説明

バタフライ弁

バタフライ弁は、弁開口部(14)を含む本体(12)と、弁開口部に対して可動であるように回転軸(22)を中心として回転可能に取り付けられたフラッパ(16)とを備える。フラッパは、少なくとも1つの全開位置、全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、回転軸を中心として少なくとも180°回転可能である。一実施形態では、フラッパは、180°離れた2つの開位置のそれぞれまで、および互いに180°離れかつ全開位置のそれぞれから90°および270°離れた2つの閉位置まで可動であるように、回転軸を中心として少なくとも360°回転可能である。本弁は、容易に較正および制御することができ、また洗浄と次の洗浄との間の耐用期間を延長させるために洗浄することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2009年11月3日に出願された米国特許出願第12/611,760号に基づきかつその優先権を主張し、その全内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、バタフライ弁またはフラッパ弁、ならびにそれを利用する方法およびシステムに関し、より詳細には、フラッパが、少なくとも1つの全開位置、全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、回転軸を中心として少なくとも180°回転可能に構成された、改良されたバタフライ弁に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]フラッパ弁またはバタフライ弁は、弁を通る流体の流れを制御することでよく知られている。蒸着装置および他の装置(真空蒸着チャンバなど)に使用されるこれらの弁は、装置内ならびに/または装置からの蒸気および気体の流れの圧力を制御するようにして装置からの蒸気または気体の流れを制御するのに有用である。フラッパは通常、円板状であり、この円板は、弁開口部を画定する弁座の面に対して90°の向きに円板の面が配置される完全に開かれた位置と、フラッパが弁開口部の弁座とともに遮蔽状態を形成するように円板の面および弁座が同一平面上にある完全に閉じた位置との間で、90°にわたって回転可能である。一部の弁では、フラッパは弁開口部の弁座とともに、密閉された遮蔽状態を形成するが、他の弁では、弁を使用する用途には、密閉されていない遮蔽状態で十分である。フラッパ弁の1つの一般的な用途は、チャンバからの気体および蒸気の排出速度を制御することにより真空チャンバ内部の圧力を維持するために、弁を使用することである。
【0004】
[0004]真空チャンバ内の圧力または真空チャンバからの気体および蒸気の排出速度を制御するために弁を使用する動作などの動作中、弁の内部およびフラッパは通常、それを貫流するさまざまな蒸気および気体にさらされる。これらの蒸気および気体は必然的に、弁の内部、特に制御される蒸気または気体の流れの上流に面するフラッパの縁部および面で、凝結しかつ沈着物を残しうる。これらの沈着物は、フラッパが完全に閉じるのをそれらが妨げる程度まで堆積しうる。このことはさらに、弁を全閉位置およびその近くに配置する必要がある場合に弁を通る気体および蒸気の流量を制御する弁の能力に影響を及ぼす。弁を取り外すのは、装置の停止時間および労力に関わるため、費用がかかる。
【0005】
[0005]洗浄が必要になる前に弁の耐用期間を延長するために、これらの型式の弁の多くは、フラッパに内蔵された加熱器を備えて、気体および蒸気の弁内部への沈着を妨げるように気体および蒸気を固液相より上に保つ。しかし、弁を加熱することは、追加の費用および複雑性をもたらし、また、空間制限、ならびに弁が使用される空間および用途における電力消費量の観点からも、望ましくはないであろう。
【0006】
[0006]フラッパ弁の内部を洗浄するための別の手法は、フラッパが沈着物を取り除くまたは離散させることができるように、沈着物に対接するフラッパに比較的高い十分なトルクを印加することで、弁のフラッパを使用して浄化プロセス中に沈着物を離散させることである。しかし、高トルクによる手法は、より高価なモータ、および/またはモータのための高い動力/費用の駆動電子装置を有するギアボックスを必要とする。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明の一態様によれば、バタフライ弁は、弁開口部を含む本体、および弁開口部に対して可動であるように回転軸を中心として回転可能に取り付けられたフラッパを備え、フラッパは、少なくとも1つの全開位置、全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、回転軸を中心として少なくとも180°回転可能である。
