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バッキング防止装置
説明

バッキング防止装置

【課題】推進管にアンカー等のような加工を施すことなく、バッキングを防止する。
【解決手段】バッキング防止装置12の受台12bの傾斜面12bsと推進管8の外周との間に形成される隙間に、ボルト12bbおよびナット12bnにより受台12bと一体的に接続された楔形のストッパ12cを配置する。推進管8の継ぎ足し時には、ナット12bnを締めることでストッパ12cを受台12bと推進管8との隙間に押し込み、ストッパ12cを推進管8側に動かして推進管8を押さえる。推進施工時には、ナット12bnを緩めてストッパ12cが推進管8から離れるようにすることで支障なく推進施工を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進管を地中に埋設する推進工法において、推進管の継ぎ足し時に推進管が発進立坑側に押し戻される現象(バッキング)を防止するバッキング防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
推進工法は、計画管路ラインの両端に発進立坑と到達立坑とを設け、発進立坑側から掘進機により前方の地盤を掘削しながら、掘進機の後端に推進管を順次継ぎ足し、発進立坑に設置した推進ジャッキにより推進管列の後端を押圧することで掘進機を到達立坑に到達させて管路を構築する工法である。
【0003】
この推進工法は、開削工法に比べて路面を掘削することが少ないため、工事占有面積の減少、騒音、振動および粉塵等の低減、交通や市民生活への影響の抑制等、都市環境対策に優れている。
【0004】
しかし、この推進工法においては、既設の推進管の後端に後続の推進管を継ぎ足す際に、既設の推進管から推進ジャッキを離すため、既設の推進管が地盤側の土圧や水圧により発進立坑内に押し戻される、いわゆるバッキングが生じ、後続の推進管を設置することができない等の問題がある。
【0005】
そこで、このバッキングの防止例として、推進管の外周面に後施工アンカーを削孔し、その孔内に金具を埋め込み、金具と推進管とをボルトで固定した後、金具を反力側の支保工で突っ張ることにより、バッキング力に抵抗させるようにしている。
【0006】
しかしながら、推進管にアンカー等を削孔する場合は、推進管に損傷が生じるので、許可されない場合がある。
【0007】
また、削孔作業は人手によるので時間と労力とがかかるが、その作業を複数ある推進管毎に行わなければならない。しかも、アンカーの本数は、常に、想定される最大のバッキング力に対する本数が必要であり減らすことができない。このため、管路の構築の作業効率が著しく低下する問題がある。
【0008】
上記のバッキング防止例の他には、推進管の外周に、推進管の外径よりも大径で内面が後方に向かって縮径する断面楔形の環状体を設け、その環状体と推進管との隙間に、上面が後方に向かって傾斜する断面楔形の楔形体を環状体の前方から挿入することでバッキングを防止するものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
また、立坑壁に固定されたブラケットと推進管との対向面の隙間に、クサビ型ストッパを可動的に設け、推進管の推進時には、クサビ型ストッパが上記隙間から離れる一方、バッキング防止時には、クサビ型ストッパが上記隙間に入り込むようにするものが開示されている(例えば特許文献2参照)。
【0010】
また、推進管の両側面に対向するように設けられた一対の支持体の内側に推進管を押さえる押さえ金具を設けるとともに、一対の支持体を締め付け可能な緊張材を設け、バッキング防止時には、一対の支持体を緊張材により締め付け、一対の支持体の各々の内側に設けられた押さえ金具で推進管を挟み込むことで推進管のバッキングを防止するものが開示されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−176688号公報
【特許文献2】特開2003−293686号公報
