説明

バス位置表示方法、バス映像取得方法、交差点映像取得方法及び映像配信方法

【課題】広域無線通信機を使用することなく、より低コストでバスの現在位置を検出してバス停に表示する方法を提供する。
【解決手段】インターネット300を経由して、センタシステムとバス停システムを接続する。バス停200に含まれるバス停システムの路側無線部は周期的にバス停IDを含んだビーコンを路線バス100上の路線バスシステムに出力する。
路線バスシステムはバス停ID及びバスIDを含んだID通知信号をバス停システムに対して出力する。センタ400のセンタシステムはバス停ID及びバスIDを用いて位置情報を更新し、適切な対象にバス位置更新データを送信する。送信されたバス位置更新データを用いて、バス停システムはバス位置の表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定期運行路線を有する公共交通機関等の運行管理システム、特にバスロケーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バスの現在位置を検出してバス停に表示する方法は多数存在する。
【0003】
特開2006−277126号公報(特許文献1)では以下の技術を開示する。
【0004】
各路線バスでは、読み取り機が定期的に読み取り信号の電波を送信し、停留所に接近するとトランスポンダはトランスポンダ固有の識別符号を含んだ応答信号の電波を送信する。通信制御装置は、広域無線通信機を経由してトランスポンダ固有の識別符号をサーバに送信する。サーバでは、情報収集部が、路線バスから逐次到着するトランスポンダ固有の識別符号を元に、停留所管理ファイルを参照することで、該当する停留所すなわち路線バスが接近した停留所を特定し、利用配信部は、それら情報を端末に提供する。
【0005】
また、特開2005−84729号公報(特許文献2)では以下の技術を開示する。
【0006】
このバス運行状況通知システムは、各バスの各時刻における位置及び各バスの識別情報を基に各路線・各バス停毎のバス運行状況を算出するバス運行状況算出手段と、各バス停のバス停識別情報及び各バス停を通過する各路線の路線識別情報を表す読み取り可能な記録媒体(例としてはバーコード)と、この読み取り可能な記録媒体から読み取られたバス停識別情報及び路線識別情報を受信したならば、受信したバス停識別情報及び路線識別情報により表されるバス停及び路線に対応したバス運行状況をバス停識別情報及び路線識別情報の送信元に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−277126号公報
【特許文献2】特開2005−84729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1記載の技術では、広域無線通信機を使用するため、コストの上昇は避けられない。
【0009】
また、特許文献2記載の技術では、携帯電話機の表示部に運行状況の出力を想定しており、「バスの現在位置を検出してバス停に表示する方法」という点では相違する。
【0010】
本発明の目的は、広域無線通信機を使用することなく、通信可能範囲が半径数百メートル程度の狭域の通信方式により低コストでバスの現在位置を検出し、該バス停に表示する方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の別の目的は、上記の狭域の通信方式により低コストで、バス上で取得した映像を確実な方法でセンタに送信する方法を提供することにある。
【0012】
さらに本発明の別の目的は、上記の狭域の通信方式によりバス停もしくは交差点で取得した映像を、バスに送出する方法を提供することにある。
【0013】
さらに本発明の別の目的は、上記の狭域の通信方式によりセンタからの映像をバスに送出する方法を提供することにある。
【0014】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0016】
本発明の代表的な実施の形態に関わるバス位置表示方法は、路線バスに搭載された路線バスシステムと、表示部を有するバス停システムと、バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムに関するものであって、バス停システムがバス停ID通知信号を周期的に出力するバス停ID通知信号出力ステップと、バス停ID通知信号を路線バスシステムが受信し、路線バスシステムがバスID通知信号をバス停システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、バス停システムがバスID及びバス停IDを付加したバスシステム接続報知信号をセンタシステムに出力するバスシステム接続報知信号出力ステップと、バスID及びバス停IDを用いてバス位置更新用データを生成するバス位置更新ステップと、バスIDを用いてバス位置更新用データの送信先を決定する送信先決定ステップと、送信先決定ステップで決定した送信先に対してセンタシステムがバス位置更新用データを送信するバス位置更新データ送信ステップと、バス位置更新用データを用いてバス停システムが路線バスシステムを有する路線バスの位置情報を表示部に表示するバス位置表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の代表的な実施の形態に関わるバス位置表示方法は、路線バスに搭載された路線バスシステムと、表示部を有するバス停システムと、バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムに関するものであって、バス停システムがバス停ID通知信号を周期的に出力するバス停ID通知信号出力ステップと、バス停ID通知信号を路線バスシステムが受信し、路線バスシステムがバス停ID通知信号に付加されたバスID及びバス停システムに割り当てられたバス停IDを付加したバスID通知信号をバス停システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、バスID通知信号出力ステップで出力されたバスID通知信号を受信することでタイマを起動するタイマ起動ステップと、タイマのカウントが満了することでバス停システムがバスID及びバス停システムに割り当てられたバス停IDを付加したバスシステム接続解除報知信号を出力するバスシステム接続解除報知信号出力ステップと、バスシステム接続解除報知信号に付加されたバス停ID及びバスIDを用いてセンタシステムがバス位置更新用データを生成するバス位置更新ステップと、バスIDを用いてバス位置更新用データの送信先をセンタシステムが決定する送信先決定ステップと、送信先決定ステップで決定した送信先に対してセンタシステムがバス位置更新用データを送信するバス位置更新データ送信ステップと、バス位置更新用データを用いてバス停システムが路線バスシステムを有する路線バスの位置情報を表示部に表示するバス位置表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の代表的な実施の形態に関わるバス映像取得方法は、路線バスに搭載された路線バスシステムと、バス停システムと、表示部を有しバス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムに関するものであって、路線バスシステムは、映像を取得する映像装置を有し、バス停システムがバス停ID通知信号を周期的に出力するバス停ID通知信号出力ステップと、バス停ID通知信号を路線バスシステムが受信し、路線バスシステムがバスID通知信号をバス停システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、バス停システムがバスID通知信号をセンタシステムに転送するバスID通知信号転送ステップと、転送されたバスID通知信号を受けて映像情報を必要とするセンタシステムがバスID及びバス停IDを元に路線バスシステムへの路線バス映像送信要求信号をバス停システムに対して出力する路線バス映像送信要求信号出力ステップと、バス停システムがバスIDを持つバスシステムに対して路線バス映像送信要求信号を転送する路線バス映像送信要求信号転送ステップと、路線バス映像送信要求信号を受信した路線バスシステムが映像装置により取得した映像情報をバス停システムに対して出力する映像情報出力ステップと、映像情報を受信したバス停システムが映像情報をセンタシステムに転送する映像情報転送ステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の代表的な実施の形態に関わる交差点映像取得方法は、路線バスに搭載されかつ表示部を有する路線バスシステムと、映像を取得する映像装置を有する交差点システムと、を含んで構成される交通システムにおけるであって、交差点システムが交差点ID通知信号を周期的に出力する交差点ID通知信号出力ステップと、交差点ID通知信号を路線バスシステムが受信し、路線バスシステムがバスID通知信号を交差点システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、バスID通知信号を受信した交差点システムが路線バスシステムに対して映像信号の受信処理を開始させる映像配信信号を路線バスシステムに対して出力する映像配信信号出力ステップと、映像配信信号を受信した路線バスシステムが映像信号の受信処理を開始する映像情報受信処理開始ステップと、映像配信信号出力ステップ後、映像信号を路線バスシステムに送信する映像信号送信ステップと、映像信号を受信した路線バスシステムが映像信号を表示部に表示する映像信号表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の代表的な実施の形態に関わる交差点映像取得方法は、映像を取得する映像装置を有する交差点システムと、表示部を有しバス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムに関するものであって、交差点システムが交差点ID通知信号を出力する周期を設定する交差点ID