説明

バスローブ

【課題】保護者と乳幼児が一緒に入浴等をした後、両者の体の冷えを防止しながら、容易に体を拭くことができるバスローブを提供すること。
【解決手段】前身頃が開閉可能とされることで保護者に着用され、吸水性を有するローブ本体と、このローブ本体に対して着脱可能に係止され、吸水性を有するシート体とを備え、前記ローブ本体に設けられたローブ側係止手段と、前記シート体に設けられたシート側係止手段とが、前身頃の略上下方向に沿って係止されて、前記ローブ本体と前記シート体とが着脱可能に係止されるようになっており、前記シート体は、前記ローブ側係止手段に係止された際に、乳幼児に被せる被覆領域と、乳幼児の体を拭くための拭取り領域とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴やシャワー後などの濡れた身体に着用するバスローブに関する。
【背景技術】
【0002】
育児中の母親等の保護者は、乳幼児と一緒に入浴をした後などに、乳幼児の体が冷えないように、乳幼児を速やかに拭くようにしている。
例えば、従来は、乳幼児用バスローブに頭部を拭くための布地を取り付け、そのバスローブを着させれば、乳幼児の頭髪の水分を吸収することができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
一方、入浴後は、保護者も裸の状態であるため、自らもタオル地等からなるバスローブを羽織るなどして、体の冷えを防止している。
【0003】
なお、上述した背景技術と直接は関係しないが、外出時等の防寒対策として、抱き上げた乳幼児を支持・保温等するための所謂おんぶ抱っこ用布地を、保護者が着る被服に着脱可能に取り付けて、乳幼児を抱っこしながらも、シルエットを美しく見せるようにした被服等がある(例えば、特許文献2及び3参照)
【0004】
【特許文献1】実公平07−2567号公報
【特許文献2】特開平10−130914号公報
【特許文献3】実開平4−81911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保護者および乳幼児の体を、双方、湯冷め等しないようにしながら、手際よく拭くことは大変であり、特に、歩行できるようになり、じっとしていられない乳幼児に対応しながら、これらの行為を行なうことは困難である。
本発明は上記課題を解消し、保護者と乳幼児が一緒に入浴等をした後、両者の体の冷えを防止しながら、容易に体を拭くことができるバスローブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の発明にあっては、前身頃が開閉可能とされることで保護者に着用され、吸水性を有するローブ本体と、このローブ本体に対して着脱可能に係止され、吸水性を有するシート体とを備え、前記ローブ本体に設けられたローブ側係止手段と、前記シート体に設けられたシート側係止手段とが、前身頃の略上下方向に沿って係止されて、前記ローブ本体と前記シート体とが着脱可能に係止されるようになっており、前記シート体は、前記ローブ側係止手段に係止された際に、乳幼児に被せる被覆領域と、乳幼児の体を拭くための拭取り領域とを有するバスローブにより達成される。
【0007】
請求項1の発明の構成によれば、吸水性を有するローブ本体及びシート体を備え、ローブ本体に設けられたローブ側係止手段と、シート体に設けられたシート側係止手段とが、前身頃の略上下方向に沿って係止されて、ローブ本体とシート体とが着脱可能に係止されるようになっており、シート体は、ローブ本体に係止された際に、乳幼児に被せる被覆領域を有する。したがって、保護者は、例えば、シート体が係止されたローブ本体を着ながら、シート体の被覆領域内に乳幼児を招き入れて、ローブ本体とシート体の双方で、保護者および乳幼児の身体を覆って、湯冷め等を防止することができる。
そして、シート体は、ローブ本体に係止された際、乳幼児に被せる被覆領域だけでなく、乳幼児の体を拭くための拭取り領域を有する。したがって、保護者は、上述のように、シート体の被覆領域内に乳幼児を招き入れて、例えば、一方の手で乳幼児を抱きながら、他方の手で拭取り領域を把持し、乳幼児の体を拭くことができる。
