説明

バストカップ部を有する女性用衣料

【課題】バストカップ部を所望の立体形状に形成することができるとともに、部品点数を減少させる。
【解決手段】女性用衣料のうち、少なくとも左右のバストカップ部2、3をそれぞれ構成する身頃体を、前記女性用衣料を着用した左右のバストの乳頭部40近傍を通る所定の分割線24、25によって複数に分割し、前記分割線によって分割された複数の身頃体の対向する端縁部の長さを、一方の身頃体と他方の身頃体とで少なくとも部分的に異ならせ、前記複数に分割された身頃体の対向する端縁部を互いに接合して、前記左右のバストカップ部をそれぞれ構成する際に、前記身頃体の長さが長く設定された端縁部の部分を、長さが短くなるように押し込んだ状態で接合することにより、前記身頃体の長さが長く設定された端縁部の部分を三次元形状に湾曲した形状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラジャーやキャミソール、スリップ等のバストカップ部を有する女性用衣料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平08−210771号公報
【0003】
従来、この種のバストカップを有する女性用衣料としてのブラジャーは、例えば、図38に示すように、ジャガード面天竺等からなる上カップ布101と下カップ布102の裏面に、不織布等からなる上カップ及び下カップの裏当て布103、104を縫着するとともに、これら上カップ布101と下カップ布102とを、これらの縫い代を介して互いに縫着することによって、左右のバストカップが所定の立体形状に構成される。そして、このブラジャーは、上記の如く構成される左右のバストカップを、中央に位置するセンターパネル105で互いに連結するとともに、当該バストカップの下端部から体側部にかけてサイドパネル106を縫着することによって構成されている。
【0004】
さらに、上記ブラジャーは、必要に応じて、左右のバストカップの下端縁に沿ってワイヤーボーンを縫着することにより、バストカップを所定の立体形状に形成して補正機能を持たせている。なお、ブラジャーに使用される保形用ボーンとして、本出願人は特許文献1に示すものを既に提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記従来のブラジャーの場合には、バストカップを所定の立体形状に形成するため、上カップ布101と下カップ布102の裏面に、上カップ及び下カップの裏当て布103、104を縫着するとともに、これら上カップ布101と下カップ布102とを、これらの縫い代を介して互いに縫着する必要があり、部品点数が多く、縫着工程が煩雑であって、縫着工程に熟練を要し、コストアップを招くという問題点を有していた。
【0006】
また、上記従来のブラジャーの場合には、上カップ布101と下カップ布102のように、複数の布片を互いに縫着することによって、女性の三次元形状に湾曲したバストを覆うように構成したものであるが、バスト基底部は湾曲化しているという概念がなく、平板なバストカップ、平板な身頃体との接続から脱することができず、十分良好な着用感が得難いとともに、所望の立体形状に形成することが困難であるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、バストカップ部を所望の立体形状に形成することができるとともに、部品点数を減少させるという利点を更にバスト補正力を高める利点へと進化させたバストカップ部を有する女性用衣料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、女性の左右のバストにそれぞれ装着する左右のバストカップ部を有する女性用衣料において、
前記女性用衣料のうち、少なくとも前記左右のバストカップ部をそれぞれ構成する身頃体を、前記女性用衣料を着用した左右のバストの乳頭部近傍を通る所定の分割線によって複数に分割し、前記分割線によって分割された複数の身頃体の対向する端縁部の長さを、一方の身頃体と他方の身頃体とで少なくとも部分的に異ならせ、前記複数に分割された身頃体の対向する端縁部を互いに接合して、前記左右のバストカップ部をそれぞれ構成する際に、前記身頃体の長さが長く設定された端縁部の部分を、長さが短くなるように押し込んだ状態で接合することにより、前記身頃体の長さが長く設定された端縁部の部分を三次元形状に湾曲した形状に形成したことを特徴とするバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記女性用衣料を構成する身頃体は、女性の体の前面側に位置する前面側の身頃体と、女性の体の背面側に位置する背面側の身頃体の少なくとも2つの身頃体に分割されていることを特徴とする請求項1に記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0010】
また、前記背面側の身頃体は、必要に応じて、前記女性用衣料の背面に位置し、女性の体の縦方向に沿った中心線によって2つに分割するように構成しても良く、この場合には、バストカップ部を有する女性用衣料は、3つの身頃体によって構成される。
【0011】
さらに、前記前面側の身頃体は、必要に応じて、前記女性用衣料の前面に位置し、女性の体の縦方向に沿った中心線によって2つに分割するように構成しても良く、この場合には、バストカップ部を有する女性用衣料は、3つの身頃体によって構成される。
【0012】
又、前記背面側及び前面側の身頃体は、必要に応じて、前記女性用衣料の背面及び前面に位置し、女性の体の縦方向に沿った中心線によってそれぞれ2つに分割するように構成しても良く、この場合には、バストカップ部を有する女性用衣料は、4つの身頃体によって構成される。
【0013】
なお、前記背面側及び前面側の身頃体は、必要に応じて、更に分割するように構成しても良い。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、女性の左右のバストにそれぞれ装着する左右のバストカップ部を有する女性用衣料において、
女性の体の胸部外周を覆うとともに、前記左右のバストカップ部を構成する身頃体を備え、
前記左右のバストカップ部を構成する身頃体を、前記女性用衣料を着用した左右のバストの乳頭部よりも女性の体の前中央部寄りに位置する当該身頃体の下辺部から、前記乳頭部を通り略水平方向に人体の体側部へと延びた2本の分割線によって、前面側の身頃体と背面側の身頃体とからなる少なくとも2つの身頃体に分割するとともに、前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、前記前面側の身頃体の方が前記背面側の身頃体よりも長くなるように設定し、前記前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線によって分割された対向縁同士を接合することにより、前記左右のバストカップ部を女性の左右のバストに適合した三次元形状に形成したことを特徴とするバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0015】
更に、請求項4に記載の発明は、前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、前記前面側の身頃体の方が前記背面側の身頃体よりも3%以上長くなるように設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、前記3%以上長くなるように設定された分割線の領域を、左右のバストカップ部の乳頭部近傍に配分し、他の領域は前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、略等しく設定したことを特徴とする請求項4に記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0017】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記前面側の身頃体及び背面側の身頃体は、女性の立位姿勢において、女性の前面側及び背面側を垂直に通る中心線によって、それぞれ左右の身頃体に分割されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0018】
又、請求項7に記載の発明は、前記背面側の身頃体の裏面には、左右のバストカップ部の体側部寄りに位置する領域に、左右のバストを女性の体の前中央部寄りに移動させる機能を果たす裏面構成部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0019】