通知送信間隔指定信号をセンタシステムが出力する交差点ID通知送信間隔指定信号出力ステップと、交差点ID通知送信間隔指定信号を受けた交差点システムがセンタシステムに映像の受領処理を開始させる交差点ID通知信号を出力する交差点ID通知信号出力ステップと、交差点ID通知信号出力ステップの後、交差点システムがセンタシステムに映像信号を出力する映像信号出力ステップと、センタシステムが受信した映像信号を表示部に出力する映像出力ステップと、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の代表的な実施の形態に関わる映像配信方法は路線バスに搭載された路線バスシステムと、バス停システムと、バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムに関するものであって、映像信号の中継処理を実行させるべくセンタシステムがバス停システムにバスIDが付加された映像配信信号を出力する映像配信信号送信ステップと、映像配信信号を受けてバス停システムが中継処理を開始し、映像信号の受領処理を開始させるべくバスIDを有する路線バスシステムに映像配信信号を転送する映像配信信号転送ステップと、映像配信信号の転送を受けて路線バスシステムが映像受領処理を開始する映像受領処理開始ステップと、映像配信信号送信ステップ後、映像信号を前記バス停システムに送信する映像信号送信ステップと、バス停システムが映像信号を路線バスシステムに転送する映像信号転送ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0023】
本発明の代表的な実施の形態に関わるバス位置表示方法を用いることで、狭域の通信方式を用いてバスロケーションシステムを構築することが可能となる。
【0024】
また、この構築したバスロケーションシステムを利用することで、バスで撮影した映像、バス停もしくは交差点で撮影した映像をセンタなどに配信することが可能になるほか、センタから広告用映像を路線バスに送出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に関わるバスロケーションシステムの運用形態を表す概念図である。
【図2】バス停システムの構成を表すブロック図である。
【図3】路線バスシステムの構成を表すブロック図である。
【図4】センタ側システムの構成を表すブロック図である。
【図5】路線バスシステムのバス停システムへの接続方法を表すフローチャートである。
【図6】ビーコン内に含まれるバス停ID通知信号のデータ構成の一例を表す図である。
【図7】バスID通知信号のデータ構成の一例を表す図である。
【図8】バスID通知信号受信時のバス停システムの路側I/O部における処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】バスシステム接続報知信号のデータ構成を表す図である。
【図10】バスシステム接続解除報知信号のデータ構成を表す図である。
【図11】各バス停システムの路側I/O部が利用可能なバスIDと路線IDの対応を表すテーブルである。
【図12】センタのバスシステム接続報知信号の受信時の処理に関するフローチャートである。
【図13】バス位置更新情報のデータ構成の一例を表す図である。
【図14】路側I/O部の表示画面の表示例である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に関わる路線バスシステムの構成を表すブロック図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に関わるセンタの映像取得処理についてのフローチャートである。
【図17】路線バス映像送信要求信号のデータ構成の一例を表す図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に関わるバス停システムの映像中継処理についてのフローチャートである。
【図19】本発明の第2の実施の形態に関わる路線バスシステムで動作する撮影処理についてのフローチャートである。
【図20】本発明の第3の実施の形態に関わるバス停システムのブロック図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に関わるバス停システムの映像送信処理のフローチャートである。
【図22】映像配信信号のデータ構成の一例を表す図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態に関わる路側無線部の映像受信処理のフローチャートである。
【図24】本発明の第4の実施の形態に関わる映像送信要求及び映像受信処理のフローチャートである。
【図25】本発明の第4の実施の形態に関わるバス停システムの映像送信処理に関するフローチャートである。
【図26】本発明の第5の実施の形態に関わるセンタによる映像送信処理を表すフローチャートである。
【図27】本発明の第5の実施の形態に関わるセンタが送信する映像配信信号のデータ構成の一例を表す図である。
【図28】本発明の第5の実施の形態に関わる路側I/O部の中継処理のフローチャートである。
【図29】本発明の第5の実施の形態に関わる路線バスシステムの映像信号受領処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に関わるバスロケーションシステムの運用形態を表す概念図である。
【0028】
路線バス100、120がバス停200、220、240の間を営業走行するバスの運行上、どのようにシステムが関係するかを表している。
【0029】
各バス停には、図2で表すバス停システム210が含まれている。図2はこのバス停システム210の構成を表すブロック図である。このバス停システム210は、路側無線部211、ゲートウェイ212、路側I/O部214、ローカルディスク215、通信路216を有して構成される。
【0030】
路側無線部211は、IEEE802.11p等の無線LANの通信仕様他に準じた無線通信用の送受信機である。無線LANではマスタ(アクセスポイント)・スレイブ(クライアント)が明確な規格であるが、路側無線部211はアクセスポイントに該当する。従って、路側無線部211はビーコンを出力する機能を有する。このビーコンには、バス停ID通知信号が含まれるが、このデータを生成する機能も有する。
【0031】
この路側無線部211の出力性能によって、路側無線部211と路線バスシステム110の通信が可能なアクセスポイントエリア201、221、241が決定される。
【0032】
ゲートウェイ212は、バス停システム210中のLANとインターネット300との通信機能を有する2ないしはそれ以上のポートを有し、グローバルIPアドレスで通信されるインターネット300上の通信と、プライベートIPアドレスでやり取りされる通信路216上の通信のIPルーティングを行う制御部である。
【0033】
この各バス停に含まれるバス停システム210はインターネット300などを介してセンタ400に接続されるが、この窓口となるのがゲートウェイ212である。
【0034】
路側I/O部214は、各路線バスの位置表示を行う表示部を含む電子デバイスである。現時点ではPCなどを用いることを想定しているが、組み込み用の環境(DSP等で動く、機能を限定したデバイス)なども射程に含まれる。
【0035】
ローカルディスク215は、路側I/O部214などで用いるプログラムや、システム情報などを格納するためのローカルディスクである。
【0036】
通信路216は、バス停システム210内の各モジュールを接続する通信路である。ここでは一般的な有線LANを想定しているが、特にこれには拘らない。
【0037】
次に、路線バス100等に含まれる、路線バスシステム110について説明する。図3は路線バスシステム110の構成を表すブロック図である。
【0038】
路線バスシステム110は、車載制御部111、車載無線部112、通信路115、物理信号線116を含んで構成される。
【0039】
車載制御部111は、路線バスシステム110全体を制御するための制御部である。主に車載機システム100外部の通信の処理(IEEE1609.3関連)を行うことを想定している。
【0040】
車載無線部112は、バス停システム210の路側無線部211とIEEE802.11qなどに基づく通信を行うための送受信機である。IEEE802.11qはマスタ・スレイブの関係を有するが車載無線部112はスレイブ(クライアント)に当たる。車載無線部112は、路側無線部211とのセッションが張られていない間、路側無線部211からのビーコンの強度を検出し、一定以上の信号強度があれば、その出力源たる路側無線部211と接続を図る機能を有する。
【0041】
車載制御部111と車載無線部112は後述する物理信号線116で接続されている。これにより通信路115の使用状況に関わらず、車載制御部111と車載無線部112間でデータのやり取り、受信データ、ビーコンの有無の通知などが可能になる。また、車載制御部111の指示に従い、車載無線部112は外部に信号を出す程度の処理も行える。すなわち、車載無線部112は組み込み用のCPUを使って処理を行うマイコンであり、かつ、以下の機能を有するものと捉えることができる。
【0042】
1)IEEE802.11のスレイブとしての無線通信機能
2)物理信号線116を介して車載制御部111と通信を行う機能
3)通信路115を介して車載制御部111などと通信を行う機能
以下、上記2)の機能を用いて、車載無線部112に対するアクションは車載制御部111に伝達されるものとして説明を行う。
【0043】
通信路115は路線バスシステム110の各モジュールを接続する通信路である。路線バスシステム110でも一般的な有線LANを想定しているが、特にこれには拘らない。なお、本実施の形態では、この通信路115を用いて処理が行われることは無い。従って、本実施例では通信路115に接続されるポートのIPアドレスは定義しない。
【0044】
物理信号線116は車載制御部111と車載無線部112との間を結ぶPCI等の通信用バスである。これにより、通信路115の利用状況に関わらず、車載制御部111と車載無線部112間の通信が可能となる。