さらに、ローブ側係止手段とシート側係止手段とは、前身頃の略上下方向に沿って係止される。したがって、上述のように、一方の手で乳幼児を抱きながら、他方の手で乳幼児の体を拭く際、シート体は略上下方向のズレ落ちが防止されているので、その分、保護者はシート体を抑える必要がなくなり、両手を使って乳幼児を拭き易くなる。
しかも、ローブ本体とシート体とは着脱可能とされているため、例えば未だ立つことができない乳幼児の場合には、保護者がローブ本体を着用した状態で、ローブ本体から取り外されたシート体を使って乳幼児の拭き取りができるなど、乳幼児の発達段階に応じて使用することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、前記被覆領域は、少なくとも乳幼児の上半身に被せるようになっており、前記シート側係止手段は、乳幼児の頭部よりも下側に配置されていることを特徴とする。
請求項2の発明の構成によれば、被覆領域は、少なくとも乳幼児の上半身に被せるようになっており、シート側係止手段は、乳幼児の頭部よりも下側に配置されている。したがって、被覆領域の乳幼児の頭部に被せる部分は、シート側係止手段による制限を受けずに自由端部となるため、自由に動かして頭部周辺を拭くことができる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明の構成において、前記シート側係止手段は、前記シート体の左右の縁部に設けられて、前記ローブ本体の前身頃の左右両方に設けられた前記ローブ側係止手段と着脱可能になっていることを特徴とする。
請求項3の発明の構成によれば、シート側係止手段は、シート体の左右の縁部に設けられて、ローブ本体の前身頃の左右両方に設けられたローブ側係止手段と着脱可能になっているため、左右の各係止手段の内、一方を選択して係止し、他方側のシート体等によって拭き取ることができるので、利き手を問わずに、上述した第1または第2の発明における作用効果を発揮できる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3の発明のいずれかの構成において、前記ローブ本体は、前身頃の左右を幅方向の中央領域で開閉するために互いに分離される突合せ部を有し、前記突合せ部の分離される左右を互いに着脱可能に係止するための手段が前記ローブ側係止手段となっていることを特徴とする。
請求項4の発明の構成によれば、ローブ本体は、前身頃の左右を中央領域で開閉するために互いに分離できる突合せ部を有し、この突合せ部の左右を互いに着脱可能に係止するための手段がローブ側係止手段となっている。このため、ローブ側係止手段は、突合せ部の左右を係止する手段とシート体を係止する手段とを兼ねることができる。したがって、ローブ側係止手段とシート側係止手段とを係止せずにローブ本体を使用する場合には、保護者は、通常のバスローブ同様に違和感なくローブ本体を使用できる。また、突合せ部の左右を係止せずに開いた状態で、ローブ側係止手段とシート側係止手段とを係止して、シート体の被覆領域内に乳幼児を招き入れれば、乳幼児は保護者の肌に触れることになりスキンシップが図れる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明の構成において、前記ローブ側係止手段は、前記突合せ部の分離される左右それぞれの肌当接面となる内面側に配置されていることを特徴とする。
この点、通常の被服の場合、突合せ部を留めるための係止手段である、例えばスナップは、突合せ部の左右いずれか一方が外側に、他方が内側に設けられており、突合せ部を留めるためには、スナップの裏に指を添える必要があることから、一方のスナップ近傍の布地を折り畳むような動作をしなければならない。
ところが、請求項5の発明の構成によれば、ローブ側係止手段は、突合せ部の分離される左右それぞれの肌当接面側に配置されている。したがって、突合せ部を折り畳むような動作をしなくても、ローブ側係止手段の裏側に指を添えることができ、突合せ部を速やかに留めることができる。また、係止された左右の突合せ部を分離させる際にも、左側のローブ側係止手段と右側のローブ側係止手段とが対向する方向に力を加えて、容易に左右の突合せ部を分離させることができる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4または5の発明の構成において、前記シート側係止手段の数に比べて、前記ローブ側係止手段の数が多いことを特徴とする。