【特許文献3】特許第3751222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、その目的は、推進管にアンカー等のような加工を施すことなく、バッキングを防止することが可能なバッキング防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のバッキング防止装置は、推進施工中の推進管の継ぎ足し時に、推進管が発進立坑内に推し戻されるバッキングを防止するバッキング防止装置であって、前記推進管の外周に設置された支持体と、前記支持体と管路形成坑口との間において前記支持体に接続された状態で前記推進管の外周に配置され、前記推進管の外周に対向する側に前記推進管の推進方向に沿って前記推進管の外周から離間する方向に傾斜する傾斜部が形成された受台と、前記受台と前記推進管との隙間に配置され、前記受台に対向する側に前記受台の傾斜部に沿うように傾斜する傾斜部が形成されている楔形の抑止体と、前記受台および前記抑止体の各々の傾斜部に対して交差するように前記推進管の推進方向に沿って延在して設けられ、前記抑止体に形成された孔を貫通するように設けられたボルトとを備え、前記抑止体は、前記孔を貫通する前記ボルトにより、前記受台と前記推進管との隙間に対して挿脱両方向に移動可能な状態で前記受台に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明のバッキング防止装置は、上記請求項1記載の発明において、前記抑止体において前記推進管の外周に対向する面に、シート状の滑り止め部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明のバッキング防止装置は、上記請求項1または2記載の発明において、前記推進体の外周に沿うように曲面状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明のバッキング防止装置は、上記請求項1、2または3記載の発明において、前記孔は、前記受台と前記推進管との隙間に前記抑止体を挿入した場合に、前記抑止体が前記推進管側に動くのを許容するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、推進管を継ぎ足す際に、ナットを締めて抑止体を受台と推進管との隙間に押し込み、推進管の外周を抑止体により押圧することで推進管を押さえることができるので、推進管にアンカー等のような加工を施すことなく、バッキングを防止することが可能になる。
【0018】
また、請求項2記載の発明によれば、バッキング防止のために抑止体を受台と推進管との隙間に挿入して抑止体の底面を推進管の外周に押し当てた時に、滑り止め部材の摩擦力により推進管に対する摩擦抵抗を大きくすることができるので、推進管をしっかりと押さえることができる。このため、推進管のバッキング防止能力を向上させることが可能になる。
【0019】
また、請求項3記載の発明によれば、抑止体と推進管との接触面積を大きくすることができ、抑止体による推進管に対する摩擦抵抗を大きくすることができるので、推進管をしっかりと押さえることができる。このため、推進管のバッキング防止能力を向上させることが可能になる。
【0020】
また、請求項4記載の発明によれば、受台と推進管との隙間に抑止体を挿入した場合に、抑止体が推進管側に動くことで、推進管をしっかりと押さえることができるので、推進管のバッキング防止能力を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態のバッキング防止装置の設置位置の説明図である。
【図2】図1のバッキング防止装置の全体正面図である。
【図3】図2のバッキング防止装置の側面図である。
【図4】図3のバッキング防止装置の要部拡大断面図である。
【図5】図2の左上部の受台のブロックの正面図である。
【図6】図5のA方向から見た受台の平面図である。
【図7】図5のI−I線の部分断面図である。
【図8】図5のB方向から見た受台の側面図である。
【図9】図5のC方向から見た受台の側面図である。
【図10】図2のバッキング防止装置のストッパの正面図である。
【図11】図10のD方向から見たストッパの平面図である。
【図12】図10のII−II線の断面図である。
【図13】推進管の継ぎ足し時におけるバッキング防止装置の要部断面図である。
【図14】推進管の推進施工時におけるバッキング防止装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1は本発明の一実施の形態であるバッキング防止装置の設置位置の説明図である。
【0024】