【0045】
センタ側システム410は、センタ400とセンタ通信部401を含んで構成される。図4はセンタ側システム410の構成を表すブロック図である。
【0046】
センタ400は、各種のサービスを各バス停のバス停システム210に提供するサービス提供モジュールである。
【0047】
センタ通信部401は、バス停システム210の路側通信部213と通信するための送受信機である。通信部213とセンタ通信部401はインターネット300を介して接続されており、この両者の通信はネットワーク層間での通信といえる。
【0048】
路線バスシステム110内およびバス停システム210のIPアドレスの割り当てはそれぞれ独立したプライベートアドレスで行う。路線バスシステム110内では172.18.a.b(a及びbはデバイス毎に異なる)、バス停システム210内は172.16.c.d(c及びdはデバイス毎に異なる)とする。
【0049】
以下、本実施の形態でのIPアドレスの割り当ては以下のものを想定する。
【0050】
バス停システム210内
路側無線部211の有線区間のポート :172.16.10.1
ゲートウェイ212の有線区間のポート:172.16.110.1
路側I/O部214 :172.16.210.1
なお、上記は例示であり、ネットワークアドレスが共通でホストアドレスが異なることを意味する。以下のIPアドレスの割り当ても同様である。
【0051】
これらの路線バスシステム110の車載無線部112、バス停システム210の路側無線部211は無線LAN(例えばIEEE802.11P)で接続され、IPでルーティングが行われる。
【0052】
車載無線部112と路側無線部211の無線回線区間には、リンク直後に無線区間中に以下のIPアドレスが割り当てられる。
【0053】
車載無線部112の無線区間のポート :172.10.30.1
路側無線部211の無線区間のポート :172.10.10.1
なお、ここでは断定的に記載しているが、1のバス停システム210の路側無線部213の通信範囲内には複数の路線バス(及び路線バスシステム110)が含まれる可能性がある。その際には、路側無線部211に別のアドレス(172.10.11.1などのホストアドレスの異なるもの)が割り当てられる。
【0054】
このようにIPアドレスの割付を路線バス内の通信路115、車載無線部112と路側無線部211の間の無線区間、バス停システム210内の通信路216毎に行うことで、ルーティングのノード数及びネットワークの負荷の減少を図ることが可能となる。
【0055】
また、路線バスシステム110内、車載無線部112と路側無線部211の間の無線区間、バス停システム210内で統一し、車載無線部112を路線バスシステム110のゲートウェイに、路側無線部211をバス停システム210のゲートウェイとすることで、車載無線部の有線区間と無線区間のIPアドレスをくくりつけにでき、ルーティングが容易になる。
【0056】
ここでは車内LANを有線の場合で説明したが、通信路115を無線LANに置き換えてもよい。また、説明上IPアドレスをIPv4を想定しているが、IPv6で行ってもよい。
【0057】
図1の説明に戻る。
【0058】
路線バス100、120はその走行中、バス停システム210の路側無線部210からのビーコンの受信感度を検出し、各バス停の路側無線部211のカバーする無線エリアに属しているか否かを検出する。そして無線エリアに属している場合には、バス停システム210との間で通信を行い、バス停システムへ接続することで、バスの現在位置を検出する。
【0059】
図5は、路線バスシステム110のバス停システム210への接続方法を表すフローチャートである。
【0060】
車載無線部112は、路側無線部211から出力されるビーコン内に含まれるバス停ID通知信号の受信を開始する(ステップS1001)。
【0061】
図6はビーコン内に含まれるバス停ID通知信号のデータ構成の一例を表す図である。
【0062】
バス停ID通知信号は記述の通り、路側システム210の路側無線部211から車載無線部112に対して出力されるデータである。このバス停ID通知信号はメッセージ種別フィールドa1、バス停IDフィールドa2、路側無線部IPアドレスフィールドa3を含んで構成される。
【0063】
メッセージ種別データフィールドa1は、この信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。
【0064】
バス停IDフィールドa2は、送信元のバス停システム210のIDを記述するデータフィールドである。このバス停IDを見ることによって、車載制御部111はどのバス停と通信しているかを認識することが可能となる。
【0065】
路側無線部IPアドレスフィールドa3は各バス停システムの路側I/O部213のIPアドレスを格納するデータフィールドである。本実施の形態では、「172.16.210.1」が書き込まれる。
【0066】
なお、路側無線部211のIPアドレスは無線回線区間のリンクの過程で車載無線部112に把握される。
【0067】
このバス停ID通知信号を路線バスシステム110の車載無線部112が受信すると(ステップS1002:Yes)、車載無線部112は受信レベルの測定を開始するとともに路側無線部211とのリンクの確立を開始する(ステップS1003)。
【0068】
受信レベルが規定の値を維持できていない場合(ステップS1004:No)、すなわち、アクセスポイントエリア201、221、241から距離が離れ通信ができない状況になった時、あるいは、ノイズ等の増加によりリンクの確立が困難になった時にはバス停ID通知信号の受信(ステップS1001)まで処理を戻す。
【0069】
受信レベルが規定の値を維持し(ステップS1004:Yes)、一定の期間が経過した場合(ステップS1005:Yes)、すでに路側無線部211と車載無線部112との間でリンクが確立されている。また、本実施の形態では車載無線部112で起きたイベントは車載制御部111で把握されるので、車載制御部111は車載無線部112に対して、路側無線部211へバスID通知信号を送信するよう指示する(ステップS1006)。この際、路側無線部211からのバスID通知信号の送信はユニキャストによって行われる。
【0070】
なお、上記の「一定の期間」は無線区間で使用されるプロトコルによって長短がある。例えば自動車用のIEEE802.11p(DSRC)であれば短時間に設定することもできるし、その他のIEEE802.11であればリンクの確立も考慮に入れて若干長めに設定すべきである。この時間を如何様に設定するかは設計事項である。
【0071】
図7は、バスID通知信号のデータ構成の一例を表す図である。本図には(a)(b)二通りのバスID通知信号が存在するが第1の実施の形態では(a)を用いる。
【0072】
このバスID通知信号はメッセージ種別フィールドb1、バスIDフィールドb2、車載無線部IPアドレスフィールドb3を含んで構成される。
【0073】
上述の通り、このバスID通知信号はステップS1006でリンクの張られたバス停システム210の路側I/O部213に対して送出される信号である。
【0074】
メッセージ種別フィールドb1は、この信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。
【0075】
バスIDフィールドb2は、送信元の路線バスシステム110のIDを記述するデータフィールドである。バスIDは1つの路線バスシステム210に1つ割り当てられるIDである。これにより、バス停システム210は今どの路線バスと通信しているか把握することが可能となる。
【0076】
このバスIDフィールドb2があることにより、オーバリーチなどで隣接バス停にバスID通知信号が届いた際に、無効信号と判断でき無駄にセンタ400に中継することを防ぐことができる。
【0077】
車載無線部IPアドレスフィールドb3は、車載無線部112のIPアドレスを記述するデータフィールドである。本実施の形態では、このフィールドには「172.10.30.1」が書き込まれる。
【0078】
以上の処理を行うことで、路線バスシステム110がバス停システム210に接続する。接続後も、周期的(後述)に送信されるバス停ID通知信号を受信すべく、ステップS1001に処理が戻される。
【0079】
次に、ステップS1006で車載無線部211から送信されたバスID通知信号を受けてバス停システム210がどのような処理を行うかを説明する。
【0080】
図8は、バスID通知信号受信時のバス停システム210の路側I/O部214における処理の流れを表すフローチャートである。
【0081】
まず、バスID通知信号を受信した際には、過去に該バスID通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS1101)。この際、「過去」とは、現在運行中の路線バスの営業運転の開始以降を想定するが、これには拘らない。
【0082】
過去にバスID通知信号を受信していなかった場合には(ステップS1101:Yes)、センタ400にバスID通知信号を受信した旨をユニキャストで通知する(ステップS1102)。この際、バスシステム接続報知信号をセンタ400に通知することで行う。
【0083】
また、必要であれば、このステップS1102では車載無線部112の無線区間のポート番号(本実施の形態では「172.10.30.1」)とバスIDを対応付けて記録する。これにより、後述する第2の実施の形態のようなセンタ側からの通信の中継処理が可能となる。
【0084】
そして、センタ400側からこの信号に対するバス位置更新信号の応答を受信する(ステップS1103)。
【0085】
図9は、このバスシステム接続報知信号のデータ構成を表す図である。このバスシステム接続報知信号は、メッセージ種別フィールドc1、バスIDデータフィールドc2、バス停IDフィールドc3、路側I/O部のIPアドレス(バス停システムグローバルIPアドレス)c4を含む。
【0086】