請求項6の発明の構成によれば、シート側係止手段の数に比べて、ローブ側係止手段の数が多いため、ローブ側係止手段とシート側係止手段とを係止させた場合、ローブ側係止手段が余る。したがって、シート側係止手段を係止させて使用する場合であっても、この余ったローブ側係止手段で突合せ部を留めて、乳幼児を拭いている最中にローブ本体がはだけないようにすることができる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1ないし3の発明の構成のいずれかにおいて、前記ローブ本体は前身頃がはだけないようになっており、前記シート体の前記シート側係止手段は、前記ローブ本体の前身頃の少なくとも一方の側縁近傍に沿って配置された前記ローブ側係止手段に、着脱可能に係止されるようになっていることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、ローブ本体は前身頃がはだけないようになっており、シート側係止手段は、ローブ本体の前身頃の少なくとも一方の側縁近傍に沿って、着脱可能に係止されるようになっている。このため、保護者がローブ本体を着用すると前身頃まで覆われた状態となり、シート体をローブ本体の前身頃の側縁近傍に係止して、シート体の内側に乳幼児を迎え入れた際、シート体と、ローブ本体のはだけていない前身頃との間に乳幼児を迎え入れることができる。したがって、保護者の身体を確実に覆った状態で使用できるだけでなく、乳幼児の前面と背面に付着した水分を、シート体とローブ本体の前身頃とで、同時に吸収することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、保護者と乳幼児が一緒に入浴等をした後、両者の体の冷えを防止しながら、容易に体を拭くことができるバスローブを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0016】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るバスローブ10を示しており、図1はバスローブ10のローブ本体20の概略正面図、図2はこのローブ本体20に取り付けられるシート体30の概略正面図である。
これらの図に示すように、バスローブ10は、前身頃が開閉可能とされることで保護者に着用されるローブ本体20と、このローブ本体20に対して着脱可能に取り付けられるシート体30とを備えている。このバスローブ10については、ローブ本体20、シート体30の順に説明してから、これらの着脱構造や使用方法などについて説明する。
【0017】
まず、ローブ本体20について、図1を参照しながら説明する。
ローブ本体20は、入浴後だけではなく、シャワーを浴びた後、或いは水泳の後などに用いることができ、吸水性を有する材料で形成され、例えば、吸水性や保温性のよい綿や綿と他の材料を混合した綿混材料などの素材が用いられたタオル地やガーゼ地、ワッフル地等となっている。これにより、ローブ本体20は、着用した保護者の体に付着した水分を素早く吸収しつつ、保護者の体が冷めるのを防ぐことができる。
【0018】
なお、ローブ本体20は、例えば保護者の膝上までを覆うような短いものでも勿論構わないが、好ましくは、保護者の手首から足首やふくらはぎまでを覆うようにして、広い面積の吸収ができつつ、体の冷えを有効に防止するとよい。本実施形態のローブ本体20は、さらに、頭部を覆うことができるフード21も設けることで、保護者の顔や手足を除くほとんど全身を覆い、効率的に水分を吸収できつつ、体の冷えをより有効に防止している。
【0019】
また、本実施形態のローブ本体20は、速やかに着用できるようになっている。
すなわち、ローブ本体20は、前身頃の左右を互いに分離して、脱ぎ着する際に開閉可能となっている突合せ部22を有し、この突合せ部22は、前身頃の幅方向の中央領域に配置され、分離した左右22a,22bの内面(肌当接面)を、略上下方向に沿って、互いに突き合わせるようになっている。これにより、突合せ部22を突合せて着用する際、左右の手を交差させずに、ローブ本体20を前身頃側で開閉することができる。
