説明

バソプレッシンV1a受容体の阻害剤としての3−ヘテロシクリル−4−フェニル−トリアゾール誘導体

式(I)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの誘導体(式中、Rは、C1〜6アルキル(C1〜6アルキルオキシまたはHetにより置換されていてもよい)またはC1〜6アルキルオキシを表し、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロまたはC1〜6アルキルを表し、環Aは、Hetを表し、Xは、OまたはNRを表し、Rは、水素またはC1〜6アルキルを表し、環Bは、フェニル基またはHetを表し、それらのどちらも、ハロ、CN、C1〜6アルキルオキシ、CF、C1〜6アルキル、NHおよびNOから選択される1個または複数の基で置換されていてもよく、HetおよびHetは、各々独立して、(a)1〜4個の窒素原子、(b)1個の酸素もしくは1個の硫黄原子または(c)1個の酸素原子もしくは1個の硫黄原子および1または2個の窒素原子を含む5または6員の飽和、部分的不飽和もしくは芳香族複素環基を表す)は、不安症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、排卵痛、子癇前症、早漏、早産およびレイノー病を治療するのに有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾール誘導体に関する。また、本発明は、それらの使用、それらの調製方法、それらの調製に使用される中間体、およびそれらを含有する組成物に関する。
【0002】
本発明の化合物は、様々な障害、特に、攻撃性、アルツハイマー病、神経性食欲不振、不安症、不安障害、喘息、アテローム性動脈硬化症、自閉症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、白内障、中枢神経系疾患、脳血管虚血、肝硬変、認知障害、クッシング病、うつ病、糖尿病、月経困難症(原発性および続発性)、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内膜症、胃腸疾患、緑内障、婦人科疾患、心疾患、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、虚血、虚血性心疾患、肺腫瘍、排尿障害、排卵痛(mittlesmerchz)、新生物、腎毒性、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、強迫性障害、高眼圧症、子癇前症、早漏、早産、肺疾患、レイノー病、腎疾患、腎不全、男性もしくは女性の性機能障害、敗血症性ショック、睡眠障害、脊髄損傷、血栓症、泌尿生殖器系感染症または尿路結石症の治療に適応とされる。
【0003】
特に興味深いのは、下記の疾患または障害、すなわち、不安症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、排卵痛、子癇前症、早漏、早産およびレイノー病である。
【0004】
特に、本発明の化合物は、月経困難症(原発性および続発性)の治療に有用である。
【背景技術】
【0005】
月経障害の領域にはまだ満たされていない高い充足ニーズが存在し、すべての月経中の女性のうちの90%までが、ある程度まで影響を受けていると推定されている。女性の42%までが、月経痛のために仕事または他の活動を休み、結果として、米国では、労働時間が1年に約6億時間失われていると見積もられている{Coco、A.S.(1999).Primary dysmenorrhoea.[Review][30refs].American Family Physician、60、489〜96}。
【0006】
下腹部における月経痛は、子宮筋の活動亢進および子宮血流の低下によって引き起こされる。これらの病態生理学的変化は、背部および脚まで広がる腹痛をもたらす。腹痛は、吐き気を催し、頭痛を起こし、不眠症に悩む女性を生む可能性がある。この状態は、月経困難症と呼ばれ、原発性月経困難症または続発性月経困難症として分類することができる。
【0007】
原発性月経困難症は、この状態を引き起こす異常が何ら認められない場合に診断される。これは、女性集団の50%までに影響を及ぼす{Coco,A.S.(1999).Primary dysmenorrhoea.[Review][30refs].American Family Physician、60、489〜96.;Schroeder,B.およびSanfilippo,J.S.(1999).Dysmenorrhoea and pelvic pain in adolescents.[Review][78refs].Pediatric Clinics of North America、46、555〜71}。子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患(PID)、類線維腫または癌などの基礎にある婦人科障害が存在する場合、続発性月経困難症が診断されることになる。続発性月経困難症は、月経困難症に悩む女性のうちの約25%で診断されるに過ぎない。月経困難症は、月経過多と併せて生じることがあり、婦人科外来への照会の約12%を占める。
【0008】
現在、原発性月経困難症に悩む女性は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)または経口避妊ピルで治療される。続発性月経困難症の場合、手術を行い、基礎にある婦人科障害を治すことがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
月経困難症に悩む女性は、月経周期の同じ時期に健常女性で観察されるレベルよりも高い循環バソプレッシンレベルを有する。子宮バソプレッシン受容体におけるバソプレッシンの薬理作用の阻害は、月経困難症の症状を治療または軽減することがある。
【0010】
本発明の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物は、V1a受容体の選択的阻害剤であり(そのため、副作用が少ない可能性が高い)、従来技術の化合物に比べ、より速やかに作用が発現し、より強力であり、より長時間作用し、バイオアベイラビリティがより高く、または他のより望ましい特性を有するという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
したがって、本発明は、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその誘導体を提供し、
【0012】
【化1】

式中、
Rは、C1〜6アルキル(C1〜6アルキルオキシまたはHetにより置換されていてもよい)、またはC1〜6アルキルオキシを表し、
およびRは、各々独立して、水素、ハロまたはC1〜6アルキルを表し、
環Aは、Hetを表し、
Xは、OまたはNRを表し、
は、水素またはC1〜6アルキルを表し、
環Bは、フェニル基またはHetを表し、それらのどちらも、ハロ、CN、C1〜6アルキルオキシ、CF、C1〜6アルキル、NHおよびNOから選択される1個または複数の基で置換されていてもよく、
HetおよびHetは、各々独立して、(a)1〜4個の窒素原子、(b)1個の酸素もしくは1個の硫黄原子または(c)1個の酸素原子もしくは1個の硫黄原子および1または2個の窒素原子を含む5または6員の飽和、部分的不飽和もしくは芳香族複素環基を表し、
Hetは、(a)1〜4個の窒素原子、(b)1個の酸素もしくは1個の硫黄原子または(c)1個の酸素原子もしくは1個の硫黄原子および1または2個の窒素原子を含む5または6員の芳香族複素環基を表す。
【0013】
上記の定義において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。アルキル、アルキレンおよびアルキルオキシ基は、必要な数の炭素原子を含み、分岐していないか、または分岐していてもよい。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが含まれる。アルキルオキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが含まれる。アルキレンの例には、メチレン、1,1−エチレン、1,2−エチレン、1,1−プロピレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンおよび2,2−プロピレンが含まれる。Hetは、複素環基を表し、その例には、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、1,4−オキサチアニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、ピペラジニル、1,4−アザチアニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、5,6−ジヒドロ−2H−ピラニル、2H−ピラニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2,5,6−テトラヒドロピリジニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル、1−チア−2,3−ジアゾリル、1−チア−2,4−ジアゾリル、1−チア−2,5−ジアゾリル、1−チア−3,4−ジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピラジニルが含まれる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、以下に記載の態様のうちのいずれか1つまたは複数から選択される。
1.Rは、C1〜6アルキル、好ましくはメチルを表す。
2.Rは、C1〜6アルキルオキシ、好ましくはメトキシを表す。
3.Rは、C1〜6アルキレン−オキシ−C1〜6アルキル、好ましくはメトキシメチレンまたはエトキシメチレンを表す。
4.Rは、C1〜6アルキレン−Het、好ましくはメチレン−Hetを表し、Hetは、トリアゾリル、モルホリニルまたはピペリジニルであることが好ましい。
5.Rは、ハロ、好ましくはクロロを表す。
6.Rは、水素またはメチルを表す。
7.環Aは、窒素原子を介してトリアゾール環に結合している。
8.環Aは、ピペリジニレンを表す。
9.Xは、Oを表す。
10.NRは、NHまたはNMeを表す。
11.環Bは、フェニル、ピリジニルまたはピラジニル基を表す。
12.環Bは、置換されており、好ましくは一置換または二置換されており、置換基は、F、Cl、CN、メチル、メトキシ、CF、NO、CONHから選択されることが好ましい。
【0015】
本発明による具体的な好ましい化合物は、以下の実施例の項に列挙されている化合物、および薬学的に許容できるそれらの塩である。特に、
1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−4−フェノキシ−ピペリジン;
2−({1−[4−(4−クロロフェニル)−5−(メトキシメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}オキシ)ピリジン;
2−{1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−ピリミジン;
2−{1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−エトキシ−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−ピリミジン;
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−N−メチルピリジン−2−アミン;および
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン。
【0016】
本発明による式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体には、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、錯体、多形体、プロドラッグ、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体変種が含まれる。式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびアミドを含むことが好ましい。式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、塩および溶媒和物であることがより好ましい。
【0017】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩には、それらの酸付加および塩基塩が含まれる。
【0018】
適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシラート(camsylate)、クエン酸塩、エジシラート(edisylate)、エシラート(esylate)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプタート(gluceptate)、グルコナート(gluconate)、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素塩/臭化物、ヨウ化水素塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシレート(2-napsylate)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカレート(saccharate)、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩が含まれる。
【0019】
適当な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン(diolamine)、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン(olamine)、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩が含まれる。
【0020】
酸および塩基のヘミ塩(hemisalt)、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も作成することができる。
【0021】
適当な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection,and Use(Wiley−VCH、Weinheim、Germany、2002)を参照されたい。
【0022】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、3つの方法のうちの1つまたは複数により、すなわち
(i)式(I)の化合物を所望の酸または塩基と反応させることにより、
(ii)式(I)の化合物の適当な前駆体から酸もしくは塩基に不安定な保護基を除去することにより、または所望の酸または塩基を用い、適当な環状前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを開環することにより、または
(iii)適切な酸もしくは塩基との反応により、または適当なイオン交換カラムにより、式(I)の化合物のある塩を別の塩に変換することにより調製することができる。
【0023】
通常、3つの反応はすべて、溶液中で行われる。得られる塩は、沈殿させて濾過によって集めるか、あるいは溶媒の蒸発によって回収することができる。得られる塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで変わることがある。
【0024】
本発明の化合物は、非溶媒和と溶媒和の両形態で存在することができる。本明細書において、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物および化学量論的量の1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体について記載するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0025】
前述の溶媒和物と対照的に、薬物およびホストが化学量論的または非化学量論的な量で存在するクラスレート、薬物−ホスト包接錯体などの錯体は、本発明の範囲内に含まれる。化学量論的または非化学量論的な量であってよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の錯体も含まれる。得られる錯体は、イオン化、部分的イオン化、または非イオン化であってよい。そのような錯体の総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、64(8)、1269〜1288(1975年8月)を参照されたい。
【0026】
今後、式(I)の化合物へのすべての言及には、それらの塩、溶媒和物および錯体ならびにそれらの塩の溶媒和物および錯体への言及が含まれる。
【0027】
本発明の化合物には、それらのすべての多形体および晶癖を含む本明細書において前に定義されている式(I)の化合物、本明細書において後で定義されるそれらのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)ならびに式(I)の同位体標識化合物が含まれる。
【0028】
上述のように、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲内にある。すなわち、それら自体が薬理学的活性をほとんど、またはまったく有さない式(I)の化合物の特定の誘導体は、体内または体表に投与された場合、例えば加水分解により、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換されることがある。このような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するそれ以上の情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、Vol.14、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)中に見いだすことができる。
【0029】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、H BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier、1985)に記載されている「プロモイエティ(pro−moieties)」として当業者に知られている特定の部分で置き換えることによって製造することができる。
【0030】
本発明によるプロドラッグのいくつかの例には、
(i)式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含む場合はそのエステル、例えば、式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素が、(C〜C)アルキルにより置き換えられている化合物、
(ii)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含む場合はそのエーテル、例えば、式(I)の化合物のアルコール官能基の水素が、(C〜C)アルカノイルオキシメチルにより置き換えられている化合物、および
(iii)式(I)の化合物が一級または二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(RはHではない))を含む場合はそのアミド、例えば、場合によっては、式(I)の化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が、(C〜C10)アルカノイルにより置き換えられている化合物が含まれる。
【0031】
上記の例および他のプロドラッグタイプの例による置換基の他の例は、上述の参考文献中に見いだすことができる。
【0032】
さらに、式(I)の特定の化合物は、それら自体で式(I)の他の化合物のプロドラッグとしての役割を果たすことができる。
【0033】
式(I)の化合物の代謝産物、すなわち、薬物の投与によってin vivoで形成される化合物も本発明の範囲内に含まれる。
【0034】
1個または複数の不斉炭素原子を含む式(I)の化合物は、2種以上の立体異性体として存在することがある。式(I)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、幾何学的なシス/トランス(すなわちZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低いエネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性の異性(「互変異性」)が生じることがある。これは、例えば、イミノ、ケトもしくはオキシム基を含む式(I)の化合物におけるプロトン互変異性、または芳香族部分を含む化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形をとることがある。その結果、単一の化合物が2種以上のタイプの異性を示すことがある。
【0035】
2種以上のタイプの異性を示す化合物、およびそれらの1個または複数の混合物を含む式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性体は、本発明の範囲内に含まれる。対イオンが光学活性である、例えば、d−乳酸塩またはl−リジンであるか、あるいはラセミである、例えば、dl−酒石酸塩またはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基塩も含まれる。
【0036】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来技法、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶によって分離することができる。
【0037】
個々の鏡像異性体を調製/分離するための従来技法には、適当な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ化合物(または塩もしくは誘導体のラセミ化合物)の分割が含まれる。
【0038】
あるいは、ラセミ化合物(またはラセミ前駆体)を、適当な光学活性化合物、例えばアルコール、あるいは、式(I)の化合物が酸性または塩基性部分を含む場合には、1−フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基または酸と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって分離することができ、ジアステレオ異性体の一方または双方は、当業者によく知られている手段により、対応する純粋な1個または複数の鏡像異性体に変換することができる。
【0039】
本発明のキラル化合物(およびそれらのキラル前駆体)は、0〜50容量%のイソプロパノール、通常は2〜20%、および0〜5容量%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相による不斉樹脂上のクロマトグラフィー、通常はHPLCを用い、鏡像異性的に富化された形態で得ることができる。溶離液の濃縮により、富化された混合物が得られる。
【0040】
立体異性の集合体は、当業者に知られている従来技法によって分離することができる。例えば、E.L.ElielおよびS.H.WilenによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley、New York、1994)を参照されたい。
【0041】
本発明には、1個または複数の原子が、同じ原子番号であるが、自然で優位を占める原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられている薬学的に許容できる式(I)の同位体標識化合物すべてが含まれる。
【0042】
本発明の化合物中に含めるのに適している同位体の例には、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。
【0043】
式(I)の特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み入れた同位体標識化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体であるトリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cは、組み入れの容易さおよび敏速な検出手段に鑑みてこの目的には特に有用である。
【0044】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体による置換は、より大きな代謝安定性に由来する特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の増加または用量要件の軽減を提供することがあるため、ある環境において好ましいことがある。
【0045】
11C、18F、15Oおよび13Nなどのポジトロン放出同位体による置換は、基質受容体占有を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用なことがある。
【0046】
通常、式(I)の同位体標識化合物は、当業者に知られている従来技法により、または以前に用いた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用い、添付の実施例および調製に記載の方法に類似した方法により調製することができる。
【0047】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換されている、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOであってよい溶媒和物が含まれる。
【0048】
本発明の化合物は、治療に有用である。したがって、本発明の他の態様は、薬剤としての、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用である。
【0049】
本発明の化合物は、V1a拮抗薬としての活性を示す。したがって、本発明の他の態様は、V1a拮抗薬が適応とされる障害を治療するためのヒトを含む哺乳類の治療の方法であって、治療有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を哺乳類に投与することを含む方法である。特に、式(I)の化合物は、不安症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、排卵痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病を治療するのに有用である。より詳細には、式(I)の化合物は、月経困難症(原発性および続発性)を治療するのに有用である。
【0050】
本発明の他の態様は、V1a受容体拮抗薬が適応とされる障害を治療するための薬剤の製造における、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用である。
【0051】
式(I)のすべての化合物は、以下に示す一般方法に記載の手順により、または実施例の項および調製の項に記載の具体的方法により、もしくはそれらの通常の修正形態により調製することができる。また、本発明は、式(I)の化合物を調製するのに使用される任意の新規中間体の他に、それらを調製するためのこれらの方法のうちのいずれか、または1つもしくは複数を包含する。
【0052】
下記の一般方法において、R、R、R、R、環A、環B、X、Het、HetおよびHetは、特に指定のない限り、式(I)の化合物について前に定義した通りである。
【0053】
Xが、NRまたはOを表し、R、RおよびRが、式(I)の化合物について前に定義した通りである一般式(I)の化合物は、反応スキーム1に従って調製することができる。
【0054】
【化2】