【0008】
[0008]本発明の別の態様によれば、蒸着装置は、プロセス中に物質を蒸着させるための装置、および装置からの物質の流れを制御するための弁を備え、弁は、弁開口部を含む本体、および弁開口部に対して可動であるように回転軸を中心として回転可能に取り付けられたフラッパを備え、フラッパは、少なくとも1つの全開位置、全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、回転軸を中心として少なくとも180°回転可能である。
【0009】
[0009]本発明のさらに別の態様によれば、使用中に、フラッパの両面およびすべての縁部ならびに弁開口部内への物質の沈着がない状態にフラッパ弁を維持する方法は、(a)フラッパの各面およびフラッパのさまざまな縁部を、弁を貫流する洗浄物質にさらして、弁を貫流する流体がその流体にさらされた沈着物質を取り除くことができるように、および(b)フラッパに、一方または両方の回転方向で一方または両方の閉位置を通過させて、フラッパの縁部が弁開口部の内部上の沈着物質を取り除くのに役立つことができるように、フラッパを動作させながら弁を貫流する洗浄物質にフラッパをさらすステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010]
【図1】[0011]2つの全開位置の間で少なくとも180°回転されうるフラッパを備え、そのフラッパを閉位置で示す、フラッパ弁の一実施形態の斜視図である。
【図2】[0012]フラッパ弁を閉位置で示す、図1に示されるフラッパ弁の一実施形態の正面図である。
【図3】[0013]フラッパ弁を開位置で示す、図1に示されるフラッパ弁の部分的に断面図とした側面図である。
【図4】[0014]少なくとも360°にわたって回転可能なフラッパの簡易断面図である。
【図5】[0015]使用に起因する典型的な沈着物の堆積を示す、フラッパの簡易断面図である。
【図6】[0016]弁を通して同じ流量を供給する、2つの異なる象限におけるフラッパの二者択一的な2つの角度位置を示す、フラッパの簡易断面図である。
【図7】[0017]弁開口部およびフラッパがどちらもテーパ付けされた、フラッパ弁の別の実施形態の正面図である。
【図8】[0018]図7の断面線8−8における、フラッパ弁の断面図である。
【図9】[0019]弁開口部が垂直でありフラッパがテーパ付けされた、フラッパ弁の別の実施形態の正面図である。
【図10】[0020]図9の断面線10−10における、フラッパ弁の断面図である。
【図11】[0021]弁開口部およびフラッパがどちらも垂直である、フラッパ弁の別の実施形態の正面図である。
【図12】[0022]図11の断面線12−12における、フラッパ弁の断面図である。
【図13】[0023]弁開口部がテーパ付けされフラッパが垂直である、フラッパ弁の別の実施形態の正面図である。
【図14】[0024]図13の断面線14−14における、フラッパ弁の断面図である。
【図15】[0025]フラッパが全開位置にある、図13および図14に示される実施形態の正面図である。
【図16】[0026]図15の断面線16−16における、フラッパ弁の断面図である。
【図17】[0027]フラッパの位置を較正および制御するための制御システムを示す、簡易ブロック図である。
【図18】[0028]開位置および閉位置に対するフラッパ弁のフラッパの位置を較正するための較正プロセスの流れ図である。
【図19】[0029]フラッパ弁のフラッパの位置の選択プロセスに続く、制御システムの繰返し動作の流れ図である。
【図20】[0030]弁のずれの最大量を定めるためにずれの閾値に関する、制御システムの動作の流れ図である。
【図21】[0031]検知した弁フラッパの位置の自動補正をもたらす、制御システムの動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0032]各図面において、同じ番号は同じ部品を示す。図1〜図6において、フラッパ弁10は、弁開口部を画定する開口部14を有するハウジング12を備える。弁フラッパ16が、弁開口部内に配置され、軸18に回転可能に取り付けられる(図3に示す)。弁フラッパは、円板の形状で示され、この円板は、均一な厚さまたはテーパ付けされた形状とすることができ、図7〜図16に示すように、垂直に穴開けされたまたはテーパ付けされた開口部14内で回転可能である。円板および弁開口部は、それぞれ面を画定し、その面は、弁開口部14に対する円板の角度位置を画定する。