【0020】
具体的には、突合せ部22には、その左右22a,22bを互いに着脱可能に係止するためのローブ側係止手段24が設けられており、このローブ側係止手段24は、突合せ部22の左右22a,22bそれぞれの内面(肌当接面)に配置されている。
本実施形態の場合、ローブ側係止手段24は、凸状部を凹状部に嵌合させるプラスチック製のスナップ式のボタンからなっており、突合せ部22の左右いずれか一方22aの内面に雌型スナップ24aの凹状部が、他方22bの内面に雌型スナップ24aに嵌合させる雄型スナップ24bの凸状部がそれぞれ複数箇所設けられている。
【0021】
これにより、速やかにローブ本体22を着用することができる。すなわち、通常の被服のスナップの場合、突合せ部の左右いずれか一方が外側に、他方が内側に設けられており、突合せ部を留めるためには、スナップの裏に指を添える必要があることから、一方のスナップ近傍の生地を折り畳むような動作をしなければならない。ところが、ローブ側係止手段24は、突合せ部22の左右22a,22bそれぞれの内側に配置されているので、折り畳むような動作をしなくても、ローブ側係止手段24の裏に指を添えて、突合せ部22を速やかに留めることができる。
また、係止された左右の突合せ部22a,22bを分離させる際にも、雌型スナップ24aと雄型スナップ24bとが対向する方向に力を加えて、左右の突合せ部22a,22bを引っ張ることができるため、容易に雌型スナップ24aと雄型スナップ24bとを分離させることができる。
【0022】
なお、このローブ側係止手段24は、保護者の高さ方向(図1の上下方向)に沿って、突合せ部22の左右それぞれに複数設けられており、本実施形態の場合、5個ずつ均等な間隔で配置されている。なお、突合せ部22のスナップ24a,24bは、一方の内面と他方の外面にそれぞれ形成してもよい。
また、このローブ本体20は、前身頃の左右それぞれにポケット26を有しており、このポケット26は、保護者が腕を下に垂らした際、その手首付近に位置するように配置されている。
【0023】
次に、シート体30について、図2を中心に参照しながら説明する。
シート体30は、全体が略平面状に形成され、吸水性を有する材料をもって乳幼児の体を拭けるようになっている。なお、シート体30は吸水性を有すれば特定の材料に限定されるものではないが、本実施形態の場合、図1に示すローブ本体20と一体感を醸し出せるように、ローブ本体20と同様の材料で形成されている。
【0024】
このシート体30は、図2に示すように、平坦な場所で広げた場合、少なくとも水平方向(図2の左右方向であって乳幼児の幅方向)の最大幅W0の寸法が、乳幼児の幅W2に比べて大きく形成されている。本実施形態の場合、シート体30は、その最大幅W0が保護者の幅よりも大きく形成されている。
さらに、シート体30については、その上に自立歩行が困難な乳幼児Bを載置した場合、乳幼児Bと正対した投影領域の外形よりも大きな外形を有するようになっている。
【0025】
具体的には、シート体30は多角形、本実施形態の場合は略正方形からなっており、一つの角部34に乳幼児Bの頭部Hを置いた場合、この角部34に連接する二辺の縁部30a,30bが乳幼児Bから離れる方向に延びており、水平方向(図2の左右方向)について、乳幼児Bの胸部B1から足B2までの間で乳幼児Bから最も離れた部位(本実施形態の場合は角部35,36)を有するようになっている。
そして、シート体30は、自立歩行困難な乳幼児Bから最も離れた部位(本実施形態の場合は角部35,36)までの幅寸法W1が、乳幼児Bの幅寸法W2と同等か、或いはそれ以上大きく形成されている。
【0026】
この乳幼児Bから角部36までの領域E1や、乳幼児Bから角部35までの領域E3が、後述するように、シート体30をローブ本体20に取り付けた場合における、母親等の保護者が手を使って乳幼児を拭くための拭取り領域となる。また、乳幼児Bと正対した投影面積の領域E0や、後述する頭部に対応する乳幼児用フード38が、後述するように、シート体30をローブ本体20に取り付けた場合における乳幼児に被せる被覆領域となる。
【0027】
