよい。
【0035】
本発明のバゲージタグ認識システム1Bでは、先ず、上記したようにバーコードが印刷されるバゲージタグとして、無線により情報の読み出し及び書き込みが可能なRFIDが付されているものを用いる。RFIDの取付位置及び取付手段等については、前記特許文献1〜5等に記載の公知公用の構成を採ることができる。
【0036】
本発明に用いられるRFIDは、「RFID」という呼び方の他、「無線ICチップ」、「無線チップ」、「非接触ICチップ」、「ICタグ」、「無線タグ」、「RFIDタグ」、「非接触ICカード」など様々な呼び方がある。本発明はいずれのものであってもよい。
【0037】
RFIDとは、Radio Frequency-Identification(無線利用による移動体の自動認識)の略で、非接触で通信を行い、内部に搭載されたICチップのデジタル情報のやり取りを通して、物品管理や自動識別を行う通信方法である。RFIDシステムは、情報の記録先である「非接触データキャリア」と、非接触データキャリアから情報を読み取ったり書き込んだりするリーダライター(アンテナ+コントローラー)から構成される。
【0038】
RFID技術を用いた非接触ICカードは、国内外の多くのメーカーにより製品化されている。
【0039】
本発明では、片面電極に限らず両面電極の構造を有するものであってもよく、具体的には、ICを搭載した日立社製「ミューチップ」、凸版印刷社製「T−ジャンクション」、YRP・ユビキタスネットワークワーキング研究所と東大阪村研究室及びルネサンステクノロジが共同開発した「eトロン/16−AE45X」等が挙げられる。
【0040】
例えば、上記「ミューチップ」は0.4ミリ角の大きさのROMチップで、このサイズに2.45GHzの高周波アナログ回路と128ビットのROMを集積しており、厚さは0.06ミリしかないものである。
【0041】
このミューチップは、より小さくすることを追求したため機能面では限定され、一般の無線ICチップが書換可能なRAM方式であるのに対し、読み出し専用のROM方式である。本発明では、ROM方式、RAM方式のいずれも採用することができるが、RAM方式が好ましい。即ち、ROM方式のチップの場合、ROMチップを足し加える必要があるが、RAMチップの場合、1個で足りる。
【0042】
尚、IATAでは、採用周波数帯をUHF帯(860〜960MHz)、通信プロトコルをISO18000−6C(EPC Gen.2)の規格が採用される見通しであり、本発明で用いるRFIDもこの規格に準拠したものを用いることが好ましい。
【0043】
バゲージタグに付したRFIDに書き込まれる情報は、バーコード形式で印刷される情報と一致していることが好ましい。バゲージタグに付したRFIDへの情報の書き込み方法の一例としては、後述するバゲージタグ発行システムが挙げられる。
【0044】
バゲージタグのRFIDの読取り認識は、前述したように、既設のバーコードリーダ12の近傍に後付け配設したRFIDリーダ15により行う。RFIDリーダ15としては、公知公用のRFIDリーダを用いることができる。
【0045】
RFIDリーダ15によるバゲージタグのRFIDの情報の読取り認識は、バーコードリーダ12によるバーコードの読取り認識と一致して行われることが好ましい。バーコードとRFIDの読取り認識を一致して行うのは、搬送ライン11上の前後の他の航空手荷物と混同することなく同一の航空手荷物のバゲージタグの情報を読取り認識するためである。
【0046】
バーコードとRFIDの読取り認識を一致させるには、RFIDリーダ15の読取り認識範囲を前記バーコードリーダ12の読取り認識範囲と機器の調整や電波遮蔽物の設置等により一致させたり、搬送ライン11や荷物搭載作業場所の読取り認識範囲内への航空手荷物の進入をセンサ等により検知して前記バーコードリーダ12及びRFIDリーダ15の読取り動作を開始し、前記読取り認識範囲外への航空手荷物の進出をセンサ等により検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を終了させる構成を付加する等して行うことが好ましい。
【0047】
バーコードリーダ12によってバーコードを読み取り認識し、RFIDリーダ15によってRFIDを読取り認識することによって、一つの航空手荷物の一つのバゲージタグを二重に認識することができる。認識率85%程度のバーコードに対して極めて認識率の高いRFIDを付加することで、略100%に近い認識読取りが可能となるが、搬送効率等の点において、バーコードとRFIDのいずれか一方の情報の読取り認識ができた時点で認識完了とすることが好ましい。
【0048】