フラッパは軸18に固着され、その軸18は、モータが軸およびフラッパ16を軸の回転軸22を中心として回転させることができるように、モータ20に結合される。一実施形態では、モータは、軸およびフラッパを、モータの各増分ステップに相当する複数のわずかな角度位置で、回転軸22を中心として少なくとも180°動かすことができる可逆ステッパモータであり、第2の実施形態では、モータは、軸およびフラッパを、少なくとも360°動かすことができる可逆ステッパモータである。モータ20は、下記でより詳細に説明し図17〜図21に示す実例によって説明するように、フラッパ弁の動作を制御するために構成された制御ユニット(図1〜図16には図示せず)を備える。
【0012】
[0033]フラッパ弁10は通常、図3で最もよく分かるように、装置30と、排出部32(通常、チャンバ内の圧力を所望の範囲に維持するために装置から気体および蒸気を圧送するように配置された、真空ポンプなどのポンプ(図示せず)に接続されている)との間に設置される。そのように構成されるので、装置内の気体または蒸気の圧力を、装置内の圧力を制御することによって、またはフラッパ16の角度位置を制御して排出される気体または蒸気の流量を制御することによって、制御することができる。そのような用途では、弁の設定を制御するために、制御されている圧力を表す信号をもたらすための圧力センサ(図示せず)が使用されうる。
【0013】
[0034]図7〜図16に示されるような本発明の一実施形態によれば、フラッパ16は、回転軸22を中心として少なくとも180°回転できるように、軸18に回転可能に設置され、そのため、フラッパ16は、少なくとも1つの全開位置、全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、回転軸を中心として少なくとも180°回転可能である。別の実施形態では、フラッパは、回転軸22を中心として少なくとも360°回転することができ、そのため、フラッパ16は、互いに180°離れた2つの全閉位置のそれぞれまで、および互いに180°離れかつ全閉位置のそれぞれから90°および270°離れた2つの全開位置まで可動である。
【0014】
[0035]したがって一実施形態では、1つの象限内のフラッパの各位置に対してもう一方の象限内にフラッパの相補的な位置が存在するように、2つの象限内で少なくとも180°回転することができ、そこで2つの相補的な位置が等しい流量制御をもたらす。ここでフラッパが、それの回転軸22を中心として2方向のうちの一方に少なくとも360°回転可能であるとすると、1つの象限内のフラッパの各位置に対して、4つのフラッパの相補的な位置が存在する。
【0015】
[0036]図7および図8は、弁開口部を形成する穴および弁フラッパがどちらもテーパ付けされた(例えば、どちらも円錐台形の形状である)一実施形態を、弁を閉位置にして示す。図9および図10は、弁開口部を形成する穴が垂直(すなわち、円筒状)であり、フラッパがテーパ付けされた(例えば、円錐台形の形状である)一実施形態を、閉位置で示す。図11および図12は、弁開口部を形成する穴およびフラッパがどちらも垂直(すなわち、円筒状)である一実施形態を、閉位置で示す。図13および図14は、弁開口部を形成する穴がテーパ付けされ(例えば、円錐台形)フラッパが垂直(すなわち、円筒状)である別の実施形態を、閉位置で示す。図15および図16は、図13および図14に示した実施形態を全開位置で示す。
【0016】
[0037]図12、図14、および図16に示したように、フラッパ16がテーパ付けされていない場合、フラッパは軸18を中心とし、少なくとも2つの象限で相補的な制御をすることができ、また4つの象限すべてで相補的な制御をすることができることが好ましい。したがって、これらの弁は、少なくとも360°回転するように構成されうる。図8および図10に示したように、フラッパ16がテーパ付けされている場合、軸は通常、フラッパから中心をはずして置かれる。この場合、フラッパは2つの象限で相補的な制御をすることができ、フラッパは、第1の全開位置、第1の全開位置から90°離れた全閉位置、および第1の全開位置から180°離れかつ全閉位置から90°離れた第2の全開位置の間で回転可能である。図8および図10のテーパ付けされたフラッパ16が清掃を容易にするためになおも少なくとも360°回転されうることを理解すべきである。
【0017】