また、自立歩行が困難な乳幼児Bをシート体30の角部34に置いた場合、乳幼児Bの高さ方向(図2の上下方向)について、シート体30は、乳幼児Bの足B2より下側にも設けられている。この際、この下側の領域E2は、足B2を支点にして、乳幼児Bの高さ方向に折り返した場合、領域E2の乳幼児Bから最も離れた部位(本実施形態の場合は角部37)が乳幼児Bの頭部Hの下側近傍(即ち顔の下側)に当接できるような長さL1を有している。
【0028】
そして、本実施形態の場合、シート体30は、頭部Hに対応した角部34を袋状にして、乳幼児Bの頭部Hを収容できる乳幼児用フード38が設けられている。
具体的には、シート体30の角部34の上に、シート体30と同様の材料及び形状を有する別のシートを載置して、略90度である角に連接する二辺を縫合することで、平面視において三角形状のフード38が形成されている。
なお、この三角形状のフード38については、その中に乳幼児Bの頭部Hが入る深さL3を有すると共に、乳幼児Bの足B2を支点にして、足B2の下側の角部37を乳幼児Bの高さ方向(図2の上下方向)に折り返した場合、その角部37と三角形状のフード38の底辺との位置が略一致するような深さL3を有している。
なお、本実施の形態においては、乳幼児用フード38を形成するための別のシートは、乳幼児が載置される側の面に配置して縫合されているが、逆側の面に縫合して、使用時に反転させて使用することで乳幼児用フード38が立体的になるよう形成してもよい。
【0029】
次に、以上説明したローブ本体20とシート体30との着脱構造などについて、図1および図2を参照しながら説明する。
シート体30は、図1のローブ本体20の前身頃側の略上下方向(図1の上下方向、即ち保護者の高さ方向)に沿って、ローブ本体20と着脱可能に係止される複数のシート側係止手段32(図2参照)が設けられている。
【0030】
すなわち、図2に示すシート側係止手段32は、シート体30を図1に示すローブ本体20に取り付けるための手段であり、本実施形態の場合、図1に示す突合せ部22に設けられた留め具と同種で、対応して着脱可能な留め具が用いられている。
具体的には、図2に示されるように、シート体30の乳幼児用フード38に連接する左右二辺の縁部30a,30bの夫々に沿って、複数のシート側係止手段32が設けられており、図2の場合は、二辺の縁部30a,30bの夫々に3個のシート側係止手段32が設けられている。
そして、シート側係止手段32は、雄型スナップ32aと雌型スナップ32bとから構成されており、シート体30の左右いずれか一方の縁部30aには、図1に示す突合せ部22の左右いずれか一方22aの雌型スナップ24aと嵌合される雄型スナップ32aが設けられている。また、図2に示すシート体30の左右いずれか他方の縁部30bには、図1に示す突合せ部22の左右いずれか他方22bの雄型スナップ24bと嵌合される雌型スナップ32bが設けられている。
これにより、図1に示すように、保護者自身が着用するために突合せ部22を留めるローブ側係止手段24は、シート側係止手段32と着脱可能に係止されて、シート体30をローブ本体20に係止するための手段を兼ねることになる。
【0031】
また、シート側係止手段32は、図2に示すようにシート体30に乳幼児を載置した場合、或いは、図1の一点鎖線部分に示すようにシート体30をローブ本体20に係止させた場合において、シート体30の外面(乳幼児や保護者側と反対側の面)に配置されている。すなわち、本実施形態の場合、雄型スナップ32aの凸部や雌型スナップ32bの凹部はシート体30の外側に臨んで配置され、これにより、後述するように乳幼児を拭くときに、スナップの凹凸面が乳幼児に当たらないようにすることができる。
なお、図2では、シート体30の内面(乳幼児用フード38の袋状の開口部がある面)に、シート側係止手段32が配置されているように見える円が図示されているが、この円は雄型スナップ32aの凸部や雌型スナップ32bの凹部を容易に押すことができるように反対側に設けられた硬質性部材であり、この硬質性部材は少なくとも生地よりも硬質であるプラスチック等であって、略平滑に形成されている。
【0032】
なお、図1および図2に示されるように、保護者および乳幼児の高さ方向(図1および図2の上下方向)について、シート側係止手段32の数(3箇所)に比べて、ローブ側係止手段24の数(5箇所)が多く形成されている。