更に、請求項8に記載の発明は、前記背面側の身頃体の裏面には、左右のバストカップに対応した領域に、バスト形状を補正するパッドとしての機能を果たす裏面構成部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、前記背面側の身頃体には、その裏面側に伸縮性を有する素材からなる裏当て部材が、前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域にわたって、少なくとも当該裏当て部材の外周が前記背面側の身頃体に縫着又は接着された状態で設けられ、前記裏当て部材は、その人体胸部の周方向に沿った長さが、前記背面側の身頃体よりも短く設定されているとともに、その人体胸部の周方向と直交する方向に沿った長さが、前記背面側の身頃体よりも長く設定されており、前記裏当て部材の人体胸部の周方向に沿った収縮力によって、前記背面側の身頃体の前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域が、人体骨格に沿って湾曲するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0021】
さらに、請求項10に記載の発明は、前記背面側の身頃体の裏面側には、その左右のバストカップ部の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部とした裏当て部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0022】
又、請求項11に記載の発明は、前記前面側及び背面側の身頃体は、少なくともその左右のバストカップ部を構成する部材が、表面層部と裏面層部とを中間中空層部を構成する連結糸で互いに接続した立体中空状の布地からなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0023】
更に、請求項12に記載の発明は、前記立体中空状の布地からなる背面側の身頃体の表面側には、その左右のバストカップ部の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部とした裏当て部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0024】
また、請求項13に記載の発明は、前記背面側の身頃体には、人体の中央部寄りの端縁から前記バスト基底輪郭線下辺部領域を略三日月状に切り抜き前記切り抜きによって上下に分離した上下の端縁の上端縁をバスト下部で長さの長い分を下部端縁にいせ込むように縫着することによって人体湾曲形状に適応する身頃体並びにバストカップ部を三次元化した上、前記背面側の一枚構成である身頃体体側部に自然な流れで一体化させることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0025】
さらに、請求項14に記載の発明は、前記背面側の身頃体には、前記バストカップ部の体側部寄りに位置する面に、乳頭部に近づく程伸縮性が高くなるように、伸縮性を複数段にわたって異ならせた補正部材を裏面側に設けたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0026】
又、請求項15に記載の発明は、前記背面側の身頃体には、バスト基底輪郭部に沿って補正用のボーンを配設したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料である。
【0027】
また、この発明では、前記背面側の身頃体を1枚の表地によって構成するのではなく、前記背面側の身頃体を、1枚の表地と、当該表地の裏面側又は表面側に縫着又は接着、あるいはコーティング等することにより接合された1枚又は複数枚の補正機能を有する裏当て部材を設けるように構成しても良い。
【0028】
上記表地としては、ストレッチ性を有する素材からなるものが望ましいが、その材質は特に限定されるものではない。また、表地としては、ダブルラッセル編地等からなる素材を用いても良く、このダブルラッセル編地等からなる素材は、前記裏当て部材として用いても良い。
【0029】
更に、上記裏当て部材としては、綿や合成繊維製の布地やダブルラッセル編地等からなる素材が用いられるが、これらに限定されるものではなく、シリコンゴム等の合成樹脂をコーティングしたもの、あるいは合成樹脂製の薄いフィルムや板材等からなる芯体など、幅広い素材からなるものを使用しても良い。
【0030】
また、この発明では、前記左右のバストカップ部を、原則として一枚構成とされた背面側身頃体の体側部からバストを支えるに必要な支持領域を一体的に備えた第1のバストカップ部と、前面側の身頃体の全面からなる第2のバストカップ部とから構成しても良い。
【0031】
上記左右のバストカップ部には、パッド体を内蔵させてもよく、当該パッド体や前述した裏当て部材を身頃体に取り付けるには、縫着による場合は、パッド体や裏当て部材の外周部のみが身頃体に縫い止められるが、接着による場合は、原則として、パッド体や裏当て部材の全面が身頃体に接着される。なお、前面側の身頃体にパッド体を設ける場合には、当該パッド体は、接着によらずに縫着するのが望ましい。
【0032】
さらに、この発明では、前記背面側の身頃体には、その裏面側に伸縮性を有する素材からなる裏当て部材が、前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域にわたって、少なくとも当該裏当て部材の外周が前記背面側の身頃体に縫着又は接着された状態で設けられ、前記裏当て部材は、その人体胸部の周方向に沿った長さが、前記背面側の身頃体よりも短く設定されているとともに、その人体胸部の周方向と直交する方向に沿った長さが、前記背面側の身頃体よりも長く設定されており、前記裏当て部材の人体胸部の周方向に沿った収縮力によって、前記背面側の身頃体の前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域が、人体骨格に沿って湾曲するように構成されていても良い。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、バストカップ部を所望の立体形状に形成することができるとともに、部品点数を減少させるという利点を更にバスト補正力を高める利点へと進化させたバストカップ部を有する女性用衣料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0035】
実施の形態1
図1において、1はバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを示すものであり、このブラジャー1は、女性の左右のバストをそれぞれ覆う左右のバストカップ部2、3を備えている。これらの左右のバストカップ部2、3には、その左右両側にサイドパネル部4、5が一体的に連設されているとともに、これら左右のサイドパネル部4、5の先端には、後述するように、女性の体の背面側に位置するバックパネル部6、7が一体的に設けられている。また、上記左右のバストカップ部2、3の略三角形状に形成された上端部には、ショルダーコード10、11がそれぞれ縫着されている。なお、上記ブラジャー1としては、必ずしもショルダーコードを有しないものであっても良い。
【0036】
一般に、従来のブラジャーは、女性のバストの形状を美しく表現することを目的としており、バストを押さえこむことがないように、女性の体に着用するための身頃体をバストの輸郭部で切断し、乳房立体包容部であるバストカップ部と区分するように構成されている。さらに、最近のブラジャーは、左右のバストカップ部を単なる女性のバストを包容する部位としての機能から、バストの移動可能量を掌握した上で、女性のバストを人体美学を前提とする形状に引き寄せて引き上げるように移動させる機能を主とする傾向にある。
【0037】
これらの機能を前提とするブラジャーは、併せて、老化に伴う皮脂によるバストの下垂を支持する機能、又は下垂したバストを若さが表現できる位置に吊り上げる機能を発揮することをも目的としている。これらの機能は、ブラジャー1に基本的に求められる機能であり、バストカップ部によるバスト下部の保持機能と、ショルダーコードによるバスト吊上げ機能によって達成される。
【0038】
また、近年、上記ブラジャーには、上述した基本機能に加えて、左右のバストの間に谷間を形成したり、チェスト部にバストの湾曲した曲線形状の丘陵線を形成する機能が、女性の魅力をより一層表現するものとして重要視されてきており、理想とするバスト形状を創出するため、左右のバストを人体中央部の上方へ移動させることが要求されている。
【0039】