メッセージ種別フィールドc1はこの信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。
【0087】
バスIDデータフィールドc2は、バスID通知信号のバスIDフィールドb2に基づくデータフィールドである。また、バス停IDフィールドc3は、送信元であるバス停システム210の識別子である。これらをセンタ400に送信することで、路線バスの位置情報の管理が可能となる。
【0088】
路側I/O部のIPアドレス(バス停システムグローバルIPアドレス)c4は、各バス停システム210に割り振られたグローバルIPアドレスを指すデータフィールドである。
【0089】
一方、過去にバスID通知信号を受信していた場合には(ステップS1101:No)、さらに二度目の受信かを確認する(ステップS1104)。二度目の受信であれば(ステップS1104:Yes)、タイマの設定を行い、路線バスが該バス停システム210の通信可能範囲から離脱したと見做しセンタ400に報告するまでの時間を設定する(ステップS1105)。
【0090】
一方、二度目の受信でなければ(ステップS1104:No)、該バス停システム上で該当する路線バスシステムに対してのタイマ動作が行われていると考えられる。従って、既に動いているタイマ動作の処理を継続する。
【0091】
タイマ時間が満了すると(ステップS1106:Yes)、バスシステム接続解除報知信号を再びセンタ400に対してユニキャストで送信する(ステップS1107)。そして、センタ側からこの信号へのバス位置更新信号の応答を待つ(ステップS1108)。
【0092】
この際、ステップS1102で行った、バスIDと車載無線部112の無線区間のポート番号の記録をクリアしてもよい。
【0093】
図10は、このバスシステム接続解除報知信号のデータ構成を表す図である。このバスシステム接続報知信号は、メッセージ種別フィールドd1、バスIDデータフィールドd2、バス停間IDデータフィールドd3、路側I/O部のIPアドレス(バス停システムグローバルIPアドレス)フィールドd4を含む。このうち、メッセージ種別フィールドd1、バスIDデータフィールドd2、バス停システムグローバルIPアドレスd4は図8と同じであるのでバス停間IDデータフィールドd3のみを説明する。
【0094】
バス停間IDデータフィールドd3は該バス停システム210を離脱したことを表すデータフィールドである。このデータフィールドに格納する値は、該路線バスの路線を表す図示しない路線ID及び該バスシステム接続解除報知信号の出力もとであるバス停システム210のバス停IDによって導出できる。
【0095】
図11は各バス停システム210の路側I/O部214が利用可能なバスIDと路線IDの対応を表すテーブルである。各バスシステム210は、営業前に掛かるテーブルをセンタ400から配信されている。このテーブルを参考にバス停間IDデータフィールドd3を定義することとなる。
【0096】
次に、センタ400側の挙動について説明する。
【0097】
センタ400の主な動作としては、1)各バス停システム210に対してビーコン(及びビーコンに含まれるバス停ID通知信号)の通知間隔の設定、2)各バス停システム210から送信されるバスシステム接続報知信号への対応、3)各バス停システム210から送信されるバスシステム接続解除報知信号への対応、4)図11に表すテーブルの各バス停システム210への配信、が挙げられる。このうち、4)は、一般的なネットワーク通信で行えばよいので説明は省略する。
【0098】
1)は図5のS1001−1002に関連する。すなわち、バス停システム210のアクセスポイントエリア201、221、241には、非同期に各路線バスが進入してくる。従って、一定の周期でバス停ID通知信号を通知しなければ、通知漏れが生じる。
【0099】
一方で、運行状況によっては、あまり頻繁にバス停ID通知信号を出力しても、意味の無い場合も考えられる。
【0100】
そこで、センタ400から各バス停システム210の路側I/O部214に対して、バス停ID通知信号の出力間隔を設定できるようになっている。この設定値をもとに、路側I/O部214は、バス停ID通知信号を送信するよう設定すればよい。
【0101】
ここでビーコン出力間隔Tの設定値は以下のようにする。
【0102】
T=To/v
To:ビーコン初期設定値
v :路線バスの平均車速
センタ400はバス停システム210の路側I/O部214に対して、この設定値を通知する。路側I/O部214はこの設定値を自身のバス停システム210内の路側無線部211に設定することで、ビーコン出力間隔の設定を完了する。
【0103】
なお、ビーコン出力間隔は上記に拘るものでなく、システムの運用状況に応じて適宜設定すべきである。例えば、渋滞等が発生する時間帯はより出力間隔を小さくするなどである。
【0104】
次に、2)及び3)について説明する。
【0105】
バスシステム接続報知信号は、ある路側無線部211から出力されるビーコンを受け取った後、車載無線部112が出力する最初のバスID通知信号を受け取ったことをトリガに出力される(図8ステップS1102)。このバスシステム接続報知信号は路側I/O部214より出力される。
【0106】
また、バスシステム接続解除報知信号は、あるバス停システムのアクセスポイントエリアに属して「一定の期間」が経過した後、該路線バスがアクセスポイントエリアから離れたものと擬制して路側I/O部が出力する信号である。
【0107】
センタ400では、これらの信号を受けると自身の有する路線バスの管理用データを更新し、送信元だけでなく、路線バスが通過するバス停(の全てもしくは一部)にバス位置更新情報を出力する。
【0108】
このバス位置更新情報の出力に際し、センタ400が何をするかについて図12を用いて説明する。図12はセンタ400のバスシステム接続報知信号の受信時の処理に関するフローチャートである。なお本図の説明における「バスシステム接続報知信号等」はバスシステム接続報知信号及びバスシステム接続解除報知信号の双方を意味する。
【0109】
センタ400のバスシステム接続報知信号の受信処理が起動すると、バスシステム接続報知信号及びバスシステム接続解除報知信号の受信を開始する(ステップS1201)。受信が無ければ、センタ400のバスシステム接続報知信号等の受信処理は、そのまま待機する(ステップS1202:No)。一方、バスシステム接続報知信号等の受信がなされれば(ステップS1202:Yes)、センタ400はバス位置更新信号を生成する(ステップS1203)。その後、センタ400は作成したバス位置更新信号をいずれのバス停に送信するかを決定する(ステップS1204)。そしてこの決定した送信先に対してセンタ400はバス位置更新信号を出力する(ステップS1205)。この際の出力先は、バスシステム接続報知信号のバスIDc2に対応する路線IDを図11のテーブルから導出して決定する。また、送信方法としては、ユニキャストで決定した送信先全てに送っても、マルチキャストで一括して送っても良い。
【0110】
路線IDに関連する全てのバス停システムに対して出力するか、それとも送信元のバス停の近隣のバス停にのみ出力するか(「近隣」の定義をどうするかも含む)、通過済みのバス停にも送信するか、は設計事項である。
【0111】
このバス位置更新信号について説明する。図13はこのバス位置更新情報のデータ構成の一例を表す図である。このバス位置更新情報はメッセージ種別フィールドe1、路線IDフィールドe2、バスIDフィールドe3、バス停IDフィールドe4、センタグローバルIPアドレスフィールドe5を含んで構成される。
【0112】
メッセージ種別フィールドe1はこの信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。なお、センタ400は、図8ステップS1102に対する応答と図8ステップS1107に対する応答でメッセージ種別フィールドe1の値を変えても良いし、同じであってもよい。
【0113】
路線IDフィールドe2は、図11のテーブルからセンタ400が導出した路線IDを記載するデータフィールドである。バス位置更新信号の生成後、このデータフィールドに記載された路線IDを用いてセンタ400は該バス位置更新信号の送信先をステップS1204で決定する。
【0114】
バスIDフィールドe3は、更新対象である路線バスシステム110のIDを記述するデータフィールドである。図9のバスIDフィールドc2及び図10のバスIDフィールドd2の値がそのまま用いられる。
【0115】
バス停IDフィールドe4は、バスシステム接続報知信号等の出力元のバス停システムのIDを示すデータフィールドである。バスシステム接続報知信号への相当に際しては図9のバス停IDフィールドc3が、バスシステム接続解除報知信号の応答に際しては図10のバス停間IDデータフィールドd3の値をそのまま用いることができる。
【0116】
センタグローバルIPアドレスはセンタ側のセンタ通信部401に割り当てられたグローバルIPアドレスを示すデータフィールドである。
【0117】
このバス位置更新信号をセンタは路線IDフィールドに関連する各バス停システムに対して出力する。送信元がこれを受けるのが、図8ステップS1103及びステップS1108である。
【0118】
このバス位置更新信号を受けて、必要があれば、送信元以外のバス停システム210の路側I/O部214は表示画面を更新する。
【0119】
図14はこの路側I/O部214の表示画面の表示例である。
【0120】
この表示例では「バス停2」が現在表示を行っている路側I/O部214の存在しているバス停システム210のあるバス停であり、「バス停1」が「バス停2」の直前のバス停である。
【0121】
ここでは路線に応じて2台の路線バスの運行状況が表示されている。このうち路線Aはバスシステム接続報知信号(ステップS1102)への応答であるバス位置更新情報を受けたときの表示であり、路線Bはバスシステム接続解除報知信号(ステップS1107)への応答であるバス位置更新情報を受けたときの表示である。
【0122】