このため、例えば図1の一点鎖線部分に示すように、ローブ側係止手段24とシート側係止手段32とを係止させた場合、ローブ側係止手段24(図1の場合は下側2つのローブ側係止手段24)が余り、この余ったローブ側係止手段24で突合せ部32を留めて、乳幼児を拭いている間にローブ本体20がはだけないようにすることができる。
【0033】
本発明の実施形態に係るバスローブ10は以上のように構成されている。
次に、上述したバスローブ10の使用方法の一例を説明する。
図3はシート体30をローブ本体20に取り付けて使用する一例を示しており、既に立てるようになった乳幼児に使用する状況を示している。図3(a)は保護者に向かって右側半身を示し、図3(b)は保護者に向かって左側半身を示している。
この図に示されるように、例えば、保護者が乳幼児と入浴する場合、入浴前に、ローブ本体20の左右の突合せ部22の一方に設けられたローブ側係止手段24とシート体30の片側一方のシート側係止手段32とを係止させておく。保護者が右利きの場合は、図3に示すように、シート体30の雌型スナップ32b(図2参照)を、保護者に向かって右側となる他方の突合せ部22b側の雄型スナップ24bに、固定しておくことが好ましい。
【0034】
そして、お風呂から出た後に、保護者はローブ本体20を着ると共に、係止したシート体30の内側(保護者側)に乳幼児を招き入れる(即ち、シート体30を乳幼児に被せる)。この際、シート体30は、ローブ本体20の前身頃側の略上下方向(保護者および乳幼児の高さ方向)に沿って係止されているので、図1に示すように、係止された突合せ部22aを軸にしてシート体30を広げて、乳幼児を招き入れることができる。
【0035】
次いで、図3(a)に示すように、シート体30が係止された側の片手(利き手と逆側の手)で乳幼児の背中側に手を回して支えながら、その反対側の手(利き手側)で乳幼児用フード38を最も冷やしたくない頭部に被せる。この際、シート体30は、ローブ本体20の略上下方向に係止されているので、多少、乳幼児が動いても、シート体30の乳幼児に被せた領域(図3(a)の平行斜線で示す領域)がズレ落ちることはない。この乳幼児に被せた領域(図3(a)の平行斜線で示す領域)がシート体30の被覆領域E0であって、この被覆領域E0で乳幼児の湯冷め等を防止することができる。
【0036】
さらに、図2で示すように、シート体30は、少なくとも水平方向の最大幅W0の寸法が、乳幼児Bの幅W2に比べて大きく形成されているので、図3(b)に示すように、シート体30を乳幼児に被せた場合、被覆領域E0から突出した領域(図3(b)の平行斜線の領域)を有する。したがって、この被覆領域E0から突出した領域を、乳幼児を抱いた手と反対側の手(利き手側)で掴んで、乳幼児の脇腹、腹部、顔などの身体を拭くことができる。この被覆領域E0から突出した領域が乳幼児の体を拭くための拭取り領域E1となる。このとき、背中側や逆側の脇腹等は、被覆領域E0によって拭き取ることができる。
【0037】
なお、この拭取りの際、シート体30はローブ本体20に係止されているので、多少、乳幼児が動いても、被覆領域E0つまりシート体30がズレ落ちることはない。
また、図3(a)に示すように、シート側係止手段32は、乳幼児の頭部よりも下側(足側)に配置されているため、被覆領域E0のうち頭部に被せる乳幼児用フード38は、シート側係止手段32の係止による制限を受けずに自由端部となる。したがって、この乳幼児用フード38を自由に動かして頭部を拭くことができる。
また、シート側係止手段32は、図2に示すように、シート体30の左右の縁部30a,30bに設けられ、図1に示すローブ本体20の左右の突合せ部22a,22bと着脱可能であるため、利き手を問わず、乳幼児を抱いたり拭いたりできる。
【0038】
次いで、拭き終えた乳幼児に被服を着させるが、上述の乳幼児をシート体30の内側に迎え入れてから、乳幼児に服を着させるまでの間、保護者はローブ本体20を着用しているので、保護者自身の湯冷めも防止され、一定の拭き取りもできる。
その後、保護者自身も身体を拭いて着替える。
以上説明したようなバスローブ10の使用方法は、ある程度、乳幼児が自ら立つことができる場合に、特に有効な使用方法となり、このような場合には、図3に示す使用状態では、保護者は膝立ちした状態で使用することが好ましい。