このように、ブラジャーに求められる種々の要求に応えるためには、第一の基本機能を前提にして、一方のショルダーコードを左肩から人体チェスト部を斜めに右側バストカップ部に、且つ他方のショルダーコードを右肩から人体チェスト部を斜めに左側バストカップ部に連結することが考えられるが、この場合には、左右のショルダーコードが胸元に露出してしまい、服装美学的にも且つ女性美学的にも好ましく無い。
【0040】
ブラジャーは、アンダーバストの保持力に対し、バスト底辺を三角の一辺とする長三角形状の頂点をショルダーコードによって吊上げる力線によって成り立っているが、近年はバストを構成する略半球体に対するバスト輪郭部の下辺約1/2強の部分をボーン等によって固定し、当該ボーンを三角形状の一辺として吊上げることから、バストカップ部とそれ以外の身頃体とは完全に分離され、その役割も明確に分離されていた。よって、役割が明確に分離されたバストカップ部が果たす機能は、当該バストカップ部の形状をもってバスト形状を補正する機能、乃至はバストカップ部の厚みを部分的に異ならせることで当該バストカップ部の内部形状を変化させ、バストの小さな移動を促す機能に留まっていた。
【0041】
そこで、この実施の形態では、女性の左右のバストにそれぞれ装着する左右のバストカップ部を有する女性用衣料において、
女性の体の胸部外周を覆うとともに、前記左右のバストカップ部を構成する身頃体を備え、
前記左右のバストカップ部を構成する身頃体を、前記女性用衣料を着用した左右のバストの乳頭部よりも女性の体の前中央部寄りに位置する当該身頃体の下辺部から、前記乳頭部を通り略水平方向に人体の体側部へと延びた左右のバストに対応した2本の分割線によって、前面側の身頃体と背面側の身頃体とからなる少なくとも2つの身頃体に分割するとともに、前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、前記前面側の身頃体の方が前記背面側の身頃体よりも長くなるように設定し、前記前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線によって分割された対向縁同士を接合することにより、前記左右のバストカップ部を女性の左右のバストに適合した三次元形状に形成したものである。
【0042】
すなわち、この実施の形態に係るブラジャー1は、図2乃至図5に示すように、例えば、女性の立位姿勢における体の前面及び背面に位置する垂直方向に沿った中心線をC1、C2とした場合、これらの中心線C1、C2では、身頃体を分割せずに、左右のバストカップ部2、3を含む身頃体20を、図2及び図3に示すように、ブラジャー1を着用した左右のバストの乳頭部40よりも女性の体の前中央部寄りに位置する当該身頃体20の下辺部22から、前記乳頭部40を通り略水平方向から略斜め上方に人体の体側部23へと延びた左右のバストに対応した2本の分割線24、25によって、図4に示すような前面側のバストカップパネル(身頃体)26と図5に示すような背面側のバストカップパネル(身頃体)27とからなる少なくとも2つの身頃体26、27に分割するように構成したものである。
【0043】
本発明では、図4、図5及び図6(a)に示すように、前面側のバストカップパネル(身頃体)26と背面側のバストカップパネル(身頃体)27とからなる2つの身頃体で構成したものを基本実施の形態とするが、これに限定されるものでなく、図6(b)に示すように、背面側のバストカップパネル(身頃体)27を、更にサイドパネル4、5とバックパネル6、7の境界で分離することにより、背面側のバストカップパネル(身頃体)27を、2つのパーツから構成しても良い。ただし、図7に示すように、背面側のバストカップパネル(身頃体)27の前側のパーツCを、更に下カップ部Eとその周囲の体側部Fとに分離するように構成しても、これら下カップ部Eとその周囲の体側部Fとが接合されて一体化されるものであれば、かかる構成を採用しても良い。
【0044】
上記前面側のバストカップパネル26は、図4に示すように、右側のバストカップ部2に対応した上カップパネル28(身頃体)と、左側のバストカップ部3に対応した上カップパネル29(身頃体)とが、中心線C1に対して左右対称に構成されているとともに、背面側のバストカップパネル27も、図5に示すように、右側のバストカップ部2に対応した下カップパネル30(身頃体)と、左側のバストカップ部3に対応した下カップパネル31(身頃体)とが、中心線C2に対して左右対称に構成されている。
【0045】
上記前面側及び裏面側のバストカップパネル26、27を構成する上カップパネル28、29と下カップパネル30、31について、右側に位置するバストカップパネルを例にして説明すると、この右側に位置するバストカップパネルの上カップパネル28には、図8に示すように、女性のバストを覆うバストカップ部2、3の上カップ32、33と、ブラジャー1の中央部に位置するセンターパネル34、35とが一体的に形成されている。
【0046】
また、上記下カップパネル30、31には、図8に示すように、女性のバストカップ部2、3の下カップ36、37と、バストカップ部2、3の体側部寄りに位置するサイドパネル4、5と、当該サイドパネル4、5の背面側に位置するバックパネル6、7とが一体的に形成されている。なお、上記サイドパネル4、5とバックパネル6、7は、一体的に形成しても良いが、上述した図6(b)に示すように互いに別体として構成し、縫着や接着等の手段によって接合することによって一体的に構成しても良い。
【0047】
図1において、上記上カップパネル32、33と下カップパネル36、37を上下に分割する分割線24、25は、次のように設定されている。この上カップパネル32、33と下カップパネル36、37を分割する分割線24、25は、図9に示すように、本実施の形態に係るブラジャー1を着用した後の女性のバストを、カップポイント(乳頭部)40を針の中心とした時計にたとえると、女性の体の中央部側において、時計の長針が約35〜40分の間となる位置22を起点として、やや右側に傾斜した上向きの略直線状乃至大きな曲率半径を有する曲線状24aにカップポイント(乳頭部)40を通過するように延びており、カップポイント(乳頭部)40の前後の位置24b、25cにおいて、比較的小さな曲率半径を有するように形成されている。さらに、上記分割線24、25は、カップポイント(乳頭部)40を通過した後、略水平乃至やや上向き24dに延びており、その体側部寄りの端部23が約10〜15分の位置で終点となるように形成されている。そして、上記ブラジャー1は、図1に示すように、女性の体の前面側に位置する部分が上カップパネル32、33を含む前面側のバストカップパネル26となっており、女性の体の脇側に位置する部分が下カップパネル36、37を含む裏面側のバストカップパネル27となっている。
【0048】
なお、図9において、Yは本実施の形態に係るブラジャー1を着用する前の女性のバストのカップポイント(乳頭部)40を、Y’は本実施の形態に係るブラジャー1を着用した後の女性のバストのカップポイント(乳頭部)40を、Aは本実施の形態に係るブラジャー1を着用する前のバストのカップポイント(乳頭部)40における人体骨格からの高さを、A’は本実施の形態に係るブラジャー1を着用した後のバストのカップポイント(乳頭部)40における人体骨格からの高さを、Bは本実施の形態に係るブラジャー1を着用する前のバストのカップポイント(乳頭部)40における人体中心線Cからの距離を、B’は本実施の形態に係るブラジャー1を着用した後のバストのカップポイント(乳頭部)40における人体中心線Cからの距離を、それぞれ示している。
【0049】
上記上カップパネル32は、図8に示すように、その中央部(図8中左側)寄りの直線41が中心線C1と一致しており、この中央部寄りの直線41が他方の上カップパネル33と一体化される端縁となっている。この直線41の下端部には、センターパネル部34の下端縁42を構成する短い直線部が略直交するように形成されている。
【0050】
また、上記上カップパネル32は、図8に示すように、その直線41の上端部に、バストカップ部2の上端縁43が、図8中略水平方向に沿って延設されているとともに、当該上端縁43の右端側の部分43aは、上方へ向けて大きな曲率半径を持って湾曲した形状に形成されている。さらに、上記上カップパネル32の略三角形状に形成された接合部44の右側面の部分45は、下方右側へ向けて大きな曲率半径を持って湾曲した形状に形成されている。
【0051】
さらに、上記上カップパネル32の下端縁46は、図8に示すように、センターパネル部34の下端縁42に鈍角を成して連続しており、略水平方向に沿って上側に凸形状となるように僅かに湾曲46aした後、下側に凸形状となるように僅かに湾曲46bした曲線状に形成されている。