このように、バス停システムのアクセスポイントエリアに入ったとき、及び、バス停システムのアクセスポイントエリアに入って一定の期間が経過したときに画面表示を切り替えることによって、簡単にバスロケーションシステムを構築することが可能となる。
【0123】
なお、バスシステム接続報知信号等の出力元であるバス停システム210の路側I/O部214はステップS1103及びステップS1108のバス位置更新情報の応答を受けた際であっても特に表示を切り替えなくても良い。バスシステム接続報知信号等を送信した時点で、内部処理で表示を切り替えることができるためである。
【0124】
以上のように構築されたバスロケーションシステムを用いることで、無線LANのような狭域の無線方式を用いて、GPSなどの位置検出手段を持たなくてもバス位置の表示を確実に行うことが可能となる。
【0125】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、車内映像をバス停システム経由でセンタに中継することを目的としたものである。
【0126】
本実施の形態のハードウェア構成と、第1の実施の形態のハードウェア構成の相違点は路線バスシステムにある。図15は本発明の第2の実施の形態に関わる路線バスシステム110−2の構成を表すブロック図である。
【0127】
この路線バスシステム110−2は、第1の実施の形態同様、車載制御部111、車載無線部112、通信路115、物理信号線116を含んで構成される。それ以外にも、車載I/O部114及び撮像装置117の存在が特徴である。以下、第1の実施の形態との差分を中心に説明する。
【0128】
車載I/O部114は、撮像装置117の映像のバス停システム210側への送出、バス停システム210側からの映像要求の処理などを行う電子デバイスである。現時点ではPCなどを用いることを想定しているが、組み込み用の環境(DSP等で動く、機能を限定したデバイス)なども射程に含まれる。
【0129】
車載I/O部114は通信路115を介して車載制御部111及び車載無線部112と接続される。このような構成にすることで、大容量の映像データを送信する際にでも車載制御部111への負荷を軽減することができる。また合わせて、必要があれば車載制御部111から通信路115を経由して車載I/O部114への設定を直接行えるという利点も担保できる。
【0130】
車載I/O部114には表示部を有していることを前提としている。しかし、本実施の形態ではこの表示部を用いる必要は無い。撮像装置117からの路線バス映像を送信時に出力するなどの用途は考えられる。なお、第3の実施の形態では、この表示部を積極的に用いることとなる。
【0131】
撮像装置117は、車載I/O部114からの求めに応じて動画の撮像が可能な電子デバイスである。撮像素子としてはCOMSやCCDといった固体撮像素子が用いられることを想定しているが、特にこれには拘らない。
【0132】
また、撮像装置117の撮像対象は路線バス車内や、車外のいずれであってもよい。撮像装置の設置方法によっては可動式にすることも可能であるが、設計事項であり本明細書では詳述しない。
【0133】
第1の実施の形態と異なり、この路線バスシステム110−2は通信路115を経由してLAN接続がなされている。この実施の形態では、通信路115に接続された各機器に対して、以下の様にIPアドレスが振られている。
【0134】
車載I/O部 :172.18.10.1
車載制御部 :172.18.130.1
車載無線部の通信路側のポート:172.18.30.1
次に、この路線バスシステム110−2を用いての車内映像の撮影処理について説明する。
【0135】
まず、路線バスシステム110−2の車載無線部112とバス停システム210の路側無線部211とのリンクを張ることとなる。この処理は第1の実施の形態に関わる図5と同様である。また、ステップS1006でバスID通知信号が送信される段階では、車載無線部112と路側無線部211との間ではプライベートアドレスが確立されているのも同様である。
【0136】
バス停システム210内
路側無線部211の有線区間のポート :172.16.10.1
ゲートウェイ212の有線区間のポート:172.16.110.1
路側I/O部214 :172.16.210.1
車載無線部112と路側無線部211との間
車載無線部112の無線区間のポート :172.10.30.1
路側無線部211の無線区間のポート :172.10.10.1
第1の実施の形態同様、ステップS1006でバスID通知信号が送信されると、バス停システム210の路側I/O部214はバスシステム接続報知信号をセンタ400に送信する。これ以降の処理が、第2の実施の形態特有の動作となる。
【0137】
この際、バスID通知信号は第1の実施の形態と異なり付加情報が追加されたものとなる。図7(b)はこの第2の実施の形態に用いる、バスID通知信号である。
【0138】
このバスID通知信号はメッセージ種別フィールドb1、バスIDフィールドb2、車載無線部IPアドレスフィールドb3のほか、センタグローバルIPアドレスb4及びバス停IDb5を含んで構成される。b1ないしb3は第1の実施の形態同様であるのでセンタグローバルIPアドレスb4及びバス停IDb5のみ説明する。
【0139】
センタグローバルIPアドレスb4は送信先であるセンタ400のセンタ通信部401に割り当てられた、グローバルIPアドレスを格納するデータフィールドである。
【0140】
バス停IDb5はバス停ID通知信号に含まれるバス停IDフィールドa2を引き写した通信先のバス停IDを格納するデータフィールドである。ここでは「172.16.210.1」が付加される。
【0141】
このデータフィールドの構成の差により映像の送信が可能な路線バスシステムであることが分かる。
【0142】
これを受けて、路線バスシステムは図7(b)のバスID通知信号をセンタ400に転送する(後述する図18ステップS2100)。これにより図16の映像取得処理がセンタ400上で起動される。
【0143】
図16は、本発明の第2の実施の形態に関わるセンタ400の映像取得処理についてのフローチャートである。これを元に、センタ400の動作を説明する。
【0144】
まず、センタ400は映像取得の要否を判定する(ステップS2202)。映像を必要としていない場合(ステップS2202:No)、本処理はそのまま終了する。
【0145】
映像を必要とする場合には(ステップS2202:Yes)、バスシステム接続報知信号に含まれる路側I/O部214に対して、路線バス映像送信要求信号を送信する(ステップS2203)。
【0146】
図17は路線バス映像送信要求信号のデータ構成の一例を表す図である。路線バス映像送信要求信号はメッセージ種別フィールドf1、バスIDデータフィールドf2、映像取得情報f3、路側I/O部のIPアドレスf4、センタグローバルIPアドレスf5を含んで構成される。
【0147】
メッセージ種別フィールドf1はこの信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。
【0148】
バスIDデータフィールドf2は映像の要求対象である路線バスシステム110−2に割り当てられたバスIDを格納するデータフィールドである。受信したバスID通知信号(図7(b))のバスIDデータフィールドの値が、そのまま入力されることとなる。
【0149】
映像取得情報f3は映像の撮影時間(送信時間)などを格納するデータフィールドである。
【0150】
路側I/O部のIPアドレスf4は、路側I/O部214のプライベートIPアドレスを格納するデータフィールドである。ここでは「172.16.210.1」が格納される。
【0151】
センタグローバルIPアドレスf5はセンタ側のセンタ通信部401に割り当てられたグローバルIPアドレスを示すデータフィールドである。
【0152】
この路線バス映像送信要求信号を送信元であるバス停システム210の路側I/O部214に送信する。なお、プライベートアドレスの振られた端末に対してのアクセス手段はIPマスカレードなどが存在するが、ここではその手段は問わない。
【0153】
路線バス映像送信要求信号を送出すると、センタ400は路線バスの映像信号を受信する(ステップS2204)。受信が行えるようであれば(ステップS2205:Yes)、センタ400は該路線バス映像を表示する(ステップS2206)。受信が行えない場合には(ステップS2205:No)、本処理を終了する。
【0154】
このようにセンタ400はバス停システム210の路側I/O部214と通信を行うことで、路線バスシステムの画像を取得できるのが本発明の特徴である。
【0155】
次に、バス停システム210の動作について説明する。図18は、本発明の第2の実施の形態に関わるバス停システム210の映像中継処理についてのフローチャートである。
【0156】
図7(b)のバスID通知信号の受信をトリガとして、路側I/O部214は映像中継処理を開始する。
【0157】
まず受信したバスID通知信号をセンタ400に転送する(ステップS2100)。これによりセンタ側の映像取得処理(図16)の開始トリガとなる。
【0158】
センタ400で、路線バスシステム110側の映像が必要であるのであれば、図16ステップS2203で路線バス映像送信要求信号がセンタ400から送信されてくる。最初に路側I/O部214は路線バス映像送信要求信号の受信処理を行う(ステップS2101)。この路線バス映像送信要求信号が受信できなければ(ステップS2102:No)、タイムアウト処理を行い(ステップS2103)、所定の時間経過した際には映像中継処理を終了する。
【0159】
路側I/O部214が路線バス映像送信要求信号を受信できれば(ステップS2102:Yes)、受信した路線バス映像送信要求信号からバスIDf2を抽出し、転送先の路線バスシステムを特定する(ステップS2104)。この際、図8のステップS1102で作成するバスIDと車載無線部112の無線区間のポートのアドレスの対応表などを用いれば、処理ステップの短縮が図れるが、これに拘るものではない。
【0160】
転送先の路線バスシステムが導出できれば、その車載無線部112に対して送信された路線バス映像送信要求信号を転送する(ステップS2105)。