[0038]本発明の別の実施形態によれば、フラッパ16は、2つの開位置のうちの一方までおよび2つの閉位置のうちの一方まで移動できるように、少なくとも360°選択的に回転させることができ、使用中のフラッパ上に沈着するいかなる物質も、フラッパの両面およびフラッパのすべての縁部上に分散されることになる。使用中、フラッパを相補的な位置まで動かすことで、フラッパの各面およびフラッパの対向する縁部を交互にさらすことによって、そのような沈着物質が弁のコンダクタンスおよび弁の動作に及ぼす影響が軽減されて、弁の耐用期間が延長する。フラッパ16は、円板状とすることができ、また、フラッパの円板が開口部14に対して90°または270°の向きに実質的に配置されて弁開口部に最大流量が流れるようにする全開位置と、フラッパの円板が弁開口部を閉じるために0°または180°の向きに配置されて弁開口部に最少流量を供給する全閉位置との間で、回転軸22を中心として一方の方向に回転可能に設置される。軸18は、弁開口部に対して回転可能に設置され、フラッパは、その軸に対してしっかりと固着されて弁開口部に対して軸とともに回転する。説明したように、軸18は、フラッパが2方向のうちの一方に回転されうるように、可逆ステッパモータにより回転可能に駆動される。
【0018】
[0039]本発明の別の態様によれば、図5で最もよく分かるように、沈着物質40および42は、フラッパが一方の閉位置を行き来すると、フラッパ16の一方の面上および縁部周辺、ならびにフラッパ16の縁部付近の開口部14の内部に沿って堆積しうる。この沈着物は、(a)フラッパの各面およびフラッパのさまざまな縁部が弁を貫流する洗浄流体にさらされるようにフラッパ16を回転させて、弁を貫流する流体が洗浄流体にさらされた沈着物質を取り除くことができるようにすることによって、および/または(b)フラッパに一方または両方の回転方向で一方または両方の閉位置を行き来させて、フラッパの縁部が弁開口部の内部の沈着物質を取り除くのに役立つことができるようにすることによって、除去または取り除くことができる。
【0019】
[0040]次に、フラッパ弁10の動作のさまざまな態様の理解を促すための例として、図17〜図21を参照する。図17では、制御装置70が、モータ20を制御するために使用される。符号器72が、フラッパ(軸18に固定されている)の位置を検知するために使用される。光学式スイッチ74もまた、以下で「ホーム」位置と呼ばれる任意に選択された参照位置にフラッパがあるときに生じる標識76の位置を検知するために設けられる。任意のホーム位置を選択することにより、装置は、ホーム位置を検出し、また図18に関連して以下に説明するような較正プロセスに従って、各全開位置および各全閉位置を決定する。弁の動作で使用される機能はソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、あるいはこれらの任意の組み合わせ、あるいは他の適切な形式で実行することができることを理解すべきである。
【0020】
[0041]図18は、装置の較正プロセスの一実施形態の流れ図を示す。図19〜図21に例として示すように、較正が行われると、制御オプションが選択され、次いで実行される。すると、較正された弁は、弁の通常動作の準備が整う。
【0021】
[0042]図18では、較正プロセスの機能は、標識76を弁の全閉位置のうちの1つに対して配置することである。これは、弁を製造する工場で行うことができる。最初のステップ80は、フラッパを、制御装置への符号器72の読取り情報に基づいて、閉位置のうちの1つに配置することである。次いで、符号器の読取り情報は、その読取り値を全閉位置として指定するために、ステップ82で記憶装置(制御装置70に設けられている)に記憶される。2つの開位置、およびフラッパが少なくとも360°回転可能である実施形態では、もう一方の閉位置は、それゆえこの設定位置から容易に決定される。次いで、標識76の位置は、光学式スイッチ78およびステップ82で測定された全閉位置の相関した符号器の読取り値を用いてステップ84で測定され、ステップ86で制御装置70の記憶装置に記憶される。情報が記憶されると、較正プロセスは、ステップ88に示すように完了する。
【0022】
[0043]図19は、動作オプションのうちの1つを選択する選択プロセスの一実施形態を示す。この選択プロセスは、最終使用者によって行われる。選択プロセスには、以下のオプションを含むことができる:
1.各サイクルで象限を変更する。
【0023】
2.弁のずれが選択した閾値に達したら象限を変更する。弁のずれとは、符号器72による測定で示されたフラッパの位置と指示フラッパ位置との間の差の量である。ずれは、象限にわたる90°の全移動範囲に基づくずれの割合として測定される。
【0024】
3.自動的なずれ補正を設ける。