【0055】
PGは、適当なNまたはO保護基である。通常、PGは、XがNを表す場合、カルバミン酸エステル、好ましくはBoc基である。通常、PGは、XがOを表す場合、エステル基、好ましくは酢酸エステルである。
【0056】
XがNHを表し、PGがBocを表す場合、一般式(II)の化合物は、市販されている。
【0057】
XがOを表し、PGがC(O)Meを表す場合、一般式(II)の化合物は、J.Org.Chem.68(2)、613;2003に記載のように調製することができる。
【0058】
一般式(III)の化合物は、上記のスキーム1におけるステップ(i)、すなわち、周囲温度にて1〜6時間のメタノールまたはエタノールなどの適当な溶媒中での適当に置換された芳香族イソチオシアン酸エステル(RClPhNCS)との反応により、一般式(II)の化合物から調製することができる。典型的条件は、室温にて1〜6時間のエタノール中の化合物(II)1.0当量およびRClPhNCS1.0当量を含む。
【0059】
一般式(IV)の化合物は、上記のスキーム1におけるステップ(ii)、すなわち、周囲条件下で1〜4時間のテトラヒドロフランまたはエタノールなどの適当な溶媒中でのカリウムtert−ブトキシドまたは炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下、トシル酸メチルまたはヨウ化メチルなどの適当なアルキル化剤によるアルキル化により、一般式(III)の化合物から調製することができる。典型的条件は、室温にて3時間のテトラヒドロフラン中の化合物(III)1.0当量、カリウムtert−ブトキシド1.0当量およびトシル酸メチル1.0当量を含む。
【0060】
一般式(V)の化合物は、市販されているか、あるいは調製32および33に例示されている標準的方法を用い、OR基がヒドラジンにより置き換えられて式(V)の化合物を生成するように、RがC〜Cアルキル基、好ましくはメチルまたはエチル基である式RC(O)ORのエステルから調製することができる。
【0061】
一般式(VI)の化合物は、上記のスキーム1におけるステップ(iii)、すなわち、高温にて2〜8時間のブタノールまたはテトラヒドロフランなどの適当な溶媒中、場合によりパラ−トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などの酸触媒の存在下、適当なヒドラジド(RC(O)NHNH(V))との反応により、式(IV)および(V)の化合物から調製することができる。典型的条件は、還流下に5時間加熱されるテトラヒドロフラン中の化合物(IV)1.0当量、ヒドラジド1.0〜1.5当量およびトリフルオロ酢酸0.5当量を含む。
【0062】
場合により、XがNRを表し、Rがアルキルを表す場合、式(VI)の化合物は、周囲温度にて1〜6時間のテトラヒドロフランなどの適当な溶媒中で水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなどの適当な塩基の存在下、RY(YはHalを表し、ヨウ化物であることが好ましい)などの適当なアルキル化剤を用いるN−アルキル化により一般式(VI)の代替化合物に変換することができる。典型的条件は、室温にて3時間のテトラヒドロフラン中の化合物(V)1.0当量、水素化ナトリウム5.0当量およびヨウ化メチル2.0当量を含む。
【0063】
一般式(VII)の化合物は、上記のスキーム1におけるステップ(iv)、すなわち、化合物(VI)の脱保護により一般式(VI)の化合物から調製することができる。これは、T.W.GreeneおよびP.Wutzによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の標準的方法を用いて行うことができる。
【0064】
PGがBocを表す場合、典型的条件は、室温にて18時間のジクロロメタン中、塩酸(ジオキサン中4M)の存在下での化合物(VI)1.0当量を含む。
【0065】
あるいは、PGがC(O)CHを表す場合、典型的条件は、室温にて4時間の化合物(VI)1.0当量および炭酸カリウム(メタノール中1M)3.0当量を含む。
【0066】
一般式(I)の化合物は、上記のスキーム1におけるステップ(v)により、式(VII)の化合物から調製することができる。
【0067】
XがOを表す場合、これは、周囲温度にて1〜8時間のジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒中、トリ−ブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンなどの適当なホスフィン、およびアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルまたは1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)などの適当なアゾ化合物の存在下での適当なフェノール(R−OH)との光延反応により行うことができる。典型的条件は、室温にて3時間のジクロロメタン中の化合物(VII)1.0当量、R−OH2.0当量、トリフェニルホスフィン1.0〜1.2当量およびアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル2.0当量を含む。
【0068】
XがNRを表す場合、一般式(I)の化合物は、25℃〜85℃の温度にて18〜48時間のエタノールまたはテトラヒドロフランなどの適当な溶媒中、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの適当な塩基の存在下での適当なアルキル化剤(RZ(Zは、クロロまたはブロモを表す))を用いるN−アルキル化により調製することができる。典型的条件は、還流下に18時間加熱されるテトラヒドロフラン中の化合物(VI)1.0当量、R−Z1.0当量およびトリエチルアミン3.0当量を含む。
【0069】
式(I)の化合物は、実施例46および47に例示されている標準的な化学的変換を用い、式(I)の代替化合物に変換することができる。
【0070】
あるいは、式(I)の化合物は、反応スキーム2に従って調製することができる。
【0071】
【化3】

【0072】
PGは、適当なN保護基、通常は、カルバミン酸エステル、好ましくはBoc基である。
【0073】
PGが、ベンジルまたはBOCを表す場合、一般式(VIII)の化合物は、市販されている。
【0074】
一般式(IX)の化合物は、上記のスキーム2におけるステップ(vi)、すなわち、適当なアルキル化剤(R−Z)(Zは、クロロまたはブロモを表す)による化合物(VIII)のアルキル化により、一般式(VIII)の化合物から調製することができる。
【0075】
XがOを表す場合、反応は、高温にて1〜8時間、1−メチル−2−ピロリジノンなどの適当な溶媒中、水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなどの適当な塩基の存在下で行われる。典型的条件は、還流下に6時間加熱される1−メチル−2−ピロリジノン中の化合物(VIII)1.0当量、Het−Z1.0当量および水素化ナトリウム1.0当量を含む。
【0076】
XがNRを表す場合、反応は、高温にて6〜24時間、エタノールまたはトルエンなどの適当な溶媒中、ナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどの適当な塩基、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)などの適当な触媒、およびビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどの適当なキレート配位子の存在下で行われる。典型的条件は、還流下に18時間加熱されるエタノール中の化合物(VIII)1.0当量、ナトリウムtert−ブトキシド1.0〜1.5当量、R−Z1.0当量、ならびにトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(触媒量)およびビス(ジフェニルホスフィノ)−プロパンを含む。
【0077】
一般式(X)の化合物は、上記のスキーム2におけるステップ(vii)、すなわち、化合物(IX)の脱保護により一般式(IX)の化合物から調製することができる。これは、T.W.GreeneおよびP.Wutzによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の標準的方法を用いて行うことができる。
【0078】
PGがBocを表す場合、典型的条件は、室温にて1〜3時間のジクロロメタン中、塩酸(ジオキサン中4M)の存在下での化合物(IX)1.0当量を含む。
【0079】
あるいは、PGがベンジルを表す場合、典型的条件は、還流下に2〜8時間加熱される、60psi(約410kPa)の水素中、エタノール中の化合物(IX)1.0当量および10%水酸化パラジウム(触媒量)を含む。
【0080】
式(XI)の化合物は、上記のスキーム1に記載のステップ(i)により、式(X)の化合物から調製することができる。
【0081】
式(XII)の化合物は、上記のスキーム1に記載のステップ(ii)により、式(XI)の化合物から調製することができる。
【0082】
式(I)の化合物は、上記のスキーム1に記載のステップ(iii)により、式(XII)の化合物から調製することができる。
【0083】
あるいは、XがOを表し、RがCHを表し、R、RおよびRが、本明細書に記載した通りである一般式(I)の化合物は、反応スキーム3に従って調製することができる。
【0084】
【化4】