【0161】
転送後は、路線バスシステム110−2側からの路線バス映像信号の受信処理を実施する(ステップS2106)。路線バス映像信号の受信ができれば(ステップS2107:Yes)、その受け取った路線バス映像信号を、センタ400に対して転送する(ステップS2108)。この送信したデータは、図16ステップS2204でセンタ400に受信される。
【0162】
路側I/O部214が路線バス映像信号を受信できないようであれば(ステップS2109)、所定の時間経過した際には映像中継処理を終了する。
【0163】
最後に、路線バスシステム110−2側の動作について図19を用いて説明する。図19は本発明の第2の実施の形態に関わる路線バスシステム110−2で動作する撮影処理についてのフローチャートである。
【0164】
バス停システム210のアクセスポイントエリアに属した際に、路線バスシステム110−2の車載無線部112より出力されるバスID通知信号の送信(図5ステップS1006)などを起動トリガとして路線バスシステム110−2側の撮影処理は開始される。
【0165】
最初に路線バスシステム110−2の車載無線部112は路線バス映像送信要求信号の受信処理を行う(ステップS2001)。この路線バス映像送信要求信号はバス停システム210から図18S2105で転送されるものである。この路線バス映像送信要求信号が受信できなければ(ステップS2002:No)、タイムアウト処理を行い(ステップS2003)、所定の時間経過した際には撮影処理を終了する。
【0166】
車載無線部112が路線バス映像送信要求信号を受信できれば(ステップS2002:Yes)、通信路115を経由して、路線バス映像送信要求信号を車載I/O部114に送信する。車載I/O部114は映像取得情報f3から撮影時間を取得する。この取得した撮影時間を、車載I/O部114が管理する撮影時間管理用タイマに設定する(ステップS2004)。撮影時間管理用タイマの設定が終われば、車載I/O部114はタイマを起動する(ステップS2005)。
【0167】
車載I/O部114はタイマの起動が終了した後に、撮像装置117を用いて路線バス映像の撮影を開始する。この撮影した路線バス映像は通信路115を経由して車載無線部112に送信され、そこから路線バスシステム110−2が属するバス停システム210の路側I/O部214に送信される(ステップS2006)。この路線バス映像は図18のステップS2106で受信される。
【0168】
車載I/O部114は、ステップS2005で起動させた撮影時間管理用タイマを監視し、タイマ時間が満了したら(ステップS2007:Yes)、その時点で撮影処理を中止する。また、路線バスシステム110−2が移動などによって、通信の相手であるバス停システム210のアクセスポイントエリアから離脱した場合も(ステップS2008:Yes)、撮影処理を中止する。
【0169】
このようにすることで路線バスシステム110−2は、中継先であるバス停システム210に対して路線バス映像を出力することが可能となる。
【0170】
以上のようにシステムを構成することで、求めに応じて、無線LANのような狭域の無線方式を用いても路線バスで撮影された映像情報をセンタ400に出力することが可能となる。これによりセンタ400にいる管理者が該当路線の増便等の判断を容易にすることが可能となる。
【0171】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0172】
第2の実施の形態では、路線バス内で撮影された画像をセンタ400に送信することを目的とした。これに対し、本実施の形態では、バス停システム210−3またはバス停システムに準じる交差点システムからの画像をセンタ400あるいは路線バスシステム110−3に送信することを目的としている。
【0173】
本実施の形態に関わる路線バスシステム110−3は第2の実施の形態と異なり撮像装置117を必要としない。すなわち第1の実施の形態同様の構成となる。ただし、車載I/O部114は表示部を有することが必須となる。これ以外にはハードウェアについて差異はない。
【0174】
次にバス停システム210−3について説明する。図20は、本発明の第3の実施の形態に関わるバス停システム210−3のブロック図である。
【0175】
第1の実施の形態のバス停システム210同様に路側無線部211、ゲートウェイ212、路側I/O部214、ローカルディスク215、通信路216を有して構成される。これ以外に、撮像装置217を含む点がバス停システム210−3の特徴である。
【0176】
撮像装置217は路側I/O部214からの求めに応じて動画の撮像が可能な電子デバイスである。撮像装置117同様、CMOS等の固体撮像素子の使用を想定するが、これには拘らない。
【0177】
なお、本実施の形態の交差点システムはこのバス停システム210−3の路側I/O部214から表示部などのユーザIF関連の装備を削ったものである。また、交差点は三方向あるいは四方向以上から車の進入があるため、それに応じて撮像装置117の数、及び送信する画像のデータ量が増える蛍光にある。しかし、通信上での実質的な取り扱いはバス停システム210−3同様の取り扱いとなる。
【0178】
なお、表示対象の相違はあるものの、バス停システム、交差点システムのいずれであっても処理に差異はないので以下では、バス停システム210−3に沿って説明する。
【0179】
なお、IPアドレスは第2の実施の形態と同様のものが割り当てられているものとする。
【0180】
次に、本実施の形態の処理手順について説明する。
【0181】
まず、路線バスシステム110−3の車載無線部112とバス停システム210−3の路側無線部211とのリンクを張ることとなる。この処理は第1の実施の形態に関わる図5と同様である。また、ステップS1006でバスID通知信号が送信される段階では、車載無線部112と路側無線部211との間ではプライベートアドレスが確立されているのも同様である。
【0182】
次にバス停システム210−3の映像送信処理について説明する。図21は本発明の第3の実施の形態に関わるバス停システム210−3の映像送信処理のフローチャートである。
【0183】
本実施の形態のバス停システム210−3による映像送信処理は、図5ステップS1006で出力されたバスID通知信号(図7(b))をバス停システム210−3の路側I/O部214が受信するところから開始される。
【0184】
バスID通知信号をバス停システム210−3の路側I/O部214が受信すると、バス停システム210−3の路側I/O部214は、路線バスシステム110の車載無線部112に対して、映像配信信号を送信する(ステップS3101)。
【0185】
図22はこの映像配信信号のデータ構成の一例を表す図である。この映像配信信号はメッセージ種別フィールドg1、バスIDデータフィールドg2、映像収録場所g3、映像収録時刻g4、路側I/O部のIPアドレスg5、車載無線部IPアドレスg6を含んで構成される。
【0186】
メッセージ種別フィールドg1はこの信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。
【0187】
バスIDデータフィールドg2は映像の要求対象である路線バスシステム110−3に割り当てられたバスIDを格納するデータフィールドである。送信される映像情報は大きいため、車載無線部112で本当に受信するか否かを判断する際に用いることができるが、実際の用途は設計事項である。
【0188】
映像収録場所g3は、映像の収録場所などを格納するデータフィールドである。通信的には図5S1006時点でリンクの確立及びプライベートアドレスの割り当てがなされているが、この時点ではバス停IDと撮影場所との対応情報の送付の保証はない。従って、映像の収録場所(バス停システム210の名称など)を送付することで、路線バスシステム110−3の処理負荷を軽減しながらバス位置を伝えることが可能となる。
【0189】
映像収録時刻g4は、映像の撮影時刻を表すデータフィールドである。
【0190】
路側I/O部のIPアドレスg5は路側I/O部214のプライベートIPアドレスを格納するデータフィールドである。ここでは「172.16.210.1」が格納される。
【0191】
車載無線部IPアドレスg6は送信先である車載無線部112のプライベートIPアドレスが格納されている。ここでは、「172.10.30.1」が格納される。
【0192】
この映像配信信号を送付することで、路線バスシステム110に映像の受信処理の起動トリガを与えることとなる。
【0193】
映像配信信号の送付後、所定の時間の経過もしくは応答信号の受信により、路側I/O部214は撮像装置117によって得た映像信号を送信する(ステップS3102)。この映像情報の配信終了のタイミングは色々考えられる。例えば所定の時間の経過時点で映像の送信を停止する、などである。本図では、路線バスシステム110−3の無線通信部112からの応答が無くなった時に終了するように記載している(ステップS3103:No)。応答がある間は(ステップS3103:Yes)、映像の送信を続けることとなる。
【0194】
図23は、本発明の第3の実施の形態に関わる路側無線部211の映像受信処理のフローチャートである。路線バスシステム110−3の映像受信処理のフローチャートである。
【0195】
この映像受信処理は、図21ステップS3101で路側無線部211から送信される映像送信信号の受信及び該映像送信信号が自身に対するものであるかをバスIDデータフィールドg2で確認すると開始される。
【0196】
受信処理が開始されると、車載無線部112及び通信路115を経由して送られる映像送信信号の受信(ステップS3001)及び表示部による映像の表示(ステップS3002)を車載I/O部114が実行する。
【0197】
継続的に、映像送信信号が車載無線部112経由で送られてくる間は、車載I/O部114はこの映像情報の表示を行う(ステップS3003:Yes)。一方、継続的な映像情報の受信が行えないようであれば、表示を終了する。