地盤1に掘られた発進立坑2の底部には、基礎石3を介して推進台4が設置されている。この推進台4の上には、油圧ジャッキ(推進ジャッキ)5が設置されている。この油圧ジャッキ5は、その押圧面側に順に配置されたストラット6および押輪7を介して、推進管8を押圧して管路形成方向に推し進めるための機器である。なお、油圧ジャッキ5の背面側には、鋼材9を介して、推進管8側からの反力を受ける支圧壁10が設置されている。
【0025】
推進管8には、たとえば、鉄筋コンクリート製のヒューム管が採用されている。この推進管8の列のうちの先頭の推進管8の先端部には、掘進機11が接続されている。この掘進機11は、地盤1を掘削して地中に管路を形成する機器であり、たとえば、センタシャフト方式のシールド掘進機が採用されている。
【0026】
ここで、既設の推進管8の後端に新たな推進管8を継ぎ足す際に、既設の推進管8の後端を押圧していた油圧ジャッキ5のストラット6を縮めるために推進管8の後端に対する負荷が喪失して、既設の推進管8が地盤側の土圧や水圧により発進立坑2内に押し戻される、いわゆるバッキングが生じ、新たな推進管8を設置することができない等の問題がある。
【0027】
そこで、本実施の形態においては、管路形成坑口Hの近傍、既設の推進管8の後端側に、バッキング防止装置12が設置されている。以下、このバッキング防止装置12について説明する。
【0028】
図2は図1のバッキング防止装置12の全体正面図、図3は図2のバッキング防止装置12の側面図、図4は図3のバッキング防止装置12の要部拡大断面図である。なお、図2および図3には、図同士の位置関係を分かり易くするためにセンタラインCLを付した。
【0029】
バッキング防止装置12は、門型支保工(支持体)12aと、受台12bと、ストッパ(抑止体)12cと、帯状体12dとを有している。
【0030】
門型支保工12aは、たとえば、複数本の鋼材を組み立ててなり、図2に示すように、円管状の推進管8の周りを取り囲むように推進管8の外周に設置されている。この門型支保工12aの両脚部は、図2および図3に示すように、支持台15a,15bを介して推進台4にしっかりと固定されている。支持台15a,15bは、たとえば、H型鋼のような鋼材により形成されている。
【0031】
なお、図4に示すように、推進管8の後端には、推進管8の外周に沿って断面T字状のカラー16が設置されている。カラー16は、たとえば、鋼材からなり、その内周には、たとえば、ゴムからなるシール部材17が設けられている。後続の推進管8の先端の外周には、小径部8aが形成されており、その小径部8aが、前段の推進管8の後端におけるカラー16の内周に嵌め込まれるようになっている。これにより、前段の推進管8と後段の推進管8とがシール部材17によりシールされ、防水性が付与される。
【0032】
受台12bは、図2に示すように正面から見ると、推進管8の周りを取り囲むように推進管8の外周に分散配置されている。ここでは、受台12bは、たとえば、推進管8の上側と左右両側の3箇所に左右対称に配置されている。受台12bの正面形状は、推進管8の外周に沿って湾曲状に形成されている。
【0033】
また、受台12bは、図3に示すように側面から見ると、管路形成坑口Hと門型支保工12aとの間に配置され、図3および図4に示すように、連結部18a,18bを介して門型支保工12aにしっかりと接続されている。連結部18a,18bは、たとえば、鋼材により形成されている。
【0034】
ここで、図2〜図9を用いて受台12bについて説明する。図5は図2の左上部の受台12bのブロックの正面図、図6は図5のA方向から見た受台12bの平面図、図7は図5のI−I線の部分断面図、図8および図9はそれぞれ図5のB,C方向から見た受台12bの側面図である。
【0035】
受台12bは、図3、図4、図6および図7に示すように、たとえば、鋼板を箱形に組み立てることで形成されている。また、図3、図4および図7〜図9に示すように、この受台12bにおいて、推進管8の外周に対向する側(面)には、推進管8の推進方向に沿って推進管8の外周から離間する方向に傾斜する傾斜面(傾斜部)12bsが形成されている。
【0036】
また、受台12bの傾斜部12bsには、図2〜図5および図7に示すように、ボルト12bbが溶接により固定されている。このボルト12bbは、たとえば、頭部の無いスタッドボルトが採用されており、傾斜面12bsに対して交差するように傾斜面12bsから推進管8の推進方向に沿って延在した状態で設けられている。そして、このボルト12bbの先端の雄ネジ部にはナット12bnが螺合されている。