【0085】
一般式(XIII)の化合物は、E.Falch他(Eur.J.Med.Chem.26(1)、69〜77;1991)の方法との類推により調製することができる。
【0086】
一般式(XIV)の化合物は、上記のスキーム3におけるステップ(viii)、すなわち、高温にて1〜48時間のメタノールまたはエタノールなどの適当な溶媒中でのヒドラジン一水和物との反応により、式(XIII)の化合物から調製することができる。
【0087】
一般式(XV)の化合物は、上記のスキーム3におけるステップ(ix)、すなわち、適当なアセチル化剤(RC(O)W(Wは、OHまたはClを表す))とのカップリング反応と、続く適当な脱水条件下の環化により、一般式(XIV)の化合物から調製することができる。
【0088】
WがClを表す場合、カップリングは、周囲温度にて1〜24時間、場合によりトリエチルアミン、ヒューニッヒ塩基またはN−メチルモルホリンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中で行われる。このステップの後に、50〜120℃の温度にて5分〜12時間の、場合によりジクロロメタンなどの適当な溶媒中、ポリリン酸、オキシ塩化リン、またはピリジンと無水トリフルオロメタンスルホン酸などの適当な脱水試薬を用いる環化が続く。
【0089】
WがOHを表す場合、カップリングは、周囲温度にて4〜24時間、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたは酢酸エチルなどの適当な溶媒中、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンまたはヒューニッヒ塩基などの過剰な酸受容体と共に、場合により触媒の存在下、WSCDI/DCCまたはHOBT/HOATなどの従来のカップリング剤の存在下で行われる。このステップの後に、50〜120℃の温度にて5分〜12時間の、場合によりジクロロメタンなどの適当な溶媒中、ポリリン酸、オキシ塩化リン、またはピリジンと無水トリフルオロメタンスルホン酸などの適当な脱水試薬を用いる環化が続く。
【0090】
あるいは、RがMeを表す場合、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(Aldrichから)が、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジンまたはトルエンなどの適当な溶媒中、場合によりトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、または炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下で最も好ましいアセチル化剤として使用され、続いて、高温にて1〜8時間のトリフルオロ酢酸、パラ−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸または塩酸などの適当な酸触媒の添加が続く。
【0091】
一般式(XVI)の化合物は、上記のスキーム3におけるステップ(x)、すなわち、高温にて1〜48時間加熱されたキシレンまたはトルエンなどの適当な溶媒中のトリフルオロ酢酸、パラ−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸または塩酸などの適当な酸触媒の存在下での適当に置換されたクロロアニリン(RClPh−NH)との反応により、式(XV)の化合物から調製することができる。
【0092】
一般式(I)の化合物は、上記のスキーム3におけるステップ(v)、すなわち、スキーム1に記載の光延反応により、一般式(XVI)の化合物から調製することができる。
【0093】
医薬使用を目的とする本発明の化合物は、結晶性製品または無定形製品として投与することができる。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ(solid plug)、粉末、またはフィルムとして得ることができる。この目的には、マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。
【0094】
本発明の化合物は、単独で、あるいは1種または複数の本発明の他の化合物と組み合わせて、あるいは1種または複数の他の薬物と組み合わせて(または、それらの任意の組合せとして)投与することができる。通常、それらは、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共同した製剤として投与されるはずである。本明細書において、用語「賦形剤」は、本発明の1種または複数の化合物以外の任意の成分について記載するのに使用される。賦形剤の選択は、かなりの程度まで、特定の投与方法、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などの要素によって左右される。
【0095】
本発明の他の態様は、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体と一緒に、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬製剤である。他の実施形態において、予防的に、または疼痛が起きた場合に投与するための医薬製剤が提供される。
【0096】
本発明の化合物を送達するのに適している医薬組成物およびそれらを調製するための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995)中に見いだすことができる。
【0097】
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下することを含み、あるいは化合物が口から直接血流に入る口腔内または舌下投与を用いることができる。
【0098】
経口投与に適している製剤には、錠剤、微粒子を含有するカプセル剤、液剤、または散剤、ロゼンジ剤(液体入りを含む)、咀嚼剤(chews)、多粒子およびナノ粒子剤、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤、膣坐剤、噴霧剤などの固形製剤ならびに液状製剤が含まれる。
【0099】
液状製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟質または硬質カプセル剤における充填剤として用いることができ、通常、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適当な油、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。また、液状製剤は、固体の、例えば、サシェからの再構成によって調製することができる。
【0100】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによりExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載されている剤形などの速溶、速崩壊剤形においても使用することができる。
【0101】
錠剤剤形の場合、投与量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を占めることができる。通常、錠剤は、薬物の他に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。通常、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占めるはずである。
【0102】
通常、錠剤製剤に凝集性を付与するために結合剤が使用される。適当な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。また、錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有することができる。
【0103】
また、錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を占め、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めることができる。
【0104】
また、錠剤は、通常、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムのラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤を含有する。通常、滑沢剤は、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0105】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤および味覚マスキング剤が含まれる。
【0106】
例示的錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%〜約90重量%、希釈剤約0重量%〜約85重量%、崩壊剤約2重量%〜約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%〜約10重量%を含有する。
【0107】
錠剤ブレンドを直接、またはローラーにより圧縮し、錠剤を作製することができる。あるいは、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を、打錠前に湿式、乾式、または融解式造粒するか、あるいは融解式凝結させるか、あるいは押し出すことができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含み、コーティングされていてもされていなくてもよく、カプセル化されてもよい。
【0108】
錠剤の製剤化については、H.LiebermanおよびL.LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Vol.1、(Marcel Dekker、New York、1980)中で論じられている。
【0109】
ヒトまたは動物使用に消費可能な経口フィルム剤は、通常、急速に溶解するか、または粘膜付着性であってよい柔軟な水溶性または水膨潤性の薄膜剤形であり、通常、式Iの化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤および溶媒を含む。製剤のいくつかの成分は、2つ以上の機能を実行することがある。
【0110】
式(I)の化合物は、水溶性または不水溶性であってよい。通常、水溶性化合物は、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には、20重量%〜50重量%を占める。あまり溶けない化合物は、組成物の大部分、典型的には溶質の88重量%までを占めることがある。あるいは、式(I)の化合物は、多粒子ビーズの形態であってよい。
【0111】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖、タンパク質、または合成親水コロイドから選択することができ、通常、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0112】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香味料および調味料、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、緩和薬、充填剤、消泡剤、界面活性剤および味覚マスキング剤が含まれる。
【0113】
通常、本発明によるフィルム剤は、剥離可能な裏打用の支持体または紙の上にコーティングされた薄い水性フィルムを蒸発乾燥させることによって調製される。これは、乾燥炉またはトンネル乾燥機、通常は複合コーター乾燥機中で、あるいは凍結乾燥または真空吸引によって行うことができる。
【0114】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0115】
本発明の目的に適している放出調節製剤については、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散および浸透圧およびコーティングした粒子などの他の適当な放出技術の詳細は、Verma他によるPharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)に見いだすことができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用については、WO00/35298に記載されている。
【0116】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓中に直接投与することもできる。非経口投与に適している手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与に適している装置には、針(極微針を含む)注射器、無針注射器および注入技法が含まれる。
【0117】
通常、非経口製剤は、塩、炭水化物および緩衝剤(3〜9のpHが好ましい)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、一部の応用例については、滅菌非水溶液として、または乾燥形態の粉末として製剤化し、滅菌した発熱物質を含まない水などの適当なビヒクルと併せて使用することがより適当である。
【0118】
無菌条件下、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的製薬技法を用いて容易に行うことができる。
【0119】
非経口液剤の調製において使用される式(I)の化合物の溶解性は、溶解性促進剤の組み入れなどの適切な製剤技法の使用によって高めることができる。
【0120】
非経口投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。すなわち、本発明の化合物は、活性化合物の放出調節を提供する埋込型デポー剤として投与するための固体、半固体、またはチキソトロピックな液体として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物をコーティングしたステントおよびポリ(dl−乳酸−コ−グリコール酸)(PGLA)ミクロスフェアが含まれる。
【0121】
また、本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ局所的に、すなわち、皮膚に、または経皮的に投与することができる。この目的に典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、ウエハー剤、埋込剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏剤およびマイクロエマルジョン剤が含まれる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。透過促進剤を組み入れることができる。例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。
【0122】
局所投与の他の手段には、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび極微針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0123】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0124】
また、本発明の化合物は、鼻腔内または吸入により、通常、乾燥粉末インヘイラーから乾燥粉末(単独で、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドにおける混合物として、または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)の形態で、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適当な噴射剤の使用の有無にかかわらず加圧式容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアゾールスプレーとして投与することができる。鼻腔内使用の場合、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0125】
加圧式容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または活性物質の分散、可溶化、もしくは延長放出のための適当な代替試剤、溶媒としての1種または複数の噴射剤およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の1種または複数の化合物の溶液または懸濁液を含む。
【0126】
乾燥粉末または懸濁液製剤における使用に先立って、薬物製品は、吸入による送達に適しているサイズ(通常5ミクロン未満)まで微粉化される。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法によって行うことができる。
【0127】
インヘイラーまたはインサフレーターにおいて使用するためのカプセル(例えば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調整剤(performance modifier)の粉末ミックスを含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水または一水和物の形態であってよく、後者であることが好ましい。他の適当な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0128】
細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザーにおいて使用するのに適している溶液製剤は、1動作につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有し、動作容量は、1μlから100μlまで変化することがある。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0129】
吸入/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤には、メントールおよびレボメントールなどの適当な香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加することができる。
【0130】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時放出および/または、例えば、PGLAを用いる放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0131】
乾燥粉末インヘイラーおよびエアゾールの場合、用量単位は、一定量を送達するバルブによって決定される。通常、全1日量は、0.01μg〜15mgの範囲であり、単回投与か、あるいはより一般的には1日を通して分割量として投与することができる。
【0132】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐薬、または浣腸の形態で経直腸的または経膣的に投与することができる。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用することができる。
【0133】
直腸/膣内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0134】
本発明の化合物は、通常、等張性のpH調整した滅菌食塩水中の微粉末化された懸濁液または溶液の点滴(点眼または点耳)剤の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適した他の製剤には、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)埋込錠、ウエハー剤、レンズ剤およびニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に組み入れることができる。このような製剤は、イオントフォレーシスによっても送達することができる。
【0135】
眼/耳投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0136】
本発明の化合物は、シクロデキストリンおよび適当なその誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子と混ぜ合わせ、前述のいずれの投与方法において使用するためにも、それらの溶解性、溶出速度、味覚マスキング、バイオアベイラビリティおよび/または安定性を改善することができる。
【0137】
例えば、薬物−シクロデキストリン錯体は、大部分の剤形および投与経路にとって一般的に有用であることが判明している。包接錯体と非包接錯体の双方を使用することができる。薬物との直接錯体化の代替法として、シクロデキストリンを補助的な添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することができる。これらの目的のためにα−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、その例は、国際特許出願WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148に見いだすことができる。
【0138】
活性化合物の組合せを、例えば、特定の疾患または状態を治療する目的で投与することが望ましいため、少なくとも1つは本発明による化合物を含有する2つ以上の医薬組成物を、組成物の同時投与に適しているキットの形態で都合良く組み合わせることは、本発明の範囲内にある。
【0139】
すなわち、本発明によるキットは、少なくとも1つは本発明による式(I)の化合物を含有する2つ以上の別々の医薬組成物および容器、分かれたボトル、または分かれたホイルパケットなどの前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0140】
本発明のキットは、様々な剤形を、例えば、経口および非経口で投与するのに、様々な投与間隔で別々の組成物を投与するのに、またはお互いに対して別々の組成物を増量するのに特に適している。コンプライアンスを補助するため、通常、キットは、投与説明書を含み、いわゆる記憶補助が提供される。
【0141】
ヒト患者への投与の場合、本発明の化合物の全1日量は、通常、0.01mg〜15mgの範囲であり、投与方法に左右されることは言うまでもない。全1日量は、単回投与または分割投与で投与することができ、医師の裁量で、本明細書に示す典型的な範囲を外れることがある。
【0142】
これらの用量は、約60〜70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づいている。医師は、乳児および高齢者などの、体重がこの範囲から外れている対象に対する投与量を容易に決定することができるはずである。
【0143】
誤解を避けるため、本明細書における「治療」への言及には、治癒的、対症的および予防的治療が含まれる。
【0144】
本発明の化合物は、以下に示すスクリーニングで試験することができる。
【0145】
1.0 V1Aフィルター結合アッセイ
1.1 膜調製
受容体結合アッセイは、ヒトV1A受容体を安定に発現するCHO細胞(CHO−hV1A)から調製した細胞膜上で行った。CHO−hV1A細胞系は、Marc Thibonnier(内科教室、ケースウエスタンリザーブ大学医学部、クリーブランド、オハイオ州)から、使用許可契約の下に提供していただいた。CHO−hV1A細胞は、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、15mM HEPESおよび400μg/ml G418を添加したDMEM/Hams F12栄養ミックス中で、5%COの加湿雰囲気中37℃にてルーチンに維持した。細胞ペレットの大量生産のため、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンおよび15mM HEPESを添加したDMEM/Hams F12栄養ミックスの培地が入っている850cmのローラーボトル中で、付着性のCHO−hV1A細胞を、90〜100%のコンフルエンシーに達するまで培養した。コンフルエントなCHO−hV1A細胞を、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、氷冷したPBS中に収集し、1,000rpmにて遠心分離した。細胞ペレットは、使用するまで−80℃にて保存した。細胞ペレットを、氷の上で解凍し、50mM Tris−HCl、pH7.4、5mM MgClからなり、プロテアーゼ阻害剤カクテル(ロッシュ社)を添加した膜調製緩衝液中でホモジナイズした。細胞ホモジネートを、1000rpm、10分、4℃にて遠心分離し、上清を除き、氷の上で保存した。残ったペレットをホモジナイズし、前と同様に遠心分離した。上清をプールし、4℃にて30分間、25,000×gで遠心分離した。ペレットを、50mM Tris−HCl、pH7.4、5mM MgClおよび20%グリセロールからなる凍結緩衝液中に再懸濁し、使用するまで−80℃にて少量ずつ保存した。タンパク質濃度は、ブラッドフォード試薬および標準品としてのBSAを用いて決定した。