[0044]これら3つのオプションをより詳細に説明するために、図19は、各サイクルで象限を変更するオプションを説明する。このことは、フラッパの両面が弁を貫流する気体または蒸気の流れに交互に面して、洗浄と次の洗浄との間の弁の使用が延長されるということを確実にするのに役立つことになる。
【0025】
[0045]図19を参照すると、このプロセスは、弁が全開位置または全閉位置のうちの一方に達したときに、弁を新しい制御象限に変更することができる方法の実例を説明している。最初に、フラッパを新しい位置まで移動させるために指示が与えられる。ステップ90で、象限が変更されたかどうかについて、(符号器72によって判定されるように)判定が行われる。象限が変更されていない場合、ステップ92で、弁が新しい位置まで移動し、ステップ94で、フラッパの現在位置が符号器72を用いて測定される。弁がその全開位置または全閉位置のうちの1つに達していた場合、ステップ96で、制御装置70は、象限の境界が達せられて変更間近であるということを記録する。ステップ98で、象限における変更が確定され、適切なメッセージが制御装置70に与えられる。
【0026】
[0046]象限が、0°〜90°(第1象限)、90°〜180°(第2象限)、180°〜270°(第3象限)、および270°〜360°(第4象限)の間のフラッパの位置に基づいているということを理解すべきである。フラッパが360°を超えて回転する場合、象限は繰り返される。象限の境界は、全開位置および全閉位置のうちのいずれか1つによって画定される。ステップ96で、弁が全開位置または全閉位置に達していなかった場合、装置は、フラッパを新しい位置まで移動させるための次の指示を待つ。
【0027】
[0047]1つの象限に位置するフラッパが、他の3つの象限において相補的な位置にフラッパが位置するときと同様の流量制御をもたらすということも、理解すべきである。例えば、図6に示したように、フラッパが弁開口部に対して30°の角度で第1象限に位置する場合、同じ制御率が、フラッパが弁開口部に対して150°の角度で第2象限に位置するとき、フラッパが弁開口部に対して210°の角度(第1象限でのフラッパの位置から180°)で第3象限に位置するとき、およびフラッパが弁開口部に対して330°の角度(第3象限でのフラッパの位置から180°)で第4象限に位置するときに、達成される。したがって、より全般的には、図6に示すように角度がΘとして定義される第1象限でのフラッパの各位置に対して、同じ制御をもたらすのに相当する同等のフラッパ位置は、(第2象限に対しては180°−Θ、(第3象限に対しては)180°+Θ、および(第4象限に対しては)360°−Θである。
【0028】
[0048]場合によっては、多少の弁のずれは許容されうる。この場合、弁は、ずれの誤差があらかじめ設定された閾値に達するまで、ずれの誤差を累算する。閾値に達した時点で、動作している象限が変更され、弁の位置が再設定される。図20は、弁のずれが選択された閾値に達した時点で象限を変更する必要があるときの各ステップについて説明している。弁制御装置70が新しい弁の位置に対する指示を受け取ると、プロセスはステップ100に進む。象限が変更されていた場合、ずれはゼロに設定されることになり、そうでない場合、ずれは以前の設定からのいくらかの累算値を有することになる。ステップ102で、弁は新しい位置まで移動され、ステップ104で、フラッパの現在位置が符号器を用いて測定される。次いで、ステップ106で、弁がなおずれているかどうかが判定される。ノーの場合、プロセスは、弁を新しい位置まで動かすための新しい指示を待つために戻る。ステップ106でいくらかのずれ量が測定された場合、次いで、ステップ108で、SLIPの値が、累算値に測定されたさらなるずれを加えた値に等しくされる。次いで、ステップ110で、新しいずれ量の値が、設定された閾値を超えたかどうかが判定される。ノーの場合、プロセスは、弁を新しい位置まで動かすための新しい指示を待つために戻る。イエスの場合、プロセスはステップ112に進み、そこで象限が変更され、累算ずれ量はゼロにリセットされる。リセットすると、プロセスはステップ114に進み、弁がその次の制御のための新しい象限に配置される。次いで、プロセスはステップ116に進むことができ、そこで弁は、符号器70で示されるように新しい象限内の同じ位置に移動するように指示される。
【0029】
[0049]自動補正を使用することもできる。自動補正は、弁を指示位置まで数回移動させようとする。ずれが起こり続ける場合、制御象限が変更され、弁は別の象限内の指示位置まで移動しようとする。図21は、自動的なずれ補正を行うために要されるステップを示す。示されるように、弁を新しい位置まで移動させるための指示を制御装置が受け取ると、ステップ120で、象限が変更され、ステップ122で、ずれ量に関するカウントがゼロと見なされる。ステップ124で、弁のフラッパが新しい位置まで移動する。ステップ126で、フラッパの現在位置が符号器72を使用して再び測定される。ずれ量がなかった場合、プロセスは開始位置まで戻り、次の指示を待つ。