【0037】
また、図2〜図7に示すように、受台12b内においてボルト12bbを挟む位置(ストッパ12cが傾斜面12bsに接する箇所に対応する位置)には、補強板12brが受台12bの長手方向を区切るように設けられており、受台12bの強度が確保されている。
【0038】
ストッパ12cは、図2に示すように正面から見ると、推進管8の周りを取り囲むように推進管8の外周に分散配置されている。ここでは、ストッパ12cは、たとえば、推進管8の上側に4箇所、推進管8の左右両側に3箇所ずつ、合計で10箇所に左右対称に配置されている。このようにストッパ12cを左右対称に配置することにより、バッキング防止時にストッパ12c側から推進管8の外周にかかる圧力を均等にすることができる。
【0039】
また、ストッパ12cは、図3および図4に示すように、受台12bと推進管8との隙間に配置される。これにより、推進管8の外周がストッパ12cに押圧されるのでバッキング力に対抗することができる。なお、図3では説明を分かり易くするためにストッパ12cの一部を透かして見せているとともに、図面を見易くするためにストッパ12cの1つにハッチングを付した。
【0040】
ここで、図2〜図4および図10〜図12を用いてストッパ12cについて説明する。図10はストッパ12cの正面図、図11は図10のD方向から見たストッパ12cの平面図、図12は図10のII−II線の断面図である。
【0041】
ストッパ12cは、図3、図4および図12に示すように、たとえば、鋼材からなり、その外形が、たとえば楔形に形成されている。すなわち、ストッパ12cは、前面板12cfと、これに直交する底板12cbと、これらに直交する側板12csと、幅方向を区切るように設けられた補強板12crとを備えており、このうち、側板12csおよび補強板12crにおいて、受台12bに対向する側が、受台12bの傾斜面12bsに沿って傾斜するように形成されている。
【0042】
また、ストッパ12cの前面板12cfには、図4、図10および図12に示すように、孔12chが穿孔されている。この孔12chは、上記したボルト12bbが貫通する孔である。すなわち、図3および図4に示すように、上記したボルト12bbは、ストッパ12cの傾斜面を交差するように延び、孔12chを貫通してストッパ12cの前面板12cfから突出されている。そして、その前面板12cfから突出されたボルト12bbの先端部の雄ネジ部にナット12bnが螺合されることにより、ストッパ12cは、受台12bと推進管8との隙間に対して挿脱両方向に移動可能な状態で受台12bに取り付けられている。このように受台12bとストッパ12cとをボルト12bbおよびナット12bnにより一体的にしたことにより、バッキング防止装置12の取り扱いを容易にすることができる。また、ストッパ12cを常に同じ適切な位置に容易に配置することができる。
【0043】
ストッパ12cの孔12chは、受台12bと推進管8との隙間にストッパ12cを挿入した場合に、ストッパ12cが推進管8側に動くのを許容するように形成されている。ここでは、図10に示すように、孔12chは縦長に形成されている。すなわち、孔12chの縦方向の長さが、これに直交する幅方向の長さよりも長く形成されている。孔12chの幅方向の長さは、ボルト12bbの直径よりも僅かに大きい程度である。これにより、推進管8の外周方向におけるストッパ12cの配置位置の精度を向上させることができるので、ストッパ12cを適切な位置に素早く配置することができる。
【0044】
このように孔12chは、ストッパ12cの配置位置精度の観点からは縦長にすることが好ましいが、これに限定されるものではなく、受台12bと推進管8との隙間にストッパ12cを挿入した場合に、ストッパ12cが推進管8側に動くのを許容するものであれば円形状でも良い。
【0045】
また、図2および図10に示すように、ストッパ12cにおいて、推進管8の外周に対向する面(ストッパ12cの底板12cbの裏面)は、推進管8の外周に沿うように曲面状に形成されている。これにより、ストッパ12cと推進管8との接触面積を大きくすることができ、ストッパ12cによる推進管8に対する摩擦抵抗を大きくすることができるので、推進管8をしっかりと押さえることができ、推進管8のバッキング防止能力を向上させることができる。
【0046】