【0146】
1.2 V1Aフィルター結合
膜の各々の新たなバッチに対し、タンパク質直線性試験と、続いて飽和結合試験を行った。曲線の直線部分で特異的結合を行う膜濃度を選択した。次いで、様々な濃度の[H]−アルギニンバソプレッシン、[H]−AVP(0.05nM〜100nM)を用いて飽和結合試験を行い、KおよびBmaxを決定した。
【0147】
化合物を、[H]−AVPのCHO−hV1A膜への結合に対するそれらの効果について試験した(H−AVP;比放射能65.5Ci/mmol;NENライフサイエンシーズ社)。化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化し、50mM Tris−HCL、pH7.4、5mM MgClおよび0.05%BSAを含有するアッセイ緩衝液で10%DMSOの作業濃度まで希釈した。化合物25μlおよび[H]−AVP(膜バッチについて決定されるK以下の最終濃度、通常は0.5nM〜0.6nM)25μlを、96ウェルの丸底ポリプロピレンプレートに添加した。結合反応を、膜200μlの添加により開始させ、プレートを、室温にて60分間、緩やかに振盪させた。反応を、ペプチドの固着を防ぐために0.5%ポリエチレンイミンに予浸してあった96ウェルのGF/B UniFilterプレートによるFiltermateセルハーベスター(パッカードインスツルメント社)を用いる急速濾過によって終了させた。フィルターを、50mM Tris−HCL、pH7.4および5mM MgClを含有する氷冷した洗浄緩衝液1mlで3回洗浄した。プレートを乾燥し、Microscint−0(パッカードインスツルメント社)50μlを各ウェルに添加した。プレートを密封し、トップカウントマイクロプレートシンチレーションカウンター(パッカードインスツルメント社)でカウントした。非特異的結合(NSB)は、非標識d(CH2)5Tyr(Me)AVP([β−メルカプト−β,β−シクロペンタメチレンプロピオニル、0−Me−Tyr,Arg]−バソプレッシン)(βMCPVP)(シグマ社)1μMを用いて決定した。放射性リガンド結合データは、最小値(the min)を0%にした4パラメーターのロジスティック方程式を用いて解析した。傾きは、自由にフィットし、妥当な曲線について−0.75と−1.25の間に収まった。特異的結合は、平均Total cpmから平均NSB cpmを差し引くことにより計算した。試験化合物について、受容体に結合しているリガンドの量は、結合率=(試料cpm−平均NSB cpm)/特異的結合cpm×100として表した。結合率を、試験化合物の濃度に対してプロットすると、シグモイド曲線にフィットした。阻害性解離定数(K)は、Cheng−Prusoff式:K=IC50/(1+[L]/K)([L]は、ウェル中に存在するリガンドの濃度であり、Kは、スキャッチャードプロット解析から得られる放射性リガンドの解離定数である)を用いて計算した。
【0148】
2.0 V1A機能アッセイ;FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)(モレキュラーデバイス社)によるAVP/V1A−R媒介性Ca2+動員の阻害
細胞内カルシウム放出は、受容体活性化後にカルシウムの速やかな検出を可能にするFLIPRを用い、CHO−hV1A細胞において測定した。CHO−hV1A細胞系は、Marc Thibonnier(内科教室、ケースウエスタンリザーブ大学医学部、クリーブランド、オハイオ州)から、使用許可契約の下に提供していただいた。CHO−hV1A細胞は、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、15mM HEPESおよび400μg/ml G418を添加したDMEM/Hams F12栄養ミックス中に、5%COの加湿雰囲気中37℃にてルーチンに維持した。アッセイ前日の午後に、細胞を、ウェル当たり20,000細胞の密度で、各ウェルの底から細胞検査および蛍光測定ができるように底が透明な黒い滅菌済96ウェルプレート中にプレートした。ダルベッコのリン酸塩緩衝食塩水(DPBS)および2.5mMプロベネシドを含有する洗浄緩衝液ならびに4μM Fluo−3−AM(DMSOおよびプルロニック酸に溶かした)(モレキュラープローブ社)を含有する細胞培養培地および2.5mMプロベネシドからなるローディングダイをアッセイの日に新たに調製した。化合物を、DMSO中に可溶化し、1% DMSO、0.1% BSAおよび2.5mMプロベネシドを含有するDPBSからなるアッセイ緩衝液中で希釈した。細胞を、5%COの加湿雰囲気中で37℃にて1時間、ウェル当たり100μlのローディングダイと共にインキュベートした。ダイローディング後、細胞を、Denleyプレートウォッシャーを用い、洗浄緩衝液100μl中で3回洗浄した。洗浄緩衝液100μlを各ウェル中に残した。細胞内蛍光は、FLIPRを用いて測定した。蛍光測定値は、30秒後に試験化合物50μlを添加して2秒間隔で得た。次いで、任意の化合物のアゴニスト活性を検出するため、2秒間隔でさらに155回の測定を行った。次いで、アルギニンバソプレッシン(AVP)50μlを、最終アッセイ容量が200μlになるように添加した。さらに、蛍光測定値を、1秒間隔で120秒間集めた。反応を、ピーク蛍光強度(FI)として測定した。薬理学的特性については、基礎FIを各蛍光反応から差し引いた。AVP用量反応曲線については、各反応を、その列における最高濃度のAVPへの反応に対する百分率として表した。IC50決定については、各反応を、AVPへの反応に対する百分率として表した。IC50値を、作動薬濃度、[A]、作動薬EC50および傾きを考慮に入れるCheng−Prusoff式:K=IC50/(2+[A]/A501/n−1([A]は、AVPの濃度であり、A50は、用量反応曲線からのAVPのEC50であり、nは、AVP用量反応曲線の傾きである)を用い、修正K値に変換した。
【0149】
本発明の化合物は、単独で、あるいは1種または複数の本発明の他の化合物と組み合わせて、あるいは1種または複数の他の薬物と組み合わせて(または、それらの任意の組合せとして)投与することができる。そのような組合せは、治療において相乗的活性を含む有意な利点を提供する。
【0150】
本発明の化合物は、経口避妊薬と組み合わせて投与することができる。したがって、本発明の他の態様において、月経困難症の治療において同時に、個別にまたは逐次に使用するための複合調製物としてV1a拮抗薬および経口避妊薬を含有する医薬製品が提供される。
【0151】
本発明の化合物は、PDEV阻害剤と組み合わせて投与することができる。したがって、本発明の他の態様において、月経困難症の治療において同時に、個別にまたは逐次に使用するための複合調製物としてV1a拮抗薬およびPDEV阻害剤を含有する医薬製品が提供される。
【0152】
V1a拮抗薬と組み合わせるのに有用なPDEV阻害剤には、
(i)国際特許出願公開番号WO03/000691;WO02/64590;WO02/28865;WO02/28859;WO02/38563;WO02/36593;WO02/28858;WO02/00657;WO02/00656;WO02/10166;WO02/00658;WO01/94347;WO01/94345;WO00/15639およびWO00/15228に記述されているPDEV阻害剤;
(ii)米国特許第6,143,746号;第6,143,747号および第6,043,252号に記述されているPDEV阻害剤;
(iii)EP−A−0463756に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;EP−A−0526004に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;公開国際特許出願WO93/06104に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;公開国際特許出願WO93/07149に開示されている異性体のピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;公開国際特許出願WO93/12095に開示されているキナゾリン−4−オン;公開国際特許出願WO94/05661に開示されているピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン;公開国際特許出願WO94/00453に開示されているプリン−6−オン;公開国際特許出願WO98/49166に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;公開国際特許出願WO99/54333に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;EP−A−0995751に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;公開国際特許出願WO00/24745に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;EP−A−0995750に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;国際出願公開番号WO95/19978に開示されているヘキサヒドロピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;WO00/27848に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;EP−A−1092719および国際出願公開番号WO99/24433に開示されているイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−オンならびに国際出願公開番号WO93/07124に開示されている二環式化合物;国際出願公開番号WO01/27112に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;国際出願公開番号WO01/27113に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;EP−A−1092718に開示されている化合物およびEP−A−1092719に開示されている化合物;EP−A−1241170に開示されている三環式化合物;国際出願公開番号WO02/074774に開示されているアルキルスルホン化合物;国際出願公開番号WO02/072586に開示されている化合物;国際出願公開番号WO02/079203に開示されている化合物およびWO02/074312に開示されている化合物;
(iv)好ましくは、1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル、例えば、バイアグラ(登録商標)として販売されている)(EP−A−0463756を参照);5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(EP−A−0526004を参照);3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166を参照);3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333を参照);3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンとしても知られている(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333を参照);1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例8を参照);5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例15を参照);5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例66を参照);5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例124を参照);5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例132を参照);(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル、IC−351、シアリス(登録商標))、すなわち、国際出願公開番号WO95/19978の実施例78および95の化合物、ならびに実施例1、3、7および8の化合物;1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−as−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジンとしても知られている2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル、レビトラ(登録商標))、すなわち国際出願公開番号WO99/24433の実施例20、19、337および336の化合物;国際出願公開番号WO93/07124(EISAI)の実施例11の化合物;Rotella D P、J.Med.Chem.、2000、43、1257からの化合物3および14;4−(4−クロロベンジル)アミノ−6,7,8−トリメトキシキナゾリン;N−[[3−(4,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−5−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−1−メチル2−ピロリジンプロパンアミド[「DA−8159」(WO00/27848の実施例68);ならびに7,8−ジヒドロ−8−オキソ−6−[2−プロポキシフェニル]−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリンおよび1−[3−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル]−4−プロポキシフェニル]カルボキサミド;
(v)4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸、一ナトリウム塩;(+)−シス−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペンタ−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)−オン;フラズロシリン(furazlocillin);シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]−イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン;1−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸、一ナトリウム塩;Pharmaprojects No.4516(Glaxo Wellcome);Pharmaprojects No.5051(Bayer);Pharmaprojects No.5064(Kyowa Hakko;WO96/26940を参照);Pharmaprojects No.5069(Schering Plough);GF−196960(Glaxo Wellcome);E−8010およびE−4010(EISAI);Bay−38−3045および38−9456(Bayer);FR229934およびFR226807(Fujisawa);ならびにSch−51866が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0153】
公開特許出願および学術論文の内容、特に、特許請求の範囲の治療上活性な化合物およびそこに例示されている化合物の一般式は、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。
【0154】
PDEV阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、DA−8159および5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンから選択されることが好ましい。
【0155】
PDEV阻害剤は、シルデナフィルおよび薬学的に許容できるその塩であることが最も好ましい。クエン酸シルデナフィルは、好ましい塩である。
【0156】
本発明の化合物は、NOドナーと組み合わせて投与することができる。したがって、本発明の他の態様において、月経困難症の治療において同時に、個別にまたは逐次に使用するための複合調製物としてV1a拮抗薬およびNOドナーを含有する医薬製品が提供される。
【0157】
本発明の化合物は、L−アルギニンと組み合わせて、またはアルギニン塩として投与することができる。したがって、本発明の他の態様において、月経困難症の治療において同時に、個別にまたは逐次に使用するための複合調製物としてV1a拮抗薬およびL−アルギニンを含有する医薬製品が提供される。
【0158】
本発明の化合物は、COX阻害剤と組み合わせて投与することができる。したがって、本発明の他の態様において、月経困難症の治療において同時に、個別にまたは逐次に使用するための複合調製物としてV1a拮抗薬およびCOX阻害剤を含有する医薬製品が提供される。
【0159】
本発明の化合物と組み合わせるのに有用なCOX阻害剤には、
(i)イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラポプロフェン(prapoprofen)、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、アルクロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセチルサリチル酸、インドメタシン、ピロキシカム、テノキシカム、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、ドロキシカム、フロクタフェニン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク(oxipinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、フルフェニサール、スドキシカム、エトドラク、ピプロフェン(piprofen)、サリチル酸、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチレート、ベノリラート、フェンチアザク、クロピナク(clopinac)、フェプラゾン、イソキシカムおよび2−フルオロ−a−メチル[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸、4−(ニトロオキシ)ブチルエステル(Wenk、他、Europ.J.Pharmacol.453:319〜324(2002)を参照);
(ii)メロキシカム(CAS登録番号71125−38−7;米国特許第4,233,299号に記載されている)、または薬学的に許容できるその塩もしくはプロドラッグ;
(iii)米国特許第6,271,253号に記載されている置換ベンゾピラン誘導体。また、国際公開番号WO98/47890およびWO00/23433と共に米国特許第6,034,256号および第6,077,850号に記載されているベンゾピラン誘導体;
(iv)米国特許第6,077,850号および第6,034,256号に記載されているクロメンCOX2選択的阻害剤;
(v)国際特許出願公開番号WO95/30656、WO95/30652、WO96/38418おおびWO96/38442に記載されている化合物、ならびに薬学的に許容できるそれらの誘導体と共に欧州特許出願公開番号799823に記載されている化合物;
(vi)セレコキシブ(米国特許第5,466,823号)、バルデコキシブ(米国特許第5,633,272号)、デラコキシブ(米国特許第5,521,207号)、ロフェコキシブ(米国特許第5,474,995号)、エトリコキシブ(国際特許出願公開番号WO98/03484)、JTE−522(日本特許出願公開番号9052882)、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくはプロドラッグ;
(vii)三環式Cox−2選択的阻害剤バルデコキシブ(米国特許第5,633,272号に記載)の治療上有効なプロドラッグであるパレコキシブ(米国特許第5,932,598号に記載)、特に、パレコキシブナトリウム;
(viii)ABT−963(国際特許出願公開番号WO00/24719に記載)
(ix)ニメスリド(米国特許第3,840,597号に記載)、フロスリド(J,Carter、Exp.Opin.Ther.Patents、8(1)、21〜29(1997)を参照)、NS−398(米国特許第4,885,367号に開示)、SD 8381(米国特許第6,034,256号に記載)、BMS−347070(米国特許第6,180,651号に記載)、S−2474(欧州特許公開番号595546に記載)およびMK−966(米国特許第5,968,974号に記載);
(x)米国特許第6,395,724号、米国特許第6,077,868号、米国特許第5,994,381号、米国特許第6,362,209号、米国特許第6,080,876号、米国特許第6,133,292号、米国特許第6,369,275号、米国特許第6,127,545号、米国特許第6,130,334号、米国特許第6,204,387号、米国特許第6,071,936号、米国特許第6,001,843号、米国特許第6,040,450号、国際特許出願公開番号WO96/03392、国際特許出願公開番号WO96/24585、米国特許第6,340,694号、米国特許第6,376,519号、米国特許第6,153,787号、米国特許第6,046,217号、米国特許第6,329,421号、米国特許第6,239,137号、米国特許第6,136,831号、米国特許第6,297,282号、米国特許第6,239,173号、米国特許第6,303,628号、米国特許第6,310,079号、米国特許第6,300,363号、米国特許第6,077,869号、米国特許第6,140,515号、米国特許第5,994,379号、米国特許第6,028,202号、米国特許第6,040,320号、米国特許第6,083,969号、米国特許第6,306,890号、米国特許第6,307,047号、米国特許第6,004,948号、米国特許第6,169,188号、米国特許第6,020,343号、米国特許第5,981,576号、米国特許第6,222,048号、米国特許第6,057,319号、米国特許第6,046,236号、米国特許第6,002,014号、米国特許第5,945,539号、米国特許第6,359,182号、国際特許出願公開番号WO97/13755、国際特許出願公開番号WO96/25928、国際特許出願公開番号WO96/374679、国際特許出願公開番号WO95/15316、国際特許出願公開番号WO95/15315、国際特許出願公開番号WO96/03385、国際特許出願第WO95/00501号、国際特許出願第WO94/15932号、国際特許出願公開番号WO95/00501、国際特許出願公開番号WO94/27980、国際特許出願公開番号WO96/25405、国際特許出願公開番号WO96/03388、国際特許出願公開番号WO96/03387、米国特許第5,344,991号、国際特許出願公開番号WO95/00501、国際特許出願公開番号WO96/16934、国際特許出願公開番号WO96/03392、国際特許出願公開番号WO96/09304、国際特許出願公開番号WO98/47890、および国際特許出願公開番号WO00/24719に記載されている化合物および薬学的に許容できる誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
特許出願すべての内容、特に、特許請求の範囲の治療上活性な化合物およびそこに例示されている化合物の一般式は、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。
【0161】
下記の調製および実施例は、式(I)の化合物の調製を説明するものである。
【0162】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての場合において、推定構造と一致した。特徴的な化学シフト(δ)は、主なピークの表記についての従来の略語:例えば、s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、ブロードを用い、テトラメチルシランから低磁場にppm(百万分率)で示す。マススペクトル(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)または大気圧化学イオン化(APCI)を用いて記録した。共通溶媒については下記の略語、すなわち、CDCl、重クロロホルム;D−DMSO、重ジメチルスルホキシド;CDOD、重メタノール;THF、テトラヒドロフランを用いた。「アンモニア」は、0.88の比重を有するアンモニアの濃縮水溶液を指す。薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用する場合、シリカゲル60 F254プレートを用いるシリカゲルTLCを指す。Rは、TLCプレート上で溶媒先端の移動距離で割った化合物の移動距離である。
【0163】
調製1:酢酸ピペリジン−4−イル
【0164】
【化5】