そして、このように使用することで、保護者と乳幼児を覆って身体が冷めないようにしつつ、拭取り領域等によって身体の拭き取りができるだけでなく、保護者と乳幼児が直接肌を触れ合うことで、乳幼児に安心感を与えながら拭き取ることができる。
【0039】
なお、保護者は、自ら立つことができない乳幼児と入浴する場合、バスローブ10を次のように使用することもできる。
まず、保護者は、図2に示すように、入浴前にシート体30を広げておき、その後、乳幼児と一緒に入浴をする。そして、入浴後、保護者は、図2の点線部分で示すように乳幼児Bをシート体30に置く。すなわち、シート体30の角部34に乳幼児Bの頭部Hを配置し、乳幼児用フード38を頭部Hに被せる。次いで、保護者はローブ本体を着てから、シート体30の乳幼児Bと正対する投影領域から突出した領域、すなわち、領域E1,E2,E3を折り返すことで乳幼児Bの身体を覆って、乳幼児Bが湯冷めしない状態とする。そして、保護者がローブ本体20を羽織って、自らの湯冷めを防ぎつつ、乳幼児Bの身体を拭き取る。次いで、拭き終えた乳幼児Bに服などを着させた後、保護者自身も身体を拭いて着替える。
このように、シート体30は、ローブ本体20に対して着脱可能となっているため、ローブ本体20から取り外して平坦な場所に広げ、その上に濡れた乳幼児を置き、乳幼児を拭くこともできる等、乳幼児の発達段階に応じた使用方法を選択できる。
【0040】
図4および図5は、本発明の上述した実施形態の変形例に係るバスローブ12であり、図4はローブ本体20の概略正面図、図5はこのローブ本体20に取り付けられるシート体30の概略正面図である。
これらの図で図1ないし図3の実施形態で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
このバスローブ12が、図1ないし図3のバスローブ10と主に異なるのは、ローブ本体20の突合せ部やローブ側係止手段の構成、シート体30の形状についてである。
【0041】
すなわち、このバスローブ12のシート体30は、ローブ本体20の前身頃の側縁近傍に沿って、着脱可能に係止される。
具体的には、シート体30については、全体形状が乳幼児の頭部に対応した角部34を頂点とした5角形になっており、角部34を利用して形成された乳幼児用フード38に乳幼児Bの頭部を載置した際、水平方向(図5の左右方向であって乳幼児の幅方向)について、乳幼児Bから最も離れた位置に互いに平行な二辺が配置されている。そして、この二辺の縁部35a,35bのそれぞれに、ローブ本体20と着脱可能に係止するためのシート側係止手段32が設けられている。
このシート側係止手段32は、図1ないし図3と同様の構造を有しており、凸状部を有する雄型スナップ32aと凹状部を有する雌型スナップ32bとからなっており、本変形例の場合、一方の縁部35aに雄型スナップ32aが、他方の縁部35bに雌型スナップ32bが、それぞれ上下方向2箇所に設けられている。
【0042】
これに対して、ローブ本体20は、左右に分離された突合せ部22が、スナップではなく帯24,24で留められて、前身頃がはだけないようになっている。
そして、ローブ本体20は、前身頃の側縁近傍、すなわち前身頃の両脇腹側の略上下方向に沿って、シート側係止手段32と着脱可能に係止されるスナップ28を有している。本実施形態の場合、一方の脇腹側のスナップ28aは、シート側係止手段32の一方の縁部35aの雄型スナップ32aと係止されるように雌型スナップとなっている。また、他方の脇腹側のスナップ28bは、シート側係止手段32の他方の縁部35bの雌型スナップ32bと係止されるように雄型スナップとなっている。
【0043】