RFIDリーダ15は、バーコードリーダ12の読取り認識した情報の受取部13に接続されて、読取り認識したRFIDの情報を該受取部13を介して航空手荷物管理コンピュータ14に伝達するが、バーコードリーダ12及びRFIDリーダ15と受取部13との間に、RFIDリーダ15の読取り認識した情報をバーコードリーダ12が受取部13に伝達する情報と同じ形式に変換ないしは調整して受取部13に伝達するインターフェース手段16を介在させることにより、受取部13及び航空手荷物管理コンピュータ14等の既存のシステムをハード面・ソフト面の両面で改造することなくRFIDを用いた新システムであるバゲージタグ認識システム1Bに変更することができる。
【0049】
またインターフェース手段16は、RFIDリーダ15で読取り認識した情報をバーコードリーダ12から受取部13に伝達する情報と同じ形式に変換ないしは調整するだけでなく、バーコードリーダ12とRFIDリーダ15の両方又はいずれか一方で読取り認識した情報を受取部13に一つの出力情報として一系統で伝達する構成であることが好ましい。この構成によれば、受取部13が受け取る情報は、従来の既設のバーコードリーダ12から伝達されていた従来の情報と同じ形式のままとすることができる。
【0050】
以上、図1(B)に示す本発明に係るバゲージタグ認識システム1Bは、図1(A)に示す既設のバゲージタグ認識システム1Aに代えて全く異なる新たなシステムに変更するのではなく、該既設のバゲージタグ認識システム1Aに後付けの構成(RFIDを付したバゲージタグ、RFIDリーダ15等)を付加するだけで、高認識率のRFIDを用いたシステムに極めて容易に変更することが可能となる。
【0051】
以上、本発明に係るバゲージタグ発行システムについて実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において他の様々な態様を採ることもできる。
【0052】
例えば、前記RFIDリーダ15とインターフェース手段16とを一体構成のユニット型とする態様としてもよい。
【0053】
また、バーコードリーダ12とRFIDリーダ15とを一体構成のユニット化する筐体や載置台により一体構成化する態様としてもよい。
【0054】
本発明に係るバゲージタグ認識システムに用いられるバゲージタグに付したRFIDへの情報の書き込み方法の一例であるバゲージタグ発行システムについて、図2及び図3に基づき以下説明する。
【0055】
図2は本発明に適用可能なバゲージタグ発行システムの一例を示す概略説明図、図3は図2のバゲージタグ発行システムの付加装置の一例を示す概略説明図である。
【0056】
図2に示すように、バゲージタグ発行システム1Cは、航空手荷物管理コンピュータ14、該航空手荷物管理コンピュータ14に通信回線で接続されている搭乗券等発行システム17、該搭乗券等発行システム17に接続されているバゲージタグTを印刷発行するバーコードプリンタ18とから主として構成されており、更に、前記バーコードプリンタ18の下流に、バーコードリーダ31とRFIDライタ32とを有してなる付加装置3を後付け設置した構成であることが好ましい。かかる構成のバゲージタグ発行システム1Cは、空港(航空会社・各飛行機・その他)を管理制御する管理コンピュータ2に通信回線で接続されている。
【0057】
RFIDを付したバゲージタグTは、バーコードプリンタ18によりバーコードが印刷された後、バーコードプリンタ18の下流に設置される付加装置3に人手を介して或いは自動搬送・取込手段等によって送られる。
【0058】
付加装置3は、前記したようにバーコードリーダ31とRFIDライタ32とを有してなり、既存のバゲージタグ発行システム1Cの既設のバーコードプリンタ18の下流に、バーコードプリンタ18とは別体構成にして後付け設置が可能な構成を有することが好ましい。
【0059】
該付加装置3は、バーコードプリンタ18を含む既存のバゲージタグ発行システム1Cとは電気的通信的に接続される必要はなく、物理的にバーコードプリンタ18の下流位置、例えば、図2の一点鎖線で示す位置に設置する。また、付加装置3は、図3に示すようにバーコードリーダ31とRFIDライタ32の他に、バーコードリーダ31とRFID32を有線又は無線で接続すると共に読み取ったバーコード情報を送り込む制御等手段であるインターフェース33、バゲージタグTの取込手段34、バゲージタグTの排出手段35を有する一体構成のユニット型であることが好ましい。
【0060】
バーコードプリンタ18により印刷・発行されるバゲージタグTは、付加装置3に送られ、先ず、バーコードリーダ31によりバゲージタグTのバーコードが読み取られ、読み取られたバーコード情報はRFIDライタ32により該バゲージタグTのRFIDに書き込まれる。
【0061】
本発明に用いられるバーコードリーダ31としては公知公用のバーコードリーダを用いることができ、また、RFIDライタ32としたは公知公用のRFIDライタを用いることができる。