10% Pd/C(500mg)を、酢酸1−ベンジルピペリジン−4−イル[(10.7g、46mmol)、J.Org.Chem.68(2)、613〜616;2003]の変性エタノール(500mL)溶液に加え、混合物を、60psi(約410kPa)の水素ガス中、60℃にて18時間攪拌した。次いで、反応混合物を、アーボセル(登録商標)に通して濾過し、エタノールで十分に洗浄し、濾液を、真空中で濃縮すると、定量的収率で表題化合物7.2gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.60(m,2H)、1.81〜2.18(m,5H)、2.78(m,2H)、2.95〜3.18(m,2H)、4.82(m,1H);MS APCI+ m/z 145[MH]
【0165】
調製2:酢酸1−{[(4−クロロ−2−メチルフェニル)アミノ]カルボノチオイル}ピペリジン−4−イル
【0166】
【化6】

調製1の生成物(3.3g、23mmol)のエタノール(15mL)溶液を、イソチオシアン酸4−クロロ−2−メチルフェニル(4.2g、23mmol)のエタノール(15mL)懸濁液に加え、混合物を、室温にて40分間攪拌した。次いで、溶媒を、減圧下で蒸発させ、残渣を、真空中で18時間乾燥すると、定量的収率で表題化合物が得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.75(m,2H)、1.98(m,2H)、2.10(s,3H)、2.22(s,3H)、3.72(m,2H)、3.98(m,2H)、5.13(m,1H)、6.82(s,1H)、7.05(d,1H)、7.10〜7.22(m,2H)。
【0167】
調製3:酢酸1−{[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボノチオイル}ピペリジン−4−イル
【0168】
【化7】

表題化合物は、調製2の方法と同様の方法を用い、調製1の生成物およびイソチオシアン酸4−クロロフェニルから調製した。トルエンから再結晶すると、81%の収率で固体として表題化合物が得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.75(m,2H)、1.98(m,2H)、2.10(s,3H)、2.20(m,1H)、3.77(m,2H)、4.00(m,2H)、5.03(m,1H)、7.09(d,1H)、7.18(m,1H)、7.31(m,2H);MS APCI+ m/z 313[MH]
【0169】
調製4:酢酸1−[(4−クロロ−2−メチルフェニル)イミノ](メチルチオ)メチル]−ピペリジン−4−イル
【0170】
【化8】

カリウムtert−ブトキシド(2.6g、23.2mmol)を、調製2の生成物(7.52g、23.0mmol)のテトラヒドロフラン(75mL)懸濁液に加え、溶液を、室温にて30分間攪拌した。次いで、トシル酸メチル(4.3g、23.2mmol)を加え、混合物を、2時間攪拌した。Tlc分析は、出発材料のすべてが消費されたわけではないことを示したため、追加量のトシル酸メチル(0.5g、2.7mmol)およびカリウムtert−ブトキシド(0.1g、0.9mmol)を加え、混合物を、さらに30分間攪拌した。次いで、溶媒を、減圧下で蒸発させ、残渣を、酢酸エチルと水の間で分配した。水層を分離し、酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機溶液を、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ペンタン:ジクロロメタン、80:20〜0:100で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、53%の収率で褐色の油として表題化合物4.2gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.72(m,2H)、1.98(m,2H)、2.09(m,9H)、3.39(m,2H)、3.90(m,2H)、5.01(m,1H)、6.69(d,1H)、7.05(d,1H)、7.12(s,1H);MS APCI+ m/z 341/343[MH]
【0171】
調製5:酢酸1−[(4−クロロフェニル)イミノ](メチルチオ)メチル]ピペリジン−4−イル
【0172】
【化9】

表題化合物は、調製4と同様の方法を用い、調製3の生成物から定量的収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.71(m,2H)、1.95(m,2H)、2.05(s,3H)、2.07(s,3H)、3.40(m,2H)、3.91(m,2H)、5.00(m,1H)、6.81(d,2H)、7.22(d,2H)
【0173】
調製6:酢酸1−[4−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル
【0174】
【化10】

ブタノール(40mL)中の調製4の生成物(4.2g、12.35mmol)およびアセトヒドラジド(1.0g、13.6mmol)の混合物を、還流下で18時間加熱した。次いで、tlc分析が、すべての出発材料が消費されたことを示すまで、一定の間隔で追加量のアセトヒドラジド(2.0g、27.2mmol)を加えた。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、100:0:0〜95:5:0.5で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、46%の収率で表題化合物2.0gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.58(m,2H)、1.78(m,2H)、2.00〜2.12(m,9H)、2.90〜3.03(m,2H)、3.25(m,2H)、4.84(m,1H)、7.12(d,1H)、7.32(d,1H)、7.40(s,1H);MS APCI m/z 349[MH]
【0175】
調製7:酢酸1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル
【0176】
【化11】

表題化合物は、調製6と同様の方法を用い、調製5の生成物から36%の収率で固体として調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.58(m,2H)、1.77(m,2H)、2.02(s,3H)、2.25(s,3H)、2.95(m,2H)、3.23(m,2H)、4.91(m,1H)、7.28(d,2H)、7.52(d,2H);MS APCI+ m/z 335[MH]
【0177】
調製8:1−[4−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−オール
【0178】
【化12】