【0052】
一方、下カップパネル36は、図8に示すように、その中央部(図8中左側)寄りの上端縁47が、起点22から鉛直方向に対して右側に傾斜した斜め上方へ向けて略直線状乃至非常に大きな曲率半径を有する曲線状47aに形成されているとともに、トップポイント40を通る所定の曲率半径を有する円弧状部分47bを介して、略水平方向に沿った部分47cが終点23まで延びている。
【0053】
また、上記下カップパネル36の下端縁48は、起点22から下向きに凸状に小さく湾曲した湾曲部48aを介して、上向きに凸状に僅かに湾曲48bした後、下向きに凸状に小さく湾曲48cした湾曲部を有した形状に形成されている。
【0054】
さらに、上記下カップパネル36には、徐々に幅が狭くなるように形成されたサイドパネル部4が一体的に形成されているとともに、当該サイドパネル部4には、バックパネル部6が一体的に連設されている。また、上記バックパネル部6の上端縁には、ショルダーコード10の後端を連結する角部からなる連結部49が設けられている。さらに、上記バックパネル部6の先端部50は、背面側の中心線C2と一致しており、この先端部50は、図2に示すように、他方の下カップパネル31のバックパネル部7と連続して設けられている。
【0055】
なお、上記ブラジャー1は、図4及び図5に示すように、基本的に、前面側のバストカップパネル26と背面側のバストカップパネル27からなる2つの身頃体で略円筒形状に構成されるが、当該ブラジャー1は、例えば、これら前面側のバストカップパネル26と背面側のバストカップパネル27を伸縮性を有する素材によって形成し、被るようにして着用される。
【0056】
また、上記ブラジャー1は、下カップパネル30、31のバックパネル部6、7の先端部で左右に分割し、これら左右に分割されたバックパネル部6、7の先端に、図示しないフックやアイ等からなる係止具を、縫着等の手段によって取り付けることにより着用するように構成しても勿論良い。
【0057】
さらに、上記上カップパネル32と下カップパネル36とを分割する分割線24、25に対応した上カップパネル32の下端縁46と、下カップパネル36の上端縁47の長さは、図8に示すように、上カップパネル32の方が下カップパネル36よりも3%以上長くなるように設定されている。
【0058】
なおかつ、上カップパネル32の下端縁46の長さは、下カップパネル36の上端縁47に対して、均等に3%以上長くなるように設定されているわけではなく、左右のバストカップ部2、3のカップトップ位置40の近傍47bに対応した領域が、3%以上長くなるように設定されており、他の領域は、左右のバストカップ部2、3に位置する上カップパネル32の下端縁46と、下カップパネル36の上端縁47の長さが、略等しく設定されている。
【0059】
また、上記上カップパネル32と下カップパネル36とを分割する分割線24、25には、縫い代が設けられており、これら上カップパネル32と下カップパネル36は、縫い代によって互いに縫着され、上カップパネル32と下カップパネル33とを分割する分割線24、25の長さの上下の相違によって、左右のカップパネル2、3は、左右のバストカップ部2、3がブラジャー1を着用する女性の左右のバスト形状に適合した三次元形状に形成されている。
【0060】
その結果、上記上カップパネル32の下端縁46と、下カップパネル36の上端縁47とを互いに縫着するか又は接着することによって接合することによって、3%以上長くなるように設定された上カップパネル32の下端縁46のカップトップ位置40近傍は、下カップパネル36の上端縁47がいせこみされた状態(いせこみ:長さの異なる端縁どうしを縫着する際に、長さが短い方の端縁を引っ張り気味に、長さが長い方を押し込み気味にしながら縫着する方法)で縫着等が施され、カップトップ位置40の近傍領域は、図1に示すように、ブラジャー1を着用した左右のバストの乳頭部40が女性の体の前中央部寄りであって上方に位置するような三次元形状に形成される。
【0061】
また、上記実施の形態では、上カップパネル32、33のセンターパネル34が、女性の体の前面側で一体的に連結されているが、左右の上カップパネル32、33のセンターパネル34同士を左右に分割した前面側の身頃体としても良い。
【0062】
ただし、上述したように、本実施の形態に係るブラジャー1は、基本的に、図4及び図5に示すように、前面側の身頃体26と背面側の身頃体27とからなる2つのパーツによって構成することができ、部品点数を少なくすることができ、製造コストダウンが可能となる。
【0063】
上記ブラジャー1は、下カップパネル36、37のサイドパネル部4、5及びバックパネル部6、7が、図9に示すように、略楕円形状の人体骨格51に沿って配設されるが、当該下カップパネル36、37のバストカップ部2、3は、略楕円形状の人体骨格51から略椀形状に突出した女性のバスト52に装着されるものである。そのため、上記下カップパネル36、37のパターンは、図9及び図10に示すように、バスト下部の底辺輪郭53が、人体骨格51の湾曲線に準じる楕円形状に形成されている。
【0064】
上記の如く上カップパネル32、33と下カップパネル36、37とを縫着することによって構成される左右のバストカップ部2、3は、着用する女性のバスト52のカップサイズに応じた形状に形成されるが、当該バストカップ部2、3のバスト容積を確定するバスト輪郭底辺は、図9に示すように、人体骨格51の湾曲線による底辺をベースに湾曲に捉え、且つ当該腕脇下側、特に下カップパネル36、37が形成するバスト下辺から、腕脇下側の輪郭線よりバストトップ40を結んだ直線が、ブラジャー1を着用する前の人体トップYより1cm以上高い位置となるように設定されている。
【0065】
上記ポイントは、図9に示すように、人体骨格51の湾曲線に沿って設定されたバスト底辺輪郭線を人体前後の中心線C1、C2上にY軸(高さ)に乳房高さを設定し、当該高さに上記人体骨格51の湾曲線をベースとするバスト輪郭線のバスト下部から腕脇下側までの底辺輪郭線から直線55によってはみ出る人体のバスト容量(人体バスト移動量:図8中の斜線を施した部分)を、人体のバストポイント40より少なくとも1cm上方且つ前側に押し上げた場合の乳頭部40の位置を当該パターンの乳頭位置とし、且つ容量をカバーする丸みを上カップパネル32、33のパターンにデザインすることを基本とする。
【0066】
図10中の破線53はブラジャー1を着用する前の女性のバスト52の形状を示したものであり、同図中の二点鎖線54はブラジャー1を着用した後の女性のバスト52の形状を示したものである。
【0067】
図9において、40は女性のバスト52の乳頭部の位置を示したものであり、ブラジャー1を着用することによって、女性のバスト52の乳頭部40の位置は、BからB’へと変化する。同様に、図9中、Aは女性のバスト52の乳頭部40の人体骨格51の基底部からの高さを示したものであり、ブラジャー1を着用することによって、女性のバスト52の乳頭部40の人体骨格51の基底部からの高さは、AからA’へと変化する。
【0068】
更に、この実施の形態1に係るブラジャー1は、前記背面側の身頃体には、人体の中央部寄りの端縁から前記バスト基底輪郭線下辺部領域を略三日月状に切り抜き前記切り抜きによって上下に分離した上下の端縁の上端縁をバスト下部で長さの長い分を下部端縁にいせ込むように縫着することによって人体湾曲形状に適応する身頃体並びにバストカップ部を三次元化した上、前記背面側の一枚構成である身頃体体側部に自然な流れで一体化させるように形成されている。
【0069】
この実施の形態1では、図11に示すように、下カップパネル36、37の人体中央部寄りの端部であって、起点22となる位置よりも所定の距離だけ上方の位置に、バスト基底部60に沿って略三日月状の切込み61が設けられているとともに、切込み61よりも下方に位置する端縁は、その上方に位置する端縁よりも例えば1cm程度短く設定されている。
【0070】
そして、上記下カップパネル36、37は、略三日月状の切込み61を介して対向する端縁同士が互いに縫着されており、縫着後の下カップパネル36、37は、図11及び図12に示すように、バスト基底部54が人体骨格51に対して立位姿勢の人体上方に向けて凸形状となるように湾曲形状に形成されている。
【0071】
このように構成することにより、本実施の形態に係るブラジャー1は、図10に示すように、左右のバストカップ部2、3のバスト基底部54が、人体骨格51に対して立位姿勢の人体上方に向けて凸形状となるように湾曲形状に形成されており、人体骨格51にフィットするものとなっている。
【0072】