【0198】
以上により、バス停システム210−3及び交差点システムの映像を見ることで、渋滞の確認等を事前に行うことが可能となる。
【0199】
なお、交差点システムとの通信に際しては、送信される画像が複数含まれることも考えられる。この画像の切替機構を車載I/O部114に付加することで、安全性をより高めることが可能となる。
【0200】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0201】
第3の実施の形態では、バス停システム210−3又は交差点システムの画像を路線バスシステム110−3に出力することを目的とした。これに対し、本実施の形態では、センタ400からの要求に対し、バス停システム又は交差点システムが映像信号をセンタ400に対して送出することを目的とする。なお、映像の送信を行うことから、バス停システム又は交差点システムの構成は第3の実施の形態の物を用いる。
【0202】
第3の実施の形態では、処理全体の開始をバス停システム210−3などが行っていた。これに対し、本実施の形態ではセンタ400が処理全体のトリガとなっている点が特徴である。
【0203】
図24は本発明の第4の実施の形態に関わる映像送信要求及び映像受信処理のフローチャートである。
【0204】
センタ400でバス停システム等の画像が必要になった際には、映像送信要求及び映像受信処理を起動し、交差点ID通知送信間隔指定信号をバス停システム等に出力する(ステップS4201)。この交差点ID通知送信間隔指定信号の送信は第1の実施の形態のセンタ400動作である、1)各バス停システムに対してビーコンの通知間隔の設定、に当たるものである。信号名称的には交差点システムのみに適用される感じはするが、バス停システムにも適用可能である点留意されたい。
【0205】
第1の実施の形態では、ビーコン設定の可否についての応答は期待していなかった。これに対し、本実施の形態では、センタ400はバス停システム等からの応答(交差点ID通知送信間隔応答信号)を期待する(ステップS4202)。この応答には交差点IDが含まれており、これによって、映像の受信処理の開始とするためである。
【0206】
その後、映像信号の受信(ステップS4203)と表示(ステップS4204)を行う。「映像」とは動画で表現されるコンテンツであるため、映像が不要になる(ステップS4205:No)まで、この映像の受信及び表示を繰り返す(ステップS4205:Yes)。
【0207】
一方、映像が不要になれば(ステップS4205:No)、送信停止指示をバス停システムに出力し(ステップS4206)、処理を終了する。
【0208】
図25はセンタ400と対になる、本発明の第4の実施の形態に関わるバス停システムの映像送信処理に関するフローチャートである。
【0209】
既述の通り、本実施の形態では、交差点ID通知送信間隔指定信号がセンタ400からバス停システム210の路側I/O部214に出力される。この際、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの付け替えなどの必要がある。しかし、本実施の形態では通信が確率できれば良く設計事項であるため、ここでは詳述はしない。
【0210】
路側I/O部214はこの交差点ID通知送信間隔指定信号を受信し、路側無線部211のビーコン出力タイミングの変更を行う(ステップS4101)。
【0211】
ビーコンの出力タイミングの設定変更後、該バス停システム等の路側無線部211はセンタ400に対して交差点ID通知送信間隔指定信号の応答(交差点ID通知送信間隔応答信号)を出力する(ステップS4102)。
【0212】
この送信後、センタ400は映像信号の受信処理(図24ステップS4203)を行うため、路側I/O部214は映像信号の送信を行う(ステップS4103)。この際、路側I/O部214は映像装置217を用いて映像データの取得を行う。
【0213】
図24ステップS4206の送信停止指示が送られて来ると(ステップS4104)、映像送信の必要性無しとして(ステップS4105:No)、映像送信信号の処理を終了する。一方、図24ステップS4206の送信停止指示が送られてこなければ、映像の送信を継続的に実行する(ステップS4105:Yes)。
【0214】
以上のように、センタ400に対して、バス停システム等からの映像の配信が行える。
【0215】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0216】
本実施の形態では、センタ400から宣伝広告用の映像データを営業走行中の路線バスシステム110に送信することを想定する。
【0217】
本実施の形態でも、第2の実施の形態同様、図5ステップS1006のバスID通知信号の送信を起因とするバスシステム接続報知信号をセンタ400が受信するところから始まる(図12S1201)。
【0218】
図26は、本発明の第5の実施の形態に関わるセンタ400による映像送信処理を表すフローチャートである。この処理は図18ステップS2100で転送された図7(b)で表すバスID通知信号をセンタ400が受信するところから開始される。
【0219】
映像送信不要の場合(ステップS5202:No)、そこで処理は終了する。
【0220】
映像送信の必要がある場合(ステップS5202:Yes)、映像配信信号をバス停システムの路側I/O部214に対して送信する(ステップS5203)。この信号を受信することで路側I/O部214の中継処理が開始される。この際、映像配信信号は図27のようなデータ構成を取る。
【0221】
図27は、本発明の第5の実施の形態に関わるセンタ400が送信する映像配信信号のデータ構成の一例を表す図である。この映像配信信号はメッセージ種別フィールドh1、バスIDデータフィールドh2、映像収録場所h3、映像収録時刻h4、センタグローバルIPアドレスh5、路側I/O部のIPアドレスh6を含んで構成される。
【0222】
メッセージ種別フィールドh1はこの信号が何を意味するかを表すデータフィールドである。
【0223】
バスIDデータフィールドh2は映像の送信対象である路線バスシステム110−5に割り当てられたバスIDを格納するデータフィールドである。受信したバスID通知信号(図7(b))のバスIDデータフィールドb2の値が、そのまま入力されることとなる。
【0224】
映像収録場所h3は、映像の収録場所などを格納するデータフィールドである。
【0225】
映像収録時刻h4は、映像の撮影時刻を表すデータフィールドである。
【0226】
センタグローバルIPアドレスh5は、センタ側のセンタ通信部401に割り当てられたグローバルIPアドレスを示すデータフィールドである。図12S1201のタイミングで中継するバス停システムは把握している。このため、このバス停システムの路側I/O部のIPアドレスをこのデータフィールドには入力する。
【0227】
路側I/O部のIPアドレスh6は、送信先である路側I/O部214のプライベートIPアドレスを格納するデータフィールドである。ここでは「172.16.210.1」が格納される。
【0228】
上述の通り、路側I/O部214で中継処理が開始されるため、センタ400は映像信号の送信を開始する(ステップS5204)。送信すべき映像信号が存在し続ける場合(ステップS5205:Yes)、このステップS5204の送信処理を継続する。
【0229】
送信すべき映像信号がなくなれば(ステップS5205:No)、送信停止指示信号を出力し(ステップS5206)、処理を終了する。
【0230】
図28は、ステップS5203でセンタ400から送信された映像配信信号を受けて動作する本発明の第5の実施の形態に関わる路側I/O部214の中継処理のフローチャートである。これを用いて路側I/O部214の処理を説明する。
【0231】
まず、送信された映像配信信号のバスIDデータフィールドh2を見て、送信すべき路線バスシステムを特定する。特定後、その路線バスがまだ該バス停システムの路側無線部211のアクセスポイントエリア内に存在するのであれば、映像配信信号を該路線バスシステムの車載無線部112に送信する(ステップS5101)。
【0232】
映像配信信号をエラー無く送信できれば、図26ステップS5204でセンタ400から送信される映像信号を受信する(ステップS5102)。この受信した映像情報をステップS5101で映像配信信号を送信した路線バスシステムの車載無線部112に出力する(ステップS5103)。
【0233】
このステップS5102及びステップS5103の受信転送処理を映像情報が送信されている間続ける。また、図26ステップS5206の明示の送信停止指示がある限り、あるいは転送先の路線バスシステムとのリンクが切断された場合まで、継続する。
【0234】
図26ステップS5206の明示の送信停止指示を受けた場合(ステップS5104)等で映像情報の転送が不要・不能になれば(ステップS5105:No)、路線バスに送信停止指示を出し(ステップS5106)、中継処理を終了する。
【0235】
最後に、路線バスシステム上での映像信号受領処理について説明する。図29は本発明の第5の実施の形態に関わる映像信号受領処理に関するフローチャートである。
【0236】
この映像信号受領処理は図28のステップS5101で車載無線部112に映像配信信号が送信されることを起動トリガとする。
【0237】
映像信号受領処理の起動後図28ステップS5103で路線バスの車載無線部112に出力された映像信号を受領する(ステップS5001)。受領した映像信号は通信路115を経由して、車載I/O部114に送信される。車載I/O部114は自身の有するハードディスク等に映像信号を蓄積する(ステップS5002)。
【0238】
映像信号の受信中、図28ステップS5106で出力される送信停止指示が受信された場合(ステップS5003)あるいはバス停システムとのリンクが切断された場合には(ステップS5004:No)、この映像信号受領処理を中止する。
【0239】
映像信号が送信されている間は(ステップS5004:Yes)、ステップS5001及びステップS5002の受信・蓄積を継続する。