【0030】
[0050]ステップ128でずれ量が測定された場合、プロセスはステップ130に進む。ステップ130で、弁は、ずれ量をゼロまで減らすために所望の位置に向かって移動を続けるように指示される。次のステップ132で、弁が指示位置にある場合、弁は戻り、弁を新しい位置まで移動させるための次の指示を受け取るのを待つ。しかし、ステップ132で弁が所望の位置にない場合、ステップ134で、カウントの値が増加される。ステップ134は、ずれ補正が試行された回数を数える機能を提供する。プロセスのステップ130、132が所定の回数(実例では3回で示す)繰り返されていない場合、プロセスは、ステップ130、132、および134を繰り返す。3回繰り返された後、装置はステップ138で、移動が両方の象限で試みられたかどうかを判定する。イエスの場合、装置はステップ140で、使用者にエラーを報告する。ノーの場合、装置は、弁を新しい制御象限に配置するステップ142に進む。次のステップ144で、弁は、新しい象限内の同じ(相補的な)位置まで移動するように指示される。そしてステップ146で、象限は正しい値に変更される。次いで装置は、ステップ146に定められている他の象限内の新しい位置まで弁を移動させようと試みる。
【0031】
[0051]説明した解決法により、費用または機械的な複雑性を追加することなく、フラッパ弁の耐用期間を延長することができる。必要とされる動作プロフィルは、安価な改訂費用でより大きな適応性を可能にするソフトウェアだけに基づいて修正および更新することができる。歯車装置/モータの特定の動作点がフラッパの開口方向に基づいてシフトするので、歯車列の耐用期間もまた延長することができる。図17〜図21に関連して説明した各特徴もまた、顧客のプロセスおよび要求に応じてオプションを使用するようにして製造業者または最終使用者によって実現できる。最終使用者は、1つの象限から次の象限への動作が装置内の気体力学に悪影響を及ぼすと判断された場合には、これらの特徴を不能にするように望むことができる。
【0032】
[0052]フラッパが少なくとも360°回転可能である場合、この方法は、(a)フラッパの各面およびフラッパのさまざまな縁部を、弁を貫流する洗浄物質にさらして、弁を貫流する流体が流体にさらされた沈着物質を除去するおよび/または取り除くことができるようにし、(b)フラッパに一方または両方の回転方向で一方または両方の閉位置を行き来させて、フラッパの縁部が弁開口部の内部の沈着物質を取り除くのに役立つことができるようにするために、フラッパを動作させている間、弁を貫流する洗浄物質にフラッパをさらすことにより、使用中のフラッパの両面およびすべての縁部、ならびに弁開口部への物質の沈着がない状態にフラッパ弁を維持するために使用することができるということは明白というべきである。
【0033】
[0053]開示された実施形態の先の説明は、いかなる当業者にも本発明を製造および使用することを可能とするように提供される。これらの実施形態に対するさまざまな修正は、当業者には容易に明らかになるであろう。また、本明細書において定義された総括的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなしに他の実施形態に適用されうる。さらに、弁は、気体および蒸気が真空チャンバに送られる蒸着装置に有用であるとされている。しかし、弁は、弁内に不要な沈着が起こりうる気体または蒸気を使用するいかなるシステムにも、気体および蒸気の配送システムとして有用である。例えば、弁はエッチングツールに使用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示されている実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と整合する最大限の範囲に一致すべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁開口部を含む本体、および
前記弁開口部に対して可動であるように回転軸を中心として回転可能に取り付けられたフラッパを備えるバタフライ弁であって、
前記フラッパが、少なくとも1つの全開位置、前記全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、前記回転軸を中心として少なくとも180°回転可能である、バタフライ弁。
【請求項2】