また、上記の如く、背面側の身頃体に、人体の中央部よりの端縁から前記バスト基底部に沿って略三日月状の切込み61を設ける代わりに、図13に示すように、長さ及び幅が順次異なる細長い菱形形状の切り込み62a〜62dを、バスト基底部に沿ってバストトップを中心にして放射状に設け、各細長い菱形形状の切り込み62a〜62dの対向する端縁を互いに縫着することによって、下カップパネル36、37のバスト基底部54が人体骨格51に対して立位姿勢の人体上方に向けて凸形状となるように湾曲形状54に形成しても良い。
【0073】
さらに、この実施の形態では、図14に示すように、分割線24、25の体側寄りの部分に、三日月形状の切り込み部63を設け、この三日月形状の切り込み部63の端縁同士を上下に縫着することにより、当該三日月形状の切り込み部63を人体側に向けて凹形状に窪ませて、ショルダーコード10、11によって矢印方向の引っ張り力が作用した際に、三日月形状の切り込み部63によってバストの体側寄りの部分を押圧する力を発生させ、より一層バストを中央部寄りに寄せる効果を発揮させることができる。
【0074】
更に、この実施の形態1では、前記背面側の身頃体の裏面側には、その左右のバストカップ部の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部とした裏当て部材を設けるように構成されている。この裏当て部材は、例えば、左右のバストを女性の体の前中央部寄りであって且つ上方に移動させる機能を果たすものである。
【0075】
すなわち、この実施の形態1では、図15に示すように、女性のバストをバスト下部から支え、且つ体側部よりバストの側面を押さえる力Fを作用させるため、上カップパネル32、33及び下カップパネル36、37に素材を工夫した裏当部材を内蔵させることにより、女性のバスト41を人体の中央部且つ上方に向けて移動させる三次元的な補正機能を付加させるように構成されている。
【0076】
この実施の形態では、図15に示すように、上カップパネル32、33の全体又は上カップパネル32、33の上カップに相当する生地を、伸縮性が高い素材によって構成するとともに、下カップパネル36、37の下カップに相当する領域を、乳頭部40を中心にして略同心円状に複数(図示例では、3つ)の領域71、72、73に区分し、これらの3つ)の領域71、72、73を乳頭部40に近い部分から順に、伸縮性を有する素材、中程度の伸縮性の素材、非伸縮性の素材によって構成することにより、女性のバスト52をバスト下部から支える力F1を作用させるとともに、体側部よりバスト52の側面を押さえる力F2を作用させるように構成されている。
【0077】
また、この実施の形態に係るブラジャー1では、上記の構成に代えて、図16に示すように、下カップパネル36、37の下カップ及びサイドパネル部4、5に相当する領域にわたって、その裏面側に伸縮性の高い素材からなる裏当て部材74が設けられている。この裏当て部材74は、その外周が下カップパネル36、37に縫着又は接着された状態で設けられており、この裏当て部材74は、その人体胸部の周方向に沿った長さL1が、下カップパネル36、37の長さL2よりも短く設定されているとともに、その人体胸部の周方向と直交する方向(縦方向)に沿った長さL3が、下カップパネル36、37の長さL4よりも長く設定されており、裏当て部材74の人体胸部の周方向に沿った収縮力F4によって、前記背面側の身頃体の前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域が、人体骨格51に沿って湾曲するように構成されている。
【0078】
更に説明すると、この実施の形態に係るブラジャー1は、図17及び図18に示すように、バストポイント(乳頭部)40を起点として、上カップパネル32、33と下カップパネル36、37とを分割する分割線24、25によって、左右のバストカップ部2、3が上下に分割されており、下カップパネル36、37の略円錐形状の下カップ部が、サイドパネル4、5と一体的に形成されている。
【0079】
また、上記ブラジャー1は、図19(a)に示すように、バストカップ部2、3の体側部寄りの輪郭線80から、ブラジャー1を着用する前のバスト部の接線81を結ぶ角度を人体丘陵角度とすることに対して、輪郭線80と接線82を結ぶ角度を設計角度とし、ブラジャー1を着用した結果を、人体美学的な乳房丘陵角度である輪郭線80から接線83を結ぶ角度とする。そして、女性の体の体側部から湾曲形状を描いて人体中心に至る円錐領域において、バストカップ部2、3の外側身頃体が女性のバストを押さえる力を、図16に示すように、当て布や芯体、あるいはボーン等の構造体を適宜組み合わせることによって、バスト輪郭線80の体側部を支点として、バストトップ部40に向けて、波状的に弱めるように構成し(云えば鳥の羽様な構造とし)、圧力を波状的に押し上げる力に変化させることが望ましい。
【0080】
さらに、上記ブラジャー1は、図15に示すように、サイドパネル4、5と一体化された下カップパネル36、37に対して、上カップパネル32、33は、下カップパネル36、37によって人体中央部上方へ移動されたバストに制約を与えず、魅惑的なバスト丘陵を創出するとともに、左右のバストカップ部2、3を中央に引き寄せる力を発揮させるものである。
【0081】
図15において、バックパネル部6、7は、ブラジャー1の人体に対する総合的な保持力、及び人体の動きや人体に与える圧迫感、あるいは人体へのフィット性等を決定する伸張率を有するとともに、ショルダーコード10、11の後端部を保持する機能を有する領域である。
【0082】
また、上記ブラジャー1の上カップパネル32、33は、左右のバストカップ部2、3のチェスト領域であり、このバストカップ部2、3のチェスト領域において、上述したように、ブラジャー1の機能として要求される魅惑的な乳房部の丘陵を確定させる領域であり、ブラジャー1全体の中で最も人体への圧迫力を持たせてはならない部分である。
【0083】
この実施の形態に係るパターン形状を有する分割線24、25において、最も三次元的な立体性を創出する役割を担い、上カップパネル32、33と下カップパネル36、37とを分割する分割線24、25の長さは、上カップパネル32の方が下カップパネル36よりも3%以上長くなるようにゆとり量をもって設定されており、トップバスト位置を確定する上カップパネル32と下カップパネル36の分割線24、25の領域を、ゆとり量をいせ込みながら接続することにより、より理想とするバストトップの三次元化を創出することが可能となるものである。
【0084】
また、上記ブラジャー1のサイドパネル部4、5は、人体前後のバランスを保持する役割を持つものである。特に、ブラジャー1全体の周囲長方向への伸びによって上下方向のゆがみ(カーリング)を生むことへの保持力を求められる部位であり、当該サイドパネル4、5に縦方向に沿ったボーンを配置するように構成しても良い。
【0085】
図18は、ブラジャー1のバストカップ領域に対する説明図である。
【0086】
図18において、バストカップ部2、3は、ブラジャー1を着用する前のバストポイント40’を座標の原点とした場合に、図18中の(I)は、バストカップ部2、3の下カップ領域の下カップ中心側1/4の領域であり、(II)は、下カップ部脇側の1/4の領域である。さらに(III)はバスト上下水平線によって区分する上カップ領域のチェスト側1/4であり、(IV)は腕腋下側の1/4の領域である。
【0087】
図20はブラジャー1の身頃体の保持力を説明する説明図である。
【0088】
図20(a)は、同図(c)に示すように、スパンデックス糸等の伸縮力を有する糸が挿入されて伸張力を有し保持力のある筒状の丸編み体からなるベアトップブラを着用した場合において、当該ベアトップブラを着用する前後のバスト(点太線並びに破線)の形状が、どのように変化するかを概略的に示したものである。結果として、上記ベアトップブラの保持力により、乳房トップ部が圧縮され、反面当該圧縮された容量が最も圧力の加わらないトップと人体骨格の間である領域に逃げ、乳房輸郭は、点線ロに示すように拡大することになる。
【0089】
また、図20(d)は、上記フラット丸編み地からなるベアトップに、本発明の保持領域を成形編みしたベアトップを着用した場合のバスト形状を示したものである。
【0090】
さらに、図20(e)は、本発明の保持領域を成形編みしたベアトップであって、保持力を段階的に異ならせたベアトップブラを着用した概略図であり、着用後の人体形状は、理想形状に近い点線に示した形状となる。
【0091】
このように、上記実施の形態に係るブラジャー1によれば、バストカップ部2、3を所望の立体形状に形成することができるとともに、部品点数が少なく、製造工程が容易であって低コストにて製造することが可能となっている。