【0240】
なお、蓄積される映像情報は複数の映像情報が含まれるものも存在する。このうちいずれをどのタイミング(例えば映像情報の受領直後、無線通信部112のバス停間の通信が切れている区間など)で車載I/O部114の表示部で表示するかは設計事項である。また、表示する際に、映像の加工(広告テロップの挿入)などの機能を有しても良い。
【0241】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0242】
上記では、路線バスの運行に合わせた交通管理システムに本発明を適用した実施の形態を説明した。しかし、これだけには限られず、鉄道(含む地下鉄)や路面電車と言った専用軌道を有する交通システム、所定の経路の運用のみを想定して運行される営業用貨物車両による配送システム、などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0243】
110、110−2…路線バスシステム、
111…車載制御部、112…車載無線部、114…車載I/O部、
115…通信路、116…物理信号線、117…撮像装置、
200、220、240…バス停、
210、210−3…バス停システム、211…路側無線部、
212…ゲートウェイ、214…路側I/O部、215…ローカルディスク、
216…通信路、217…撮像装置、
201、221、241…アクセスポイントエリア、
300…インターネット、400…センタ、401…センタ通信部、
410…センタ側システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路線バスに搭載された路線バスシステムと、表示部を有するバス停システムと、前記バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムにおけるバス位置表示方法であって、
前記バス停システムがバス停ID通知信号を周期的に出力するバス停ID通知信号出力ステップと、
前記バス停ID通知信号を前記路線バスシステムが受信し、前記路線バスシステムが前記バス停ID通知信号に付加されたバスID及び前記バス停に割り当てられたバス停IDを付加したバスID通知信号を前記バス停システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、
前記バス停システムが前記バスID及び前記バス停IDを付加したバスシステム接続報知信号を前記センタシステムに出力するバスシステム接続報知信号出力ステップと、
前記バスID及び前記バス停IDを用いてバス位置更新用データを生成するバス位置更新ステップと、
前記バスIDを用いて、前記バス位置更新用データの送信先を前記センタシステムが決定する送信先決定ステップと、
前記送信先決定ステップで決定した送信先に対して前記センタシステムが前記バス位置更新用データを送信するバス位置更新用データ送信ステップと、
前記バス位置更新用データを用いて、前記バス停システムが前記路線バスシステムを有する前記路線バスの位置情報を前記表示部に表示するバス位置表示ステップと、を含むことを特徴とするバス位置表示方法。
【請求項2】
路線バスに搭載された路線バスシステムと、表示部を有するバス停システムと、前記バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムにおけるバス位置表示方法であって、
前記バス停システムがバス停ID通知信号を周期的に出力するバス停ID通知信号出力ステップと、
前記バス停ID通知信号を前記路線バスシステムが受信し、前記路線バスシステムが前記バス停ID通知信号に付加されたバスID及び前記バス停システムに割り当てられたバス停IDを付加したバスID通知信号を前記バス停システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、
前記バスID通知信号出力ステップで出力された前記バスID通知信号を受信することでタイマを起動するタイマ起動ステップと、
前記タイマのカウントが満了することで前記バス停システムが前記バスID及び前記バス停システムに割り当てられた前記バス停IDを付加したバスシステム接続解除報知信号を出力するバスシステム接続解除報知信号出力ステップと、
前記バスシステム接続解除報知信号に付加された前記バス停ID及び前記バスIDを用いて前記センタシステムがバス位置更新用データを生成するバス位置更新ステップと、
前記バスIDを用いて、前記バス位置更新用データの送信先を前記センタシステムが決定する送信先決定ステップと、
前記送信先決定ステップで決定した送信先に対して前記センタシステムが前記バス位置更新用データを送信するバス位置更新用データ送信ステップと、
前記バス位置更新用データを用いて、前記バス停システムが前記路線バスシステムを有する前記路線バスの位置情報を前記表示部に表示するバス位置表示ステップと、を含むことを特徴とするバス位置表示方法。
【請求項3】
路線バスに搭載された路線バスシステムと、バス停システムと、表示部を有し前記バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムにおけるバス映像取得方法であって、
前記路線バスシステムは、映像を取得する映像装置を有し、
前記バス停システムがバス停ID通知信号を周期的に出力するバス停ID通知信号出力ステップと、
前記バス停ID通知信号を前記路線バスシステムが受信し、前記路線バスシステムが前記バス停ID通知信号に付加されたバスID及び前記バス停システムに割り当てられたバス停IDを付加したバスID通知信号を前記バス停システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、
前記バス停システムが前記バスID通知信号を前記センタシステムに転送するバスID通知信号転送ステップと、
転送された前記バスID通知信号を受けて映像情報を必要とする前記センタシステムが前記バスID及び前記バス停IDを元に前記路線バスシステムへの路線バス映像送信要求信号を前記バス停システムに対して出力する路線バス映像送信要求信号出力ステップと、
前記バス停システムが前記バスIDを持つ前記路線バスシステムに対して前記路線バス映像送信要求信号を転送する路線バス映像送信要求信号転送ステップと、
前記路線バス映像送信要求信号を受信した前記路線バスシステムが前記映像装置により取得した映像情報を前記バス停システムに対して出力する映像情報出力ステップと、
前記映像情報を受信した前記バス停システムが前記映像情報を前記センタシステムに転送する映像情報転送ステップと、を有することを特徴とするバス映像取得方法。
【請求項4】
路線バスに搭載された表示部を有する路線バスシステムと、映像を取得する映像装置を有する交差点システムと、を含んで構成される交通システムにおける交差点映像取得方法であって、
前記交差点システムが交差点ID通知信号を周期的に出力する交差点ID通知信号出力ステップと、
前記交差点ID通知信号を前記路線バスシステムが受信し、前記路線バスシステムがバスID通知信号を前記交差点システムに出力するバスID通知信号出力ステップと、
前記バスID通知信号を受信した前記交差点システムが前記路線バスシステムに対して映像信号の受信処理を開始させる映像配信信号を前記路線バスシステムに対して出力する映像配信信号出力ステップと、
前記映像配信信号を受信した前記路線バスシステムが前記映像信号の受信処理を開始する映像情報受信処理開始ステップと、
前記映像配信信号出力ステップ後、前記映像信号を前記路線バスシステムに送信する映像信号送信ステップと、
前記映像信号を受信した前記路線バスシステムが前記映像信号を前記表示部に表示する映像信号表示ステップと、を含むことを特徴とする交差点映像取得方法。
【請求項5】
映像を取得する映像装置を有する交差点システムと、表示部を有し前記交差点システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムにおける交差点映像取得方法であって、
前記交差点システムが交差点ID通知信号を出力する周期を設定する交差点ID通知送信間隔指定信号を前記センタシステムが出力する交差点ID通知送信間隔指定信号出力ステップと、
前記交差点ID通知送信間隔指定信号を受けた前記交差点システムが前記センタシステムに映像の受領処理を開始させる前記交差点ID通知信号を出力する交差点ID通知信号出力ステップと、
前記交差点ID通知信号出力ステップの後、前記交差点システムが前記センタシステムに映像信号を出力する映像信号出力ステップと、
前記センタシステムが受信した前記映像信号を前記表示部に出力する映像出力ステップと、を有することを特徴とする交差点映像取得方法。
【請求項6】
路線バスに搭載された路線バスシステムと、バス停システムと、前記バス停システムとネットワークを介して接続されるセンタシステムと、を含んで構成される交通システムにおける映像配信方法であって、
映像信号の中継処理を実行させるべく前記センタシステムが前記バス停システムにバスIDが付加された映像配信信号を出力する映像配信信号送信ステップと、
前記映像配信信号を受けて前記バス停システムが中継処理を開始し、前記映像信号の受領処理を開始させるべく前記バスIDを有する前記路線バスシステムに前記映像配信信号を転送する映像配信信号転送ステップと、
前記映像配信信号の転送を受けて前記路線バスシステムが映像受領処理を開始する映像受領処理開始ステップと、
前記映像配信信号送信ステップ後、前記映像信号を前記バス停システムに送信する映像信号送信ステップと、
前記バス停システムが前記映像信号を前記路線バスシステムに転送する映像信号転送ステップと、を含むことを特徴とする映像配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−18149(P2011−18149A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161443(P2009−161443)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】