調製6の生成物(2.79g、8mmol)および炭酸カリウム溶液(メタノール中1M、24mL、24mmol)の混合物を4時間攪拌した。次いで、混合物を、減圧下で蒸発させ、水性残渣を、酢酸エチルで希釈した。層を分離し、有機層を、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮した。酢酸エチルから残渣を再結晶すると、77%の収率で固体として表題化合物1.9gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.43(m,2H)、1.80(m,2H)、2.05〜2.14(m,6H)、2.80〜2.97(m,2H)、3.30(m,2H)、3.78(m,1H)、7.10(d,1H)、7.33(d,1H)、7.39(s,1H);MS APCI+ m/z 307[MH]
【0179】
調製9:1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−オール
【0180】
【化13】

表題化合物は、調製8と同様の方法を用い、調製7の生成物から95%の収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.48(m,2H)、1.70(s,3H)、1.82(m,2H)、2.81(m,2H)、3.25(m,2H)、3.78(m,1H)、7.29(d,2H)、7.52(d,2H);MS APCI+ m/z 293[MH]
【0181】
調製10:4−(ピリジン−2−イルオキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0182】
【化14】

1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン(3.0g、14.9mmol)を、水素化ナトリウム(鉱油中60%、600mg、14.9mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(50mL)懸濁液に加え、混合物を、室温にて10分間攪拌した。2−ブロモピリジン(1.43mL、14.9mmol)を加え、混合物を、還流下で6時間加熱した。次いで、混合物を、室温まで冷却し、酢酸エチル(250mL)で希釈し、食塩水(5×150mL)で洗浄した。有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ペンタン:酢酸エチル、80:20で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、82%の収率で無色の油として表題化合物3.40gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.46(s,9H)、1.71(m,2H)、1.99(m,2H)、3.28(m,2H)、3.79(m,2H)、5.22(m,1H)、6.70(d,1H)、6.86(m,1H)、7.58(m,1H)、8.12(d,1H);MS APCI+ m/z 279[MH]
【0183】
調製11:2−(ピペリジン−4−イルオキシ)ピリジン二塩酸塩
【0184】
【化15】

塩酸(ジオキサン中4M、20mL)を、調製10の生成物(3.36g、12.1mmol)のメタノール(3mL)溶液に加え、混合物を、室温にて30分間攪拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮すると、定量的収率で白色の固体として表題化合物3.03gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.19(m,2H)、2.38(m,2H)、3.32(m,2H)、3.45(m,2H)、5.32(m,1H)、7.55(d,1H)、7.78(m,1H)、8.44(d,1H)、8.53(m,1H)
【0185】
調製12:N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリジン−2−イルオキシ)ピペリジン−1−カルボチオアミド
【0186】
【化16】

調製11の生成物(3.03g、11.94mmol)を、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム溶液の間で分配した。次いで、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、遊離塩基が生成した。次いで、この中間体を、エタノール(30mL)に溶かし、イソチオシアン酸4−クロロ−2−フェニル(1.26g、8.02mmol)を少しずつ加え、混合物を、5時間攪拌した。得られた沈殿を、濾過により集めて乾燥すると、49%の収率で表題化合物1.36gが得られた。
H NMR(DMSO,400MHz)δ:1.71(m,2H)、2.04(m,2H)、3.72(m,2H)、4.24(m,2H)、5.30(m,1H)、6.79(d,1H)、7.30(m,4H)、7.69(m,1H)、8.14(d,1H)、9.38(s,1H);MS APCI+ m/z 348[MH]
【0187】
調製13:N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリジン−2−イルオキシ)ピペリジン−1−カルボイミドチオ酸メチル
【0188】
【化17】

調製12の生成物(1.35g、3.9mmol)を、テトラヒドロフラン(30mL)中で0℃にて10分間攪拌した。カリウムtert−ブトキシド(480mg、4.28mmol)を加え、溶液を、0℃にて15分間攪拌した。トシル酸メチル(760mg、4.08mmol)を加え、混合物を、0℃にて30分間、次いで、室温にて3時間攪拌した。次いで、混合物を、酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄した。有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、91%の収率で表題化合物1.28gが得られた。
H NMR(DMSO,400MHz)δ:1.52(s,9H)、1.84(m,4H)、2.23(s,3H)、2.88(m,2H)、3.24(m,2H)、3.52(brs,1H)、4.41(m,1H)、7.22(d,2H)、7.51(d,2H);MS APCI+ m/z 362[MH]
【0189】
調製14:(1−{[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボノチオイル}−ピペリジン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチル
【0190】
【化18】

イソチオシアン酸エステル(71.3g、125.6mmol)を、4−(N−BOCアミノ)ピペリジン(25.2g、125.8mmol)のエタノール(100mL)懸濁液に加え、混合物を、15分間攪拌した。得られた沈殿を、濾過により集めて乾燥すると、91%の収率で表題化合物42.3gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.29〜1.54(m,11H)、2.01(d,2H)、3.20(m,2H)、3.74(brs,1H)、4.35〜4.55(m,3H)、7.09(d,2H)、7.17(bs,1H)、7.32(d,2H);MS ES m/z 392 [MNa];微量分析実測値(%);C(55.20)、H(6.54)、N(11.36);C1724ClNS 計算値(%);C(55.12)、H(6.54)、N(11.28)。
【0191】
調製15:4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−N−(4−クロロフェニル)ピペリジン−1−カルボイミドチオ酸メチル
【0192】
【化19】

カリウムtert−ブトキシド(17.8g、114.3mmol)を、調製14の生成物(42.3g、114.3mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)懸濁液に加え、溶液を、室温にて10分間攪拌した。次いで、トシル酸メチル(21.29g、114.3mmol)および追加のテトラヒドロフラン(200mL)を加え、混合物を、10分間攪拌した。Tlc分析は、出発材料のすべてが消費されたわけではないことを示したため、追加量のトシル酸メチル(1.08g、5.72mmol)およびカリウムtert−ブトキシド(641mg、5.72mmol)を加え、混合物を、10分間攪拌した。次いで、反応混合物を、水(200mL)で希釈し、相を分離した。有機溶液を、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、定量的収率で白色の固体として表題化合物が得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.34〜1.52(m,11H)、2.00(d,2H)、2.05(s,3H)、3.04(m,2H)、3.68(brs,1H)、4.19(d,2H)、4.50(m,1H)、6.80(d,2H)、7.20(d,2H);MS APCI+ m/z 384[MH]
【0193】
調製16:{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}カルバミン酸tert−ブチル
【0194】
【化20】

テトラヒドロフラン(250mL)中の調製15の生成物(43.89g、114.4mmol)、ヒドラジド(16.9g、288mmol)、およびトリフルオロ酢酸(4mL、57.1mmol)の混合物を、還流下で7時間加熱した。次いで、反応混合物を、室温まで冷却し、希アンモニア溶液および食塩水で洗浄した。水相を、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、油が得られた。この油を、酢酸エチルから再結晶し、ジエチルエーテルと共に粉砕すると、72%の収率で表題化合物32.37gが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.32(m,2H)、1.40(s,9H)、1.85(m,2H)、2.22(s,3H)、2.84(m,2H)、3.24(m,2H)、3.52(bs,1H)、4.44(m,1H)、7.24(d,2H)、7.51(d,2H);MS APCI m/z 392[MH]
【0195】
調製17:1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−アミン塩酸塩
【0196】
【化21】

塩酸(ジオキサン中4M、30mL)を、調製16の生成物(32.33g、87.5mmol)のジオキサン(200mL)溶液に加え、混合物を、室温にて66時間攪拌した。反応混合物を、3時間の間に50℃まで温め、メタノール(50mL)および追加の塩酸(ジオキサン中4M、200mL)を、1.5時間の間隔で加えた。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を、テトラヒドロフランと共沸させると、定量的収率で白色の固体として表題化合物50gが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.65(m,2H)、1.96(m,2H)、2.36(s,3H)、3.07(m,2H)、3.36(m,1H)、3.47(m,2H)、7.66(d,2H)、7.75(d,2H);MS APCI m/z 292[MH]
【0197】
調製18:{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}メチルカルバミン酸tert−ブチル
【0198】
【化22】

水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、130mg、3.4mmol)を、調製16の生成物(250mg、0.68mmol)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に加え、混合物を、5℃にて10分間攪拌した。次いで、ヨウ化メチル(84μL、1.36mmol)を加え、混合物を、室温にて2.5時間攪拌した。追加のヨウ化メチル(84μL、1.36mmol)を反応混合物に加え、攪拌を、18時間続けた。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を、ジクロロメタンと水の間で分配した。水相を、ジクロロメタンで抽出し、合わせた有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、95:5:0.5で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、29%の収率で表題化合物80mgが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.42(s,9H)、1.50〜1.68(m,4H)、2.22(s,3H)、2.68(s,3H)、2.84(m,2H)、3.33(m,2H)、4.06(m,1H)、7.24(d,2H)、7.50(d,2H);MS APCI m/z 406[MH]
【0199】
調製19:1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−N−メチルピペリジン−4−アミン塩酸塩
【0200】
【化23】

塩酸(ジオキサン中4M、1mL)を、調製18の生成物(80mg、0.2mmol)のメタノール(3mL)溶液に加え、混合物を、室温にて2時間攪拌した。次いで、反応混合物を、真空中で濃縮すると、定量的収率で白色の固体として表題化合物90mgが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.69(m,2H)、2.09(m,2H)、2.38(s,3H)、2.69(s,3H)、3.10(m,2H)、3.29(m,1H)、3.50(m,2H)、7.63〜7.82(m,4H);MS APCI m/z 306[MH]
【0201】
調製20:N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2−アミン
【0202】
【化24】

エタノール(200mL)中の4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(20.6g、108mmol)および2−クロロピリミジン(12.4g、108mmol)の混合物を、還流下で18時間加熱した。反応混合物を、室温まで冷却し、結晶化が起きるまで真空中で低容量に濃縮した。次いで、固体を濾去すると、41%の収率で表題化合物12gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.57(m,2H)、2.02(m,2H)、2.20(m,2H)、2.81(m,2H)、3.51(s,2H)、3.86(m,1H)、5.00(m,1H)、6.50(m,1H)、7.21〜7.38(m,5H)、8.27(m,2H)
【0203】
調製21:N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−N−メチルピリジン−2−アミン
【0204】
【化25】

トルエン(20mL)中の4−メチルアミノ−1−ベンジルピペリジン[(1.5g、6.2mmol)、J.Med.Chem.39、3769〜89;1996]、1−ブロモピリジン(0.98g、6.2mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(0.68g、7.3mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(102mg、0.24mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(113mg、0.12mmol)の混合物を、還流下で4時間加熱した。Tlc分析は、出発材料が依然として存在することを示したため、追加のブロモピリジン(0.49g、3.1mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(113mg、0.12mmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(102mg、0.24mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(0.68g、7.3mmol)を加え、加熱を、さらに3時間続けた。次いで、混合物を、ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄した。有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、40%の収率で表題化合物0.69gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.50〜2.40(brm,6H)、2.65〜2.90(m,5H)、3.55(s,2H)、4.57(m,1H)、6.50(m,2H)、7.24〜7.43(m,6H)、8.18(m,1H);MS APCI 282 m/z[MH]
【0205】
調製22:N−ピペリジン−4−イルピリミジン−2−アミン
【0206】
【化26】

10%水酸化パラジウム(200mg)を、調製20の生成物(3g、11mmol)のエタノール(300mL)溶液に加え、混合物を、60psi(約410kPa)の水素中、60℃にて2時間攪拌した。次いで、反応混合物を、室温まで冷却し、アーボセル(登録商標)に通して濾過し、エタノールで十分に洗浄した。濾液を真空中で濃縮すると、定量的収率で表題化合物2gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.38(m,2H)、2.04(m,2H)、2.72(m,2H)、3.06(m,2H)、3.90(m,1H)、6.48(m,1H)、8.26(m,2H)
【0207】
調製23:N−メチル−N−ピペリジン−4−イルピリジン−2−アミン
【0208】
【化27】

表題化合物は、調製22の方法と同様の方法を用い、調製21の生成物から42%の収率で黒色の油として調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.50〜2.00(brm,4H)、2.65〜2.90(m,5H)、3.15(m,2H)、4.57(m,1H)、6.50(m,2H)、7.43(m,1H)、8.18(m,1H)。
【0209】
調製24:N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−カルボチオアミド
【0210】
【化28】