【0092】
また、上記実施の形態に係るブラジャー1によれば、バストカップ部2、3を所望の立体形状に形成することができるとともに、部品点数を減少させるという利点を更にバスト補正力を高める利点へと進化させることができる。
【0093】
実施の形態2
図21はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記背面側の身頃体の裏面側又は表面側には、その左右のバストカップ部の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部とした裏当て部材を設けるように構成されている。
【0094】
すなわち、この実施の形態2では、例えば、図21(a)に示すように、表面側のバストカップパネル26及び背面側のバストカップパネル27の素材として、表面層部と裏面層部とを中間中空層部を構成する連結糸で互いに接続した立体中空状の布地としてのダブルラッセル編みの生地91を用いるとともに、当該ダブルラッセル編みの生地91の裏面側に、互いに形状を異ならせた3枚の補強を兼ねる当布92a、92b、92cが、その表面側にホットメルト加工を施して接着力を付与する等により積層状態に設けられている。その結果、上記当布92a、92b、92cが積層されたダブルラッセル編みの生地91は、当布92a、92b、92cの形状及び積層枚数に応じて、その左右のバストカップ部2、3の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部となるように構成されている。
【0095】
また、図21(b)は、表面側のバストカップパネル26及び背面側のバストカップパネル27の素材として、ストレッチ性を有する表地93を用いるとともに、当該表地93の裏面側にダブルラッセル編みの生地91と、当布92a、92bとが積層状態に設けたものである。
【0096】
同様に、図21(c)〜(j)に示すように、表面側のバストカップパネル26及び背面側のバストカップパネル27の素材、ダブルラッセル編みの生地91、当布92a、92b、及びストレッチ性を有する表地93の組み合わせとしては、種々の組み合わせが考えられ、適宜選択して採用される。なお、図21中、符号94は合成樹脂製の薄いフィルムを示すものであり、容易に弾性変形が可能であって、乳頭部40に向うほどフレキシブルであることが望ましい。
【0097】
また、図22は他の変形例を示すものであり、この変形例では、そのカップパネル30の下カップ部36の裏面側に、裏当て部材70が縫着や接着等の手段によって設けられている。この裏当て部材70は、サテン等の伸縮性のある生地を二つ折りにして縫製した人体中心側の高伸張部71を備えている。この高伸張部71は、人体へのフィット性と肌触り性を重視するとともに、着用時のシルエットに影響を及ばさないように薄く構成するが、ある程度の腰を持たせる厚みとする必要がある。
【0098】
また、上記裏当て部材70の中間部には、中間程度の伸縮性の中伸縮部72が形成され、さらにその外側の体側部側にはあまり変形することのない低伸張部73が形成されるものである。
【0099】
このように、上記背面側のバストカップパネル27には、その下カップパネル30の下カップ部36の裏面側に裏当て部材70を設け、当該裏当て部材70は、その左右のバストカップ部2、3の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部73、中伸張部72、高伸張部71とすることにより、裏当て部材70によって女性のバストをその体側部から前中央部にかけて順次高く押圧する作用を得ることができ、バストを寄せて上げる補正効果を発揮することができる。
【0100】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0101】
実施の形態3
図23乃至図24はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、前面側のバストカップパネル26の形状が前記実施の形態と異なるように構成されている。
【0102】
この実施の形態3では、図23に示すように、左右の上カップパネル32、33の下端部が女性の体の前面で交差するように配置されており、左右のバストカップ部2、3を女性の体の前面中央部に寄せる効果をアップしているとともに、左右の腕を動かした場合でも、左右の上カップパネル32、33の下端部をしっかり押さえて、ショルダーコード10、11がずれ難いように構成されている。
【0103】
また、この実施の形態3の変形例は、図24に示すように、前面側のバストカップパネル26の中央部を二点鎖線で示すように、胸元に沿って凹形状に形成したり、前面側のバストカップパネル26を実線で示すように、胸元の上部にまでわたるように形成したものである。
【0104】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
実施の形態4
図25乃至図36はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、左右のバストカップ部の下辺に沿って三次元形状の保形用ボーンを併用させるように構成されている。
【0106】
この保形用ボーンは、断面偏平形状の弾性線材を用いて形成され、この弾性線材の広幅面側が正面Gとなるようにブレストカップの略下側縁形状に湾曲させて形成されたブレストカップ保形用ボーンであり、ブレスト下部側に位置する中央底部(BD間)とブレスト身体中心側に位置する身体中心側立部(AB間)及びブレスト腋下側に位置する腋下側立部(DEF間)とが平面上から離れる方向に湾曲した湾曲形状を有すると共に、上記中央底部の略中心(C点)を基準にして少なくとも上記腋下側立部(DEF間)がその始点(D点)から先端(F点)にかけて45〜90°の範囲で正面Gが外側を向く方向に捩じれた捩れ形状を有しており、装身時には、腋下側立部(DEF間)がその捩れ形状に基づいて身体中心側立部(A〜B間)より大きく弾性変形してこれら身体中心側立部先端(A点)と腋下側立部先端(F点)との間が所定の範囲で拡開するように構成されている。
【0107】
この実施の形態4に係る保形用ボーンが装着されたブラジャー1は、図25に示すように、左右のバストカップ部2、3のバスト基底輪郭部54沿って組み込まれている。なお、この実施例に係るブラジャー1は、JIS L4006(1987)のBカップ体型B70の規格に適合するように設計されており、以下に示すボーン95の大きさ、湾曲形状、捩れ形状等の寸法もこの規格のBカップ体型B70に適するように設計されたものである。
【0108】
この保形用ボーン95は、図26〜図28に示すように、断面略長方形状、また望ましくは人体への接触を和らげるように、肌に接する側をかまぼこ状の断面略円弧形状に形成し、その材質としては当該形状を維持するため、望ましくは形状記憶合金製弾性線材が良いが、形状のデザイン性からすれば、射出成型に適した高機能樹脂からなるものを用いて形成され(実際には図27に示されているように断面略長円形若しくは略楕円形であるが、図27以外では説明の都合上断面長方形に描かれている)、この弾性線材の広幅面側が正面Gとなるようにブレストカップの略下側縁形状に沿って湾曲させて形成されている。
【0109】
この実施例において、ボーン95の正面形状は、図26に詳細に描かれているように、非装身時には略々短径に沿って上半分を切除した略縦長半楕円形状であり、また、装身時には弾性変形により拡開して略半円形状となるように形成されている。そして、このボーン95の大きさは、ボーン95が用いられる衣類の種類やそのサイズ等によって大きく異なるが、通常、その身体中心側立部先端(A点)から腋下側立部先端(F点)までの全長が10〜60cm、概ね15〜45cm、標準では15〜20cmであって、非装身時から装身時においてその正面形状における身体中心側立部先端(A点)と腋下側立部先端(F点)との間が概ね0.3〜6cm、好ましくは1.5〜2.5cmの範囲で拡開する。
【0110】
また、このボーン95の湾曲形状は、このボーン95をブレスト下部側に位置する中央底部(BD間、角度α:約90〜120°)95aと、ブレスト身体中心側に位置する身体中心側立部(AB間、角度β:約30〜45°)95bと、ブレスト腋下側に位置する腋下側立部(DEF間、角度γ:約30〜45°)95cとに分割して考察した場合、B点とD点とが接地し、上記中央底部(B〜D間)95a、身体中心側立部(AB間)95b及び腋下側立部(DEF間)95cが平面上から離れる方向に湾曲した形状になっており、ボーン95が用いられる衣類の種類やそのサイズ、また、着用者の体形、胸部骨格、胸囲寸法及びブレスト形状等によって大きく異なるが、上記中央底部(BD間)95aの略中心C点での平面からの離間距離Xは概ね0.5〜2cm、好ましくは0.7〜0.8cmであり、A点での離間距離Yは概ね0.1〜1cm、好ましくは0.2〜0.4cmであり、また、E点での離間距離Zは概ね0.3〜1.5cm、好ましくは0.7〜0.8cmである。