帯状体12dは、図2および図3に示すように、推進管8の円周に沿って、たとえばその8割程度を取り巻くように連続的に延在した状態で形成されている。帯状体12dは、図4に示すように、金属板12dmとシート状の滑り止め部材12dsとの2層構造となっている。
【0047】
この帯状体12dの一部は、推進管8の周りの複数のストッパ12cと推進管8との間に介在されている。帯状体12dの金属板12dmは、ストッパ12cの底面(底板12cbの裏面)と溶接により接続されている。
【0048】
金属板12dmは、たとえば、鋼材からなり、ストッパ12cと滑り止め部材12dsとを接続する機能を有する他に、ストッパ12cを常に受台12bの傾斜面12bs側に付勢する板バネとしての機能を有している。
【0049】
滑り止め部材12dsは、たとえば、金属よりも摩擦係数の大きな硬質ゴムにより形成されている。これにより、バッキング防止のためにストッパ12cを受台12bと推進管8との隙間に挿入してストッパ12cの底面を推進管8の外周に押し当てた時に、滑り止め部材12dsの摩擦力により推進管8に対する摩擦抵抗を大きくすることができる上、滑り止め部材12dsの弾性変形により生じた反発力が推進管8を押さえる方向に働くので、推進管8をしっかりと押さえることができる。また、硬質ゴムは金属に比べて弾性や柔軟性が高いので、推進管8がストッパ12cにより押圧されたからといって推進管8の外周に損傷が生じることもない。したがって、推進管8の外周に損傷を生じることなく、バッキング防止能力を向上させることができる。
【0050】
次に、本実施の形態のバッキング防止装置12のバッキング防止時およびバッキング防止解除時の動作について図13および図14により説明する。
【0051】
図13は推進管8の継ぎ足し時におけるバッキング防止装置12の要部断面図、図14は推進管8の推進施工時におけるバッキング防止装置12の要部断面図を示している。
【0052】
図13に示すように、推進管8を所定量推進後、新たな推進管8を継ぎ足す際には、油圧ジャッキ5(図1参照)の引き戻しの前に、バッキング防止装置12において、ナット12bnを締めると、ストッパ12cが受台12bの傾斜面12bsに沿って摺動し推進管8を押圧する方向に動きながら受台12bと推進管8との隙間に押し込まれる。すると、ストッパ12cが押し込まれた力が、ストッパ12cから金属板12dmおよび滑り止め部材12dsに伝わり、推進管8との間で摩擦が発生する。この摩擦力によりバッキング力に対抗することができ、バッキングを防止することができる。
【0053】
ここで、バッキング力が増加した場合、金属板12dmおよび滑り止め部材12dsの摩擦力がストッパ12cに伝わり、さらに受台12bを介して門型支保工12aに伝わることでバッキング力に抵抗することができる。したがって、ストッパ12cを楔形とすることにより、バッキング力の増加にも容易に対応することができる。
【0054】
また、本実施の形態のバッキング防止装置12の場合、推進管8毎にアンカー等のような加工を施す必要がないので、推進管8の施工作業における労力を大幅に低減できるとともに、作業効率を大幅に向上させることができる。しかも、推進管8に加工を施さないので、推進管8に損傷を与えることもない。
【0055】
また、ナット12bnを締めるだけでストッパ12cを押し込むことができるので、ストッパ12cを比較的小さな力で押し込むことができる上、ストッパ12cを押し込む量をナット12bnの締める量で加減することができるので、推進管8に過大な押圧力をかけることもなく、推進管8に損傷を与えることもない。
【0056】
続いて、ストッパ12cを、受台12bと推進管8との隙間に押し込んだ状態で、油圧ジャッキ5(図1参照)を既設の推進管8から離し、発進立坑2(図1参照)を通じて新たな推進管8を継ぎ足した後、油圧ジャッキ5で継ぎ足した推進管8の後端部を押さえる。
【0057】
その後、図14に示すように、バッキング防止装置12のナット12bnを緩める。すると、ストッパ12cは、帯状体12dの金属板12dmの板バネの作用により、ストッパ12cの補強板12crの傾斜面が受台12bの傾斜面12bsに押し付けられた状態で受台12bから離れる方向に後退する。ここで、ストッパ12cの裏面の滑り止め部材12dsが推進管8の外周から離れるので、推進管8との摩擦がなくなり、抵抗力もゼロとなる。したがって、新たな推進管8を推進するのにあたり、バッキング防止装置1は推進管8の推進力に何ら支障を与えることなく作業を進めることができる。