前記フラッパが、互いに180°離れた2つの全開位置のそれぞれまで可動であるように、前記回転軸を中心として少なくとも360°回転可能であり、2つの全閉位置が互いに180°離れかつ前記全開位置のそれぞれから90°および270°離れている、請求項1に記載のバタフライ弁。
【請求項3】
使用中の前記フラッパに沈着するいかなる物質も使用中の前記フラッパの両面およびすべての縁部上に分散されるように、前記フラッパを前記開位置のうちの一方および前記閉位置のうちの一方まで選択的に移動させることができ、その結果そのような沈着物質が弁のコンダクタンスおよびフラッパの動作に及ぼす影響が軽減されて、耐用期間が延長される、請求項2に記載のバタフライ弁。
【請求項4】
(a)前記フラッパの各面および前記フラッパのさまざまな縁部が前記弁を貫流する流体にさらされるように前記フラッパを回転させて、前記弁を貫流する前記流体が前記流体にさらされた沈着物質を取り除くことができるようにすることによって、および(b)前記フラッパに一方または両方の回転方向で一方または両方の前記閉位置を行き来させて、前記フラッパの前記縁部が前記弁開口部の内部の沈着物質を取り除くのに役立つことができるようにすることによって、前記フラッパが一方または両方の前記閉位置を行き来するにつれて前記フラッパの一方の面および前記縁部の周辺ならびに前記フラッパの前記縁部付近の前記開口部の内部に沿って堆積しうる前記沈着物質を取り除くことができる、請求項2に記載のバタフライ弁。
【請求項5】
前記フラッパが、2方向のうちの一方の方向で少なくとも360°回転可能である、請求項1に記載のバタフライ弁。
【請求項6】
前記フラッパを支持する回転可能な軸をさらに備え、前記フラッパが、前記軸を中心とし、前記弁開口部が、弁ハウジング中に形成されたテーパ付けされていない穴である、請求項1に記載のバタフライ弁。
【請求項7】
前記フラッパが、円板状とされ、かつ前記フラッパの前記円板が前記開口部に対して90°または270°の方向に実質的に配置されて前記弁開口部に最大流量が流れるようにする全開位置と、前記フラッパの前記円板が弁開口部を閉じるために0°または180°の方向に配置されて前記弁開口部に最少流量が流れるようにする全閉位置との間を、一方の方向で前記回転軸を中心として回転可能に取り付けられた、請求項6に記載のバタフライ弁。
【請求項8】
前記弁開口部に対して回転可能に取り付けられた軸をさらに備え、前記フラッパが、前記軸に対してしっかりと固着されて前記弁開口部に対して前記軸とともに回転する、請求項6に記載のバタフライ弁。
【請求項9】
軸が、可逆ステッパモータによって回転可能に駆動される、請求項1に記載のバタフライ弁。
【請求項10】
前記フラッパが円板状であり、前記円板がテーパ付けされている、請求項1に記載のバタフライ弁。
【請求項11】
前記弁開口部がテーパ付けされている、請求項10に記載のバタフライ弁。
【請求項12】
前記フラッパが円板状であり、前記円板がテーパ付けされていない、請求項10に記載のバタフライ弁。
【請求項13】
プロセス中に物質を利用するための装置と、
弁開口部を含む本体、および前記弁開口部に対して可動であるように回転軸を中心として回転可能に取り付けられたフラッパを備える弁とを備えるシステムであって、
前記フラッパが、少なくとも1つの全開位置、前記全開位置から90°離れた少なくとも1つの全閉位置、およびもう一方の同じ位置から180°離れた、全開位置または全閉位置のどちらかの第3の位置まで可動であるように、前記フラッパが前記回転軸を中心として少なくとも180°回転可能である、システム。
【請求項14】
前記フラッパが、互いに180°離れた2つの全開位置のそれぞれ、および互いに180°離れかつ前記全開位置のそれぞれから90°および270°離れた2つの全閉位置のそれぞれまで移動可能なように、前記回転軸を中心として少なくとも360°回転可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
使用中の前記フラッパに沈着するいかなる物質も使用中の前記フラッパの両面およびすべての縁部上に分散されるように、前記フラッパを前記開位置のうちの一方および前記閉位置のうちの一方まで選択的に移動させることができ、その結果そのような沈着物質が弁のコンダクタンスおよびフラッパの動作に及ぼす影響が軽減されて、耐用期間が延長される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