【0111】
そして、この実施例のボーン95は、図29から図33に示すように、上記中央底部(BD間)95aの略中心(C点)における正面Gが12°の角度で、身体中心側立部(AB間)95bの始端(B点)における正面Gが28°の角度で、身体中心側立部(AB間)95bの先端(A点)における正面Gが16°の角度で、腋下側立部(DEF間)95cの始点(D点)における正面Gが64°の角度で、また、腋下側立部(DEF間)95cの先端(F点)における正面Gが75°の角度で、それぞれ略縦長半楕円形状の外側を向く方向に傾斜して捩じれた捩れ形状を有しており、ブラジャー1のブレストカップ部2、3に組み込んで身体に装身した際には、腋下側立部(DEF間)95cがその捩れ形状に基づいて身体中心側立部(AB間)95bより大きく弾性変形してこれら身体中心側立部(AB間)95bの先端(A点)と腋下側立部(DEF間)95cの先端(F点)との間が概ね1.5〜2.5cmの範囲で拡開するようになっている。
【0112】
図34は身体のアンダーブレストの位置においてボーン95が変形する様子を模式的に描いたものであり、非装身時のボーン95の各点A〜Fは装身時に弾性変形して拡開し、各点A’〜F’の位置にそれぞれ外側に移動する。このとき、C点はほとんど位置の移動がなく、腋下側立部(DEF間)95c側の変位量(DF−D’F’)は身体中心側立部(AB間)95bの変位量(AB−A’B’)に比べて大きく変位している。
【0113】
この実施例のボーン95を組み込んだブラジャー1は、これを上方からみた場合、図35(b)及び(c)に示す従来タイプのボーン95’及び95”を組み込んだブラジャーb及びcとは異なり、図30(a)に示すように、左右一対のボーン95が形成する面が平面的ではなくて立体的になり、ブレストカップ部の腋下側立部が捩れ形状の大きさに応じて立ち上がって平らにならず、身頃部が平面上に置けない姿形状になる。
【0114】
そして、この実施例のボーン95は、図36に示すように、これを平面上に載置してその上方から中央底部(BD間)、身体中心側立部(AB間)及び腋下側立部(DEF間)を水平方向移動自由な状態で平面上に押しつけ、このボーン95の湾曲形状及び捩れ形状を略平坦にして得られる平坦基本形状が、装身時にボーン又はその先端側延長線が胸囲線と交わる2点〔この実施例の場合は、身体中心側立部(AB間)の先端(A点)と腋下側立部(DEF間)の交点(E点)である〕の間を結ぶ方向に略一致して長径を有する略半楕円軌跡形状となっており、中央底部(B〜D間)を船底とする偏平な略船底形状になっている。
【0115】
この実施例において、上記略半楕円軌跡形状をなすボーン95の平坦基本形状は、その長径(DL 、すなわち長さAOE)と短径(DS 、すなわち長さ2OC)との比(DL /DS )が1.1〜1.5であり、ボーン95の製造時には形状記憶合金の弾性線材で先ずこの平坦基本形状を形成し、次いでこの形状記憶合金を加熱下に所定の湾曲形状と捩れ形状とを付与して形成されるもので、この形状記憶合金の材質と付与された湾曲形状及び捩れ形状とが相俟って優れた弾性変形をする。なお、この実施例では、C点が長さABCDEの中間点に位置しているが、長さABと長さDEとが必ずしも一致しているとは限らないので、このC点は必ずしも長さABCDEの中間点に位置するとは限らない。
【0116】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0117】
なお、上記実施の形態では、センターパネル34、35を一体化させた上カップパネル32、33が、左右のバストを中央部に引き寄せる力、並びに引き寄せられたバスト容量を魅惑的にカバーする機能を果たし、これに連結される下カップパネル36、37は、図9に示すように、下カップのバスト下辺部及び体側部寄りの位置から、女性のバスト52をバスト下部から支えるとともに、体側部よりバスト52の側面を押さえる補正機能を、上カップパネル32、33と協働して作用させるものである。
【0118】
また、上記実施の形態では、左右のバストカップ部2、3の裏面側に、パット機能を付与していないが、パット機能を付与させる場合には、製品本体としてのブラジャー1の左右のバストカップ部2、3の裏面側に、裏当て部材としてのパットを配設して二重構造としても良い。
【0119】
上記パット体としては、ラッセル編み、ニット編み、トリコット編み等のダブル編みによるシート体、又はウレタンフォームとストレッチ性編み地等のコーティングシート体等からなるストレッチ性を備えたパット体が用いられる。
【0120】
さらに、上記実施の形態では、基本的に、ブラジャー1が上カップパネル32、33と下カップパネル36、37のみから構成されているため、剛性が低く、人体に対する刺激が従来の製品と比較して極端に少ないという特徴を有している。また、上記実施の形態に係るブラジャー1は、省力化されたパターン並びに機能によって、中衣並びに外衣と一体化することが容易であり、表着に複合させる機能を持たせることが容易となる。
【0121】
図37は、本発明を適用した製品としてのブラジャー1を示すものであり、このブラジャー1は、背面側のバストカップパネル27が図1に示す実施の形態と異なり、バストカプ部2、3の下端縁でカットされている実施例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを示す展開図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを構成するパネルを示す展開図である。
【図4】図4は前面側のバストカップパネルを示す構成図である。
【図5】図5は背面側のバストカップパネルを示す構成図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを構成するパネルを示す展開図である。
【図7】図7はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを構成するパネルを示す展開図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを構成するパネルを示す展開図である。
【図9】図9は女性の人体骨格を示す説明図である。
【図10】図10はバストカップ部の下辺部輪郭線を示す説明図である。
【図11】図11は背面側のバストカップパネルの変形例を示す構成図である。
【図12】図12は背面側のバストカップパネルの変形例を示す構成図である。
【図13】図13は背面側のバストカップパネルの変形例を示す構成図である。
【図14】図14はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを構成するパネルを示す構成図である。
【図15】図15はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図16】図16はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図17】図17はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図18】図18はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図19】図19はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す説明図である。
【図20】図20はこの発明の実施の形態1に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す説明図である。
【図21】図21はこの発明の実施の形態2に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図22】図22はこの発明の実施の形態2に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図23】図23はこの発明の実施の形態3に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図24】図24はこの発明の実施の形態3に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態4に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図26】図26はこの発明の実施の形態4に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーに使用されるワイヤーを示す平面構成図である。