【0058】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、前記実施の形態においては、ストッパをスタッドボルトおよびナットにより挿脱自在の状態で受台に取り付けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ストッパを、たとえば六角ボルトで挿脱自在の状態で受台に取り付けても良い。すなわち、ストッパの正面側からストッパの孔に六角ボルトをその雄ネジ部側から挿入し、六角ボルトの雄ネジ部を受台の傾斜面に予め形成されている雌ネジ部に螺合することでストッパを受台に挿脱自在の状態で取り付けても良い。このようにストッパを受台に取り付けるボルトはスタッドボルトに限定されるものではなく種々のタイプのボルトを用いることができる。
【0060】
また、推進管は鉄筋コンクリート製に限定されるものではなく種々変更可能であり、たとえば、合成鋼材や鋼材を用いても良い。
【0061】
また、滑り止め部材は、ゴムに限定されるものではなく種々変更可能であり、たとえば、炭素繊維や合成繊維等のような繊維を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上の説明では、本発明をセンタシャフト方式のシールド掘進機を用いる場合のバッキング防止装置に適用した場合が示されているが、中間支持方式のシールド掘進機など、他の方式のシールド掘進機を用いる場合のバッキング防止装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
5 油圧ジャッキ(推進ジャッキ)
8 推進管
11 掘進機
12 バッキング防止装置
12a 門型支保工(支持体)
12b 受台
12bb ボルト
12bn ナット
12br 補強板
12bs 傾斜面(傾斜部)
12c ストッパ(抑止体)
12ch 孔
12cr 補強板
12cs 側板
12d 帯状体
12dm 金属板
12ds 滑り止め部材
H 管路形成坑口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進施工中の推進管の継ぎ足し時に、推進管が発進立坑内に推し戻されるバッキングを防止するバッキング防止装置であって、
前記推進管の外周に設置された支持体と、
前記支持体と管路形成坑口との間において前記支持体に接続された状態で前記推進管の外周に配置され、前記推進管の外周に対向する側に前記推進管の推進方向に沿って前記推進管の外周から離間する方向に傾斜する傾斜部が形成された受台と、
前記受台と前記推進管との隙間に配置され、前記受台に対向する側に前記受台の傾斜部に沿うように傾斜する傾斜部が形成されている楔形の抑止体と、
前記受台および前記抑止体の各々の傾斜部に対して交差するように前記推進管の推進方向に沿って延在して設けられ、前記抑止体に形成された孔を貫通するように設けられたボルトとを備え、
前記抑止体は、前記孔を貫通する前記ボルトにより、前記受台と前記推進管との隙間に対して挿脱両方向に移動可能な状態で前記受台に取り付けられていることを特徴とするバッキング防止装置。
【請求項2】
前記抑止体において前記推進管の外周に対向する面に、シート状の滑り止め部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のバッキング防止装置。
【請求項3】
前記抑止体において前記推進管の外周に対向する面は、前記推進体の外周に沿うように曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のバッキング防止装置。
【請求項4】
前記孔は、前記受台と前記推進管との隙間に前記抑止体を挿入した場合に、前記抑止体が前記推進管側に動くのを許容するように形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載のバッキング防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−49964(P2013−49964A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187547(P2011−187547)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】