(a)前記フラッパの各面および前記フラッパのさまざまな縁部が前記弁を貫流する流体にさらされるように前記フラッパを回転させて、前記弁を貫流する前記流体が前記流体にさらされた沈着物質を取り除くことができるようにすることによって、および(b)前記フラッパに一方または両方の回転方向で一方または両方の前記閉位置を行き来させて、前記フラッパの前記縁部が前記弁開口部の内部の沈着物質を取り除くのに役立つことができるようにすることによって、前記フラッパが一方または両方の前記閉位置を行き来するにつれて前記フラッパの一方の面および前記縁部の周辺ならびに前記フラッパの前記縁部付近の前記開口部の内部に沿って堆積しうる前記沈着物質を取り除くことができる、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記フラッパが、2方向のうちの一方に少なくとも360°回転可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記フラッパを支持する回転可能な軸をさらに備え、前記フラッパが前記軸を中心とし、前記弁開口部が弁ハウジング中に形成されたテーパ付けされていない穴である、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記フラッパが、円板状とされ、かつ前記フラッパの前記円板が前記開口部に対して90°または270°の方向に実質的に配置されて前記弁開口部に最大流量が流れるようにする全開位置と、前記フラッパの前記円板が弁開口部を閉じるために0°または180°の方向に配置されて前記弁開口部に最少流量が流れるようにする全閉位置との間を、一方の方向で前記回転軸を中心として回転可能に取り付けられた、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記弁開口部に対して回転可能に取り付けられた軸をさらに備え、前記フラッパが、前記軸に対してしっかりと固着されて前記弁開口部に対して前記軸とともに回転する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記軸が、可逆ステッパモータによって回転可能に駆動される、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記フラッパが円板状であり、前記円板がテーパ付けされている、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記弁開口部がテーパ付けされている、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
前記フラッパが円板状であり、前記円板がテーパ付けされていない、請求項13に記載のシステム。
【請求項25】
(a)前記フラッパの各面および前記フラッパのさまざまな縁部が前記弁を貫流する流体にさらされるように前記フラッパを回転させて、前記弁を貫流する前記流体が前記流体にさらされた沈着物質を取り除くことができるようにすることによって、および(b)前記フラッパに一方または両方の回転方向で一方または両方の前記閉位置を行き来させて、前記フラッパの前記縁部が前記弁開口部の内部の沈着物質を取り除くのに役立つことができるようにすることによって、前記フラッパが一方または両方の前記閉位置を行き来するにつれて前記フラッパの一方の面および前記縁部の周辺ならびに前記フラッパの前記縁部付近の前記開口部の内部に沿って堆積しうる前記沈着物質を取り除くことができる、請求項13に記載のシステム。
【請求項26】
使用中に、前記フラッパの両面およびすべての縁部ならびに弁開口部内への物質の沈着がない状態にフラッパ弁を維持する方法であって、
(a)前記フラッパの各面および前記フラッパの前記さまざまな縁部が前記弁を貫流する洗浄物質にさらして、前記弁を貫流する前記流体が前記流体にさらされた前記沈着物質を取り除くことができるように、および(b)前記フラッパに一方または両方の回転方向で一方または両方の前記閉位置を行き来させて、前記フラッパの前記縁部が前記弁開口部の内部の沈着物質を取り除くのに役立つことができるように、前記フラッパを動作させながら、前記フラッパを、前記弁を貫流する前記洗浄物質にさらすステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−510275(P2013−510275A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537894(P2012−537894)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052839
【国際公開番号】WO2011/056385
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】