【図27】図27はワイヤーを示す斜視構成図である。
【図28】図28はワイヤーを示す正面構成図である。
【図29】図29はワイヤーを示す断面構成図である。
【図30】図30はワイヤーを示す断面構成図である。
【図31】図31はワイヤーを示す断面構成図である。
【図32】図32はワイヤーを示す断面構成図である。
【図33】図33はワイヤーを示す断面構成図である。
【図34】図34はワイヤーの使用状態を示す模式図である。
【図35】図35はワイヤーを使用したブラジャー示す模式図である。
【図36】図36はワイヤーを示す平面構成図である。
【図37】図37はこの発明に係るバストカップ部を有する女性用衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図38】図38は従来のブラジャーを構成する身頃体を示す平面構成図である。
【符号の説明】
【0123】
1:ブラジャー、2,3:左右のバストカップ部、24,25:分割線、26:前面側のバストカップパネル(身頃体)、27:背面側のバストカップパネル(身頃体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の左右のバストにそれぞれ装着する左右のバストカップ部を有する女性用衣料において、
前記女性用衣料のうち、少なくとも前記左右のバストカップ部をそれぞれ構成する身頃体を、前記女性用衣料を着用した左右のバストの乳頭部近傍を通る所定の分割線によって複数に分割し、前記分割線によって分割された複数の身頃体の対向する端縁部の長さを、一方の身頃体と他方の身頃体とで少なくとも部分的に異ならせ、前記複数に分割された身頃体の対向する端縁部を互いに接合して、前記左右のバストカップ部をそれぞれ構成する際に、前記身頃体の長さが長く設定された端縁部の部分を、長さが短くなるように押し込んだ状態で接合することにより、前記身頃体の長さが長く設定された端縁部の部分を三次元形状に湾曲した形状に形成したことを特徴とするバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項2】
前記女性用衣料を構成する身頃体は、女性の体の前面側に位置する前面側の身頃体と、女性の体の背面側に位置する背面側の身頃体の少なくとも2つの身頃体に分割されていることを特徴とする請求項1に記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項3】
女性の左右のバストにそれぞれ装着する左右のバストカップ部を有する女性用衣料において、
女性の体の胸部外周を覆うとともに、前記左右のバストカップ部を構成する身頃体を備え、
前記左右のバストカップ部を構成する身頃体を、前記女性用衣料を着用した左右のバストの乳頭部よりも女性の体の前中央部寄りに位置する当該身頃体の下辺部から、前記乳頭部を通り略水平方向に人体の体側部へと延びた2本の分割線によって、前面側の身頃体と背面側の身頃体とからなる少なくとも2つの身頃体に分割するとともに、前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、前記前面側の身頃体の方が前記背面側の身頃体よりも長くなるように設定し、前記前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線によって分割された対向縁同士を接合することにより、前記左右のバストカップ部を女性の左右のバストに適合した三次元形状に形成したことを特徴とするバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項4】
前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、前記前面側の身頃体の方が前記背面側の身頃体よりも3%以上長くなるように設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項5】
前記3%以上長くなるように設定された分割線の領域を、左右のバストカップ部の乳頭部近傍に配分し、他の領域は前記左右のバストカップ部に位置する前面側の身頃体と背面側の身頃体の分割線の長さを、略等しく設定したことを特徴とする請求項4に記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項6】
前記前面側の身頃体及び背面側の身頃体は、女性の立位姿勢において、女性の前面側及び背面側を垂直に通る中心線によって、それぞれ左右の身頃体に分割されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項7】
前記背面側の身頃体の裏面には、左右のバストカップ部の体側部寄りに位置する領域に、左右のバストを女性の体の前中央部寄りに移動させる機能を果たす裏面構成部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項8】
前記背面側の身頃体の裏面には、左右のバストカップに対応した領域に、バスト形状を補正するパッドとしての機能を果たす裏面構成部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項9】
前記背面側の身頃体には、その裏面側に伸縮性を有する素材からなる裏当て部材が、前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域にわたって、少なくとも当該裏当て部材の外周が前記背面側の身頃体に縫着又は接着された状態で設けられ、前記裏当て部材は、その人体胸部の周方向に沿った長さが、前記背面側の身頃体よりも短く設定されているとともに、その人体胸部の周方向と直交する方向に沿った長さが、前記背面側の身頃体よりも長く設定されており、前記裏当て部材の人体胸部の周方向に沿った収縮力によって、前記背面側の身頃体の前記左右のバストカップ部及び当該左右のバストカップ部の体側部寄り位置する領域が、人体骨格に沿って湾曲するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項10】
前記背面側の身頃体の裏面側には、その左右のバストカップ部の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部とした裏当て部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項11】
前記前面側及び/又は背面側の身頃体は、少なくともその左右のバストカップ部を構成する部材が、表面層部と裏面層部とを中間中空層部を構成する連結糸で互いに接続した立体中空状の布地からなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項12】
前記立体中空状の布地からなる背面側の身頃体の表面側には、その左右のバストカップ部の体側部から女性の体の前中央部にかけて、順次低伸張部、中伸張部、高伸張部とした裏当て部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項13】
前記背面側の身頃体には、人体の中央部寄りの端縁から前記バスト基底輪郭線下辺部領域を略三日月状に切り抜き前記切り抜きによって上下に分離した上下の端縁の上端縁をバスト下部で長さの長い分を下部端縁にいせ込むように縫着することによって人体湾曲形状に適応する身頃体並びにバストカップ部を三次元化した上、前記背面側の一枚構成である身頃体体側部に自然な流れで一体化させることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項14】
前記背面側の身頃体には、前記バストカップ部の体側部寄りに位置する面に、乳頭部に近づく程伸縮性が高くなるように、伸縮性を複数段にわたって異ならせた補正部材を裏面側に設けたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。
【請求項15】
前記背面側の身頃体には、バスト基底輪郭部に沿って補正用のボーンを配設したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のバストカップ部を有する女性用衣料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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