表題化合物は、調製2の方法と同様の方法を用い、調製22の生成物およびイソチオシアン酸4−クロロフェニルから72%の収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.60(m,2H)、2.17(m,2H)、3.32(m,2H)、4.11(m,1H)、4.50(m,2H)、5.02(m,1H)、6.56(m,1H)、7.09(d,2H)、7.32(d,2H)、8.09(m,2H)。
【0211】
調製25:N−(4−クロロフェニル)−4−[メチル(ピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボチオアミド
【0212】
【化29】

表題化合物は、調製2の方法と同様の方法を用い、調製23の生成物およびイソチオシアン酸4−クロロフェニルから49%の収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.78〜1.90(m,4H)、2.89(s,3H)、3.25(m,2H)、4.72(m,2H)、5.03(m,1H)、6.58(m,2H)、7.08〜7.32(m,5H)、8.09(m,1H);MS APCI 361 m/z[MH]
【0213】
調製26:N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリミジン−2−イルアミノ)ピペリジン−1−カルボイミドチオ酸メチル
【0214】
【化30】

表題化合物は、調製4の方法と同様の方法を用い、調製24の生成物から35%の収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.52(m,2H)、2.04(2xs,異性体,3H)、2.12(m,2H)、3.13(m,2H)、4.25(m,2H)、5.09(m,1H)、6.55(m,1H)、6.82(d,2H)、7.20(d,2H)、8.29(m,2H);MS APCI 362 m/z[MH]
【0215】
調製27:N−(4−クロロフェニル)−4−[メチル(ピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボイミドチオ酸メチル
【0216】
【化31】

表題化合物は、調製4の方法と同様の方法を用い、調製25の生成物から92%の収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.78(m,4H)、2.07(s,3H)、2.95(s,3H)、3.03(m,2H)、4.42(m,2H)、4.86(m,1H)、6.50(d,1H)、6.55(m,1H)、6.82(d,2H)、7.20(d,2H)、7.46(m,1H)、8.18(m,1H);MS APCI 375 m/z[MH]
【0217】
調製28:4−(ピリミジン−2−イルオキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0218】
【化32】

1−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(10g、50mmol)を、テトラヒドロフラン(200mL)に溶かし、5℃まで冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、2.5g、65mmol)を少しずつ加え、得られた混合物を、5℃にて30分間攪拌した。1−クロロピリミジン(11.4g、99mmol)を加え、混合物を、室温にて18時間攪拌した。次いで、混合物を濾過し、真空中で濃縮し、残渣を、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ジイソプロピルエーテル(50mL)から残渣を再結晶すると、68%の収率で表題化合物9.5gが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.49(s,9H)、1.76(m,2H)、2.03(m,2H)、3.36(m,2H)、3.78(m,2H)、5.28(m,1H)、7.09(m,1H)、8.57(m,2H);MS ES 280 m/z[MH]
【0219】
調製29:2−(ピペリジン−4−イルオキシ)ピリミジン塩酸塩
【0220】
【化33】

表題化合物は、調製11の方法と同様の方法を用い、調製28の生成物から定量的収率で固体として8.5g調製した。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:2.20(m,2H)、2.35(m,2H)、3.32(m,2H)、3.43(m,2H)、5.58(m,1H)、7.42(m,1H)、8.86(m,2H);MS ES 180 m/z[MH]
【0221】
調製30:N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリミジン−2−イルオキシ)ピペリジン−1−カルボチオアミド
【0222】
【化34】

表題化合物は、調製2の方法と同様の方法を用い、調製29の生成物から調製した。粗製化合物を、酢酸エチルおよびジイソプロピルエーテルから再結晶すると、79%の収率で表題化合物が得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.91(m,2H)、2.15(m,2H)、3.95(m,2H)、4.22(m,2H)、5.39(m,1H)、7.11(d,1H)、7.30(m,4H)、8.58(m,2H);MS APCI m/z 349[MH]
【0223】
調製31:N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリミジン−2−イルオキシ)ピペリジン−1−カルボイミドチオ酸メチル
【0224】
【化35】

表題化合物は、調製4の方法と同様の方法を用い、調製30の生成物から定量的収率で9.9g調製した。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.90(m,2H)、2.15(m,5H)、3.53(m,2H)、3.97(m,2H)、5.32(m,1H)、6.82(d,2H)、7.09(m,1H)、7.22(d,2H)、8.59(m,2H);MS APCI 363 m/z[MH]
【0225】
調製32:2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル酢酸メチル
【0226】
【化36】

アセトニトリル(100mL)中の1,2,3−トリアゾール(10g、144mmol)、ブロモ酢酸メチル(22g、144mmol)および炭酸カリウム(20g、144mmol)の混合物を、還流下で18時間加熱した。次いで、混合物を、酢酸エチルで希釈し、水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、56%の収率で表題化合物11.4gが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.79(2xs,異性体,3H)、5.22(2xs,異性体,2H)、7.70(d,1H)、7.89(d,1H)
【0227】
調製33:2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)アセトヒドラジド
【0228】
【化37】

メタノール(6mL)中の調製32の生成物(1g、7.1mmol)およびヒドラジン一水和物(1.4g、29mmol)の混合物を、還流下で24時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で蒸発させると、油状の残渣が得られた。残渣を、メタノールから再結晶すると、24%の収率で結晶性固体として表題化合物245mgが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.90(brs,2H)、5.22(2xs,異性体,2H)、7.29(s,1H)、7.80(s,1H)
【0229】
調製34:3−(3−クロロ−フェノキシ)−アゼチジン−1−カルボチオ酸(4−クロロ−フェニル)−アミド
【0230】
【化38】

3−(3−クロロ−フェノキシ)−アゼチジン2.0g(10.9mmoles、1当量)をEtOH100mlに溶かし、1−クロロ−4−イソチオシアナト−ベンゼン1.9g(11.4mmoles、1.05当量)を加えた。溶液を、室温にて一夜攪拌した。溶媒を減圧下で除去すると、白色の固体が得られた。この固体を、カラムクロマトグラフィー(DCMおよびペンタンのグラジエントを用いて)により精製すると、白色の固体として表題化合物750mg(19.5%)が得られた。HNMR(CDCl,400MHz):4.20(s,2H)、4.42(m,2H)、4.60(m,1H)、5.10(s,1H)、6.60(m,1H)、6.70(m,1H)、7.00(m,1H)、7.05〜7.40(m,5H);MS ES+ m/z 317[MH]355
【0231】
調製35:3−(3−クロロ−フェノキシ)−N−(4−クロロ−フェニル)−アゼチジン−1−カルボキシイミドチオ酸メチルエステル
【0232】
【化39】

調製34からの化合物750mg(2.1mmoles、1当量)をTHF50mlに溶かし、次いで、カリウムtert−ブトキシド238mg(2.1mmoles、1当量)を加えた。溶液を、室温にて5分間攪拌し、次いで、トシル酸メチル395mg(2.1mmoles、1当量)を加えた。混合物を、一夜攪拌し、溶媒を、減圧下で除去した。次いで、残渣を、AcOEtにとり、溶液を、水と、続いて食塩水で洗浄し、次いで、MgSOで乾燥した。揮発性物質を減圧下で除去すると、表題化合物810mg(>100%)が得られ、これを、実施例51の調製に直接使用した。
【実施例】
【0233】
(実施例1)
1−[4−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−4−(3−クロロフェノキシ)ピペリジン
【0234】
【化40】

ポリマー担持型トリフェニルホスフィン(300mg)、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(157mg、0.68mmol)および調製8の生成物(100mg、0.34mmol)を、氷冷した3−クロロフェノール(87mg、0.68mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に加え、反応混合物を、室温にて3時間攪拌した。次いで、反応混合物を、濾過管に通して濾過し、ジクロロメタンで十分に洗浄した。トリフルオロ酢酸(1mL)を濾液に加え、混合物を45分間攪拌した。反応混合物を、6M水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥して真空中で濃縮した。残渣を、アセトニトリル:アセトニトリル/ジエチルアミン(99.9:0.1)5:95〜95:5で溶出するPhenomenex Luna C18システムを用いるHPLCにより精製すると、13%の収率で表題化合物18mgが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.60(m,2H)、1.81(m,2H)、2.02(s,3H)、2.06(s,3H)、2.97(m,2H)、3.13〜3.43(brm,2H)、4.42(m,1H)、6.78(d,1H)、6.83(m,2H)、7.12(m,1H)、7.32(d,1H)、7.39(d,1H)、7.49(s,1H);MS ES+ m/z 417、423[MH]
【0235】
(実施例2〜30)
以下に示す一般式の下記化合物は、実施例1と同様の方法を用い、調製8および9から調製した。
【0236】
【化41】

【0237】
【表1−1】

【0238】
【表1−2】

【0239】
【表1−3】

【0240】
【表1−4】

【0241】
【表1−5】

【0242】
【表1−6】

【0243】
(実施例31)
2−({1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}オキシ)ピリジン
【0244】
【化42】

調製9の生成物(100mg、0.34mmol)、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、30mg、0.68mmol)、1−メチル−2−ピロリジノン(2mL)、および2−クロロピリジン(78μL、0.68mmol)の混合物を、還流下で18時間加熱した。次いで、反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、食塩水(×5)で洗浄した。有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、54%の収率で泡として表題化合物69mgが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.68(m,2H)、1.95(m,2H)、2.21(s,3H)、2.96(m,2H)、3.26(m,2H)、5.11(m,1H)、6.63(m,1H)、6.80(m,1H)、7.28(m,2H)、7.52(m,3H)、8.05(d,1H);MS APCI+ m/z 370[MH]
【0245】
(実施例32)
2−({1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}オキシ)ピリミジン
【0246】
【化43】

水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、17mg、0.44mmol)を、氷冷した調製9の生成物(100mg、0.34mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に加え、混合物を、20分間攪拌した。2−クロロピリミジン(78mg、0.68mmol)を加え、混合物を、室温にて3時間攪拌した。次いで、反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、48%の収率で表題化合物60.7mgが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.73(m,2H)、1.99(m,2H)、2.22(s,3H)、2.98(m,2H)、3.32(m,2H)、5.06(m,1H)、6.89(m,1H)、7.27(m,2H)、7.45(m,2H)、8.45(d,2H);MS APCI m/z 371[MH]
【0247】
(実施例33)
2−({1−[4−(4−クロロフェニル)−5−(メトキシメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}オキシ)ピリジン
【0248】
【化44】

テトラヒドロフラン(15mL)中の調製13の生成物(252g、0.69mmol)メトキシアセトヒドラジド(80mg、0.77mmol)およびトリフルオロ酢酸(26μL、0.35mmol)の混合物を、還流下で5時間加熱した。次いで、反応混合物を、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン:メタノール:95:5で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、65%の収率で表題化合物180mgが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.73(m,2H)、1.98(m,2H)、3.05(m,2H)、3.37(m,5H)、4.31(s,2H)、5.16(m,1H)、6.68(m,1H)、6.82(m,1H)、7.42〜7.58(m,5H)、8.09(d,1H);MS ES+ m/z 400[MH]
【0249】
(実施例34〜38)
以下に示す一般式の下記化合物は、実施例33と同様の方法を用い、調製31の生成物および適切なヒドラジドから調製した。
【0250】
【化45】

【0251】
【表2−1】

【0252】
【表2−2】

【0253】
(実施例39)
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}ピリミジン−2−アミン
【0254】
【化46】

表題化合物は、実施例33の方法と同様の方法を用い、調製26の生成物およびアセトヒドラジドから、58%の収率で固体として調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.44(m,2H)、2.00(m,2H)、2.23(s,3H)、2.96(m,2H)、3.31(m,2H)、3.94(m,1H)、4.96(m,1H)、6.51(m,1H)、7.28(d,2H)、7.52(d,2H)、8.24(m,2H);MS APCI 370 m/z[MH]
【0255】
(実施例40)
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−N−メチルピリジン−2−アミン
【0256】
【化47】

表題化合物は、実施例33の方法と同様の方法を用い、調製27の生成物およびアセトヒドラジドから、58%の収率で固体として調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.56〜1.78(m,4H)、2.22(s,3H)、2.80(s,3H)、2.98(m,2H)、3.38(m,2H)、4.63(m,1H)、6.44(d,1H)、6.51(m,1H)、7.25(d,2H)、7.42(m,1H)、7.50(d,2H)、8.10(m,1H);MS APCI 383 m/z[MH]
【0257】
(実施例41)
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン
【0258】
【化48】