【0062】
以上、本発明に適用可能なバゲージタグ発行システムの一例について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の様々な態様の手段を採用することができる。
【0063】
例えば、前記バーコードリーダ31とRFIDライタ32は上記した一体構成のユニット型に限らず、別体構成であってもよい。
【0064】
付加装置3は、バーコードプリンタ18の下流に後付け設置する構成に限らず、接続手段等によって一体化するように接続ないしは連結する構成としてもよいし、バーコードプリンタ18と付加装置3とを一体構成のユニット化する筐体や載置台により一体構成化する態様としてもよい。
【0065】
以上説明した図2及び図3に示すバゲージタグ発行システムを、本発明に係るバゲージタグ認識システムに組合せることにより、既存の航空手荷物管理システムを全く異なる新たなシステムに入れ代えてしまうことなく、高認識率のRFIDを用いたシステムに極めて容易に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るバゲージタグ認識システムの一実施例及び既設のバゲージタグ認識システムの一例を示す概略説明図
【図2】本発明に適用可能なバゲージタグ発行システムの一例を示す概略説明図
【図3】図2のバゲージタグ発行システムの付加装置の一例を示す概略説明図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空手荷物の搬送ラインや荷物搭載作業場所の任意の位置にバーコードリーダを適宜設置して航空手荷物に取り付けられたバゲージタグのバーコードを読取り認識し、該航空手荷物を自動的に仕分け・搬送して持ち主である旅客が搭乗する飛行機の貨物室に搭載する航空手荷物管理システムに用いられるバーコード認識システムにおいて、
前記バゲージタグが、旅客の搭乗に関する情報が書き込まれるRFIDが付されたものであり、
前記バーコードリーダの近傍に、前記RFIDを読取り認識するRFIDリーダを配設し、該RFIDリーダが読取り認識したRFIDの情報を前記バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部に伝達する構成であることを特徴とするバゲージタグ認識システム。
【請求項2】
前記RFIDリーダの読取り認識範囲を前記バーコードリーダの読取り認識範囲と一致させる構成であることを特徴とする請求項1に記載のバゲージタグ認識システム。
【請求項3】
前記搬送ラインや荷物搭載作業場所の読取り認識範囲内への航空手荷物の進入を検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を開始し、前記読取り認識範囲外への航空手荷物の進出を検知して前記バーコードリーダ及びRFIDリーダの読取り動作を終了させる構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバゲージタグ認識システム。
【請求項4】
前記RFIDの情報を前記バーコードの情報と一致させる構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバゲージタグ認識システム。
【請求項5】
前記バーコードとRFIDのいずれか一方の情報の読取り認識ができた時点で認識完了とする構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバゲージタグ認識システム。
【請求項6】
前記バーコードリーダと該バーコードリーダの読取り認識した情報の受取部との間に、前記RFIDリーダの読取り認識した情報を前記バーコードリーダが受取部に伝達する情報と同じ形式に変換ないしは調整して前記受取部に伝達するインターフェース手段を介在させる構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバゲージタグ認識システム。
【請求項7】
前記インターフェース手段が、前記バーコードリーダ及び/又はRFIDリーダで読取り認識した情報を前記受取部に一つの出力情報として一系統で伝達する構成であることを特徴とする請求項6に記載のバゲージタグ認識システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−153511(P2007−153511A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349158(P2005−349158)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(503408624)次世代空港システム技術研究組合 (2)
【Fターム(参考)】