本発明の実施形態の変形例は以上のように構成されており、シート体30は、ローブ本体20の前身頃の側縁近傍に沿って、着脱可能に係止されている。このため、シート体30をローブ本体20に係止して、シート体30の内側(被覆領域E0内)に乳幼児を迎え入れた際、シート体30の被覆領域E0と、ローブ本体20の前身頃の中央部(突合せ部22及びその周辺)との間に乳幼児を迎え入れることができる。したがって、保護者の身体を覆った状態で、乳幼児の前面と背面に付着した水分を、ローブ本体20の前身頃中央部の外面側とシート体30の被覆領域E0とで、同時に吸収することができる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、各係止手段24,32はスナップだけでなく、ホックや面ファスナー、紐等の各種係止手段を採用できる。また、上記実施形態の各構成は、その一部を省略し、あるいは上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係るバスローブのローブ本体の概略正面図。
【図2】本発明の実施形態に係るバスローブのローブ本体に取り付けられるシート体の概略正面図。
【図3】シート体をローブ本体に取り付けて使用する一例を示しており、図3(a)は保護者に向かって右側半身、図3(b)は保護者に向かって左側半身を示した図。
【図4】本発明の実施形態の変形例に係るバスローブのローブ本体の概略正面図。
【図5】本発明の実施形態の変形例に係るバスローブのローブ本体に取り付けられるシート体の概略正面図。
【符号の説明】
【0046】
10,12・・・バスローブ、20・・・ローブ本体、22・・・突合せ部、24,24a,24b・・・ローブ側係止手段、30・・・シート体、32,32a,32b・・・シート側係止手段、E0・・・被覆領域、E1・・・拭取り領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃が開閉可能とされることで保護者に着用され、吸水性を有するローブ本体と、
このローブ本体に対して着脱可能に係止され、吸水性を有するシート体と
を備え、
前記ローブ本体に設けられたローブ側係止手段と、前記シート体に設けられたシート側係止手段とが、前身頃の略上下方向に沿って係止されて、前記ローブ本体と前記シート体とが着脱可能に係止されるようになっており、
前記シート体は、前記ローブ側係止手段に係止された際に、乳幼児に被せる被覆領域と、乳幼児の体を拭くための拭取り領域とを有する
ことを特徴とするバスローブ。
【請求項2】
前記被覆領域は、少なくとも乳幼児の上半身に被せるようになっており、
前記シート側係止手段は、乳幼児の頭部よりも下側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のバスローブ。
【請求項3】
前記シート側係止手段は、前記シート体の左右の縁部に設けられて、前記ローブ本体の前身頃の左右両方に設けられた前記ローブ側係止手段と着脱可能になっていることを特徴とする請求項1または2に記載のバスローブ。
【請求項4】
前記ローブ本体は、前身頃の左右を幅方向の中央領域で開閉するために互いに分離できる突合せ部を有し、
前記突合せ部の分離される左右を互いに着脱可能に係止するための手段が前記ローブ側係止手段となっている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバスローブ。
【請求項5】
前記ローブ側係止手段は、前記突合せ部の分離される左右それぞれの肌当接面となる内面側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のバスローブ。
【請求項6】
前記シート側係止手段の数に比べて、前記ローブ側係止手段の数が多いことを特徴とする請求項4または5に記載のバスローブ。
【請求項7】
前記ローブ本体は前身頃がはだけないようになっており、
前記シート体の前記シート側係止手段は、前記ローブ本体の前身頃の少なくとも一方の側縁近傍に沿って配置された前記ローブ側係止手段に、着脱可能に係止されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバスローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−50723(P2008−50723A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229170(P2006−229170)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000112288)ピジョン株式会社 (144)
【Fターム(参考)】