エタノール(2mL)中の調製19の生成物(90mg、0.2mmol)、2−クロロピリミジン(23mg、0.2mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(130mg、1mmol)の混合物を、還流下で18時間加熱した。Tlc分析は、50%の出発原料が残っていることを示したため、2−ブロモピリミジン(32mg、0.2mmol)、炭酸カリウム(27.6mg、0.4mmol)、ヨウ化ナトリウム(10mg)および1−メチル−2−ピロリジノン(2mL)を加え、反応混合物を、還流下でさらに18時間加熱した。次いで、混合物を、酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、30%の収率で表題化合物23mgが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.58(m,2H)、1.77(m,2H)、2.23(s,3H)、2.82〜3.00(m,5H)、3.38(m,2H)、4.70(m,1H)、6.57(m,1H)、7.50(d,2H)、7.65(d,2H)、8.30(m,2H);MS APCI 384 m/z[MH]
【0259】
(実施例42)
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}ピリジン−2−アミン
【0260】
【化49】

トルエン(5mL)中の調製17の生成物(100mg、0.34mmol)、1−ブロモピリジン(54mg、0.34mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(38mg、0.39mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(5.6mg、14μmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(6.3mg、6.8μmol)の混合物を、還流下で18時間加熱した。次いで、混合物を、酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄し、有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、該当する分画をエーテルと共に粉砕すると、6%の収率で表題化合物8mgが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.39(m,2H)、1.89(m,2H)、2.20(s,3H)、2.92(m,2H)、3.18〜3.38(m,2H)、3.75(m,1H)、6.50(m,2H)、7.39(d,1H)、7.51(d,2H)、7.64(m,2H)、7.89(m,1H);MS APCI 370 m/z[MH]
【0261】
(実施例43)
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−3−ニトロピリジン−2−アミン
【0262】
【化50】

トリエチルアミン(0.84mL、6.03mmol)および2−クロロ−3−ニトロピリジン(319mg、2.01mmol)を、調製17の生成物(1g、2.01mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)懸濁液に加え、混合物を、室温にて18時間攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(3滴)を加え、混合物を、還流下で24時間加熱した。次いで、溶媒を、減圧下で蒸発させ、残渣を、水とジクロロメタンの間で分配した。有機層を分離し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、100:0:0〜95:5:0.5で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。該当する分画を、減圧下で蒸発させ、残渣を、酢酸エチルと共沸させると、30%の収率で黄色の固体として表題化合物250mgが得られた。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.47(m,2H)、1.97(m,2H)、2.18(s,3H)、2.93(m,2H)、3.29(m,2H)、4.24(m,1H)、6.56(d,1H)、7.30(d,2H)、7.54(d,2H)、8.05(d,1H)、8.36(m,1H)、8.39(m,1H);MS APCI+ m/z 414[MH]
【0263】
(実施例44および45)
以下に示す一般式の下記化合物は、実施例43と同様の方法を用い、調製17の生成物から調製した。
【0264】
【化51】

【0265】
【表3】

【0266】
(実施例46)
−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}ピリジン−2,3−ジアミン
【0267】
【化52】

実施例43の生成物(200mg、0.48mmol)およびラネーニッケル(商標)(20mg)を、テトラヒドロフラン(15mL)およびエタノール(7mL)の混合物に加え、混合物を、30psi(約210kPa)の水素ガス中で18時間攪拌した。次いで、反応混合物を、ガラス繊維濾紙に通して濾過し、濾液を、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンと共沸させると、白色の固体が得られた。この固体を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。該当する分画を、真空中で濃縮し、残渣を、ジクロロメタンと共沸させると、96%の収率で淡黄色の固体として表題化合物176mgが得られた。
H NMR(DMSO,400MHz)δ:1.33(m,2H)、1.84(m,2H)、2.11(s,3H)、2.76(m,2H)、3.15(m,2H)、3.90(m,1H)、6.29(m,1H)、6.62(d,1H)、7.30(d,1H)、7.52(d,2H)、7.64(d,2H);MS APCI+ m/z 384[MH]
【0268】
(実施例47)
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}ベンゼン−1,2−ジアミン
【0269】
【化53】

表題化合物は、実施例46の方法と同様の方法を用い、実施例44の生成物から定量的収率で調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.40(m,2H)、1.97(m,2H)、2.25(s,3H)、2.92(m,2H)、3.28(m,2H)、3.68(m,1H)、6.57(m,1H)、6.63(m,2H)、6.72(m,1H)、7.27(d,2H)、7.51(d,2H);MS ES+ m/z 405[MH]
【0270】
(実施例48)
2−({1−[4−(4−クロロフェニル)−5−(メトキシメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}オキシ)ピリミジン
【0271】
【化54】

ブタノール(2mL)中の調製31の生成物(200mg、0.55mmol)およびメトキシアセトヒドラジド(57mg、0.55mmol)の混合物を、140℃にて18時間加熱した。次いで、混合物を、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、90:10:1で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、45%の収率で表題化合物100mgが得られた。
H NMR(CDOD,400MHz)δ:1.78(m,2H)、2.00(m,2H)、3.04(m,2H)、3.24(s,3H)、3.32(m,2H)、4.33(s,2H)、5.09(m,1H)、7.05(m,1H)、7.57(d,2H)、7.64(d,2H)、8.52(d,2H);MS ES+ m/z 401[MH]
【0272】
(実施例49)
2−{1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イルアミノ}−ベンゾニトリル
【0273】
【化55】

調製9のピペリジン(830mg、2.85mmol)を、1−メチル−2−ピロリジノン(5mL)中で2−フルオロ−ベンゾニトリル(3.45g、28.5mmol)および炭酸カリウム(565mg、5.7mmol)と混ぜ、120℃にて18時間加熱した。反応混合物を、室温まで冷却し、水と酢酸エチルの間で分配した。有機相を、水で3回、次いで食塩水で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を、減圧下で蒸発させた。残渣を、溶離液としてジクロロメタン中メタノール0〜5%のグラジエントを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製した。単離した固体を、ジエチルエーテルと共に粉砕すると、灰色がかった白色の固体として表題化合物(540mg)が得られた。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.44(m,2H)、2.03(d,2H)、2.16(s,3H)、2.92(t,2H)、3.38(d,2H)、3.47(m,1H)、4.38(d,1H)、6.66(m,2H)、7.31(m,2H)、7.38(m,2H)、7.67(d,2H);APCI:m/z 393[MH]
【0274】
(実施例50)
2−{1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イルアミノ}−ベンズアミド
【0275】
【化56】

実施例49のベンゾニトリル(450mg、1.15mmol)を、ジオキサン(15ml)に溶かし、6N水性水酸化ナトリウム(2ml、11.5mmol)を加えた。混合物を、48時間、100℃まで加熱した。追加の6N水性水酸化ナトリウム(2ml、11.5mmol)を加え、加熱を、さらに48時間続けた。反応混合物を、室温まで冷却し、2N水性水酸化ナトリウムと酢酸エチルの間で分配した。有機相を、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を、減圧下で蒸発させた。残渣を、ジエチルエーテルと共に粉砕することにより精製すると、黄色の固体として表題化合物(363mg)が得られた。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.42(m,2H)、1.97(d,2H)、2.13(s,3H)、2.95(t,2H)、3.28(m,2H)、3.53(m,1H)、6.57(t,1H)、6.77(d,1H)、7.24(t,1H)、7.51(m,3H)、7.64(d,2H);APCI:m/z 411[MH]
【0276】
(実施例51)
3−[3−(3−クロロ−フェノキシ)−アゼチジン−1−イル]−4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール
【0277】
【化57】

調製35からの化合物780mg(2.12mmoles、1当量)、酢酸ヒドラジド470mg(6.37mmoles、3当量)および酢酸250mg(4.25mmoles、2当量)を、n−ブタノール15mlに溶かし、溶液を、3日間加熱還流した。次いで、溶媒を、減圧下で除去し、残渣を、DCMおよびDCM:MeOH(95:5v/v)のグラジエントを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物319mg(39%)が得られた。
HNMR(CDCl,400MHz):2.20(s,3H)、3.90(m,2H)、4.10(m,2H)、4.90(m,1H)、6.55(m,1H)、6.62(m,1H)、7.00(m,1H)、7.20(m,1H)、7.25(m,2H)、7.50(m,2H);MS APCI m/z 317[MH]375(+同位体ピーク)。
【0278】
実施例の化合物すべてを、上述のアッセイで試験すると、500nM未満のKi値を有することが判明した。
【0279】
具体的試験結果の例を以下に示す。
【0280】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその誘導体
【化1】

[式中、
Rは、C1〜6アルキル(C1〜6アルキルオキシまたはHetにより置換されていてもよい)、またはC1〜6アルキルオキシを表し、
およびRは、各々独立して、水素、ハロまたはC1〜6アルキルを表し、
環Aは、Hetを表し、
Xは、OまたはNRを表し、
は、水素またはC1〜6アルキルを表し、
環Bは、フェニル基またはHetを表し、それらのどちらも、ハロ、CN、C1〜6アルキルオキシ、CF、C1〜6アルキル、NHおよびNOから選択される1個または複数の基で置換されていてもよく、
HetおよびHetは、各々独立して、(a)1〜4個の窒素原子、(b)1個の酸素もしくは1個の硫黄原子または(c)1個の酸素原子もしくは1個の硫黄原子および1または2個の窒素原子を含む5または6員の飽和、部分的不飽和もしくは芳香族複素環基を表し、
Hetは、(a)1〜4個の窒素原子、(b)1個の酸素もしくは1個の硫黄原子または(c)1個の酸素原子もしくは1個の硫黄原子および1または2個の窒素原子を含む5または6員の芳香族複素環基を表す]。
【請求項2】
Rが、メチル、メトキシ;メトキシメチルまたはエトキシメチルを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、メチレン−Hetを表し、Hetが、トリアゾリル、モルホリニルまたはピペリジニルを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、クロロを表す請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素またはメチルを表す請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
環Aが、窒素原子を介してトリアゾール環に結合している請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
環Aが、ピペリジニレンを表す請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、Oを表す請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Xが、NRを表し、Rが、HまたはMeを表す請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
環Bが、フェニル、ピリジニルまたはピラジニルを表す請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
環Bが、一置換または二置換されている請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
環B上の1個または複数の置換基が、F、Cl、CN、メチル、メトキシ、CF、NO、およびCONHから独立して選択される請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−4−フェノキシ−ピペリジン;
2−({1−[4−(4−クロロフェニル)−5−(メトキシメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}オキシ)ピリジン;
2−{1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−ピリミジン;
2−{1−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−エトキシ−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−ピリミジン;
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−N−メチルピリジン−2−アミン;および
N−{1−[4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン
から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
薬剤としての請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
V1a拮抗薬が適応とされる障害を治療するためのヒトを含む哺乳類の治療の方法であって、治療有効量の請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項16】
不安症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、排卵痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病を治療するためのヒトを含む哺乳類の治療方法であって、治療有効量の請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物をそのような障害に悩む患者に投与することを含む治療方法。
【請求項17】
障害が月経困難症(原発性または続発性)である請求項15または16に記載の治療方法。
【請求項18】
V1a受容体拮抗薬が適応とされる障害を治療するための薬剤の製造における請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
不安症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、排卵痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病を治療するための薬剤の製造における請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
障害が月経困難症(原発性または続発性)である請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体と一緒に、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項22】
(A)請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物と(B)別の薬理学的に活性な成分の組合せ。
【請求項23】
(B)が経口避妊薬、PDEV阻害剤、COX阻害剤、NOドナーまたはL−アルギニンである請求項22に記載の組合せ。
【請求項24】
月経困難症の治療における同時、逐次または個別投与による組合せ療法のための薬剤を製造するための請求項22または23に記載の組合せの使用。
【請求項25】
月経困難症を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、一緒になって有効な量の請求項22または23に記載の(A)と(B)の組合せを投与することを含む方法。
【請求項26】
月経困難症(原発性または続発性)の治療における同時、個別または逐次使用のための複合調製物としての、請求項22または23に記載の(A)と(B)の組合せを含有する医薬製品。

【公表番号】特表2007−534740(P2007−534740A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510142(P2007−510142)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001062
【国際公開番号】WO2005/105779
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】